説明

好中球エラスターゼ活性の阻害が有益である疾患または状態の処置のための2−ピリドン誘導体

本発明は、式(I)
【化1】


〔式中、R、R、R、R、R、R14、XおよびWは明細書に定義の通りである。〕
の化合物およびそれらの光学異性体、ラセミ体および互変異性体、および薬学的に許容されるそれらの塩と;それらの製造方法、それらを含む医薬組成物およびそれらの治療における使用を提供する。本化合物は、ヒト好中球エラスターゼ阻害剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、2−ピリドン誘導体、それらの製造方法、それらを含む医薬組成物および治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
エラスターゼは恐らく身体で最も破壊的な酵素であり、実質的に全ての結合組織成分を分解する能力を有する。エラスターゼによる制御されないタンパク質分解が、多くの病的状態に関与しているとされてきた。セリンプロテアーゼのキモトリプシンスーパーファミリーのメンバーであるヒト好中球エラスターゼ(hNE)は、好中球のアズール顆粒に貯蔵されている33KDa酵素である。好中球において、NEの濃度は5mMを超え、その細胞量は3pgまでであると概算されている。活性化されると、NEは急速に顆粒から細胞外空間に放出され、幾分かが好中球原形質膜に結合したままである(See Kawabat et al. 2002, Eur. J. Pharmacol. 451, 1-10)。NEの主細胞内生理学的機能は、好中球により貪食された外来有機分子の分解であり、一方、細胞外エラスターゼの主標的はエラスチンである(Janoff and Scherer, 1968, J. Exp. Med. 128, 1137-1155)。NEは、他のプロテアーゼ類(例えば、プロテイナーゼ3)と比べて、ほとんど全ての細胞外マトリックスおよび重要血漿タンパク質を分解できる点で独特である(Kawabat et al., 2002, Eur. J. Pharmacol. 451, 1-10参照)。それは、エラスチン、3型および4型コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、サイトカインなどのような広範な細胞外マトリックスタンパク質を分解する(Ohbayashi, H., 2002, Expert Opin. Investig. Drugs, 11, 965-980)。NEは、上皮性損傷を含む慢性肺疾患で見られる多くの病的変化の主要な共通メディエーターである(Stockley, R.A. 1994, Am. J. Resp. Crit. Care Med. 150, 109-113)。
【0003】
NEの破壊的役割は、ほぼ40年前、LaurellおよびErikssonが慢性気流閉塞および気腫と血清α−アンチトリプシンの欠乏を関係を報告したときに、固められた(Laurell and Eriksson, 1963, Scand. J. Clin. Invest. 15, 132-140)。その後、α−アンチトリプシンが、ヒトNEの最も重要な内因性阻害剤であることが決定された。ヒトNEと内因性抗プロテアーゼのアンバランスが、慢性閉塞性肺疾患(COPD)における主要な病原因子と見なされている肺組織における過剰なヒトNEの原因であると考えられている。過剰なヒトNEは、顕著な破壊的プロファイルを示し、積極的に正常肺構造の破壊、続く、主に気腫で見られるような呼吸器気腔の不可逆性拡張に関与する。α−プロテイナーゼ阻害剤欠損マウスにおける増加した肺エラスターゼ重荷および気腫と関連する、肺への増加した好中球動員がある(Cavarra et al., 1996, Lab. Invest. 75, 273-280)。気管支肺胞洗浄液中に高レベルのNE−αプロテアーゼ阻害剤複合体を有する個体は、低レベルの個体と比較して、肺機能の顕著に加速された低下を示す(Betsuyaku et al. 2000, Respiration, 67, 261-267)。ラットでのヒトNEの気管を通した点滴は、急性相中の肺出血、好中球蓄積および慢性相中の気腫性変化を引き起こす(Karaki et al., 2002, Am. J. Resp. Crit. Care Med., 166, 496-500)。ハムスターにおけるNEが原因の肺気腫および肺出血の急性相は、NE阻害剤での前処置により阻害できることが、試験により示されている(Fujie et al.,1999, Inflamm. Res. 48, 160-167)。
【0004】
好中球優勢気道炎症および気道の粘液障害は、嚢胞性線維症および慢性気管支炎を含むCOPDの主要な病的特性である。NEはムチン産生を障害し、気道の粘液障害に至る。NEは、主要呼吸器ムチン遺伝子、MUC5ACの発現を増加することが報告されている(Fischer, B.M & Voynow, 2002, Am. J. Respir. Cell Biol., 26, 447-452)。NEのモルモットへのエアロゾル投与は、接触20分以内に広範な上皮性損傷を産生する(Suzuki et al., 1996, Am. J. Resp. Crit. Care Med., 153, 1405-1411)。さらに、NEは、インビトロでヒト呼吸器上皮で毛様体ビート頻度を低下させ(Smallman et al., 1984, Thorax, 39, 663-667)、これは、COPD患者において見られる粘膜毛様体クリアランスの低下と一致する(Currie et al., 1984, Thorax, 42, 126-130)。気道へのNEの点滴はハムスターにおいて粘液腺過形成をもたらす(Lucey et al., 1985, Am. Resp. Crit. Care Med., 132, 362-366)。NEの役割はまた喘息において見られる粘液分泌過多にも関与する。アレルゲン感作モルモット急性喘息モデルにおいて、NE阻害剤が、杯細胞脱顆粒および粘液分泌過多を防止する(Nadel et al., 1999, Eur. Resp. J., 13, 190-196)。
【0005】
NEはまた肺線維症の病因に役割を有する。NE:α−プロテイナーゼ阻害剤複合体が、肺線維症患者の血清で増加し、これは、それらの患者の臨床パラメータと相関する(Yamanouchi et al., 1998, Eur. Resp. J. 11, 120-125)。ヒト肺線維症マウスモデルにおいて、NE阻害剤がブレオマイシン誘発肺線維症を低下させる(Taooka et al., 1997, Am. J. Resp. Crit. Care Med., 156, 260-265)。さらに、研究者らは、NE欠損マウスがブレオマイシン誘発肺線維症に耐性であることを示している(Dunsmore et al., 2001, Chest, 120, 35S-36S)。血漿NEレベルは、ARDSへと進行する患者において高いことが判明しており、早期ARDS疾患病因におけるNEの重要性を含意する(Donnelly et al., 1995, Am. J. Res. Crit. Care Med., 151, 428-1433)。抗プロテアーゼおよび抗プロテアーゼと複合体化したNEは、肺癌領域で増加する(Marchandise et al., 1989, Eur. Resp. J. 2, 623-629)。最近の研究は、NE遺伝子のプロモーター領域における多形が肺癌発症と関連することを示している(Taniguchi et al., 2002, Clin. Cancer Res., 8, 1115-1120)。
【0006】
実験動物におけるエンドトキシンにより誘発された急性肺傷害は、NEレベルの上昇と関連する(Kawabata, et al., 1999, Am. J. Resp. Crit. Care, 161, 2013-2018)。マウスにおけるリポポリサッカライドの気管内注射により誘発された急性肺炎症は、気管支肺胞洗浄液におけるNE活性を増加することが示されており、それはNE阻害剤により顕著に阻害される(Fujie et al., 1999, Eur. J. Pharmacol., 374, 117-125; Yasui, et al., 1995, Eur. Resp. J., 8, 1293-1299)。NEはまた、単離した灌流ウサギ肺における、腫瘍壊死因子(TNF)、および酢酸ミリスチン酸ホルボール(PMA)により誘発された急性肺傷害のモデルにおいて観察される肺微小血管透過性の好中球誘発増加において重要な役割を有する(Miyazaki et al., 1998, Am. J. Respir. Crit. Care Med., 157, 89-94)。
【0007】
NEの役割はまたモノクロタリン(monocrotoline)誘発肺血管壁肥厚および心肥大においても示唆されている(Molteni et al., 1989, Biochemical Pharmacol. 38, 2411-2419)。セリンエラスターゼ阻害剤がモノクロタリン誘発肺高血圧およびラット肺動脈におけるリモデリングを回復させる(Cowan et al., 2000, Nature Medicine, 6, 698-702)。最近の試験は、セリンエラスターゼ、すなわち、NEまたは血管エラスターゼが、モルモットにおける、小肺動脈の喫煙誘発筋化(muscularisation)に重要であることを示している(Wright et al., 2002, Am. J. Respir. Crit. Care Med., 166, 954-960)。
【0008】
NEは、実験的脳虚血性損傷(Shimakura et al., 2000, Brain Research, 858, 55-60)、虚血−再灌流肺傷害(Kishima et al., 1998, Ann. Thorac. Surg. 65, 913-918)およびラット心臓における心筋虚血(Tiefenbacher et al., 1997, Eur. J. Physiol., 433, 563-570)において重要な役割を有する。血漿中のヒトNEレベルは、炎症性腸疾患、例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎において正常域を超えて顕著に上昇する(Adeyemi et al., 1985, Gut, 26, 1306-1311)。加えて、NEはまた、リウマチ性関節炎における病因に関与していることが仮説立てられている(Adeyemi et al., 1986, Rheumatol. Int., 6, 57)。マウスにおけるコラーゲン誘発関節炎がNE阻害剤により抑制される(Kakimoto et al., 1995, Cellular Immunol. 165, 26-32)。
【0009】
それ故に、ヒトNEは、最も破壊的なセリンプロテアーゼの一つとして知られ、種々の炎症性疾患に関与している。ヒトNEの重要な内因性阻害剤はα−アンチトリプシンである。ヒトNEと抗プロテアーゼのアンバランスが、制御されない組織破壊をもたらす、過剰なヒトNEを起こすと考えられる。プロテアーゼ/抗プロテアーゼバランスは、喫煙のような酸化剤による不活性化を介して、または十分な血清レベルの産生に対する遺伝的無能の結果としてのいずれかによる、α−アンチトリプシンの活性の低下により混乱し得る。ヒトNEは、肺気腫、肺線維症、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、虚血−再灌流傷害、リウマチ性関節炎および肺高血圧のような多くの疾患の促進または悪化に関与している。
【発明の開示】
【0010】
発明の開示
本発明によって、それ故、式(I)
【化1】

