説明

多層装備品の少なくとも表面材層を製造する方法

本発明の方法は、第1の色を有する第1の層(21)を成形面(10)の第1の部分に被着形成し、次のステップにおいて、第2の色を有する第2の層(22)を成形面(10)の第2の部分に被着形成すると共に第1の層(21)の裏側に部分的に被着形成する成形方法である。この方法は、溝内の実際の色の移行を見えないように隠す必要なく、2つの層(21,22)の色相互間の質的移行を得ることを意図している。この目的は、第1の層(21)を構成する材料を、第2の層(22)の下の成形面上に位置することになる第1の層(21)の縁部(20)が見た目に鮮明であり且つマスク無しに作られるような仕方で成形面(10)に被着させることによって達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の構造体に取り付け可能な多層装備品の少なくとも表面材層(又は表層)を製造する方法に関し、この表面材層は、第1の色を有する第1の表面部分及び第1の表面部分に少なくとも部分的に当接して位置し、第1の色とは異なる第2の色を有する第2の表面部分によって少なくとも一部が形成された前側を有する。表面材層は、換言すると、2色又は多色表面材層である。かかる表面材層を製造する方法は、第1の表面部分を形成する第1の層を金型表面の第1の部分に当てて形成する一方で、金型表面の第2の部分を自由に製造できるようにし、次のステップにおいて、第2の表面部分を形成する第2の層を金型表面の第2の部分に当てて形成すると共に少なくとも部分的に第1の層の裏側にも当てて形成する成形方法である。
【背景技術】
【0002】
多層装備品は、例えば、自動車のダッシュボード、ドアパネル、コンソール又は別の内部装備品(内装品)である。通常、多層装備品は、中間発泡層により剛性基材層に結合された表面材層から成る。表面材層は、薄い着色層、特に塗料層を備えるか或いは備えないエラストマー表皮層から成る場合がある。本発明の方法では、表皮層を成形面に当てて成形する。表皮層が追加の着色被覆層で覆われる場合、この被覆層をまず最初に金型内被膜として成形面に被着させる。
【0003】
表面材層は、例えば、吹き付け又は注ぎ掛け法によって作ることができ、この場合、硬化可能な表皮材料、特にポリウレタン反応性混合物を液体状態で成形面に吹き付け又は注ぎ掛ける。かかる方法は、欧州特許第0804327号明細書に開示されている。この公知の方法では、第1の層構成材料、具体的には、第1の色を有するポリウレタン反応性混合物をまず最初に成形面の第1の部分に吹き付け、その間、マスクにより成形面の第2の部分を遮蔽する。次のステップにおいて、マスクを取り外し、第2の層構成材料、この場合も又、ポリウレタン反応性混合物であるが、第1の色とは異なる第2の色を有する第2の層構成材料を成形面の第2の部分に吹き付けると共に先に吹き付けたポリウレタン層の裏側に部分的に吹き付ける。かくして、第1の層構成材料は、第2の層構成材料の層の下に位置し、表面材層の第1の表面部分と第2の表面部分との間に色の移行部を構成する縁部を有する。
【0004】
この公知の方法の欠点は、2つの色相互間の移行が、マスクの下のポリウレタン反応性混合物のスパッタリング又は拡散により常に十分に鮮明であるわけではないということにある。したがって、欧州特許第0804327号明細書は、2つの色相互間の移行ゾーンを見えないように隠すことを目的として、2つの色相互間の移行部を成形面の直立縁部上に提供することを開示している。この場合、実際の色の移行部は、事実、装備品の表面材層に設けられた溝の中に位置する。しかしながら、溝の幅に起因して、この色の移行部は、依然として幾分見える状態のままであり、したがって、互いに異なる色相互間の鮮明な移行部を達成する必要性が存在したままである。
【0005】
独国特許出願公開第1006282号明細書は、欧州特許第0804327号明細書に開示された方法の改良手段を提供している。この独国特許出願公開明細書に開示された方法では、表面材層を形成するのに、第1の塗料層を成形面の第1の部分に吹き付け、第2の塗料層を成形面の第2の部分に吹き付けると共に部分的に第1の塗料層の裏側に吹き付け、ポリウレタン反応性混合物を両方の塗料層の裏側に注ぎ掛け、金型を閉じてポリウレタン反応性混合物が、閉鎖された金型内で硬化することができるようにする。第1の塗料層を引き付ける際、成形面の第2の部分は、マスクによって覆われる。マスクを用いて成形面の第2の部分を覆い、それにより、第1の塗料層の縁部を構成する事実にもかかわらず、独国特許出願公開第10062825号明細書は、2つの色相互間に明確で且つ鮮明な分割線を達成することが困難であることを開示している。したがって、独国特許出願公開第10062825号明細書は又、直立隆起部の頂部上に2つの色相互間の移行部を作ることを記載している。独国特許出願公開第10062825号明細書により提案された改良手段は、表面材層の目に見える側にこのようにして得られた溝の幅を減少させることである。これは、表面材層を第2の金型に移すことにより達成され、この場合、直立隆起部に代えて、薄い直立シートが用いられる。この第2の金型では、フォーム層を表面材層の裏側に被着成形する。この方法の欠点は、直接裏側発泡法の実施を可能にすることはなく、したがって、第2の高価な金型が、裏側発泡法を実施するのに常に必要であるということにある。
【0006】
多色装備品を製造するためにマスク技術を利用する別の方法が、米国特許出願公開第2004/0099988号明細書に開示されている。この方法では、第1の塗料層を成形面の第1の部分に吹き付け、第1の塗料層の吹き付けの際に磁気固定型マスクで覆われた成形面の第2の部分に第2の塗料層を吹き付ける。次に、第3の材料、通常はポリウレタン材料を第1及び第2の塗料層上に被着させ、通常は吹き付けて支持層を形成する。この公知の方法では、2つの色相互間の移行部も又、直立隆起部の頂部上に作られて色の移行を見えないように隠す。
【0007】
