説明

変倍光学系、この変倍光学系を備える光学機器、及び、変倍光学系の製造方法

【課題】像シフト可能な光学系により手ぶれ補正を可能とし、高変倍でありながら、F値の明るい高性能な変倍光学系、この変倍光学系を備える光学機器、及び、変倍光学系の製造方法を提供する。
【解決手段】デジタル一眼レフカメラ1等に搭載される変倍光学系ZLを、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成する。第3レンズ群G3内の少なくとも一部のレンズは、光軸と直交方向の成分を持つように移動する可動レンズ群Gvrを構成し、広角端状態から望遠端状態に変倍する際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔、及び、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔は変化するよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変倍光学系、この変倍光学系を備える光学機器、及び、変倍光学系の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、写真用カメラ、電子スチルカメラ、ビデオカメラ等に適した変倍光学系が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−140048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、手ぶれ補正機能を有するズームレンズは、光学系を構成するレンズ枚数が多くなり、鏡筒の全長・外径において、コンパクト性が損なわれる傾向にあった。また、手ぶれ補正機能を有しながら高変倍化を図ると、光学性能の劣化が著しく、良好な光学性能を満足できるものはなかった。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、像シフト可能な光学系により手ぶれ補正を可能とし、高変倍でありながら、F値の明るい高性能な変倍光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、第1の本発明に係る変倍光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群と、を有し、第3レンズ群内の少なくとも一部のレンズは、光軸と直交方向の成分を持つように移動する可動レンズ群を構成し、広角端状態から望遠端状態に変倍する際に、第1レンズ群と第2レンズ群との間隔、第2レンズ群と第3レンズ群との間隔、及び、第3レンズ群と第4レンズ群との間隔は変化し、第3レンズ群の最も物体側に位置するレンズ面の光線有効径をφ3とし、第1レンズ群の焦点距離をf1とし、第2レンズ群の焦点距離をf2とし、第3レンズ群の焦点距離をf3としたとき、次式
0.47 < φ3/f3 < 1.00
4.50 < f1/(−f2) < 8.50
の条件を満足する。
【0007】
ここで、この変倍光学系は、変倍光学系広角端状態におけるバックフォーカスをBfwとしたとき、次式
0.50 < φ3/Bfw < 0.85
の条件を満足することが好ましい。
【0008】
また、第2の本発明に係る変倍光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群と、を有し、第3レンズ群内の少なくとも一部のレンズは、光軸と直交方向の成分を持つように移動する可動レンズ群を構成し、広角端状態から望遠端状態に変倍する際に、第1レンズ群と第2レンズ群との間隔、第2レンズ群と第3レンズ群との間隔、及び、第3レンズ群と第4レンズ群との間隔は変化し、第3レンズ群の最も物体側に位置するレンズ面の光線有効径をφ3とし、第1レンズ群の焦点距離をf1とし、第2レンズ群の焦点距離をf2とし、広角端状態におけるバックフォーカスをBfwとしたとき、次式
0.50 < φ3/Bfw < 0.85
4.50 < f1/(−f2) < 8.50
の条件を満足する。
【0009】
また、この変倍光学系は、第3レンズ群内に、接合レンズを有することが好ましい。
【0010】
また、この変倍光学系は、第2レンズ群内に、非球面レンズを有することが好ましい。
【0011】
また、この変倍光学系は、可動レンズ群の焦点距離をfvrとし、望遠端状態における全系の焦点距離をftとしたとき、次式
0.20 < |fvr|/ft < 0.70
の条件を満足することが好ましい。
【0012】
また、この変倍光学系において、可動レンズ群は、接合レンズを有することが好ましい。
【0013】
また、この変倍光学系において、可動レンズ群は、第3レンズ群の最も像側に配置されていることが好ましい。
【0014】
また、この変倍光学系において、第3レンズ群は、可動レンズ群の像側に少なくとも1枚のレンズを有することが好ましい。
【0015】
また、この変倍光学系において、可動レンズ群は、負の屈折力を有することが好ましい。
【0016】
また、この変倍光学系は、第3レンズ群の焦点距離をf3とし、第4レンズ群の焦点距離をf4としたとき、次式
1.00 < f4/f3 < 4.00
の条件を満足することが好ましい。
【0017】
また、この変倍光学系は、第4レンズ群内に、非球面レンズを有することが好ましい。
【0018】
また、この変倍光学系は、第4レンズ群内に、物体側から順に正レンズ、負レンズの順で接合された接合レンズを有することが好ましい。
【0019】
また、本発明に係る光学機器は、上述の変倍光学系のいずれかを備えて構成される。
【0020】
また、本発明に係る変倍光学系の製造方法は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群と、を、第3レンズ群内の少なくとも一部のレンズは、光軸と直交方向の成分を持つように移動する可動レンズ群を構成し、広角端状態から望遠端状態に変倍する際に、第1レンズ群と第2レンズ群との間隔、第2レンズ群と第3レンズ群との間隔、及び、第3レンズ群と第4レンズ群との間隔は変化し、第3レンズ群の最も物体側に位置するレンズ面の光線有効径をφ3とし、第1レンズ群の焦点距離をf1とし、第2レンズ群の焦点距離をf2とし、第3レンズ群の焦点距離をf3としたとき、次式
0.47 < φ3/f3 < 1.00
4.50 < f1/(−f2) < 8.50
の条件を満足するように配置する。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る変倍光学系、この変倍光学系を備える光学機器、及び、変倍光学系の製造方法を以上のように構成すると、像シフト可能な光学系により手ぶれ補正を可能とし、高変倍でありながら、F値の明るい高性能なものを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施例による変倍光学系の構成を示す断面図である。
【図2】第1実施例の無限遠合焦状態の諸収差図であり、(a)は広角端状態における諸収差図であり、(b)は広角端状態での無限遠撮影状態において0.52°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のコマ収差図である。
【図3】第1実施例の中間焦点距離状態での無限遠合焦状態の収差図である。
【図4】第1実施例の無限遠合焦状態の諸収差図であり、(a)は望遠端状態における諸収差図であり、(b)は望遠端状態での無限遠撮影状態において0.20°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のコマ収差図である。
【図5】第2実施例による変倍光学系の構成を示す断面図である。
【図6】第2実施例の無限遠合焦状態の諸収差図であり、(a)は広角端状態における諸収差図であり、(b)は広角端状態での無限遠撮影状態において0.64°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のコマ収差図である。
【図7】第2実施例の中間焦点距離状態での無限遠合焦状態の収差図である。
【図8】第2実施例の無限遠合焦状態の諸収差図であり、(a)は望遠端状態における諸収差図であり、(b)は望遠端状態での無限遠撮影状態において0.34°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のコマ収差図である。
【図9】第3実施例による変倍光学系の構成を示す断面図である。
【図10】第3実施例の無限遠合焦状態の諸収差図であり、(a)は広角端状態における諸収差図であり、(b)は広角端状態での無限遠撮影状態において0.66°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のコマ収差図である。
