説明

外部カチオン電荷を含むチオール/ジスルフィド蛍光着色剤を含有する染色用組成物、および前記着色剤を使用してケラチン物質を明色化する方法

本発明は、外部カチオン電荷を含むチオール/ジスルフィド蛍光着色剤を含む染色用組成物、および前記組成物を使用する、ケラチン物質、特にケラチン繊維、特に髪などのヒトのケラチン繊維の、明色化効果を有する着色方法に関する。本発明は、新規のチオール/ジスルフィド蛍光染料、およびケラチン物質を明色化するためのその使用にも関する。
前記組成物は、暗色ケラチン繊維に対して特に落ちにくく目に見える明色化効果をもたらすことを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部カチオン電荷を含むチオール/ジスルフィド蛍光染料を使用するケラチン繊維の染色に関する。
【背景技術】
【0002】
直接染色によりケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維を染色することは公知の習慣である。直接染色に従来使用されている方法は、ケラチン繊維に対して親和性を有する着色された分子または着色性分子である直接染料をケラチン繊維に塗布する段階と、それらを拡散させておく段階と、次いでその繊維をリンスする段階とを含む。
【0003】
従来使用されている直接染料は、例えば、ニトロベンゼン種の染料、アントラキノン染料、ニトロピリジン染料、またはアゾ種、キサンテン種、アクリジン種、アジン種もしくはトリアリールメタン種の染料である。
【0004】
直接染料の使用の結果生じる着色は一時的着色または半永久的着色であるが、その理由は、直接染料をケラチン繊維に結合させる相互作用の性質ならびにその繊維の表面および/または芯からの該染料の離脱が、該染料の弱い染色力ならびに洗浄作業に対する耐性不良または耐汗性不良の原因となるからである。
【0005】
さらに、従来の直接染料を使用するケラチン繊維の着色では、ケラチン繊維を有意に明色化することはできない。
【0006】
ケラチン繊維、より詳細には、暗色ケラチン繊維の色を、より明るい色合いに、場合によりその色合いを変えることにより明色化することは、重要な要望となっている。
【0007】
従来、より明るい着色を得るためには、化学的脱色法が使用される。この方法は、通常アルカリ媒体中で、通常過酸化水素からなる強酸化システムを、できる限り過酸基塩と組み合わせて使用して、ケラチン繊維、特に、髪などのケラチン物質を処理する段階を含む。
【0008】
この脱色システムは、ケラチン物質、特にケラチン繊維、特に髪などのヒトのケラチン繊維を損傷する欠点およびそれらの化粧料特性に悪影響を及ぼす欠点を有する。実際、この繊維は、粗くなり、解くのがより困難になり、より脆弱になる傾向を有する。最後に、酸化剤を使用してケラチン繊維を明色化または脱色することと、特に整髪処理の際の、前記繊維の形状を変える処理とは両立しない。
【0009】
別の明色化技法は、蛍光直接染料を暗色の髪に塗布する段階を含む。特に文献FR2830189およびWO2004/091473に記載のこの技法によって、その処理中ケラチン繊維の質を保持することは可能となるが、使用される蛍光染料はシャンプー作業に対して十分な耐性を示さない。
【0010】
直接染料の堅牢度を高めるために、共有結合により直接染料を髪に固定することは公知の習慣である。例えば、反応基を含む染料とケラチン繊維中の非常に多数のシスチンまたはシステイン残基とを反応させることは公知の習慣であり、例えば、Journal of the Society of Dyers and Colourists、GuiseおよびStapleton、91、259〜264頁(1975)、Journal of Cosmetic Chemistry、42、1〜17頁(1991)、CA2024509を参照されたい。
【0011】
さらに、髪にグラフトされる分子中に含有されるチオール官能基(複数も)を保護してからそれらを前記髪に塗布することは公知の習慣である(WO99/51194)。しかしながら、この塗布は、髪を染色または明色化するための蛍光染料の使用について言及していない。
【0012】
ケラチン繊維を染色するための公知の他のジスルフィド染料は、アミノチオフェノール誘導体のジスルフィド誘導体である。このような染料は、例えば、特許FR1156407に記載されている。これらの染料は、比較的温和な条件下で、若干減少した媒体の存在下でまたは髪の前処理剤が低減した後に使用できる。しかしながらこれらの染料は、塗付中に色の変化をもたらす恐れがある。
【0013】
最後に、文献WO2005/097051には、ケラチン繊維を直接染色するためのアザイミダゾリウムジスルフィド染料が記載されている。
【特許文献1】FR2830189
【特許文献2】WO2004/091473
【特許文献3】CA2024509
【特許文献4】WO99/51194
【特許文献5】FR1156407
【特許文献6】WO2005/097051
【特許文献7】DE19951134
【特許文献8】FR2586913
【非特許文献1】Journal of the Society of Dyers and Colourists、GuiseおよびStapleton、91、259〜264頁(1975)
【非特許文献2】Journal of Cosmetic Chemistry、42、1〜17頁(1991)
【非特許文献3】Massonにより出版されている、Charles Zviakによる書籍「Science des traitements capillaires」[Hair treatment sciences]、1988、215〜278頁
【非特許文献4】「Protective Groups in Organic Synthesis」、T.W.Greene、John Willey & Sons publisher、NY、1981、193〜217頁
【非特許文献5】「Protecting Groups」、P.Kocienski、Thieme、第3版、2005、5章
【非特許文献6】「Thiols and organic Sulfides」、「Thiocyanates and Isothiocyanates,organic」、Ullmann’s Encyclopaedia、Wiley-VCH、Weinheim、2005
【非特許文献7】Advanced Organic Chemistry、J.March、第4版、John Willey & Sons、1992
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、既存の脱色方法の欠点を有さない、ケラチン物質、特にヒトのケラチン繊維、特に髪を染色するための新規システムを提供することである。特に、本発明の目的の1つは、継続的なシャンプー作業に対する耐性があり、ケラチン繊維を損傷せず、ケラチン繊維の化粧料特性に悪影響を及ぼさない、特に、生来または人工的に暗色のケラチン繊維に対して明色化効果を得るための直接染色システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的は、本発明を使用して達成され、その主題は、ケラチン物質、特にケラチン繊維、特に髪などのヒトのケラチン繊維、より詳細には、暗色の髪を染色する方法であって、以下の式(I)または(II)の染料
【0016】
【化1】

【0017】
[式(I)または(II)において、
およびR’は、同一でも異なっていてもよく、ヒドロキシル基、アミノ基、(C〜C)アルキルアミノ基もしくは(C〜C)ジアルキルアミノ基で置換されていてもよいアリール(C〜C)アルキル基または(C〜C)アルキル基を表し、前記アルキル基は、それらの基を結合している窒素原子と共に、窒素と異なっても同一であってもよい別のヘテロ原子を場合により含み5〜7員を含む複素環を形成してもよく、好ましくはRおよび/またはR’は、ヒドロキシル基で置換されていてもよい(C〜C)アルキル基、またはベンジル基を表し、
およびR’は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、置換されていてもよいアリール(C〜C)アルキル基もしくは(C〜C)アルキル基を表し、特に、Rおよび/またはR’は、水素原子または(C〜C)アルキル基またはベンジル基を表し、
、R’、R”およびR”’は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アミノ、(C〜C)アルキルアミノ、(C〜C)ジアルキルアミノまたはトリフルオロメチルの各基、アシルアミノ、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルカルボニルオキシ、(C〜C)アルコキシカルボニル、(C〜C)アルキルカルボニルアミノまたは(C〜C)アルキルスルホニルアミノの各基、または(C〜C)アルキル基を表し、
、R’、R”、およびR”’は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、(C〜C)ジアルキルアミノまたは(C〜C)アルキルカルボニルアミノの各基、アシルアミノまたは(C〜C)アルキルスルホニルアミノの各基または(C〜C)アルキル基を表し、特に、R、R’、R”、およびR”’は、水素原子または(C〜C)アルキル基を表し、
そうでなければ、2つの隣接した炭素原子に結合している2つの基RおよびR’、R”およびR”’、RおよびR’、R”およびR”’は、一緒になってベンゾ環もしくはインデノ環または縮合複素環式アルキル基もしくは縮合ヘテロアリール基を形成し;そのベンゾ環、インデノ環、複素環式アルキル環もしくはヘテロアリール環は、ハロゲン原子、アミノ、(C〜C)アルキルアミノ、(C〜C)ジアルキルアミノ、シアノ、カルボキシル、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、アシルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜C(ポリ)ヒドロキシアルコキシ、(C〜C)アルキルカルボニルオキシ、(C〜C)アルコキシカルボニルまたは(C〜C)アルキルカルボニルアミノの各基、アシルアミノ、カルバモイルもしくは(C〜C)アルキルスルホニルアミノの各基、アミノスルホニル基、あるいは(C〜C12)アルコキシ、ヒドロキシル、シアノ、カルボキシル、アミノ、(C〜C)アルキルアミノおよび(C〜C)ジアルキルアミノから選択される基で置換されていてもよい(C〜C16)アルキル基で置換されていてもよく、そうでなければそのアミノ基の窒素原子に結合している2つのアルキル基が、その窒素原子と同一かもしくは異なる別のヘテロ原子を場合により含み5〜7員を含む複素環を形成してもよく、特に、RおよびR’、R”およびR”’は、一緒になってベンゾ基を形成してもよく、
、R’、R”およびR”’は、同一でも異なっていてもよく、水素原子または(C〜C)アルキル基を表し、特に水素原子を表し、
、R、R、R、R’、R’、R’およびR’は、同一でも異なっていてもよく、水素原子または(C〜C)アルキル基を表し、特にR、R、R、R、R’、R’、R’およびR’は水素原子を表し、
【0018】
【化2】

【0019】
は、存在しても存在しなくてもよい、ベンゾ基を表し、
およびTは、同一でも異なっていてもよく、
i)いずれかがσ共有結合、
ii)あるいは−N(R)−および−N(R)(R゜)−から選択される基であって、ここでRおよびR゜は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、C〜Cアルキル基もしくはC〜Cヒドロキシアルキル基、もしくはアリールC〜Cアルキルを表しており、
iii)あるいは好ましくは、1つまたは2つのヘテロ原子、特に2つの窒素原子を含み、ならびに例えばイミダゾリウムのような、つまり6員の飽和複素環
【0020】
【化3】

【0021】
(ここでAは酸素またはイオウ原子あるいはCHまたはNR゜基を表し、ここでR゜は上記で定義したとおりであり、Anはアニオン性対イオンを表す)
のような、特に5から7員を含む、単環式で、カチオン性または非カチオン性の、複素環式アルキル基またはヘテロアリール基
を表し、
好ましくはTおよびTは共有結合を表し、
m、m’、nおよびn’は、同一でも異なっていてもよく、0〜6の両端を含めた整数を表し、m+nおよびm’+n’は、同一でも異なっていてもよく、1〜10の両端を含めた整数を表し、特に、m+n=m’+n’の合計は2〜4の両端を含めた整数であり、好ましくは、TおよびTがσ共有結合を表すとき、m+n=m’+n’は2と等しい整数であり、
がσ共有結合を表すとき、Yは、
[置換されていてもよいアリールであって、例えばフェニル、ジベンゾスベリルまたは1,3,5−シクロヘプタトリエニル、
置換されていてもよい、1から4個のヘテロ原子を含む、特には芳香族の、カチオン性または非カチオン性のヘテロアリールであって、例えば{
i)5−,6−もしくは7員の単環式ヘテロアリールであって例えばフラニルもしくはフリル、ピロリルもしくはピリル、チオフェニル、もしくはチエニル、ピラゾリル、オキサゾリル、オキサゾリウム、イソオキサゾリル、イソオキサゾリウム、チアゾリル、チアゾリウム、イソチアゾリル、イソチアゾリウム、1,2,4−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリウム、1,2,3−トリアゾリル、1,2,3−トリアゾリウム、1,2,4−オキサゾリル、1,2,4−オキサゾリウム、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリウム、ピリリウム、チオピリジル、ピリジニウム、ピリミジニル、ピリミジニウム、ピラジニル、ピラジニウム、ピリダジニル、ピリダジニウム、トリアジニル、トリアジニウム、テトラジニル、テトラジニウム、アゼピン、アゼピニウム、オキサゼピニル、オキサゼピニウム、チエピニル、チエピニウム、イミダゾリルもしくはイミダゾリウムなど;
ii)8から11員の二環式へテロアリールであって例えば、インドリル、インドリニウム、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイミダゾリウム、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサゾリウム、ジヒドロベンゾオキサゾリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアゾリウム、ピリドイミダゾリル、ピリドイミダゾリウムまたはチエノシクロヘプタジエニルなど、これらの単環式または二環式基は、(C〜C)アルキル、例えばメチル、またはポリハロ(C〜C)アルキル、例えばトリフルオロメチルなどの1つまたは複数の基によって、置換されていてもよい;
iii)あるいは下記の三環式ABC:
【0022】
【化4】

【0023】
(式中、2つの環AおよびCは、任意選択でヘテロ原子を含み、環Bは、5、6または7員、特に6員の環であり、少なくとも1つのヘテロ原子、例えばピペリジルまたはピラニルを含む;)
}など、
{任意選択でカチオン性の、任意選択で置換された複素環式アルキルであって、この複素環式アルキル基は、特に、飽和または部分的に飽和の、酸素、イオウおよび窒素から選択される1から4個のヘテロ原子を含む5、6または7員の単環式基、例えば、ジ/テトラヒドロフラニル、ジ/テトラヒドロチオフェニル、ジ/テトラヒドロピロリル、ジ/テトラヒドロピラニル、ジ/テトラ/ヘキサヒドロチオピラニル、ジヒドロピリジル、ピペラジニル、ピペリジニル、テトラメチルピペリジニル、モルホリニル、ジ/テトラ/ヘキサヒドロアゼピニルまたはジ/テトラヒドロピリミジニルなどを表し、これらの基は、(C〜C)アルキル、オキソまたはチオキソなどの1つまたは複数の基によって、任意選択で置換されている;あるいはこの複素環は下記の基を表す:)
【0024】
【化5】

