説明

導電性パッドのコンディショニングスウィーププロファイルを調整することによる除去プロファイルの調節

【課題】研磨プロセスの間に基板から材料の除去率を制御するための方法が記載される。
【解決手段】一実施形態において、基板の研磨前のプロファイルが決定され、研磨パッドのコンディショニングパラメータがそのプロファイルに基づいて調整される。コンディショニングヘッドのスウィープ範囲及び周波数などのパラメータ及び下向きの力及び回転速度のコンディショニングエレメントがパッドの最適な研磨能力を維持するために、パッドの部分に対し、選択的にコンディショニングが行われるように調整される。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明の実施形態は、主に基板から材料を除去することに関する。特に、本発明はエレクトロケミカルメカニカルポリッシングによる研磨又は平坦化に関する。
【関連技術の説明】
【0002】
集積回路の製造において、ウエハー上に所要の回路を作るために、導電材料の層が、順次、半導体ウエハー上に堆積され、取り除かれる。
【0003】
エレクトロケミカルメカニカルプロセッシング(ECMP)は、従来のケミカルメカニカルポリッシング(CMP)プロセスと比べ、より少ない下向きの力及び機械的摩擦を用いて基板を研磨すると同時に、電気化学的溶解により半導体ウエハーもしくは基板の表面から導電材料を取り除くのに用いられる。電気化学的溶解は典型的にはアノードとして機能する基板表面にバイアスを印加し、基板表面から周りの電解液へと導電材料を取り除くためにカソードにバイアスを印加することにより行われる。このバイアスは、基板を処理する研磨部材の上に設けられた導電性部材、または、基板を処理する研磨部材の上に、若しくは、それを介して設けられた導電性コンタクトにより、基板表面に印加される。例えば、研磨物質はプラテン上に設けられた処理パッドであるかもしれない。研磨プロセスの機械的エレメントは、基板から導電性材料の除去を高める、基板と研磨物質との相対運動をもたらすことにより行われる。一般には、ECMPシステムでは、基板と電極との間に印加されるバイアスの極性を反転させることにより、基板上に導電性材料の堆積に対して行われる。
【0004】
典型的には、基板は、初めに、非平面状に堆積されたバルク(塊)形状の導電材料のための平坦化プロセスにより処理され、それは1つ又はそれ以上のECMPプロセスにより除去される。1つ以上のECMPプロセスが用いられると、高い除去率によりバルクは除去され、次のECMPプロセスへ進む前に、ほぼ平坦な基板の表面を形成するよう設計されている。いくつのかのECMPプロセスにおいて、様々な化学反応が開発され、基板に印加される下向きの力をより小さくして導電性材料の高い除去率が達成されている。例えば、基板のへこんだ領域の導電材料を表面処理し、この表面処理が、基板のもり上がった領域における高い除去率を促進して、これにより、バルク除去プロセスの後、より平坦な表面が生成される。
【0005】
このバルクの除去を行う処理パッドは、基板平坦化のための適宜な機械的特性を有するとともに、研磨の間、基板における欠陥の発生を最小化するようなものではなくてはならない。そのような欠陥は、パッドのもり上がった部分、或いは、基板から除去された、電解溶液に沈殿する導電材料の堆積、パッドの磨り減った部分、研磨スラーリからの削り取られた粒子など、パッドの表面上に堆積する副生成物を研磨することにより生じる基板表面上の引っかき傷によりもたらされるかもしれない。一般に、消耗、及び/又は、パッド表面の研磨副生成物の堆積により、処理パッドの研磨能力は研磨の間に落ち、研磨特性が最適条件ではなくなる。この堆積は、パッドの表面にかけて非均一もしくは局在化したパターンとなり、導電材料の不均一な平坦化をもたらす。このように、パッドの表面は、パッドの研磨能力を回復させるために周期的にリフレッシュ又は調整されなければならない。
【0006】
