外観検査装置
【課題】 複数枚同時にセットされるウエハのうちの1枚が外観検査を行っている間の他のウエハの待ち時間を有効に活用して、効率の良いウエハ検査を行うことが可能な外観検査装置を提供する。
【解決手段】 外観検査装置1は、試料23の表面を撮像して得た撮像画像からその外観を検査する外観検査手段2に加えて、この外観検査手段2が試料23の外観検査を行う前に試料23について所定の前検査を行う前検査手段3を備えて構成される。そして、外観検査手段1は、当該試料について行われた前検査の結果に基づき外観検査の検査条件を変更する一方で、前検査手段3は、当該試料23の前検査を、外観検査手段2が当該試料23以外の他の試料23の外観検査と平行して行う。
【解決手段】 外観検査装置1は、試料23の表面を撮像して得た撮像画像からその外観を検査する外観検査手段2に加えて、この外観検査手段2が試料23の外観検査を行う前に試料23について所定の前検査を行う前検査手段3を備えて構成される。そして、外観検査手段1は、当該試料について行われた前検査の結果に基づき外観検査の検査条件を変更する一方で、前検査手段3は、当該試料23の前検査を、外観検査手段2が当該試料23以外の他の試料23の外観検査と平行して行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料の表面を撮像して得た撮像画像から、試料の外観を検査する外観検査装置に関し、特に半導体製造工程で半導体ウエハ上に形成した半導体回路パターンの欠陥を検出する外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
形成したパターンを撮像して画像データを生成し、画像データを解析してパターンの欠陥の有無などを検査することが広く行われている。特に、半導体製造の分野では、フォトマスクを検査するフォトマスク検査装置や半導体ウエハ上に形成したパターンを検査する外観検査装置が広く使用されている。ここでは、半導体製造工程で半導体ウエハ上に形成した半導体回路パターンの欠陥を検出する外観検査装置(インスペクションマシン)を例として説明を行なうが、本発明はこれに限定されるものではない。
また、一般の外観検査装置は、対象表面を垂直方向から照明してその反射光の像を捕らえる明視野検査装置であるが、照明光を直接捕らえない暗視野検査装置も使用されている。暗視野検査装置の場合、対象表面を斜め方向又は垂直方向から照明して正反射は検出しないようにセンサを配置し、照明光の照射位置を順次走査することにより対象表面の暗視野像を得る。従って、暗視野装置ではイメージセンサを使用しない場合もあるが、これも当然発明の対象である。
このように、試料の表面を撮像して得た撮像画像から、試料の外観を検査する外観検査装置及び方法であれば、どのような装置及び方法にも適用可能である。
【0003】
半導体製造工程では、半導体ウエハ上に多数のチップ(ダイ)を形成する。各ダイには何層にも渡ってパターンが形成される。完成したダイは、プローバとテスタにより電気的な検査が行われ、不良ダイは組み立て工程から除かれる。半導体製造工程では、歩留まりが非常に重要であり、上記の電気的な検査の結果は製造工程にフィードバックされて各工程の管理に使用される。しかし、半導体製造工程は多数の工程で形成されており、製造を開始してから電気的な検査が行われるまで非常に長時間を要するため、電気的な検査により工程に不具合があることが判明した時には既に多数のウエハは処理の途中であり、検査の結果を歩留まりの向上に十分に生かすことができない。そこで、途中の工程で形成したパターンを検査して欠陥も検出するパターン欠陥検査などの外観検査が行われる。全工程のうちの複数の工程でパターン欠陥検査を行なえば、前の検査の後で発生した欠陥を検出することができ、検査結果を迅速に工程管理に反映することができる。
【0004】
図1に、本特許出願の出願人が、特願2003−188209(下記特許文献1)にて提案する外観検査装置のブロック図を示す。図示するように、2次元又は3次元方向に自在に移動可能なステージ21の上面に試料台(チャックステージ)22が設けられている。この試料台の上に、検査対象となる半導体ウエハ23を載置して固定する。ステージの上部には1次元又は2次元のCCDカメラなどを用いて構成される撮像装置24が設けられており、撮像装置24は半導体ウエハ23上に形成されたパターンの画像信号を発生させる。
【0005】
図2に示すように、半導体ウエハ23上には、複数のダイ23Aが、X方向とY方向にそれぞれ繰返し、マトリクス状に配列されている。各ダイには同じパターンが形成されるので、隣接するダイの対応する部分の画像を比較するのが一般的である。両方のダイに欠陥がなければグレイレベル差は閾値より小さいが、一方に欠陥があればグレイレベル差は閾値より大きくなる(シングルディテクション)。これではどちらのダイに欠陥があるか分からないので、更に異なる側に隣接するダイとの比較を行ない、同じ部分のグレイレベル差が閾値より大きくなればそのダイに欠陥があることが分かる(ダブルディテクション)。
【0006】
撮像装置24は1次元のCCDカメラを備え、カメラが半導体ウエハ23に対してX方向又はY方向に一定速度で相対的に移動(スキャン)するようにステージ21を移動する。画像信号は多値のディジタル信号(グレイレベル信号)に変換された後、差分検出部26に入力されると共に、信号記憶部25に記憶される。スキャンにより隣のダイのグレイレベル信号が生成されると、それに同期して信号記憶部25に記憶された前のダイのグレイレベル信号を読み出し、差分検出部26に入力する。実際には微小な位置合わせ処理などが行われるがここでは詳しい説明は省略する。
【0007】
差分検出部26には隣接する2個のダイのグレイレベル信号が入力され、2つのグレイレベル信号の差(グレイレベル差)が演算されて検出閾値計算部27と検出部28に出力される。ここでは、差分検出部26は、グレイレベル差の絶対値を算出し、それをグレイレベル差として出力する。検出閾値計算部27は、グレイレベル差から検出閾値を決定し、検出部28に出力する。検出部28は、グレイレベル差を決定された閾値と比較し、欠陥かどうかを判定する。半導体パターンは、メモリセル部、論理回路部、配線部、アナログ回路部などのパターンの種類に応じてノイズレベルが異なるのが一般的である。半導体パターンの部分と種類の対応関係は設計データにより分かる。そこで、例えば、検出閾値計算部27は部分毎に閾値決定処理を行って閾値を決定し、検出部28は部分毎に決定された閾値で判定を行なう。
【0008】
図3は、検出閾値計算部27の従来の構成例を示すブロック図である。
図示するように、検出閾値計算部27は、差分検出部26が出力するグレイレベル差を入力して、その累積頻度を算出する累積頻度算出部31と、この累積頻度を入力して、グレイレベル差に対してリニアな関係になるように累積頻度を変換し変換累積頻度を算出する変換累積頻度算出部32と、この変換累積頻度全体を直線近似して、近似直線を算出する第1の近似直線算出部33と、この近似直線に基づいて、所定の累積頻度の値から所定の算出方法に従って閾値を決定する閾値決定部34とを備える。
【0009】
このように構成された検出閾値計算部27及び上記各構成要素の動作を、図4〜図5を参照して説明する。ここに、図4は、図3に示す検出閾値計算部27の検出閾値計算処理を示す全体フローチャートであり、図5は検出閾値決定処理において生成されるグラフを示す図である。
【0010】
ステップS1では、図1の差分検出部26で算出された各画素(ピクセル)のグレイレベル差が図5の累積頻度算出部31に入力される。ステップS2では、累積頻度算出部31は図5の(A)のようなグレイレベル差のヒストグラムを作成する。なお、対象となる画素数が多い場合には、ヒストグラムはすべての画素のグレイレベル差を使用して作成する必要はなく、サンプリングした一部の画素のグレイレベル差を使用して作成される。
【0011】
ステップS3では、累積頻度算出部31が、ヒストグラムからグレイレベル差に対する累積頻度を算出する。
ステップS4では、変換累積頻度算出部32が、グレイレベル差がある所定の分布に従うと仮定して、仮定した分布であった場合に累積頻度がグレイレベル差に対して直線関係となるように変換する。このとき、変換累積頻度算出部32は、グレイレベル差が正規分布、ポアソン分布、又はχ二乗分布などのある分布に従うと仮定して、累積頻度を変換する。この変換累積頻度を図5(B)に示す。
【0012】
ステップS5では、近似直線導出部33は、変換累積頻度からグレイレベル差と変換累積頻度との関係を示す近似直線(y=ax+b)を導出する(図5(C)参照)。
ステップS6では、閾値決定部34が、近似直線のパラメータa、b及び感度設定パラメータ(固定値)から閾値を決定する。ここでは、グレイレベル差と変換累積頻度の近似直線において、固定の感度設定パラメータとしてVOPとHOを設定しておき、累積確率(p)に相当する累積頻度P1(pにサンプル数を乗じて求める。)になる直線上の点を求め、その点から縦軸方向にVOP、横軸方向にHO移動したグレイレベル差を閾値とする。従って、閾値Tは、所定の計算式、
T=(P1−b+VOP)/a+HO …(1)
により算出される。このようにして、被検査画像のグレイレベル差のヒストグラムに応じて閾値を適切に設定することができる。
【0013】
【特許文献1】特開2004−177397号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
通常、上記のような欠陥検出を行う外観検査装置には、例えば25枚程度(1ロット分)のウエハが納められたウエハカセット毎に、検査対象であるウエハがセットされる。そして、1枚のウエハの検査には通常30分程度の時間を要している。したがって、この間ウエハカセットに納められた他のウエハについて、何の検査も作業も行うことができず、作業効率の低下を生じていた。