【0025】
(式中、R’、R’、R’、R’、R’およびR’は、同一でも異なっていてもよく、水素原子またはアルキル基を表し、あるいは2つの基R’とR’、および/またはR’とR’がオキソまたはチオキソ基を形成するか、あるいはR’がR’と、一緒になってシクロアルキルを形成し;vが1と3との間の、境界値を含む整数を表し;好ましくはR’からR’が水素原子を表し;Anはアニオン性対イオンを表す;)}
任意選択で置換された(ジ)アリールアルキルであって例えば、(C〜C)アルキル、メトキシ、ヒドロキシル、(C〜C)アルキルカルボニルなどの(C〜C)アルコキシ、あるいは例えばジメチルアミノなどの(ジ)(C〜C)(アルキル)アミノから特に選択される1つまたは複数の基によって任意選択で置換された9−アントラセニルメチル、フェニルメチルまたはジフェニルメチルなど;
任意選択で置換された(ジ)ヘテロアリールアルキルであって、このヘテロアリール基は特に、カチオン性または非カチオン性で、窒素、酸素およびイオウから選択される1から4個のヘテロ原子を含む5または6員の単環式基であり、例えば、(C〜C)アルキル、特にメチルなどの1つまたは複数の基によって、任意選択で置換された、ピロリル、フラニル、チオフェニル、ピリジル、4−ピリジルN−オキシドもしくは2−ピリジルN−オキシドなどのピリジルN−オキシド、ピリリウム、ピリジニウムまたはトリアジニルなどであり、有利には、(ジ)ヘテロアリールアルキルは、(ジ)ヘテロアリールメチルまたは(ジ)ヘテロアリールエチルである;
立体障害環式基であって、例えばアダマンチル基;]
から選択される基を表し、
が−N(R)−、−N(R)(R゜)−、またはカチオン性もしくは非カチオン性の、複素環式アルキルまたはヘテロアリール基を表すとき、Yは、i)水素原子、ii)アルカリ金属、iii)アルカリ土類金属、iv)アンモニウム基:Nαβγδもしくはホスホニウム基:Pαβγδ(ここでRα、Rβ、RγおよびRδは、同一でも異なっていてもよく、水素原子もしくは(C〜C)アルキル基を表す)、またはv)チオール官能基保護基から選択される基を表し、ならびに、
M’は、アニオン性対イオンを表し、
式(I)または(II)の化合物が他のカチオン性部分を含有する場合、1つまたは複数のアニオン性対イオンと結合するため、式(I)または(II)は電気的中性を達成できることが理解される]、
その有機酸塩または鉱酸塩、それらの光学異性体および幾何異性体、ならびに水和物などのその溶媒和物から選択される、外部カチオン電荷を含む少なくとも1つのピリジニウム蛍光染料を化粧料として適切な媒体中に含む染料組成物をそのケラチン物質に塗付する段階を含む方法である。
【0026】
本発明の別の主題は、上記で定義した式(I)または(II)の染料から選択される少なくとも1つの蛍光染料を適切な化粧料用媒体中に含み、場合により還元剤も含む染料組成物である。
【0027】
本発明の主題は、上記で定義した式(I)または(II)の新規蛍光染料でもある。
【0028】
本発明による染色方法によって、暗色ケラチン物質、特にヒトの暗色ケラチン繊維、特に暗色髪を明色化することが可能になる。
【0029】
さらに、本発明の方法によって、ケラチン物質、特にヒトのケラチン繊維、特に髪の着色を、シャンプー作業、日常的侵襲(太陽光、発汗)、および髪の他の処理に関して長く続く前記物質を損傷せずに達成することが可能になる。本発明の方法によって、ケラチン繊維、特に暗色ケラチン繊維、より詳細には暗色髪などのケラチン物質の明色化を達成することも可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明では、用語「暗色ケラチン物質」は、C.I.E.L*a*b*システムで測定されるL*の明度が、L*=0が黒色に等しくL*=100が白色に等しいことも考慮して、45以下、好ましくは40以下を示す物質を意味することが意図される。
【0031】
本発明では、表現「生来または人工的に暗色の髪」は、色調の高さが6以下(ダークブロンド色)、好ましくは4以下(赤茶色)である髪を意味することが意図される。
【0032】
髪の明色化は、式(I)または(II)の化合物を塗付する前または塗付した後の「色調の高さ」の変化量によって評価される。
【0033】
「色調」の概念は自然な色合いの分類に基づき、1つの色調により、各色合いがそのすぐ次のまたはそのすぐ前の色合いから区別される。この定義および自然な色合いの分類は、ヘアスタイリングの専門家に周知であり、Massonにより出版されている、Charles Zviakによる書籍「Science des traitements capillaires」[Hair treatment sciences]、1988、215〜278頁に公開されている。
【0034】
色調の高さは1(黒色)〜10(非常に明るいブロンド色)の範囲にあり、一単位は1つの色調に相当し、その数が高ければ高いほどその色合いはより薄い。
【0035】
人工的に着色した髪は、染色処理、例えば直接染料または酸化染料を使用した染色により変えられた色の髪である。
【0036】
好ましくは、この組成物を髪に塗付した後、例えば赤茶色の髪に塗付した後、以下の結果に至るはずである。
400〜700ナノメートルの波長範囲内の可視光で髪が照射される場合の髪の反射性能レベルに関心を集中させる。
次いで、波長、本発明の組成物で処理した髪および未処理の髪の関数としての反射率曲線を比較する。
処理した髪に相当する曲線は、未処理の髪に相当する曲線より高い、500〜700ナノメートルの波長範囲内の反射率を示すはずである。
このことは、540〜700ナノメートルの波長範囲内に、処理した髪に相当する反射率曲線が、未処理の髪に相当する反射率曲線より高い少なくとも1つの範囲があることを意味する。用語「より高い」は、少なくとも0.05%、好ましくは少なくとも0.1%の反射率の差を意味することが意図される。それでもやはり、540〜700ナノメートルの波長範囲内に、処理した髪に相当する反射率曲線が、未処理の髪に相当する反射率曲線に重なるかまたはそれより低い少なくとも1つの範囲があってもよい。
【0037】
処理した髪の反射率曲線と未処理の髪の反射率曲線との差が最大となる波長は、500〜650ナノメートルの波長範囲内、好ましくは550〜620ナノメートルの波長範囲内にあることが好ましい。
【0038】
本発明では、特に指示しない限り:
「アリール」基もしくは「ヘテロアリール」基は、
〜C16、好ましくはC〜Cのアルキル基、
塩素、フッ素または臭素などのハロゲン原子、
ヒドロキシル基、
〜Cアルコキシ基、
〜Cアルキルチオ基、
〜C(ポリ)ヒドロキシアルコキシ基、
アミノ基、
同一でも異なっていてもよく、
i)1つのヒドロキシル基、
ii)1つのアミノ基
を場合により少なくとも1つ結合している1つまたは2つのC〜Cアルキル基で置換されているアミノ基、
R基が、水素原子または少なくとも1つのヒドロキシル基を場合により結合しているC〜Cアルキル基であり、R’基がC〜Cアルキル基であるアシルアミノ(−NR−COR’)基、
R基が、同一であってもなくてもよく、水素原子、または少なくとも1つのヒドロキシル基を場合により結合しているC〜Cアルキル基を表すカルバモイル((R)N−CO−)基、
R基が、水素原子または少なくとも1つのヒドロキシル基を場合により結合しているC〜Cアルキル基を表し、R’基がC〜Cアルキル基を表すアルキルスルホニルアミノ(R’SO−NR−)基、
R基が、同一であってもなくてもよく、水素原子または少なくとも1つのヒドロキシル基を場合により結合しているC〜Cアルキル基を表すアミノスルホニル((R)N−SO−)基、
酸形態または塩化形態のカルボキシル基(好ましくは、アルカリ金属またはアンモニウムを有し、置換されているまたは置換されていない)、
シアノ基、
1〜6個の炭素原子および同一でも異なっていてもよい1〜6個のハロゲン原子を含有する、例えばトリフルオロメチルであるポリハロアルキル基
から選択される、炭素原子に結合している少なくとも1つの置換基で置換されていてもよく、
非芳香族基の環式部分または複素環式部分は、
ヒドロキシル、
〜Cアルキル、
〜Cアルコキシ、
〜C(ポリ)ヒドロキシアルコキシ、
〜Cアルキルチオ基、
R’基が、水素原子またはC〜Cアルキル基であり、R基が、水素原子、C〜Cアルキル基または同一でも異なっていてもよい2つのC〜Cアルキル基で置換されているアミノ基であるRCO−NR’−(ここで前記アルキル基は、窒素と異なっていても同一であってもよい少なくとも1つの別のヘテロ原子を場合により含み5〜7員環を含む、置換されていてもよい飽和または不飽和の複素環を、それらの基に結合している窒素原子と共に形成してもよい)、
R基が、C〜Cアルキル基または同一でも異なっていてもよい1つもしくは2つのC〜Cアルキル基で置換されているアミノ基であるRCO−O−(ここで前記アルキル基は、窒素と異なっていても同一であってもよい少なくとも1つの他のヘテロ原子を場合により含み5〜7員を含む、置換されていてもよい飽和または不飽和の複素環を、それらの基に結合している窒素原子と共に形成してもよい)、
R基が、C〜Cアルキル基または同一でも異なっていてもよい2つのC〜Cアルキル基で置換されているアミノ基であるRO−CO−(ここで前記アルキル基は、窒素と異なっていても同一であってもよい少なくとも1つの他のヘテロ原子を場合により含み5〜7員を含む、置換されていてもよい飽和または不飽和の複素環を、それらの基に結合している窒素原子と共に形成してもよい)
の各基から選択される、炭素原子に結合している少なくとも1つの置換基で置換されていてもよく、
アリールまたはヘテロアリール基の環式基もしくは複素環式基または非芳香族部分は、1つまたは複数のオキソ基またはチオキソ基でも置換されていてもよく、
「アリール」基は、6〜22個の炭素原子を含有する、縮合したまたは縮合していない単環式基または多環式基を表し、その少なくとも1つの環は芳香族であり、好ましくは、アリール基は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、インデニル、アントラセニルまたはテトラヒドロナフチルであり、
「ジアリールアルキル」基は、ジフェニルメチルまたは1,1−ジフェニルエチルなどの、同一でも異なっていてもよい2つのアリール基をアルキル基の同じ炭素原子上に含む基を表し、
「ヘテロアリール基」は、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される1〜6個のヘテロ原子を含み5〜22員を含む、場合によりカチオン性で縮合したまたは縮合していない単環式基または多環式基を表し、その少なくとも1つの環は芳香族であり、好ましくは、ヘテロアリール基は、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾビストリアゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾピリダジニル、ベンゾキノリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ピリジニル、テトラゾリル、ジヒドロチアゾリル、イミダゾピリジニル、イミダゾリル、インドリル、イソキノリル、ナフトイミダゾリル、ナフトオキサゾリル、ナフトピラゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾロピリジル、フェナジニル、フェノオキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリリル、ピラゾイルトリアジル、ピリジル、ピリジノイミダゾリル、ピロリル、キノリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チアゾロピリジニル、チアゾイルイミダゾリル、チオピリリル、トリアゾリル、キサンチリルおよびそのアンモニウム塩から選択され、
「ジヘテロアリールアルキル」基は、ジフリルメチル、1,1−ジフリルエチル、ジピロリルメチルまたはジチエニルメチルなどの、同一でも異なっていてもよい2つのヘテロアリール基をアルキル基の同じ炭素原子上に含む基を表し、
「環式基」は、1つまたは複数の不飽和を含んでもよい、5〜22個の炭素原子を含有する縮合したまたは縮合していない単環式または多環式の非芳香族シクロアルキル基であり、特にその環式基はシクロヘキシルであり、
「立体障害環式」基は、立体効果または立体障害により妨害され6〜14員を含み、架橋されてもよい、置換されているまたは置換されていない芳香族環式基または非芳香族環式基であり、立体障害基としては、ビシクロ[1.1.0]ブタン、1,3,5−トリメチルフェニルなどのメシチル、1,3,5−トリ−tert−ブチルフェニル、1,3,5−イソブチルフェニル、1,3,5−トリメチルシリルフェニルおよびアダマンチルを挙げることができ、
「複素環式基」は、窒素、酸素、硫黄およびセレンから選択される1〜6個のヘテロ原子を含む、5〜22員を含有する縮合したまたは縮合していない単環式または多環式の非芳香族基であり、
「アルキル基」は、直鎖状または分枝状のC〜C16、好ましくはC〜Cの炭化水素を主体とする基であり、
アルキル基に割り当てられる表現「置換されていてもよい」は、前記アルキル基が、i)ヒドロキシル、ii)C〜Cアルコキシ、iii)アシルアミノ、iv)1つもしくは同一でも異なっていてもよい2つのC〜Cアルキル基で置換されていてもよいアミノ(前記C〜Cアルキル基は、窒素と異なっても同一であってもよい別のヘテロ原子を場合により含み5〜7員を含む複素環を、それらの基を結合している窒素原子と共に形成してもよい)の各基から選択される1つまたは複数の基で置換されていてもよいことを示し、
「アルコキシ基」は、そのアルキル基が、直鎖状または分枝状の、C〜C16、好ましくはC〜Cの炭化水素を主体とする基であるアルキルオキシまたはアルキル−O−基であり、
「アルキルチオ基」は、そのアルキル基が、直鎖状または分枝状の、C〜C16、好ましくはC〜Cの炭化水素を主体とする基であるアルキル−S−基であり、
数値範囲の程度を定める境界値は、この数値範囲に含まれ、
「有機酸塩または鉱酸塩」は、より詳細には、i)塩酸HCl、ii)臭化水素酸HBr、iii)硫酸HSO、iv)メチルスルホン酸、エチルスルホン酸などのアルキルスルホン酸Alk−S(O)OH、v)ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸などのアリールスルホン酸Ar−S(O)OH、vi)クエン酸、vii)コハク酸、viii)酒石酸、ix)乳酸、x)メトキシスルフィン酸、エトキシスルフィン酸などのアルコキシスルフィン酸Alk−O−S(O)OH、xi)トルエンオキシスルフィン酸、フェノキシスルフィン酸などのアリールオキシスルフィン酸、xii)リン酸HPO、xiii)酢酸CHCOOH、xiv)トリフルオロメタンスルホン酸CFSOH、およびxv)テトラフルオロホウ酸HBFから誘導される塩から選択され、
「アニオン性対イオン」は、染料のカチオン電荷と結合するアニオンまたはアニオン性基であり、より詳細には、アニオン性対イオンは、i)塩化物または臭化物などのハロゲン化物、ii)硝酸塩、iii)スルホン酸メチルまたはメシル酸塩、スルホン酸エチルなどのC〜Cスルホン酸アルキルAlk−S(O)を含めたスルホン酸塩、iv)ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩またはトシル酸塩などのスルホン酸アリールAr−S(O)、v)クエン酸塩、vi)コハク酸塩、vii)酒石酸塩、viii)乳酸塩、ix)亜硫酸メチルや亜硫酸エチルなどの亜硫酸アルキルAlk−O−S(O)O、x)亜硫酸ベンゼンや亜硫酸トルエンなどの亜硫酸アリールAr−O−S(O)O、xi)メチル硫酸塩やエチル硫酸塩などのアルキル硫酸塩Alk−O−S(O)、xii)アリール硫酸塩Ar−O−S(O)、xiii)リン酸塩、xiv)酢酸塩、xv)トリフルオロメタンスルホン酸塩、およびxvi)テトラフルオロホウ酸塩などのホウ酸塩から選択される。
【0039】
式(I)または(II)の蛍光染料は、250〜800nmの波長λabsのUV放射線領域内または可視光領域内で吸収可能であり、400〜800nmの放射波長λemの可視光領域内で再放射可能である化合物である。
【0040】
式(I)または(II)の蛍光化合物は、400〜800nmの可視光領域λabs内で吸収可能であり、400〜800nmの可視光領域λem内で再放射可能である染料であることが好ましい。より特に、蛍光染料は、420nm〜550nmの波長λabsで吸収可能であり、470〜600nmの波長λemでの可視光領域内で再放射可能である染料である。
【0041】
本発明の具体的な実施形態は、式(I)または(II)の染料に関し、ここでTおよびTは−N(R)−、−N(R)(R゜)−あるいはカチオン性もしくは非カチオン性の、複素環式アルキルまたはヘテロアリール基を表す。より詳細には、SY官能基を含む式(II)のチオール蛍光染料に関し、水素原子もしくはアルカリ金属を表す基Yを含み、好ましくは、Yは水素原子を表す。
【0042】
本発明の別の具体的な実施形態によれば、上述の式(II)(ここでTは−N(R)−または−N(R)(R゜)−を表す)では、Yは、当業者に知られるものから選択される保護基であり、例えば、「Protective Groups in Organic Synthesis」、T.W.Greene、John Willey & Sons publisher、NY、1981、193〜217頁、「Protecting Groups」、P.Kocienski、Thieme、第3版、2005、5章の書籍に記載されている保護基である。
【0043】
本発明の式(II)の蛍光化合物は、Yの性質および媒体のpHに応じて共有結合形態−S−Yまたはイオン形態−Sとなり得るSY官能基を含有する。
【0044】
Yが式(II)の化合物のチオール官能基保護基を表す場合は特に、Yは、以下の基:
(C〜C)アルキルカルボニル、
(C〜C)アルキルチオカルボニル、
(C〜C)アルコキシカルボニル、
(C〜C)アルコキシチオカルボニル、
(C〜C)アルキルチオチオカルボニル、
(ジ)(C〜C)(アルキル)アミノカルボニル、
(ジ)(C〜C)(アルキル)アミノチオカルボニル、
フェニルカルボニルなどのアリールカルボニル、
アリールオキシカルボニル、
アリール(C〜C)アルコキシカルボニル、
ジメチルアミノカルボニルなどの(ジ)(C〜C)(アルキル)アミノカルボニル、
(C〜C)(アルキル)アリールアミノカルボニル、
カルボキシル、
がナトリウムまたはカリウムなどのアルカリ金属を表すSO;M(そうでなければ式(II)のM’およびMが存在しない)、
以下の、1〜4個のヘテロ原子を含む、特には芳香族の、カチオン性または非カチオン性の基を含む、置換されていてもよいヘテロアリール:
i)フラニルもしくはフリル、ピロリルもしくはピリル、チオフェニルもしくはチエニル、ピラゾリル、オキサゾリル、オキサゾリウム、イソオキサゾリル、イソオキサゾリウム、チアゾリル、チアゾリウム、イソチアゾリル、イソチアゾリウム、1,2,4−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリウム、1,2,3−トリアゾリル、1,2,3−トリアゾリウム、1,2,4−オキサゾリル、1,2,4−オキサゾリウム、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリウム、ピリリウム、チオピリジル、ピリジニウム、ピリミジニル、ピリミジニウム、ピラジニル、ピラジニウム、ピリダジニル、ピリダジニウム、トリアジニル、トリアジニウム、テトラジニル、テトラジニウム、アゼピン、アゼピニウム、オキサゼピニル、オキサゼピニウム、チエピニル、チエピニウム、イミダゾリル、イミダゾリウムなどの5、6もしくは7員を含む単環式、
ii)インドリル、インドリニウム、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイミダゾリウム、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサゾリウム、ジヒドロベンゾオキサゾリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアゾリウム、ピリドイミダゾリル、ピリドイミダゾリウム、チエノシクロヘプタジエニルなどの8〜11員を含む二環式(これらの単環式基もしくは二環式基は、(C〜C)アルキル、例えばメチル、もしくはポリハロアルキル、例えばトリフルオロメチルなどの1つまたは複数の基で置換されていてもよい)、
iii)または、以下の三環式ABC
【0045】
【化6】

