説明

外観品位に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼およびその製造方法

【課題】 本発明は、外観品位に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼を提供する。
【解決手段】 質量%で、C;0.01%以下、Si;0.2%以下、Mn;2%以下、P;0.02〜0.2%、S;0.03%以下、Al;0.005〜0.1%、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼の表面に、Znを85%以上含む鉄−亜鉛合金被覆を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼において、その地鉄表面から深さ方向40μm以内の地鉄表層部が、500μm×500μmの観察視野において、粒径40μm以上のフェライト粒が面積率で10%以下であることを特徴とする外観品位に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外観品位に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼およびその製造方法に関するものである。より詳しくは、主として、高強度鋼板を基材とした合金化溶融亜鉛めっき鋼において、そのめっき後の外観が従来の合金化溶融亜鉛めっき鋼板よりも均一美麗で、また、塗装後の外観にも優れ、自動車用等に用いることができる、外観品位に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
合金化溶融亜鉛めっき鋼は、溶接性や塗装性、塗装後耐食性などに優れることから、自動車、家電製品、建材等に多用されている。この合金化溶融亜鉛めっき鋼は、鋼を溶融亜鉛めっきした後、加熱処理し、鋼中のFeとめっき中のZnを拡散させ、合金化反応を生じさせることで鋼材表面に鉄−亜鉛合金層を形成させたものである。この合金化反応は、鋼の結晶粒界から優先的に生じると言われるが、粒界に偏析しやすい元素が多く含まれる場合、局所的にFe、Znの拡散が阻害されるため合金化反応が不均一となり、外観にむらが発生する。このむらは、機械的性質や溶接性などに影響を与えるものではないが、外観不良として拒絶する消費者が多い。特に、近年、鋼の高強度化が進みPを多く含む鋼においてはむらが発生し易く、問題となっている。この原因は、Pが鋼加熱時に鋼材表面、粒界に不均一に濃化して、めっき合金化時におけるFeとZnの拡散を阻害し、局所的なFeとZnの合金化反応の速度差をもたらすことで、めっき厚み差が生じさせるからと考えられる。
【0003】
このため、外観品位に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼が種々検討されている。例えば、(特許文献1)では、焼鈍した鋼板をめっきする前にFe、Ni、Co、Cuなどの金属被覆層を形成する方法が開示されている。しかし、この方法では設備の増加を伴うためにコスト増、工程増となり、実用化は容易ではない。(特許文献2)では、めっき浴中のAl濃度を鋼中のPとTiの濃度によって規定する方法が開示されている。しかし、鋼中のPやTiの濃度は鋼種によって異なるため、鋼種に応じて浴中のAl濃度を制御することは困難であり、実現性は極めて低い。(特許文献3)では、冷延焼鈍後の鋼板表面のX線回折からの{200}面と{222}面からの回折X線強度比、I(200)/I(222)を0.17未満とする鋼が開示されているが、結晶方位を制御するのは容易でなく、また、対象としている鋼材のP含有率が0.025%以下であるため、近年のPを多く含む高強度鋼板には適用できない。(特許文献4)では、鋼中にCuを含ませる方法が開示されているが、材質への影響が懸念され、汎用的な方法ではない。(特許文献5)では、熱延鋼板の表層組織を15μm以下のフェライト粒が70面積%以下となるように制御することで、その後、冷間圧延、合金化溶融亜鉛めっきをした際に、外観不良のない均一美麗なめっきを実現できるとある。しかしながら、本手法は熱延鋼板の組織を規定したもので、冷間圧延や焼鈍、合金化溶融亜鉛めっき条件によっては、外観が不均一となる。
【0004】
【特許文献1】特開平6−88187号公報
【特許文献2】特開平5−132784号公報
