説明

多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物

【課題】組成物中において経時変化により発生する異物が増加することがなく保存安定性に優れており、且つ、レジスト膜との密着性及びレジストパターンの再現性に優れると共に、現像液及びレジスト除去時の酸素アッシングに対して十分な耐性を有するシリコン含有膜を形成可能な多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物を提供する。
【解決手段】本シリコン含有膜形成用組成物は、ポリシロキサン(A)並びに有機溶媒(B)を含有しており、有機溶媒(B)として、アルコール系有機溶媒(B1)を1〜50質量%、及び式(2)で表される有機溶媒(B2)を1〜30質量%〔但し、有機溶媒(B)全体を100質量%とする〕含むことを特徴とする多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物。


〔式(2)において、mは1〜3の整数を示す。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物に関する。更に詳しくは、本発明は、多層レジストプロセスにおいて、基板にレジストパターンを形成する際に、その下地となる下層膜を形成するための多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体用素子等を製造する際のパターン形成においては、リソグラフィー技術、レジスト現像プロセス及びエッチング技術を適用するパターン転写法により、有機材料又は無機材料よりなる基板の微細加工が行われている。
しかしながら、回路基板における半導体素子等の高集積化が進むにつれて、露光工程において光マスクのパターンを正確にレジスト膜に転写することが困難となり、例えば、基板に対する微細加工プロセスにおいて、レジスト膜中に形成される光の定在波の影響により、形成されるパターンの寸法に誤差(狂い)が生じることがある。このような定在波の影響を軽減するために、レジスト膜と基板表面との間に反射防止膜が形成されている。
【0003】
また、シリコン酸化膜や無機層間絶縁膜等が形成された基板を加工する際、レジストパターンがマスクとして用いられるが、パターンの微細化が進むにつれレジスト膜及び反射防止膜を薄くする必要がある。このようにレジスト膜の薄膜化が進むと、レジスト膜のマスク性能が低下するため、基板にダメージを与えずに所望の微細加工を施すことが困難になる傾向にある。
【0004】
そこで、加工対象である基板の酸化膜や層間絶縁膜上に加工用下層膜(シリコン含有膜)を形成し、これにレジストパターンを転写し、この加工用下層膜をマスクとして用いて、酸化膜や層間絶縁膜をドライエッチングするプロセスが行われている。
このような加工用下層膜は、膜厚によって反射率が変化するため、使用される膜厚に応じて反射率が最小になるように、組成等を調整することが必要となる。また、前記加工用下層膜には、裾引き等のないレジストパターンが形成できること、レジストとの密着性に優れること、酸化膜や層間絶縁膜を加工する際に十分なマスク性があること、レジスト材料のレジスト下層膜への染み込み量が少なく、レジスト膜/レジスト下層膜におけるエッチング選択性に優れること等が要求されている。更には、組成物中において経時変化により発生する異物(経時異物)が増加することがなく、溶液としての保存安定性に優れる組成物を得ることが要求されている。
【0005】
そして、これまでに提案されている加工用下層膜としては、例えば、特定のシラン化合物の加水分解物及び/又はその縮合物を含有する組成物からなる加工用下層膜(特許文献1〜3等参照)等を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3−45510号公報
【特許文献2】特開2000−356854号公報
【特許文献3】特開2002−40668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、これまでに提案されている加工用下層膜を形成するための樹脂組成物においては、保存安定性が未だ十分とはいえず、更なる向上が求められている。
そのため、レジスト膜との密着性及びレジストパターンの再現性に優れると共に、現像等に用いられる現像液及びレジスト除去時の酸素アッシングに対して十分な耐性を有するシリコン含有膜を形成することができ、且つ優れた保存安定性を備える組成物が求められている。
【0008】
本発明の課題は、組成物中の経時異物が増加することがなく保存安定性に優れており、且つ、レジスト膜との密着性及びレジストパターンの再現性に優れると共に、現像等に用いられる現像液及びレジスト除去時の酸素アッシングに対して十分な耐性を有するシリコン含有膜を形成することができる多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の通りである。
[1] 下記式(1)で表される化合物の加水分解物及びその縮合物若しくはいずれか一方からなるポリシロキサン(A)、並びに、有機溶媒(B)を含有しており、
前記有機溶媒(B)として、アルコール系有機溶媒(B1)を1〜50質量%、及び下記式(2)で表される有機溶媒(B2)を1〜30質量%〔但し、有機溶媒(B)全体を100質量%とする〕含むことを特徴とする多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物。
Si(OR4−a (1)
〔式(1)において、Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜15のエステル基、炭素数1〜10のスルホンアミド基、又は、炭素数3〜20のアクリル骨格若しくはメタクリル骨格を有する基を示す。Rは、1価の有機基を示す。aは0〜3の整数を示す。〕
【化1】

〔式(2)において、mは1〜3の整数を示す。〕
[2]前記アルコール系有機溶媒(B1)が、プロピレングリコール系アルコールである前記[1]に記載の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物。
[3]前記ポリシロキサン(A)が、アルコキシシランを出発原料として、有機溶媒中において、水及び触媒の存在下で加水分解及び/又は縮合させて得られたものである前記[1]又は[2]に記載の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物。
[4]前記ポリシロキサン(A)が、下記式(3)で表される構成単位を含有する前記[1]乃至[3]のいずれか1項に記載の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物。
【化2】

〔式(3)において、Rは炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を示す。bは1〜4の整数を示す。〕
[5]前記ポリシロキサン(A)が、下記式(4)で表される構成単位を含有する前記[1]乃至[4]のいずれか1項に記載の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物。
【化3】

〔式(4)において、Rは、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は−ORを示し、Rは炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を示す。〕
[6]前記ポリシロキサン(A)が、下記式(5)で表される構成単位を含有する前記[1]乃至[5]のいずれか1項に記載の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物。
【化4】

