説明

室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物及びその硬化方法

【課題】揮発分であるC=O基を有する有機化合物とNH2基を有する有機化合物を使用しなくとも速硬化性、深部硬化性が得られる室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物、及びその硬化方法を提供する。
【解決手段】(A)分子鎖両末端が水酸基及び/又は加水分解性基で封鎖されたジオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)分子内にアルケノキシシリル基を3個以上有するシラン及び/又はシロキサン:0.5〜10質量部、
(C)分子内にアミノシリル基を3個以上有し、加水分解により−NH2基を有する化合物を生成するシラン及び/又はシロキサン:0.5〜10質量部、
(D)硬化触媒:0.01〜10質量部
を含有することを特徴とする室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーン系シーリング剤、接着剤、コーティング剤又はポッティング剤として有用な室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物、特には速硬化性、深部硬化性が良好な縮合硬化型の室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物及びその硬化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
縮合硬化型の室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物については、従来、架橋剤を極限まで減量して加水分解による架橋速度を向上させた一液タイプのもの、架橋剤と硬化剤を別梱包とした二液タイプのものが知られている。しかし、一液タイプの前記組成物は、表面からの硬化速度が速いというだけであり、深部硬化には一定の時間が必要であり、速硬化性とは言い難い。二液タイプの前記組成物においては、深部硬化性には比較的優れているものの、二液混合する割合が1:1でないため取り扱いが面倒であり、また、自動混合機などに適合しにくいという欠点がある。更に、深部まで完全に硬化させるには架橋剤と硬化剤の添加量を厳密に規定するか、深部硬化剤として水を加えることが必要である。一方、付加硬化型のオルガノポリシロキサン組成物においては、二液混合する割合が1:1であり作業性に優れるが、通常、硬化には加熱炉が必要である。また付加毒の存在下で硬化触媒が被毒されるため、作業環境が限定されるという欠点がある。
【0003】
これら課題の解決には、組成物の系内で水を発生させることが有効である。特許第2811134号公報(特許文献1)では、一分子中に少なくとも1個のC=O基を有する有機化合物と一分子中に少なくとも1個のNH2基を有する有機化合物のケチミン化反応で副生する水を深部硬化剤として使用することが提案されている。特許第2841155号公報(特許文献2)では、アルケノキシシランから発生するケトン化合物と第一級アミン化合物のケチミン化反応で副生する水を深部硬化剤として使用することが提案されている。特許第3121188号公報(特許文献3)では、βケトエステル化合物と一分子中に少なくとも1個のNH2基を有する有機化合物のマイケル付加反応により副生する水を深部硬化剤として使用することが提案されている。しかし、これらの組成物において、架橋反応に十分な量の水分を供給するためには、C=O基を有する有機化合物とNH2基を有する有機化合物、アルケノキシシランと第一級アミン化合物、βケトエステルとNH2基を有する有機化合物等の揮発性成分を多量に添加する必要がある。シックハウス規制、VOC規制等の環境負荷物質規制が厳しくなった現在ではその適用に制限が出てきている。
【0004】
特開2002−338811号公報(特許文献4)では、分子内にアシルオキシ基を少なくとも2個有する加水分解性シラン又はその部分加水分解物の加水分解により生成するカルボン酸と無機質充填剤の中和反応により生成する水を深部硬化剤として使用することが提案されている。しかし、カルボン酸を生成する硬化型は金属腐食の問題からその応用範囲が非常に狭い。
【0005】
特開2002−12767号公報(特許文献5)では、水分含有湿式シリカの配合により組成物に直接水分を供給、深部硬化剤として使用することが提案されている。しかし、水分の直接供給を行うと硬化反応の速度的制御が困難となり、作業性の確保が非常に困難となる。
【0006】
特開2000−129130号公報(特許文献6)には、アミノ基含有シランと1−メチルビニロキシ含有シランを用いた流動性に優れた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物が記載されているが、このアミノ基含有シランは、加水分解して−NH2基を有する化合物を生成しないため、速硬化性とはならない。
【0007】
【特許文献1】特許第2811134号公報
【特許文献2】特許第2841155号公報
【特許文献3】特許第3121188号公報
【特許文献4】特開2002−338811号公報
【特許文献5】特開2002−12767号公報
