定着装置
【課題】定着ロールに対する棒状ヒータの配置を考慮し、定着ロールの小径化を図り、WUTのさらに短い定着装置を提供すること。
【解決手段】薄肉パイプからなる定着ロールと、定着ロールに内包され、それぞれ分布の異なる配光特性を備えた複数の棒状ヒータと、定着ロールに加圧される加圧ロールと、
定着ロールをその定着ロールの軸回りに回転自在に支持する定着ロール支持部材とを備え、加圧ロールの定着ロールへの加圧時、定着ロールの、その回転方向に垂直方向の断面の内側の最大長さをA、最小長さをBとした時、1.1≦A/B≦3であり、かつ、複数の棒状ヒータを全て内包できる、長径と短径との比がA:Bのである最小の楕円形状の筒の長径の方向と、加圧ロールの加圧方向とのなす角をEとした時、45度≦E≦135度としたこと。
【解決手段】薄肉パイプからなる定着ロールと、定着ロールに内包され、それぞれ分布の異なる配光特性を備えた複数の棒状ヒータと、定着ロールに加圧される加圧ロールと、
定着ロールをその定着ロールの軸回りに回転自在に支持する定着ロール支持部材とを備え、加圧ロールの定着ロールへの加圧時、定着ロールの、その回転方向に垂直方向の断面の内側の最大長さをA、最小長さをBとした時、1.1≦A/B≦3であり、かつ、複数の棒状ヒータを全て内包できる、長径と短径との比がA:Bのである最小の楕円形状の筒の長径の方向と、加圧ロールの加圧方向とのなす角をEとした時、45度≦E≦135度としたこと。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、FAX、プリンタ等の電子写真プロセスを利用した電子写真機器に使用する定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、昇温時間(ウォームアップタイム:以降WUTと記載)の短い定着器として、例えば、特許文献1のような方法が提案されている。特許文献1に示される従来の定着器は、定着ロールとして、薄肉の弾性ロールを用い、加圧ロールからの押圧力をこの弾性ロールの弾性力にて受ける構造としたものである。これにより、定着ロールの熱容量を極端に小さくする事ができ、WUTの短い定着器が実現でき、また、均一で幅広いニップを形成できることにより、トナーの紙への良好な定着が可能となり、さらには、弾性ロールの曲率変化により、良好な紙の剥離を実現する事ができる。
【0003】
特許文献1の定着器はWUTの短いという特徴を備えているが、このようにWUTの短い定着器の欠点は、幅狭の記録紙を連続使用した場合、記録紙幅外の定着ロールの温度が過昇温することである。この過昇温により、定着ロールや加圧ロールに使用しているゴム材等が熱劣化したり、幅狭の記録紙を連続使用した後、幅広の記録紙を使用する場合、過昇温した部分の温度が下がるまで待つ必要がある。
【0004】
また、記録紙幅外の過昇温を防止する方法として、特許文献2の方法が実用化されている。特許文献2に示す方法は、それぞれ発熱領域の異なる複数の棒状ヒータを用い、記録紙の幅に対応した棒状ヒータに通電するというものである。これにより、例えば、幅狭の記録紙を用いる場合は、その記録紙の幅に対応した発熱領域の狭い棒状ヒータに通電し、必要な部分にのみ熱を印加するため、記録紙幅外の過昇温を防止することができる。さらには、複数の棒状ヒータに上手く通電することにより、幅狭の記録紙を使用した場合でも、記録紙幅外の過昇温を防止するだけでなく、定着ロールを常に均一な温度に保つことも可能である。
【0005】
したがって、特許文献1と特許文献2とを上手く組み合わせることにより、WUTが短く、かつ、記録紙幅外の過昇温を防止できる定着装置を実現することができる。
【特許文献1】特開2000−347529号公報
【特許文献2】特開平8−220932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の構成では、定着ロールの内径が大きい場合は何等問題ないが、定着ロールの径を小さくし、さらにWUTの短縮を図ろうとした場合、棒状ヒータの配置に何等考慮しなければ、定着ロールの径を思うように小さくするのは困難であるという課題を有していた。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、定着ロールに対する棒状ヒータの配置を考慮し、定着ロールの小径化を図り、WUTのさらに短い定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、請求項1の発明の定着装置は、薄肉パイプからなる定着ロールと、その定着ロールに内包された複数の棒状ヒータと、定着ロールに加圧される加圧ロールと、定着ロールをその定着ロールの軸回りに回転自在に支持する定着ロール支持部材とを備えたものであり、加圧ロールの定着ロールへの加圧時、定着ロールの、その回転方向に垂直方向の断面の最大長さをA、最小長さをBとした時、1.1≦A/B≦3であり、かつ、複数の棒状ヒータを全て内包できる、長径と短径との比がA:Bである最小の楕円の長径の方向と、加圧ロールの加圧方向とのなす角をEとした時、45度≦E≦135度としたものである。
【0009】
本構成によれば、定着ロールは加圧ロールにより加圧されることにより変形し、定着ロールの断面は円を潰した形状となり、いわゆる長手方向が存在する。また、棒状ヒータも複数備えたため、その断面にも長手方向が存在する。
【0010】
本構成によって、定着ロールの長手方向と、複数の棒状ヒータの長手方向とを同じ方向にもってくるため、複数の棒状ヒータを内包する為の定着ロールの径を小さくすることができ、その小径化により、定着ロールの熱容量低減、そしてWUTの短縮が可能な定着装置を提供することができる。このとき、角度Eは略90度が最も好ましいが、45度≦E≦135度の範囲であれば十分に効果が得られる。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明の定着装置において、複数の棒状ヒータのうち、最も距離の離れた一対の前記棒状ヒータの外側の距離をFとした時、F≧Bとしたものである。
【0012】
本構成によって、複数の棒状ヒータの配置によっては、加圧ロールに加圧された定着ロルには内包出来ない大きさまで定着ロールの小径化が可能なため、さらに、定着ロールの熱容量低減、そしてWUTの短縮が可能な定着装置を提供することができる。
【0013】
また、請求項3の発明は、請求項1の定着装置において、加圧ロールによる加圧をしていない時の定着ロールの内径をG、複数の棒状ヒータを全て内包できる最小の円の直径をHとしたとき、H≧Gとしたものである。
【0014】
本構成によって、複数の棒状ヒータは、加圧ロールに加圧されていない断面形状が円形の定着ロ−ルには内包出来ない大きさまで、定着ロールの径の小径化が可能なため、さらに、定着ロールの熱容量低減、そしてWUTの短縮が可能な定着装置を提供することができる。
【0015】
また、請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかの発明の定着装置において、定着ロールの端面と対向する環状の対向面を有し、対向面に定着ロールの端面が当接することで定着ロールの長さ方向の移動を制限するとともに、当接時に定着ロールの回転に連れて中心軸回りに回転するように支持された移動制限部材を備え、定着ロールの端面が移動制限部材に当接し、かつ、加圧ロールによる加圧が行われているときに、移動制限部材の対向面に形成された開口部から定着ロールの端面が見えるものである。
【0016】
本構成では、定着ロールの端面が移動制限部材に当接することにより、定着ロールの長手方向への移動が制限され、また、移動制限部材は回転し、定着ロールの端面との摺動が少ないため、定着ロールの端面の劣化や、移動制限部材の削れが少なく、さらには摺動音も小さい。しかしながら、その構成上、移動制限部材の開口部は、定着ロール内径よりも小さくなる。さらに、定着ロールが変形し、その端面が移動制限部材の開口部から見える状態であるため、さらに、棒状ヒータの通過可能なスペースが小さくなっている。そこで、複数の棒状ヒータの配置を考慮しなければ、移動制限部材の開口部を大きくする必要があり、それにともない、定着ロール径を大きくする必要が生じてしまう。
【0017】
本構成によっても、請求項1の発明と同様、定着ロールの長手方向と、複数の棒状ヒータの長手方向とを同じ方向にもってくるため、複数の棒状ヒータを内包する為の定着ロールの径を小さくすることができ、その小径化により、定着ロールの熱容量低減、そしてWUTの短縮が可能な定着装置を提供することができる。
【0018】
また、請求項5の発明は、請求項4の発明の定着装置において、加圧ロールにより加圧が行われている状態であって、移動制限部材の開口面であり、かつ、棒状ヒータの通過可能な面の短軸方向の長さをIとしたとき、F≧Iとしたものである。
【0019】
本構成によって、複数の棒状ヒータの配置を最適化することにより、定着ロールの小径化を図ることができ、それにより、定着ロールの熱容量低減、そしてWUTの短縮が可能な定着装置を提供することができる。
【0020】
また、請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかの発明の定着装置において、定着ロール支持部材は、定着ロールの外周面全周を覆う筒状のものからなり、かつ、その内周面にて定着ロールを回転自在に支持するものであって、定着ロールの両端部にそれぞれ対応して配設されているとともに、定着ロール支持部材の中心軸回りに回転自在に支持されたものである。
【0021】
本構成によって、加圧ロールの加圧によって、変形する定着ロールの回転を安定して保持することができる定着装置を提供することができる。
【0022】
また、請求項7の発明は、請求項6の発明の定着装置において、定着ロール支持部材は、移動制限部材と一体で形成されたものである。
【0023】
本構成によって、定着ロール支持部材及び移動制限部材の低コスト化を図ることができるとともに、定着装置全体を小型化することができる。
【0024】
また、請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれかの発明の定着装置において、複数の棒状ヒータの少なくとも1本はフィラメントを備えたランプであり、その棒状ヒータのフィラメントの、コイル状に密に巻かれている部分の最両端間の長さに対して、その最両端間のコイル状に疎に巻かれている部分の長さの総和の比、もしくは、コイル状に巻かれていない部分の長さの総和の比が、10%以下としたものである。
【0025】
