説明

多孔質炭素鋳物の製造方法

本発明は、多孔質炭素モノリスを製造するための相分離に基づく方法、本発明に従って製造したモノリス、およびこの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質炭素鋳造物を製造するための相分離に基づく方法、本発明に従って製造した鋳造物、およびこの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素をベースとするモノリシック材料は、現在、これらの特定の材料特性により、広範囲の産業領域において用いられている。炭素モノリスは、多くの他の材料と比較して、比較的低い重量を有し、高い吸着力、高い熱伝導性および高い熱安定性を示し、一般的に十分な機械的安定性を有する。
【0003】
炭素モノリスまたは炭素鋳造物は、例えば、燃料電池における電極として、液体および気体のための吸着剤として、気体用の貯蔵媒体として、クロマトグラフィー用途もしくは触媒プロセスにおける支持材料として、機械建造における材料として、または医療技術において、用いられる(DE 20 2004 006 867 U1)。
【0004】
多孔質または非孔質炭素モノリスを、製造することができる。いくつかの用途のために、例えばクロマトグラフィープロセスにおける吸着剤として、または貯蔵媒体として用いるために、十分大きい表面積を有する多孔質モノリシック材料を用いることが、必要である。
【0005】
多孔質炭素モノリスを、最も単純な場合においては、多孔質の、または発泡した出発物質の熱分解または炭化により、製造することができる(例えば、DE 20 2004 006 867 U1に説明されている)。しかし、細孔径分布に影響するのは、ここでは事実上不可能である。
【0006】
US 2005/0169829には、序章において、炭化可能な化合物を鋳型として多孔質シリカモノリスに重合させ、その後溶解によりSiOを除去することによる多孔質炭素モノリスの製造が記載されている。さらに、階層的な細孔分布を有する炭素モノリスの製造方法が開示されており、ここで、炭素形成剤を、形成するべき細孔についての鋳型として、1種または2種以上の粒子状細孔形成剤と混合する。炭素形成剤の炭化の後に、鋳型を取り外し、多孔質炭素モノリスが得られる。
【0007】
GB 2,157,482には、粒子状細孔形成剤を加えることにより細孔を製造し、これを炭化の間燃え切らせる、多孔質炭素層の製造が開示されている。
DE 20 2004 006 867 U1には同様に、モノリシック鋳造物の形成の後に洗浄するかまたは燃え切らせることができる、粒子状細孔形成剤の使用が開示されている。
【0008】
したがって、すべての場合において、鋳型モノリスまたは鋳型粒子を反応混合物に加えて、ある細孔径分布を有する炭素モノリスを製造することが、必要である。各々の細孔径について異なる鋳型分子を用いなければならないため、これらのプロセスは、複雑であり、柔軟性がない。さらに、シリカゲルからなる鋳型モノリスおよび粒子を、複雑な化学的方法により(HFまたはNaOHを用いた溶解により)後に再び溶出しなければならない。さらに、特に、例えばクロマトグラフィー用途のために、相互に連結したマクロ細孔およびマクロ細孔の壁中のメソ細孔を有する材料を製造するべきである場合には、階層的な細孔径分布は、困難を伴って可能であるに過ぎない。
【発明の概要】
【0009】
したがって、本発明の目的は、種々の細孔径および種々の細孔径分布、特に階層的な二峰性または少峰性(oligomodal)細孔径分布を有する多孔質炭素モノリスを製造することができる方法を提供することにあった。ここで、特に、出発物質または反応条件を選択することにより、生成物の細孔構造に影響することが、可能でなければならない。他の目的は、大きい表面積を有する炭素モノリスを開発して、種々の分子種との相互作用のために十分に大きい表面積を得ることにあった。
【0010】
多孔質炭素モノリスを、相分離に基づく方法により製造することができることが見出され、ここで、
− 炭素形成剤および有機ポリマーを、有機溶媒に、少なくとも部分的に、好ましくは完全に溶解し、
− 濃縮中に溶媒を蒸発させる間、少なくとも部分的な相分離が発生し、これは、炭化の間継続し得、
− 加熱(例えば熱分解、炭化)および/または抽出により有機溶媒および有機ポリマーを除去した後、単峰性、二峰性または少峰性細孔分布を有する多孔質炭素材料を得、この細孔構造は、炭化の後に維持される。
【0011】
ある反応機構を明記することを望まないが、一方で固体の構成成分(炭素形成剤および有機ポリマー)間および他方で溶媒のミクロ相分離が、溶媒を蒸発させている間および/または材料合成のその後の段階の1つの間に発生すると、推測される。これは、例えばゾル−ゲル法によるシリカゲルモノリスの製造について知られているように、スピノーダル分解と比較されるべきである(Nakanishi, J. Porous Mater. 1997, 4, 67-112)。したがって、炭素形成剤と有機ポリマーとの間の巨視的な相分離により、マクロ多孔質構造が、高い確実性で形成され、一方有機ポリマーの残基が豊富な領域を除去することにより、ミクロ多孔質および/またはメソ多孔質構造が形成される。
【0012】
したがって、本発明は、多孔質モノリシック炭素鋳造物の製造方法であって、
a)少なくとも1種の炭素形成剤および1種の有機ポリマーを含む有機溶媒中の混合物を調製し、