[7]紫外光の照射及び/又は加熱により酸を発生する酸発生化合物を更に含有する前記[1]乃至[6]のいずれか1項に記載の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物は、組成物中の経時異物が増加することがなく保存安定性に優れており、且つ、レジスト膜との密着性及びレジストパターンの再現性に優れると共に、現像等に用いられる現像液及びレジスト除去時の酸素アッシングに対して十分な耐性を有するシリコン含有膜を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[1]多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物
本発明の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物(以下、単に「シリコン含有膜形成用組成物」ともいう。)は、ポリシロキサン(A)、及び有機溶媒(B)を含有するものである。
【0012】
(1)ポリシロキサン(A)
本発明におけるポリシロキサン(A)は、下記式(1)で表される化合物の加水分解物及びその縮合物若しくはいずれか一方からなる。
Si(OR4−a (1)
〔式(1)において、Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜15のエステル基、炭素数1〜10のスルホンアミド基、又は、炭素数3〜20のアクリル骨格若しくはメタクリル骨格を有する基を示す。Rは、1価の有機基を示す。aは0〜3の整数を示す。〕
【0013】
前記式(1)のRにおける炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0014】
また、前記式(1)のRにおける炭素数6〜20のアリール基としては、例えば、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−プロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、フェニル基、4−メトキシベンジル基、ベンジル基、2−(4−メトキシフェニル)エチル基、2−フェニルエチル基、1−(4−メトキシフェニル)エチル基、1−フェニルエチル基等が挙げられる。
【0015】
更に、前記式(1)のRにおける炭素数2〜15のエステル基としては、例えば、アセトキシ基、プロピオノキシ基、ブチロキシ基、イソブチロキシ基、バレロキシ基、イソバレロキシ基、ピバロキシ基、ベンゾキシ基、フタロキシ基、イソフタロキシ基、テレフタロキシ基、トルオキシ基等が挙げられる。
【0016】
また、前記式(1)のRにおける炭素数1〜10のスルホンアミド基としては、例えば、ベンジルスルホンアミド基、ベンゾイルスルホンアミド基、ビニルスルホンアミド基、シアノメチルスルホンアミド基、3−メルカプトプロピル−1−スルホンアミド基、C−(2−シアノフェニル)メチルスルホンアミド基、3,3−ジメチルブチルスルホンアミド基、2−オキソ−2−フェニルエチルスルホンアミド基、2−(2,5−ジオキソイミダゾリン−4−イル)エチルスルホンアミド基、C−ベンゾオキサゾール−2−イルスルホンアミド基、エチルスルホンアミド基、n−ブチルスルホンアミド基、iso−ブチルスルホンアミド基、オクチルスルホンアミド基、アリルスルホンアミド基、2−フェニルエチルスルホンアミド基、3−アミノプロピルスルホンアミド基、2−シアノエチルスルホンアミド基、3−ニトロフェニルスルホンアミド基、4−ニトロフェニルスルホンアミド基等が挙げられる。
【0017】
更に、前記式(1)のRにおける炭素数3〜20のアクリル骨格若しくはメタクリル骨格を有する基としては、例えば、アクリル基、メタクリル基、アクリレート基、メタクリレート基、エチルアクリレート基、n−プロピルアクリレート基、iso−プロピルアクリレート基、n−ブチルアクリレート基、2−メチルプロピルアクリレート基、1−メチルプロピルアクリレート基、t−ブチルアクリレート基等が挙げられる。
【0018】
また、前記式(1)のRにおける1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、γ−アミノプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−トリフロロプロピル基等の置換基を有していてもよいアルキル基等が挙げられる。これらのなかでも、メチル基、エチル基が好ましい。尚、各Rは全て同一であってもよいし、全て又は一部が異なっていてもよい。
【0019】
特に、本発明におけるポリシロキサン(A)は、下記式(3)で表される構成単位[以下、「構成単位(1)」という。]を含有するものであることが好ましい。
【0020】
【化5】

〔式(3)において、Rは炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を示す。bは1〜4の整数を示す。〕
【0021】
前記式(3)におけるRの炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
また、式(3)におけるbは1〜4の整数であり、好ましくは1〜3の整数である。
【0022】
前記構成単位(1)を与える単量体としては、例えば、下記式(i)で表されるシラン化合物等を挙げることができる。
Si(OR (i)
〔式(i)において、Rは下記式(a)で表される基を表し、Rは1価の有機基を表す。〕
【0023】
【化6】

〔式(a)において、Rは炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を示す。nは1〜4の整数を示す。〕
【0024】
前記式(a)におけるR及びnについては、それぞれ、前記式(3)におけるR及びbの説明をそのまま適用することができる。」
また、前記式(i)のRにおける1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、γ−アミノプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−トリフロロプロピル基等の置換基を有していてもよいアルキル基等が挙げられる。これらのなかでも、メチル基、エチル基が好ましい。尚、各Rは全て同一であってもよいし、全て又は一部が異なっていてもよい。
【0025】
また、前記構成単位(1)を与える具体的なシラン化合物としては、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、N−3−(メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(トリメトキシシリル)エチルメタクリレート、3−(トリエトキシシリル)エチルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)メチルメタクリレート、メタクリロキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン、トリエトキシシリルメチルメタクリレート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート、3−[トリス(ジメチルビニルシロキシ)]プロピルメタクリレート、3−(トリクロロシリル)プロピルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)アクリレート、3−(トリエトキシシリル)アクリレート等が挙げられる。
【0026】
これらのなかでも、単量体合成の容易性の観点から、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)メチルメタクリレート、2−(トリメトキシシリル)エチルメタクリレート、2−(トリエトキシシリル)エチルメタクリレート等が好ましい。
これらの単量体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
尚、前記構成単位(1)は、前記ポリシロキサン(A)に、1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0028】
また、前記ポリシロキサン(A)は、下記式(4)で表される構成単位[以下、「構成単位(2)」という。]を含有するものであることが好ましい。
【0029】
【化7】

〔式(4)において、Rは、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は−ORを示し、Rは炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を示す。nは0〜2の整数を示す。〕
【0030】
前記式(4)のRにおける炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。
また、前記Rが−ORである場合における、Rの炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。
【0031】
前記構成単位(2)を与える単量体としては、例えば、下記式(ii)で表されるシラン化合物等を挙げることができる。
Si(OR10 (ii)
〔式(ii)において、Rは下記式(b)で表される基を表し、R10は1価の有機基を表す。〕
【0032】
【化8】