通常、定着装置に用いる棒状ヒータには、長手方向に対して、中央部よりも両端部の発熱が多くなるよう、配光特性を持たせている。これは、定着ロールに加えた熱が、その定着ロールを保持している保持部材から逃げていくことにより、定着ロールの両端部の温度が低くなることを防止するためである。この棒状ヒータに配光特性を持たせる方法は、フィラメントをコイル状に密に巻いた部分と、コイル状に疎に巻いた部分(もしくはコイル状に巻いていない部分)を連続的に備え、そのコイル状に密に巻いた部分が多いほど、発熱分布が高くなるというものである。また、コイル状に密に巻いた部分と疎に巻いた部分とでは、その疎密に対して、発熱分布もフィラメント部では疎密となるが、フィラメントから離れれば離れる程、発熱分布の疎密を低減することは可能である。
【0026】
本構成では、定着ロールは加圧ロールにより加圧されることにより変形され、また、その変形された定着ロールに対して、複数の棒状ヒータを配置するため、それぞれの棒状ヒータの発熱部から定着ロールの内面までの距離が短い部分が発生する。これにより、フィラメントの疎密による発熱分布に対応し、定着ロールに温度むらが生じてしまう。定着ロールの内径を大きくし、棒状ヒータのフィラメントからの距離を十分長くするという方法も考えられるが、その場合、定着ロールの熱容量が大きくなり、WUTが長くなってしまうので好ましくない。また、本構成では、定着ロールは薄肉であり、軸方向への伝熱が悪いため、中央部と端部での温度さが出来にくい。また逆に、熱容量が少なくWUTが早いため、棒状ヒータの少しの発熱むらも敏感に影響する。したがって、棒状ヒータのフィラメントは疎密がなく、均一な発熱をするものが好ましい。
【0027】
本構成によって、薄肉の定着ロールを用いるので、棒状ヒータのフィラメントは疎密がない均一なものを用いることが可能であり、また、フィラメントが均一なものを用いることにより、フィラメントの疎密による定着ロールの不均一が生じない定着装置を提供することができる。このとき、棒状ヒータのフィラメントは、疎密がない均一なものが最も好ましいが、コイル状に密に巻かれている部分の最両端間の長さに対して、コイル状に疎に巻かれている部分の長さの総和の比、もしくは、コイル状に巻かれていない部分の長さの総和の比が、10%以下であれば、定着ロールの不均一性は定着装置として実用上問題のない範囲とすることができる。
【0028】
また、請求項9の発明は、請求項8に記載の定着装置において、複数の棒状ヒータの少なくとも1本はフィラメントを備えたランプであり、その棒状ヒータの長手方向に対して、フィラメントは、両端部以外はすべてコイル状に均一に巻かれたものである。
【0029】
本構成によっても請求項8と同様の効果があり、かつ、請求項8の発明の中でも、定着ロールの温度が最も均一となる定着装置を提供することができる。
【0030】
また、請求項10の発明は、請求項1〜9のいずれかの発明の定着装置において、複数の棒状ヒータのうち、少なくとも1本の第1の棒状ヒータから、他の第2の棒状ヒータに直接照射される輻射熱の少なくとも一部分を反射する反射部材を配置したものである。
【0031】
本構成によって、複数の棒状ヒータを近接配置した場合においても、一方の棒状ヒータからの輻射熱が他方の棒状ヒータに輻射されるのを反射部材により防止することが可能となり、それにより、エネルギー効率が良く、WUTの短い定着装置を提供することができる。
【0032】
また、請求項11の発明は、請求項10の発明の定着装置において、反射部材は、薄膜のフィルムを複数の棒状ヒータのうちの少なくとも1本の、かつ少なくとも一部分に巻き付けたものである。
【0033】
本構成によって、反射部材として、薄膜フィルムを用いるため、反射部材自身の熱容量が低減でき、WUTを短くすることができる。また、薄膜のため、反射部材自身の剛性が弱いが、棒状ヒータに直接支持させる構成により、安定した保持が可能である。また、薄膜であるため、反射部材自身のスペースが少なくてすみ、複数のランプをより近接させ易く、定着ロールの小径化が容易となり、定着ロールの熱容量低減が可能となる。したがって、これらのことにより、WUTが短い定着装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の定着装置によれば、定着ロールに対する棒状ヒータの配置を考慮し、定着ロールの小径化を図り、WUTの短い定着装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0036】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における定着装置の概略構成を示す断面図であり、この定着装置は、複写機、プリンタ、FAX等の画像形成装置に用いられて、記録紙等の記録媒体上に付着したトナーを該記録媒体と共に加熱することで記録媒体上にトナー像を定着する熱ロール定着方式のものである。
【0037】
加圧ロール1と、該加圧ロール1と径方向(本実施形態では、上下方向)に対向する定着ロール2とを備えている。この加圧ロール1は、例えば、直径20mmのアルミニウム製の円柱状の基材3と、この基材3の外周面全周をその長さ方向略全体に亘って密着状態で覆う厚み5mmのシリコーンスポンジゴム4と、このシリコーンスポンジゴム4の外周面全周をその長さ方向略全体に亘って密着状態で覆う厚み30μmのテフロン(登録商標)チューブ(図示は省略している)とで構成されている。
【0038】
上記加圧ロール1は、図2に示すように、略水平方向に延びる押付け部材5により定着ロール2に押し付けられるようになっている。すなわち、基材3の小径にされた両端部3aが、該両端部3aにそれぞれ対応して設けた押付け部材5の長さ方向中間部に形成した嵌合孔5aにそれぞれ回転自在に嵌合されており、この各押付け部材5の一端部は回転軸5b回りに回転自在に支持され、他端部は、引張コイルスプリング6により、定着ロール2側(上側)に付勢されている。したがって、各押付け部材5は、回転軸5b回りに図2で反時計回り方向に回動しようとするため、加圧ロール1が上側に移動しようとして定着ロール2に押し付けられることになる。この押付けにより、加圧ロール1が定着ロール2を径方向に所定の加圧力で加圧することになる。本実施形態では、この加圧力は約9.3N/cmである。
【0039】
また、加圧ロール1は、基材3の両端部3aが両押付け部材5の嵌合孔5aにそれぞれ回転自在に嵌合していることから、上記押付け状態で、該加圧ロール1のロール軸X1(基材3の中心軸)回りに回転可能になっている。そして、基材3の一端部3a(図1の左側端部)には、連結軸7aを介して不図示のモータ等によって回転駆動される駆動ギヤ7と噛み合う従動ギヤ8が結合されており、これら駆動ギヤ7及び従動ギヤ8により加圧ロール1がそのロール軸X1回りに回転駆動されるようになっている。
【0040】
上記定着ロール2は、上記加圧ロール1による加圧力を弾性力で受け止める薄肉パイプ材9で構成されている。すなわち、この薄肉パイプ材9は、ステンレス鋼やリン青銅等のバネ性を有する金属からなり、上記加圧力により弾性変形してその断面が円形状から、加圧ロール1と定着ロール2との対向方向(上下方向)が短軸でかつ水平方向が長軸である略楕円形状となる。本実施形態では、薄肉パイプ材9は、外径30mm、肉厚0.2mmのステンレス鋼(SUS304)を用いている。
【0041】
上記薄肉パイプ材9における両端部を除く外周面全周には、ゴム層10が形成されている。このゴム層10は、本実施形態では、厚み200μmのシリコーンゴムからなり、このゴム層10の外周面を、その長さ方向略全体に亘って厚み30μmのテフロン(登録商標)チューブ11が密着状態で覆っている(これらゴム層10及びテフロン(登録商標)チューブ11は、厚みが非常に小さいので、定着ロール2を記載した図面のうち図1以外の図面では記載を省略している)。そして、上記加圧ロール1は、この定着ロール2のゴム層10が形成された部分に対して加圧するようになっており、加圧ロール1の回転駆動によって、その定着ロール2のゴム層10が形成された部分と加圧ロール1との間(ニップ部)に記録媒体を挟持して搬送するようになっている。尚、加圧ロール1が回転駆動されると、定着ロール2は加圧ロール1又はニップ部の記録媒体を介して定着ロール2のロール軸X2(弾性変形した薄肉パイプ材9の中心軸)回りに従動回転することになる。
【0042】
薄肉パイプ材9の両端部に対応する位置には、定着ロール支持部材12がそれぞれ配設されている。上記各定着ロール支持部材12は、定着ロール2の外周面全周を覆う円筒状のものからなっていて、その内周面に支持部12aが形成されたものである。この各定着ロール支持部材12aの中心軸は、定着ロール2のロール軸X2と平行である。そして、各定着ロール支持部材12は、ベアリング13によりその中心軸回りに回転可能に支持されていて、定着ロール2の回転に連れて定着ロール支持部材12の中心軸回りに回転するようになっている。このように定着ロール支持部材12が回転しても、支持部12aは常に定着ロール支持部材12の上側部分にある。したがって、定着ロール支持部材12の内周面は、どの回転位置においても支持部12aとなり得るように、定着ロール2の長さ方向から見て円形状になっている。
【0043】
定着ロール支持部材12は必ずしもその中心軸回りに回転可能に支持する必要はなく、固定したものであってもよい。この場合、定着ロール支持部材12は、定着ロール2の長さ方向から見て上半分だけの半円状のものとしてもよい。但し、定着ロール支持部材12を回転可能に支持した方が、定着ロール2との間で摺動が殆ど生じないので好ましい。
【0044】
本実施形態では、定着ロール支持部材12は、内径が40mm、幅(定着ロール2の長さ方向に沿った長さ)が8mmである樹脂製のものからなっている。この定着ロール支持部材12の材料としては、耐熱性が良好なベークライトやPPS(ポリフェニレンサルファイド)が好ましい。
【0045】
上記定着ロール2の長さ方向両側には、移動制限部材14がそれぞれ配設されている。この各移動制限部材14は、定着ロール2のロール軸X2と垂直な方向に延びる定着ロール2端面(つまり薄肉パイプ材9端面)と対向する位置に配置しており、定着ロール2の端面が当接することで定着ロール2の長さ方向の移動を制限するようになっている。
【0046】
定着ロール2の内部には、記録媒体上のトナーを記録媒体と共に加熱するために定着ロール2を加熱する棒状ヒータとしてのハロゲンランプ15が配設されている。ハロゲンランプ15は図3に示すように、発光部16aの幅が異なるものを複数本用いている。本実施の形態では、発光部16aの幅の広いハロゲンランプ15aと発光部16aの幅の狭いハロゲンランプ15bを用いている。幅の広い記録紙を通紙する場合は、ハロゲンランプ15aのみに通電し、定着ロール2の表面の略全面が約170℃に加熱するようになっている。また、幅の狭い記録紙を通紙する場合は、ハロゲンランプ15bのみに通電し、定着ロール2の表面の中央部のみ約170℃に加熱するようになっている。なお、ハロゲンランプ15a、ハロゲンランプ15bへの通電の方法は、上述の方法に限ったものでなく、通紙する記録紙の幅に上手く対応させさえすればどのような方法でもよいことは言うまでもない。
