説明

容器搬送装置

【課題】多数のボトルを一列に連続的に搬送する際、複数のボトルが連続搬送状態になったときに先頭のボトルに過大な押圧力が作用するのを抑制する。
【解決手段】ラベル装着システム1のラベラー2には複数のコンベア31A,31B,31C,…を一列に配置して多数のボトルBをラベラー2に供給するラベル搬送装置3が設けらる。コンベア31Aには各ボトルBのラベラー2への供給タイミングを調整するスクリュー4が設けられ、このスクリュー4の上流側に複数のボトルBを連続搬送状態にするボトル蓄積区間が設けられている。コンベア31A〜31Cのうち、コンベア31Bは順逆両方向に搬送方向が切換可能なコンベアで構成される。ボトル蓄積区間のボトルBの連続搬送状態の数が所定数以上なると、コンベア31Bの搬送方向を逆方向に切り換え、コンベア31B上のボトルBに上流側方向の押圧力を発生させることで、連続搬送状態の先頭のボトルBに作用する押圧力を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器処理システムに多数の容器を連続的に供給するための容器搬送装置に係り、特に多数のコンベアを連結して構成される容器搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、PET(Polyethylene Terephthalate)などのボトルにシュリンクラベルを装着する容器処理システムでは、図13に示すように、一般に、多数のコンベア101A,101B,101C,…を連結して多数のボトルBを所定の搬送経路でラベラー102(ボトルにシュリンクラベルを装着する装置)に搬送するボトル搬送装置101が設けられている。このボトル搬送装置101の先端のコンベア101Aには側面にスクリュー102が設けられており、このスクリュー102で各ボトルBをラベラー103に供給するときのタイミングが調整されるようになっている。
【0003】
コンベア101A及びスクリュー102によるボルトBの搬送速度はラベラー103におけるボトルBの搬送速度に同期するように制御されるので、ラベラー103にはボトル搬送装置101から当該ラベラー103のラベル装着速度(すなわち、ボトルBの搬送速度)に連動した速度で所定の間隔を設けてボトルBが連続的に供給される。また、コンベア101Aよりも上流側のコンベア101B,101C,…の搬送速度は、スクリュー102の手前の区間Aに所定数のボトルBが蓄積されるような制御(ボトル同士が接触した状態で連続的に搬送される状態(以下、「連続搬送状態」という。)にする制御)がされる。これは、ラベラー103へのボトル供給で欠品が生じないように、スクリュー102の各溝が確実にボトルBを捕捉できるようにするためである。
【0004】
上記のようなボトル搬送装置101の先端部にボトルBを蓄積する区間A(以下、「ボトル蓄積区間」という)を設け、多数のボトルBを一列に並べてボトルBをボトル蓄積区間Aに搬送し、そのボトル蓄積区間AでボトルBを連続搬送状態にした後にスクリュー102で各ボトルBをラベラー103に供給するボトル供給方法は、図14に示すように、連続搬送状態の各ボトルBに前方向の押圧力Fを生じ、先頭のボトルBに大きな押圧力Fが掛かるという問題を含んでいる。また、連続搬送状態にある複数のボトルBの搬送速度はそれよりも後方のボトルBの搬送速度よりも低速となるので、後方のボトルBが連続搬送状態の最後尾のボトルBに追い付いて連続搬送状態のボトル長が長くなる(ボトルのアキューム量が多くなる)と、それに応じて先頭のボトルBに掛かる押圧力Fが過大になり、最近の薄肉化傾向にあるPETボトルの場合にはその押圧力Fでボトル形状が変形することも生じている。
【0005】
そこで、従来から上記問題を解決するための方法が種々提案されている。例えば、特開2007−62889号公報には、スクリューよりも上流側の所定の位置(所定数のボトルが連続搬送状態となる位置)にボトル検出センサを設け、そのボトル検出センサがボトルの連続搬送状態を検出すると、ラベラーの処理速度を最大負荷トルクに対応する最大処理速度に強制的に増加させる構成が記載されている。この公報に記載の方法は、連続搬送状態のボトルが所定数に達すると、ラベラーの処理速度を最大処理速度に増加させることでスクリューの搬送速度を最大搬送速度に増加させて連続搬送状態のボトル数を所定数以下に抑制し、これにより連続搬送状態の部分の先頭のボトルに掛かる押圧力の上昇を抑制するという方法である。
【0006】
また、特許第3546079号公報には、スクリューの上流側の所定の2箇所にストッパを設け、ボトル供給時に何らかのトラブルが発生し、ボトル供給を停止させる必要が生じたときにストッパをボトル搬送装置に挿入してボトルの移動を強制的に停止させる構成が記載されている。また、特許第4010033号公報には、コンベアの途中にロータリホイールを設け、そのロータリホイールでそれよりも後方のボトルを押さえることで前方のボトルに掛かる押圧力を抑制する方法が記載されている。これらの方法は、連続搬送状態にあるボトルの搬送を強制的に停止させて、それよりも前方にあるボトルに掛かる押圧力が上昇するのを抑制するという方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−62889号公報
【特許文献2】特許第3546079号公報
【特許文献3】特許第4010033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
連続搬送状態のボトル数の増加に応じて先頭のボトルに掛かる押圧力が増大するのを抑制する従来の方法は、連続搬送状態のボトル数を監視し、その蓄積量が所定数を超えると、連続搬送状態の部分からラベラー側へのボトル搬送速度を大きくして連続搬送状態のボトル数の増加を抑制するという方法(特開2007−62889号公報に記載の方法。以下、「第1の方法」という。)か、連続搬送状態の部分にストッパを挿入して当該ストッパより後方のボトルの押圧力が前方のボトルに作用しないようにする(特許第3546079号公報、特許第4010033号公報に記載の方法。以下、「第2の方法」という。)という方法であるが、いずれもコンベアの連続搬送状態を生じさせる部分に対して局所的に対策を施す方法であるため、ボトルの適切な搬送制御の観点では根本的な問題の解決策とならず、例えば、下記のような問題点がある。
【0009】