【特許文献6】特開2000−129130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、揮発分であるC=O基を有する有機化合物とNH2基を有する有機化合物を使用しなくとも速硬化性、深部硬化性が得られる室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物、及びその硬化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するため、ケチミン化反応で副生する水を深部硬化剤として使用することについて更に検討を進め、C=O基を有する有機化合物とNH2基を有する有機化合物を使用するのではなく、架橋剤の架橋反応により生成するC=O基を有する有機化合物とNH2基を有する有機化合物を深部硬化剤として利用することを試み、架橋剤種、触媒種について検討を行った結果、(A)分子鎖両末端が水酸基及び/又は加水分解性基で封鎖されたジオルガノポリシロキサン、(B)分子内にアルケノキシシリル基を3個以上有するシラン及び/又はシロキサン、(C)分子内にアミノシリル基を3個以上有し、加水分解により−NH2基を有する化合物を生成するシラン及び/又はシロキサン、及び(D)硬化触媒を含有した室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物が、良好な速硬化性、深部硬化性を有することを見出し、本発明をなすに至った。
【0010】
即ち、本発明は、
(A)分子鎖両末端が水酸基及び/又は加水分解性基で封鎖されたジオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)分子内にアルケノキシシリル基を3個以上有するシラン及び/又はシロキサン:0.5〜10質量部、
(C)分子内にアミノシリル基を3個以上有し、加水分解により−NH2基を有する化合物を生成するシラン及び/又はシロキサン:0.5〜10質量部、
(D)硬化触媒:0.01〜10質量部
を含有することを特徴とする室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供するものである。
【0011】
この場合、組成物を(A)、(B)、(D)成分を含有してなる第一剤と、(A)、(C)成分を含有し、(D)成分を含んでもよい第二剤からなる二成分型とすることが好ましく、特に
(A)分子鎖両末端が水酸基及び/又は加水分解性基で封鎖されたジオルガノポリシロキサン:10〜90質量部、
(B)分子内にアルケノキシシリル基を3個以上有するシラン及び/又はシロキサン:0.5〜10質量部、
(D)硬化触媒:0.01〜10質量部
を含有してなる第一剤と、
(A)分子鎖両末端が水酸基及び/又は加水分解性基で封鎖されたジオルガノポリシロキサン:10〜90質量部、
(C)分子内にアミノシリル基を3個以上有し、加水分解により−NH2基を有する化合物を生成するシラン及び/又はシロキサン:0.5〜10質量部、
(D)硬化触媒:0〜9.99質量部
を含有してなる第二剤と
からなる(但し、第一剤と第二剤とに含まれる(A)成分の合計は100質量部、(D)成分の合計は0.01〜10質量部である。)二成分型の室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物とすることが好ましい。
【0012】
更に、本発明は、一方の基材に上記(A)、(B)、(D)成分を含有してなる第一剤を、他方の基材に上記(A)、(C)成分を含有し、(D)成分を含んでもよい第二剤を塗布し、第一剤と第二剤を貼り合わせて硬化させることを特徴とする上記室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、速硬化性、深部硬化性が良好であり、シーリング剤、接着剤、コーティング剤又はポッティング剤として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を更に詳しく説明する。
[(A)成分]
(A)成分の分子鎖両末端が水酸基及び/又は加水分解性基で封鎖されたジオルガノポリシロキサンは、下記一般式で表されるものが代表的である。
HO−(R2SiO)n−H
(R’O)3SiO−(R2SiO)n−Si(OR’)3
(R’O)3Si−CH2CH2−(R2SiO)n−Si−CH2CH2−Si(OR’)3
(式中、Rはそれぞれ独立に、非置換又は置換の一価炭化水素基であり、nは10以上の整数であり、R’は炭素原子数6以下の一価炭化水素基又はアルコキシアルキル基を示す。)
【0015】
上記一般式中、Rはそれぞれ独立に、非置換又は置換の一価炭化水素基である。このRとしては、例えば、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数6〜20のアリール基、及びこれら炭化水素基の水素原子の一部もしくは全部がフッ素等のハロゲン原子で置換された基などが挙げられる。該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基等が例示される。該アルケニル基としては、ビニル基、アリル基等が例示される。該アリール基としては、フェニル基等が例示される。該ハロゲン原子置換基としては、3,3,3−トリフルオロプロピル基等が例示される。これらの中で、メチル基、ビニル基、フェニル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0016】
また、R’は炭素原子数1〜6の一価炭化水素基又は炭素原子数2〜6のアルコキシアルキル基であり、一価炭化水素基としては、上記Rで例示された炭素原子数1〜6のものが例示され、アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、ペンチロキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基、メトキシブチル基、エトキシブチル基、メトキシペンチル基等が挙げられる。これらの中で、メチル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基が好ましい。