【特許文献3】特開平10−18011号公報
【特許文献4】特開平6−17216号公報
【特許文献5】特開2001−316763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように、外観品位に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼として種々提案されているが、設備導入、工程増などの問題があるため実現が困難で、またPを多量に含むような高強度鋼に適用できるものでもない。そこで本発明は、このような設備増や工程増といった問題を解決し、Pを多量に含む鋼であっても、外観品位に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼、およびその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明者らは、Pを0.02%〜0.2%含む鋼を基材とした合金化溶融亜鉛めっき鋼で、外観にむらが発生した鋼、外観にむらが発生しなかった鋼について、基材である地鉄の結晶組織を詳細に調べた。その結果、外観にむらが発生した鋼の地鉄表面は、粗大なフェライト粒が多く存在する一方、外観にむらが発生しなかった鋼の地鉄表面は、約40μm以下のフェライト粒が大部分を占め、均一な組織であることが分かった。つまり、焼鈍後の鋼表面のフェライト粒径を制御することで外観をコンロトールできることを見出した。
【0007】
本発明の要旨は、以下のとおりである。
【0008】
(1) 質量%で、C;0.01%以下、Si;0.2%以下、Mn;2%以下、P;0.02〜0.2%、S;0.03%以下、Al;0.005〜0.1%、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼の表面に、Znを85%以上含む鉄−亜鉛合金被覆を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼において、その地鉄表面から深さ方向40μm以内の地鉄表層部が、500μm×500μmの観察視野において、粒径40μm以上のフェライト粒が面積率で10%以下であることを特徴とする外観品位に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼。
【0009】
(2) 前記の鋼が、さらに質量%で、Ti;0.001〜0.05%、Nb;0.001〜0.05%の1種または2種を含むことを特徴とする(1)に記載の外観品位に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼。
【0010】
(3) 前記、鉄−亜鉛合金被覆の付着量の偏差が±7g/m2以下であることを特徴とする、(1)または(2)に記載の外観品位に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼。
【0011】
(4) (1)または(2)に記載の成分からなる低炭素鋼スラブを熱間圧延した後、酸洗し、さらに冷間圧延、焼鈍、溶融亜鉛めっき、加熱合金化処理を施して、合金化溶融亜鉛めっき鋼とする合金化溶融亜鉛めっき鋼の製造方法において、熱間圧延後のコイルの巻取温度を790℃超とし、さらにその後、巻き取ったコイルの最外層部の表面温度が300℃以下となるまで0.8℃/分以下の速度で冷却することを特徴とする外観品位に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼、また本発明の製造法を経た合金化溶融亜鉛めっき鋼は、外観品位に優れ、また、摺動性、密着性にも優れる。このため、自動車や家電製品、建材等に用いることができ、産業上の価値は極めて大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
まず、本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼の鋼成分の限定理由について説明する。
【0015】
P;0.02%以上0.2%以下
