説明

多層配線基板

【課題】種類の異なる複数の接続対象を確実に接続することができる多層配線基板を提供すること。
【解決手段】多層配線基板10は同じ樹脂絶縁材料を主体とした複数の樹脂絶縁層21〜24及び複数の導体層26を交互に積層して多層化した配線積層部30を有する。配線積層部30の上面31側には、接続対象がICチップであるICチップ接続端子41と接続対象がチップコンデンサであるコンデンサ接続端子42とが配置されている。配線積層部30の上面31にて露出する最外層の樹脂絶縁層24の表面を基準としたとき、コンデンサ接続端子42は基準面よりも高く、ICチップ接続端子41は基準面よりも低くなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同じ樹脂絶縁材料を主体とした複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有する一方でいわゆるコア基板を有しない多層配線基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータのマイクロプロセッサ等として使用される半導体集積回路素子(ICチップ)は、近年ますます高速化、高機能化しており、これに付随して端子数が増え、端子間ピッチも狭くなる傾向にある。一般的にICチップの底面には多数の端子が密集してアレイ状に配置されており、このような端子群はマザーボード側の端子群に対してフリップチップの形態で接続される。ただし、ICチップ側の端子群とマザーボード側の端子群とでは端子間ピッチに大きな差があることから、ICチップをマザーボード上に直接的に接続することは困難である。そのため、通常はICチップをICチップ搭載用配線基板上に搭載してなる半導体パッケージを作製し、その半導体パッケージをマザーボード上に搭載するという手法が採用される。
【0003】
この種のパッケージを構成するICチップ搭載用配線基板としては、コア基板の表面及び裏面にビルドアップ層を形成した多層配線基板が実用化されている。この多層配線基板においては、コア基板として、例えば、補強繊維に樹脂を含浸させた樹脂基板(ガラスエポキシ基板など)が用いられている。そして、そのコア基板の剛性を利用して、コア基板の表面及び裏面に樹脂絶縁層と導体層とを交互に積層することにより、ビルドアップ層が形成されている。つまり、この多層配線基板において、コア基板は、補強の役割を果たしており、ビルドアップ層と比べて非常に厚く形成されている。また、コア基板には、表面及び裏面に形成されたビルドアップ層間の導通を図るための配線(具体的には、スルーホール導体など)が貫通形成されている。
【0004】
ところで近年では、半導体集積回路素子の高速化に伴い、使用される信号周波数が高周波帯域となってきている。この場合、コア基板を貫通する配線が大きなインダクタンスとして寄与し、高周波信号の伝送ロスや回路誤動作の発生につながり、高速化の妨げとなってしまう。この問題を解決するために、多層配線基板を、コア基板を有さない基板とすることが提案されている(例えば特許文献1参照)。この多層配線基板は、比較的に厚いコア基板を省略することにより全体の配線長を短くしたものであるため、高周波信号の伝送ロスが低減され、半導体集積回路素子を高速で動作させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−117703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1では、ICチップの搭載面において、ICチップの接続端子に加え、チップコンデンサなどの電子部品の接続端子が形成された多層配線基板が提案されている。つまり、多層配線基板におけるICチップの搭載面には、接続対象の異なる複数種類の接続端子が形成されている。そして、それら複数種類の接続端子の表面は、ICチップの搭載面側の最外層となる絶縁樹脂層の表面と面一となるように形成されている。このように、最外層の絶縁樹脂層の表面と同じ高さで各接続端子が形成されていると、複数種類の部品接続が困難となる場合がある。具体的には、例えばICチップの接続端子に、微細なはんだボールを用いてはんだバンプを形成する場合、ICチップの接続端子の表面と絶縁樹脂層の表面とが面一となっていると、端子上にはんだボールを配置することが困難となる。また、電子部品の接続端子にチップコンデンサなどをはんだ接続する場合、端子上面のみにしかはんだフィレットを形成することができないため、接続強度が不足してしまうことがある。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、種類の異なる複数の接続対象を確実に接続することができる多層配線基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして上記課題を解決するための手段としては、同じ樹脂絶縁材料を主体とした複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有し、前記積層構造体の第1主面側には複数の第1主面側接続端子が配置され、前記積層構造体の第2主面側には複数の第2主面側接続端子が配置され、前記複数の導体層は、前記複数の樹脂絶縁層に形成され、前記第1主面側または前記第2主面側のいずれかに向うに従って拡径したビア導体により互いに接続されている多層配線基板であって、前記第1主面側には、接続対象の異なる少なくとも2種類の第1主面側接続端子が存在するとともに、前記第1主面側接続端子の上面の高さが、前記接続対象の種類ごとに異なっていることを特徴とする多層配線基板がある。
【0009】
従って、上記手段に記載の発明によると、同じ樹脂絶縁材料を主体とした複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層が交互に積層され、コア基板を含まないコアレス配線基板として多層配線基板が形成されている。そして、この多層配線基板において、第1主面側に形成される複数の第1主面側接続端子は、接続対象の種類ごとに上面の高さが異なるので、それら種類に応じて各第1主面側接続端子に接続対象を確実に接続することができる。
【0010】
積層構造体の第1主面側には、接続対象がICチップであるICチップ接続端子及び接続対象が受動部品でありICチップ接続端子よりも面積の大きい受動部品接続端子の2種類が、複数の第1主面側接続端子として存在するとともに、第1主面側の最外層にて露出する樹脂絶縁層の表面を基準面としたとき、受動部品接続端子の上面の高さが基準面よりも高く、ICチップ接続端子の上面の高さが基準面と同じまたはそれよりも低くなっていることが好ましい。この場合、受動部品接続端子の上面の高さが基準面よりも高くなっているので、受動部品を接続するためのはんだフィレットを受動部品接続端子上に確実に形成することができる。また、ICチップ接続端子の上面の高さが基準面と同じまたはそれよりも低くなっているので、ICチップをフリップチップ接続するためのはんだバンプをICチップ接続端子上に確実に形成することができる。
【0011】
積層構造体の第1主面側の最外層にて露出する樹脂絶縁層には開口部が形成されるとともに、開口部内には、上面の高さが基準面よりも低くなるような状態でICチップ接続端子が形成されていることが好ましい。このようにすると、ICチップ接続端子がある箇所が凹状となるため、ICチップ接続端子上の開口部内にて比較的微細なはんだボールを容易に位置決めすることができる。ゆえに、ICチップ接続端子上におけるはんだバンプの形成を確実に行うことができる。
【0012】
開口部の内面は粗化面であり、ICチップ接続端子は銅層を主体として構成され、銅層は前記粗化面に追従するようにして前記開口部内に充填されていることが好ましい。このようにICチップ接続端子を形成すると、ICチップ接続端子と樹脂絶縁層との密着性を高めることができる。この結果、ICチップ接続端子の剥離等を確実に防止することができ、多層配線基板の信頼性を高めることができる。
【0013】