【図11】第3実施例の中間焦点距離状態での無限遠合焦状態の収差図である。
【図12】第3実施例の無限遠合焦状態の諸収差図であり、(a)は望遠端状態における諸収差図であり、(b)は望遠端状態での無限遠撮影状態において0.19°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のコマ収差図である。
【図13】第4実施例による変倍光学系の構成を示す断面図である。
【図14】第4実施例の無限遠合焦状態の諸収差図であり、(a)は広角端状態における諸収差図であり、(b)は広角端状態での無限遠撮影状態において0.68°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のコマ収差図である。
【図15】第4実施例の中間焦点距離状態での無限遠合焦状態の収差図である。
【図16】第4実施例の無限遠合焦状態の諸収差図であり、(a)は望遠端状態における諸収差図であり、(b)は望遠端状態での無限遠撮影状態において0.21°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のコマ収差図である。
【図17】本実施形態に係る変倍光学系を搭載するデジタル一眼レフカメラの断面図を示す。
【図18】本実施形態に係る変倍光学系の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本願の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。まず、本実施形態の変倍光学系ZLは、図1に示すように、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、を有して構成される。そして、第3レンズ群G3内の少なくとも一部のレンズは、光軸と直交方向の成分を持つように移動する可動レンズ群Gvrを構成している。この構成により、所定の変倍比を確保しつつ、性能良好な光学系を得ることができる。以下、本実施形態に係る変倍光学系ZLを構成するための条件式について説明する。
【0024】
まず、本実施形態に係る変倍光学系ZLは、第3レンズ群G3の最も物体側に位置するレンズ面の光線有効径をφ3とし、第3レンズ群G3の焦点距離をf3としたとき、以下の条件式(1)を満足することが望ましい。
【0025】
0.47 < φ3/f3 < 1.00 (1)
【0026】
条件式(1)は、第3レンズ群G3の最も物体側に位置するレンズ面の光線有効径に対する第3レンズ群G3の屈折力を規定するものである。本実施形態の変倍光学系ZLは、この条件式(1)を満足することで良好な光学性能を実現し、かつ、所定の変倍比を確保することができる。この条件式(1)の上限値を上回ると、第3レンズ群G3の屈折力が大きくなり、望遠端におけるコマ収差の補正が困難となるため好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(1)の上限値を0.80にすることが好ましく、第3レンズ群G3の屈折力を適切に設定することができ、特に変倍時のコマ収差変動を更に小さくできる。反対に、条件式(1)の下限値を下回ると、第3レンズ群G3の屈折力が小さくなり、変倍比を保つために第1、第4レンズ群G1,G4の屈折力を強くする必要があり、結果として望遠端における像面湾曲収差の補正が困難となるため好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(1)の下限値を0.51にすることが好ましく、第3レンズ群G3の屈折力を適切に設定することができ、特に変倍時の像面湾曲収差変動を更に小さくできる。
【0027】
また、本実施形態に係る変倍光学系ZLは、第1レンズ群G1の焦点距離をf1とし、第2レンズ群G2の焦点距離をf2としたとき、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
【0028】
4.50 < f1/(−f2) < 8.50 (2)
【0029】
条件式(2)は、第2レンズ群G2の屈折力に対する第1レンズ群G1の屈折力を規定するものである。本実施形態の変倍光学系ZLは、この条件式(2)を満足することで良好な光学性能を実現し、かつ、所定の変倍比を確保することができる。この条件式(2)の上限値を上回ると、第2レンズ群G2の屈折力が大きくなり、広角端における像面湾曲収差及び望遠端における球面収差の補正が困難となるため好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(2)の上限値を7.0にすることが好ましく、第2レンズ群G2の屈折力を適切に設定することができ、広角端における像面湾曲収差をより良好に補正できる。反対に、条件式(2)の下限値を下回ると、第1レンズ群の屈折力が大きくなり、望遠端における像面湾曲収差の補正が困難となるため好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(2)の下限値を5.0にすることが好ましく、第1レンズ群G1の屈折力を適切に設定することができ、望遠端における像面湾曲収差をより良好に補正できる。
【0030】
また、本実施形態に係る変倍光学系ZLは、広角端状態におけるバックフォーカスをBfwとしたとき、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
【0031】
0.50 < φ3/Bfw < 0.85 (3)
【0032】
条件式(3)は、第3レンズ群G3の光線有効径に対する広角端におけるバックフォーカスを規定するものである。本実施形態の変倍光学系ZLは、この条件式(3)を満足することで良好な光学性能を実現し、かつ、所定の変倍比を確保することができる。この条件式(3)の上限値を上回ると、結果として第2レンズ群G2の屈折力が大きくなり、広角端において像面湾曲収差及び歪曲収差が発生するため好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(3)の上限値を0.75にすることが好ましく、各群の屈折力を適切に設定することができ、広角端における像面湾曲収差変動をより小さくできる。反対に、条件式(3)の下限値を下回ると、結果として第4レンズ群G4の屈折力が大きくなり、望遠端での像面湾曲収差の補正が困難になるため好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(3)の下限値を0.55にすることが好ましく、各群の屈折力を適切に設定することができ、望遠端における像面湾曲収差変動をより小さくできる。
【0033】
なお、本実施形態に係る変倍光学系ZLは、上述の条件式(1)及び(2)に代えて、条件式(3)及び(2)を満足するように構成することでも、優れた光学性能を得ることができる。
【0034】
また、本実施形態に係る変倍光学系ZLは、第3レンズ群G3内に、接合レンズを有することが望ましい。この構成により、望遠端における色収差とコマ収差とを同時に補正することができる。
【0035】
また、本実施形態に係る変倍光学系ZLは、第2レンズ群G2内に、非球面レンズを有することが望ましい。この構成により、広角端における像面湾曲収差と歪曲収差を同時に補正することができる。
【0036】
また、本実施形態に係る変倍光学系ZLは、可動レンズ群Gvrの焦点距離をfvrとし、望遠端状態における全系の焦点距離をftとしたとき、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
【0037】
0.20 < |fvr|/ft < 0.70 (4)
【0038】
条件式(4)は、全系の望遠端における屈折力に対する光軸と直行方向に移動する可動レンズ群Gvrの屈折力を規定するものである。本実施形態の変倍光学系ZLは、この条件式(4)を満足することで良好な光学性能を実現し、かつ、所定の変倍比を確保することができる。この条件式(4)の上限値を上回ると、可動レンズ群Gvrの屈折力が小さくなり、結像位置の変位させるために第4レンズ群G4の屈折力を強くする必要があり、結果として望遠端における像面湾曲収差の補正が困難になるため好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(4)の上限値を0.60にすることが好ましく、可動レンズ群Gvrの屈折力を適切に設定することができ、望遠端における像面湾曲収差を良好に補正することができる。反対に、条件式(4)の下限値を下回ると、可動レンズ群Gvrの屈折力が大きくなり、望遠端での球面収差の補正が困難になるため好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(4)の下限値を0.25にすることが好ましく、可動レンズ群Gvrの屈折力を適切に設定することができ、望遠端における球面収差を良好に補正することができる。