Pは鋼の強度増加を目的に鋼中に添加される。Pは鋼加熱時に結晶粒界に濃化し易いため、その濃化度にむらがあると、めっきの合金化速度差を生じ、外観不良となる。Pが0.02%以下であれば、通常の合金化溶融亜鉛めっき鋼の製造方法においては、その濃化度のむらは小さく、合金化速度差も生じにくいため、そもそも外観不良と成り難い。一方、Pを過剰に添加すると脆化し易くなる。このため、本発明におけるPは、質量%で、を0.02%以上0.2%以下とする。
【0016】
C;0.01%以下
Cは鋼の強化に必要な元素である。しかし、C量が0.01%を超えると脆化しやすくなるため、C量は0.01%以下とする。
【0017】
Si;0.2%以下
Siは鋼の強化、脱酸の効果を有する元素である。しかし、過剰に添加すると脆化しやすくなる。また、溶融亜鉛めっき時にめっきの濡れ性を阻害し、まためっき密着性も劣化させる。このため、Siは0.2%以下とする。
【0018】
Mn;2%以下
Mnも鋼の強化、脱酸の効果を有する元素である。しかし、過剰に添加すると脆化しやすくなる。また、溶融亜鉛めっき時にめっきの濡れ性を阻害し、まためっき密着性も劣化させる。このため、Mnは2%以下とする。
【0019】
S;0.03%以下
Sは不純物であり、加工性や熱間脆性を劣化させるため少ないほうが望ましい。このためSは0.03%以下とする。
【0020】
Al;0.005〜0.1%
Alは脱酸の効果がある。また、鋼中のNとの親和力が強く、固溶しているNを析出物として固定し加工性を向上させる効果がある。しかし、多すぎると逆に加工性を劣化させる。このためAlは0.005〜0.1%とする。
【0021】
Ti;0.001〜0.05%
TiはC、Nを固定し、鋼の加工性を向上させる効果がある。しかし、多すぎると逆に加工性を劣化させる。このため、Tiは0.001〜0.05%とする。
【0022】
Nb;0.001〜0.05%
NbはCを固定し、鋼の加工性を向上させる効果がある。しかし、多すぎると逆に加工性を劣化させる。このため、Nbは0.001〜0.05%とする。
【0023】
次に鉄−亜鉛合金被覆について説明する。鉄−亜鉛合金被覆中のZn含有率は85%以上とする。85%未満であれば、塗装性と溶接性に劣る。また、鉄−亜鉛合金被覆の付着量の偏差は±7g/m2以下であることが望ましい。標準偏差が±7g/m2を超える場合、外観上のむら(濃淡)が助長されて、外観不良となりやすい。付着量の偏差は、めっき後に、めっき付着量を制御するワイピングの吹きつけガスが板幅、および板の長手方向に均一に当たるようにすればよい。
【0024】
この鉄−亜鉛合金被覆の付着量は特に規定するものではないが、耐食性および加工性の観点から、20〜100g/m2であることが望ましい。
【0025】
次に、地鉄組織について説明する。本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼の地鉄表層の組織は、500μm×500μmの観察視野において、粒径40μm以上のフェライト粒が10%以下とする。40μm以上のフェライト粒が10%を超えて存在する場合、めっき後の合金化加熱時に合金化速度に局所的な遅れを生じ、外観不良をもたらす。また、極めて微細なフェライト粒が存在する場合は、その周囲の結晶との粒界面積の差異によって合金化速度差が大きくなり、外観不良を生じ易くなる。このため、10μm以下の結晶粒を10%以下とすることが好ましい。なお、ここで言う地鉄表層とは、地鉄表面から深さ40μm以内の場所と定義する。
【0026】
本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼は、低炭素鋼スラブを熱間圧延した後、酸洗し、さらに冷間圧延、焼鈍、溶融亜鉛めっき、加熱合金化処理を施して、製造する。スラブ加熱条件や熱間圧延条件は、特に規定するものでなく、一般的な鋼を製造する条件であればなんら問題ないが、熱間圧延後の鋼板のコイル状への巻取に際しては、巻取温度を790℃超とし、さらに、コイル中心部かつ板幅中央部の板温が300℃以下となるまで0.8℃/分以下の速度で冷却する必要がある。この条件で巻き取ることで、その後の冷間圧延、焼鈍条件との組み合わせで、本発明の外観美麗な合金化溶融亜鉛めっき鋼を実現できる。巻取温度が790℃に満たない場合、焼鈍後のフェライト粒径が不均一で40μm以上の粗大粒となり、溶融亜鉛めっき、加熱合金化処理後の外観品位に劣る。一方、巻取温度が高すぎるとスケールが厚く成長しその後の酸洗工程に負荷がかかる。このため巻取温度の上限は820℃とすることが望ましい。
【0027】
