説明

変更された侵食速度を有するポリマー製体内プロテーゼ及び製法

2以上の異なる侵食速度を有する侵食性のプロテーゼを開示する。これらの異なる侵食速度は、選択的に開始することができる。本発明に係る実施形態では、侵食速度を開始するための薬剤として、例えば、増感剤、溶解抑制剤、光酸発生剤、生化学的活性添加剤、熱活性触媒、光活性触媒、電磁放射線活性触媒、水和活性触媒、pH活性触媒、低融点薬剤及び/又は酵素活性触媒を含むことができる。これら薬剤は、1つまたは複数の層内に分散することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、Williamsらにより2004年12月6日に出願された発明の名称「変更された侵食速度を有するポリマー製体内プロテーゼ及び製法」の米国特許仮出願第60/633494号、及びWilliamsらにより2005年11月15日に出願された発明の名称「変更された侵食速度を有するポリマー製体内プロテーゼ及び製法」の米国特許出願第11/274520号の優先日の利益に関するとともに、これを請求する。
【0002】
本発明は、一般に、医療機器及びその製造方法に関するとともに、改良された体内プロテーゼ及びその製造方法に関する。本明細書で開示する体内プロテーゼは、体内管腔の狭窄の治療に使用してもよく、他の心臓血管障害の治療、胃腸障害、眼疾患、脊柱の退化による疾病、骨又は筋肉の退化及び/又は損傷の治療において、管腔を塞ぐのに使用されるデバイスであってもよく、又は他の疾病の治療のために移植してもよい。更に詳細には、本明細書で開示する発明は、侵食性のポリマー製の体内プロテーゼを対象とし、例えば制御されかつ周期変化する侵食速度を提供することにより従来技術の欠点を解決する。
【背景技術】
【0003】
不変又は侵食性であろう植込み型医療機器は、冠動脈疾病、胆管、食道及び胃腸障害、尿管機能障害、眼病、脊柱の障害及び骨の退化及び損傷などの多くの病気の治療に大変革を起こした。そのような機器の多くは、低侵襲技術により移植でき、そのため患者にとり、入院期間と回復期間を短縮することができる。功を奏する治療は、関連する患者母集団のかなりの部分の継続的監視を要することもある。磁気共鳴画像法(MRI)は、多数の障害の検出、診断及び監視を向上させる診断上の技術水準として、目下注目されている。MRI画像の歪みを生じないポリマー製の体内プロテーゼは、MRIと非常に相性が良い。
【0004】
移植可能な医療機器に関する技術におけるたゆまぬ改良は、所定の障害を治療するために必要な機械的性質を備え、容易く追跡でき、容易く視覚化でき、かつ手軽に設置できるデバイスを製造することを目指している。更に、インサイチュー薬物送達、遺伝子療法及び他の療法は、移植される機械的デバイスと成功裏に組み合わせることができる。そのような多くのデバイスは、理想的には、所望の期間にわたって特別な機械的及び/又は化学的性質を示し、その他の期間では異なる複数の性質、多分、所望の性質を交互に示す。その際、そのようなデバイスは、完全に侵食されるか又は無期限に残存し、かつデバイスの残りの寿命では、所望の機械的性質を示すことができる。
【0005】
多くの障害を治療する植込み型デバイス、即ち体内プロテーゼの使用における進歩にもかかわらず、所望の速度で、並びに/又は侵食及び/若しくは薬物送達が相対的に制御されたサイクルで、侵食されるデバイスの需要が依然として存在する。
【発明の開示】
【0006】
第1侵食速度と第2侵食速度を有する侵食性のポリマー製の体内プロテーゼを開示する。第1侵食速度は第1期間に存在し、第2侵食速度は第2期間に存在するか、又は第1侵食速度と第2侵食速度は同時に生じる。本発明に係る体内プロテーゼは、更に別の異なる侵食速度を有してもよい。侵食性のポリマー製の体内プロテーゼは、第1期間の間、時間に対して変化し得る第1の機械的性質を有し、第2期間の間、時間に対して変化し得る第2の機械的性質を有する。体内プロテーゼは、治療物質を含むことができ、前記治療物質は、第1期間又は第2期間の間、速い又は遅い速度で体内プロテーゼから放出される
【0007】
本発明の一部の実施形態では、侵食を開始もしくは終了させるか又は異なる侵食速度を開始させる薬剤を含むことができる。薬剤は、増感剤、溶解抑制剤、光酸発生剤、生化学的活性添加剤、熱活性触媒、光活性触媒、電磁放射線活性触媒、水和活性触媒、pH活性触媒、低融点薬剤及び酵素活性触媒からなる群から選択することができる。
【0008】
本発明に係る体内プロテーゼは、更に、第1層と第2層又は多数の層を備えることができる。第1層は、第1侵食速度を有し、第2層は、第2侵食速度を有する。第1層は、ポリマー樹脂を含んでよい。相対的により遅い侵食速度を示す層は、保護基を有するポリマーを含んでよい。1つまたは複数の層は、更に、光酸発生剤、溶解抑制剤、低融点薬剤又は侵食速度の変化を開始する他の薬剤を含んでよい。
【0009】
侵食速度の変化は、体内プロテーゼに1つまたは複数の刺激を与えることにより、開始することができる。刺激は、温度変化、pH変化、光、電磁放射線、水和、1つまたは複数の生化学触媒、及び1つまたは複数の酵素からなる群から選択することができる。侵食速度の変化は、樹脂から保護基を除去することで発生させることもできる。
【0010】
1つまたは複数の異なる侵食速度を有する体内プロテーゼを製造する方法を開示する。この方法は、相対的に高い侵食速度を有するポリマー樹脂を用意するステップと、ポリマーと官能基とを反応させて、ポリマーの侵食速度を減じるステップと、ポリマーの侵食速度を選択的に増加又は減少させる薬剤をポリマーに埋め込むステップと、このポリマーから体内プロテーゼを作製するステップとを含む。
【0011】
薬剤は、増感剤、溶解抑制剤、光酸発生剤、生化学的活性添加剤、熱活性触媒、光活性触媒、電磁放射線活性触媒、水和活性触媒、pH活性触媒、低融点薬剤及び酵素活性触媒からなる群から選択することができる。
【0012】
