説明

実装済み基板およびその製造方法

【課題】実装部品の製造プロセスを変更しなくても、またアンダーフィル剤を使用しなくても、実装部品と配線基板との接合信頼性を高め易い実装済み基板を得ること。
【解決手段】所定パターンの配線が形成された配線基板1と、該配線基板に表面実装された実装部品20とを備え、配線基板の部品実装面MS2と実装部品の下面との間に形成された複数のはんだ接合部SJ2,SJ2,……により実装部品が配線基板に接合されている実装済み基板30を得るにあたり、リフローさせたはんだに部品実装面側から実装部品側に向かう外部応力を付与し、この状態で当該はんだを固化させてはんだ接合部とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、実装部品が配線基板に実装されている実装済み基板およびその製造方法に関し、特に複数のはんだ接合部により実装部品が配線基板に表面実装されている実装済み基板およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボールグリッドアレイ(BGA;Ball Grid Array)パッケージのように外部端子として複数のはんだボールが片面に予め形成された実装部品は、配線基板に実装する際に配線の引き回しが不要であるので、実装密度を高め易いという利点を有する。その一方で、このような実装部品は、該実装部品のオン/オフ動作に伴う温度サイクル等で生じた応力により配線基板とのはんだ接合部にクラックが生じたり、はんだ接合部が破断したりすることが比較的起こり易いので、配線基板との接合信頼性を高め難いという難点を有する。
【0003】
配線基板と実装部品との接合信頼性を高める方法としては、配線基板にはんだ接合された実装部品と配線基板との間隙にアンダーフィル剤を充填する方法がある。また、例えば特許文献1に記載されているように、ICチップが実装された配線基板の下面に軟金属からなる柱状端子を設け、該柱状端子をプリント基板上にはんだ付けすることで上記の配線基板をプリント基板に実装する方法がある。
【0004】
【特許文献1】特開平11−135673号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
配線基板にはんだ接合された実装部品と配線基板との間隙にアンダーフィル剤を充填すると、実装部品と配線基板とが接着状態となることから、実装部品に不具合が生じたときの当該実装部品の交換作業が非常に困難になる。また、アンダーフィル剤と実装部品との相性が合わないと期待する効果が得られないことがある。
【0006】
一方、特許文献1に記載された方法におけるように実装部品(ICチップが実装された配線基板)の下面に柱状端子を設ければ、ICチップのオン/オフ動作に伴う温度サイクル等で生じた応力が当該実装部品とプリント基板との接合部にかかっても柱状端子が変形して応力が開放されることから、実装部品とプリント基板との接合信頼性が向上するが、このような柱状端子を有する実装部品を得るためには製造プロセスの大掛かりな変更が必要となるので、実用性に欠ける。
【0007】
この発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、実装部品の製造プロセスを変更しなくても、またアンダーフィル剤を使用しなくても、配線基板と実装部品との接合信頼性を高め易い実装済み基板およびその製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するこの発明の実装済み基板は、所定パターンの配線が形成された配線基板と、該配線基板に表面実装された実装部品とを備え、配線基板の部品実装面と実装部品の下面との間に形成された複数のはんだ接合部により実装部品が配線基板に接合されている実装済み基板であって、はんだ接合部を形成するはんだは、配線基板側から実装部品側に向かう外部応力を受けた状態で固化していることを特徴とするものである。
【0009】
また、上記の目的を達成するこの発明の他の実装済み基板は、所定パターンの配線が形成された配線基板と、該配線基板に表面実装された実装部品とを備え、配線基板の部品実装面と実装部品の下面との間に形成された複数のはんだ接合部により実装部品が配線基板に接合されている実装済み基板であって、配線基板は、該配線基板での部品実装面側に形成された複数の凹部を有し、複数のはんだ接合部の各々は、凹部に予め形成されたはんだ層と実装部品の下面に予め配置されたはんだボールとがリフローした後に一体に固化したものであることを特徴とするものである。
