説明

太陽電池セルの移送装置およびその移送方法

【課題】積層された多数枚の太陽電池セルのうちの最上層の太陽電池セルのみを破損することなく確実に取り出すとともに、寸法精度を確保して移送する。
【解決手段】水平な下面を有するフラットテーブル4を備え、最上層の太陽電池セルを吸着する位置と上方に退避した位置との間を昇降自在で、太陽電池セルの退避位置と移送位置との間を移送自在なベース3と、フラットテーブル4の幅方向中央を貫通してベース3に対して昇降自在な吸着パッド7と、フラットテーブル4の四隅をそれぞれ貫通するとともに、下端面がフラットテーブル4の下面よりも下方に突出して設けられた規正パッド8とから構成される。そして、吸着パッド7を介して太陽電池セルの幅方向中央部を吸着してフラットテーブル4の下面に接触するように持ち上げるとともに、規正パッド8を介して太陽電池セルの四隅を吸着してフラットテーブル4の下面に沿わせる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽電池セルの移送装置およびその移送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、太陽電池モジュールは、複数枚の太陽電池セルを接続してストリングを形成し、複数行のストリングを面状に接続して製造される。すなわち、隣接する太陽電池セルのバスバー(集電部)間にわたって断面偏平な方形状のリードを溶着して接続し、リードを介して接続された複数枚の太陽電池セルによってストリングが形成されている。
【0003】
このように、太陽電池セルのバスバーにリードを溶着するため、太陽電池セルが保管されたストッカーと、太陽電池セルをリードの溶着作業位置に搬送する搬送装置との間に、ストッカーの太陽電池セルを吸着して移送する移送装置を設け、移送装置を介してストッカーの太陽電池セルを吸着し、搬送装置に移送するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この場合、太陽電池セルは、通常、ストッカーに100枚以上、多いときには500枚といった多数枚が積層された状態で保管されており、下方の太陽電池セルほど自重によって積み重なった上下の太陽電池セルとの間に隙間がなくなり、真空状態になっている。このため、最上層の太陽電池セルを取り出す際、吸着パッドを利用して最上層の太陽電池セルを吸着するとともに、その横方向から空気を噴出させ、最上層の太陽電池セルに真空吸引されて追従して持ち上げられた次層以下の太陽電池セルを最上層の太陽電池セルから切り離すようにしている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
なお、移送装置と搬送装置との間に太陽電池セルの移載装置を設け、移送装置を介して太陽電池セルを移載装置に移送した後、移載装置を介して搬送装置に移載することも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−278626号公報
【特許文献2】特開2007−119216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、太陽電池セルは、厚みが0.15〜0.2mmとより薄くなっており、このような薄くなった太陽電池セルにおいては、吸着した太陽電池セルに対して湾曲した状態で次層の太陽電池セルを含む1枚または複数枚の太陽電池セルが真空作用によって追従して持ち上げられる現象が発生することがある。この際、最上層の太陽電池セルを含む複数枚の太陽電池セルに横方向からエアを噴出しても、次層以下の太陽電池セルを最上層の太陽電池セルから容易に切り離すことができず、より長い時間エアを噴出させることが必要になり、生産効率を低下させるという欠点があった。また、高いエア圧が必要とされるため、太陽電池セルにクラックを発生させる原因ともなる。
【0008】
一方、太陽電池セルは反って湾曲した状態で吸着されており、反った分だけ正規の水平な太陽電池セルの寸法および形状と相違している。したがって、太陽電池セルを反った状態で搬送装置の設定された位置に移送すると、寸法精度が安定せず、太陽電池セルのバスバーにリードを正確に溶着することができず、不良品を発生させる原因となる。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、積層された多数枚の太陽電池セルのうちの最上層の太陽電池セルのみを破損することなく確実に取り出すことができるとともに、寸法精度を確保して移送することのできる太陽電池セルの移送装置およびその移送方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の太陽電池セルの移送装置は、水平な下面を有するフラットテーブルを備え、ストッカーに積層された最上層の太陽電池セルを吸着する吸着位置とその上方に退避した退避位置との間を垂直方向に昇降自在に支持されるとともに、太陽電池セルの退避位置と移送位置との間を水平方向に移送自在に支持されたベースと、フラットテーブルの幅方向中央を貫通してベースに対して昇降自在に支持された1個または複数個の吸着パッドと、フラットテーブルの四隅をそれぞれ貫通するとともに、下端面がフラットテーブルの下面よりも下方に突出して吸着パッドを包囲するように設けられた4個の規正パッドとから構成され、吸着パッドを介して太陽電池セルの幅方向中央部を吸着してフラットテーブルの下面に接触するように持ち上げるとともに、規正パッドを介して太陽電池セルの四隅を吸着してフラットテーブルの下面に沿わせることを特徴とするものである。
