説明

対象物の洗浄方法

(a)洗浄すべき対象物を、変動圧力耐性容器内に設置する工程、
(b)前記対象物に対して、少なくとも1種の発泡剤と少なくとも1種の酵素と溶存ガスとを含む泡状組成物を適用する工程、
(c)前記容器に対して変動圧力を加え、前記対象物を前記泡状組成物で洗浄する工程、及び
(d)前記対象物をリンスする工程
を含む、対象物の洗浄方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄技術に関する。特に、本発明は、変動圧力を利用した対象物の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯は、一般的に、繊維製品を洗浄剤溶液中で一定時間攪拌した後、水中でリンスする(濯ぐ)ことにより行われる。洗濯は、自動式洗濯機又は手で行うことができる。最近の洗浄剤は、多数の成分(例えば、界面活性剤、ビルダー(洗浄助剤)、漂白剤、ポリマー、酵素等)を含む複雑な組成物であり、通常、粉末又は液体に製剤化される。
【0003】
洗浄工程及び洗浄剤組成物に関する幾つか改良が、洗浄性能を向上させるために、あるいは、水及び/又はエネルギー消費を減少させるために、提案されている。EP0086935には、汚れた繊維製品の洗浄方法が記載されており、この方法では、泡沫が形成され、繊維製品に吹き付けられる。この方法の利点は、少量の洗浄剤及び水を用いて実施可能である点にある。GB2340846には、対象物の洗浄方法が記載されており、この方法は、対象物を容器内に設置する工程、容器内に洗浄液を導入する工程、容器内の圧力を減少させ、それによって洗浄液をガス/蒸気(gas/vapor)から気泡へ変化させる工程を含む。圧力を減少させる目的は、ガス/蒸気(gas/vapor)の気泡を生じさせ、これを機械的攪拌の代替手段として利用して対象物を攪拌することにある。さらに、圧力を減少させる目的は、洗浄液を沸騰させることにもあり、これにより、洗浄液を大気圧で沸騰させるために必要な温度が対象物に加えられることが回避される。EP0677577には、泡沫を利用した繊維製品の洗浄方法が記載されており、この方法では、繊維製品の泡沫又は泡沫残渣が実質的に減圧除去される。EP0765932には、繊維製品の洗浄及びコンディショニング方法が記載されており、この方法では、柔軟剤(fabric softening clay)を含む泡沫を適用した後、泡沫残渣を減圧除去する。
【0004】
洗濯のための泡沫の使用は公知であるが、従来の洗浄工程で使用される高レベルの泡沫の存在は、リンス工程における泡沫の除去を困難にするので、望ましいとはいえない。したがって、洗濯で使用される泡沫をコントロール可能な新規洗浄方法の開発の必要性が依然として存在している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、泡状組成物と組み合わせて変動圧力を使用する点で従来の洗浄方法とは異なる、対象物の新規な洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様において、本発明は、
(a)洗浄すべき対象物を、変動圧力耐性容器内に設置する工程、
(b)前記対象物に対して、少なくとも1種の発泡剤と少なくとも1種の酵素と溶存ガスとを含む泡状組成物を適用する工程、
(c)前記容器に対して変動圧力を加え、前記対象物を前記泡状組成物で洗浄する工程、及び
(d)前記対象物をリンスする工程
を含む、対象物の洗浄方法に関する。
【0007】
第2の態様において、本発明は、
(a)リンスすべき対象物を変動圧力耐性容器内に設置する工程、
(b)前記対象物に対してリンス液を適用する工程、及び
(c)前記容器に対して変動圧力を加え、前記対象物を前記リンス液でリンスする工程
を含む、対象物のリンス方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、WAPの洗浄性能を、ビーカー洗浄(beaker wash)及び標準的な強洗浄(standard fine wash)と比較して示す図である。
【図2】図2は、WAPの洗浄性能を、一定圧力での洗浄と比較して示す図である。
【図3】図3は、洗浄性能に対するWAPリンスの効果を、ビーカーリンス(beaker rinse)の効果と比較して示す図である。
【図4】図4は、リンス溶液中の残存LAS量に対するWAPリンスの効果を、ビーカーリンスの効果と比較して示す図である。
【図5】図5は、WAP装置の模式図である。
【図6】図6は、使用したWAP装置の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
定義
AP:明細書中で用いられる「AP」という用語は、変動圧力(alternating pressure)を意味する。
【0010】
WAP:明細書中で用いられる「WAP」又は「WAP洗浄」という用語は、変動圧力を利用した洗浄を意味する。
【0011】
WAPリンス:明細書中で用いられる「WAPリンス」という用語は、変動圧力を利用したリンスを意味する。
【0012】
洗浄性能:明細書中で用いられる「洗浄性能」という用語は、440nmで測定した試料(swatch)のデルタレミッション(delta remission)を意味する。デルタレミッションは、440nmで測定された洗浄後の試料のレミッションから、440nmで測定された未洗浄の試料のレミッションを差し引いたレミッションである。
【0013】
プラトーボーダー:明細書中で用いられる「プラトーボーダー(plateau border)」という用語は、泡/膜の接触時に形成される移行帯(transition zone)を意味する。浮遊性の泡を除き、膜はフレーム、バルク表面又はその他の膜によって支持される必要がある。移行帯は、これらを膜特性から区別され、常にバルク液を含み、プラトーボーダーと呼ばれる。
【0014】
従来の洗濯において、汚れた繊維製品は洗浄液に浸され、機械的作用に供された後、繰り返し水でリンスされ、乾燥される。洗浄液は、通常、界面活性剤及び酵素を含む。洗浄剤は、通常、発泡しないように製剤化される。
【0015】
本発明は、酵素を豊富に含む泡沫を繊維/繊維製品に加え、圧力変動によりミクロ的な機械的作用を加えると、従来の洗浄と比較して驚くほど向上した洗浄性能が実現されるという知見に基づく。さらに、圧力変動は、リンス工程で利用することもでき、これにより、向上したリンス効果が得られる。
【0016】
圧力変動方式を用いると、泡沫及びリンス水における洗浄活性成分及び汚れの希釈及び交換をスピードアップさせることができるので、洗浄及びリンスにおける水の消費は低減する。
【0017】
さらに、本発明は、マクロ的な機械的作用(ドラムの回転)を利用しないので、従来の洗浄工程よりも低減したエネルギー及び資源消費を実現できるとともに、酵素及び変動圧力の複合作用により加熱の省略又は低減を実現できる。
【0018】
この結果、本発明の洗浄によれば、従来の洗浄工程よりも短時間で、従来の洗浄工程では長時間を要していた結果と同一の結果を実現できる。
【0019】
ある態様において、本発明は、
(a)洗浄すべき対象物を、変動圧力耐性容器内に設置する工程、
(b)前記対象物に対して、少なくとも1種の発泡剤と少なくとも1種の酵素と溶存ガスとを含む泡状組成物を適用する工程、
(c)前記容器に対して変動圧力を加え、前記対象物を前記泡状組成物で洗浄する工程、及び
(d)前記対象物をリンスする工程
を含む、対象物の洗浄方法に関する。
【0020】
泡状組成物
泡状組成物は、少なくとも1種の発泡剤と少なくとも1種の酵素と溶存ガスとを含む。泡状組成物は、典型的には、水性泡状組成物である。泡状組成物は、本発明の方法での使用に特に適した泡状組成物であることが好ましい。
【0021】
発泡剤