【0017】
前記一般式中、nは10以上の整数であって、このジオルガノポリシロキサンの25℃における粘度が、好ましくは10〜1,000,000mPa・s、より好ましくは100〜100,000mPa・s、特に好ましくは300〜50,000mPa・sとなる数である。粘度が小さすぎると硬化物に十分な機械的特性が得られない場合があり、大きすぎると組成物の粘度が高くなり、作業性が低下する場合がある。ここで、粘度は、回転粘度計により測定した値である。
【0018】
(A)成分の好ましい具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
HO−(Me2SiO)n−H
HO−(Me2SiO)n1−(PhMeSiO)n2−H
HO−(Me2SiO)n1−(Ph2SiO)n2−H
HO−[(CF324)(Me)SiO]n−H
HO−(Me2SiO)n1−[(CF324)(Me)SiO]n2−H
(式中、nは前記と同様であり、n1、n2はn1+n2=nを満たす1以上の整数であり、Meはメチル基、Phはフェニル基を示す。)
【0019】
[(B)成分]
(B)成分の分子内にアルケノキシシリル基を3個以上有するシラン及び/又はシロキサンは、架橋剤及びC=O基を有する有機化合物の供給源であり、下記式で表されるアルケノキシシラン又はその部分加水分解物であることが好ましい。
1x−Si(O−CR2=CR344-x
(式中、R1及びR2は置換又は非置換の一価炭化水素基であり、R3及びR4はそれぞれ水素原子又は置換もしくは非置換の一価炭化水素基で、R2及びR3が結合してこれらが結合する炭素原子と共に上記式中のC=C二重結合を有する脂環を形成してもよい。xは0又は1を表す。)
【0020】
上記式中、R1及びR2はそれぞれ置換又は非置換の一価炭化水素基であり、炭素数1〜10のものが好ましい。一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基などが例示される。特に好ましいのは、メチル基、エチル基、ビニル基、フェニル基である。
【0021】
3及びR4はそれぞれ水素原子又は置換もしくは非置換の一価炭化水素基であり、一価炭化水素基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等のアルキル基が挙げられる。また、R2とR3が結合してこれらが結合する炭素原子と共に上記式中のC=C二重結合を有する脂環を形成してもよい。この場合、上記式は、
【化1】

と示すことができ、−R2−R3−は、アルキレン基を示し、好ましくは炭素数3又は4のアルキレン基(トリメチレン基又はテトラメチレン基)である。
3、R4として特に好ましいものは、水素原子、メチル基、エチル基であり、R2とR3が結合した−R2−R3−は、−(CH24−であり、この場合R4は水素原子であることが好ましい。
【0022】
本架橋剤は、例えば、相当するクロロシランとC=O基を有する有機化合物を脱塩酸反応させることによって得られる。必要に応じて、反応時にトリエチルアミン等の塩酸捕捉剤を併用することも可能である。
【0023】
この(B)成分のアルケノキシシリル基を3個以上有するシラン及び/又はシロキサンの配合量は、(A)成分のジオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.5〜10質量部、好ましくは1〜8質量部である。0.5質量部未満では十分な硬化性が得られず、10質量部を超えると組成物の深部硬化性が低下し、作業性が低下する。
【0024】
[(C)成分]
(C)成分の分子内にアミノシリル基を3個以上有し、加水分解により−NH2基を有する化合物を生成するシラン及び/又はシロキサンは、架橋剤及びNH2基を有する有機化合物の供給源であり、下記式で表されるアミノシラン又はその部分加水分解物であることが好ましい。
5y−Si(NHR64-y
(式中、R5は置換又は非置換の一価炭化水素基であり、R6は置換もしくは非置換の一価炭化水素基であり、yは0又は1を表す。)
【0025】
上記式中、R5は置換又は非置換の一価炭化水素基であり、炭素数1〜10のものが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基などが例示される。特に好ましいのは、メチル基、エチル基、ビニル基、フェニル基である。
6は置換又は非置換の一価炭化水素基であり、炭素数1〜10のものが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、アリル基等のアルケニル基などが例示される。特に好ましいのは、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、シクロヘキシル基である。
【0026】
本架橋剤は、例えば、相当するクロロシランとNH2基を有する有機化合物を脱塩酸反応させることによって得られる。必要に応じて、反応時にトリエチルアミン等の塩酸捕捉剤を併用することも可能である。
【0027】
この(C)成分のアミノシリル基を3個以上有し、加水分解により−NH2基を有する化合物を生成するシラン及び/又はシロキサンの配合量は、(A)成分のジオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.5〜10質量部、好ましくは1〜8質量部である。0.5質量部未満では十分な硬化性が得られず、10質量部を超えると組成物の深部硬化性が低下し、作業性が低下する。
【0028】
[(D)成分]