【0047】
また、ハロゲンランプ15a、ハロゲンランプ15bの発光部16aは、それぞれフィラメント17がコイル状に密に巻かれているものを用いている。従来の定着装置に、ハロゲンランプ15aの様に、全幅において、フィラメント17がコイル状に密に巻かれているものを用いた場合、定着ロール2の中央部より外側の温度が低くなってしまう。これは、ハロゲンランプ15aにより印加された熱が、定着ロール2の両端部から逃げていく為である。この問題を解決するため、図4に示すようなハロゲンランプ15cを用いる。ハロゲンランプ15cは、そのフィラメント17が、コイル状に密に巻かれている発光部16aと、疎に巻かれているかまっすぐの間欠部16bとを備えたものであり、ハロゲンランプ15cの外側の発光部16aの方が中央部の発光部16aよりも長くなるようにしている。このハロゲンランプ15cを用いることにより、定着ロールの両端部の温度低下を防止している。この時、定着装置の形態に合わせて発光部16aと間欠部16bとの割合を調整することにより、定着ロール2の温度の均一化を図っている。
【0048】
しかしながら、本発明の定着装置では、定着ロール2の厚さが非常に薄く、軸方向の熱伝導率が低いため、ハロゲンランプ15cの間欠部16bの割合が多いものでは、逆に弾性ロール2の両端部の温度が高くなってしまい好ましくない。また、発光部16aと間欠部16bとによる温度むらも問題となる。定着ロール2とハロゲンランプ15cとの距離が十分に長い場合はかなり緩和されるが、距離が短い場合、そのむらが顕著にでてしまう。本実施の形態の様に、定着ロール2の径を極力小さくし、その中にハロゲンランプ15cを複数入れようとした場合は、定着ロール2とハロゲンランプ15cとの距離は自ずと短くなり、発光部16aと間欠部16bとによる温度むらが顕著にでてしまう。実験によれば、コイル状に密に巻かれている部分の最両端間の長さに対して、16bの総和が10%以下であれば、好ましく用いることができ、間欠部16bがないものは、より好ましく用いることができた。また、間欠部16bがないハロゲンランプ15cは、コスト、寿命の点からより好ましい。
【0049】
次に、複数のハロゲンランプ15の配置について図5〜図7を用いて説明する。
図5において、定着ロール2は、加圧ロール1からの加圧により撓み、本実施の形態では、その定着ロール2の内側の最大長さをA、最小長さをBとした時、A=33.5mm、B=26mmとなった。また、ハロゲンランプ15a、ハロゲンランプ15b共に、そのガラス管径はφ8mmのものを使用しており、それらを6mm隔てて配置し、その両者の外側の距離は22mmとなっている。このように、定着ロール2の撓んだ方向に対し、2本のハロゲンランプ15aとハロゲンランプ15bの並び方向を合わせたとをにより、定着ロール2の内側に余裕をもって2本のハロゲンランプを配置することができている。また、余裕を減らし、定着ロール2をさらに小径のものを用いることも、さらに可能である。本実施の形態では、2つのハロゲンランプ15の並び方向と加圧ロール1の加圧方向とを略垂直方向としており、それが、最も好ましい方向ではあるが、これは、図6に示すように2つのハロゲンランプ15の並び方向と加圧ロール1の加圧方向とのなす角度をEとした時、45度≦E≦135度であれば、十分に効果を発揮することができる。また、定着ロール2については、撓み量が少ない場合にはハロゲンランプ15の配置を工夫する効果が少ないが、1.1≦A/Bであれば、配置を工夫する効果が発揮できる。逆に、A/B>3の場合は、定着ロール2を変形させ、かつ、加圧ロール1により十分な加圧力を印加する構成が実現不可能となってしまう。
【0050】
また、ハロゲンランプ15を3本備えた場合について図7を用いて説明する。3本のハロゲンランプを全て内包できる、長径と短径との比がA:Bである最小の楕円を考え、その長尺方向と加圧ロール1の加圧方向とのなす角Eを45度≦E≦135度とすればよい。さらに、4本以上備える場合も、3本の場合と同様に考えることができる。
【0051】
また、図2に示すように、ハロゲンランプ15aには、反射部材18が取り付けられている。この反射部材18は、ハロゲンランプ15aの輻射熱がハロゲンランプ15bに直接照射されるのを防ごうとしたものである。通常、定着ロール2の中に、複数のハロゲンランプ15を備え、一方のハロゲンランプ15に通電した場合、他方のハロゲンランプ15に輻射熱が照射され、ハロゲンランプ15による定着ロール2の加熱効率が低下してしまう。そこで、反射部材18を備えることにより、加熱効率の低下を防止しようとしたものである。
【0052】
さらに詳細を図8を用いて説明する。反射部材18としては厚さ12μmアルミニウムの箔を用い、線径φ60μmのタングステンワイヤ19にて部分的にハロゲンランプ15aに巻き付けている。反射部材18の膜厚が厚い場合は熱容量が大きくなり、それにより、定着ロール2を加熱するための熱効率が悪くなってしまうため、厚さ12μmという非常に薄いアルミニウムの箔を用いた。また、アルミニウムは放射率が低く、ハロゲンランプ15aからの輻射熱により加熱され難いという長所もある。また、タングステンワイヤ19は耐熱性が高いため、熱に対する心配がなく、かつ線径がφ60μmという非常に細いものを用いているため、熱効率の低下もほとんどない。なお、本実施の形態では、アルミニウムとタングステンという材料を用いたが、これは、これらの材料に限るものではないが、両者とも大量に市販されているものであるため、これを使用することはコスト的に好ましい。
【0053】
かかる構成によれば、定着ロール2は加圧ロール1により加圧されることにより変形し、定着ロール2の断面は円を潰した形状となり、いわゆる長手方向が存在する。また、ハロゲンランプ15も複数備えたため、その断面にも長手方向が存在する。本構成によって、定着ロール2の長手方向と、複数のハロゲンランプ15の長手方向とを同じ方向にもってくるため、複数のハロゲンランプ15を内包する為の定着ロール2の径を小さくすることができ、その小径化により、定着ロール2の熱容量低減、そしてWUTの短縮が可能な定着装置を提供することができる。
【0054】
また、かかる構成によれば、定着ロール支持部材12は、定着ロール2の外周面全周を覆う筒状のものからなり、かつ、その内周面にて定着ロール2を回転自在に支持するものであるため、加圧ロール1の加圧によって、変形する定着ロール2の回転を安定して保持することができる定着装置を提供することができる。
【0055】
また、かかる構成によれば、ハロゲンランプ15のフィラメントの、コイル状に密に巻かれている部分の最両端間の長さに対して、コイル状に疎に巻かれている部分の長さの総和の比、もしくは、コイル状に巻かれていない部分の長さの総和の比が、10%以下としたものを用いるものであり、中央部と端部での温度差が少なく、かつ、フィラメントの疎密による定着ロール2の不均一が生じない定着装置を提供することができる。
【0056】
また、かかる構成によれば、ハロゲンランプ15の長手方向に対して、フィラメントは、両端部以外はすべてコイル状に均一に巻かれたものであり、本構成によっても、定着ロール2の温度がさらに均一となる定着装置を提供することができる。
【0057】
また、かかる構成によれば、反射部材18を備えたことにより、複数のハロゲンランプ15を近接配置した場合においても、一方のハロゲンランプ15からの輻射熱が他方のハロゲンランプ15に輻射されるのを防止することが可能となり、それにより、エネルギー効率が良く、WUTの短い定着装置を提供することができる。
【0058】
また、かかる構成によれば、反射部材18として、薄膜フィルムを用いるため、反射部材18自身の熱容量が低減でき、WUTを短くすることができる。また、薄膜のため、反射部材18自身の剛性が弱いが、ハロゲンランプ15に直接支持させる構成により、安定した保持が可能である。また、薄膜であるため、反射部材18自身のスペースが少なくてすみ、複数のハロゲンランプ15をより近接させ易く、定着ロール2の小径化が容易となり、定着ロール2の熱容量低減が可能となる。したがって、これらのことにより、WUTが短い定着装置を提供することができる。
【0059】
なお、本実施の形態では、加圧ローラ1を回転駆動するようにしたが、これに代えて、後述の実施の形態4のように、定着ローラ支持部材12をその中心軸回りに回転させることで、該定着ローラ支持部材12の支持部12aと定着ローラ2の外周面との間の摩擦力により該定着ローラ2をそのローラ軸X2回りに回転駆動させるようにしてもよい。
【0060】
また、本実施の形態では、棒状ヒータとしてハロゲンランプ15を備えたが、これは、輻射熱を発するものであれば、石英管ヒータや、カーボンランプヒータ等も用いることができる。
【0061】
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2における定着装置のハロゲンランプ15の配置を示した断面図であり、本図では、ハロゲンランプ15を2本備えた場合である。2本のハロゲンランプの外側の距離をFとした時、図9(a)では、F≧Bとなり、このハロゲンランプ15の配置では、定着ロール2に内包することは不可能であるが、図9(b)のように配置すれば、F≦Aであり、定着ロール2に内包することが可能となる。
【0062】
また、図10に、ハロゲンランプ15を3本以上配置する場合について示す。図10(a)では3本配置した場合、図10(b)では4本配置した場合である。これらの場合も、最も距離の離れた一対のハロゲンランプ15の外側の距離をFと定義し、このFの方向を定着ロール2の変形方向に合わせることにより、小径の定着ロール2に内包することが可能となる。
【0063】
かかる構成によって、複数のハロゲンランプ15のうち、最も距離の離れた一対のハロゲンランプ15の外側の距離をFとした時、F≧Bとしたものであり、複数のハロゲンランプ15の配置によっては、加圧ロール1に加圧された定着ロール2には内包出来ない大きさまで定着ロール2の径の小径化が可能なため、さらに、定着ロール2の熱容量低減、そしてWUTの短縮が可能な定着装置を提供することができる。
【0064】
(実施の形態3)
図11は、本発明の実施の形態3における定着装置のハロゲンランプ15の配置を示した断面図であり、本図では、ハロゲンランプ15を2本備えた場合である。図11(a)において、加圧ロール1による加圧をしていない時の定着ロール2の内径をG、2本のハロゲンランプ15を内包できる最小の円の直径をH(2本の場合は、H=F)とした時、H≧Gとしており、2本のハロゲンランプ15を定着ロール2に内包することができない。また、図11(b)に、加圧ロール1による加圧をしているときの状態を示す。この場合、H≦Aとなっており、定着ロール2に2本のハロゲンランプ15を内包することができる。
