説明

安定なカフェイン含有水系組成物

【課題】カフェイン含有の水系組成物を皮膚に適用して、脂質分解効果等の薬理作用を得るには、カフェインが皮膚を浸透する必要があり、そのためにはカフェインが水に溶解していることが必要であるが、そのための、カフェインを高含有量で含みかつ溶解性を維持した、安定した薬理効果の高い水系組成物の提供。
【解決手段】カフェイン及びバニリンを3〜40wt%の高濃度で含有する皮膚外用水系組成物である。本発明の水系組成物は、溶液およびゲル状組成物を含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は皮膚外用水系組成物に関し、さらに詳しくはカフェインを含有する皮膚外用水系組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カフェインはアルカロイドの一種であり、コーヒー、コーラ、緑茶、紅茶、ウーロン茶、ココア、チョコレート、栄養ドリンクなどに含まれる。その薬理作用は古くから知られており、平滑筋弛緩作用(気管支拡張作用)、強心・利尿・血管拡張作用、中枢刺激作用、脳幹刺激作用、骨格筋緊張作用、分泌に対する作用、代謝促進作用等が挙げられる。医薬品としても使われ、眠気、倦怠感、頭痛等に効果がある。よって、カフェインは一般消費者向けの総合感冒薬に用いられることも多い。カフェインの作用である鎮痛目的もあるが、感冒薬に配合される催眠性の強い抗ヒスタミン剤の副作用を緩和する目的もある。
【0003】
一方、最近では体の余分な脂肪、特に皮膚内層にたまった脂肪を分解し、セルライト即ち痩身効果を与える外用剤として、カフェインを含有する組成物が知られている。例えばカフェインと多糖類にさらにグリシン、バリン、ロイシンなどから選ばれるアミノ酸を含有した組成物で、カフェインとアミノ酸の併用により脂質分解効果が促進され、また多糖類により肌荒れ改善効果が得られることが示されている。(特許文献1)
【0004】
また、カフェインを含有する点眼薬などの粘膜適用水性組成物において、カフェインとともにアミノアルカン(C1−4)スルホン酸を添加して、カフェインが水溶液から再結晶して析出することを防止する技術が開示されている。(特許文献2)
【特許文献1】特開平11−269035号公報
【特許文献2】特開2002−37735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カフェイン含有の水系組成物を皮膚に適用して、脂質分解効果や上記のような薬理作用を得るには、カフェインが皮膚を浸透する必要があり、そのためにはカフェインが水に溶解していることが必要である。組成物に不溶解のカフェインが多量に含まれていても、該カフェインは皮膚を浸透することはできない。
特許文献1に示される皮膚外用剤では、カフェインの含有量は0.1から10wt%の組成物が実施例で示されているが、カフェインの溶解状態の説明はない。その実施例5にはカフェイン10wt%、モクロウ20wt%、ワセリン40wt%、精製水その他成分からなる軟膏が示されるが、その成分比と調製方法からカフェインが軟膏に溶解状態であるとは考えられない。また実施例8に示される美容液のモデル実験として、本発明者は、カフェイン5.0wt%、L−アルギニンL−アスパラギン酸0.1wt%、エリスリトール5.0wt%、グリセリン10wt%含有の水溶液を調し、カフェインの溶解性を評価したが、4℃で数時間保存すると結晶が析出し、約12時間後には全体が白色固化し、カフェインが溶解しているとは認められなかった。
【0006】
特許文献2に示される粘膜適用組成物では、一般的説明には10wt%までの高濃度のカフェイン使用量が開示されるが、粘膜にかかる高濃度のカフェイン組成物を適用するのは、その刺激性の点から問題があると思われる。事実その実施例ではカフェイン2wt%の水溶液が示され、それ以上の高濃度カフェイン水溶液の溶解性に関する説明はない。
本発明者らは、3〜40wt%という高濃度のカフェインが溶解状態で安定に維持できる水系組成物について検討し、特定の化合物の併用によりカフェインの再結晶を防止することができ、皮膚外用剤として使用が容易な水系組成物を、更には水系ゲル組成物を提供できることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、カフェイン及びバニリンを含有することを特徴とする皮膚外用水系組成物である。
さらに本発明は、カフェイン3〜40wt%及びカフェインに対して0.3倍ないし1倍量のバニリンを含有することを特徴とする安定な皮膚外用水系組成物である。
本発明の水系組成物は、溶質が実質的に溶解して粘着の低い溶液、および溶質の濃度または種類を選択して粘着を高めたゲル状組成物を含む。ゲル状組成物は増粘剤(乳化剤や界面活性剤等も含む)、水溶性高分子、または水溶性高分子と架橋剤を添加することにより作成することができる。
【0008】
具体的な剤型としては、パップ剤、テープ剤、パッチ剤、或いはリザーバー型パッチ剤などの貼付剤、スティック剤などの固形製剤、ゲル軟膏剤、軟膏剤、或いはクリーム剤などの半固形製剤、ローション剤等の液剤、又はエアゾール剤或いはノンガススプレー剤等のスプレー剤の形態である上記の組成物が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、皮膚に適用して使用される水系組成物であって、3〜40wt%のカフェインを溶解状態で含有する安定な水系組成物或いはゲル組成物を製造することができ、長時間にわたり高濃度のカフェインを皮膚に浸透できる皮膚外用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明者らは、従来のカフェイン含有の外用剤である水溶液、乳液、ジェルなどはカフェイン含有量が少なく、皮膚に付与できる量が少ないことから、皮膚に浸透するカフェインも少量であり、発現されるカフェインの薬理作用も限定的になると考えた。それに対して、高濃度のカフェインを溶解状態で含有した水系組成物は、より高濃度でカフェインの皮膚への浸透が期待出来る。また、液剤は使用に手間がかかることもあるため、長時間皮膚に薬剤を適用できるゲル組成物は薬剤の浸透を継続できるので、カフェインの薬理作用の発現の点からはより好ましい剤型である。
【0011】