研磨パッド上の副生成物の堆積はパッドの表面上に非均一的に生じる一方、パッドのコンディショニングの過程は典型的にはパッドの表面にかけて均一に行われる。この均一なコンディショニングの過程により、パッドは均等に調整され、パッドの研磨能力は改善されることとなる。しかしながら、このような均一なパッドのコンディショニング過程は、研磨能力における局所的な損失を示しているパッドの領域に対応するものではなく、又、研磨能力が殆ど、又は、全く減少していないパッドの領域にも対処していない。このように、最適な調整をもってしても、研磨能力における減少が殆ど、若しくは、全くないパッドの部分においてコンディショニングが行われる一方で、研磨能力におけるより大きい落ち込みがある局所的な部分においては、コンディショニングは最適値以下のままかもしれない。
【0007】
従って、処理パッドのコンディショニングを行うためのより改善された方法が必要とされる。
【発明の概要】
【0008】
一般に、本発明の実施形態は対象の基板の厚さプロファイルを決定し、この厚さプロファイルに応じてコンディショニングパラメータを設定し、このコンディショニングパラメータを用いて研磨パッドの処理表面をコンディショニングを行うことを含む。
【0009】
他の実施形態において、半導体基板を処理する方法が記載され、その方法は対象基板の上の導電材料の厚さプロファイルを示す計測値を決定し、その計測値に応じて研磨パッドの処理表面上の電気特性を変化させることを含む。
【0010】
他の実施形態において、半導体基板を処理する方法が記載され、その方法は対象基板の上の導電材料の厚さのプロファイルを決定し、この厚さのプロファイルに基づいて1つ以上のコンディショニングパラメータを設定し、第1の研磨プロセスを行うために研磨パッドの研磨表面に対し基板を処理し、コンディショニングパラメータを用いて処理表面をコンディショニングを行うとともに第1の研磨プロセスを行うことを含む。
【詳細な説明】
【0011】
本発明の実施形態は主に半導体基板の製造において行われる研磨もしくは平坦化プロセスに関する。エレクトロケミカルメカニカルプラナライゼーション(ECMP)は、研磨プロセスの1つであり、機械的、化学的、及び/又は、電気化学的力の組み合わせにより半導体表面から既に堆積された材料を取り除くことを広く含む。この機械的力は、それには限定されないが物理的な接触又は摩擦力を含み、化学的及び/又は電気的力は、それには限定されないが、アノード溶解による材料の除去を含みうる。
【0012】
図1はエレクトロケミカルメカニカルポリシング及びケミカルメカニカルポリシングに好適な平坦化モジュールを有する処理システム100の一部分の平面図である。処理システム100は、少なくとも第1のエレクトロケミカルメカニカルプラナライゼーション(ECMP)ステーション102、第2のECMPステーション103、及び付加的に、少なくとも1つの従来のケミカルメカニカルプラナライゼーション(CMP)ステーション106を含み、それらは環境制御された筺体188の中に設けられる。1つの例示的なプロセスにおいて、所要の機能が形成され、バリア層及びそしてそのバリア層の上に設けられた導電材料により充填された基板は、2つのECMPステーション102、103の2つのステップにおいて取り除かれる導電材料、及び、基板上の平坦化された表面を形成するためにCMPステーション106において処理されるバリア層を有する。例えば、第1のECMPステーション102は、バルクの除去ステップである第1の研磨ステップを行い、第2のECMPステーション103は、例えば、残渣のための研磨ステップである第2の研磨ステップを行い、CMPステーション106は、例えば、バリアの除去ステップである第3の研磨ステップを行う。本発明は、これらの構成には限定されず、ステーション102、103、及び106の全てが基板上に堆積した様々な層を除去するためのECMPプロセスを用いるようになっていてもよいと理解されるべきである。選択的に、処理システム100はCMPプロセスを行う2つのステーションを含み、他のステーションがECMPプロセスを行うようになっていてもよい。また、上述の組み合わせのいかなるものにおいて、ステーション102、103及び106は、電気化学的な、及び/又は、電気化学的、機械的なメッキプロセスにより、基板上に材料を堆積するようになっていてもよい。
【0013】
