説明

実装基板

【課題】ランド部に塗布されるクリーム半田の量を調整しなくても、プリント基板に対する電子部品の曲がり、ズレ、浮き等を抑制できる実装基板を提供すること。
【解決手段】発光素子基板12の長手方向の両端に設けられた電極30をプリント基板10の表面に形成された一対のランド部20,20にリフロー半田付けした実装基板1において、発光素子基板12は、平面視で略矩形状の基板本体31の4隅を切り欠いて形成された端面に端面電極を備え、ランド部20は、基板本体31の下面電極が載置される基部と、この基部に連なり、各端面電極に対応する位置から、発光素子基板12の長手方向の中心線Mから斜めに離れる方向へそれぞれ延出する延出部とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板の表面に形成されたランド部に電子部品の電極を半田付けした実装基板に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プリント基板に対して電子部品を高密度で実装する技術として、いわゆる表面実装が知られている。この表面実装では、プリント基板の表面に導体配線のランド部を設け、このランド部にマスクを用いてクリーム半田を塗布し、この半田ペーストが塗布されたランド部に電子部品の電極を接触させる。そして、この状態で電子部品を載せたプリント基板を高温の炉に通し、クリーム半田を溶融させることにより、電子部品の電極をプリント基板のランド部に半田付け(リフロー半田付け)して実装基板が形成される(例えば、特許文献1参照)。表面実装では、プリント基板に電子部品のリード線を通すための貫通孔を設ける必要が無いため、当該プリント基板の強度を保つことができるとともに、プリント基板上に高密度な配線や電子部品の集積を行うことができ、実装基板のサイズの小型化を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−200194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の構成では、半田付けの際に電子部品の電極は、この電極の底面と同形状である略矩形状のランド部に、クリーム半田を介して載せられているだけであるため、このクリーム半田が溶融した際に、プリント基板に対する電子部品の曲がり、ズレ、浮き等の問題が生じることがあった。これら電子部品の曲がり、ズレ、浮き等を抑制する手法として、ランド部に塗布されるクリーム半田の厚みを薄くし、クリーム半田の量を減らすものが想定されるが、クリーム半田の厚みを薄くするためには、マスクの厚みを薄くする必要があり、マスクの厚みを全体的に薄くしてしまうと、他の電子部品のランド部に塗布される半田の量が減ってしまい、電子部品の接合強度低下の原因となってしまう。
そこで、本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、ランド部に塗布されるクリーム半田の量を調整しなくても、プリント基板に対する電子部品の曲がり、ズレ、浮き等を抑制できる実装基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、電子部品の長手方向の両端に設けられた電極をプリント基板の表面に形成された一対のランド部にリフロー半田付けした実装基板において、前記電子部品は、平面視で略矩形状の本体の4隅を切り欠いて形成された端面に前記電極を備え、前記ランド部は、前記本体の端部が載置される基部と、この基部に連なり、前記各電極に対応する位置から、前記電子部品の長手方向の中心線から離れる方向へそれぞれ延出する延出部とを備えたことを特徴とする。
【0006】
この構成において、前記ランド部は、前記延出部の間を前記基部側へ凹ませた形状としても良い。また、前記電極は、それぞれ平面視で略1/4円の円弧状に形成されていても良い。また、前記延出部は、前記電極の円弧中央と円中心とを結んだ方向に延出する構成としても良い。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ランド部は基部に連なり、電子部品の長手方向の中心線から離れる方向へそれぞれ延出する延出部を備えたため、当該電子部品の各電極からランド部の延出部に沿って半田のフィレットが形成される際に、このフィレットの形成方向に引張力がかかるため、電子部品の搭載時に装着ズレが発生したとしても、この電子部品にセルフアライメントが働き、電子部品の曲がり、ズレ、浮き等の補正が可能となり、リフロー半田付け後の電子部品曲がり、ズレ、浮きの発生抑制が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態にかかる実装基板を備える光センサ装置を示す構成概略図である。
