説明

容器の製造方法

【課題】フィルム筒形中間胴部に成形部を接着剤を用いないで一体的に結合して該胴部と該成形部の接合部にしわがない容器の製造方法を提供する。
【解決手段】筒形胴部21を被着したマンドレル26を上側成形部23および下側成形部24に対応する各空間を有する金型27に装着し、マンドレルに被着した筒形胴部の基端部と金型に囲まれた下側成形部成形空間24aを画成し、スペーサ28を金型の上側から金型に装着し、筒形胴部の先端部と金型とスペーサに囲まれた上側成形部成形空間23aを画成し、上側成形部23aと下側成形部24aをランナー29により連通し、溶融樹脂材料を上側成形部および下側成形部に注入し、中間胴部の端部外面に口部22を有する上側成形部および開口部を有する下側成形部を一体的に結合し、下側成形部の開口部を底蓋25で閉じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出ガン用カートリッジ容器の製造に適した容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末コーヒーのような湿気を嫌う固形物を封入する容器としては、容器自体を湿気を通さない材料で構成することが必要であるため、ガラス容器や金属缶あるいはブロウ成形したプラスチック容器が用いられている。
【0003】
ガラス容器は、防湿性やガス遮断性にすぐれているので保存性に富み、使用後においても原形を保つ特性を有する。
【0004】
しかし、ガラス容器は、重量が重いため、使用済みのガラス容器を廃棄する際のゴミ処理の面で重量やボリュームに難点がある。同様に、金属缶も、使用済みの金属缶を廃棄する際に、重量やボリュームに難点がある。
【0005】
ブロウ成形したプラスチック容器は、使用済みの容器を廃棄する際のガラス容器や金属缶が具有する重量やボリュームの難点を解消することはできるが、現在のブロウ成形技術では、肉厚を約0.7ミリ以下の薄いものにすることができず、しかも、防湿やガス遮断性を考慮すると、合成樹脂材料としてエバール等のバリヤー基材とポリエチレンやポリプロピレン等の共押し出しブロウ成型品に限られている。
【0006】
そこで、防湿性やガス遮断性にすぐれたプラスチックラミネートフィルムを素材としてパウチ状に成形したプラスチック容器が開発された。この種のプラスチック容器は、プラスチックラミネートフィルムを防湿性やガス遮断性に富んだ材料とすることで防湿性やガス遮断性の難点は解消し、プラスチックラミネートフィルムの具有するフレキシブル性によりコンパクトな形状に変形でき、ゴミ処理の面でのガラス容器や金属缶が具有する重量やボリュームの難点も解消することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
パウチ状プラスチック容器は、全体重量が軽く、使用後のボリュームが減少するため、使用済みの容器を廃棄する際のゴミ処理の面での問題点は解消することはできるが、プラスチックラミネートフィルムを素材としているので、容器としての形状安定性に難点があり、
また、パウチ状プラスチック容器は、開封して内容物を取り出して容器に残る内容物の量が少なくなった場合、スプーンを用いても容器の底部に残った内容物を取り出すのがめんどうである。
【0008】
本発明は、上記した点に鑑みてなされたもので、プラスチックラミネートフィルムの筒形中間胴部にプラスチック成形部を接着剤を用いることなく一体的に結合し、中間胴部とプラスチック成形部との接合部にしわが形成されることがなく形状安定性が確保される容器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の容器の製造方法は、プラスチックラミネートフィルムを素材として成形された両端開口の筒形中間胴部を金型コアとなるマンドレルの外面に被着し、中間胴部を被着したマンドレルを口部を設けた上側成形部に対応する空間および開口部を設けた下側成形部に対応する空間を有する金型に装着し、マンドレルに被着した筒形中間胴部の基端部と金型に囲まれた下側成形部成形空間を画成し、スペーサを金型の上側から金型に装着し、マンドレルに被着した筒形中間胴部の先端部と金型とスペーサに囲まれた上側成形部成形空間を画成し、上側成形部成形空間と下側成形部成形空間を金型に設けたランナーにより連通し、溶融プラスチック樹脂材料をインサートインジェクション成形手段により上側成形部成形空間および下側成形部成形空間に注入し、中間胴部の端部外面に口部を有する上側成形部および開口部を有する下側成形部を一体的に結合し、下側成形部の開口部を底蓋で閉じることで構成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明により作られる容器は、プラスチックラミネートフィルムの筒形中間胴部にインサートインジェクション成形手段により上部成形部および下部成形部を一体的に結合するので、中間胴部と成形部の接合部にしわが形成されることがなく、形状安定性が確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明による容器の製造方法の一実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明による容器の製造方法により作られた吐出ガン用カートリッジ20を示すものであり、この吐出ガン用カートリッジ20は、プラスチックラミネートフィルムで筒形に成形した本体部21と、本体部21の上端に一体的に成形された口部22を設けた上側成形部23と、本体部21の下端に一体的に成形された環状下側成形部24とから構成されている。この環状下側成形部24には底蓋を兼ねる押圧板25が嵌合される。
【0012】
