説明

導電回路の形成方法

【課題】金属微粒子分散液を基板上に回路状にパターニングして、加熱焼成により導電性の高い導電回路を形成する方法を提供する。
【解決手段】導電回路(B)の形成方法であって、金属微粒子分散液を用いて基板上に回路状にパターニングした後、加熱乾燥して回路前躯体(A)を形成する工程1と、液状の還元剤(C)により該回路前躯体(A)の表面コーティングを行い、還元性ガス雰囲気中、又は還元性ガスと不活性ガス雰囲気中で該回路前躯体(A)を加熱焼成して導電回路(B)を形成する工程2、を含む工程から形成されることを特徴とする導電回路の形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属微粒子分散液を用いて、パターニング、乾燥、及び焼成による導電回路の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基材上に導電回路、電極等を形成する目的で、広く導電性ペースト等が用いられている。例えば、特許文献1には、銅微粒子を有機溶媒中に分散させた銅ペーストの塗膜を真空電気炉内に装填し、減圧下でオゾンを導入した酸化性雰囲気中で仮焼することにより有機物を分解除去し、次いで雰囲気を還元性に切り替えて仮焼工程において部分的に酸化された銅薄膜を還元させて最終的に本焼成を行う金属薄膜を形成方法が開示されている。
金属微粒子は一般に表面エネルギーが高いためにその分散溶液中で金属微粒子同士が相互に凝集して、粒径の大きい二次凝集体を形成する傾向がある。従って、金属微粒子間の凝集を防ぐために、その表面保護基として、アルキルアミン、カルボン酸アミド、モノカルボン酸塩等の低分子化合物の他に、ポリエステル、ポリアクリルニトリル等の高分子化合物を使用することができるがこれらの保護基は絶縁物であるので、いずれの化合物も、加熱又は焼成によって完全に消失するのは容易ではない。その結果、金属微粒子インクジェットインクを用いて金属配線を形成する場合の体積抵抗値が下がりにくい原因となる。
【0003】
また、金属微粒子は表面エネルギーが高く酸化され易いので、金属微粒子インクジェットインクを保存する際には、酸素を除去すると共に、空気と遮断して保存する必要がある。
特許文献2には、1次粒径が100nm以下の金属酸化物微粒子の表面に保護層を形成させなくてコロイド状態を維持したインクジェット用インクをインクジェット法により基板に塗布して、金属酸化物を化学変化させることにより、金属含有薄膜を形成する方法が開示されている。特許文献3には、還元剤を含む非水性溶媒中に、金属化合物を添加して金属化合物を還元する金属含有薄膜の形成方法が開示されている。
【0004】
金属微粒子分散液から焼成手段を用いて導電回路を形成する方法としては、まず、ガラス、シリコンウエハー等の基板へ金属微粒子分散液を塗布する。この塗布法としては、基板を回転させつつ基板上に金属コロイドを滴下する方法(スピンコーター法)や、金属コロイドを基板上に噴出する方法(インクジェット法)、スクリーン印刷法等が有効である。そして、金属コロイド塗布後、加熱・焼成して基板上の金属微粒子を焼結し、導電回路を形成することができる。
金属微粒子分散液には通常保護剤が添加されている。該保護剤は、金属コロイド中で金属微粒子の周囲に化学的又は物理的に結合、吸着する化合物で、金属微粒子同士の凝集を抑制し粒径分布を適性範囲に制御し安定化させる機能を有しており、分散剤とも称される。
即ち、金属微粒子分散液に保護剤を添加することで、金属コロイドを溶媒に分散させる際に微粒子の良好な分散状態を保持し、金属微粒子を分散状態で基板上に堆積することができる。これまで、上記した各種用途に適用可能な金属微粒子分散液は、種々の金属からなる金属微粒子と、保護剤としてポリビニルピロリドン(以下、PVPということがある。)等のポリマーや4級アンモニウム塩を適用するものが出願されている(特許文献4〜7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−308119号公報
【特許文献2】特開2004−277627号公報
【特許文献3】特開2006−257517号公報
【特許文献4】特開平11−151436号公報
【特許文献5】特開2000−279818号公報
【特許文献6】特開2002−001095号公報
【特許文献7】特開2005−307323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した特許文献1、2をはじめ、従来の製造方法では、微粒子分散液を250〜350℃に近い高温で熱処理をしなければ、導電性の高い導電回路を得ることができず、また、焼成処理の際に、水素ガス等の還元性ガスを使用しなければならないという問題点があった。
また、上記焼成処理を炉内等で行う場合、炉内の酸素濃度を極めて低濃度に管理することが困難であるという問題点もあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、金属微粒子分散液を用いて焼成手段により導電回路を形成する際に、金属微粒子分散液を基板上に回路状にパターニングして、加熱乾燥により回路前躯体を形成した後に、該回路前躯体を液状の還元剤で表面コーティングを行い該回路前躯体を加熱焼成して導電回路を形成することにより上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、以下の(1)〜(16)に記載する発明に関する。