【図2】実装基板を示す平面図である。
【図3】発光素子基板を示す三面図である。
【図4】プリント基板に形成されたランド部を示す平面図である。
【図5】発光素子基板に作用する引張力を示す平面図である。
【図6】発光素子基板が基準位置に移動した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態にかかる実装基板を備える光センサ装置を示す構成概略図である。光センサ装置100は、所定の隙間を開けて対向配置される一対の実装基板1,2を備える。これら実装基板1,2は、導電回路がプリントされたプリント基板10,11と、これら各プリント基板10,11の対向面にそれぞれ実装される電子部品としての発光素子基板12及び受光素子基板13とを備える。本実施形態では、発光素子基板12の発光部(例えば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode))12Aから発せられた光を、受光素子基板13の受光部(例えば、フォトダイオード(Photodiode))13Aで受けており、これら発光素子基板12と受光素子基板13との間に斜光体14が侵入すると、上記した光が遮られることで当該斜光体14の侵入が検出される。
また、発光素子基板12及び受光素子基板13は、それぞれプリント基板10,11の表面に形成されたランド部(後述する)に半田付けされており、図中15は、半田付けにより形成されたフィレットである。
このような構成の光センサ装置100では、発光素子基板12の発光部12Aの光軸Pの向きが重要となる。このため、本構成の実装基板1,2では、発光素子基板12及び受光素子基板13が、プリント基板10,11に対して、それぞれ曲がり、ズレ及び浮き等無く、所定の取付位置に半田付け可能とする点に特徴を有する。
【0010】
次に、実装基板1の構成について説明する。なお、上記した実装基板2については、実装される対象物が受光素子基板13である点で実装基板1と異なるが当該基板を実装する構造は同一であるため説明を省略する。
図2は、本実施形態にかかる実装基板1を示す平面図であり、図3は、発光素子基板12を示す三面図であり、図4は、プリント基板10に形成された一対のランド部20,20を示す平面図である。
実装基板1は、図2に示すように、プリント基板10の表面に形成された一対のランド部20、20に、発光素子基板12の両端に形成された電極30、30を半田付けして形成される。ランド部20,20には、半田付けによりフィレット15が形成されている。
【0011】
発光素子基板12は、図3に示すように、略矩形状に形成された基板本体(本体)31を備え、この基板本体31の中央部に発光部12Aが積層して配置されている。また、基板本体31の長手方向の両端部には、それぞれ上記した電極30,30が形成されている。電極30は、基板本体31にめっき処理により金属(例えば、銅)被膜が形成された上面電極30Aと下面電極30Bと端面電極30Cとを備える。本実施形態では、基板本体31の4隅は、1/4円の円弧状に切り欠かれており、この端面に上記した端面電極30Cが形成されている。上面電極30A及び下面電極30Bは端面電極30Cを介して導通され、基板本体31の短手方向に並ぶ2つの端面電極30C,30Cは、上面電極30A及び下面電極30Bを介して導通されている。
また、基板本体31の短手方向に並ぶ2つの端面電極30C,30Cの間に位置する基板本体31の端面31Aには、金属めっきが形成されておらず、端面電極30C,30Cに比べて当該端面31Aの半田の濡れ性が低くなるようにしている。これにより、端面31Aよりも端面電極30C,30に半田が付着して当該端面電極30C,30にフィレットが形成されやすくなる。この場合、フィレットが形成される際に、半田が端面電極30C,30を濡れ上がることで発光素子基板12を下方に抑え付ける力が働き、当該発光素子基板12がプリント基板10からの浮きを防止することができる。
また、端面電極30C,30Cは、1/4円の円弧状に切り欠いて形成されているため、各端面電極30Cからそれぞれ異なる4方向にフィレットを形成することができる。このため、各フィレットの形成方向に引張力がかかることにより、発光素子基板12にセルフアライメントが働き、発光素子基板12の曲がり、ズレ及び浮きが補正される。引張力とは、フィレットが形成される際に、溶融半田の表面張力の作用により、基板本体31の端面電極30C,30Cが引っ張られる力をいう。