この製造方法は、侵食速度の増加又は減少をもたらす1つまたは一連の反応を開始する触媒を導入するステップを更に含むことができる。この1つまたは一連の反応は、ポリマーの分子量の減少及び/又は官能基の脱保護を起こすこともできる。
【0013】
1つまたは複数の異なる侵食速度を有する体内プロテーゼの別の製造方法は、相対的に低い侵食速度を有するポリマーを用意するステップと、ポリマーの侵食速度を選択的に増加又は減少させる薬剤をポリマーに埋め込むステップと、このポリマーから体内プロテーゼを作製するステップとを含むことができる。この方法は、侵食速度の増加又は減少及び/又はポリマーの分子量の減少をもたらす1つまたは一連の反応を開始する触媒を導入するステップを更に含むことができる。
【0014】
1つまたは複数の異なる機械的性質を有する体内プロテーゼの製造方法は、相対的に低い侵食速度を有するポリマーを用意するステップと、ポリマーの侵食速度を選択的に増加又は減少させる薬剤をポリマーに埋め込むステップと、このポリマーから体内プロテーゼを作製するステップとを含む。前記いずれの製造方法も、治療物質を体内プロテーゼに組み込むステップを更に含むことができる。
【0015】
対象を治療する方法が開示されている。この方法は、1つまたは複数の異なる侵食速度を含む侵食性の体内プロテーゼを用意するステップと、体内プロテーゼを対象に移植するステップと、体内プロテーゼの侵食速度の増加又は減少を選択的に開始するステップとを含む。この増加又は減少した侵食速度は、相対的に設定された期間にわたって継続し、その後、相対的により遅い又はより速い侵食速度が続くか、又は、この増加又は減少した侵食速度は、体内プロテーゼが実質的に完全に侵食されるまで続くことができる。侵食速度を増加又は減少させる1つまたは一連の反応を開始する刺激を導入することができる。
【0016】
体内プロテーゼは、体内プロテーゼの侵食速度を選択的に増加又は減少させるための薬剤を含むことができ、この薬剤は、刺激の導入に応答することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施形態の中には、生体侵食性の材料を備えたものがあるが、本発明は、これに限定されるものではない。「侵食性」とは、所望の期間にわたって、その構造的完全性を保持するが、その後、材料の引張強度及び質量が実質的に失われるような多数の作用を徐々に受けるという材料の性質を指す。このような作用の例として、加水分解、酵素による分解及び酵素によらない分解、酸化、酵素により促進される酸化等があり、すなわち、生理的環境との相互作用に基づいて患者の細胞組織が吸収、代謝、呼吸及び/又は分泌することができる成分の、生体内吸収、溶解及び機械的分解も含まれる。ポリマー鎖は、加水分解により開裂され、クレブス回路を経て、体内から主として二酸化炭素として及び尿中により排出される。「侵食性」と「分解性」は、本明細書中では同意義で使用することを意図している。
【0018】
「埋め込まれた」薬剤とは、任意の好適な手段、例えば、これらに限定されないが、(ポリマー等の)材料を溶解して薬剤と材料とを結合させることや、材料をその融点近傍又はそれ以上に加熱して薬剤と材料とを結合させること、薬剤を材料の表面に付着させること等によって、材料の塊の上に及び/又は内に薬剤があることをいう。超臨界状態の溶剤を利用して薬剤を埋め込む方法の例は、ここに引用することで本明細書の一部をなすものとする米国特許出願第10/662757号及び米国特許出願第10/662621号に記載されている。
【0019】
「自己拡張型」の体内プロテーゼとは、このデバイスを縮小された形状の構造に保つための拘束物が、そのデバイス上に存在しなくなった場合に、縮小された形状の構造から大きな形状の構造に容易に戻る能力を有する体内プロテーゼをいう。
【0020】
「バルーン拡張型」とは、縮小された形状の構造と拡張された形状の構造とを有するデバイスにおいて、任意の好適な膨張媒体によって、拡張するバルーンの半径外方向の力を用いて、縮小された構造から拡張された構造へと変化することを指す。
【0021】
用語「バルーンアシスト」とは、自己拡張型のデバイスにおいて、そのデバイスの拡張の最後の展開を、拡張されたバルーンによって促進することを指す。
【0022】
用語「繊維」とは、天然又は合成の、ポリマー、金属又は金属合金などの好適な材料から作られる一般的に細長い部材を指す。
【0023】
成句「交差点」とは、繊維に関して使用される場合、1本又は2本以上の繊維の一部が交差、重複、巻きつけ、接線方向に通過、相互に貫通、又は相互に接近もしくは実際に接触する任意の点を指している
【0024】
本明細書中で使用されるように、体内にデバイスを配置する手術が終了した後、そのデバイスが、体内に留置され、短時間でも保持される場合に、デバイスは、「移植された」と呼ばれる。
【0025】
用語「拡散係数」は、基材から物質が、受動的又は能動的のいずれかで、溶出又は放出する速度を指す。
【0026】
本明細書で使用する用語「編組み(braid)」は、所望の全体的な幾何学的な形状及び寸法に応じて、1本から数百本の縦方向及び/又は横方向の細長い要素を、0°から180°の間の角度、通常は45°から105°の間の角度で、織る、組む、編む、螺旋状に巻く、又は撚り合せることによって製造される、編組み、メッシュ、又はこれらに類似する織物構造を指す。
【0027】
明記されない場合、適切な取付け手段として、熱溶融、化学結合、接着、焼結、溶接、又は当該技術分野における任意の公知手段が挙げられる。
【0028】