上述した先行技術の方法の欠点は、マスクの使用に起因して、互いに異なる色相互間の移行又は分割線のところに欠陥が生じ、即ち、第1の層構成材料のうちの何割かが、マスクの取り外しの際に第2の成形面部分に至り、これは、いわゆる橋渡し問題であり、又は、かかる橋渡しが成形面とマスクの縁との間の距離を維持することにより回避された場合でも、第1の層構成材料のうちの何割かが、マスクの縁の下に至り、それにより互いに異なる色相互間の散乱状態の移行ゾーンを生じさせるということにある。直立隆起部を成形面に設けてこれら色移行ゾーンを見えないように隠す場合、設計上の可能性について重要な制限が伴う。さらに、直立隆起部を用いることによっては、一様な色の移行が可能ではない。先行技術の方法の別の欠点は、使用されるマスクの技術が、重要であり且つ複雑であるということにある。色移行線をできるだけ良好に得るためには、マスクの幾何学的形状は、成形面の三次元形状、特に、直立隆起部の幾何学的形状に正確に合ったものにされなければならない。両方の幾何学的形状のばらつきは、不正確な色の移行に反映されることになる。
【0008】
装備品の表面材層をマスクを使用しないで形成する方法が、米国特許第5,328,349号明細書に開示されている。この公知の方法では、多色スラッシスキンを粉末スラッシ法により作る。この米国特許明細書によれば、多色スラッシスキンを作るためにマスキング法を用いることができるが、実際には、分離シームが目には乱雑に見えることが判明している。開示された方法では、したがって、まず最初に成形面全体を第1の熱可塑性材料で被覆し、作ったスラッシスキンの一部を切り出し、そして成形面から取り出し、第2の熱可塑性材料を自由成形面及び第1の熱可塑性材料の裏側に成形被着させる。かかる方法の重要な欠点は、これは熱可塑性材料にしか利用できないということにある。さらに、この方法は、極めて複雑なプロセスであり、開示された方法では、実際の色の移行は、直立縁部の頂部上に依然として作られなければならない。
【0009】
熱可塑性材料にしか利用できない他の方法が、日本国特開昭59−142112号公報及び米国特許第5,073,325号明細書に開示されている。これら公知の方法では、まず最初に、成形面に凹んだ状態で設けたパターンを熱可塑性材料で充填する。次のステップにおいて、成形面全体を第2の熱可塑性材料で被覆してこの第2の熱可塑性材料の前側が、第1の熱可塑性材料により形成された装飾的特徴を備えるようにする。これら方法の欠点も又、第1の熱可塑性材料が成形面に凹んだ状態で設けられたパターン内に常時塗布されなければならず、更に、第1の材料を凹みパターン内に塗布した後、凹みパターンからはみ出した過剰の材料を除去しなければならないということにある。これら公知の方法の別の欠点は、第2の熱可塑性材料が常時、装飾的特徴の両側上に延びるということにより設計上の可能性が制限されるということにある。かくして、例えば、互いに異なる色の2つの主要な表面領域から成る表面材層を形成することは可能ではない。
【0010】
そこで、本発明の目的は、溝内における実際の色の移行を隠し、又は任意他の仕方で見えないように隠す必要なく、しかも、第2の層構成材料を成形面に被着させる前に第1の層構成材料の一部分を切り除く必要なく、互いに異なる色相互間の質的移行を得ることができるようにする新規な方法を提供することにある。
【0011】
【特許文献1】欧州特許第0804327号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10062825号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0099988号明細書
【特許文献4】米国特許第5,328,349号明細書
【特許文献5】日本国特開昭59−142112号公報
【特許文献6】米国特許第5,073,325号明細書
【発明の開示】
【0012】
本発明の方法は、第1の層構成材料を成形面の第1の部分に塗布するとき、第2の層構成材料の層の下の成形面上に位置する第1の層構成材料の縁部の少なくとも一部をマスクの介在無しに形成する。さらに、硬化可能であり、第1の色と実質的に同一の第3の色を有する第3の層構成材料の層を、成形面の第1の部分により成形面の第2の部分から少なくとも局所的に分離された成形面の第3の部分に被着させ、第3の層構成材料の層が硬化して、表面材層の第1の表面部分により表面材層の第2の表面部分から少なくとも局所的に分離された表面材層の第3の表面部分を形成する第3の層を形成し、第3の層構成材料の層を、第1の層構成材料の層を成形面に被着させる前(この場合、第1の層構成材料を少なくとも部分的に第3の層構成材料の層の裏側に少なくとも部分的に被着させる)か、第1の層構成材料の層を成形面に被着させた後(この場合、第3の層構成材料を第1の層構成材料の層の裏側に少なくとも部分的に被着させる)かのいずれかに成形面に被着させる。
【0013】
成形面の第2の部分がこの材料を成形面の第1の部分に塗布する際に第1の層構成材料が無い状態のままにする先行技術の方法では、成形面の第2の部分を遮蔽し、第1の層の縁部を構成するためのマスクの使用が常に行われる。
【0014】
本発明の第1の特徴では、第1の色は、第3の色と実質的に同じである。このようにすると、第1の表面部分と第3の表面部分との間の目に見える差はない。この実施形態の利点は、第1の層構成材料の極めて幅の広いストリップを被着させる必要があるに過ぎず、これは、極めて正確に実施でき、特に、第1の層構成材料を塗布する際、マスクの介在無しに目で見て鮮明な縁部を得ることができるということにある。2つの色相互間の所要の目で見て鮮明な縁部は、第1の層構成材料によって既に得られるので、第3の層構成材料を広い表面上に容易に被着させることができる(例えば、吹き付けにより)。
【0015】
本発明の第2の特徴では、先行技術の方法の欠点は、第1の層構成材料を特許請求の範囲に記載された目で見て鮮明な縁部がこの縁部を構成するためのマスクを用いないで、形成するような仕方で成形面上に塗布することにより無くすことができるということが判明した。目で見て鮮明な縁部という表現は、通常の昼間に約30cmの距離を置いたところから縁部を見たときに、縁部が、鮮明であり、即ち、両方の色相互間に緩やかな移行が無い状態に見えるということを意味している。当業者であれば、かかる目で見て鮮明な縁部をマスクを用いないで達成できるという種々の方法を知っている。第1の層構成材料を、例えば、ブラシ掛け、塗装、ロール掛け、書き込み(ペンのような器具を用いて)又は印刷(例えば、フレキソ印刷又はイングジェット記録)により、或いは実際には、これが成形面から十分に短い距離のところから(且つ十分に低い圧力又は流量で)行われる場合、吹き付け又は注ぎ掛けにより塗布できる。
【0016】