【0039】
また、本実施形態に係る変倍光学系ZLにおいて、可動レンズ群Gvrは接合レンズを有することが望ましい。この構成により、光軸と直行方向に移動したときの偏芯コマ収差と色収差とを同時に補正することができる。
【0040】
また、本実施形態に係る変倍光学系ZLにおいて、可動レンズ群Gvrは、第3レンズ群G3の最も像側に配置されていることが望ましい。また、この場合、第3レンズ群G3は、可動レンズ群Gvrの像側に少なくとも1枚のレンズを有することが望ましい。さらに、可動レンズ群Gvrは、負の屈折力を有することが望ましい。この構成により、変倍光学系ZLを小型化することができ、また、防振時のコマ収差を良好に補正することができる。
【0041】
また、本実施形態に係る変倍光学系ZLは、第3レンズ群G3の焦点距離をf3とし、第4レンズ群G4の焦点距離をf4としたとき、以下の条件式(5)を満足することが望ましい。
【0042】
1.00 < f4/f3 < 4.00 (5)
【0043】
条件式(5)は、第3レンズ群G3の屈折力に対する第4レンズ群G4の屈折力を規定するものである。本実施形態の変倍光学系ZLは、この条件式(5)を満足することで良好な光学性能を実現し、かつ、所定の変倍比を確保することができる。この条件式(5)の上限値を上回ると、第3レンズ群G3の屈折力が大きくなり、望遠端におけるコマ収差の補正が困難になるため好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(5)の上限値を2.70にすることが好ましく、第3レンズ群G3の屈折力を適切に設定することができ、望遠端におけるコマ収差を良好に補正することができる。反対に、条件式(5)の下限値を下回ると、第4レンズ群G4の屈折力が大きくなり、望遠端における像面湾曲収差の補正が困難になるため好ましくない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(5)の下限値を1.10にすることが好ましく、第4レンズ群G4の屈折力を適切に設定することができ、望遠端における像面湾曲収差を良好に補正することができる。
【0044】
また、この変倍光学系は、第4レンズ群内に、非球面レンズを有することが望ましい。この構成により、像面湾曲収差を補正することができる。
【0045】
また、この変倍光学系は、第4レンズ群G4内に、物体側から順に正レンズ、負レンズの順で接合された接合レンズを有することが望ましい。この構成により、望遠端における色収差と球面収差、及び広角端における像面湾曲収差を同時に補正することができる。
【0046】
図17に、上述の変倍光学系ZLを備える光学機器として、デジタル一眼レフカメラ1(以後、単にカメラと記す)の略断面図を示す。このカメラ1において、不図示の物体(被写体)からの光は、変倍光学系2(変倍光学系ZL)で集光されて、クイックリターンミラー3を介して焦点板4に結像される。そして、焦点板4に結像された光は、ペンタプリズム5中で複数回反射されて接眼レンズ6へと導かれる。これにより、撮影者は、物体(被写体)像を接眼レンズ6を介して正立像として観察することができる。
【0047】
また、撮影者によって不図示のレリーズボタンが押されると、クイックリターンミラー3が光路外へ退避し、変倍光学系2で集光された不図示の物体(被写体)の光は撮像素子7上に被写体像を形成する。これにより、物体(被写体)からの光は、当該撮像素子7により撮像され、物体(被写体)画像として不図示のメモリに記録される。このようにして、撮影者は本カメラ1による物体(被写体)の撮影を行うことができる。なお、図17に記載のカメラ1は、変倍光学系ZLを着脱可能に保持するものでも良く、変倍光学系ZLと一体に成形されるものでも良い。また、カメラ1は、いわゆる一眼レフカメラでも良く、クイックリターンミラー等を有さないコンパクトカメラでも良い。
【0048】
なお、以下に記載の内容は、光学性能を損なわない範囲で適宜採用可能である。
【0049】
まず、上述の説明及び以降に示す実施例においては、4群構成を示したが、以上の構成条件等は、5群、6群等の他の群構成にも適用可能である。また、最も物体側にレンズまたはレンズ群を追加した構成や、最も像側にレンズまたはレンズ群を追加した構成でも構わない。また、レンズ群とは、変倍時に変化する空気間隔で分離された、少なくとも1枚のレンズを有する部分を示す。
【0050】
また、単独または複数のレンズ群、または部分レンズ群を光軸に沿って移動させて、無限遠物体から近距離物体への合焦を行う合焦レンズ群としても良い。この場合、合焦レンズ群はオートフォーカスにも適用でき、オートフォーカス用の(超音波モーター等の)モーター駆動にも適している。特に、第2レンズ群G2の少なくとも一部を合焦レンズ群とするのが望ましい。
【0051】
レンズ群または部分レンズ群を光軸と直交方向の成分を持つように移動させ、または、光軸を含む面内方向に回転移動(揺動)させて、手ぶれによって生じる像ぶれを補正する防振レンズ群としても良い。特に、前述のように、第3レンズ群内の少なくとも一部(可動レンズ群Gvr)を防振レンズ群とするのが好ましい。
【0052】
また、レンズ面は、球面または平面で形成されても、非球面で形成されても構わない。レンズ面が球面または平面の場合、レンズ加工及び組立調整が容易になり、加工及び組立調整の誤差による光学性能の劣化を妨げるので好ましい。また、像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないので好ましい。また、レンズ面が非球面の場合、この非球面は、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に形成したガラスモールド非球面、ガラスの表面に樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれの非球面でも構わない。また、レンズ面は回折面としてもよく、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)あるいはプラスチックレンズとしても良い。
【0053】
開口絞りSは、第3レンズ群G3近傍または内部に配置されるのが好ましいが、開口絞りとしての部材を設けずに、レンズの枠でその役割を代用しても良い。
【0054】
さらに、各レンズ面には、フレアやゴーストを軽減し高コントラストの高い光学性能を達成するために、広い波長域で高い透過率を有する反射防止膜を施しても良い。
【0055】
本実施形態に係る変倍光学系ZLは、変倍比が3〜10程度である。
【0056】
本実施形態に係る変倍光学系ZLは、第1レンズ群G1が正のレンズ成分を2つ有するのが好ましい。また、第1レンズ群G1は、物体側から順に、正正の順番にレンズ成分を、空気間隔を介在させて配置するのが好ましい。
【0057】
また、本実施形態に係る変倍光学系ZLは、第2レンズ群G2が正のレンズ成分を1つと負のレンズ成分を3つ有するのが好ましい。また、第2レンズ群G2は、物体側から順に、負負正負の順番にレンズ成分を、空気間隔を介在させて配置するのが好ましい。
【0058】
本実施形態に係る変倍光学系ZLは、第3レンズ群G3が正のレンズ成分を2つと負のレンズ成分を1つ有するのが好ましい。または、第3レンズ群G3が正のレンズ成分を3つと負のレンズ成分を2つ有するのが好ましい。また、第3レンズ群G3は、物体側から順に、正正負または正正正負負の順番にレンズ成分を、空気間隔を介在させて配置するのが好ましい。
【0059】
本実施形態に係る変倍光学系ZLは、第4レンズ群G4が正のレンズ成分を1つと負のレンズ成分を1つ有するのが好ましい。または、第4レンズ群G4が正のレンズ成分を2つと負のレンズ成分を1つ有するのが好ましい。また、第4レンズ群G4は、物体側から順に、正負または正正負の順番にレンズ成分を、空気間隔を介在させて配置するのが好ましい。
【0060】
なお、本願を分かり易く説明するために実施形態の構成要件を付して説明したが、本願がこれに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0061】