「形状記憶」とは、ある材料が、所定の物理的および/または化学的条件下において第1の形状を有しているが、この条件が変化した場合には別の形状に戻るという、構造的な相変態を受ける材料の能力を指す。形状記憶材料は、ニッケルチタンを含む金属合金、又はポリマーがよいが、これらに限定されない。もし、あるポリマーの成形された元の形状が形状回復温度(軟質セグメントの転移温度として定義される)よりも低い温度において機械的に壊れた場合であっても、そのポリマーの元の形状が、形状回復温度を超える温度に加熱することによって実質的に回復されるならば、又は記憶された形状が他の刺激を加えることによって回復可能であるならば、そのポリマーは、形状記憶ポリマーである。このような他の刺激として、pH、塩分、水和等が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0029】
ここで用いられる「セグメント」という用語は、形状記憶ポリマーの一部を形成するポリマーブロック又はポリマー配列を指す。硬質セグメントと軟質セグメントという用語は、それらのセグメントの転移温度に関する、相対的な用語である。一般的に、硬質セグメントは、例外もあるが、軟質セグメントよりも高いガラス転移温度を有している。天然のポリマーセグメント又はポリマーとして、タンパク質、例えば、カゼイン、ゼラチン、グルテン、ゼイン、変性ゼイン、血清アルブミン及びコラーゲン、並びに多糖類、例えば、アルギネート、キチン、セルロース、デキストラン、プルレン及びポリヒアルロン酸;ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)、特にポリ(βーヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシオクタノエート)、及びポリ(3−ヒドロキシ脂肪酸)、が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0030】
代表的な天然の侵食性ポリマーセグメント又はポリマーとして、多糖類、例えば、アルギネート、デキストラン、セルロース、コラーゲン及びそれらの化学的誘導体(置換、化学基(例えば、アルキル、アルキレン)の添加、水酸化、酸化、及び当業者によって通常なされる他の変性)、並びにタンパク質、例えば、アルブミン、ゼイン、並びにこれらのコポリマー及びブレンドが挙げられる。これらは、単独で用いられてもよいし、または合成ポリマーと組合せて用いられてもよい。
【0031】
適切な合成ポリマーブロックとして、ポリホスファゼン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリ(アミノ酸)、合成ポリ(アミノ酸)、ポリアンヒドリド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアルキレン、ポリアクリルアミド、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレート、ポリオルトエステル、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリハロゲン化ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリエステル、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタン及びこれらのコポリマーが挙げられる。
【0032】
適切なポリアクリレートの例として、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)及びポリ(オクタデシルアクリレート)が挙げられる。
【0033】
人工的に変性された天然ポリマーとして、セルロース誘導体、例えば、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、及びキトサンが挙げられる。適切なセルロース誘導体の例として、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、三酢酸セルロース及びセルロース硫酸ナトリウム塩が挙げられる。これらは、本明細書中では、「セルロース」と総称される。
【0034】
合成の分解性ポリマーセグメント又はポリマーの例として、ポリヒドロキシ酸、ポリラクチド、ポリグリコリド及びこれらのコポリマー、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ヒドロキシブチル酸)、ポリ(ヒドロキシバレリアン酸)、ポリ[ラクチド−co−(ε−カプロラクトン)]、ポリ[グリコリド−co−(ε−カプロラクトン)]、ポリカーボネート、ポリ−(ε−カプロラクトン)、ポリ(擬似アミノ酸)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、ポリアンヒドリド、ポリオルトエステル、並びにこれらのブレンド及びコポリマーが挙げられる。
【0035】
ポリマーまたはポリマーブロックの結晶化度は、3%から80%の間、多くの場合、3%から65%の間である。転移温度よりも低い温度におけるポリマーの引張弾性率(tensile modulus)は、典型的には、50MPaから2GPa(ギガパスカル)の間であり、転移温度よりも高い温度におけるポリマーの引張弾性率は、典型的には、1MPaから500MPaの間である。
【0036】
硬質セグメントの融点及びガラス転移温度(Tg)は、一般的に、軟質セグメントの転移温度よりも、少なくとも10℃、好ましくは20℃高い。硬質セグメントの転移温度は、好ましくは、−60℃から270℃の間、多くの場合、30℃から150℃の間にある。軟質セグメントに対する硬質セグメントの重量比率は、約5:95から95:5の間、多くの場合、20:80から80:20の間である。ポリマーは、少なくとも1つの物理的な架橋(硬質セグメントの物理的な相互作用)を有するか、又は硬質セグメントの代わりに共有架橋を有する。ポリマーは、相互貫通した又は半相互貫通した網状構造であってもよい。
【0037】