本発明の特徴から利益を得るようなECMPステーションの一例は2001年6月12日に発行された米国特許第6,244,935号及び2004年6月30日に出願された米国特許出願第10/880,752号に記載され、その両者はそれらの開示が本開示と一貫性のある範囲において本明細書において組み込まれ参照される。本発明を実行する処理システムの一例は、カルフォルニア州サンタクララにあるアプライドマテリアルズインクから市販されているREFLEXION LK Ecmp(商標名)システムである。また、本技術分野においてよく用いられる他の平坦化モジュールが本発明を行うのに用いられてもよい。
【0014】
第1のECMPステーション102、第2のECMPステーション103、及びCMPステーション106は全て、処理表面125への液体の供給を行うノズル116及びベース108に回転可能に取り付けられたコンディショニング装置182を有する。また、処理システム100は回転式コンベヤ112及びベース108に設けられた搬送ステーション110を含む。一般に、回転式コンベヤ112は複数のキャリアヘッド105を支持し、各キャリアヘッドは処理の間、1つの基板を保持する。回転式コンベヤ112は搬送ステーション110とステーション102、103、及び106との間で、キャリアヘッド105を回し運ぶ。キャリアヘッドがステーション102、103、及び106のそれぞれの上に置かれたときに、キャリアヘッド105は処理表面125に対して基板を制御可能に押圧するようになっている。
【0015】
図2は、サブパッド235を有し、電極245上に設けられた導電性の処理表面225を有するパッドアセンブリ200の等角投影図である。この実施形態において、導電性の処理表面225は、図1に示されたECMPステーション102の処理表面125を意味する。導電性処理表面225及び電極245は、電源237の相対する極性にパッドアセンブリ200をぞれぞれ接続するために、少なくとも1つのコネクタ227、247を含む。サブパッド235は、導電性の処理表面225に対する圧縮性を高め、導電性処理表面をアノードとして機能せしめ、電極245をECMPプロセスにおけるカソードとして機能せしめるために、2つの導電性部分の間の絶縁エレメントとしても機能する。電極245は、金、錫、ニッケル、銀、ステンレススティール、若しくは、それらの誘導体及びこれらの組み合わせからなる固体の金属シート、フォイル、又は、メッシュであるかもしれない。典型的には、パッドアセンブリ200の様々なパーツは、プロセスにおいて互換性のある接着剤により結合され、プラテンアセンブリ225の上側表面に移動可能に取り付けられ、プラテンアセンブリは図1のECMPステーション102、103の1つ又は両者の中に設けられる。
【0016】
導電性の処理表面225は、導電性材料から作られており、及び/又は、ポリマー基体に結合された導電性分子を含む。例えば、導電性材料は、その中に導電性粒子を分散させたポリマー基体、及び/又は、導電性のコーティングがなされた繊維など処理表面225をなす材料と一体的に分散されているか、または、そのような材料を含んでいる。導電性粒子は金、ニッケル、錫、亜鉛、銅、それらの誘導体及び組み合わせなどの金属の粒子である。導電性ポリマーは、導電性のホイール又はメッシュであるかもしれない導電性のキャリアの上に置かれるかもしれない。また、導電性の処理表面225は、サブパッド235内の穴220に少なくとも部分的に整列した1つ以上の開口215を含む。導電性処理表面225が基板上の導電性材料に対して押圧されたときに、開口215及び穴は、電極と基板表面との間での電解液による導通を許容するために電解液により満たされるようになっている。溝又はチャネル210が、電解液の流れ及び保持を高めるために導電性処理表面225の上に形成され、処理表面から流されるべき基板から除去される材料のための通路を提供する。パッドアセンブリの例は、2006年1月31日に発行された米国特許第6,991,528号(代理人事件番号004100.P4)及び2003年12月23日に出願された米国特許出願第10/744,904号(代理人事件番号004100.P10)に記載されている。この特許及び特許出願はそれらの開示が本件出願と一貫性のある範囲において、本明細書において参照され組み込まれる。
【0017】