しかしながら、上記の解決すべき課題で述べたとおり、カフェインは水溶液としても溶解状態を維持するのが難しいので、水溶性高分子や架橋剤を含むゲル組成物中で溶解状態を維持することはさらに難しい問題であった。本発明者らは、カフェインの溶解性を改善し、低温度でもカフェインが再結晶しない安定剤について、種々検討した。その結果、バニリンをカフェインに対して一定量含有する水系組成物ではカフェインの再結晶が生じず、長期間安定に保存することができることを見出した。
【0012】
本発明において用いられるカフェインはキサンチン誘導体の1つであり、水和物または無水物のいずれでもよい。これらは市販品から入手することができる。本発明において、カフェインは組成物中に3〜40wt%含有することが必要であり、好ましくは、5−30wt%、より好ましくは10〜20wt%である。カフェインの含有量が3wt%未満では、従来の皮膚外用組成物として考えられる範囲でカフェインを溶解状態に保つ組成物が出来、その薬理効果も大きくはない。また、40wt%超で含有する場合は、カフェインを安定な溶解状態に保てない。
【0013】
本発明で使用するバニリンはバニラ香を持つ香料で、アイスクリームなどの乳製品や化粧料などに広く使用されており、安全性が高く為害性は問題にならない。
【0014】
本発明者らは、カフェインの可溶化剤について鋭意検討し、バニリンが意外にも高濃度のカフェインの可溶化剤として有効であることを見出した。さらにそれらの可溶化剤はカフェインに対して、0.3倍から1倍量、より好ましくは0.4倍から1倍量が有効であることを見出した。可溶化剤が0.3倍未満の量では、カフェインの可溶化が十分でなく、例えば4℃で数週間保存するとカフェインが組成物中で再結晶析出する。
またカフェインに対して同量以上のバニリンを添加しても、カフェインの可溶化にさらなる改善はない。
【0015】
本発明は水系組成物であり、本発明において用いられる成分は特に限定されるものではない。精製水他、水溶性高分子、保湿剤、油剤、着色剤、界面活性剤、安定化剤、架橋剤、pH調整剤、粘着剤、充填剤、また必要に応じて皮膚に対する保護剤、栄養剤、香料などを含む組成物であり、一般的に医薬品や化粧品等に使用される成分が使用できる。
【0016】
また、本発明における架橋は架橋剤による狭義の架橋のみを意味するのではなく、イオン結合、水素結合などで水溶性高分子間に分子間力を形成し、広義の網状構造を構成し、流動性を失った組成物を形成するものでもある。ゲルの構造は、形態の安定性と貼付する剤の量を調節する上で重要な要素である。本発明の水系ゲル組成物では自由運動できる水分子が少ないことから、通常の水溶液中への可溶化に比して、有効成分の可溶化は極めて難しい問題であった。
【0017】
本発明の皮膚外用組成物の形態は特に制限されず、従来皮膚外用製剤として使用されている製剤形態、例えば、パップ剤、テープ剤、パッチ剤、或いはリザーバー型パッチ剤などの貼付剤、スティック剤などの固形製剤、ゲル軟膏剤、軟膏剤、或いはクリーム剤などの半固形剤、ローション剤等の液剤、又はエアゾール剤或いはノンガススプレー剤等3のスプレー剤等の形態の皮膚外用組成物として提供することができる。
【0018】
本発明の外用組成物の製造方法は特に限定されず、外用剤の形態に応じて周知或いは慣用の製造方法を採用することができる。本発明の外用組成物の製造では、1種又は2種以上の製剤用添加物を用いることができるが、それらの必要性及び種類は、製剤の形態に応じて適宜選択することが可能である。
【0019】
本発明の組成物は上記したように、精製水の他、水溶性高分子、架橋剤、pH調整剤、粘着剤、充填剤、保湿剤、油剤、着色剤、界面活性剤、安定化剤、また必要に応じて皮膚に対する保護剤、栄養剤、香料などを含む組成物である。
【0020】
水溶性高分子としては、例えば、アミロース、アミロペクチン、アラビアガム、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸、アルギン酸塩、アルブミン、エコーガム、カゼイン、カラゲナン、カラヤガム、キチン、グアーガム、コラーゲン、スターチ、ゼラチン、デキストラン、デキストリン、デンプン、トラガントガム、プルラン、ペクチン、ローカストビーンガム、寒天等の天然高分子、アルカリ金属カルボキシメチルセルロース、アルカリ金属セルロース硫酸塩、エチルセルロース、エチルメチルセルロース、カルボシキメチルスターチ、コハク酸変性ゼラチン、セルロースアセテートフタレート、セルロースグラフト重合体、デンプン−アクリル酸グラフト重合、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プロピルセルロース、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、メチルセルロース、架橋ゼラチン、無水フタル酸変性ゼラチン等の半合成の高分子、N−ビニルアセトアミド−アクリル酸ナトリウム共重合体等のN−ビニルアセトアミド系共重合体、N−ビニルアセトアミド架橋物、アクリルアミド−アクリル酸共重合体、カルボキシビニルポリマー、スチレン−マレイン酸無水物共重合体、アクリルアミド−アクリル酸共重合体、ビニルアセテート−(メタ)アクリル酸共重合体、ビニルピロリドン−アクリル酸エチル共重合体、ビニルピロリドン−スチレン共重合体、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ポリアクリルアミド、ポリイタコン酸、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルアセテート−クロトン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルスルホン酸、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル等の合成高分子等があるが、これらに限らない。
【0021】
これらの高分子等は1種または組み合わせて使用できる。水溶性高分子はゲル組成物中で、0wt%から95wt%含有される。
【0022】
また、これらの高分子を配合しなくても本組成物をゲル化することは可能である。例えば、公知の事実として水系組成物は乳化剤や界面活性剤を適量配合することによりゲル化は可能である。
【0023】