【0011】
本発明によれば、吸着パッドを下降させた状態でベースを吸着位置に下降させ、ストッカーに積層された最上層の太陽電池セルの幅方向中央部に吸着パッドを接触させるとともに、吸着パッドに負圧を作用させる。これにより、最上層の太陽電池セルの幅方向中央部が吸着パッドによって吸着されることにより、吸着パッドの縮み分だけその幅方向中央部が上方に持ち上げられる。次いで、ベースを退避位置まで上昇させるとともに、吸着パッドを上昇させ、吸着した太陽電池セルの幅方向中央部がフラットベースの下面に接触する位置まで持ち上げた後、規正パッドに負圧を作用させる。これにより、吸着パッドによって幅方向中央部が吸着されてフラットベースの下面に接触している太陽電池セルは、さらに規正パッドを介して四隅が吸着されるとともに、規正パッドの縮み分だけ上方に持ち上げられる。ここで、規正パッドの縮み代は、その下端面がフラットテーブルの下面に連続する平面上に位置するように設定されていることから、太陽電池セルの四隅はフラットテーブルの下面に接触する。すなわち、太陽電池セルは、幅方向中央部とともに四隅がフラットテーブルの下面に接触した状態に吸着され、全面がフラットテーブルの下面に沿った水平に矯正される。このため、最上層の太陽電池セルに真空作用によって上方に凸の湾曲した状態で吸引された次層以下の太陽電池セルは、最上層の太陽電池セルがフラットテーブルの水平な下面に沿って水平に形成されることにより、最上層の太陽電池セルの四隅との間に空間が形成されて空気が流入し、真空状態が解除される。これにより、仮に、最上層の太陽電池セルに次層の太陽電池セルを含む1枚または複数枚の太陽電池セルが追従して吸引されて持ち上げられたとしても、次層以下の太陽電池セルは、最上層の太陽電池セルとの間の真空状態が解除されて切り離されることにより、その自重によって確実に落下する。この後、ベースを退避位置から移送位置に移送する。
【0012】
この結果、太陽電池セルを1枚ずつ確実に吸着することができるとともに、自重による曲げ以上の曲げを作用させることがなく、吸着に伴う太陽電池セルの破損を確実に防止することができる。しかも、太陽電池セルを水平面に沿った水平状態で移送することから、移送される太陽電池セルに湾曲による寸法差は発生せず、移送位置において寸法誤差を可及的に小さくして移送先に受け渡すことが可能となる。
【0013】
本発明において、前記ベースを吸着位置と退避位置との間を昇降させるとともに、退避位置と移送位置との間を移送させる移送台が設けられ、移送台に対してベースが水平面内に移動自在に支持されるとともに、垂直軸回りに回転自在に支持され、また、太陽電池セルの退避位置と移送位置との間の検査位置に臨んで移送された太陽電池セルを撮影する撮像装置が設けられることが好ましい。これにより、検査位置に移送された太陽電池セルを撮影し、その画像と、移送位置における太陽電池セルの正規の位置に基づいて設定された太陽電池セルの基準画像とを比較し、太陽電池セルを基準画像に合致するように修正することが可能となる。すなわち、検査位置に移送された太陽電池セルは、フラットテーブルの水平な下面に全面が沿った状態に吸着されており、撮像装置によって撮像された太陽電池セルの画像は、正規の寸法および形状を反映し、検査位置において設定された太陽電池セルの基準画像と寸法上同一となる。したがって、撮影された画像と設定された基準画像とを比較し、修正が必要ならば、基準画像に一致するように移動させることにより、太陽電池セルを正規の移送位置に移送することができる。例えば、基準画像の基準点と撮影された画像の比較点を比較し、比較点の座標が基準点の座標と一致するように、x−y水平面内おけるx軸方向の移動およびy軸方向の移動、z軸回りの回転を単独で、あるいは、併用して、基準点と比較点が一致するように調整する。この結果、移送位置に移送された太陽電池セルは、正規の移送位置に位置決めされることから、移載装置を介して、あるいは、直接搬送装置に移送する際、搬送装置の搬送位置に寸法精度を確保して移送することが可能となる。
【0014】
本発明の太陽電池セルの移送方法は、ストッカーに積層された最上層の太陽電池セルの幅方向中央部を吸着し、当該中央部を水平面に沿わせた後、太陽電池セルの四隅を吸着して水平面に沿わせ、太陽電池セルを水平面に沿わせた水平状態で移送することを特徴とするものである。