(1)第1の方法では、連続搬送状態のボトル数が増加すると、ラベラー側への搬送速度を増加して連続搬送状態のボトル数を調節するしかなく、連続搬送状態のボトルに生じる押圧力の制御が容易でない。特に、ラベラーの処理速度を制御して連続搬送状態のボトル数を調節するので、押圧力の制御のために容器処理システム全体の制御を複雑にする。
【0010】
(2)第2の方法では、連続搬送状態のボトル数が増加すると、ストッパによって強制的にボトルの移動を停止させるので、第1の方法に比べて簡単に押圧力の抑制ができるが、停止させたボトルの上流側に新たに連続搬送状態のボトルが生じるので、複数のコンベアを連結してボトルの搬送経路を構築する際、ストッパを設ける位置にボトルの滞留部分の長さを見込んで設計する必要が生じ、それが容器搬送装置の構築の制約となり、設計の自由度や低コスト化などの障害となる。
【0011】
(3)ボトル蓄積区間のボトル数(ボトルのアキューム量)の制御が適切にできなければ、容器処理システムの稼働率の低下を招くことにもなるので、このことも考慮してボトル蓄積区間のボトルの押圧力を抑制することを考えると、第1,第2の方法では容器搬送装置だけの容器搬送だけでなく容器搬送システム全体での容器搬送の制御まで検討しなければ根本的な解決策を取れない。
【0012】
本発明は、上記した事情のもとでなされたものであり、多数の容器を一列に並べて搬送し、ストッパやスクリューなどによりタイミングを調整して各容器を容器処理装置に搬送する容器搬送装置であって、ストッパやスクリューの上流側に容器同士が接触した状態が生じて先頭の容器に過大な押圧力が掛かる場合でも容易にその押圧力を抑制するとことができる容器搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の側面で提供される容器搬送装置は、複数のコンベアが連結されるとともに下流端のコンベアにスクリューを設けられ、前記複数のコンベアで多数の容器を一列に搬送し、前記スクリューで各容器の搬送タイミングを調整して下流側の容器処理装置に搬送する容器搬送装置であって、前記下流端のコンベアよりも上流側に配置される複数のコンベアのうち、少なくとも1のコンベアは前記容器の搬送方向を、前記容器を前記容器処理装置側に搬送する順方向とそれとは逆方向に切換可能な両方向搬送型コンベアで構成し、前記スクリューの上流側の第1の位置で前記容器の搬送状態が容器同士を接触させて搬送する連続搬送状態になっているか否かを検出する第1の検出手段と、前記第1の位置よりも上流側の第2の位置で前記連続搬送状態になっているか否かを検出する第2の検出手段と、前記第1及び第2の検出手段が共に前記連続搬送状態を検出していると、前記両方向搬送型コンベアの搬送方向を前記逆方向に設定し、前記第1及び第2の検出手段が共に前記連続搬送状態を検出していなければ、前記両方向搬送型コンベアの搬送方向を前記順方向に設定する搬送方向制御手段と、を備えことを特徴とする(請求項1)。
【0014】
好ましい実施の形態によれば、前記両方向搬送型コンベアで構成されるコンベアは、前記スクリューが設けられたコンベアの上流側に配置されるコンベアにするとよい。また、前記スクリューは前記下流端のコンベアの先端部に設けられ、前記第1の位置は前記下流端のコンベア上であって前記スクリューから上流側に前記容器が前記連続搬送状態になったときの連続搬送数が予め決められた第1の数になる位置であり、前記第2の位置は、前記両方向搬送型コンベアで構成されるコンベアの上流側に配置されるコンベアであって前記容器の連続搬送数が前記第1の数よりも大きい第2の数になる位置である(請求項2)。
【0015】
本発明の第2の側面で提供される容器搬送装置は、多数の容器を搬送する搬送経路を構成するために一列に配列された複数のコンベアと、前記複数のコンベアのうち下流端のコンベアの第1の位置で容器搬送経路上に挿入可能に設けられ、挿入時に前記コンベアによる前記容器の搬送を阻止する容器阻止手段とを備える容器搬送装置であって、前記容器阻止手段が設けられるコンベアよりも上流側に配置される複数のコンベアのうち、少なくとも1のコンベアは前記容器の搬送方向を、前記容器を前記容器処理装置側に搬送する順方向とそれとは逆方向に切換可能な両方向搬送型コンベアで構成し、前記第1の位置よりも上流側の第2の位置で前記容器の搬送状態が容器同士を接触させて搬送する連続搬送状態になっているか否かを検出する検出手段と、前記容器阻止手段が前記容器の移動を阻止する状態に設定されていなければ、前記両方向搬送型コンベアの搬送方向を前記順方向に設定し、前記容器阻止手段が前記容器の移動を阻止する状態に設定された後、前記検出手段により前記連続搬送状態が検出されると、前記両方向搬送型コンベアの搬送方向を前記逆方向に設定する搬送方向制御手段と、を備えことを特徴とする(請求項3)。
【0016】
好ましい実施の形態によれば、前記両方向搬送型コンベアで構成されるコンベアは、前記容器阻止手段が設けられたコンベアの上流側に配置されるコンベアにするとよい。また、前記第1の位置は前記下流端のコンベアの先端に設けられ、前記第2の位置は前記両方向搬送型コンベアで構成されるコンベアの上流側に配置されるコンベア上であって、前記容器阻止手段により前記容器の移動が阻止された位置から上流側に前記容器が前記連続搬送状態になったときの連続搬送数が予め決められた数になる位置である(請求項4)。また、前記両方向搬送型コンベアの逆方向搬送時のトルクは、順方向搬送時のトルクと同一にするとよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、スクリューが設けられたコンベアよりも上流側のコンベアに順逆両方向に搬送可能な両方向搬送型コンベアを設け、スクリューの上流側に生じる容器の連続搬送状態の長さが第2の位置に達すると、コンベアの搬送方向を逆方向に切り換えるので、連続搬送状態のボトルに逆方向の搬送力が作用し、これにより連続搬送状態の先端のボトルに作用する押圧力が増大するのを容易に抑制することができる。
【0018】
また、容器阻止手段により容器の搬送経路が遮断され、容器阻止手段から上流側に容器の連続搬送状態が生じ、その連続搬送状態のボトル列の長さが所定の長さに達すると、コンベアの搬送方向を逆方向に切り換えるので、連続搬送状態のボトルに逆方向の搬送力が作用し、これにより連続搬送状態の先端のボトルに作用する押圧力が増大するのを容易に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る容器搬送装置の第1実施形態が適用されるラベル装着システムの概略構成を示す図である。