b)粘性の、または高度に粘性の物質または対応する鋳造物が得られるまで、溶媒を蒸発させ、
c)随意に段階b)において得られた材料または鋳造物を成形し、
d)段階b)またはc)からの材料または鋳造物を、200〜4000℃の温度に加熱する
ことによる、前記方法に関する。
【0013】
好ましい態様において、用いる炭素形成剤はピッチである。
特に好ましい態様において、用いる炭素形成剤は中間相ピッチである。
他の好ましい態様において、用いる有機ポリマーはポリスチレンである。
好ましい態様において、段階a)においてルイス酸を混合物に加える。
【0014】
好ましい態様において、段階c)における鋳造物の加熱を、先ず200〜400℃の温度に、次に500〜1000℃の温度に段階的に行う。
他の好ましい態様において、段階a)において、2種もしくは3種以上の異なる分子量の異なる有機ポリマーまたは2種もしくは3種以上の異なる分子量における1種の有機ポリマーを含む混合物を、調製する。
他の好ましい態様において、1種または2種以上の可塑剤を、段階a)からの混合物に加える。
【0015】
他の好ましい態様において、段階c)における成形を、押出により行う。
他の好ましい態様において、抽出を、段階b)または段階c)の後に行う。
他の好ましい態様において、材料または鋳造物を、段階b)に続く1または2以上のプロセス段階の前または間に活性化する。
好ましい態様において、さらなるプロセス段階e)において、段階d)において得られた多孔質モノリシック炭素鋳造物を、外装中に少なくとも部分的に包埋する。
【0016】
本発明はまた、本発明の方法により製造された多孔質炭素鋳造物に関する。
好ましい態様において、鋳造物は、マクロ細孔およびマクロ細孔の壁中のメソ細孔について、少なくとも1つの二峰性細孔分布を有する。
好ましい態様において、鋳造物は、60〜80体積%の全間隙率を有する。
【0017】
他の好ましい態様において、鋳造物は、2000〜3000m/gの表面積を有する。
好ましい態様において、鋳造物は、外装中に少なくとも部分的に包埋される。
本発明はまた、吸着剤として本発明の炭素鋳造物を含むクロマトグラフィー分離カラムに関する。
【0018】
本発明はまた、本発明の炭素鋳造物の、電気化学的電池、二重層コンデンサまたは燃料電池における電極としての、液体またはガスを含む物質のための吸着剤(例えばタバコフィルターの形態における)としての、ガス用の貯蔵媒体としての、クロマトグラフィー用途もしくは触媒プロセスにおける支持材料としての、機械建造における材料としての、防炎用の材料としての、断熱のための、センサー技術における、顔料および電子材料としての、または医療技術における使用に関する。
【0019】
鋳造物またはモノリシック鋳造物またはモノリスは、本発明において、例えば柱、立方形、小球、シート、繊維、規則的な、もしくは不規則な形状の粒子またはあらゆる所望の不規則な形状の他の鋳造物の形態の三次元物体である。鋳造物、モノリシック鋳造物またはモノリスの用語はまた、例えば表面上の、または空洞中の材料の層を包含する。
【0020】
本発明のモノリシック鋳造物は、好ましくは柱状、即ち円筒形、または立方形もしくは粒子状である。
炭素鋳造物は、少なくとも大部分は炭素からなる鋳造物である。
【0021】
用いる炭素形成剤は、主に炭素からなる三次元骨格を直接、または炭化もしくは熱分解の後に生じる物質であってもよい。このタイプの炭素形成剤は、当業者に知られている。例は、ピッチ、特に中間相ピッチ、またはまたフルフリルアルコール、フルクトースまたはナフテンである。炭素形成剤を、個別に、または2種もしくは3種以上の炭素形成剤の混合物の形態で、用いることができる。
【0022】
本発明において、ピッチの用語は、例えば有機物質(天然の生成物)またはコールタールもしくは褐炭タールの熱分解または蒸留の際に後に残留する、粘性ないし固体のタール状または瀝青質の可溶性物質を包含する。一般的に、ピッチは、高分子量環状炭化水素および複素環式化合物で構成されており、これは、30,000g/molまでの分子量を有することができる。
【0023】
中間相ピッチは、種々の原理的には芳香族炭化水素からなり、異方性液晶領域を含むタイプのピッチである。中間相ピッチの製造および特性の概説は、Mochida et al., The Chemical Record, Vol. 2, 81-101 (2002)により示されている。中間相ピッチは、例えば、三菱ガス化学株式会社から商業的に入手できる。
【0024】
用いる有機ポリマーは、8〜12のヒルデブラント溶解度パラメーターを有する任意の有機ポリマーとすることができる。有機ポリマーの用語は、同様に、異なる、または同一の分子量を有する2種または3種以上の対応する有機ポリマーの混合物を包含する。用いる有機ポリマーは、さらに、2種または3種以上の異なる分子量における1種の有機ポリマーを含む混合物とすることができる。有機ポリマーの用語はまた、コポリマーまたはブロックコポリマー、例えばポリオキシエチレングリコールエーテル(「Brij界面活性剤」)またはポリ(エチレンオキシド−b−ポリ(プロピレンオキシド)を包含する。
【0025】