ポリマーの滑らかな表面が侵食されるにつれ、カルボキシル基が外面に露出される、急速に侵食され得るポリマー、例えば、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリアンヒドリド及びポリオルトエステル、を用いることもできる。さらに、化学変化を起こしやすい結合を含むポリマー、例えば、ポリアンヒドリドやポリエステル、は、加水分解反応性を有することで、よく知られている。これらの加水分解速度は、一般的に、ポリマーの骨格及びそれらの配列構造を単純に変化させることによって、変更することができる。
【0038】
適切な親水性ポリマーの例として、ポリ(エチレンオキシド)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(エチレングリコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、親水性ポリウレタン、HYPAN、配向性HYPAN、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メトキシル化ペクチンゲル、寒天、デンプン、加工デンプン、アルギネート、ヒドロキシエチル炭水化物、並びにこれらの混合物及びコポリマーが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0039】
ヒドロゲルは、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(酢酸ビニル)、並びにこれらのコポリマー及びブレンドから生成することができる。いくつかのポリマーセグメント、例えばアクリル酸、は、そのポリマーが水和され、ヒドロゲルが生成される時にのみゴム弾性を呈する。他のポリマーセグメント、例えばメタクリル酸、は結晶性であり、そのポリマーが水和されないときでも融解可能である。所望の用途及び使用の条件に応じて、いずれの種類のポリマーブロックも用いることができる。
【0040】
体内プロテーゼの作製におけるポリマー材料の使用は、可撓性、追従性(compliance)及び適合性を改良し、かつ侵食速度を制御して、多くの従来の体内プロテーゼによっては接近され得ない体内管腔における治療を可能とする利点をもたらす。
【0041】
本発明に係る体内プロテーゼの作製は、そのプロテーゼの異なる領域に異なる材料を用いることによって、選択された領域に対して、要望通りの異なる物理的性質を得ることができる。管腔内の湾曲の外径に対する長手方向の接続部材の伸びと、血管内の湾曲の内径への圧縮とを可能とする能力を考慮して選択された材料は、罹患した管腔を通るデバイスの追尾性を改良することができる。支持要素が半径方向に十分な強度を示すために、その支持要素用に、異なる材料が選択されてもよい。さらに、プロテーゼの残りの部分の追従性よりも大きい追従性を有する過渡的端部を備えることにより、体内プロテーゼと罹患した管腔との間の追従性の不整合を可能な限り小さくするような体内プロテーゼを、ポリマー材料を使用して容易に作製することができる。さらに、特に罹患すると、典型的には、不規則な形態、かつ多くの場合、柔軟性の無い形態を有する脈動血管に対し、良好な全体的な追従性を示すデバイスを作製するために、ポリマー材料を、均一に処理することもできる。これによって、例えば、血管系への損傷が可能な限り小さくなり、通常、血管の損傷から生じる再狭窄の発生率を低減する。
【0042】
ポリマーの追加の利点は、多様な技術を使用して、ポリマーの特性を制御及び変性できることである。本発明により、組み合わせられるポリマーの最適の割合、予見しうる侵食速度を示すように合成されたポリマーの最適の形状及び最適の加工が発見されて、ポリマーには一般に見出されない、極めて所望の特性が得られる。一般に、ポリマーの侵食は、公知の速度範囲で進行する。環境因子、例えばpH、温度、組織又は血液相互作用、及び他の因子、例えばデバイスの構造的デザインの全てが、侵食性ポリマーの分解速度に影響を及ぼす。デバイスの所望の動作特性に応じて、場合によっては、所望の侵食速度又は多様な侵食速度の所望サイクルを「プログラム」して、要求に応じたデバイスの侵食を開始させるか若しくは1組の所望の機械的性質を有するか、又は、ある期間、所望の方法で作用して、第2の期間に、別の1組の所望の機械的性質を有することが望ましいこともある。例えば、デバイスが、治療物質を特別の状況下で及び/又は特別の期間の間、送達することが望ましい。
【0043】
本発明により、ポリマーは、1つの段階の間、例えば、薬物送達段階の間、急速に侵食され、その後、ポリマーがより緩慢な速度で侵食される期間が続くように調整することができる。そのようなより緩慢な侵食期間の後、ポリマーが再び急速に侵食される第2薬物送達段階が続くこともある。同様に、ポリマーは、刺激、例えば温度の増加、放射線への露出及び/又は他のものの導入時に、必要に応じて侵食されるように調整することができる。本発明により、所望の段階のいくつもの組み合わせが可能である。
【0044】
ポリマーの侵食速度は、幾つかの技術の1つ以上により制御することができる。そのような技術の1例は、刺激への露出の際に分解する、触媒として作用する薬剤又は物質の組み込みを含む。そのような薬剤又は物質の例は、増感剤、溶解抑制剤、生化学的活性添加剤、熱、光、電磁放射線、酵素活性触媒又は前記の幾つかの組み合わせを含むが、これらに限定はされない。増感剤の例は、光酸発生剤(PAGs)、溶解抑制剤及び放射線増感剤を含むが、これらに限定はされない。生化学的活性添加剤の例は、脂質を含むが、これに限定はされない。更に、前記薬剤1つを含むポリマー層1つ以上は、そのような薬剤を含まないポリマー層と交互になっていて良く、あるいは、異なる速度で又は別の刺激の導入時に侵食されるように調整される。
【0045】