〔式(b)において、R11は、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は−OR12を表し、R12は炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を表す。nは0〜2の整数を示す。〕
【0033】
前記式(b)におけるR11及びR12については、それぞれ、前記式(4)におけるR及びRの説明をそのまま適用することができる。
また、前記式(ii)のR10における1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、γ−アミノプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−トリフロロプロピル基等の置換基を有していてもよいアルキル基等が挙げられる。これらのなかでも、メチル基、エチル基が好ましい。尚、各R10は全て同一であってもよいし、全て又は一部が異なっていてもよい。
【0034】
また、前記構成単位(2)を与える具体的なシラン化合物としては、例えば、2−メチルフェニルトリメトキシシラン、2−メチルフェニルトリエトキシシラン、2−メチルフェニルトリ−n−プロポキシシラン、2−メチルフェニルトリ−iso−プロポキシシラン、2−メチルフェニルトリ−n−ブトキシシラン、2−メチルフェニルトリ−sec−ブトキシシラン、2−メチルフェニルトリ−tert−ブトキシシラン、2−メチルフェニルトリクロロシラン、2−メチルフェニルトリアセトキシシラン、4−メチルフェニルトリメトキシシラン、4−メチルフェニルトリエトキシシラン、4−メチルフェニルトリ−n−プロポキシシラン、4−メチルフェニルトリ−iso−プロポキシシラン、4−メチルフェニルトリ−n−ブトキシシラン、4−メチルフェニルトリ−sec−ブトキシシラン、4−メチルフェニルトリ−tert−ブトキシシラン、4−メチルフェニルトリクロロシラン、4−メチルフェニルトリアセトキシシラン、2−エチルフェニルトリメトキシシラン、2−エチルフェニルトリエトキシシラン、2−エチルフェニルトリ−n−プロポキシシラン、2−エチルフェニルトリ−iso−プロポキシシラン、2−エチルフェニルトリ−n−ブトキシシラン、2−エチルフェニルトリ−sec−ブトキシシラン、2−エチルフェニルトリ−tert−ブトキシシラン、2−エチルフェニルトリクロロシラン、2−エチルフェニルトリアセトキシシラン、
【0035】
4−エチルフェニルトリメトキシシラン、4−エチルフェニルトリエトキシシラン、4−エチルフェニルトリ−n−プロポキシシラン、4−エチルフェニルトリ−iso−プロポキシシラン、4−エチルフェニルトリ−n−ブトキシシラン、4−エチルフェニルトリ−sec−ブトキシシラン、4−エチルフェニルトリ−tert−ブトキシシラン、4−エチルフェニルトリクロロシラン、4−エチルフェニルトリアセトキシシラン、4−プロピルフェニルトリメトキシシラン、4−プロピルフェニルトリエトキシシラン、4−プロピルフェニルトリ−n−プロポキシシラン、4−プロピルフェニルトリ−iso−プロポキシシラン、4−プロピルフェニルトリ−n−ブトキシシラン、4−プロピルフェニルトリ−sec−ブトキシシラン、4−プロピルフェニルトリ−tert−ブトキシシラン、4−プロピルフェニルトリクロロシラン、4−プロピルフェニルトリアセトキシシラン、4−ブチルフェニルトリメトキシシラン、4−ブチルフェニルトリエトキシシラン、4−ブチルフェニルトリ−n−プロポキシシラン、4−ブチルフェニルトリ−iso−プロポキシシラン、4−ブチルフェニルトリ−n−ブトキシシラン、4−ブチルフェニルトリ−sec−ブトキシシラン、4−ブチルフェニルトリ−tert−ブトキシシラン、4−ブチルフェニルトリクロロシラン、4−ブチルフェニルトリアセトキシシラン、4−メトキシフェニルトリメトキシシラン、4−メトキシフェニルトリエトキシシラン、4−メトキシフェニルトリ−n−プロポキシシラン、4−メトキシフェニルトリ−iso−プロポキシシラン、4−メトキシフェニルトリ−n−ブトキシシラン、4−メトキシフェニルトリ−sec−ブトキシシラン、4−メトキシフェニルトリ−tert−ブトキシシラン、4−メトキシフェニルトリクロロシラン、4−メトキシフェニルトリアセトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリ−iso−プロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリ−sec−ブトキシシラン、フェニルトリ−tert−ブトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリアセトキシシラン、4−メトキシベンジルトリメトキシシラン、4−メトキシベンジルトリエトキシシラン、4−メトキシベンジルトリ−n−プロポキシシラン、4−メトキシベンジルトリ−iso−プロポキシシラン、4−メトキシベンジルトリ−n−ブトキシシラン、4−メトキシベンジルトリ−sec−ブトキシシラン、4−メトキシベンジルトリ−tert−ブトキシシラン、4−メトキシベンジルトリクロロシラン、4−メトキシベンジルトリアセトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ベンジルトリ−n−プロポキシシラン、ベンジルトリ−iso−プロポキシシラン、ベンジルトリ−n−ブトキシシラン、ベンジルトリ−sec−ブトキシシラン、ベンジルトリ−tert−ブトキシシラン、ベンジルトリクロロシラン、ベンジルトリアセトキシシラン、
【0036】
2−(4−メトキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−(4−メトキシフェニル)エチルトリエトキシシラン、2−(4−メトキシフェニル)エチルトリ−n−プロポキシシラン、2−(4−メトキシフェニル)エチルトリ−iso−プロポキシシラン、2−(4−メトキシフェニル)エチルトリ−n−ブトキシシラン、2−(4−メトキシフェニル)エチルトリ−sec−ブトキシシラン、2−(4−メトキシフェニル)エチルトリ−tert−ブトキシシラン、2−(4−メトキシフェニル)エチルトリクロロシラン、2−(4−メトキシフェニル)エチルトリアセトキシシラン、2−フェニルエチルトリメトキシシラン、2−フェニルエチルトリエトキシシラン、2−フェニルエチルトリ−n−プロポキシシラン、2−フェニルエチルトリ−iso−プロポキシシラン、2−フェニルエチルトリ−n−ブトキシシラン、2−フェニルエチルトリ−sec−ブトキシシラン、2−フェニルエチルトリ−tert−ブトキシシラン、2−フェニルエチルトリクロロシラン、2−フェニルエチルトリアセトキシシラン、1−(4−メトキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、1−(4−メトキシフェニル)エチルトリエトキシシラン、1−(4−メトキシフェニル)エチルトリ−n−プロポキシシラン、1−(4−メトキシフェニル)エチルトリ−iso−プロポキシシラン、1−(4−メトキシフェニル)エチルトリ−n−ブトキシシラン、1−(4−メトキシフェニル)エチルトリ−sec−ブトキシシラン、1−(4−メトキシフェニル)エチルトリ−tert−ブトキシシラン、1−(4−メトキシフェニル)エチルトリクロロシラン、1−(4−メトキシフェニル)エチルトリアセトキシシラン、1−フェニルエチルトリメトキシシラン、1−フェニルエチルトリエトキシシラン、1−フェニルエチルトリ−n−プロポキシシラン、1−フェニルエチルトリ−iso−プロポキシシラン、1−フェニルエチルトリ−n−ブトキシシラン、1−フェニルエチルトリ−sec−ブトキシシラン、1−フェニルエチルトリ−tert−ブトキシシラン、1−フェニルエチルトリクロロシラン、1−フェニルエチルトリアセトキシシラン等が挙げられる。
【0037】
これらの化合物のなかでも、単量体合成の容易性の観点から、4−メチルフェニルトリメトキシシラン、4−メチルフェニルトリエトキシシラン、4−メチルフェニルトリ−n−プロポキシシラン、4−メチルフェニルトリ−iso−プロポキシシラン、4−メチルフェニルトリ−n−ブトキシシラン、4−メチルフェニルトリ−sec−ブトキシシラン、4−メトキシフェニルトリメトキシシラン、4−メトキシフェニルトリエトキシシラン、4−メトキシフェニルトリ−n−プロポキシシラン、4−メトキシフェニルトリ−iso−プロポキシシラン、4−メトキシフェニルトリ−n−ブトキシシラン、4−メトキシフェニルトリ−sec−ブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリ−iso−プロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリ−sec−ブトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ベンジルトリ−n−プロポキシシラン、ベンジルトリ−iso−プロポキシシラン、ベンジルトリ−n−ブトキシシラン、ベンジルトリ−sec−ブトキシシラン、2−フェニルエチルトリメトキシシラン、2−フェニルエチルトリエトキシシラン、2−フェニルエチルトリ−n−プロポキシシラン、2−フェニルエチルトリ−iso−プロポキシシラン、2−フェニルエチルトリ−n−ブトキシシラン、2−フェニルエチルトリ−sec−ブトキシシラン等が好ましい。
これらの単量体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
尚、前記構成単位(2)は、前記ポリシロキサン(A)に、1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0039】
また、前記ポリシロキサン(A)は、下記式(5)で表される構成単位[以下、「構成単位(3)」という。]を含有するものであることが好ましい。
【0040】
【化9】

【0041】
前記構成単位(3)を与える単量体としては、例えば、下記式(iii)で表されるシラン化合物等を挙げることができる。
Si(OR13 (iii)
〔式(iii)において、R13は1価の有機基を表す。〕
【0042】
前記式(iii)のR13における1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、γ−アミノプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−トリフロロプロピル基等の置換基を有していてもよいアルキル基等が挙げられる。これらのなかでも、メチル基、エチル基が好ましい。尚、各R13は全て同一であってもよいし、全て又は一部が異なっていてもよい。
【0043】
また、前記構成単位(3)を与える具体的なシラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラクロロシラン、テトラアセトキシシラン、テトライソシアナートシラン、テトラキス(ブトキシエトキシエトキシ)シラン、テトラキス(ジメチルシロキシ)シラン、テトラキス(エトキシエトキシ)シラン、テトラキス(2−エチルヘキシロキシ)シラン、テトラキス(2−メタクリロキシエトキシ)シラン、テトラキス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、テトラキス(メトキシエトキシ)シラン、テトラキス(メトキシプロポキシ)シラン、テトラキス(メチルエチルケトキシミノ)シラン、テトラキス(トリクロロシリルエチル)シラン、テトラキス(トリメチルシロキシ)シラン、テトラキス(ビニルジメチルシロキシ)シラン等が挙げられる。これらのなかでも、反応性、物質の取り扱い容易性の観点から、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン等が好ましい。
これらの単量体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
また、前記ポリシロキサン(A)は、下記式(6)で表される構成単位[以下、「構成単位(4)」という。]を含有するものであることが好ましい。
【0045】
【化10】