〔式中、
は水素またはC−Cアルキルであり;
Wは、窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む5員ヘテロ環式環であり、ここで、少なくとも1個の環炭素原子は所望によりカルボニル基で置き換えられてよく;そして、ここでヘテロ環式環は、所望により、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CN、OH、NO、1個以上のF原子で置換されたC−Cアルキル、1個以上のF原子で置換されたC−Cアルコキシ、NR1011、C≡CR15、CONR1617、CHO、C−Cアルカノイル、S(O)18およびOSO19から選択される少なくとも1個の置換基で置換されていてよく;
14は、フェニルまたは1〜3環窒素原子を含む6員ヘテロ芳香環であり;該環は、所望によりハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CN、OH、NO、1個以上のF原子で置換されたC−Cアルキル、1個以上のF原子で置換されたC−Cアルコキシ、NR1213、C≡CR30、CONR3132、CHO、C−Cアルカノイル、S(O)33およびOSO34から選択される少なくとも1個の置換基で置換されていてよく;
10、R11、R12およびR13は、独立してH、C−Cアルキル、ホルミルまたはC−Cアルカノイルであるか;または基−NR1011または−NR1213は、一体となって、所望によりO、SおよびNR26から選択される1個のさらなるヘテロ原子を含んでよい、5〜7員アザ環式環であり;
15およびR30は、独立してH、C−CアルキルまたはSi(CH)であり;
18、R19、R33およびR34は、独立してHまたはC−Cアルキルであり;該アルキルは、所望により1個以上のF原子で置換されていてよく;
はHまたはFであり;
【0011】
は、フェニルまたはO、SおよびNから独立して選択される1〜3ヘテロ原子を含む5または6員ヘテロ芳香環であり;該環は、所望によりハロゲン、C−Cアルキル、シアノ、C−Cアルコキシ、ニトロ、メチルカルボニル、NR3536、1個以上のF原子で置換されたC−Cアルキルまたは1個以上のF原子で置換されたC−Cアルコキシから選択される少なくとも1個の置換基で置換されていてよく;
35およびR36は、独立してHまたはC−Cアルキルであり;該アルキルは、所望によりさらに1個以上のF原子で置換されていてよく;
は、水素または所望によりフルオロ、ヒドロキシルおよびC−Cアルコキシから選択される少なくとも1個の置換基で置換されていてよいC−Cアルキルであり;
Xは、単結合、O、NR24または基−C−Cアルキレン−Y−であり、ここで、Yは単結合、酸素原子、NR24またはS(O)であり;そして該アルキレンは、所望によりOH、ハロゲン、CN、NR3738、C−Cアルコキシ、CONR3940、CO66、SO41およびSONR4243でさらに置換されていてよいか;
またはRおよびXは、一体となって基−NRXが、所望によりO、SおよびNR44から選択される1個のさらなるヘテロ原子を含んでよい5〜7員アザ環式環を形成し;該環は、所望によりC−CアルキルまたはNR4546で置換されていてよく;該アルキルは、所望によりOHでさらに置換されていてよく;
【0012】
は、
i) フェノキシ、
ii) フェニル、
iii) 窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む5または6員ヘテロ芳香環、
iv) 飽和または部分的に不飽和のC−Cシクロアルキル環、または
v)酸素、S(O)およびNR20から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む、飽和または部分的に不飽和の4〜7ヘテロ環式環であって、少なくとも1個の環炭素原子は所望によりカルボニル基で置き換えられてよい環
から選択される単環式環系であるか、
またはRは、2個の環が上記ii)、iii)、iv)およびv)で定義した単環式環系から独立して選択される二環式環系であり、ここで、この2環は互いに縮合しているか、他方に直接結合しているか、または、酸素、S(O)または所望により酸素、硫黄およびNR27から選択される1個以上の内部もしくは末端ヘテロ原子を含んでよいC−Cアルキレンから選択されるリンカー基により互いに離れており、そして所望によりヒドロキシル、オキソおよびC−Cアルコキシから選択される少なくとも1個の置換基で置換されていてよく、
該単環式または二環式環系は、所望により酸素、CN、OH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロゲン、NR4748、NO、OSO49、CO50、C(=NH)NH、C(O)NR5152、C(S)NR5354、SC(=NH)NH、NR55C(=NH)NH、S(O)21、SONR5657、1個以上のF原子で置換されたC−CアルコキシおよびSO58でもしくは1個以上のF原子で置換されたC−Cアルキルから選択される少なくとも1個の置換基で置換されていてよく;該C−Cアルキルは、所望によりシアノ、ヒドロキシル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオおよび−C(O)NR2223から選択される少なくとも1個の置換基でさらに置換されていてよく;
またはRはまたHであってもよく;
【0013】
20は水素、C−Cアルキル、C−CアルキルカルボニルまたはC−Cアルコキシカルボニルであり;
21は水素、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルであり;該アルキルまたはシクロアルキル基は、所望によりOH、CN、C−CアルコキシおよびCONR5960から独立して選択される少なくとも1個の置換基でさらに置換されていてよく;
37およびR38は、独立してH、C−Cアルキル、ホルミルまたはC−Cアルカノイルであり;
47およびR48は、独立してH、C−Cアルキル、ホルミル、C−Cアルカノイル、S(O)61またはSONR6263であり;該アルキル基は、所望によりハロゲン、CN、C−CアルコキシまたはCONR6465でさらに置換されていてよく;
41およびR61は、独立してH、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルであり;
pは、0、1または2であり;
qは、0、1または2であり;
rは、0、1または2であり;
tは、0、1または2であり;
wは、0、1または2であり;
xは、0、1または2であり;
vは、0、1または2であり;
16、R17、R22、R23、R24、R26、R27、R31、R32、R39、R40、R42、R43、R44、R45、R46、R49、R50、R51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58、R59、R60、R62、R63、R64、R65およびR66は、各々独立して水素またはC−Cアルキルである。〕
の化合物、またはその薬学的に許容される塩が提供される。
【0014】
本明細書の文脈において、特記しない限り、アルキル、アルケニルまたはアルキニル置換基または置換基中のアルキル部分は直鎖でも分枝鎖でもよい。同様に、アルキレン基は直鎖でも分枝鎖でもよい。
【0015】
Wの定義において、5員ヘテロ環式環系は脂環式または芳香族性特性を有してよく、故に、飽和環系または部分的に不飽和の環系または完全に不飽和の環系であってよい。
【0016】
は、水素またはC−Cアルキル(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチルまたはn−ヘキシル)である。
【0017】
本発明の一つの態様において、RはC−CまたはC−Cアルキル基、特にメチル基である。
【0018】
Wは窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む5員ヘテロ環式環であり、ここで、少なくとも1個の環炭素原子は所望によりカルボニル基で置き換えられてよく;そして、ここでヘテロ環式環は、所望により、ハロゲン(例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素)、C−Cアルキル(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルまたはtert−ブチル)、C−Cアルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシまたはtert−ブトキシ)、シアノ、OH、NO、1個以上のF原子で置換されたC−Cアルキル(例えばCHF、CHF、CF、CHCHF、CHCF、CFCF、CH(CF)およびCHCHCF)、1個以上のF原子で置換されたC−Cアルコキシ(例えばOCHF、OCHF、OCF、OCHCHF、OCHCF、OCFCF、OCH(CF)およびOCHCHCF)、NR1011、C≡CR15 −C(O)NR1617、CHO、C−Cアルカノイル(例えばメチルカルボニル(アセチル)、エチルカルボニル、n−プロピルカルボニルまたはイソプロピルカルボニル)、−S(O)18、およびOSO19から選択される少なくとも1個の置換基で置換されていてよい。
【0019】
一つの態様において、基R14および2−ピリドン環は、5員環Wに1,2−位置関係で結合している。
一つの態様において、Wは5員ヘテロ芳香環、とりわけ非置換5員ヘテロ芳香環である。
【0020】
使用し得る、飽和または部分的に不飽和のまたは完全に不飽和であり得る5員ヘテロ環式環系の例はピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピロリン、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジノニル、イミダゾリジノニル、オキサゾリル、ピラゾリル、チアゾリジニル、チエニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピロリル、フラニル、チアゾリル、イミダゾリル、フラザニル、トリアゾリルおよびテトラゾリルのいずれか一つを含む。
【0021】
基Wのための好ましい環系は、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリルおよびイミダゾリルを含む。
一つの態様において、Wはピラゾリル、トリアゾリル、チアゾリル、オキサゾリルまたはイミダゾリルである。
【0022】
14は、フェニルまたは1〜3個(例えば1個、2個または3個)の環窒素原子を含む6員ヘテロ芳香環であり;該環は、ハロゲン(例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素)、C−Cアルキル(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルまたはtert−ブチル)、C−Cアルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシまたはtert−ブトキシ)、CN、OH、NO、1個以上のF原子で置換されたC−Cアルキル(例えばCHF、CHF、CF、CHCHF、CHCF、CFCF、CH(CF)およびCHCHCF)、1個以上のF原子で置換されたC−Cアルコキシ(例えばOCHF、OCHF、OCF、OCHCHF、OCHCF、OCFCF、OCH(CF)およびOCHCHCF)、NR1213、C≡CR30、CONR3132、CHO、C−Cアルカノイル(例えばメチルカルボニル(アセチル)、エチルカルボニル、n−プロピルカルボニルまたはイソプロピルカルボニル)、S(O)33およびOSO34から選択される所望により少なくとも1個(例えば1個、2個、3個または4個)の置換基で置換されていてよい。
【0023】
1〜3環窒素原子を含む6員ヘテロ芳香環の例は、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニルおよびトリアジニルを含む。好ましい環系はピリジニルである。
【0024】
一つの態様において、基R14上の1個の置換基は、基Wに対して4−(パラ)位で芳香環上になければならない。
【0025】
本発明の一つの態様において、R14は、フェニルまたは1〜3環窒素原子を含む6員ヘテロ芳香環であり;該環は、所望によりF、Cl、CNおよびCFから選択される少なくとも1個の置換基で置換されていてよい。
【0026】
本発明の一つの態様において、R14はフェニルまたはピリジニルであり;該環は、所望によりF、Cl、CNおよびCFから選択される少なくとも1個の置換基で置換されていてよい。
本発明の一つの態様において、R14は、所望によりF、Cl、CNおよびCFから独立して選択される1個または2個の置換基で置換されていてよいフェニルまたはピリジニル基である。
【0027】
本発明の一つの態様において、R14は、フェニルまたはピリジニルであり;該環は、F、ClまたはCNで4−(パラ)置換されており、所望によりさらに置換されていてよい。
本発明の一つの態様において、R14はフェニルまたはピリジニルであり;該環は、F、ClまたはCNで4−(パラ)置換されている。
【0028】
一つの態様において、RはHである。
は、フェニル、またはO、SおよびNから独立して選択される1〜3個(例えば1個、2個または3個)のヘテロ原子を含む5または6員ヘテロ芳香環であり;該環は、所望により、ハロゲン(例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素)、C−Cアルキル(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチルまたはn−ヘキシル)、シアノ、C−Cアルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシまたはn−ヘキソキシ)、ニトロ、メチルカルボニル、NR3536、1個以上のF原子で置換されたC−Cアルキル(例えばCHF、CHF、CF、CHCHF、CHCF、CFCF、CH(CF)およびCHCHCF)および1個以上のF原子で置換されたC−Cアルコキシ(例えばOCHF、OCHF、OCF、OCHCHF、OCHCF、OCFCF、OCH(CF)およびOCHCHCF)から選択される少なくとも1個(例えば1個、2個、3個または4個)の置換基で置換されていてよい。
【0029】
一つの態様において、Rは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、メチル、トリフルオロメチルおよびメチルカルボニルから独立して選択される少なくとも1個の置換基(例えば1個、2個または3個の置換基)で置換されたフェニルまたはピリジニル環である。
【0030】
一つの態様において、Rは、フッ素、塩素、シアノ、ニトロおよびトリフルオロメチルから独立して選択される1個または2個の置換基で置換されたフェニル基である。
他の態様において、Rは、フッ素、塩素およびトリフルオロメチルから独立して選択される1個または2個の置換基で置換されたフェニル基である。
【0031】
さらに他の態様において、Rは、トリフルオロメチル置換基(好ましくはメタ位で)で置換されたフェニル基である。
さらに他の態様において、Rは、メタ位でBr、Cl、CFまたはCNで置換されたフェニル基である。
【0032】
は、水素または所望によりフルオロ、ヒドロキシルおよびC−Cアルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシまたはn−ヘキソキシ)から独立して選択される少なくとも1個の置換基(例えば1個または2個の置換基)で置換されていてよいC−Cアルキル(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチルまたはn−ヘキシル)である。
【0033】
一つの態様において、Rは、水素または、所望によりヒドロキシルおよびC−Cアルコキシから独立して選択される1個または2個の置換基で置換されていてよいC−Cアルキルである。
他の態様において、Rは水素である。
【0034】
本発明の一つの態様において、Xは単結合または基−C−Cアルキレン−Y−であり、ここで、Yは単結合、酸素原子、NR24またはS(O)であり;該アルキレンは、所望によりOH、ハロゲン、CN、NR3738、C−Cアルコキシ、CONR3940、CO66、SO41およびSONR4243でさらに置換されていてよい。
【0035】
本発明の一つの態様において、Xは単結合または基−C−Cアルキレン−Y−であり、ここで、Yは単結合、酸素原子、NR24またはS(O)であり;該アルキレンは、所望によりOH、ハロゲン、CN、NR3738、C−Cアルコキシ、CONR3940、SO41およびSONR4243でさらに置換されていてよい。
【0036】
本発明の一つの態様において、Xは、基−C−Cアルキレン−Y−であり、そしてYは単結合であり、アルキレン部分は、所望により、OH、ハロゲン、CN、CO66またはC−Cアルコキシで置換されていてよい直鎖または分枝鎖C−CまたはC−CまたはC−Cアルキレンである。