【0015】
本発明によれば、ストッカーに積層された最上層の太陽電池セルの幅方向中央部を吸着し、その幅方向中央部を水平面に沿わせる。次いで、太陽電池セルの四隅を吸着して水平面に沿わせることにより、太陽電池セル全面を水平面に沿わせる。この際、最上層の太陽電池セルに真空作用によって上方に凸の湾曲した状態で吸引された次層以下の太陽電池セルは、最上層の太陽電池セルが水平に形成されることにより、最上層の太陽電池セルの四隅との間に空間が形成されて空気が流入し、真空状態が解除される。これにより、仮に、最上層の太陽電池セルに次層の太陽電池セルを含む1枚または複数枚の太陽電池セルが吸引されて持ち上げられたとしても、次層以下の太陽電池セルは、最上層の太陽電池セルとの真空状態が解除されて切り離されることにより、その自重によって確実に落下する。この後、太陽電池セルを水平面に沿わせた水平状態で移送位置に移送する。
【0016】
この結果、太陽電池セルを1枚ずつ確実に吸着することができるとともに、自重による曲げ以上の曲げを作用させることがなく、吸着に伴う太陽電池セルの破損を確実に防止することができる。しかも、太陽電池セルを水平面に沿った水平状態で移送することから、移送される太陽電池セルに湾曲による寸法差は発生せず、寸法誤差を可及的に小さくして移送先に受け渡すことが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、積層された多数枚の太陽電池セルのうちの最上層の太陽電池セルのみを破損することなく確実に取り出すことができるとともに、寸法精度を確保して移送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の太陽電池セルの吸着装置の一実施形態を模式的に示す側面側の断面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1の移送装置による吸着工程を説明する正面図である。
【図4】図1の移送装置による吸着工程を説明する正面図である。
【図5】図1の移送装置による吸着工程を説明する正面図である。
【図6】図1の移送装置による吸着工程を説明する正面図である。
【図7】図1の移送装置による吸着工程を説明する正面図である。
【図8】図1の移送装置による吸着工程を説明する正面図である。
【図9】図1の移送装置の検査位置における太陽電セルの修正工程を説明する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1および図2には、本発明の太陽電池セルPの移送装置1の一実施形態が記載されている。
【0021】
この移送装置1は、サーボモータおよびボールスクリューなどの移送装置(図示せず)を介して水平方向(x軸方向)に移送自在に支持されるとともに、サーボモータおよびボールスクリューなどの昇降装置(図示せず)を介して垂直方向(z軸方向)に昇降自在に支持された移送台2と、移送台2に対して水平面内(x軸方向およびy軸方向)に移動自在に支持されるとともに、垂直軸回りに回転自在に支持されたベース3と、ベース3に一体に連結され、幅方向(x軸方向)中央部に前後方向(y軸方向)に延びる長穴4aが貫通して形成されるとともに、四隅に穴4bが貫通して形成され、さらに、下面が水平面に形成されたフラットテーブル4と、ベース3に連結された昇降シリンダ5を介して昇降自在に支持されたフレーム6と、フラットテーブル4の長穴4aの各端部にそれぞれ挿通された一対の吸着パッド7と、フラットテーブル4の各穴4bにそれぞれ挿通された規正パッド8とから構成され、各吸着パッド7および各規正パッド8は、図示しないブロアーなどの空気源にそれぞれ移送台2からフレーム6およびベース3を経て配管9を介して接続されている。
【0022】
そして、移送台2は、昇降装置を作動させることにより、ベース3をストッッカー100(図3参照)に積層された多数枚の太陽電池セルPのうちの最上層の太陽電池セルPを吸着する吸着位置と上方に退避した退避位置との間を昇降させるとともに、移送装置を作動させることにより、ストッカー9上方の退避位置と移載装置(図示せず)上方の移送位置との間を移送させる
また、ベース3は、詳細には図示しないが、移送台2に対して水平面内においてそれぞれサーボモータおよびボールスクリューなどの移動装置(図示せず)を介してx軸方向およびy軸方向に各別に移動自在に支持されるとともに、サーボモータなどの回転装置(図示せず)を介してz軸回りに回転自在に支持されている。
【0023】
なお、移送装置1には、後述するように、退避位置と移送位置との間に検査位置が設定されており、該検査位置に臨んで移送された太陽電池セルPを撮影するため、固体撮像素子、例えば、CCDイメージセンサを搭載したビデオカメラなどの撮像装置10(図9参照)が配設されている。
【0024】