本発明のもう1つの態様により、表面処理及び/又は治療物質の組み込みは、二酸化炭素の流体、例えば液体状態又は超臨界状態の二酸化炭素を利用する多数の処理の中の1つ以上を利用して遂行することができる。超臨界流体は、その臨界温度および臨界圧(即ち「臨界点」)を越えている物質である。気体を圧縮すると、通常、相分離を生じ、分離した液相が現れる。しかし、全ての気体は、その温度よりも高い温度では圧力を増大させてもその気体を液化できない臨界温度と、臨界圧力、即ち、臨界温度においてその気体を液化するのに必要な圧力とを有している。例えば、超臨界状態にある二酸化炭素は、その液体状態と気体状態が互いに識別できない形態として存在する。二酸化炭素の場合、臨界温度は約31℃(88°D)であり、臨界圧力は約73気圧、即ち、約1070psiである。
【0046】
ここで用いられる「超臨界二酸化炭素」という用語は、約31℃よりも高い温度で、かつ約1070psiよりも高い圧力にある二酸化炭素を指す。液状の二酸化炭素は、約−15℃から約−55℃までの温度で、かつ約77psiから約335psiまでの圧力で得ることができる。1種以上の溶媒およびその混合物が、状況に応じて、二酸化炭素に含まれてもよい。例示的な溶媒として、限定はされないが、テトラフルオロイソプロパノール、クロロホルム、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、及び塩化メチレンが挙げられる。このような溶媒は、典型的には、約20重量%未満の量で含まれる。
【0047】
一般的に、二酸化炭素は、ポリマー材料のガラス転移温度を効果的に低下させ、医薬品をポリマー材料内に浸透させるのを容易にするために用いることができる。そのような医薬品として、限定はされないが、疎水性薬剤、親水性薬剤、及び粒状形態の薬剤が挙げられる。例えば、作製後に、体内プロテーゼと疎水性医薬品を超臨界二酸化炭素内に浸漬するとよい。超臨界二酸化炭素は、ポリマー材料を「可塑化」する。すなわち、超臨界二酸化炭素は、ポリマー材料を低温において軟化させ、その医薬品が変質および/または損傷する可能性の低い温度において、ポリマー製の体内プロテーゼまたはステントのポリマー被膜内にその医薬品を浸透させるのを容易にすることができる。
【0048】
他の例として、体内プロテーゼと親水性医薬品を水中に浸漬し、二酸化炭素の「ブランケット」で覆うようにすることもできる。親水性医薬品は水中の溶液内に入り、二酸化炭素が前述したようにポリマー材料を「可塑化」し、これによって、ポリマー製の体内プロテーゼ又はその体内プロテーゼのポリマー被膜内にその医薬品を浸透させるのを促進する。
【0049】
さらに他の例として、二酸化炭素は、「粘着力を高める」のに用いられてもよい。すなわち、二酸化炭素は、ポリマー製の体内プロテーゼ又は体内プロテーゼのポリマー被膜に、一層の流動性及び接着性を与え、医薬品を乾燥した微粉状態でそこに塗布するのを容易にするのに用いられてもよい。その際、医薬品を内部に拡散し得る能力の点から選択された薄膜形成ポリマーが、体内プロテーゼを覆って層状に形成されてもよい。適切な手段によって硬化させた後、所定の期間にわたって医薬品の拡散を可能にする薄膜が形成される。
【0050】
本発明により、体内プロテーゼを形成又は被覆する材料内に組み込まれる治療物質の目的として、動脈損傷部位における血小板の付着および凝集の低減、成長因子およびそれらの受容体の発現の阻止、即ち、成長因子の競合的アンタゴニストの発現、応答細胞における受容体シグナリングの妨害、平滑筋増殖に対する阻害物質の促進が挙げられる。抗血小板物質、抗凝血剤、抗腫瘍剤、アンチフィブリン、酵素及び酵素抑制剤、抗有糸分裂剤、代謝拮抗物質、抗炎症剤、抗トロンビン剤、抗増殖剤、抗生物質、抗脈管形成因子等が好適である。
【0051】
本発明の詳細は、本発明に係る具体的な実施形態についての以下の記述から一層良く理解することができる。図1に図示される例として、植込み型デバイスは、ヒドロキシル基の存在故に、水性媒体に非常に可溶であるポリマー樹脂を含んでよい(100)。溶解しにくいポリマーを合成するために、ヒドロキシル基と分子、例えばtert−ブトキシカルボニル(t−BOC基)、匹敵する官能基又はアルキルエステルとを反応させることにより、これらのヒドロキシル基を「ブロック」することができる。この形状のポリマー、従ってデバイスは、非常に緩慢に侵食されるであろう(200)。
【0052】
本発明によれば、必要に応じて、より急速に侵食されるポリマーをデザインするために、ポリマーは、追加的に、光酸発生剤(PAG)、例えばジニトロベンジルトシレートをその中に埋め込んで含んでよい(300)。光に露出されると、光酸発生剤は分解して、局所的に有機酸を生じる。有機酸は、ポリマーの分子量を低減させ、その結果として、ポリマーを更に分解しやすくし、そのことによりポリマーの分解率を増加させる一連の反応の触媒として作用することができる(400)。あるいは、PAGにより発生させた酸は、官能基、例えばt−BOC基、の脱保護を誘発することができ、そのため、親水性媒体中のポリマーの可溶性及び/又は膨潤性の度合いを著しく増加させよう(400)。
【0053】
本発明により製造されたポリマーを含むデバイスの配置後、デバイスは非常にゆっくりと侵食される。また本発明により、その時又は少し後に、臨床医学者が、デバイスの一部又は全部の分解を開始することができる。そのような必要に応じた分解は、例えば低侵襲的カテーテル法を介して、光を制御し、局所的にデバイスへ供給することにより開始することができる。露光により、PAGの分解が始まり、それにより前記の一連の事象が発動して、ポリマーを侵食する。あるいは、更に、一連の反応を開始するために、カテーテルにより、酵素溶液が送達され、ポリマー及びデバイスの増加された分解速度又は減少された分解速度をもたらす。
【0054】
図1の例に替わるものは、溶解抑制剤、例えばジアゾナフタキノン、を含む、ポリマー製の植込み型デバイスである。そのような溶解抑制剤は、前記例と同様に、ポリマーの溶解度を著しく減じる保護基を含むように合成できる。官能基の脱保護を誘発できる光又は他の刺激への露出時に、溶解抑制剤は、ポリマーの溶解の速度を著しく増加させる。前記例と同様に、臨床医学者は、デバイスの侵食速度の増加又は減少を開始するために、局所的に光又は酵素溶液を送達することができる。そのようなポリマー製デバイスは、更に治療薬を含むことができ、これは、その結果として、デバイスの分解時に、ポリマーから放出される。侵食のメカニズム及び/又は触媒にかかわりなく、デバイス全体を除去できるか又は単にデバイスの第1層が侵食され、実質的に完全に侵食される最外層の下の非侵食性又は緩慢侵食性材料を露呈することができる。
