説明

多関節ロボット

【課題】自重及びワーク質量による撓みを減少させ、アームの全長が長く設定されていても、ワークの長距離の搬送を精度良く行う。
【解決手段】多関節ロボット10は、水平に回動する第1アーム50と、第1アーム50の回動中心に対して同軸の扇形の支持板18と、第1アーム50と平行なサブアーム58と、第1アーム50及びサブアーム58の各先端に接続された連結部材52とを有する。支持板18には円弧レール40が設けられている。第1アーム50、サブアーム58及び連結部材52は平行リンクを構成する。円弧レール40は、第1アーム50の上面に設けられた係合部100と係合する。連結部材52には第2アーム54が回動自在に設けられ、該第2アーム54の先端には第3アーム56が回動自在に設けられいている。第3アーム56の先端には、ワークWを吸着するエンドエフェクタ59が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のアームが回動する関節を介して接続された多関節ロボットに関し、特に水平の動作範囲が広い多関節ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
車両製造工場においては、ワークが複数のステーション又は加工機の間を搬送されて順次加工が行われることが多い。このような搬送は、生産性を向上させる観点から迅速に行われることが望ましい。
【0003】
ワークを搬送させる手段としては、例えば、加工機間でワークを搬送する往復自在な台車と、該台車と加工機の間でワークの授受を行うローダ及びアンローダとを設けることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような搬送方法では、ワークを長距離移動させることができる。
【0004】
また、多関節ロボットによってワークを搬送する方法についても提案がなされている(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4及び特許文献5参照)。多関節ロボットによる搬送では、ワークの搬出、移動及び搬入を1台の多関節ロボットで行うことができ、簡便な搬送が可能となる。
【0005】
【特許文献1】特公平4−9611号公報
【特許文献2】特許2785597号公報
【特許文献3】特開2006−123009号公報
【特許文献4】特許2726977号公報
【特許文献5】特開平7−308876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1のように、台車、ローダ及びアンローダを用いてワークを搬送する場合には、ローダから台車及び台車からアンローダへのワークの受け渡し作業が必要となり、ワークを迅速に搬送することができない。また、このような受け渡しの動作の同期をとる必要があり、制御手順が煩雑となる。さらに、台車が移動をする移動経路である搬送枠は加工機間の距離に応じて設定された固定的なものであるから、加工機のレイアウトが変更される場合には適用できない。
【0007】
さらにまた、台車、ローダ及びアンローダの3台の装置が必要となることから、大きい設置スペースが必要となるとともに、設備費用が高騰する。
【0008】
特許文献2に記載の多関節ロボットでは、水平移動機構がないことから、仮にワークを水平に搬送させても、アームの姿勢としてはいわゆるエルボアップとなって鉛直方向のスペースが広くなければならない。
【0009】
特許文献3〜5に記載の多関節ロボットでは、水平に回動する関節を有しているが、鉛直方向に回動する関節も含み、結局特許文献2記載の多関節ロボットと同様にワーク及びアームが無駄に鉛直方向に移動をすることになり得る。
【0010】
また、加工機間の搬送距離が長い場合には、アーム長さも相当に長く設定しなければならないが、過度に長くすると自重及びワーク質量により撓むことになり精度よく搬送することができない。
【0011】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、ワークの長距離の移動が可能であって、しかも自重及びワーク質量による撓みが少なく、精度良く搬送をすることができる多関節ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る多関節ロボットは、複数のアームが回動する関節を介して接続された多関節ロボットにおいて、水平に回動する水平アームと、前記水平アームの回動中心に対して同軸の円弧形状で、該水平アームの一部をスライド自在に支持する支持部材とを有することを特徴とする。
【0013】
このように、円弧形状の支持部材により水平アームを支持することにより、自重及びワーク質量による撓みが少なくなり、アームの全長が長く設定されていても、ワークを精度良く且つ長距離搬送をすることができる。
【0014】
前記支持部材は、前記水平アームの一部と係合するレールであってもよい。このようなレールによれば、水平アームをより確実に支持するとともにガイド作用を奏し、水平アームをスムーズに回動することができる。
【0015】
前記支持部材は、前記水平アームの中心よりも先端側を支持することにより、一層確実に撓みを減少させることができる。
【0016】
前記支持部材が前記水平アームを支持する角度範囲は、90°〜180°の範囲のいずれかに設定されていると相当に広い動作範囲が得られる。
【0017】
昇降装置を備えていると、加工機に対するワークの授受や、所定の障害物を避ける動作を簡便に行うことができる。また、アームがいわゆるエルボアップのような無駄に鉛直方向突出する姿勢にはならず、スペースを有効利用することができる。
【0018】
前記昇降装置には、自重補償手段が設けられていると、昇降に要する動力が小さくなり、しかもブレーキ装置を省略することも可能となる。
【0019】
前記昇降装置は並列して2台設けられ、昇降量を変化させることによりチルト動作が可能に構成されていてもよい。