一方、フラットテーブル4は、図2に示すように、上方より見て太陽電池セルPよりも若干小さな略相似の方形に形成され、退避位置において、中心がストッカー100に積層された太陽電池セルPの中心に対向するように、かつ、吸着パッド7の中心を結ぶ線分が太陽電池セルPの幅方向中心を通る中心線上に対向するように配設されている。
【0025】
また、吸着パッド7および規正パッド8は、シリコンゴムなどから形成されたベローズパッドが採用されており、そのうち、規正パッド8は、その下端面がフラットテーブル4の下面から若干突出するように配置されて、後述するように、真空吸引した際、下端面がフラットテーブル4の下面に連続する水平面上に位置するように縮み代が設定されている。
【0026】
なお、ストッカー100は、よく知られているように、昇降自在な昇降テーブル101を有し、昇降テーブル101上に積層された多数枚の太陽電池セルPのうちの最上層の太陽電池セルPが吸着パッド7を介して取り出される都度、その厚みに相当する高さだけ上昇して、最上層の太陽電池セルPが常に同一高さ位置に位置するように設定されている。
【0027】
次に、このように構成された移送装置1の作動について説明する。
【0028】
初期状態では、移送装置1のベース3は、ストッカー100に積層された太陽電池セルPを下方に臨む退避位置にあり、また、吸着パッド7は、昇降シリンダ5が伸長作動してその下端面が規正パッド8の下端面を越える下降位置にある(図3参照)。
【0029】
この状態から、移送台2の昇降装置を作動させてベース3を下降させ、吸着パッド7の下端面を最上層の太陽電池セルPの表面に接触させる(図4参照)。この際、吸着パッド7が緩やかに太陽電池セルPに接触するように、接触直前の下降速度を減速させることが好ましい。
【0030】
次いで、空気源を作動させると、吸着パッド7が負圧状態に維持されることにより、各吸着パッド7は、最上層の太陽電池セルPの幅方向中央部を吸引する。この際、図5に示すように、吸着パッド7が縮むことにより、その分太陽電池セルPの幅方向中央部が持ち上げられ、上方に凸の湾曲した状態で吸着される。この際、最上層の太陽電池セルPに次層の太陽電池セルPを含む1枚または複数枚の太陽電池セルPが追従して持ち上げられる場合もある。
【0031】
吸着パッド7によって最上層の太陽電池セルPの幅方向中央部が吸着されたならば、移送台2の昇降装置を作動させてベース3を上昇させ、上方に退避させた後(図6参照)、昇降シリンダ5を縮小作動させ、吸着した太陽電池セルPをフラットテーブル4の下面に接触する位置まで持ち上げる(図7参照)。次いで、規正パッド8に負圧を作用させ、太陽電池セルPの四隅を吸着する。この際、規正パッド8が縮むことにより、その分太陽電池セルPの四隅が持ち上げられ、フラットテーブル3の下面に接触する。すなわち、太陽電池セルPは、吸着パッド7および規正パッド8を介してその幅方向中央部および四隅がフラットテーブル4の下面に接触した状態、すなわち、全面がフラットテーブル4の水平な下面に接触した状態で吸着される(図8参照)。
【0032】
これにより、仮に、最上層の太陽電池セルPに追従して次層以下の1枚または複数枚の太陽電池セルPが追従して持ち上げられたとしても、最上層の太陽電池セルPのみがフラットテーブル4の水平な下面に沿って水平に矯正されることから、水平な最上層の太陽電池セルPと、該最上層の太陽電池セルPに真空吸引された上方に凸の湾曲した次層以下の太陽電池セルPとの間に空気が流入して真空状態が解除され、次層以下の太陽電池セルPは自重で落下し、最上層の太陽電池セルPから確実に切り離される。また、太陽電池セルPを水平に矯正することから、吸着によって反った状態や撓んだ状態で移送されることによる寸法誤差を解消することが可能となる。
【0033】
その後、移送台2の移送装置を作動させ、ベース3を検査位置に移送させる。検査位置にはCCDカメラなどの撮像装置10が配置されており(図9参照)、撮像装置10によって検査位置に移送された太陽電池セルPを撮影する。ここで、撮像装置10によって撮影された太陽電池セルPは、水平に矯正されていることから、正規の寸法および形状を反映したものとなる。
【0034】
一方、図示しない制御装置には、予め移送位置における太陽電池セルPの正規の位置に基づいて検査位置における太陽電池セルPの基準画像が設定されており、その基準画像と、撮像装置10によって撮影された太陽電池セルPの画像とを比較し、必要ならば、基準画像に一致するように、移送台2に対してベース3を移動装置を水平面内(x軸方向およびy軸方向)に移動させるとともに、垂直軸回りに回転させ、太陽電池セルPの位置を修正する。すなわち、x軸方向の移動と、y軸方向の移動と、z軸回りの回転を適宜組み合わせて、太陽電池セルPの位置を修正する。
【0035】