好ましい態様において、用いる有機ポリマーは、ポリスチレンである。ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)はまた、好適な有機ポリマーである。用いるポリマーの分子量は、典型的には500g/mol〜1,000,000g/mol、好ましくは10,000〜500,000g/molである。原則として、500,000〜1,000,000g/molより大きい分子量を有するポリマーもまた、用いることができる。しかし、比較的高分子量のポリマーは、溶媒を除去した際に容易に沈殿し、したがって相分離を妨げ得ることが、見出されている。
【0026】
異なるポリマーの混合物または異なる分子量を有する1種のポリマーの混合物を用いる場合には、500〜10,000g/molの分子量を有する有機ポリマーおよび50,000〜500,000g/molの分子量を有する有機ポリマーの混合物を、好ましくは用いる。鋳造物における後者の細孔分布は、ポリマー混合物を用いる場合においては、有機ポリマーの選択およびこの分子量または分子量分布により影響され得る。分子量および分子量分布により、溶媒を蒸発させる際の分離構造およびしたがって間隙率が決定される。比較的低い分子量の結果、比較的遅い分離およびしたがって一層小さい細孔系がもたらされる。
【0027】
用いる有機溶媒は、炭素形成剤および有機ポリマーを十分な量で溶解する任意の有機溶媒または溶媒混合物とすることができる。溶媒が可能な限り簡単に蒸発することができる場合が、さらに有利である。したがって、好ましいのは、低い沸点および/または高い蒸気圧を有する溶媒である。好適な溶媒の例は、THF、CHClおよびキシレンである。
【0028】
本発明において、蒸発は、成形可能な材料を形成する限りは、有機溶媒の少なくとも部分的な除去を意味する。蒸発を、単に混合物を放置することにより行うか、または例えば浅い容器において可能な最大の表面積を作成するか、温度を上昇させるか、もしくは減圧を発生させることにより、促進することができる。
【0029】
本発明において、溶融押出は、記載した意味における濃縮された成形可能な材料を、加熱可能な押出ユニット中に導入することを意味する。相分離を完了することができ、かつ/または有機ポリマーの燃え切りは、少なくとも押出ユニット中で開始した。溶融押出の結果、鋳造物の形成がもたらされる。
【0030】
本発明において、熱分解は、熱処理を意味する。本発明の方法において、有機ポリマーを、一般的には熱分解により少なくとも部分的に燃え切らせる。即ち、除去するかまたは非グラファイト系(non-graphitic)炭素もしくはグラファイトに変換する。炭化はまた、熱分解の1つの形態である。
本発明において、炭化は、炭素形成剤の非グラファイト系炭素または適切な場合にはグラファイトへの変換を意味する。
【0031】
多孔質モノリシック炭素鋳造物を製造するための本発明の方法を行うために、少なくとも1種の炭素形成剤および1種の有機ポリマーを含む混合物を、先ず有機溶媒中に作製する。溶媒の量は、これが後に蒸発により除去されるため、ここでは重大ではない。好適な混合比(炭素形成剤/有機ポリマー:有機溶媒)は、炭素形成剤および有機ポリマーの有機溶媒への溶解度に依存して、典型的には1:100〜3:1の重量比である。
【0032】
本発明において、少なくとも1種の炭素形成剤および1種の有機ポリマーを含む有機溶媒中の混合物は、好ましくは溶液である。しかし、混合物はまた、プロセスの他の性能に悪影響を及ぼさずに小さい比率の未溶解の炭素形成剤および/または有機ポリマーを含み得る。さらに、他の不溶性物質、例えば無機顔料、粒子などをまた、混合物に加えてもよい。
【0033】
さらに、本発明の混合物はまた、エマルジョンであってもよい。少なくとも1種の炭素形成剤および1種の有機ポリマーを含む有機溶媒中の混合物の調製に関して、用語「溶解する」を以下で用いる場合には、「溶解する」は、物質の少なくとも大部分、必ずしも物質の100%ではないが好ましくはそれぞれの成分の70〜95%が溶液中に取り込まれることを、意味する。小さい比率の成分のみが溶解し得る場合には、残りの未溶解の固体の全部または大部分を、濾過または遠心分離/デカンテーションにより分離することができる。炭素形成剤および有機ポリマーは、好ましくは完全に溶解した形態にある。
【0034】
炭素形成剤および有機ポリマーを、先ず有機溶媒に別個に溶解し、その後混合するか、または有機溶媒に同時に、もしくは連続的に直接溶解することができる。
【0035】
一般的に、炭素形成剤および有機ポリマーを、先ず有機溶媒に別個に溶解する。その理由は、この場合においては、成分の溶液物性を、一層良好に考慮することができるからである。例えば、中間相ピッチなどのピッチを用いる際に、これらの成分が、予め特定された量の溶媒に完全に溶解しないことは、事実であり得る。次に、当業者は、有機ポリマーと混合する前に、溶媒の量を増大させるべきであるか、未溶解部分の全部またはいくらかを、例えば遠心分離または濾過により分離するべきであるかを決定することができる。さらに、溶解を、例えば加熱、激しい撹拌または超音波処理により後押ししてもよい。
【0036】
炭素形成剤および有機ポリマーを有機溶媒に溶解した別個の溶液を先ず調製する場合には、これらの溶液の好ましい濃度は、炭素形成剤の10〜70重量%、特に好ましくは40〜70重量%、または有機ポリマーの10〜60重量%、特に好ましくは30〜60重量%である。炭素形成剤と有機ポリマーとの容積比は、所望のマクロ間隙率(macroporosity)に依存する。炭素形成剤と有機ポリマーとの典型的な容積比は、1:0.1〜1:10、好ましくは1:0.5〜1:4である。