【0020】
最先端アームは水平回動及び(又は)捻り動作可能に構成され、前記最先端アーム以外は水平回動可能に構成されていてもよい。このような構成によれば、各アームの中心軸は鉛直方向に変位することがなく、スペースを有効に利用することができる。前記最先端アームは、捻れ回動自在に構成されていると、ワークの形状及び傾斜に合わせてワークを適切に保持することができる。
【0021】
前記最先端アームには、ワークを吸着するバキューム手段が設けられていると、ワークを簡便に保持することができる。
【0022】
前記最先端アームは長手方向に延在する循環体を有し、該循環体を介して先端のエンドエフェクタを回動自在に構成されていてもよい。このような循環体によれば、アクチュエータを最先端アームにおける基端側に配置して慣性モーメントを小さくして動作の安定を図ることができる。また、モーメントも小さくなり、アームの撓みを減少させることができる。ここでいう循環体とは、1周以上の循環をするものに限らず、アクチュエータの作用下に所定量だけ往復するものを含む。
【0023】
前記水平アームと平行なサブアームと、前記水平アーム及び前記サブアームの各先端に接続された連結部材とを有し、前記水平アーム、前記サブアーム及び前記連結部材は平行リンクを構成していてもよい。このような平行リンクによれば、自重及びワーク質量による撓みを一層減少させることができる。
【0024】
前記水平アーム及び前記サブアームには、それぞれ回動駆動源が設けられていてもよい。これにより1台当たりの回動駆動源を小さくすることができ、レイアウトの自由度が大きくなる。
【0025】
前記水平アームの次に接続される第2アームは、前記連結部材上で、前記水平アームの先端回動部及び前記サブアームの先端回動部よりも先端側で接続されていてもよい。これにより、第2アームを駆動するアクチュエータを水平アームの先端回動部及びサブアームの先端回動部の影響を受けずに自由なレイアウトで配置可能である。
【0026】
この場合、前記第2アームは、前記連結部材上で、前記水平アームの先端回動部及び前記サブアームの先端回動部を結ぶ線に対し、一方の先端回動部で直交する線上で接続されていてもよい。これにより、平行リンクの幅を有効に利用して自重及びワーク質量による撓みを一層軽減することができる。
【0027】
前記水平アームの先に接続されるアームは、基端側に隣接するアームの延出方向は非動作領域に設定され、該延出方向の逆方向は動作領域に設定されていてもよい。このような構成によれば、各アームを折り畳む姿勢にすることができ、狭いスペースでワークを搬送させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る多関節ロボットによれば、円弧形状の支持部材により水平アームを支持することにより、自重及びワーク質量による撓みが少なくなり、アームの全長が長く設定されていても、ワークを精度良く長距離搬送をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係る多関節ロボットについて実施の形態を挙げ、添付の図1〜図12を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、回転動作に伴う動的な回転力を慣性モーメントとし、自重等によって下方に向かって発生する静的な回転力を静的モーメント又は単にモーメントと呼んで区別する。
【0030】
図1に示すように、本実施の形態に係る多関節ロボット10は、一方の加工機12からワークWを搬出し、他方の加工機14にワークを搬入する搬送動作を行うものである。
【0031】
多関節ロボット10は、並列に設けられた一対の昇降装置16a及び16b、該昇降装置16a及び16bによって昇降する支持板(支持部材)18と、該支持板18に接続されたアーム体20と、先端に設けられたエンドエフェクタ22とを有する。多関節ロボット10は、図示しないコントローラの作用下に動作を行い、昇降装置16a、16bの昇降量及びアーム体20の姿勢を制御してワークの搬送を行う。
【0032】
なお、以下の説明では、支持板18の中心を中心Oとし、前後方向をX方向、その距離及び位置をX座標とも呼ぶ。また、横方向をY方向、高さ方向をZ方向とも呼ぶ。
【0033】
図2〜図4に示すように、昇降装置16aは、昇降モータ23と、該昇降モータ23によって回転するボールねじ27と、該ボールねじ27に螺合して昇降するナット体24と、該ナット体24を上下方向に案内する昇降レール25と、ナット体24を上方へ付勢するシリンダ(自重補償手段)26とを有する。1つのシリンダ26は、アーム体20及び支持板18の自重の半分を補償するように力が設定されている。
【0034】
昇降装置16bは昇降装置16aと同構成であり、それぞれシリンダ26を有することから、アーム体20及び支持板18の全自重が補償され、昇降に要する動力が小さくなり、しかもブレーキ装置を省略することが可能となる。
【0035】
昇降装置16aは、下端の支軸30a及び横レール32を介して支持板18と接続されている。一方、昇降装置16bは、下端の支軸30bのみを介して支持板18と接続されている。このような構成によれば、2台の昇降装置16aと16bの昇降量を変化させることにより、昇降装置16aの下端は横レール32に沿って相対的に横方向に移動し、支持板18及びアーム体20は支軸30bを中心としたチルト動作(矢印A参照)が可能となる。
【0036】
支持板18は、平面視で略180°の扇形であって、上下に並列した2枚の板36a、36bと、これらの板36a及び36bを接続する複数の補強板38と、下面に設けられた円弧レール40と、左右両端に設けられたポスト42(図4参照)で固定されたオイルパン44と、軽量化のための複数の孔46とを有する。
【0037】