積層構造体の第1主面側には、接続対象がICチップであるICチップ接続端子及び接続対象が受動部品でありICチップ接続端子よりも面積の大きい受動部品接続端子の2種類が、複数の第1主面側接続端子として存在するとともに、受動部品接続端子は、主体をなす銅層の上面及び側面を銅以外のめっき層で覆った構造を有し、ICチップ接続端子は、主体をなす銅層の上面のみを銅以外のめっき層で覆った構造を有していることが好ましい。このようにすると、受動部品接続端子の上面及び側面に比較的大きなはんだフィレットを確実に形成することができる。また、ICチップ接続端子の上面にはんだバンプを確実に形成することができる。ここで、受動部品接続端子の端子間隔はICチップ接続端子の端子間隔よりも広く、また受動部品接続端子はサイズが比較的大きいため、受動部品接続端子の上面及び側面に形成されたはんだフィレットによって受動部品を十分な強度で確実にはんだ接続することができる。一方、ICチップ接続端子の端子間隔は狭いため、ICチップ接続端子の側面にはんだバンプが膨らむと、端子間のショートが問題となる。これに対して、本発明では、ICチップ接続端子の上面のみにはんだバンプが形成されるため、はんだバンプが横方向に膨らむことがなく、端子間のショートを回避できる。
【0014】
受動部品接続端子は、上面よりも下面のほうが大きい断面台形状をなしていることが好ましい。受動部品接続端子は、下面が最外層の樹脂絶縁層と接触する。このため、受動部品接続端子を断面台形状とすれば、その下面と樹脂絶縁層との接触面積が大きくなり、受動部品接続端子の強度を十分に確保することができる。
【0015】
また、相対的に面積の大きい第1主面側接続端子の上面の高さが、相対的に面積の小さい第1主面側接続端子の上面の高さよりも高くなっていることが好ましい。このようにすると、接続面積が大きい部品と接続面積が小さい部品とを高さの異なる第1主面側接続端子の上面に確実に接続することができる。
【0016】
複数の樹脂絶縁層に形成されたビア導体は、いずれも第2主面側から第1主面側に向うに従って拡径した形状を有していてもよい。また逆に、複数の樹脂絶縁層に形成されたビア導体は、いずれも第1主面側から第2主面側に向うに従って拡径した形状を有していてもよい。このようにすると、コア基板を有さないコアレス配線基板を確実に製造することができる。
【0017】
複数の樹脂絶縁層は、光硬化性を付与していない樹脂絶縁材料、例えば熱硬化性の樹脂絶縁材料の硬化物を主体とした同じビルドアップ材を用いて形成されたものであることが好ましい。この場合、各接続端子が形成される最外層の樹脂絶縁層は、内層の樹脂絶縁層と同じ絶縁性に優れたビルドアップ材で形成されるため、各接続端子の間隔を狭くすることができ、多層配線基板の高集積化が可能となる。
【0018】
積層構造体の第2主面上には、光硬化性を付与した樹脂絶縁材料の硬化物を主体としたソルダーレジストが設けられていてもよい。このようにすれば、第2主面をソルダーレジストで保護することができ、搬送時等において第2主面側接続端子が傷つくことを防止することができる。なお、ソルダーレジストの形成材料としては、剛性の低い材料やヤング率の低い材料を用いることが好ましい。このようにすると、樹脂絶縁層とソルダーレジストとの熱膨張係数差に応じて生じる多層配線基板の反りを抑えることができる。
【0019】
積層構造体の第1主面上においてICチップを搭載する領域の周囲には、光硬化性を付与した樹脂絶縁材料の硬化物を主体としたソルダーレジストが設けられていてもよい。このようにすると、ICチップの搭載領域とその外周側の領域とで段差ができるので、ICチップの搭載領域に充填されるフラックスやアンダーフィルがその搭載領域外にはみ出てしまうといった問題を回避することができる。
【0020】
積層構造体の第2主面側には、接続対象が母基板でありICチップ接続端子及び受動部品接続端子よりも面積の大きい母基板接続端子が、複数の第2主面側接続端子として存在するとともに、第2主面側の最外層にて露出する樹脂絶縁層の表面を基準面としたとき、母基板接続端子の上面の高さが基準面よりも高くなっていてもよい。このようにすると、母基板接続端子を母基板に確実に接続することができる。
【0021】
母基板接続端子は、樹脂絶縁層と接触する上面のほうがその反対側の下面よりも大きい断面台形状をなしていることが好ましい。このようにすると、母基板接続端子の上面と樹脂絶縁層との接触面積が大きくなり、母基板接続端子の強度を十分に確保することができる。
【0022】
積層構造体の第2主面側には、接続対象が母基板である母基板接続端子が存在するとともに、接続対象がICチップであるICチップ接続端子または接続対象が受動部品である受動部品接続端子が存在していてもよい。このようにすると、母基板が接続される第2主面側にICチップまたは受動部品接続端子を搭載することができ、多層配線基板の高集積化を図ることができる。
【0023】
積層構造体の樹脂絶縁層は、絶縁性、耐熱性、耐湿性等を考慮して適宜選択することができる。樹脂絶縁層を形成するための高分子材料の好適例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂等が挙げられる。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料、あるいは、連続多孔質PTFE等の三次元網目状フッ素系樹脂基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料等を使用してもよい。
【0024】
積層構造体の導体層、及び接続端子は、主として銅からなり、サブトラクティブ法、セミアディティブ法、フルアディティブ法などといった公知の手法によって形成される。具体的に言うと、例えば、銅箔のエッチング、無電解銅めっきあるいは電解銅めっきなどの手法が適用される。なお、スパッタやCVD等の手法により薄膜を形成した後にエッチングを行うことで導体層や接続端子を形成したり、導電性ペースト等の印刷により導体層や接続端子を形成したりすることも可能である。
【0025】
多層配線基板の製造方法としては、一対の金属箔を互いに剥離可能な状態で片面に積層配置してなる基材上にて、同じ絶縁材からなる複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化することにより積層構造体を形成するビルドアップ工程と、前記積層構造体における最外層の樹脂絶縁層に対する全面にめっきを行い、当該樹脂絶縁層にフィルドビア導体を形成しかつ当該樹脂絶縁層を覆う全面めっき層を形成する全面パネルめっき工程と、前記全面パネルめっき工程後、前記一対の金属箔を互いに剥離することで前記基材を除去して前記金属箔を露出させる基材除去工程と、前記基材除去工程後、前記積層構造体における前記全面めっき層及び前記金属箔をサブトラクティブ法でパターニングすることによって、前記第1主面側接続端子及び前記第2主面側接続端子を形成する接続端子形成工程とを含む方法がある。この製造方法において、基材除去工程後の積層構造体には、一方の面に全面めっき層が形成されるとともに他方の面に金属箔が形成された状態となる。この場合、接続端子形成工程において、通常の配線基板と同様に、サブトラクティブ法にて第1主面及び第2主面の両面の各接続端子を同時にパターン形成することができる。
【0026】
ビルドアップ工程では、積層構造体における最外層の樹脂絶縁層を形成するにあたり、光硬化性を付与していない樹脂絶縁材料を主体としその表面に薄銅箔が形成された薄銅箔付きビルドアップ材を用いるとともに、積層された薄銅箔付きビルドアップ材に対してレーザー穴加工を施すことにより、フィルドビア導体を形成するための開口部を形成し、ビルドアップ工程後かつ全面パネルめっき工程前に、開口部内のスミアを除去するデスミア工程を行うことが好ましい。この製造方法において、デスミア工程を行う際には、最外層の樹脂絶縁層の表面が薄銅箔で覆われているので、その樹脂絶縁層の表面がデスミア工程で粗化されることがない。また、薄銅箔の接触面の粗さが最外層の樹脂絶縁層の表面に転写された状態で表面粗さが設定される。このため、積層構造体における最外層の樹脂絶縁層において、均一な表面粗さの表面を実現することができ、その表面にフラックスやアンダーフィルを適正な状態で設けることができる。
【0027】