少なくとも1種の発泡剤は、原理上は、安定した泡沫を形成できる公知のいかなる発泡剤であってもよく、その具体例としては、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、両性イオン界面活性剤、半極性界面活性剤又はそれらの組み合わせから選択される高発泡性界面活性剤が挙げられる。界面活性剤の種類及び濃度は、良好な泡沫形成性及び少なくとも1種の酵素との適合性の点から選択できる。界面活性剤の濃度は、典型的には、0.1重量%〜60重量%、0.1重量%〜30重量%、0.1重量%〜20重量%、0.1重量%〜10重量%、0.1重量%〜5重量%、0.1重量%〜1重量%である。
【0022】
泡状組成物に含有される陰イオン性界面活性剤、例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、アルファ−オレフィンスルホネート、アルキルスルホネート(脂肪族アルコールスルホネート)、アルコールエトキシスルホネート、第二級アルカンスルホネート、アルファ−スルホ脂肪酸メチルエステル、アルキル−若しくはアルケニルコハク酸又は石鹸は、通常、約0.1重量%〜約40重量%、0.1重量%〜30重量%、0.1重量%〜20重量%、0.1重量%〜10重量%、0.1重量%〜5重量%、0.1重量%〜1重量%である。
【0023】
泡状組成物に含有される非イオン性界面活性剤、例えば、アルコールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、アルキルポリグリコシド、アルキルジメチルアミンオキシド、エトキシ化脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸モノエタノールアミド、ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド又はグルコサミンのN−アシル N−アルキル誘導体(「グルカミド(glucamides)」)は、通常、約0.1重量%〜約40重量%、0.1重量%〜30重量%、0.1重量%〜20重量%、0.1重量%〜10重量%、0.1重量%〜5重量%、0.1重量%〜1重量%である。
【0024】
好ましくは、発泡剤は、陰イオン性界面活性剤から選択される。発泡剤の好ましい具体例としては、ユーセリン(Eucerin)及び直鎖C12アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)が挙げられる。
【0025】
本発明の方法のある実施形態では、少なくとも1種の発泡剤が、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、両性イオン界面活性剤、半極性界面活性剤又はそれらの組み合わせから選択される。
【0026】
本発明の方法のある実施形態では、陰イオン性界面活性剤が、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、アルファ−オレフィンスルホネート、アルキルスルホネート(脂肪族アルコールスルホネート)、アルコールエトキシスルホネート、第二級アルカンスルホネート、アルファ−スルホ脂肪酸メチルエステル、アルキル−若しくはアルケニルコハク酸、石鹸又はそれらの組み合わせから選択される。
【0027】
本発明の方法のある実施形態では、発泡剤の濃度が、汚れた対象物に対して0.1%〜60%(w/w)である。
【0028】
酵素
本発明の方法のある実施形態において、泡状組成物に含有される少なくとも1種の酵素は、原理上、対象物(例えば繊維/繊維製品)の汚れに対して効果を有することが知られているいかなる酵素であってもよい。そのような酵素としては、例えば、洗濯の際に一般的に使用されている、中性からアルカリ性の範囲で最適な活性を示す酵素、又は酸性から中性の範囲で最適な活性を示し酵素が挙げられ、その具体例としては、アミラーゼ、アラビナーゼ、カルボヒドラーゼ、セルラーゼ、クチナーゼ、ガラクタナーゼ、ハロペルオキシダーゼ、ヒドロラーゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンナナーゼ、オキシダーゼ、オキシドレダクターゼ、ペクチナーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ及びキシラナーゼからなる群より選択される少なくとも1種の酵素が挙げられる。本発明の方法のある実施形態で使用される泡状組成物に含有される少なくとも1種の酵素の詳細を以下に記載する。
【0029】
アミラーゼ:原理上、いかなるアミラーゼ(α及び/又はβ)を使用してもよい。好適なアミラーゼの具体例としては、細菌又は真菌由来のアミラーゼが挙げられる。化学的又は遺伝子的に改変された変異体であってもよい。アミラーゼの具体例としては、B. licheniformisの特定株から得られるα−アミラーゼが挙げられ、その詳細はGB1296839に記載されている。利用可能な市販のアミラーゼの具体例としては、DuramylTM、TermamylTM、FungamylTM及びBANTM(Novozymes A/S)並びにRapidaseTM及びMaxamyl PTM(Genencor)が挙げられる。
【0030】
セルラーゼ:原理上、いかなるセルラーゼを使用してもよい。好適なセルラーゼの具体例としては、細菌又は真菌由来のセルラーゼが挙げられる。化学的又は遺伝子的に改変された変異体であってもよい。好適なセルラーゼの具体例としては、US4435307に記載されたセルラーゼ、例えば、Humicola insolensが産生する真菌セルラーゼが挙げられる。特に好適なセルラーゼは、色調上の利点(colour care benefits)を有するセルラーゼである。そのようなセルラーゼの具体例としては、EP0495257に記載されているセルラーゼが挙げられる。利用可能な市販のセルラーゼの具体例としては、Humicola insolensのある株が産生するCelluzymeTM(Novozymes A/S)及びKAC-500(B)TM(Kao Corporation)が挙げられる。
【0031】
リパーゼ:好適なリパーゼの具体例としては、細菌又は真菌由来のリパーゼが挙げられる。化学的又は遺伝子学的に改変された変異体であってもよい。有用なリパーゼの具体例としては、Humicola lanuginosa由来リパーゼ(例えば、EP258068及びEP305216に記載されたもの)、Rhizomucor miehei由来リパーゼ(例えば、EP238023に記載されたもの)、C.antarctica等のCandida由来リパーゼ、例えば、C. antarctica由来リパーゼA又はB(例えば、EP214761に記載されたもの)、Pseudomonas由来リパーゼ、例えば、P. alcaligenes及びP. pseudoalcaligenes由来のリパーゼ(例えば、EP0218272に記載されたもの)、P. cepacia由来リパーゼ(例えば、EP0331376に記載されたもの)、P. stutzeri由来リパーゼ(例えば、GB1372034に記載されたもの)、P. fluorescens由来リパーゼ、Bacillus由来リパーゼ、例えば、B. subtilis由来リパーゼ(Dartois等, (1993), Biochemica et Biophysica acta 1131, 253-260)、B. stearothermophilus由来リパーゼ(JP64/744992)及びB. pumilus由来リパーゼ(WO91/16422)が挙げられる。さらに、多数のクローン化リパーゼが有用であり、その具体例としては、Penicillium camembertii由来リパーゼ(Yamaguchi等, (1991) Gene vol.103, p.61-67)、Geotricum candidum由来リパーゼ(Schimada, Y.等, (1989) J. Biochem. Vol.106, p.383-388)、様々なRhizopus由来リパーゼ、例えば、R. delemar由来リパーゼ(Hass, M.J 等, (1991) Gene vol.109, p.117-113)、R. niveus由来リパーゼ(Kugimiya等, (1992) Biosci. Biotech. Biochem. Vol.56, p.716-719)及びR. oryzae由来リパーゼが挙げられる。