オイルパン44は、上方に開口した断面凹形状の円弧板であり、後述する係合部100からグリス等が下に落ちることを防止するためのものである。
【0038】
円弧レール40は、後述する第1アーム50の係合部100(図6参照)を支持するためのものであって、支持板18の円弧外周部近傍に設けられている。円弧レール40は、第1アーム50の動作範囲を広く設定するために広角度であることが望ましく、例えば中心Oを基準として90°以上に設定されているとよい。
【0039】
また、ワークWを横方向(Y方向)に移動させることを考慮すると、通常は180°あれば足りる。多関節ロボット10では、円弧レール40及びオイルパン44は中心Oを基準として略180°に設定されている。
【0040】
また、中心Oを基準とした円弧レール40の半径R1は、第1アーム50の軸間長さR2よりはやや短く設定されている。半径R1は、長さR2に対して1/2以上である(つまり、中心よりも先端側を支持する)ことが好ましく、できるだけ長さR2に近いことがより好ましい。
【0041】
図3に示すように、昇降装置16a及び16bは、側面視で中心Oよりも前方(矢印X1側)で支持板18を支持している。図3からも明らかなように、アーム体20の重心Gは中心Oよりも前方に位置しており、昇降装置16a及び16bの支持位置との水平距離L0は相当に小さい。したがって、アーム体20の質量D0によって発生するモーメントM0(=L0×D0)は小さく、昇降装置16a及び16bに過大な力が加わることを防止できる。なお、ワークWを搬送する際にも該ワークWをあまり前方に移動させず、座標Xを小さく保ったまま移動させることにより重心Gの座標Xも小さく保たれ、昇降装置16a及び16bに過大な力が加わることを防止できる。
【0042】
アーム体20は、複数のアームが回動する関節を介して接続された多関節ロボットであって、基端側から先端側に向かって順に第1アーム(水平アーム)50、連結部材52、第2アーム54及び第3アーム56を有する。また、第1アーム50に対して平行にサブアーム58が設けられており、第1アーム50及びサブアーム58の各先端は連結部材52に対して回動自在に接続されている。
【0043】
図2に示すように、第1アーム50の機械的な回転範囲θ1は、矢印X1方向を中心として170°である。第2アーム54の機械的な回転範囲θ2は、連結部材52と第2アーム54との接続部である軸52aから第1アーム50の先端回動部50aに向かう方向を中心として350°である。第3アーム56の機械的な回転範囲θ3は、第2アーム54との接続部である軸54aから軸52aに向かう方向を中心として350°である。
【0044】
このような回転動作を行う軸部の回動範囲は、機構上360°以上にすることは困難であり、非動作領域が生じる。一般の多関節ロボットにおいては、広い可動範囲を得るために各アームが先端方向に延出するように、非動作領域を基端側に設定する。
【0045】
一方、多関節ロボット10では、第1アーム50の先に接続される第2アーム54及び第3アーム56は、基端側に隣接するアームの延出方向は非動作領域に設定され、該延出方向の逆方向は動作領域に設定されている。つまり、一般の多関節ロボットとは逆に非動作領域を先端側に設定し、基端側は動作領域に設定している。
【0046】
このような構成によれば、後述するように、多関節ロボット10は各アームを折り畳む姿勢にすることができ(図8参照)、狭いスペースでワークを搬送させることができる。
【0047】
なお、以下の説明では、便宜上、第2アーム54及び第3アーム56についても先端方向に向かって伸ばしきることができるように図示し、又はモデル化して説明する。
【0048】
第1アーム50、連結部材52、第2アーム54、第3アーム56及びサブアーム58の材質としては、例えば、アルミニウム(合金を含む)、ステンレススチール又は鋼材等を用いるとよい。第1アーム50、連結部材52、第2アーム54、第3アーム56及びサブアーム58の構造としては、例えば、ボックス構造、ブロック構造、又は鋳造による成型により構成することができる。
【0049】
第1アーム50とサブアーム58は同形状で、軸間長さR1が等しい。したがって、第1アーム50、サブアーム58及び連結部材52は平行リンクを構成する。第3アーム56の先端部には、ワークWを吸着するためのエンドエフェクタ59が装着されている。
【0050】
第1アーム50は、基端部が支持板18の中心Oにおいて軸支されるとともにモータ(回動駆動源)60aにより駆動される。サブアーム58は、基端部が支持板18の平面視(図2参照)で左側端部において軸支されるとともにモータ(回動駆動源)60bにより駆動される。このように平行リンクを2台のモータ60a、60bで駆動することにより、1台当たりのモータ60a、60bを小さくすることができ、レイアウトの自由度が大きくなる。モータ60a、60b及び後述する各モータには、ギア等の減速手段が設けられていてもよい。
【0051】
第1アーム50及びサブアーム58は、支持板18の下方に設けられ、モータ60a及び60bは、支持板18から上方に突出して設けられている。
【0052】
連結部材52は略L字形状であり、L字の短辺の端部が第1アーム50の先端に対して回動自在に接続されており、L字の長辺の端部がサブアーム58の先端に対して回動自在に接続されている。
【0053】
第2アーム54は、基端部が連結部材52におけるL字形状の頂部に軸支されるとともにモータ62により駆動される。第2アーム54は連結部材52の下方に設けられ、モータ62は連結部材52から上方に突出している。
【0054】
このように、第2アーム54は、連結部材52上で、第1アーム50の先端回動部及びサブアーム58の先端回動部よりも先端側で接続されている。これにより、第2アーム54を駆動するモータ62を先端回動部50a及び先端回動部58aの影響を受けずに自由なレイアウトで配置可能である。このような構成により、多関節ロボット10ではモータ62を連結部材52の上方に配置可能となり、第3アーム56に対する干渉を防止できる。