【0037】
本発明の一つの態様において、Xは基−C−Cアルキレン−Y−およびYは単結合であり、アルキレン部分は、所望によりOH、ハロゲン、CNまたはC−Cアルコキシで置換されていてよい直鎖または分枝鎖C−CまたはC−CまたはC−Cアルキレンである。
【0038】
本発明の他の態様において、Xは非置換C−Cアルキレン、特にメチレンである。
本発明の他の態様において、Xは単結合である。
【0039】
本発明の一つの態様において、RおよびXは、一体となって基−NRXが所望によりO、SおよびNR44から選択される1個のさらなるヘテロ原子を含んでよい5〜7員アザ環式環を形成し;該環は、所望によりC−CアルキルまたはNR4546で置換されていてよく;該アルキルは、所望によりOHでさらに置換されていてよい。
【0040】
所望によりO、SおよびNR44から選択される1個のさらなるヘテロ原子を含んでよい5〜7員アザ環式環の例は、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリンおよびペルヒドロアゼピンを含む。
【0041】
は、
i) フェノキシ、
ii) フェニル、
iii) 窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個(例えば1個、2個、3個または4個環ヘテロ原子の環ヘテロ原子を含む5または6員ヘテロ芳香環、
iv) 飽和または部分的に不飽和のC−Cシクロアルキル環、または
v)酸素、S(O)およびNR20から選択される少なくとも1個(例えば1個、2個、3個または4個環ヘテロ原子)の環ヘテロ原子を含む、飽和または部分的に不飽和の4〜7ヘテロ環式環であって、少なくとも1個の環炭素原子は所望によりカルボニル基で置き換えられてよい環
から選択される単環式環系であるか、
またはRは、2個の環が上記ii)、iii)、iv)およびv)で定義した単環式環系から独立して選択される二環式環系であり、ここで、この2環は互いに縮合しているか、他方に直接結合しているか、または、酸素、S(O)または所望により酸素、硫黄およびNR27から選択される1個以上(例えば1個または2個)の内部もしくは末端ヘテロ原子を含んでよいC−Cアルキレンから選択されるリンカー基により互いに離れており、そして所望によりヒドロキシル、オキソおよびC−Cアルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシまたはn−ヘキソキシ)から選択される少なくとも1個(例えば1個または2個の置換基)の置換基で置換されていてよく;
【0042】
該単環式または二環式環系は、所望により、酸素(例えばN−オキシドを形成する)、CN、OH、C−Cアルキル(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチルまたはn−ヘキシル)、C−Cアルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシまたはn−ヘキソキシ)、ハロゲン(例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素)、NR4748、NO、OSO49、CO50、C(=NH)NH、C(O)NR5152、C(S)NR5354、SC(=NH)NH、NR55C(=NH)NH、−S(O)21、SONR5657、1個以上のF原子で置換されたC−Cアルコキシ(例えばOCHF、OCHF、OCF、OCHCHF、OCHCF、OCFCF、OCH(CF)およびOCHCHCF)およびSO58でもしくは1個以上のF原子で置換されたC−Cアルキル(例えばCHSO58、CHCHSO58、CH(SO58)CH、CHF、CHF、CF、CHCHF、CHCF、CFCF、CH(CF)およびCHCHCF)から独立して選択される少なくとも1個(例えば1個、2個または3個の置換基)の置換基で置換されていてよく(環原子を);該C−Cアルキルは、所望によりシアノ、ヒドロキシル、C−Cアルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシまたはn−ヘキソキシ)、C−Cアルキルチオ(例えばメチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、tert−ブチルチオ、n−ペンチルチオまたはn−ヘキシルチオ)および−C(O)NR2223から選択される少なくとも1個の置換基でさらに置換されていてよく;
またはRはまた水素でもあり得る。
【0043】
5または6員ヘテロ芳香環の例は、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリミジニルおよびピラジニルを含む。好ましいヘテロ芳香環はイソオキサゾリル、ピリジニル、イミダゾリルおよびトリアゾリルを含む。
【0044】
特記しない限り、“飽和または部分的に不飽和のC−Cシクロアルキル環”は、所望により1個以上の二重結合を包含してよい3〜6員非芳香族性シクロアルキル環であり、その例はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルを含む。好ましいシクロアルキル環はシクロプロピルである。
【0045】
特記しない限り、具体的に上記した“飽和または部分的に不飽和の4〜7ヘテロ環式環”は、所望により1個以上の二重結合を包含してよく、そして所望によりカルボニル基を包含してよい4〜7非芳香族性ヘテロ環式環であり、その例は、テトラヒドロフラニル、テトラメチレンスルホニル、テトラヒドロピラニル、4−オキソ−4H−ピラニル(4H−ピラン−4−オニル)、ピロリジニル、3−ピロリニル、イミダゾリジニル、1,3−ジオキソラニル(1,3−ジオキサシクロペンタニル)、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ペルヒドロアゼピニル(ヘキサメチレンイミニル)、ピロリドニルおよびピペリドニルを含む。好ましい飽和または部分的に不飽和の4〜7ヘテロ環式環はピロリドニルである。
【0046】
2個の環が互いに縮合しているか、他方に直接結合しているか、または、リンカー基により互いに離れている二環式環系は、ビフェニル、チエニルフェニル、ピラゾリルフェニル、フェノキシフェニル、フェニルシクロプロピル、ナフチル、インダニル、キノリル、テトラヒドロキノリル、ベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリニル、イソキノリル、クロマニル、インデニル、キナゾリル、キノキサリル、クロマニル、イソクロマニル、3H−インドリル、1H−インダゾリル、キヌクリジル、テトラヒドロナフチル、ジヒドロベンゾフラニル、モルホリン−4−イルフェニル、1,3−ベンゾジオキソリル、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシニル、1,3−ベンゾジオキシニルおよび3,4−ジヒドロ−イソクロメニルを含む。
【0047】
本発明の一つの態様において、Rは、上記で定義の置換単環式環系である。
本発明の他の態様において、Rは、上記で定義の二環式環系である。
本発明の他の態様において、RはHである。
【0048】
本発明のさらなる態様において、Rは、
i) フェノキシ、
ii) フェニル、
iii) 窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1個または2個環ヘテロ原子を含む5または6員ヘテロ芳香環、
iv) 飽和または部分的に不飽和のC−Cシクロアルキル環、または
v)酸素、S(O)およびNR20から独立して選択される1個または2個環ヘテロ原子を含む飽和または部分的に不飽和の4〜7ヘテロ環式環であって、ここで、少なくとも1個の環炭素原子は所望によりカルボニル基で置き換えられてよい環
から選択される単環式環であるか;
またはRは、2個の環が上記ii)、iii)、iv)およびv)で定義した単環式環系から独立して選択される二環式環系であって、ここで、この2環は互いに縮合しているか、他方に直接結合しているか、または酸素、メチレンおよびS(O)から選択されるリンカー基により互いに互いに離れており;
該単環式または二環式環系は、OH、−S(O)21およびC−Cアルキルから独立して選択される1個または2個の置換基で置換されている。
【0049】
本発明のさらに別の態様において、Rは、フェニルまたは窒素および酸素から独立して選択される1個または2個環ヘテロ原子を含む5または6員ヘテロ芳香環から選択される単環式環系であって、該単環式環系は、OH、−S(O)21およびC−Cアルキルから独立して選択される1個または2個の置換基により置換されている。
【0050】
本発明のさらに別の態様において、Rは、−S(O)21により置換されているフェニルまたはピリジニルであって、ここで、vは整数2である。
本発明のさらに別の態様において、Rは、OH、−S(O)21およびC−Cアルキルから独立して選択される1個または2個の置換基で置換されているフェニルである。
【0051】
本発明のさらに別の態様において、RはHである。
本発明のさらに別の態様において、Rは非置換C−Cシクロアルキル環、特にシクロプロピルである。
【0052】
一つの態様において、xは2である。
一つの態様において、pは2である。
【0053】
一つの態様において、R10およびR11は、独立してH、C−CアルキルまたはC−Cアルキルカルボニルである。
一つの態様において、R12およびR13は、独立してH、C−CアルキルまたはC−Cアルキルカルボニルである。
【0054】
さらなる態様において、R20は水素、メチル、エチル、メチルカルボニル(アセチル)、エチルカルボニル、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニルである。
一つの態様において、vは2である。
【0055】
21は水素、C−Cアルキル(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチルまたはn−ヘキシル)またはC−Cシクロアルキル(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチル)であり;該アルキルまたはシクロアルキル基は、所望によりOH、CN、C−CアルコキシおよびCONR5960から独立して選択される少なくとも1個の置換基でさらに置換されていてよい。
【0056】
本発明の一つの態様において、R21はC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルである。
他の態様において、R21はC−Cアルキル(特にメチル、エチルまたはイソプロピル)またはシクロプロピルである。
他の態様において、R41はC−Cアルキル(特にメチル、エチルまたはイソプロピル)またはシクロプロピルである。
【0057】
本発明の一つの態様において、R15、R16、R17、R18、R19、R30、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R47、R48、R61、R22、R23、R24、R26、R27、R31、R32、R39、R40、R42、R43、R44、R45、R46、R49、R50、R51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58、R59、R60、R62、R63、R64、R65およびR66は、各々、独立して水素またはC−Cアルキル、特にメチル、エチル、1−プロピルまたは2−プロピルである。
【0058】
本発明の一つの態様において、R15、R16、R17、R18、R19、R30、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R47、R48、R61、R22、R23、R24、R26、R27、R31、R32、R39、R40、R42、R43、R44、R45、R46、R49、R50、R51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58、R59、R60、R62、R63、R64、R65およびR66は、各々独立して水素またはメチルである。
本発明の一つの態様において、R66は水素である。
【0059】
本発明の一つの態様において、
はメチルであり;
Wは5員ヘテロ芳香環であり、そして基R14および2−ピリドン環が、5員環Wに1,2−位置関係で結合しており;
14はフェニルまたはピリジニルであり;該環は、所望によりF、Cl、CNおよびCFから選択される少なくとも1個の置換基で置換されていてよく;
はHであり;
は、フッ素、塩素、シアノ、ニトロまたはトリフルオロメチルから独立して選択される1個または2個の置換基で置換されているフェニル基であり;
は水素であり;
Xは、非置換C−Cアルキレン、特にメチレンであり;そして
は、OH、−S(O)21およびC−Cアルキルから独立して選択される1個または2個の置換基で置換されているフェニルであり、ここで、vは整数2である。
【0060】
本発明の一つの態様において、
はメチルであり;
Wは5員ヘテロ芳香環であり、そして基R14および2−ピリドン環が、5員環Wに1,2−位置関係で結合しており;
14はフェニルまたはピリジニルであり;該環は、所望によりF、Cl、CNおよびCFから選択される少なくとも1個の置換基で置換されていてよく;
はHであり;
は、フッ素、塩素、シアノ、ニトロまたはトリフルオロメチルから独立して選択される1個または2個の置換基で置換されているフェニル基であり;
は水素であり;
Xは非置換C−Cアルキレン、特にメチレンであり;そして
はHである。
【0061】
本発明の一つの態様において、
はメチルであり;
Wは5員ヘテロ芳香環であり、そして基R14および2−ピリドン環が、5員環Wに1,2−位置関係で結合しており;
14はフェニルまたはピリジニルであり;該環はF、ClまたはCNで4−(パラ)置換されており;
はHであり;
は、メタ位でBr、Cl、CFまたはCNで置換されているフェニル基であり;
は水素であり;
Xは、所望によりOH、ハロゲン、CN、CO66またはC−Cアルコキシで置換されていてよい直鎖または分枝鎖C−Cアルキレンであり;そして
はHである。
【0062】
本発明の化合物の例は、以下を含む:
5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−N,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド;
5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド;
5−[2−アミノ−5−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]−N,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド;
5−[4−(4−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール−5−イル]−N,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド;
5−[2−アミノ−5−(4−シアノフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]−N,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド;
1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−N,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド;
5−[2−(4−クロロ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル]−6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸メチルアミド;
5−[2−(4−フルオロ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル]−6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸メチルアミド;
5−[3−(4−シアノ−フェニル)−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸メチルアミド;および
5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル]−N,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド;
および、それらの任意の1個の薬学的に許容される塩。
【0063】
本発明は、さらに、上記で定義の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の製造方法であって、
(a) 式(II)
【化2】