【0032】
その他の種類の脂肪分解酵素も有用であり、その具体例としては、クチナーゼ、例えば、Pseudomonas mendocina由来クチナーゼ(例えば、WO88/09367に記載されたもの)又はFusarium solani pisi由来クチナーゼ(例えば、WO90/09446に記載されたもの)が挙げられる。
【0033】
特に好適なリパーゼとしては、例えば、M1 LipaseTM、Luma fastTM及びLipomaxTM(Genencor)、LipolaseTM及びLipolase UltraTM(Novo Nordisk A/S)、並びにLipase P 「Amano」(Amano Pharmaceutical Co. Ltd.)が挙げられる。
【0034】
ペルオキシダーゼ/オキシダーゼ:ペルオキシダーゼは、過酸化水素又はその供給源(例えば、過炭酸塩、過ホウ酸塩、過硫酸塩等)と組み合わせて使用される。オキシダーゼは、酸素と組み合わせて使用される。両種類の酵素は、「溶液漂白(solution bleaching)」のために、すなわち、複数の繊維製品が1つの洗浄液で一緒に洗浄される際、ある染色繊維製品の繊維染料が別の繊維製品へ移ることを防止するために使用され、好ましくは、例えばWO94/12621及びWO95/01426に記載されるような促進剤(enhancing agent)とともに使用される。好適なペルオキシダーゼ/オキシダーゼの具体例としては、植物、細菌又は真菌由来のペルオキシダーゼ/オキシダーゼが挙げられる。化学的又は遺伝子的に改変された変異体であってもよい。
【0035】
プロテアーゼ:好適なプロテアーゼの具体例としては、動物、植物又は微生物由来のプロテアーゼが挙げられる。微生物由来であることが好ましい。化学的又は遺伝子的に改変された変異体であってもよい。プロテアーゼの具体例としては、セリンプロテアーゼ、好ましくは微生物由来のアルカリプロテアーゼ又はトリプシン様プロテアーゼが挙げられる。アルカリプロテアーゼの具体例としては、スブチリシン、特にBacillus由来のスブチリシン、例えば、スブチリシンNovo、スブチリシンCarlsberg、スブチリシン309、スブチリシン147及びスブチリシン168(例えば、WO89/06279に記載されたもの)が挙げられる。トリプシン様プロテアーゼの具体例としては、トリプシン(例えば、ブタ又はウシ由来のトリプシン)及びFusarium由来プロテアーゼ(例えば、WO89/06270に記載されたもの)が挙げられる。利用可能な市販のプロテアーゼ酵素のうち、好ましいものとして、Alcalase、Savinase、Primase、Durazym、及びEsperase(Novozymes A/S)という商標名で販売されているプロテアーゼ、Maxatase、Maxacal、Maxapem、Properase、Purafect及びPurafect OXP(Genencor)という商標名で販売されているプロテアーゼ、並びに、Opticlean及びOptimase(Solvay Enzymes)という商標名で販売されているプロテアーゼが挙げられる。
【0036】
上記酵素は、混合物として、特に、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ及び/又はセルラーゼの混合物として、本発明で使用可能である。
【0037】
本発明の方法のある実施形態において、泡状組成物に含有される少なくとも1種の酵素の量、各酵素の量又は酵素の総量は、泡状組成物の総容積に対して、0.00001%〜30%、0.00001%〜20%、0.00001%〜10%、0.0001%〜5%、0.001%〜2%、又は0.01%〜1%である。
【0038】
本発明の方法のある実施形態において、少なくとも1種の酵素は、アミラーゼ;アラビナーゼ;カルボヒドラーゼ;セルラーゼ;クチナーゼ;ガラクタナーゼ;ハロペルオキシダーゼ;ヒドロラーゼ;リパーゼ;マンナナーゼ;オキシダーゼ、例えば、ラッカーゼ又はペルオキシダーゼ;オキシドレダクターゼ;ペクチナーゼ;プロテアーゼ;キシラナーゼ;又はそれらの組み合わせから選択される。
【0039】
本発明の方法のある実施形態において、少なくとも1種の酵素の濃度は、泡状組成物の総容積に対して、0.00001%〜10%;0.0001%〜5%;0.001%〜2%;又は0.01%〜1%である。
【0040】
溶存ガス
泡状組成物は、溶存ガス、典型的には大気中の空気を含有する。水道水は、大気中の空気を十分に含有しており、従って、そのまま使用できる。また、脱気水又はその他の液体に適当な任意のガスを供給して、泡状組成物に含有させてもよい。好適なガスは、例えば、大気中の空気、二酸化炭素等であり、これらの混合物であってもよい。
【0041】
その他の添加剤
本発明の方法のある実施形態において、泡状組成物は、さらに、少なくとも1種のその他の添加剤を含んでいてもよく、その他の添加剤は、例えば、クレイ(clay)等の繊維製品用コンディショナー(fabric conditioner);抗腐食剤(anti-corrosion agent);ハイドロトロープ(hydrotrope);再付着剤(redeposition agent);発泡促進剤(foam booster);泡沫安定化剤(foam stabilizing agent);泡立ち抑制剤(suds suppressor);酵素安定化剤;pH調整剤;ビルダー(洗浄助剤)(builder system);漂白剤;汚れ放出剤(soil-releasing agent);汚れ懸濁化剤(soil suspending agent);高分子色素転移阻害剤(polymeric dye transfer inhibiting agent);光学的光沢剤(optical brightener);研磨剤;殺菌剤;変色防止剤(tarnish inhibitor);柔軟剤;染料;着色剤;香料から選択される。これらのうちの幾つかについて、以下に記載する。
【0042】
泡沫安定化剤:泡状組成物は、1種以上の泡沫安定化剤、例えば、水/界面活性剤/ガスのエマルションを安定化できることが知られているグルコシド又は乳化剤を含有してもよい。
【0043】
pH調整剤:泡状組成物はまた、当業界で公知のpH調製剤、例えば、リン酸塩、硫酸塩、炭酸塩等の無機塩;カルボン酸、カルボキシレート、アミン、スルホネート等の有機化合物を含有してもよい。pH調整剤は、泡状組成物のpH値が、泡状組成物に含有される少なくとも1種の酵素に適するpH値、好ましくは最適なpH値となるように選択される。本発明の方法のある実施形態において、pH調整剤には、周知の緩衝成分、例えば、グリシン及び炭酸ナトリウムが含まれる。
【0044】
従来の洗浄組成物は、一般的に、アルカリ性又は中性の範囲のpH値を有し、その一因は、石鹸、界面活性剤及び洗浄組成物で一般的に使用されるその他の成分がアルカリ性であることにある。対照的に、本発明の泡状組成物は、石鹸又は界面活性剤を必須成分として含有しないので、pH値を特定の範囲に維持する必要がなく、該組成物に含有される酵素にとって最適な条件が得られるように、該組成物のpH値を選択できる。したがって、泡状組成物のpHは、酸性、アルカリ性又は中性の範囲とすることができる。特に、泡状組成物のpHは、4〜10の範囲、好ましくは5〜9の範囲とすることができる。