本発明の方法の好ましい実施形態では、第1の層構成材料は、平均厚さが好ましくは300μm以下、より好ましくは100μm以下の層の状態で塗布される水又は溶剤を主成分とする塗料である。
【0017】
この実施形態の利点は、かかる塗料の粘度が比較的低く、通常、粘度が1000mPa.s(25℃)なので、かかる塗料を目で見て鮮明な縁部により境界付けられる所望のパターンに従って容易に成形面に塗布できるということにある。
【0018】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明の方法の幾つかの特定の実施形態についての以下の説明から明らかになろう。本明細書で用いられる参照符号は、添付の図面に関連している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の方法では、車両の構造体に取り付けられるよう構成された多層装備品2の少なくとも表面材層1を作製する。装備品2は、特に、内部装備品、例えばダッシュボード、ドアパネル、コンソール、グローブコンパートメントの蓋等である。表面材層1に加えて、装備品2は、剛性基材3を有する。この基材3を作製した表面材層1の裏側に糊付けするのが良い。しかしながら、図3に示されているように、装備品2は、通常、表面材層1を剛性基材層3に連結し、いわゆるソフトなタッチをもたらす中間フォーム層4を有する。表面材層は、好ましくは、可撓性又は半可撓性である。
【0020】
本発明の方法により作ることができる多色表面材層1及び装備品2の好ましい実施形態が、図7及び図8に示されている。図示の表面材層1は、第1の色を有する第1の表面部分5、第2の色を有する第2の表面部分6及び第3の色を有する第3の表面部分7によって形成された前側を有している。第1の表面部分5は、少なくとも部分的に第2の表面部分6に当たって位置し、この第1の表面部分は、第2の表面部分6の色とは異なる色を有している。第1の表面部分と第2の表面部分との間の色の移行部を構成する第1の表面部分5の縁部の少なくとも一部は、色の移行部が、素敵な又は小綺麗に見え、幅の狭い溝の中で見えないように隠す必要のないように目で見て鮮明である。第3の表面部分7は、第1の表面部分5により第2の表面部分6から少なくとも局所的に分離され、又は、換言すると、第1の表面部分5は、少なくとも一部が第2の表面部分と第3の表面部分との間に位置している。第3の表面部分7は、第1の表面部分5の色とは異なる色を有するのが良く、例えば、この第3の表面部分は、第2の表面部分6と同一の色を有するのが良い。この場合、第1の表面部分5は、好ましくは、第1の表面部分と第3の表面部分との間に目で見て鮮明な移行部を形成する別の縁部を有する。しかしながら、好ましい実施形態では、第3の表面部分7は、第1の表面部分5と同一の色を有し、したがって、第1の表面部分と第3の表面部分との間の移行部には鮮明な縁部が不要であるようになっている。
【0021】
かかる多色装備品2を製造する本発明の方法の好ましい実施形態が、図1〜図6に示されている。この方法では、第1の金型区分8及び第2の金型区分9を有する金型が用いられる。第1の金型部分8は、表面材層1を作製するようになっており、これに対し、第2の金型区分9は、金型を閉鎖して金型キャビティを形成することができ、この金型キャビティ内で、フォーム支持層4を表面材層1の裏側に当てて作製することができる。第1の金型区分8は、成形面10を有し、この成形面10は、表面材層1の第1の表面部分5を形成するよう配置された第1の部分11、表面材層1の第2の表面部分6を形成するよう配置された第2の部分12及び表面材層1の第3の表面部分7を形成するよう配置された第3の部分13を有している。
【0022】
図1に示す第1のステップでは、硬化可能であり、第1の色を有する第1の層構成材料14の層を金型内被膜として成形面10の第1の部分11に被着させる。この第1の部分11は、成形面10の直立隆起部15の頂部に配置される。第1の層構成材料14を塗布した後、硬化可能であり、第1の色とは異なる第2の色を有する第2の層構成材料16の層を成形面の第2の部分12に被着すると共に第1の層構成材料14の裏側に部分的に被着させる(図3参照)。第2の層構成材料16を塗布する前に、第1の層構成材料14の層及び好ましくは更に成形面の第3の部分13を好ましくはマスク17(図2参照)によって少なくとも部分的に遮蔽し、第2の層構成材料16を或る距離を置いたところから成形面に吹き付けることができるようにする。次のステップでは、マスク17を取り外し、第3の層構成材料18の層を成形面の第3の部分13に被着させると共に第1の層構成材料14の裏側に少なくとも部分的に被着させる。図4に示す実施例では、第3の層構成材料18も又、第2の層構成材料16の裏側に部分的に塗布する。かくして、マスクを用いる必要なく、第3の層構成材料18を吹き付けることができる。層構成材料14,16,18の種々の層を被着させた後、これら層は各々、次の層の被着前又は被着後のいずれかにおいて硬化し、それにより表面材層1を形成する層21,22,23をそれぞれ生じさせる。
【0023】
表面材層1を作製した後、この表面材層を第1の金型区分8から取り出し、次に、これを別個の裏側発泡(backfoaming)用金型内に位置決めしていわゆる間接裏側発泡成形法(indirect backfoaming proces)により装備品2を製造するのが良い。しかしながら、図5及び図6には、直接裏側発泡成形法が示されており、この場合、表面材層1を第1の金型区分8の表面10に被着させたまま残し、剛性基材3を第2の金型区分9上に位置決めする。次に、発泡可能な配合物19を表面材層1の裏側に注ぎ掛け、金型を閉じ、発泡可能な配合物19は、発泡して表面材層1と剛性基材3との間の空間を満たすようになる。フォームの硬化後、金型を開くことができ、そして装備品2を金型から取り出すことができる。
【0024】
