説明

多面付けワーク基板および多面付けワーク基板の製造方法

【課題】タッチパネルセンサ部が静電気により損傷するのを防ぐことができる多面付けワーク基板を提供する。
【解決手段】ワーク基板70の一面70aの各チップ部71にはタッチパネルセンサ部10が設けられており、またワーク基板70の一面70aの外枠部72には導電性を有する外枠除電パターン74が設けられている。各タッチパネルセンサ部10は、所定パターンで設けられた複数の電極パターン13,15と、各々が各電極パターン13,15に対応する複数の端子部17と、各々が各電極パターン13,15と各端子部17との間を電気的に接続する複数の導電パターン14,16と、を有している。またワーク基板70の一面70a上には、各タッチパネルセンサ部10を部分的に覆うとともに、外枠除電パターン74に接続された保護層22がさらに設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサが割り付けられた多面付けワーク基板に関する。また本発明は、多面付けワーク基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネル機能を実現するためのタッチパネルセンサとして、静電容量式のタッチパネルセンサが知られている。容量結合式タッチパネルセンサにおいては、人間の指などの外部導体がタッチパネルセンサに接触(接近)するときに発生する静電容量の変化を利用して、タッチパネルセンサ上における人間の指などの外部導体の位置を検出する。静電容量式タッチパネルセンサには表面型と投影型とがあるが、マルチタッチの認識(多点認識)への対応に適していることから、投影型が注目を浴びている。
【0003】
このようなタッチパネルセンサの形態として、基板と、基板の一面上に設けられたタッチパネルセンサ部と、基板の他面上に設けられたカラーフィルタ部と、を備えたカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサが提案されている(特許文献1)。
【0004】
ところで、タッチパネルセンサ部およびカラーフィルタ部を製造する工程は、一般に、はじめに基板上に塗工液を塗布し、次に基板上の塗工液を乾燥させて層を形成し、その後、層をフォトリソグラフィーなどの方法を用いて加工する工程を含んでいる。ここで、基板上に塗工液を塗布する工程においては、例えば、支持台上に固定された基板に対して塗工液が塗布される。また、基板上の塗工液を乾燥させる工程においては、例えば、ホットプレートを用いた加熱により塗工液が乾燥される。また、フォトリソグラフィー工程として現像工程やエッチング法が行われた場合、現像・水洗後、またはエッチング・水洗後に、加工された層に残る洗浄液がエアーナイフにより除去される。
【0005】
基板上にタッチパネルセンサおよびカラーフィルタを製造する際、様々な原因により静電気が発生し得ることが知られている。静電気が発生する原因としては、例えば、支持台またはホットプレートから基板を剥離させる際の剥離帯電や、エアーナイフを用いた液切りの際の摩擦帯電などが挙げられる。このような静電気が放電すると、基板上に形成された層が損傷を受けるおそれがある。
【0006】
静電気に起因して層が損傷することを防ぐため、特許文献2において、カラーフィルタのブラックマトリクス層の体積抵抗率を所定値以下にし、これによって、静電気の発生を低減することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−160745号公報
【特許文献2】特開2001−147314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサの製造工程においては、一般に、はじめにワーク基板の一面上に複数のタッチパネルセンサ部が形成され、次にワーク基板の他面上に複数のカラーフィルタ部が形成される。一般に、カラーフィルタ部の形成工程においては、ワーク基板の一面側を下方に向けた状態でワーク基板が搬送される。このため、ワーク基板の搬送の際、ワーク基板の一面上に形成されているタッチパネルセンサ部に静電気が発生することが考えられる。このため、ワーク基板の一面側に、静電気の発生を抑制するための何らかの機構を設ける必要がある。
【0009】
また、ワーク基板の搬送の際にタッチパネルセンサ部に静電気が発生することだけでなく、タッチパネルセンサ部を形成する際にタッチパネルセンサ部の所定の構成要素内に誘電分極が生じ、これによって静電気が発生することも考えられる。例えば、タッチパネルセンサ部の形成工程が、所定の構成要素に対する光硬化工程を含む場合、分子が光によって励起されることに起因して、所定の構成要素の表面と内部で分極が起こることが考えられる。この場合、誘電分極による電荷が放電することにより、タッチパネルセンサ部が損傷することが考えられる。
【0010】
本発明は、このような課題を効果的に解決し得るワーク基板およびワーク基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、複数のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサが割り付けられた多面付けワーク基板において、前記カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサが形成される複数のチップ部と、各チップ部を囲む外枠部と、に区画されるワーク基板と、前記ワーク基板の一面上の各チップ部に設けられたタッチパネルセンサ部と、前記ワーク基板の他面上の各チップ部に設けられ、複数の着色層を有するカラーフィルタ部と、前記ワーク基板の一面上の外枠部に設けられ、導電性を有する外枠除電パターンと、を備え、各タッチパネルセンサ部は、所定パターンで設けられた複数の電極パターンと、各々が各電極パターンに対応する複数の端子部と、各々が各電極パターンと各端子部との間を電気的に接続する複数の導電パターンと、を有し、前記ワーク基板の一面上に、各タッチパネルセンサ部を部分的に覆うとともに、前記外枠除電パターンに接続された保護層がさらに設けられており、前記保護層は、前記ワーク基板の一面上の各チップ部内に配置され、各タッチパネルセンサ部の各電極パターンおよび各導電パターンを覆う本体部と、前記本体部から前記外枠部に向かって突出して前記外枠除電パターンに至る連結部と、を含むことを特徴とする多面付けワーク基板である。
【0012】
本発明による多面付けワーク基板において、前記外枠除電パターンが、前記タッチパネルセンサ部の前記電極パターンまたは前記導電パターンと同一の材料からなる層を含んでいてもよい。
【0013】
本発明による多面付けワーク基板において、前記外枠除電パターンは、近接する前記チップ部に向かって先細になる先細領域を含み、前記先細領域の先端部は、前記保護層の前記連結部により覆われていてもよい。
【0014】
本発明による多面付けワーク基板において、前記外枠除電パターンのうち前記保護層の前記連結部により覆われている領域は、上方に突出する上方突出部を含んでいてもよい。
【0015】
本発明による多面付けワーク基板において、好ましくは、前記上方突出部上に位置する前記保護層の前記連結部の厚みは、前記保護層の前記本体部の厚み以下となっている。
【0016】
本発明による多面付けワーク基板において、前記電極パターンは、x方向にx接続部を介して接続された複数のx電極単位と、x電極単位間に位置し、y方向にy接続部を介して接続された複数のy電極単位と、を有し、前記x接続部および前記y接続部は、前記ワーク基板の法線方向から見て重なり合うよう配置されており、前記x接続部と前記y接続部との間には、絶縁層が介在されていてもよい。この場合、好ましくは、前記外枠除電パターンは、前記x接続部と同一の材料からなる層および前記y接続部と同一の材料からなる層を積層することにより形成されている。
【0017】
本発明による多面付けワーク基板において、前記外枠除電パターンの前記上方突出部は、前記絶縁層と同一の材料からなる層をさらに含んでいてもよい。
【0018】
本発明による多面付けワーク基板において、一のチップ部内の保護層の本体部から前記外枠部に向かって突出する連結部が、一のチップ部に隣接する他のチップ部内の保護層の本体部から前記外枠部に向かって突出する連結部に接続されていてもよい。
【0019】
本発明による多面付けワーク基板において、チップ部と外枠部との間の境界線に沿って切断パターンが設けられていてもよい。この場合、前記切断パターンは、前記導電パターンと同一の材料から形成されていてもよい。
【0020】
本発明による多面付けワーク基板において、前記保護層上に、前記ワーク基板の法線方向から見て前記外枠除電パターンに少なくとも部分的に重なる帯電防止膜が設けられていてもよい。この場合、好ましくは、前記帯電防止膜の表面抵抗は、前記保護層の表面抵抗よりも小さく、かつ前記電極パターンの表面抵抗および前記導電パターンの表面抵抗よりも大きくなっている。
【0021】
本発明は、複数のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサが複数割り付けられた多面付けワーク基板の製造方法において、ワーク基板は一面および他面を有し、多面付けワーク基板の一面および他面は、前記カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサが形成される複数のチップ部と、各チップ部を囲む外枠部と、に区画され、各カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサは、ワーク基板の一面上の各チップ部に設けられるタッチパネルセンサ部と、ワーク基板の他面上の各チップ部に設けられ、複数の着色層を有するカラーフィルタ部と、を有し、各タッチパネルセンサ部は、所定パターンで設けられた複数の電極パターンと、各々が各電極パターンに対応する複数の端子部と、各々が各電極パターンと各端子部との間を電気的に接続する複数の導電パターンと、を有し、多面付けワーク基板の製造方法は、ワーク基板を準備する工程と、ワーク基板の一面上の各チップ部に前記タッチパネルセンサ部を形成する工程と、ワーク基板の一面上の外枠部に導電性を有する外枠除電パターンを設ける工程と、前記ワーク基板の一面上に、各タッチパネルセンサ部を部分的に覆うとともに前記外枠除電パターンに接続された保護層を設ける工程と、ワーク基板の他面上の各チップ部に前記カラーフィルタ部を形成する工程と、を備え、前記保護層は、前記ワーク基板の一面上の各チップ部内に配置され、各タッチパネルセンサ部の各電極パターンおよび各導電パターンを覆う本体部と、前記本体部から突出して前記外枠除電パターンに至る連結部と、を含むことを特徴とする多面付けワーク基板の製造方法である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、複数のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサが割り付けられた多面付けワーク基板において、ワーク基板の一面上の各チップ部にはタッチパネルセンサ部が設けられており、ワーク基板の他面上の各チップ部には複数の着色層を有するカラーフィルタ部が設けられている。また、ワーク基板の一面上の外枠部には導電性を有する外枠除電パターンが設けられている。さらに、ワーク基板の一面上には、各タッチパネルセンサ部を部分的に覆うとともに、外枠除電パターンに接続された保護層が設けられている。この保護層は、ワーク基板の一面上の各チップ部内に配置され、各タッチパネルセンサ部の各電極パターンおよび各導電パターンを覆う本体部と、本体部から外枠部に向かって突出して外枠除電パターンに至る連結部と、を含んでいる。このため、静電気により保護層が帯電した場合であっても、保護層の電荷を外枠除電パターンに逃がすことができる。これによって、保護層の帯電量が大きくなるのを抑制することができる。このことにより、静電気の放電が生じるのを防ぐことができ、これによって、タッチパネルセンサ部の電極パターン、端子部および導電パターンが損傷するのを防ぐことができる。また、仮に放電が生じるとしても、外枠除電パターンを設けることにより、放電の発生箇所を、タッチパネルセンサ部ではなく外枠除電パターンにすることができる。これによって、タッチパネルセンサ部が損傷するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本実施の第1の実施の形態におけるカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサを示す平面図。