【0045】
当業者は、本発明の方法のある実施形態において、洗濯に使用される少なくとも1種の酵素に関する変更が可能であることを理解するであろう。例えば、ある実施形態において、泡状組成物が酸性pH値すなわち7未満(例えば4〜7)のpH値を有する場合、酸性条件下で最大活性が有する酵素が選択され、別の実施形態において、泡状組成物が中性pH値すなわち約7のpH値を有する場合、中性条件下で最大活性を有する酵素が選択され、さらに別の実施形態において、泡状組成物がアルカリ性pH値すなわち7を超える(例えば7〜10)pH値を有する場合、アルカリ性条件下で最大活性を有する酵素が選択される。
【0046】
ビルダー:泡状組成物は、0〜65重量%のビルダー又は錯化剤(complexing agent)、例えば、ゼオライト、二リン酸塩、三リン酸塩、ホスホン酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、アルキル−若しくはアルケニルコハク酸、可溶性ケイ酸塩、又は層状ケイ酸塩(例えば、Hoechst社製のSKS-6)を含有してもよい。
【0047】
酵素安定化剤:本発明の泡状組成物に含有される少なくとも1種の酵素は、慣用の安定化剤、例えば、ポリオール(例えば、プロピレングリコール又はグリセロール)、糖又は糖アルコール、乳酸、ホウ酸、ホウ酸誘導体(例えば、芳香族ホウ酸エステル)、フェニルボロン酸誘導体(例えば、4−ホルミルフェニルボロン酸)等を用いて安定化させることができる。
【0048】
ポリマー:本発明の方法のある実施形態において、泡状組成物は、1種又は2種以上のポリマーを含有してもよい。その具体例としては、カルボキシメチルセルロース、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピリジン−N−オキシド)、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリカルボキシレート、例えば、ポリアクリレート、マレイン酸/アクリル酸コポリマー、及びメタクリル酸ラウリル/アクリル酸コポリマーが挙げられる。
【0049】
漂白剤:本発明の方法のある実施形態において、泡状組成物は、H22供給源(例えば、過ホウ酸塩、過炭酸塩等)を含み得る漂白剤を含有し、過酸を形成する漂白活性化剤(例えば、テトラアセチルエチレンジアミン、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸塩(nonanoyloxybenzenesulfonate))を一緒に含有してもよい。また、漂白剤は、アミド、イミド、スルホン等のペルオキシ酸を含んでいてもよい。
【0050】
発泡方法
本発明の泡状組成物は、原理上、公知の発泡方法を用いて調製できる。泡沫形成方法は、硬化表面洗浄の技術分野(例えば、食品産業)で周知であり、そのような周知の方法及び該方法で使用される装置類を本発明の方法に適用してもよい。
【0051】
本発明の泡状組成物を調製する1つの方法として、高せん断混合器中で、各成分を混合し、発泡させる方法が挙げられる。
【0052】
本発明の泡状組成物を調製する別の方法として、適当な高圧ガス(propellant)とともに各成分を加圧下で容器中に収容し、スプレー缶又はエアゾール缶で周知の技術を用いて、適当なオリフィスを通じて吐出することにより、泡状組成物を形成する方法が挙げられる。高圧ガスとして、大気温度において圧縮性ガスであり、泡状組成物に対して不活性である任意の化合物を使用してよいが、ユーザー及び環境に対して無害である高圧ガスを使用することが好ましい。そのような高圧ガスは当業界で周知であり、本発明で使用可能である。好適な高圧ガスの具体例としては、窒素、プロパン及びブタンが挙げられる。
【0053】
泡沫を形成する別の方法として、泡沫分散(foam dispersion)で慣用される方法が挙げられ、このような方法は、例えば、硬化表面洗浄で慣用されており、容器中の高濃度の界面活性剤が用いられる。泡沫形成のために、水流によって、適当な量の界面活性剤(水に対して)が発泡ノズルへ送られる。界面活性剤の濃度は水圧に依存する。酵素は、界面活性剤とともに容器中に収容されてもよいし、別の容器に収容し、界面活性剤が発泡ノズルに送られる前又は後に水流中へ送られてもよい。また、泡状組成物の全ての成分を一緒に混合した後、発泡ノズルを通じて変動圧力耐性容器へ送ってもよい。
【0054】
泡状組成物は手作業で調製することも可能であり、例えば、各成分を混合し、機械的作用(例えば、ホイッピング又は手動泡立て器)によって混合物を発泡させることができる。手動泡立て器は当業界で公知であり、本発明の方法の幾つかの実施形態において使用可能である。
【0055】
泡状組成物が対象物に適用される際、可能な最良の洗浄条件が確保されるように、泡状組成物が均等に分配されることが重要である。泡状組成物の適用、分配及び/又は再分配は、混合、攪拌、振動、超音波又はそれらの組み合わせによって実現可能である。手作業で行ってもよい。棒、へら等を使用してもよいし、適当なデバイスを使用してもよい。泡状組成物は、本発明の変動圧力耐性容器の注入口及び注入ノズルを通じて適用することができる。
【0056】
泡状組成物の分配又は再分配を、容器中の対象物に対して均等に実施するために、上記方法は、短時間、例えば、0.5;1.0;1.5;2.0;2.5;3.0;3.5;4.0;4.5;又は5.0分間、泡状組成物が均等に分配されるまで実施され得る。
【0057】
洗浄すべき対象物は、例えば、繊維,繊維製品,衣類,革,皮,毛皮又は硬表面である。
【0058】
本発明の方法のある実施形態において、対象物は繊維,繊維製品,衣類,革,皮,毛皮又は硬表面である。
【0059】
圧力変動
圧力変動により、泡状組成物を塗布した繊維/繊維製品の内部及び表面に対する機械的作用を生じさせることができる。この機械的作用は、洗濯機の動作又は手作業によって得られる機械的作用の代わりとなる。
【0060】
洗浄の間、「流体力学的バリア(hydrodynamic barrier)」が形成される。このバリアの厚みは約1マイクロメートルであり、極性水素結合によって水分子がフィルム状に密に集合することにより、洗浄すべき対象物の表面に形成される。対象物の特性が疎水性であるか親水性であるかに依存して、このバリアのバリア効果は強くなったり弱くなったりする可能性があり、泡状組成物と対象物表面との間の分子交換を妨げる可能性がある。
【0061】
フロントローダー洗濯機による洗浄では、繊維製品をドラムの最上部から、洗浄溶液が存在する底部へ投入し、繊維製品に対して機械的作用を加えることができる。このマクロ的な機械的作用によって流体力学的バリアが部分的に破壊され、これにより、洗浄溶液と繊維製品との相互作用が促進する。従来の洗浄において、泡沫は、絶縁体(insulator)として作用する点で望ましくなかった。泡沫は、対象物に対してさらなる流体力学的バリアとして作用し、これにより、バリアの厚みを有意に増加させ、洗浄及びリンスの際に汚れの除去を妨げる可能性がある。
【0062】
本発明では、圧力変動により、流体力学的バリア内に微視的レベルな機械的作用が生じる。洗浄液は泡状組成物として加えられ、繊維/繊維製品に吸収される。特に多孔質材料は比較的多量の泡沫を含み得る。圧力が減少すると、泡状組成物中の溶存ガスが、サイズを増大させ、気泡として出現する。泡状組成物の粘弾性に依存した気泡サイズの変化により、繊維/繊維製品の内部及び表面に対するミクロ的な機械的作用が生じる。この作用により、泡状組成物の活性成分と繊維/繊維製品の汚れ成分との交換が促進され、放出された汚れ及び分解産物が繊維製品から除去される。
【0063】