以下、本実施形態に係る変倍光学系ZLの製造方法の概略を、図18を参照して説明する。まず、各レンズを配置してレンズ群をそれぞれ準備する(ステップS100)。具体的に、本実施形態では、例えば、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸レンズL12との接合レンズ、及び、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13を配置して第1レンズ群G1とし、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21、両凹レンズL22、両凸レンズL23、及び、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL24を配置して第2レンズ群G2とし、物体側から順に、両凸レンズL31、両凸レンズL32と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL33との接合レンズ、及び、像側に凸面を向けた正メニスカスレンズL34と両凹レンズL35との接合レンズを配置して第3レンズ群G3とし、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL41と両凸レンズL42との接合レンズ、及び、両凸レンズL43と像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL44との接合レンズを配置して第4レンズ群G4とする。この場合、第3レンズ群G3内の、像側に凸面を向けた正メニスカスレンズL34と両凹レンズL35との接合レンズを、光軸と直交方向の成分を持つように移動させ、可動レンズ群Gvrを構成する。このようにして準備した各レンズ群を配置して変倍光学系ZLを製造する。
【0062】
このとき、広角端状態から望遠端状態に変倍する際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔、及び、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔は変化するよう配置する(ステップS200)。また、第3レンズ群G3の最も物体側に位置するレンズ面の光線有効径をφ3とし、第1レンズ群G1の焦点距離をf1とし、第2レンズ群G2の焦点距離をf2とし、第3レンズ群G3の焦点距離をf3としたとき、前出の条件式(1)及び(2)を満足するよう各レンズ群を配置する(ステップS300)。
【実施例】
【0063】
以下、本願の各実施例を、添付図面に基づいて説明する。図1、図5、図9及び図13に、変倍光学系ZL1〜ZL4の屈折力配分及び広角端状態(W)から望遠端状態(T)への焦点距離状態の変化における各レンズ群の移動の様子を示す。各実施例に係る変倍光学系ZL1〜ZL4は、図1、図5、図9及び図13に示すように、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成されている。そして、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔が増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔が減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との空気間隔が減少するように各レンズ群の間隔が変化する。
【0064】
開口絞りSは、第1、第2及び第3実施例では第3レンズ群G3の最も物体側の正レンズ(L21)の物体側に隣接して位置し、第4実施例では第3レンズ群G3の最も物体側の正レンズ(L21)の像側に隣接して位置し、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して第3レンズ群G3とともに移動する。遠距離から近距離へのフォーカシングは、第2レンズ群G2を物体方向に移動させて行う。手ぶれ補正(防振)は、第3レンズ群G3内の最も像側(第3、第4実施例では、像側から2番目)に位置する接合レンズ(可動レンズ群Gvr)を光軸と直交方向に移動させることにより行う。
【0065】
各実施例において、非球面は、光軸に垂直な方向の高さをyとし、高さyにおける各非球面の頂点の接平面から各非球面までの光軸に沿った距離(サグ量)をS(y)とし、基準球面の曲率半径(近軸曲率半径)をrとし、円錐定数をκとし、n次の非球面係数をAnとしたとき、以下の式(a)で表される。なお、以降の実施例において、「E−n」は「×10-n」を示す。
【0066】
S(y)=(y2/r)/{1+(1−κ×y2/r21/2
+A4×y4+A6×y6+A8×y8+A10×y10+A12×y12 (a)
【0067】
なお、各実施例において、2次の非球面係数A2は0である。また、各実施例の表中において、非球面には面番号の左側に*印を付している。
【0068】
〔第1実施例〕
図1は、第1実施例に係る変倍光学系ZL1の構成を示す図である。この図1の変倍光学系ZL1において、第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸レンズとの接合レンズ、及び、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13から構成されている。第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21、両凹レンズL22、両凸レンズL23、及び、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL24から構成され、第2レンズ群G2の最も物体側に位置する負メニスカスレンズL21は物体側のガラスレンズ面に非球面を形成した非球面レンズであり、最も像側に位置する負メニスカスレンズL24は像側のガラスレンズ面に非球面を形成した非球面レンズである。第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸レンズL31、両凸レンズL32と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL33との接合レンズ、及び、像側に凸面を向けた正メニスカスレンズL34と両凹レンズL35との接合レンズ(可動レンズ群Gvr)から構成され、第3レンズ群G3の像側から2番目に位置する正メニスカスレンズL34は物体側のガラスレンズ面に非球面を形成した非球面レンズである。第4レンズ群G4は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL41と両凸レンズL42との接合レンズ、及び、両凸レンズL43と像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL44との接合レンズから構成され、第4レンズ群G4の最も像側に位置する負メニスカスレンズL44は像側のガラスレンズ面に非球面を形成した非球面レンズである。
【0069】
なお、全系の焦点距離がfで、防振補正係数(ぶれ補正での可動レンズ群Gvrの移動量に対する結像面での像移動量の比)がKのレンズで角度θの回転ぶれを補正するには、ぶれ補正用の可動レンズ群Gvrを(f・tanθ)/Kだけ光軸と直交方向に移動させればよい(この説明は、以降の実施例においても同様である)。この第1実施例の広角端状態においては、防振係数は0.74であり、焦点距離は24.7(mm)であるので、0.52°の回転ぶれを補正するための可動レンズ群Gvrの移動量は0.30(mm)である。第1実施例の望遠端状態においては、防振係数は1.34であり、焦点距離は116.7(mm)であるので、0.20°の回転ぶれを補正するための可動レンズ群Gvrの移動量は0.30(mm)である。
【0070】
以下の表1に、第1実施例の諸元の値を掲げる。この表1において、fは全系の焦点距離、FNOはFナンバー、ωは半画角(単位は「°」)をそれぞれ表している。さらに、面番号は光線の進行する方向に沿った物体側からのレンズ面の順序を、面間隔は各光学面から次の光学面までの光軸上の間隔を、屈折率及びアッベ数はそれぞれd線(λ=587.6nm)に対する値を示している。ここで、以下の全ての諸元値において掲載されている焦点距離、曲率半径、面間隔、その他長さの単位は一般に「mm」が使われるが、光学系は、比例拡大または比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。尚、曲率半径0.0000は平面を示し、空気の屈折率1.00000は省略してある。なお、これらの符号の説明及び諸元表の説明は以降の実施例においても同様である。
【0071】
(表1)
広角端 中間焦点距離 望遠端
f = 24.7 〜 49.8 〜 116.7
F.NO = 4.1 〜 4.1 〜 4.1
2ω = 85.5 〜 45.8 〜 20.4
全長 =138.9 〜 158.5 〜 195.2
Bf = 34.3 〜 53.3 〜 78.4

面番号 曲率半径 面間隔 アッベ数 屈折率
1 433.3380 1.5 23.78 1.84666
2 106.2717 7.5 65.47 1.60300
3 -488.5544 0.2
4 61.7947 6.1 46.63 1.81600