〔式(6)において、R14は、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4のアルキル基を表す。〕
【0046】
前記式(4)におけるR14の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0047】
前記構成単位(4)を与える単量体としては、例えば、下記式(iv)で表されるシラン化合物等を挙げることができる。
15Si(OR16 (iv)
〔式(iv)において、R15は直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜4のアルキル基を表し、R16は1価の有機基を表す。〕
【0048】
前記式(iv)におけるR15については、前記式(4)におけるR14の説明をそのまま適用することができる。
また、R16における1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、γ−アミノプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−トリフロロプロピル基等の置換基を有していてもよいアルキル基等が挙げられる。これらのなかでも、メチル基、エチル基が好ましい。尚、各R16は全て同一であってもよいし、全て又は一部が異なっていてもよい。
【0049】
また、前記構成単位(4)を与える具体的なシラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、メチルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、メチルトリス(メトキシエトキシ)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、メチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、エチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、エチルジクロロシラン、エチルトリアセトキシシラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、n−プロピルトリアセトキシシラン、n−プロピルトリクロロシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、i−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、i−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、i−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、i−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、i−プロピルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリクロロシラン、2−メチルプロピルトリメトキシシラン、2−メチルプロピルトリエトキシシラン、2−メチルプロピルトリ−n−プロポキシシラン、2−メチルプロピルトリ−iso−プロポキシシラン、2−メチルプロピルトリ−n−ブトキシシラン、2−メチルプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、2−メチルプロピルトリ−tert−ブトキシシラン、2−メチルプロピルトリフェノキシシラン、1−メチルプロピルトリメトキシシラン、1−メチルプロピルトリエトキシシラン、1−メチルプロピルトリ−n−プロポキシシラン、1−メチルプロピルトリ−iso−プロポキシシラン、1−メチルプロピルトリ−n−ブトキシシラン、1−メチルプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、1−メチルプロピルトリ−tert−ブトキシシラン、1−メチルプロピルトリフェノキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリ−t−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、t−ブチルトリフェノキシシラン、t−ブチルトリクロロシラン、t−ブチルジクロロシラン等が挙げられる。
【0050】
これらのなかでも、反応性、物質の取り扱い容易性の観点から、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン等が好ましい。
尚、これらの単量体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
また、前記構成単位(4)は、前記ポリシロキサン(A)に、1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0052】
<他の構成単位>
前記ポリシロキサン(A)は、前記構成単位(1)〜(4)以外にも、他の構成単位を更に含有していてもよい。
前記他の構成単位としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジクロロシラン、ジエトキシジビニルシラン、ジ(3−メタクリロキシプロピル)ジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメシチルジメトキシシラン、ジメシチルジクロロシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジクロロシラン、ジ−t−ブチルジクロロシラン、ジ−シクロへキシルジクロロシラン、アセトキシプロピルジクロロシラン、(3−アクリロキシプロピル)メチルジクロロシラン、アリルへキシルジクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルフェニルジメトキシシラン、アミノプロピルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジクロロシラン、ジメタクリロキシジメトキシシラン、t−ブチルメチルジクロロシラン、t−ブチルフェニルジクロロシラン、2−(カルボメトキシ)エチルメチルジクロロシラン、2−シアノエチルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルメチルジメトキシシラン、3−シアノプロピルフェニルジクロロシラン、シクロへキシルエチルジメトキシシラン、シクロへキシルメチルジメトキシシラン、シクロへキシルメチルジクロロシラン、メルカプトメチルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジクロロシラン、エチルメチルジクロロシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、p−トリルメチルジクロロシラン、フェネチルメチルジクロロシラン、ジ(p−トリル)ジクロロシラン、ジ(3−グリシドキシ)プロピルジメトキシシラン、ジ(3−グリシドキシ)プロピルジエトキシシラン、(3−シクロヘキセニル)プロピルジメトキシシラン等の単量体に由来する構成単位が挙げられる。
【0053】
更には、N−3−(トリエトキシシリル)プロピルメチルスルホンアミド、N−3−(トリエトキシシリル)プロピルベンジルスルホンアミド、N−3−(トリエトキシシリル)プロピルベンゾイルスルホンアミド、N−3−(トリエトキシシリル)プロピルビニルスルホンアミド、N−3−(トリエトキシシリル)プロピルシアノメチルスルホンアミド、N−3−(トリエトキシシリル)プロピル−3−メルカプトプロピル−1−スルホンアミド、N−3−(トリエトキシシリル)プロピルベンジルスルホンアミド、N−3−(トリエトキシシリル)プロピル−C−(2−シアノフェニル)メチルスルホンアミド、N−3−(トリエトキシシリル)プロピル−3,3−ジメチルブチルスルホンアミド、N−3−(トリエトキシシリル)プロピル−2−オキソ−2−フェニルエチルスルホンアミド、N−3−(トリエトキシシリル)プロピル−2−(2,5−ジオキソイミダゾリン−4−イル)エチルスルホンアミド、N−3−(トリエトキシシリル)プロピル−C−ベンゾオキサゾール−2−イルスルホンアミド、N−3−(トリエトキシシリル)プロピル−C−ベンゾオキサゾール−2−イルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチルベンジルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチルベンゾイルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチルメチルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチルエチルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチル−n−ブチルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチル−iso−ブチルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチルオクチルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチルビニルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチルアリルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチル−2−フェニルエチルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチル−3−アミノプロピルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチル−2−シアノエチルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチル−3−ニトロフェニルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチル−4−ニトロフェニルスルホンアミド、
【0054】
N−3−(トリメトキシシリル)プロピルベンジルスルホンアミド、N−3−(トリメトキシシリル)プロピルベンゾイルスルホンアミド、N−3−(トリメトキシシリル)プロピルビニルスルホンアミド、N−3−(トリメトキシシリル)プロピルシアノメチルスルホンアミド、N−3−(トリメトキシシリル)プロピル−3−メルカプトプロピル−1−スルホンアミド、N−3−(トリメトキシシリル)プロピルベンジルスルホンアミド、N−3−(トリメトキシシリル)プロピル−C−(2−シアノフェニル)メチルスルホンアミド、N−3−(トリメトキシシリル)プロピル−3,3−ジメチルブチルスルホンアミド、N−3−(トリメトキシシリル)プロピル−2−オキソ−2−フェニルエチルスルホンアミド、N−3−(トリメトキシシリル)プロピル−2−(2,5−ジオキソイミダゾリン−4−イル)エチルスルホンアミド、N−3−(トリメトキシシリル)プロピル−C−ベンゾオキサゾール−2−イルスルホンアミド、N−3−(トリメトキシシリル)プロピル−C−ベンゾオキサゾール−2−イルスルホンアミド、N−2−(トリメトキシシリル)エチルベンジルスルホンアミド、N−2−(トリメトキシシリル)エチルベンゾイルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチルメチルスルホンアミド、N−2−(トリメトキシシリル)エチルエチルスルホンアミド、N−2−(トリメトキシシリル)エチル−n−ブチルスルホンアミド、N−2−(トリメトキシシリル)エチル−iso−ブチルスルホンアミド、N−2−(トリメトキシシリル)エチルオクチルスルホンアミド、N−2−(トリメトキシシリル)エチルビニルスルホンアミド、N−2−(トリメトキシシリル)エチルアリルスルホンアミド、N−2−(トリメトキシシリル)エチル−2−フェニルエチルスルホンアミド、N−2−(トリメトキシシリル)エチル−3−アミノプロピルスルホンアミド、N−2−(トリメトキシシリル)エチル−2−シアノエチルスルホンアミド、N−2−(トリメトキシシリル)エチル−3−ニトロフェニルスルホンアミド、N−2−(トリメトキシシリル)エチル−4−ニトロフェニルスルホンアミド等のスルホンアミド基を有する単量体に由来する構成単位が挙げられる。
【0055】
前記スルホンアミド基を有する単量体のなかでも、単量体合成の容易性の観点から、N−3−(トリエトキシシリル)プロピルメチルスルホンアミド、N−3−(トリエトキシシリル)プロピルベンジルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチルベンジルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチルメチルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチルエチルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチル−n−ブチルスルホンアミド、N−2−(トリエトキシシリル)エチル−2−フェニルエチルスルホンアミド等が好ましい。
尚、これらの「他の構成単位」は、1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0056】
前記ポリシロキサン(A)における、前記構成単位(1)の含有割合は、特に限定されないが、ポリシロキサン(A)に含まれる全ての構成単位の合計を100モル%とした場合に、1モル%以上であることが好ましく、より好ましくは2〜50モル%、更に好ましくは3〜30モル%である。この含有量が1モル%以上である場合、レジストパターンの形状に優れ、十分な密着性が得られるため好ましい。
【0057】
前記構成単位(2)の含有割合は、特に限定されないが、ポリシロキサン(A)に含まれる全ての構成単位の合計を100モル%とした場合に、30モル%以下であることが好ましく、より好ましくは1〜20モル%、更に好ましくは2〜15モル%である。この含有量が30モル%以下の場合、193nmの波長での反射防止機能が良好であるため好ましい。
【0058】
前記構成単位(3)の含有割合は、特に限定されないが、ポリシロキサン(A)に含まれる全ての構成単位の合計を100モル%とした場合に、95モル%以下であることが好ましく、より好ましくは10〜90モル%、更に好ましくは15〜80モル%である。この含有量が95モル%以下である場合には、重合反応性の制御が容易となり、分子量の制御ができるため好ましい。
【0059】
前記構成単位(4)の含有割合は、特に限定されないが、ポリシロキサン(A)に含まれる全ての構成単位の合計を100モル%とした場合に、90モル%以下であることが好ましく、より好ましくは1〜50モル%、更に好ましくは2〜40モル%である。この含有量が90モル%以下である場合には、重合反応性の制御が容易となり、分子量の制御ができるため好ましい。
【0060】
前記他の構成単位の含有割合は、特に限定されないが、ポリシロキサン(A)に含まれる全ての構成単位の合計を100モル%とした場合に、30モル%以下であることが好ましく、より好ましくは1〜20モル%、更に好ましくは2〜10モル%である。この含有量が30モル%以下である場合には、良好な塗布性が確保できるため好ましい。
【0061】
前記ポリシロキサン(A)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」ともいう)は、500〜100000であることが好ましく、より好ましくは1000〜50000、更に好ましくは1000〜10000である。
【0062】
(2)ポリシロキサン(A)の製造方法
前記ポリシロキサン(A)の製造方法は特に限定されないが、例えば、アルコキシシランを出発原料として、有機溶媒中において、水及び触媒の存在下で加水分解及び/又は縮合することにより得ることができる。より具体的には、前記出発原料を有機溶媒中に溶解し、この溶液中に水を断続的に或いは連続的に添加する。このとき、触媒は、予め有機溶媒中に溶解又は分散させておいてもよく、添加される水に溶解又は分散させておいてもよい。また、加水分解反応及び/又は縮合反応を行うための温度は、通常、0〜100℃である。
尚、前記出発原料であるアルコキシシランとしては、前述のポリシロキサン(A)における各構成単位[前記構成単位(1)〜(4)及び他の構成単位等]を与える単量体等が挙げられる。
【0063】
前記加水分解及び/又は縮合を行うための水としては、特に限定されないが、イオン交換水を用いることが好ましい。また、前記水は、用いられるアルコキシシランのアルコキシル基1モル当たり0.25〜3モル、好ましくは0.3〜2.5モルとなる量で用いられる。上述の範囲の量で水を用いることにより、形成される塗膜の均一性が低下するおそれがなく、且つ、組成物の保存安定性が低下するおそれが少ない。
【0064】
前記有機溶媒としては、この種の用途に使用される有機溶媒であれば特に限定されず、例えば、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1,4−ブタンジオール、ペンタノール、1−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、シクロペンタノール、ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、シクロヘキサノール、ヘプタノール、シクロヘプタノール、オクタノール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエタノール、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、4−メトキシ−1−ブタノール、2−メトキシエタノール、2−iso−プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−iso−ブトキシエタノール、2−ヘキシロキシエタノール、2−(2−エチル)ヘキシロキシエタノール、2−アリロキシエタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジロキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−プロポキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール等が挙げられる。
これらのなかでも、ブタノール、ペンタノール、シクロペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、ヘプタノール、シクロヘプタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−プロポキシ−2−プロパノールが好ましく、4−メチル−2−ペンタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−プロポキシ−2−プロパノールがより好ましい。
これらの有機溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0065】
前記触媒としては、例えば、金属キレート化合物、有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基等が挙げられる。
前記金属キレート化合物としては、例えば、チタンキレート化合物、ジルコニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物等が挙げられる。具体的には、特許文献1(特開2000−356854号公報)等に記載されている化合物等を用いることができる。
前記有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、ミキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。
前記無機酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸等が挙げられる。
【0066】
前記有機塩基としては、例えば、ピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクラン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等が挙げられる。
前記無機塩基としては、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。
【0067】
これらの触媒のなかでも、金属キレート化合物、有機酸及び有機塩基が好ましい。前記触媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記触媒は、前記ポリシロキサン(A)の固形分100質量部に対して、通常、0.001〜10質量部、好ましくは0.01〜10質量部の範囲で用いられる。
【0068】
また、前記ポリシロキサン(A)の製造においては、前記アルコキシシランの加水分解及び/又は縮合を行った後、例えば、メタノール、エタノール等の低級アルコール類等の反応副生成物の除去処理を行うことが好ましい。この反応副生成物の除去処理の方法としては、前記アルコキシシランの加水分解物及び/又はその縮合物の反応が進行しない方法であれば特に限定されず、例えば、反応副生成物の沸点が前記有機溶媒の沸点より低いものである場合には、減圧によって留去することができる。
【0069】
尚、前記ポリシロキサン(A)は、本発明のシリコン含有膜形成用組成物に、1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0070】
(3)有機溶媒(B)
本発明のシリコン含有膜形成用組成物には、有機溶媒(B)として、アルコール系有機溶媒(B1)〔以下、単に「溶媒(B1)」ともいう。〕、及び下記式(2)で表される有機溶媒(B2)〔以下、単に「溶媒(B2)」ともいう。〕が含まれる。
【0071】
【化11】