2〜3barの圧力を適用することにより、泡沫が標準的な液体としては作用するが、空気/水界面活性剤エマルションとしては作用しない程度まで、気泡が減少する。これにより、水のように希釈することが可能であるし、変動圧力耐性容器から排出することも可能である。このように、圧力変動により、ミクロ的な機械的作用及び繊維製品の化学交換が実現される。
【0064】
泡状組成物に変動圧力が適用されると、気泡の「壁(wall)」を作り出す液膜が、繊維/繊維製品の内部及び表面を移動する。泡沫のプラトーボーダーに含まれる液体が増えると、低圧力下で破裂する気泡が減少する。洗浄性能は気泡の存在に依存するので、低圧力下における気泡の増加と気泡の破裂とのバランスが洗浄結果に影響を与える。1〜2barの圧力を適用すると、気泡のサイズが減少する。気泡はほとんど消え、気泡の周りに壁を形成する液膜は厚くなり、プラトーボーダーも同様であり、これにより、泡状組成物中の化学薬品及び物質の移送が容易となる。低圧力及び高圧力が順に適用される圧力変動により、ミクロ的な機械的作用が生じ、汚れ及び酵素分解物の繊維/繊維製品表面からの除去が促進されるとともに、酵素及びその他の任意の洗浄成分の繊維/繊維製品表面への移送が促進される。
【0065】
本発明の方法のある実施形態において、洗浄工程は、圧力が順に減少及び増加する少なくとも1回の圧力変動サイクルを含む。1回の圧力変動サイクルは、圧力の減少及びそれに続く圧力の増加に相当する。また、圧力変動が実施される時間を特定してもよい。この時間内において、1回又は2回以上の圧力変動サイクルを実施することができる。
【0066】
少なくとも2回の圧力変動サイクル繰り返すことにより、家庭で実施されてきた従来の洗濯と同レベル又はそれよりも高いレベルで衣類を洗浄するのに十分な機械的作用が、容器内に生じる。
【0067】
圧力が減少すると、泡状組成物に含有される溶存ガスが気泡を形成し、及び/又は存在する気泡を増大させる。一方、圧力が増加すると、気泡が減少し、及び/又は部分的に崩壊若しくは溶解し得る。圧力変動サイクル数は適宜変更可能であり、例えば、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29又は30サイクルとすることができる。同様に、圧力変動時間は適宜変更可能であり、例えば、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29又は30分間継続することができる。
【0068】
本発明の方法の幾つかの実施形態において、変動圧力は、少なくとも−1.0bar,少なくとも−0.9bar,少なくとも−0.8bar,少なくとも−0.7bar,少なくとも−0.6bar,少なくとも−0.5bar,少なくとも−0.4bar,少なくとも−0.3bar,少なくとも−0.2bar,少なくとも−0.1bar又は少なくとも0.1bar;少なくとも0.2bar;少なくとも0.3bar,少なくとも0.4bar,少なくとも0.5bar,少なくとも0.6bar,少なくとも0.7bar,少なくとも0.8bar,少なくとも0.9bar,少なくとも1.0bar,少なくとも1.1bar,少なくとも1.2bar,少なくとも1.3bar,少なくとも1.4bar,少なくとも1.5bar,少なくとも2.0bar,少なくとも2.5bar,少なくとも3.0bar,少なくとも3.5bar,少なくとも4.0bar,少なくとも4.5bar又は少なくとも5.0barである。
【0069】
泡状組成物の再使用
対象物の洗浄の際、泡沫組成物を再使用又は追加(flushing)してもよく、この際、変動圧力を中断してもよい。再使用は、使用済み泡状組成物を排出し、再度適用することにより実施することができ、追加は、新しい泡状組成物を加えることにより実施することができる。再使用又は追加は、汚れの除去及び/又は溶存ガスの補給に役立つ。
【0070】
再使用又は追加によって生じるマクロ的な機械的作用は、圧力変動によって生じるミクロ的な機械的作用と組み合わせることができる。これは、容器の注入口及びノズルを通じて泡状組成物を適用することにより実施可能である。圧力を低下させると、泡状組成物が泡沫として容器内に流入する。その後、チャンバーに圧力を加え、容器下部の流出口を短時間開けると、泡状組成物が、泡沫容器内に設置された繊維/繊維製品を通過し、これにより対象物の浸潤及び泡状組成物の分配が実現される。この工程は、初期の浸潤及び分配のために使用してもよいし、圧力変動サイクル間において泡状組成物を再使用又は追加するために使用してもよい。再循環により泡状組成物は再生され、次の圧力変動サイクルに使用することができる。さらに、泡状組成物の流れによって、化学薬品及び物質の液体への移送が促進される。
【0071】
再使用又は追加の際に泡沫が形成され、それを除去するためには、比較的高い又は低い圧力が必要となる。したがって、再使用又は追加の回数は、洗浄のために十分な泡沫を形成するという目的に適するように選択されるべきである。圧力変動により、従来のリンスよりも効果的な泡沫のコントロール及び除去が可能となるが、泡沫量のバランスにも注意すべきである。
【0072】
本発明の方法のある実施形態において、泡状組成物は、工程(b)の間及び/又は工程(c)の後に、対象物に対して再分配される。
【0073】
本発明の方法のある実施形態において、混合、攪拌、振動、超音波又はそれらの組み合わせによって、泡状組成物が再分配される。
【0074】
本発明の方法のある実施形態において、工程(c)において対象物を洗浄している間に、容器の排出口から泡状組成物を回収し、容器の注入口から再適用することにより、泡状組成物を少なくとも1回再利用する。
【0075】
本発明の方法のある実施形態において、工程(c)において対象物を洗浄している間に、容器の排出口から泡状組成物を回収し、容器の注入口から新しい泡状組成物を適用することにより、泡状組成物を少なくとも1回追加(flush)する。
【0076】
本発明の方法のある実施形態において、泡状組成物の再利用及び/又は追加は2,3,4,5,6,7,8,9又は10回実施される。
【0077】
リンス
従来の洗浄工程において、過剰の泡沫は好ましくない。過剰の泡沫は、洗浄の間及びリンスの間において、洗浄成分と、繊維製品から周囲環境へ放出される汚れとの交換を減少させるからである。本発明のある実施形態は、圧力変動により、この問題を解決する。さらに、容器内の圧力を増加させることにより、泡状組成物が液体として挙動し得る程度まで、泡沫を形成する気泡を減少させることができる。この液体は希釈可能であり、排出システムを通じて容器の外部へ移送可能である。これにより、WAPリンスに要する水量は、EUフロントローダー洗濯機及びその他のトップローダー洗濯機の標準リンスに要する水量よりも少なくなる。
【0078】
本発明の方法の重要な利点は、泡沫のコントロールにある。これは、消泡剤を、従来の洗浄溶液で使用されているのと同程度まで必要としないことを意味する。
【0079】
対象物の洗浄後、リンスを実施することができる。リンスは、慣用のリンス方法、例えば、手作業によるリンス、洗濯機によるリンス等によって実施することができる。リンスは、変動圧力を用いたWAPリンスによって実施することもできる。WAPリンスでは、水又はその他の適当な液体を低圧力下で容器に収容し、高圧力下で容器から排出する。WAPリンスは、洗浄工程と同様に、圧力の減少及び増加という少なくとも1サイクルによって実施することができる。WAPリンスに含まれる変動圧力のサイクル数は適宜変更可能であり、例えば、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29又は30サイクルとすることができる。また、変動圧力の適用時間は適宜変更可能であり、例えば、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29又は30分とすることができる。サイクル間又は変動圧力の適用時間において、使用した液体を排出し、新しい水/リンス液を加えてもよい。