【0046】
(式中、2つの環A、Cは、ヘテロ原子を場合により含み、環Bは、5、6もしくは7員、特に6員の環であり、少なくとも1つのヘテロ原子を含有し、例えばピペリジルもしくはピラニルである)、
場合によりカチオン性の置換されていてもよい複素環式アルキルであって、その基が、ジ/テトラヒドロフラニル、ジ/テトラヒドロチオフェニル、ジ/テトラヒドロピロリル、ジ/テトラヒドロピラニル、ジ/テトラ/ヘキサヒドロチオピラニル、ジヒドロピリジル、ピペラジニル、ピペリジニル、テトラメチルピペリジニル、モルホリニル、ジ/テトラ/ヘキサヒドロアゼピニルもしくはジ/テトラヒドロピリミジニルなどの、酸素、硫黄および窒素から選択される1〜4個のヘテロ原子を含む、特に飽和もしくは部分飽和の5、6もしくは7員単環式基を表す複素環式アルキル(これらの基は、アルキル、オキソもしくはチオキソなどの1つもしくは複数の基で置換されていてもよい)か、またはその複素環が、以下の基:
【0047】
【化7】

【0048】
(式中、R’、R’、R’、R’、R’およびR’は、同一でも異なっていてもよく、水素原子もしくはアルキル基を表し、そうでなければ2つの基R’およびR’かつ/もしくはR’およびR’はオキソもしくはチオキソ基を形成し、そうでなければR’およびR’は、一緒になってシクロアルキルを形成し、vは、1〜3の両端を含めた整数を表し、好ましくはR’〜R’は水素原子を表し、Anは対イオンを表す)
を表す複素環式アルキル、
R’、R’、R’およびR’が、同一でも異なっていてもよく、水素原子またはアルキル基を表し、好ましくはR’〜R’が水素原子を表し、Anが対イオンを表すイソチオウロニウム−C(NR’R’)=NR’R’;An
R’、R’、R’が上記で定義した通りであるイソチオ尿素−C(NR’R’)=NR’
アルキル、メトキシなどのアルコキシ、ヒドロキシル、アルキルカルボニルおよびジメチルアミノなどの(ジ)(アルキル)アミノから特に選択される1つまたは複数の基で置換されていてもよい、9−アントラセニルメチル、フェニルメチルまたはジフェニルメチルなどの置換されていてもよい(ジ)アリールアルキル、
置換されていてもよい(ジ)ヘテロアリールアルキルであって、そのヘテロアリール基が、アルキル、特にメチルなどの1つまたは複数の基で置換されていてもよい、ピロリル、フラニル、チオフェニル、ピリジル、4−ピリジルN−オキシドもしくは2−ピリジルN−オキシドなどのピリジルN−オキシド、ピリリウム、ピリジニウムまたはトリアジニルの各基などの、窒素、酸素および硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含み5または6員を含む、特にカチオン性または非カチオン性の単環式である(ジ)ヘテロアリール(C〜C)アルキル(この(ジ)ヘテロアリールアルキルは、(ジ)ヘテロアリールメチルまたは(ジ)ヘテロアリールエチルであることが有利である)、
R’、R’およびR’が、同一でも異なっていてもよく、ハロゲン原子または
置換されていてもよいアルキルであって、例えばメチルまたはエチル、
置換されていてもよいアルコキシであって、例えばメトキシまたはエトキシ、
アルキル、アルコキシもしくはヒドロキシルなどの1つもしくは複数の基で置換されていてもよい、フェニルなどの置換されていてもよいアリール、
アルキル基で置換されていてもよい、チオフェニル、フラニル、ピロリル、ピラニルもしくはピリジルなどの置換されていてもよいヘテロアリール、
R”およびR”が、同一でも異なっていてもよく、ヒドロキシル、アルコキシもしくはアルキル基を表し、R”がヒドロキシル基もしくはアルコキシ基を表し、Zが酸素原子もしくは硫黄原子を表すP(Z)R”R ”R ”
から選択される基を表すCR’R’R’
立体障害環式基、ならびに
メトキシメチル(MOM)、エトキシエチル(EOM)またはイソブトキシメチルなどの置換されていてもよいアルコキシアルキル
から選択される。
【0049】
特に、式(II)の蛍光染料の基Yは、アルカリ金属あるいは:
(C〜C)アルキルカルボニル、例えばメチルカルボニルまたはエチルカルボニルなど;
アリールカルボニル、例えばフェニルカルボニルなど;
(C〜C)アルコキシカルボニル;
アリールオキシカルボニル;
アリール(C〜C)アルコキシカルボニル;
(ジ)(C〜C)(アルキル)アミノカルボニル、例えば、ジメチルアミノカルボニルなど;
(C〜C)(アルキル)アリールアミノカルボニル;
任意選択で置換されたアリール、例えばフェニルなど;
5または6員のカチオン性単環式ヘテロアリールであって、例えば、ピリリウム、ピリジニウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、ピリダジニウム、トリアジニウムまたはイミダゾリウムなど;これらの基は、1つまたは複数の、同一のまたは異なる(C〜C)アルキル基、例えばメチルなど、によって任意選択で置換されている;
8から11員のカチオン性二環式ヘテロアリールであって、例えば、ベンゾイミダゾリウムまたはベンゾオキサゾリウムなど;これらの基は、1つまたは複数の、同一のまたは異なる(C〜C)アルキル基、例えばメチルなど、によって任意選択で置換されている;
下記の式:
【0050】
【化8】

【0051】
のカチオン性複素環;
イソチオウロニウム−C(NH)=N;An
イソチオ尿素−C(NH)=NH;
SO,M、ここで、Mは、ナトリウムまたはカリウムなどのアルカリ金属を表し、あるいは式(II)のM’およびMは存在しない;
などの保護基を表す。
【0052】
具体的な実施形態によれば、式(II)の保護チオール蛍光染料は、i)オキサゾリウム、イソオキサゾリウム、チアゾリウム、イソチアゾリウム、1,2,4−トリアゾリウム、1,2,3−トリアゾリウム、1,2,4−オキサゾリウム、1,2,4−チアジアゾリウム、ピリリウム、ピリジニウム、ピリミジニウム、ピラジニル、ピラジニウム、ピリダジニウム、トリアジニウム、テトラジニウム、オキサゼピニウム、チエピニル、チエピニウムもしくはイミダゾリウムなどの、酸素、硫黄および窒素から選択される1〜4個のヘテロ原子を含むカチオン性の5もしくは6員単環式芳香族ヘテロアリール基、ii)インドリニウム、ベンゾイミダゾリウム、ベンゾオキサゾリウムもしくはベンゾチアゾリウムなどのカチオン性8〜11員二環式ヘテロアリール基(これらの単環式もしくは二環式ヘテロアリール基は、アルキル、例えばメチルもしくはポリハロ(C〜C)アルキル、例えばトリフルオロメチルなどの1つもしくは複数の基で置換されていてもよい)、iii)または以下の複素環式基
【0053】
【化9】

【0054】
(式中、R’およびR’は、同一でも異なっていてもよく、水素原子もしくは(C〜C)アルキル基を表し、好ましくはR’〜R’はメチルなどの(C〜C)アルキル基を表し、Anは対イオンを表す)
である基Yを含む。
【0055】
他の具体的な実施形態によれば、TおよびTが共有結合を表すとき、特に式(II)の保護チオール蛍光染料は、i)オキサゾリウム、イソオキサゾリウム、チアゾリウム、イソチアゾリウム、1,2,4−トリアゾリウム、1,2,3−トリアゾリウム、1,2,4−オキサゾリウム、1,2,4−チアジアゾリウム、ピリリウム、ピリジニウム、ピリミジニウム、ピラジニル、ピラジニウム、ピリダジニウム、トリアジニウム、テトラジニウム、オキサゼピニウム、チエピニル、チエピニウムもしくはイミダゾリウムなどの、酸素、硫黄および窒素から選択される1〜4個のヘテロ原子を含むカチオン性の5もしくは6員単環式芳香族ヘテロアリール基、ii)インドリニウム、ベンゾイミダゾリウム、ベンゾオキサゾリウムもしくはベンゾチアゾリウムなどのカチオン性8〜11員二環式ヘテロアリール基(これらの単環式もしくは二環式ヘテロアリール基は、アルキル、例えばメチルもしくはポリハロアルキル、例えばトリフルオロメチルなどの1つもしくは複数の基で置換されていてもよい)、iii)あるいは以下の複素環式基
【0056】
【化10】

【0057】
(式中、R’およびR’は、同一でも異なっていてもよく、アルキル基を表し、好ましくはR’〜R’はメチルなどのアルキル基を表し、Anはアニオン性対イオンを表す)
である基Yを含む。
【0058】
特に、Yは、オキサゾリウム、イソオキサゾリウム、チアゾリウム、イソチアゾリウム、1,2,4−トリアゾリウム、1,2,3−トリアゾリウム、1,2,4−オキサゾリウム、1,2,4−チアジアゾリウム、ピリリウム、ピリジニウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、ピリダジニウム、トリアジニウム、イミダゾリウム、ベンゾイミダゾリウム、ベンゾオキサゾリウムおよびベンゾチアゾリウムから選択される基を表し、これらの基は、1つまたは複数の(C〜C)アルキル基、特にメチルで置換されていてもよい。
【0059】
本発明の具体的な実施形態によれば、本発明の蛍光染料は、そのピリジニウム部分とそのフェニル部分とをオルトまたはパラ位で、(Ia)、(IIa)、(Ib)もしくは(IIb)に対して4−4’、4−2’もしくは2−4’位で、あるいは(Ic)もしくは(IIc)に対して4−5’もしくは2−5’位で、連結しているエチレン基をそれぞれ有する式(Ia)、(IIa)、(Ib)、(IIb)、(Ic)もしくは(IIc)である:
【0060】
【化11A】

【0061】
【化11B】

【0062】
[式(Ia)または(IIa)において:
およびRは、同一でも異なっていてもよく、ヒドロキシル基で置換されていてもよいベンジルまたはアルキル基、たとえばメチル、エチルもしくはヒドロキシエチルなどを表し、
およびRは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、もしくはベンジルもしくはアルキル基、例えばメチルもしくはエチル基などを表し、
T’およびT’は、同一でも異なっていてもよく、σ結合、あるいは−N(R)(R゜)−基を表し、ここで、RおよびR゜は同一でも異なっていてもよく、メチルのようなアルキル基を表し、あるいは、T’およびT’はイミダゾリウム基を表し、
Y’は、イミダゾリウム、チアゾリウム、オキサゾリウム、1,2,4−トリアゾリウム、ピリジニウム、ピリミジニウム、ベンゾオキサゾリウムおよびベンゾチアゾリウムから選択される基を表し、これらの基は、同一でも異なっていてもよい、例えばメチルやエチルのような1つまたは複数のアルキル基で置換されていてよく、
m、n、m’およびn’は、同一でも異なっていてもよく、1〜6の両端を含めた整数を表し、m+n=m’+n’は、2〜6の両端を含めた整数を表し、特にT’およびT’がσ結合を表すとき、m+n=m’+n’の合計は2と等しい整数であり、
M’は、アニオン性対イオンを表し、]
[式(Ib)または(IIb)において:
、R’、R、R’、R、R’、R”、R’”、R、R’、R、R’、R、R’、R、R’、Ta、Tb、m、m’、n、n’およびYは前記に記載の通りであり、
およびR’、R”およびR”’は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アミノ、(C1~C4)アルキルアミノ、(C1~C4)ジアルキルアミノ、シアノ、カルボキシル、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、アシルアミノ、C1~C4アルコキシ、C~C4(ポリ)ヒドロキシアルコキシ、(C1~C4)アルキルカルボニルオキシ、(C1~C4)アルコキシカルボニル、(C1~C4)アルキルカルボニルアミノ、アシルアミノ、カルバモイル、(C1~C4)アルキルスルホニルアミノもしくはアミノスルホニル基、もしくは(C1~C16)アルキルの各基を表し、(C1~C12)アルコキシ、ヒドロキシル、シアノ、カルボキシル、アミノ、(C1~C4)アルキルアミノおよび(C1~C4)ジアルキルアミノ、あるいは窒素原子と同一でも異なっていてもよい他のヘテロ原子を含んでいてもいい5〜7員を含む複素環を形成するアミノ基の窒素原子を有する2つのアルキル基から選択される基で置換されていてよく、特に、RおよびR’、R”およびR”’は、水素もしくはハロゲン原子もしくは(C1~C)アルキル基を表し、有利には、RおよびR’、R”およびR”’は水素原子を表し、
2つの隣接する炭素原子を有するRおよびR’、R”およびR”’は、一緒になって、ベンゾもしくはインデノ環、もしくは縮合した複素環式アルキルもしくは縮合したヘテロアリール基を形成し、これらベンゾ、インデノ、複素環式アルキルもしくはヘテロアリール環は場合によりハロゲン原子、アミノ、(C1~C4)アルキルアミノ、(C1~C4)ジアルキルアミノ、シアノ、カルボキシル、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、アシルアミノ、C1~C4アルコキシ、C~C4(ポリ)ヒドロキシアルコキシ、(C1~C4)アルキルカルボニルオキシ、(C1~C4)アルコキシカルボニルもしくは(C1~C4)アルキルカルボニルアミノの各基、アシルアミノ、カルバモイルもしくは(C1~C4)アルキルスルホニルアミノ基、アミノスルホニル基、もしくは(C1~C16)アルキルの各基で置換されていてよく、(C1~C12)アルコキシ、ヒドロキシル、シアノ、カルボキシル、アミノ、(C1~C4)アルキルアミノおよび(C1~C4)ジアルキルアミノ、あるいは窒素原子と同一でも異なっていてもよい他のヘテロ原子を含んでいてもいい5〜7員を含む複素環を形成するアミノ基の窒素原子を有する2つのアルキル基から選択される基で置換されていてよく、特に、RおよびR’、R”およびR”’は、一緒になってベンゾ環を形成し、]ならびに、
[式(Ic)または(IIc)において:
、R’、R、R’、R、R”、R、R’、R、R’、R、R’、R、R’、Ta、Tb、m、m’、n、n’およびYは前記に記載の通りであり、
、R’、R”、R”’、R、R’、R”およびR”’は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アミノ、(C1~C4)アルキルアミノ、(C1~C4)ジアルキルアミノ、シアノ、カルボキシル、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、アシルアミノ、C1~C4アルコキシ、C~C4(ポリ)ヒドロキシアルコキシ、(C1~C4)アルキルカルボニルオキシ、(C1~C4)アルコキシカルボニル、(C1~C4)アルキルカルボニルアミノ、アシルアミノ、カルバモイル、(C1~C4)アルキルスルホニルアミノもしくはアミノスルホニル基、もしくは(C1~C16)アルキルの各基を表し、(C1~C12)アルコキシ、ヒドロキシル、シアノ、カルボキシル、アミノ、(C1~C4)アルキルアミノおよび(C1~C4)ジアルキルアミノ、あるいは窒素原子と同一でも異なっていてもよい他のヘテロ原子を含んでいてもいい5〜7員を含む複素環を形成するアミノ基の窒素原子を有する2つのアルキル基から選択される基で置換されていてよく、特に、R、R’、RおよびR’は、水素もしくはハロゲン原子もしくは(C1~C)アルキル基を表し、有利には、R、R’、RおよびR’は水素原子を表し、]
式(Ia)、(IIa)、(Ib)、(IIb)、(Ic)もしくは(IIc)の化合物が他のカチオン性部分を含有する場合、1つまたは複数のアニオン性対イオンと結合するため、式(Ia)、(IIa)、(Ib)、(IIb)、(Ic)もしくは(IIc)は電気的中性を達成できることが理解される。
【0063】
本発明の別の具体的な実施形態は式(I)の対称ジスルフィド染料に関し、即ち、R、R、R、R’、R、R’、R、R’、R、R、R、R、T、mおよびnは、それぞれ、R’、R’、R”、R”’、R”、R”’、R”、R”’、R’、R’、R’、R’、T、m’およびn’と同一である。
【0064】
本発明の蛍光染料の例としては、以下の化合物:
【0065】
【表1A】