〔式(2)において、mは1〜3の整数を示す。〕
【0072】
前記溶媒(B1)としては、例えば、プロピレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−プロポキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール等のプロピレングリコール系アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエタノール、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、2−メトキシエタノール、2−iso−プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−iso−ブトキシエタノール、2−ヘキシロキシエタノール、2−(2−エチル)ヘキシロキシエタノール、2−アリロキシエタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジロキシエタノール等のエチレングリコール系アルコール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1,4−ブタンジオール、ペンタノール、1−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、シクロペンタノール、ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、シクロヘキサノール、ヘプタノール、シクロヘプタノール、オクタノール、ノニルアルコール、デシルアルコール等のその他のアルコール等が挙げられる。
これらのなかでも、プロピレングリコール系アルコールが好ましい。特に、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−プロポキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール等のプロピレングリコール系アルコールが好ましい。
尚、これらの溶媒(B1)は、1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0073】
前記溶媒(B2)としては、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等が挙げられる。
これらのなかでも、γ−ブチロラクトンが好ましい。
尚、これらの溶媒(B2)は、1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0074】
また、本発明における有機溶媒(B)には、前記溶媒(B1)及び溶媒(B2)以外にも、他の有機溶媒(B3)〔以下、単に「溶媒(B3)」ともいう。〕が含まれる。
前記溶媒(B3)は前記ポリシロキサン(A)を溶解できるものであれば特に限定されないが、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸iso−プロピル等の乳酸エステル類、蟻酸n−アミル、蟻酸iso−アミル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、酢酸n−アミル、酢酸iso−アミル、プロピオン酸iso−プロピル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸iso−ブチル等の脂肪酸エステル類、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル類、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル等のエーテル類等が挙げられる。これらのなかでも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチルが好ましい。
これらの溶媒(B3)は、1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0075】
前記溶媒(B1)の含有割合は、有機溶媒(B)全体〔溶媒(B1)、(B2)及び(B3)の合計〕を100質量%とした場合に、1〜50質量%であり、好ましくは5〜40質量%、更に好ましくは10〜35質量%である。
前記溶媒(B2)の含有割合は、有機溶媒(B)全体〔溶媒(B1)、(B2)及び(B3)の合計〕を100質量%とした場合に、1〜30質量%であり、好ましくは3〜20質量%、更に好ましくは5〜15質量%である。
前記溶媒(B3)の含有割合は、有機溶媒(B)全体〔溶媒(B1)、(B2)及び(B3)の合計〕を100質量%とした場合に、20〜98質量%であり、好ましくは40〜92質量%、更に好ましくは50〜85質量%である。
これらの各溶媒が、前記の範囲である場合には、優れた保存安定性が得られるため好ましい。
【0076】
(4)他の成分(i)
(4−1)酸発生化合物
本発明のシリコン含有膜形成用組成物には、前記ポリシロキサン及び溶媒以外に、紫外光の照射及び/又は加熱により酸を発生する酸発生化合物(以下、単に「酸発生剤」ともいう。)が含まれていてもよい。
このような酸発生剤を含有する場合には、レジストを露光することにより、又は露光後に加熱することにより、シリコン含有膜中に酸が発生し、該シリコン含有膜とレジスト膜との界面に酸が供給される。その結果、レジスト膜のアルカリ現像処理において、解像度及び再現性に優れたレジストパターンを形成することができる。
前記酸発生剤としては、紫外光照射処理を行うことによって酸を発生する化合物(以下「潜在性光酸発生剤」ともいう。)及び加熱処理を行うことによって酸を発生する化合物(以下「潜在性熱酸発生剤」ともいう。)が挙げられる。
前記潜在性光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩系光酸発生剤類、ハロゲン含有化合物系光酸発生剤類、ジアゾケトン化合物系光酸発生剤類、スルホン酸化合物系光酸発生剤類、スルホネート化合物系光酸発生剤類等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記潜在性熱酸発生剤としては、例えば、スルホニウム塩、ベンゾチアゾリウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩を用いることができ、これらのなかでも、スルホニウム塩及びベンゾチアゾリウム塩が好ましい。より具体的な化合物としては、特許文献1等に記載されている化合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0077】
前記酸発生剤の含有量は、ポリシロキサン(A)の固形分100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5質量部である。
【0078】
(3−2)β−ジケトン
また、本発明のシリコン含有膜形成用組成物には、形成される塗膜の均一性及び保存安定性の向上を図るため、β−ジケトンが含まれていてもよい。
前記β−ジケトンとしては、例えば、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、2,4−オクタンジオン、3,5−オクタンジオン、2,4−ノナンジオン、3,5−ノナンジオン、5−メチル−2,4−ヘキサンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ヘプタンジオン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0079】
前記β−ジケトンの含有量は、β−ジケトンと前記有機溶媒(B)との合計を100質量部とした場合に、1〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは3〜30質量部である。
【0080】
(5)他の成分(ii)
また、本発明のシリコン含有膜形成用組成物には、更に、コロイド状シリカ、コロイド状アルミナ、有機ポリマー、界面活性剤等の成分が含まれていてもよい。
前記有機ポリマーとしては、例えば、ポリアルキレンオキサイド構造を有する化合物、糖鎖構造を有する化合物、ビニルアミド系重合体、アクリレート化合物、メタクリレート化合物、芳香族ビニル化合物、デンドリマー、ポリイミド,ポリアミック酸、ポリアリーレン、ポリアミド、ポリキノキサリン、ポリオキサジアゾール、フッ素系重合体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記界面活性剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、含フッ素界面活性剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0081】
[2]シリコン含有膜形成用組成物の製造方法
本発明のシリコン含有膜形成用組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば、(1)前記ポリシロキサン(A)と、前記溶媒(B)[溶媒(B1)、(B2)、(B3)]と、必要に応じて前記他の添加剤と、を混合したり、(2)溶媒(B)の1種又は2種以上にポリシロキサン(A)が溶解された樹脂溶液と、溶媒(B)と、必要に応じて前記他の添加剤と、を混合することにより得ることができる。
また、本発明のシリコン含有膜形成用組成物は、その固形分濃度が1〜20質量%、特に1〜15質量%であることが好ましい。
【0082】
[3]シリコン含有膜の形成方法
本発明のシリコン含有膜形成用組成物は、例えば、反射防止膜の表面に塗布することにより、この組成物の塗膜を形成し、この塗膜を加熱処理することにより、或いは、潜在性光酸発生剤を含有する場合には、紫外光の照射及び加熱処理を行うことにより、シリコン含有膜(レジスト下層膜)を形成することができる。
本発明のシリコン含有膜形成用組成物を塗布する方法としては、スピンコート法、ロールコート法、ディップ法等を利用することができる。また、形成される塗膜の加熱温度は、通常50〜450℃であり、加熱処理後の膜厚は、通常10〜200nmである。
前記のようにして形成されたシリコン含有膜は、他のレジスト下層膜やレジスト膜との密着性が高く、レジスト現像液及びレジストを除去するための酸素アッシングに対して耐性を有し、再現性の高いレジストパターンが得られる。
【実施例】
【0083】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。ここで、「部」及び「%」は、特記しない限り質量基準である。
【0084】
[1]ポリシロキサンの製造
下記合成例(合成例1〜4)に示すように、ポリシロキサン[樹脂(A−1)〜(A−4)]を調製した。尚、各合成例で得られる樹脂の重量平均分子量(Mw)の測定は、下記の方法により行った。
【0085】
<重量平均分子量(Mw)の測定>
東ソー社製のGPCカラム(商品名「G2000HXL」2本、商品名「G3000HXL」1本、商品名「G4000HXL」1本)を使用し、流量:1.0mL/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。
【0086】
<合成例1(A−1)>
シュウ酸0.45部を水21.6部に加熱溶解させて、シュウ酸水溶液を調製した。その後、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート〔下記式(M−1)〕0.50部、フェニルトリメトキシシラン〔下記式(M−2)〕0.99部、メチルトリメトキシシラン〔下記式(M−3)〕3.13部、テトラメトキシシラン〔下記式(M−4)〕10.7部、及びプロピレングリコール−1−エチルエーテル53.5部を入れたフラスコに、冷却管と、上述のように調製したシュウ酸水溶液を入れた滴下ロートをセットした。次いで、オイルバスにて60℃に加熱した後、シュウ酸水溶液をゆっくり滴下し、60℃で4時間反応させた。反応終了後、反応溶液の入ったフラスコを放冷してから減圧蒸留により生成したメタノールを除去して、プロピレングリコール−1−エチルエーテル樹脂溶液を得た。この樹脂溶液中における固形分(ポリシロキサン)を樹脂(A−1)とする。
得られた樹脂溶液の固形分濃度は、焼成法により測定した結果、16.3%であった。また、樹脂(A−1)の重量平均分子量(Mw)は1200であった。尚、樹脂(A−1)の構成モノマー比(M−1:M−2:M−3:M−4)は、2:5:23:70(mol%)である。
【0087】
【化12】