(D)成分の硬化触媒は、本発明の組成物において(A)成分と(B)成分の縮合反応触媒、及び(A)成分と(C)成分の縮合反応触媒として作用するものである。これらは同一であっても異種のものであっても良く、また、1種を単独で使用しても2種以上の混合物として使用してもよい。
【0029】
(D)成分の具体例としては、スズジオクトエート、ジメチルスズジバーサテート、ジブチルジメトキシスズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジベンジルマレート、ジオクチルスズジラウレート、スズキレート等のスズ触媒、グアニジン、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン)等の強塩基化合物及びそれらの基を有するアルコキシシラン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、ジプロポキシビス(アセチルアセトナ)チタン、チタニウムイソプロポキシオクチレングリコール等のチタン酸エステル又はチタンキレート化合物等が例示される。
【0030】
(D)成分の配合量は、(A)成分のジオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.01〜10質量部、好ましくは0.02〜5質量部である。0.01質量部未満では十分な硬化特性が得られず、10質量部を超える量では組成物の耐久性が低下する。
【0031】
[(E)成分]
本発明の組成物には、接着性が必要な場合に、接着性付与成分として(E)シランカップリング剤を配合することができる。シランカップリング剤としては、公知のものが好適に使用される。特には加水分解性基として、アルコキシシリル基、分子内に2個以下のアルケノキシシリル基を有するものが好ましく、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリイソプロペノキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン等が例示される。これらの中で特にアミノシランカップリング剤が好ましい。
【0032】
シランカップリング剤を配合する場合、その配合量は、(A)成分のジオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.1〜10質量部、特には0.2〜5質量部が好ましい。0.1質量部未満では十分な接着性が得られない場合があり、10質量部を超えると価格的に不利となる場合がある。
【0033】
[(F)成分]
本発明の組成物には、更に(F)充填剤を配合することができ、これは、本発明の組成物において補強剤、増量剤として作用するものである。(F)成分の充填剤としては、例えば、煙霧質シリカ、湿式シリカ、沈降性シリカ、炭酸カルシウム等の補強性充填剤、酸化アルミニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物、金属水酸化物、カーボンブラック、ガラスビーズ、ガラスバルーン、樹脂ビーズ、樹脂バルーンなどが挙げられる。好ましくは、煙霧質シリカ、沈降性シリカ、炭酸カルシウム、酸化亜鉛である。これらの充填剤は表面処理されていなくても、公知の処理剤で表面処理されていてもよい。
【0034】
(F)成分の充填剤を本発明組成物に配合する場合、その配合量は、(A)成分のジオルガノポリシロキサン100質量部に対して1〜500質量部が好ましく、特に2〜250質量部が好ましい。1質量部未満では添加効果が不十分となる場合があり、500質量部を超えると本発明の組成物の吐出性、作業性が低下する場合がある。
【0035】
[その他の成分]
本発明の組成物において、初期のケチミン化反応を促進するためには、少量のC=O基を有する有機化合物もしくはNH2基を有する有機化合物、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ノルマルブチルアミン、ノルマルオクチルアミン、シクロヘキシルアミン等を添加することが有効である。
これら少量のC=O基を有する有機化合物、NH2基を有する有機化合物を用いる場合の添加量は、いずれも(A)成分100質量部に対して0.1〜10質量部、特に0.5〜5質量部とすることが好ましい。
【0036】
また、上記成分以外に、室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物の添加剤として公知の添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加してもよい。例えば、チキソトロピー向上剤としてのポリエーテル、可塑剤としての非反応性ジメチルシリコーンオイル、イソパラフィン、架橋密度向上剤としてのトリメチルシロキシ単位とSiO2単位とからなる網状ポリシロキサン等が挙げられる。
【0037】
更に、必要に応じて、顔料、染料、蛍光増白剤等の着色剤、防かび剤、抗菌剤、ゴキブリ忌避剤、海洋生物忌避剤等の生理活性添加剤、ブリードオイルとしての非反応性フェニルシリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル、シリコーンと非相溶の有機液体等の表面改質剤、トルエン、キシレン、溶剤揮発油、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、低沸点イソパラフィン等の溶剤も添加してよい。
【0038】
[組成物の調製、硬化]
本発明の室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、上記(A)〜(D)成分、必要に応じて(E)、(F)成分及びその他の成分をプラネタリーミキサー等の公知の混練機を用いて均一に混合することによって得られる。