図1〜図4に示す方法では、第2の層構成材料16を第1の層構成材料14の塗布後に塗布し、第3の層構成材料18を第2の層構成材料16の塗布後に塗布する。しかしながら、第3の層構成材料18を、成形面への第2の層構成材料16の塗布前又はそれどころか成形面への第1の層構成材料14の塗布前かのいずれかで、成形面に塗布することも可能である。第3の層構成材料18を第2の層構成材料16の前に塗布する場合、第3の層構成材料18を金型面の第3の部分13に塗布するだけでなく、第1の層構成材料14の層の裏側にも部分的に塗布する。この場合、第3の層構成材料18の層を被着する際に、マスクを用いて第1の層構成材料14の層及び好ましくは更に成形面の第2の部分12を少なくとも部分的に遮蔽するのがよく、他方、第2の層構成材料16を塗布するためにはマスクはもはや不要である。第1の層構成材料14を成形面10に塗布する前に第3の層構成材料18を成形面10に塗布する場合、第3の層構成材料18の層を成形面に被着する際のマスクによって成形面の第1の部分11を好ましくは少なくとも部分的に遮蔽する。また、成形面の第1の部分11の幅に応じて、成形面の第2の部分12をそのマスクによって好ましくは少なくとも部分的に遮蔽する。この場合も又、第2の層構成材料16を塗布するのにマスクはもはや不要である。というのは、この第2の層構成材料は又、第3の層構成材料18の層の裏側に吹き付け可能だからである。
【0025】
本発明の方法の本質的な特徴は、第2の層構成材料16が、成形面に塗布されるだけでなく、第1の層構成材料14の裏側にも少なくとも部分的に塗布され、その結果、第1の層構成材料14の層が、第2の層構成材料16の層の下に(成形面上に)位置し、完成状態の表面材層の目に見える側(前側)に第1の色と第2の色との間の移行部を形成する縁部20を有するようになるということにある。本発明によれば、この目に見える縁部20の少なくとも一部は、第1の層構成材料14を成形面10の第1の部分11に塗布する際にマスクの介在無しに形成される。第1の層構成材料14は、特に、目に見える縁部20のこの部分が目で見て鮮明であるような仕方で塗布される。目で見て鮮明な目に見える縁部の部分は、長さが少なくとも5cmであり、或いは、縁部が5cmよりも短い場合、好ましくは、縁部全体が、目で見て鮮明であるべきである。マスクを用いないで縁部の目で見て鮮明な部分が作られるべきであるにもかかわらず、縁部の別の部分をマスクによって作ることができ、或いは、マスクを用いて成形面10の第2の部分12及び(又は)第3の部分13を被覆することができ、したがって、成形面のこれら部分に滴又は汚れが到達することができないようにするのが良い。この場合、このマスクの縁部は、成形面の第1の部分11から或る程度の距離を置いたところに位置する。
【0026】
目で見て鮮明な縁部という表現は、縁部が鮮明であるか、2つの色相互間に移行ゾーンを有するかのいずれかであり、しかしながら、この移行ゾーンは、これを裸眼で通常の昼間で且つ30cmの距離を置いたところから見たとき、縁部が鮮明であるように見えるほど狭いものであることを意味している。図9は、白色の第2の層22の前に位置し、目で見て鮮明ではない灰色の第1の層21の縁部20を極めて概略的に示している。縁部20は、第1の層構成材料14を成形面に吹き付けることにより得られ、成形面の第2の部分は、欧州特許第0804327号明細書に記載されているように、成形面から或る距離を置いたところに維持されるマスクによって遮蔽される。実際には、最善の場合、色の移行ゾーンは、少なくとも1100〜1200μmの幅を有することが判明した。
【0027】
しかしながら、本発明の方法では、第1の層構成材料14を好ましくは、縁部20がマスクを用いないで作られ、目で見て鮮明であるような仕方で塗布される。好ましくは、第1の層構成材料を実質的に色移行ゾーンが存在しないか、移行ゾーンが500μm以下、より好ましくは300μm以下、最も好ましくは150μm以下の幅を有するような仕方で成形面に塗布される。色移行ゾーンの幅を求めることができる又はかかる色移行ゾーンが存在していないことを判定できる方法が、図9に示されている。
【0028】
まず最初に、第1の表面部分5の輪郭を辿る線L0を引く必要がある。第1の表面部分5と第2の表面部分6との間に色移行ゾーンが或る場合、この輪郭線L0は、移行ゾーンの実質的に真ん中に引かれるべきである。図9では、輪郭線L0は、直線であるが、当然のことながら、湾曲した輪郭線も又可能である。輪郭線L0を引いた後、輪郭線L0に平行に且つこの輪郭線から第2の表面部分6に向かって50μmの増分で距離を置くたびに線L1〜Lnを引く。線Lnと次の線Ln+1(50μmの距離を置いたところで線Lnに平行に引く)との間に定められる表面の2%未満が、第1の表面部分5の色を有する場合、最後の線Lnは、第2の表面部分6の側のところに移行ゾーンの境界部を形成する。第1の表面部分5の方向において、同じことを行い、即ち、線L′1〜L′mを、線L′mと次の線L′m+1(50μmの距離を置いたところで線Lmに平行に引く)との間に定められる表面の2%未満が、第2の表面部分6の色を有するまで第1の表面部分5に向かって50μmの増分の距離を置いたところに引く。図9に示す実施形態では、全部で22本の線L,L′が、色移行ゾーンの幅が1.1mmであるように引かれなければならなかった。かかる広い移行ゾーンは、裸眼で明確に見ることができ、したがって、縁部は、目で見て鮮明ではないようになっている。
【0029】
マスクを用いないで目で見て鮮明な縁部を達成するため、第1の層構成材料14を種々の仕方で成形面に塗布するのが良く、即ち、互いに異なるアプリケータ装置を用いるのが良い。まず最初に、第1の層構成材料14を種々の技術、例えばブラシ掛け、かき取り、ロール掛け、注ぎ掛け(注ぎノズルが成形面上に引き寄せられる)、タンポンプリント、フレキソ印刷等により成形面に塗布するのが良い。また、第1の層構成材料14を比較的短い距離のところから特に20mm以下、好ましくは10mm以下の距離のところから成形面に塗布しても良い。これは、かかる材料を目で見て鮮明な縁部が形成されるような僅かな距離のところから且つ圧力及び流量で成形面に吹き付けることによって実施できる。また、第1の層構成材料を成形面に注ぎ掛け又は違ったやり方で投与してこれが成形面上を全体にわたって流れるようにしても良い。当業者であれば、かかる目で見て鮮明な縁部をマスクを用いないで達成できるという種々の方法を知っている。第1の層構成材料を、例えば、ブラシ掛け、塗装、ロール掛け、書き込み(ペンのような器具を用いて)又は印刷(例えば、フレキソ印刷又はイングジェット記録)により、或いは実際には、これが成形面から十分に短い距離のところから(且つ十分に低い圧力又は流量で)行われる場合、吹き付け又は注ぎ掛けにより塗布できる。
【0030】