また、多層配線基板の別の製造方法としては、一対の金属箔を互いに剥離可能な状態で片面に積層配置してなる基材上にて、同じ絶縁材からなる複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化することにより積層構造体を形成するとともに、最外層の樹脂絶縁層に対してレーザー穴加工を施すことにより複数の開口部を形成するビルドアップ工程と、無電解めっきを行い、前記複数の開口部内及び前記樹脂絶縁層を覆う全面めっき層を形成する全面めっき工程と、前記第1主面上にめっきレジストを形成した状態で選択的にパターンめっきを行うことで前記複数の開口部のうちの一部のものについてフィルドビア導体を形成するフィルドビア導体形成工程と、前記フィルドビア導体形成工程後、セミアディティブ法でパターニングすることによって、前記フィルドビア導体を残しつつ前記全面めっき層を除去する全面めっき層除去工程と、前記全面めっき層除去工程後、前記一対の金属箔を互いに剥離することで前記基材を除去して前記金属箔を露出させる基材除去工程と、前記基材除去工程後、前記積層構造体における前記金属箔をサブトラクティブ法でパターニングすることによって、前記第2主面側接続端子を形成する接続端子形成工程とを含む方法がある。この製造方法で多層配線基板を製造すれば、第1主面側の最外層にて露出する樹脂絶縁層に均一な深さとなるように複数の開口部を確実に形成することができる。従って、ICチップ接続端子上の開口部内にて比較的微細なはんだボールを容易に位置決めすることができ、ICチップ接続端子上におけるはんだバンプの形成をより確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す断面図。
【図2】多層配線基板の概略構成を示す平面図。
【図3】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図4】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図5】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図6】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図7】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図8】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図9】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図10】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図11】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図12】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図13】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図14】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図15】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図16】第2の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す断面図。
【図17】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図18】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図19】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図20】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図21】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図22】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図23】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図24】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図25】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図26】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図27】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図28】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図29】多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図30】別の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す断面図。
【図31】別の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す断面図。
【図32】別の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す断面図。
【図33】別の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す断面図。
【図34】別の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[第1の実施の形態]
以下、本発明を多層配線基板に具体化した第1の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施の形態の多層配線基板の概略構成を示す拡大断面図であり、図2は、その多層配線基板の平面図である。
【0030】
図1に示されるように、多層配線基板10は、コア基板を含まずに形成されたコアレス配線基板であって、同じ樹脂絶縁材料を主体とした4層の樹脂絶縁層21,22,23,24と銅からなる導体層26とを交互に積層して多層化した配線積層部30(積層構造体)を有している。各樹脂絶縁層21〜24は、光硬化性を付与していない樹脂絶縁材料、具体的には熱硬化性エポキシ樹脂の硬化物を主体としたビルドアップ材を用いて形成されている。多層配線基板10において、配線積層部30の上面31側(第1主面側)には、複数の接続端子41,42(第1主面側接続端子)が配置されている。
【0031】
図1及び図2に示されるように、本実施の形態の多層配線基板10では、配線積層部30の上面31側に配置される複数の接続端子41,42として、接続対象がICチップであるICチップ接続端子41と、接続対象がチップコンデンサ(受動部品)であるコンデンサ接続端子42(受動部品接続端子)とが存在している。配線積層部30の上面31側において、複数のICチップ接続端子41は、基板中央部に設けられたチップ搭載領域43にてアレイ状に配置されている。また、コンデンサ接続端子42は、ICチップ接続端子41よりも面積の大きい接続端子であり、チップ搭載領域43よりも外周側に配置されている。
【0032】
一方、配線積層部30の下面32側(第2主面側)には、接続対象がマザーボード(母基板)であるLGA(ランドグリッドアレイ)用の複数の接続端子45(第2主面側接続端子としての母基板接続端子)がアレイ状に配置されている。これら母基板接続端子45は、上面31側のICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42よりも面積の大きな接続端子である。
【0033】
樹脂絶縁層21,22,23,24には、それぞれビア穴33及びフィルドビア導体34が設けられている。各ビア導体34は、いずれも同一方向に(図1では下面側から上面側に向かうに従って)拡径した形状を有し、各導体層26、ICチップ接続端子41、コンデンサ接続端子42、及び母基板接続端子45を相互に電気的に接続している。