【0010】
上記の目的を達成するこの発明の実装済み基板の製造方法は、複数のはんだボールが設けられた実装部品を上記複数のはんだボールを下にして配線基板上に載置する工程と、複数のはんだボールの各々をリフローさせると共に、実装部品に配線基板側から該実装部品側に向かう外部応力を付与してリフローしたはんだボールの各々を引き伸ばす工程と、実装部品に外部応力を付与したままリフローしたはんだボールの各々を冷却し、固化させる工程とを含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明の実装済み基板のうち、はんだ接合部を形成するはんだが配線基板側から実装部品側に向かう外部応力を受けた状態で固化しているものでは、通常のはんだボール、すなわち長柱状に成形されたものではなく球状ないし楕円球状に成形されたはんだボールを用いてはんだ接合部を形成したとしても、該はんだ接合部の長さが通常よりも長くなる。その結果として、実装部品のオン/オフ動作に伴う温度サイクル等で生じた応力が当該はんだ接合部にかかっても、当該応力がはんだ接合部に吸収されて該はんだ接合部にひずみが生じ難くなる。
【0012】
また、この発明の実装済み基板のうち、配線基板での部品実装面側に複数の凹部が形成され、該凹部に予め形成されたはんだ層と実装部品の下面に予め配置されたはんだボールとがリフローした後に一体に固化してはんだ接合部が形成されたものでは、配線基板に予めはんだ層が形成されているので、実装部品の下面に予め配置するはんだボールとして通常のはんだボールを用いたとしても、はんだ接合部の長さが通常よりも長くなる。その結果として、実装部品のオン/オフ動作に伴う温度サイクル等で生じた応力が当該はんだ接合部にかかっても、当該応力がはんだ接合部に吸収されて該はんだ接合部にひずみが生じ難くなる。
【0013】
これらの理由から、この発明の実装済み基板では、実装部品の製造プロセスを変更しなくても、またアンダーフィル剤を使用しなくても、実装部品と配線基板との接合信頼性を高めることが容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明の実装済み基板の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、この発明は下記の実施の形態に限定されるものではない。
【0015】
実施の形態1.
図1は、この発明の実装済み基板の一例を概略的に示す側面図である。同図に示す実装済み基板30は、所定パターンの配線(図示せず)が形成された配線基板1と、該配線基板1に表面実装された実装部品20とを備えている。配線基板1としては、例えばプリント配線板が用いられる。また、実装部品20は、中継基板10と該中継基板10に実装された電子部品15とを有している。
【0016】
図示の電子部品15は、半導体チップをパッケージングして下面に複数のはんだボールを配置したBGAパッケージであり、上記複数のはんだボールをリフローさせた後に固化させることで形成された複数のはんだ接合部SJ1,SJ1,……とアンダーフィル剤17とにより中継基板10に接合されて、該中継基板10に表面実装されている。また、中継基板10は、電子部品15が表面実装される部品実装面MS1とは反対側の面に設けられた複数のはんだボールをリフローさせた後に固化させることで形成された複数のはんだ接合部SJ2,SJ2,……により配線基板1の部品実装面MS2に接合されている。
【0017】
配線基板1と実装部品20とを接合している各はんだ接合部SJ2では、配線基板1側から実装部品20側に向かう外部応力、例えば部品実装面MS2での法線方向Dnに沿って外側に向かう外部応力を受けた状態ではんだが固化している。別言すれば、各はんだ接合部SJ2では、はんだが上記の法線方向に沿って上側に引っ張られた状態で固化している。このため、実装部品20の下面に通常のはんだボール、すなわち長柱状に成形されたものではなく球状ないし楕円球状に成形されたはんだボールを設けて各はんだ接合部SJ2を形成したとしても、部品実装面MS2に垂直な方向のはんだ接合部SJ2の長さは、リフローさせたはんだボールに上記の外部応力を付与することなく固化させて形成した通常のはんだ接合部の長さよりも長くなる。