【0015】
また、上述のような画像比較による欠陥検出を行う場合、被検査体であるウエハ毎に撮像画像のグレイレベル分布にバラツキが生じる場合がある。このような場合、ウエハ全体についてのグレイレベル分布に応じて上記感度設定パラメータを調整して閾値を調整することが好ましい。しかしこの場合、ウエハ全体についてグレイレベル分布を求めるまで検出閾値が設定できないので、上記画像比較をウエハ全体について撮像が完了するまで開始することができず、スループットの低下を招くことになる。
【0016】
また、上記閾値の最適値は、被検査体表面の表面形状(凹凸)の分布や、ウエハ上面に形成されたパターンを構成する各酸化膜や窒化膜の膜厚の分布に応じても変化するため、これらに応じて閾値を調整することが好ましい。しかしこの場合も新たな測定作業が生じるために、スループットの低下を招く。
【0017】
またさらに、通常、上記欠陥検出は、1つのウエハカセットに納められた1ロットのウエハのうち、1枚又は数枚のウエハについて抜き出し検査方式を行っている。しかし、1ロット中に含まれる各ウエハにはその良否の程度に差があるため、品質管理上、各ウエハのうち比較的程度の良くないウエハを抜き出して検査を行うことが好適であるが、従来の欠陥検出では、ウエハカセットの中からウエハを無作為に取り出して検査を行っていた。
【0018】
上記問題点を鑑み、本発明は、複数枚同時にセットされるウエハのうちの1枚が外観検査を行っている間の他のウエハの待ち時間を有効に活用して、ウエハ検査の効率を高めることを目的とする。
【0019】
また、本発明は、スループットに影響を与えることなく、ウエハ毎に存在する撮像画像のグレイレベル分布、表面形状分布、及びウエハ上面に形成される各薄膜の分布のバラツキに応じて、欠陥検出感度を補正して、より精度の高い欠陥検出を行うことが可能な外観検査装置を提供することを目的とする。
【0020】
さらに、各ウエハの程度に応じて抜き出し検査を行う被検査体を選択して、より効率よく欠陥検出を行うことが可能な外観検査装置を提供する本発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために、本発明に係る外観検査装置は、試料表面を撮像して得た撮像画像からその外観を検査する外観検査手段に加えて、この外観検査手段が試料の外観検査を行う前に試料について所定の前検査を行う前検査手段を備えて構成される。そして、前検査手段は、当該試料の前検査を、外観検査手段が当該試料以外の他の試料の外観検査を行うのと平行して行う。
【0022】
外観検査手段は、当該試料について行われた前検査の結果に基づき、外観検査の検査条件を変更する検査条件変更手段を有することとしてよい。
または外観検査手段は、当該試料について行われた前検査の結果に基づき、当該試料の外観検査を行うか否かを判断する検査適否判断手段を有することとしてもよい。このとき、検査適否判断手段は、前検査の結果の良否を判定し、比較的程度の悪い試料についてのみ外観検査を行うこととしてよく、反対に程度の良い試料についてのみ外観検査を行うこととしてよい。
【0023】
また、外観検査手段は、当該試料について行われた前検査の結果に基づき、試料の検査面上の検査領域をグループ分けし、検査条件をこの検査領域のグループ毎に設定してもよい。
さらに、試料は前記外観検査装置にグループに分けてセットされ、このとき前検査手段は、前記外観検査手段が試料のグループの1つに属する試料を外観検査を行う間に、他のグループに属する試料について前記前検査を行うこととしてよい。このために外観検査装置は、試料を試料のグループ毎に設置する試料設置部を備える。
【0024】
前検査手段として、前記外観検査手段とは別の外観検査装置を新たに設けてもよく、そのほか、前検査手段として、試料の表面形状を測定する表面形状測定手段や、試料表面に形成された薄膜の厚さを測定する膜厚測定手段を備えてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明により、外観検査手段が試料の1つを当該試料の前検査を、当該試料以外の他の試料の外観検査を行うのと平行して行うことが可能となる。これにより、例えば複数セットされる試料の1つを外観検査している間に、前検査手段がセットされた他の試料の検査を行うことが可能となり、外観検査のために待機する試料の待ち時間を有効に活用することが可能となる。
【0026】
さらに、本発明により、スループットに影響を与えることなく、ウエハ毎に存在する撮像画像のグレイレベル分布、表面形状分布、及びウエハ上面に形成される各薄膜の分布のバラツキに応じて、欠陥検出感度を補正して、より精度の高い欠陥検出を行うことが可能となる。
またさらに、各ウエハの程度に応じて抜き出し検査を行う被検査体を選択して、より効率の良い欠陥検出を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付する図面を参照して本発明の実施例を説明する。図6は、本発明の実施例の半導体パターン用外観検査装置の全体斜視図である。外観検査装置1は、図1〜図5を参照して説明した外観検査装置に類似する構成を有する外観検査部2と、外観検査部2による外観検査が行われるウエハ(試料)に対して、以下に例示する各種の検査を(以下、外観検査部2による外観検査と区別するために、「前検査」と呼ぶことがある)、外観検査部2による外観検査の前に行う前検査部3と、複数のウエハをそれぞれその内部に収容する複数のウエハカセット61及び62と、ウエハカセット61及び62内に収容される複数のウエハを選択して、外観検査部2及び前検査部3のいずれにも搬送することが可能な搬送部4と、ウエハカセット61及び62を設置して外観検査装置1にセットするための、本発明に係る試料設置部であるカセットラック41及び42を備える。
【0028】
図7は、搬送部4内部の基本構成図(平面図)であり、図8の(A)は搬送部内部の基本構成図(側断面図)であり、図8の(B)は、ウエハカセットの斜視図である。
図7及び図8の(A)に示すように、搬送部4の内部には、カセットラック41及び42にそれぞれセットされたウエハカセット61及び62内に収容される、複数のウエハ23のいずれかを選択して、外観検査部2及び前検査部3のいずれにも搬送するためのアーム機構43が備えられている。
【0029】
一方で、図8の(A)及び(B)に示すようにウエハカセット61、62は、複数のウエハ23を収容するためにその内部に複数の棚部63が設けられており、それぞれの棚部63の上にウエハ23を載置することにより、その内部にウエハ23を重ねて収容し、1ロット分の枚数(例えば25枚)のウエハ23をそれぞれのカセット内に収容できるように構成される。
【0030】
図7に示すアーム機構43の試料保持部44は、図8の(B)に示すように図のZ方向に昇降するアーム機構43の働きにより、ウエハカセット61、62内に重ねて載置されたウエハ23のいずれをも選択して取り出し、またはその反対にウエハ23をウエハカセット61、62内のいずれの棚に載置することも可能である。
【0031】
図9は、図6に示す外観検査部2のブロック図である。外観検査部2は、基本的に図1〜図5を参照して説明した外観検査装置に類似する構成を有しており、したがって同様の構成要素には、同じ参照番号を付して説明を省略する。
外観検査部2の検出閾値計算部27は、後述するように、前検査部3による試料の前検査の検査結果に応じて、外観検査の検査条件である検出閾値を補正する。このため検出閾値計算部27は、後述の前検査部3の統計処理部55からの出力を入力する。
また、外観検査部2は、前検査部3による試料の前検査の検査結果に応じて、前検査が行われた当該試料の外観検査を行うか否かを判断する検査適否判断部29を備え、検査適否判断部29は、ウエハカセット61、62内に収容された各ウエハ23のそれぞれについての前検査の結果に基づいて、外観検査を行うべきウエハ23を選択して、試料台22上に載置するようにアーム機構43を駆動する。また、検査適否判断部29は、外観検査を行うべきウエハ23のうちから、当該ウエハ23についての前検査の結果に基づいて、外観検査を行うべきチップを選択して、このチップに関する外観検査のみを行うようにステージ21を駆動する。
【0032】
なお、本実施例では、半導体ウエハ上の隣接するダイの画像を比較するために信号記憶部25を設けているが、別に記憶した基準試料の画像信号やCADなどのデータから生成した画像信号を差分検出部26に入力してグレイレベル差を生成することも可能であり、その場合には信号記憶部25を除くことができる。
【0033】
図10の(A)〜(B)は、図6の前検査部3のそれぞれの実施例のブロック図である。図10の(A)に示す前検査部3の第1実施例では、前検査部3は、図1を参照して説明した外観検査装置と同様の外観検査手段を有する。すなわち、2次元又は3次元方向に自在に移動可能なステージ51の上面に試料台(チャックステージ)52が設けられている。この試料台の上に、検査対象となる半導体ウエハ23を載置して固定する。ステージの上部には撮像装置53が設けられており、撮像装置53は半導体ウエハ23上に形成されたパターンの画像信号を発生させる。
そして、信号処理回路54によって画像信号の各画素部分のグレイレベル信号を生成し、統計処理部55は、ウエハ23の全体について生成されたグレイレベル信号の分布、分散、平均値などの統計情報を算出して、図9の外観検査部2の検査閾値計算部27及び検査適否判断部29へ出力する。または統計処理部55は、ウエハ23の各位置のグレイレベル信号や、ウエハ23上に予め区画された所定の各検査領域毎のグレイレベル信号の分布、分散、平均値を出力してもよい。
【0034】