5 157.8314 (d1)
*6 172.2219 0.2 38.09 1.55389
7 108.7589 1.5 42.72 1.83481
8 16.8280 7.0
9 -32.9635 1.1 42.72 1.83481
10 90.3900 0.1
11 49.7564 5.0 23.78 1.84666
12 -28.7288 1.0
13 -21.6635 1.1 42.72 1.83481
*14 -59.2704 (d2)
15 0.0000 0.2 (開口絞りS)
16 83.5572 3.5 52.29 1.75500
17 -63.1465 0.2
18 37.9829 6.5 65.47 1.60300
19 -29.1740 1.5 23.78 1.84666
20 -154.4508 2.4
*21 -50.0000 0.1 38.09 1.55389
22 -50.0000 2.9 23.78 1.84666
23 -24.2674 1.5 45.30 1.79500
24 1552.3648 (d3)
25 37.1161 1.5 32.35 1.85026
26 23.1455 6.0 67.87 1.59319
27 -70.7250 6.3
28 293.8058 5.0 82.56 1.49782
29 -29.7266 2.0 46.73 1.76546
*30 -147.4982 (Bf)

[レンズ群焦点距離]
レンズ群 始面 焦点距離
第1レンズ群 1 108.9
第2レンズ群 6 -17.2
第3レンズ群 16 44.1
第4レンズ群 25 54.6
【0072】
この第1実施例において、第6面、第14面、第21面、及び、第30面のレンズ面は非球面形状に形成されている。次の表2に、非球面のデータ、すなわち円錐定数κ及び各非球面定数A4〜A12の値を示す。
【0073】
(表2)
κ A4 A6 A8 A10 A12
第6面 99.0000 7.24080E-06 -1.89560E-08 5.61340E-11 -1.00700E-13 0.00000E+00
第14面 1.0000 -8.90470E-07 -8.45490E-09 2.43120E-11 0.00000E+00 0.00000E+00
第21面 1.0000 5.76870E-06 4.96800E-09 0.00000E+00 0.00000E+00 0.00000E+00
第30面 1.0000 1.28760E-05 1.57610E-08 -2.42460E-11 1.25150E-13 0.00000E+00
【0074】
この第1実施例において、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との軸上空気間隔d1、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との軸上空気間隔d2、及び第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との軸上空気間隔d3は変倍に際して変化する。次の表3に、この第1実施例に係る変倍光学系ZL1の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態の各焦点距離における可変間隔データを示す。
【0075】
(表3)
広角端 中間焦点距離 望遠端
d1 2.2 20.1 42.7
d2 20.6 9.1 1.0
d3 9.7 3.8 1.0
【0076】
次の表4に、この第1実施例における条件式対応値を示す。なおこの表4において、φ3は第3レンズ群G3の最も物体側に位置するレンズ面の光線有効径を、f1は第1レンズ群G1の焦点距離を、f2は第2レンズ群G2の焦点距離を、f3は第3レンズ群G3の焦点距離を、f4は第4レンズ群G4の焦点距離を、Bfwは広角端状態におけるバックフォーカスを、fvrは可動レンズ群Gvrの焦点距離を、ftは望遠端状態における全系の焦点距離を、それぞれ表している。以降の実施例においても、特にことわりのない場合は、この符号の説明は同様である。
【0077】
(表4)
fvr=-65.4
φ3=23.9
(1)φ3/f3=0.54
(2)f1/(−f2)=6.32
(3)φ3/Bfw=0.70
(4)|fvr|/ft=0.56
(5)f4/f3=1.24
【0078】
この第1実施例の広角端状態での無限遠合焦状態の収差図を図2(a)に、中間焦点距離状態での無限遠合焦状態の収差図を図3に、望遠端状態での無限遠合焦状態の収差図を図4(a)に示す。また、第1実施例の広角端状態での無限遠撮影状態において0.52°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のコマ収差図を図2(b)に示し、第1実施例の望遠端状態での無限遠撮影状態において0.20°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のコマ収差図を図4(b)に示す。各収差図において、非点収差図中の実線はサジタル像面を、破線はメリディオナル像面を示し、FNOはFナンバーを、Yは像高を表す。また、各収差図中でd、gはそれぞれd線(λ=587.6nm)、g線(λ=435.6nm)における収差を表す。これらの各収差図から明らかなように、第1実施例では、広角端状態から望遠端状態までの各焦点距離状態において諸収差が良好に補正され、優れた光学性能を有することがわかる。
【0079】
〔第2実施例〕
図5は、第2実施例に係る変倍光学系ZL2の構成を示す図である。この図5の変倍光学系ZL2において、第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸レンズL12との接合レンズ、及び、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13から構成されている。第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21、両凹レンズL22、両凸レンズL23と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL24との接合レンズ、及び、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL25から構成され、第2レンズ群G2の最も物体側に位置する負メニスカスレンズL21は物体側のガラスレンズ面に非球面を形成した非球面レンズである。第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸レンズL31、両凸レンズL32と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL33との接合レンズ、及び、両凹レンズL34と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL35との接合レンズ(可動レンズ群Gvr)から構成され、第3レンズ群G3の像側から2番目に位置する両凹レンズL34は物体側のガラスレンズ面に非球面を形成した非球面レンズである。第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凸レンズL41と、両凸レンズL42と両凹レンズL43との接合レンズ、及び、像側に凸面を向けた正メニスカスレンズL44から構成され、第4レンズ群G4の最も物体側に位置する両凸レンズL41は物体側のガラスレンズ面に非球面を形成した非球面レンズである。
【0080】
なお、全系の焦点距離がfで、防振補正係数(ぶれ補正での可動レンズ群Gvrの移動量に対する結像面での像移動量の比)がKのレンズで角度θの回転ぶれを補正するには、ぶれ補正用の可動レンズ群Gvrを(f・tanθ)/Kだけ光軸と直交方向に移動させればよい(この説明は、以降の実施例においても同様である)。この第2実施例の広角端状態においては、防振係数は1.00であり、焦点距離は24.6(mm)であるので、0.64°の回転ぶれを補正するための可動レンズ群Gvrの移動量は0.27(mm)である。第2実施例の望遠端状態においては、防振係数は1.72であり、焦点距離は102.0(mm)であるので、0.34°の回転ぶれを補正するための可動レンズ群Gvrの移動量は0.34(mm)である。
【0081】
以下の表5に、第2実施例の諸元の値を掲げる。
【0082】
(表5)
広角端 中間焦点距離 望遠端
f = 24.6 〜 50.0 〜 102.0
F.NO = 4.1 〜 4.1 〜 4.1
2ω = 85.5 〜 46.1 〜 23.3
全長 =146.6 〜 167.1 〜 199.6
Bf = 39.9 〜 64.5 〜 84.0