【0055】
また、第2アーム54は、連結部材52上で、第1アーム50の先端回動部50a又はサブアーム58の先端回動部58aを基準として、両先端回動部を結ぶ線に対する直交線Lp上(つまり、L字の短辺上)で接続されている。これにより、平行リンクの幅Eを有効に利用して自重及びワークWの全質量H(図10A参照)による撓みを軽減することができる。
【0056】
第1アーム50,第2アーム54及び連結部材52は、それぞれ内部に補強板を有するボックス構造であり、軽量且つ高強度である。
【0057】
第3アーム56は、短い基端部56aと該基端部56aから水平方向に延在する延在部56bとを有する。基端部56aは、第2アーム54の先端部に軸支されるとともにモータ64により駆動される。基端部56aは第2アーム54の下方に設けられ、モータ64は、第2アーム54から上方に突出して設けられている。
【0058】
モータ64によって駆動されるのは、第3アーム54及び軽量なエンドエフェクタ59だけであることから、該モータ64は小型のもので足り、第1アーム50、サブアーム58及び連結部材52の下面に対して干渉することがない。
【0059】
延在部56bは、基端部56aに対して回動自在に設けられるとともに、モータ66により捻り回転自在に構成されている。延在部56bは、基端部56aの側面から延在するように構成されており、モータ66は基端部56aにおける延在部56bの装着部に対して逆側に設けられ、延在部56bと同軸上に設けられている。
【0060】
なお、図3から明らかなように第1アーム50、第2アーム54、連結部材52及びサブアーム58は水平面に沿って回動又は移動をすることになる。最先端の第3アーム56だけは、モータ66によって捻り回動を伴う。
【0061】
すなわち、アーム体20では、複数の関節のうち、最先端の関節は水平回動及び捻り動作可能に構成され、最先端以外の関節は水平回動可能に構成されていている。このような構成によれば、各アーム50、54、56、連結部材52及びサブアーム58の中心軸は鉛直方向に変位することがないことから、例えば上方の他の機器67に干渉することがなく、スペースを有効に利用することができる。
【0062】
図4及び図5に示すように、第3アーム56は、先端部にエンドエフェクタ59が回動自在に接続される軸部70と、該エンドエフェクタ59を駆動するモータ72と、モータ72の回転を軸部70に伝達するチェーン(循環体)74と、空圧機器76とを有する。モータ72は延在部56bの基端部近傍の上面に設けられている。エンドエフェクタ59は軽量であることからモータ72は小型のもので足り、第2アーム54の下面に対して干渉することがない。
【0063】
モータ72の回転軸に設けられた駆動スプロケット78は、チェーン74に噛合する。チェーン74の先端側は従動スプロケット80に噛合し、該従動スプロケット80が軸部70を介してエンドエフェクタ59を回動させる。チェーン74は、複数のテンショナ82によってテンションが調整されている。
【0064】
このようなチェーン74を用いた駆動によれば、モータ72を第3アーム56における基端側に配置して慣性モーメントを小さくして動作の安定を図ることができる。また、静的モーメントも小さくなり、各アームの撓みを減少させることができる。
【0065】
延在部56bは、チェーン74を収納する薄型のボックス構造であり、軽量且つ高強度である。空圧機器76は、モータ72の近傍に設けられている。
【0066】
エンドエフェクタ59は、広い面積のワークWを吸着することができるように、複数のパイプを格子状に接続して構成されており、下面に複数(例えば8つ)のバキューム体84が設けられている。バキューム体84は、それぞれ空圧機器76によって個別に制御される。つまり、ワークWが小さいときには中央部のバキューム体84だけを吸着させ、ワークWが広いときには全てのバキューム体84を吸着させればよい。各バキューム体84は、空圧機器76を介して図示しない吸気手段(真空ポンプやエジェクタ等)に接続されている。エンドエフェクタ59はワークWの形状に応じて異なる型式のものに交換可能である。
【0067】
次に、支持板18が第1アーム50を支持する構造について図6を参照しながら説明する。
【0068】
第1アーム50の上面には、支持板18によって支持される係合部100が設けられている。係合部100は、第1アーム50の上面に設けられた2つのブロック102と、各ブロック102の上面に固定された板104と、該板104の上面に設けられた2つのガイド106とを有する。板104の中央には軽量化のための孔が設けられている。各ガイド106は、内部に循環経路を形成するリテーナが設けられており、該リテーナに多数のボールが直列に配列されている。これらのボールがリテーナに沿って移動をすることにより、ガイド106は円弧レール40に対して滑らかにスライドすることができる。
【0069】
ガイド106の側面には、グリスニップル107が設けられており、摺動面及び内部のボールに対してグリスを充填することができ、潤滑、防錆等の作用を奏する。
【0070】
2つのガイド106は並列して設けられており、それぞれ円弧レール40に係合し、滑らかにスライド可能である。ガイド106が円弧レール40に係合及びスライドすることにより第1アーム50は滑らかに回動することができる。また、円弧レール40は両側面に凹部40aを有し、ガイド106は該凹部40aに係合する凸部106aを有している。凹部40aと凸部106aが係合することにより、第1アーム50及び係合部100は支持板18によって懸架されて支持されることになる。
【0071】
第1アーム50を支持する形式は、懸架方式に限らず、下から支持する方式等でもよい。
【0072】