ここで、このように前検査部3によって行われる外観検査(前検査)は、外観検査部2によって行われる外観検査よりも短時間で完了することが可能な検査であること、すなわち前検査部3のスループットは外観検査部2のスループットに比べて高いこと、が好ましい。例えば外観検査部2によって行われる外観検査がウエハ1枚あたり30分を要する場合に、前検査部3によって行われる前検査に要する時間をウエハ1枚あたり1分とすることにより、外観検査部2が一方のウエハカセット61に含まれるウエハ23の1枚を外観検査する間に、他方のウエハカセット62に含まれる25枚のウエハ23の全てについて前検査を実行することが可能となる。
【0035】
このために、例えば撮像装置53に使用される撮像素子は、図1の撮像装置24に使用される撮像素子よりも低解像度(少画素)の撮像素子が使用され、信号処理に要する時間を節約することによって前検査に要する時間を短縮してもよい。
または撮像装置53に使用される撮像素子に2次元CCDを採用して、ウエハ23全体を撮像する回数を減少させて、その間に行われるステージ51の移動回数を減らすことによって前検査に要する時間を短縮してもよい。
【0036】
図10の(B)に示す前検査部3の第2実施例では、前検査部3は、図1の外観検査装置の信号記憶部25及び差分検出部26と同様の信号記憶部56及び差分検出部57を有する。そして、撮像装置53による画像信号を多値のディジタル信号(グレイレベル信号)に変換して信号記憶部56に記憶する。そして、信号記憶部56に記憶された隣接する2個のダイの画像のグレイレベル信号を差分検出部57に入力して、2つのグレイレベル信号の差(グレイレベル差)が演算されて、そのグレイレベル差信号が統計処理部55に入力される。統計処理部55は、ウエハ23上について生成された隣接するダイ間のグレイレベル差信号の分布、分散、平均値などの統計情報や、各隣接するダイについて各ダイ毎に生成されたグレイレベル差信号の分布、分散、平均値などの各統計情報を算出して、図9の外観検査部2の検査閾値計算部27及び検査適否判断部29へ出力する。
【0037】
図11の(A)は、図9の外観検査部2の検査閾値計算部27の第1実施例に係る基本構成図である。検査閾値計算部27は、基本的に図3に示す検査閾値計算部に類似する構成を有しており、同様の構成要素には、同じ参照番号を付して説明を省略する。
検査閾値計算部27は、本発明に係る検査条件変更手段である閾値補正部35を備えている。
前検査部3による前検査である外観検査が行われたウエハ23が、図7に示すアーム機構43により外観検査部2に搬入されると、本発明に係る検査条件変更手段である閾値補正部35は、前検査部3内の統計処理部55から、そのウエハ23について算出されたウエハ23の全体のグレイレベル信号の分布、分散、平均値などの統計情報や、ウエハ23の各位置のグレイレベル信号、各検査領域毎のグレイレベル信号の分布、分散、平均値、あるいはウエハ23上について生成された隣接するダイ間のグレイレベル差信号の分布、分散、平均値などの統計情報や、ダイ毎のグレイレベル差信号の分布、分散、平均値などの各統計情報を入力する。
【0038】
そして、閾値補正部35は、前検査部3による前検査の検査結果である上記統計情報に応じて、外観検査部2の検査条件である上記検出閾値を変更する。検出閾値の補正は、例えば図12に示すように、検出閾値を算出する上記の所定の計算式(1)に補正項Cを追加して、この補正項Cを増減することにより行う。
すなわち、下記の計算式、
補正閾値T=元の閾値T’+C=(P1−b+VOP)/a+HO+C …(2)
により補正した閾値Tを求めることとし、補正項Cを増減することにより補正閾値Tを変更する。
【0039】
例えば、閾値補正部35は、前検査により測定されたウエハ23の全体のグレイレベル信号の平均値が大きい場合には検査閾値を増加させ(C>0)、平均値が小さい場合には検査閾値を減少させる(C<0)。また例えば、閾値補正部35は、ウエハ23の全体のグレイレベル信号の分布範囲が広い場合には検査閾値を増加させ(C>0)、狭い場合には検査閾値を減少させる(C<0)。さらに、例えば、閾値補正部35は、ウエハ23の全体のグレイレベル信号の分散が大きい場合には検査閾値を増加させ(C>0)、小さい場合には検査閾値を減少させる(C<0)。
【0040】
またさらに、ウエハ23全体について求めた隣接するダイ同士のグレイレベル差信号の分布範囲が広い場合には検査閾値を増加させ(C>0)、狭い場合には検査閾値を減少させる(C<0)。さらに、例えば、閾値補正部35は、グレイレベル差信号の分散が大きい場合には検査閾値を増加させ(C>0)、小さい場合には検査閾値を減少させる(C<0)。
また、ウエハ23の各位置のグレイレベル信号、各検査領域毎のグレイレベル信号の分布、分散、平均値や、各隣接するダイについて生成されたグレイレベル差信号の分布、分散、平均値などの各統計情報によって、同様の検査閾値をダイ毎に変更してもよい。
【0041】
図11の(B)は、図9の外観検査部2の検査閾値計算部27の第2実施例に係る基本構成図である。図11の(B)の検査閾値計算部27は、ウエハ23について行われた前検査の結果である、ウエハ23の各位置のグレイレベル信号、各検査領域毎のグレイレベル信号の分布、分散、平均値や、各隣接するダイについて生成されたグレイレベル差信号の分布、分散、平均値などの各統計情報に基づき、ウエハ23面上の各領域を検査結果が近い領域毎にグループ分けをする検査領域分類部36を備える。
【0042】
さらに、閾値決定部34によって決定された検出閾値を補正するための補正値を、ウエハ23について行われた前検査の結果に基づいて、検査領域分類部36によってグループ分けされた検査領域毎に決定する補正値決定部37と、グループ分けされた検査領域毎に決定された補正値を記憶し、外観検査部2が現在欠陥検出を行っているダイの位置情報に応じて、その位置に対応する検査領域の補正値を出力する補正値記憶部38と、を備える。そして、閾値補正部35は、補正値記憶部38から出力される補正値に基づいて、閾値決定部34によって決定された検出閾値を補正する。上記構成によって、ウエハ23の各位置のグレイレベル信号や、各検査領域毎のグレイレベル信号の分布、分散、平均値や、各隣接するダイについて生成されたグレイレベル差信号の分布、分散に応じて、ウエハ23面上の各領域をグループ分けし、各グループ毎に検出閾値の補正値を変更することが可能となる。
【0043】
図13の(A)は、図6の前検査部3の第3実施例のブロック図であり、図13の(B)は図6の前検査部3の第4実施例のブロック図である。
図13の(A)の前検査部3は、ウエハ23各位置の表面形状(凹凸)を測定する表面形状測定器58を備える。そして統計処理部55は、ウエハ23の各位置における凹凸量や、上記の各検査領域毎の凹凸量の分布、分散、平均値を出力する。
【0044】
そして図11の(A)に示す検査閾値計算部27の閾値補正部35は、前検査部3による前検査である表面形状測定が行われたウエハ23が、外観検査部2に搬入されると、前検査部3内の統計処理部55から、そのウエハ23について測定された、ウエハ23の各位置における凹凸量や、上記の各検査領域毎の凹凸量の分布、分散、平均値などの各統計情報を入力する。
そして、閾値補正部35は、前検査部3による前検査の検査結果である統計情報に応じて、外観検査部2の検査条件である上記検出閾値を、例えば上記式(2)に従い変更する。例えば、閾値補正部35は、凹凸量の分散が大きい場合には検査閾値を増加させ(C>0)、小さい場合には検査閾値を減少させる(C<0)。
【0045】
また、図11の(B)に示す検査閾値計算部27の構成により、ウエハ23の各位置の凹凸量や、各検査領域毎の凹凸量の分布、分散、平均値に応じて、ウエハ23面上の各領域をグループ分けし、各グループ毎に検出閾値の補正値を変更してもよい。
【0046】
図13の(B)の前検査部3は、ウエハ23の表面に形成されたパターンを形成する酸化膜や窒化膜の薄膜の厚さを測定する膜厚測定器59を備える。そして統計処理部55は、ウエハ23表面の各位置における膜厚や、上記の各検査領域毎の膜厚の分布、分散、平均値を出力する。
【0047】
そして図11の(A)に示す検査閾値計算部27の閾値補正部35は、前検査部3による前検査である膜厚測定が行われたウエハ23が、外観検査部2に搬入されると、前検査部3内の統計処理部55から、そのウエハ23について測定された、ウエハ23表面の各位置に形成された膜厚や、上記の各検査領域毎の膜厚の分布、分散、平均値などの各統計情報を入力する。
そして、閾値補正部35は、前検査部3による前検査の検査結果である統計情報に応じて、外観検査部2の検査条件である上記検出閾値を、例えば上記式(2)に従い変更する。例えば、閾値補正部35は、膜厚の分散が大きい場合には検査閾値を増加させ(C>0)、小さい場合には検査閾値を減少させる(C<0)。
【0048】
また、図11の(B)に示す検査閾値計算部27の構成により、ウエハ23の各位置の膜厚や、各検査領域毎の膜厚の分布、分散、平均値に応じて、ウエハ23面上の各領域をグループ分けし、各グループ毎に検出閾値の補正値を変更してもよい。
【0049】
図14は、本発明に係る外観検査装置の動作説明のためのフローチャートである。
最初にステップS11において、第1のカセットラック(以下、単に「ラック」と記す)41に第1のウエハカセットを、第2のラック42に第2のウエハカセットをセットする。
そしてステップS12において、第1のラック41にセットしたカセット内のウエハ23を、外観検査部2によって外観検査する。このとき、第1のラックのウエハ23は、まだ前検査部3による前検査を経ていないため、外観検査部2は、第1のラック41にセットされたウエハ23を、無作為に抜き出して外観検査するか、あるいはその全てについて検査する。