【図2A】図2Aは、図1のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサをIIA−IIA方向から見た縦断面図。
【図2B】図2Bは、図1のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサをIIB−IIB方向から見た縦断面図。
【図3】図3(a)は、本発明の第1の実施の形態における表示装置を示す縦断面図、図3(b)は、図3(a)の表示装置のカラーフィルタ部を矢印IIIb−IIIbから見た図、図3(c)は、図3(a)の表示装置の表示基板を矢印IIIc−IIIcから見た図。
【図4A】図4Aは、透明電極材料を用いてワーク基板上にx電極単位、y電極単位およびx接続部を形成する工程を示す平面図。
【図4B】図4Bは、図4Aのワーク基板のチップ部を拡大して示す図。
【図4C】図4Cは、図4Bのワーク基板をIVC−IVC方向から見た縦断面図。
【図5A】図5Aは、ワーク基板上に絶縁層を形成する工程を示す平面図。
【図5B】図5Bは、図5Aのワーク基板をVB−VB方向から見た縦断面図。
【図6A】図6Aは、導電性材料を用いてワーク基板上に導電パターン,端子部およびy接続部を形成する工程を示す平面図。
【図6B】図6Bは、図6Aのワーク基板のチップ部を拡大して示す図。
【図6C】図6Cは、図6Bのワーク基板をVIC−VIC方向から見た縦断面図。
【図7A】図7Aは、ワーク基板上に保護層を形成する工程を示す平面図。
【図7B】図7Bは、図7Aのワーク基板のチップ部を拡大して示す図。
【図7C】図7Cは、図7Bのワーク基板をVIIC−VIIC方向から見た縦断面図。
【図8】図8は、カラーフィルタ部を形成する方法を示す図。
【図9】図9(a)(b)は、ワーク基板が支持台から剥離される様子を示す図。
【図10】図10は、比較の形態におけるワーク基板を示す平面図。
【図11】図11は、本発明の第1の実施の形態において、外枠除電パターンの変形例を示す平面図。
【図12】図12は、本発明の第1の実施の形態において、保護層の変形例を示す平面図。
【図13A】図13Aは、本実施の第1の実施の形態において、外枠除電パターンの層構成の変形例を示す図。
【図13B】図13Bは、本実施の第1の実施の形態において、外枠除電パターンの層構成のその他の変形例を示す図。
【図13C】図13Cは、本実施の第1の実施の形態において、外枠除電パターンの層構成のその他の変形例を示す図。
【図13D】図13Dは、本実施の第1の実施の形態において、外枠除電パターンの層構成のその他の変形例を示す図。
【図13E】図13Eは、本実施の第1の実施の形態において、タッチパネルセンサ部の層構成の変形例を示す図。
【図14A】図14Aは、本実施の第2の実施の形態におけるワーク基板のチップ部を示す平面図。
【図14B】図14Bは、図14Aのワーク基板をXIVB−XIVB方向から見た縦断面図。
【図15】図15は、本発明の第3の実施の形態におけるワーク基板のチップ部を示す平面図。
【図16A】図16Aは、タッチパネルセンサ部の電極パターンの変形例を示す平面図。
【図16B】図16Bは、図16Aのワーク基板をXVIB−XVIB方向から見た縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図1乃至図9(a)(b)を参照して、本発明の第1の実施の形態について説明する。まず図3(a)(b)(c)により、本実施の形態におけるタッチパネル機能付き表示装置60全体について説明する。なお本実施の形態においては、タッチパネル機能付き表示装置60の例として、タッチパネル機能付き液晶表示装置を示している。しかしながら、これに限定されることはなく、有機ELディスプレイやプラズマディスプレイなど、タッチパネル機能を備えたその他の表示装置の場合においても、本願発明を適用することにより、タッチパネル機能付き液晶表示装置の場合と同様の効果を得ることができる。
【0025】
表示装置
図3(a)に示すように、タッチパネル機能付きの表示装置60は、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20と、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20に対向するよう設けられたTFT基板(表示基板)50と、を備えている。図3(a)に示すように、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20は、基板11と、基板11の一面11a上に設けられたタッチパネルセンサ部10と、基板11の他面11b上に設けられたカラーフィルタ部30と、を有している。
【0026】
図3(a)に示すように、カラーフィルタ部30とTFT基板50との間には液晶40が充填されており、この液晶40は封止材41により封止されている。なお図示はしないが、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20のタッチパネルセンサ部10上には、透光性を有した保護カバーが透明接着剤などを介して設けられていてもよい。保護カバーは、タッチパネルセンサ部10および表示装置60を保護するためのものであり、タッチパネル機能付き表示装置60の入力面(タッチ面、接触面)として機能する。
【0027】
図3(c)は、図3(a)に示す表示装置60のTFT基板50を矢印IIIc−IIIcの方向から見た場合を示す図である。図3(c)に示すように、TFT基板50は、基板51と、液晶40に印加される電圧を制御する複数の透明電極部52と、透明電極部52に制御電圧を印加する配線部53とを有している。このうち各透明電極部52は、各々が表示装置60の単位画素に対応している。
【0028】
カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ
次に図1乃至図3(a)(b)を参照して、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20について説明する。
【0029】
基板11は、図1に示すように、4辺から構成される矩形形状を有している。しかしながら、基板11の形状が矩形に限られることはなく、基板11の形状として、多角形や円形などが適宜選択され得る。この基板11の材料は、TFT基板50の発光を外部に取り出すことができ、かつ水分および酸素を効率的に遮断することができる限り特に限定されるものではない。例えば、光透過性、安定性や耐久性等に優れたガラスやポリマー等を使用することができる。
【0030】
カラーフィルタ部
次に図3(a)(b)を参照して、カラーフィルタ部30について説明する。図3(b)は、図3(a)に示す表示装置60のカラーフィルタ部30を矢印IIIb−IIIbの方向から見た場合を示す図である。図3(b)に示すように、カラーフィルタ部30は、基板11と、基板11の他面11b上に設けられたブラックマトリクス層31と、基板11の他面11b上でブラックマトリクス層31間に設けられた複数色の着色層32と、を有している。
【0031】
ブラックマトリックス層31としては、遮光性を有する材料からなる層が用いられる。例えば、厚み1000〜2000Å程度のクロム等の金属層や、カーボン微粒子や金属酸化物等の遮光性粒子を含有させた樹脂層などが用いられ得る。ブラックマトリックス層31の厚さは、要求される遮光性などに応じて適宜調整される。
【0032】
複数色の着色層32は、TFT基板50および液晶40を通った光の色を調整するものであり、少なくとも、赤色着色層、青色着色層および緑色着色層を含んでいる。また、その他の色の着色層、例えば黄色着色層が含まれていてもよい。各着色層を形成する材料としては、公知の着色顔料などが適宜用いられる。
【0033】
なお、ブラックマトリクス層31および着色層32と液晶40の間に保護膜(図示せず)が設けられていてもよい。保護膜の材料としては、珪素、アルミニウム、亜鉛またはスズの酸化物または酸窒化物からなる透明材料、あるいはアクリル樹脂等の有機絶縁膜を挙げることができる。また、ブラックマトリクス層31及び着色層32の表面に、画素表示用の共通透明電極(図示せず)が設けられていてもよい。さらに、ブラックマトリクス層31上に、カラーフィルタ部30とTFT基板50との間の空隙を保持するためのスペーサ(図示せず)が設けられていてもよい。
【0034】
タッチパネルセンサ部
次に図1乃至図2Bを参照して、タッチパネルセンサ部10について説明する。図1は、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20をタッチパネルセンサ部10側から見た場合を示す平面図である。図2Aおよび図2Bはそれぞれ、図1のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20をIIA−IIA方向およびIIB−IIB方向からそれぞれ見た縦断面図である。
【0035】
タッチパネルセンサ部10は、基板11の一面11a上に所定パターンで設けられた複数の電極パターン13,15と、基板11の一面11a上に設けられた複数の端子部17と、基板11の一面11a上に設けられた複数の導電パターン14,16と、を有している。このうち複数の端子部17は、各々が各電極パターン13,15に一対一で対応するよう設けられている。また複数の導電パターン14,16は、各々が各電極パターン13,15と各端子部17との間を電気的に接続するよう設けられている。
【0036】
また図1乃至図2Bに示すように、基板11の一面11a上には、タッチパネルセンサ部10を部分的に覆う保護層22が設けられている。この保護層22については後に詳細に説明する。なお図1においては、説明の便宜上、保護層22が二点鎖線により表されている。
【0037】
タッチパネルセンサ部10において、複数の電極パターン13,15が設けられている領域は、タッチパネルセンサ部10が表示装置60に組み込まれているときに画像が表示される表示領域となっている。一方、複数の導電パターン14,16および端子部17が設けられている領域は、画像が表示されない非表示領域となっている。
【0038】
(電極パターン)
はじめに電極パターン13,15について詳細に説明する。図1に示すように、複数の電極パターン13,15は、x方向に延びる複数のx電極パターン13と、y方向に延びる複数のy電極パターン15とからなっている。このうち各x電極パターン13は、略正方形の形状を有する複数のx電極単位13aと、隣接するx電極単位13a間を接続するx接続部13bと、を含んでいる。同様に、各y電極パターン15は、略正方形の形状を有する複数のy電極単位15aと、隣接するy電極単位15a間を接続するy接続部15bと、を含んでいる。
【0039】
x電極単位13aおよびy電極単位15aの寸法は、タッチパネルセンサ部10によって検知される指又はペン等に対する必要解像度により決定され、例えば5mm×5mmとなっている。なお、x電極単位13aおよびy電極単位15aの形状が正方形に限られることはなく、多角形や円形など様々な形状が適宜選択され得る。またx接続部13bおよびy接続部15bの寸法は、各x電極単位13a間および各y電極単位15a間を低抵抗で接続するよう設定されている。例えば、x接続部13bおよびy接続部15bの幅は5〜200μmの範囲内となっており、x接続部13bおよびy接続部15bの長さは100〜200μmの範囲内となっている。