尚、式中の「Me」はメチル基を示し、「Ph」はフェニル基を示す。
【0088】
<合成例2(A−2)>
テトラメチルアンモニウムヒドロキシド1.82部を水5.47部に加熱溶解させて、テトラアンモニウムヒドロキシド水溶液を調製した。その後、調製したテトラアンモニウムヒドロキシド水溶液7.29部、水2.27部、及びメタノール20部を入れたフラスコに、冷却管と、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート〔前記式(M−1)〕1.50部、フェニルトリメトキシシラン〔前記式(M−2)〕0.50部、メチルトリメトキシシラン〔前記式(M−3)〕2.04部、テトラメトキシシラン〔前記式(M−4)〕4.19部、及びメタノール25部を入れた滴下ロートをセットした。次いで、オイルバスにて60℃に加熱した後、モノマーメタノール溶液をゆっくり滴下し、60℃で2時間反応させた。反応終了後、反応溶液の入ったフラスコを放冷した。
その後、無水マレイン酸2.50部を、水9.18部及びメタノール9.18部に溶解して別途調製したマレイン酸メタノール溶液21部に対し、上述のように放冷した反応溶液を滴下し、30分間攪拌した。次いで、4−メチル−2−ペンテノン25部を添加してから減圧蒸留により生成したメタノールを除去して4−メチル−2−ペンテノン樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液を分液ロートへ移してから、水40部を添加して1回目の水洗を行い、更に水20部を添加して2回目の水洗を行なった。その後、分液ロートよりフラスコへ移した4−メチル−2−ペンテノン樹脂溶液に、プロピレングリコール−1−エチルエーテル25部を添加してから減圧蒸留により4−メチル−2−ペンテノンを除去して、プロピレングリコール−1−エチルエーテル樹脂溶液を得た。この樹脂溶液中における固形分(ポリシロキサン)を樹脂(A−2)とする。
得られた樹脂溶液の固形分濃度は、焼成法により測定した結果、13.6%であった。また、樹脂(A−2)の重量平均分子量(Mw)は4600であった。尚、樹脂(A−2)の構成モノマー比(M−1:M−2:M−3:M−4)は、10:5:30:55(mol%)である。
【0089】
<合成例3(A−3)>
テトラメチルアンモニウムヒドロキシド1.82部を水5.47部に加熱溶解させて、テトラアンモニウムヒドロキシド水溶液を調製した。その後、調製したテトラアンモニウムヒドロキシド水溶液7.29部、水2.27部、及びメタノール20部を入れたフラスコに、冷却管と、フェニルトリメトキシシラン〔前記式(M−2)〕0.99部、メチルトリメトキシシラン〔前記式(M−3)〕3.41部、テトラメトキシシラン〔前記式(M−4)〕10.7部、及びメタノール25部を入れた滴下ロートをセットした。次いで、オイルバスにて60℃に加熱した後、モノマーメタノール溶液をゆっくり滴下し、60℃で2時間反応させた。反応終了後、反応溶液の入ったフラスコを放冷した。
その後、無水マレイン酸2.50部を、水9.18部及びメタノール9.18部に溶解して別途調製したマレイン酸メタノール溶液21部に対し、上述のように放冷した反応溶液を滴下し、30分間攪拌した。次いで、4−メチル−2−ペンテノン25部を添加してから減圧蒸留により生成したメタノールを除去して4−メチル−2−ペンテノン樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液を分液ロートへ移してから、水40部を添加して1回目の水洗を行い、更に水20部を添加して2回目の水洗を行なった。その後、分液ロートよりフラスコへ移した4−メチル−2−ペンテノン樹脂溶液に、プロピレングリコール−1−エチルエーテル25部を添加してから減圧蒸留により4−メチル−2−ペンテノンを除去して、プロピレングリコール−1−エチルエーテル樹脂溶液を得た。この樹脂溶液中における固形分(ポリシロキサン)を樹脂(A−3)とする。
得られた樹脂溶液の固形分濃度は、焼成法により測定した結果、14.0%であった。また、樹脂(A−3)の重量平均分子量(Mw)は5000であった。尚、樹脂(A−3)の構成モノマー比(M−2:M−3:M−4)は、5:25:70(mol%)である。
【0090】
<合成例4(A−4)>
テトラメチルアンモニウムヒドロキシド1.82部を水5.47部に加熱溶解させて、テトラアンモニウムヒドロキシド水溶液を調製した。その後、調製したテトラアンモニウムヒドロキシド水溶液7.29部、水2.27部、及びメタノール20部を入れたフラスコに、冷却管と、メチルトリメトキシシラン〔前記式(M−3)〕4.9部、テトラメトキシシラン〔前記式(M−4)〕10.7部、及びメタノール25部を入れた滴下ロートをセットした。次いで、オイルバスにて60℃に加熱した後、モノマーメタノール溶液をゆっくり滴下し、60℃で2時間反応させた。反応終了後、反応溶液の入ったフラスコを放冷した。
その後、無水マレイン酸2.50部を、水9.18部及びメタノール9.18部に溶解して別途調製したマレイン酸メタノール溶液21部に対し、上述のように放冷した反応溶液を滴下し、30分間攪拌した。次いで、4−メチル−2−ペンテノン25部を添加してから減圧蒸留により生成したメタノールを除去して4−メチル−2−ペンテノン樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液を分液ロートへ移してから、水40部を添加して1回目の水洗を行い、更に水20部を添加して2回目の水洗を行なった。その後、分液ロートよりフラスコへ移した4−メチル−2−ペンテノン樹脂溶液に、プロピレングリコール−1−エチルエーテル25部を添加してから減圧蒸留により4−メチル−2−ペンテノンを除去して、プロピレングリコール−1−エチルエーテル樹脂溶液を得た。この樹脂溶液中における固形分(ポリシロキサン)を樹脂(A−4)とする。
得られた樹脂溶液の固形分濃度は、焼成法により測定した結果、15.5%であった。また、樹脂(A−4)の重量平均分子量(Mw)は5200であった。尚、樹脂(A−4)の構成モノマー比(M−3:M−4)は、34:69(mol%)である。
【0091】
尚、前述の各合成例における、単量体の仕込み量、得られた樹脂溶液の固形分濃度、得られた樹脂溶液における固形分の重量平均分子量(Mw)を、表1にまとめて示す。
【0092】
【表1】