【0080】
圧力変動によりリンス効果が向上することが、驚くべきことに見出された。この知見は、洗浄性能の向上及びリンス液中の残存LAS量の減少の検出に基づく。リンス効果の向上によって、水の消費量を減少させることができる。
【0081】
本発明の方法のある実施形態において、リンス効果は、対象物に対してリンス液を適用するとともに、容器に対して変動圧力を適用することにより得られる。
【0082】
本発明の方法のある実施形態において、本発明は、
(a)リンスすべき対象物を変動圧力耐性容器内に設置する工程、
(b)前記対象物に対してリンス液を適用する工程、及び
(c)前記容器に対して変動圧力を加え、前記対象物を前記リンス液でリンスする工程
を含む、対象物のリンス方法に関する。
【0083】
乾燥
乾燥工程は、例えば、高圧力又は低圧力の適用、加熱、遠心、あるいは、これらの組み合わせによって実施することができる。
【0084】
温度
本発明の方法によって洗浄する際の温度は、酵素が活性を維持し得る温度である限り、特に限定されない。低温度に適する酵素もあるし、高温度に適する酵素もあることは、当業者に理解されている。したがって、酵素の選択及び洗浄される繊維を考慮して、適当な温度が選択することができる。一般的な温度範囲は、0〜90℃、5〜50℃、10〜40℃、15〜30℃、20〜25℃である。本発明のある実施形態において、温度は大気温度であり、例えば、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃又は25℃から選択される。
【0085】
このように、本発明は、特定の泡状組成物及び洗浄組成物の選択、並びにこれらの組成物に含有される特定の酵素の選択に基づいて、洗浄工程における優れた作用効果を奏する。
【0086】
装置
本発明の方法を実施するための装置を具体的に設計した。装置及び操作方法を以下で説明する。
【0087】
説明:装置の様々な構成要素を符号により図6に示す。
1.減圧、OFF又は加圧を選択するスイッチ部。
2.流量調節部(テストチャンバー内の圧力増加速度を制御する)。
3.圧力調節部(テストチャンバー内の圧力を制御する)(最大圧力:3bar)。
4.減圧調節部(テストチャンバー内の最小圧力を制御する)。
5.減圧用流量調節部(テストチャンバー内の圧力減少速度を制御する)。
6.テストチャンバー上部への注入口。該注入口を通じて導入された液体は、テストチャンバー蓋部のノズルを通じて噴出される。
7.テストチャンバー下部への注入口。
8.テストチャンバー下部からの排出口。
9.過度の圧力を防止する安全弁(圧力計の後ろに隠れている)。該安全弁は、圧力が約3barのときに開かれる。
10.テストチャンバー蓋部を固定する蝶ナット(全部で3つ)。
11.テストチャンバー蓋部。
12.テストチャンバー。
13.圧力計。
14.再循環ポンプ。
15.再循環ポンプのスイッチ。
【0088】
操作:使用前に、装置を電源(230V)及び圧縮空気(最大圧力10bar)に接続する。装置を以下のように操作する:
1.3つの蝶ナットを、テストチャンバー蓋部から外す。この際、圧力平衡を確保するために、注入口又は排出口のいずれかを開いておく必要がある。
2.繊維/繊維製品のサンプルをチャンバー内に設置した後、蓋部を設置し、3つの蝶ナットを締めて固定する。
3.注入口及び排出口を閉める。
4.スイッチを「tryk」にセットする。テストチャンバー内の圧力は徐々に増加する。増加速度は流量調節部2のバルブで制御可能である。最終圧力は圧力調節部3によってセットされる。圧力は+0bar〜+3barにセットすることができる。圧力が増加して約3barを超える場合、安全弁が開かれる。
5.スイッチを「減圧」にセットする。テストチャンバー内の圧力は徐々に減少する。減少速度は、減圧用流量調節部5のバルブによって制御可能である。最終圧力は減圧調節部4によってセットされる。選択可能な最小圧力は約−0.8barである。
6.液体をテストチャンバー内に吸引すべきとき、スイッチ1は「減圧」にセットされる。注入用チューブ(注入口6及び7に装着されている)を該液体中にセットする。注入口6が開かれると、該液体はチャンバー上部へ吸引され、ノズルを通じて噴出される。注入口7が開かれると、該液体はテストチャンバー下部に吸引される。
7.テストチャンバーは、スイッチを「tryk」にセットし、排出口8を開くことにより、空の状態となる。
8.スイッチ15を操作してポンプ14を作動させることにより、液体を再循環させてもよい(テストチャンバー下部から吸引して、テストチャンバー上部から噴出させる)。この際、該ポンプは0〜0.8barの間で作動可能である点に留意する。
【0089】
洗浄:テストチャンバーの材質はPVCであり、大部分の洗浄剤、強アルカリ及び強酸に対する耐性を有する。
【0090】
本発明は、明細書に記載された特定の態様に限定されるものではない。これらの態様は、本発明の具体例を示すにすぎないからである。それらと等価の任意の態様も本発明の範囲に含まれることが意図される。実際に様々な修正を本発明に加えることができ、そのような修正は明細書の記載に基づいて当業者に自明であろう。そのような修正が加えられた発明も本発明の範囲に含まれることが意図される。文脈に応じて、明細書に記載された用語の意義は変更され得る。
【実施例】
【0091】
緩衝液及び物質として用いた化学薬品は、少なくとも試薬グレードの市販品である。
【0092】
【表1】

【0093】
標準洗浄
家庭用洗濯機(Miele)による強洗浄(fine wash)プログラム(40℃,主洗浄30分+濯ぎ時間)を標準洗浄として用いた。65gのAriel Sensitive(P&G, デンマーク製, 2008年)(約0.4%プロテアーゼ及び約0.2%アミラーゼ含有)を用いて、実施例に示した汚れ群を洗浄した。5枚の枕カバー(100%ポリエステル)、2枚のTシャツ(100%綿)、5枚のTシャツ(100%綿)、4枚のシャツ(60%ポリエステル及び40%綿)及び1枚のタオル(100%綿)を含めた合計繊維量は2.6kgである。
【0094】
ビーカー洗浄
ビーカー洗浄は、1000mlガラスビーカー中で実施した。該洗浄は、室温(20〜22℃)、pH9.0で30分間実施した。
1)100mlビーカーに、42.5mlのA液(8mM Na2CO3)及び42.5mlのB液(8mM CHNaO3)を加えた。
2)0.210mlのCa/Mg溶液及び0.630mlの0.535M炭酸水素ナトリウム溶液を加えた。
3)2.4mlのLAS溶液を加えた。
4)pHを9.00±0.05に調整した。この時点で、発泡性組成物が調製される。
5)発泡性組成物を1000mlガラスビーカーに移した。ミルク泡立て器(milk foamer)を用いて発泡性組成物を1分間発泡させた(必要であれば、酵素を添加する)。ビーカー洗浄を開始し(この時点を0分とする)、繊維/繊維製品に対して発泡させた泡状組成物を適用した。
6)へらを用いて手作業で1分間攪拌し、ビーカー洗浄を30分間継続した。
7)へらを用いて手作業で30秒間攪拌した。所望の種類のリンスを調製した。
【0095】
WAP洗浄
WAP洗浄は、特別に設計したWAP装置で実施した。該装置は、変動圧力耐性容器に基づいて設計されており、上記のような圧縮空気を利用可能である。該洗浄は、室温(20〜22℃)、pH9.0で30分間実施し、その後、リンスを実施した。低圧力計が示す圧力は0.5bar及び0.45barである。
1)500mlビーカーに、42.5mlのA液(8mM Na2CO3)及び42.5mlのB液(8mM CHNaO3)を加えた。