第1の層構成材料14は、好ましくは比較的低い粘度、特に、1000mPa.s以下、好ましくは500mPa.s(25℃において)以下の粘度を有し、したがって、この第1の層構成材料を容易に成形面上に塗布することができるようになる。図示のように、第1の層構成材料は、平均厚さが好ましくは300μm以下、より好ましくは100μm以下の層の状態で塗布される水又は溶剤を主成分とする塗料であることが好ましい。
【0031】
上述したように、かかる塗料を成形面に塗布するのに種々の技術又はアプリケータ装置を用いることができる。図1は、塗料アプリケータ装置において用いられると考えられるノズル25の概略断面図であり、図10は、このノズル25の斜視図である。ノズル25は、管27に螺着されたノズルチップ26を有している。ノズルチップ26は、中央チャネル28を有し、塗料は、この中央チャネルを通って制御された流量で小出しされる。図1及び図10に示す実施形態では、ノズルチップ26は、V字形の溝29を有している。塗料を成形面に塗布するため、ノズルを隆起部15上に位置決めして隆起部の頂部が、溝29内に延び、自由空間が隆起部の頂部と溝の底部との間に残るようにする。ノズルチップ26の中央チャネル28は、塗料がこの自由空間内に流れ込んで隆起部15の頂部に到達するよう溝29の底部で終端している。ノズルを隆起部に沿って動かして塗料の層を隆起部の頂部に被着させる。塗料の量は、隆起部に沿って動くノズルの速度及びノズルを通る塗料の流量を調節することにより制御される。塗料の量は、隆起部の頂部上を全体にわたって流れるが、流れ去ることがないような仕方で制御される。このようにすると、目で見て鮮明な縁部が得られる。
【0032】
V字形の溝に代えて、とりわけ隆起部の頂部の形状に応じて他の形状の溝を設けることができる。溝の寸法形状は又、塗料を隆起部に塗布しないで実質的に平らな成形面に塗布することができるよう合わせることができる。上述したように、溝を実際の色の移行が見えないように隠された表面材層又は装備品に設けるのにもはや隆起部は不要である。
【0033】
第2の層構成材料16は、第1の層構成材料14と同種の材料であっても良いが、これとは異なる色を有する。かくして、第2の層構成材料も又、好ましくは平均厚さが300μm以下、特に100μm以下の層の状態で塗布される水又は溶剤を主成分とする塗料であるのが良い。装備品では、この金型内塗料層に十分に密度の高いフォーム層を塗料層の裏側に被着成形することにより所要の支持体を与えることができる。しかしながら、好ましい実施形態では、少なくとも1つのエラストマー表皮層を塗料層の裏側に被着させて塗料層と一緒になって表面材層を形成する。このエラストマー表皮層は、特に、平均厚さが0.4mm以上、好ましくは0.6mm以上であるが、8mm以下、好ましくは6mm以下、より好ましくは4mm以下である(平均厚さは、表皮層の体積をその表面積で除算することにより求められる)。
【0034】
最初に金型内被覆層、即ち塗料層を被着させないで、図示のように、硬化可能な表皮材料、特に硬化可能なポリウレタン表皮材料を第2の層構成材料16として成形面10に直接塗布し、硬化後、非気泡性又は微孔性エラストマー表皮層を形成することも可能である。この表皮材料は、塗料層によって被覆されないので、好ましくは色の安定性があるはずである。成形面に吹き付けることができる適当なポリウレタン配合物が、欧州特許第0379246号明細書に開示されている。これら配合物を例えば欧州特許第0303305号明細書及び欧州特許第0389014号明細書に記載されている技術により吹き付けることができる。他方、これら配合物を成形面に注ぎ掛けることによりこれら配合物を塗布することも可能である。ポリウレタン配合物も又、反応射出成形法(RIM)に従って成形できる。適当なRIM用配合物は、欧州特許第0929586号明細書に開示されている。これらRIM配合物は、例えば、国際公開第02/11974号パンフレットに開示されているようなRIM法により成形できる。しかしながら、第2の層構成材料の層は、好ましくは、硬化性の液体であるこの材料に成形面に吹き付け又は注ぎ掛けることにより被着される。
【0035】
成形面に直接塗布され又は金型内被膜に塗布される表皮材料も又、熱可塑性材料であるのが良い。この熱可塑性材料の層を通常の成形法、例えば粉末又は液体スラッシ成形法により被着させて熱可塑性材料、例えばPVCの可撓性成形シート又はパネルを作ることができる。これら方法では、熱可塑性材料は、特に少なくともゲルが得られるまで少なくとも部分的に溶かされ、そして、硬化するようにしてこれが先の被着された層にくっつくようにする。
【0036】
第3の層構成材料18を塗布するため、第2の層構成材料16について上述したのと同じ材料及び同じ塗布方法を用いるのが良い。第3の層構成材料18は、好ましくは、第2の層構成材料16と同じ性状のものであり、例えば、硬化可能なポリウレタン配合物であるが、これらはこれとは異なる性状のものであっても良い。さらに、両方の材料を別の方法で塗布することができる。
【0037】
特に第3の層構成材料が第1の層構成材料と実質的に同一の色を有する場合、第3の層構成材料の層の縁部は、目で見て鮮明である必要はなく、これに対し、第1の層構成材料の縁部は、好ましくは目で見て鮮明である。この場合、第1の層構成材料は、好ましくは、マスクの介在無しに目で見て鮮明な縁部を達成することができるアプリケータ装置によって塗布され、これに対し、第3の層構成材料は、好ましくは、別のアプリケータ装置、特に第3の層構成材料を広い表面領域全体にわたり容易に塗り広げることができるアプリケータ装置、特にスプレー装置によって塗布される。
【0038】
第3の層構成材料18を第1の層構成材料14の前に、この第1の層構成材料14の後であるが第2の層構成材料16の前に、或いは、第2の層構成材料16の後に塗布するのが良い。図示の好ましい実施形態では、第3の層構成材料18は、成形面の第3の部分13に塗布されるだけでなく第1の層構成材料14の層の裏側にも塗布される硬化可能な表皮材料であり、その結果、これがこの塗料層のための支持層を構成するようになっている。一般的に言えば、第1の層構成材料をまず最初に、即ち、第2及び第3の層構成材料の前に成形面に塗布することが好ましい。というのは、他の材料のどれによってもまだ被覆されていない成形面に目で見て鮮明な縁部を達成することができる技術によってこの第1の層構成材料を塗布することが容易だからである。
【0039】