図3はECMPシステムのECMPステーション102の概略側面図である。研磨ステーション102は、主にコンディショニング装置182及びモーター(図示せず)により回動されるプラテン255を含む。パッドアセンブリ200は、導電性処理表面225がECMPステーション102の処理表面125となるように、プラテン255の上側の表面上に取り付けられる。キャリアヘッド105は、パッドアセンブリ200の上に置かれ、処理の間、パッドアセンブリ200に対して基板を保持するようになっている。キャリアヘッド102は、処理の間、基板とパッドアセンブリ200との間での相対的運動の一部分をもたらす。一実施形態において、キャリアヘッド102はカリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルインクから市販されているTITAN HEAD(商標名)もしくはTITAN PROFILER(商標名)ウエハーキャリアであるかもしれない。電解液などの処理液体は処理液体源(図示せず)に結合されるノズル116によりパッドアセンブリ200の処理表面に提供される。
【0018】
コンディショニング装置182は、支持アーム118を備えた支持アセンブリ310により支持されるコンディショニングヘッド300を含む。支持アセンブリ310はベース108に結合され、パッドアセンブリ200に接触するようにコンディショニングヘッド300を位置決めするようになっており、さらに、その間において相対的運動をもたらすようになっている。また、コンディショニングヘッド300は、コンディショニングヘッドをパッドアセンブリ200に向けて制御可能に押圧するために制御可能な圧力もしくは下向きの力をもたらすよう構成されている。この下向きの圧力は約0.7psiから2psiの範囲である。一般に、コンディショニングヘッド300は、図4において矢印410及び412により示されるように、パッドアセンブリ200の表面にわたってスウィーピング動作により回転し、及び/又は、横方向に移動する。一実施形態において、コンディショニングヘッド300の横方向の動きは、パッドアセンブリ200の回転と組み合わされて、パッドアセンブリ200の全体表面に対してコンディショニングが行われるように、線形的なものであるか、若しくは、パッドアセンブリ200の中央の部分からパッドアセンブリ200のほぼ外側の端までの範囲において円弧に沿ったものである。コンディショニングヘッド300は、(図4の破線により示されるように)使用されていないとき、パッドアセンブリ200の端を越えてコンディショニングヘッド300を動かすために更なる動作範囲を有するかもしれない。
【0019】
コンディショニングヘッド300は、パッドアセンブリ200に接触するために、コンディショニングエレメント(図示せず)を収容するようになっている。一般に、コンディショニングエレメントは、パッドアセンブリ200の上側表面に接触するために、約0.2mmから約1mmによりコンディショニングヘッド300の筺体を越えて伸び出ている。コンディショニングエレメントは、パッドアセンブリ200の上側表面に損傷を与えないであろうナイロン、綿の布、ポリマー、もしくは他の軟らかい材料から作られうる。選択的に、コンディショニングエレメントは、テキスチャード加工されたポリマー、または、そこに固着されるか、または、その中に作られたダイヤモンドの粒子を伴った、粗面化加工された表面を有するステンレススティールから作られるかもしれない。このダイヤモンドの粒子は約30マイクロンから約100マイクロンの間の大きさの範囲かもしれない。好適なコンディショニングエレメントは3M(商標名)ダイヤモンドパッドコンディショナー及び台湾台北市のKinik Coからのコンディショニングディスクである。
【0020】
図4はECMPシステムのECMPステーション102の概略平面図である。コンディショニングヘッドは支持アーム118に結合されるよう示されており、パッドアセンブリ200の上側表面での動作範囲は矢印410により示されている。一実施形態において、パッドの半径の距離のコンディショニングが可能となるように、スウィープ範囲はパッドの周辺部分からパッドの中央部分、すなわち、半径全長のスウィープ範囲である。他の実施形態において、このスウィープ範囲は、ある長さだけ半径全長のスウィープ範囲により小さいものである。他の実施形態において、このスウィープ範囲は半径全長のスウィープ範囲より大きいものであるかもしれない。