面番号 曲率半径 面間隔 アッベ数 屈折率
1 338.9020 1.5 32.35 1.85026
2 60.6265 8.7 65.47 1.60300
3 -725.5504 0.2
4 54.1848 7.0 52.29 1.75500
5 220.8993 (d1)
*6 169.7193 1.5 42.72 1.83480
7 16.3161 6.3
8 -44.8119 1.0 52.31 1.75499
9 41.2641 0.2
10 33.8490 5.4 23.77 1.84666
11 -34.9782 1.1 42.72 1.83481
12 -62.4140 1.8
13 -24.8014 1.0 40.94 1.80610
14 -49.2693 (d2)
15 0.0000 1.5 (開口絞りS)
16 45.3309 4.5 52.29 1.75500
17 -49.3832 0.2
18 37.6971 5.9 82.56 1.49782
19 -29.6774 1.0 23.77 1.84666
20 -400.6411 3.3
21 -38.0412 1.0 42.72 1.83481
22 38.4634 3.7 23.78 1.84666
23 -664.9509 (d3)
*24 189.6816 4.0 70.45 1.48749
25 -27.6473 0.2
26 48.2882 5.6 82.56 1.49782
27 -44.5374 1.2 42.72 1.83481
28 53.3483 3.3
29 -84.9425 3.1 65.47 1.60300
30 -31.3071 (Bf)

[レンズ群焦点距離]
レンズ群 始面 焦点距離
第1レンズ群 1 99.6
第2レンズ群 6 -16.0
第3レンズ群 16 42.8
第4レンズ群 24 49.8
【0083】
この第2実施例において、第6面、第21面、及び、第24面のレンズ面は非球面形状に形成されている。次の表6に、非球面のデータ、すなわち円錐定数κ及び各非球面定数A4〜A12の値を示す。
【0084】
(表6)
κ A4 A6 A8 A10 A12
第6面 20.2901 7.21010E-06 -1.68940E-08 7.36240E-11 -3.11700E-13 0.61143E-15
第21面 2.4406 8.56080E-06 8.41180E-09 0.00000E+00 0.00000E+00 0.00000E+00
第24面 1.0000 -2.36790E-05 1.97200E-08 -1.54680E-10 4.10050E-13 0.00000E+00
【0085】
この第2実施例において、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との軸上空気間隔d1、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との軸上空気間隔d2、及び第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との軸上空気間隔d3は変倍に際して変化する。次の表7に、この第2実施例に係る変倍光学系ZL2の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態の各焦点距離における可変間隔データを示す。
【0086】
(表7)
広角端 中間焦点距離 望遠端
d1 2.5 15.9 36.8
d2 19.8 7.6 1.5
d3 9.4 4.0 2.2
【0087】
次の表8に、この第2実施例における条件式対応値を示す。
【0088】
(表8)
fvr=-49.3
φ3=24.3
(1)φ3/f3=0.57
(2)f1/(−f2)=6.21
(3)φ3/Bfw=0.61
(4)|fvr|/ft=0.48
(5)f4/f3=1.16
【0089】
この第2実施例の広角端状態での無限遠合焦状態の収差図を図6(a)に、中間焦点距離状態での無限遠合焦状態の収差図を図7に、望遠端状態での無限遠合焦状態の収差図を図8(a)に示す。また、第2実施例の広角端状態での無限遠撮影状態において0.64°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のコマ収差図を図6(b)に示し、第1実施例の望遠端状態での無限遠撮影状態において0.34°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のコマ収差図を図8(b)に示す。これらの各収差図から明らかなように、第2実施例では、広角端状態から望遠端状態までの各焦点距離状態において諸収差が良好に補正され、優れた光学性能を有することがわかる。
【0090】
〔第3実施例〕
図9は、第3実施例に係る変倍光学系ZL3の構成を示す図である。この図9の変倍光学系ZL3において、第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸レンズL12との接合レンズ、及び、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13から構成されている。第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL22、両凸レンズL23、及び、両凹レンズL24から構成され、第2レンズ群G2の最も物体側に位置する負メニスカスレンズL21は物体側のガラスレンズ面に非球面を形成した非球面レンズであり、最も像側に位置する負メニスカスレンズL24は像側のガラスレンズ面に非球面を形成した非球面レンズである。第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸レンズL31、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズL32と両凸レンズL33との接合レンズ、両凸レンズL34、像側に凸面を向けた正メニスカスレンズL35と両凹レンズL36との接合レンズ(可動レンズ群Gvr)、及び、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL37から構成されている。第4レンズ群G4は、物体側から順に、像側に凸面を向けた正メニスカスレンズL41及び、像側に凸面を向けた正メニスカスレンズL42と像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL43との接合レンズから構成され、第4レンズ群G4の最も物体側に位置する正メニスカスレンズL41は物体側のガラスレンズ面に非球面を形成した非球面レンズである。
【0091】
なお、全系の焦点距離がfで、防振補正係数(ぶれ補正での可動レンズ群Gvrの移動量に対する結像面での像移動量の比)がKのレンズで角度θの回転ぶれを補正するには、ぶれ補正用の可動レンズ群Gvrを(f・tanθ)/Kだけ光軸と直交方向に移動させればよい(この説明は、以降の実施例においても同様である)。この第3実施例の広角端状態においては、防振係数は1.06であり、焦点距離は27.2(mm)であるので、0.66°の回転ぶれを補正するための可動レンズ群Gvrの移動量は0.3(mm)である。第3実施例の望遠端状態においては、防振係数は1.58であり、焦点距離は143.0(mm)であるので、0.19°の回転ぶれを補正するための可動レンズ群Gvrの移動量は0.3(mm)である。
【0092】
以下の表9に、この第3実施例の諸元の値を掲げる。
【0093】
(表9)
広角端 中間焦点距離 望遠端
f = 27.2 〜 48.1 〜 143.0
F.NO = 4.5 〜 4.3 〜 4.2
2ω = 79.7 〜 47.6 〜 16.6
全長 =144.9 〜 158.0 〜 188.8
Bf = 38.5 〜 55.5 〜 70.7

面番号 曲率半径 面間隔 アッベ数 屈折率
1 157.2675 2.0 23.77 1.84666
2 74.2018 7.5 67.87 1.59318
3 -7189.0015 0.1
4 53.7391 5.6 52.29 1.75500
5 142.1986 (d1)
*6 153.0455 1.2 46.63 1.81600
7 14.4795 8.0
8 -25.2816 1.0 45.30 1.79500
9 -53.6682 0.1
10 52.4423 4.2 23.77 1.84666
11 -32.7813 0.5
12 -26.1324 1.0 40.94 1.80610
*13 1638.3373 (d2)
14 61.1384 2.6 52.29 1.75500
15 -388.3196 1.4
16 0.0000 0.5 (開口絞りS)