【0065】
次に、図12に、ハロゲンランプ15を3本以上配置する場合について示す。図12(a)では3本配置した場合、図12(b)では4本配置した場合である。これらの場合も、複数のハロゲンランプ15を全て内包できる最小の円の直径をHと定義し、H≧Gでありながらも、複数のハロゲンランプ15の並び方向を定着ロール2の変形方向に合わせることにより、小径の定着ロール2に内包することが可能となる。
【0066】
かかる構成によって、H≧Gとしたものであり、複数のハロゲンランプ15は、加圧ロール1に加圧されていない断面形状が円形の定着ロ−ル2には内包出来ない大きさまで、定着ロール2の径の小径化が可能なため、さらに、定着ロール2の熱容量低減、そしてWUTの短縮が可能な定着装置を提供することができる。
【0067】
(実施の形態4)
図13は、本発明の実施の形態4における定着装置の定着ロール2の支持方法の概略構成を示す断面図である。図1とは2点異なり、1点目は、固定された移動制限部材14を、定着ロール2の端面と対向する環状の対向面を有し、対向面に定着ロール2の端面が当接することで定着ロール2の長さ方向の移動を制限するとともに当接時に定着ロール2の回転に連れて中心軸回りに回転するように支持された移動制限部材14としたものであり、さらに、その移動制限部材14を定着ロール支持部材12に一体形成したことである。具体的には、定着ロール支持部材12の定着ロール2の端面と当接する当接面12cが移動制限部材14を兼ねる構成である。2点目は、定着ロール支持部材12をその中心軸回りに回転させることで、該定着ロール支持部材12の支持部12aと定着ロール2の外周面との間の摩擦力により該定着ロール2をそのロール軸X2回りに回転駆動させるようにしたことである。すなわち、本実施形態では、一方の定着ロール支持部材12の外周面にギヤ部12bが形成されており、このギヤ部12bと、連結軸7aを介して不図示のモータ等によって回転駆動される駆動ギヤ7とが噛み合っている。この駆動ギヤ7が回転すると、定着ロール支持部材12がその中心軸回りに回転し、このとき、定着ロール支持部材12の支持部12aと定着ロール2の外周面との間の摩擦力により定着ロール2がそのロール軸X2回りに回転することになる。このように、駆動ギヤ7は、定着ロール支持部材12をその中心軸回りに回転させることで、定着ロール2をそのロール軸X2回りに回転駆動させる駆動手段を構成する。
【0068】
次に、図14に、定着ロール2の軸方向からみた側面図を用いて、複数のハロゲンランプ15の配置について説明する。定着ロール支持手段12は定着ロール2の軸方向の移動を制限するため、その定着ロール支持部材12の開口部は、定着ロール2の開口部よりも小径とすることが好ましく、さらに、加圧ロール1の加圧により定着ロール2を十分に変形させた場合には、定着ロール支持部材12の開口部から、定着ロール2の端面が見える。この様な状態においては、複数のハロゲンランプ15の配置は、より重要となる。つまり、定着ロール2の開口部よりも、ハロゲンランプ15の配置できるスペースはより小さくなってしまい、特に、加圧ロール1による加圧方向のスペースが小さくなってしまう。したがって、図14に示すように、実施の形態1と同様に、定着ロール2の断面の長手方向と、複数のハロゲンランプ15の長手方向とを同じ方向にもってくることが重要となる。
【0069】
さらに、本実施の形態では、定着ロール支持部材12の開口面であり、かつ、ハロゲンランプ15の配置可能な面の短軸方向の長さをIとしたとき、F≧Iとしたものである。これにより、複数のハロゲンランプ15の配置によっては、加定着ロール2には内包出来ない大きさまで定着ロール2の径の小径化が可能となる。
【0070】
かかる構成によれば、定着ロール2の端面が当接面12cに当接することにより、定着ロール2の長手方向への移動を制限され、また、当接面12cは、定着ロール支持部材12と共に回転するものであるため、定着ロール2の端面との摺動が少ないため、定着ロール2の端面の劣化や、当接面12cの削れが少なく、さらには摺動音も小さい。また、本実施の形態では、実施の形態1に比べより、ハロゲンランプ15の配置するスペースが小さくなってしまうが、定着ロール2の長手方向と、複数のハロゲンランプ15の長手方向とを同じ方向にもってくるため、複数のハロゲンランプ15を内包する為の定着ロール2の径を小さくすることができ、その小径化により、定着ロール2の熱容量低減、そしてWUTの短縮が可能な定着装置を提供することができる。
【0071】
また、かかる構成によれば、加圧ロール2により加圧が行われている状態であって、定着ロール支持部材12の開口面であり、かつ、ハロゲンランプの配置可能な面の短軸方向の長さをIとしたとき、F≧Iとしたものであり、複数のハロゲンランプ15の配置を最適化することにより、定着ロール2の小径化を図ることができ、それにより、定着ロール2の熱容量低減、そしてWUTの短縮が可能な定着装置を提供することができる。
【0072】
また、かかる構成によれば、定着ロール支持部材12は、移動制限部材14と一体で形成されたものであり、定着ロール支持部材12及び移動制限部材14の低コスト化を図ることができるとともに、定着装置全体を小型化することができる。
【0073】
なお、本実施の形態では、低コスト化と小型化のために、定着ロール支持部材12は、移動制限部材14と一体で形成されたものを用いたが、これは必ずしも、一体でなく、定着ロール支持部材12と移動制限部材14とを別々の部材にて構成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明にかかる定着装置は、記録紙上に形成されたトナー像を定着するという効果を有し、複写機、FAX、プリンタ等の電子写真プロセスを利用した電子写真機器に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施の形態1における定着装置の概略を示す断面図
【図2】本発明の実施の形態1における定着装置の概略を示す側面図
【図3】本発明の実施の形態1における定着装置のハロゲンランプの概略を示す断面図
【図4】本発明の実施の形態1における定着装置のハロゲンランプの詳細を示す図
【図5】本発明の実施の形態1における定着装置のハロゲンランプの配置を示す側面図
【図6】本発明の実施の形態1における定着装置のハロゲンランプの他の配置を示す側面図
【図7】本発明の実施の形態1における定着装置のハロゲンランプの他の配置を示す側面図
【図8】本発明の実施の形態1における定着装置の反射部材を備えたハロゲンランプの構成図
【図9】本発明の実施の形態2における定着装置のハロゲンランプの配置を示す側面図
【図10】本発明の実施の形態2における定着装置のハロゲンランプの他の配置を示す側面図
【図11】本発明の実施の形態3における定着装置のハロゲンランプの配置を示す側面図
【図12】本発明の実施の形態3における定着装置のハロゲンランプの他の配置を示す側面図
【図13】本発明の実施の形態4における定着装置の定着ロールの支持方法の概略を示す断面図
【図14】本発明の実施の形態4における定着装置のハロゲンランプの配置を示す側面図
【符号の説明】
【0076】
1 加熱ロール
2 定着ロール
9 薄肉パイプ材(薄肉パイプ)
12 定着ロール支持部材
15 ハロゲンランプ(棒状ヒータ)
18 反射部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、FAX、プリンタ等の電子写真プロセスを利用した電子写真機器に使用する定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、昇温時間(ウォームアップタイム:以降WUTと記載)の短い定着器として、例えば、特許文献1のような方法が提案されている。特許文献1に示される従来の定着器は、定着ロールとして、薄肉の弾性ロールを用い、加圧ロールからの押圧力をこの弾性ロールの弾性力にて受ける構造としたものである。これにより、定着ロールの熱容量を極端に小さくする事ができ、WUTの短い定着器が実現でき、また、均一で幅広いニップを形成できることにより、トナーの紙への良好な定着が可能となり、さらには、弾性ロールの曲率変化により、良好な紙の剥離を実現する事ができる。
【0003】
特許文献1の定着器はWUTの短いという特徴を備えているが、このようにWUTの短い定着器の欠点は、幅狭の記録紙を連続使用した場合、記録紙幅外の定着ロールの温度が過昇温することである。この過昇温により、定着ロールや加圧ロールに使用しているゴム材等が熱劣化したり、幅狭の記録紙を連続使用した後、幅広の記録紙を使用する場合、過昇温した部分の温度が下がるまで待つ必要がある。
【0004】
また、記録紙幅外の過昇温を防止する方法として、特許文献2の方法が実用化されている。特許文献2に示す方法は、それぞれ発熱領域の異なる複数の棒状ヒータを用い、記録紙の幅に対応した棒状ヒータに通電するというものである。これにより、例えば、幅狭の記録紙を用いる場合は、その記録紙の幅に対応した発熱領域の狭い棒状ヒータに通電し、必要な部分にのみ熱を印加するため、記録紙幅外の過昇温を防止することができる。さらには、複数の棒状ヒータに上手く通電することにより、幅狭の記録紙を使用した場合でも、記録紙幅外の過昇温を防止するだけでなく、定着ロールを常に均一な温度に保つことも可能である。
【0005】
したがって、特許文献1と特許文献2とを上手く組み合わせることにより、WUTが短く、かつ、記録紙幅外の過昇温を防止できる定着装置を実現することができる。
【特許文献1】特開2000−347529号公報
【特許文献2】特開平8−220932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の構成では、定着ロールの内径が大きい場合は何等問題ないが、定着ロールの径を小さくし、さらにWUTの短縮を図ろうとした場合、棒状ヒータの配置に何等考慮しなければ、定着ロールの径を思うように小さくするのは困難であるという課題を有していた。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、定着ロールに対する棒状ヒータの配置を考慮し、定着ロールの小径化を図り、WUTのさらに短い定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、請求項1の発明の定着装置は、薄肉パイプからなる定着ロールと、その定着ロールに内包された複数の棒状ヒータと、定着ロールに加圧される加圧ロールと、定着ロールをその定着ロールの軸回りに回転自在に支持する定着ロール支持部材とを備えたものであり、加圧ロールの定着ロールへの加圧時、定着ロールの、その回転方向に垂直方向の断面の最大長さをA、最小長さをBとした時、1.1≦A/B≦3であり、かつ、複数の棒状ヒータを全て内包できる、長径と短径との比がA:Bである最小の楕円の長径の方向と、加圧ロールの加圧方向とのなす角をEとした時、45度≦E≦135度としたものである。