【0037】
したがって、炭素形成剤および有機ポリマーを有機溶媒に溶解した別個の溶液を、好ましくは先ず調製する。次に、これらの2種の溶液を、激しく撹拌しながら互いに混ぜ合わせる。激しい撹拌は、典型的にはまた、混合後さらに1〜60分間行う。
【0038】
2種の溶液を混ぜ合わせた後に、少なくとも1種の炭素形成剤および1種の有機ポリマーを含む有機溶媒中の最終的な混合物が、十分均一であり、構成成分の1種の沈殿が観察されない場合には、炭素形成剤および有機ポリマーをまた、異なる溶媒に溶解することができる。
【0039】
さらに、他の物質を、有機溶媒、炭素形成剤および有機ポリマーの混合物に加えることができる。これらを、例えば、後の分離に影響する物質、例えば可塑剤、他の溶媒、界面活性剤、後の炭化挙動に影響する物質、例えばルイス酸、例えばFeCl、またはFe、Co、NiもしくはMn(Marta Sevilla, Antonio Fuertes; Carbon 44 (2006), 468〜474頁を参照)、または後の鋳造物の材料特性に影響する、即ち、例えば、ある官能性を鋳造物に導入する物質とすることができる。これらの物質が、用いる有機溶媒に不溶である場合には、エマルジョンまたは懸濁液が、当然形成する。
ルイス酸を用いる際、これらを、好ましくは炭素形成剤の0.1〜10重量%の比率に相当する量で、用いる。
【0040】
少なくとも1種の炭素形成剤および1種の有機ポリマーを含む有機溶媒中の混合物を、例えば、2種の別個の溶液(一方で少なくとも有機溶媒中の炭素形成剤および他方で少なくとも有機溶媒中の有機ポリマーからなる)を、例えば静的マイクロミキサー(static micromixer)中で混合することにより、バッチ方式で、または連続的に調製することができる。
【0041】
少なくとも1種の炭素形成剤および1種の有機ポリマーを含む有機溶媒中の均一な混合物を調製した後、少なくとも粘性の、もしくは高度に粘性の物質、または高度に粘性の、もしくは固体の鋳造物が得られるまで、溶媒を蒸発させる。溶媒のいくらか、または事実上全部を、蒸発させることができる。このプロセス段階において溶媒を一層完全に除去するに従って、素地は、一層粘性ないし固体になる。
【0042】
素地を成形するのが所望される場合には、溶媒が未だ完全に蒸発しておらず、素地が尚粘性であり、直接成形可能である際に、または高度に粘性であるか、もしくは固体の素地を一層粘性にし、したがって温和に加温することにより再び一層成形可能にすることによる溶媒の完全な、または事実上完全な除去の後に、これを行うことができる。
【0043】
素地とも呼ばれる得られた粘性の材料または鋳造物の形状は、最初は溶媒を蒸発させる容器により、決定される。溶媒を蒸発させた後、素地を、さらに処理もしくは成形せずに直接加熱するか、または、例えば機械的に、もしくは熱的に先ず、もしくは同時に成形することができる(例えば押圧、成形または押出もしくは溶融押出により)。特に、押出物、メッシュまたは中空体の形態の鋳造物を、押出により製造することができる。
【0044】
マクロ多孔質構造を形成するための少なくとも部分的な相分離が、ここで溶媒を蒸発させている間およびまたその後の機械的、または熱的処理、例えば溶融押出の間の両方において、発生し得る。一般的に、相分離は、溶媒の蒸発の間という早期に開始し、その後の機械的および/または熱的処理/成形の間継続する。
【0045】
同様に、鋳造物を200〜4000℃の温度に加熱する前に、抽出段階を随意に行うことができる。これは、蒸発により困難を伴って完全に除去することができるに過ぎない有機溶媒の抽出の役割を果たすか、あるいはまた有機ポリマーの少なくともいくらかを除去する役割を果たすことができる。したがって、抽出段階は、有機ポリマーの熱分解の全体またはいくらかの代わりとすることができる。抽出を、全部の水性溶媒もしくは典型的には有機溶媒または溶媒混合物を用いて、行うことができる。当業者は、抽出の目的に依存して、好適な溶媒を選択することができる。
【0046】
鋳造物を、200〜4000℃の温度に加熱する。この段階はまた、処理条件に依存して、炭化または熱分解として知られている。炭化または熱分解を、ここで、−処理の間の継続時間または温度に依存して、完全に、または不完全に行うことができる。
【0047】
これは、形成した炭素モノリスが、完全な炭化の場合には事実上完全に炭素からなり、不完全な炭化の場合には少なくともほとんど炭素からなることを、意味する。
加熱の間、残りの有機ポリマーを、燃え切らせるかまたは炭化し、このようにして細孔構造が形成する。有機ポリマーのタイプに依存して、有機ポリマーが事実上完全に燃え切り、あるいはまた有機ポリマーからの残留物(主に炭素残留物)のある程度の比率が鋳造物中に残留することは、事実であり得る。
【0048】
さらに、加熱によりまた、炭素形成剤の構造が変化する。本発明において好ましく用いられるピッチまたは炭素形成剤として特に好ましく用いられる中間相ピッチについて、熱処理または炭化により、材料のある秩序化が生じることが、知られている。これに関する注記は、例えば、Mochida et al., The Chemical Record, Vol. 2, 81-101 (2002)に示されている。温度処理により、グラフェン(graphene)は、側方に成長し、グラフェン堆積は、高さ方向に成長する。さらに、グラフェン堆積パッキングの秩序化の程度は、増大する。