【0040】
図2Aおよび図2Bに示すように、x接続部13bは、x電極単位13aおよびy電極単位15aと同一平面上に形成されている。一方、y接続部15bは、x電極単位13aおよびy電極単位15aよりも上方に配置されている。また、x接続部13bおよびy接続部15bは、基板11の法線方向から見て互いに重なり合うよう配置されている。さらに、x接続部13bとy接続部15bが接触し、これによってx電極パターン13とy電極パターン15との間が導通するのを防ぐため、x接続部13bとy接続部15bとの間には絶縁層18が介在されている。なお説明の都合上、図1においては絶縁層18の表示を省略している。
【0041】
x電極単位13a,x接続部13bおよびy電極単位15aはそれぞれ、導電性を有し、かつ透明な透明電極材料から構成されている。透明電極材料としては、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛、酸化インジウム、アンチモン添加酸化錫、フッ素添加酸化錫、アルミニウム添加酸化亜鉛、カリウム添加酸化亜鉛、シリコン添加酸化亜鉛や、酸化亜鉛−酸化錫系、酸化インジウム−酸化錫系、酸化亜鉛−酸化インジウム−酸化マグネシウム系などの金属酸化物が用いられる。これらの金属酸化物が2種以上複合されてもよい。
【0042】
一方、y接続部15bは、導電パターン14,16および端子部17の材料と同一の材料を用いて形成される。y接続部15bについては後に詳細に説明する。
【0043】
(導電パターンおよび端子部)
次に導電パターン14,16および端子部17について説明する。図1に示すように、複数の導電パターン14,16は、x電極パターン13と端子部17との間を電気的に接続するx導電パターン14と、y電極パターン15と端子部17との間を電気的に接続するy導電パターン16とからなっている。
【0044】
上述のように、x導電パターン14,y導電パターン16および端子部17はカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20の非表示領域に設けられている。このため、x導電パターン14,y導電パターン16および端子部17を構成する導電性材料は、透明性を有していてもよく、若しくは透明性を有していなくてもよい。すなわち、x導電パターン14,y導電パターン16および端子部17の導電性材料として、上述の透明電極材料と同様にITOなどの透明な材料が用いられてもよく、若しくは、上述の透明電極材料より高い電気伝導率を有する金属材料が用いられてもよい。x導電パターン14,y導電パターン16および端子部17の導電性材料として用いられる金属材料の例としては、アルミニウム、モリブデン、パラジウム、銀、クロム、銅等の金属及びそれらを主成分とする合金、あるいはそれら合金を含む積層体が挙げられる。
【0045】
なお図1においては、端子部17の幅がx導電パターン14およびy導電パターン16の幅よりも大きくなっている例を示したが、これに限られることはない。端子部17が設けられる目的は、導電パターン14,16を介して伝達される電極パターン13,15からの信号を適切に外部に送るための部分を提供することである。本実施の形態において、端子部17は、導電パターン14,16に電気的に接続されており、かつ保護層22によって覆われていない部分として定義される。
【0046】
(y接続部)
次にy接続部15bについて詳述する。上述のように、y接続部15bは、導電パターン14,16および端子部17と同一の導電性材料から形成されている。このため後述するように、y接続部15bを、導電パターン14,16および端子部17と同時に形成することが可能となっている。これによって、y接続部15bと導電パターン14,16および端子部17とが別々の工程で形成される場合に比べて、より少ない工数でタッチパネルセンサ部10を製造することができる。
【0047】
なお、上述においてy接続部15bの幅が5〜200μmの範囲内となっている点について説明したが、y接続部15bの幅は、y接続部15bの材料に応じて設定されてもよい。
例えば、導電パターン14,16、端子部17およびy接続部15bの導電性材料として上述の透明電極材料と同様にITOなどの透明な材料が用いられる場合、y接続部15bの幅が例えば20〜200μmの範囲内となっていてもよい。また、導電パターン14,16、端子部17およびy接続部15bの導電性材料として上述の透明電極材料より高い電気伝導率を有する金属材料が用いられる場合、y接続部15bの幅が例えば5〜20μmの範囲内となっていてもよい。
【0048】
導電パターン14,16、端子部17およびy接続部15bの導電性材料として金属材料が用いられる場合、好ましくは、図2Aおよび図2Bに示すように、y接続部15bは、基板11の法線方向から見てカラーフィルタ部30のブラックマトリクス層31に重なり合うよう設けられている。このことにより、y接続部15bが透明性を有さない金属材料から形成される場合であっても、y接続部15bによって液晶表示装置60の表示が妨げられるのを防ぐことができる。この場合、x方向におけるブラックマトリクス層31の幅は、基板11の厚さ、x方向におけるy接続部15bの幅、液晶表示装置60の視野角などに応じて適宜設定されるが、例えば5〜100μmの範囲内となっている。
【0049】
保護層
次に保護層22について詳細に説明する。保護層22は、各電極パターン13,15及び各導電パターン14,16を外部から保護するための層である。例えば後述するように、基板11の他面11b上にカラーフィルタ部30を設ける際、既に基板11の一面11a上に設けられているタッチパネルセンサ部10の各電極パターン13,15及び各導電パターン14,16が損傷するのを防ぐための層である。また保護層22は、外部の水分を遮蔽するという役割も担っている。
【0050】
図1に示すように保護層22は、基板11の一面11a上に設けられ、タッチパネルセンサ部10の各電極パターン13,15および各導電パターン14,16を覆う本体部22aと、本体部22aから外方に向かって突出する連結部22bと、を含んでいる。このうち連結部22bは、後述するように、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20が製造される際、複数のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20が割り付けられた多面付けワーク基板の外枠部に設けられる外枠除電パターンに連結される部分となっている。
【0051】
保護層22を構成する材料としては、絶縁性を有する材料が用いられ、例えば光硬化性アクリル樹脂が用いられる。
【0052】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20および表示装置60の製造方法について説明する。
【0053】
カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサの製造方法
まず、複数のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサが割り付けられた多面付けワーク基板を製造する方法について説明する。
【0054】
はじめに、複数のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20が割り付けられるワーク基板70を準備する。ワーク基板70は、一面70aと他面70bとを有している。またワーク基板70の一面70aおよび他面70bは、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20が形成される複数のチップ部71と、各チップ部71を囲む外枠部72と、に区画される。後述する図4A乃至図7Cにおいて、点線で示される境界線79により囲まれた部分がチップ部71となっている。
【0055】
後述するように、多面付けワーク基板の製造方法において、はじめに、ワーク基板70の一面70a上の各チップ部71にタッチパネルセンサ部10が形成され、次に、ワーク基板70の他面70b上の各チップ部71にカラーフィルタ部30が形成される。そして、必要に応じて各チップ部71を切り出すことにより、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20が得られる。この場合、切り出されたワーク基板70が、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20の基板11となる。また、ワーク基板70の一面70aは基板11の一面11aに対応しており、ワーク基板70の他面70bは基板11の他面11bに対応している。
なお多面付けワーク基板70から各チップ部71を切り出す前に、多面付けワーク基板70とTFT基板50とが貼り合わされ、液晶セルの組み立てが行われてもよい。この場合、多面付けワーク基板70とTFT基板50とが貼り合わされた組立体から、個別の液晶セルが切り出される。
【0056】
(タッチパネルセンサ部の製造方法)
以下、図4A乃至図6Cを参照して、ワーク基板70の一面70a上にタッチパネルセンサ部10を形成する方法について説明する。
【0057】
[x電極単位,x接続部およびy電極単位の形成工程]
はじめに、ワーク基板70の一面70a上の各チップ部71にx電極単位13a,x接続部13bおよびy電極単位15aを形成する工程について、図4A乃至図4Cを参照して説明する。図4Aは、ワーク基板70の一面70aを示す平面図であり、図4Bは、図4Aに示すワーク基板70のチップ部71を拡大して示す図であり、図4Cは、図4Bのワーク基板70をIVC−IVC方向から見た縦断面図である。
【0058】
はじめに、ワーク基板70の一面70a上にITOなどの透明電極材料を設ける。透明電極材料を設けるための方法が特に限定されることはなく、例えばスパッタリングなどの方法が適宜用いられる。
【0059】
次に図4A乃至図4Cに示すように、ワーク基板70の一面70a上に設けられた透明電極材料をパターンニングして、ワーク基板70の一面70a上の各チップ部71にx電極単位13a,x接続部13bおよびy電極単位15aを形成する。同時に、図4A乃至図4Cに示すように、ワーク基板70の外枠部72のうち外枠除電パターンが設けられるべき部分に、透明電極材料からなる透明電極材料層27が形成される。
【0060】
透明電極材料をパターンニングする方法は特には限定されず、様々な公知のパターンニング方法を用いることができる。例えばフォトリソグラフィー法を用いることができる。
【0061】
[絶縁層の形成工程]
次に絶縁層18を形成する工程について、図5Aおよび図5Bを参照して説明する。図5Aは、ワーク基板70のチップ部71を拡大して示す図であり、図5Bは、図5Aのワーク基板70をVB−VB方向から見た縦断面図である。
【0062】
はじめに、絶縁層18を形成するための材料、例えばアクリル樹脂をワーク基板70の一面70a上に設け、次に設けられた材料をパターニングする。これによって、図5Aおよび図5Bに示すように、x接続部13b上に絶縁層18が形成される。同時に、図5Aおよび図5Bに示すように、外枠部72に設けられている透明電極材料層27上の一部分であって、外枠除電パターンの先細領域の先端部となるべき部分に、絶縁層18の材料と同一の材料からなる絶縁層28が形成される。
【0063】
[導電パターン、端子部およびy接続部の形成工程]