上記プラスチックラミネートフィルムは、防湿性やガス遮断性およびフレキシブル性を考慮して、厚さ50ミクロンのポリエチレンフィルムと厚さ12ミクロンのポリエステルフィルムと厚さ9ミクロンのアルミニウム箔と厚さ50ミクロンのポリエチレンフィルムをラミネート加工したもの、または、厚さ50ミクロンのポリエチレンフィルムと厚さ50ミクロンの紙と厚さ9ミクロンのアルミニウム箔と厚さ50ミクロンのポリエチレンフィルムをラミネート加工したものが選定される。
【0013】
上記吐出ガン用カートリッジ20を作るには、図2に示すように、本体部21として、本体部内に収容される接着剤やシーリング材に作用しない材質のプラスチックラミネートフィルムで両端開口の筒形に成形したものが選定される。両端開口の本体部21は、金型コアとなるマンドレル26に装着される。
【0014】
つぎに、本体部21を外装したマンドレル26は、吐出ガン用カートリッジ20の上側成形部23に対応する形状の空間および下側成形部24に対応する形状の空間を設けた金型27に装着される。これにより、マンドレル26と金型27に囲まれた下側成形部24のための成形空間24aが画成される。
【0015】
つぎに、金型27の上側からスペーサ28を金型27に装着する。これにより、マンドレル26と金型27とスペーサ28に囲まれた上側成形部23のための成形空間23aが画成される。上側成形部23の成形空間23aと下側成形部24の成形空間24aは金型27に設けたランナー29により互いに連通される。ランナー29は、ゲート口30に連通している。
【0016】
本体部21の金型27へのセットが終了したら、金型27に設けたゲート口30からランナー29を通して上側成形部23の成形空間23aと下側成形部24の成形空間24aにインサートインジュクション成形手段によりポリエチレン樹脂のような合成樹脂材料を溶融状態で注入する。これにより、中間胴部を形成する本体部21の外面に上側成形部23および下側成形部24が一体的に結合され、下端開口の吐出ガン用カートリッジ20が作られる。
【0017】
下端開口の吐出ガン用カートリッジ20に接着剤を充填するには、吐出ガン用カートリッジ20を、上側成形部23を下側にして上側成形部23に設けた口部22を把持するように充填機に装着し、充填機から注出される接着剤を下側成形部24の開口部から本体部21の内部に充填する。本体部21に所定量の接着剤が充填されたら、本体部21の下側成形部24の開口端に底蓋25を嵌合することで下側成形部24の開口部を閉じる。この底蓋25は、吐出ガンの作動部に押圧される押圧板としても作用する。
【0018】
なお、充填される接着剤に空気の混入を防ぐためには、本体部21の下側成形部24の開口端に底蓋25を嵌合した後、上側成形部23の口部22から真空引きして本体部21の内部空間の空気を引き出した後、上側成形部23の口部22を通して充填機から注出される接着剤を本体部21の内部に充填する。
【0019】
上記実施の形態例では、吐出ガン用カートリッジ20は、本体部21を構成する中間胴部を円筒形として1液の接着剤を充填する構造としているが、吐出ガン用カートリッジ20の本体部21を半円状の2つの半体を組み合わせる構造とし、上側成形部23および下側成形部24を半円状の2つの半体に結合する構造とすれば、2液の接着剤を別々に充填することができる。
【0020】
なお、吐出ガン用カートリッジ20と同様構成であっても、本体部21の材質や形状寸法を選択することで、飲料容器や洗剤容器としても利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による吐出ガン用カートリッジ容器の製造方法により作られた吐出ガン用カートリッジの一部を破いて示す側面図である。
【図2】本発明による吐出ガン用カートリッジの製造方法を示す図である。
【符号の説明】
【0022】
20 吐出ガン用カートリッジ
21 中間胴部
22 口部
23 上側成形部
23a 上側成形部成形空間
24 下側成形部
24a 下側成形部成形空間
25 底蓋
26 マンドレル
27 金型
28 スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックラミネートフィルムを素材として成形された両端開口の筒形中間胴部を金型コアとなるマンドレルの外面に被着し、中間胴部を被着したマンドレルを口部を設けた上側成形部に対応する空間および開口部を設けた下側成形部に対応する空間を有する金型に装着し、マンドレルに被着した筒形中間胴部の基端部と金型に囲まれた下側成形部成形空間を画成し、スペーサを金型の上側から金型に装着し、マンドレルに被着した筒形中間胴部の先端部と金型とスペーサに囲まれた上側成形部成形空間を画成し、上側成形部成形空間と下側成形部成形空間を金型に設けたランナーにより連通し、溶融プラスチック樹脂材料をインサートインジェクション成形手段により上側成形部成形空間および下側成形部成形空間に注入し、中間胴部の端部外面に口部を有する上側成形部および開口部を有する下側成形部を一体的に結合し、下側成形部の開口部を底蓋で閉じることを特徴とする容器の製造方法。
【請求項2】
プラスチックラミネートフィルムに金属箔が介装されていることを特徴とする請求項1に記載の容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−15390(P2007−15390A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−219931(P2006−219931)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【分割の表示】特願平5−308139の分割
【原出願日】平成5年12月8日(1993.12.8)
【出願人】(000143880)株式会社細川洋行 (130)
【Fターム(参考)】