2)0.210mlのCa/Mg溶液及び0.630mlの0.535M炭酸水素ナトリウム溶液を加えた。
3)2.4mlのLAS溶液を加えた。
4)pHを9.00±0.05に調整した。この時点で、発泡性組成物が調製される。
5)ミルク泡立て器を用いて発泡性組成物を1分間発泡させた(必要であれば、酵素を添加する)。繊維/繊維製品をWAP容器に収容し、WAP洗浄を開始した(この時点を0分とする)。圧力を−0.1barに調整し、注入口のピン(inlet pin)を開けて、発泡させた泡状組成物を吸引した。
6)注入口のピンを閉めて、圧力を3barに調整した。2つの排出用チューブを2Lビーカーに設置し、2つの排出口のピン(outlet pin)を開けて、圧力がほとんど0になったときに2つの排出口のピンを閉めた(開口部を濡れた布で覆い、エアロゾルが空気中に流出しないように留意した)。
7)圧力を−0.1barに調整し、注入口のピンを開けて、再度吸引した。注入口のピンを閉めて、圧力を0barに調整し、WAP容器の蓋を開けて、へらを用いて手作業で1分間攪拌した。
8)再度蓋を閉め、変動圧力を加えながら洗浄を継続した。変動圧力(AP)は次の通りとした:圧力を、3秒間、0.1barとした後、12秒間、減圧(−0.5bar)し、30秒間、減圧を維持する。注入口のピンを閉めて、チャンバーから泡沫を回収することにより、泡沫を5分間再循環させ、圧力を3barに調整した。2つの排出用チューブを2Lビーカーに設置し、2つの排出口のピンを開け、圧力がほとんど0となったときに2つの排出口のピンを閉めた(開口部を濡れた布で覆い、エアロゾルが空気中に流出しないように留意した)。
9)圧力を−0.1barに調整し、注入口のピンを開け、再度吸引した。変動圧力(AP)を繰り返し、15分間再循環し、変動圧力(AP)を繰り返し、25分間再循環し、変動圧力(AP)を30分間繰り返した。
10)圧力を0barに調整し、WAP容器の蓋を開け、へらを用いて手作業で30秒間攪拌した。
11)再度蓋を閉め、WAPリンスを実施した。この際、注入口のピンを閉め、圧力を3barに調整した。2つの排出用チューブを2Lビーカーに設置し、2つの排出口のピンを開け、圧力がほとんど0になったときに2つの排出口のピンを閉めた(開口部を濡れた布で覆い、エアロゾルが空気中に流出しないように留意した)。所望の種類のリンスを調製した。
【0096】
ビーカーリンス
繊維/繊維製品を、冷水道水を含有する5000mlプラスチックビーカーに移し、5分間リンスを実施した。リンスの間、繊維/繊維製品が水中を周回していることを確認した。繊維/繊維製品を取り出し(この際、使い捨て手袋を着用した)、繊維/繊維製品を絞り、紙で覆われたグリッド(grid)に設置し、一晩室温に放置して乾燥させた。バラスト処理物(ballast load)は廃棄した。
【0097】
WAPリンス
1)リンスの際、圧力を−0.1barに調整し、注入口のピンを開け、90mlの水道水を吸引した。注入口のピンを閉め、圧力を3barに調整した。2つの排出用チューブを2Lビーカーに設置し、2つの排出口のピンを開け、圧力がほとんど0になったときに、2つの排出口のピンを閉めた(開口部を濡れた布で覆い、エアロゾルが空気中に流出しないように留意した)。これを3回繰り返した。
2)圧力を0barに調整し、WAP容器の蓋を開け、繊維/繊維製品を取り出し(この際、使い捨て手袋を着用した)、繊維/繊維製品を絞り、紙で覆われたグリッド(grid)に設置し、一晩室温に放置して乾燥させた。バラスト処理物(ballast load)は廃棄した。
【0098】
デルタレミッション(Delta remission)
デルタレミッションの測定は、Macbeth Color-Eye 7000(Largo AB, Box 5259, Prastgardsangen 3, SE-402 25 Goteborg, Sweden)を用いて440nmで実施した。洗浄したサンプル群を、紙で覆われたグリッド(grid)に設置し、一晩室温に放置して乾燥させた。翌日、サンプル群のデルタレミッションを測定した。
【0099】
再汚染(Redeposition)
トレーサー用試料(tracer swatch)であるWfk10A(100%綿,予め洗浄)及びWfk30A(100%ポリエステル,予め洗浄)を、汚れたサンプル及びバラスト繊維製品(ballast fabric)に加えて洗浄及びリンスを実施し、再汚染を試験した。トレーサー用試料を、紙で覆われたグリッド(grid)に設置し、一晩室温に放置して乾燥させた。翌日、トレーサー用試料の440nmにおけるデルタレミッションを測定した。
【0100】
図中、Y軸で示される洗浄性能は、同一洗浄を実施した全ての試料に関するデルタレミッションから累算した合計である。各試料のデルタレミッション値及びその合計を表に示す。
【0101】
実施例1:WAP洗浄
ビーカー洗浄、WAP洗浄、標準洗浄及びWAPリンスは全て上記のように実施した。
【0102】
【表2】

【0103】
洗浄性能を図1に示す。図1に示すように、各泡状組成物(酵素を豊富に含有するLAS泡沫)を用いた場合、WAP洗浄(カラム4)は、ビーカー洗浄よりも良好な洗浄性能を示した。この結果は、攪拌の有無(攪拌なし(カラム1)、短時間(1.5分間)の攪拌(カラム2)、9分間の攪拌(カラム3))に依存しない。WAP洗浄は1.5分間の攪拌を含む。この結果は、汚れた繊維/繊維製品の洗浄において、機械的作用を部分的に、変動圧力等の別の工程で置き換えることができることを示す。
【0104】
Ariel Sensitive(5g/L)を用いて40℃で実施した、強洗浄プログラムでの洗濯機の洗浄性能は、標準洗浄に関する上記実施例と同様にして試験した。WAP(カラム4)の洗浄性能は、強洗浄(カラム5)の洗浄性能よりも良好であった。WAP洗浄は20℃で実施されたのに対して、強洗浄は40℃で実施された点が注目に値する。
再汚染は、強洗浄よりも改善された。
【0105】
実施例2:WAP洗浄と低圧力洗浄及び高圧力洗浄との比較
WAP洗浄は、上記実施例と同様に実施した。カラム2及び3に示されるWAP洗浄に以下の修正を加えた。カラム2に関しては、WAP洗浄における変動圧力を、−0.5barという一定の低圧力に変更した。カラム3に関しては、WAP洗浄における変動圧力を、0.2〜0.3barという一定圧力に変更した。洗浄及びリンスに関するその他の全ての工程に変更はない。
【0106】
一定圧力(−0.5bar)での洗浄
1)ステップ8までのWAP洗浄を実施した。圧力を−0.5barに調整し、その圧力を5分間継続した。注入口のピンを閉めて、チャンバーから泡沫を回収することにより、泡沫を再循環させ、圧力を3barに調整した。2つの排出用チューブを2Lビーカーに設置し、2つの排出口のピンを開け、圧力がほとんど0となったときに2つの排出口のピンを閉めた。(開口部を濡れた布で覆い、エアロゾルが空気中に流出しないように留意した)。
2)圧力を−0.1barに調整し、注入口のピンを開け、再度吸引した。減圧し、圧力を−0.5barに調整し、その圧力を次の再循環まで15分間継続した。再循環を25分間繰り返した。洗浄の継続時間は30分間とした。
3)ステップ10以降のWAP洗浄を実施した。
【0107】
一定圧力(0.2〜0.3bar)での洗浄
1)ステップ8までのWAP洗浄を実施した。圧力を0.2〜0.3barに調整し(別の新たな泡沫が手元にあることを確認しておくのがよい)、その圧力を5分間継続した。注入口のピンを閉めて、チャンバーから泡沫を回収することにより、泡沫を再循環させ、圧力を3barに調整した。2つの排出用チューブを2Lビーカーに設置し、2つの排出口のピンを開け、圧力がほとんど0となったときに2つの排出口のピンを閉めた(開口部を濡れた布で覆い、エアロゾルが空気中に流出しないように留意した)。