(1)導電回路(B)の形成方法であって、金属微粒子分散液を用いて基板上に回路状にパターニングした後、加熱乾燥して回路前躯体(A)を形成する工程1と、液状の還元剤(C)により該回路前躯体(A)の表面コーティングを行い、還元性ガス雰囲気中、又は還元性ガスと不活性ガス雰囲気中で該回路前躯体(A)を加熱焼成して導電回路(B)を形成する工程2、を含む工程から形成されることを特徴とする導電回路の形成方法。
(2)前記金属微粒子分散液中の金属微粒子の一次粒子の平均粒径が500nm以下であることを特徴とする、前記(1)に記載の導電回路の形成方法。
(3)前記金属微粒子分散液中の金属微粒子がニッケル、銅、コバルト、金、及び銀から選択された1種または2種以上であることを特徴とする、前記(1)または(2)に記載の導電回路の形成方法。
(4)前記工程1における、加熱乾燥を不活性ガス雰囲気中又は還元性ガス雰囲気中で行うことを特徴とする、前記(1)ないし(3)のいずれかに記載の導電回路の形成方法。
(5)前記工程1における、加熱乾燥温度が140℃以下であることを特徴とする、前記(1)ないし(4)のいずれかに記載の導電回路の形成方法。
【0009】
(6)前記工程2における、液状の還元剤(C)による該回路前躯体(A)の表面コーティングが、回路前躯体(A)の表面と共に、前記基板の一部又は全部を覆うことを特徴とする、前記(1)ないし(5)のいずれかに記載の導電回路の形成方法。
(7)前記工程2における、還元剤(C)が、水酸基を有する有機化合物であることを特徴とする、前記(1)ないし(6)のいずれかに記載の導電回路の形成方法。
(8)前記工程2における、還元剤(C)が、190℃以上の沸点を有する有機化合物であることを特徴とする、前記(1)ないし(7)のいずれかに記載の導電回路の形成方法。
(9)前記還元剤(C)が、分子中に2以上の水酸基を有する多価アルコール(D)、及びアルカノールアミン(E)から選択された1種又は2種以上なる有機化合物であることを特徴とする、前記(1)ないし(8)のいずれかにに記載の導電回路の形成方法。
【0010】
(10)前記多価アルコール(D)が、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、1,2−プロパンジオ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,2−ブタンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ブタンジオ−ル、ペンタンジオ−ル、ヘキサンジオ−ル、オクタンジオ−ル、グリセロール、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、グリセロ−ル、トレイトール、エリトリト−ル、ペンタエリスリト−ル、ペンチト−ル、キシリトール、リビトール、アラビトール、ヘキシト−ル、マンニトール、ソルビトール、ズルシトール、グリセリンアルデ、ジオキシアセトン、トレオース、エリトルロース、エリトロース、アラビノース、リボース、リブロース、キシロース、キシルロース、リキソース、グルコ−ス、フルクト−ス、マンノース、イドース、ソルボース、グロース、タロース、タガトース、ガラクトース、アロース、アルトロース、ラクト−ス、キシロ−ス、アラビノ−ス、イソマルト−ス、グルコヘプト−ス、ヘプト−ス、マルトトリオース、ラクツロース、及びトレハロースの中から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、前記(9)に記載の導電回路の形成方法。
(11)前記アルカノールアミン(E)が、ジメタノールアミン、トリメタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、およびN−n−ブチルジエタノールアミンの中から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、前記(9)に記載の導電回路の形成方法。
(12)前記工程2における、還元剤(C)が加熱焼成の際に蒸発除去されることを特徴とする、前記(1)ないし(11)のいずれかに記載の導電回路の形成方法。
(13)前記工程2における、加熱焼成温度が140℃から300℃の範囲であることを特徴とする、前記(1)ないし(12)のいずれかに記載の導電回路の形成方法。
(14)前記工程2における、加熱焼成温度が140℃から250℃の範囲であることを特徴とする、前記(1)ないし(13)のいずれかに記載の導電回路の形成方法。
(15)前記工程2における、加熱焼成の際の還元性ガス雰囲気中、又は還元性ガスと不活性ガス雰囲気中の酸素ガス濃度が、500体積ppm以下であることを特徴とする、前記(1)ないし(5)のいずれかに記載の導電回路の形成方法。