検査位置において、太陽電池セルPの位置を基準画像に合致するように修正したならば、再び移送台2の移送装置を作動させてベース3を移送位置に移送する。移送位置には、詳細には図示しないが、吸着部を備えた移載フォークを回転自在に支持した移載装置が配置されており、移送装置1のベース3から太陽電池セルPを受け取って図示しない搬送装置に移載することができる。この場合、移送位置に移送された太陽電池セルPは、予め移送位置と設定された正規の位置にあることから、移載装置に受け渡された太陽電池セルを位置決め精度を確保して搬送装置に移載することが可能となる。
【0036】
以上のように、最上層の太陽電池セルPのみをフラットテーブル4の水平な下面に沿わせて水平に矯正することにより、仮に、最上層の太陽電池セルPに追従して次層以下の太陽電池セルPを含む1枚または複数枚の太陽電池セルPが真空作用によって追従して持ち上げられたとしても、全面が水平に吸着された最上層の太陽電池セルPと、幅方向中央部のみが最上層の太陽電池セルPに真空吸引されて上方に凸の湾曲状態の次層以下の太陽電池セルPとの間には、確実に空間が形成されて真空状態が解除されることから、次層以下の太陽電池セルPは、自重によって確実に落下して切り離される。したがって、複数枚の太陽電池セルが次工程に移送されることを確実に防止することができる。
【0037】
また、太陽電池セルPをストッカー100から吸着して移送位置に移送する際、フラットテーブル4の水平な下面に沿った水平に矯正して移送することから、検査位置において、太陽電池セルPの位置および形状を正確に把握することができる。これにより、検査位置に移送されて撮像装置10によって撮影された太陽電池セルPの画像と、移送位置における太陽電池セルPの正規の位置に基づいて設定された検査位置における太陽電池セルPの基準画像とを比較し、移送された太陽電池セルを基準画像に撮影された画像が合致するように調整することができる。このため、検査位置において、正規の位置に合致するように太陽電池セルPを修正して移載装置に移送することができることから、移載装置を介して搬送装置に寸法精度を確保して移載することが可能となり、太陽電池セルPを搬送装置によってリードの溶着位置に搬送して、バスバーにリードを確実に溶着することができる。
【0038】
なお、前述した実施形態においては、移送装置1で吸着した太陽電池セルPを移載装置に移送し、移載装置を介して太陽電池セルPを搬送装置に移載する場合を説明したが、移送装置1に吸着された太陽電池セルPを直接搬送装置に移送するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 移送装置
2 移送台
3 ベース
4 フラットテーブル
7 吸着パッド
8 規正パッド
10 撮像装置
P 太陽電池セル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平な下面を有するフラットテーブルを備え、ストッカーに積層された最上層の太陽電池セルを吸着する吸着位置とその上方に退避した退避位置との間を垂直方向に昇降自在に支持されるとともに、太陽電池セルの退避位置と移送位置との間を水平方向に移送自在に支持されたベースと、フラットテーブルの幅方向中央を貫通してベースに対して昇降自在に支持された1個または複数個の吸着パッドと、フラットテーブルの四隅をそれぞれ貫通するとともに、下端面がフラットテーブルの下面よりも下方に突出して吸着パッドを包囲するように設けられた4個の規正パッドとから構成され、吸着パッドを介して太陽電池セルの幅方向中央部を吸着してフラットテーブルの下面に接触するように持ち上げるとともに、規正パッドを介して太陽電池セルの四隅を吸着してフラットテーブルの下面に沿わせることを特徴とする太陽電池セルの移送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の太陽電池セルの移送装置において、前記ベースを吸着位置と退避位置との間を昇降させるとともに、退避位置と移送位置との間を移送させる移送台が設けられ、移送台に対してベースが水平面内に移動自在に支持されるとともに、垂直軸回りに回転自在に支持され、また、太陽電池セルの退避位置と移送位置との間の検査位置に臨んで移送された太陽電池セルを撮影する撮像装置が設けられることを特徴とする太陽電池セルの移送装置。
【請求項3】
ストッカーに積層された最上層の太陽電池セルの幅方向中央部を吸着し、当該中央部を水平面に沿わせた後、太陽電池セルの四隅を吸着して水平面に沿わせ、太陽電池セルを水平面に沿わせた水平状態で移送することを特徴とする太陽電池セルの移送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−246211(P2011−246211A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118470(P2010−118470)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(592067166)トヤマキカイ株式会社 (7)
【Fターム(参考)】