17 27.8231 3.0 23.77 1.84666
18 16.9699 6.6 70.45 1.48749
19 -58.9172 0.1
20 47.2598 3.4 67.87 1.59318
21 -433.2258 1.8
22 -58.5928 3.5 32.35 1.85026
23 -29.8351 1.0 52.29 1.75500
24 80.4710 3.0
25 -131.0107 1.0 53.89 1.71300
26 -943.5177 (d3)
27 -1253.2789 5.7 61.18 1.58913
28 -21.8392 0.1
29 -40.9854 4.0 70.45 1.48749
30 -28.2678 2.0 32.35 1.85026
31 -73.8800 (Bf)

[レンズ群焦点距離]
レンズ群 焦点距離
第1レンズ群 1 91.4
第2レンズ群 6 -17.1
第3レンズ群 14 36.4
第4レンズ群 27 74.8
【0094】
この第3実施例において、第6面、第13面、及び、第27面のレンズ面は非球面形状に形成されている。次の表10に、非球面のデータ、すなわち円錐定数κ及び各非球面定数A4〜A12の値を示す。
【0095】
(表10)
κ A4 A6 A8 A10 A12
第6面 1.0000 9.10590E-06 -2.46720E-08 4.74440E-11 -3.43860E-14 0.00000E+00
第13面 1.0000 -4.34150E-06 -1.54250E-08 8.52640E-12 -8.74630E-14 0.00000E+00
第27面 -30.0000 -2.01880E-05 -1.57780E-08 4.19740E-11 -1.12730E-13 0.00000E+00
【0096】
この第3実施例において、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との軸上空気間隔d1、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との軸上空気間隔d2、及び、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との軸上空気間隔d4は変倍に際して変化する。次の表11に、この第3実施例に係る変倍光学系ZL3の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態の各焦点距離における可変間隔データを示す。
【0097】
(表11)
広角端 中間焦点距離 望遠端
d1 2.9 16.0 44.5
d2 24.0 13.4 1.2
d3 8.3 2.0 1.3
【0098】
次の表12に、この第3実施例における条件式対応値を示す。
【0099】
(表12)
fvr=-47.8
φ3=23.1
(1)φ3/f3=0.63
(2)f1/(−f2)=5.36
(3)φ3/Bfw=0.60
(4)|fvr|/ft=0.33
(5)f4/f3=2.06
【0100】
この第3実施例の広角端状態での無限遠合焦状態の収差図を図10(a)に、中間焦点距離状態での無限遠合焦状態の収差図を図11に、望遠端状態での無限遠合焦状態の収差図を図12(a)に示す。また、第3実施例の広角端状態での無限遠撮影状態において0.66°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のコマ収差図を図10(b)に示し、第3実施例の望遠端状態での無限遠撮影状態において0.19°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のコマ収差図を図12(b)に示す。これらの各収差図から明らかなように、第3実施例では、広角端状態から望遠端状態までの各焦点距離状態において諸収差が良好に補正され、優れた光学性能を有することがわかる。
【0101】
〔第4実施例〕
図13は、第4実施例に係る変倍光学系ZL4の構成を示す図である。この図13の変倍光学系ZL4において、第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸レンズL12との接合レンズ、及び、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13から構成されている。第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL22、両凸レンズL23、及び、両凹レンズL24から構成され、第2レンズ群G2の最も物体側に位置する負メニスカスレンズL21は物体側のガラスレンズ面に非球面を形成した非球面レンズであり、最も像側に位置する負メニスカスレンズL24は像側のガラスレンズ面に非球面を形成した非球面レンズである。第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸レンズL31、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズL32と両凸レンズL33との接合レンズ、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL34、像側に凸面を向けた正メニスカスレンズL35と両凹レンズL36との接合レンズ(可動レンズ群Gvr)、及び、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL37から構成されている。第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凸レンズL41、及び、像側に凸面を向けた正メニスカスレンズL42と像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL44との接合レンズから構成され、第4レンズ群G4の最も物体側に位置する両凸レンズL41は物体側のガラスレンズ面に非球面を形成した非球面レンズである。
【0102】
なお、全系の焦点距離がfで、防振補正係数(ぶれ補正での可動レンズ群Gvrの移動量に対する結像面での像移動量の比)がKのレンズで角度θの回転ぶれを補正するには、ぶれ補正用の可動レンズ群Gvrを(f・tanθ)/Kだけ光軸と直交方向に移動させればよい(この説明は、以降の実施例においても同様である)。この第4実施例の広角端状態においては、防振係数は1.00であり、焦点距離は25.1(mm)であるので、0.68°の回転ぶれを補正するための可動レンズ群Gvrの移動量は0.3(mm)である。第4実施例の望遠端状態においては、防振係数は1.55であり、焦点距離は126.2(mm)であるので、0.21°の回転ぶれを補正するための可動レンズ群Gvrの移動量は0.3(mm)である。
【0103】
以下の表13に、この第4実施例の諸元の値を掲げる。
【0104】
(表13)
広角端 中間焦点距離 望遠端
f = 25.1 〜 49.0 〜 126.2
F.NO = 4.1 〜 4.3 〜 4.3
2ω = 84.3 〜 46.0 〜 18.7
全長 =144.4 〜 161.4 〜 191.3
Bf = 38.5 〜 55.4 〜 72.8

面番号 曲率半径 面間隔 アッベ数 屈折率
1 193.0235 2.0 23.77 1.84666
2 83.8012 7.5 67.87 1.59318
3 -963.4411 0.1
4 55.7667 6.3 52.29 1.75500
5 141.2394 (d1)
*6 190.7683 1.2 46.63 1.81600
7 14.0880 8.0
8 -22.9439 1.0 45.30 1.79500
9 -41.9612 0.10
10 49.9757 4.2 23.77 1.84666
11 -35.3487 0.5
12 -28.1383 1.0 40.94 1.80610
*13 1638.3373 (d2)
14 0.0000 1.4 (開口絞りS)
15 166.9279 2.6 52.29 1.75500
16 -127.4741 0.5
17 25.9521 1.5 23.77 1.84666
18 16.6040 7.5 70.45 1.48749
19 -80.1801 0.1
20 39.1993 3.4 67.87 1.59318
21 4775.8297 2.5
22 -87.5191 3.5 32.35 1.85026
23 -23.6805 1.0 52.29 1.75500
24 53.2830 3.0
25 -176.2204 1.0 53.89 1.71300
26 -943.5176 (d3)
*27 739.6640 5.7 61.18 1.58913
28 -21.1537 0.1
29 -53.7866 4.0 70.45 1.48749