2つのブロック102の間で、第1アーム50と板104との間には貫通隙間108が形成されている。該貫通隙間108にはオイルパン44が挿通している。第1アーム50の左右の側面で貫通隙間108の近傍には、オイルパン44を下から支えるローラ体110が設けられている。ローラ体110の向きは、オイルパン44の相対的な動作方向に合わせて設定されている。2つのローラ体110のうち一方は図6では隠れているが、左右対称形状なので図示を省略する。
【0073】
次に、このように構成される多関節ロボット10がワークWを加工機12から加工機14に搬送する手順について説明する。
【0074】
以下の説明では、加工機12が左側、加工機14が右側で、加工機12と加工機14との距離は多関節ロボット10による最大搬送可能距離と略等しい程度に離間しており、支持板18の中心Oはこれらの加工機12と加工機14との中間点に設定されているものとする。
【0075】
先ず、図7に示すように、加工機12におけるワークWの上方にエンドエフェクタ59が配置されるようにアーム体20を移動させる。つまり、係合部100が円弧レール40の左端近傍部に達するまで第1アーム50及びサブアーム58を時計方向に回動させるとともに、第2アーム54及び第3アーム56が左方向に延在するように配置させる。また、エンドエフェクタ59はワークWの形状及び傾斜に合うように回動させる。つまり、ワークWの形状及び傾斜に合わせて、モータ72の作用下に第3アーム56を捻り、必要に応じては、昇降装置16aと昇降装置16bの高さを変えてチルト動作(図4の矢印T参照)をさせてもよい。
【0076】
次に、昇降装置16a及び16bを同期して動作させ、支持板18及びアーム体20を下降させ、エンドエフェクタ59をワークWの上面に当接させ、又は接近させる。
【0077】
次いで、空圧機器76の作用下に複数のバキューム体84のうち一部又は全部を吸引駆動させ、ワークWを吸着させる。この後、昇降装置16a及び16bを同期して動作させ支持板18及びアーム体20を上昇させ、ワークWを加工機12から搬出する。
【0078】
図8に示すように、ワークWを加工機12から加工機14に搬送する途中の状態においては、アーム体20の各アームを協調動作させ、ワークWが加工機12から加工機14へ達する略最短距離を通るようにする。つまり、第1アーム50及びサブアーム58を反時計方向に回動させるとともに、第2アーム54及び第3アーム56を適度に屈曲させ、後方に引き込むように動作させるとよい。
【0079】
またアーム体20の動作に合わせてエンドエフェクタ59を駆動し、ワークWの姿勢が略一定に保たれるように制御をする。
【0080】
一方、破線で示すように、第2アーム54及び第3アーム56の双方を前方に向かって延在させると、ワークWの姿勢を一定に保持しても該ワークWは円弧状に移動をすることから慣性モーメントが発生することになり安定性が損なわれる。また、ワークWが所定の搬送制限ライン150を超えて前方に突き出ることになり、広いスペースが必要になる。さらに、第2アーム54、第3アーム56及びワークWは、第1アーム50、サブアーム58及び支持板18から見て相当前方に突き出ることになるので、大きな慣性モーメント及び静的モーメントが発生し、第1アーム50、サブアーム58及び支持板18に撓みが生じやすい。
【0081】
他方、第2アーム54及び第3アーム56は、仮想線で示すように前方に突き出すようにしてもワークWの姿勢及び動作経路を引き込み動作時と同じに保つことができ、搬送制限ライン150を超えない姿勢をとることも可能である。しかしながら、この場合も、第2アーム54及び第3アーム56は、第1アーム50及びサブアーム58から見て前方に突き出ることになるので、ある程度の動的モーメント及び静的モーメントが発生し、第1アーム50、サブアーム58及び支持板18に撓みが生じやすい。
【0082】
これに対して、アーム体20を折り畳みの姿勢にして、実線で示すように引き込み動作を行い、ワークWが前方へ突き出すことのないように移動をさせることにより、前方部分のスペースを有効に利用することができるとともに、第1アーム50、サブアーム58及び支持板18に加わる慣性モーメント及び静的モーメントを低減することができる。
【0083】
また、第2アーム54及び第3アーム56を折り畳み、後方に引き込むように動作させることにより、ワークWを直線状に搬送することが可能となってワークWの円弧状の回転が防止され、慣性モーメントが発生しにくい。また、第2アーム54及び第3アーム56についても円弧状の回転が防止され、慣性モーメントが発生しにくい。
【0084】
さらに、ワークWの姿勢を保持したまま搬送させることにより、ワークWの自転的な回転が防止され、慣性モーメントの発生を一層防止することができ、安定した搬送が可能になる。
【0085】
さらにまた、第2アーム54及び第3アーム56を折り畳み、後方に引き込むように動作させることにより、前方のスペースを有効に利用できるとともに、前方に対する突き出し量がほとんどないことから第1アーム50、サブアーム58及び支持板18に加わる慣性モーメント及び静的モーメントが小さく、歪みを低減することができる。
【0086】
なお、この搬送時には、アーム体20、エンドエフェクタ59及びワークWは、水平方向に移動をするだけであり、鉛直方向の動作は基本的には発生しない。したがって、アーム体20、エンドエフェクタ59及びワークWが移動をするのに要する所定高さの範囲以外はフリースペースであり、スペースの有効利用が可能である。
【0087】
ワークWの搬送中、連結部材52は第1アーム50及びサブアーム58とともに平行リンクを構成していることから、機構的に姿勢が一定に維持され、制御が容易である。
【0088】