次に、ワーク基板70の一面70a上の各チップ部71にx導電パターン14,y導電パターン16,端子部17およびy接続部15bを形成する工程について、図6A乃至図6Cを参照して説明する。図6Aは、ワーク基板70の一面70aを示す平面図であり、図6Bは、図6Aに示すワーク基板70のチップ部71を拡大して示す図であり、図6Cは、図6Bのワーク基板70をVIC−VIC方向から見た縦断面図である。
【0064】
はじめに、ワーク基板70の一面70a上に導電性材料、例えばアルミニウムなどの金属材料を設ける。導電性材料を設けるための方法が特に限定されることはなく、例えばスパッタリングなどの方法が適宜用いられる。
【0065】
次に図6A乃至図6Cに示すように、ワーク基板70の一面70a上に設けられた導電性材料をパターンニングして、ワーク基板70の一面70a上の各チップ部71にx導電パターン14,y導電パターン16,端子部17およびy接続部15bを形成する。これによって、ワーク基板70の一面70a上の各チップ部71にタッチパネルセンサ部10が形成される。
同時に、図6A乃至図6Cに示すように、外枠部72に設けられている透明電極材料層27上に、導電パターン14,16を構成する導電性材料と同一の導電性材料からなる導電性材料層29が形成される。これによって、図6A乃至図6Cに示すように、ワーク基板70の一面70a上の外枠部72に、透明電極材料層27および導電性材料層29を含む外枠除電パターン74が形成される。この外枠除電パターン74については後に詳細に説明する。
【0066】
(保護層の形成工程)
次に、ワーク基板70の一面70a上に保護層22を形成する工程について、図7A乃至図7Cを参照して説明する。図7Aは、ワーク基板70の一面70aを示す平面図であり、図7Bは、図7Aに示すワーク基板70のチップ部71を拡大して示す図であり、図7Cは、図7Bのワーク基板70をVIIC−VIIC方向から見た縦断面図である。
【0067】
はじめに、保護層22を形成するための材料、例えばアクリル樹脂をワーク基板70の一面70a上に設け、次に設けられた材料をフォトリソグラフィー法などによりパターニングする。これによって保護層22が形成される。この保護層22は、図7A乃至図7Cに示すように、各電極パターン13,15および各導電パターン14,16を覆う本体部22aと、本体部22aから外枠部72に向かって突出して外枠除電パターン74に至る連結部22bと、を含んでいる。
【0068】
このようにして、ワーク基板70の一面70a上に、複数のタッチパネルセンサ部10と、外枠除電パターン74と、タッチパネルセンサ部10および外枠除電パターン74を部分的に覆う保護層22とが形成される。ここで、外枠除電パターン74の構成および作用効果について詳細に説明する。
【0069】
(外枠除電パターン)
外枠除電パターン74は、導電性を有するパターンであり、保護層22の帯電量を低減させることを意図して設けられるパターンである。ここで「導電性を有する」とは、外枠除電パターン74を構成する層のうち少なくとも保護層22に接する層が導電性を有することを意味している。外枠除電パターン74を構成する層のうち保護層22に接する層が導電性を有することにより、保護層22に帯電している電気を外枠除電パターン74に引き受けさせることが可能となっている。
【0070】
外枠除電パターン74は、図7A乃至図7Cに示すように、外枠部72に設けられ、保護層22によって覆われていないメイン領域75と、近接するチップ部71に向かってメイン領域75から突出し、かつチップ部71に向かって先細になる先細領域76と、を含んでいる。この外枠除電パターン74の先細領域76の先端部76aは、図7Bに示すように保護層22の連結部22bにより覆われている。
【0071】
先細領域76がチップ部71に向かって先細になっていることにより、先細領域76をいわゆる避雷針として機能させることが可能となっている。すなわち、保護層22の電荷は、先細領域76の先端部76aに集まりやすくなっている。このため、保護層22の電荷をより確実に外枠除電パターン74に逃がすことができる。これによって、保護層22の帯電量が大きくなるのをより確実に抑制することができる。
【0072】
好ましくは、先細領域76の先端部76aの角度θは、0度よりも大きく、かつ90度以下となるよう設定されている。すなわち、先端部76aの角度θは鋭角または直角となっている。これによって、先細領域76の避雷針としての機能をより高めることができる。
【0073】
次に、外枠除電パターン74の層構成について説明する。上述のように、外枠除電パターン74は透明電極材料層27および導電性材料層29を含んでいる。このように導電性を有する複数の層を用いて外枠除電パターン74を構成することにより、外枠除電パターン74が単一の層からなる場合に比べて外枠除電パターン74の導電性を高めることができる。
なお、必ずしも外枠除電パターン74が複数の層から構成される必要はなく、外枠除電パターン74が単一の層から構成されていてもよい。この場合、保護層22よりも十分に高い導電性を有する層が用いられる。
【0074】
また外枠除電パターン74のうち保護層22の連結部22bにより覆われている領域は、図7Cに示すように、透明電極材料層27と導電性材料層29との間に介在された絶縁層28をさらに含む上方突出部73を有している。この上方突出部73は、絶縁層28の厚みの分だけ周辺から上方へ突出している。本実施の形態においては、図7Bおよび図7Cに示すように、外枠除電パターン74の先細領域76の先端部76a近傍に上方突出部73が形成されている。このような上方突出部73を設けることにより、ワーク基板70の一面70aと平行な方向においてだけでなく一面70aの法線方向においても、先細領域76をいわゆる避雷針として機能させることができる。このため、保護層22の電荷をより確実に外枠除電パターン74に逃がすことができる。これによって、保護層22の帯電量が大きくなるのをより確実に抑制することができる。
【0075】
好ましくは、外枠除電パターン74の先細領域76の先端部76a上の保護層22の厚み、すなわち上方突出部73上の厚みは、電極パターン13,15上および導電パターン14,16上の保護層22の厚みと略同一になっている、若しくは、電極パターン13,15上および導電パターン14,16上の保護層22の厚みより小さくなっている。例えば図7Cにおいて、先細領域76の上方突出部73上の保護層22の厚みがtで表されており、y接続部15b上の保護層22の厚みがtで表されている。そして好ましくは、上方突出部73上の保護層22の厚みtが、y接続部15b上の保護層22の厚みtと略同一になっているか、若しくは、y接続部15b上の保護層22の厚みtより小さくなっている。
【0076】
ところで、先細領域76の上方突出部73の透明電極材料層27,絶縁層28および導電性材料層29は、上述のようにそれぞれ、x電極単位13a,絶縁層18およびy接続部15bと同一の材料からx電極単位13a,絶縁層18およびy接続部15bと同時に形成される。このため、先細領域76の上方突出部73の厚みは、x電極単位13a,絶縁層18およびy接続部15bからなる積層体の厚みと略同一となっている。従って一般に、上方突出部73上に設けられる保護層22の厚みtは、y接続部15b上に設けられる保護層22の厚みtと略同一になっていると考えられる。
ここで上述のように、先細領域76は、避雷針として機能するのに適切なパターンを有している。このため、厚みtと厚みtとが略同一の場合、保護層22の電荷に起因して仮に放電が生じるとしても、放電の経路を、y接続部15bを通る経路ではなく外枠除電パターン74を通る経路にすることができる。これによって、タッチパネルセンサ部10の電極パターン13,15および導電パターン14,16が損傷するのを防ぐことができる。
【0077】
放電の経路がy接続部15bを通る経路ではなく外枠除電パターン74を通る経路になるという傾向は、先細領域76の上方突出部73上の保護層22の厚みtが、y接続部15b上の保護層22の厚みtより小さくなっている場合により強くなると考えらえる。なぜなら、保護層22の厚みが小さい箇所ほど絶縁体耐圧が小さくなると考えられるからである。従って、好ましくは、先細領域76の上方突出部73上の保護層22の厚みtは、y接続部15b上の保護層22の厚みtより小さくなっている。上方突出部73上の保護層22の厚みtを、y接続部15b上の保護層22の厚みtより小さくするための具体的な方法については後述する。
【0078】
(カラーフィルタ部の製造方法)
次に、図8を参照して、ワーク基板70の他面70b上にカラーフィルタ部30を形成する方法について説明する。図8は、カラーフィルタ部30を形成する際に実施される工程で用いられる装置を示す図である。この装置は、塗布手段81と、乾燥手段82と、プリベーク手段83と、露光・現像手段84と、水切り手段85とを備えている。
【0079】
図8に示すように、はじめにワーク基板70は、複数のタッチパネルセンサ部10、保護層22および外枠除電パターン74が形成された一面70aが下方に向くよう上下反転される。次に図8に示すように、塗布手段81において、ブラックマトリクス層31を構成する材料を含む塗工液がワーク基板70の他面70b上のチップ部71に塗布される。この際、図8に示すように、ワーク基板70は、タッチパネルセンサ部10が形成された一面70aが下方に向けられた状態で、支持台86により吸着支持される。
【0080】
次に図8に示すように、乾燥手段82において、塗工液に含まれる溶剤が減圧乾燥により除去される。なお、ワーク基板70を塗布手段81から乾燥手段82まで搬送する手段として、例えば図8に示すように、回転する搬送ローラー87が用いられる。この場合、ワーク基板70の一面70a上に形成された保護層22が搬送ローラー87に接触しながら、ワーク基板70が搬送ローラー87により搬送される。
【0081】
その後、図8に示すように、プリベーク手段83において、例えばホットプレートを用いることにより、他面70b上に形成されたブラックマトリクス層31用の材料が加熱される。これによって、他面70b上に形成されたブラックマトリクス層31用の材料の乾燥が進む。次に、露光・現像手段84において、他面70b上に形成されたブラックマトリクス層31用の材料がパターニングされる。これによって、他面70b上に、上述の図3(b)に示すような所定のパターンを有するブラックマトリクス層31が形成される。その後、水切り手段85において、ブラックマトリクス層31上に残っている液がエアーナイフにより除去される。
【0082】
次に、ブラックマトリクス層31の間に着色層32を形成する。このようにして、ワーク基板70の他面70b上の各チップ部71にカラーフィルタ部30が形成される。これによって、ワーク基板70の各チップ71にカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20が形成される。なお、着色層32を形成する際に実施される工程は、用いられる材料が異なるという点を除いて、上述のブラックマトリクス層31を形成する際に実施される工程と略同一である。従って、着色層32を形成する工程の詳細な説明は省略される。
【0083】
(剥離の際の作用効果)
ところで、塗布手段81などにおいては、図9(a)に示すように、複数の吸着穴88を有する支持台86によってワーク基板70が支持される。ここで図9(b)は、ワーク基板70を支持台86から剥離させようとしている状態を示す図である。この場合、剥離の際の剥離帯電に起因して保護層22が帯電することが考えられる。ここで本実施の形態によれば、上述のように、ワーク基板70の一面70a上の外枠部72には、導電性を有する外枠除電パターン74が設けられている。さらにワーク基板70の一面70aには、各タッチパネルセンサ部10を部分的に覆うとともに、外枠除電パターン74に接続された保護層22が設けられている。このため、保護層22に蓄えられている静電気を外枠除電パターン74に引き受けさせることができる。これによって、保護層22における帯電量を低減させることができ、このことにより、静電気の放電が生じるのを防ぐことができる。これによって、ワーク基板70を支持台86から剥離させる際、静電気の放電によって保護層22およびタッチパネルセンサ部10が損傷するのを防ぐことができる。