(16)前記工程2における、加熱焼成後、還元性ガス雰囲気中、又は還元性ガスと不活性ガス雰囲気中で導電回路(B)を冷却することを特徴とする、前記(1)ないし(15)のいずれかに記載の導電回路の形成方法。
【発明の効果】
【0011】
金属微粒子分散液を基板上に回路状にパターニングし、加熱乾燥して回路前躯体(A)を形成した後に、還元剤(C)を使用して該回路前躯体(A)を加熱焼成するので、焼成温度が低くても電気抵抗の低い導電回路(B)を得ることができる。
また、上記還元剤(C)の使用により、回路前躯体(A)を焼成する際に焼成雰囲気中の酸素ガス濃度を例えば100体積ppm程度以下の低濃度に管理しなくとも、良好な導電性を有する導電回路(B)を得ることができる。
更に、
回路中に残存する保護剤を除去する形での加熱・回路形成工程と、回路形成した基板上の一部もしくは全面に還元剤(C)をコートするので還元剤(C)と金属微粒子分散液を別々に回路形成のために塗布する手間を省くことができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の導電回路(B)の形成方法について説明する。
(1)工程1について
工程1は、金属微粒子分散液を用いて基板上に回路状にパターニングした後、加熱乾燥して回路前躯体(A)を形成する工程である。
(1−1)金属微粒子分散液
(i)金属微粒子分散液の製造方法
金属微粒子分散液における金属(合金を含む。)は、特に制限されるものではないが、導電回路(B)の形成を考慮するとニッケル、銅、コバルト、金、及び銀から選択された1種または2種以上であることが好ましい。
金属微粒子分散液は、該微粒子表面を覆う性質を有する水溶性分散剤を含む水溶液中で、電解還元又は金属イオン還元用還元剤を使用した無電解還元により、金属イオンを還元して、該水溶性分散剤で覆われた分散状態で形成することができる。
前記金属イオンは、イオン性化合物を使用して形成することができ、該イオン性化合物としては酢酸金属塩、硝酸金属塩、ハロゲン化金属、シアン化金属、ピロリン酸塩、硫酸塩等が挙げられるが、例えば酢酸塩、具体的には酢酸銅(II)の1水和物((CHCOO)Cu・1HO)等が好適に使用できる。還元反応溶液中の金属イオン濃度は、特に制限はないが、好ましい金属イオン濃度は0.01〜4.0モル/リットル程度が好ましい。
【0013】
上記液相還元としては、一次粒子の平均粒径が1〜500nm程度の微粒子が形成できれば電解還元と無電解還元のいずれをも採用することができ、該電解還元と無電解還元方法は、公知の方法を採用することができる。使用した金属イオンは、液相還元されて水溶性分散剤で少なくともその表面の一部が覆われた金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上からなる微粒子として水溶液中に分散して存在する。
無電解還元用の還元剤の例としては、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、ジメチルアミノボラン、トリメチルアミノボラン等が挙げられ、これらの2種以上を併用することもできる。該無電解還元用還元剤を用いた公知の液相還元により、水溶性分散剤ですこなくとも表面の一部が覆われた微粒子が形成される。
電解還元の場合には、金属イオンを含む水溶液中に設けられたアノードとカソード間に電位を加えることによりカソード付近に、下記水溶性分散剤で覆われた微粒子が形成される。
【0014】
還元反応溶液中で前記微粒子を覆う水溶性分散剤として好ましいのは、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン等のアミン系の高分子;ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース等のカルボン酸基を有する炭化水素系高分子;ポリアクリルアミド等のアクリルアミド;ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、更にはデンプン、及びゼラチンの中から選択される1種又は2種以上である。
上記例示した水溶性分散剤の具体例として、ポリビニルピロリドン(分子量:1000〜500、000)、ポリエチレンイミン(分子量:100〜100,000)、カルボキシメチルセルロース(アルカリセルロースのヒドロキシル基Na塩のカルボキシメチル基への置換度:0.4以上、分子量:1000〜100,000)、ポリアクリルアミド(分子量:100〜6,000,000)、ポリビニルアルコール(分子量:1000〜100,000)、ポリエチレングリコール(分子量:100〜50,000)、ポリエチレンオキシド(分子量:50,000〜900,000)、ゼラチン(平均分子量:61,000〜67,000)、水溶性のデンプン等が挙げられる。
【0015】
上記かっこ内にそれぞれの高分子化合物の数平均分子量を示すが、このような分子量範囲にあるものは水溶性を有するので、本発明の有機物保護被膜として好適に使用できる。尚、これらの2種以上を混合して使用することもできる。