このような組成物に配合できる界面活性剤として、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類; イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類; ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等); グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、或いはバイオサーファクタント等が挙げられるが、これらのものに限られない。
【0024】
これらの界面活性剤は1種または組合せて使用できる。界面活性剤はゲル組成物中で、0から70wt%含有される。
【0025】
架橋剤としては、例えば多価金属化合物として、アルミニウム化合物、カドミウム化合物、カルシウム化合物、クロム化合物、コバルト化合物、チタン化合物、ニッケル化合物、マグネシウム化合物、マンガン化合物、亜鉛化合物、錫化合物、鉄化合物等が使用し得る。但し、本発明の外用組成物は皮膚に適用するものであるため、皮膚に対する安全性を考慮するとアルミニウム化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等を用いることが特に好ましい。
【0026】
アルミニウム化合物、マグネシウム化合物及びカルシウム化合物はいずれのものも好適に使用し得る。例えば,アンモニウムミョウバン、カリミョウバン、鉄ミョウバン等のミョウバン類、アルミニウムグリシネート、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、ケイ酸マグネシウム、メタケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、酢酸アルミニウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、これら金属を含む複塩等の水可溶性化合物、水難溶性化合物の1種又は2種以上を使用し出来る。
【0027】
これらの架橋剤は1種または組み合わせて使用できる。架橋剤はゲル組成物中で、0wt%から30wt%含有される。
【0028】
また、架橋調整剤を配合することも可能である。架橋調整剤としては、例えばEDTAまたはその塩類、クエン酸またはその塩類、メタリン酸またはその塩類等が挙げられる。架橋コントロール剤の配合量は特に限定されないが、好ましくは、含水系粘着剤組成物全体に対して、0wt%以上30wt%以下である。
【0029】
pH調整剤としては、例えば酒石酸、リン酸、リンゴ酸、クエン酸、塩酸、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等が挙げられる。これらは1種又は2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。配合量は特に限定されないが、好ましくは組成物全体に対して、0wt%以上30wt%以下である。
【0030】
充填剤としては、軽質無水ケイ酸、カオリン、ベントナイト、タルク、酸化チタン、酸化亜鉛等、一般的に医薬品或いは化粧品などに用いられる化合物が用いられる。これらは1種又は2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。配合量は特に限定されないが、好ましくは組成物全体に対して、0wt%以上95wt%以下である。
【0031】
粘着剤としては、例えばシリコーンゴム、ポリイソブレンゴン、スチレン−ブロック共重合体ゴム、アクリルゴム、天然ゴムなどの各粘着性物質等があげられるが、これらに限った物ではない。これらは1種又は2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。配合量は特に限定されないが、好ましくは組成物全体に対して、0wt%以上95wt%以下である。
【0032】
保湿剤としては、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等のポリオール類、及び又はキシリトール、ソルビトール、マルチトール等の糖類、及び又はヒアルロン酸、プルラン、グルカン等の多糖類、及び又はコラーゲン等の蛋白、ペプチド類が公知の皮膚外用保湿剤を適量添加することができる。これらは1種又は2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。配合量は特に限定されないが、好ましくは組成物全体に対して、0wt%以上95wt%以下である。
【0033】
任意成分として、他の薬物を配合する為の薬物溶解剤を配合することも可能である。具体的には、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、クロタミトン、メントール、ハッカ油等の精油類を挙げることができる。これらは、1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用できる。配合量は特に限定されないが、好ましくは組成物全体に対して、0wt%以上50wt%以下である。
【0034】
アルコール類としては、エタノール、プロパノール等が使用できる。これらは1種又は2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。配合量は特に限定されないが、好ましくは組成物全体に対して、0wt%以上95wt%以下である。
【0035】
油剤、界面活性剤、安定化剤、また必要に応じて皮膚に対する保護剤、栄養剤、香料、着色剤などは周知のもの或いは一般的に医薬品或いは化粧品などに用いられる化合物が用いられる。
【実施例】
【0036】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0037】
以下の要領で、各種外用組成物を作成し、各実施例と比較例を作成し、その外観について比較検討した。
【0038】
(実施例1)液剤
(wt%)
カフェイン 40.0
バニリン 40.0
メチルパラベン 0.2
精製水 残量
合計 100.0
(比較例1)液剤
(wt%)
カフェイン 40.0
バニリン 0.0
メチルパラベン 0.2
精製水 残量
合計 100.0
上記成分を70−80℃で加熱しながら攪拌用ミキサーにて混和し、液剤とした。
【0039】
(結果1)各検体を作成後、室温放置し冷却した。40℃で1ヶ月間保存した後、凍結後に解凍し、カフェインの再結晶を確認した結果、実施例では調整時と同様に液の外観は透明であった。