【0050】
ステップS13では、外観検査部2がステップS12で外観検査を行うのと平行して、前検査部3が、第2のラック42にセットしたウエハ23を前検査する。上述の通り前検査部3を、外観検査部2よりも高いスループットで検査を行うように構成することによって、外観検査部2が、第1のラック41にセットしたウエハのうちの1枚又は所定枚数のウエハ23を外観検査する間に、前検査部3は、第2のラック42にセットしたウエハ23の全てについて、前検査を完了するようにしてもよい。
例えば、上記の例の通り、ウエハ1枚あたりの外観検査時間を30分とし、ウエハ1枚あたりの前検査時間を1分とし、1つのカセットに収容されるウエハ枚数を25枚とすれば、外観検査部2が1枚のウエハ23を外観検査する間に、前検査部3は、1つのカセット内のウエハ23の全てについて前検査を完了する。
【0051】
従って、ステップS12による第1のラックにセットしたウエハ23についての外観検査が完了した時には、すでにステップS13による前検査が完了し、図9に示す外観検査部2の検出閾値計算部27と検査適否判断部29は、次の外観検査の対象である第2のラックにセットしたウエハ23ついての前検査結果を得ることができる。
【0052】
図14に戻り、ステップS14では、外観検査部2の検査適否判断部29は、前検査結果に基づき、第2のラック42にセットしたウエハ23のうち、例えば、前検査結果が悪い(例えばグレイレベル、凹凸量、膜厚の分散が大きいなど)ウエハ23のみを、その検査対象として選択する。そしてステップS15では、検出閾値計算部27が検査対象として選択されたウエハ23について取得された前検査の結果に基づき、検出閾値の補正値を決定する。そして、ステップS16では、ステップS14で選択されたウエハ23のみを外観検査する。このとき検出閾値計算部27は、ステップS15で決定された補正値に基づき検出閾値を補正する。
【0053】
ステップS17では、第1のラック41から外観検査の済んだウエハカセットを取り出し、次に検査を行うウエハカセットに交換する。ステップS18において、外観検査部2が第2のラック42にセットしたウエハ23についての外観検査を行っているのと平行して、前検査部3は、第1のラック41にセットしたウエハ23について前検査を行う。この前検査もまた、外観検査部2が外観検査を行う間に完了する。
【0054】
そして、ステップS19において、外観検査部2の検査適否判断部29は、第1のラック41についての前検査結果に基づき、第1のラック41にセットしたウエハ23のうち、その検査対象とすべきウエハ23を選択する。そしてステップS20では、このウエハ23について取得された前検査の結果に基づき、検出閾値計算部27が検出閾値の補正値を決定する。そして、ステップS21では、ステップS19で選択されたウエハ23のみを外観検査する。このとき検出閾値計算部27は、ステップS20で決定された補正値に基づき検出閾値を補正する。
【0055】
ステップS22では、第2のラック42から外観検査の済んだウエハカセットを取り出し、次に検査を行うウエハカセットに交換する。ステップS23において、外観検査部2が第1のラック41にセットしたウエハ23についての外観検査を行っているのと平行して、前検査部3は、第2のラック42にセットしたウエハ23について前検査を行う。
【0056】
このようなステップS14からS23までを、検査終了まで繰り返すことにより(S24)、前検査部3は、外観検査部2による外観検査を行う前に実施されるべき前検査を、外観検査部2が他のウエハカセット(他のロット)についての外観検査を行っている間に平行して実行することができる。このため前検査部3による前検査により外観検査装置1全体へのスループットに与える影響を極力低減することが可能となる。
また、従来の抜き出し検査では一部のウエハのみが検査され、他のウエハについては全く検査されなかったところ、本外観検査装置では、全てのウエハについて前検査部3による検査が実施されるので、検査精度の向上を図ることが可能となる。
【0057】
なお、ステップS16及びS21にて、それぞれステップS14及びS19で選択されたウエハ23の外観検査を行う際に、当該ウエハ23について取得された前検査の結果に基づいて、外観検査を行うべきチップ(例えば前検査で欠陥を含む可能性が高い結果が得られたチップ)のみを選択して、そのチップのみについて外観検査を行うこととしてよい。このため、検査適否判断部29は、選択されたチップの外観検査のみを行うのに必要な部分のみを撮像するようにステージ21を駆動して、それ以外の部分はスキップすることとしてもよい。このように外観検査を行うべきチップを限定することにより、外観検査に要する時間を節約することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、試料の表面を撮像して得た撮像画像から、試料の外観を検査する外観検査装置及び外観検査方法に適用可能であり、特に半導体製造工程で半導体ウエハ上に形成した半導体回路パターンの欠陥を検出する外観検査装置及び外観検査方法に好適に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】従来の外観検査装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】半導体ウエハ上のダイの配列を示す図である。
【図3】図1の外観検査装置の検出閾値計算部の構成例を示すブロック図である。
【図4】図3の検出閾値計算部の検出閾値計算処理を示すフローチャートである。
【図5】検出閾値を決定する処理を説明する図である。
【図6】本発明の実施例の半導体パターン用外観検査装置の全体斜視図である。
【図7】搬送部内部の基本構成図(平面図)である。
【図8】(A)は搬送部内部の基本構成図(側断面図)であり、(B)はウエハカセットの斜視図である。
【図9】図6の外観検査部のブロック図である。
【図10】(A)は図6の前検査部の第1実施例のブロック図であり、(B)は図6の前検査部の第2実施例のブロック図である。
【図11】(A)は、図9の外観検査部の検査閾値計算部の第1実施例に係る基本構成図であり、(B)は、図9の外観検査部の検査閾値計算部の第2実施例に係る基本構成図である。
【図12】検出閾値の補正方法の説明図である。
【図13】(A)は図6の前検査部の第3実施例のブロック図であり、(B)は図6の前検査部の第4実施例のブロック図である。
【図14】本発明に係る外観検査装置の動作説明のためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
1 外観検査装置
2 外観検査部
3 前検査部
4 搬送部
23 ウエハ
23A ダイ
41、42 カセットラック
43 アーム機構
61、62 ウエハカセット
63 棚部
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料の表面を撮像して得た撮像画像から、試料の外観を検査する外観検査装置に関し、特に半導体製造工程で半導体ウエハ上に形成した半導体回路パターンの欠陥を検出する外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
形成したパターンを撮像して画像データを生成し、画像データを解析してパターンの欠陥の有無などを検査することが広く行われている。特に、半導体製造の分野では、フォトマスクを検査するフォトマスク検査装置や半導体ウエハ上に形成したパターンを検査する外観検査装置が広く使用されている。ここでは、半導体製造工程で半導体ウエハ上に形成した半導体回路パターンの欠陥を検出する外観検査装置(インスペクションマシン)を例として説明を行なうが、本発明はこれに限定されるものではない。
また、一般の外観検査装置は、対象表面を垂直方向から照明してその反射光の像を捕らえる明視野検査装置であるが、照明光を直接捕らえない暗視野検査装置も使用されている。暗視野検査装置の場合、対象表面を斜め方向又は垂直方向から照明して正反射は検出しないようにセンサを配置し、照明光の照射位置を順次走査することにより対象表面の暗視野像を得る。従って、暗視野装置ではイメージセンサを使用しない場合もあるが、これも当然発明の対象である。
このように、試料の表面を撮像して得た撮像画像から、試料の外観を検査する外観検査装置及び方法であれば、どのような装置及び方法にも適用可能である。
【0003】
半導体製造工程では、半導体ウエハ上に多数のチップ(ダイ)を形成する。各ダイには何層にも渡ってパターンが形成される。完成したダイは、プローバとテスタにより電気的な検査が行われ、不良ダイは組み立て工程から除かれる。半導体製造工程では、歩留まりが非常に重要であり、上記の電気的な検査の結果は製造工程にフィードバックされて各工程の管理に使用される。しかし、半導体製造工程は多数の工程で形成されており、製造を開始してから電気的な検査が行われるまで非常に長時間を要するため、電気的な検査により工程に不具合があることが判明した時には既に多数のウエハは処理の途中であり、検査の結果を歩留まりの向上に十分に生かすことができない。そこで、途中の工程で形成したパターンを検査して欠陥も検出するパターン欠陥検査などの外観検査が行われる。全工程のうちの複数の工程でパターン欠陥検査を行なえば、前の検査の後で発生した欠陥を検出することができ、検査結果を迅速に工程管理に反映することができる。
【0004】
図1に、本特許出願の出願人が、特願2003−188209(下記特許文献1)にて提案する外観検査装置のブロック図を示す。図示するように、2次元又は3次元方向に自在に移動可能なステージ21の上面に試料台(チャックステージ)22が設けられている。この試料台の上に、検査対象となる半導体ウエハ23を載置して固定する。ステージの上部には1次元又は2次元のCCDカメラなどを用いて構成される撮像装置24が設けられており、撮像装置24は半導体ウエハ23上に形成されたパターンの画像信号を発生させる。