尚、上記例示した高分子系分散剤の他に、金属配位型分散剤としてチオールが提示でき、界面活性剤型分散剤として、ドデシルスルホン酸ナトリウム、オクチルスルホン酸ナトリウム等が例示できる。
また、水溶性分散剤の添加量は、還元反応溶液に存在する金属に対する質量比([(水溶性分散剤)/(金属)]質量比)として0.01〜30が好ましい。水溶性分散剤の添加量比が前記30を超えると溶液の粘性が高くなる場合があり、還元反応終了後の粒子精製に支障をきたす場合がある。一方、前記0.01未満では粒子が粗大化したり、もしくは架橋効果により粒子同士が強固な凝集体を形成したりする場合がある。より好ましい上記添加量比は0.5〜10である。
【0016】
上記金属イオンの液相還元により生成される微粒子の一次粒子の平均粒径は、500nm以下が好ましく、実用的に平均粒径100nm以下の微粒子を形成することが可能である。
ここで、一次粒子の平均粒径とは、二次粒子を構成する個々の金属微粒子の一次粒子の直径の意味である。該一次粒子径は、電子顕微鏡を用いて測定することができる。また、平均粒径とは、一次粒子の数平均粒径を意味する。
尚、微粒子の一次粒子の平均粒径の制御は、金属イオン、水溶性分散剤、無電解還元用還元剤の種類と配合濃度の調整、及び金属イオンを還元反応させる際の、かく拌速度、温度、時間、pH等の調整により行うことが可能である。具体的には、例えば、無電解の液相還元の場合には、水溶液中で、ポリビニルピロリドン(PVP、数平均分子量約3500)の存在下に金属イオン(酢酸第二銅等)を水素化ホウ素ナトリウムで還元する際に、還元温度が80℃程度であれば、一次粒子の平均粒径が100nmの銅微粒子を得ることが可能である。
【0017】
次に、前記水溶液中に凝集促進剤を添加して該微粒子を凝集又は沈殿させて回収する。
この工程で使用可能な、凝集促進剤は、ハロゲン系炭化水素が好ましく、その具体例として、エチレンクロロヒドリン、塩化アリル、塩化エチル、塩化ベンジル、塩化メチル、塩化メチレン、クロロナフタリン、クロロプロピレン、クロロベンゾール、クロロホルム、クロロプレン、四塩化アセチレン、四塩化エタン、四塩化炭素、ジクロルエタン、ジクロロエチレン、ジクロロベンゾール、トリクロルエチレン、トリクロルメタン、ブロムベンゾール、ブロモホルム、及びヘキサクロロエタン等の中から選択された少なくとも1種が例示できる。
このような凝集促進剤の添加量は、金属微粒子質量に対して、([凝集促進剤(mol)]/[金属質量(g)])比で、0.01〜10が好ましく、0.1〜1.0がより好ましい。
【0018】
微粒子が分散されている水溶液に凝集促進剤を添加して、撹拌した後に静置する場合、例えば凝集促進剤として比重が水よりも大きいクロロホルム等を使用した場合には、撹拌後に、水相からなる上相と、凝集促進剤からなる下相の2相に分離し、金属微粒子は上相である水相の下部に濃縮されて浮いている状態で存在する。上記した凝集促進剤の中でもクロロホルムを使用した場合に、特に、金属微粒子表面の化学反応が少なく、かつ被膜が剥離し易いという顕著な効果を得ることができる。
尚、凝集促進剤の比重が水よりも小さい場合には、撹拌後に上相が凝集促進剤相で下相が水相となり、この場合にも金属微粒子は水相の下部に濃縮されて浮いている状態で存在する場合がある。凝集促進剤添加撹拌後の凝集又は沈殿状態には上記のような水相の下部に微粒子が濃縮されて浮遊状態で存在しているものも含まれる。
尚、凝集促進剤の添加のみでは微粒子から水溶性分散剤のすべては剥離せずに一部は、微粒子を覆う状態で残存して、微粒子が有機溶媒中に再分散された場合に分散性を向上する作用を発揮する。
【0019】
次に、前記回収した該微粒子を前記有機溶媒に再分散する。
再分散方法は、該微粒子を前記混合有機溶媒に添加して、公知の撹拌方法を採用することができるが、超音波照射方法を採用するのが好ましい。
上記超音波照射時間は、特に制限はなく任意に選択することが可能である。例えば、超音波照射時間を5〜60分間の間で任意に設定すると照射時間が長い方が平均二次凝集サイズが小さくなる傾向にある。
有機溶媒として、アミン系化合物、アルコール、多価アルコール、エーテル系化合物、スルホキシド系化合物等が例示できる。
(ii)金属微粒子分散液中の金属微粒子
金属微粒子分散液に含まれる金属微粒子の質量は、好ましくは、10〜90質量%程度であり、さらに好ましくは15〜80質量%である。金属微粒子の濃度を上記範囲にすると、スピンコート塗布又はインクジェット塗布を行う際のインクの粘度と、塗工後の膜の厚みのバランスが良好となる。
【0020】
(1−2)基板上に回路パターンの形成(パターニング)
工程1においては、先ず、金属微粒子分散液を用いて基板上に回路状にパターニングを行う。パターニングとしては、スピンコート法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法等により描画を形成する方法が挙げられる。
インクジェット印刷方式法を利用した描画形成法では、導電性物質を含有する微粒子分散液の微小な液滴を直接噴射して描画を行うので、描画の最小線幅、と回路間の最小間隔は、噴射により塗布される液滴量により制御可能である。従って、回路パターン形状が細い線幅部と太い細い線幅部からなるような形状であってもその膜厚は、単位面接当たりに塗布する液滴量で制御できるので、膜幅と膜厚の制御が容易に可能となる。