【0049】
炭化温度が高くなり、炭化が完全であるに伴って、全間隙率は低下し、メソ間隙率(mesoporosity)は一層大きい程度で低下することが、見出された。
好ましい態様において、加熱を、200〜4000℃に、酸素の排除を伴って、即ち不活性ガス雰囲気下で行う。特に、希ガスまたは窒素を、用いることができる。
好ましい態様において、鋳造物の加熱を、先ず200〜400℃の温度に、次に500〜1000℃の温度に段階的に行う。
【0050】
200〜400℃への最初の加熱は、炭素形成剤の部分的な架橋およびしたがって本発明に関連する分離構造の形成/成熟の役割を果たす。この温度を、典型的には1時間〜48時間保持する。炭素モノリスの意図された使用に依存して、鋳造物の熱処理は、ここですでに完全であり得る。
【0051】
他の方法では、次に加熱を、好ましくは第2の加熱段階において500〜1000℃の温度に行う。ここで、加熱の継続時間および温度レベルにより、炭化をいかにして完全に行うべきであるかが決定される。総合して、炭化の継続時間および炭化の間の温度プログラムのタイプは、再び、材料特性、例えば炭素比率および間隙率に影響し得る。
【0052】
有機溶媒の少なくとも部分的な蒸発の後および粘性材料または鋳造物の加熱の前、間または後に、活性化を、さらに行ってもよい。本発明において、活性化は、炭素鋳造物および/またはこの表面の細孔構造が、他の点では同様にして製造された炭素モノリスと比較して改変されていることを、意味する。活性化を、例えば、酸、Hまたは塩化亜鉛などの物質と共に加熱する前に素地を処理することにより、行うことができ、これにより、特にその後の加熱の間に鋳造物の構造が攻撃され、細孔構造の変化がもたらされるか、または鋳造物の表面が化学的に改質される。同様に、このタイプの物質を、加熱の間に加えることができるか、または加熱を、例えば酸素の流れ中で行うことができる。このタイプの活性化形態の結果、特に、鋳造物の表面のミクロ細孔の形成または他の化学的官能化、例えば酸化によるOHもしくはCOOH基の形成がもたらされる。
【0053】
加熱の後に得られた活性化された、または活性化されていない炭素モノリスを、さらなる使用のために直接用いるか、または予め機械的に、もしくは化学的に処理することができる。例えば、これらを、好適なノコギリによりある大きさに切断するか、またはこれに、ある種の化学的官能性を付与する、即ち化学的誘導体化方法により活性化することができる。また、炭素モノリスを、例えば有機または無機ポリマーの層で、完全に、または部分的に被覆することも、可能である。
【0054】
したがって、本発明の方法の事実上すべての段階において、後の炭素モノリスの材料物性に影響するか、またはある種の物質を加えることによりある種の化学的官能性を導入することが、可能である。安定剤、炭化を後押しするための物質、無機粒子または繊維などを、上記のように、本発明の方法の段階1において溶液にすでに加えることができる。
【0055】
特に溶媒が未だ完全に蒸発していない場合には、素地を、同様の形態で処理することができる。
【0056】
本発明の多孔質モノリシック炭素鋳造物は、特別に調整可能な間隙率により際立つ。少なくとも部分的な相分離が発生する方法によるこれらの製造のために、これらは、単峰性、二峰性または少峰性細孔構造を有する。細孔が特に相分離により形成する単峰性細孔構造の場合において、マクロ細孔またはメソ細孔のいずれかが、典型的には存在する。本発明の方法により、好ましくは、相互に連結されたマクロ細孔またはメソ細孔を有する多孔質鋳造物が得られ、これにより鋳造物を通しての液体またはガスの流れが可能になる。メソ細孔およびマクロ細孔の大きさおよび数を、例えば、有機ポリマー並びにこの濃度および分子量の選択により、決定することができる。
【0057】
細孔径または細孔径分布はまた、炭化段階の継続時間および温度により影響され得る。メソ細孔径を、典型的には2〜100nm、好ましくは5nm〜30nmに設定することができ、マクロ細孔は、典型的には100nmより大きい、好ましくは1ミクロンより大きい、特に好ましくは1〜5ミクロンの大きさを有する。ミクロ細孔およびメソ細孔の細孔径は、窒素物理吸着、水銀ポロシメータまたは走査型電子顕微鏡により、マクロ細孔の細孔径により決定される。50体積%より大きい、好ましくは60〜80体積%の全間隙率は、好ましい機械的特性の保持を伴って容易に作成され得る。
【0058】
したがって、本発明の製造方法により、炭素モノリスの間隙率を、作成されるべき広い細孔径範囲および階層的な細孔径分布にわたり、目的の方式で調整することが、可能になる。本発明の鋳造物の比表面積は、典型的には50m/gより大きい。500m/g、特に好ましくは1000m/gより大きい表面積を有する材料が、好ましくは製造される。特に好ましいのは、2000〜3000m/gの表面積を有する多孔質鋳造物である。比表面積は、窒素吸着により決定される。評価を、BET法により行う。
【0059】
未改変形態またはその後の処理の後における本発明の炭素鋳造物を、例えば電気化学的電池、例えば二重層コンデンサまたは燃料電池における電極として、液体またはガスを含む物質のための吸着剤として(例えば空気洗浄のために、もしくはタバコおけるフィルターとして)、クロマトグラフィー用途もしくは触媒プロセスにおける支持材料として、機械建造における材料として、ガス、例えば水素もしくはメタン用の貯蔵媒体として、防炎用の材料として、断熱のために、センサー技術において、顔料および電子材料として、または医療技術において用いることができる。