【0034】
配線積層部30の上面31側において、最外層に露出する第4層の樹脂絶縁層24には開口部35が形成されるとともに、開口部35内には、上面の高さが樹脂絶縁層24の表面(基準面)よりも低くなるような状態でICチップ接続端子41が形成されている。開口部35の内面は、微細な凹凸からなる粗化面となっている。ICチップ接続端子41は銅層を主体として構成されており、その銅層は開口部35の粗化面に追従するようにして開口部35内に充填されている。さらに、ICチップ接続端子41は、主体をなす銅層の上面のみを銅以外のめっき層46(具体的には、ニッケル−金めっき層)で覆った構造を有している。そして、露出したICチップ接続端子41の上面に、図示しないはんだバンプを介してICチップがフリップチップ接続されるようになっている。
【0035】
コンデンサ接続端子42は、銅層を主体として構成されており、その上面の高さが樹脂絶縁層24の表面よりも高くなるように形成されている。つまり、本実施の形態の多層配線基板10において、ICチップ接続端子41の上面とコンデンサ接続端子42の上面との高さは異なっており、相対的に面積の大きいコンデンサ接続端子42の上面の高さが、相対的に面積の小さいICチップ接続端子41の上面の高さよりも高くなっている。また、コンデンサ接続端子42は、上面よりも下面のほうが大きい断面台形状をなしている。さらに、コンデンサ接続端子42は、主体をなす銅層の上面及び側面を銅以外のめっき層47(具体的には、ニッケル−金めっき層)で覆った構造を有している。そして、コンデンサ接続端子42の上面及び側面に形成される図示しないはんだフィレットを介してチップコンデンサの外部端子が接続されるようになっている。
【0036】
配線積層部30の下面32側に配置される母基板接続端子45は、銅層を主体として構成されており、その高さが下面32の最外層に露出する樹脂絶縁層21の表面よりも高くなるように形成されている。また、母基板接続端子45は、樹脂絶縁層21と接触する上面のほうが下面よりも大きい断面台形状をなしている。さらに、母基板接続端子45は、主体をなす銅層の下面及び側面を銅以外のめっき層48(具体的には、ニッケル−金めっき層)で覆った構造を有している。そして、母基板接続端子45の下面及び側面に形成される図示しないはんだフィレットを介してマザーボードに接続されるようになっている。
【0037】
上記構成の多層配線基板10は例えば以下の手順で作製される。
【0038】
先ず、ビルドアップ工程において、十分な強度を有する支持基板(ガラスエポキシ基板など)を準備し、その支持基板上に、樹脂絶縁層21〜24及び導体層26をビルドアップして配線積層部30を形成する。
【0039】
詳述すると、図3に示されるように、支持基板50上に、エポキシ樹脂からなるシート状の絶縁樹脂基材を貼り付けて下地樹脂絶縁層51を形成することにより、支持基板50及び下地樹脂絶縁層51からなる基材52を得る。そして、図4に示されるように、基材52の片面(具体的には下地樹脂絶縁層51の上面)に、積層金属シート体54を配置する。ここで、下地樹脂絶縁層51上に積層金属シート体54を配置することにより、以降の製造工程で積層金属シート体54が下地樹脂絶縁層51から剥がれない程度の密着性が確保される。積層金属シート体54は、2枚の銅箔55,56(一対の金属箔)を剥離可能な状態で密着させてなる。具体的には、金属めっき(例えば、クロムめっき、ニッケルめっき、チタンめっき、またはこれらの複合めっき)を介して銅箔55、銅箔56が配置された積層金属シート体54が形成されている。
【0040】
その後、図5に示されるように、積層金属シート体54を包むようにシート状の樹脂絶縁層21を配置し、樹脂絶縁層21を貼り付ける。ここで、樹脂絶縁層21は、積層金属シート体54と密着するとともに、その積層金属シート体54の周囲領域において下地樹脂絶縁層51と密着することで、積層金属シート体54を封止する。
【0041】
そして、図6に示されるように、例えばエキシマレーザーやUVレーザーやCOレーザーなどを用いてレーザー加工を施すことによって樹脂絶縁層21の所定の位置にビア穴33を形成する。次いで、過マンガン酸カリウム溶液などのエッチング液を用いて各ビア穴33内のスミアを除去するデスミア工程を行う。なお、デスミア工程としては、エッチング液を用いた処理以外に、例えばOプラズマによるプラズマアッシングの処理を行ってもよい。
【0042】
デスミア工程の後、従来公知の手法に従って無電解銅めっき及び電解銅めっきを行うことで、各ビア穴33内にビア導体34を形成する。さらに、従来公知の手法(例えばセミアディティブ法)によってエッチングを行うことで、樹脂絶縁層21上に導体層26をパターン形成する(図7参照)。
【0043】
また、第2層〜第4層の樹脂絶縁層22〜24及び導体層26についても、上述した第1層の樹脂絶縁層21及び導体層26と同様の手法によって形成し、樹脂絶縁層21上に積層していく。そして、最外層の樹脂絶縁層24に対してレーザー穴加工を施すことにより複数の開口部35を形成する(図8参照)。次いで、過マンガン酸カリウム溶液やOプラズマなどにて各開口部35内のスミアを除去するデスミア工程を行う。このデスミア工程を行うと、開口部35の内面が粗化されて微細な凹凸からなる粗化面となる。
【0044】
上述したビルドアップ工程によって、基材52上に積層金属シート体54、樹脂絶縁層21〜24及び導体層26を積層した配線積層体60を形成する。なお図8に示されるように、配線積層体60において積層金属シート体54上に位置する領域が、多層配線基板10の配線積層部30となる部分である。
【0045】
そして、図9に示されるように、配線積層体60における最外層の樹脂絶縁層24に対する全面にめっきを行い、樹脂絶縁層24の開口部35内に銅めっきからなるフィルドビア導体62を形成しかつ当該樹脂絶縁層24を覆う全面めっき層63を形成する(全面パネルめっき工程)。
【0046】
全面パネルめっき工程後、配線積層体60をダイシング装置(図示略)により切断し、配線積層部30の周囲領域を除去する(切断工程)。この際、図9に示すように、配線積層部30とその周囲部64との境界(図9では矢印で示す境界)において、配線積層部30の下方にある基材52(支持基板50及び下地樹脂絶縁層51)ごと切断する。この切断によって、樹脂絶縁層21にて封止されていた積層金属シート体54の外縁部が露出した状態となる。つまり、周囲部64の除去によって、下地樹脂絶縁層51と樹脂絶縁層21との密着部分が失われる。この結果、配線積層部30と基材52とは積層金属シート体54のみを介して連結した状態となる。
【0047】
ここで、図10に示されるように、積層金属シート体54における一対の銅箔55,56の界面にて剥離することで、配線積層部30から基材52を除去して配線積層部30(樹脂絶縁層21)の下面上にある銅箔55を露出させる(基材除去工程)。その後、配線積層部30における全面めっき層63及び銅箔55をサブトラクティブ法でパターニングする(接続端子形成工程)。具体的には、配線積層部30の上面31(全面めっき層63の表面)及び下面32(銅箔55の表面)上において、ドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行うことにより、コンデンサ接続端子42及び母基板接続端子45に対応した所定のパターンのエッチングレジスト66を形成する(図11参照)。この状態で、配線積層部30の全面めっき層63及び銅箔55に対してエッチングによるパターニングを行う。この結果、樹脂絶縁層24上にコンデンサ接続端子42を形成するとともに樹脂絶縁層21上に母基板接続端子45を形成する。
【0048】
またこのとき、開口部35内に充填されているフィルドビア導体62(銅層)の上面を露出させることで、ビア導体62からなるICチップ接続端子41を形成する。なおここでは、全面めっき層63及び銅箔55においてエッチングレジスト66が設けられていない領域がエッチングによって徐々に溶解除去されていく。つまり、全面めっき層63はエッチングレジスト66側である上面側から徐々に溶解除去され、銅箔55はエッチングレジスト66側である下面から徐々に溶解除去される。このため、コンデンサ接続端子42は上面よりも下面のほうが面積の大きい断面台形状に形成され、母基板接続端子45は下面よりも上面のほうが面積の大きい断面台形状に形成される。そして、各コンデンサ接続端子42及び母基板接続端子45に形成されているエッチングレジスト66を剥離して除去する(図12参照)。