【0021】
(1−3)加熱乾燥
次に、工程1に於いては、基板上に形成された回路パターンを、加熱乾燥して微粒子分散液の溶媒を除去して回路前躯体(A)を形成する。
該加熱乾燥を炉内等で行う際、不活性ガス雰囲気中又は還元性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。又、加熱乾燥温度は微粒子分散液に使用する溶媒の沸点、共沸温度等にもよるが、加熱乾燥における低い酸素ガス濃度の管理の困難性から酸化反応を抑制し、また本発明の工程2における還元雰囲気下での焼成を考慮すると、焼成が進行しない140℃以下で行うのが好ましく、130℃以下がより好ましい。尚、加熱乾燥時間は20〜40分程度行なうことにより目的とする回路前躯体(A)をえることができる。上記不活性ガスとしては窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等が挙げられ、還元性ガスとしては水素ガス等が挙げられる。
かくして得られた回路前躯体(A)は、次の工程2において還元性ガス雰囲気中、又は還元性ガスと不活性ガス雰囲気中において更に加熱焼成される。
【0022】
(2)工程2について
工程2は、液状の還元剤(C)により該回路前躯体(A)の表面コーティングを行い、還元性ガス雰囲気中、又は還元性ガスと不活性ガス雰囲気中で該回路前躯体(A)を加熱焼成して導電回路(B)を形成する工程である。
(2−1)回路前躯体(A)の液状の還元剤(C)による表面コーティング
本発明においては、工程1で基板上に形成された回路パターンを金属微粒子が極力酸化を受けない条件下で加熱乾燥して回路前躯体(A)を形成し、次に工程2で該回路前躯体(A)を液状の還元剤(C)により表面コーティングを行い、更に乾燥した金属微粒子が極力酸化を受けない条件下で加熱焼成して回路(B)を形成するのが特徴である。
尚、金属酸化物微粒子を用いた場合には安定したコロイドを形成するので、基板上に金属酸化物微粒子の回路パターン形成できるが、還元ガス雰囲気下で加熱還元する場合には、水素ガス等の還元性ガスを必要とし、更に高い加熱温度下に長時間加熱焼成する必要がある。
【0023】
(i)回路前躯体(A)の表面コーティング
回路前躯体(A)の表面コーティングは、液状の還元剤(C)を用いて回路前躯体(A)の表面を覆うことにより行なわれるが、回路前躯体(A)の表面と共に、該基板の一部又は全部を覆うことにより行なうこともできる。
工程1の加熱乾燥後、基板上の回路前躯体(A)を一端冷却しても良いが、工程2の回路前躯体(A)の表面コーティングにおいては、以下に記載する沸点が190℃以上の還元剤(C)を使用すれば、加熱乾燥後に回路前躯体(A)を冷却することなく、液状の還元剤(C)により回路前躯体(A)の表面は基板上に固着した状態で存在するので、例えばこの上に液状の還元剤(C)を塗布すること等により回路前躯体(A)の表面コーティングを行うことが可能である。
尚、液状の還元剤(C)とは、表面コーティングを行う際に液状であればよく、常温では固体のもであってもよい。また、前記液状の還元剤(C)を塗布する際には、80〜150℃程度に加熱して塗布することが好ましい。
【0024】
(ii)液状の還元剤(C)について
工程2で使用する液状の還元剤(C)は、水酸基を有する有機化合物であることが好ましく、また190℃以上の沸点を有する有機化合物であることが好ましく、更に還元剤(C)は加熱焼成の際に蒸発除去されるものであることが望ましい。
190℃以上の沸点を有する液状の還元剤(C)としては、分子中に2以上の水酸基を有する多価アルコール(D)、及びアルカノールアミン(E)から選択された1種又は2種以上を例示することができる。
【0025】
前記多価アルコール(D)としては、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、1,2−プロパンジオ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,2−ブタンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ブタンジオ−ル、ペンタンジオ−ル、ヘキサンジオ−ル、オクタンジオ−ル、グリセロール、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、グリセロ−ル、トレイトール、エリトリト−ル、ペンタエリスリト−ル、ペンチト−ル、キシリトール、リビトール、アラビトール、ヘキシト−ル、マンニトール、ソルビトール、ズルシトール、グリセリンアルデ、ジオキシアセトン、トレオース、エリトルロース、エリトロース、アラビノース、リボース、リブロース、キシロース、キシルロース、リキソース、グルコ−ス、フルクト−ス、マンノース、イドース、ソルボース、グロース、タロース、タガトース、ガラクトース、アロース、アルトロース、ラクト−ス、キシロ−ス、アラビノ−ス、イソマルト−ス、グルコヘプト−ス、ヘプト−ス、マルトトリオース、ラクツロース、及びトレハロースの中から選択される1種又は2種以上が挙げられる。