【0060】
燃料電池の領域において、炭素鋳造物またはこれから製造された粉末を、電極の構成成分として、特に触媒的に活性なナノ粒子の導入のために、およびガス輸送のために、用いることができる。特に、炭素材料の十分に良好な伝導性が、燃料電池において要求される。本発明の炭素鋳造物は、特に炭素形成剤として中間相ピッチを用いる場合には、十分な伝導性を有する。
【0061】
本発明の鋳造物をさらに、クロマトグラフィー分離の領域において、特に腐食性物質または酸化還元活性物質を用いる用途のために、用いることができる。その理由は、鋳造物が、化学的および物理的に、例えば酸および塩基に対して不活性であるからである。さらに、本発明の鋳造物は、電界を用いたクロマトグラフィー用途に適する。これらの用途のために、材料は、モノリシック鋳造物の形態でなければならない。
【0062】
本発明の鋳造物をさらに、外装中に完全に、または部分的に包埋することができる。本発明において、外装は、可能な最も正確な適合を伴って炭素鋳造物を完全に、または部分的に導入することができるくぼみを有するホルダーまたは三次元鋳造物とすることができる。したがって、外装は、例えば、1つまたは2つ以上の炭素鋳造物を完全に、または部分的に挿入、固定、接着接合または他の方法で導入することができる、金属、プラスチックまたはセラミックスのブロックとすることができる。
【0063】
好ましい態様において、外装は、正確な適合を伴って鋳造物を完全に、または部分的に包囲し、これにより鋳造物のガスもしくは液体との特異的な接触を容易にするか、または特に鋳造物を通してのガスもしくは液体の目的の流れを容易にするホルダーまたは覆いである。このタイプの外装は、特に、クロマトグラフィーの領域から知られている。ここで、ガスまたは液体が円筒形鋳造物を通って一方の末端面から他方へ長軸方向に流れることが可能であるように、主に円筒形の多孔質鋳造物を被覆する。外装は、ここでは、低い死容積を伴って正確に適合させなければならない。
【0064】
さらに、比較的高い液体圧においてさえも、末端面においては別として、液体が外装から進出することができない程度に、これは十分に安定でなければならない。
したがって、本発明の鋳造物の被覆を、例えばクロマトグラフィーカラムの製造のためにすでに用いられている方法により、行うことができる。好適なホルダーおよび覆いは、例えば、WO 01/77660、WO 98/59238およびWO 01/03797から知られている。プラスチックを有する好適な外装は、例えば、PEEKまたは繊維強化PEEKからなることができる。
【0065】
モノリシック鋳造物の外装を製造する1つの方法は、このようにして、例えば、プラスチックを鋳造物の上に押し出すことにある。この場合において、モノリシック鋳造物を、管の押出品に対して平行にクロスヘッドを介して供給する。新たに押し出した管は、鋳造物を包囲し(高温)、さらに、例えば加圧装置により、鋳造物に対して押圧される。ここで、管を押出により製造する代わりに、予め成形した管を加温することも、可能である。
【0066】
冷却中の機械的圧力および追加の焼結により、漏れ止め外装が得られる。内径が鋳造物の外径よりもわずかに大きい作成済みの管中に鋳造物を導入し、次に管が最終的な直径に減少して漏れ止めの方式で鋳造物を包囲することができるように、プラスチックを加温することも、可能である。
【0067】
さらなる変法において、プラスチック外装を、フレーム溶射または単一の、もしくは繰り返された縮小により製造する。他の射出成形または溶融プロセスもまた、好適である。
クロマトグラフィーカラムとして、またはまた他の用途のために用いるために、本発明の外装モノリスに、次に対応するコネクター、フィルター、シールなどを設けることができる。
【0068】
したがって、本発明はまた、本発明の炭素鋳造物を吸着剤として含むクロマトグラフィー分離カラムに関する。このために、炭素モノリスを、典型的には先ず分離エフェクター、即ち例えば生体分子、例えば酵素、または金属触媒、例えば白金もしくはパラジウム、またはまたイオン性、疎水性、キレートもしくはキラル基を用いて誘導体化し、その後使用できる状態にあるクロマトグラフィーカラムを、外装により得られたブランクから製造する。
【0069】
しかし、鋳造物をまた、先ずこの最初の形態において被覆し、次にインサイチュでのプロセスを用いて貫流において分離エフェクターを設けることができる。
他の態様において、本発明のモノリシック鋳造物を、少なくとも1種のガスを収容、貯蔵および送達するための気密性容器またはタンクにおいて用いることができる。このタイプのタンクは、典型的に、45〜750barの圧力においてこれらがガスの収容、貯蔵および送達に耐えるように、設計しなければならない。
【0070】
本発明の炭素鋳造物は、ほぼ室温において、またはまた室温より高い温度においてガス形態にあるガスまたはガス混合物の貯蔵および/または送達に適する。例は、飽和または不飽和炭化水素(特にメタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、アセチレン)、飽和または不飽和アルコール類、酸素、窒素、希ガス、CO、CO、合成ガスまたは水素である。