【0012】
一方、ランド部20,20は、図2に示すように、プリント基板10の基準位置に発光素子基板12を配置した際に、この発光素子基板12の電極30,30に対応する位置に形成されている。これらランド部20,20は、図4に示すように、互いに同一の形状をなしており、各ランド部20も発光素子基板12の長手方向の中心線Mに対して対称な形状となっている。ランド部20上には、当該ランド部20と略同形状のクリーム半田21がメタルマスク(不図示)を用いてスクリーン印刷等の方法によって塗布されている。
ランド部20は、図2及び図4に示すように、発光素子基板12を基準位置に配置した際に、この発光素子基板12の端部に位置する下面電極30Bが当接する基部20Aと、この基部20Aに連なり、各端面電極30Cから発光素子基板12の長手方向の中心線Mから斜めに離れる方向(図中X方向)へそれぞれ延出する延出部20B,20Bとを備える。
本実施形態では、この延出部20Bは、図2に示すように、発光素子基板12を基準位置に配置した際に、1/4円の円弧状に切り欠かれて形成された端面電極30Cにおける円弧33の中央部33Aと当該円の中心34とを結ぶ方向(図中X方向)に延びるよう形成されている。円弧33の中央部33Aと当該円の中心34とを結ぶ方向は、この円弧33(端面電極30C)におけるフィレット15の形成方向に一致する。一般に、フィレット15の形成方向にかかる引張力は、フィレット15が形成される長さが長くなると大きくなる。このため、フィレット15は形成される方向に延出部20Bを延出させることにより、端面電極30Cにかかる引張力を大きくすることが可能となり、この引張力に基づいて発光素子基板12の曲がり及びズレ等を補正することができる。
【0013】
また、ランド部20は、延出部20B,20Bの間に基部20A側に凹んだ凹部20Cを備える。この凹部20Cは、発光素子基板12の基板本体31の端面31Aに対応する位置に設けられており、リフロー工程において、溶融した半田が上記中心線Mに沿った方向に流動することを防止することにより、この方向への発光素子基板12の移動を規制している。さらに、本構成では、ランド部20が凹部20Cを備えることにより、この凹部20Cの輪郭と基板本体31の端面31Aとの距離を短く形成することができるため、この端面31Aの近傍に半田が部分的に窪んだ半田くぼみが形成されることを防止でき、例えば、外観検査装置などの誤検出を防止できる。
ランド部20,20間の距離L2は、発光素子基板12の下面電極30B,30B間の距離L1と略同一もしくは若干短く形成され、ランド部20の基部20Aの幅W2は、下面電極30Bの幅W1と略同一もしくは若干長くに形成されており、発光素子基板12を基準位置に配置した際に、発光素子基板12の電極30,30が確実にランド部20,20上に位置するようになっている。
【0014】
次に、本実施形態にかかる作用を説明する。
図5は、発光素子基板に作用する引張力を示す平面図である。上述のように、端面電極30Cにかかる引張力の大きさは、この端面電極30Cから延びるフィレットの長さ、すなわち、端面電極30Cと延出部20Bの端部までの長さによって変化する。
このため、図5に示すように、発光素子基板12を一対のランド部20,20に対してズレた状態で配置した場合、発光素子基板12の各端面電極30Cには、この端面電極30Cと延出部20Bの端部までの長さに応じて引張力F1〜F4が作用する。これにより、発光素子基板12は、各端面電極30Cに作用する引張力F1〜F4の大きさに基づいて移動する。この図5では、図中左側の各端面電極30Cに作用する引張力F1、F2の方が図中右側の各端面電極30Cに作用する引張力F3、F4に作用する引張力F3、F4よりも大きいため、発光素子基板12は、全体的に時計回りに回りつつ左側に移動して位置ズレの補正がなされる。
発光素子基板12の移動は、上記引張力F1〜F4が略均衡するまで行われ、当該引張力F1〜F4が略均衡した際には、図6に示すように、発光素子基板12は所定の基準位置に位置し、当該発光素子基板12の曲がり及びズレが是正される。
【0015】