又、前記アルカノールアミン(E)としては、ジメタノールアミン、トリメタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、およびN−n−ブチルジエタノールアミンの中から選択される1種又は2種以上をあげることができる。
【0026】
(2−2)回路前躯体(A)の加熱焼成
回路前躯体(A)を液状の還元剤(C)により表面コーティングした後に、更に前述の不活性ガス雰囲気中又は還元性ガス雰囲気中で、更に温度を上昇させて、上記液状の還元剤(C)を蒸発させながら還元剤(C)が気化した還元性雰囲気中で回路前躯体(A)の加熱焼成を行うことにより、回路前躯体(A)中の金属微粒子及び該金属微粒子の燒結体が酸化を受けるのを抑制して、導電性の高い導電回路(B)を形成することが可能になる。
工程2における加熱焼成温度は、使用する微粒子の平均一次粒子径、金属種にもよるが、140℃から300℃が好ましく、140℃から250℃がより好ましい。工程2における回路前躯体(A)の加熱焼成は還元剤(C)が気化した還元性ガス雰囲気中、又は該還元性ガスと不活性ガス雰囲気中で行なわれるため、金属微粒子が酸化物を形成することを防止できるので、加熱焼成温度が通常よりは低い焼成温度あってもより導電性の高い導電回路(B)を得ることができる。
前記加熱焼成の際の還元性ガス雰囲気中には、加熱乾燥時に還元性ガスを使用した場合には該還元性ガスが含まれていてもよい。
【0027】
また、回路前躯体(A)の加熱焼成は、リフロー炉等の炉内で行うのが望ましいが、工程2における回路前躯体(A)の加熱焼成は還元剤(C)が気化した還元性ガス雰囲気中、又は該還元性ガスと不活性ガス雰囲気中で行なわれるため、炉内の酸素ガス濃度は、通常は200体積ppm以下に管理されるが、本発明の工程2における加熱焼成雰囲気中の酸素ガス濃度は500体積ppm以下の濃度に管理すれば良好な導電性を有する導電回路(B)を得ることができる。
尚、工程2における加熱焼成の際に、炉内の圧力を一定保つために、炉内上部に少量の窒素ガスを流通させることもできる。
加熱焼成時間は焼成温度、導電回路(B)の厚み等にもよるが50〜90分程度で目的とする導電回路(B)を得ることができる。
【0028】
(2−3)焼成した導電回路(B)の冷却
上記工程2における加熱焼成終了後、直ちに加熱状態にある導電回路(B)を酸素ガスを含む大気に曝すと導電回路(B)の一部が酸化反応を受けるおそれがあるので、加熱焼成終了後の冷却も導電回路(B)の温度が140℃程度以下になるまで不活性ガス中で行うのが望ましい。
【実施例】
【0029】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に記載される方法に限定されるものではない。
尚、本実施例、比較例における評価方法を以下に記載する。
(1)微粒子分散液中の1次粒子の平均粒径
透過電子顕微鏡による観察から求めた。
(2)焼成膜の電気抵抗
焼成膜の電気抵抗値は、直流四端子法(使用測定機:Keithley社製、デジタルマルチメータDMM2000型(四端子電気抵抗測定モード))を用いて測定した。
【0030】
[実施例1]
銅微粒子分散液を調製し、該銅微粒子分散液を基材上に回路状にパターニングし、加熱乾燥して回路前躯体を形成した後、液状の還元剤を該回路前躯体の表面にコーティングし、還元性ガスと不活性ガス雰囲気中で該回路前躯体を加熱焼成して導電回路を形成した。
(1)銅微粒子分散液の調製
銅微粒子の原料として酢酸銅((CHCOO)Cu・1HO)0.2gを蒸留水10mlに溶解させた酢酸銅水溶液10mlと、金属イオンの還元剤として5.0mol/リットル(l)となるように水素化ホウ素ナトリウムと蒸留水とを混合した水素化ホウ素ナトリウム水溶液100mlを調製した。その後、上記水素化ホウ素ナトリウム水溶液に、水溶性分散剤としてポリビニルピロリドン(PVP、数平均分子量約3500)0.5gを添加して、攪拌溶解させた後、窒素ガス雰囲気中で、上記酢酸銅水溶液10mlを滴下し、この混合液を約60分間よく攪拌しながら反応させた結果、水溶性分散剤で少なくともその一部が覆われた銅微粒子が水溶液中に分散した銅微粒子分散溶液を調製した。
【0031】
次に、上記方法で得られた銅微粒子が分散した分散液100mlに、凝集促進剤としてクロロホルムを5ml添加してよく攪拌した。数分間攪拌した後、反応液を遠心分離機に入れ、銅微粒子を沈殿回収した。その後、回収した微粒子と30mlの蒸留水とを試験管に入れ、超音波ホモジナイザーを用いてよく攪拌した後、遠心分離機で粒子成分を回収する水洗浄を3回、続いて、同じく試験管中で、得られた銅微粒子と30mlの1−ブタノールとを入れよく攪拌した後、遠心分離機で銅微粒子を回収するアルコール洗浄を3回行った。
以上の工程により回収された銅微粒子を、有機溶媒としてトリエチルアミンと、エチレングリコールとを、1:9の体積割合に混合した溶媒10mlに分散させ、さらに20分間、超音波ホモジナイザーを用いて分散液中に超音波振動を与えることで、微粒子分散液を得た。