【0018】
なお、各はんだ接合部SJ2のはんだが上述の外部応力を受けた状態で固化しているか否かは、例えば各はんだ接合部SJ2のはんだをリフローさせたときに、配線基板1での部品実装面MS2を基準とした実装部品20の下面の高さHが変化するか否かにより判断することができる。各はんだ接合部SJ2のはんだをリフローさせたときに上記の高さHが実質的に変化しなければ、各はんだ接合部SJ2を形成していたはんだは上述の外部応力を受けずに固化したものであると判断することができる。一方、各はんだ接合部SJ2のはんだをリフローさせたときに上記の高さHが低くなれば、各はんだ接合部SJ2を形成していたはんだは上述の外部応力を受けた状態で固化したものであると判断することができる。
【0019】
上述のようにして各はんだ接合部SJ2が形成されている結果として、実装済み基板30では、実装部品20のオン/オフ動作に伴う温度サイクル等で生じた応力が各はんだ接合部SJ2にかかっても、当該応力がはんだ接合部SJ2に吸収されて該はんだ接合部SJ2にひずみが生じ難い。したがって、実装済み基板30では、実装部品20の製造プロセスを変更しなくても、またアンダーフィル剤を使用しなくても、実装部品20と配線基板1との接合信頼性を高めることが容易である。以下、図2〜図4を参照して、実装済み基板30において実装部品20と配線基板1との接合信頼性が高まる理由を具体的に説明する。
【0020】
図2は、電子部品と中継基板とを有する実装部品が配線基板に表面実装された実装済み基板での熱変形の一例を概略的に示す部分拡大図であり、図3は、図2に示す熱変形が生じた実装済み基板全体を概略的に示す側面図である。これらの図に示す実装済み基板130は、所定パターンの配線(図示せず)が形成された配線基板101と、該配線基板101に表面実装された実装部品120とを備え、実装部品120は中継基板110と該中継基板110に表面実装された電子部品115とを有している。電子部品115は、図示を省略した複数のはんだ接合部とアンダーフィル剤とにより中継基板110に接合されており、中継基板110は、複数のはんだ接合部SJ10,SJ10,……により配線基板101に接合されている。ただし、図2においては、中継基板110と配線基板101とを接合する各はんだ接合部の図示を省略している。
【0021】
図示の実装済み基板130において電子部品115での電気回路動作がオンになると、当該電子部品115を構成している半導体チップ(図示せず)が発熱する。この熱が周囲雰囲気に伝導すると共に図示を省略したはんだ接合部を介して中継基板110に伝導し、更には各はんだ接合部SJ10を介して配線基板101に伝導する。実装済み基板130全体では、上記の電気回路動作がオフのときよりも温度が上昇し、熱膨張が起こる。
【0022】
例えば、電子部品115を構成している半導体チップがシリコンチップである場合、その線膨張係数は約2.33×10−6/Kであり、中継基板110および配線基板101の各々がプリント配線板である場合、その線膨張係数は約15×10−6/Kであるので、実装済み基板130全体が均一に温度上昇して上記の熱膨張が起こったときの中継基板110および配線基板101での伸び量は、電子部品115での伸び量より大きくなる。
【0023】
ただし、中継基板110での温度上昇は電子部品115から遠い領域におけるほど小さくなる。また、配線基板101では、中継基板110から伝導した熱が当該配線基板101に設けられている構造体や冷却部材(いずれも図示せず)から周囲雰囲気に放散されるので半導体チップ115や中継基板110に比べて温度上昇が小さく、更にはその厚みおよび断面係数が大きいことから、当該配線基板101での伸び量は中継基板110での伸び量に比べて小さくなる。
【0024】
そのため、配線基板101および中継基板110それぞれでの電子部品115の近傍領域ならびに電子部品115では、熱膨張時に図2に示すような熱変形が生じる。すなわち、中継基板110での電子部品115の近傍領域および電子部品115は概ね湾曲中心角度θ1で扇形に湾曲し、配線基板101での電子部品115の近傍領域は湾曲中心角度θ1よりも小さな湾曲中心角度θ2で扇形に湾曲する。