第2の層構成材料と第3の層構成材料の両方が水又は溶剤を主成分とする塗料である場合且つ微孔性又は非気泡性の表皮層が両方の塗料層に被着される場合、塗料層を好ましくはまず最初に成形面に被着し、表皮層を一ステップで塗料層の全て(これ又塗料層であるのが良い第1の層構成材料を含む)に塗布することができるようにする。
【0040】
任意の塗料及び(又は)エラストマー表皮層により形成された表面材層は、好ましくは、可撓性又は半可撓性である。この表面材層は、特に、表面厚さが0.4mm以上、好ましくは0.6mm以上であるが、8mm以下、好ましくは6mm以下、より好ましくは4mm以下である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の多層装備品の表面材層を製造する方法を概略的に示す図である。
【図2】本発明の多層装備品の表面材層を製造する方法を概略的に示す図である。
【図3】本発明の多層装備品の表面材層を製造する方法を概略的に示す図である。
【図4】本発明の多層装備品の表面材層を製造する方法を概略的に示す図である。
【図5】図1〜図4に示す方法により作られた表面材層を有する多層装備品を製造する別のステップを概略的に示す図である。
【図6】図1〜図4に示す方法により作られた表面材層を有する多層装備品を製造する別のステップを概略的に示す図である。
【図7】図1〜図6に示された本発明により製造された装備品の概略断面図である。
【図8】図1〜図4に示された方法により製造された装備品の表面材層の概略断面図である。
【図9】先行技術の方法により作成された表面材層上の2つの色相互間の移行部を肉眼的に概略的に示す図であり、表面材層の2つの表面部分が、欧州特許第0804327号明細書に記載されている吹き付け法により作られたことを示す図である。
【図10】図1に示すように第1の層構成材料を塗布するために図1〜図4に示す方法で用いられるノズルの概略斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層装備品(2)の少なくとも表面材層(1)を製造する方法であって、前記表面材層(1)は、第1の色を有する第1の表面部分(5)及び前記第1の表面部分(5)に少なくとも部分的に当接して位置し、前記第1の色とは異なる第2の色を有する第2の表面部分(6)によって少なくとも一部が形成された前側を有し、前記方法は、
−少なくとも1つの成形面(10)を備えた金型(8,9)を用意するステップを有し、前記成形面は、前記表面材層(1)の前記第1の表面部分(5)を形成するよう配置された第1の部分(11)及び前記成形面(10)の前記第1の部分(11)に少なくとも部分的に当接して位置し、前記表面材層(1)の前記第2の表面部分(6)を形成するよう配置された第2の部分(12)を有し、
−硬化可能であって前記第1の色を有する第1の層構成材料(14)の層を前記成形面(10)の前記第1の部分(11)に被着させる一方で、前記成形面の前記第2の部分(12)を、第2の層構成材料(16)の層を前記第2の部分(12)に自由に被着させることができるようにするステップを有し、
−硬化可能であり前記第2の色を有する前記第2の層構成材料(16)の前記層を前記成形面(10)の前記第2の部分(12)に被着させると共に前記第1の層構成材料(14)の前記層の裏側に少なくとも部分的に被着させるステップを有し、前記第1の層構成材料(14)の前記層は、前記第2の層構成材料(16)の前記層の下に位置し、
−前記第1の層構成材料(14)及び前記第2の層構成材料(16)の前記層が硬化して前記成形面(10)に第1の層(21)及び第2の層(22)をそれぞれ被着形成することができ、それにより前記表面材層(1)の前記第1の表面部分(5)及び前記第2の表面部分(6)をそれぞれ形成するステップを有し、
−形成した前記表面材層(1)を前記成形面(10)から取り出すステップを有する、方法において、
前記第1の層構成材料(14)を前記成形面(10)の前記第1の部分(11)に塗布するとき、縁部(20)の少なくとも一部をマスクの介在無しに形成し、
硬化可能であり、前記第1の色と実質的に同一の第3の色を有する第3の層構成材料(18)の層を、前記成形面の前記第1の部分(11)により前記成形面の前記第2の部分(12)から少なくとも局所的に分離された前記成形面(10)の第3の部分(13)に被着させ、前記第3の層構成材料(18)の前記層が硬化して、前記表面材層の前記第1の表面部分(5)により前記表面材層の前記第2の表面部分(6)から少なくとも局所的に分離された前記表面材層(1)の第3の表面部分(7)を形成する第3の層(23)を形成し、前記第3の層構成材料(18)の前記層を、前記第1の層構成材料(14)の前記層を前記成形面(10)に被着させる前(この場合、前記第1の層構成材料(14)を少なくとも部分的に前記第3の層構成材料(18)の前記層の裏側に少なくとも部分的に被着させる)か、前記第1の層構成材料(14)の前記層を前記成形面(10)に被着させた後(この場合、前記第3の層構成材料(18)を前記第1の層構成材料(14)の前記層の裏側に少なくとも部分的に被着させる)かのいずれかに前記成形面(10)に被着させる、方法。
【請求項2】
マスク無しに作られた前記縁部(20)の前記一部は、見た目に鮮明であり、前記部分が、第1の線(L12)と第2の線(L′10)との間に定められた移行ゾーンを備えておらず、前記第1の線(L12)は、前記第1の表面部分(5)の輪郭線(L0)に平行に、別の線が前記輪郭線(L0)から50μm離れたところで引かれ且つこの場合も又前記輪郭線に平行に引かれた場合、前記第1の線(L12)と前記別の線との間に定められた表面のうち2%未満が第1の色を有するような、前記輪郭線(L0)から前記第2の表面部分(6)に向かう距離のところで引かれ、前記距離は、50μmの倍数であり、前記第2の線(L′10)は、前記輪郭線(L0)に平行に、別の線が前記輪郭線(L0)から50μm離れたところで引かれ且つこの場合も又前記輪郭線に平行に引かれた場合、前記第2の線(L′10)と前記別の線との間に定められた表面のうち2%未満が第2の色を有するような、前記輪郭線(L0)から前記第1の表面部分(5)に向かう距離のところで引かれ、前記距離は、50μmの倍数であり、或いは、前記見た目に鮮明な縁部(20)が移行ゾーンを有する場合、前記移行ゾーンが、前記輪郭線(L0)に垂直に測定して、500μm以下、好ましくは300μm以下、より好ましくは150μm以下の幅を有するようになっている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