また比較例として、上述の銅微粒子を、トリエチルアミンとエチレングリコールとを、表1に示す体積割合で混合した溶媒10mlに銅微粒子濃度が20質量%となるようにそれぞれ分散させた後、同じくに20分間、超音波ホモジナイザーを用いて分散液中に超音波振動を与えた銅微粒子分散液も調製した。
【0032】
(2)導電回路の形成
上記で調製した銅微粒子分散液を撹拌終了後60分経過後に、それぞれガラス基板(サイズ:2cm×2cm)上に500rpm-20sスピンコートにより回路状に塗布後、窒素ガス雰囲気中130℃の加熱下に30分間乾燥して回路前駆体を形成した。次に、還元剤として100℃に加熱したエチレングリコールを回路前駆体の全面に500μl(マイクロリットル)滴下後、還元性ガスと不活性ガス雰囲気中(酸素濃度:200体積ppm)中で、実施例1−1〜5としてそれぞれ140℃、160℃、200℃、250℃、300℃で1時間加熱焼成することにより、導電回路を得た。
(3)導電回路の評価
得られた導電回路についてそれぞれ電気抵抗を測定した。表1に実施例1−1〜5における焼成温度条件と電気抵抗値を示す。
【0033】
[実施例2]
導電回路を形成する際に、還元剤としてエチレングリコールの代わりに、エチレングリコールとグリセリンとを、1:1の体積割合で混合したものを使用した以外は、実施例1と同様に、実施例2−1〜5として導電回路を得た。得られた導電回路について、それぞれ電気抵抗を測定した。表1に実施例2−1〜5における焼成温度条件と電気抵抗値を示す。
[実施例3]
導電回路を形成する際に、還元剤としてエチレングリコールの代わりに、グリセリンを使用した以外は、実施例1と同様に、実施例3−1〜5として導電回路を得た。得られた導電回路について、それぞれ電気抵抗を測定した。表1に実施例3−1〜5における焼成温度条件と電気抵抗値を示す。
【0034】
[実施例4]
導電回路を形成する際に、還元剤としてエチレングリコールの代わりに、N−ブチルジエタノールアミンを使用した以外は、実施例1と同様に、実施例4−1〜5として導電回路を得た。得られた導電回路について、それぞれ電気抵抗を測定した。表1に実施例4−1〜5について焼成温度条件と電気抵抗値を示す。
[実施例5]
導電回路を形成する際に、還元剤としてエチレングリコールの代わりに、N−ブチルジエタノールアミンとエチレングリコールとを、3:7の体積割合で混合したものを使用した以外は、実施例1と同様に、実施例5−1〜5として導電回路を得た。得られた導電回路に対し、それぞれ電気抵抗を測定した。表1に実施例5−1〜5について焼成温度条件と電気抵抗値を示す。
【0035】
【表1】

【0036】
[実施例6]
導電回路を形成する際に、還元剤としてエチレングリコールの代わりに、N−ブチルジエタノールアミンとグリセリンとを、6:4の体積割合で混合したものを使用した以外は、実施例1と同様に、実施例6−1〜5として導電回路を得た。得られた導電回路に対し、それぞれ電気抵抗を測定した。表2に実施例6−1〜5について焼成温度条件と電気抵抗値を示す。に焼成温度条件と電気抵抗値を示す。
【0037】
[比較例1]
導電回路を形成する際に、還元剤を使用しない以外は、実施例1と同様に、比較例1−1〜5として導電回路を得た。得られた導電回路に対し、それぞれ電気抵抗を測定した。表2に比較例1−1〜5について焼成温度条件と電気抵抗値を示す。
【0038】
[実施例7]
導電回路を形成する際に、酸素濃度200体積ppmの代わりに、酸素濃度500体積ppmとした以外は、実施例1と同様に、実施例7−1〜5として導電回路を得た。得られた導電回路に対し、それぞれ電気抵抗を測定した。表2に実施例7−1〜5について焼成温度条件と電気抵抗値を示す。
【0039】
[比較例2]
導電回路を形成する際に、酸素濃度200体積ppmの代わりに、酸素濃度500体積ppmとした以外は、比較例1と同様に、比較例2−1〜5として導電回路を得た。得られた導電回路に対し、それぞれ電気抵抗を測定した。表2に比較例2−1〜5について焼成温度条件と電気抵抗値を示す。
【0040】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電回路(B)の形成方法であって、金属微粒子分散液を用いて基板上に回路状にパターニングした後、加熱乾燥して回路前躯体(A)を形成する工程1と、液状の還元剤(C)により該回路前躯体(A)の表面コーティングを行い、還元性ガス雰囲気中、又は還元性ガスと不活性ガス雰囲気中で該回路前躯体(A)を加熱焼成して導電回路(B)を形成する工程2、を含む工程から形成されることを特徴とする導電回路の形成方法。
【請求項2】
前記金属微粒子分散液中の金属微粒子の一次粒子の平均粒径が500nm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の導電回路の形成方法。
【請求項3】
前記金属微粒子分散液中の金属微粒子がニッケル、銅、コバルト、金、及び銀から選択された1種または2種以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の導電回路の形成方法。