【0084】
また本実施の形態によれば、上述のように、外枠除電パターン74はチップ部71に向かって先細になる先細領域76を含み、先細領域76の先端部76aは保護層22により覆われている。このため、先細領域76をいわゆる避雷針として機能させることができる。従って、保護層22の電荷が先細領域76の先端部76aに集まりやすくなっている。このことにより、保護層22における帯電量をより確実に低減させることができる。
【0085】
さらに本実施の形態によれば、外枠除電パターン74の先細領域76のうち保護層22により覆われている領域に、上方に突出する上方突出部73が形成されている。これによって、先細領域76の避雷針としての機能がさらに高められている。従って、保護層22の電荷が先細領域76により集まりやすくなっており、このことにより、保護層22における帯電量をより確実に低減させることができる。
【0086】
また、ワーク基板70と支持台86との間で仮に放電が生じるとしても、放電は、より面積が大きく、かつ電気抵抗の低い箇所で生じると考えられる。すなわち、ワーク基板70の外枠部72に大面積を有するパターンで設けられ、かつ保護層22よりも低い電気抵抗を有する外枠除電パターン74において放電が生じると考えられる。このため、仮に放電が発生する場合であっても、放電による損傷は、タッチパネルセンサ部10ではなく外枠除電パターン74に発生し易いと考えられる。すなわち、外枠除電パターン74を設けることによって、タッチパネルセンサ部10が損傷するのを防ぐことができる。
【0087】
また、仮に保護層22において放電が生じるとしても、放電は、より電気抵抗の低い経路を通って生じると考えられる。ここで本実施の形態によれば、上述のように、外枠除電パターン74の先細領域76の上方突出部73上の保護層22の厚みtが、電極パターン13,15上および導電パターン14,16上の保護層22の厚みt以下となっている。すなわち、保護層22の厚み方向において、先細領域76の上方突出部73上の保護層22の電気抵抗は、電極パターン13,15上および導電パターン14,16上の保護層22の電気抵抗以下となっている。このため、仮に放電が生じるとしても、放電の経路は、電極パターン13,15または導電パターン14,16を通る経路ではなく、外枠除電パターン74の先細領域76の上方突出部73を通る経路で生じると考えられる。このため、仮に保護層22において放電が発生する場合であっても、放電による損傷は、電極パターン13,15または導電パターン14,16ではなく外枠除電パターン74に発生し易いと考えられる。従って、タッチパネルセンサ部10が損傷するのを防ぐことができる。
【0088】
好ましくは、ワーク基板70を支持台86から剥離させる際、ワーク基板70の一面70a上の外枠除電パターン74が、適切な手段により接地され、または外部の適切な導電体に接続される。これによって、外枠除電パターン74の電荷を外部に逃がすことができ、このことにより、保護層22に蓄えられている静電気を外枠除電パターン74にさらに引き受けさせることが可能となる。これによって、保護層22における帯電量をより低減させることができ、このことにより、静電気の放電が生じるのをより確実に防ぐことができる。
【0089】
外枠除電パターン74の電荷を外部に逃がすための具体的な手段が特に限定されることはなく、様々な手段が用いられ得る。例えば、ワーク基板70を支持台86から剥離させる手段として、支持台86から上方に突出して支持台86上のワーク基板70を持ち上げるリフトピン(図示せず)が用いられる場合について考える。この場合、導電性を有する材料を用いてリフトピンを構成し、かつリフトピンを接地しておき、そしてリフトピンを外枠除電パターン74に接触させることにより、外枠除電パターン74の電荷を外部に逃がすことができる。また、支持台86自体を導電性を有する材料で構成し、かつ支持台86を接地しておくことにより、外枠除電パターン74の電荷を外部に逃がすこともできる。
【0090】
(搬送の際の作用効果)
また回転する搬送ローラー87によってワーク基板70を搬送する場合、搬送ローラー87に起因して保護層22が帯電することが考えられる。例えば、搬送ローラー87が空転する際に搬送ローラー87が帯電し、この電気が保護層22に伝導されることが考えられる。この場合も、上述の剥離帯電の場合と同様に、保護層22に蓄えられている静電気を、外枠除電パターン74に引き受けさせることができる。これによって、保護層22における帯電量を低減させることができ、このことにより、静電気の放電が生じるのを防ぐことができる。
【0091】
(液切りの際の作用効果)
また水切り手段85においてエアーナイフを用いてワーク基板70上の液を除去する際、エアーナイフによる大気との摩擦帯電によって保護層22が帯電することが考えられる。この場合も、上述の剥離帯電の場合と同様に、保護層22に蓄えられている静電気を外枠除電パターン74に引き受けさせることができる。これによって、保護層22における帯電量を低減させることができ、このことにより、静電気の放電が生じるのを防ぐことができる。
【0092】
(その他の作用効果)
また、カラーフィルタ部30の形成工程の間ではなく、保護層22の形成工程において既に保護層22が帯電していることも考えられる。例えば、保護層22が光硬化性アクリル樹脂からなる場合、光硬化工程時に分子が光によって励起されることに起因して、保護層22の表面と内部で分極が起こることが考えられる。ここで本実施の形態によれば、外枠除電パターン74は、チップ部71に向かって先細になる先細領域76を含み、先細領域76の先端部76aは、保護層22の連結部22bにより覆われている。このため、保護層22内部の電荷を外枠除電パターン74の先細領域76の先端部76aに集めることができる。これによって、保護層22における帯電量を低減させることができ、このことにより、放電が生じるのを防ぐことができる。これによって、保護層22の表面と内部で分極が起こっている場合であっても、放電によってタッチパネルセンサ部10が損傷するのを防ぐことができる。
【0093】
表示装置の製造方法
次に、複数のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20が割り付けられた多面付けワーク基板70と、TFT基板50とを組み合わせる。その後、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20とTFT基板50とを備えた表示装置60を1つ1つ取り出す。この際の具体的な方法が特に限られることはなく、例えば切断により個々の表示装置60が取り出される。ここで上述のように保護層22は、ワーク基板70の一面70a上において、チップ部71内に設けられた本体部22aと、本体部22aから外方に向かって突出する連結部22bと、を含んでいる。このため、ワーク基板70の切断の際、保護層22の連結部22bが切断される。
【0094】
また、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20とTFT基板50との間には液晶用材料が充填され、この液晶用材料が光により硬化されて液晶40となる。ここで上述のように、外枠除電パターン74は外枠部72にのみ設けられている。すなわちチップ部71内には除電パターンが設けられていない。このため、液晶用材料を光によって硬化させる際、チップ部71に対応する位置にある液晶用材料に照射される光が除電パターンにより遮られることはない。
【0095】
本実施の形態によれば、多面付けワーク基板70において、上述のように、ワーク基板70の一面70a上の各チップ部71にはタッチパネルセンサ部10が設けられており、ワーク基板70の他面70b上の各チップ部71には複数の着色層32を有するカラーフィルタ部30が設けられている。また、ワーク基板70の一面70a上の外枠部72には導電性を有する外枠除電パターン74が設けられている。さらに、ワーク基板70の一面70a上には、各タッチパネルセンサ部10を部分的に覆うとともに、外枠除電パターン74に接続された保護層22が設けられている。このため、静電気により保護層22が帯電した場合であっても、保護層22の電荷を外枠除電パターン74に逃がすことができ、これによって、保護層22の帯電量が大きくなるのを抑制することができる。このことにより、静電気の放電が生じるのを防ぐことができ、これによって、電極パターン13,15、端子部17および導電パターン14,16が損傷するのを防ぐことができる。また、仮に放電が生じるとしても、外枠除電パターン74を設けることにより、放電の発生箇所を、保護層22ではなく外枠除電パターン74にすることができる。これによって、保護層22に覆われているタッチパネルセンサ部10が損傷するのを防ぐことができる。
【0096】
また本実施の形態によれば、外枠除電パターン74は、チップ部71に向かって先細になる先細領域76を含んでいる。このため、保護層22の電荷が先細領域76の先端部76aに集まりやすくなっている。このため、保護層22の電荷をより確実に外枠除電パターン74に逃がすことができる。
【0097】
また本実施の形態によれば、外枠除電パターン74は、透明電極材料をパターニングする際にx電極単位13a、y電極単位15aおよびx接続部15bと同時に形成される透明電極材料層27と、導電性材料をパターニングする際にy接続部15bと同時に透明電極材料層27上に形成される導電性材料層29と、を含んでいる。このため、ワーク基板70にタッチパネルセンサ部10のみを形成する場合の工数と同一の工数で、外枠除電パターン74を形成することができる。このことにより、外枠除電パターン74を含む多面付けワーク基板70を簡易に製造することができる。
【0098】
また本実施の形態によれば、外枠除電パターン74の先細領域76は、透明電極材料層27と導電性材料層29との間に介在され、絶縁層18と同時に絶縁層18と同一の材料から形成される絶縁層28を含む上方突出部73を有している。この上方突出部73は、絶縁層28の厚みの分だけ周辺から上方へ突出している。このような上方突出部73を設けることにより、ワーク基板70の一面70aと平行な方向においてだけでなく一面11aの法線方向においても、先細領域76をいわゆる避雷針として機能させることができる。このため、保護層22の電荷をより確実に外枠除電パターン74に逃がすことができる。これによって、保護層22の帯電量が大きくなるのをより確実に抑制することができる。
【0099】
次に、図10を参照して、本願発明の効果を比較の形態と比較して説明する。図10は、比較の形態におけるワーク基板100であって、複数のタッチパネルセンサ部10がその一面100a上のチップ部71に設けられた多面付けワーク基板100を示す平面図である。図10に示すワーク基板100は、ワーク基板100の一面100aのほぼ全域にわたって設けられた保護層101が設けられている点が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図9(a)(b)に示す本実施の形態におけるワーク基板70と略同一である。なお図10には示されていないが、各チップ部71の端子部17は少なくとも部分的に露出されている。すなわち、端子部17の一部分上には保護層101が設けられていない。
【0100】
比較の形態によるワーク基板100においては、図10に示すように、チップ部71と外枠部72との間の境界線79が全域にわたって保護層101によって覆われている。このため、ワーク基板100の切断の際、境界線の全域にわたって保護層101が切断されることになる。この場合、切断の際に保護層101に過大な力が印加され、これによって保護層101がワーク基板100の一面100a上から剥離されることが考えられる。また、保護層101の切断の際に切りくずが大量に発生し、この切りくずが表示装置に混入して表示装置の特性が劣化することや、切断用のカッターが早期に劣化することが考えられる。