【0040】
(実施例2)液剤
(wt%)
カフェイン 5.0
バニリン 1.5
メチルパラベン 0.2
精製水 残量
合計 100.0
(比較例2)液剤
(wt%)
カフェイン 5.0
バニリン 0.0
メチルパラベン 0.2
精製水 残量
合計 100.0
上記成分を70−80℃で加熱しながら攪拌用ミキサーにて混和し、液剤とした。
【0041】
(結果2)各検体を作成後、室温放置し冷却した。カフェインの再結晶を確認した結果、実施例では調整時と同様に液の外観は透明であった。

【0042】
(実施例3)液剤
(wt%)
カフェイン 5.0
バニリン 2.5
メチルパラベン 0.2
精製水 残量
合計 100.0
(比較例3)液剤
(wt%)
カフェイン 5.0
バニリン 0.0
メチルパラベン 0.2
精製水 残量
合計 100.0
上記成分を70−80℃で加熱しながら攪拌用ミキサーにて混和し、液剤とした。
【0043】
(結果3)各検体を作成後、室温放置し冷却した。カフェインの再結晶を確認した結果、実施例では調整時と同様に液の外観は透明であった。

【0044】
(実施例4)液剤
(wt%)
カフェイン 5.0
バニリン 4.0
メチルパラベン 0.2
精製水 残量
合計 100.0
(比較例4)液剤
(wt%)
カフェイン 5.0
バニリン 0.0
メチルパラベン 0.2
精製水 残量
合計 100.0
上記成分を70−80℃で加熱しながら攪拌用ミキサーにて混和し、液剤とした。
【0045】
(結果4)各検体を作成後、室温放置し冷却した。カフェインの再結晶を確認した結果、実施例では調整時と同様に液の外観は透明であった。