【0055】
次に図2を見ると、ポリマー分解を開始する技術の追加例が説明される。ポリマー分解は、熱的に開始することができる。例えば、t−BOCブロックポリマーは、酸分解を受け、酸(前に記載のもの)と熱の存在下に、可溶性ヒドロキシル基を生じる。更に、潜在触媒を含むように、ポリマーを合成することができ、この触媒は、熱に曝されると、デバイスの分解を大いに増加させる。その上更に、熱は、例えば、融解転移のような相変化又は形態変化を開始させ、デバイスの分解を誘発することができる。
【0056】
例えば、図2に示されるように、デバイスは、ポリマー全体に埋め込まれた、低融点塩又はワックスを含んでよく、これらは、熱処理時に液化し、かつ迅速に洗浄/溶解除去される。低融点薬剤のデバイス露出面からの除去は、ポリマーの露出面を増やし、そのことによりポリマー分解速度の増加又は減少を促進する。熱の安全で効率の良い局所的供給は、低侵襲技術、例えば、CTスキャン又はMRIに基づく「リアルタイム」コントロール、により達成できる。例えば、週、月又は年の、所望の時間間隔により区分された、熱供給の繰り返されるサイクルは、ポリマー及びデバイス侵食速度の制御されたサイクルを生じる。前記とは別の方法で、又は前記と組み合わせて、所望の薬剤1つ以上をポリマーの交互に重なる層内に色々に分散させることができる。そのような形態により、例えば、最初の治療薬を迅速に送達した後、これの徐放が続くか、又は第2の治療薬、もしくはその幾つかの組み合わせ物の徐放が続くようにできる。図1の例と同様に、前記デバイスは、全体的に侵食されるようにデザインできるか、又は、異なる速度でもしくは別の触媒への露出時に、侵食されるようにデザインされたポリマーの後続層を露呈するようにデザインできる。
【0057】
図3は、多様な侵食速度を含むポリマー層の組み合わせの例を示す。他の組み合わせが望ましいこともある。図3に示されたデバイスの例は、最外層「層1」を含むポリマーを含む(100)。層1は、治療薬を有し、相対的に急速に侵食されるポリマー樹脂を含む。層1は、急速に侵食されると同時に、治療薬を送達し、最終的に「層2」を露出する。
【0058】
層2は、PAGが埋め込まれたより緩慢に侵食されるポリマーを含む(200)。層2は、ある期間、相対的に緩慢に侵食される。特別の環境下で、より急速な侵食速度が望ましい場合に、臨床医学者は、酵素溶液を局所的に供給でき、これは、一連の反応を介し、かつ幾つかのメカニズムにより、層2の増加された侵食速度を開始する(300)。層2は、その後、侵食されて、「層3」を露出する。
【0059】
層3は、長鎖保護基、治療薬及び溶解抑制剤を含むポリマーを含む(400)。触媒がない場合、層3は、相対的に緩慢な速度で侵食される。侵食速度を増加させたい場合、臨床医学者は、前記のようにして、光を局所的に供給することができる。光は、溶解抑制剤を「変換」させて、ポリマーの溶解を促進し、それにより、ポリマーの侵食速度及び治療薬の送達を増加させる
【0060】
1つまたは複数の層が、脂質を交互に含むことができ、この脂質は、血液中に見い出される酵素であるリパーゼの存在下に分解する。ポリマー内に分散する脂質の侵食は、分解性ポリマーの露出表面を増加させ、そうして、侵食速度を増加させる。
【0061】
更に他の方法として、1つまたは複数の層が、放射線増感剤、例えばO2末端基、を含んでよい。放射線増感剤は、局所的に供給される放射線に曝されると分解して、増加された侵食速度を開始する。放射線は、技術上公知の低侵襲技術を使用して、安全に供給することができる。
【0062】
前記の層の別の組み合わせが、好適なこともある。更に、他の材料、薬剤並びに潜在的及び活性触媒の両方を、本発明による前記のものの代わりに用いることもできる。更に、前記技術は、体内管腔の狭窄の治療に使用するデバイス、他の心臓血管障害の治療、胃腸障害の治療、眼疾患、脊柱の退化による疾病、骨又は筋肉の退化及び/又は損傷の治療において、管腔を塞ぐのに使用されるデバイス又は他の疾患の治療のために移植できるデバイスを含むが、限定はされない任意のインプラントに組み込むことができる。
【0063】
本発明の特定の形態について、上に示しかつ記載したが、前記の記載は例示にすぎず、当業者にとって、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、種々の変更ができることは明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る第1の実施形態を説明するフローチャートである。
【図2】本発明に係る別の実施形態を説明する第2のフローチャートである。
【図3】本発明に係る更に別の実施形態を説明する第3のフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1侵食速度と第2侵食速度を有する侵食性のポリマー製の体内プロテーゼ。
【請求項2】
前記体内プロテーゼが、第1期間の間、前記第1侵食速度を有し、第2期間の間、前記第2侵食速度を有する請求項1に記載の体内プロテーゼ。
【請求項3】
前記体内プロテーゼが、治療物質を含み、この治療物質が、前記第1期間又は前記第2期間の間、速い又は遅い速度で前記体内プロテーゼから放出される請求項2に記載の体内プロテーゼ。
【請求項4】
前記第1侵食速度又は前記第2侵食速度を開始する薬剤を更に含む請求項1に記載の体内プロテーゼ。
【請求項5】
前記薬剤が、増感剤、溶解抑制剤、光酸発生剤、生化学的活性添加剤、熱活性触媒、光活性触媒、電磁放射線活性触媒、水和活性触媒、pH活性触媒、低融点薬剤及び酵素活性触媒からなる群から選択される請求項4に記載の体内プロテーゼ。