【0005】
図2に示すように、半導体ウエハ23上には、複数のダイ23Aが、X方向とY方向にそれぞれ繰返し、マトリクス状に配列されている。各ダイには同じパターンが形成されるので、隣接するダイの対応する部分の画像を比較するのが一般的である。両方のダイに欠陥がなければグレイレベル差は閾値より小さいが、一方に欠陥があればグレイレベル差は閾値より大きくなる(シングルディテクション)。これではどちらのダイに欠陥があるか分からないので、更に異なる側に隣接するダイとの比較を行ない、同じ部分のグレイレベル差が閾値より大きくなればそのダイに欠陥があることが分かる(ダブルディテクション)。
【0006】
撮像装置24は1次元のCCDカメラを備え、カメラが半導体ウエハ23に対してX方向又はY方向に一定速度で相対的に移動(スキャン)するようにステージ21を移動する。画像信号は多値のディジタル信号(グレイレベル信号)に変換された後、差分検出部26に入力されると共に、信号記憶部25に記憶される。スキャンにより隣のダイのグレイレベル信号が生成されると、それに同期して信号記憶部25に記憶された前のダイのグレイレベル信号を読み出し、差分検出部26に入力する。実際には微小な位置合わせ処理などが行われるがここでは詳しい説明は省略する。
【0007】
差分検出部26には隣接する2個のダイのグレイレベル信号が入力され、2つのグレイレベル信号の差(グレイレベル差)が演算されて検出閾値計算部27と検出部28に出力される。ここでは、差分検出部26は、グレイレベル差の絶対値を算出し、それをグレイレベル差として出力する。検出閾値計算部27は、グレイレベル差から検出閾値を決定し、検出部28に出力する。検出部28は、グレイレベル差を決定された閾値と比較し、欠陥かどうかを判定する。半導体パターンは、メモリセル部、論理回路部、配線部、アナログ回路部などのパターンの種類に応じてノイズレベルが異なるのが一般的である。半導体パターンの部分と種類の対応関係は設計データにより分かる。そこで、例えば、検出閾値計算部27は部分毎に閾値決定処理を行って閾値を決定し、検出部28は部分毎に決定された閾値で判定を行なう。
【0008】
図3は、検出閾値計算部27の従来の構成例を示すブロック図である。
図示するように、検出閾値計算部27は、差分検出部26が出力するグレイレベル差を入力して、その累積頻度を算出する累積頻度算出部31と、この累積頻度を入力して、グレイレベル差に対してリニアな関係になるように累積頻度を変換し変換累積頻度を算出する変換累積頻度算出部32と、この変換累積頻度全体を直線近似して、近似直線を算出する第1の近似直線算出部33と、この近似直線に基づいて、所定の累積頻度の値から所定の算出方法に従って閾値を決定する閾値決定部34とを備える。
【0009】
このように構成された検出閾値計算部27及び上記各構成要素の動作を、図4〜図5を参照して説明する。ここに、図4は、図3に示す検出閾値計算部27の検出閾値計算処理を示す全体フローチャートであり、図5は検出閾値決定処理において生成されるグラフを示す図である。
【0010】
ステップS1では、図1の差分検出部26で算出された各画素(ピクセル)のグレイレベル差が図5の累積頻度算出部31に入力される。ステップS2では、累積頻度算出部31は図5の(A)のようなグレイレベル差のヒストグラムを作成する。なお、対象となる画素数が多い場合には、ヒストグラムはすべての画素のグレイレベル差を使用して作成する必要はなく、サンプリングした一部の画素のグレイレベル差を使用して作成される。
【0011】
ステップS3では、累積頻度算出部31が、ヒストグラムからグレイレベル差に対する累積頻度を算出する。
ステップS4では、変換累積頻度算出部32が、グレイレベル差がある所定の分布に従うと仮定して、仮定した分布であった場合に累積頻度がグレイレベル差に対して直線関係となるように変換する。このとき、変換累積頻度算出部32は、グレイレベル差が正規分布、ポアソン分布、又はχ二乗分布などのある分布に従うと仮定して、累積頻度を変換する。この変換累積頻度を図5(B)に示す。
【0012】
ステップS5では、近似直線導出部33は、変換累積頻度からグレイレベル差と変換累積頻度との関係を示す近似直線(y=ax+b)を導出する(図5(C)参照)。
ステップS6では、閾値決定部34が、近似直線のパラメータa、b及び感度設定パラメータ(固定値)から閾値を決定する。ここでは、グレイレベル差と変換累積頻度の近似直線において、固定の感度設定パラメータとしてVOPとHOを設定しておき、累積確率(p)に相当する累積頻度P1(pにサンプル数を乗じて求める。)になる直線上の点を求め、その点から縦軸方向にVOP、横軸方向にHO移動したグレイレベル差を閾値とする。従って、閾値Tは、所定の計算式、
T=(P1−b+VOP)/a+HO …(1)
により算出される。このようにして、被検査画像のグレイレベル差のヒストグラムに応じて閾値を適切に設定することができる。
【0013】
【特許文献1】特開2004−177397号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
通常、上記のような欠陥検出を行う外観検査装置には、例えば25枚程度(1ロット分)のウエハが納められたウエハカセット毎に、検査対象であるウエハがセットされる。そして、1枚のウエハの検査には通常30分程度の時間を要している。したがって、この間ウエハカセットに納められた他のウエハについて、何の検査も作業も行うことができず、作業効率の低下を生じていた。
【0015】
また、上述のような画像比較による欠陥検出を行う場合、被検査体であるウエハ毎に撮像画像のグレイレベル分布にバラツキが生じる場合がある。このような場合、ウエハ全体についてのグレイレベル分布に応じて上記感度設定パラメータを調整して閾値を調整することが好ましい。しかしこの場合、ウエハ全体についてグレイレベル分布を求めるまで検出閾値が設定できないので、上記画像比較をウエハ全体について撮像が完了するまで開始することができず、スループットの低下を招くことになる。
【0016】
また、上記閾値の最適値は、被検査体表面の表面形状(凹凸)の分布や、ウエハ上面に形成されたパターンを構成する各酸化膜や窒化膜の膜厚の分布に応じても変化するため、これらに応じて閾値を調整することが好ましい。しかしこの場合も新たな測定作業が生じるために、スループットの低下を招く。
【0017】
またさらに、通常、上記欠陥検出は、1つのウエハカセットに納められた1ロットのウエハのうち、1枚又は数枚のウエハについて抜き出し検査方式を行っている。しかし、1ロット中に含まれる各ウエハにはその良否の程度に差があるため、品質管理上、各ウエハのうち比較的程度の良くないウエハを抜き出して検査を行うことが好適であるが、従来の欠陥検出では、ウエハカセットの中からウエハを無作為に取り出して検査を行っていた。
【0018】
上記問題点を鑑み、本発明は、複数枚同時にセットされるウエハのうちの1枚が外観検査を行っている間の他のウエハの待ち時間を有効に活用して、ウエハ検査の効率を高めることを目的とする。
【0019】
また、本発明は、スループットに影響を与えることなく、ウエハ毎に存在する撮像画像のグレイレベル分布、表面形状分布、及びウエハ上面に形成される各薄膜の分布のバラツキに応じて、欠陥検出感度を補正して、より精度の高い欠陥検出を行うことが可能な外観検査装置を提供することを目的とする。
【0020】
さらに、各ウエハの程度に応じて抜き出し検査を行う被検査体を選択して、より効率よく欠陥検出を行うことが可能な外観検査装置を提供する本発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために、本発明に係る外観検査装置は、試料表面を撮像して得た撮像画像からその外観を検査する外観検査手段に加えて、この外観検査手段が試料の外観検査を行う前に試料について所定の前検査を行う前検査手段を備えて構成される。そして、前検査手段は、当該試料の前検査を、外観検査手段が当該試料以外の他の試料の外観検査を行うのと平行して行う。
【0022】
外観検査手段は、当該試料について行われた前検査の結果に基づき、外観検査の検査条件を変更する検査条件変更手段を有することとしてよい。
または外観検査手段は、当該試料について行われた前検査の結果に基づき、当該試料の外観検査を行うか否かを判断する検査適否判断手段を有することとしてもよい。このとき、検査適否判断手段は、前検査の結果の良否を判定し、比較的程度の悪い試料についてのみ外観検査を行うこととしてよく、反対に程度の良い試料についてのみ外観検査を行うこととしてよい。
【0023】
また、外観検査手段は、当該試料について行われた前検査の結果に基づき、試料の検査面上の検査領域をグループ分けし、検査条件をこの検査領域のグループ毎に設定してもよい。
さらに、試料は前記外観検査装置にグループに分けてセットされ、このとき前検査手段は、前記外観検査手段が試料のグループの1つに属する試料を外観検査を行う間に、他のグループに属する試料について前記前検査を行うこととしてよい。このために外観検査装置は、試料を試料のグループ毎に設置する試料設置部を備える。
【0024】
前検査手段として、前記外観検査手段とは別の外観検査装置を新たに設けてもよく、そのほか、前検査手段として、試料の表面形状を測定する表面形状測定手段や、試料表面に形成された薄膜の厚さを測定する膜厚測定手段を備えてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明により、外観検査手段が試料の1つを当該試料の前検査を、当該試料以外の他の試料の外観検査を行うのと平行して行うことが可能となる。これにより、例えば複数セットされる試料の1つを外観検査している間に、前検査手段がセットされた他の試料の検査を行うことが可能となり、外観検査のために待機する試料の待ち時間を有効に活用することが可能となる。