【0066】
【表1B】

【0067】
【表1C】

【0068】
【表1D】

【0069】
【表1E】

【0070】
【表1F】

【0071】
【表1G】

【0072】
【表1H】

【0073】
【表1I】

【0074】
【表1J】

【0075】
【表1K】

【0076】
【表1L】

【0077】
【表1M】

【0078】
【表1N】

【0079】
【表1O】

【0080】
【表1P】

【0081】
【表1Q】

【0082】
【表1R】

【0083】
【表1S】

【0084】
(ここで、AnおよびM’は、同一でも異なっていてもよく、アニオン性対イオンを表し、Mはアルカリ金属を表す。)
を特に挙げることができる。
【0085】
AnおよびM’は、同一でも異なっていてもよく、例えば塩化物や臭化物などのハロゲン化物、硝酸塩、メチルスルホン酸つまりメシル酸塩およびエチルスルホン酸などのようなC〜Cアルキルスルホン酸(Alk−(S(O))のスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸やトルエンスルホン酸つまりトシル酸塩のようなアリールスルホン酸(Ar−(S(O))、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、メチル硫酸やエチル硫酸のようなアルキル硫酸塩(Alk−O−S(O)O)、ベンゼン硫酸やトルエン硫酸のようなアリール硫酸塩(Ar−O−S(O)O)、メトキシ硫酸やエトキシ硫酸のようなアルコキシ硫酸塩(Alk−O−S(O))、アリールオキシ硫酸塩(Ar−O−S(O))、リン酸塩、酢酸塩、トリフラート、およびテトラフルオロホウ酸のようなホウ酸塩のようなアニオン性対イオンを表す。
【0086】
式(II”)の保護チオール染料は、2段階で合成することができる。第1段階は、当業者に知られる方法、例えば「Thiols and organic Sulfides」、「Thiocyanates and Isothiocyanates,organic」、Ullmann’s Encyclopaedia、Wiley-VCH、Weinheim、2005に従って非保護チオール染料(II’)を調製する段階からなる。さらに、第2段階は、式(II”)の保護チオール染料を作製するための、当業者に知られる従来の方法に従ってチオール官能基を保護する段階からなる。チオール染料のチオール官能基−SHを保護する例としては、「Protective Groups in Organic Synthesis」、T.W.Greene、John Willey & Sons ed.、NY、1981、193〜217頁、「Protecting Groups」、P.Kocienski、Thieme、第3版、2005、5章の書籍の方法を使用してもよい。
【0087】
この方法は、i)(I’)などの、ジスルフィド官能基−S−S−を有する2色発色団蛍光染料の還元によりチオール蛍光染料を生成する段階、ii)式(II’)の化合物の前記チオール官能基を従来の方法に従って保護することにより式(II”)の保護チオール蛍光染料を得る段階からなる方法によって例示できる:
【0088】
【化12】

【0089】
(R、R、R、R、R、R、R、R’、R、R’、R、R’、Y、m、nおよびM’は上記で定義した通りであり、Rはヌクレオヒュージ(nucleofuge)離脱基、例えばメシル酸塩、トシル酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩またはハロゲン化物を表す。
【0090】
別の可能性によれば、上述の書籍に記載されている手順の1つに従って調製される、上記で定義した保護基Y’により保護された、少なくとも1つの求核官能基を含むチオール化合物(b)は、十分な量の、好ましくは等モル量の「反応性蛍光発色団」またはそのような「反応性蛍光発色団」を含む化合物(a)と反応し得る。言い換えれば(a)は、以下で概略的に示されるように、S共有結合を形成するようにヌクレオヒュージ官能基を含む:
【0091】
【化13】

【0092】
(R、R、R、R、R、R、R、R’、R、R’、R、R’、Y’、m、n、およびM’は上記で定義した通りであり、Nuはアミノ化された求核基もしくは複素環式アルキルもしくはヘテロアリール基を表し、Eは例えばメシル酸塩、トシル酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩またはハロゲン化物など、例えば臭化物、ヨウ化物もしくは塩化物の、求核基を表す。Sは−N(R)−および−N(R)(R゜)−(ここでRおよびR゜は上記の記載の通りである)、複素環式アルキル、ヘテロアリールから選択される基を表し、カチオン性でも非カチオン性でもよい。
【0093】
Y基を含むチオール反応物Y−SHも使用してもよく、その求核SH官能基は、蛍光発色団(a’)が持つハロゲン原子に対し、α位の炭素原子と反応することにより、式(II)の保護チオール蛍光染料を与えることができる;
【0094】
【化14】

【0095】
(R、R、R、R、R、R、R、R’、R、R’、R、R’、T、Y、m、nおよびM’は上記で定義した通りであり、Halは、臭素、ヨウ素または塩素などのヌクレオヒュージハロゲン原子を表す)。
【0096】
チオ酸(α’)(例えばチオ酢酸)も使用してよく、それは蛍光発色団(a’)が有するハロゲン化物と反応する。
【0097】
【化15】

【0098】
(R、R、R、R’、R、R’、R、R’、m、n、HalおよびM’は上記で定義した通りであり、R’は(C〜C)アルキル基を表す。
【0099】
より詳細には、ヌクレオヒュージ離脱基は、イソチオウロニウムが生成するようにチオ尿素基(S=C(NRR)NRR)で置換されていてもよい。例えば、チオ尿素基がチオイミダゾリウム(β)である場合、反応スキームは、以下となる:
【0100】
【化16】

【0101】
(R、R、R’、R’、R、R’、R、R’、R、R’、m、n、Hal、AnおよびM’は上記で定義した通りである)。
【0102】
ある変法は、蛍光発色団(a’)を含むハロゲン化物の代わりに、トシル酸塩またはメシル酸塩などの別の種類のヌクレオヒュージを含む発色団を使用することである。
【0103】
別の変法によれば、生産するために、R−Lgでアルキル化した後に、蛍光発色団(a’)およびチオイミダゾリン(b’)を含むハロゲン化物を用いて、イミダゾリン中間体を生成することが可能であり、ここでRはアルキル基、Lgは例えば塩化物、臭化物またはヨウ化物などのハロゲン化物のような離脱基、あるいはメシル酸塩もしくはトシル酸塩を表す。
【0104】
【化17】

【0105】
ヌクレオヒュージ離脱基をチオ硫酸塩(例えば、チオ硫酸ナトリウムもしくはチオ硫酸カリウム)で置換して、ブンテ塩(−SSO、NaまたはK)を生成することもまた可能である:
【0106】
【化18】

【0107】
(R、R、R、R’、R、R’、R、R’、m、n、HalおよびM’は上記で定義した通りであり、Mはナトリウムまたはカリウムのようなアルカリ金属を表す。
【0108】
別の可能性によれば、ある種の保護チオール蛍光染料(II”)は、保護チオール化合物とヌクレオヒュージ官能基(d)を有する化合物を反応させることによって得ることが可能であり、ヌクレオヒュージ官能基(d)は、第1級もしくは第2級アミンのタイプ、複素環式アルキル、またはヘテロアリールのタイプの求核官能基(c)を有する蛍光発色団と反応する。
【0109】
【化19】

【0110】
(R、R、R、R、R、R、R、R’、R、R’、R、R’、T、Y、m、n、M’、E、Nuおよび(II”)は上記で定義した通りである。)
【0111】
別の可能性によれば、式(II)の保護チオール蛍光染料は、Y基で保護されているチオール基およびヌクレオヒュージ離脱基、例えばメシル酸塩、トシル酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩またはハロゲン化物に予め活性化されているヒドロキシル基を含む化合物(d’)と、Rが水素原子もしくは第2級アミンを表す場合に求核官能基が第1級アミンを有する蛍光発色団(c’)との反応によって得ることができる;
【0112】
【化20】

【0113】
(R、R、R、R、R、R、R、R’、R、R’、R、R’、T、Y、m、n、M’及びEは上記で定義した通りである。)
【0114】
例として、保護チオール基を含む化合物は、ヌクレオヒュージ離脱基R、例えばメシル酸塩、トシル酸塩もしくはトリフルオロメタンスルホン酸塩などを含み、Rは、スチリル蛍光発色団が有するアミンの求核攻撃を受け得る:
【0115】
【化21】

【0116】
別の代替として、例えば、スチリル蛍光発色団が有する、第1級アミン官能基によって置換されてもよいチオール化合物のヌクレオヒュージ離脱基として、ハロゲン化物が使用される:
【0117】
【化22】

【0118】
別の可能性によれば、本発明による式(II)のチオール蛍光染料は、上記で定義したチオール基Yおよび求電子基を含む化合物(f)と求核基を含む化合物との反応によって得てもよい。例としては、Gが酸素原子を表す場合のアルデヒドまたはケトンは、エチレン結合>C=C<を生成するようにアルキルピリジニウムなどの「活性化メチレン」(e)と縮合し得る。この反応は、「クネーフェナーゲル(Knoevenagel)」縮合として一般に知られている。用語「活性化メチレン」は、例えば特許DE19951134に挙げられているものを意味することが意図され、特に、1,2−ジアルキルピリジニウム、特に1,2−ジメチルピリジニウムが挙げられ得る;
【0119】
【化23】

【0120】
(R、R、R、R、R、R、R、R’、R、R’、R、R’、T、Y、m、nおよびM’は上記で定義した通りであり、Gは、酸素もしくは硫黄原子またはN(R)基を表し、ここでRは水素原子もしくは(C〜C)アルキル基を表す)。
【0121】
この反応スキームの別の変法は、続いて「クネーフェナーゲル」カップリング反応を行うことであり、すなわち、中間体(f’)を用いることであって、アミノ基NR’R”が1当量のLg−(CR)−Lg反応物と反応することができる結果、(j’)アルデヒド中間体を与えるために保護チオールY’SHとそれ自身反応することが可能な(i’)を与えることが可能となる。この中間体は、アルキルピリジニウムと「クネーフェナーゲル」縮合反応を受けることにより、保護ナフチルチオール蛍光染色(II”)を与えることが可能である。
【0122】
【化24】

【0123】
(R’、R”、R、R、R、R、R、R、R、R’、R、R’、R、m、n、Y’およびM’は上記で定義した通りであり、Lgは例えばハロゲン原子、特にBrもしくはI、あるいはメシル酸塩、トシル酸塩もしくはトリフルオロメタンスルホン酸塩などの離脱基を表し、Lgは離脱基Lgの離脱を受けて、アニオン性対イオンを表す。
【0124】
上述の方法に使用される操作条件に関してさらに詳細には、Advanced Organic Chemistry、「Reactions, Mechanisms and structures」、J.March、第4版、John Willey & Sons、1992またはT.W.Greene「Protective Groups in Organic Synthesis」の書籍を参照してもよい。
【0125】
形成されるチオール蛍光染料は、従来の保護基を使用して−SHチオールを保護することにより−SY’保護チオール蛍光染料に転換してもよい。チオール蛍光染料は、当業者に周知の従来的な方法を用いてメタル化してもよく、そのような方法は、Advanced Organic Chemistry、「Reaction, Mechanisms and Structures」, J. March, 4th ed. John Willey & Sons, NY, 1992に記載されている。
【0126】
保護チオール染料は、従来的な手順によって脱保護することが可能であって、そのような手順は、「Protective Groups in Organic Synthesis」, T.W. Greene, Jone Willey & Sons ed., NY, 1981; 「Protecting Groups」, P.Kocienski, Thieme, 3rd ed., 2005 の書籍に記載されている。
【0127】
出発反応物は商業的に入手可能であるか、または当業者に周知の従来的な方法によって入手できる。例として、ジスルフィド官能基−S−S−(I’)を有する2つの発色団のフェニル/ナフチル蛍光染料を合成するために、ヌクレオヒュージ基G’−Rを2位(2−position)に含む二官能性ナフチル反応物(k)から出発することが可能であって、ここでRは(C1〜C4)アルキル、メシル酸塩、トシル酸塩またはトリフルオロメタンスルホン酸塩の基を表しており、G’は酸素原子または硫黄原子あるいはN(R)基を表しており、ここでRは水素原子もしくは(C1〜C4)アルキル基を表しており、6位にアルデヒドまたはチオアルデヒドの求電子基を含む。2当量のこの反応物はジアミン−ジアルキル−ジスルフィド(l)と反応して、縮合後に、ジアルデヒド−チオアルデヒド−ジスルフィド(m)を与えることができ、この(m)が2当量のアルキルピリジニウム(e)と縮合することによって化合物(I’)を形成することが可能である。
【0128】
【化25】

【0129】
上述の方法に使用される操作条件に関してさらに詳細には、Advanced Organic Chemistry、J.March、第4版、John Willey & Sons、1992またはT.W.Greene「Protective Groups in Organic Synthesis」の書籍を参照してもよい。
【0130】
式(I)の非対称ジスルフィド染料は、式(I)の非対称ジスルフィド染料を形成するように、非保護チオール蛍光染料と保護チオール蛍光染料とを反応させることによって一段階で合成できる:
【0131】
【化26】