上記のようにして得られる組成物は、いわゆる一液タイプであり、上記成分の配合量も上述した通りである。
この場合、組成物の調製にあたっては、(A)、(B)、(D)成分、必要に応じて(E)、(F)成分及びその他の成分からなる第一剤と、(A)、(C)成分、必要に応じて(D)、(E)、(F)成分及びその他の成分からなる第二剤を別々に調製し、使用前にスタティック、もしくはダイナミックミキサー等により第一剤と第二剤を混合して使用することが簡便である。二液タイプとすることにより、より保存安定性が確保できる。
即ち、上記のように二液タイプとする場合、加水分解によりC=O基を有する有機化合物を生成する(B)成分と、加水分解によりNH2基を有する有機化合物を生成する(C)成分とは、保存性の面からそれぞれ別の液剤に配合することが好ましい。
【0039】
このように第一剤と第二剤とからなる二成分型(二液タイプ)に調製する場合、
(A)上記した分子鎖両末端が水酸基及び/又は加水分解性基で封鎖されたジオルガノポリシロキサン:10〜90質量部、好ましくは30〜70質量部、特に好ましくは40〜60質量部、
(B)上記した分子内にアルケノキシシリル基を3個以上有するシラン及び/又はシロキサン:0.5〜10質量部、
(D)上記した硬化触媒:0.01〜10質量部
を含有してなる第一剤と、
(A)上記した分子鎖両末端が水酸基及び/又は加水分解性基で封鎖されたジオルガノポリシロキサン:10〜90質量部、好ましくは30〜70質量部、特に好ましくは40〜60質量部、
(C)上記した分子内にアミノシリル基を3個以上有し、加水分解により−NH2基を有する化合物を生成するシラン及び/又はシロキサン:0.5〜10質量部、
(D)硬化触媒:0〜9.99質量部
を含有してなる第二剤と
からなる構成とすることが好ましい。なお、上記第一剤及び第二剤に含まれる(A)成分の合計量(即ち、全(A)成分量)は100質量部であり、(D)成分の合計量(全(D)成分量)は0.01〜10質量部である。
【0040】
ここで、(D)成分は、上述した(B)成分と(C)成分に適したものをそれぞれ使用することが推奨されるが、これらの硬化触媒は、それぞれ第一剤、第二剤に振り分けて配合することが好ましく、この場合、(B)成分に適した硬化触媒、(C)成分に適した硬化触媒を第一剤及び第二剤のどちらに配合しても構わない。
第一剤に(B)成分に適した硬化触媒を、第二剤に(C)成分に適した硬化触媒を配合した場合、これら第一剤及び第二剤はそれぞれ単独で使用しても硬化性が良好であり、更にこれら二液を混合すると優れた深部硬化性を発現する。特に、一方の基材に第一剤を、他方の基材に第二剤をそれぞれ塗布し、第一剤と第二剤を貼り合わせて硬化させる方法を用いる場合に有効である。
また、第一剤に(C)成分に適した硬化触媒を、第二剤に(B)成分に適した硬化触媒を配合した場合、これら第一剤及び第二剤はそれぞれ可使時間が長くなり、混合前の材料の取り扱いが容易なものとなり、これら二液を混合すると硬化性及び深部硬化性を発現するものである。
【0041】
この場合、硬化触媒(D)としては、上述した通りであるが、特に第一剤の(A)成分と(B)成分の縮合反応触媒としては、グアニジン、DBU等の強塩基化合物及びそれらの基、特にグアニジル基を有するアルコキシシラン、例えばテトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシランを用いることが好ましい。また、第二剤の(A)成分と(C)成分の縮合反応触媒としては、スズ触媒が好適に使用される。
【0042】
なお、(D)成分の配合量は上述した通りであるが、(D)成分として、(B)成分に適した硬化触媒、(C)成分に適した硬化触媒を第一剤及び第二剤に振り分けて配合する場合、これら(B)成分に適した硬化触媒、(C)成分に適した硬化触媒の使用量は、いずれも全(A)成分100質量部に対してそれぞれ0.01〜9.99質量部、特に0.01〜5質量部とし、合計量が0.02〜10質量部とするように配合することが好ましい。
また、上記アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のC=O基を有する有機化合物、ノルマルブチルアミン、ノルマルオクチルアミン、シクロヘキシルアミン等のNH2基を有する化合物は、組成物を二液タイプとした場合に用いることが推奨され、少量のC=O基を有する有機化合物は(B)成分と同一の液に、NH2基を有する有機化合物は(C)成分と同一の液に添加することが好ましい。
これら少量のC=O基を有する有機化合物、NH2基を有する有機化合物を用いる場合の添加量は、いずれも第一剤及び第二剤の合計量(全(A)成分)100質量部に対して0.1〜10質量部、特に0.5〜5質量部とすることが好ましい。
【0043】
更に、上記第一剤及び/又は第二剤には、上述した(E)シランカップリング剤、(F)充填剤を配合することができる。この場合、これら成分の配合量は、上記第一剤及び第二剤の(A)成分の合計量(全(A)成分)100質量部に対し(E)成分は0.1〜10質量部、(F)成分は1〜500質量部とすることが好ましい。
【0044】
上記第一剤と第二剤の割合は、製品設計を容易とするため、二液の混合比を質量比として25:75〜75:25、特に40:60〜60:40、とりわけ50:50にすることが好ましく、よって(A)、(D)成分は二液にそれぞれ上記割合、とりわけ均等に振り分けることが好ましい。
【0045】
本発明の室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、一液タイプとした場合、或いは上記のように第一剤と第二剤とを別々に調製し、使用前に混合した場合は、これを所用の基材に塗布、硬化して用いることができる。