図9に示すように、ワークWを加工機14の上方にワークWが配置されるまでアーム体20を搬送を継続する。つまり、係合部100が円弧レール40の右端近傍部に達するまで第1アーム50及びサブアーム58を半時計方向に回動させるとともに、第2アーム54及び第3アーム56が右方向に延在するように配置させる。また、エンドエフェクタ59はワークWの向きが加工機14に対する載置向きに合うように回動させる。また、加工機14の載置面の傾斜に応じて、モータ72の作用下に第3アーム56を捻り、必要に応じては、昇降装置16aと昇降装置16bの高さを変えてチルト動作(図4の矢印T参照)をさせてもよい。
【0089】
この後、昇降装置16a及び16bを同期して動作させ支持板18及びアーム体20を下降させ、バキューム体84の吸引駆動を停止してワークWを加工機14に載置することにより搬入を終了する。搬入が終了した後、昇降装置16a及び16bの作用下にアーム体20を適度に上昇させ、該アーム体20を所定の待機姿勢となるように移動させる。
【0090】
ところで、図7及び図8に示す状態では、第2アーム54及び第3アーム56が第1アーム50、サブアーム58及び支持板18から相当に突出しており、一見すると大きなモーメントが発生して歪みが生じるようにも思われよう。しかしながら、多関節ロボット10では、支持板18による第1アーム50の支持構造及びサブアーム58と連結部材52を含めた平行リンク構造によりモーメント及び歪みの発生を効果的に防止することができるのであり、以下その理由について説明する。
【0091】
図10Aは、図10B〜図10Dとの対比用に、加工機12からワークWを搬出する状態を模式化したものである。図10Aでは、第1アーム50が正確に左方向に延在しているものとする。以下の説明では、第1アーム50及びサブアーム58と連結部材52との接続関節をP1及びP2とし、係合部100の位置をP3とする。連結部材52と第2アーム54との接続関節をP4、第2アーム54と第3アーム56との接続関節をP5、第3アーム56の先端の軸部70をP6、サブアーム58の回動中心をP7とする。第2アーム54、第3アーム56、エンドエフェクタ59及びワークWを統括的に先端延在部160と呼ぶ。
【0092】
平行リンクの横方向幅であるP1とP2との距離(換言すれば中心OとP7との距離)をE、アーム体20の重心位置をG、アーム体20の全質量をHとする。簡略化のため、重心G及び全質量HはワークW、エンドエフェクタ59等を含めたものとする。
【0093】
図10Bは、多関節ロボット10が左方向を指向した状態で、第1アーム50と先端延在部160とをモデル化したものである。図10Bから了解されるように、アーム体20の最も基端側は中心Oであることから、該アーム体20にかかるモーメントM1は、中心Oから重心Gまでの距離L1と全質量Hとを乗算したL1×Hとなり、該モーメントM1が中心Oに加わって、仮想線で示すように、大きく歪み得る。しかしながら、多関節ロボット10では、P3において第1アーム50が係合部100を介して支持板18によって支持されていることから、モーメントM1は、概略的には、P3から重心Gまでの距離L2(=L1−R)と全質量Hから第1アーム50の質量H1を減算した値とを乗算したL2×(H−H1)となり、該モーメントM1がP3に加わることになる。
【0094】
このように重心Gの支点に対する距離は、係合部100がない場合のL1と比較して距離Rだけ短いL2となり、質量もH−H1となり、モーメントM1を小さくすることができ、歪みを低減することができる。
【0095】
また、第1アーム50は、適度に離間した中心OとP3の2点で支えられていることから、該第1アーム50を十分に高剛性に形成することにより端部のP1の位置は安定する。
【0096】
先端延在部160と第1アーム50とを1つの梁として考えた場合、該梁は中心OとP3の2点で支えられており、中心OにモーメントM1を打ち消すための反力F1が生じて安定する。図10Bのモデルからは、反力F1は、F1=M1/Rとして求められるが、実際には後述する反力F2が協調的に作用するため、M1/Rよりは相当に小さい値となる。
【0097】
なお、このような考察から、距離Rはできるかぎり中心OとP1との距離R2に近いことが好ましいことが理解されよう。設計条件によりR=R2とすることが困難な場合もあり、実際上は、長さR2に対して1/2以上、より好ましくは3/4以上に設定していると上記の効果が確実に得られる。
【0098】
このような、係合部100を介して支持板18により第1アーム50を支持することによる効果は、先端延在部160が左方向に延在している場合に限らず、例えば、図8に示す搬送途中の状態で、破線で示すように、仮に先端延在部160を前方に延在させた場合においても得られる。
【0099】
図10Cは、多関節ロボット10が左方向を指向した状態で、連結部材52と先端延在部160とをモデル化したものである。図10Cから了解されるように、このモデルに加わるモーメントM2は、概略的には、P1(P4)から重心Gまでの距離L3と全質量Hから連結部材52の質量H2を減算した値とを乗算したL3×(H−H2)となり、該モーメントM2がP1(P4)に加わることになる。
【0100】
前記のとおりP1の位置は安定しているのであるが、仮に、P2における支持がない場合には、先端延在部160をP1(及びP4)だけで支持しなければならず、モーメントM2が加わることにより、仮想線で示すように、大きく歪み得る。しかしながら、多関節ロボット10では、先端延在部160と連結部材52とを1つの梁として考えた場合、該梁がP1(及びP4)とP2の2点で支えられており、P2にモーメントM2を打ち消すための反力F2が生じて安定する。図10Cのモデルからは、反力F2は、F2=M2/Eとして求められるが、実際には前記の反力F1が協調的に作用するため、M2/Eよりは相当に小さい値となる。
【0101】
なお、理解を容易にするために、アーム体20を図10Bと図10Cの2つに分けて説明をしたが、図10Dに示すように統合的なモデルを用いてもよいことはもちろんである。このモデルの場合、統合的なモーメントMaがP3に加わり、これを中心Oの反力F1とP2の反力F2で打ち消して安定していると判断すればよい。