【0132】
(R、R’、R、R’、R、R’、R”、R”’、R、R’、R”、R”’、R、R’、R”、R”’、R、R’、R、R’、R、R’、R、R’4、m、m’、n、n’、T、TおよびM’は上記で定義した通りであり、Y’はチオール官能基保護基を表す)。
【0133】
本発明の組成物は、式(I)または(II)の蛍光染料を少なくとも1つ含有する。式(I)または(II)の蛍光染料が少なくとも1つ存在する他に、本発明の組成物は、還元剤も含有してもよい。この還元剤は、チオール、例えばシステイン、ホモシステインまたはチオ乳酸、これらのチオールの塩、ホスフィン、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩、チオグリコール酸、さらにそのエステルも、特にモノチオグリコール酸グリセロール、およびチオグリセロールから選択することができる。この還元剤はまた、ホウ化水素およびその誘導体、例えばホウ化水素の塩、シアノホウ化水素の塩、またはトリアセトキシホウ化水素もしくはトリメトキシホウ化水素の塩、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、第4級アンモニウム(テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウムまたはベンジルトリエチルアンモニウム)塩、カテコールボランからも選択することができる。
【0134】
本発明に使用できる染料組成物は、一般に、式(I)または(II)の蛍光染料をその組成物の全重量に対して0.001%〜50%の量で含有する。この量は、その組成物の全重量に対して、好ましくは0.005重量%〜20重量%、さらにより好ましくは0.01重量%〜5重量%である。
【0135】
この染料組成物は、追加の直接染料も含有してもよい。これらの直接染料は、例えば、中性、酸性またはカチオン性のニトロベンゼン直接染料、中性、酸性またはカチオン性のアゾ直接染料、テトラアザペンタメチン染料、中性、酸性またはカチオン性キノン、特にアントラキノン染料、アジン直接染料、トリアリールメタン直接染料、インドアミン(indoamine)直接染料および天然直接染料から選択される。
【0136】
天然直接染料には、ローソン、ジュグロン、アリザリン、プルプリン、カルミン酸、ケルメス酸、プルプロガリン、プロトカテキュアルデヒド、インジゴ、イサチン、クルクミン、スピヌロシン(spinulosin)およびアピゲニニジンを挙げることができる。これらの天然染料、特に湿布剤またはヘナ主成分抽出物を含有する抽出物または煎じ汁も使用してもよい。
【0137】
この染料組成物は、1つもしくは複数の酸化塩基および/またはケラチン繊維を染色するのに従来使用される1つもしくは複数のカップラーを含有してもよい。
【0138】
酸化塩基には、パラ−フェニレンジアミン、ビスフェニルアルキレンジアミン、パラ−アミノフェノール、ビス−パラ−アミノフェノール、オルト−アミノフェノール、複素環式塩基、およびそれらの付加塩を挙げることができる。
【0139】
これらのカップラーには、メタ−フェニレンジアミン、メタ−アミノフェノール、メタ−ジフェノール、ナフタレンのカップラー、複素環式カップラー、およびそれらの付加塩を特に挙げることができる。
【0140】
カップラー(複数も)は、それぞれ、一般に、染料組成物の全重量の0.001重量%〜10重量%、好ましくは0.005%〜6%の量で存在する。
【0141】
染料組成物中に存在する酸化塩基(複数も)は、それぞれ、一般に、染料組成物の全重量の0.001重量%〜10重量%、好ましくは0.005重量%〜6重量%の量で存在する。
【0142】
一般に、本発明の背景で使用できる酸化塩基の付加塩およびカップラーの付加塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、トシル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、リン酸塩、および酢酸塩などの、酸を有する付加塩、ならびに、ナトリウムもしくはカリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、アンモニア水、アミンまたはアルカノールアミンなどの、塩基を有する付加塩から特に選択される。
【0143】
染料担体とも称される、染色に適する媒体は、一般に、水または水と少なくとも1つの有機溶媒との混合液で構成される化粧料用媒体である。有機溶媒としては、例えば、エタノールおよびイソプロパノールなどのC〜C低級アルカノール、2−ブトキシエタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよびジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのポリオールおよびポリオールエーテルを挙げることができ、さらにベンジルアルコールまたはフェノキシエタノールなどの芳香族アルコールも、ならびにそれらの混合液を挙げることができる。
【0144】
この溶媒は、存在する場合、染料組成物の全重量に対して、好ましくは約1重量%〜約40重量%、さらにより好ましくは約5重量%〜約30重量%の比率で存在することが好ましい。
【0145】
この染料組成物は、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性もしくは両性イオン性界面活性剤またはそれらの混合界面活性剤、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性もしくは両性イオン性ポリマーまたはそれらのブレンド、無機または有機増粘剤、特にアニオン性、カチオン性、非イオン性および両性会合性ポリマー増粘剤、抗酸化剤、浸透剤、金属イオン封鎖剤、香料、緩衝液、分散剤、例えば変性または未変性の揮発性または不揮発性アミノシリコーンなどのシリコーンなどの調整剤、被膜剤、セラミド、保存料、乳白剤あるいは導電性ポリマーなどの、髪染色用組成物に従来使用されている種々の補助剤も含有してもよい。
【0146】
上記補助剤は、一般に、補助剤それぞれに関して、組成物の重量に対して0.01重量%〜20重量%の量で存在する。
【0147】
当然、本発明による染料組成物に本質的に関連した有利な特性が、想定される追加(複数も)により損なわれないまたは実質的に損なわれないように、このまたはこれらの可能な追加の化合物は、当業者によって入念に選択されよう。
【0148】
染料組成物のpHは、一般に、約4〜約14、好ましくは約5〜約11である。これは、ケラチン繊維の染色に通常使用される酸性化剤または塩基性化剤によって、そうでなければ従来の緩衝液系によって所望値に調整することができる。
【0149】
酸性化剤には、例として、塩酸、オルトリン酸、硫酸、カルボン酸などの鉱酸または有機酸、例えば酢酸、酒石酸、クエン酸もしくは乳酸、またはスルホン酸を挙げることができる。
【0150】
塩基性化剤には、例として、アンモニア水、アルカリ炭酸塩、モノ−、ジ−およびトリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、またそれらの誘導体も、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムならびに以下の式(γ)
【0151】
【化27】

【0152】
(式中、Wは、ヒドロキシル基またはC〜Cアルキル基で置換されていてもよいプロピレン残基であり、Ra1、Ra2、Ra3およびRa4は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、C〜Cアルキル基またはC〜Cヒドロキシアルキル基を表す)
の化合物を挙げることができる。
【0153】
この染料組成物は、液体、クリームもしくはジェルの形態、またはケラチン繊維、特に髪を染色するのに適する任意の他の形態などの種々の形態であってもよい。
【0154】
本発明の染色方法は、本発明の組成物を、ケラチン物質、特に髪、より特には暗色の髪などのヒトのケラチン繊維に塗布することにあり、本発明の染色組成物は、式(I)または(II)の少なくとも1つの蛍光染料を含む。
【0155】
本発明の方法における具体的な実施形態によれば、還元剤は、式(I)または(II)の蛍光染料を少なくとも1つ含有する組成物を塗付する前に前処理として塗付してもよい。
【0156】
この還元剤は、チオール、例えばシステイン、ホモシステインまたはチオ乳酸、これらのチオールの塩、ホスフィン、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩、チオグリコール酸、さらにそのエステルも、特にモノチオグリコール酸グリセリルおよびチオグリセロールから選択してもよい。この還元剤は、ホウ化水素およびその誘導体、例えばホウ化水素の塩、シアノホウ化水素の塩、トリアセトキシホウ化水素の塩、またはトリメトキシホウ化水素の塩、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、第4級アンモニウム(テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム)塩、カテコールボランからも選択してもよい。
【0157】
この前処理の時間は、短くてもよく、上述の還元剤を使用した場合、特に0.1秒間〜30分間、好ましくは1分間〜15分間であってもよい。
【0158】
別の方法によれば、式(I)または(II)の蛍光染料を少なくとも1つ含む組成物はまた、上記に記載の還元剤を少なくとも1つ含む。この組成物は次いで髪に塗布される。
【0159】
式(I)または(II)のチオール蛍光染料がチオール官能基保護基Yを含む場合、本発明の方法では、SH官能基をその場で復元することを目的とする脱保護段階を先に行ってもよい。
【0160】
例としては、以下のようにpHを調整することによって、Y保護基を有するS−Y官能基を脱保護することができる。
【0161】
【表2】

【0162】
この脱保護段階は、髪前処理段階中、例えば髪の還元前処理中にも行うこともできる。
【0163】
別の染色方法によれば、式(I)または(II)の蛍光染料を少なくとも1つ含む組成物は、上記で定義した還元剤も少なくとも1つ含む。次いで、この組成物は髪に塗付される。
【0164】
一変法によれば、還元剤は、使用時に式(I)または(II)の蛍光染料を少なくとも1つ含む染料組成物に添加される。
【0165】
染色方法において、別の変法では、還元剤と同時に式(I)または式(II)の蛍光染料が適用される。
【0166】
別の変法によれば、還元剤は、式(I)または(II)の蛍光染料を少なくとも1つ含有する組成物を塗付した後、後処理として塗付される。還元剤を使用する後処理の時間は、短くてもよく、上記の還元剤を使用した場合、例えば0.1秒間〜30分間、好ましくは1分間〜15分間であってもよい。具体的な実施形態によれば、還元剤は、上記のようなチオール種またはホウ化水素種の作用物質である。
【0167】
本発明の具体的な実施形態は、式(I)または(II)の蛍光染料が、還元剤を使用せず、還元前処理または還元後処理なく髪に直接塗布できる方法に関する。
【0168】
酸化剤を使用する処理を、場合により組み合わせてもよい。当分野で常用されている任意の種類の酸化剤を使用してもよい。したがって、それは、過酸化水素、過酸化尿素、臭素酸アルカリ金属、過ホウ酸塩および過硫酸塩などの過酸基塩から、さらに酵素からも選択してもよく、それらのものには、ペルオキシダーゼ、ウリカーゼなどの2電子オキシドレダクターゼおよびラッカーゼなどの4電子オキシゲナーゼを挙げることができる。過酸化水素の使用は、特に好ましい。
【0169】
この酸化剤は、式(I)または(II)の蛍光染料を少なくとも1つ含有する組成物を塗布する前または塗布した後の繊維に塗布してもよい。
【0170】
本発明による染料組成物の塗付は、一般に、周囲温度で行われる。しかしながら、その塗付は、20〜180℃の範囲の温度で行ってもよい。
【0171】
本発明の主題は、第1区画が、式(I)または(II)の蛍光染料を少なくとも1つ含む染料組成物を含有し、第2区画が、ケラチン物質のジスルフィド官能基および/または式(I)の染料のジスルフィド官能基を還元し得る還元剤を含有する多区画デバイスまたは染色用キットでもある。
【0172】
これらの区画の1つは、直接染料種または酸化染料種の他の染料も1つまたは複数含有してもよい。
【0173】
本発明は、第1区画が、式(I)または(II)の蛍光染料を少なくとも1つ含む染料組成物を含有し、第2区画が、ケラチン物質のジスルフィド結合を還元し得る還元剤を含有し、第3区画が、酸化剤を含有する多区画デバイスにも関する。
【0174】
他の変法は、多区画染料デバイス、つまり染料「キット」に関し、式(II)の保護蛍光染料を少なくとも1つ有する組成物を含む第1区画、およびベース(base)のような脱保護剤を含む組成物を含む第2区画を含む。
【0175】
上述のデバイスの各々は、例えば、特許FR2586913に記載されているデバイスなどの、所望の混合物を髪へ送達する手段を備えてもよい。
【0176】
以下の実施例は、本発明を例示する役割を果たすが、これに限定されるものではまったくない。以下では、実施例のチオール蛍光染料の特性を、従来の分光法および分光測定法によって決定した。
【実施例】
【0177】
合成実施例
(実施例1)
1−メチル−4−{(E)−2−[4−(メチル{2−[(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)スルファニル]エチル}アミノ)−フェニル]ビニル}ピリジニウム塩[1]の合成
【0178】
【化28】

【0179】
合成スキーム
【0180】
【化29】

【0181】
段階1および2:
4−((E)−2−{4−[(2−クロロ−エチル)(メチル)アミノ]フェニル}ビニル)−1−メチルピリジニウムメチルスルファートの合成
ジクロロメタン(CHCl)25mlで希釈した4−ピコリン4.99gを40℃で撹拌しながら加熱する。CHCl、20mlで希釈したジメチル硫酸5mlを反応媒体に液滴で添加する。添加後に、この混合液を30分間42℃で維持し、20mlのイソプロパノールを添加する。
イソプロパノール30mlで希釈したピロリジン1.87gを添加する。この混合液を60℃で5分間撹拌しながら加熱する。4−[(2−クロロエチル)(メチル)−アミノ]ベンズアルデヒド10.5gを添加する。この混合液を52℃で2時間撹拌し続けてから、大気温度で48時間撹拌し続ける。この反応混合液を50mlのエタノールで希釈してから、−25℃で12時間保存する。得られる沈殿物を大気温度でろ別し、100mlのアセトンで洗浄してから、100mlのエチルエーテルで3回洗浄し、Pの存在下、真空下で乾燥させる。
15.1gの橙色の結晶を回収する。分析により、この生成物が適合していることが示される。
【0182】
段階3:
1−メチル−4−{(E)−2−[4−(メチル{2−[(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)スルファニル]エチル}−アミノ)−フェニル]ビニル}ピリジニウム塩[1]の合成
4−((E)−2−{4−[(2−クロロ−エチル)(メチル)アミノ]フェニル}ビニル)−1−メチルピリジニウムメチルスルファート5g、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール2.15gおよびエタノール(EtOH)20mlを撹拌しながら、48時間、70度で加熱する。EtOH3mlに希釈させた2−メルカプト−1−メチルイミダゾール2.15gを反応混合液に添加し、この混合液を72時間72度で撹拌し続ける。20mlのイソプロパノールと2mlの水を、−10℃まで冷却した反応混合液に添加する。油が上清から分離され、酢酸エチル(EtOAc)で洗浄してから、100mlのエタノールに溶解させ、−25℃で48時間保存する。
得られる結晶をろ別してから、エタノール20mlで洗浄し、100mlのEtOAcで3回洗浄後、Pの存在下、真空下で乾燥させる。5.79gの茶色の粉末を回収する。分析により、この生成物が適合していることが示される。
H NMR(400MHz,ppm,DMSO−d)2.96(s、3H)、3.51(t、2H)、3.67(s、3H)、3.68(t、2H)、4.20(s、3H)、6.75(d、2H)、7.20(d、1H)、7.57(d、2H)、7.72(、1H)、7.76(d、1H)、7.91(d、1H)、8.07(d、2H)、8.73(d、2H)。
【0183】
(実施例2)
4−((E)−2−{4−[{2−[(1,3−ジメチル−1H−イミダゾール−3−イウム−2−イル)スルファニル]エチル}(メチル)アミノ]−フェニル}ビニル)−1−メチルピリジニウムメチルスルファート/クロリド[2]の合成
【0184】
【化30】

【0185】
合成スキーム
【0186】
【化31】

【0187】
手順:
1−メチル−4−{(E)−2−[4−(メチル{2−[(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)スルファニル]エチル}−アミノ)−フェニル]ビニル}ピリジニウム塩[1]、2g入りのN−メチルピロリジノン(NMP)2mlとアセトニトリル(ACN)8mlの溶液を、20分間70℃で撹拌する。この混合液にジメチル硫酸500ulを添加する。撹拌および加熱を1時間30分間維持する。酢酸ナトリウム500mgを添加する。4時間後、1mlのジメチル硫酸を添加し、大気温度で15時間撹拌し続ける。アセトニトリル50mlを添加する。得られる沈殿物をろ別する。100mlのアセトンをろ液に導入し、その結果得られる油を100mlのアセトンで3回洗浄してから、50mlのイソプロパノールに再溶解させ、48時間−25℃で保存する。形成される沈殿物をろ別し、10mlのiPrOHで洗浄し、20mlの酢酸エチルで3回洗浄後、Pの存在下、真空下で乾燥させる。1.11gの茶色の粉末を回収する。分析により、混合された塩化物およびメチル硫酸塩の形態で、この生成物が適合していることが示される。
H NMR(400MHz,ppm,MeOH−d6)3.06(s、3H)、3.35(t、2H)、6.68(s、5.44H、メチル硫酸)、3.77(t、2H)、3.79(t、6H)、4.24(s、3H)、6.82(d、2H)、7.15(d、1H)、7.64(d、2H)、7.75(s、2H)、7.83(d、1H)、8.00(d、2H)、8.55(d、2H)。
【0188】
(実施例3)
2,2’−{ジスルファン−ジイルビス[エタン−2,1−ジイル−(メチル−イミノ)−4,1−フェニレン(E)エテン−2,1−ジイル]}ビス(1−メチルピリジニウム)ジクロライド[3]の合成
【0189】
【化32】