【0026】
さらに、本発明により、スループットに影響を与えることなく、ウエハ毎に存在する撮像画像のグレイレベル分布、表面形状分布、及びウエハ上面に形成される各薄膜の分布のバラツキに応じて、欠陥検出感度を補正して、より精度の高い欠陥検出を行うことが可能となる。
またさらに、各ウエハの程度に応じて抜き出し検査を行う被検査体を選択して、より効率の良い欠陥検出を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付する図面を参照して本発明の実施例を説明する。図6は、本発明の実施例の半導体パターン用外観検査装置の全体斜視図である。外観検査装置1は、図1〜図5を参照して説明した外観検査装置に類似する構成を有する外観検査部2と、外観検査部2による外観検査が行われるウエハ(試料)に対して、以下に例示する各種の検査を(以下、外観検査部2による外観検査と区別するために、「前検査」と呼ぶことがある)、外観検査部2による外観検査の前に行う前検査部3と、複数のウエハをそれぞれその内部に収容する複数のウエハカセット61及び62と、ウエハカセット61及び62内に収容される複数のウエハを選択して、外観検査部2及び前検査部3のいずれにも搬送することが可能な搬送部4と、ウエハカセット61及び62を設置して外観検査装置1にセットするための、本発明に係る試料設置部であるカセットラック41及び42を備える。
【0028】
図7は、搬送部4内部の基本構成図(平面図)であり、図8の(A)は搬送部内部の基本構成図(側断面図)であり、図8の(B)は、ウエハカセットの斜視図である。
図7及び図8の(A)に示すように、搬送部4の内部には、カセットラック41及び42にそれぞれセットされたウエハカセット61及び62内に収容される、複数のウエハ23のいずれかを選択して、外観検査部2及び前検査部3のいずれにも搬送するためのアーム機構43が備えられている。
【0029】
一方で、図8の(A)及び(B)に示すようにウエハカセット61、62は、複数のウエハ23を収容するためにその内部に複数の棚部63が設けられており、それぞれの棚部63の上にウエハ23を載置することにより、その内部にウエハ23を重ねて収容し、1ロット分の枚数(例えば25枚)のウエハ23をそれぞれのカセット内に収容できるように構成される。
【0030】
図7に示すアーム機構43の試料保持部44は、図8の(B)に示すように図のZ方向に昇降するアーム機構43の働きにより、ウエハカセット61、62内に重ねて載置されたウエハ23のいずれをも選択して取り出し、またはその反対にウエハ23をウエハカセット61、62内のいずれの棚に載置することも可能である。
【0031】
図9は、図6に示す外観検査部2のブロック図である。外観検査部2は、基本的に図1〜図5を参照して説明した外観検査装置に類似する構成を有しており、したがって同様の構成要素には、同じ参照番号を付して説明を省略する。
外観検査部2の検出閾値計算部27は、後述するように、前検査部3による試料の前検査の検査結果に応じて、外観検査の検査条件である検出閾値を補正する。このため検出閾値計算部27は、後述の前検査部3の統計処理部55からの出力を入力する。
また、外観検査部2は、前検査部3による試料の前検査の検査結果に応じて、前検査が行われた当該試料の外観検査を行うか否かを判断する検査適否判断部29を備え、検査適否判断部29は、ウエハカセット61、62内に収容された各ウエハ23のそれぞれについての前検査の結果に基づいて、外観検査を行うべきウエハ23を選択して、試料台22上に載置するようにアーム機構43を駆動する。また、検査適否判断部29は、外観検査を行うべきウエハ23のうちから、当該ウエハ23についての前検査の結果に基づいて、外観検査を行うべきチップを選択して、このチップに関する外観検査のみを行うようにステージ21を駆動する。
【0032】
なお、本実施例では、半導体ウエハ上の隣接するダイの画像を比較するために信号記憶部25を設けているが、別に記憶した基準試料の画像信号やCADなどのデータから生成した画像信号を差分検出部26に入力してグレイレベル差を生成することも可能であり、その場合には信号記憶部25を除くことができる。
【0033】
図10の(A)〜(B)は、図6の前検査部3のそれぞれの実施例のブロック図である。図10の(A)に示す前検査部3の第1実施例では、前検査部3は、図1を参照して説明した外観検査装置と同様の外観検査手段を有する。すなわち、2次元又は3次元方向に自在に移動可能なステージ51の上面に試料台(チャックステージ)52が設けられている。この試料台の上に、検査対象となる半導体ウエハ23を載置して固定する。ステージの上部には撮像装置53が設けられており、撮像装置53は半導体ウエハ23上に形成されたパターンの画像信号を発生させる。
そして、信号処理回路54によって画像信号の各画素部分のグレイレベル信号を生成し、統計処理部55は、ウエハ23の全体について生成されたグレイレベル信号の分布、分散、平均値などの統計情報を算出して、図9の外観検査部2の検査閾値計算部27及び検査適否判断部29へ出力する。または統計処理部55は、ウエハ23の各位置のグレイレベル信号や、ウエハ23上に予め区画された所定の各検査領域毎のグレイレベル信号の分布、分散、平均値を出力してもよい。
【0034】
ここで、このように前検査部3によって行われる外観検査(前検査)は、外観検査部2によって行われる外観検査よりも短時間で完了することが可能な検査であること、すなわち前検査部3のスループットは外観検査部2のスループットに比べて高いこと、が好ましい。例えば外観検査部2によって行われる外観検査がウエハ1枚あたり30分を要する場合に、前検査部3によって行われる前検査に要する時間をウエハ1枚あたり1分とすることにより、外観検査部2が一方のウエハカセット61に含まれるウエハ23の1枚を外観検査する間に、他方のウエハカセット62に含まれる25枚のウエハ23の全てについて前検査を実行することが可能となる。
【0035】
このために、例えば撮像装置53に使用される撮像素子は、図1の撮像装置24に使用される撮像素子よりも低解像度(少画素)の撮像素子が使用され、信号処理に要する時間を節約することによって前検査に要する時間を短縮してもよい。
または撮像装置53に使用される撮像素子に2次元CCDを採用して、ウエハ23全体を撮像する回数を減少させて、その間に行われるステージ51の移動回数を減らすことによって前検査に要する時間を短縮してもよい。
【0036】
図10の(B)に示す前検査部3の第2実施例では、前検査部3は、図1の外観検査装置の信号記憶部25及び差分検出部26と同様の信号記憶部56及び差分検出部57を有する。そして、撮像装置53による画像信号を多値のディジタル信号(グレイレベル信号)に変換して信号記憶部56に記憶する。そして、信号記憶部56に記憶された隣接する2個のダイの画像のグレイレベル信号を差分検出部57に入力して、2つのグレイレベル信号の差(グレイレベル差)が演算されて、そのグレイレベル差信号が統計処理部55に入力される。統計処理部55は、ウエハ23上について生成された隣接するダイ間のグレイレベル差信号の分布、分散、平均値などの統計情報や、各隣接するダイについて各ダイ毎に生成されたグレイレベル差信号の分布、分散、平均値などの各統計情報を算出して、図9の外観検査部2の検査閾値計算部27及び検査適否判断部29へ出力する。
【0037】
図11の(A)は、図9の外観検査部2の検査閾値計算部27の第1実施例に係る基本構成図である。検査閾値計算部27は、基本的に図3に示す検査閾値計算部に類似する構成を有しており、同様の構成要素には、同じ参照番号を付して説明を省略する。
検査閾値計算部27は、本発明に係る検査条件変更手段である閾値補正部35を備えている。
前検査部3による前検査である外観検査が行われたウエハ23が、図7に示すアーム機構43により外観検査部2に搬入されると、本発明に係る検査条件変更手段である閾値補正部35は、前検査部3内の統計処理部55から、そのウエハ23について算出されたウエハ23の全体のグレイレベル信号の分布、分散、平均値などの統計情報や、ウエハ23の各位置のグレイレベル信号、各検査領域毎のグレイレベル信号の分布、分散、平均値、あるいはウエハ23上について生成された隣接するダイ間のグレイレベル差信号の分布、分散、平均値などの統計情報や、ダイ毎のグレイレベル差信号の分布、分散、平均値などの各統計情報を入力する。
【0038】
そして、閾値補正部35は、前検査部3による前検査の検査結果である上記統計情報に応じて、外観検査部2の検査条件である上記検出閾値を変更する。検出閾値の補正は、例えば図12に示すように、検出閾値を算出する上記の所定の計算式(1)に補正項Cを追加して、この補正項Cを増減することにより行う。
すなわち、下記の計算式、
補正閾値T=元の閾値T’+C=(P1−b+VOP)/a+HO+C …(2)
により補正した閾値Tを求めることとし、補正項Cを増減することにより補正閾値Tを変更する。
【0039】
例えば、閾値補正部35は、前検査により測定されたウエハ23の全体のグレイレベル信号の平均値が大きい場合には検査閾値を増加させ(C>0)、平均値が小さい場合には検査閾値を減少させる(C<0)。また例えば、閾値補正部35は、ウエハ23の全体のグレイレベル信号の分布範囲が広い場合には検査閾値を増加させ(C>0)、狭い場合には検査閾値を減少させる(C<0)。さらに、例えば、閾値補正部35は、ウエハ23の全体のグレイレベル信号の分散が大きい場合には検査閾値を増加させ(C>0)、小さい場合には検査閾値を減少させる(C<0)。