また、巻取温度が790℃超であっても、その後、コイル中心部かつ板幅中央部の板温が300℃以下となるまで0.8℃/分以下で冷却する条件を満たさない場合、焼鈍後のフェライト粒径が不均一で40μm以上の粗大粒となり、溶融亜鉛めっき、加熱合金化処理後の外観品位が不良となる。但し、冷却速度が極めて小さい場合、生産性を低下させる要因となる。好ましい冷却速度は0.5℃/分以上0.8℃/分以下である。
【0028】
熱間圧延後は酸洗し、熱間圧延時に生成したスケールを除去する。酸洗条件は、従来から行われている方法で実施すればよく、例えば、50℃以上の塩酸中に鋼を浸漬する。酸洗後は冷間圧延するが、その圧下率は80%以上とすることが好ましい。80%未満では焼鈍後のフェライト粒径が40μm以上になり易い。冷間圧延後には800℃以上で120秒以上焼鈍することが好ましい。800℃以上、かつ、120秒以上を満たさない場合、再結晶が不完全で粒径が不均一となる場合がある。焼鈍後は、溶融亜鉛めっき、加熱合金化処理を行う。亜鉛めっき浴の温度は445℃〜500℃、加熱合金化温度は480〜540℃とすることが望ましい。
【実施例1】
【0029】
表1に示す組成の鋼を転炉で溶製し、連続鋳造してスラブとした。そのスラブを1200℃で1時間加熱後、熱間圧延して板厚5mmの熱延鋼板とした。熱延時の仕上げ温度は900℃以上、巻取温度は700℃、または800℃とし、0.4℃/分、または0.8℃/分、または1.2℃/分の速度で300℃まで冷却した後、水冷した。得られた熱延鋼板を10%塩酸中で酸洗した後、冷間圧延して板厚1mmの冷延鋼板とした。その冷延鋼板を、連続溶融めっき設備を用い、均熱温度820℃、均熱時間120秒で焼鈍し、冷却速度20℃/秒で465℃まで冷却した後、浴温460℃のZn−0.13%Alめっき浴に3秒間浸漬し、ワイピングで付着量が45g/m2となるように調整し、その後、鋼種に応じて温度520℃で加熱合金化処理し、合金化溶融亜鉛めっき鋼を製造した。
作製した合金化溶融亜鉛めっき鋼は下記の評価をした。
【0030】
(1)外観
目視観察し、外観むらの程度に応じてグレード1から6まで、0.5刻みで11段階に分類した。3.5以上が合格である。
【0031】
(2)地鉄フェライト粒径観察
10%塩酸でめっきを溶解し、SEMで地鉄表層を観察し、500×500μm視野における粒径40μm以上、および粒径10μm以下のフェライト粒の数とその粒径を測定した。用いたSEMは、日立製S−2460Nである。
【0032】
(3)鉄−亜鉛合金被覆層の付着量
鉄−亜鉛合金被覆の付着量を求め、その偏差および組成を測定した。測定は、板幅方向、長手方向の任意の位置から数箇所選び、10%塩酸で鉄−亜鉛合金被覆を溶解し、ICPで分析した。
【0033】
【表1】

【0034】
各評価結果を表2に示す。
【0035】
【表2】

【0036】
No.1から3は鋼Aの巻取り温度と巻取り後の冷却速度を変えた場合である。巻取り温度と巻取り後の冷却速度が本発明の範囲外の場合(No.1)、地鉄表層における粒径40μm以上のフェライト粒が10%以上存在し、めっき、合金化後の外観品位に劣る。一方、巻取り温度と巻取り後の冷却速度が本発明の範囲内の場合(No.2および3)、地鉄表層における粒径40μm以上のフェライト粒が10%以下であり、めっき、合金化後の外観が良好である。
【0037】
No.4から6は鋼Aの巻取り温度と巻取り後の冷却速度を変えた場合である。巻取り温度と巻取り後の冷却速度が本発明の範囲外の場合(No.4)、地鉄表層における粒径40μm以上のフェライト粒が10%以上存在し、めっき、合金化後の外観品位に劣る。一方、巻取り温度と巻取り後の冷却速度が本発明の範囲内の場合(No.5および6)、地鉄表層における粒径40μm以上のフェライト粒が10%以下であり、めっき、合金化後の外観が良好である。
【0038】
No.7から9は鋼Aの巻取り温度と巻取り後の冷却速度を変えた場合である。巻取り温度と巻取り後の冷却速度が本発明の範囲外の場合(No.7)、地鉄表層における粒径40μm以上のフェライト粒が10%以上存在し、めっき、合金化後の外観品位に劣る。一方、巻取り温度と巻取り後の冷却速度が本発明の範囲内の場合(No.8および9)、地鉄表層における粒径40μm以上のフェライト粒が10%以下であり、めっき、合金化後の外観が良好である。
【0039】