多層装備品(2)の少なくとも表面材層(1)を製造する方法であって、前記表面材層(1)は、第1の色を有する第1の表面部分(5)及び前記第1の表面部分(5)に少なくとも部分的に当接して位置し、前記第1の色とは異なる第2の色を有する第2の表面部分(6)によって少なくとも一部が形成された前側を有し、前記方法は、
−少なくとも1つの成形面(10)を備えた金型(8,9)を用意するステップを有し、前記成形面は、前記表面材層(1)の前記第1の表面部分(5)を形成するよう配置された第1の部分(11)及び前記成形面(10)の前記第1の部分(11)に少なくとも部分的に当接して位置し、前記表面材層(1)の前記第2の表面部分(6)を形成するよう配置された第2の部分(12)を有し、
−硬化可能であって前記第1の色を有する第1の層構成材料(14)の層を前記成形面(10)の前記第1の部分(11)に被着させる一方で、前記成形面の前記第2の部分(12)を、第2の層構成材料(16)の層を前記第2の部分(12)に自由に被着させることができるようにするステップを有し、
−硬化可能であり前記第2の色を有する前記第2の層構成材料(16)の前記層を前記成形面(10)の前記第2の部分(12)に被着させると共に前記第1の層構成材料(14)の前記層の裏側に少なくとも部分的に被着させるステップを有し、前記第1の層構成材料(14)の前記層は、前記第2の層構成材料(16)の前記層の下に位置し、
−前記第1の層構成材料(14)及び前記第2の層構成材料(16)の前記層が硬化して前記成形面(10)に第1の層(21)及び第2の層(22)をそれぞれ被着形成することができ、それにより前記表面材層(1)の前記第1の表面部分(5)及び前記第2の表面部分(6)をそれぞれ形成するステップを有し、
−形成した前記表面材層(1)を前記成形面(10)から取り出すステップを有する、方法において、
−前記第1の層構成材料(14)を前記成形面(10)の前記第1の部分(11)に塗布するとき、縁部(20)の少なくとも一部をマスクの介在無しに形成し、前記少なくとも一部は、マスク無しに作られた前記縁部(20)の前記一部は、見た目に鮮明であり、前記部分が、第1の線(L12)と第2の線(L′10)との間に定められた移行ゾーンを備えておらず、前記第1の線(L12)は、前記第1の表面部分(5)の輪郭線(L0)に平行に、別の線が前記輪郭線(L0)から50μm離れたところで引かれ且つこの場合も又前記輪郭線に平行に引かれた場合、前記第1の線(L12)と前記別の線との間に定められた表面のうち2%未満が第1の色を有するような、前記輪郭線(L0)から前記第2の表面部分(6)に向かう距離のところで引かれ、前記距離は、50μmの倍数であり、前記第2の線(L′10)は、前記輪郭線(L0)に平行に、別の線が前記輪郭線(L0)から50μm離れたところで引かれ且つこの場合も又前記輪郭線に平行に引かれた場合、前記第2の線(L′10)と前記別の線との間に定められた表面のうち2%未満が第2の色を有するような、前記輪郭線(L0)から前記第1の表面部分(5)に向かう距離のところで引かれ、前記距離は、50μmの倍数であり、或いは、前記見た目に鮮明な縁部(20)が移行ゾーンを有する場合、前記移行ゾーンが、前記輪郭線(L0)に垂直に測定して、500μm以下、好ましくは300μm以下、より好ましくは150μm以下の幅を有するようになっており、
硬化可能であり、前記第1の色と実質的に同一の第3の色を有する第3の層構成材料(18)の層を、前記成形面の前記第1の部分(11)により前記成形面の前記第2の部分(12)から少なくとも局所的に分離された前記成形面(10)の第3の部分(13)に被着させ、前記第3の層構成材料(18)の前記層が硬化して、前記表面材層の前記第1の表面部分(5)により前記表面材層の前記第2の表面部分(6)から少なくとも局所的に分離された前記表面材層(1)の第3の表面部分(7)を形成する第3の層(23)を形成し、前記第3の層構成材料(18)の前記層を、前記第1の層構成材料(14)の前記層を前記成形面(10)に被着させる前(この場合、前記第1の層構成材料(14)を少なくとも部分的に前記第3の層構成材料(18)の前記層の裏側に少なくとも部分的に被着させる)か、前記第1の層構成材料(14)の前記層を前記成形面(10)に被着させた後(この場合、前記第3の層構成材料(18)を前記第1の層構成材料(14)の前記層の裏側に少なくとも部分的に被着させる)かのいずれかに前記成形面(10)に被着させる、方法。
【請求項4】
前記第1の色は、前記第3の色と同一である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記第3の材料は、前記第1の材料を塗布するために用いられた前記装置とは異なるアプリケータ装置によって塗布される、請求項1〜4のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の層構成材料(14)の前記層は、前記第3の層構成材料(18)の前記層を前記成形面(10)に被着させる前に、前記成形面(10)に被着される、請求項1〜5のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項7】
前記第3の層構成材料(18)の前記層は、前記第2の層構成材料(16)の前記層を前記成形面(10)に被着させる前に、前記成形面(10)に被着されると共に更に前記第1の層構成材料(14)の裏側に少なくとも部分的に被着され、前記第1の層構成材料(14)の前記層は、前記第3の層構成材料の前記層を被着させるときに、マスクによって少なくとも部分的に遮蔽され、或いは、前記第2の層構成材料(16)の前記層は、前記第3の層構成材料(18)の前記層を前記成形面(10)に被着させる前に、前記成形面(10)に被着されると共に更に前記第1の層構成材料(14)の前記裏側に少なくとも部分的に被着され、前記第1の層構成材料(14)の前記層は、前記第2の層構成材料(16)の前記層を被着させるときにマスク(17)によって少なくとも部分的に遮蔽される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記第3の層構成材料(18)は、硬化可能な表皮材料(18)であり、特に、硬化可能なポリウレタン表皮材料であり、硬化後、エラストマー表皮層(23)を形成する、請求項1〜7のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項9】