【図2】コンベアの接続部分とスクリューの配設部分の構造を示す図である。
【図3】コンベアの構成を示す図である。
【図4】2つの搬送状態検出センサの検出信号から連続搬送状態の判別信号を生成する回路を示す図である。
【図5】スクリュー運転中にボトル蓄積区間にボトルが蓄積される場合のボトルの連続搬送状態の変化と両方向搬送型コンベアの搬送方向の切換制御との関係を示す図である。
【図6】ボトル蓄積区間にボトルが蓄積される場合の連続搬送状態の検出信号と両方向搬送型コンベアの搬送方向の切換制御との関係を示す波形図である。
【図7】スクリュー運転中にボトル蓄積区間に蓄積されたボトルが減少する場合のボトルの連続搬送状態の変化と両方向搬送型コンベアの搬送方向の切換制御との関係を示す図である。
【図8】ボトル蓄積区間に蓄積されたボトルが減少する場合の連続搬送状態の検出信号と両方向搬送型コンベアの搬送方向の切換制御との関係を示す波形図である。
【図9】両方向搬送型コンベアの搬送方向を逆方向にした場合の押圧力の抑制効果を調べた実験結果を示す図である。
【図10】本発明に係る容器搬送装置の第2実施形態の概略構成を示す図である。
【図11】ストッパでボトルを強制的に停止させた場合のボトルの搬送状態の変化と両方向搬送型コンベアの搬送方向の切換制御との関係を示す図である。
【図12】ストッパでボトルが蓄積された場合の連続搬送状態の検出信号と両方向搬送型コンベアの搬送方向の切換制御との関係を示す波形図である。
【図13】従来の容器処理システムにおける容器搬送装置の構成を示す図である。
【図14】連続搬送状態のボトルに生じる押圧力を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、PETボトル(以下、「ボトル」という。)にシュリンクラベルを装着するラベル装着システムを例に説明する。
【0021】
図1は、本発明に係る容器搬送装置の第1実施形態が適用されるラベル装着システムの概略構成を示す図(上から見た図)である。
【0022】
ラベル装着システム1には、多数のボトルBを一列に搬送しながら各ボトルBの胴体に筒状のラベルを装着するラベル装着装置(ラベラー)2と、このラベル装着装置2に多数のボトルBを一列に並べて供給するボトル供給装置3とが設けられている。ボトル供給装置3は、本発明に係る容器搬送装置に相当する装置である。
【0023】
ラベル装着装置2には、多数のボトルBを円形のボトル搬送経路上で一列に搬送しながら各ボトルBの胴部に筒状のラベルを装着するロータリ−型のラベル装着ユニット2Aと、このラベル装着ユニット2Aに多数のラベルを順番に供給するラベル搬送ユニット2Bと、ラベル装着ユニット2Aに多数のボトルBを順番に供給するスターホイール2Cと、ラベルが装着されたボトル(以下、「ラベル付きボトル」という。)をラベル装着ユニット2Aから順番に後工程に送出するボトル送出ユニット2Dと、が設けられている。
【0024】
ラベル装着ユニット2Aの円形のボトル搬送経路には、所定の位置にラベルを受け取るラベル受取位置α、ボトルBを受け取るボトル受取位置β及びラベル付きボトルを送出するボトル送出位置γが設けられている。
【0025】
ラベル搬送ユニット2Bには基材繰出部にセットされた基材ロールから繰り出された長尺のラベル形成基材を順次切断することによって筒状のラベルを生成するラベル生成機構(図示省略)が設けられており、そのラベル生成機構で所定の間隔で生成されるラベルを順次受け取り、各ラベルをラベル受取位置αまで搬送し、ラベル装着ユニット2Aに受け渡す。
【0026】
スターホイール2Cは、ボトル供給装置3によって順番に供給されるボトルBを受け取り、各ボトルBをボトル受取位置βまで搬送し、ラベル装着ユニット2Aに受け渡す。ボトル受取位置βで受け取られたボトルBはラベル装着ユニット2Aでラベル受取位置αまで搬送されると、ラベル受取位置αで受け取られたラベルとともにボトル搬送経路を周回し、その周回中に当該ラベルが胴部に装着されてボトル送出位置γに搬送される。
【0027】
ボトル送出ユニット2Dは、スターホイール2Cと同様のスターホイールで構成され、ラベル装着ユニット2Aでボトル送出位置γに搬送されたラベル付きボトルBを受け取り、各ラベル付きボトルBを後工程に搬送するコンベア31Aに受け渡す。
【0028】
ボトル供給装置3は、ボトルBの搬送経路に沿って一列に配置された複数のコンベア31A,31B,31C,…と、これらのコンベア31A,31B,31C,…の搬送方向及び搬送速度を制御するコンベア制御部32と、搬送経路上の所定の位置でボトルBが連続搬送状態になっているか否かを検出する2個の搬送状態検出センサ33,34とを含む構成である。なお、以下の説明では、コンベア31A,31B,31C,…を代表する場合は「コンベア31」と称し、個々のコンベア31を区別する場合「コンベア31A」,「コンベア31B」,…と称する。
【0029】
コンベア31A,31B,31C,…は、図略のボトル供給源からボトル装着装置2に至る搬送経路において、ボトル装着装置2から上流側に一列に配置されている。各コンベア31A,31B,31C,…の両側部には多数のボトルBを立てて搬送するために各ボトルBを案内する棒状のガイド部材5が設けられている(図2参照)。隣接するコンベア31は端部が並走するように配置され、その並走部分で上流側のコンベア31のガイド部材5を下流側のコンベア31のガイド部材5に連結させることによりボトルBの搬送経路を上流側のコンベア31から下流側のコンベア31に変更するようにしている。
【0030】
コンベア31Aは、ラベル付きボトルBを後工程に搬送するコンベアを兼ねているので、ラベル装着装置2の両側に延びる長さを有し、コンベア31Aの上流側の所定の位置PにボトルBをスターホイール2Bに受け渡すボトル受渡位置が設けられ、コンベア31Aの下流側の所定の位置Qにボトル送出ユニット2Dからラベル付きボトルBを受け取るボトル受取位置が設けられている。
【0031】
コンベア31Bを除くコンベア31A,31C,…は、ボトルBをボトル供給源からボトル装着装置2の方向(以下、この方向を「順方向」という。)にだけ搬送可能な一方向搬送型のコンベアで構成され、コンベア31Bは、ボトルBを順方向と順方向とは逆の方向(以下、この方向を「逆方向」という。)に搬送可能な両方向搬送型のコンベアで構成されている。