【0046】
(実施例5)ゲル剤
(wt%)
カフェイン 10.0
バニリン 10.0
カーボマー 0.4
メチルパラベン 0.2
水酸化ナトリウム 適量
精製水 残量
合計 100.0
(比較例5)ゲル剤
(wt%)
カフェイン 10.0
バニリン 0.0
カーボマー 0.4
メチルパラベン 0.2
水酸化ナトリウム 適量
精製水 残量
合計 100.0
上記成分を40〜50℃で加熱しながら攪拌用ミキサーにて混和し、各成分が溶解した後水酸化ナトリウムにて増粘し、ゲル剤とした。
【0047】
(結果5)各検体を作成後、室温放置し冷却した。40℃で1ヶ月間保存した後、凍結後に解凍し、カフェインの再結晶を確認した結果、実施例では調整時と同様にゲル剤の外観は透明であった。

【0048】
(実施例6)パップ剤
(wt%)
カフェイン 5.0
バニリン 5.0
ポリアクリル酸Na 7.0
グリセリン 20.0
エタノール 0.5
メチルパラベン 0.1
プロピルパラベン 0.1
ポリソルベート80 0.5
乾燥水酸化アルミニウムゲル 0.2
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム 0.5
酒石酸0.2
精製水 残量
合計 100.0
(比較例6)パップ剤
(wt%)
カフェイン 5.0
バニリン 0.0
ポリアクリル酸Na 7.0
グリセリン 20.0
エタノール 0.5
メチルパラベン 0.1
プロピルパラベン 0.1
ポリソルベート80 0.5
乾燥水酸化アルミニウムゲル 0.2
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム 0.5
酒石酸0.2
精製水 残量
合計 100.0
上記成分を練合機にて混合し、これを不織布上に均一に展延し、ポリエステルフィルムで圧着し、パップ剤とした。
【0049】
(結果6)各検体を作成後、室温放置し冷却した。40℃で1ヶ月間保存した後、凍結後に解凍し、カフェインの再結晶を確認した結果、実施例では調整時と同様にパップ剤の外観は透明であった。また皮膚への粘着性も変化しなかった。

【0050】
(実施例7)クリーム剤
(wt%)
カフェイン 5.0
バニリン 5.0
アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VPコポリマー 1.0
ミリスチン酸イソプロピル 2.0
1,3−ブチレングリコール 1.0
グリセリン 1.0
メチルパラベン 0.1
プロピルパラベン 0.1
ポリソルベート80 0.2
精製水 残量
合計 100.0
(比較例7)クリーム剤
(wt%)
カフェイン 5.0
バニリン 0.0
アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VPコポリマー 1.0
ミリスチン酸イソプロピル 2.0
1,3−ブチレングリコール 1.0
グリセリン 1.0
メチルパラベン 0.1
プロピルパラベン 0.1
ポリソルベート80 0.2
精製水 残量
合計 100.0
上記成分を攪拌ミキサーにて混和し、クリーム剤とした。
【0051】
(結果7)各検体を作成後、室温放置し冷却した。40℃で1ヶ月間保存した後、カフェインの再結晶を確認した結果、実施例では調整時と同様にクリーム剤の外観に相分離はなく、均一なクリームであった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カフェイン及びバニリンを含有することを特徴とする皮膚外用水系組成物。
【請求項2】
カフェインの含有量が、3〜40wt%である請求項1に記載の皮膚外用水系組成物。
【請求項3】
バニリンの含有量が、カフェインの含有量に対し、0.3〜1倍量である請求項1または2に記載の皮膚外用水系組成物。
【請求項4】
該水系組成物が、請求項1〜3に記載の皮膚外用水系ゲル組成物。
【請求項5】
該水系組成物が、水溶性高分子、または水溶性高分子及び架橋剤を含有してなる水系ゲル組成物である、請求項1〜3に記載の皮膚外用水系ゲル組成物。
【請求項6】
該水系組成物が、液剤、半固形製剤、固形製剤又はスプレー剤の形態である請求項1〜5に記載の皮膚外用水系組成物。

【公開番号】特開2009−280557(P2009−280557A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−155970(P2008−155970)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(390011017)ダイヤ製薬株式会社 (20)
【Fターム(参考)】