【0049】
その後、コンデンサ接続端子42の表面(上面及び側面)、母基板接続端子45の表面(下面及び側面)、開口部35から露出しているICチップ接続端子41の表面(上面)に対し、無電解ニッケルめっき、無電解金めっきを順次施すことにより、ニッケル−金めっき層46,47,48を形成する(めっき工程)。以上の工程を経ることで図1の多層配線基板10が製造される。
【0050】
上述した本実施の形態における多層配線基板10の製造方法は、以下のように変更してもよい。
【0051】
図13に示されるように、ビルドアップ工程において、最外層の第4層の樹脂絶縁層24を薄銅箔付きビルドアップ材にて形成し、他の樹脂絶縁層21〜23については、薄銅箔のない通常のビルドアップ材を用いて形成する。そして、配線積層体60の上面(最外層となる樹脂絶縁層24の表面)を銅箔68で被覆した状態とする。この後、図14に示されるように、レーザー穴加工を施すことによって樹脂絶縁層24の所定の位置に銅箔68を貫通する開口部35を形成する。次いで各開口部35内のスミアを除去するデスミア工程を行う。
【0052】
そして、配線積層体60における最外層の樹脂絶縁層24に対する全面にめっきを行い、樹脂絶縁層24の開口部35内に銅めっきからなるフィルドビア導体62を形成しかつ当該樹脂絶縁層24を覆う全面めっき層63を形成する(図15参照)。その後、上述した切断工程、基材除去工程、接続端子形成工程、及びめっき工程等を順次行うことで、図1に示す多層配線基板10を製造する。
【0053】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0054】
(1)本実施の形態の多層配線基板10では、配線積層部30の上面31側に形成される複数の接続端子41,42は、接続対象の種類ごとに上面の高さが異なっている。具体的には、複数の接続端子41,42として、接続対象がICチップであるICチップ接続端子41と、接続対象がチップコンデンサであるコンデンサ接続端子42が存在しており、ICチップ接続端子41は、最外層にて露出する樹脂絶縁層24の表面よりも低く、コンデンサ接続端子42は、樹脂絶縁層24の表面よりも高くなっている。このようにすると、ICチップをフリップチップ接続するためのはんだバンプをICチップ接続端子41上に確実に形成することができ、ICチップを確実に接続することができる。また、チップコンデンサを接続するためのはんだフィレットをコンデンサ接続端子42に確実に形成することができ、チップコンデンサを確実に接続することができる。
【0055】
(2)本実施の形態の多層配線基板10において、配線積層部30の上面31側に露出する樹脂絶縁層24には開口部35が形成されるとともに、開口部35内には、上面の高さが樹脂絶縁層24の表面よりも低くなるような状態でICチップ接続端子41が形成されている。このようにすると、ICチップ接続端子41の箇所が凹状になるため、ICチップ接続端子41上の開口部35内にてはんだボールを容易に位置決めすることができる。ゆえに、ICチップ接続端子41上におけるはんだバンプの形成をより確実に行うことができる。
【0056】
(3)本実施の形態の多層配線基板10では、最外層の樹脂絶縁層24に形成される開口部35の内面は粗化面であり、ICチップ接続端子41を構成するフィルドビア導体62が粗化面に追従するようにして開口部35内に充填されている。このようにICチップ接続端子41を形成すると、ICチップ接続端子41と樹脂絶縁層24との密着性を高めることができる。この結果、ICチップ接続端子41の剥離等を確実に防止することができ、多層配線基板10の信頼性を高めることができる。
【0057】
(4)本実施の形態の多層配線基板10において、コンデンサ接続端子42は、その上面及び側面をめっき層47で覆った構造を有しているので、上面及び側面に比較的大きなはんだフィレットを確実に形成することができる。また、ICチップ接続端子41は、その上面をめっき層46で覆った構造を有しているので、ICチップ接続端子41の上面にはんだバンプを確実に形成することができる。ここで、コンデンサ接続端子42の間隔はICチップ接続端子41の間隔よりも広く、またコンデンサ接続端子42はサイズが比較的大きいため、コンデンサ接続端子42の上面及び側面に形成されたはんだフィレットによってチップコンデンサを十分な強度で確実にはんだ接続することができる。一方、ICチップ接続端子41の間隔は狭いため、ICチップ接続端子41の側面にはんだバンプが膨らむと、端子間のショートが問題となる。これに対して、本発明では、ICチップ接続端子41の上面のみにはんだバンプが形成され、はんだバンプが横方向に膨らむことがないので、はんだバンプを介した端子間のショートを回避することができる。
【0058】
(5)本実施の形態の多層配線基板10では、コンデンサ接続端子42は、樹脂絶縁層24と接触する下面のほうがその反対側の上面よりも大きい断面台形状をなしているので、コンデンサ接続端子42の下面と樹脂絶縁層24との接触面積が大きくなり、コンデンサ接続端子42の強度を十分に確保することができる。また、母基板接続端子45は、樹脂絶縁層21と接触する上面のほうがその反対側の下面よりも大きい断面台形状をなしているので、母基板接続端子45の上面と樹脂絶縁層21との接触面積が大きくなり、母基板接続端子45の強度を十分に確保することができる。
【0059】
(6)本実施の形態の多層配線基板10では、相対的に面積の大きいコンデンサ接続端子42の上面の高さが、相対的に面積の小さいICチップ接続端子41の上面の高さよりも高くなっている。このようにすると、接続面積が大きいチップコンデンサと接続面積が小さいICチップとを高さの異なる接続端子41,42に確実に接続することができる。
【0060】
(7)本実施の形態の多層配線基板10において、複数の樹脂絶縁層21〜24は、光硬化性を付与していない樹脂絶縁材料の硬化物を主体とした同じビルドアップ材を用いて形成されている。つまり、最外層の樹脂絶縁層24は、内層の樹脂絶縁層22,23と同じ絶縁性に優れたビルドアップ材で形成されている。このため、ICチップ接続端子41やコンデンサ接続端子42の端子間隔を狭くすることができ、多層配線基板10の高集積化が可能となる。また、多層配線基板10では、最外層にソルダーレジストが形成されていないので、各樹脂絶縁層21〜24とソルダーレジストとの熱膨張係数差に起因して生じる多層配線基板10の反りを回避することができる。
【0061】
(8)本実施の形態の多層配線基板10の製造方法において、基材除去工程を経ると、配線積層部30における上面31に全面めっき層63が形成されるとともに下面32に銅箔55が形成された状態となる。この場合、接続端子形成工程において、通常の配線基板と同様に、サブトラクティブ法にて上面31及び下面32の両面の各接続端子42,45を同時にパターン形成することができる。従って、サブトラクティブ法にてパターン形成するための従来の製造設備を使用することができ、多層配線基板10の製造コストを抑えることができる。
【0062】
(9)本実施の形態の多層配線基板10の製造方法において、表面に薄銅箔が形成された薄銅箔付きビルドアップ材を用いる場合、開口部35のレーザー加工後にデスミア工程を実施する際には、配線積層部30における最外層の樹脂絶縁層24の表面が銅箔68で覆われているので、その樹脂絶縁層24の表面がデスミア工程で粗化されることがない。またこの場合、銅箔68の接触面の粗さが樹脂絶縁層24の表面に転写された状態で表面粗さが設定される。このため、積層構造体31における最外層の樹脂絶縁層24について、均一な表面粗さの表面を実現することができる。
[第2の実施の形態]
【0063】
次に、本実施の形態を具体化した第2の実施の形態を図面に基づき説明する。図16に示されるように、本実施の形態の多層配線基板10Aは、配線積層部30の上面31側に形成されるICチップ接続端子41A及びコンデンサ接続端子42Aの形状、及びその製造方法が上記第1の実施の形態と異なる。以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0064】