【0032】
コンベア31Aの重複部分の下流側の部分の両側部に、図2に示すように、ボトルBをボトル受渡位置Pに搬送したときにスターホイール2BへのボトルBの受渡しタイミングとスターホイール2BのボトルBの受取りタイミングを同期させる機能を果たすスクリュー4が設けられている。スクリュー4は、円筒状のボトルBの側面(胴部)に係合する螺旋状の溝が全周にわたって設けられ棒部材である。前側のスクリュー4Aはボトル受渡位置Pまで延びる長さを有しているが、後側のスクリュー4Bはスクリュー4Aよりも短く、スクリュー4Bと受渡位置Pまでの区間にはボトルBを案内するガイド棒4Cが設けられている。
【0033】
スクリュー4A,4BによるボトルBの搬送速度とコンベア31AによるボトルBの搬送速度は同一に制御され、また、その搬送速度はスターホイール2BがボトルBを受け取り、ボトル受取位置βに搬送する速度に同期が取られている。スターホイール2Bのボトル受渡速度とラベル装着ユニット2Aのボトル受取速度とは同期が取られるから、スクリュー4及びコンベア31Aとスターホイール2Bとラベル装着ユニット2Aの各搬送速度は同期するように制御される。
【0034】
コンベア31は、図3に示すように、側面視で三角形の頂点位置に配置される2個の従動プーリ311,312と1個の駆動プーリ313と、駆動プーリ313の駆動源である電動モータ314と、これらのプーリ311〜313に架け渡されるトップチェーン315と、従動プーリ311,312と駆動プーリ313との間でトップチェーン314に張力を与える2個のプーリ316,317とで基本的に構成される。従動プーリ311と従動プーリ312の間がボトルBの搬送路をなし、この搬送路には直線路のものと曲線路のものがある。
【0035】
トップチェーン315にはプラスチック製のカバー315aが摺動可能に設けられ、ボトルBに搬送方向と逆方向の外力が加わった場合はカバー315aがチェーン上を摺動してその外力を吸収し、トップチェーン315への負荷を軽減するようになっている。
【0036】
コンベア31A〜31Cの3本は直線路のコンベアで構成されている。図3において、駆動プーリ313が時計回りに回転する方向を正回転とし、トップチェーン315が時計回りに回転してボトルBを搬送する方向を順方向とすると、コンベア31Aとコンベア31Cの駆動プーリ313は正回転における回転制御だけが行われ、コンベア31Bの駆動プーリ313は正逆両回転における回転制御が行われる。その回転制御については後述する。
【0037】
搬送状態検出センサ33はスクリュー4の上流側の近傍位置Rに設けられ、搬送状態検出センサ34は、コンベア31Cの搬送路状の所定の位置Sに設けられている。位置Rと位置Sの区間は、ボトルBを所定数だけ蓄積するためのボトル蓄積区間である。位置Rと位置Sの間の距離Lは、位置RからボトルBが連続搬送状態になった場合にその本数が所定数n(例えば、50本)に達する距離である。ボトルBの胴部の幅をW[cm]とすると、ボトル蓄積区間の距離Lはn×W[cm]である。
【0038】
搬送状態検出センサ33,34は、例えば、反射型又は透過型のフォトインターラプタが用いられ、コンベア31A,31Cのガイド部材5に取り付けられている。フォトインターラプタは、受光部から発光部からの光を受光した信号を出力するが、発光部からの光がボトルBによって遮蔽されると、受光部から出力する信号のレベルが変化する。例えば、光を受光したときの信号をハイレベルの信号とすると、光がボトルBによって遮蔽さされたときの信号はローレベルの信号となる。
【0039】
複数のボトルBが連続搬送状態でなければ、隣接するボトルBの間に隙間が生じるので、搬送状態検出センサ33,34からはボトルの搬送速度に応じた周期でハイレベルとローレベルが交互に反転するパルス状の信号が出力される。一方、複数のボトルBが連続搬送状態になると、隣接するボトルBの間に隙間が生じなくなるので、搬送状態検出センサ33,34からはローレベルが連続した信号が出力される。搬送状態検出センサ33,34から出力される信号はコンベア制御部32に入力される。
【0040】
コンベア制御部32では、図4に示すように、判別信号生成回路32a,32bによって搬送状態検出センサ33,34から出力される信号に所定の周期的なパルス性があるか否かによりボトルBが連続搬送状態であるか否かを示す判別信号SR,SSが生成される。そして、AND回路32cにより判別信号SR,SSの論理積信号Scが搬送方向の切換制御信号として生成され、その信号Scによって両方向搬送型コンベア31Bの搬送方向の制御が行われる。
【0041】
次に、コンベア制御部32における両方向搬送型コンベア31Bの搬送方向の切換制御について、図5〜図8を用いて説明する。
【0042】
図5は、スクリュー運転中にボトル蓄積区間にボトルが蓄積される場合のボトルの連続搬送状態の変化と両方向搬送型コンベアの搬送方向の切換制御との関係を示す図である。図6は、ボトル蓄積区間にボトルが蓄積される場合の連続搬送状態の検出信号と両方向搬送型コンベアの搬送方向の切換制御との関係を示す波形図である。
【0043】
図5(a)に示すように、スクリュー4によってボトルBの搬送を開始させるときにはコンベア31A〜31Cは全て順方向に駆動している。このときには、「R」,「S」の両位置には連続搬送状態が生じていないので、図6(a)(b)に示されるように、コンベア制御部32では、「R」,「S」の位置が連続搬送状態になっていないことを示す判別信号SR,SS(図6(a)(b)ではローレベルの信号)が出力されている。従って、搬送方向の切換制御信号SCは順方向に切り換える信号(図6(c)ではローレベルの信号)となっている。
【0044】
スクリュー4がボトルBの搬送を開始すると、ボトルBの搬送速度がスクリュー4よりも上流側のボトルBの搬送速度よりも低下するので、スクリュー4から上流側に向かってボトルBの連続搬送状態が生じる(図5(a)参照)。そして、その連続搬送状態が「R」の位置に達すると、搬送状態検出センサ33の出力信号のレベル変化がなくなるので、図6(a)に示されるように、コンベア制御部32では、「R」の位置が連続搬送状態になったことを示す判別信号SR(図6(a)ではハイレベルの信号。タイミングt1参照)が出力される。この判別信号SRは、「R」の位置の連続搬送状態が解消されるまで継続される。