【0102】
次に、図11Aは、図11B及び図11Cとの対比用に、加工機14にワークWを搬入する状態を模式化したものである。図11Aでは、第1アーム50が正確に右方向に延在しているものとする。
【0103】
図11Bは、多関節ロボット10が左方向を指向した状態で、第1アーム50と先端延在部160とをモデル化したものである。図11Bは、前記の図11Bと比較して左右逆になっており、この場合も係合部100を介して支持板18により第1アーム50を支持することによる効果があることは容易に理解されよう。
【0104】
図11Cは、多関節ロボット10が右方向を指向した状態で、連結部材52と先端延在部160とをモデル化したものである。図11Cから了解されるように、このモデルに加わるモーメントM3は、概略的には、P1(P4)から重心Gまでの距離L4と全質量Hから連結部材52の質量H2を減算した値とを乗算したL4×(H−H2)となり、該モーメントM3がP1(P4)に加わることになる。
【0105】
仮に、P2における支持がない場合には、先端延在部160をP1(P4)だけで支持しなければならず、モーメントM3が加わることにより、仮想線で示すように、大きく歪み得る。しかしながら、多関節ロボット10では、先端延在部160と連結部材52とを1つの梁として考えた場合、該梁がP1(P4)とP2の2点で支えられており、P2にモーメントM3を打ち消すための反力F3が生じて安定する。図11Cのモデルからは、反力F3は、F3=M3/Eとして求められるが、実際には前記の反力F1が協調的に作用するため、M3/Eよりは相当に小さい値となる。
【0106】
このような、連結部材52をP2で支えることによる効果は、図10C及び図11Cに示すように先端延在部160が左方向又は右方向に延在している場合に特に顕著であり、左右の加工機12及び加工機14に対してワークWを安定して搬入及び搬出が可能となる。また、この効果は、第1アーム50及びサブアーム58の回動位置に拘わらずに発揮され、例えば、図12に示すように、第1アーム50及びサブアーム58が前方を指向している状態でも、先端延在部160が左方向又は右方向に延在している場合に同様の効果が得られる。
【0107】
上述したように、本実施の形態に係る多関節ロボット10によれば、円弧レール40により水平回動する第1アーム50を支持することにより、自重及びワークWの質量による撓みが少なくなり、アームの全長が長く設定されていても、ワークWを精度良く長距離搬送をすることができる。
【0108】
円弧レール40により支持をするのは、アーム体20における最も基端側の第1アーム50であることから、一層確実に撓みを減少させることができる。
【0109】
また、第1アーム50と平行なサブアーム58と、第1アーム50及びサブアーム58の各先端に接続された連結部材52とを有し、これらの部材が平行リンクを構成している。このような平行リンクによれば、先端延在部160が連結部材52の延在方向(Y方向)と略同じ方向に延在しているときに、該先端延在部160を効果的に支持し、回転や撓みを一層減少させることができる。
【0110】
さらに、加工機12と加工機14との間で多関節ロボット10が1台のみでワークWを搬送することができるため、システムを廉価に構成することができるとともに、設置スペースが小さくて足りる。また、台車等への受け渡し、受け取り作業が不要であり、ワークWを迅速に搬送することができる。このような受け渡しが不要であることから台車等との同期が不要であり、制御手順が簡便である。さらに、ワークWの搬送の搬送距離、搬送位置は、プログラムに基づいてアーム体20の姿勢を変更することにより柔軟に対応が可能であって、加工機12、14のレイアウトが変更される場合にも好適に適用可能である。
【0111】
さらに、ワークWの搬送時において、基本的にはアーム体20は水平面に沿って動作を行い、アーム体20の姿勢としてはいわゆるエルボアップ姿勢のように無駄に鉛直方向に移動をすることがなく、移動に要するスペースが狭くて足りる。
【0112】
多関節ロボット10は、支持板18及びアーム体20の全体を昇降させる昇降装置16a及び16bを備えていることから、加工機12、14に対するワークWの授受や、所定の障害物を避ける動作を簡便に行うことができる。また、アームがいわゆるエルボアップのような無駄に鉛直方向突出する姿勢にはならず、スペースを有効利用することができる。
【0113】
第2アーム54は、第1アーム50及びサブアーム58の両先端回動部を結ぶ線に対する直交線Lp上で接続されており、平行リンクの幅Eを有効に利用して自重及びワークWの質量による撓みを一層軽減することができる。
【0114】
本発明に係る多関節ロボットは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本実施の形態に係る多関節ロボットの斜視図である。
【図2】本実施の形態に係る多関節ロボットの平面図である。
【図3】本実施の形態に係る多関節ロボットの断面側面図である。
【図4】本実施の形態に係る多関節ロボットの正面図である。
【図5】第3アームの断面平面図である。
【図6】係合部の斜視図である。
【図7】一方の加工機におけるワークの上方にエンドエフェクタが配置された状態の多関節ロボットの平面図である。
【図8】ワークを一方の加工機から他方の加工機に搬送する途中の状態の多関節ロボットの平面図である。
【図9】他方の加工機の上方にワークを配置させた状態の多関節ロボットの平面図である。
【図10】図10Aは、一方の加工機からワークを搬出する状態の模式平面図であり、図10Bは、一方の加工機からワークを搬出する状態の先端延在部及び第1アームの模式正面図であり、図10Cは、一方の加工機からワークを搬出する状態の先端延在部及び連結部材の模式正面図であり、図10Dは、一方の加工機からワークを搬出する状態のアーム体の模式平面図である。