〔式中、Lは脱離基(例えばハロゲンまたはヒドロキシル)であり、そしてR、R、R、R14およびWは、式(I)で定義の通りである。〕
の化合物と、式
【化3】

〔式中、X、RおよびRは、式(I)で定義の通りである。〕
の化合物を反応させるか;または
【0064】
(b) 式(IV)
【化4】

〔式中、Halはハロゲン原子であり、そしてX、R、R、R、RおよびRは、式(I)で定義の通りである。〕
の化合物と、求核試薬R14−W−M(式中、R14およびWは、式(I)で定義の通りであり、そしてMは有機錫または有機ボロン酸基である)を反応させるか;または
【0065】
(c) Wがチアゾリルまたはオキサゾリルであるとき、式(V)
【化5】

〔式中、X、R、R、R、R、RおよびR14は、式(I)で定義の通りである。〕
とチオウレアまたはホルムアミドを各々反応させ;
そして、所望により(a)、(b)または(c)の後に以下の1個以上を行う:
・ 得られた化合物を本発明のさらなる化合物に変換する
・ 本化合物の薬学的に許容される塩を形成する
ことを含む、方法を提供する。
【0066】
工程(a)において、反応は、簡便には有機溶媒、例えばジクロロメタンまたはN−メチルピロリジノン中、例えば、0℃から溶媒の沸点の範囲の温度で行い得る。必要であればまたは望むのであれば、塩基および/またはカップリング剤、例えばHATU(O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)、HOAT(1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール)、HOBT(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物)またはDIEA(N,N−ジイソプロピルエチルアミン)を添加してよい。
【0067】
工程(b)において、反応は、簡便には、有機溶媒、例えばDMF、NMPまたはトルエンまたはそれらの混合物中、高温(すなわち環境温度、20℃以上)で、例えば、50℃〜150℃の範囲で、適当な遷移金属触媒、例えばビス(トリ−t−ブチルホスフィン)パラジウムの存在下で行い得る。必要であればまたは望むのであれば、塩基、例えば炭酸カリウムを添加してよい。
【0068】
工程(c)において、反応は、簡便には、2種の出発物質を、適当な有機溶媒、例えばアセトニトリル中、例えば、50℃〜150℃の範囲の温度で一緒に加熱することにより行い得る。
【0069】
式(I)の化合物の具体的製造方法は、本明細書の実施例の部分に開示する。このような方法は、本発明の一つの局面を構成する。
【0070】
必要な出発物質は市販されているか、文献から既知であるか、または既知の技術を使用して製造し得る。ある重要な出発物質の具体的製造方法を実施例の部分に開示し、このような方法は、本発明の一つの局面を構成する。
【0071】
式(II)、(IV)および(V)のある中間体は新規である。このような新規な中間体は、本発明の他の局面を構成する。
式(I)の化合物は、標準法を使用して、さらなる式(I)の化合物に変換できる。
【0072】
当業者は、本発明の方法において、ヒドロキシルまたはアミノ基のようなある種の官能基を、保護基により保護する必要があるかもしれないことが認識されよう。それ故に、式(I)の化合物の製造は、適当な段階での、1個以上の保護基の付加および/または除去を含み得る。
【0073】
官能基のこの保護および脱保護は、‘Protective Groups in Organic Chemistry’, edited by J.W.F. McOmie, Plenum Press(1973)および‘Protective Groups in Organic Synthesis’, 3rd edition, T.W. GreeneおよびP.G.M. Wuts, Wiley-Interscience(1999)に記載されている。
【0074】
上記式(I)の化合物は、薬学的に許容されるその塩、好ましくは酸付加塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、ピルビン酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩またはp−トルエンスルホン酸塩に変換し得る。
【0075】
式(I)の化合物は、立体異性形態で存在できる。本発明が、式(I)の化合物の全ての幾何および光学異性体(アトロプ異性体)およびラセミ体を含むそれらの混合物の使用を包含することは理解されよう。互変異性体およびそれらの混合物の使用はまた本発明の一つの局面を構成する。エナンチオマー的に純粋な形が特に望ましい。
【0076】
式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩は、医薬として、特にプロテイナーゼ3および膵臓エラスターゼおよび、とりわけ、ヒト好中球エラスターゼのようなセリンプロテアーゼのモジュレーターとしての活性を有し、それ故に、炎症性疾患および状態の処置または予防に有益であり得る。
【0077】
式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩は:間欠性および永続性の両方および全ての重症度の、気管支、アレルギー性、内因性、外因性、運動誘発性、薬剤誘発性(アスピリンおよびNSAID誘発を含む)および粉塵誘発性喘息、および気道過敏反応性の他の原因を含む、喘息;慢性閉塞性肺疾患(COPD);感染性および好酸球性気管支炎を含む気管支炎;気腫;気管支拡張症;嚢胞性線維症;サルコイドーシス;農夫肺および関連疾患;過敏性肺炎;原因不明線維化肺胞炎、特発性間質性肺炎、抗新生物治療および慢性感染、結核およびアスペルギルス症および他の真菌感染に合併する線維症を含む、肺線維症;肺移植の合併症;肺脈管構造の血管炎性および血栓性障害、および肺高血圧;気道の炎症性および分泌状態と関連する慢性咳、および医原性咳の処置を含む鎮咳活性;薬物性鼻炎、および血管運動性鼻炎を含む、急性および慢性鼻炎;神経性鼻炎(枯草熱)を含む通年性および季節性アレルギー性鼻炎;鼻のポリープ症;一般的な風邪、および呼吸器多核体ウイルス、インフルエンザ、コロナウイルス(SARSを含む)およびアデノウイルスによる感染を含む急性ウイルス感染を含む気道の閉塞性疾患のような呼吸管の疾患の処置に使用できる。
【0078】
式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩はまた、原発性のまたは、例えば、先天的股関節異形成症に二次性の骨関節症/骨関節症に関連するまたはそれらを含む関節炎(arthritides);頚部および腰部脊椎炎、および背下部および頚部痛;リウマチ性関節炎およびスチル病;強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、反応性関節炎および未分化脊椎関節症(spondarthropathy)を含む血清反応陰性脊椎関節症;敗血症性関節炎および他の感染−関連関節症(arthopathies)およびポット病およびポンセ病を含む結核のような骨障害;尿酸塩痛風、ピロリン酸カルシウム沈着疾患、およびカルシウムアパタイト関連腱、滑液包および滑膜炎症を含む急性および慢性結晶誘発滑膜炎;ベーチェット病;原発性および二次性シェーグレン症候群;全身性硬化症および限局型強皮症;全身性エリテマトーデス、混合型結合組織疾患、および未分化結合組織疾患;皮膚筋炎および多発性筋炎を含む炎症性ミオパシー;リウマチ性多発筋痛症;どんな関節分布であれ特発性炎症性関節炎(arthritides)および関連症候群、およびリウマチ熱およびその全身合併症を含む、若年性関節炎;巨細胞性動脈炎、高安動脈炎、チャーグ・ストラウス症候群、結節性多発性動脈炎、顕微鏡的多発動脈炎、およびウイルス感染、過敏症反応、クリオグロブリン、およびパラプロテインと関連する脈管炎を含む、脈管炎;背下部痛;家族性地中海熱、マックル・ウェルズ症候群、および家族性アイルランド熱(Familial Hibernian Fever)、キクチ病;薬剤誘発性関節痛(arthalgias)、腱炎(tendonititides)、およびミオパシーのような、骨および関節の疾患の処置にも使用できる。
【0079】
式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩はまた傷害[例えば、運動傷害]または疾患による筋骨格障害の疼痛および結合組織リモデリング:関節炎(arthitides)(例えばリウマチ性関節炎、骨関節症、痛風または結晶性関節症)、他の関節疾患(例えば椎間板変性または側頭下顎関節変性)、骨リモデリング疾患(例えば骨粗鬆症、ページェット病または骨壊死)、多発性軟骨炎、強皮症、混合型結合組織障害、脊椎関節症または歯周疾患(例えば歯周炎)の処置にも使用できる。
【0080】
式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩はまた、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎または他の湿疹性皮膚炎、および遅延型過敏症反応;植物および光皮膚炎;脂漏性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、扁平苔癬、硬化性萎縮性苔癬、壊疽性膿皮症、皮膚サルコイド、円板状エリテマトーデス、天疱瘡、類天疱瘡、表皮水疱症、蕁麻疹、血管浮腫、脈管炎、毒性紅斑、皮膚好酸球増加症、円形脱毛症、男性型禿頭、スウィート症候群、ウェーバー・クリスチャン症候群、多形性紅斑;感染性および非感染性両方の蜂巣炎;脂肪織炎;皮膚リンパ腫、非黒色腫皮膚癌および他の形成異常病巣;固定薬疹を含む薬剤誘発性障害のような皮膚の疾患の処置にも使用できる。
【0081】
式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩はまた、眼瞼炎;通年性および春季アレルギー性結膜炎を含む結膜炎;虹彩炎;前部および後部ブドウ膜炎;脈絡膜炎;自己免疫性;網膜に影響する変性または炎症性障害;交感神経性眼炎を含む眼炎;サルコイドーシス;ウイルス、真菌、および細菌を含む感染のような目の疾患の処置にも使用できる。
【0082】
式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩はまた、舌炎、歯肉炎、歯周炎;逆流性を含む食道炎;好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、潰瘍性大腸炎を含む大腸炎、直腸炎、肛門掻痒症;セリアック病、過敏性腸症候群、非炎症性下痢、および腸から離れて作用し得る食物関連アレルギー(例えば、偏頭痛、鼻炎または湿疹)のような胃腸管の処置の処置にも使用できる。
【0083】
式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩はまた、冠血管および末梢循環に影響するアテローム性動脈硬化症;心膜炎;心筋炎、心筋サルコイドを含む炎症性および自己免疫性心筋症;虚血再灌流傷害;感染性(例えば梅毒性)を含む、心内膜炎、弁膜炎、および大動脈炎;脈管炎;深部静脈血栓症および静脈瘤の合併症を含む、静脈炎および血栓症を含む、近位および末梢静脈の障害のような心血管系の疾患の処置にも使用できる。
【0084】
式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩はまた、転移疾患および腫瘍再発、および新生物随伴症候群の予防または処置を含み、前立腺、乳房、肺、卵巣、膵臓、腸および結腸、胃、皮膚および脳の腫瘍および骨髄(白血病を含む)およびリンパ増殖性系に影響する悪性物、例えばホジキンおよび非ホジキンリンパ腫を含む、一般的な癌の処置におけるような、腫瘍学においても使用できる。
【0085】
特に、式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩は、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、嚢胞性線維症、肺気腫、慢性気管支炎を含む気管支炎、気管支拡張症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺高血圧、難治性(refractive)喘息を含む喘息、鼻炎、乾癬、虚血−再灌流傷害、リウマチ性関節炎、骨関節症、全身性炎症反応症候群(SIRS)、慢性創傷、癌、アテローム性動脈硬化症、消化性潰瘍、クローン病、潰瘍性大腸炎および胃粘膜傷害の処置に使用できる。
【0086】
より具体的に、式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息および鼻炎の処置に使用できる。
【0087】
さらにより具体的に、式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の処置に使用できる。
【0088】
故に、本発明は、治療において使用するための、前記で定義の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0089】
さらなる局面において、本発明は、治療において使用するための医薬の製造における、前記で定義の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。
【0090】
さらなる局面において、本発明は、好中球エラスターゼ活性の調節が有益であるヒト疾患または状態の処置用医薬の製造のための、前記で定義の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。
【0091】
さらなる局面において、本発明は、炎症性疾患または状態の処置用医薬の製造のための、前記で定義の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。
【0092】
さらなる局面において、本発明は、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、嚢胞性線維症、肺気腫、慢性気管支炎を含む気管支炎、気管支拡張症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺高血圧、難治性(refractive)喘息を含む喘息、鼻炎、乾癬、虚血−再灌流傷害、リウマチ性関節炎、骨関節症、全身性炎症反応症候群(SIRS)、慢性創傷、癌、アテローム性動脈硬化症、消化性潰瘍、クローン病、潰瘍性大腸炎または胃粘膜傷害の処置用医薬の製造のための、前記で定義の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。
【0093】
さらなる局面において、本発明は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の処置用医薬の製造のための、前記で定義の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。
【0094】
本明細書の文脈において、用語“治療”はまた、相反する具体的な指示がない限り“予防”を含む。用語“治療する”および“治療的”は同様に解釈すべきである。
【0095】
予防は、特に当該疾患または状態の以前の事象を有するか、または他の点でリスクが増加していると見なされるヒトの処置に関する。特定の疾患または状態を発症するリスクのあるヒトは、該疾患または状態の家族歴を有するヒト、または遺伝子試験またはスクリーニングで、特に該疾患または状態の発症に感受性であると同定されたヒトを含む。
【0096】
本発明はまた、好中球エラスターゼ活性の阻害が有益である疾患または状態の処置、またはリスク軽減の方法であって、それを必要とする患者に治療的有効量の前記で定義の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0097】
本発明はさらにまた炎症性疾患または状態の処置、またはリスク軽減の方法であって、それを必要とする患者に治療的有効量の前記で定義の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0098】
本発明は、なおさらに、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、嚢胞性線維症、肺気腫、慢性気管支炎を含む気管支炎、気管支拡張症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺高血圧、難治性(refractive)喘息を含む喘息、鼻炎、乾癬、虚血−再灌流傷害、リウマチ性関節炎、骨関節症、全身性炎症反応症候群(SIRS)、慢性創傷、癌、アテローム性動脈硬化症、消化性潰瘍、クローン病、潰瘍性大腸炎または胃粘膜傷害の処置、またはリスク軽減の方法であって、それを必要とする患者に治療的有効量の前記で定義の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0099】
本発明は、なおさらに、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の処置、またはリスク軽減の方法であって、それを必要とする患者に治療的有効量の前記で定義の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0100】
上記の治療的使用のために、投与する投与量は、もちろん、用いる化合物、投与方式、望む処置および指示される障害によって変化する。本発明の化合物の1日量は、0.05mg/kg〜100mg/kgの範囲であり得る。
【0101】
式(I)の化合物および薬学的に許容されるそれらの塩は、それら自体で使用してよいが、一般に、式(I)化合物/塩(活性成分)が薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と組合さっている医薬組成物の形で投与する。適当な医薬製剤の選択および製造のための慣用の方法は、例えば、“Pharmaceuticals - The Science of Dosage Form Designs”, M. E. Aulton, Churchill Livingstone, 1988に記載されている。
【0102】
投与の方式によって、医薬組成物は、好ましくは0.05〜99%w(重量パーセント)、より好ましくは0.05〜80%w、さらにより好ましくは0.10〜70%w、およびなおさらに好ましくは0.10〜50%wの活性成分を含み、全ての重量パーセントは総組成物に基づく。
【0103】
本発明はまた、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と組み合わせて前記で定義の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を含む、医薬組成物を提供する。
【0104】
本発明は、さらに、前記で定義の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩と薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体を混合することを含む、本発明の医薬組成物の製造方法を提供する。
【0105】
医薬組成物は、局所的に(例えば皮膚または肺および/または気道に)、例えば、クリーム、溶液、懸濁液、ヘプタフルオロアルカン(HFA)エアロゾルおよび乾燥粉末製剤の形で、例えば、Turbuhaler(登録商標)として既知の吸入器中の製剤として;または全身に、例えば錠剤、カプセル剤、シロップ剤、散剤または顆粒剤の経口投与により;または溶液または懸濁液の形の非経腸投与により;または皮下投与により;または坐薬の形の直腸投与により;または経皮的に投与し得る。
【0106】
本発明の化合物の乾燥粉末製剤および加圧HFAエアロゾルは、経口または経鼻吸入により投与し得る。吸入のために、化合物は望ましくは微粉化される。微粉化した化合物は、好ましくは10μm未満の直径を有し、噴射剤混合物に、C−C20脂肪酸またはその塩(例えば、オレイン酸)、胆汁酸塩、リン脂質、アルキルサッカライド、過フッ素化またはポリエトキシル化界面活性剤、または他の薬学的に許容される分散剤のような分散剤の助けを借りて懸濁し得る。
【0107】
本発明の化合物はまた、乾燥粉末吸入器の手段により投与し得る。吸入器は、単回または多回吸入器であり得て、呼吸駆動乾燥粉末吸入器であり得る。
【0108】
一つの可能性は、微粉化した本発明の化合物と担体物質、例えば、モノ−、ジ−またはポリサッカライド、糖アルコール、または他のポリオールとの混合である。適当な担体は、糖、例えば、ラクトース、グルコース、ラフィノース、メレジトース、ラクチトール、マルチトール、トレハロース、スクロース、マンニトール;およびデンプンである。あるいは微粉化した化合物を、他の物質でコーティングし得る。粉末混合物をまた、硬ゼラチンカプセルに分配し得て、各々望む量の活性化合物を含む。
【0109】
他の可能性は、微粉化した粉末の、吸入工程中に破壊される球体への加工である。球体化粉末を、例えば、Turbuhaler(登録商標)として既知のもののような多回容量吸入器の薬剤貯蔵部に入れてよく、その中で、投与ユニットが望む量を測定し、それが次いで患者に吸入される。このシステムで、活性成分は、担体物質と共にまたは無く、患者に送達される。
【0110】
経口投与のために、本発明の化合物は、アジュバントまたは担体、例えば、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール;デンプン、例えば、ジャガイモデンプン、コーンデンプンまたはアミロペクチン;セルロース誘導体;結合剤、例えば、ゼラチンまたはポリビニルピロリドン;および/または平滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール、蝋、パラフィン等と混合し、錠剤に圧縮してよい。コーティング錠が必要であるならば、上記の通り製造したコアを、例えば、アラビアゴム、ゼラチン、タルクおよび二酸化チタンを含み得る濃縮糖溶液でコーティングし得る。あるいは、錠剤を、直ぐに揮発する有機溶媒に溶解した適当なポリマーでコーティングしてよい。
【0111】
軟ゼラチンカプセルの製造のために、本発明の化合物を、例えば、植物油またはポリエチレングリコールと混合し得る。硬ゼラチンカプセルは、錠剤について上記の賦形剤のいずれかを使用して、化合物の顆粒を含み得る。また本発明の化合物の液体または半固体製剤も硬ゼラチンカプセルに充填し得る。
【0112】
経口適用用液体製剤は、シロップまたは懸濁液、例えば、本発明の化合物を含む溶液の形であり得て、バランスは、糖ならびにエタノール、水、グリセロールおよびプロピレングリコールの混合物である。所望により、このような液体製剤は着色剤、香味剤、濃化剤としてサッカリンおよび/またはカルボキシメチルセルロースを、または当業者に既知の他の賦形剤を含み得る。
【0113】
本発明の化合物は、上記の状態の処置に使用するために他の化合物と組み合わせて投与してもよい。
【0114】
故に、本発明は、さらに、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩、または本発明の化合物を含む医薬組成物または製剤を、列記した状態の1種以上の処置のために、他の1種または複数の治療剤と同時に、または連続して、または組合せ製剤として投与する、組合せ治療に関する。
【0115】
特に、リウマチ性関節炎、骨関節症、喘息、アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、乾癬、および炎症性腸疾患のような(しかしこれに限定されない)炎症性疾患の処置のために、本発明の化合物は、下記の薬剤と組合せ得る。
【0116】