【請求項4】
前記工程1における、加熱乾燥を不活性ガス雰囲気中又は還元性ガス雰囲気中で行うことを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の導電回路の形成方法。
【請求項5】
前記工程1における、加熱乾燥温度が140℃以下であることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の導電回路の形成方法。
【請求項6】
前記工程2における、液状の還元剤(C)による回路前躯体(A)の表面コーティングが、回路前躯体(A)の表面と共に、前記基板の一部又は全部を覆うことを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の導電回路の形成方法。
【請求項7】
前記工程2における、還元剤(C)が、水酸基を有する有機化合物であることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の導電回路の形成方法。
【請求項8】
前記工程2における、還元剤(C)が、190℃以上の沸点を有する有機化合物であることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の導電回路の形成方法。
【請求項9】
前記還元剤(C)が、分子中に2以上の水酸基を有する多価アルコール(D)、及びアルカノールアミン(E)から選択された1種又は2種以上なる有機化合物であることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の導電回路の形成方法。
【請求項10】
前記多価アルコール(D)が、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、1,2−プロパンジオ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,2−ブタンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ブタンジオ−ル、ペンタンジオ−ル、ヘキサンジオ−ル、オクタンジオ−ル、グリセロール、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、グリセロ−ル、トレイトール、エリトリト−ル、ペンタエリスリト−ル、ペンチト−ル、キシリトール、リビトール、アラビトール、ヘキシト−ル、マンニトール、ソルビトール、ズルシトール、グリセリンアルデ、ジオキシアセトン、トレオース、エリトルロース、エリトロース、アラビノース、リボース、リブロース、キシロース、キシルロース、リキソース、グルコ−ス、フルクト−ス、マンノース、イドース、ソルボース、グロース、タロース、タガトース、ガラクトース、アロース、アルトロース、ラクト−ス、キシロ−ス、アラビノ−ス、イソマルト−ス、グルコヘプト−ス、ヘプト−ス、マルトトリオース、ラクツロース、及びトレハロースの中から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項9に記載の導電回路の形成方法。
【請求項11】
前記アルカノールアミン(E)が、ジメタノールアミン、トリメタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、およびN−n−ブチルジエタノールアミンの中から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項9に記載の導電回路の形成方法。
【請求項12】
前記工程2における、還元剤(C)が加熱焼成の際に蒸発除去されることを特徴とする、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の導電回路の形成方法。
【請求項13】
前記工程2における、加熱焼成温度が140℃から300℃の範囲であることを特徴とする、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の導電回路の形成方法。
【請求項14】
前記工程2における、加熱焼成温度が140℃から250℃の範囲であることを特徴とする、請求項1ないし13のいずれか1項に記載の導電回路の形成方法。
【請求項15】
前記工程2における、加熱焼成の際の還元性ガス雰囲気中、又は還元性ガスと不活性ガス雰囲気中の酸素ガス濃度が、500体積ppm以下であることを特徴とする、請求項1ないし14のいずれか1項に記載の導電回路の形成方法。
【請求項16】
前記工程2における、加熱焼成後、還元性ガス雰囲気中、又は還元性ガスと不活性ガス雰囲気中で導電回路(B)を冷却することを特徴とする、請求項1ないし15のいずれか1項に記載の導電回路の形成方法。

【公開番号】特開2010−135776(P2010−135776A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253312(P2009−253312)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】