No.10から12は鋼Dを700℃で巻き取った場合である。いずれも、地鉄表層における粒径40μm以上のフェライト粒が10%以上存在し、めっき、合金化後の外観品位に劣る。No.13〜15は鋼Dを800℃で巻き取った場合である。巻取後の冷却速度が0.8℃/分以下では(No.13および14)、地鉄表層における粒径40μm以上のフェライト粒が10%以下であり、めっき、合金化後の外観が良好であるが、0.8℃/分を超える場合(No.15)、地鉄表層における粒径40μm以上のフェライト粒が10%を超え、めっき、合金化後の外観品位に劣る。
【0040】
No.16〜18は鋼Eを700℃で巻き取った場合である。いずれも、地鉄表層における粒径40μm以上のフェライト粒が10%以上存在し、めっき、合金化後の外観品位に劣る。No.19〜21は鋼Eを800℃で巻き取った場合である。巻取後の冷却速度が0.8℃/分以下では(No.19および20)、地鉄表層における粒径40μm以上のフェライト粒が10%以下であり、めっき、合金化後の外観が良好であるが、0.8℃/分を超える場合(No.21)、地鉄表層における粒径40μm以上のフェライト粒が10%を超え、めっき、合金化後の外観品位に劣る。
【0041】
No.22〜24は鋼Fを700℃で巻き取った場合である。いずれも、地鉄表層における粒径40μm以上のフェライト粒が10%以上存在し、めっき、合金化後の外観品位に劣る。No.25〜27は鋼Fを800℃で巻き取った場合である。巻取後の冷却速度が0.8℃/分以下では(No.25および26)、地鉄表層における粒径40μm以上のフェライト粒が10%以下であり、めっき、合金化後の外観が良好であるが、0.8℃/分を超える場合(No.27)、地鉄表層における粒径40μm以上のフェライト粒が10%を超え、めっき、合金化後の外観品位に劣る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量%で、
C;0.01%以下、
Si;0.2%以下、
Mn;2%以下、
P;0.02〜0.2%、
S;0.03%以下、
Al;0.005〜0.1%、
残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼の表面に、Znを85%以上含む鉄−亜鉛合金被覆を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼において、その地鉄表面から深さ方向40μm以内の地鉄表層部が、500μm×500μmの観察視野において、粒径40μm以上のフェライト粒が面積率で10%以下であることを特徴とする外観品位に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼。
【請求項2】
前記の鋼が、さらに質量%で、
Ti;0.001〜0.05%、
Nb;0.001〜0.05%、
の1種または2種を含むことを特徴とする請求項1に記載の外観品位に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼。
【請求項3】
前記、鉄−亜鉛合金被覆の付着量の偏差が±7g/m2以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の外観品位に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼。
【請求項4】
請求項1または2に記載の成分からなる低炭素鋼スラブを熱間圧延した後、酸洗し、さらに冷間圧延、焼鈍、溶融亜鉛めっき、加熱合金化処理を施して、合金化溶融亜鉛めっき鋼とする合金化溶融亜鉛めっき鋼の製造方法において、熱間圧延後のコイルの捲取温度を790℃超とし、さらにその後、巻き取ったコイルの最外層部の表面温度が300℃以下となるまで0.8℃/分以下の速度で冷却することを特徴とする外観品位に優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼の製造方法。

【公開番号】特開2007−247017(P2007−247017A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−74330(P2006−74330)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】