【請求項6】
第1期間の間に、第1の機械的性質を有し、第2期間の間に、第2の機械的性質を有する侵食性のポリマー製の体内プロテーゼ。
【請求項7】
前記体内プロテーゼが第1層と第2層を更に備えており、前記第1層が第1侵食速度を有し、前記第2層が第2侵食速度を有する請求項1に記載の体内プロテーゼ。
【請求項8】
前記第1層がポリマー樹脂を含む請求項7に記載の体内プロテーゼ。
【請求項9】
前記第2層が、保護基を有するポリマーを含む請求項7に記載の体内プロテーゼ。
【請求項10】
前記第2層が光酸発生剤を更に含む請求項9に記載の体内プロテーゼ。
【請求項11】
前記第2層が溶解抑制剤を更に含む請求項9に記載の体内プロテーゼ。
【請求項12】
前記第2層は低融点薬剤を更に含む請求項9に記載の体内プロテーゼ。
【請求項13】
前記第2侵食速度が、前記体内プロテーゼに1つ又は複数の刺激を与えることにより、選択的に開始される請求項1に記載の体内プロテーゼ。
【請求項14】
前記刺激が、温度変化、pH変化、光、電磁放射線、水和、1つまたは複数の生化学触媒、及び1つまたは複数の酵素からなる群から選択される請求項13に記載の体内プロテーゼ。
【請求項15】
前記体内プロテーゼが、保護基を有するポリマーを含んでおり、1つまたは一連の反応により、前記保護基が除去されて、前記第2侵食速度が開始される請求項1に記載の体内プロテーゼ。
【請求項16】
1つまたは複数の異なる侵食速度を有する体内プロテーゼを製造する方法であって、
相対的に高い侵食速度を有するポリマー樹脂を用意するステップと、
前記ポリマーと官能基とを反応させて、前記ポリマーの侵食速度を減じるステップと、
前記ポリマーの侵食速度を選択的に増加又は減少させる薬剤を、前記ポリマーに埋め込むステップと、
前記ポリマーから体内プロテーゼを作製するステップと
を含む方法。
【請求項17】
前記薬剤が、増感剤、溶解抑制剤、光酸発生剤、生化学的活性添加剤、熱活性触媒、光活性触媒、電磁放射線活性触媒、水和活性触媒、pH活性触媒、低融点薬剤及び酵素活性触媒からなる群から選択される請求項16に記載の方法。
【請求項18】
侵食速度を増加又は減少させる1つまたは一連の反応を開始する触媒を、選択的に導入するステップを更に含む請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記1つまたは一連の反応が、前記ポリマーの分子量を減じる請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記1つまたは一連の反応が、前記官能基の脱保護をもたらす請求項18に記載の方法。
【請求項21】
1つまたは複数の異なる侵食速度を有する体内プロテーゼを製造する方法であって、
相対的に低い侵食速度を有するポリマーを用意するステップと、
前記ポリマーの侵食速度を選択的に増加又は減少させる薬剤を、前記ポリマーに埋め込むステップと、
前記ポリマーから体内プロテーゼを作製するステップと
を含む方法。
【請求項22】
前記薬剤が、増感剤、溶解抑制剤、光酸発生剤、生化学的活性添加剤、熱活性触媒、光活性触媒、電磁放射線活性触媒、水和活性触媒、pH活性触媒、低融点薬剤及び酵素活性触媒からなる群から選択される請求項21に記載の方法。
【請求項23】
侵食速度を増加又は減少させる1つまたは一連の反応を開始する触媒を、選択的に導入するステップを更に含む請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記1つまたは一連の反応が、前記ポリマーの分子量を減じる請求項23に記載の方法。
【請求項25】
1つまたは複数の異なる機械的性質を有する体内プロテーゼを製造する方法であって、
相対的に低い侵食速度を有するポリマーを用意するステップと、
前記ポリマーの侵食速度を選択的に増加又は減少させる薬剤を、前記ポリマーに埋め込むステップと、
前記ポリマーから体内プロテーゼを作製するステップと
を含む方法。
【請求項26】
前記薬剤が、増感剤、溶解抑制剤、光酸発生剤、生化学的活性添加剤、熱活性触媒、光活性触媒、電磁放射線活性触媒、水和活性触媒、pH活性触媒、低融点薬剤及び酵素活性触媒からなる群から選択される請求項25に記載の方法。
【請求項27】
侵食速度を増加又は減少させる1つまたは一連の反応を開始する触媒を、選択的に導入するステップを更に含む請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記1つまたは一連の反応が、前記ポリマーの分子量を減じる請求項27に記載の方法。
【請求項29】
対象を治療する方法であって、
1つまたは複数の異なる侵食速度を有する侵食性の体内プロテーゼを用意するステップと、
前記体内プロテーゼを対象に移植するステップと、
前記体内プロテーゼの侵食速度の増加又は減少を選択的に開始するステップと
を含む方法。
【請求項30】
前記増加又は減少された侵食速度を、相対的に設定された期間にわたり継続する請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記増加又は減少された侵食速度の後に、相対的により緩慢又はより急速な侵食速度が続く請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記体内プロテーゼは、実質的に完全に侵食される請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記体内プロテーゼの侵食速度の増加又は減少を選択的に開始するステップが、侵食速度を増加又は減少させる1つまたは一連の反応を開始するために、刺激を導入することを含む請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記体内プロテーゼが、前記体内プロテーゼの侵食速度を選択的に増加又は減少させる薬剤を含む請