【0045】
連続搬送状態が「R」の位置に達してもコンベア31A〜31Cの順方向駆動は継続されるので、ボトルBの連続搬送状態は継続され、その長さが長くなる(図5(b)参照)。そして、ボトルBの連続搬送状態が「S」の位置に達すると、搬送状態検出センサ34の出力信号のレベル変化がなくなるので、図6(b)に示されるように、コンベア制御部32では、「S」の位置が連続搬送状態になったことを示す判別信号SS(図6(b)ではハイレベルの信号。タイミングt2参照)が出力される。この判別信号SSは、「S」の位置の連続搬送状態が解消されるまで継続される。
【0046】
コンベア制御部32は、「R」,「S」の両位置が連続搬送状態になったことを示す判別信号SR,SSが出力されると、搬送方向の切換制御信号SCのレベルが反転され、搬送方向を逆方向に切り換える信号(図6(c)ではハイレベルの信号)に変化する。これにより、両方向搬送型コンベア31Bの電動モータの回転方向が逆転し、コンベア31Bが逆方向駆動に切り換えられる(図6(c)のタイミングt3参照)。これにより、両方向搬送型コンベア31Bの搬送路上にあるボトルBには逆方向の搬送力が作用し、図5(d)に示されるように、両方向搬送型コンベア31Bとそれよりも下流側のコンベア31Cの境界部分で瞬間的に隙間が生じるので、連続搬送状態にあるボトルBの先頭のボトルB(スクリュー4に搬送される直前のボトルB)に作用する押圧力が低下する。これは、同ボトルBに連続的に接触しているボトル数が減少することによるものである。
【0047】
両方向搬送型コンベア31Bの逆方向の搬送力により、両方向搬送型コンベア31Bの搬送路上にある連続搬送状態の複数のボトルBによって両方向搬送型コンベア31Bよりも上流側のコンベア31Cの搬送路上にある連続搬送状態のボトルBを上流側に押し返す押圧力が作用するが、コンベア31Cとそれよりも上流側のコンベア31D,…は順方向に回転しているので、これらのコンベア31C,31Dの搬送路上で生じている連続搬送状態の長さが長くなり、それに応じて両方向搬送型コンベア31Bの搬送路上にある連続搬送状態のボトルBに作用する押圧力が増大する。
【0048】
そして、両方向搬送型コンベア31Bよりも上流側のコンベア31C,31Dの搬送路上の連続搬送状態にある複数のボトルBの押圧力が両方向搬送型コンベア31Bの搬送路上にある連続搬送状態の複数のボトルBの逆方向の押圧力を超えると、両方向搬送型コンベア31Bの搬送路上にある連続搬送状態のボトルBは下流側に押し出されることになるので、図5(e)(f)に示すように、両方向搬送型コンベア31Bとコンベア31Aの境界部分に生じた隙間はなくなり、コンベア31Aに生じているボトルBの連続搬送状態と両方向搬送型コンベア31B,コンベア31Cに生じているボトルBの連続搬送状態とは1つに繋がることになる。
【0049】
ボトルBの連続搬送状態が1つに繋がると、連続搬送状態にあるボトルBの数が増大するので、従来のように全てのボトルBをコンベア31A,31B,31C,…で順方向に搬送すると、先頭のボトルBに作用する押圧力は増大することになるが、本実施形態では、両方向搬送型コンベア31Bの搬送方向を逆にし、ほぼ順方向と同じトルクで回転させるようにしているので、両方向搬送型コンベア31Bとそれよりも上流側のコンベア31Cにある連続搬送状態の複数のボトルBの押圧力を低減させることになり、先頭のボトルBに作用する押圧力は従来よりも大幅に低減されることになる。
【0050】
図7は、スクリュー運転中にボトル蓄積区間に蓄積されたボトルが減少する場合のボトルの連続搬送状態の変化と両方向搬送型コンベアの搬送方向の切換制御との関係を示す図である。図8は、ボトル蓄積区間に蓄積されたボトルが減少する場合の連続搬送状態の検出信号と両方向搬送型コンベアの搬送方向の切換制御との関係を示す波形図である。
【0051】
図7(a)は、図5(f)に示す状態と同じ状態である。すなわち、両方向搬送型コンベア31Bは逆方向駆動をしているが、ボトルBの連続搬送状態がスクリュー4からコンベア31Cよりも上流側に延びている状態である。この状態では、「R」,「S」の両位置には連続搬送状態が生じているので、図8(a)(b)に示されるように、コンベア制御部32では、搬送方向の切換制御信号SCのレベルは搬送方向を逆方向に切り換える信号となっている(図8(c)でハイレベルの信号)が出力されている。
【0052】
この状態で、コンベア31Cに搬送されてくるボトルBが減少し、図7(b)に示すように、ボトルBの連続搬送状態の最後尾がスクリュー4側から見てコンベア31Cの後端位置になると、コンベア31C上の連続搬送状態にある複数のボトルBの下流側方向の押圧力が低下し、両方向搬送型コンベア31Bとコンベア31Aの境界部分に位置する両方向搬送型コンベア31B上のボトルBには下流側方向の押圧力が殆ど作用しなくなる。このため、コンベア31A上のボトルBが両方向搬送型コンベア31B上のボトルBよりも速く搬送されるので、ボトルBの連続搬送状態が両方向搬送型コンベア31Bとコンベア31Aの境界部分で切れ、同図(c)に示すように、コンベア31A上の連続搬送状態にあるボトルBがそれよりも上流側の連続搬送状態にあるボトルBから分離されて搬送される状態となる。
【0053】
この搬送状態では両方向搬送型コンベア31Bからコンベア31AにボトルBが送られるときに当該ボトルBの速度が速くなるので、両方向搬送型コンベア31Bからコンベア31Aに搬送されたボトルB同士に隙間が生じ、コンベア31A上では通常の搬送状態で搬送されることになる。従って、図7(d)に示すように、通常の搬送状態で搬送されるボトルBが「R」の位置に達すると、搬送状態検出センサ33の出力信号にレベル変化が生じるので、図8(a)に示されるように、コンベア制御部32では、「R」の位置が連続搬送状態でなくなったことを示す判別信号SR(図8(a)ではローレベルの信号。タイミングt4参照)が出力される。これにより、搬送方向の切換制御信号SCのレベルが反転され、搬送方向を順方向に切り換える信号(図8(c)ではローレベルの信号)に変化する。
【0054】
コンベア制御部32は、搬送方向を順方向に切り換える切換制御信号SCが出力されると、両方向搬送型コンベア31Bの電動モータの回転方向を正転させ、コンベア31Bを順方向駆動に切り換える(図8(d)のタイミングt4参照)。