【0093】
[2]多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物の調製
前述の合成例1〜4で得られたプロピレングリコール−1−エチルエーテル樹脂溶液〔樹脂(A−1)〜(A−4)を含む樹脂溶液〕、各種溶媒(B)、及び必要に応じて酸発生剤(C)を用いて、下記のように、実施例1〜5及び比較例1の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物を調製した。
【0094】
<実施例1>
前記合成例1で得られたプロピレングリコール−1−エチルエーテル樹脂溶液(固形分濃度;16.3%)14.89部を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート〔溶媒(B1)〕27.67部、プロピレングリコール−1−エチルエーテル〔溶媒(B2)〕13.83部、及びγ−ブチロラクトン〔溶媒(B3)〕4.61部に溶解させた後、この溶液を孔径0.2μmのフィルターでろ過して、実施例1の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物を得た。尚、各成分の含有量を表2に示す。
【0095】
<実施例2〜5及び比較例1>
前記各合成例で得られたポリシロキサン〔樹脂(A)〕を含むプロピレングリコール−1−エチルエーテル樹脂溶液、各種溶媒(B)及び酸発生剤(C)を、各成分が表2に示す含有量となるように混合し、実施例1と同様にして、実施例2〜5及び比較例1の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物を得た。
【0096】
【表2】