【0021】
一般に、入ってくる、又は、研磨前の、基板のプロファイルは、幅広の線幅を有する基板の領域に対し、線幅の小さい領域において、銅を含有する材料を含む、より大きい高さ及び/又はより厚い厚さの導電層を含んでいる。さらに、研磨前のプロファイルは、基板の中央に比べて、基板の端に沿って、より高い、及び/又は、より厚い導電性材料の領域を含むかもしれない。
【0022】
エレクトロメカニカルケミカルポリシングステップにおいて、基板は導電材料のアノード溶解を妨げるために、基板の導電性部材上にパッシベーション層を形成するためのパッシベーション材を含む電解液にさらされる。より高い及び/又は厚い領域からパッシベージョン層が取り除かれると共に、広い線幅の部分などの、より低い高さの領域においてパッシベーション層が保持されるように、このパッシベーション層は、機械研磨の間、研磨部材に接触する。基板に印加されるバイアスは、パッシベーション層が取り除かれた、導電材料の領域において抑制されることなく行われるアノード溶解をもたらし、そのような領域においては、導電性部材を平坦化するために、より低い高さの領域に比べて、より多く取り除かれる。さらに、ECMPプロセスによる導電材料の除去は、広い線幅の領域内でのディシング(dishing)をもたらすかもしれない。
【0023】
突部形成ECMPプロセスは、広い線幅の領域内のディシングを制限、若しくは、最小化するために用いられるかもしれない。ECMPプロセスにおいて、狭い線幅の領域に比べて、広い線幅の領域において、十分な高さ、および/又は、厚さの導電材料が残存するように、広い線幅の領域において材料の除去を低減するために、突部形成の部材、及び/又は、突部形成の電力印加が用いられるかもしれない。広い線幅の領域において導電材料の突部を形成することにより、広い線幅の領域内で、最小限のディシングにより、または、ディシングのなしに、導電性材料を平坦化するのに用いられるために行われる次のプロセスが可能となり、このプロセスは通常、狭い線幅よりも高い除去率により、広い線幅の領域において、材料の除去を行う。
【0024】
突部形成プロセスの例は、「基板を研磨するための方法及び組成物」と題された2006年2月15日に出願された米国特許出願第11/356,352号、及び2003年6月26日に出願された米国特許出願第10/608,404号に詳細に記載されており、それらの出願は、本開示と一貫性のある範囲において本明細書において参照され、組み込まれる。
【0025】
上述のプロセスが除去率を増加せしめる一方で、残存する基板のプロファイルは、残渣の除去プロセスなどの第2の研磨プロセスの前に、より平らなプロファイルとなるよう改善されうる。本件において用いられるパッドのコンディショニング方式は、より高い平均除去率を可能とし、選択的にパッドの処理表面をコンディショニングするために改善されうる。
【0026】
図5は、除去率を高め、及び/又は、基板からの導電性材料の除去を制御するために構成された研磨方法500の一実施形態である。一実施形態において、研磨方法500により、パッドの最適な研磨品質を回復するために、パッドの処理表面の局所的な領域における選択的なコンディショニングを可能とする。別の実施形態において、研磨方法500は、処理パッドの処理表面の抵抗プロファイル、処理パッドの処理表面の導電性プロファイル、または、それらの組み合わせなどの電気的特性の選択的な制御および/または向上を可能とする。このように、基板上の導電性材料と処理表面との間の電気的接触が改善される。
【0027】