また、上記のように第一剤と第二剤とを別々に調製した場合、一方の基材に第一剤を、他方の基材に第二剤を、本発明の組成物配合量の範囲内となるようにそれぞれ塗布し、第一剤と第二剤を貼り合わせて硬化、使用することもできる。
なお、硬化は、0〜150℃、特に10〜50℃で行うことができ、通常、室温にて行うことができる。また、硬化時間は、通常10分〜3日である。
[組成物の用途]
本発明の室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、シーリング剤、接着剤、コーティング剤、ポッティング剤として好適に用いることができる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において、粘度は回転粘度計により測定した25℃における値を示す。
【0047】
[実施例1]
第一剤として、両末端が水酸基で封鎖された粘度5,000mPa・sのジメチルポリシロキサン50質量部、ビニルトリイソプロペノキシシラン2.5質量部、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン0.5質量部を均一になるまで混合して組成物1−1を調製した。
第二剤として、両末端が水酸基で封鎖された粘度5,000mPa・sのジメチルポリシロキサン50質量部、メチルトリn−ブチルアミノシラン2.5質量部、ジオクチルスズジラウレート0.1質量部を均一になるまで混合して組成物1−2を調製した。
12段スタティックミキサー付き二連カートリッジに、上記組成物1−1の全量と上記組成物1−2の全量を充填し、専用ガンで混合吐出して2mm厚シートを作製し、23℃,50%RHで24時間養生後にその物性を確認した。
【0048】
[比較例1]
組成物1−1を用いて2mm厚シートを作製し、23℃,50%RHで24時間養生後にその物性を確認した。
【0049】
[比較例2]
組成物1−2を用いて2mm厚シートを作製し、23℃,50%RHで24時間養生後にその物性を確認した。
以上の結果を表1に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
[実施例2]
第一剤として、両末端が水酸基で封鎖された粘度20,000mPa・sのジメチルポリシロキサン50質量部、両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された粘度100mPa・sのジメチルポリシロキサン20質量部、エロジルR972(日本アエロジル製、煙霧質シリカ)5質量部を均一になるまで混合した後に、更にビニルトリイソプロペノキシシラン2.5質量部、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン0.5質量部、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.5質量部、シクロヘキサノン1.5質量部を均一になるまで混合して組成物2−1を調製した。
第二剤として、両末端が水酸基で封鎖された粘度20,000mPa・sのジメチルポリシロキサン50質量部、両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された粘度100mPa・sのジメチルポリシロキサン20質量部、エロジルR972(日本アエロジル製、煙霧質シリカ)5質量部を均一になるまで混合した後に、更にメチルトリn−ブチルアミノシラン2.5質量部、ジオクチルスズジラウレート0.05質量部を均一になるまで混合して組成物2−2を調製した。
12段スタティックミキサー付き二連カートリッジに、上記組成物2−1の全量と上記組成物2−2の全量を充填し、深さ15mmのガラスシャーレいっぱいに専用ガンで混合吐出して、23℃,50%RHで24時間養生後にその硬化膜厚さ(硬化している部分の厚み)を確認した。
また、二枚のガラス板の一枚に組成物2−1を0.2g塗布、もう一枚には組成物2−2を0.2g塗布して貼り合わせ、23℃,50%RHで4時間硬化後にガラスを引き剥がして内部の硬化性を確認した。
【0052】
[比較例3]
組成物2−1を深さ15mmのガラスシャーレいっぱいに入れ、23℃,50%RHで24時間養生後にその硬化膜厚さを確認した。
また、二枚のガラス板の一枚に組成物2−1を0.2g塗布、もう一枚にも組成物2−1を0.2g塗布して貼り合わせ、23℃,50%RHで4時間硬化後にガラスを引き剥がして内部の硬化性を確認した。
【0053】
[比較例4]
組成物2−2を深さ15mmのガラスシャーレいっぱいに入れ、23℃,50%RHで24時間養生後にその硬化膜厚さを確認した。
また、二枚のガラス板の一枚に組成物2−2を0.2g塗布、もう一枚にも組成物2−2を0.2g塗布して貼り合わせ、23℃,50%RHで4時間硬化後にガラスを引き剥がして内部の硬化性を確認した。
以上の結果を表2に示す。
【0054】
【表2】

【0055】
[実施例3]
第一剤として、両末端が水酸基で封鎖された粘度20,000mPa・sのジメチルポリシロキサン50質量部、クリスタライトVXS−2(龍森製、粉砕シリカ)50質量部を均一になるまで混合した後に、更にフェニルトリイソプロペノキシシラン4.0質量部、テトラメチルグアニジン0.5質量部、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.5質量部を均一になるまで混合して組成物3−1を調製した。