【0055】
両方向搬送型コンベア31Bが順方向駆動に切り換えられると、両方向搬送型コンベア31B上の連続搬送状態にある複数のボトルBの下流側方向の速度が上昇し、その速度はコンベア31Aの搬送速度と同じになるので、両方向搬送型コンベア31Bからコンベア31AにボトルBが送られたときに当該ボトルBの速度は殆ど変化せず、両方向搬送型コンベア31Bからコンベア31Aに搬送されたボトルBは、図7(e)に示すように、連続搬送状態を維持したままコンベア31A上を搬送されることになる。
【0056】
一方、両方向搬送型コンベア31Bが順方向駆動に切り換えられることによって、両方向搬送型コンベア31Bとそれよりも上流側のコンベア31Cで連続搬送状態となっている複数のボトルBの下流側への搬送速度が上昇するので、やがてその連続搬送状態にある複数のボトルBの最後尾のボトルBが「S」の位置に達すると、搬送状態検出センサ34の出力信号にレベル変化が生じるので、図8(b)に示されるように、コンベア制御部32では、「S」の位置が連続搬送状態でなくなったことを示す判別信号SS(図8(c)ではローレベルの信号。タイミングt5参照)が出力される。
【0057】
このとき、搬送方向の切換制御信号SCのレベルは反転しないので、コンベア制御部32は、両方向搬送型コンベア31Bの電動モータの回転方向を正転のまま維持し、コンベア31Bを逆方向駆動に切り換えることはない(図8(d)参照)。
【0058】
連続搬送状態を維持したままコンベア31A上を搬送されるボトルBが「R」に達すると、搬送状態検出センサ33の出力信号のレベル変化がなくなるので、図8(a)に示されるように、コンベア制御部32では、「R」の位置が連続搬送状態になったことを示す判別信号SR(図8(a)ではハイレベルの信号。タイミングt6参照)が出力される。しかし、「S」の位置が連続搬送状態でないことを示す判別信号SSが出力されているので、搬送方向の切換制御信号SCのレベルは反転せず、コンベア制御部32は、両方向搬送型コンベア31Bの電動モータの回転方向を正転のまま維持し、コンベア31Bを逆方向駆動に切り換えることはない(図8(d)参照)。
【0059】
図9は、両方向搬送型コンベアの搬送方向を逆方向にした場合の押圧力の抑制効果を調べた実験結果を示す図である。同図(a)は押圧力の測定結果を示すグラフであり、同図(b)は実験用のボトル搬送装置の構成を示す図である。
【0060】
図9(a)のグラフは、同図(b)に示すように、中間のコンベアC2を両方向搬送型コンベアとして3個のコンベアC1,C2,C3を直線状に一列に配置するとともに、下流側のコンベアの下端にストッパSTを配置し、その状態で全てのコンベアC1〜C3を順方向に回転させて全コンベアC1〜C3上にボトルBの連続搬送状態を生じさせた場合(従来方式の場合)の押圧力と両方向搬送型コンベアC2だけを逆方向に回転させて全コンベアC1〜C3上にボトルの連続搬送状態を生じさせた場合(本願方式の場合)の押圧力を比較したものである。
【0061】
なお、図9(b)の説明では、ストッパST側の方向を「下流側方向」とし、それとは逆方向を「上流側方向」として説明する。従って、図9(a)の縦軸の押圧力は下流側方向の押圧力を示している。以下の説明では、下流側方向の押圧力を単に「押圧力」といい、逆方向の押圧力を「上流側方向の押圧力」という。
【0062】
コンベアC2とコンベアC3の長さは同じで、コンベアC1の長さは、コンベアC2,C3の長さの2/3である。互いに接触させてボトルBを搭載した場合の搭載数で示すと、コンベアC2,C3の搭載数は58本で、コンベアC1の搭載数は38本である。また、コンベアC1〜C3の回転トルクは同一であり、コンベアC2の逆方向の回転トルクも同様である。
【0063】
(イ)のグラフは従来方式の場合の押圧力を示し、(ロ)のグラフは本願方式の場合の押圧力を示している。なお、横軸の測定ポイントの位置a,b,c,dはそれぞれコンベアC3の後端の位置、コンベアC3とC2の境界位置、コンベアC2とC1の境界位置、ストッパSTの位置を示している。
【0064】
図9(a)の位置dにおける押圧力が連続搬送状態の複数のボトルのうち、先頭のボトルB(以下、「先頭ボトル」という。)に作用する押圧力に相当している。同図(a)に示されるように、従来方式((イ)の波形)の場合は、位置a,b,c,dの順に押圧力が増加しているが、これは連続搬送状態のボトル数が増加するのに応じて先頭のボトルに作用する押圧力が増加することを示している。
【0065】
コンベアC2とコンベアC3はボトルBの搭載数が同じであるので、位置cの押圧力は位置bの押圧力のほぼ2倍になっているが、位置cの押圧力に対する位置dの押圧力の増加分は位置bの押圧力のほぼ2/3になっている。これは、コンベアC1はボトルBの搭載数がコンベアC2,C3のほぼ2/3で、コンベアC1上のボトルBによる押圧力がコンベアC3上のボトルBによる押圧力のほぼ2/3となることを示している。
【0066】
これに対し、本願方式((ロ)の波形)の場合は、位置bで押圧力は増加するが、位置cではゼロに低下している。これは、コンベアC3上のボトルBによる押圧力とコンベアC1上のボトルBによる上流側方向の押圧力がほぼ同じであるので、位置cでは両押圧力が相殺された形となっているからである。従って、位置dではコンベアC1上のボトルBによる押圧力だけが作用するので、その大きさは位置dの押圧力のほぼ2/3となっている。
【0067】
図9(a)の波形(ロ)から明らかなように、スクリュー4の上流側にボトル蓄積区間を設け、そのボトル蓄積区間に複数のボトルBを連続搬送状態で蓄積する構成を有する場合、ボトル蓄積区間に配置される複数のコンベア31の一つを両方向搬送型コンベアで構成し、ボトル蓄積区間に所定の本数以上のボトルBが連続搬送状態で蓄積されるときには、両方向搬送型コンベアの搬送方向を逆方向に切り換えることで、連続搬送状態の先頭ボトルBに掛かる押圧力を大幅に低減できることが分かる。
【0068】
また、両方向搬送型コンベア上に連続搬送状態で搭載されるボトルBの本数を多くするほど上流側方向の押圧力が増大するので、ボトル蓄積区間の長さとの関係で両方向搬送型コンベアの長さを適切な長さに調整することで、先頭ボトルBに掛かる押圧力を適切に抑制することができる。
【0069】