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記体内プロテーゼの侵食速度を選択的に増加又は減少させるステップは、前記侵食速度を選択的に増加又は減少させる薬剤が応答する刺激を導入することを含む請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記薬剤が、増感剤、溶解抑制剤、光酸発生剤、生化学的活性添加剤、熱活性触媒、光活性触媒、電磁放射線活性触媒、水和活性触媒、pH活性触媒、低融点薬剤及び酵素活性触媒からなる群から選択される請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記刺激が、温度変化、pH変化、光、電磁放射線、水和、1つまたは複数の生化学触媒、及び1つまたは複数の酵素からなる群から選択される請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記刺激が、温度変化、pH変化、光、電磁放射線、水和、1つまたは複数の生化学触媒、及び1つまたは複数の酵素からなる群から選択される請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記体内プロテーゼが、前記第1の機械的性質を前記第2の機械的性質に変える1つまたは一連の反応を開始する薬剤を含む請求項6に記載の体内プロテーゼ。
【請求項40】
前記薬剤が、増感剤、溶解抑制剤、光酸発生剤、生化学的活性添加剤、熱活性触媒、光活性触媒、電磁放射線活性触媒、水和活性触媒、pH活性触媒、低融点薬剤及び酵素活性触媒からなる群から選択される請求項39に記載の体内プロテーゼ。
【請求項41】
前記薬剤が刺激に応答するものである請求項39に記載の体内プロテーゼ。
【請求項42】
前記刺激が、温度変化、pH変化、光、電磁放射線、水和、1つまたは複数の生化学触媒、及び1つまたは複数の酵素からなる群から選択される請求項41に記載の体内プロテーゼ。
【請求項43】
前記体内プロテーゼへ治療物質を組み込むステップを更に含む請求項16に記載の方法。
【請求項44】
前記体内プロテーゼへ治療物質を組み込むステップを更に含む請求項21に記載の方法。
【請求項45】
前記体内プロテーゼへ治療物質を組み込むステップを更に含む請求項25に記載の方法。
【請求項46】
前記体内プロテーゼが治療物質を更に含む請求項29に記載の方法。
【請求項47】
前記第1の速度と前記第2の速度が同時に起こる請求項1に記載の体内プロテーゼ。
【請求項48】
前記体内プロテーゼが、侵食を終了させる薬剤を更に含む請求項1に記載の体内プロテーゼ。
【請求項49】
前記体内プロテーゼが、体内管腔の狭窄、血管疾患、血管障害、心律動障害、胃腸障害、眼疾患、視覚障害、脊柱の疾病、脊柱の障害、骨退化、骨の損傷、筋肉退化、筋肉の損傷、肥満閉塞、尿失禁の治療に使用するのに適するか又は体内管腔を閉塞するのに適する請求項1に記載の体内プロテーゼ。
【請求項50】
前記体内プロテーゼが、体内管腔の狭窄、血管疾患、血管障害、心律動障害、胃腸障害、眼疾患、視覚障害、脊柱の疾病、脊柱の障害、骨退化、骨の損傷、筋肉退化、筋肉の損傷、肥満閉塞、尿失禁の治療に使用するのに適するか又は体内管腔を閉塞するのに適する請求項6に記載の体内プロテーゼ。
【請求項51】
前記体内プロテーゼが、体内管腔の狭窄、血管疾患、血管障害、心律動障害、胃腸障害、眼疾患、視覚障害、脊柱の疾病、脊柱の障害、骨退化、骨の損傷、筋肉退化、筋肉の損傷、肥満閉塞、尿失禁の治療に使用するのに適するか又は体内管腔を閉塞するのに適する請求項15に記載の方法。
【請求項52】
前記体内プロテーゼが、体内管腔の狭窄、血管疾患、血管障害、心律動障害、胃腸障害、眼疾患、視覚障害、脊柱の疾病、脊柱の障害、骨退化、骨の損傷、筋肉退化、筋肉の損傷、肥満閉塞、尿失禁の治療に使用するのに適するか又は体内管腔を閉塞するのに適する請求項15に記載の方法。
【請求項53】
前記体内プロテーゼが、体内管腔の狭窄、血管疾患、血管障害、心律動障害、胃腸障害、眼疾患、視覚障害、脊柱の疾病、脊柱の障害、骨退化、骨の損傷、筋肉退化、筋肉の損傷、肥満閉塞、尿失禁の治療に使用するのに適するか又は体内管腔を閉塞するのに適する請求項21に記載の方法。
【請求項54】
前記体内プロテーゼが、体内管腔の狭窄、血管疾患、血管障害、心律動障害、胃腸障害、眼疾患、視覚障害、脊柱の疾病、脊柱の障害、骨退化、骨の損傷、筋肉退化、筋肉の損傷、肥満閉塞、尿失禁の治療に使用するのに適するか又は体内管腔を閉塞するのに適する請求項25に記載の方法。
【請求項55】
前記体内プロテーゼが、体内管腔の狭窄、血管疾患、血管障害、心律動障害、胃腸障害、眼疾患、視覚障害、脊柱の疾病、脊柱の障害、骨退化、骨の損傷、筋肉退化、筋肉の損傷、肥満閉塞、尿失禁の治療に使用するのに適するか又は体内管腔を閉塞するのに適する請求項29に記載の方法。
【請求項56】
複数の直線部分が交互に並ぶ複数の頂部を有する体内プロテーゼ要素を備えた請求項1に記載の体内プロテーゼ。
【請求項57】
1つ又は複数の接続部材を更に備えた請求項56に記載の体内プロテーゼ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−522732(P2008−522732A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545533(P2007−545533)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/043800
【国際公開番号】WO2006/062859
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(505175744)サインコア,リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (15)
【Fターム(参考)】