【0190】
合成スキーム
【0191】
【化33】

【0192】
手順:
【0193】
段階1:
4,4’−{ジスルファンジイルビス[エタン−2,1−ジイル−(メチル−イミノ)]}ジベンズアルデヒド
82.3gのオキシ塩化リンを0℃で500mlのDMFに添加する。0℃で30分間撹拌後に、N,N’−(ジスルファンジイルジエタン−2,1−ジイル)ビス(N−メチルアニリン)47gの溶液を液滴で添加する。この混合液を0℃で90分間撹拌してから、10℃で75分間および40℃で105分間撹拌する。次いで、それを氷冷した水2.5l中に注ぎ、5Nの水酸化ナトリウム700mlを添加する。得られる黄色の沈殿物をセライトを通してろ別し、200mlのジクロロメタンに溶解させ、得られる溶液を200mlの塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄する。硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ジクロロメタンを蒸発させた後、黄色の残渣(80g)をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。乾燥後、淡黄色粉末を回収する。分析により、生成物は期待される構造と一致することが示される。
【0194】
段階2:
2,2’−{ジスルファンジイルビス[エタン−2,1−ジイル(メチル−イミノ)−4,1−フェニレン(E)エテン−2,1−ジイル]}ビス(1−メチルピリジニウムジクロライド)[3]
4,4’−{ジスルファンジイルビス[エタン−2,1−ジイル−(メチル−イミノ)]}ジベンズアルデヒド25gおよびN−メチルピコリニウムクロライド18.5gをメタノール300mlに溶解させる。ピペリジン12.7mlを混合液に添加する。全混合液を11時間、55℃で撹拌しながら加熱する。メタノールを40℃、真空下で除去する。固体をイソプロパノール300mlで混合させる。蒸発によるさらなる乾燥後に、イソプロパノール200mlを入れる。混合液は固体になり、100mlのイソプロパノールを添加した後、焼結ガラスで脱水する。回収される固体をイソプロパノール、次いでアセトンで洗浄した後に、真空下で乾燥させる。乾燥後、36.7gの橙色の粉末を回収する。イソプロパノールによる再結晶によって、高純度の27gの橙赤粉末を回収する。分析により、生成物が化合物[3]と一致し、純粋であることが示される。
H NMR(400MHz,MeOH−d)2.99(t、4H)、3.81(t、4H)、4.31(s、6H)、6.86(d、4H)、7.22(d、2H)、7.63(m、2H)、7.69(d、4H)、7.83(d、2H)、8.29(m、2H)、8.36(m、2H)、8.61(m、2H)。
【0195】
(実施例4)
4,4’−{ジスルファンジイルビス[エタン−2,1−ジイル(メチルイミノ)−4,1−フェニレン−(E)エテン−2,1−ジイル]}ビス(1−メチルピリジニウム)ジメトキシ硫酸塩[4]の合成
【0196】
【化34】

【0197】
合成スキーム
【0198】
【化35】

【0199】
手順:
4,4’−{ジスルファンジイルビス[エタン−2,1−ジイル(メチルイミノ)−4,1−フェニレン−(E)エテン−2,1−ジイル]}ビス(1−メチルピリジニウム)ジメトキシ硫酸塩[4]
4−ピコリン2.62gを希釈させたジクロロメタン25ml溶液に、3mlのジメチル硫酸を添加し、混合液の温度を、還流のために上昇させる(40℃)。40分間撹拌した後、イソプロパノール50mlを添加し、その混合液を、ジクロロメタンの蒸留によって濃縮させる(混合液は60℃まで加熱させる)。1.83gのピロリジンを混合液に入れ、続いて4,4’−{ジスルファンジイルビス[エタン−2,1−ジイル−(メチル−イミノ)]}ジベンズアルデヒド4.99gを入れる。65℃で2時間撹拌した後、反応混合液を大気温度まで冷却させ、形成される沈殿物をろ別し、3回のイソプロパノール100mlで洗浄させる。得られる赤色のペーストをイソプロパノール200mlに分散させ、その結果得られる混合液を還流させてから、冷却させる。形成される赤色の沈殿物をろ別してから乾燥させる。8.94gの赤色粉末を回収する。生成物は[4]の構造に一致していて純粋であることが分析により示される。
H NMR(400MHz,DMSO−d)2.96(t、4H)、3.02(s、6H)、3.36(s、6H)、3.72(t、4H)、4.16(s、6H)、6.81(d、4H)、7.15(d、2H)、7.57(d、4H)、7.87(d、2H)、8.02(d、4H)、8.66(d、4H)。
【0200】
(実施例5)
2,2’−{ジスルファンジイルビス[エタン−2,1−ジイル(メチルイミノ)−4,1−フェニレン(E)エテン−2,1−ジイル]}ビス(1−エチルピリジニウム)ジクロライド[5]の合成
【0201】
【化36】

【0202】
合成スキーム
【0203】
【化37】

【0204】
手順:
2,2’−{ジスルファンジイルビス[エタン−2,1−ジイル(メチルイミノ)−4,1−フェニレン(E)エテン−2,1−ジイル]}ビス(1−エチルピリジニウム)ジクロライド[5]の合成
10gの4,4’−{ジスルファンジイルビス[エタン−2,1−ジイル−(メチル−イミノ)]}ジベンズアルデヒドと8.1gのN−エチルピコリニウムクロライドを100mlのイソプロパノールに溶解させる。1.3gのピペリジンを混合液に添加する。全混合液を撹拌しながら5時間還流させる。イソプロパノールを50℃の真空下で除去する。得られる粘性物質をアセトンで粉末にする。18gの固体を回収して、カーボンブラックで処理する。7.1gの生成物を回収し、液体/液体クロマトグラフィーによって4gが精製される(水/BuOH)。乾燥後、1.65gの赤色粉末を回収する。生成物は染料[5]の構造に一致していて純粋であることが分析により示される。
H NMR(400MHz,MeOH−d)1.57(t、6H)、2.98(t、4H)、3.11(s、6H)、3.8(t、4H)、4.73(q、4H)、6.85(m、4H)、7.23(d、2H)、7.69(m、6H)、7.85(d、2H)、8.29(m、2H)、8.38(m、2H)、8.67(m、2H)。
【0205】
(実施例6)
4,4’−{ジスルファンジイルビス[エタン−2,1−ジイル(メチルイミノ)−4,1−フェニレン−(E)エテン−2,1−ジイル]}ビス(1−エチルピリジニウム)ジブロマイド[6]の合成
【0206】
【化38】

【0207】
合成スキーム
【0208】
【化39】

【0209】
手順:
4,4’−{ジスルファンジイルビス[エタン−2,1−ジイル(メチルイミノ)−4,1−フェニレン−(E)エテン−2,1−ジイル]}ビス(1−エチルピリジニウム)ジブロマイド[6]の合成
4.1gの4,4’−{ジスルファンジイルビス[エタン−2,1−ジイル−(メチル−イミノ)]}ジベンズアルデヒド、40mlのイソプロパノールおよび0.86mlのピロジリンを75℃で20分間加熱する。4.26gの1−エチル−4−メチルピリジニウムブロマイドを反応媒体に加え、その結果得られる混合液を5時間撹拌および加熱する。200mlのアセトンを反応媒体中に入れる。得られる沈殿物をろ別し、アセトンで洗浄して乾燥させる。7.37gの赤色粉末を回収する。分析により、生成物が適合しており純粋であることが示される。
H NMR(400MHz,DMSO−d)1.5(t、6H)、2.98(t、4H)、3.04(s、6H)、3.74(t、4H)、4.46(q、4H)、6.84(d、4H)、7.19(d、2H)、7.61(d、4H)、7.93(d、2H)、8.08(d、4H)、8.82(d、4H)。
【0210】
(実施例7)
4,4’−{ジスルファンジイルビス[エタン−2,1−ジイル−(メチルイミノ)−4,1−フェニレン(E)エテン−2,1−ジイル]}ビス[1−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウム]ジブロマイド[7]の合成
【0211】
【化40】

【0212】
合成スキーム
【0213】
【化41】

【0214】
手順:
4,4’−{ジスルファンジイルビス[エタン−2,1−ジイル−(メチルイミノ)−4,1−フェニレン(E)エテン−2,1−ジイル]}ビス[1−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウム]ジブロマイド[7]の合成
4.1gの4,4’−{ジスルファンジイルビス[エタン−2,1−ジイル−(メチルイミノ)]}ジベンズアルデヒド、40mlのイソプロパノールおよび0.86mlのピロジリンを75℃で1時間加熱する。4.6gの1−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルピリジニウムブロマイドを反応媒体に加え、その結果得られる混合液を1時間撹拌および加熱する。200mlのアセトンを反応媒体中に入れる。得られる粘性物質を細分化し、ろ別し、150mlのイソプロパノールで3回洗浄し、乾燥させる。6.59gの粉末を回収する。分析により、生成物が適合していることが示される。
H NMR(400MHz,MeOH−d)2.97(t、4H)、3.1(s、6H)、3.78(t、4H)、3.97(t、4H)、4.51(t、4H)、6.83(d、4H)、7.09(d、2H)、7.61(d、4H)、7.83(d、2H)、7.98(d、4H)、8.56(d、4H)。
【0215】
(実施例8)
4,4’−{ジスルファンジイルビス[エタン−2,1−ジイル(メチルイミノ)−4,1−フェニレン(E)エテン−2,1−ジイル]}ビス(1−ベンジルピリジニウム)ジブロマイド[8]の合成
【0216】
【化42】

【0217】
合成スキーム
【0218】
【化43】

【0219】
手順:
段階1:4,4’−{ジスルファンジイルビス[エタン−2,1−ジイル(メチルイミノ)−4,1−フェニレン(E)エテン−2,1−ジイル]}ビス(1−ベンジルピリジニウム)ジメタンスルホン酸[8]の合成
4.1gの4,4’−{ジスルファンジイルビス[エタン−2,1−ジイル−(メチルイミノ)]}ジベンズアルデヒド、40mlのイソプロパノールおよび0.86mlのピロジリンを75℃で20分間加熱する。5.85gの1−ベンジル−4−メチルピリジニウムブロマイドを反応媒体に加え、その結果得られる混合液を5時間撹拌および加熱する。反応混合液を大気温度で17時間撹拌する。上清をろ過し、得られる黒色の固体を練和して、200mlのイソプロパノールで洗浄し、ろ別し、ついで乾燥させる。9.12gの赤色粉末を回収する。分析により、生成物が適合していることが示される。
H NMR(400MHz,DMSO−d)2.98(t、4H)、3.03(s、6H)、3.78(t、4H)、5.67(s、4H)、6.82(d、4H)、7.15(d、2H)、7.40(m、5H)、7.61(d、4H)、7.90(d、2H)、8.07(d、4H)、8.90(d、4H)。
【0220】
(実施例9)
4,4’−{ジスルファンジイルビス[エタン−2,1−ジイル(メチルイミノ)−4,1−フェニレン(E)エテン−2,1−ジイル]}ビス(1−メチルキノリニウム)ジメチルスルファート[9]の合成
【0221】
【化44】

【0222】
合成スキーム
【0223】
【化45】

【0224】
手順:
4,4’−{ジスルファンジイルビス[エタン−2,1−ジイル(メチルイミノ)−4,1−フェニレン(E)エテン−2,1−ジイル]}ビス(1−メチルキノリニウム)ジメチルスルファート[9]の合成
4.1gの4,4’−{ジスルファンジイルビス[エタン−2,1−ジイル−(メチルイミノ)]}ジベンズアルデヒド、40mlのイソプロパノールおよび0.86mlのピロジリンを75℃で20分間加熱する。5.9gの1,4ジメチルキノリニウムブロマイドを反応媒体に加え、その結果得られる混合液を5時間撹拌および加熱する。反応混合液に200mlのアセトンを入れる。得られる沈殿物をろ別し、200mlのアセトンで洗浄してから乾燥させる。8.73gの黒色粉末を回収する。分析により、生成物が適合していることが示される。
LC−MS m/z 334、 Lmax 524nm
【0225】
(実施例10)
4,4’−{ジスルファンジイルビス[エタン−2,1−ジイル(メチルイミノ)−4,1−フェニレン(1E)プロパ−1−エン−1,2−ジイル]}ビス[1−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウム]ジブロマイド[10]の合成
【0226】
【化46】

【0227】
合成スキーム
【0228】
【化47】

【0229】
手順:
段階1:
4,4’−{ジスルファンジイルビス[エタン−2,1−ジイル(メチルイミノ)−4,1−フェニレン(1E)プロパ−1−エン−1,2−ジイル]}ビス[1−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウム]ジブロマイド[10]の合成
4.1gの4,4’−{ジスルファンジイルビス[エタン−2,1−ジイル−(メチルイミノ)]}ジベンズアルデヒド、40mlのイソプロパノールおよび0.86mlのピロジリンを75℃で20分間加熱する。5.9gの4−エチル−1−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムブロマイドを反応媒体に添加し、その結果得られる混合液を5時間撹拌および加熱する。反応混合液に200mlのアセトンを入れる。得られる沈殿物をろ別し、200mlのアセトンで洗浄してから乾燥させる。9.76gの紫色粉末を回収する。分析により、生成物が適合しており純粋であることが示される。
H NMR(400MHz,MeOH−d)2.38(s、6H)、2.96(t、4H)、3.06(s、6H)、3.76(t、4H)、3.99(t、4H)、4.59(t、4H)、6.84(d、4H)、7.49(d、4H)、7.52(s、2H)、8.13(d、4H)、8.68(d、4H)。
【0230】
(実施例11)
1−エチル−4−((E)−2−{4−[(17−{4−[(E)−2−(1−エチルピリジニウム−4−イル)ビニル]フェニル}−4,4,13,13−テトラメチル−8,9−ジチア−17−アザ−4,13−ジアゾニアオクタデカ−1−イル)(メチル)アミノ]フェニル}ビニル)ピリジニウム塩[11]の合成
【0231】
【化48】

【0232】
合成スキーム
【0233】
【化49】

【0234】
手順:
【0235】
段階1:
4−[[3−(ジメチルアミノ)プロピル](メチル)アミノ]ベンズアルデヒドの合成
4−フルオロベンズアルデヒド10g、炭酸カリウム12gを、N−メチルピロリジノン(NMP)20mlと混合させて、50℃にする。N,N,N’−トリメチル−1,3−プロパンジアミン13mlを添加して、その混合液を10時間、80℃にする。冷却後、アセトン100mlを加える。得られる混合液をろ過し、真空下で濃縮させる。予想される化合物を含み、0.7モルのNMPに相当する油21.85gを回収する。
【0236】
段階2:
ジメタンスルホン酸ジスルファンジイルジプロパン−3,1−ジイルの合成
3,3’−ジスルファンジイルジプロパン−1−オール9gを50mlの酢酸エチルに希釈させる。20gのトリエチルアミンを添加し、混合液を0℃まで冷却させる。14.3gの塩化メシル(mesyl chloride)を徐々に添加する間、温度を5℃以下に維持する。添加の最後に、混合液を大気温度で1時間撹拌し続け、次いで100mlの水/氷混合物中に注ぎいれる。生成物を100mlの酢酸エチルで抽出して、1モル溶液の塩酸2×100ml、水2×100ml、炭酸水素ナトリウム飽和溶液100mlおよび塩化ナトリウム飽和溶液2×100mlで洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮させる。黄色みがかった油6gを回収し、分析により、得られる生成物は適合していることが示される。
【0237】
段階3:
N,N’−(ジスルファンジイルジプロパン−3,1−ジイル)ビス{3−[(4−ホルミルフェニル)(メチル)アミノ]−N,N−ジメチルプロパン−1−アミニウム}ジメタンスルホン酸塩の合成
4−[[3−(ジメチルアミノ)プロピル](メチル)アミノ]ベンズアルデヒド2.2gとジメタンスルホン酸ジスルファンジイルジプロパン−3,1−ジイル1.7gを、80℃で22時間、N−メチル−ピロリジノン2mlと混合させる。反応混合液を冷却させた後、20mlのエタノールを添加する。得られる固体をろ別すると、高度に含水である(hygroscopic)。ジクロロメタンでの粉末化による精製により、予想される生成物と適合する232mgの固体が単離される。
【0238】
段階4:
1−エチル−4−((E)−2−{4−[(17−{4−[(E)−2−(1−エチルピリジニウム−4−イル)ビニル]フェニル}−4,4,13,13−テトラメチル−8,9−ジチア−17−アザ−4,13−ジアゾニアオクタデカ−1−イル)(メチル)アミノ]フェニル}ビニル)ピリジニウム塩[11]の合成
230mgのN,N’−(ジスルファンジイルジプロパン−3,1−ジイル)ビス{3−[(4−ホルミルフェニル)(メチル)アミノ]−N,N−ジメチルプロパン−1−アミニウム}ジメタンスルホン酸塩と163mgの1−エチル−4−メチルピリジニウムブロマイドを、イソプロパノール5mlに混合させる。53μlのピロリジンを添加し、混合液を70℃で6時間撹拌し続けてから、大気温度で72時間撹拌させる。混合液を−20℃まで冷却させた後、形成される固体をろ別し、メタノール中にいれ、200mlのtert−ブチルメチルエーテルを添加することにより再沈殿させる。118mgの黒色固体を回収する。分析により、生成物が予想される構造と一致していることが示される。
(MS (ESI+):質量ピーク m/z=199)
【0239】
(実施例12)
2,2’−{ジスルファンジイル−ビス[エタン−2,1−ジイルイミノ−4,1−フェニレン(E)エテン−2,1−ジイル]}ビス[1−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウム]ジブロマイド[12]の合成
【0240】
【化50】