局所適用であれ全身適用であれ非選択的シクロオキシゲナーゼCOX−1/COX−2阻害剤を含む非ステロイド性抗炎症剤(以後NSAIDs)(例えばピロキシカム、ジクロフェナク、プロピオン酸、例えばナプロキセン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェンおよびイブプロフェン、フェナメート、例えばメフェナム酸、インドメタシン、スリンダク、アザプロパゾン、ピラゾロン、例えばフェニルブタゾン、サリチレート、例えばアスピリン);選択的COX−2阻害剤(例えばメロキシカム、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ(lumarocoxib)、パレコキシブおよびエトリコキシブ);シクロオキシゲナーゼ阻害性一酸化窒素ドナー(CINODs);グルココルチコステロイド(局所、経口、筋肉内、静脈内、または関節内経路のいずれで投与するものであれ);メトトレキサート;レフルノミド;ヒドロキシクロロキン;d−ペニシラミン;オーラノフィンまたは他の非経腸または経口金製剤;鎮痛剤;ジアセレイン;関節内治療剤、例えばヒアルロン酸誘導体;および栄養補助食品、例えばグルコサミン。
【0117】
本発明は、さらにまた、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩と、アルファ−、ベータ−、およびガンマ−インターフェロン;インシュリン様増殖因子I型(IGF−1);インターロイキン(IL)1〜23を含むIL、およびインターロイキンアンタゴニストまたは阻害剤、例えばアナキンラ;腫瘍壊死因子アルファ(TNF−α)阻害剤、例えば抗TNFモノクローナル抗体(例えばインフリキシマブ;アダリムマブ、およびCDP−870)および免疫グロブリン分子(例えばエタネルセプト)および低分子量剤、例えばペントキシフィリンを含むTNF受容体アンタゴニストを含む、サイトカインまたはサイトカイン機能のアゴニストもしくはアンタゴニスト(サイトカインシグナル伝達経路に作用する薬剤、例えばSOCSシステムのモジュレーターを含む)との組合せに関する。
【0118】
加えて、本発明は、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩と、B−リンパ球(例えばCD20(リツキシマブ)、MRA−aILl6RおよびT−リンパ球、CTLA4−Ig、HuMax Il−15)を標的とするモノクローナル抗体の組合せにも関する。
【0119】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩と、ケモカイン受容体機能のモジュレーター、例えばCCR1、CCR2、CCR2A、CCR2B、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10およびCCR11(C−Cファミリーについて);CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4およびCXCR5(C−X−Cファミリーについて)およびC−X−CファミリーについてCXCR1のアンタゴニストとの組合せに関する。
【0120】
本発明は、さらに、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩と、ドキシサイクリンのような薬剤を含む、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)、すなわち、ストロメライシン、コラゲナーゼ、およびゼラチナーゼ、ならびにアグリカナーゼ;とりわけコラゲナーゼ−1(MMP−1)、コラゲナーゼ−2(MMP−8)、コラゲナーゼ−3(MMP−13)、ストロメライシン−1(MMP−3)、ストロメライシン−2(MMP−10)、およびストロメライシン−3(MMP−11)およびMMP−9およびMMP−12の阻害剤の組合せに関する。
【0121】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩と、ロイコトリエン生合成阻害剤、5−リポキシゲナーゼ(5−LO)阻害剤または5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)アンタゴニスト、例えば;ジロートン;ABT−761;フェンレウトン;テポキサリン;Abbott−79175;Abbott−85761;N−(5−置換)−チオフェン−2−アルキルスルホンアミド;2,6−ジ−tert−ブチルフェノールヒドラゾン;メトキシテトラヒドロピラン、例えばZeneca ZD−2138;化合物SB−210661;ピリジニル−置換2−シアノナフタレン化合物、例えばL−739,010;2−シアノキノリン化合物、例えばL−746,530;またはインドールまたはキノリン化合物、例えばMK−591、MK−886、およびBAY x 1005の組合せに関する。
【0122】
本発明は、さらに、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩と、フェノチアジン−3−1s、例えばL−651,392;アミジノ化合物、例えばCGS−25019c;ベンゾキサルアミン、例えばオンタゾラスト;ベンゼンカルボキシミドアミド、例えばBIIL 284/260;および化合物、例えばザフィルカスト、アブルカスト(ablukast)、モンテルカスト、プランルカスト、ベルルカスト(verlukast)(MK−679)、RG−12525、Ro−245913、イラルカスト(CGP 45715A)、およびBAY x 7195から成る群から選択される、ロイコトリエン(LT)B4、LTC4、LTD4、およびLTE4の受容体アンタゴニストとの組合せに関する。
【0123】
本発明は、さらにまた本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩と、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤、例えばテオフィリンおよびアミノフィリンを含むメチルキサンタニン;PDE4阻害剤、アイソフォームPDE4D阻害剤、またはPDE5阻害剤を含む、選択的PDEアイソザイム阻害剤との組合せに関する。
【0124】
本発明は、さらに、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩と、経口的、局所的または非経腸的に適用される、ヒスタミン1型受容体アンタゴニスト、例えばセチリジン、ロラタジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、アクリバスチン、テルフェナジン、アステミゾール、アゼラスチン、レボカバスチン、クロルフェニラミン、プロメタジン、シクリジン、またはミゾラスチンとの組合せに関する。
【0125】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩と、プロトンポンプ阻害剤(例えばオメプラゾール)または胃保護性ヒスタミン2型受容体アンタゴニストとの組合せに関する。
本発明は、さらに本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩と、ヒスタミン4型受容体のアンタゴニストとの組合せに関する。
【0126】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩と、アルファ−1/アルファ−2アドレナリン受容体アゴニスト血管収縮剤交感神経刺激剤、例えばプロピルヘキセドリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、エフェドリン、シュードエフェドリン、ナファゾリンヒドロクロライド、オキシメタゾリンヒドロクロライド、テトラヒドロゾリンヒドロクロライド、キシロメタゾリンヒドロクロライド、トラマゾリンヒドロクロライドまたはエチルノルエピネフリンヒドロクロライドとの組合せに関する。
【0127】
本発明は、さらに、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩と、ムスカリン受容体(M1、M2、およびM3)アンタゴニストを含む抗コリン作動剤、例えばアトロピン、ヒヨスチン、グリコピロレート、臭化イプラトロピウム、臭化チオトロピウム、臭化オキシトロピウム、ピレンゼピンまたはテレンゼピンとの組合せに関する。
【0128】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩と、ベータ−アドレナリン受容体アゴニスト(ベータ受容体サブタイプ1−4を含む)、例えばイソプレナリン、サルブタモール、フォルモテロール、サルメテロール、テルブタリン、オルシプレナリン、ビトルテロールメシレート、またはピルブテロール、またはそれらのキラルエナンチオマーとの組合せに関する。
【0129】
本発明は、さらに、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩と、クロモン、例えばナトリウムクロモグリケートまたはネドクロミルナトリウムの組合せに関する。
【0130】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩と、グルココルチコイド、例えばフルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、ベクロメタゾンジプロピオネート、ブデソニド、フルチカゾンプロピオネート、シクレソニドまたはモメタゾンフロエートの組合せに関する。
【0131】
本発明は、さらに、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩と、核ホルモン受容体、例えばPPARsを調節する薬剤との組合せに関する。
【0132】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩と、免疫グロブリン(Ig)またはIg製剤またはIg機能を調節するアンタゴニストまたは抗体、例えば抗IgE(例えばオマリズマブ)との組合せに関する。
【0133】
本発明は、さらに、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩と、他の全身的または局所的に適用される抗炎症剤、例えばサリドマイドまたはそれらの誘導体、レチノイド、ジトラノールまたはカルシポトリオールとの組合せに関する。
【0134】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩と、アミノサリチレートおよびスルファピリジン、例えばスルファサラジン、メサラジン、バルサラジド、およびオルサラジン;および免疫調節剤、例えばチオプリン、およびコルチコステロイド、例えばブデソニドの組合せとの組合せに関する。
【0135】
本発明は、さらに、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩と、抗細菌剤、例えばペニシリン誘導体、テトラサイクリン、マクロライド、ベータ−ラクタム、フルオロキノロン、メトロニダゾール、吸入アミノグリコシド;アシクロビル、ファムシクロビル、バラシクロビル、ガンシクロビル、シドフォビル、アマンタジン、リマンタジン、リバビリン、ザナミビル(zanamavir)およびオセルタミビル(oseltamavir)を含む抗ウイルス剤;プロテアーゼ阻害剤、例えばインジナビル、ネルフィナビル、リトナビル、およびサキナビル;ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、例えばジダノシン、ラミブジン、スタブジン、ザルシタビンまたはジドブジン;または非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、例えばネビラピンまたはエファビレンツとの組合せに関する。
【0136】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩と、心血管剤、例えばカルシウムチャネルブロッカー、ベータ−アドレナリン受容体ブロッカー、アンギオテンシン−変換酵素(ACE)阻害剤、アンギオテンシン−2受容体アンタゴニスト;脂質低下剤、例えばスタチンまたはフィブラート;血液細胞形態学のモジュレーター、例えばペントキシフィリン;血栓溶解、または抗凝血剤、例えば血小板凝集阻害剤との組合せに関する。
【0137】
本発明は、さらに、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩と、CNS剤、例えば抗鬱剤(例えばセルトラリン)、抗パーキンソン剤(例えばデプレニル、L−ドーパ、ロピニロール、プラミペキソール、MAOB阻害剤、例えばセレギリン(selegine)およびラサギリン、comP阻害剤、例えばタスマール、A−2阻害剤、ドーパミン再取り込み阻害剤、NMDAアンタゴニスト、ニコチンアゴニスト、ドーパミンアゴニストまたは神経型一酸化窒素合成酵素の阻害剤)、または抗アルツハイマー剤、例えばドネペジル、リバスチグミン、タクリン、COX−2阻害剤、プロペントフィリンまたはメトリホナートとの組合せに関する。
【0138】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩と、急性または慢性疼痛の処置剤、例えば中枢性または末梢性に作用する鎮痛剤(例えばオピオイドまたはそれらの誘導体)、カルバマゼピン、フェニトイン、ナトリウムバロプロエート、アミトリプチリン(amitryptiline)または他の抗鬱剤、パラセタモール、または非ステロイド性抗炎症剤との組合せに関する。
【0139】
本発明は、さらに、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩と、非経腸的または局所的に適用する(吸入を含む)局所麻酔剤、例えばリグノカインまたはそれらの誘導体との組合せに関する。
【0140】
本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩は、ホルモン剤、例えばラロキシフェン、またはビホスホネート、例えばアレンドロネートを含む、抗骨粗鬆症剤と組み合わせても使用できる。
【0141】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩と:(i)トリプターゼ阻害剤;(ii)血小板活性化因子(PAF)アンタゴニスト;(iii)インターロイキン変換酵素(ICE)阻害剤;(iv)IMPDH阻害剤;(v)VLA−4アンタゴニストを含む接着分子阻害剤;(vi)カテプシン;(vii)キナーゼ阻害剤、例えばチロシンキナーゼ阻害剤(例えばBtk、Itk、Jak3またはMAP、例えばゲフィチニブまたはイマチニブメシレート)、セリン/スレオニンキナーゼ阻害剤(例えばMAPキナーゼ、例えばp38、JNK、タンパク質キナーゼA、BまたはC、またはIKKの阻害剤)、または細胞サイクル制御に関連するキナーゼの阻害剤(例えばサイクリン依存性キナーゼ);(viii)グルコース−6ホスフェートデヒドロゲナーゼ阻害剤;(ix)キニン−B.sub1.−またはB.sub2.−受容体アンタゴニスト;(x)抗痛風剤、例えばコルヒチン;(xi)キサンチンオキシダーゼ阻害剤、例えばアロプリノール;(xii)尿酸排泄促進剤、例えばプロベネシド、スルフィンピラゾンまたはベンズブロマロン;(xiii)成長ホルモン分泌促進物質;(xiv)トランスフォーミング増殖因子(TGFβ);(xv)血小板由来増殖因子(PDGF);(xvi)線維芽細胞増殖因子、例えば塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF);(xvii)顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF);(xviii)カプサイシンクリーム;(xix)タキキニンNK.sub1.またはNK.sub3.受容体アンタゴニスト、例えばNKP−608C、SB−233412(タルネタント)またはD−4418;(xx)エラスターゼ阻害剤、例えばUT−77またはZD−0892;(xxi)TNF−アルファ変換酵素阻害剤(TACE);(xxii)誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)阻害剤;(xxiii)TH2細胞に発現される化学誘引物質受容体相同分子(例えばCRTH2アンタゴニスト);(xxiv)P38の阻害剤;(xxv)トール様受容体(TLR)の機能を調節する薬剤、(xxvi)プリン受容体の機能を調節する薬剤、例えばP2X7;または(xxvii)転写因子活性化の阻害剤、例えばNFkB、API、またはSTATSとの組合せにも関する。
【0142】
本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩はまた癌の処置のための既存の治療剤と組み合わせても使用でき、例えば適当な薬剤は、以下を含む:
(i)内科的腫瘍学において使用される通りの抗増殖性/抗新生物剤またはそれらの組合せ、例えばアルキル化剤(例えばシスプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、窒素マスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファンまたはニトロソウレア);代謝拮抗剤(例えば葉酸代謝拮抗剤、例えば5−フルオロウラシルまたはテガフールのようなフルオロピリミジン、ラルチトレキセド、メトトレキサート、シトシンアラビノシド、ヒドロキシウレア、ゲムシタビンまたはパクリタキセル);抗腫瘍抗生物質(例えばアントラサイクリン、例えばアドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン−C、ダクチノマイシンまたはミトラマイシン);有糸分裂阻害剤(例えばビンカアルカロイド、例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンまたはビノレルビン、またはタキソイド、例えばタキソールまたはタキソテール);またはトポイソメラーゼ阻害剤(例えばエピポドフィロトキシン、例えばエトポシド、テニポシド、アムサクリン、トポテカンまたはカンプトテシン);
【0143】
(ii)細胞増殖抑制剤、例えば抗エストロゲン(例えばタモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェンまたはヨードキシフェン)、エストロゲン受容体ダウンレギュレーター(例えばフルベストラント)、抗アンドロゲン(例えばビカルタミド、フルタミド、ニルタミドまたはシプロテロンアセテート)、LHRHアンタゴニストまたはLHRHアゴニスト(例えばゴセレリン、ロイプロレリンまたはブセレリン)、プロゲストーゲン(例えばメゲストロールアセテート)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール、レトロゾール、ボラゾールまたはエキセメスタン)または5α−レダクターゼの阻害剤、例えばフィナステリド;
【0144】
(iii)癌細胞侵襲を阻害する薬剤(例えばマリマスタットのようなメタロプロテイナーゼ阻害剤またはウロキナーゼプラスミノーゲンアクティベーター受容体機能の阻害剤);
(iv)増殖因子機能阻害剤、例えば:増殖因子抗体(例えば抗erbb2抗体トラスツマブ、または抗erbb1抗体セツキシマブ[C225])、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤またはセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤、上皮細胞増殖因子ファミリー阻害剤(例えばEGFRファミリーチロシンキナーゼ阻害剤、例えば−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(ゲフィチニブ、AZD1839)、−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−アミン(エルロチニブ、OSI−774)または6−アクリルアミド−−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(CI 1033))、血小板由来増殖因子ファミリー阻害剤、または肝細胞増殖因子ファミリー阻害剤;
【0145】
(v)抗血管新生剤、例えば血管内皮細胞増殖因子の作用を阻害する薬剤(例えば抗血管内皮細胞増殖因子抗体ベバシズマブ、WO97/22596、WO97/30035、WO97/32856またはWO98/13354に開示の化合物)、または他の機構で作用する化合物(例えばリノミド(linomide)、インテグリンαvβ3機能阻害剤またはアンジオスタチン);
(vi)血管傷害剤、例えばコンブレタスタチンA4、またはWO99/02166、WO00/40529、WO00/41669、WO01/92224、WO02/04434またはWO02/08213に開示の化合物;
(vii)アンチセンス治療で使用される薬剤、例えば上記の標的の一つに指向するもの、例えばISIS 2503、抗rasアンチセンス;
【0146】
(viii)遺伝子治療アプローチ、例えば異常遺伝子、例えば異常p53または異常BRCA1またはBRCA2を置き換えるためのアプローチ、GDEPT(遺伝子指向酵素プロドラッグ治療)アプローチ、例えばシトシンデアミナーゼ、チミジンキナーゼまたは細菌ニトロレダクターゼ酵素を使用するアプローチおよび化学療法または放射線療法に対する患者の耐容性を増加させるためのアプローチ、例えば多剤耐性遺伝子治療に使用される薬剤;または
(ix)免疫治療アプローチ、例えば、患者腫瘍細胞の免疫原性を増加するためのエクスビボおよびインビボアプローチ、例えばサイトカイン、例えばインターロイキン2、インターロイキン4または顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子でのトランスフェクション、T細胞アネルギーを低下させるためのアプローチ、トランスフェクト免疫細胞、例えばサイトカイントランスフェクト樹状細胞を使用したアプローチ、サイトカイントランスフェクト腫瘍細胞株を使用したアプローチおよび抗イディオタイプ抗体を使用したアプローチに使用される薬剤。
【0147】
特に本発明の化合物は:
a)アイソフォームPDE4Dの阻害剤を含むPDE4阻害剤;
b)β−アドレナリン受容体アゴニスト、例えばメタプロテレノール、イソプロテレノール、イソプレナリン、アルブテロール、サルブタモール、フォルモテロール、サルメテロール、テルブタリン、オルシプレナリン、ビトルテロールメシレート、ピルブテロールまたはインダカテロール;
c)ムスカリン受容体アンタゴニスト(例えばM1、M2またはM3アンタゴニスト、例えば選択的M3アンタゴニスト)、例えばイプラトロピウムブロマイド、チオトロピウムブロマイド、オキシトロピウムブロマイド、ピレンゼピンまたはテレンゼピン;
d)ケモカイン受容体機能モジュレーター(例えばCCR1またはCCR8受容体アンタゴニスト);
e)キナーゼ機能阻害剤;
f)非ステロイド性グルココルチコイド受容体アゴニスト;
g)ステロイド性グルココルチコイド受容体アゴニスト;および
h)プロテアーゼ阻害剤(例えばMMP12またはMMP9阻害剤);
から選択される、第二活性成分と組み合わせて投与し得る。
【0148】
本発明を、以下の説明的実施例を参照してさらに説明する。
【0149】
一般法
H NMRおよび13C NMRスペクトルは、Varian Inova 400 MHzまたはVarian Mercury-VX 300 MHz装置で測定した。クロロホルム−d(δ 7.27ppm)、ジメチルスルホキシド−d 2.50ppm)、アセトニトリル−d 1.95ppm)またはメタノール−d 3.31ppm)の中央ピークを内部参照として使用した。カラムクロマトグラフィーを、シリカゲル(0.040−0.063mm、Merck)を使用して行った。特記しない限り、出発物質は商業的に入手可能であった。全溶媒および市販試薬は研究室グレードであり、購入したまま使用した。
【0150】
以下の方法をLC/MS分析に使用した:
装置Agilent 1100;カラムWaters Symmetry 2.1 x 30mm;マスAPCI;流速0.7ml/分;波長254nm;溶媒A:水+0.1%TFA;溶媒B:アセトニトリル+0.1%TFA;勾配15−95%/B 8分、95%B 1分。
【0151】
分析的クロマトグラフィーを、3.5μm粒子径のSymmetry C18−カラム、2.1×30mmで、アセトニトリル/水/0.1%トリフルオロ酢酸を移動相として、5%〜95%アセトニトリルの8分間にわたる流速0.7ml/分の勾配で流した。
【0152】
実施例で使用する略語または用語は以下の意味を有する:
【表1】