【0009】
本構成によれば、定着ロールは加圧ロールにより加圧されることにより変形し、定着ロールの断面は円を潰した形状となり、いわゆる長手方向が存在する。また、棒状ヒータも複数備えたため、その断面にも長手方向が存在する。
【0010】
本構成によって、定着ロールの長手方向と、複数の棒状ヒータの長手方向とを同じ方向にもってくるため、複数の棒状ヒータを内包する為の定着ロールの径を小さくすることができ、その小径化により、定着ロールの熱容量低減、そしてWUTの短縮が可能な定着装置を提供することができる。このとき、角度Eは略90度が最も好ましいが、45度≦E≦135度の範囲であれば十分に効果が得られる。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明の定着装置において、複数の棒状ヒータのうち、最も距離の離れた一対の前記棒状ヒータの外側の距離をFとした時、F≧Bとしたものである。
【0012】
本構成によって、複数の棒状ヒータの配置によっては、加圧ロールに加圧された定着ロルには内包出来ない大きさまで定着ロールの小径化が可能なため、さらに、定着ロールの熱容量低減、そしてWUTの短縮が可能な定着装置を提供することができる。
【0013】
また、請求項3の発明は、請求項1の定着装置において、加圧ロールによる加圧をしていない時の定着ロールの内径をG、複数の棒状ヒータを全て内包できる最小の円の直径をHとしたとき、H≧Gとしたものである。
【0014】
本構成によって、複数の棒状ヒータは、加圧ロールに加圧されていない断面形状が円形の定着ロ−ルには内包出来ない大きさまで、定着ロールの径の小径化が可能なため、さらに、定着ロールの熱容量低減、そしてWUTの短縮が可能な定着装置を提供することができる。
【0015】
また、請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかの発明の定着装置において、定着ロールの端面と対向する環状の対向面を有し、対向面に定着ロールの端面が当接することで定着ロールの長さ方向の移動を制限するとともに、当接時に定着ロールの回転に連れて中心軸回りに回転するように支持された移動制限部材を備え、定着ロールの端面が移動制限部材に当接し、かつ、加圧ロールによる加圧が行われているときに、移動制限部材の対向面に形成された開口部から定着ロールの端面が見えるものである。
【0016】
本構成では、定着ロールの端面が移動制限部材に当接することにより、定着ロールの長手方向への移動が制限され、また、移動制限部材は回転し、定着ロールの端面との摺動が少ないため、定着ロールの端面の劣化や、移動制限部材の削れが少なく、さらには摺動音も小さい。しかしながら、その構成上、移動制限部材の開口部は、定着ロール内径よりも小さくなる。さらに、定着ロールが変形し、その端面が移動制限部材の開口部から見える状態であるため、さらに、棒状ヒータの通過可能なスペースが小さくなっている。そこで、複数の棒状ヒータの配置を考慮しなければ、移動制限部材の開口部を大きくする必要があり、それにともない、定着ロール径を大きくする必要が生じてしまう。
【0017】
本構成によっても、請求項1の発明と同様、定着ロールの長手方向と、複数の棒状ヒータの長手方向とを同じ方向にもってくるため、複数の棒状ヒータを内包する為の定着ロールの径を小さくすることができ、その小径化により、定着ロールの熱容量低減、そしてWUTの短縮が可能な定着装置を提供することができる。
【0018】
また、請求項5の発明は、請求項4の発明の定着装置において、加圧ロールにより加圧が行われている状態であって、移動制限部材の開口面であり、かつ、棒状ヒータの通過可能な面の短軸方向の長さをIとしたとき、F≧Iとしたものである。
【0019】
本構成によって、複数の棒状ヒータの配置を最適化することにより、定着ロールの小径化を図ることができ、それにより、定着ロールの熱容量低減、そしてWUTの短縮が可能な定着装置を提供することができる。
【0020】
また、請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかの発明の定着装置において、定着ロール支持部材は、定着ロールの外周面全周を覆う筒状のものからなり、かつ、その内周面にて定着ロールを回転自在に支持するものであって、定着ロールの両端部にそれぞれ対応して配設されているとともに、定着ロール支持部材の中心軸回りに回転自在に支持されたものである。
【0021】
本構成によって、加圧ロールの加圧によって、変形する定着ロールの回転を安定して保持することができる定着装置を提供することができる。
【0022】
また、請求項7の発明は、請求項6の発明の定着装置において、定着ロール支持部材は、移動制限部材と一体で形成されたものである。
【0023】
本構成によって、定着ロール支持部材及び移動制限部材の低コスト化を図ることができるとともに、定着装置全体を小型化することができる。
【0024】
また、請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれかの発明の定着装置において、複数の棒状ヒータの少なくとも1本はフィラメントを備えたランプであり、その棒状ヒータのフィラメントの、コイル状に密に巻かれている部分の最両端間の長さに対して、その最両端間のコイル状に疎に巻かれている部分の長さの総和の比、もしくは、コイル状に巻かれていない部分の長さの総和の比が、10%以下としたものである。
【0025】
通常、定着装置に用いる棒状ヒータには、長手方向に対して、中央部よりも両端部の発熱が多くなるよう、配光特性を持たせている。これは、定着ロールに加えた熱が、その定着ロールを保持している保持部材から逃げていくことにより、定着ロールの両端部の温度が低くなることを防止するためである。この棒状ヒータに配光特性を持たせる方法は、フィラメントをコイル状に密に巻いた部分と、コイル状に疎に巻いた部分(もしくはコイル状に巻いていない部分)を連続的に備え、そのコイル状に密に巻いた部分が多いほど、発熱分布が高くなるというものである。また、コイル状に密に巻いた部分と疎に巻いた部分とでは、その疎密に対して、発熱分布もフィラメント部では疎密となるが、フィラメントから離れれば離れる程、発熱分布の疎密を低減することは可能である。
【0026】
本構成では、定着ロールは加圧ロールにより加圧されることにより変形され、また、その変形された定着ロールに対して、複数の棒状ヒータを配置するため、それぞれの棒状ヒータの発熱部から定着ロールの内面までの距離が短い部分が発生する。これにより、フィラメントの疎密による発熱分布に対応し、定着ロールに温度むらが生じてしまう。定着ロールの内径を大きくし、棒状ヒータのフィラメントからの距離を十分長くするという方法も考えられるが、その場合、定着ロールの熱容量が大きくなり、WUTが長くなってしまうので好ましくない。また、本構成では、定着ロールは薄肉であり、軸方向への伝熱が悪いため、中央部と端部での温度さが出来にくい。また逆に、熱容量が少なくWUTが早いため、棒状ヒータの少しの発熱むらも敏感に影響する。したがって、棒状ヒータのフィラメントは疎密がなく、均一な発熱をするものが好ましい。
【0027】
本構成によって、薄肉の定着ロールを用いるので、棒状ヒータのフィラメントは疎密がない均一なものを用いることが可能であり、また、フィラメントが均一なものを用いることにより、フィラメントの疎密による定着ロールの不均一が生じない定着装置を提供することができる。このとき、棒状ヒータのフィラメントは、疎密がない均一なものが最も好ましいが、コイル状に密に巻かれている部分の最両端間の長さに対して、コイル状に疎に巻かれている部分の長さの総和の比、もしくは、コイル状に巻かれていない部分の長さの総和の比が、10%以下であれば、定着ロールの不均一性は定着装置として実用上問題のない範囲とすることができる。
【0028】
また、請求項9の発明は、請求項8に記載の定着装置において、複数の棒状ヒータの少なくとも1本はフィラメントを備えたランプであり、その棒状ヒータの長手方向に対して、フィラメントは、両端部以外はすべてコイル状に均一に巻かれたものである。
【0029】
本構成によっても請求項8と同様の効果があり、かつ、請求項8の発明の中でも、定着ロールの温度が最も均一となる定着装置を提供することができる。
【0030】
また、請求項10の発明は、請求項1〜9のいずれかの発明の定着装置において、複数の棒状ヒータのうち、少なくとも1本の第1の棒状ヒータから、他の第2の棒状ヒータに直接照射される輻射熱の少なくとも一部分を反射する反射部材を配置したものである。
【0031】
本構成によって、複数の棒状ヒータを近接配置した場合においても、一方の棒状ヒータからの輻射熱が他方の棒状ヒータに輻射されるのを反射部材により防止することが可能となり、それにより、エネルギー効率が良く、WUTの短い定着装置を提供することができる。
【0032】
また、請求項11の発明は、請求項10の発明の定着装置において、反射部材は、薄膜のフィルムを複数の棒状ヒータのうちの少なくとも1本の、かつ少なくとも一部分に巻き付けたものである。
【0033】
本構成によって、反射部材として、薄膜フィルムを用いるため、反射部材自身の熱容量が低減でき、WUTを短くすることができる。また、薄膜のため、反射部材自身の剛性が弱いが、棒状ヒータに直接支持させる構成により、安定した保持が可能である。また、薄膜であるため、反射部材自身のスペースが少なくてすみ、複数のランプをより近接させ易く、定着ロールの小径化が容易となり、定着ロールの熱容量低減が可能となる。したがって、これらのことにより、WUTが短い定着装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の定着装置によれば、定着ロールに対する棒状ヒータの配置を考慮し、定着ロールの小径化を図り、WUTの短い定着装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0036】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における定着装置の概略構成を示す断面図であり、この定着装置は、複写機、プリンタ、FAX等の画像形成装置に用いられて、記録紙等の記録媒体上に付着したトナーを該記録媒体と共に加熱することで記録媒体上にトナー像を定着する熱ロール定着方式のものである。
【0037】