30 -21.3293 2.0 32.35 1.85026
31 -73.8800 (Bf)

[レンズ群焦点距離]
レンズ群 焦点距離
第1レンズ群 1 96.4
第2レンズ群 6 -17.2
第3レンズ群 15 38.4
第4レンズ群 27 69.8
【0105】
この第4実施例において、第6面、第13面、及び、第27面のレンズ面は非球面形状に形成されている。次の表14に、非球面のデータ、すなわち円錐定数κ及び各非球面定数A4〜A12の値を示す。
【0106】
(表14)
κ A4 A6 A8 A10 A12
第6面 1.0000 1.32270E-05 -3.14110E-08 4.74440E-11 -3.43860E-14 0.00000E+00
第13面 1.0000 -3.02320E-06 -1.73280E-08 8.52640E-12 -8.74630E-14 0.00000E+00
第27面 -30.0000 -1.97540E-05 -1.56180E-08 4.19740E-11 -1.12730E-13 0.00000E+00
【0107】
この第4実施例において、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との軸上空気間隔d1、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との軸上空気間隔d2、及び、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との軸上空気間隔d4は変倍に際して変化する。次の表15に、この第4実施例に係る変倍光学系ZL4の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態の各焦点距離における可変間隔データを示す。
【0108】
(表15)
広角端 中間焦点距離 望遠端
d1 2.0 20.4 44.5
d2 23.6 11.7 0.8
d3 8.3 2.0 1.3
【0109】
次の表16に、この第4実施例における条件式対応値を示す。
【0110】
(表16)
fvr=-49.8
φ3=23.4
(1)φ3/f3=0.61
(2)f1/(−f2)=5.59
(3)φ3/Bfw=0.61
(4)|fvr|/ft=0.39
(5)f4/f3=1.82
【0111】
この第4実施例の広角端状態での無限遠合焦状態の収差図を図14(a)に、中間焦点距離状態での無限遠合焦状態の収差図を図15に、望遠端状態での無限遠合焦状態の収差図を図16(a)に示す。また、第4実施例の広角端状態での無限遠撮影状態において0.68°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のコマ収差図を図14(b)に示し、第4実施例の望遠端状態での無限遠撮影状態において0.21°の回転ぶれに対するぶれ補正を行った時のコマ収差図を図16(b)に示す。これらの各収差図から明らかなように、第4実施例では、広角端状態から望遠端状態までの各焦点距離状態において諸収差が良好に補正され、優れた光学性能を有することがわかる。
【符号の説明】
【0112】
ZL(ZL1〜ZL4) 変倍光学系
G1 第1レンズ群 G2 第2レンズ群 G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
1 デジタル一眼レフカメラ(光学機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、
正の屈折力を有する第1レンズ群と、
負の屈折力を有する第2レンズ群と、
正の屈折力を有する第3レンズ群と、
正の屈折力を有する第4レンズ群と、を有し、
前記第3レンズ群内の少なくとも一部のレンズは、光軸と直交方向の成分を持つように移動する可動レンズ群を構成し、
広角端状態から望遠端状態に変倍する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔、及び、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔は変化し、
前記第3レンズ群の最も物体側に位置するレンズ面の光線有効径をφ3とし、前記第1レンズ群の焦点距離をf1とし、前記第2レンズ群の焦点距離をf2とし、前記第3レンズ群の焦点距離をf3としたとき、次式
0.47 < φ3/f3 < 1.00
4.50 < f1/(−f2) < 8.50
の条件を満足する変倍光学系。
【請求項2】
広角端状態におけるバックフォーカスをBfwとしたとき、次式
0.50 < φ3/Bfw < 0.85
の条件を満足する請求項1に記載の変倍光学系。
【請求項3】
物体側から順に、
正の屈折力を有する第1レンズ群と、
負の屈折力を有する第2レンズ群と、
正の屈折力を有する第3レンズ群と、
正の屈折力を有する第4レンズ群と、を有し、
前記第3レンズ群内の少なくとも一部のレンズは、光軸と直交方向の成分を持つように移動する可動レンズ群を構成し、
広角端状態から望遠端状態に変倍する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔、及び、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔は変化し、
前記第3レンズ群の最も物体側に位置するレンズ面の光線有効径をφ3とし、前記第1レンズ群の焦点距離をf1とし、前記第2レンズ群の焦点距離をf2とし、広角端状態におけるバックフォーカスをBfwとしたとき、次式
0.50 < φ3/Bfw < 0.85
4.50 < f1/(−f2) < 8.50
の条件を満足する変倍光学系。
【請求項4】
前記第3レンズ群内に、接合レンズを有する請求項1〜3いずれか一項に記載の変倍光学系。
【請求項5】
前記第2レンズ群内に、非球面レンズを有する請求項1〜4いずれか一項に記載の変倍光学系。
【請求項6】
前記可動レンズ群の焦点距離をfvrとし、望遠端状態における全系の焦点距離をftとしたとき、次式
0.20 < |fvr|/ft < 0.70
の条件を満足する請求項1〜5いずれか一項に記載の変倍光学系。
【請求項7】
前記可動レンズ群は、接合レンズを有する請求項1〜6いずれか一項に記載の変倍光学系。
【請求項8】
前記可動レンズ群は、前記第3レンズ群の最も像側に配置されている請求項1〜7いずれか一項に記載の変倍光学系。
【請求項9】
前記第3レンズ群は、前記可動レンズ群の像側に少なくとも1枚のレンズを有する請求項1〜7いずれか一項に記載の変倍光学系。
【請求項10】
前記可動レンズ群は、負の屈折力を有する請求項1〜9いずれか一項に記載の変倍光学系。
【請求項11】
前記第3レンズ群の焦点距離をf3とし、前記第4レンズ群の焦点距離をf4としたとき、次式
1.00 < f4/f3 < 4.00
の条件を満足する請求項1〜10いずれか一項に記載の変倍光学系。
【請求項12】
前記第4レンズ群内に、非球面レンズを有する請求項1〜11いずれか一項に記載の変倍光学系。
【請求項13】
前記第4レンズ群内に、物体側から順に正レンズ、負レンズの順で接合された接合レンズを有する請求項1〜12いずれか一項に記載の変倍光学系。
【請求項14】
請求項1〜13いずれか一項に記載の変倍光学系を備えた光学機器。
【請求項15】
物体側から順に、
正の屈折力を有する第1レンズ群と、
負の屈折力を有する第2レンズ群と、
正の屈折力を有する第3レンズ群と、
正の屈折力を有する第4レンズ群と、を、
前記第3レンズ群内の少なくとも一部のレンズは、光軸と直交方向の成分を持つように移動する可動レンズ群を構成し、
広角端状態から望遠端状態に変倍する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔、及び、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔は変化し、
前記第3レンズ群の最も物体側に位置するレンズ面の光線有効径をφ3とし、前記第1レンズ群の焦点距離をf1とし、前記第2レンズ群の焦点距離をf2とし、前記第3レンズ群の焦点距離をf3としたとき、次式
0.47 < φ3/f3 < 1.00
4.50 < f1/(−f2) < 8.50
の条件を満足するように配置する変倍光学系の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2011−112832(P2011−112832A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268499(P2009−268499)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】