図16に示されるように、多層配線基板10Aにおいて、最外層となる樹脂絶縁層24の開口部35内にはフィルドビア導体が形成されておらず、開口部35内に形成されるICチップ接続端子41Aの上面の高さは、下地パターン層(樹脂絶縁層23上に形成される導体層26とほぼ同じ高さとなっている。さらに、開口部35にて露出するICチップ接続端子41Aの上面には、めっき層46が形成されている。また、コンデンサ接続端子42Aは、上面及び下面の面積がほぼ等しくなるよう形成されている。
【0065】
本実施の形態の多層配線基板10Aは以下の手順で作製される。
【0066】
先ず、第1の実施の形態と同様にビルドアップ工程を行い、図8に示すような配線積層体60を形成する。その後、図17に示すように、無電解銅めっきを行い、樹脂絶縁層24の開口部35内及び各樹脂絶縁層21〜24を覆う全面めっき層71を形成する(全面めっき工程)。
【0067】
そして、図18に示すように、配線積層体60の上面にドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行うことにより、コンデンサ接続端子42Aに対応したパターンのめっきレジスト72を形成する。図19に示すように、めっきレジスト72を形成した状態で選択的にパターンめっきを行うことで複数の開口部35のうちの一部のものについてその内部にフィルドビア導体73を形成するとともに、フィルドビア導体73の上部にコンデンサ接続端子42Aを形成する(フィルドビア導体形成工程)。
【0068】
フィルドビア導体形成工程後、図20に示すように、セミアディティブ法でパターニングすることによって、フィルドビア導体73及びコンデンサ接続端子42Aを残しつつ全面めっき層71を除去する(全面めっき層除去工程)。
【0069】
全面めっき層除去工程、配線積層体60をダイシング装置(図示略)により切断し、配線積層部30の周囲領域を除去する(切断工程)。この際、図20に示すように、配線積層部30とその周囲部64との境界(図20では矢印で示す境界)において、配線積層部30の下方にある基材52(支持基板50及び下地樹脂絶縁層51)ごと切断する。この切断によって、樹脂絶縁層21にて封止されていた積層金属シート体54の外縁部が露出した状態となる。
【0070】
ここで、積層金属シート体54における一対の銅箔55,56の界面にて剥離することで、図21に示すように配線積層部30から基材52を除去して配線積層部30(樹脂絶縁層21)の下面32上にある銅箔55を露出させる(基材除去工程)。
【0071】
基材除去工程後、配線積層部30における銅箔55をサブトラクティブ法でパターニングして母基板接続端子45を形成する(接続端子形成工程)。具体的には、配線積層部30の上面31及び下面32にドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行う。これにより、配線積層部30の上面31には、表面全体を覆うエッチングレジストを形成するとともに、下面32には母基板接続端子45に対応した所定のパターンのエッチングレジストを形成する。この状態で、配線積層部30の下面32の銅箔55に対してエッチングによるパターニングを行い、不要な銅箔55を除去することで樹脂絶縁層21上に母基板接続端子45を形成する。接続端子形成工程後、配線積層部30の上面31及び下面32に形成されているエッチングレジストを剥離して除去する(図22参照)。
【0072】
その後、コンデンサ接続端子42A及び母基板接続端子45の表面(上面及び側面)、開口部35から露出しているICチップ接続端子41Aの表面(上面)に対し、無電解ニッケルめっき、無電解金めっきを順次施すことにより、ニッケル−金めっき層46,47,48を形成する(めっき工程)。以上の工程を経ることで図16の多層配線基板10Aを製造する。
【0073】
従って、本実施の形態の多層配線基板10Aによれば、上記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施の多層配線基板10Aの製造方法によれば、配線積層部30の上面31において最外層にて露出する樹脂絶縁層24に均一な深さとなるように複数の開口部35を確実に形成することができる。この場合、ICチップ接続端子41A上の開口部35内にて微細なはんだボールを容易に位置決めすることができ、ICチップ接続端子41A上におけるはんだバンプの形成をより確実に行うことができる。
【0074】
なお、本発明の各実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0075】
・上記第2の実施の形態では、多層配線基板10Aにおいて、上面31側のコンデンサ接続端子42Aをセミアディティブ法でパターン形成し、下面32側の母基板接続端子45をサブトラクティブ法でパターン形成するものであったが、これに限定されるものではない。例えば、下面32側の母基板接続端子45をセミアディティブ法でパターン形成してもよい。その具体的な製造方法を説明する。
【0076】
先ず、ビルドアップ工程を行い、図23に示されるような配線積層体60Aを製造する。なお、配線積層体60Aにおいては、積層金属シート体54Aが厚さの異なる各銅箔55A,56Aで形成されている点が、図8の配線積層体60と異なっている。積層金属シート体54Aにおいて、下面側(基材52側)に配置される銅箔56Aよりも上面側に配置される銅箔55Aが薄くなっている。なお、銅箔55Aの厚さは、3μm〜5μm程度である。
【0077】
ビルドアップ工程後、図24に示すように、無電解銅めっきを行い、樹脂絶縁層24の開口部35内及び各樹脂絶縁層21〜24を覆う全面めっき層71を形成する(全面めっき工程)。
【0078】
その後、切断工程を行い、配線積層体60Aをダイシング装置(図示略)により切断し、配線積層部30の周囲領域を除去する。そして、基材除去工程を行い、積層金属シート体54Aにおける一対の銅箔55A,56Aの界面にて剥離することで、図25に示すように配線積層部30から基材52を除去して配線積層部30(樹脂絶縁層21)の下面32上にある銅箔55Aを露出させる。
【0079】
配線積層部30の上面31及び下面32にドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行うことにより、コンデンサ接続端子42A及び母基板接続端子45Aに対応したパターンのめっきレジスト72を形成する(図26参照)。
【0080】
この後、図27に示すように、めっきレジスト72を形成した状態で選択的にパターンめっきを行う。これにより、配線積層部30の上面31において、複数の開口部35のうちの一部のものについてその内部にフィルドビア導体73を形成するとともに、フィルドビア導体73の上部にコンデンサ接続端子42Aを形成する。また、配線積層部30の下面32において、銅箔55Aの下部に母基板接続端子45Aを形成する。
【0081】
そして、図28に示されるように、セミアディティブ法でパターニングする。このパターニングにより、上面31におけるコンデンサ接続端子42A及びフィルドビア導体73を残しつつ全面めっき層71を除去する。また、下面32における母基板接続端子45Aを残しつつ銅箔55Aを削除する。その後、ICチップ接続端子41A、コンデンサ接続端子42A及び母基板接続端子45Aの表面に対し、無電解ニッケルめっき、無電解金めっきを順次施すことにより、ニッケル−金めっき層46,47,48を形成する(図29参照)。以上の工程を経ることで図29の多層配線基板10Bを製造する。この多層配線基板10Bにおいても、上述した第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0082】
・上記各実施の形態の多層配線基板10,10A,10Bにおいて、配線積層部30を構成する複数の樹脂絶縁層21〜24は、光硬化性を付与していない樹脂絶縁材料の硬化物を主体としたビルドアップ材を用いて形成されていた。これら多層配線基板10,10A,10Bに対して、光硬化性を付与した樹脂絶縁材料の硬化物を主体としたソルダーレジストを設けてもよい。そのソルダーレジストを設けた多層配線基板10C〜10Fの具体例を図30〜図34に示す。