上記の第1実施形態はスクリュー4の上流側に設けられるボトル蓄積区間のコンベアの構成に両方向搬送型コンベアを配置するものであるが、ボトル蓄積区間よりも上流側のボトル搬送経路にボトルBの移動を強制的に停止させるストッパを設け、ボトル搬送経路上のボトルBのアキューム量を調整する機構を設ける場合がある。例えば、ボトル蓄積区間のボトル蓄積量が所定数よりも増大した場合、すなわち、ボトルBの連続搬送状態の長さがボトル蓄積区間を超える場合、ボトル蓄積区間内の先頭ボトルBに掛かる押圧力が過大になるのを防止するために、ボトル蓄積区間の入り口部分にストッパを挿入してボトルBの連続搬送状態を分断する構成を設ける場合がある。或いは、ボトル蓄積区間よりも上流側のボトル搬送経路の適当な位置にストッパを設け、ボトル搬送経路上を移動する多数のボトルBの搬送状態を監視しながら、適当なタイミングでストッパをボトル搬送経路上に挿入してボトルBの搬送状態を制御する場合もある。
【0070】
ストッパによりボトルBの移動を規制する構成を備えるボトル搬送装置の場合でも当該ストッパから上流側にボトルBの連続搬送状態が生じ、その長さが延びるのに応じて先頭ボトルBに掛かる押圧力が増大するという問題が生じるから、そのようなボトル搬送装置にも第1実施形態と同様に両方向搬送型コンベアを用いることで問題を解消することができる。
【0071】
図10は、本発明に係るボトル搬送装置の第2実施形態(ストッパによりボトルの移動を規制する構成を備えるもの)の概略構成を示す図である。
【0072】
図10に示すボトル搬送装置は、図9(b)に示す構成と同様に3個のコンベアC1〜C3を直線状に一列に配置し、中間のコンベアC2に両方向搬送型コンベアを用い、両側のコンベアC1,C3に一方向搬送型コンベアを用いている。コンベアC1の先端の上方位置にストッパSTが当該コンベアC1のボトル搬送経路上に昇降可能に設けられている。ストッパSTの昇降動作の制御は制御部6によって行われる。
【0073】
また、コンベアC2のボトル搬送路上の所定の位置N(ストッパによって蓄積されるボトルBが所定の本数(例えば、30本)に達する位置)にボトルBが連続搬送状態になっているか否かを検出する搬送状態検出センサ7が設けられている。搬送状態検出センサ7の検出信号は制御部6に入力され、制御部6ではストッパSTの昇降状態と搬送状態検出センサ7の検出信号とに基づいて両方向搬送型コンベアC2の搬送方向の切換制御が行われる。
【0074】
次に、コンベア制御部6における両方向搬送型コンベアC2の搬送方向の切換制御について、図11,図12を用いて説明する。
【0075】
図11は、ストッパでボトルを強制的に停止させた場合のボトルの搬送状態の変化と両方向搬送型コンベアの搬送方向の切換制御との関係を示す図である。図12は、ストッパでボトルが蓄積された場合の連続搬送状態の検出信号と両方向搬送型コンベアの搬送方向の切換制御との関係を示す波形図である。
【0076】
ストッパSTがコンベアC1の搬送経路上に降下していないときには、図11(a)に示すように、コンベアC1〜C3は全て順方向に同一の搬送速度で駆動しているので、多数のボトルBはほぼ等間隔で下流側に搬送されている。このとき、「N」の位置には連続搬送状態が生じていないので、図12(a)に示されるように、制御部6では、「N」の位置が連続搬送状態になっていないことを示す判別信号SN(図12(a)ではローレベルの信号)が出力されている。
【0077】
この状態でストッパSTがコンベアC1の搬送経路上に降下すると、ストッパSTから上流側に向かってボトルBの連続搬送状態が生じる(図11(b)参照)。そして、その連続搬送状態が「N」の位置に達すると、搬送状態検出センサ7の出力信号のレベル変化がなくなるので、図12(a)に示されるように、制御部6では、「N」の位置が連続搬送状態になったことを示す判別信号SN(図12(a)ではハイレベルの信号。タイミングt7参照)が出力される。この判別信号SNは、「N」の位置の連続搬送状態が解消されるまで継続される。
【0078】
制御部6は、「N」の両位置が連続搬送状態になったことを示す判別信号SNが出力されると、搬送方向の切換制御信号SCのレベルが反転され、搬送方向を逆方向に切り換える信号(図12(a)ではハイレベルの信号)に変化する。これにより、両方向搬送型コンベアC2の電動モータの回転方向が逆転し、コンベアC2が逆方向駆動に切り換えられる(図12(a)のタイミングt7参照)。これにより、両方向搬送型コンベアC2の搬送路上にあるボトルBには逆方向の搬送力が作用し、図11(d)に示されるように、両方向搬送型コンベアC2とそれよりも下流側のコンベアC3の境界部分で瞬間的に隙間が生じるので、連続搬送状態にあるボトルBの先頭のボトルB(ストッパSTで停止されているボトルB)に作用する押圧力が低下する。これは、同ボトルBに連続的に接触しているボトル数が減少することによるものである。
【0079】
両方向搬送型コンベアC2の逆方向の搬送力により、両方向搬送型コンベアC2の搬送路上にある連続搬送状態の複数のボトルBは上流側に逆送される(図11(d)(e)参照)。その連続搬送状態の複数のボトルBがコンベアC3の搬送経路上に搬送されると、当該コンベアC3で搬送されてくるボトルBと衝突をすることになるが、そのボトルBの押圧力よりも連続搬送状態の複数のボトルBの上流側方向の搬送力の方が大きいので、連続搬送状態の複数のボトルBはコンベアC3で搬送されてくるボトルBを吸収しながらコンベアC3の搬送路に移動していく(図11(e)参照)。しかしながら、コンベアC3で搬送されてくるボトルBの吸収量が増え、同図(f)(g)に示すように、連続搬送状態の複数のボトルBのうち、コンベアC3の搬送路上にあるボトル数がコンベアC2の搬送路上にあるボトル数よりも多くなると、コンベアC3の搬送路上にある連続搬送状態のボトルBの押圧力がコンベアC2の搬送路上にある連続搬送状態のボトルBの上流側方向の押圧力よりも大きくなるので、両コンベアC2,C3の搬送路上にある連続搬送状態の複数のボトルBは全体的に下流側に搬送され、やがて、図11(g)に示すように、コンベアC1の搬送路上にある連続搬送状態の複数のボトルBと連続するようになる。
【0080】