ステップ510において、導電性材料が堆積された基板が提供される。この導電性材料は、銅を含む材料、タングステンを含む材料、又は、電子デバイスを作成するために、この産業分野において用いられる、いかなる導電性金属であってもよい。ステップ520において、入ってくる、又は、研磨前のプロファイルの決定は、例えば、基板の部分毎に材料の厚さを計測することにより行われる。このプロファイルの決定は、基板の表面にかけて導電性材料の厚さのプロファイルを決定することを含む。厚さを示す計測値は、半導体基板の膜の厚さを測るために設計された1つ、又は、複数の装置によりもたらされうる。非接触の装置の一例は、それぞれが基板のスキャンし、マッピングする、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズインクから市販されているiSCAN(商標名)及びiMAP(商標名)を含む。
【0028】
ステップ530において、ステップ520でのプロファイル決定に応じて、コンディショニングパラメータが調整される。コンディショニングパラメータは矢印410(図4)に示されるように、コンディショニングヘッドのスウィープ範囲、コンディショニングの間にコンディショニングエレメントにかけられる圧力又は下向きの力、コンディショニングエレメントに適用される回転スピードもしくは回転速度、及び、コンディショニングヘッドのスウィープ周波数のうちの少なくとも1つ以上を含む。これらのコンディショニングパラメータの1つ以上は単独に又は少なくとも1つの他のコンディショニングパラメータと組み合わされて調整される。ステップ540において、基板は、ステップ530のコンディショニングパラメータを用いて導電性パッドをインシチュウでコンディショニングしながら研磨される。このステップにおいて、基板は導電性の研磨パッドに接触するようにさせられ、特に基板の導電性材料が導電性研磨パッドの上側の表面に接触するようにする。導電性の研磨パッドは基板に対して回転し、基盤もまた回転する。図4に参照される一実施形態において、パッドアセンブリ200及びプラテン255(図示せず)に結合される、コンディショニングヘッド300、キャリアヘッド105、及び導電性処理表面225は反時計回りに回転する。他の実施形態では、パッド、キャリアヘッド105、及びコンディショニングヘッド300の回転方向は異なるものかもしれない。電解液を含むパッシベーション材が流され、基板上において導電性材料のアノード溶解を促進するために、パッドの部分に電力が印加される。この電力は、上述のように、露出した導電性材料の高められたパッシベーションを容易にするために、パルス状のものであってもよい。
【0029】
本明細書に開示されたコンディショニングパラメータは、例示的に、インシチュウ(in situ)のプロセスのものと説明されてきたが、実施形態はこの開示に限定されるものではない。一実施形態においては、パッドの処理表面をコンディショニングするために、研磨プロセスの前又は後に、コンディショニングパラメータが調整され、パッドに対してコンディショニングが行われる一方で、研磨中にも、コンディショニングプロセスを行ってもよい。他の実施形態においては、研磨プロセスの前又は後において、次の研磨プロセスのための処理表面を準備するために、インシチュウでパッドに対してコンディショニングが行われる。
【0030】
ステップ520での基板プロファイル決定により、中央部分よりも端の部分において導電性部材が厚いことを示されるならば、この材料の除去により、研磨能力は、基板の端に接触しているパッドの処理表面の部分において劣化しているかもしれない。この除去力における局所的な劣化は、基板上の導電性材料の平坦化を妨げ、基板からの導電性部材の除去作用に対し悪い影響を与える。このように、処理表面の劣化部分を好適にコンディショニングすることは、除去率における局所的な損失を回復し、及び/又は、除去率を増加せしめる。例えば、基板の端が、円形の導電性パッドの処理表面の中央部分ではなく、円形の導電性パッドの処理表面の周辺部分に接触しているならば、コンディショニングパラメータは、円形の導電パッドの処理表面の周辺部分のコンディショニングを高めるよう調整されるかもしれない。この場合、下向きの力のコンディショニングエレメントなどのパラメータは周辺部分において増加され得、及び/又は、スウィープ周波数はそのスウィープに戻る前に、コンディショニングエレメントが周辺部分上での停止時間を有するように、少しの間、そのスウィープからコンディショニングヘッドを停止させることにより最適化される。この例において、増加された圧力、及び/又は、円形パッドの周辺部分上での停止時間により、パッドの処理表面の処理能力が向上し、これにより除去率が改善される。