2)圧力を−0.1barに調整し、注入口のピンを開け、再度吸引した。圧力を0.2〜0.3barに調整し、その圧力を次の再循環まで15分間継続した。再循環を25分間繰り返した。洗浄の継続時間は30分間とした。
3)ステップ10以降のWAP洗浄を実施した。
【0108】
【表3】

【0109】
洗浄性能を図2に示す。図2に示すように、圧力変動により、圧力を変動させていない一定圧力での洗浄よりも良好な洗浄性能が実現された。
【0110】
実施例3:洗浄性能に対するWAPリンスの効果
ビーカー洗浄、ビーカーリンス及びWAPリンスを上記実施例と同様に実施した。
【0111】
【表4】

【0112】
洗浄性能を図3に示す。図3に示すように、WAPリンスは、洗浄性能を向上させた。この理由は、おそらく、表中の再汚染試験の結果に示されるように、WAPリンスによってLASがより効果的に除去される点にある。
【0113】
実施例4:リンス溶液中の残存LAS量に対するWAPリンスの効果
それぞれ25gのバラスト繊維製品である2つの繊維片を、80%LAS溶液(3.8mg/ml水溶液)中で5分間WAP洗浄した。WAP洗浄は、上記ステップ1〜8に準じて実施した。
【0114】
バラスト繊維製品を、WAPリンス又はビーカーリンスのいずれかでリンスし、第3回目及び最後のリンス溶液から、20mlアリコートを回収し、残存LASの有無に関して試験した。下記表に示すように、回数を増やしてビーカーリンスを実施し(4〜6回)、それに由来するアリコートについても残存LASの有無を試験した。LASに関する分析は、ラムダ2分光光度計(Perkin Elmer社製)を用いて270nmで実施した。
【0115】
【表5】

【0116】
洗浄性能を図4に示す。図4に示すように、WAPリンスはビーカーリンスよりも優れている。この結果は、第3回目及び最後のリンス溶液中の残存LAS量が、ガラスビーカー中で機械的攪拌(へらを用いた手作業での攪拌)により実施した対応リンス溶液中の残存LAS量よりも少ないことを示す。ビーカーリンスの回数を増やすと(カラム4,5及び6)残存LAS量は減少するが、WAPリンス(カラム2)のレベルまでには減少しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)洗浄すべき対象物を、変動圧力耐性容器内に設置する工程、
(b)前記対象物に対して、少なくとも1種の発泡剤と少なくとも1種の酵素と溶存ガスとを含む泡状組成物を適用する工程、
(c)前記容器に対して変動圧力を加え、前記対象物を前記泡状組成物で洗浄する工程、及び
(d)前記対象物をリンスする工程
を含む、対象物の洗浄方法。
【請求項2】
工程(b)の間及び/又は工程(c)の後に、前記泡状組成物が前記対象物に対して再分配される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
混合、攪拌、振動、超音波又はそれらの組み合わせによって、前記泡状組成物が再分配される、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
工程(c)において対象物を洗浄している間に、前記容器の排出口から前記泡状組成物を回収し、前記容器の注入口から再適用することにより、前記泡状組成物を少なくとも1回再利用する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記泡状組成物の再利用を2,3,4,5,6,7,8,9又は10回実施する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記対象物に対してリンス液を適用し、前記容器に対して変動圧力を加えることにより、リンスを行う、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1種の発泡剤が、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、両性イオン界面活性剤、半極性界面活性剤又はそれらの組み合わせから選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記陰イオン性界面活性剤が、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、アルファ−オレフィンスルホネート、アルキルスルホネート(脂肪族アルコールスルホネート)、アルコールエトキシスルホネート、第二級アルカンスルホネート、アルファ−スルホ脂肪酸メチルエステル、アルキル−若しくはアルケニルコハク酸、石鹸又はそれらの組み合わせから選択される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1種の発泡剤の濃度が、汚れた対象物に対して0.1%〜60%(w/w)である、請求項7又は8記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1種の酵素が、アミラーゼ;アラビナーゼ;カルボヒドラーゼ;セルラーゼ;クチナーゼ;ガラクタナーゼ;ハロペルオキシダーゼ;ヒドロラーゼ;リパーゼ;マンナナーゼ;オキシダーゼ、例えば、ラッカーゼ又はペルオキシダーゼ;オキシドレダクターゼ;ペクチナーゼ;プロテアーゼ;キシラナーゼ;又はそれらの組み合わせから選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1種の酵素の濃度が、前記泡状組成物の総容積に対して0.00001%〜10%;0.0001%〜5%;0.001%〜2%;又は0.01%〜1%である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
(a)リンスすべき対象物を変動圧力耐性容器内に設置する工程、
(b)前記対象物に対してリンス液を適用する工程、及び
(c)前記容器に対して変動圧力を加え、前記対象物を前記リンス液でリンスする工程
を含む、対象物のリンス方法。
【請求項13】
前記変動圧力が、少なくとも−1.0bar,少なくとも−0.9bar,少なくとも−0.8bar,少なくとも−0.7bar,少なくとも−0.6bar,少なくとも−0.5bar,少なくとも−0.4bar,少なくとも−0.3bar,少なくとも−0.2bar,少なくとも−0.1bar,少なくとも0.1bar,少なくとも0.2bar,少なくとも0.3bar,少なくとも0.4bar,少なくとも0.5bar,少なくとも0.6bar,少なくとも0.7bar,少なくとも0.8bar,少なくとも0.9bar,少なくとも1.0bar,少なくとも1.1bar,少なくとも1.2bar,少なくとも1.3bar,少なくとも1.4bar,少なくとも1.5bar,少なくとも2.0bar,少なくとも2.5bar,少なくとも3.0bar,少なくとも3.5bar,少なくとも4.0bar,少なくとも4.5bar又は少なくとも5.0barである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記対象物が繊維,繊維製品,衣類,革,皮膚,毛皮又は硬表面である請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−508606(P2012−508606A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536024(P2011−536024)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065110
【国際公開番号】WO2010/055121
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(500586299)ノボザイムス アクティーゼルスカブ (164)
【Fターム(参考)】