【0241】
合成スキーム
【0242】
【化51】

【0243】
手順:
【0244】
段階1:
4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]ベンズアルデヒドの合成
1.24gの4−フルオロベンズアルデヒド、10mlのDMSOで蒸留させた水素化カルシウム、1.16gの炭酸ナトリウムおよび触媒量の18−クラウン−6−エーテル(5mol%)を撹拌しながら10分間混和させる。1.25mlのエタノールアミンを反応媒体にゆっくりと添加させ、反応媒体を撹拌し続けながら、52時間、160℃で加熱する。75℃まで冷却させた後、反応混合物を蒸留水で加水分解させる。塩酸希釈溶液を、pHが6と7の間になるまで添加してから、混合液を撹拌し続け、40℃で6時間加熱する。得られるアルコールを酢酸エチルで抽出する。有機相を蒸留水および塩を混ぜた水(salified water)で数回洗浄してから、硫酸マグネシウムで乾燥させる。混合液を真空下で濃縮させ、シリカゲルクロマトグラフィーで精製させる。1.2gの茶色の固体を回収する。分析により、予想される構造と一致していることが示される。
【0245】
段階2:硫酸メチル2−[(4−ホルミルフェニル)アミノ]エチルの合成
0.4gの4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]ベンズアルデヒドと10mlのピリジンを撹拌しながら混合させる。反応媒体を、乾燥させた冷えたアセトン槽(dry ice−acetone bath)で冷却させる。0.18mlの塩化メシルを0℃で液滴で添加させる。反応混合液を0から5℃の間の温度で17時間撹拌させてから、氷冷水を混合液中に入れる。得られる固体を練和し、ろ別し、蒸留水で洗浄してから、真空下で乾燥させる。550mgの白色固体を回収する。分析により、生成物が適合していることが示される。
【0246】
段階3:
4,4’−[ジスルファンジイルビス(エタン−2,1−ジイルイミノ)]ジベンズアルデヒドの合成
0.5gの硫酸メチル2−[(4−ホルミルフェニル)アミノ]エチル、3mlのエタノール−水の溶液(1:2)および0.546gのチオ硫酸ナトリウムを撹拌しながら2時間還流下で混合させる。得られる黄色の溶液を冷却させてから、35%の水酸化ナトリウム2.8mlを液滴で添加する。混合液を1時間、75℃で撹拌し続ける。冷却させた後、淡黄色の固体をろ別し、水で洗浄してから、真空下で乾燥させる。237mgの黄色の粉末を回収する。分析により、生成物が適合しており、純粋であることが示される。
H NMR(400MHz,CDCl)2.85(t、4H)、3.5(m、4H)、4.61(t、2H)、63.57(d、2H)、7.63(d、4H)、9.66(s、2H)。
【0247】
段階4:
2,2’−{ジスルファンジイルビス[エタン−2,1−ジイルイミノ−4,1−フェニレン(E)エテン−2,1−ジイル]}ビス[1−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウム]ジブロマイド[12]の合成
200mgの1−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルピリジニウムブロマイドと260mgの4,4’−[ジスルファンジイルビス(エタン−2,1−ジイルイミノ)]ジベンズアルデヒドを、4mlのイソプロパノールに分散させる。666mgの酢酸、790mgのピロリジンからなる溶液1mlおよび10mlのイソプロパノールを懸濁液に添加させる。混合液を16時間撹拌し続ける。130mgの1−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルピリジニウムブロマイドを添加し、混合液を60℃で6時間加熱させる。形成される固体をろ別し、5mlのイソプロパノールと0.5mlの水で練和してから、再ろ過し、乾燥させる。188mgの黒色の固体を回収する。分析により、生成物が予想される構造と一致することが示される。
H NMR(400MHz,DMSOd)2.96(t、4H)、3.46(m、4H)、3.84(m、4H)、4.8(t、4H)、5.22(t、2H)、6.70(d、4H)、6.80(t、2H)、7.28(d、2H)、7.65(d、4H)、7.72(dd、2H)、7.86(d、2H)、8.35(dd、2H)、8.45(d、2H)、8.67(d、2H)。
【0248】
(実施例13)
2,2’−{ジスルファンジイルビス[エタン−2,1−ジイルイミノ−2,1−フェニレン(E)エテン−2,1−ジイル]}ビス(1−メチルキノリニウム)ジメチルスルファート[13]の合成
【0249】
【化52】

【0250】
合成スキーム
【0251】
【化53】

【0252】
手順:
【0253】
段階1:
2−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]ベンズアルデヒドの合成
1.24gの2−フルオロベンズアルデヒド、10mlのDMSOで蒸留させた水素化カルシウム、1.16gの炭酸ナトリウムおよび触媒量の18−クラウン−6−エーテル(5mol%)を撹拌しながら10分間混和させる。1.3mlのエタノールアミンを添加する。160℃で3時間撹拌させた後、混合液を75℃まで戻し、蒸留水で加水分解させる。希釈塩酸を添加させることによって溶液のpHを6まで下げ、その結果得られる混合液を撹拌し続けながら、40℃で18時間加熱させる。得られるアルコールを酢酸エチルで抽出させる。有機相を蒸留水および塩を混ぜた水で数回洗浄してから、硫酸マグネシウム上で乾燥させる。混合液を真空下で濃縮させてから、シリカゲルクロマトグラフィーで精製させる。1.2gの茶色の生成物を回収する。
【0254】
段階2:
メタンスルホン酸2−[(2−ホルミルフェニル)アミノ]エチルの合成
0.5gの2−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]ベンズアルデヒドと10mlの蒸留ピリジンを0℃で撹拌しながら混合させる。0.23mlの塩化メシルを液滴で添加させる。反応混合液を0から5℃の間の温度で17時間撹拌させてから、氷冷水を混合液中に入れる。得られる白色固体をろ別し、蒸留水でリンスしてから、真空下で乾燥させる(650mg)。分析により、生成物が適合しており、純粋であることが示される。
【0255】
段階3:
2,2’−[ジスルファンジイルビス(エタン−2,1−ジイルイミノ)]ジベンズアルデヒドの合成
0.5gのメタンスルホン酸2−[(2−ホルミルフェニル)アミノ]エチルおよび0.546gのチオ硫酸ナトリウム五水和物を3mlのエタノール/水の溶液(1/2)中で90℃で15gに対して加熱させる。得られる溶液を冷却させてから、35%の水酸化ナトリウム2.8mlを添加し、混合液を1時間、75℃で撹拌し続ける。冷却させた後、形成される黄色の固体をろ別し、蒸留水で洗浄してから、真空下で乾燥させる。222mgの粉末を回収する。分析により、生成物が予想される生成物と一致していることが示される。
H NMR(400MHz,CDCl)2.96(t、4H)、3.63(dt、4H)、6.74(t、2H)、6.76(d、2H)、7.41(t、2H)、7.50(d、2H)、8.54(t、2H)、9.84(s、2H)。
【0256】
段階4:
2,2’−{ジスルファンジイルビス[エタン−2,1−ジイルイミノ−2,1−フェニレン(E)エテン−2,1−ジイル]}ビス(1−メチルキノリニウム)ジメチルスルファート[13]の合成
210mgの2,2’−[ジスルファンジイルビス(エタン−2,1−ジイルイミノ)]ジベンズアルデヒドと360mgの1,2−ジメチル−キノリニウムを、4mlのイソプロパノールに分散させる。790mgのピロリジン、666mgの酢酸からなる溶液1mlおよび十分量のイソプロパノール10mlを添加させる。混合液を10日間、大気温度で撹拌し続け、180mgのキノリニウムを添加し、撹拌を大気温度で3日間続ける。混合液をろ過し、回収される固体を乾燥させる(214mg)。分析により、生成物が予想される構造と一致することが示される。
LCMS(ESI+)320、λmax 494nm
【0257】
[染色実施例]
(実施例1)
染色方法−化合物[1]
色調の高さ4の1gの房の髪をボウル(bowl)の底に配置する。1mlのpH8.5のチオグリコール酸アンモニウム、1モル溶液を、9mlの水で希釈する。このようにして得られる溶液を房に塗布し、30分間作用させるために放置する。房を流水でリンスしてから、再びボウルに配置する。化合物[1]を49mg含む水溶液10mlを大気温度で30分間塗布する(この房を、15分後にひっくり返し再度染み込ませる)。
次いで、房を流水でリンスし乾燥させる。乾燥後、色調の高さ4の房は、未処理の対照房より視覚的に明るくなる。
【0258】
(実施例2)
染色方法−化合物[2]
色調の高さ4の1gの房の髪をボウルの底に配置する。1mlのpH8.5のチオグリコール酸アンモニウム、1モル溶液を、9mlの水で希釈する。このようにして得られる溶液を房に塗布し、30分間作用させるために放置する。房を流水でリンスしてから、再びボウルに配置する。化合物[2]を63mg含む水溶液10mlを大気温度で30分間塗布する(この房を、15分後にひっくり返し再度染み込ませる)。
次いで、房を流水でリンスし乾燥させる。乾燥後、色調の高さ4の房は、未処理の対照房より視覚的に明るくなる。
【0259】
(実施例3)
化合物[3]〜[12]での染色方法
【0260】
【表3】

【0261】
【表4】

【0262】
使用時に、組成物A(9ml)およびB(1ml)を混合し、次いで、得られた混合物を、周囲温度で30分間、暗色(色調の高さ4)の髪1gの房に塗付する(この房を、15分後にひっくり返し再度染み込ませる)。
【0263】
流水でリンスし乾燥した後、そのように処理した髪の明色化が認められ、色調の高さ4の房は、未処理の対照房より視覚的に明るくなった。
【0264】
継続的なシャンプー作業に対する残留度:
そのように処理した房を2つに分け、各半分を、その房を水で濡らす段階、従来のシャンプーで洗浄する段階、水でリンスする段階、次いで乾燥する段階を含むサイクルによる5回の継続的なシャンプー作業にかける。
【0265】
目視観測
実施例[1]、[2]、[3]、[4]、[5]、[7]、[8]、[9]、[10]および[12]のシャンプー作業中、目に見えるにじみはなく、シャンプーの泡およびリンス水は、着色されていない。
【0266】
認められる色は保持され、そのように処理した色調の高さ4の髪に対する明色化効果は、依然として見られるままである。
【0267】
L*a*b*システムでの結果:
5回の洗浄前後の房の色を、MINOLTA(登録商標)CM 2600D分光光度計(光源D65)によるL*a*b*システムで評価した。
【0268】
このL*a*b*システムでは、L*は明度を表し、a*は緑色/赤色軸を示し、b*は青色/黄色軸を示す。Lの値が高ければ高いほど、色はより明るくまたはより弱くなり、逆にLの値が低ければ低いほど、色はより暗くまたはずっと強くなる。a*の値が高ければ高いほど、色合いはより赤くなり、b*の値が高ければ高いほど、色合いはより黄色くなる。
【0269】
TH4(色調の高さ4)の染色した髪の房と洗浄した髪の房との着色の変化を、以下の等式:
【0270】
【数1】

【0271】
に従って(ΔE)によって測定する。
【0272】
この等式では、L*、a*およびb*は、染色した後に測定される値を表し、L*、a*およびb*は、染色(またはシャンプー)する前に測定される値を表す。
【0273】
ΔEの値が大きければ大きいほど、TH4もしくはTH4.5の房と着色した房との色の差はより大きくなる。
【0274】
【表5】

【0275】
上表中の結果から、本発明の染料で染色したTH4の房に関する5回のシャンプー作業の後では、元々の色はほとんど変わらないことが示される。したがって、髪に対する着色効果および明色化効果は実質的に変化しないままであることから、本発明の染料の非常に良好な耐シャンプー性が示される。
【0276】
30回の一連のシャンプー作業に続く、化合物3〜5で処理したTH4.5の房について得られる結果
【0277】
【表6】

【0278】
上表中の結果から、本発明の染料で染色したTH4.5の房に関する30回のシャンプー作業の後では、元々の色はほとんど変わらないことが示される。したがって、髪に対する着色効果および明色化効果は実質的に変化しないままであることから、本発明の染料の非常に良好な耐シャンプー性が示される。
【0279】
反射率の結果:
本発明による組成物の明色化の効率および継続的なシャンプー作業に対する前記組成物の残留度も、髪の反射率の関数として表現した。これらの反射率を、色調の高さTH4の未処理の髪の房の反射率と比較する。
【0280】
反射率は、KONICA MINOLTA(登録商標)CM 2600d分光色差計装置によって、400〜700ナノメートルの波長範囲内の可視光を使用して髪を照射した後に測定する。
【0281】
【表7】

【0282】
【表8】

【0283】
【表9】

【0284】
本発明による組成物を使用して処理した髪の房の反射率は、未処理の髪より高いことがまず第1に認められる。したがって、処理した房は、より明るいように見える。
【0285】
さらに、この結果から、本発明の組成物を使用して処理した色調の高さ4の髪の房の反射率は、5回のシャンプー作業の後ほとんどまったく変化しないことが示される。したがって、髪に対する着色効果および明色化効果は実質的に変化しないままであることから、本発明の染料の、シャンプー作業に対する耐性が非常に良好であることが示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I)または(II)の蛍光染料
【化1】