前記硬化可能な表皮材料(18)は、前記成形面(10)に吹き付けられ又は注ぎ掛けられ、或いは、前記硬化可能な表皮材料は、前記成形面(10)によって部分的に形成された閉鎖金型キャビティ内に射出される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記第3の層構成材料(18)は、前記成形面(10)に当てて少なくとも部分的に溶融状態で成形される熱可塑性表皮材料である、請求項1〜7のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項11】
前記第3の層構成材料(18)は、水又は溶剤を主成分とする塗料であり、前記塗料は、好ましくは平均厚さが300μm以下、より好ましくは100μm以下の層をなして塗布される、請求項1〜7のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項12】
前記塗料層を前記成形面(10)に被着させた後、硬化可能な材料、特にポリウレタン材料の少なくとも1つの層及び(又は)熱可塑性材料の少なくとも1つの層を、もし用いられている場合には、前記塗料層の裏側に被着させ、前記硬化可能な材料は、好ましくは、前記塗料層の裏側に当てた状態で閉鎖金型キャビティ内に吹き付けられ又は注ぎ掛けられ、或いは射出され、もし用いられている場合、前記熱可塑性材料は、好ましくは、前記塗料層の裏側に当てた状態で少なくとも部分的に溶融状態で成形される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記第2の層構成材料(16)は、硬化可能な表皮材料(16)であり、特に、硬化可能なポリウレタン表皮材料であり、硬化後、エラストマー表皮層(22)を形成する、請求項1〜12のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項14】
前記硬化可能な表皮材料(16)は、前記成形面(10)に吹き付けられ又は注ぎ掛けられ、或いは、前記硬化可能な表皮材料は、前記成形面(10)によって部分的に形成された閉鎖金型キャビティ内に射出される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記第2の層構成材料(16)は、前記成形面(10)に当てて少なくとも部分的に溶融状態で成形される熱可塑性表皮材料である、請求項1〜12のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の層構成材料(16)は、水又は溶剤を主成分とする塗料であり、前記塗料は、好ましくは平均厚さが300μm以下、より好ましくは100μm以下の層をなして塗布される、請求項1〜12のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項17】
前記塗料層を前記成形面(10)に被着させた後、硬化可能な材料、特にポリウレタン材料の少なくとも1つの層及び(又は)熱可塑性材料の少なくとも1つの層を、もし用いられている場合には、前記塗料層の裏側に被着させ、前記硬化可能な材料は、好ましくは、前記塗料層の裏側に当てた状態で閉鎖金型キャビティ内に吹き付けられ又は注ぎ掛けられ、或いは射出され、もし用いられている場合、前記熱可塑性材料は、好ましくは、前記塗料層の裏側に当てた状態で少なくとも部分的に溶融状態で成形される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記第1の層構成材料(14)の前記層は、前記第1の層構成材料(14)を前記成形面に塗布し又は前記第1の層構成材料(14)を特に吹き付け又は注ぎ掛けにより20mm以下、好ましくは10mm以下の距離から前記成形面(10)に塗布することにより被着される、請求項1〜17のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の層構成材料(14)の前記層は、ブラシ掛け、塗装、ロール掛け、書き込み及び印刷から成る群から選択された塗布技術により被着される、請求項1〜18のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の層構成材料(14)は、水又は溶剤を主成分とする塗料(14)であり、前記塗料は、好ましくは平均厚さが300μm以下、より好ましくは100μm以下の層をなして塗布される、請求項1〜19のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項21】
前記表面材層(1)を形成した後、複合体が剛性基材(3)により作られ、前記剛性基材(3)は、特に、前記表面材層(1)の裏側に当てて形成されたフォーム支持層(4)の介在により前記表面材層(1)の裏側に固定される、請求項1〜20のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項22】
前記成形面(10)は、直立隆起部(15)を有し、前記成形面(10)の前記第1の部分(11)と前記第2の部分(12)は、前記直立隆起部上で互いに接触して前記第2の層構成材料(16)の前記層の下に位置する前記第1の層構成材料(14)の前記縁部(20)の少なくとも一部が、前記直立隆起部(15)上に位置する用になっている、請求項1〜21のうちいずれか一に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−540195(P2008−540195A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511688(P2008−511688)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【国際出願番号】PCT/EP2006/062327
【国際公開番号】WO2006/122928
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(507377780)レクティセル (4)
【Fターム(参考)】