加圧ロール1と、該加圧ロール1と径方向(本実施形態では、上下方向)に対向する定着ロール2とを備えている。この加圧ロール1は、例えば、直径20mmのアルミニウム製の円柱状の基材3と、この基材3の外周面全周をその長さ方向略全体に亘って密着状態で覆う厚み5mmのシリコーンスポンジゴム4と、このシリコーンスポンジゴム4の外周面全周をその長さ方向略全体に亘って密着状態で覆う厚み30μmのテフロン(登録商標)チューブ(図示は省略している)とで構成されている。
【0038】
上記加圧ロール1は、図2に示すように、略水平方向に延びる押付け部材5により定着ロール2に押し付けられるようになっている。すなわち、基材3の小径にされた両端部3aが、該両端部3aにそれぞれ対応して設けた押付け部材5の長さ方向中間部に形成した嵌合孔5aにそれぞれ回転自在に嵌合されており、この各押付け部材5の一端部は回転軸5b回りに回転自在に支持され、他端部は、引張コイルスプリング6により、定着ロール2側(上側)に付勢されている。したがって、各押付け部材5は、回転軸5b回りに図2で反時計回り方向に回動しようとするため、加圧ロール1が上側に移動しようとして定着ロール2に押し付けられることになる。この押付けにより、加圧ロール1が定着ロール2を径方向に所定の加圧力で加圧することになる。本実施形態では、この加圧力は約9.3N/cmである。
【0039】
また、加圧ロール1は、基材3の両端部3aが両押付け部材5の嵌合孔5aにそれぞれ回転自在に嵌合していることから、上記押付け状態で、該加圧ロール1のロール軸X1(基材3の中心軸)回りに回転可能になっている。そして、基材3の一端部3a(図1の左側端部)には、連結軸7aを介して不図示のモータ等によって回転駆動される駆動ギヤ7と噛み合う従動ギヤ8が結合されており、これら駆動ギヤ7及び従動ギヤ8により加圧ロール1がそのロール軸X1回りに回転駆動されるようになっている。
【0040】
上記定着ロール2は、上記加圧ロール1による加圧力を弾性力で受け止める薄肉パイプ材9で構成されている。すなわち、この薄肉パイプ材9は、ステンレス鋼やリン青銅等のバネ性を有する金属からなり、上記加圧力により弾性変形してその断面が円形状から、加圧ロール1と定着ロール2との対向方向(上下方向)が短軸でかつ水平方向が長軸である略楕円形状となる。本実施形態では、薄肉パイプ材9は、外径30mm、肉厚0.2mmのステンレス鋼(SUS304)を用いている。
【0041】
上記薄肉パイプ材9における両端部を除く外周面全周には、ゴム層10が形成されている。このゴム層10は、本実施形態では、厚み200μmのシリコーンゴムからなり、このゴム層10の外周面を、その長さ方向略全体に亘って厚み30μmのテフロン(登録商標)チューブ11が密着状態で覆っている(これらゴム層10及びテフロン(登録商標)チューブ11は、厚みが非常に小さいので、定着ロール2を記載した図面のうち図1以外の図面では記載を省略している)。そして、上記加圧ロール1は、この定着ロール2のゴム層10が形成された部分に対して加圧するようになっており、加圧ロール1の回転駆動によって、その定着ロール2のゴム層10が形成された部分と加圧ロール1との間(ニップ部)に記録媒体を挟持して搬送するようになっている。尚、加圧ロール1が回転駆動されると、定着ロール2は加圧ロール1又はニップ部の記録媒体を介して定着ロール2のロール軸X2(弾性変形した薄肉パイプ材9の中心軸)回りに従動回転することになる。
【0042】
薄肉パイプ材9の両端部に対応する位置には、定着ロール支持部材12がそれぞれ配設されている。上記各定着ロール支持部材12は、定着ロール2の外周面全周を覆う円筒状のものからなっていて、その内周面に支持部12aが形成されたものである。この各定着ロール支持部材12aの中心軸は、定着ロール2のロール軸X2と平行である。そして、各定着ロール支持部材12は、ベアリング13によりその中心軸回りに回転可能に支持されていて、定着ロール2の回転に連れて定着ロール支持部材12の中心軸回りに回転するようになっている。このように定着ロール支持部材12が回転しても、支持部12aは常に定着ロール支持部材12の上側部分にある。したがって、定着ロール支持部材12の内周面は、どの回転位置においても支持部12aとなり得るように、定着ロール2の長さ方向から見て円形状になっている。
【0043】
定着ロール支持部材12は必ずしもその中心軸回りに回転可能に支持する必要はなく、固定したものであってもよい。この場合、定着ロール支持部材12は、定着ロール2の長さ方向から見て上半分だけの半円状のものとしてもよい。但し、定着ロール支持部材12を回転可能に支持した方が、定着ロール2との間で摺動が殆ど生じないので好ましい。
【0044】
本実施形態では、定着ロール支持部材12は、内径が40mm、幅(定着ロール2の長さ方向に沿った長さ)が8mmである樹脂製のものからなっている。この定着ロール支持部材12の材料としては、耐熱性が良好なベークライトやPPS(ポリフェニレンサルファイド)が好ましい。
【0045】
上記定着ロール2の長さ方向両側には、移動制限部材14がそれぞれ配設されている。この各移動制限部材14は、定着ロール2のロール軸X2と垂直な方向に延びる定着ロール2端面(つまり薄肉パイプ材9端面)と対向する位置に配置しており、定着ロール2の端面が当接することで定着ロール2の長さ方向の移動を制限するようになっている。
【0046】
定着ロール2の内部には、記録媒体上のトナーを記録媒体と共に加熱するために定着ロール2を加熱する棒状ヒータとしてのハロゲンランプ15が配設されている。ハロゲンランプ15は図3に示すように、発光部16aの幅が異なるものを複数本用いている。本実施の形態では、発光部16aの幅の広いハロゲンランプ15aと発光部16aの幅の狭いハロゲンランプ15bを用いている。幅の広い記録紙を通紙する場合は、ハロゲンランプ15aのみに通電し、定着ロール2の表面の略全面が約170℃に加熱するようになっている。また、幅の狭い記録紙を通紙する場合は、ハロゲンランプ15bのみに通電し、定着ロール2の表面の中央部のみ約170℃に加熱するようになっている。なお、ハロゲンランプ15a、ハロゲンランプ15bへの通電の方法は、上述の方法に限ったものでなく、通紙する記録紙の幅に上手く対応させさえすればどのような方法でもよいことは言うまでもない。
【0047】
また、ハロゲンランプ15a、ハロゲンランプ15bの発光部16aは、それぞれフィラメント17がコイル状に密に巻かれているものを用いている。従来の定着装置に、ハロゲンランプ15aの様に、全幅において、フィラメント17がコイル状に密に巻かれているものを用いた場合、定着ロール2の中央部より外側の温度が低くなってしまう。これは、ハロゲンランプ15aにより印加された熱が、定着ロール2の両端部から逃げていく為である。この問題を解決するため、図4に示すようなハロゲンランプ15cを用いる。ハロゲンランプ15cは、そのフィラメント17が、コイル状に密に巻かれている発光部16aと、疎に巻かれているかまっすぐの間欠部16bとを備えたものであり、ハロゲンランプ15cの外側の発光部16aの方が中央部の発光部16aよりも長くなるようにしている。このハロゲンランプ15cを用いることにより、定着ロールの両端部の温度低下を防止している。この時、定着装置の形態に合わせて発光部16aと間欠部16bとの割合を調整することにより、定着ロール2の温度の均一化を図っている。
【0048】
しかしながら、本発明の定着装置では、定着ロール2の厚さが非常に薄く、軸方向の熱伝導率が低いため、ハロゲンランプ15cの間欠部16bの割合が多いものでは、逆に弾性ロール2の両端部の温度が高くなってしまい好ましくない。また、発光部16aと間欠部16bとによる温度むらも問題となる。定着ロール2とハロゲンランプ15cとの距離が十分に長い場合はかなり緩和されるが、距離が短い場合、そのむらが顕著にでてしまう。本実施の形態の様に、定着ロール2の径を極力小さくし、その中にハロゲンランプ15cを複数入れようとした場合は、定着ロール2とハロゲンランプ15cとの距離は自ずと短くなり、発光部16aと間欠部16bとによる温度むらが顕著にでてしまう。実験によれば、コイル状に密に巻かれている部分の最両端間の長さに対して、16bの総和が10%以下であれば、好ましく用いることができ、間欠部16bがないものは、より好ましく用いることができた。また、間欠部16bがないハロゲンランプ15cは、コスト、寿命の点からより好ましい。
【0049】
次に、複数のハロゲンランプ15の配置について図5〜図7を用いて説明する。
図5において、定着ロール2は、加圧ロール1からの加圧により撓み、本実施の形態では、その定着ロール2の内側の最大長さをA、最小長さをBとした時、A=33.5mm、B=26mmとなった。また、ハロゲンランプ15a、ハロゲンランプ15b共に、そのガラス管径はφ8mmのものを使用しており、それらを6mm隔てて配置し、その両者の外側の距離は22mmとなっている。このように、定着ロール2の撓んだ方向に対し、2本のハロゲンランプ15aとハロゲンランプ15bの並び方向を合わせたとをにより、定着ロール2の内側に余裕をもって2本のハロゲンランプを配置することができている。また、余裕を減らし、定着ロール2をさらに小径のものを用いることも、さらに可能である。本実施の形態では、2つのハロゲンランプ15の並び方向と加圧ロール1の加圧方向とを略垂直方向としており、それが、最も好ましい方向ではあるが、これは、図6に示すように2つのハロゲンランプ15の並び方向と加圧ロール1の加圧方向とのなす角度をEとした時、45度≦E≦135度であれば、十分に効果を発揮することができる。また、定着ロール2については、撓み量が少ない場合にはハロゲンランプ15の配置を工夫する効果が少ないが、1.1≦A/Bであれば、配置を工夫する効果が発揮できる。逆に、A/B>3の場合は、定着ロール2を変形させ、かつ、加圧ロール1により十分な加圧力を印加する構成が実現不可能となってしまう。
【0050】
また、ハロゲンランプ15を3本備えた場合について図7を用いて説明する。3本のハロゲンランプを全て内包できる、長径と短径との比がA:Bである最小の楕円を考え、その長尺方向と加圧ロール1の加圧方向とのなす角Eを45度≦E≦135度とすればよい。さらに、4本以上備える場合も、3本の場合と同様に考えることができる。
【0051】
また、図2に示すように、ハロゲンランプ15aには、反射部材18が取り付けられている。この反射部材18は、ハロゲンランプ15aの輻射熱がハロゲンランプ15bに直接照射されるのを防ごうとしたものである。通常、定着ロール2の中に、複数のハロゲンランプ15を備え、一方のハロゲンランプ15に通電した場合、他方のハロゲンランプ15に輻射熱が照射され、ハロゲンランプ15による定着ロール2の加熱効率が低下してしまう。そこで、反射部材18を備えることにより、加熱効率の低下を防止しようとしたものである。
【0052】