【0083】
図30の多層配線基板10Cでは、配線積層部30の下面32のみにソルダーレジスト80が設けられており、ソルダーレジスト80には、母基板接続端子45を露出させる開口部81が形成されている。多層配線基板10Cにおいて、ソルダーレジスト80の開口部81は母基板接続端子45よりも小さく、母基板接続端子45の表面側外周部がソルダーレジスト80で被覆されている。また、図31の多層配線基板10Dでも、配線積層部30の下面32のみにソルダーレジスト80が設けられており、ソルダーレジスト80には、母基板接続端子45を露出させる開口部81Aが形成されている。多層配線基板10Dにおいて、ソルダーレジスト80の開口部81Aは母基板接続端子45よりも大きく、母基板接続端子45の下面及び側面全体が露出している。多層配線基板10C,10Dのように、配線積層部30の下面32にソルダーレジスト80を設けることによって、母基板接続端子45を保護することができ、基板搬送時等において母基板接続端子45が傷つくことが防止される。
【0084】
図32の多層配線基板10Eでは、配線積層部30の下面32に加えて、上面31にもソルダーレジスト83が設けられており、ソルダーレジスト83には、コンデンサ接続端子42を露出させる開口部84が形成されている。ソルダーレジスト83は、配線積層部30の上面31においてチップ搭載領域43以外の部分(チップ搭載領域43の外周側の部分)に設けられている(図33参照)。多層配線基板10Eにおいて、ソルダーレジスト83の開口部84はコンデンサ接続端子42よりも小さく、コンデンサ接続端子42の表面側外周部がソルダーレジスト83で被覆されている。
【0085】
また、図34の多層配線基板10Fでも、配線積層部30の下面32に加えて、上面31にもソルダーレジスト83が設けられており、ソルダーレジスト83には、コンデンサ接続端子42を露出させる開口部84Aが形成されている。多層配線基板10Dにおいて、ソルダーレジスト83の開口部84Aはコンデンサ接続端子42よりも大きく、コンデンサ接続端子42の上面及び側面全体が露出している。多層配線基板10E,10Fのように、ソルダーレジスト83を設けることによって、コンデンサ接続端子42を保護することができる。また、ソルダーレジスト83を設けることによって、配線積層部30の上面31におけるチップ搭載領域43とその外周部とで段差が形成される。従って、チップ搭載領域43にフラックスやアンダーフィルを充填する際に、それらが外周部側にはみ出してしまうといった問題を回避することができる。
【0086】
さらに、多層配線基板10E、10Fにおいて、チップ搭載領域43にもソルダーレジスト83を設けてもよい。この場合、チップ搭載領域43のソルダーレジスト83にICチップ接続端子41を露出させるための開口部を形成する。ICチップ接続端子41を露出させる開口部は、搭載するICチップの種類に応じて、ICチップ接続端子41よりも小さくてもよいし大きくてもよい。
【0087】
なお、上述した各多層配線基板10C〜10Fの配線積層部30は、上記第1実施の形態と同じ構成である。また、各多層配線基板10C〜10Fのようにソルダーレジスト80,83を形成すると、配線積層部30を構成する樹脂絶縁層21〜24との熱膨張係数差に応じて基板の反りが発生する場合がある。この対策として、配線積層部30の上面31及び下面32に形成されるソルダーレジストの形成面積を調整したり、ダミー電極を別途設けたりすることによって、反りを防止するように構成してもよい。
【0088】
・上記各実施の形態では、複数の樹脂絶縁層21〜24に形成される複数の導体層26は、下面32側から上面31側に向かうに従って拡径したビア導体34により互いに接続されていたが、これに限定されるものではない。複数の樹脂絶縁層21〜24に形成されるビア導体34は同一方向に拡径した形状であればよく、上面31側から下面32側に向かうに従って拡径したビア導体により、複数の導体層26を互いに接続してもよい。
【0089】
・上記各実施の形態では、各接続端子41,42,45を被覆するめっき層46,47,48は、ニッケル−金めっき層であったが、銅以外のめっき層であればよく、例えば、ニッケル−パラジウム−金めっき層などの他のめっき層に変更してもよい。
【0090】
次に、前述した各実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0091】
(1)同じ樹脂絶縁材料を主体とした複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有し、前記積層構造体の第1主面側には複数の第1主面側接続端子が配置され、前記積層構造体の第2主面側には複数の第2主面側接続端子が配置され、前記複数の導体層は、前記複数の樹脂絶縁層に形成され、前記第1主面側または前記第2主面側のいずれかに向うに従って拡径したビア導体により互いに接続されている多層配線基板であって、前記第1主面側には、接続対象の異なる少なくとも2種類の第1主面側接続端子が存在するとともに、前記第1主面側接続端子の上面の高さが、前記接続対象の種類ごとに異なっており、前記第1主面上において前記ICチップを搭載する領域の周囲には、光硬化性を付与した樹脂絶縁材料の硬化物を主体としたソルダーレジストが設けられていることを特徴とする多層配線基板。
【0092】
(2)同じ樹脂絶縁材料を主体とした複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有し、前記積層構造体の第1主面側には複数の第1主面側接続端子が配置され、前記積層構造体の第2主面側には複数の第2主面側接続端子が配置され、前記複数の導体層は、前記複数の樹脂絶縁層に形成され、前記第1主面側または前記第2主面側のいずれかに向うに従って拡径したビア導体により互いに接続されている多層配線基板であって、前記第1主面側には、接続対象の異なる少なくとも2種類の第1主面側接続端子が存在するとともに、前記第1主面側接続端子の上面の高さが、前記接続対象の種類ごとに異なっており、前記第2主面側には、前記接続対象が母基板であり前記ICチップ接続端子及び前記受動部品接続端子よりも面積の大きい母基板接続端子が、前記複数の第2主面側接続端子として存在するとともに、前記第2主面側の最外層にて露出する樹脂絶縁層の表面を基準面としたとき、前記母基板接続端子の上面の高さが前記基準面よりも高くなっていることを特徴とする多層配線基板。
【0093】
(4)前記母基板接続端子は、前記樹脂絶縁層と接触する上面のほうがその反対側の下面よりも大きい断面台形状をなしていることを特徴とする上記(3)に記載の多層配線基板。
【0094】
(5)同じ絶縁材からなる複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有し、前記積層構造体の第1主面側には複数の第1主面側接続端子が配置され、前記積層構造体の第2主面側には複数の第2主面側接続端子が配置され、前記複数の樹脂絶縁層にはそれぞれ同一方向に拡径したビア導体が形成されている多層配線基板であって、前記第2主面側には、接続対象の異なる少なくとも2種類の第2主面側接続端子が存在するとともに、前記第2主面側接続端子の上面の高さが、前記接続対象の種類ごとに異なっていることを特徴とする多層配線基板。
【0095】
(6)前記第2主面側には、前記接続対象が母基板である母基板接続端子が存在するとともに、前記接続対象がICチップであるICチップ接続端子または前記接続対象が受動部品である受動部品接続端子が存在することを特徴とする上記(5)記載の多層配線基板。
【0096】