【0040】
またさらに、ウエハ23全体について求めた隣接するダイ同士のグレイレベル差信号の分布範囲が広い場合には検査閾値を増加させ(C>0)、狭い場合には検査閾値を減少させる(C<0)。さらに、例えば、閾値補正部35は、グレイレベル差信号の分散が大きい場合には検査閾値を増加させ(C>0)、小さい場合には検査閾値を減少させる(C<0)。
また、ウエハ23の各位置のグレイレベル信号、各検査領域毎のグレイレベル信号の分布、分散、平均値や、各隣接するダイについて生成されたグレイレベル差信号の分布、分散、平均値などの各統計情報によって、同様の検査閾値をダイ毎に変更してもよい。
【0041】
図11の(B)は、図9の外観検査部2の検査閾値計算部27の第2実施例に係る基本構成図である。図11の(B)の検査閾値計算部27は、ウエハ23について行われた前検査の結果である、ウエハ23の各位置のグレイレベル信号、各検査領域毎のグレイレベル信号の分布、分散、平均値や、各隣接するダイについて生成されたグレイレベル差信号の分布、分散、平均値などの各統計情報に基づき、ウエハ23面上の各領域を検査結果が近い領域毎にグループ分けをする検査領域分類部36を備える。
【0042】
さらに、閾値決定部34によって決定された検出閾値を補正するための補正値を、ウエハ23について行われた前検査の結果に基づいて、検査領域分類部36によってグループ分けされた検査領域毎に決定する補正値決定部37と、グループ分けされた検査領域毎に決定された補正値を記憶し、外観検査部2が現在欠陥検出を行っているダイの位置情報に応じて、その位置に対応する検査領域の補正値を出力する補正値記憶部38と、を備える。そして、閾値補正部35は、補正値記憶部38から出力される補正値に基づいて、閾値決定部34によって決定された検出閾値を補正する。上記構成によって、ウエハ23の各位置のグレイレベル信号や、各検査領域毎のグレイレベル信号の分布、分散、平均値や、各隣接するダイについて生成されたグレイレベル差信号の分布、分散に応じて、ウエハ23面上の各領域をグループ分けし、各グループ毎に検出閾値の補正値を変更することが可能となる。
【0043】
図13の(A)は、図6の前検査部3の第3実施例のブロック図であり、図13の(B)は図6の前検査部3の第4実施例のブロック図である。
図13の(A)の前検査部3は、ウエハ23各位置の表面形状(凹凸)を測定する表面形状測定器58を備える。そして統計処理部55は、ウエハ23の各位置における凹凸量や、上記の各検査領域毎の凹凸量の分布、分散、平均値を出力する。
【0044】
そして図11の(A)に示す検査閾値計算部27の閾値補正部35は、前検査部3による前検査である表面形状測定が行われたウエハ23が、外観検査部2に搬入されると、前検査部3内の統計処理部55から、そのウエハ23について測定された、ウエハ23の各位置における凹凸量や、上記の各検査領域毎の凹凸量の分布、分散、平均値などの各統計情報を入力する。
そして、閾値補正部35は、前検査部3による前検査の検査結果である統計情報に応じて、外観検査部2の検査条件である上記検出閾値を、例えば上記式(2)に従い変更する。例えば、閾値補正部35は、凹凸量の分散が大きい場合には検査閾値を増加させ(C>0)、小さい場合には検査閾値を減少させる(C<0)。
【0045】
また、図11の(B)に示す検査閾値計算部27の構成により、ウエハ23の各位置の凹凸量や、各検査領域毎の凹凸量の分布、分散、平均値に応じて、ウエハ23面上の各領域をグループ分けし、各グループ毎に検出閾値の補正値を変更してもよい。
【0046】
図13の(B)の前検査部3は、ウエハ23の表面に形成されたパターンを形成する酸化膜や窒化膜の薄膜の厚さを測定する膜厚測定器59を備える。そして統計処理部55は、ウエハ23表面の各位置における膜厚や、上記の各検査領域毎の膜厚の分布、分散、平均値を出力する。
【0047】
そして図11の(A)に示す検査閾値計算部27の閾値補正部35は、前検査部3による前検査である膜厚測定が行われたウエハ23が、外観検査部2に搬入されると、前検査部3内の統計処理部55から、そのウエハ23について測定された、ウエハ23表面の各位置に形成された膜厚や、上記の各検査領域毎の膜厚の分布、分散、平均値などの各統計情報を入力する。
そして、閾値補正部35は、前検査部3による前検査の検査結果である統計情報に応じて、外観検査部2の検査条件である上記検出閾値を、例えば上記式(2)に従い変更する。例えば、閾値補正部35は、膜厚の分散が大きい場合には検査閾値を増加させ(C>0)、小さい場合には検査閾値を減少させる(C<0)。
【0048】
また、図11の(B)に示す検査閾値計算部27の構成により、ウエハ23の各位置の膜厚や、各検査領域毎の膜厚の分布、分散、平均値に応じて、ウエハ23面上の各領域をグループ分けし、各グループ毎に検出閾値の補正値を変更してもよい。
【0049】
図14は、本発明に係る外観検査装置の動作説明のためのフローチャートである。
最初にステップS11において、第1のカセットラック(以下、単に「ラック」と記す)41に第1のウエハカセットを、第2のラック42に第2のウエハカセットをセットする。
そしてステップS12において、第1のラック41にセットしたカセット内のウエハ23を、外観検査部2によって外観検査する。このとき、第1のラックのウエハ23は、まだ前検査部3による前検査を経ていないため、外観検査部2は、第1のラック41にセットされたウエハ23を、無作為に抜き出して外観検査するか、あるいはその全てについて検査する。
【0050】
ステップS13では、外観検査部2がステップS12で外観検査を行うのと平行して、前検査部3が、第2のラック42にセットしたウエハ23を前検査する。上述の通り前検査部3を、外観検査部2よりも高いスループットで検査を行うように構成することによって、外観検査部2が、第1のラック41にセットしたウエハのうちの1枚又は所定枚数のウエハ23を外観検査する間に、前検査部3は、第2のラック42にセットしたウエハ23の全てについて、前検査を完了するようにしてもよい。
例えば、上記の例の通り、ウエハ1枚あたりの外観検査時間を30分とし、ウエハ1枚あたりの前検査時間を1分とし、1つのカセットに収容されるウエハ枚数を25枚とすれば、外観検査部2が1枚のウエハ23を外観検査する間に、前検査部3は、1つのカセット内のウエハ23の全てについて前検査を完了する。
【0051】
従って、ステップS12による第1のラックにセットしたウエハ23についての外観検査が完了した時には、すでにステップS13による前検査が完了し、図9に示す外観検査部2の検出閾値計算部27と検査適否判断部29は、次の外観検査の対象である第2のラックにセットしたウエハ23ついての前検査結果を得ることができる。
【0052】
図14に戻り、ステップS14では、外観検査部2の検査適否判断部29は、前検査結果に基づき、第2のラック42にセットしたウエハ23のうち、例えば、前検査結果が悪い(例えばグレイレベル、凹凸量、膜厚の分散が大きいなど)ウエハ23のみを、その検査対象として選択する。そしてステップS15では、検出閾値計算部27が検査対象として選択されたウエハ23について取得された前検査の結果に基づき、検出閾値の補正値を決定する。そして、ステップS16では、ステップS14で選択されたウエハ23のみを外観検査する。このとき検出閾値計算部27は、ステップS15で決定された補正値に基づき検出閾値を補正する。
【0053】
ステップS17では、第1のラック41から外観検査の済んだウエハカセットを取り出し、次に検査を行うウエハカセットに交換する。ステップS18において、外観検査部2が第2のラック42にセットしたウエハ23についての外観検査を行っているのと平行して、前検査部3は、第1のラック41にセットしたウエハ23について前検査を行う。この前検査もまた、外観検査部2が外観検査を行う間に完了する。
【0054】
そして、ステップS19において、外観検査部2の検査適否判断部29は、第1のラック41についての前検査結果に基づき、第1のラック41にセットしたウエハ23のうち、その検査対象とすべきウエハ23を選択する。そしてステップS20では、このウエハ23について取得された前検査の結果に基づき、検出閾値計算部27が検出閾値の補正値を決定する。そして、ステップS21では、ステップS19で選択されたウエハ23のみを外観検査する。このとき検出閾値計算部27は、ステップS20で決定された補正値に基づき検出閾値を補正する。
【0055】
ステップS22では、第2のラック42から外観検査の済んだウエハカセットを取り出し、次に検査を行うウエハカセットに交換する。ステップS23において、外観検査部2が第1のラック41にセットしたウエハ23についての外観検査を行っているのと平行して、前検査部3は、第2のラック42にセットしたウエハ23について前検査を行う。
【0056】
このようなステップS14からS23までを、検査終了まで繰り返すことにより(S24)、前検査部3は、外観検査部2による外観検査を行う前に実施されるべき前検査を、外観検査部2が他のウエハカセット(他のロット)についての外観検査を行っている間に平行して実行することができる。このため前検査部3による前検査により外観検査装置1全体へのスループットに与える影響を極力低減することが可能となる。
また、従来の抜き出し検査では一部のウエハのみが検査され、他のウエハについては全く検査されなかったところ、本外観検査装置では、全てのウエハについて前検査部3による検査が実施されるので、検査精度の向上を図ることが可能となる。
【0057】