さらに詳細を図8を用いて説明する。反射部材18としては厚さ12μmアルミニウムの箔を用い、線径φ60μmのタングステンワイヤ19にて部分的にハロゲンランプ15aに巻き付けている。反射部材18の膜厚が厚い場合は熱容量が大きくなり、それにより、定着ロール2を加熱するための熱効率が悪くなってしまうため、厚さ12μmという非常に薄いアルミニウムの箔を用いた。また、アルミニウムは放射率が低く、ハロゲンランプ15aからの輻射熱により加熱され難いという長所もある。また、タングステンワイヤ19は耐熱性が高いため、熱に対する心配がなく、かつ線径がφ60μmという非常に細いものを用いているため、熱効率の低下もほとんどない。なお、本実施の形態では、アルミニウムとタングステンという材料を用いたが、これは、これらの材料に限るものではないが、両者とも大量に市販されているものであるため、これを使用することはコスト的に好ましい。
【0053】
かかる構成によれば、定着ロール2は加圧ロール1により加圧されることにより変形し、定着ロール2の断面は円を潰した形状となり、いわゆる長手方向が存在する。また、ハロゲンランプ15も複数備えたため、その断面にも長手方向が存在する。本構成によって、定着ロール2の長手方向と、複数のハロゲンランプ15の長手方向とを同じ方向にもってくるため、複数のハロゲンランプ15を内包する為の定着ロール2の径を小さくすることができ、その小径化により、定着ロール2の熱容量低減、そしてWUTの短縮が可能な定着装置を提供することができる。
【0054】
また、かかる構成によれば、定着ロール支持部材12は、定着ロール2の外周面全周を覆う筒状のものからなり、かつ、その内周面にて定着ロール2を回転自在に支持するものであるため、加圧ロール1の加圧によって、変形する定着ロール2の回転を安定して保持することができる定着装置を提供することができる。
【0055】
また、かかる構成によれば、ハロゲンランプ15のフィラメントの、コイル状に密に巻かれている部分の最両端間の長さに対して、コイル状に疎に巻かれている部分の長さの総和の比、もしくは、コイル状に巻かれていない部分の長さの総和の比が、10%以下としたものを用いるものであり、中央部と端部での温度差が少なく、かつ、フィラメントの疎密による定着ロール2の不均一が生じない定着装置を提供することができる。
【0056】
また、かかる構成によれば、ハロゲンランプ15の長手方向に対して、フィラメントは、両端部以外はすべてコイル状に均一に巻かれたものであり、本構成によっても、定着ロール2の温度がさらに均一となる定着装置を提供することができる。
【0057】
また、かかる構成によれば、反射部材18を備えたことにより、複数のハロゲンランプ15を近接配置した場合においても、一方のハロゲンランプ15からの輻射熱が他方のハロゲンランプ15に輻射されるのを防止することが可能となり、それにより、エネルギー効率が良く、WUTの短い定着装置を提供することができる。
【0058】
また、かかる構成によれば、反射部材18として、薄膜フィルムを用いるため、反射部材18自身の熱容量が低減でき、WUTを短くすることができる。また、薄膜のため、反射部材18自身の剛性が弱いが、ハロゲンランプ15に直接支持させる構成により、安定した保持が可能である。また、薄膜であるため、反射部材18自身のスペースが少なくてすみ、複数のハロゲンランプ15をより近接させ易く、定着ロール2の小径化が容易となり、定着ロール2の熱容量低減が可能となる。したがって、これらのことにより、WUTが短い定着装置を提供することができる。
【0059】
なお、本実施の形態では、加圧ローラ1を回転駆動するようにしたが、これに代えて、後述の実施の形態4のように、定着ローラ支持部材12をその中心軸回りに回転させることで、該定着ローラ支持部材12の支持部12aと定着ローラ2の外周面との間の摩擦力により該定着ローラ2をそのローラ軸X2回りに回転駆動させるようにしてもよい。
【0060】
また、本実施の形態では、棒状ヒータとしてハロゲンランプ15を備えたが、これは、輻射熱を発するものであれば、石英管ヒータや、カーボンランプヒータ等も用いることができる。
【0061】
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2における定着装置のハロゲンランプ15の配置を示した断面図であり、本図では、ハロゲンランプ15を2本備えた場合である。2本のハロゲンランプの外側の距離をFとした時、図9(a)では、F≧Bとなり、このハロゲンランプ15の配置では、定着ロール2に内包することは不可能であるが、図9(b)のように配置すれば、F≦Aであり、定着ロール2に内包することが可能となる。
【0062】
また、図10に、ハロゲンランプ15を3本以上配置する場合について示す。図10(a)では3本配置した場合、図10(b)では4本配置した場合である。これらの場合も、最も距離の離れた一対のハロゲンランプ15の外側の距離をFと定義し、このFの方向を定着ロール2の変形方向に合わせることにより、小径の定着ロール2に内包することが可能となる。
【0063】
かかる構成によって、複数のハロゲンランプ15のうち、最も距離の離れた一対のハロゲンランプ15の外側の距離をFとした時、F≧Bとしたものであり、複数のハロゲンランプ15の配置によっては、加圧ロール1に加圧された定着ロール2には内包出来ない大きさまで定着ロール2の径の小径化が可能なため、さらに、定着ロール2の熱容量低減、そしてWUTの短縮が可能な定着装置を提供することができる。
【0064】
(実施の形態3)
図11は、本発明の実施の形態3における定着装置のハロゲンランプ15の配置を示した断面図であり、本図では、ハロゲンランプ15を2本備えた場合である。図11(a)において、加圧ロール1による加圧をしていない時の定着ロール2の内径をG、2本のハロゲンランプ15を内包できる最小の円の直径をH(2本の場合は、H=F)とした時、H≧Gとしており、2本のハロゲンランプ15を定着ロール2に内包することができない。また、図11(b)に、加圧ロール1による加圧をしているときの状態を示す。この場合、H≦Aとなっており、定着ロール2に2本のハロゲンランプ15を内包することができる。
【0065】
次に、図12に、ハロゲンランプ15を3本以上配置する場合について示す。図12(a)では3本配置した場合、図12(b)では4本配置した場合である。これらの場合も、複数のハロゲンランプ15を全て内包できる最小の円の直径をHと定義し、H≧Gでありながらも、複数のハロゲンランプ15の並び方向を定着ロール2の変形方向に合わせることにより、小径の定着ロール2に内包することが可能となる。
【0066】
かかる構成によって、H≧Gとしたものであり、複数のハロゲンランプ15は、加圧ロール1に加圧されていない断面形状が円形の定着ロ−ル2には内包出来ない大きさまで、定着ロール2の径の小径化が可能なため、さらに、定着ロール2の熱容量低減、そしてWUTの短縮が可能な定着装置を提供することができる。
【0067】
(実施の形態4)
図13は、本発明の実施の形態4における定着装置の定着ロール2の支持方法の概略構成を示す断面図である。図1とは2点異なり、1点目は、固定された移動制限部材14を、定着ロール2の端面と対向する環状の対向面を有し、対向面に定着ロール2の端面が当接することで定着ロール2の長さ方向の移動を制限するとともに当接時に定着ロール2の回転に連れて中心軸回りに回転するように支持された移動制限部材14としたものであり、さらに、その移動制限部材14を定着ロール支持部材12に一体形成したことである。具体的には、定着ロール支持部材12の定着ロール2の端面と当接する当接面12cが移動制限部材14を兼ねる構成である。2点目は、定着ロール支持部材12をその中心軸回りに回転させることで、該定着ロール支持部材12の支持部12aと定着ロール2の外周面との間の摩擦力により該定着ロール2をそのロール軸X2回りに回転駆動させるようにしたことである。すなわち、本実施形態では、一方の定着ロール支持部材12の外周面にギヤ部12bが形成されており、このギヤ部12bと、連結軸7aを介して不図示のモータ等によって回転駆動される駆動ギヤ7とが噛み合っている。この駆動ギヤ7が回転すると、定着ロール支持部材12がその中心軸回りに回転し、このとき、定着ロール支持部材12の支持部12aと定着ロール2の外周面との間の摩擦力により定着ロール2がそのロール軸X2回りに回転することになる。このように、駆動ギヤ7は、定着ロール支持部材12をその中心軸回りに回転させることで、定着ロール2をそのロール軸X2回りに回転駆動させる駆動手段を構成する。
【0068】
次に、図14に、定着ロール2の軸方向からみた側面図を用いて、複数のハロゲンランプ15の配置について説明する。定着ロール支持手段12は定着ロール2の軸方向の移動を制限するため、その定着ロール支持部材12の開口部は、定着ロール2の開口部よりも小径とすることが好ましく、さらに、加圧ロール1の加圧により定着ロール2を十分に変形させた場合には、定着ロール支持部材12の開口部から、定着ロール2の端面が見える。この様な状態においては、複数のハロゲンランプ15の配置は、より重要となる。つまり、定着ロール2の開口部よりも、ハロゲンランプ15の配置できるスペースはより小さくなってしまい、特に、加圧ロール1による加圧方向のスペースが小さくなってしまう。したがって、図14に示すように、実施の形態1と同様に、定着ロール2の断面の長手方向と、複数のハロゲンランプ15の長手方向とを同じ方向にもってくることが重要となる。
【0069】
さらに、本実施の形態では、定着ロール支持部材12の開口面であり、かつ、ハロゲンランプ15の配置可能な面の短軸方向の長さをIとしたとき、F≧Iとしたものである。これにより、複数のハロゲンランプ15の配置によっては、加定着ロール2には内包出来ない大きさまで定着ロール2の径の小径化が可能となる。
【0070】
かかる構成によれば、定着ロール2の端面が当接面12cに当接することにより、定着ロール2の長手方向への移動を制限され、また、当接面12cは、定着ロール支持部材12と共に回転するものであるため、定着ロール2の端面との摺動が少ないため、定着ロール2の端面の劣化や、当接面12cの削れが少なく、さらには摺動音も小さい。また、本実施の形態では、実施の形態1に比べより、ハロゲンランプ15の配置するスペースが小さくなってしまうが、定着ロール2の長手方向と、複数のハロゲンランプ15の長手方向とを同じ方向にもってくるため、複数のハロゲンランプ15を内包する為の定着ロール2の径を小さくすることができ、その小径化により、定着ロール2の熱容量低減、そしてWUTの短縮が可能な定着装置を提供することができる。
【0071】
また、かかる構成によれば、加圧ロール2により加圧が行われている状態であって、定着ロール支持部材12の開口面であり、かつ、ハロゲンランプの配置可能な面の短軸方向の長さをIとしたとき、F≧Iとしたものであり、複数のハロゲンランプ15の配置を最適化することにより、定着ロール2の小径化を図ることができ、それにより、定着ロール2の熱容量低減、そしてWUTの短縮が可能な定着装置を提供することができる。