このように、本実施形態によれば、発光素子基板12の長手方向の両端に設けられた電極30をプリント基板10の表面に形成された一対のランド部20,20にリフロー半田付けした実装基板1において、発光素子基板12は、平面視で略矩形状の基板本体31の4隅を切り欠いて形成された端面に端面電極30Cを備え、ランド部20は、基板本体31の下面電極30Bが載置される基部20Aと、この基部20Aに連なり、各端面電極30Cに対応する位置から、発光素子基板12の長手方向の中心線Mから斜めに離れる方向へそれぞれ延出する延出部20Bとを備えたことにより、発光素子基板12の各端面電極30Cからランド部20の各延出部20Bに沿って半田のフィレット15が形成される際に、このフィレット15の形成方向に引張力F1〜F4がかかるため、発光素子基板12の搭載時に装着ズレが発生したとしても、この発光素子基板12に引張力F1〜F4の大きさの差に基づくセルフアライメントが働く。このため、ランド部20,20に塗布されるクリーム半田の量を調整しなくても、発光素子基板12の曲がり、ズレ、浮き等の補正が可能となり、リフロー半田付け後の発光素子基板12の曲がり、ズレ、浮きの発生抑制が可能となる。
【0016】
また、本実施形態によれば、ランド部20は、延出部20B,20の間を基部20A側へ凹ませた形状をなしているため、リフロー工程において、溶融した半田が上記中心線Mに沿った方向に流動することを防止することにより、この方向への発光素子基板12の移動を規制することができる。
【0017】
また、本実施形態によれば、端面電極30C,30Cは、それぞれ平面視で略1/4円の円弧状に形成されているため、各端面電極30Cからそれぞれ異なる4方向にフィレットを形成することができ、各フィレットの形成方向に作用する引張力に基づいて、発光素子基板12にセルフアライメントが働き、発光素子基板12の曲がり、ズレ及び浮きを補正することができる。
【0018】
また、本実施形態によれば、延出部20Bは、端面電極30Cの円弧33の中央部33Aと円の中心34とを結んだ方向に延出しているため、端面電極30Cにかかる引張力を大きくすることが可能となり、この引張力に基づいて発光素子基板12の曲がり及びズレ等を補正することができる。
【0019】
上記実施の形態は本発明の一態様であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能であるのは勿論である。例えば、本実施形態にかかる実装基板1が備える電子部品として発光素子基板12を実装するものを説明したが、ランド部20,20にリフロー半田付けされる電子部品であれば他の部品に適用しても構わない。
【符号の説明】
【0020】
1、2 実装基板
10、11 プリント基板
12 発光素子基板(電子部品)
13 受光素子基板(電子部品)
15 フィレット
20 ランド部
20A 基部
20B 延出部
20C 凹部
30 電極
30A 上面電極
30B 下面電極
30C 端面電極(電極)
31 基板本体(本体)
31A 端面
33 円弧
33A 中央部
34 中心
100 光センサ装置
M 中心線
F1〜F4 引張力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品の長手方向の両端に設けられた電極をプリント基板の表面に形成された一対のランド部にリフロー半田付けした実装基板において、
前記電子部品は、平面視で略矩形状の本体の4隅を切り欠いて形成された端面に前記電極を備え、前記ランド部は、前記本体の端部が載置される基部と、この基部に連なり、前記各電極に対応する位置から、前記電子部品の長手方向の中心線から離れる方向へそれぞれ延出する延出部とを備えたことを特徴とする実装基板。
【請求項2】
前記ランド部は、前記延出部の間を前記基部側へ凹ませた形状をなしていることを特徴とする請求項1に記載の実装基板。
【請求項3】
前記電極は、それぞれ平面視で略1/4円の円弧状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の実装基板。
【請求項4】
前記延出部は、前記電極の円弧中央と円中心とを結んだ方向に延出することを特徴とする請求項3に記載の実装基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−174823(P2012−174823A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34176(P2011−34176)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】