【0097】
尚、表2における(B)溶媒、及び(C)酸発生剤の詳細は下記の通りである。
<(B)溶媒>
B1−1:プロピレングリコール−1−エチルエーテル〔前述の溶媒(B1)に相当〕
B2−1:γ−ブチロラクトン〔前述の溶媒(B2)に相当〕
B3−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート〔前述の溶媒(B3)に相当〕
<(C)酸発生剤>
C−1:ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩
【0098】
[3]シリコン含有膜形成用組成物(実施例1〜5及び比較例1)の評価
前記実施例及び比較例で得られたシリコン含有膜形成用組成物について、以下の各種評価を行った。それらの結果を表3に示す。
【0099】
(1)溶液の保存安定性
シリコンウェハの表面に、スピンコーターを用いて、回転数2000rpm、20秒間の条件でシリコン含有膜形成用組成物を塗布し、その後250℃のホットプレート上で60秒間乾燥させることによりシリコン含有膜を形成した。得られたシリコン含有膜について、光学式膜厚計(KLA−Tencor社製、「UV−1280SE」)を用いて50点の位置で膜厚を測定し、その平均膜厚(初期膜厚=T0)を求めた。
更に、温度23℃で3ヶ月間保存した後のシリコン含有膜形成用組成物を用いて、前記と同様にしてシリコン含有膜を形成して膜厚を測定し、その平均膜厚(貯蔵後膜厚=T)を求めた。
そして、初期膜厚T0と貯蔵後膜厚Tとの差(T−T0)を求め、平均膜厚T0に対するその差の大きさの割合〔(T−T0)/T0〕を膜厚変化率として算出し、その値が5%以下である場合を「○」、5%を超える場合を「×」として評価した。
【0100】
(2)密着性
シリコンウェハ上に、下層膜形成用組成物(商品名「NFC HM8005」、JSR(株)製)をスピンコーターによって塗布し、250℃のホットプレート上で60秒間乾燥させることにより、膜厚が300nmの下層膜を形成した。
その後、この下層膜上に、多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物をスピンコーターによって塗布し、250℃のホットプレート上で60秒間焼成することによりシリコン含有膜を形成した。
次いで、前記シリコン含有膜上にレジスト材料「AIM5056JN」〔JSR(株)製〕を塗布し、90℃で60秒間乾燥させた。このときのレジストの膜厚は120nmに制御した。その後、ArFエキシマレーザー照射装置〔(株)ニコン製〕を用い、ArFエキシマレーザー(波長193nm)を0.08μmのライン・アンド・スペースパターンを有する石英製マスクを介して基板に32mJ照射した後、基板を115℃で60秒間加熱した。次いで、2.38%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液で30秒間現像処理し、レジストパターンを形成した。
前記のようにして基板上に形成されたレジストパターンを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、該レジストパターンの現像剥離が生じていない場合を「○」とし、現像剥離が生じている場合を「×」として評価した。
【0101】
(3)レジストパターンの再現性
前記(2)と同様の手法で形成したレジストパターンをSEMで観察し、レーザーが照射された箇所にレジストの膜残りが生じておらず、光マスクの0.08μmのライン・アンド・スペースのパターンが忠実に再現されている場合を「○」とし、忠実に再現性されていない場合を「×」として評価した。
【0102】
(4)耐現像液性
シリコンウェハの表面に、スピンコーターを用いて、回転数2000rpm、20秒間の条件で多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物を塗布し、その後、250℃のホットプレート上で60秒間乾燥させることによりシリコン含有膜を形成した。
次いで、シリコン含有膜を2.38%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液で30秒間浸漬した。
そして、現像液に浸漬する前のシリコン含有膜の膜厚と、浸漬した後のシリコン含有膜の膜厚とを比較し、その差を算出した。両者の差が1nm以下である場合は、良好なシリコン含有膜であり、評価を「○」とした。一方、この差が1nmを超える場合を「×」とした。
【0103】
(5)マスク性(耐酸素アッシング性)
シリコンウェハの表面に、スピンコーターを用いて、回転数2000rpm、20秒間の条件で多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物を塗布し、その後、250℃のホットプレート上で60秒間乾燥させることによりシリコン含有膜を形成した。
シリコン含有膜を、エッチング装置「EXAM」(神鋼精機社製)を用いて、300Wで15秒間酸素アッシング処理を行い、処理前のシリコン含有膜の膜厚と処理後のシリコン含有膜の膜厚との差を算出した。両者の差が5nm以下である場合は、良好なシリコン含有膜であり、評価を「○」とした。一方、この差が5nmを超える場合を「×」とした。
【0104】
(6)溶液中異物数の経時変化
温度23℃で3ヶ月間保存した後のシリコン含有膜形成用組成物を用いて、液中異物数測定装置「KS−41」(リオン株式会社製)を用いて、0.15μm以上の液中異物数測定を行い、初期異物数P0と貯蔵後液中異物数Pとの差(P−P0)を求め、初期異物数P0に対するその差の大きさの割合〔(P−P0)/P0〕を液中異物数変化率として算出し、その値が5%以下である場合を「○」とした。一方、この値が5%を超える場合を「×」として評価した。
【0105】
【表3】

【0106】
表3から明らかなように、実施例1〜5の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物は、組成物中の経時異物が増加することがなく保存安定性に優れており、且つ、レジスト膜との密着性及びレジストパターンの再現性に優れると共に、現像液及びレジスト除去時の酸素アッシングに対して十分な耐性を有するシリコン含有膜を形成できることが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される化合物の加水分解物及びその縮合物若しくはいずれか一方からなるポリシロキサン(A)、並びに、有機溶媒(B)を含有しており、
前記有機溶媒(B)として、アルコール系有機溶媒(B1)を1〜50質量%、及び下記式(2)で表される有機溶媒(B2)を1〜30質量%〔但し、有機溶媒(B)全体を100質量%とする〕含むことを特徴とする多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物。
Si(OR4−a (1)
〔式(1)において、Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜15のエステル基、炭素数1〜10のスルホンアミド基、又は、炭素数3〜20のアクリル骨格若しくはメタクリル骨格を有する基を示す。Rは、1価の有機基を示す。aは0〜3の整数を示す。〕
【化1】

〔式(2)において、mは1〜3の整数を示す。〕
【請求項2】
前記アルコール系有機溶媒(B1)が、プロピレングリコール系アルコールである請求項1に記載の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物。
【請求項3】
前記ポリシロキサン(A)が、アルコキシシランを出発原料として、有機溶媒中において、水及び触媒の存在下で加水分解及び/又は縮合させて得られたものである請求項1又は2に記載の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物。
【請求項4】
前記ポリシロキサン(A)が、下記式(3)で表される構成単位を含有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物。
【化2】

〔式(3)において、Rは炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を示す。bは1〜4の整数を示す。〕
【請求項5】
前記ポリシロキサン(A)が、下記式(4)で表される構成単位を含有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物。
【化3】

〔式(4)において、Rは、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は−ORを示し、Rは炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を示す。nは0〜2の整数を示す。〕
【請求項6】
前記ポリシロキサン(A)が、下記式(5)で表される構成単位を含有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物。
【化4】

【請求項7】
紫外光の照射及び/又は加熱により酸を発生する酸発生化合物を更に含有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の多層レジストプロセス用シリコン含有膜形成用組成物。

【公開番号】特開2010−107932(P2010−107932A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13645(P2009−13645)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】