(7)同じ絶縁材からなる複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有し、前記積層構造体の第1主面側には複数の第1主面側接続端子が配置され、前記積層構造体の第2主面側には複数の第2主面側接続端子が配置され、前記複数の樹脂絶縁層にはそれぞれ同一方向に拡径したビア導体が形成されている多層配線基板の製造方法であって、一対の金属箔を互いに剥離可能な状態で片面に積層配置してなる基材上にて、同じ絶縁材からなる複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化することにより積層構造体を形成するビルドアップ工程と、前記積層構造体における最外層の樹脂絶縁層に対する全面パネルめっきを行い、当該樹脂絶縁層にフィルドビア導体を形成しかつ当該樹脂絶縁層を覆う全面めっき層を形成する全面パネルめっき工程と、前記全面パネルめっき工程後、前記一対の金属箔を互いに剥離することで前記基材を除去して前記金属箔を露出させる基材除去工程と、前記基材除去工程後、前記積層構造体における前記全面めっき層及び前記金属箔をサブトラクティブ法でパターニングすることによって、前記第1主面側接続端子及び前記第2主面側接続端子を形成する接続端子形成工程とを含むことを特徴とする多層配線基板の製造方法。
【0097】
(8)前記ビルドアップ工程では、前記積層構造体における最外層の樹脂絶縁層を形成するにあたり、光硬化性を付与していない樹脂絶縁材料を主体としその表面に薄銅箔が形成された薄銅箔付きビルドアップ材を用いるとともに、積層された前記薄銅箔付きビルドアップ材に対してレーザー穴加工を施すことにより、前記フィルドビア導体を形成するための開口部を形成し、前記ビルドアップ工程後かつ前記全面パネルめっき工程前に、前記開口部内のスミアを除去するデスミア工程を行う
ことを特徴とする上記(7)に記載の多層配線基板の製造方法。
【0098】
(9)同じ絶縁材からなる複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有し、前記積層構造体の第1主面側には複数の第1主面側接続端子が配置され、前記積層構造体の第2主面側には複数の第2主面側接続端子が配置され、前記複数の樹脂絶縁層にはそれぞれ同一方向に拡径したビア導体が形成されている多層配線基板の製造方法であって、一対の金属箔を互いに剥離可能な状態で片面に積層配置してなる基材上にて、同じ絶縁材からなる複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化することにより積層構造体を形成するとともに、最外層の樹脂絶縁層に対してレーザー穴加工を施すことにより複数の開口部を形成するビルドアップ工程と、無電解めっきを行い、前記複数の開口部内及び前記樹脂絶縁層を覆う全面めっき層を形成する全面めっき工程と、前記第1主面上にめっきレジストを形成した状態で選択的にパターンめっきを行うことで前記複数の開口部のうちの一部のものについてフィルドビア導体を形成するフィルドビア導体形成工程と、前記フィルドビア導体形成工程後、セミアディティブ法でパターニングすることによって、前記フィルドビア導体を残しつつ前記全面めっき層を除去する全面めっき層除去工程と、前記全面めっき層除去工程後、前記一対の金属箔を互いに剥離することで前記基材を除去して前記金属箔を露出させる基材除去工程と、前記基材除去工程後、前記積層構造体における前記金属箔をサブトラクティブ法でパターニングすることによって、前記第2主面側接続端子を形成する接続端子形成工程とを含むことを特徴とする多層配線基板の製造方法。
【符号の説明】
【0099】
10,10A〜10F…多層配線基板
21〜24…樹脂絶縁層
26…導体層
30…積層構造体としての配線積層部
31…第1主面としての上面
32…第2主面としての下面
33…ビア導体
35…開口部
41,41A…ICチップ接続端子
42,42A…受動部品接続端子としてのコンデンサ接続端子
45,45A…第2主面側接続端子としての母基板接続端子
46,47…めっき層
52…基材
55…金属箔としての銅箔
62…銅層としてのフィルドビア導体
80…ソルダーレジスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ樹脂絶縁材料を主体とした複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有し、前記積層構造体の第1主面側には複数の第1主面側接続端子が配置され、前記積層構造体の第2主面側には複数の第2主面側接続端子が配置され、前記複数の導体層は、前記複数の樹脂絶縁層に形成され、前記第1主面側または前記第2主面側のいずれかに向うに従って拡径したビア導体により互いに接続されている多層配線基板であって、
前記第1主面側には、接続対象の異なる少なくとも2種類の第1主面側接続端子が存在するとともに、前記第1主面側接続端子の上面の高さが、前記接続対象の種類ごとに異なっていることを特徴とする多層配線基板。
【請求項2】
前記第1主面側には、前記接続対象がICチップであるICチップ接続端子及び前記接続対象が受動部品であり前記ICチップ接続端子よりも面積の大きい受動部品接続端子の2種類が、前記複数の第1主面側接続端子として存在するとともに、
前記第1主面側の最外層にて露出する樹脂絶縁層の表面を基準面としたとき、前記受動部品接続端子の上面の高さが前記基準面よりも高く、前記ICチップ接続端子の上面の高さが前記基準面と同じまたはそれよりも低くなっている
ことを特徴とする請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項3】
前記第1主面側の最外層にて露出する樹脂絶縁層には開口部が形成されるとともに、前記開口部内には、上面の高さが前記基準面よりも低くなるような状態で前記ICチップ接続端子が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の多層配線基板。
【請求項4】
前記開口部の内面は粗化面であり、前記ICチップ接続端子は銅層を主体として構成され、前記銅層は前記粗化面に追従するようにして前記開口部内に充填されていることを特徴とする請求項3に記載の多層配線基板。
【請求項5】
前記第1主面側には、前記接続対象がICチップであるICチップ接続端子及び前記接続対象が受動部品であり前記ICチップ接続端子よりも面積の大きい受動部品接続端子の2種類が、前記複数の第1主面側接続端子として存在するとともに、
前記受動部品接続端子は、主体をなす銅層の上面及び側面を銅以外のめっき層で覆った構造を有し、前記ICチップ接続端子は、主体をなす銅層の上面のみを銅以外のめっき層で覆った構造を有している
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の多層配線基板。
【請求項6】
前記受動部品接続端子は、上面よりも下面のほうが大きい断面台形状をなしていることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の多層配線基板。
【請求項7】
相対的に面積の大きい前記第1主面側接続端子の上面の高さが、相対的に面積の小さい前記第1主面側接続端子の上面の高さよりも高くなっていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の多層配線基板。
【請求項8】
前記複数の樹脂絶縁層に形成された前記ビア導体は、いずれも前記第2主面側から前記第1主面側に向うに従って拡径した形状を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の多層配線基板。
【請求項9】
前記複数の樹脂絶縁層は、光硬化性を付与していない樹脂絶縁材料の硬化物にて形成されたものであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の多層配線基板。
【請求項10】
前記第2主面上には、光硬化性を付与した樹脂絶縁材料の硬化物を主体としたソルダーレジストが設けられていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の多層配線基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2011−138868(P2011−138868A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296910(P2009−296910)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】