【0071】
本発明のモノリシック鋳造物は、同様に、少なくとも1種のガスを収容、貯蔵および送達するための燃料電池の被覆形態において用いることができる(典型的には45〜750barの圧力において)。
【0072】
高い間隙率のために、また特にマクロ細孔およびマクロ細孔の壁におけるメソ細孔についての好ましい少なくとも二峰性の細孔分布の場合において、本発明のモノリシック炭素鋳造物により、従来技術と比較して、多様な物質(例えばクロマトグラフィーの領域における分析物、ガスまたはイオン)の可逆的な導入/除去または吸着/脱着の極めてはるかに一層高速の動力学が容易になる。
【0073】
さらなるコメントを伴わなくても、当業者は、上記の記載を最も広い範囲で用いることができると、推測される。したがって、好ましい態様および例は、単に絶対的にいかなる方法によっても限定的ではない記載的開示であると、みなされるべきである。
本明細書中に述べたすべての出願、特許明細書および刊行物、特に2006年5月31日出願の対応する出願EP 06011198.6の完全な開示内容を、参照により本出願中に導入する。
【0074】

1.有機ポリマーとしてポリスチレンを用いた本発明の炭素モノリスの製造
変法A:
1.1 前駆体溶液の調製:
THF中の中間相ピッチ(MP):
中間相ピッチ(三菱AR)を、THF(中間相ピッチ:THF重量比1:3)と共に密封可能な容器中に導入する。中間相ピッチを溶解するために、これに、20分(100%)にわたる超音波を続け、低い強度にて水平シェーカー中で振盪する。あるいはまた、任意の他のシェーカーまたはマグネチックスターラーを、用いることもできる。約7日後、混合物を遠心分離し(6500rpmにて10分間)、次に溶液は、約10重量%のMPを含む。未溶解の中間相ピッチを、再使用することができる。
低温でさえも炭化を開始するために、ルイス酸、例えばFeClを、MP溶液(MP溶液中の固形分を基準として1〜10重量%のFeCl)に加える。次に、溶液を、15分間激しく撹拌する。
有機ポリマー、ここではポリスチレン(PS)(MW 250,000、Acros)を、THFに溶解する(ポリスチレン:THF重量比1:20)。
【0075】
1.2 前駆体溶液の混合:
ポリスチレン溶液を、激しく撹拌しながらMP溶液に滴加する。ポリスチレンのMPに対する相対的量により、材料の最終的な絶対間隙率が決定される。
次に、完成した溶液を、再び30分間激しく撹拌する。
【0076】
1.3 「炭素素地」の配合および成形:
分離のために、溶液を、ペトリ皿中に注入する。THFを蒸発させた後、PS/MP混合物の薄層が、後に残留する。
【0077】
1.4 炭化:
試料を、ペトリ皿中で48時間340℃にて、またN下で部分的に架橋させる。
構造を保持しながら完全に炭化するために、500〜750℃におけるさらなる加熱段階を、導入することができるが、これは、多孔質炭素材料の意図された使用に依存する。
【0078】
特徴づけ:
このようにして得られた炭素材料は、メソ細孔およびマクロ細孔を含む(Hgポロシメータまたは走査型電子顕微鏡により決定して)。
【0079】
変法B:
1.1 前駆体溶液の調製:
THF中の中間相ピッチ(MP):
中間相ピッチ(三菱AR)を、THF(中間相ピッチ:THF重量比1:3)と共に密封可能な容器中に導入する。中間相ピッチを溶解するために、これに、20分(100%)にわたる超音波を続け、低い強度にて水平シェーカー中で振盪する。あるいはまた、任意の他のシェーカーまたはマグネチックスターラーを、用いることもできる。約7日後、混合物を遠心分離し(6500rpmにて10分間)、次に溶液は、約10重量%のMPを含む。次に、溶液を、再びTHFで希釈し、したがって溶液中のMPの比率は、約2%である。未溶解の中間相ピッチを、再使用することができる。次に、溶液を、15分間激しく撹拌する。
【0080】
有機ポリマー、ここではポリスチレン(PS)(MW 250,000、Acros)を、THFに溶解する(ポリスチレン:THF重量比1:60)。低温でさえも中間相ピッチの炭化を開始するために、ルイス酸、例えばFeClを、ポリマー溶液(ポリマーおよび中間相ピッチの合計重量を基準として1〜10重量%のFeCl)に加える。
【0081】
1.2 前駆体溶液の混合:
ポリスチレン溶液を、激しく撹拌しながらMP溶液に加える。ポリスチレンのMPに対する相対的量により、材料の最終的な絶対間隙率が決定される。次に、完成した溶液を、約12時間激しく撹拌する。
【0082】
1.3 「炭素素地」の配合および成形:
分離のために、溶液を、ペトリ皿またはるつぼ中に注入する。THFを蒸発させた後、PS/MP混合物の薄層が、後に残留する。
【0083】
1.4 炭化:
試料を、10時間300℃にて(加熱速度1K/分)N下で部分的に架橋させる。構造を保持しながら完全に炭化するために、500〜750℃におけるさらなる加熱段階を、導入することができるが、これは、多孔質炭素材料の意図された使用に依存する。
多孔質物体がまた、340℃にて48時間熱処理する(加熱速度1.5K/分)ことにより、得られる。
【0084】
特徴づけ:
このようにして得られた炭素材料は、メソ細孔およびマクロ細孔を含む(Hgポロシメータ、N収着または走査型電子顕微鏡により決定して)。
【0085】
2.有機ポリマーとしてPMMAを用いた本発明の炭素モノリスの製造