【0101】
また比較の形態によるワーク基板100においては、保護層101がワーク基板100の一面100aのほぼ全域にわたって設けられている。このため、外枠除電パターン74のうち保護層101によって覆われていない領域の面積、すなわち露出されている領域の面積が少なくなっている。従って、ワーク基板100と支持台86との間で放電が生じる場合、放電による損傷が保護層101およびタッチパネルセンサ部10に発生しやすくなっていると考えられる。
【0102】
これに対して本発明の実施の形態によれば、保護層22は、ワーク基板70の一面70a上の各チップ部71内に配置され、各タッチパネルセンサ部10の各電極パターン13,15および各導電パターン14,16を覆う本体部22aと、チップ部71と外枠部72との間の境界線79を横切って外枠除電パターン74に至る連結部22bと、を含んでいる。このため、ワーク基板70の切断の際、保護層22のうち連結部22bのみが切断される。このため上述の比較の形態の場合に比べて、保護層22の切断量が少なくなっている。これによって、切断の際に保護層22に過大な力が印加され、この結果として保護層22がワーク基板70の一面70a上から剥離されるのを防ぐことができる。また、保護層22の切断の際に発生する切りくずの量を抑制することや、切断用のカッターが早期に劣化するのを防ぐことができる。
【0103】
また本発明の実施の形態によれば、外枠除電パターン74の大部分は、保護層22によって覆われていない。従って、ワーク基板70と支持台86との間で仮に放電が生じるとしても、放電は、面積の大きく、かつ保護層22に比べて電気抵抗の低い外枠除電パターン74で生じると考えられる。これによって、保護層22およびタッチパネルセンサ部10が損傷するのを防ぐことができる。
【0104】
外枠除電パターンの形状の変形例
なお外枠除電パターン74の具体的な形状が特に限られることはなく、様々な形状を有する外枠除電パターン74が設けられ得る。例えば図11に示すように、外枠除電パターン74が先細領域76を含んでいなくてもよい。これによって、チップ部71と外枠部72との間の境界線79に沿って外枠除電パターン74を設けることができ、このことにより、外枠除電パターン74の面積をより大きくすることができる。なお図11に示す形態においても、外枠除電パターン74のうち保護層22の連結部22bにより覆われている領域に上方突出部73が形成されていてもよい。
【0105】
保護層の形状の変形例
また保護層22の具体的な形状が特に限られることはなく、様々な形状を有する保護層22が設けられ得る。例えば図12に示すように、一のチップ部71内の保護層22の本体部22aから外枠部72に向かって突出する連結部22bが、一のチップ部71に隣接する他のチップ部71内の保護層22の本体部22aから外枠部72に向かって突出する連結部22bに接続されていてもよい。これによって、各チップ部71内の保護層22における帯電量を均一にすることができ、このことにより、特定のチップ部71内の保護層22に電荷が集中することを防ぐことができる。これによって、特定のチップ部71において放電が生じやすいという現象が生じることを防ぐことができる。なお図12に示す形態においても、外枠除電パターン74のうち保護層22の連結部22bにより覆われている領域に上方突出部73が形成されていてもよい。
【0106】
外枠除電パターンの層構成の変形例
また本実施の形態によるタッチパネルセンサ部10の形成工程において、はじめにx電極単位13a,x接続部13bおよびy電極単位15aが形成され、次にx接続部13b上に絶縁層18が形成され、その後にy接続部15bが形成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図13Aに示すように、はじめにy接続部15bを形成し、次にy接続部15b上に絶縁層18を形成し、その後にx電極単位13a,x接続部13bおよびy電極単位15aを形成してもよい。
【0107】
具体的には、はじめに、ワーク基板70の一面70a上に導電性材料を設ける。次に、設けられた導電性材料をパターニングすることによりy接続部15bを形成する。その後、y接続部15b上に絶縁層18を形成する。次に、ワーク基板70の一面70a上に透明電極材料を設ける。その後、設けられた透明電極材料をパターニングすることにより、x電極単位13a,x接続部13bおよびy電極単位15aを形成する。これによってタッチパネルセンサ部10が形成される。
【0108】
この場合、図13Aに示すように、外枠除電パターン74は、導電性材料をパターニングする際にy接続部15bと同時に形成される導電性材料層29と、透明電極材料をパターニングする際にx電極単位13a,x接続部13bおよびy電極単位15aと同時に導電性材料層29上に形成される透明電極材料層27と、を含んでいる。また図13Aに示すように、外枠除電パターン74の先細領域76の上方突出部73は、透明電極材料層27と導電性材料層29との間に介在され、絶縁層18と同時に絶縁層18と同一の材料から形成される絶縁層28をさらに含んでいる。
【0109】
外枠除電パターンの層構成のその他の変形例
また本実施の形態において、y接続部15bが、導電パターン14,16および端子部17を構成する導電性材料と同一の材料から導電パターン14,16および端子部17と同時に形成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、y接続部15bが、導電パターン14,16および端子部17を構成する導電性材料とは異なる材料から形成されてもよい。例えば、導電パターン14,16および端子部17が金属材料などの導電性材料から形成され、y接続部15bがITOなどの透明電極材料から形成されていてもよい。この場合、導電性材料から導電パターン14,16および端子部17を形成する工程(以下、工程(1))、透明電極材料からx電極単位13a,x接続部13b,y電極単位15aを形成する工程(以下、工程(2))、絶縁層18を形成する工程(以下、工程(3))、および透明電極材料からy接続部15bを形成する工程(以下、工程(4))がそれぞれ実施される。このように本変形例によれば、金属材料や透明電極材料などの導電性を有する材料が3回にわたって設けられる。この場合、好ましくは、外枠除電パターン74は、導電パターン14,16,端子部17を形成する際に同時に設けられる導電性材料層29、および、x電極単位13a,x接続部13b,y電極単位15aを形成する際に同時に設けられる透明電極材料層27に加えて、y接続部15bを形成する際に同時に設けられる透明電極材料層27A(後述)をさらに含んでいる。これによって、外枠除電パターン74の電気抵抗をより小さくすることができる。
【0110】
なお、工程(1)〜(4)が実施される順序が特に限定されることはない。例えば、工程(1)〜(4)が、(1)→(2)→(3)→(4)の順に実施されてもよい。この場合、外枠除電パターン74は図13Bに示すように、ワーク基板70の一面70a上に設けられた導電性材料層29と、導電性材料層29上に設けられた透明電極材料層27と、透明電極材料層27上に設けられた透明電極材料層27Aと、を含んでいる。また、絶縁層28を含む上方突出部73が形成されていてもよい。
【0111】
また工程(1)〜(4)が、(2)→(3)→(4)→(1)の順に実施されてもよい。この場合、外枠除電パターン74は図13Cに示すように、ワーク基板70の一面70a上に設けられた透明電極材料層27と、透明電極材料層27上に設けられた透明電極材料層27Aと、透明電極材料層27A上に設けられた導電性材料層29と、を含んでいる。また、絶縁層28を含む上方突出部73が形成されていてもよい。
【0112】
上述の工程(1)〜(4)が実施される順序が図13Bまたは図13Cに示す例に限られることはなく、用いられる導電性材料および透明電極材料の特性に応じて様々な順序で工程(1)〜(4)が実施され得る。
また、工程(2)において透明電極材料からx電極単位13a,x接続部13b,y電極単位15aが形成され、工程(4)において透明電極材料からy接続部15bが形成される例を示したが、これに限られることはない。例えば、工程(2)において透明電極材料からx電極単位13aおよびx接続部13bが形成され、工程(4)において透明電極材料からy電極単位15aおよびy接続部15bが形成されてもよい。
【0113】
外枠除電パターンの層構成のさらなる変形
また本実施の形態において、外枠除電パターン74の先細領域76に上方突出部73が形成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図13Dに示すように、先細領域76に上方突出部73が形成されていなくてもよい。
また本実施の形態において、外枠除電パターン74が、透明電極材料層27や導電性材料層29などの複数の層を含む例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、外枠除電パターン74が透明電極材料層27または導電性材料層29のいずれか一方のみから形成されていてもよい。若しくは、外枠除電パターン74が、透明電極材料層27または導電性材料層29とは異なるその他の導電性を有する材料から形成されていてもよい。
これらの場合であっても、保護層22の電荷を外枠除電パターン74に逃がすことができ、これによって、保護層22の帯電量が大きくなるのを抑制することができる。
【0114】
保護層の形成工程の変形例
また本実施の形態において、保護層22を形成する際のパターニング方法としてフォトリソグラフィー法が用いられる例を示した。この場合、保護層22のパターニングは、先細領域76の上方突出部73上の保護層22の厚みtがy接続部15b上の保護層22の厚みtより小さくなるよう実施されてもよい。
例えば保護層22の材料としてネガ型感光性樹脂材料が用いられる場合、先細領域76の上方突出部73に対応する部分における透過率がy接続部15bに対応する部分における透過率よりも小さくなっているハーフトーンマスクを用いたフォトリソグラフィー法により、保護層22のパターニングが実施されてもよい。この場合、先細領域76の上方突出部73に対応する部分に照射される露光光の強度が、y接続部15bに対応する部分に照射される露光光の強度よりも小さくなっている。このため、先細領域76の上方突出部73上に形成される保護層22の連結部22bの厚みtが、y接続部15b上に形成される保護層22の本体部22aの厚みtより小さくなる。これによって、上述のように、放電の経路がy接続部15bを通る経路ではなく外枠除電パターン74を通る経路になるという傾向をより強くすることができる。
若しくは保護層22の材料としてポジ型感光性樹脂材料が用いられる場合、先細領域76の上方突出部73に対応する部分における透過率がy接続部15bに対応する部分における透過率よりも大きくなっているハーフトーンマスクを用いたフォトリソグラフィー法により、保護層22のパターニングが実施されてもよい。この場合、先細領域76の上方突出部73に対応する部分に照射される露光光の強度が、y接続部15bに対応する部分に照射される露光光の強度よりも大きくなっている。このため、先細領域76の上方突出部73上に形成される保護層22の連結部22bの厚みtが、y接続部15b上に形成される保護層22の本体部22aの厚みtより小さくなる。これによって、上述のように、放電の経路がy接続部15bを通る経路ではなく外枠除電パターン74を通る経路になるという傾向をより強くすることができる。
【0115】