なお、ステップS16及びS21にて、それぞれステップS14及びS19で選択されたウエハ23の外観検査を行う際に、当該ウエハ23について取得された前検査の結果に基づいて、外観検査を行うべきチップ(例えば前検査で欠陥を含む可能性が高い結果が得られたチップ)のみを選択して、そのチップのみについて外観検査を行うこととしてよい。このため、検査適否判断部29は、選択されたチップの外観検査のみを行うのに必要な部分のみを撮像するようにステージ21を駆動して、それ以外の部分はスキップすることとしてもよい。このように外観検査を行うべきチップを限定することにより、外観検査に要する時間を節約することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、試料の表面を撮像して得た撮像画像から、試料の外観を検査する外観検査装置及び外観検査方法に適用可能であり、特に半導体製造工程で半導体ウエハ上に形成した半導体回路パターンの欠陥を検出する外観検査装置及び外観検査方法に好適に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】従来の外観検査装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】半導体ウエハ上のダイの配列を示す図である。
【図3】図1の外観検査装置の検出閾値計算部の構成例を示すブロック図である。
【図4】図3の検出閾値計算部の検出閾値計算処理を示すフローチャートである。
【図5】検出閾値を決定する処理を説明する図である。
【図6】本発明の実施例の半導体パターン用外観検査装置の全体斜視図である。
【図7】搬送部内部の基本構成図(平面図)である。
【図8】(A)は搬送部内部の基本構成図(側断面図)であり、(B)はウエハカセットの斜視図である。
【図9】図6の外観検査部のブロック図である。
【図10】(A)は図6の前検査部の第1実施例のブロック図であり、(B)は図6の前検査部の第2実施例のブロック図である。
【図11】(A)は、図9の外観検査部の検査閾値計算部の第1実施例に係る基本構成図であり、(B)は、図9の外観検査部の検査閾値計算部の第2実施例に係る基本構成図である。
【図12】検出閾値の補正方法の説明図である。
【図13】(A)は図6の前検査部の第3実施例のブロック図であり、(B)は図6の前検査部の第4実施例のブロック図である。
【図14】本発明に係る外観検査装置の動作説明のためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
1 外観検査装置
2 外観検査部
3 前検査部
4 搬送部
23 ウエハ
23A ダイ
41、42 カセットラック
43 アーム機構
61、62 ウエハカセット
63 棚部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の試料について、それぞれその表面を撮像して得た撮像画像から、各前記試料のそれぞれの外観を検査する外観検査手段と、
前記外観検査手段が当該試料の外観検査を行う前に、当該試料について所定の前検査を行う前検査手段と、を備え、
前記前検査手段は、当該試料について前記前検査を、前記外観検査手段による当該試料以外の他の試料の外観検査と平行して行う、
ことを特徴とする外観検査装置。
【請求項2】
前記外観検査手段は、当該試料について行われた前記前検査の結果に基づき、外観検査の検査条件を変更する検査条件変更手段を有することを特徴とする請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項3】
前記外観検査手段は、当該試料について行われた前記前検査の結果に基づき、当該試料の外観検査を行うか否かを判断する検査適否判断手段、を有することを特徴とする請求項2に記載の外観検査装置。
【請求項4】
前記外観検査手段は、当該試料について行われた前記前検査の結果に基づき、前記試料の検査面上の検査領域をグループ分けし、前記検査条件を検査領域の前記グループ毎に設定することを特徴とする請求項2又は3に記載の外観検査装置。
【請求項5】
複数の試料について、それぞれその表面を撮像して得た撮像画像から、各前記試料のそれぞれの外観を検査する外観検査手段と、
前記外観検査手段が当該試料の外観検査を行う前に、当該試料について所定の前検査を行う前検査手段と、を備え、
前記外観検査手段は、当該試料について行われた前記前検査の結果に基づき、当該試料の外観検査を行うか否かを判断する検査適否判断手段を有し、
前記前検査手段は、当該試料について前記前検査を、前記外観検査手段による当該試料以外の他の試料の外観検査と平行して行う、
ことを特徴とする外観検査装置。
【請求項6】
前記試料は、前記外観検査装置にグループに分けてセットされ、
前記前検査手段は、前記外観検査手段が前記試料のグループの1つに属する前記試料を外観検査を行う間に、他のグループに属する前記試料について前記前検査を行う、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の外観検査装置。
【請求項7】
前記外観検査装置は、前記試料を前記試料のグループ毎にセットする試料設置部を備えることを特徴とする請求項6に記載の外観検査装置。
【請求項8】
前記外観検査装置は、前記外観検査手段としての第1の外観検査手段と、前記前検査手段として第2の外観検査手段を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の外観検査装置。
【請求項9】
前記前検査手段として、前記試料の表面形状を測定する表面形状測定手段を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の外観検査装置。
【請求項10】
前記前検査手段として、前記試料の表面に形成された薄膜の厚さを測定する薄膜測定手段を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の外観検査装置。
【請求項1】
複数の試料について、それぞれその表面を撮像して得た撮像画像から、各前記試料のそれぞれの外観を検査する外観検査手段と、
前記外観検査手段が当該試料の外観検査を行う前に、当該試料について所定の前検査を行う前検査手段と、を備え、
前記前検査手段は、当該試料について前記前検査を、前記外観検査手段による当該試料以外の他の試料の外観検査と平行して行う、
ことを特徴とする外観検査装置。
【請求項2】
前記外観検査手段は、当該試料について行われた前記前検査の結果に基づき、外観検査の検査条件を変更する検査条件変更手段を有することを特徴とする請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項3】
前記外観検査手段は、当該試料について行われた前記前検査の結果に基づき、当該試料の外観検査を行うか否かを判断する検査適否判断手段、を有することを特徴とする請求項2に記載の外観検査装置。
【請求項4】
前記外観検査手段は、当該試料について行われた前記前検査の結果に基づき、前記試料の検査面上の検査領域をグループ分けし、前記検査条件を検査領域の前記グループ毎に設定することを特徴とする請求項2又は3に記載の外観検査装置。
【請求項5】
複数の試料について、それぞれその表面を撮像して得た撮像画像から、各前記試料のそれぞれの外観を検査する外観検査手段と、
前記外観検査手段が当該試料の外観検査を行う前に、当該試料について所定の前検査を行う前検査手段と、を備え、
前記外観検査手段は、当該試料について行われた前記前検査の結果に基づき、当該試料の外観検査を行うか否かを判断する検査適否判断手段を有し、
前記前検査手段は、当該試料について前記前検査を、前記外観検査手段による当該試料以外の他の試料の外観検査と平行して行う、
ことを特徴とする外観検査装置。
【請求項6】
前記試料は、前記外観検査装置にグループに分けてセットされ、
前記前検査手段は、前記外観検査手段が前記試料のグループの1つに属する前記試料を外観検査を行う間に、他のグループに属する前記試料について前記前検査を行う、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の外観検査装置。
【請求項7】
前記外観検査装置は、前記試料を前記試料のグループ毎にセットする試料設置部を備えることを特徴とする請求項6に記載の外観検査装置。
【請求項8】
前記外観検査装置は、前記外観検査手段としての第1の外観検査手段と、前記前検査手段として第2の外観検査手段を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の外観検査装置。
【請求項9】
前記前検査手段として、前記試料の表面形状を測定する表面形状測定手段を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の外観検査装置。
【請求項10】
前記前検査手段として、前記試料の表面に形成された薄膜の厚さを測定する薄膜測定手段を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の外観検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−242681(P2006−242681A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−57083(P2005−57083)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(000151494)株式会社東京精密 (592)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(000151494)株式会社東京精密 (592)
【Fターム(参考)】
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