第二剤として、両末端が水酸基で封鎖された粘度20,000mPa・sのジメチルポリシロキサン50質量部、クリスタライトVXS−2(龍森製、粉砕シリカ)50質量部を均一になるまで混合した後に、更にメチルトリn−ブチルアミノシラン4.0質量部、ジブチルスズオクトエート0.1質量部を均一になるまで混合して組成物3−2を調製した。
12段スタティックミキサー付き二連カートリッジに、上記組成物3−1の全量と上記組成物3−2の全量を充填し、深さ15mmのガラスシャーレいっぱいに専用ガンで混合吐出して、23℃,50%RHで24時間養生後にその硬化膜厚さ(硬化している部分の厚み)を確認した。
【0056】
[比較例5]
組成物3−1を深さ15mmのガラスシャーレいっぱいに入れ、23℃,50%RHで24時間養生後にその硬化膜厚さを確認した。
【0057】
[比較例6]
組成物3−2を深さ15mmのガラスシャーレいっぱいに入れ、23℃,50%RHで24時間養生後にその硬化膜厚さを確認した。
以上の結果を表3に示す。
【0058】
【表3】

【0059】
[実施例4]
第一剤として、両末端が水酸基で封鎖された粘度20,000mPa・sのジメチルポリシロキサン50質量部、MCコートP20(丸尾カルシウム製、炭酸カルシウム)50質量部を均一になるまで混合した後に、更にビニルトリイソプロペノキシシラン4.0質量部、テトラメチルグアニジン0.5質量部、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.5質量部を均一になるまで混合して組成物4−1を調製した。
第二剤として、両末端が水酸基で封鎖された粘度20,000mPa・sのジメチルポリシロキサン50質量部、MCコートP20(丸尾カルシウム製、炭酸カルシウム)50質量部を均一になるまで混合した後に、更にメチルトリシクロヘキルアミノシラン4.0質量部、ジメチルスズジバーサテート0.1質量部を均一になるまで混合して組成物4−2を調製した。
12段スタティックミキサー付き二連カートリッジに、上記組成物4−1の全量と上記組成物4−2の全量を充填し、深さ15mmのガラスシャーレいっぱいに専用ガンで混合吐出して、23℃,50%RHで24時間養生後にその硬化膜厚さ(硬化している部分の厚み)を確認した。
【0060】
[比較例7]
組成物4−1を深さ15mmのガラスシャーレいっぱいに入れ、23℃,50%RHで24時間養生後にその硬化膜厚さを確認した。
【0061】
[比較例8]
組成物4−2を深さ15mmのガラスシャーレいっぱいに入れ、23℃,50%RHで24時間養生後にその硬化膜厚さを確認した。
以上の結果を表4に示す。
【0062】
【表4】

【0063】
[実施例5]
第一剤として、両末端が水酸基で封鎖された粘度5,000mPa・sのジメチルポリシロキサン50質量部、エロジルR972(日本アエロジル製、煙霧質シリカ)10質量部を均一になるまで混合した後に、更にビニルトリイソプロペノキシシラン2.5質量部、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン0.5質量部を均一になるまで混合して組成物5−1を調製した。
第二剤として、両末端が水酸基で封鎖された粘度5,000mPa・sのジメチルポリシロキサン50質量部、エロジルR972(日本アエロジル製、煙霧質シリカ)10質量部を均一になるまで混合した後に、更にメチルトリエチルアミノシラン2.5質量部、ジオクチルスズジラウレート0.1質量部を均一になるまで混合して組成物5−2Aを調製した。
12段スタティックミキサー付き二連カートリッジに、上記組成物5−1の全量と上記組成物5−2Aの全量を充填し、深さ15mmのガラスシャーレいっぱいに専用ガンで混合吐出して、23℃,50%RHで24時間養生後にその硬化膜厚さ(硬化している部分の厚み)を確認した。
【0064】
[比較例9]
実施例5の第二剤で使用したメチルトリエチルアミノシラン2.5質量部に代えてメチルトリスジエチルアミノシラン2.5質量部を使用して組成物5−2Bを調製した。
12段スタティックミキサー付き二連カートリッジに、上記組成物5−1の全量と上記組成物5−2Bの全量を充填し、深さ15mmのガラスシャーレいっぱいに専用ガンで混合吐出して、23℃,50%RHで24時間養生後にその硬化膜厚さ(硬化している部分の厚み)を確認した。
以上の結果を表5に示す。
【0065】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)分子鎖両末端が水酸基及び/又は加水分解性基で封鎖されたジオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)分子内にアルケノキシシリル基を3個以上有するシラン及び/又はシロキサン:0.5〜10質量部、
(C)分子内にアミノシリル基を3個以上有し、加水分解により−NH2基を有する化合物を生成するシラン及び/又はシロキサン:0.5〜10質量部、
(D)硬化触媒:0.01〜10質量部
を含有することを特徴とする室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項2】
(B)成分が、下記式で示されるアルケノキシシラン又はその部分加水分解物である請求項1に記載の室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
1x−Si(O−CR2=CR344-x
(式中、R1及びR2は置換又は非置換の一価炭化水素基であり、R3及びR4はそれぞれ水素原子又は置換もしくは非置換の一価炭化水素基で、R2及びR3が結合してこれらが結合する炭素原子と共に上記式中のC=C二重結合を有する脂環を形成してもよい。xは0又は1を表す。)
【請求項3】