【0072】
また、かかる構成によれば、定着ロール支持部材12は、移動制限部材14と一体で形成されたものであり、定着ロール支持部材12及び移動制限部材14の低コスト化を図ることができるとともに、定着装置全体を小型化することができる。
【0073】
なお、本実施の形態では、低コスト化と小型化のために、定着ロール支持部材12は、移動制限部材14と一体で形成されたものを用いたが、これは必ずしも、一体でなく、定着ロール支持部材12と移動制限部材14とを別々の部材にて構成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明にかかる定着装置は、記録紙上に形成されたトナー像を定着するという効果を有し、複写機、FAX、プリンタ等の電子写真プロセスを利用した電子写真機器に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施の形態1における定着装置の概略を示す断面図
【図2】本発明の実施の形態1における定着装置の概略を示す側面図
【図3】本発明の実施の形態1における定着装置のハロゲンランプの概略を示す断面図
【図4】本発明の実施の形態1における定着装置のハロゲンランプの詳細を示す図
【図5】本発明の実施の形態1における定着装置のハロゲンランプの配置を示す側面図
【図6】本発明の実施の形態1における定着装置のハロゲンランプの他の配置を示す側面図
【図7】本発明の実施の形態1における定着装置のハロゲンランプの他の配置を示す側面図
【図8】本発明の実施の形態1における定着装置の反射部材を備えたハロゲンランプの構成図
【図9】本発明の実施の形態2における定着装置のハロゲンランプの配置を示す側面図
【図10】本発明の実施の形態2における定着装置のハロゲンランプの他の配置を示す側面図
【図11】本発明の実施の形態3における定着装置のハロゲンランプの配置を示す側面図
【図12】本発明の実施の形態3における定着装置のハロゲンランプの他の配置を示す側面図
【図13】本発明の実施の形態4における定着装置の定着ロールの支持方法の概略を示す断面図
【図14】本発明の実施の形態4における定着装置のハロゲンランプの配置を示す側面図
【符号の説明】
【0076】
1 加熱ロール
2 定着ロール
9 薄肉パイプ材(薄肉パイプ)
12 定着ロール支持部材
15 ハロゲンランプ(棒状ヒータ)
18 反射部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄肉パイプからなる定着ロールと、
前記定着ロールに内包され、それぞれ発熱領域の異なる複数の棒状ヒータと、
前記定着ロールに加圧される加圧ロールと、
前記定着ロールをその定着ロールの軸回りに回転自在に支持する定着ロール支持部材と
を備えたものであり、
前記加圧ロールの前記定着ロールへの加圧時、前記定着ロールの、その回転方向に垂直方向の断面の内側の最大長さをA、最小長さをBとした時、1.1≦A/B≦3であり、
かつ、複数の前記棒状ヒータを全て内包できる、長径と短径との比がA:Bである最小の楕円の長径の方向と、前記加圧ロールの加圧方向とのなす角をEとした時、45度≦E≦135度であることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
複数の棒状ヒータのうち、最も距離の離れた一対の前記棒状ヒータの外側の距離をFとした時、F≧Bであることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
加圧ロールによる加圧をしていない時の定着ロールの内径をG、複数の棒状ヒータを全て内包できる最小の円の直径をHとしたとき、H≧Gであることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項4】
定着ロールの端面と対向する環状の対向面を有し、前記対向面に前記定着ロールの端面が当接することで前記定着ロールの長さ方向の移動を制限するとともに、当接時に前記定着ロールの回転に連れて中心軸回りに回転するように支持された移動制限部材を備え、
前記定着ロールの端面が前記移動制限部材に当接し、かつ、加圧ロールによる加圧が行われているときに、前記移動制限部材の対向面に形成された開口部から前記定着ロールの端面が見えることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項5】
加圧ロールにより加圧が行われている状態であって、移動制限部材の開口面であり、かつ、棒状ヒータの通過可能な面の短軸方向の長さをIとしたとき、F≧Iであることを特徴とする請求項4に記載の定着装置。
【請求項6】
定着ロール支持部材は、定着ロールの外周面全周を覆う筒状のものからなり、かつ、その内周面にて前記定着ロールを回転自在に支持するものであって、前記定着ロールの両端部にそれぞれ対応して配設されているとともに、前記定着ロール支持部材の中心軸回りに回転自在に支持されたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項7】
定着ロール支持部材は、移動制限部材と一体で形成されたことを特徴とする請求項6に記載の定着装置。
【請求項8】
複数の棒状ヒータの少なくとも1本はフィラメントを備えたランプであり、その棒状ヒータのフィラメントの、コイル状に密に巻かれている部分の最両端間の長さに対して、その最両端間のコイル状に疎に巻かれている部分の長さの総和の比、もしくは、コイル状に巻かれていない部分の長さの総和の比が、10%以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項9】
複数の棒状ヒータの少なくとも1本はフィラメントを備えたランプであり、その棒状ヒータのフィラメントは、両端部以外はすべてコイル状に均一に巻かれたものであることを特徴とする請求項8に記載の定着装置。
【請求項10】
複数の棒状ヒータのうち、少なくとも1本の第1の棒状ヒータから、他の第2の棒状ヒータに直接照射される輻射熱の少なくとも一部分を反射する反射部材を配置したことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項11】
反射部材は、薄膜のフィルムを複数の棒状ヒータのうちの少なくとも1本の、かつ少なくとも一部分に巻き付けたものであることを特徴とする請求項10に記載の定着装置。
【請求項1】
薄肉パイプからなる定着ロールと、
前記定着ロールに内包され、それぞれ発熱領域の異なる複数の棒状ヒータと、
前記定着ロールに加圧される加圧ロールと、
前記定着ロールをその定着ロールの軸回りに回転自在に支持する定着ロール支持部材と
を備えたものであり、
前記加圧ロールの前記定着ロールへの加圧時、前記定着ロールの、その回転方向に垂直方向の断面の内側の最大長さをA、最小長さをBとした時、1.1≦A/B≦3であり、
かつ、複数の前記棒状ヒータを全て内包できる、長径と短径との比がA:Bである最小の楕円の長径の方向と、前記加圧ロールの加圧方向とのなす角をEとした時、45度≦E≦135度であることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
複数の棒状ヒータのうち、最も距離の離れた一対の前記棒状ヒータの外側の距離をFとした時、F≧Bであることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
加圧ロールによる加圧をしていない時の定着ロールの内径をG、複数の棒状ヒータを全て内包できる最小の円の直径をHとしたとき、H≧Gであることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項4】
定着ロールの端面と対向する環状の対向面を有し、前記対向面に前記定着ロールの端面が当接することで前記定着ロールの長さ方向の移動を制限するとともに、当接時に前記定着ロールの回転に連れて中心軸回りに回転するように支持された移動制限部材を備え、
前記定着ロールの端面が前記移動制限部材に当接し、かつ、加圧ロールによる加圧が行われているときに、前記移動制限部材の対向面に形成された開口部から前記定着ロールの端面が見えることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項5】
加圧ロールにより加圧が行われている状態であって、移動制限部材の開口面であり、かつ、棒状ヒータの通過可能な面の短軸方向の長さをIとしたとき、F≧Iであることを特徴とする請求項4に記載の定着装置。
【請求項6】
定着ロール支持部材は、定着ロールの外周面全周を覆う筒状のものからなり、かつ、その内周面にて前記定着ロールを回転自在に支持するものであって、前記定着ロールの両端部にそれぞれ対応して配設されているとともに、前記定着ロール支持部材の中心軸回りに回転自在に支持されたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項7】
定着ロール支持部材は、移動制限部材と一体で形成されたことを特徴とする請求項6に記載の定着装置。
【請求項8】
複数の棒状ヒータの少なくとも1本はフィラメントを備えたランプであり、その棒状ヒータのフィラメントの、コイル状に密に巻かれている部分の最両端間の長さに対して、その最両端間のコイル状に疎に巻かれている部分の長さの総和の比、もしくは、コイル状に巻かれていない部分の長さの総和の比が、10%以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項9】
複数の棒状ヒータの少なくとも1本はフィラメントを備えたランプであり、その棒状ヒータのフィラメントは、両端部以外はすべてコイル状に均一に巻かれたものであることを特徴とする請求項8に記載の定着装置。
【請求項10】
複数の棒状ヒータのうち、少なくとも1本の第1の棒状ヒータから、他の第2の棒状ヒータに直接照射される輻射熱の少なくとも一部分を反射する反射部材を配置したことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項11】
反射部材は、薄膜のフィルムを複数の棒状ヒータのうちの少なくとも1本の、かつ少なくとも一部分に巻き付けたものであることを特徴とする請求項10に記載の定着装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−25101(P2007−25101A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−205276(P2005−205276)
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]