【0025】
このとき、電子部品115の周縁部下方での中継基板110と配線基板101との間隙S1は、電子部品115の中央部下方での中継基板110と配線基板101との間隙S2よりも広くなる。また、中継基板110では電子部品115から遠ざかるほど温度上昇が小さく、配線基板101では中継基板110に比べて伸び量が小さいことから、中継基板110の周縁部下方での当該中継基板110と配線基板101との間隙は、電子部品115の周縁部下方での当該中継基板110と配線基板101との間隙S1よりも狭くなる。
【0026】
これらの結果として、実装済み基板130全体では、熱膨張時に図3に示すような熱変形が生じる。電子部品115の周縁部下方のはんだ接合部SJ10には、せん断ひずみと引張りひずみとが生じる。電子部品115で電気回路動作のオン/オフが繰り返されると、はんだ接合部SJ10にクラックが発生し、該クラックが進展してやがて破断に至る。上記の各ひずみに起因するはんだ接合部SJ10でのクラックの発生および該クラックの進展を抑えることができれば、はんだ接合部SJ10での接合信頼性を高めることができる。
【0027】
図4は、はんだ接合部の長さをパラメータとした接合寿命についてのシミュレーション結果の一例を示すグラフである。このグラフは、はんだボールのピッチが1.0mmである1500ピンクラスのBGAパッケージを配線基板に表面実装し、BGAパッケージの電気回路動作をオン/オフさせたときにはんだ接合部に生じるひずみを基に、非線形熱応力コンピュータシミュレータにより上記の接合寿命を算出して得たものである。接合寿命は、はんだ接合部が破断するまでに要した電気回路動作のオン/オフサイクル数で表してある。
【0028】
ひずみには種々の定義が存在するので、同図には接続寿命の最小値、最大値、およびこれらの値から数式換算した中心値を示してある。いずれの値に着目しても、はんだ接合部の長さ(配線基板の部品実装面での法線方向に沿った長さ)が長くなると、当該はんだ接合部の接合寿命が長くなることが判る。図示の例では、配線基板の部品実装面での法線方向外側に向かう外部応力を付加することなく固化させたはんだ接合部の長さ(上記法線方向の長さ;0.4mm)を基準にして該長さよりもはんだ接合部の長さを0.1mm〜0.3mm長くすると、接合寿命が約1.3〜2倍になっている。
【0029】
図1に示した実装済み基板30においては、配線基板1側から実装部品20側に向かう外部応力を受けた状態で各はんだ接合部SJ2のはんだを固化させることで、該はんだ接合部SJ2の長さ(部品実装面MS2に垂直な方向の長さ)を通常よりも長くしている。そのため、実装部品20のオン/オフ動作に伴う温度サイクル等で生じた応力が各はんだ接合部SJ2にかかっても、当該応力がはんだ接合部SJ2に吸収されて該はんだ接合部SJ2に生じるせん断ひずみおよび引張りひずみの各々が小さくなり、これらのひずみに起因するはんだ接合部SJ2でのクラックの発生および該クラックの進展が抑えられる。その結果として、実装済み基板30では、配線基板1と実装部品20との接合信頼性を容易に高めることができる。
【0030】
このような技術的効果を奏する実装済み基板30は、例えば、中継基板10の部品実装面MS1に電子部品15が表面実装され、該中継基板10の反対側の面に複数のはんだボールが設けられている実装部品20を各はんだボールを下にして配線基板1の部品実装面MS2に載置し、これらをリフローはんだ付け装置で加熱して上記はんだボールの各々を液相に変化させると共に、所定の装置で実装部品20を把持したまま該実装部品20に配線基板1側から実装部品20側に向かう外部応力を付与して所定の距離だけ上方に引っ張り、この状態で各はんだを固化させてはんだ接合部SJ2を形成することにより得られる。
【0031】
また、配線基板1の部品実装面MS2に実装部品20を載せ、これらをリフローはんだ付け装置で加熱して上記はんだボールの各々を液相に変化させ、固化させてはんだ接合部を一旦形成した後、リフローはんだ付け装置で再び加熱して各はんだ接合部のはんだを液相に変化させ、所定の装置で実装部品20を把持したまま該実装部品20に配線基板1側から実装部品20側に向かう外部応力を付与して所定の距離だけ上方に引っ張り、この状態で各はんだを固化させてはんだ接合部SJ2を形成することにより得られる。