【図11】図11Aは、他方の加工機にワークを搬入する状態の模式平面図であり、図11Bは、他方の加工機にワークを搬入する状態の先端延在部及び第1アームの模式正面図であり、図11Cは、他方の加工機にワークを搬入する状態の先端延在部及び連結部材の模式正面図である。
【図12】第1アーム及びサブアームが前方を指向している状態で、先端延在部が左方向又は右方向に延在している場合の多関節ロボットの模式平面図である。
【符号の説明】
【0116】
10…多関節ロボット 12、14…加工機
18…支持板(支持部材) 20…アーム体
40…円弧レール 50…第1アーム(水平アーム)
52…連結部材 54…第2アーム
56…第3アーム 100…係合部
106…ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアームが回動する関節を介して接続された多関節ロボットにおいて、
水平に回動する水平アームと、
前記水平アームの回動中心に対して同軸の円弧形状で、該水平アームの一部をスライド自在に支持する支持部材と、
を有することを特徴とする多関節ロボット。
【請求項2】
請求項1記載の多関節ロボットにおいて、
前記支持部材は、前記水平アームの一部と係合するレールであることを特徴とする多関節ロボット。
【請求項3】
請求項1又は2記載の多関節ロボットにおいて、
前記支持部材は、前記水平アームの中心よりも先端側を支持することを特徴とする多関節ロボット。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の多関節ロボットにおいて、
前記支持部材が前記水平アームを支持する角度範囲は、90°〜180°の範囲のいずれかであることを特徴とする多関節ロボット。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の多関節ロボットにおいて、
昇降装置を備えることを特徴とする多関節ロボット。
【請求項6】
請求項5記載の多関節ロボットにおいて、
前記昇降装置には、自重補償手段が設けられていることを特徴とする多関節ロボット。
【請求項7】
請求項5又は6記載の多関節ロボットにおいて、
前記昇降装置は並列して2台設けられ、昇降量を変化させることによりチルト動作が可能に構成されていることを特徴とする多関節ロボット。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の多関節ロボットにおいて、
最先端アームは水平回動及び(又は)捻り動作可能に構成され、前記最先端アーム以外は水平回動可能に構成されていることを特徴とする多関節ロボット。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の多関節ロボットにおいて、
前記最先端アームには、ワークを吸着するバキューム手段が設けられていることを特徴とする多関節ロボット。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の多関節ロボットにおいて、
前記最先端アームは長手方向に延在する循環体を有し、該循環体を介して先端のエンドエフェクタを回動自在に構成されていることを特徴とする多関節ロボット。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の多関節ロボットにおいて、
前記昇降装置は前記支持部材の上方に接続されており、前記水平アームは前記支持部材の下方に接続されていることを特徴とする多関節ロボット。
【請求項12】
請求項11記載の多関節ロボットにおいて、
側面視で、前記昇降装置は、前記水平アームの接続位置よりも前方で前記支持部材に接続されていることを特徴とする多関節ロボット。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の多関節ロボットにおいて、
前記水平アームと平行なサブアームと、
前記水平アーム及び前記サブアームの各先端に接続された連結部材と、
を有し、
前記水平アーム、前記サブアーム及び前記連結部材は平行リンクを構成することを特徴とする多関節ロボット。
【請求項14】
請求項13記載の多関節ロボットにおいて、
前記水平アーム及び前記サブアームには、それぞれ回動駆動源が設けられていることを特徴とする多関節ロボット。
【請求項15】
請求項13又は14記載の多関節ロボットにおいて、
前記水平アームの次に接続される第2アームは、前記連結部材上で、前記水平アームの先端回動部及び前記サブアームの先端回動部よりも先端側で接続されていることを特徴とする多関節ロボット。
【請求項16】
請求項15記載の多関節ロボットにおいて、
前記第2アームは、前記連結部材上で、前記水平アームの先端回動部及び前記サブアームの先端回動部を結ぶ線に対し、一方の先端回動部で直交する線上で接続されていることを特徴とする多関節ロボット。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の多関節ロボットにおいて、
前記水平アームの先に接続されるアームは、基端側に隣接するアームの延出方向は非動作領域に設定され、該延出方向の逆方向は動作領域に設定されていることを特徴とする多関節ロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−213060(P2008−213060A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−51305(P2007−51305)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(591033010)株式会社小矢部精機 (8)
【Fターム(参考)】