[式(I)および(II)において、
およびR’は、同一でも異なっていてもよく、ヒドロキシル基、アミノ基、(C〜C)アルキルアミノ基もしくは(C〜C)ジアルキルアミノ基で置換されていてもよいアリール(C〜C)アルキル基または(C〜C)アルキル基を表し、前記アルキル基は、それらの基を結合している窒素原子と共に、窒素と異なっても同一であってもよい別のヘテロ原子を場合により含み5〜7員を含む複素環を形成してもよく、
およびR’は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、置換されていてもよいアリール(C〜C)アルキル基もしくは(C〜C)アルキル基を表し、
R’は、水素原子、置換されていてもよいアリール(C〜C)アルキル基またはC〜Cアルキル基を表し、
、R’、R”およびR”’は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アミノ、(C〜C)アルキルアミノ、(C〜C)ジアルキルアミノまたはトリフルオロメチルの各基、アシルアミノ、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルカルボニルオキシ、(C〜C)アルコキシカルボニル、(C〜C)アルキルカルボニルアミノまたは(C〜C)アルキルスルホニルアミノの各基、または(C〜C)アルキル基を表し、
、R’、R”およびR”’は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、(C〜C)ジアルキルアミノまたは(C〜C)アルキルカルボニルアミノの各基、アシルアミノまたは(C〜C)アルキルスルホニルアミノの各基または(C〜C)アルキル基を表し、
そうでなければ、2つの隣接した炭素原子に結合している2つの基RおよびR’、R”およびR”’、RおよびR’、R”およびR”’は、一緒になってベンゾ環もしくはインデノ環または縮合複素環式アルキル基もしくは縮合ヘテロアリール基を形成し;そのベンゾ環、インデノ環、複素環式アルキル環もしくはヘテロアリール環は、ハロゲン原子、アミノ、(C〜C)アルキルアミノ、(C〜C)ジアルキルアミノ、シアノ、カルボキシル、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、アシルアミノ、C〜Cアルコキシ、C〜C(ポリ)ヒドロキシアルコキシ、(C〜C)アルキルカルボニルオキシ、(C〜C)アルコキシカルボニルまたは(C〜C)アルキルカルボニルアミノの各基、アシルアミノ、カルバモイルもしくは(C〜C)アルキルスルホニルアミノの各基、アミノスルホニル基、あるいは(C〜C12)アルコキシ、ヒドロキシル、シアノ、カルボキシル、アミノ、(C〜C)アルキルアミノおよび(C〜C)ジアルキルアミノから選択される基で置換されていてもよい(C〜C16)アルキル基で置換されていてもよく、そうでなければそのアミノ基の窒素原子に結合している2つのアルキル基が、その窒素原子と同一かもしくは異なる別のヘテロ原子を場合により含み5〜7員を含む複素環を形成してもよく、
、R’、R”およびR”’は、同一でも異なっていてもよく、水素原子または(C〜C)アルキル基を表し、
、R、R、R、R’、R’、R’およびR’は、同一でも異なっていてもよく、水素原子または(C〜C)アルキル基を表し、
【化2】

は、存在しても存在しなくてもよい、ベンゾ基を表し、
およびTは、同一でも異なっていてもよく、
i)いずれかがσ共有結合、
ii)あるいは−N(R)−および−N(R)(R゜)−から選択される基であって、ここでRおよびR゜は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、C〜Cアルキル基もしくはC〜Cヒドロキシアルキル基、もしくはアリール(C〜C)アルキルを表しており、
iii)あるいはカチオン性または非カチオン性の、複素環式アルキル基またはヘテロアリール基を表しており、
m、m’、nおよびn’は、同一でも異なっていてもよく、0〜6の両端を含めた整数を表し、m+nおよびm’+n’は、同一でも異なっていてもよく、1〜10の両端を含めた整数を表し、
がσ共有結合を表すとき、Yは、
置換されていてもよいアリール、
置換されていてもよいヘテロアリール、
置換されていてもよい複素環式アルキル、
置換されていてもよい(ジ)アリールアルキル、
置換されていてもよい(ジ)複素環式アルキル、
立体障害環式基、
から選択される基を表し、
が−N(R)−、−N(R)(R゜)−、またはカチオン性もしくは非カチオン性の、複素環式アルキルまたはヘテロアリール基を表すとき、Yは、i)水素原子、ii)アルカリ金属、iii)アルカリ土類金属、iv)アンモニウム基:Nαβγδもしくはホスホニウム基:Pαβγδ(ここでRα、Rβ、RγおよびRδは、同一でも異なっていてもよく、水素原子もしくは(C〜C)アルキル基を表す)、またはv)チオール官能基保護基から選択される基を表し、
ならびに、
M’は、アニオン性対イオンを表し、
式(I)または(II)の化合物が他のカチオン性部分を含有する場合、1つまたは複数のアニオン性対イオンと結合するため、式(I)または(II)は電気的中性を達成できることが理解される]、
その有機酸塩または鉱酸塩、それらの光学異性体および幾何異性体、ならびに水和物などのその溶媒和物。
【請求項2】
が−N(R)−、−N(R)(R゜)−、またはカチオン性もしくは非カチオン性の複素環式アルキルまたはヘテロアリール基を表すとき、Yが水素原子またはアルカリ金属を表す、請求項1に記載の式(II)の蛍光染料。
【請求項3】
が−N(R)−、−N(R)(R゜)−、またはカチオン性もしくは非カチオン性の複素環式アルキルまたはヘテロアリール基を表すとき、Yが以下のチオール官能基保護基:
(C〜C)アルキルカルボニル、
(C〜C)アルキルチオカルボニル、
(C〜C)アルコキシカルボニル、
(C〜C)アルコキシチオカルボニル、
(C〜C)アルキルチオチオカルボニル、
(ジ)(C〜C)(アルキル)アミノカルボニル、
(ジ)(C〜C)(アルキル)アミノチオカルボニル、
フェニルカルボニルなどのアリールカルボニル、
アリールオキシカルボニル、
アリール(C〜C)アルコキシカルボニル、
(ジ)(C〜C)(アルキル)アミノカルボニル、
(C〜C)(アルキル)アリールアミノカルボニル、
カルボキシル、
がアルカリ金属を表すSO;M(そうでなければ式(II)のM’およびMが存在しない)、
置換されていてもよいアリール、
置換されていてもよいヘテロアリール、
置換されていてもよい複素環式アルキル、
R’、R’、R’およびR’が、同一でも異なっていてもよく、水素原子またはアルキル基を表す、イソチオウロニウム−C(NR’R’)=NR’R’;An
R’、R’およびR’が上記で定義した通りであるイソチオ尿素−C(NR’R’)=NR’
置換されていてもよい(ジ)アリールアルキル、
置換されていてもよい(ジ)複素環式アルキル、
R’、R’およびR’が、同一でも異なっていてもよく、ハロゲン原子あるいは
置換されていてもよいアルキル、
置換されていてもよいアルコキシ、
置換されていてもよいアリール、
置換されていてもよいヘテロアリール、
R”およびR”が、同一でも異なっていてもよく、ヒドロキシル、アルコキシもしくはアルキル基を表し、R”がヒドロキシル基もしくはアルコキシ基を表し、Zが酸素原子もしくは硫黄原子を表すP(Z)R”R ”R ”
から選択される基を表すCR’R’R’
立体障害環式基、ならびに
置換されていてもよいアルコキシアルキル、
を表す、請求項1に記載の式(II)の蛍光染料。
【請求項4】
が−N(R)−、−N(R)(R゜)−、またはカチオン性もしくは非カチオン性の複素環式アルキルまたはヘテロアリール基を表すとき、Yが:
(C〜C)アルキルカルボニル、
アリールカルボニル、
(C〜C)アルコキシカルボニル、
アリールオキシカルボニル、
アリール(C〜C)アルコキシカルボニル、
(ジ)(C〜C)(アルキル)アミノカルボニル、
(C〜C)(アルキル)アリールアミノカルボニル、
置換されていてもよいアリール、
5または6員の単環式ヘテロアリール、
8から11員のカチオン性二環式ヘテロアリール、
下記の式:
【化3】

のカチオン性複素環;
イソチオウロニウム−C(NH)=N;An
イソチオ尿素−C(NH)=NH;ならびに
SO,M、ここでMはアルカリ金属を表し、あるいは式(II)のM’およびMは存在しない;
から選択される保護基を表す、請求項1または3に記載の式(II)の蛍光染料。
【請求項5】
が結合を表すとき、Yが
i)酸素、イオウ及び窒素から選択される1から4個のヘテロ原子を含む、カチオン性の5または6員の単環式芳香族ヘテロアリール、
ii)8から11員のカチオン性二環式ヘテロアリール、
であって、これらの単環式もしくは二環式の各基は、1つもしくは複数の基で置換されてもよく、
iii)あるいは以下の複素環式基:
【化4】

(式中、R’およびR’は、同一でも異なっていてもよく、水素原子またはアルキル基を表し、Anは対イオンを表す)
を表す、請求項1に記載の式(II)の蛍光染料。
【請求項6】
そのピリジニウム部分とそのフェニル部分とをオルトまたはパラ位で、(Ia)、(IIa)、(Ib)もしくは(IIb)に対して4−4’、4−2’もしくは2−4’位で、あるいは(Ic)もしくは(IIc)に対して4−5’もしくは2−5’位で、連結しているエチレン基をそれぞれ有する式(Ia)、(IIa)、(Ib)、(IIb)、(Ic)もしくは(IIc)の蛍光染料から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の蛍光染料:
【化5】

[{式(Ia)または(IIa)において:
およびRは、同一でも異なっていてもよく、ヒドロキシル基で置換されていてもよいベンジルまたはアルキル基を表し、
およびRは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、もしくはベンジルもしくはアルキル基を表し、
T’およびT’は、同一でも異なっていてもよく、σ結合、あるいは−N(R)(R゜)−基を表し、ここで、RおよびR゜は同一でも異なっていてもよく、アルキル基を表し、あるいは、T’およびT’はイミダゾリウム基を表し、
Y’は、イミダゾリウム、チアゾリウム、オキサゾリウム、1,2,4−トリアゾリウム、ピリジニウム、ピリミジニウム、ベンゾオキサゾリウムおよびベンゾチアゾリウムから選択される基を表し、これらの基は、同一でも異なっていてもよい、1つまたは複数のアルキル基で置換されていてよく、
m、n、m’およびn’は、同一でも異なっていてもよく、1〜6の両端を含めた整数を表し、m+n=m’+n’は、2〜6の両端を含めた整数を表し、
M’は、アニオン性対イオンを表し、}
{式(Ib)または(IIb)において:
、R’、R、R’、R、R’、R”、R’”、R、R’、R、R’、R、R’、R、R’、Ta、Tb、m、m’、n、n’およびYは、請求項1から5のいずれか一項に記載の通りであり、
およびR’、R”およびR”’は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アミノ、(C1~C4)アルキルアミノ、(C1~C4)ジアルキルアミノ、シアノ、カルボキシル、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、アシルアミノ、C1~C4アルコキシ、C~C4(ポリ)ヒドロキシアルコキシ、(C1~C4)アルキルカルボニルオキシ、(C1~C4)アルコキシカルボニル、(C1~C4)アルキルカルボニルアミノ、アシルアミノ、カルバモイル、(C1~C4)アルキルスルホニルアミノもしくはアミノスルホニル基、もしくは(C1~C16)アルキルの各基を表し、(C1~C12)アルコキシ、ヒドロキシル、シアノ、カルボキシル、アミノ、(C1~C4)アルキルアミノおよび(C1~C4)ジアルキルアミノ、あるいは窒素原子と同一でも異なっていてもよい他のヘテロ原子を含んでいてもいい5〜7員を含む複素環を形成するアミノ基の窒素原子を有する2つのアルキル基から選択される基で置換されていてよく、
2つの隣接する炭素原子を有するRおよびR’、R”およびR”’は、一緒になって、ベンゾもしくはインデノ環、もしくは縮合した複素環式アルキルもしくは縮合したヘテロアリール基を形成し、これらベンゾ、インデノ、複素環式アルキルもしくはヘテロアリール環は場合によりハロゲン原子、アミノ、(C1~C4)アルキルアミノ、(C1~C4)ジアルキルアミノ、シアノ、カルボキシル、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、アシルアミノ、C1~C4アルコキシ、C~C4(ポリ)ヒドロキシアルコキシ、(C1~C4)アルキルカルボニルオキシ、(C1~C4)アルコキシカルボニルもしくは(C1~C4)アルキルカルボニルアミノの各基、アシルアミノ、カルバモイルもしくは(C1~C4)アルキルスルホニルアミノ基、アミノスルホニル基、もしくは(C1~C16)アルキルの各基で置換されていてよく、(C1~C12)アルコキシ、ヒドロキシル、シアノ、カルボキシル、アミノ、(C1~C4)アルキルアミノおよび(C1~C4)ジアルキルアミノ、あるいは窒素原子と同一でも異なっていてもよい他のヘテロ原子を含んでいてもいい5〜7員を含む複素環を形成するアミノ基の窒素原子を有する2つのアルキル基から選択される基で置換されていてよく、}ならびに、
{式(Ic)または(IIc)において:
、R’、R、R’、R、R”、R、R’、R、R’、R、R’、R、R’、Ta、Tb、m、m’、n、n’およびYは、請求項1から5のいずれか一項に記載の通りであり、
、R’、R”、R”’、R、R’、R”およびR”’は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アミノ、(C1~C4)アルキルアミノ、(C1~C4)ジアルキルアミノ、シアノ、カルボキシル、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、アシルアミノ、C1~C4アルコキシ、C~C4(ポリ)ヒドロキシアルコキシ、(C1~C4)アルキルカルボニルオキシ、(C1~C4)アルコキシカルボニル、(C1~C4)アルキルカルボニルアミノ、アシルアミノ、カルバモイル、(C1~C4)アルキルスルホニルアミノもしくはアミノスルホニル基、もしくは(C1~C16)アルキルの各基を表し、(C1~C12)アルコキシ、ヒドロキシル、シアノ、カルボキシル、アミノ、(C1~C4)アルキルアミノおよび(C1~C4)ジアルキルアミノ、あるいは窒素原子と同一でも異なっていてもよい他のヘテロ原子を含んでいてもいい5〜7員を含む複素環を形成するアミノ基の窒素原子を有する2つのアルキル基から選択される基で置換されていてよく、}
式(Ia)、(IIa)、(Ib)、(IIb)、(Ic)もしくは(IIc)の化合物が他のカチオン性部分を含有する場合、1つまたは複数のアニオン性対イオンと結合するため、式(Ia)、(IIa)、(Ib)、(IIb)、(Ic)もしくは(IIc)は電気的中性を達成できることが理解される。]
【請求項7】
対称である、請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の蛍光染料。
【請求項8】
以下の染料:
【表1A】

【表1B】

【表1C】

【表1D】

【表1E】

【表1F】

【表1G】

【表1H】

【表1I】

【表1J】

【表1K】

【表1L】

【表1M】

【表1N】

【表1O】

【表1P】

(M’およびAnは、同一でも異なっていてもよく、アニオン性対イオンを表し、Mはアルカリ金属を表す。)
から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の蛍光染料。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)または(II)の蛍光染料を適切な化粧料用媒体中に含む染料組成物。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)または(II)の少なくとも1つの蛍光染料および少なくとも1つの還元剤を適切な化粧料用媒体中に含む染料組成物。
【請求項11】
前記還元剤が、システイン、ホモシステイン、チオ乳酸、これらのチオールの塩、ホスフィン、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩、チオグリコール酸、さらにそのエステル、ホウ化水素およびその誘導体、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、第4級アンモニウム塩、ならびにカテコールボランから選択される、請求項10に記載の染料組成物。
【請求項12】
ケラチン物質のジスルフィド結合を還元し得る還元剤が場合により存在する下で、請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)または(II)の少なくとも1つの蛍光染料を適切な化粧料用媒体中に含む、染料組成物が、該ケラチン物質に塗布される、ケラチン物質の染色方法。
【請求項13】
式(II)のチオール蛍光染料が保護基Yを含む場合、塗布する前に脱保護段階を行う、請求項12に記載の染色方法。
【請求項14】
前記ケラチン物質が、暗色ケラチン繊維であることを特徴とする、請求項12または13に記載のケラチン物質の染色方法。
【請求項15】
前記還元剤が、式(I)または(II)の蛍光染料の塗付前または塗布後に塗布される、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記式(I)または(II)の蛍光染料が前記還元剤と同時に塗付される、請求項12から14のいずれか一項に記載の染色方法。
【請求項17】
前記組成物が酸化剤を含む、請求項13から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記ケラチン繊維に酸化剤を塗付することからなる追加の段階を含む、請求項12から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記式(I)または(II)の蛍光染料が、前記組成物の全重量に対して、0.001重量%から50重量%の間の量で存在する、請求項12から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
第1区画が、請求項1から8のいずれか一項に記載の蛍光染料を含む染料組成物を含有し、第2区画が、ケラチン物質のジスルフィド結合を還元し得る還元剤を含有する、多区画デバイス。
【請求項21】
酸化剤を含有する第3区画を含む、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
暗色である、ヒトのケラチン繊維を染色するための、請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)または(II)の蛍光染料の使用。
【請求項23】
暗色ケラチン繊維を明色化するための、請求項22に記載の使用。

【公表番号】特表2009−536671(P2009−536671A)
【公表日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500904(P2009−500904)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【国際出願番号】PCT/FR2007/051000
【国際公開番号】WO2007/110534
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】