【実施例】
【0153】
実施例1
5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−N,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド
アルゴンを、5−ヨード−N,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド(SM2、200mg、0.46mmol)および[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]ボロン酸(SM3、150mg、0.70mmol)のDME(10ml)および2M NaCO(5ml)中の溶液を通して10分バブリングした。パラジウム−トリ−tert−ブチルホスフィン(25mg、0.049mmol)を添加し、混合物を、アルゴン下で、82℃で2時間撹拌した。さらにSM3(150mg、0.70mmol)およびパラジウム−トリ−tert−ブチルホスフィン(10mg、0.019mmol)を添加し、混合物をさらに2時間同じ条件下で撹拌した。反応混合物を次いでRTに冷却し、酢酸エチル(150ml)で希釈し、塩水(3×100ml)で洗浄した。有機相を乾燥させ(NaSO)、濾過し、蒸発させた。残渣を、Kromasil C-18カラムでHPLCで、アセトニトリル/水の勾配を使用して精製した。混合物の凍結乾燥により、表題化合物を得た(80mg)。
1H NMR(399.99 MHz, DMSO-D6)δ 9.18(q, J = 4.78 Hz, 1H), 8.05(s, 1H), 7.96- 7.64(mm, 9H), 6.72(d, J = 1.76 Hz, 1H), 2.76(d, J = 4.77 Hz, 3H), 1.76(s, 3H);
APCI-MS m/z:478.3[MH+]。
【0154】
実施例2
以下の化合物を、実施例1に準じた方法で合成した。
【表2】