【0032】
更には、配線基板1の部品実装面MS2に実装部品20を載せ、これらをリフローはんだ付け装置で加熱して上記はんだボールの各々を液相に変化させ、固化させてはんだ接合部を一旦形成した後、実装部品20が実装された配線基板1を天地させた状態でこれら配線基板1および実装部品20をリフローはんだ付け装置で再び加熱して各はんだ接合部のはんだを液相に変化させ、実装部品20を所定の距離だけ重力により下方に引っ張り、この状態で各はんだを固化させてはんだ接合部SJ2を形成することによっても得られる。このとき、実装部品20の鉛直方向下方への移動距離を制御するストッパ部材を必要に応じて用いることができる。
【0033】
いずれの方法で実装済み基板30を得るときでも、はんだ接合部SJ2の長さをどの程度にするかは、はんだ接合部の元となるはんだボールの大きさや組成、あるいは製品設計仕様から必要となるはんだ接合部での接続寿命等に基づいて適宜選定される。配線基板の部品実装面に垂直な方向の長さの方が部品実装面に平行な方向の長さよりも長くなるように各はんだ接合部の形状を選定すると、接合信頼性を高め易くなる。
【0034】
実施の形態2.
この発明の実装済み基板は、配線基板での部品実装面側に複数の凹部が形成され、該配線基板と実装部品とを接合する複数のはんだ接合部の各々が、上記の凹部に予め形成されたはんだ層と実装部品の下面に予め配置されたはんだボールとをリフローさせ後に一体に固化させて形成されたものであってもよい。以下、図5および図6を参照して、実施の形態2の実装済み基板について詳述する。
【0035】
図5は、実施の形態2の実装済み配線基板を得るにあたって配線基板上に実装部品を配置したときの状態を概略的に示す縦断面図である。同図に示す配線基板51は、部品実装面MS5に複数の凹部53,53,……を有し、各凹部53には接続端子としてはんだ層55が形成されている。個々のはんだ層55の上面は、部品実装面MS5と実質的に同じ平面上に位置している。一方、実装部品70は、中継基板60と、該中継基板60の下面に予め配置された複数のはんだボール63,63,……と、中継基板60の部品実装面MS6に実装された電子部品65とを有しており、中継基板60と電子部品65とは複数のはんだ接合部SJ5,SJ5,……とアンダーフィル剤67とによって互いに接合している。実装部品70は、複数のはんだボール63の各々が互いに別個のはんだ層55上に位置するようにして配線基板51上に配置されている。
【0036】
図6は、実施の形態2の実装済み配線基板を概略的に示す縦断面図である。同図に示す実装済み基板80は、図5に示した配線基板51と実装部品70とをリフローはんだ付け装置(図示せず)で加熱し、上記はんだ層55の各々および上記はんだボール63の各々を液相に変化させた後にこれらを固化させて、配線基板51と実装部品70とを接合する複数のはんだ接合部SJ6,SJ6,……を形成したものである。個々のはんだ接合部SJ6は、はんだ層55とその上に位置していたはんだボール63とがリフロー後に一体に固化して形成されたものである。
【0037】
このようにして各はんだ接合部SJ6を形成すると、実装部品70の下面に予め配置するはんだボール63として通常のはんだボールを用いたとしても、はんだ接合部SJ6の長さが通常よりも長くなる。その結果として、実装部品のオン/オフ動作に伴う温度サイクル等で生じた応力がはんだ接合部SJ6にかかっても、当該応力がはんだ接合部に吸収されて該はんだ接合部にひずみが生じ難くなるので、その接合信頼性を容易に高めることができる。
【0038】
なお、配線基板51に予め形成するはんだ層55と実装部品70に予め形成するはんだボール63とは、互いに同じ組成を有していてもよいし、互いに異なる組成を有していてもよいが、これらはんだ層55およびはんだボール63は、共に低融点はんだにより形成することが好ましい。また、配線基板53に予め形成される凹部53の水平断面形状は矩形や円形等、適宜選定可能である。
【0039】