(C)成分が、下記式で示されるアミノシラン又はその部分加水分解物である請求項1又は2に記載の室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
5y−Si(NHR64-y
(式中、R5は置換又は非置換の一価炭化水素基であり、R6は置換もしくは非置換の一価炭化水素基であり、yは0又は1を表す。)
【請求項4】
更に、(E)シランカップリング剤:0.1〜10質量部
を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項5】
更に、(F)充填剤:1〜500質量部
を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項6】
組成物が二成分型であり、(A)、(B)、(D)成分を含有してなる第一剤と、(A)、(C)成分を含有し、(D)成分を含んでもよい第二剤からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項7】
(A)分子鎖両末端が水酸基及び/又は加水分解性基で封鎖されたジオルガノポリシロキサン:10〜90質量部、
(B)分子内にアルケノキシシリル基を3個以上有するシラン及び/又はシロキサン:0.5〜10質量部、
(D)硬化触媒:0.01〜10質量部
を含有してなる第一剤と、
(A)分子鎖両末端が水酸基及び/又は加水分解性基で封鎖されたジオルガノポリシロキサン:10〜90質量部、
(C)分子内にアミノシリル基を3個以上有し、加水分解により−NH2基を有する化合物を生成するシラン及び/又はシロキサン:0.5〜10質量部、
(D)硬化触媒:0〜9.99質量部
を含有してなる第二剤と
からなる(但し、第一剤と第二剤とに含まれる(A)成分の合計は100質量部、(D)成分の合計は0.01〜10質量部である。)ことを特徴とする二成分型の室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項8】
第一剤の硬化触媒(D)が、グアニジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、又はグアニジル基を有するアルコキシシランであり、第二剤の硬化触媒(D)が、スズ触媒である請求項7記載の室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項9】
第一剤にC=O基を有する有機化合物を全(A)成分100質量部に対し0.1〜10質量部配合すると共に、第二剤に−NH2基を有する化合物を全(A)成分100質量部に対し0.1〜10質量部配合してなる請求項7又は8記載の室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項10】
(B)成分が、下記式で示されるアルケノキシシラン又はその部分加水分解物である請求項7〜9のいずれか1項に記載の室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
1x−Si(O−CR2=CR344-x
(式中、R1及びR2は置換又は非置換の一価炭化水素基であり、R3及びR4はそれぞれ水素原子又は置換もしくは非置換の一価炭化水素基で、R2及びR3が結合してこれらが結合する炭素原子と共に上記式中のC=C二重結合を有する脂環を形成してもよい。xは0又は1を表す。)
【請求項11】
(C)成分が、下記式で示されるアミノシラン又はその部分加水分解物である請求項7〜10のいずれか1項に記載の室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
5y−Si(NHR64-y
(式中、R5は置換又は非置換の一価炭化水素基であり、R6は置換もしくは非置換の一価炭化水素基であり、yは0又は1を表す。)
【請求項12】
更に、(E)シランカップリング剤を全(A)成分100質量部に対し0.1〜10質量部の割合で第一剤及び/又は第二剤に含むことを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載の室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項13】
更に、(F)充填剤を全(A)成分100質量部に対し1〜500質量部の割合で第一剤及び/又は第二剤に含むことを特徴とする請求項7〜12のいずれか1項に記載の室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項14】
第一剤と第二剤との割合が質量比で25:75〜75:25である請求項7〜13のいずれか1項に記載の室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項15】
請求項6〜14のいずれか1項に記載の室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物を用い、一方の基材に(A)、(B)、(D)成分を含有してなる第一剤を、他方の基材に(A)、(C)成分を含有し、(D)成分を含んでもよい第二剤を塗布し、第一剤と第二剤を貼り合わせて硬化させることを特徴とする室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化方法。

【公開番号】特開2008−280525(P2008−280525A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−94819(P2008−94819)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】