【0155】
実施例3
5−[2−アミノ−5−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]−N,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド
チオウレア(8.5mg、0.11mmol)を、5−[ブロモ(4−クロロフェニル)アセチル]−N,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド(SM4、30mg、55mmol)のアセトニトリル(1ml)溶液に添加し、混合物をマイクロ波オーブンで120℃で10分加熱した。粗生成物をXterra C8カラムで、アセトニトリル/水の勾配を使用して精製した。混合物の凍結乾燥により、表題化合物を得た(10mg、35%)。
1H NMR(400 MHz, DMSO-D6)δ 9.27(d, J = 4.8 Hz, 1H), 8.27(s, 1H), 7.88(d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.81(t, J = 7.6 Hz, 3H), 7.67(d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.37(d, J = 8.5 Hz, 4H), 7.32(s, 3H), 7.25(d, J = 8.5 Hz, 2H), 2.77(d, J = 4.6 Hz, 3H), 1.67(s, 3H);
APCI-MS m/z:519.0[MH+]。
【0156】
実施例4および5
以下の化合物を、実施例3に準じた方法で合成した。
【表3】

【0157】
実施例6
以下の化合物を、実施例1に準じた方法で合成した。
1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−N,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド
1H NMR(300 MHz, DMSO-D6)δ 9.18(q, 1H), 8.02(s, 1H), 7.96-7.90(m, 3H), 7.78(dd, 1H), 7.71-7.60(m, 3H), 7.43(m, 1H), 6.70(d, 1H), 2.76(d, 3H), 1.81(s, 3H);
APCI-MS m/z:462[MH+]。
【0158】
実施例7
5−[2−(4−クロロ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル]−6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸メチルアミド
a)1−(4−クロロ−フェニル)−5−トリブチルスタナニル−1H−ピラゾール
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TMP、0.25g、1.78mmol)を磁気撹拌棒を備えたフラスコ中、乾燥THF(10ml)に溶解した。フラスコをアルゴンでフラッシュし、不活性雰囲気下に置いた。混合物を−78℃に冷却し、n−BuLi(1.1ml、1.6M、1.78mmol)を1分間にわたり滴下した。混合物を5分間、その温度で撹拌し、その後1−(4−クロロ−フェニル)−1H−ピラゾール(0.21g、1.1mmol)の乾燥THF(2ml)を添加した。溶液を、2分間にわたり滴下し、得られた溶液を、その温度で20分間撹拌し、その後BuSnCl(0.36g、1.1mmol)を1分間にわたり滴下した。溶液をゆっくりRTに温め、次いでMeOH(1ml)でクエンチした。残存混合物をEtOAcおよび水に分配し、有機相を乾燥させ、濃縮した。シリカでの精製により、0.2g(40%)の油状物を得た。
1H NMR(400 MHz, DMSO-D6)δ 7.77(d, J=1.8 Hz, 1H), 7.62(d, J= 9.0Hz, 2H), 7.42(d, J=9.0 Hz, 2H), 6.54(d, J=1.8 Hz, 1H), 1.50-0.67(m, 27H)。
APCI-MS m/z:468[MH+]。
【0159】
b)5−[2−(4−クロロ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル]−6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸メチルアミド
1−(4−クロロ−フェニル)−5−トリブチルスタナニル−1H−ピラゾール(0.107g、0.22mmol)、5−ヨード−6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸メチルアミド(0.05g、0.11mmol)、Pd(PBu)(10mg)およびDME(2ml)を、マイクロ波合成用チューブに入れた。混合物をアルゴンで脱気し、合成マイクロ波ヒーター(CEM)で、100℃(最大150W)で10分間加熱した。溶媒を真空下除去して、粗生成物を得て、それをシリカで精製し、次いでさらに分取HPLCで精製した。純粋フラクションを凍結乾燥して、10mg(17%)の表題化合物を得た。
1H NMR(400 MHz, DMSO-D6)δ 9.23-9.12(m, 1H), 8.03(s, 1H), 7.91(d, J=8.0 Hz, 1H), 7.87-7.80(m, 3H), 7.69(d, J=8.0 Hz, 1H), 7.53(d, J= 8.8 Hz, 2H), 7.45(d, J= 8.8 Hz, 2H), 6.66(d, J=1.8 Hz, 1H), 2.75(d, J=4.8 Hz, 3H), 1.77(s, 3H)。
APCI-MS m/z:487.0[MH+]。
【0160】
実施例8
5−[2−(4−フルオロ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル]−6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸メチルアミド
a)1−(4−フルオロ−フェニル)−5−トリブチルスタナニル−1H−ピラゾール
本化合物を、実施例7(a)に記載に準じた方法で製造した。
APCI-MS m/z:452[MH+]。
【0161】
b)5−[2−(4−フルオロ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル]−6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸メチルアミド
1−(4−フルオロ−フェニル)−5−トリブチルスタナニル−1H−ピラゾール(0.100g、0.22mmol)、5−ヨード−6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸メチルアミド(0.05g、0.11mmol)、Pd(PBu)(10mg)およびDME(2ml)を、マイクロ波合成用チューブに入れた。混合物を、アルゴンで脱気し、合成マイクロ波ヒーター(CEM)で100℃(最大150W)で10分間加熱した。溶媒を真空下除去して、粗生成物を得て、それをシリカで精製し、次いでさらに分取HPLCで精製した。純粋フラクションを凍結乾燥して、10mg(17%)の表題化合物を得た。
1H NMR(400 MHz, DMSO-D6)δ 9.22-9.13(m, 1H), 8.04(s, 1H), 7.91(d, J=7.7 Hz, 1H), 7.86-7.80(m, 3H), 7.67(d, J=7.7 Hz,1H), 7.49-7.42(m, 2H), 7.30(t, J= 8.8 Hz, 2H), 6.65(d, J=1.8 Hz, 1H), 2.75(d, J=4.8 Hz, 3H), 1.76(s, 3H)。
APCI-MS m/z:471.0[MH+]。
【0162】
実施例9
5−[3−(4−シアノ−フェニル)−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸メチルアミド
a)4−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−ベンゾニトリル
4−フルオロベンゾニトリル(0.847g、7mmol)、1H−[1,2,3]トリアゾール(0.483g、7mmol)、CsCO(2.27g、7mmol)およびDMF(8ml)およびマグネティックスターラーをバイアルに入れた。混合物を、撹拌しながら3時間、80℃で加熱した。抽出後処理(EtOAc/HO)および続く乾燥(NaSO)により粗生成物を得て、それをシリカで精製して、0.55g(46%)の表題化合物を得た。
1H NMR(400 MHz, DMSO-D6)δ 9.00(d, J=1.2 Hz, 1H), 8.18(d, J=8.8 Hz, 2H), 8.11(d, J=8.8 Hz, 2H), 8.05(d, J=1.2 Hz, 1H)。
【0163】
b)4−(5−トリブチルスタナニル−[1,2,3]トリアゾール−1−イル)−ベンゾニトリル
4−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−ベンゾニトリル(0.105g、0.6mmol)および乾燥THF(6ml)およびマグネティックスターラーをフラスコに入れた。フラスコをアルゴンでフラッシュし、不活性雰囲気に維持し、−78℃に冷却した。その温度で、tert−BuLi(0.36ml、1.7M、0.6mmol)を1〜2分間にわたり滴下した。混合物をその温度で15分間撹拌し、BuSnCl(0.19g、0.6mmol)を1分間にわたり滴下し、混合物を次いでゆっくりRTにした。粗混合物を直接シリカ(ヘプタン:EtOAc 4:1)で精製して、0.12g(43%)の表題スタンナンを得た。
APCI-MS m/z:460[MH+]。
【0164】
c)5−[3−(4−シアノ−フェニル)−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸メチルアミド
4−(5−トリブチルスタナニル−[1,2,3]トリアゾール−1−イル)−ベンゾニトリル(0.107g、0.22mmol)、5−ヨード−6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸メチルアミド(0.05g、0.11mmol)、Pd(PBu)(10mg)およびDME(2ml)を、マイクロ波合成用チューブに入れた。混合物を、アルゴンで脱気し、合成マイクロ波ヒーター(CEM)で100℃(最大150W)で10分間加熱した。溶媒を真空下除去して、粗生成物を得て、それをシリカで精製し、次いでさらに分取HPLCで精製した。純粋フラクションを凍結乾燥して、20mg(40%)の表題化合物を得た。
1H NMR(400 MHz, DMSO-D6)δ 9.17-9.09(m, 1H), 8.12(s, 1H), 8.09-8.02(m, 3H), 7.92(d, J=7.8 Hz, 1H), 7.88-7.82(m, 2H), 7.80(d, J= 8.6 Hz, 2H), 7.80(d, J= 8.0 Hz, 1H), 2.74(d, J=4.8 Hz, 3H), 1.80(s, 3H)。
APCI-MS m/z:479.0[MH+]。
【0165】
実施例10
5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル]−N,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド
5−ヨード−N,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド(SM2、0.051g、0.117mmol)、4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンゾニトリル(0.020g、0.117mmol)、ヨウ化銅(I)(0.044g、0.234mmol)、セシウムフルオライド(0.036g、0.234mmol)およびNMP(0.5ml)をバイアルに入れた。アルゴンを、撹拌している混合物を通して10分バブリングした。酢酸パラジウム(II)(0.002g、0.0089mmol)を添加し、バイアルを密封し、140℃で6時間撹拌した。おなじ工程でさらに2回操作を行い、3回の反応混合物を合わせ、分取HPLCで精製して、0.003g(2%)の表題化合物を得た。
1H NMR(400 MHz, DMSO-D6)δ 9.16- 9.09(m, 1H), 8.42(s, 1H), 8.16(s, 1H), 8.01(d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.92(d, J = 8.9 Hz, 2H), 7.84(t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.80- 7.74(m, 3H), 2.75(d, J = 4.7 Hz, 3H), 1.85(s, 3H)。
APCI-MS m/z:479.0[MH+]。
【0166】
出発物質の製造
上記実施例の出発物質は商業的に入手可能でありか、または既知物質から標準方法により容易に製造される。例えば、以下の反応は、出発物質のいくつかの製造のための説明であり、限定ではない。
【0167】
出発物質SM1
5−ヨード−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド
氷冷した3−(トリフルオロメチル)アニリン(64.5g、0.40mol)およびトリエチルアミン(60ml)のアセトン(700ml)溶液に、エチル3−クロロ−3−オキソプロパノエート(63.6g、0.42mol)のアセトン(50ml)溶液を滴下した。添加完了後(約30分間)、撹拌をRTで一晩続けた。溶媒を除去し、水(1200ml)を添加した。得られた沈殿を濾取し、2回水で徹底的に洗浄し、次いで乾燥させて、エチル3−オキソ−3−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}プロパノエートを黄色粉末(109g、99%)として得た。
1H NMR(399.99 MHz, CDCl3):δ 9.52(1H, s);7.87(1H, s);7.78(1H, d);7.46(1H, t);7.39(1H, d);4.29(2H, q);3.50(2H, s);1.35(3H, t)。
APCI-MS m/z:276.1[MH+]。
【0168】
エチル3−オキソ−3−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}プロパノエート(19.2g、70mmol)およびナトリウムメトキシド(7.6g、140mmol)のEtOH(250ml)溶液に、4−メトキシブト−3−エン−2−オン(90%)(7.72g、77mmol)を添加した。添加後、反応混合物を2時間還流し、次いで冷却した。水(50ml)および2M NaOHを添加し、混合物をRTで一晩撹拌した。有機溶媒を除去し、反応混合物をEtOAcで抽出(洗浄)した。水相を塩酸でpH3〜4に酸性化し、オレンジ色沈殿が現れ、濾取し、水で洗浄し、乾燥させた。2回ヘプタン/EtOAc(4:1)からの再結晶化により、6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸(12g、58%)を白色粉末として得た。
1H NMR(399.99 MHz, CDCl3):δ 13.68(1H, s);8.54(1H, d);7.86(1H, d);7.79(1H, t);7.55(1H, brs);7.48(1H, d);6.58(1H, d);2.16(3H, s);
APCI-MS m/z:298.1[MH+]。
【0169】
6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸(7.43g、25mmol)、HATU(10.5g、27.5mmol)、HOAT(3.75g、27.5mmol)およびDIEA(14.2ml、82.5mmol)のNMP(65ml)中の混合物を1時間反応させ、次いで4−メチルスルホニルベンジルアミンヒドロクロライド(5.8g、26mmol)を添加した。1時間後、反応混合物をゆっくり撹拌している氷水(1L)に添加した。粉末が形成され、水混合物をpH3に0.5M クエン酸で酸性化し、撹拌を1時間続けた。沈殿を濾取し、水で洗浄し、真空で一晩乾燥させた。EtOAcからの再結晶により6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド(8.1g、70%)を得た。
1H NMR(399.99 MHz, CDCl3):δ 10.00(1H, brt);8.60(1H, d);7.88(2H, d);7.83(1H, d);7.76(1H, t);7.53(3H, m);7.46(1H, d);6.49(1H, d);4.68(2H, m);3.03(3H, s);2.10(3H, s);
APCI-MS m/z:465.1[MH+]。
【0170】
6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド(200mg、0.43mmol)のMeCN(1.5ml)溶液に、RTおよびアルゴン下、トリフルオロメタンスルホン酸(1ml)、続いてN−ヨードスクシンイミド(97mg、0.43mmol)を添加した。45分後、反応混合物をDCMで希釈し、水性NaHCO、水性NaSおよび水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、蒸発させて、表題化合物SM1(200mg)を得た。
1H NMR(399.99 MHz, CDCl3):δ 9.85(1H, brt);8.90(1H, d);7.88(2H, d);7.76(2H, m);7.50(2H, d);7.48(1H, s);7.40(1H, d);4.65(2H, m);3.03(3H, s);2.32(3H, s);
APCI-MS m/z:591.0[MH+]。
【0171】
出発物質SM2
SM2、5−ヨード−N,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、を、SM1に準じた方法で合成した。
【0172】
出発物質SM3
[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]ボロン酸
4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾニトリル(Eur. J. Org. Chem. 2004, 695-709)(1.5g、8.87mmol)の乾燥THF(50ml)溶液を、アルゴン下、−78℃でリチウムジイソプロピルアミド(THF/ヘキサン/エチルベンゼン中1.8M溶液;5.2ml、9.32mmol)を20分間滴下した。撹拌および冷却を1時間続け、トリイソプロピルボレート(8ml、34.5mmol)を30分間にわたり滴下し、次いで温度を一晩でRTに上昇させた。反応混合物のpHを1M HClで5に合わせ、次いで混合物を最小量まで濃縮し、酢酸エチル(200ml)および塩水(3×100ml)で抽出した。有機相を回収し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、蒸発させて、褐色固体(1.32g)を得て、それをさらに精製せずに次工程に使用した。
APCI-MS m/z:214.1[MH+]。
【0173】
出発物質SM4
5−[ブロモ(4−クロロフェニル)アセチル]−N,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド
5−ヨード−N,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド(139mg、0.32mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.8mg、1.6μmol)、ヨウ化銅(I)(0.6mg、3.2μmol)、1−クロロ−4−エチニルベンゼン(87mg、0.638mmol)およびDIEA(64mg、0.5mmol)のアセトニトリル(1.5ml)中の混合物をマイクロ波オーブンで70℃で0.5時間加熱した。冷却後、反応混合物をフラッシュクロマトグラフィーで精製して、5−[(4−クロロフェニル)エチニル]−N,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド(111mg、78%)を得た。
APCI-MS m/z:445.3[MH+]。
【0174】
5−[(4−クロロフェニル)エチニル]−N,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド(111mg、0.25mmol)をギ酸(1ml)と混合し、マイクロ波オーブンで120℃で1時間加熱した。ギ酸を留去し、残渣をXterra C8カラムで、アセトニトリル/水の勾配を使用して精製した。混合物の凍結乾燥により、5−[(4−クロロフェニル)アセチル]−N,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド(77mg、66%)を得た。
1H NMR(399.99 MHz, DMSO-D6)δ 9.08(d, J = 4.8 Hz, 1H), 8.94(s, 1H), 7.92(d, J = 9.0 Hz, 2H), 7.83(t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.73(d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.40(d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.28(d, J = 8.5 Hz, 2H), 4.38(s, 2H), 2.81(d, J = 4.8 Hz, 3H), 2.22(s, 3H);
APCI-MS m/z:463.0[MH+]。
【0175】
臭素(30mg、19mmol)の酢酸−THF溶液を、5−[(4−クロロフェニル)アセチル]−N,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド(75mg、0.162mmol)溶液に滴下した。添加後、撹拌をRTで一晩続けた。溶媒を除去し、残渣をXterra C8カラムで、アセトニトリル/水の勾配を使用して精製した。混合物の凍結乾燥により、表題化合物を得た(86mg、95%)。
1H NMR(399.988 MHz, CDCl3)δ 9.06(m, 2H), 7.84(d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.77(q, J = 7.8 Hz, 1H), 7.53(t, J = 1.5 Hz, 2H), 7.47- 7.35(m, 4H), 6.27(d, J = 3.4 Hz, 1H), 2.96(d, J = 5.0 Hz, 3H), 2.35(s, 3H);
APCI-MS m/z:540.9[MH+]。
【0176】
ヒト好中球エラスターゼ消光−FRETアッセイ
本アッセイは、血清から精製したヒト好中球エラスターゼ(HNE)を使用する(Calbiochem art. 324681;Ref. Baugh, R.J. et al., 1976, Biochemistry. 15, 836-841)。HNEを、30%グリセロールを添加した50mM 酢酸ナトリウム(NaOAc)、200mM ナトリウムクロライド(NaCl)、pH5.5中、−20℃で貯蔵した。使用したプロテアーゼ基質はElastase Substrate V Fluorogenic、MeOSuc-AAPV-AMCであった(Calbiochem art. 324740;Ref. Castillo, M.J. et al., 1979, Anal. Biochem. 99, 53-64)。基質をジメチルスルホキシド(DMSO)中、−20℃で貯蔵した。アッセイ添加物は以下の通りであった:試験化合物およびコントロールを黒色96ウェル平底プレート(Greiner 655076)に、100%DMSO中1μLで添加し、続いてアッセイ緩衝液中の30μL HNEと0.01%Triton(商標)X−100界面活性剤を添加した。アッセイ緩衝液成分は:100mM Tris(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)(pH7.5)および500mM NaClであった。酵素および化合物を室温で15分間インキュベートした。次いでアッセイ緩衝液中30μlの基質を添加した。アッセイを30分間、室温でインキュベートした。インキュベーション中のHNE酵素および基質濃度は、各々1.7nMおよび100μMであった。次いで、アッセイを60μl停止溶液(140mM 酢酸、200mM 一クロロ酢酸ナトリウム、60mM 酢酸ナトリウム、pH4.3)の添加により停止させた。蛍光を、以下の設定のWallac 1420 Victor 2装置で測定した:励起380nm、放出460nm。IC50値を、モデル205を使用したXlfitカーブフィッティングで測定した。
【0177】
上記のスクリーニングで測定したとき、実施例化合物は、ヒト好中球エラスターゼ活性の阻害に対する30μM(マイクロモル濃度)未満のIC50値をもたらし、本発明の化合物が、有用な治療特性を有することが期待される。実例の結果を以下の表に示す:
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