炭素モノリスを、例1、変法Bと同様にして製造する。PSの代わりに、PMMA(MW 10,000〜100,000)を用いる。
【0086】
3.有機ポリマーとしてBrij 58を用いた本発明の炭素モノリスの製造
炭素モノリスを、例1、変法Aと同様にして製造し、この場合において、以下の前駆体溶液を用いる:
THF中の中間相ピッチ(MP):
約2gの中間相ピッチ(三菱AR)+10gのTHF+0.2gのFeCl
有機ポリマーの溶液:
1gのBrij 58+20gのTHF

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質炭素鋳造物の製造方法であって、
a)少なくとも1種の炭素形成剤および1種の有機ポリマーを含む有機溶媒中の混合物を調製し、
b)粘性の、または高度に粘性の物質または対応する鋳造物が得られるまで、溶媒を蒸発させ、
c)随意に段階b)において得られた材料または鋳造物を成形し、
d)段階b)またはc)からの材料または鋳造物を、200〜4000℃の温度に加熱する
ことによる、前記方法。
【請求項2】
用いる炭素形成剤がピッチであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
用いる炭素形成剤が中間相ピッチであることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
用いる有機ポリマーがポリスチレンであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
段階a)においてルイス酸を混合物に加えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
段階c)における鋳造物の加熱を、先ず200〜400℃の温度に、次に500〜1000℃の温度に段階的に行うことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
段階a)において、2種もしくは3種以上の異なる分子量の異なる有機ポリマーまたは2種もしくは3種以上の異なる分子量における1種の有機ポリマーを含む混合物を調製することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
1種または2種以上の可塑剤を、段階a)からの混合物に加えることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
段階c)における成形を押出により行うことを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
抽出を、段階b)または段階c)の後に行うことを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
材料または鋳造物を活性化することを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
さらなるプロセス段階e)において、段階d)において得られた多孔質炭素鋳造物を、外装中に完全に、または部分的に包埋することを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに対応する方法により製造された、多孔質炭素鋳造物。
【請求項14】
鋳造物が、マクロ細孔およびマクロ細孔の壁中のメソ細孔について、少なくとも1つの二峰性細孔分布を有することを特徴とする、請求項13に記載の多孔質炭素鋳造物。
【請求項15】
鋳造物が、60〜80体積%の全間隙率を有することを特徴とする、請求項13または14に記載の多孔質炭素鋳造物。
【請求項16】
鋳造物が、2000〜3000m/gの表面積を有することを特徴とする、請求項13〜15のいずれかに記載の多孔質炭素鋳造物。
【請求項17】
鋳造物が、外装中に少なくとも部分的に包埋されることを特徴とする、請求項13〜16のいずれかに記載の多孔質炭素鋳造物。
【請求項18】
吸着剤として請求項13〜16のいずれかに記載の多孔質炭素鋳造物を含む、クロマトグラフィー分離カラム。
【請求項19】
請求項13〜17のいずれかに記載の多孔質炭素鋳造物の、電気化学的電池、二重層コンデンサまたは燃料電池における電極としての、液体またはガスを含む物質のための吸着剤としての、クロマトグラフィー用途もしくは触媒プロセスにおける支持材料としての、ガス用の貯蔵媒体としての、機械建造における材料としての、防炎用の材料としての、断熱のための、センサー技術における、顔料、電子材料としての、または医療技術における使用。

【公表番号】特表2009−538811(P2009−538811A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512437(P2009−512437)
【出願日】平成19年4月28日(2007.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2007/003793
【国際公開番号】WO2007/137667
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(508348956)マックス−プランク−ゲゼルシャフト ツア フェルデルンク デア ヴィッセンシャフテン エー.ファウ. (4)
【Fターム(参考)】