なお、通常のフォトマスクは、フォトマスク用透明基材と、フォトマスク用透明基材上に所定パターンで設けられた金属薄膜等の遮光部材と、からなっている。そして通常のフォトマスクは、透過部(フォトマスク用透明基材が露出する部位)と、遮光部(遮光部材が形成された部位)と、を有する2階調のフォトマスクとなっている。一方、上述のハーフトーンマスクは、透過部および遮光部に加え、透過部と遮光部の中間の透過率を有する中間透過率部を有している。このためハーフトーンマスクは、3階調以上の階調を有するフォトマスクとなっている。中間透過率部は、半透過性の薄膜等で形成される。
【0116】
ハーフトーンマスクのその他の応用例
また上述の保護層22の形成工程の変形例において、先細領域76の上方突出部73上に形成される保護層22の厚みtをy接続部15b上に形成される保護層22の厚みtより小さくするため、保護層22のパターニングがハーフトーンマスクを用いたフォトリソグラフィー法により実施される例を示した。しかしながら、先細領域76の上方突出部73上に形成される保護層22の厚みtをy接続部15b上に形成される保護層22の厚みtより小さくするための方法がこれに限られることはない。例えば、ハーフトーンマスクを用いたフォトリソグラフィー法により絶縁層18および絶縁層28のパターニングを実施することによって、先細領域76の上方突出部73上に形成される保護層22の厚みtをy接続部15b上に形成される保護層22の厚みtより小さくすることができる。以下、ハーフトーンマスクを用いたフォトリソグラフィー法により絶縁層18および絶縁層28のパターニングを実施する場合について、図13Eを参照して説明する。なお図13Eにおいて、保護層22の形状は、保護層22を塗布する際の保護層22自体のレベリング効果を考慮して表されている。
【0117】
例えば絶縁層18および絶縁層28の材料としてネガ型感光性樹脂材料が用いられる場合、先細領域76の上方突出部73に対応する部分における透過率がy接続部15bに対応する部分における透過率よりも大きくなっているハーフトーンマスクを用いたフォトリソグラフィー法により、絶縁層18および絶縁層28のパターニングが実施されてもよい。この場合、先細領域76の上方突出部73に対応する部分に照射される露光光の強度が、y接続部15bに対応する部分に照射される露光光の強度よりも大きくなっている。このため図13Eに示すように、先細領域76の上方突出部73上に形成される絶縁層28の厚みtが、y接続部15b上に形成される絶縁層18の厚みtより大きくなる。その後、絶縁層28および絶縁層18の上に、導電性材料層29およびy接続部15bが設けられ、さらに保護層22が設けられる。この場合、ワーク基板70の一面70aから導電性材料層29の表面(一側の面)までの距離は、ワーク基板70の一面70aからy接続部15bの表面(一側の面)までの距離よりも大きくなっている。このため、保護層22自体のレベリング効果により、図13Eに示すように、導電性材料層29上、すなわち先細領域76の上方突出部73上に形成される保護層22の厚みtが、y接続部15b上に形成される保護層22の厚みtより小さくなる。これによって、放電の経路がy接続部15bを通る経路ではなく外枠除電パターン74を通る経路になるという傾向をより強くすることができる。
また図13Eに示すように、ワーク基板70の一面70aから保護層22の表面(一側の面)までの距離に関しても、先細領域76の上方突出部73における距離tの方が、y接続部15bにおける距離tよりも大きくなっている。このため、先細領域76の上方突出部73上の保護層22が、他の位置にある保護層22に比べて突出している。このため、カラーフィルタ部30の製造工程において上述のようにワーク基板70を支持台86から剥離させる際、先細領域76の上方突出部73上の保護層22が、最後に支持台86から離れる箇所となる。このことにより、剥離の際に放電が生じるとしても、放電の経路が外枠除電パターン74を通る経路となる。これによって、タッチパネルセンサ部10が損傷するのを防ぐことができる。
【0118】
若しくは絶縁層18および絶縁層28の材料としてポジ型感光性樹脂材料が用いられる場合、先細領域76の上方突出部73に対応する部分における透過率がy接続部15bに対応する部分における透過率よりも小さくなっているハーフトーンマスクを用いたフォトリソグラフィー法により、絶縁層18および絶縁層28のパターニングが実施されてもよい。この場合、先細領域76の上方突出部73に対応する部分に照射される露光光の強度が、y接続部15bに対応する部分に照射される露光光の強度よりも小さくなっている。このため図13Eに示すように、先細領域76の上方突出部73上に形成される絶縁層28の厚みtが、y接続部15b上に形成される絶縁層18の厚みtより大きくなる。これによって、保護層22自体のレベリング効果により、先細領域76の上方突出部73上に形成される保護層22の厚みtを、y接続部15b上に形成される保護層22の厚みtより小さくすることができる。このことにより、放電の経路がy接続部15bを通る経路ではなく外枠除電パターン74を通る経路になるという傾向をより強くすることができる。
【0119】
なお本変形例においても、保護層22のパターニングがハーフトーンマスクを用いたフォトリソグラフィー法により実施されてもよい。これによって、先細領域76の上方突出部73上に形成される保護層22の厚みtを、y接続部15b上に形成される保護層22の厚みtよりさらに小さくすることができる。このことにより、放電の経路がy接続部15bを通る経路ではなく外枠除電パターン74を通る経路になるという傾向をさらに強くすることができる。
【0120】
第2の実施の形態
次に図14Aおよび図14Bを参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。ここで図14Aは、本実施の第2の実施の形態において、ワーク基板の一面側のチップ部およびその近傍を拡大して示す平面図であり、図14Bは、図14Aのワーク基板をXIVB−XIVB方向から見た縦断面図である。
【0121】
図14Aおよび図14Bに示す第2の実施の形態は、保護層上に帯電防止膜が設けられている点が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図9に示す第1の実施の形態と略同一である。図14Aおよび図14Bに示す第2の実施の形態において、図1乃至図9に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0122】
図14Aおよび図14Bに示すように、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20は、保護層22上に設けられた透明な帯電防止膜26をさらに有している。この帯電防止膜26は、例えば図14Aに示すように、保護層22全体を覆うベタ層として形成されている。しかしながら、帯電防止膜26の形状が図14Aに示す形状に限られることはない。帯電防止膜26は、ワーク基板70の法線方向から見て少なくとも外枠除電パターン74に部分的に重なるよう設けられていればよい。
【0123】
帯電防止膜26の表面抵抗は、保護層22の表面抵抗よりも小さく、かつ電極パターン13,15およびx導電パターン14,16の表面抵抗よりも大きくなっている。このような帯電防止膜26を設けることにより、電極パターン13,15および導電パターン14,16を通る信号を乱すことなく、保護層22に帯電している電荷の水平方向における移動、すなわち保護層22の表面に平行な方向における移動を促進することができる。例えば、保護層22の表面の中央近傍に存在する電荷を、帯電防止膜26を介して外枠除電パターン74近傍まで移動させ、そして電荷を外枠除電パターン74に逃がすことができる。これによって、保護層22における帯電量を低減させることができ、このことにより、静電気の放電が生じるのを防ぐことができる。これによって、静電気の放電によってタッチパネルセンサ部10が損傷するのを防ぐことができる。
【0124】
各層の表面抵抗の値についてより具体的に説明する。保護層22の表面抵抗は、例えば1014Ω/□以上となっており、またx電極単位13a,x接続部13bおよびy電極単位15aの表面抵抗は、例えば10Ω/□以下となっている。一方、帯電防止膜26の表面抵抗は、例えば10〜1013Ω/□の範囲内となっている。そして、帯電防止膜26は、その表面抵抗の値が上記の範囲内となるよう、その厚みおよび材料が適切に選択される。例えば帯電防止膜26の材料として、金属または金属酸化物または有機化合物の導電性微粒子を含むアクリル樹脂が用いられ得る。
【0125】
なお本実施の形態において、外枠除電パターン74の具体的な層構成が図14Bに示す例に限られることはなく、図13A乃至図13Eに示す第1の実施の形態の変形例の場合と同様に、外枠除電パターン74を様々な層で形成することができる。
【0126】
第3の実施の形態
次に図15を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。ここで図15は、本実施の第3の実施の形態において、ワーク基板の一面側のチップ部およびその近傍を拡大して示す平面図である。
【0127】
図15に示す第3の実施の形態は、外枠除電パターンが狭幅領域を含む点が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図9に示す第1の実施の形態と略同一である。図5に示す第3の実施の形態において、図1乃至図9に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0128】
図15に示すように、外枠除電パターン74は、外枠部72に設けられ、保護層22によって覆われていないメイン領域75と、近接するチップ部71に向かってメイン領域75から突出した狭幅領域77と、を含んでいる。この狭幅領域77は、保護層22の連結部22bにより部分的に覆われている。
【0129】
ここで本実施の形態の背景について説明する。本件発明者らが鋭意研究を重ねたところ、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20の製造工程において、保護層22に生じる静電気に起因する放電は、保護層22により覆われているパターンのうち、より幅の狭いパターンにおいて生じやすいことが見いだされた。ここで、従来のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20のタッチパネルセンサ部10において、最も幅の狭いパターンは、例えば図15に示すy接続部15bとなっている。
【0130】
保護層22に生じる静電気に起因する放電がより幅の狭いパターンにおいて生じやすいことの原因としては、様々なことが考えられる。例えば、パターンの幅が狭いほど、パターンが避雷針として機能し、電荷を集めやすくなることが考えられる。
【0131】
このような背景に基づいて、本実施の形態においては、上述の外枠除電パターン74の狭幅領域77を、最も狭い幅を有するパターンとして形成している。例えば、外枠除電パターン74の狭幅領域77の幅wは、y接続部15bの幅wよりも小さくなっている。具体的には、y接続部15bの幅wが10〜20μmの範囲内となっている場合、狭幅領域77の幅wは5〜20μmの範囲内となっている。これによって、仮に保護層22の静電気の放電が生じる場合であっても、放電の発生箇所を、タッチパネルセンサ部10ではなく外枠除電パターン74にすることができる。これによって、タッチパネルセンサ部10が損傷するのを防ぐことができる。
【0132】
除電パターンの形状の変形例
なお外枠除電パターン74の具体的な形状が特に限られることはない。本実施の形態において、各外枠除電パターン74は、少なくとも部分的に保護層22の連結部22bに接続される少なくとも1つの狭幅領域77を含んでいればよい。また、設けられる狭幅領域77の数が特に限られることもない。例えば図15に示すように、外枠除電パターン74が、多数の狭幅領域77を結合することにより形成される部分を含んでいてもよい。