〔式中、
は水素またはC−Cアルキルであり;
Wは、窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む5員ヘテロ環式環であり、ここで、少なくとも1個の環炭素原子は所望によりカルボニル基で置き換えられてよく;そして、ここでヘテロ環式環は、所望により、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CN、OH、NO、1個以上のF原子で置換されたC−Cアルキル、1個以上のF原子で置換されたC−Cアルコキシ、NR1011、C≡CR15、CONR1617、CHO、C−Cアルカノイル、S(O)18およびOSO19から選択される少なくとも1個の置換基で置換されていてよく;
14は、フェニルまたは1〜3環窒素原子を含む6員ヘテロ芳香環であり;該環は、所望によりハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、CN、OH、NO、1個以上のF原子で置換されたC−Cアルキル、1個以上のF原子で置換されたC−Cアルコキシ、NR1213、C≡CR30、CONR3132、CHO、C−Cアルカノイル、S(O)33およびOSO34から選択される少なくとも1個の置換基で置換されていてよく;
10、R11、R12およびR13は、独立してH、C−Cアルキル、ホルミルまたはC−Cアルカノイルであるか;または基−NR1011または−NR1213は、一体となって、所望によりO、SおよびNR26から選択される1個のさらなるヘテロ原子を含んでよい、5〜7員アザ環式環であり;
15およびR30は、独立してH、C−CアルキルまたはSi(CH)であり;
18、R19、R33およびR34は、独立してHまたはC−Cアルキルであり;該アルキルは、所望により1個以上のF原子で置換されていてよく;
はHまたはFであり;
は、フェニルまたはO、SおよびNから独立して選択される1〜3ヘテロ原子を含む5または6員ヘテロ芳香環であり;該環は、所望によりハロゲン、C−Cアルキル、シアノ、C−Cアルコキシ、ニトロ、メチルカルボニル、NR3536、1個以上のF原子で置換されたC−Cアルキルまたは1個以上のF原子で置換されたC−Cアルコキシから選択される少なくとも1個の置換基で置換されていてよく;
35およびR36は、独立してHまたはC−Cアルキルであり;該アルキルは、所望によりさらに1個以上のF原子で置換されていてよく;
は、水素または所望によりフルオロ、ヒドロキシルおよびC−Cアルコキシから選択される少なくとも1個の置換基で置換されていてよいC−Cアルキルであり;
Xは、単結合、O、NR24または基−C−Cアルキレン−Y−であり、ここで、Yは単結合、酸素原子、NR24またはS(O)であり;そして該アルキレンは、所望によりOH、ハロゲン、CN、NR3738、C−Cアルコキシ、CONR3940、CO66、SO41およびSONR4243でさらに置換されていてよいか;
またはRおよびXは、一体となって基−NRXが、所望によりO、SおよびNR44から選択される1個のさらなるヘテロ原子を含んでよい5〜7員アザ環式環を形成し;該環は、所望によりC−CアルキルまたはNR4546で置換されていてよく;該アルキルは、所望によりOHでさらに置換されていてよく;
は、
i) フェノキシ、
ii) フェニル、
iii) 窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む5または6員ヘテロ芳香環、
iv) 飽和または部分的に不飽和のC−Cシクロアルキル環、または
v)酸素、S(O)およびNR20から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む、飽和または部分的に不飽和の4〜7ヘテロ環式環であって、少なくとも1個の環炭素原子は所望によりカルボニル基で置き換えられてよい環
から選択される単環式環系であるか、
またはRは、2個の環が上記ii)、iii)、iv)およびv)で定義した単環式環系から独立して選択される二環式環系であり、ここで、この2環は互いに縮合しているか、他方に直接結合しているか、または、酸素、S(O)または所望により酸素、硫黄およびNR27から選択される1個以上の内部もしくは末端ヘテロ原子を含んでよいC−Cアルキレンから選択されるリンカー基により互いに離れており、そして所望によりヒドロキシル、オキソおよびC−Cアルコキシから選択される少なくとも1個の置換基で置換されていてよく、
該単環式または二環式環系は、所望により酸素、CN、OH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロゲン、NR4748、NO、OSO49、CO50、C(=NH)NH、C(O)NR5152、C(S)NR5354、SC(=NH)NH、NR55C(=NH)NH、S(O)21、SONR5657、1個以上のF原子で置換されたC−CアルコキシおよびSO58でもしくは1個以上のF原子で置換されたC−Cアルキルから選択される少なくとも1個の置換基で置換されていてよく;該C−Cアルキルは、所望によりシアノ、ヒドロキシル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオおよび−C(O)NR2223から選択される少なくとも1個の置換基でさらに置換されていてよく;
またはRはまたHであってもよく;
20は水素、C−Cアルキル、C−CアルキルカルボニルまたはC−Cアルコキシカルボニルであり;
21は水素、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルであり;該アルキルまたはシクロアルキル基は、所望によりOH、CN、C−CアルコキシおよびCONR5960から独立して選択される少なくとも1個の置換基でさらに置換されていてよく;
37およびR38は、独立してH、C−Cアルキル、ホルミルまたはC−Cアルカノイルであり;
47およびR48は、独立してH、C−Cアルキル、ホルミル、C−Cアルカノイル、S(O)61またはSONR6263であり;該アルキル基は、所望によりハロゲン、CN、C−CアルコキシまたはCONR6465でさらに置換されていてよく;
41およびR61は、独立してH、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルであり;
pは、0、1または2であり;
qは、0、1または2であり;
rは、0、1または2であり;
tは、0、1または2であり;
wは、0、1または2であり;
xは、0、1または2であり;
vは、0、1または2であり;
16、R17、R22、R23、R24、R26、R27、R31、R32、R39、R40、R42、R43、R44、R45、R46、R49、R50、R51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58、R59、R60、R62、R63、R64、R65およびR66は、各々独立して水素またはC−Cアルキルである。〕
の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
基R14および2−ピリドン環が5員環Wに1,2−位置関係で結合している、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、F、Cl、CN、NOおよびCFから独立して選択される1個または2個の置換基で置換されたフェニル基である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
14が、所望によりF、Cl、CNおよびCFから独立して選択される1個または2個の置換基で置換されていてよいフェニルまたはピリジニル基である、請求項1から3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
が、−S(O)21で置換されたフェニルまたはピリジニルであって、vが整数2である、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
Xが非置換C−Cアルキレンである、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
がHである、請求項1〜4または6に記載の化合物。
【請求項8】
以下から選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物:
5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−N,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド;
5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド;
5−[2−アミノ−5−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]−N,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド;
5−[4−(4−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール−5−イル]−N,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド;
5−[2−アミノ−5−(4−シアノフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]−N,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド;
1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−ピラゾール−5−イル]−N,6−ジメチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド;
5−[2−(4−クロロ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル]−6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸メチルアミド;
5−[2−(4−フルオロ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル]−6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸メチルアミド;
5−[3−(4−シアノ−フェニル)−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸メチルアミド;および
5−[1−(4−シアノフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル]−N,6−ジメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド;
および、そのいずれか1個の薬学的に許容される塩。
【請求項9】
請求項1に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容される塩の製造方法であって、
(a) 式(II)
【化2】

〔式中、Lは脱離基(例えばハロゲンまたはヒドロキシル)であり、そしてR、R、R、R14およびWは、式(I)で定義の通りである。〕
の化合物と、式
【化3】

〔式中、X、RおよびRは、式(I)で定義の通りである。〕
の化合物を反応させるか;または
(b) 式(IV)
【化4】

〔式中、Halはハロゲン原子であり、そしてX、R、R、R、RおよびRは、式(I)で定義の通りである。〕
の化合物と、求核試薬R14−W−M(式中、R14およびWは、式(I)で定義の通りであり、そしてMは有機錫または有機ボロン酸基である)を反応させるか;または
(c) Wがチアゾリルまたはオキサゾリルであるとき、式(V)
【化5】

〔式中、X、R、R、R、R、RおよびR14は、式(I)で定義の通りである。〕
とチオウレアまたはホルムアミドを各々反応させ;
そして、所望により(a)、(b)または(c)の後に以下の1個以上を行う:
・ 得られた化合物を本発明のさらなる化合物に変換する
・ 本化合物の薬学的に許容される塩を形成する
ことを含む、方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載の式(I)の化合物または薬学的に許容される塩と、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体を含む、医薬組成物。
【請求項11】
請求項10に記載の医薬組成物の製造方法であって、請求項1〜8のいずれかに記載の式(I)の化合物または薬学的に許容される塩と、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体を混合することを含む、方法。
【請求項12】
治療において使用するための、請求項1〜8のいずれかに記載の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項13】
好中球エラスターゼ活性の調節が有益であるヒト疾患または状態の処置用医薬の製造における、請求項1〜8のいずれかに記載の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項14】
成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、嚢胞性線維症、肺気腫、慢性気管支炎を含む気管支炎、気管支拡張症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺高血圧、難治性(refractive)喘息を含む喘息、鼻炎、乾癬、虚血−再灌流傷害、リウマチ性関節炎、骨関節症、全身性炎症反応症候群(SIRS)、慢性創傷、癌、アテローム性動脈硬化症、消化性潰瘍、クローン病、潰瘍性大腸炎または胃粘膜傷害の処置に使用するための医薬の製造における、請求項から8のいずれかに記載の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項15】
好中球エラスターゼ活性の阻害が有益である疾患または状態の処置、またはリスク軽減の方法であって、それを必要とする患者に治療的有効量の請求項1〜8に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を投与することを含む、方法。
【請求項16】
炎症性疾患または状態の処置、またはリスク軽減の方法であって、それを必要とする患者に治療的有効量の請求項1〜8に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を投与することを含む、方法。
【請求項17】
疾患または状態が成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、嚢胞性線維症、肺気腫、慢性気管支炎を含む気管支炎、気管支拡張症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺高血圧、難治性喘息を含む喘息、鼻炎、乾癬、虚血−再灌流傷害、リウマチ性関節炎、骨関節症、全身性炎症反応症候群(SIRS)、慢性創傷、癌、アテローム性動脈硬化症、消化性潰瘍、クローン病、潰瘍性大腸炎または胃粘膜傷害である、請求項15または16に記載の方法。

【公表番号】特表2009−536196(P2009−536196A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−509485(P2009−509485)
【出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【国際出願番号】PCT/SE2007/000441
【国際公開番号】WO2007/129962
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】