以上、この発明の実装済み基板について実施の形態を挙げて説明したが、前述のように、この発明は上述の形態に限定されるものではない。例えば、配線基板に表面実装される実装部品は、中継基板を有するものであってもよいし、中継基板を有していないものであってもよい。この発明については、上述した以外にも種々の変形、修飾、組み合わせ等が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
この発明は、種々の電子機器で用いられる実装済み基板の信頼性を向上させるうえで有用である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明の実装済み基板の一例を概略的に示す側面図である。
【図2】電子部品と中継基板とを有する実装部品が配線基板に表面実装された実装済み基板での熱変形の一例を概略的に示す部分拡大図である。
【図3】図2に示す熱変形が生じた実装済み基板全体を概略的に示す側面図である。
【図4】はんだ接合部の長さをパラメータとした接合寿命についてのシミュレーション結果の一例を示すグラフである。
【図5】実施の形態2の実装済み配線基板を得るにあたって配線基板上に実装部品を配置したときの状態を概略的に示す縦断面図である。
【図6】実施の形態2の実装済み配線基板を概略的に示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1,51 配線基板
10,60 中継基板
15,65 電子部品
20,70 実装部品
30,80 実装済み基板
53 凹部
55 はんだ層
63 はんだボール
MS2,MS5 配線基板の部品実装面
SJ2,SJ6 はんだ接合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定パターンの配線が形成された配線基板と、該配線基板に表面実装された実装部品とを備え、前記配線基板の部品実装面と前記実装部品の下面との間に形成された複数のはんだ接合部により前記実装部品が前記配線基板に接合されている実装済み基板であって、
前記はんだ接合部を形成するはんだは、前記配線基板側から前記実装部品側に向かう外部応力を受けた状態で固化していることを特徴とする実装済み基板。
【請求項2】
所定パターンの配線が形成された配線基板と、該配線基板に表面実装された実装部品とを備え、前記配線基板の部品実装面と前記実装部品の下面との間に形成された複数のはんだ接合部により前記実装部品が前記配線基板に接合されている実装済み基板であって、
前記配線基板は、該配線基板での部品実装面側に形成された複数の凹部を有し、
前記複数のはんだ接合部の各々は、前記凹部に予め形成されたはんだ層と前記実装部品の下面に予め配置されたはんだボールとがリフローした後に一体に固化したものであることを特徴とする実装済み基板。
【請求項3】
前記実装部品は、中継基板と該中継基板に実装された電子部品とを有し、
前記複数のはんだ接合部の各々は、前記中継基板での前記電子部品の実装面とは反対側の面と前記配線基板の部品実装面との間に形成されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の実装済み基板。
【請求項4】
前記はんだ接合部の各々では、前記部品実装面に平行な方向の長さよりも前記部品実装面に垂直な方向の長さの方が長いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の実装済み基板。
【請求項5】
複数のはんだボールが設けられた実装部品を前記複数のはんだボールを下にして配線基板上に載置する工程と、
前記複数のはんだボールの各々をリフローさせると共に、前記実装部品に前記配線基板側から該実装部品側に向かう外部応力を付与して前記リフローしたはんだボールの各々を引き伸ばす工程と、
前記実装部品に前記外部応力を付与したまま前記リフローしたはんだボールの各々を冷却し、固化させる工程と、
を含むことを特徴とする実装済み基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−194069(P2009−194069A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−31782(P2008−31782)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】