【0133】
また本実施の形態において、外枠除電パターン74の狭幅領域77の幅が、y接続部15bの幅よりも小さくなっている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、電極パターン13,15または導電パターン14,16の構成に応じて、狭幅領域77の幅が適宜設定される。例えば図13Aに示す第1の実施の形態の変形例のようにx接続部13bがy接続部15bよりも上方に配置されている場合、外枠除電パターン74の狭幅領域77の幅がx接続部13bの幅よりも小さくなるよう設定されてもよい。
【0134】
その他の変形例
本発明の実施の形態において、図15に示すように、チップ部71と外枠部72との間の境界線79に沿って切断パターン78が設けられていてもよい。この切断パターン78は、外部から視認可能な材料から構成されており、多面付けワーク基板70を切り出す際の切断の目安として機能する。
このような切断パターン78は、好ましくは、導電パターン14,16を構成する導電性材料と同一の導電性材料から形成されている。これによって、導電パターン14,16を形成するのと同時に切断パターン78を形成することができる。導電性材料としては、例えば、アルミニウム、モリブデン、パラジウム、銀、クロム、銅等の金属及びそれらを主成分とする合金が用いられる。これによって、切断パターン78を外部から視認可能にすることができる。
図示はしないが、切断パターン78が外枠除電パターン74に接続されていてもよい。これによって、保護層22の電荷が切断パターン78を介して外枠除電パターン74に逃げることが可能となる。このことにより、保護層22の帯電量が大きくなるのをより抑制することができる。
【0135】
また上述の各実施の形態において、透明電極材料から構成されるタッチパネルセンサ部10の電極パターンが、x方向に延びるx電極パターン13と、y方向に延びるy電極パターン15とからなる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、透明電極材料から構成される電極パターンとして、様々なパターンが用いられ得る。例えば図16Aおよび図16Bに示すように、透明電極材料から構成される電極パターンが、くさび型構造を有するくさび型電極パターン19aからなっていてもよい。この場合、くさび型電極パターン19aと端子部17とが導電パターン19bにより電気的に接続されている。くさび型電極パターン19aを構成する透明電極材料および導電パターン19bを構成する導電性材料は、上述の各実施の形態の場合と同一であるので詳細な説明を省略する。
【0136】
本変形例によるタッチパネルセンサ部10においては、図16Bに示すように、各くさび型電極パターン19aが、ワーク基板70の一面70a上に設けられた透明電極材料をパターニングすることにより同時に形成され得る。また本変形例によるタッチパネルセンサ部10においては、電極パターンが上下方向に積層されている箇所が無い。従って、上述の各実施の形態において設けられていた絶縁層18のような、上下方向における導通を防ぐための層が不要となっている。このため本変形例によるタッチパネルセンサ部10は、上述の各実施の形態によるタッチパネルセンサ部10に比べて少ない工数で製造され得る。
【0137】
本変形例によるタッチパネルセンサ部10においても、外枠部72に設けられた外枠除電パターン74が保護層22により覆われている。このため、保護層22の電荷を外枠除電パターン74に逃がすことができ、これによって、保護層22の帯電量が大きくなるのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0138】
10 タッチパネルセンサ部
11 基板
11a 基板の一面
11b 基板の他面
13 x電極パターン
13a x電極単位
13b x接続部
14 x導電パターン
15 y電極パターン
15a y電極単位
15b y接続部
16 y導電パターン
17 端子部
18 絶縁層
20 カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ
22 保護層
22a 本体部
22b 連結部
26 帯電防止膜
27 透明電極材料層
28 絶縁層
29 導電性材料層
30 カラーフィルタ部
31 ブラックマトリクス層
32 着色層
40 液晶
41 封止材
50 TFT基板
51 基板
52 透明電極部
53 配線部
60 表示装置
70 ワーク基板
70a ワーク基板の一面
70b ワーク基板の他面
71 チップ部
72 外枠部
73 上方突出部
74 外枠除電パターン
75 メイン領域
76 先細領域
76a 先端部
77 狭幅領域
78 切断パターン
79 境界線
81 塗布手段
82 乾燥手段
83 プリベーク手段
84 露光・現像手段
85 水切り手段
86 支持台
87 搬送ローラー
88 吸着穴
100 ワーク基板
101 保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサが割り付けられた多面付けワーク基板において、
前記カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサが形成される複数のチップ部と、各チップ部を囲む外枠部と、に区画されるワーク基板と、
前記ワーク基板の一面上の各チップ部に設けられたタッチパネルセンサ部と、
前記ワーク基板の他面上の各チップ部に設けられ、複数の着色層を有するカラーフィルタ部と、
前記ワーク基板の一面上の外枠部に設けられ、導電性を有する外枠除電パターンと、を備え、
各タッチパネルセンサ部は、所定パターンで設けられた複数の電極パターンと、各々が各電極パターンに対応する複数の端子部と、各々が各電極パターンと各端子部との間を電気的に接続する複数の導電パターンと、を有し、
前記ワーク基板の一面上に、各タッチパネルセンサ部を部分的に覆うとともに、前記外枠除電パターンに接続された保護層がさらに設けられており、
前記保護層は、前記ワーク基板の一面上の各チップ部内に配置され、各タッチパネルセンサ部の各電極パターンおよび各導電パターンを覆う本体部と、前記本体部から前記外枠部に向かって突出して前記外枠除電パターンに至る連結部と、を含む
ことを特徴とする多面付けワーク基板。
【請求項2】
前記外枠除電パターンが、前記タッチパネルセンサ部の前記電極パターンまたは前記導電パターンと同一の材料からなる層を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の多面付けワーク基板。
【請求項3】
前記外枠除電パターンは、近接する前記チップ部に向かって先細になる先細領域を含み、
前記先細領域の先端部は、前記保護層の前記連結部により覆われている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の多面付けワーク基板。
【請求項4】
前記外枠除電パターンのうち前記保護層の前記連結部により覆われている領域は、上方に突出する上方突出部を含む
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の多面付けワーク基板。
【請求項5】
前記上方突出部上に位置する前記保護層の前記連結部の厚みは、前記保護層の前記本体部の厚み以下となっている
ことを特徴とする請求項4に記載の多面付けワーク基板。
【請求項6】
前記電極パターンは、x方向にx接続部を介して接続された複数のx電極単位と、x電極単位間に位置し、y方向にy接続部を介して接続された複数のy電極単位と、を有し、
前記x接続部および前記y接続部は、前記ワーク基板の法線方向から見て重なり合うよう配置されており、
前記x接続部と前記y接続部との間には、絶縁層が介在されており、
前記外枠除電パターンは、前記x接続部と同一の材料からなる層および前記y接続部と同一の材料からなる層を積層することにより形成されていることを特徴とする請求項4または5に記載の多面付けワーク基板。
【請求項7】
前記外枠除電パターンの前記上方突出部は、前記絶縁層と同一の材料からなる層をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の多面付けワーク基板。
【請求項8】
一のチップ部内の保護層の本体部から前記外枠部に向かって突出する連結部が、一のチップ部に隣接する他のチップ部内の保護層の本体部から前記外枠部に向かって突出する連結部に接続されている
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の多面付けワーク基板。
【請求項9】
チップ部と外枠部との間の境界線に沿って切断パターンが設けられており、
前記切断パターンは、前記導電パターンと同一の材料から形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の多面付けワーク基板。
【請求項10】
前記保護層上に、前記ワーク基板の法線方向から見て前記外枠除電パターンに少なくとも部分的に重なる帯電防止膜が設けられており、
前記帯電防止膜の表面抵抗は、前記保護層の表面抵抗よりも小さく、かつ前記電極パターンの表面抵抗および前記導電パターンの表面抵抗よりも大きくなっていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の多面付けワーク基板。
【請求項11】
複数のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサが複数割り付けられた多面付けワーク基板の製造方法において、
ワーク基板は一面および他面を有し、多面付けワーク基板の一面および他面は、前記カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサが形成される複数のチップ部と、各チップ部を囲む外枠部と、に区画され、
各カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサは、ワーク基板の一面上の各チップ部に設けられるタッチパネルセンサ部と、ワーク基板の他面上の各チップ部に設けられ、複数の着色層を有するカラーフィルタ部と、を有し、
各タッチパネルセンサ部は、所定パターンで設けられた複数の電極パターンと、各々が各電極パターンに対応する複数の端子部と、各々が各電極パターンと各端子部との間を電気的に接続する複数の導電パターンと、を有し、
多面付けワーク基板の製造方法は、
ワーク基板を準備する工程と、
ワーク基板の一面上の各チップ部に前記タッチパネルセンサ部を形成する工程と、
ワーク基板の一面上の外枠部に導電性を有する外枠除電パターンを設ける工程と、
前記ワーク基板の一面上に、各タッチパネルセンサ部を部分的に覆うとともに前記外枠除電パターンに接続された保護層を設ける工程と、
ワーク基板の他面上の各チップ部に前記カラーフィルタ部を形成する工程と、を備え、
前記保護層は、前記ワーク基板の一面上の各チップ部内に配置され、各タッチパネルセンサ部の各電極パターンおよび各導電パターンを覆う本体部と、前記本体部から突出して前記外枠除電パターンに至る連結部と、を含む
ことを特徴とする多面付けワーク基板の製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図13E】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【公開番号】特開2012−155607(P2012−155607A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15392(P2011−15392)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】