ボトルBの連続搬送状態が1つに繋がると、連続搬送状態にあるボトルBの数が急増するので、従来のように全てのボトルBをコンベアC1,C2,C3で順方向に搬送すると、先頭のボトルBに作用する押圧力は急増することになるが、第2実施形態では、両方向搬送型コンベアC2の搬送方向を逆にし、ほぼ順方向と同じトルクで回転させるので、両方向搬送型コンベアC2とそれよりも上流側のコンベアC3にある連続搬送状態の複数のボトルBの押圧力を低減させることになり、先頭のボトルBに作用する押圧力を従来よりも大幅に低減させることができる。
【0081】
上記のように、第1,第2実施形態によれば、複数のボトルBを搬送経路上を一列に搬送している状態で搬送速度の変化が生じてその変化点から上流側に複数のボトルBが連続搬送状態となる場合に、その連続搬送状態となる区間のコンベアに両方向搬送型コンベアを配置し、連続搬送状態のボトルBの数が所定数以上に増加すると、両方向搬送型コンベアの搬送方向を逆方向に切り換えて上流側方向の押圧力を発生させるようにしているので、連続搬送状態のボトルBの先頭のボトルBに掛かる押圧力を好適に抑制することができる。
【0082】
従って、ボトルBがPETボトルのように薄肉化の進んだ変形し易い場合でも押圧力によるボトルの変形を容易かつ簡単に防止することができる。
【0083】
なお、上記実施形態では、両方向搬送型コンベアを1個設ける場合について説明したが、2個以上設けるようにしてもよい。この場合、複数の両方向搬送型コンベアを連続的に配置してもよく、離散的に配置してもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、容器処理システムとしてラベル装着システムを例に説明したが、本発明は、ラベル装着システムにおけるボトル搬送装置だけでなく、複数のコンベアを一列に配列して長尺のボトルの搬送経路を構成し、各コンベアによって連続的に多数のボトルを搬送するボトル搬送装置を利用する容器処理システムに広く適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0085】
1 ラベル装着システム
2 ボトル供給装置
2A ラベル装着ユニット
2B ラベル搬送ユニット
2C スターホイール
2D ボトル送出ユニット
3 ボトル供給装置
31,31A,31C コンベア
31B 両方向搬送型コンベア
311,312,313 プーリ
314 電動モータ
315 トップチェーン
315a カバー
316,317 テンションプーリ
32 コンベア制御部(搬送方向制御手段)
33 搬送状態検出センサ(第1の検出手段)
34 搬送状態検出センサ(第2の検出手段)
4,4A,4B スクリュー(容器阻止手段)
4C ガイド棒
5 ガイド部材
6 制御部(搬送方向制御手段)
7 搬送状態検出センサ(検出手段)
C1,C3 コンベア
C2 両方向搬送型コンベア
ST ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンベアが連結されるとともに下流端のコンベアにスクリューを設けられ、前記複数のコンベアで多数の容器を一列に搬送し、前記スクリューで各容器の搬送タイミングを調整して下流側の容器処理装置に搬送する容器搬送装置であって、
前記下流端のコンベアよりも上流側に配置される複数のコンベアのうち、少なくとも1のコンベアは前記容器の搬送方向を、前記容器を前記容器処理装置側に搬送する順方向とそれとは逆方向に切換可能な両方向搬送型コンベアで構成し、
前記スクリューの上流側の第1の位置で前記容器の搬送状態が容器同士を接触させて搬送する連続搬送状態になっているか否かを検出する第1の検出手段と、
前記第1の位置よりも上流側の第2の位置で前記連続搬送状態になっているか否かを検出する第2の検出手段と、
前記第1及び第2の検出手段が共に前記連続搬送状態を検出していると、前記両方向搬送型コンベアの搬送方向を前記逆方向に設定し、前記第1及び第2の検出手段が共に前記連続搬送状態を検出していなければ、前記両方向搬送型コンベアの搬送方向を前記順方向に設定する搬送方向制御手段と、
を備えることを特徴とする、容器搬送装置。
【請求項2】
前記スクリューは前記下流端のコンベアの先端部に設けられ、前記第1の位置は前記下流端のコンベア上であって前記スクリューから上流側に前記容器が前記連続搬送状態になったときの連続搬送数が予め決められた第1の数になる位置であり、
前記第2の位置は、前記両方向搬送型コンベアで構成されるコンベアの上流側に配置されるコンベアであって前記容器の連続搬送数が前記第1の数よりも大きい第2の数になる位置である、請求項1に記載の容器搬送装置。
【請求項3】
多数の容器を搬送する搬送経路を構成するために一列に配列された複数のコンベアと、前記複数のコンベアのうち下流端のコンベアの第1の位置で容器搬送経路上に挿入可能に設けられ、挿入時に前記コンベアによる前記容器の搬送を阻止する容器阻止手段とを備える容器搬送装置であって、
前記容器阻止手段が設けられるコンベアよりも上流側に配置される複数のコンベアのうち、少なくとも1のコンベアは前記容器の搬送方向を、前記容器を前記容器処理装置側に搬送する順方向とそれとは逆方向に切換可能な両方向搬送型コンベアで構成し、
前記第1の位置よりも上流側の第2の位置で前記容器の搬送状態が容器同士を接触させて搬送する連続搬送状態になっているか否かを検出する検出手段と、
前記容器阻止手段が前記容器の移動を阻止する状態に設定されていなければ、前記両方向搬送型コンベアの搬送方向を前記順方向に設定し、前記容器阻止手段が前記容器の移動を阻止する状態に設定された後、前記検出手段により前記連続搬送状態が検出されると、前記両方向搬送型コンベアの搬送方向を前記逆方向に設定する搬送方向制御手段と、
を備えることを特徴とする、容器搬送装置。
【請求項4】
前記第1の位置は前記下流端のコンベアの先端に設けられ、前記第2の位置は前記両方向搬送型コンベアで構成されるコンベアの上流側に配置されるコンベア上であって、前記容器阻止手段により前記容器の移動が阻止された位置から上流側に前記容器が前記連続搬送状態になったときの連続搬送数が予め決められた数になる位置である、請求項3に記載の容器搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−71970(P2012−71970A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219587(P2010−219587)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】