【0031】
他の実施形態において、コンディショニングヘッド及びコンディショニングエレメントのスウィープ周波数が調整されるかもしれない。スウィープ周波数は、研磨能力の局所的な損失があると決定された処理表面の部分に、より積極的に、パッドの処理表面の部分をコンディショニングするように調整されるかもしれない。例えば、スウィープ周波数は、円形の導電性パッドの回転スピートに部分的に基づきうる。この例において、パッドの形状及び回転速度は、プロファイルの決定及び基板と導電性パッドとの間の接触領域に基づいて、より高い、若しくは、より低いスウィープ周波数を必要とするかもしれない。一実施形態において、スウィープ周波数は、約5スウィープ/分から約20スウィープ/分の間、例えば、約8スウィープ/から約14スウィープ/分の間であり、例えば、10スウィープ/分である。
【0032】
別の実施形態において、スウィープの範囲は円形の導電性パッドの処理表面にかけてスウィープの範囲を変えることにより調整されるかもしれない。例えば、円形の導電性パッドの中央は円形の導電性パッドの周辺に対して、より局所的に研磨能力の損失が生じ、これにより中央部分の平坦化を妨げる。この場合、半径全長にわたるスウィープから、スウィープの範囲がパッドの中央あたりから中央から半径の4分の3の所までコンディショニングを行う、4分の3スウィープへと、スウィープの範囲が変えられる。この実施形態においては、パッドの半径の残りの4分の1の部分はコンディショニングされないであろう。4分の3スウィープは、もし円形パッドの周辺が中央部分に対して劣化した平坦化能力を示すようであれば、逆に用いられ得、周辺部分に対しコンディショニングを行い、パッドの中央付近の部分に対してはコンディショニングを行わない。このスウィープ範囲の調整は上述の割合に限定されるものではなく、パッドのコンディショニングの必要性に応じていかなる割合も有りうる。
【0033】
他の実施形態は、パッドの回転運動にスウィープの範囲の調整を組み合わせたものであるかもしれない。その場合、スウィープの範囲はパッドの回転数に対し、いかなる割合の範囲のものである。スウィープの範囲はパッドの回転速度の所要の整数に対する分数であるかもしれないし、フルスウィープの範囲はパッドの回転速度の他の所要の整数としてもよい。例えば、中央部分に比べ、パッドの周辺部分において、より大きい局所的な研磨能力の損失があると決定されるなら、中央部分は周辺部分に比べ、より少ないコンディショニングにしか必要としない。であれば、ハーフスウィープがパッドの周辺と、パッドの周辺から半径の約半分の所との間において行われうる。この半分のスウィープは、例えば、パッドの約5〜10回転の間、継続するかもしれない。6回目もしくは11回目の回転毎にそれぞれ、フルスウィープがセンター部分からパッドの半分の所をコンディショニングするために再開されるかもしれない。このフルスウィープはパッドの回転速度の所要の整数値の間、継続され、ハーフスウィープが再開されるかもしれない。
【0034】
回転速度のコンディショニングエレメントは、導電性研磨パッドの処理表面の様々な部分に対し、より良好にコンディショニングを行うよう調整されるかもしれない。一実施形態においては、回転速度のコンディショニングエレメントは、コンディショニングを行う間、ある定数の回転速度に設定されるかもしれない。一実施形態において、回転速度のコンディショニングエレメントは約30RPMからと約100RPMとの間であり、例えば、約40RPMと約70RPMとの間である。他の実施形態において、コンディショニングパラメータは上述されたように調整され、回転速度のコンディショニングエレメントも変えられうる。例えば、回転速度のコンディショニングエレメントは、コンディショニングヘッドがパッドの周辺部分をコンディショニングしているときに増加され、中央部分をコンディショニングしているときに減少される。この実施形態では、周辺は中央部分に比べ、より多くコンディショニングが行われるかもしれない。中央部分が周辺部分より多くコンディショニングされる必要があれば、回転速度のコンディショニングエレメントは、周辺に比べ、中央をコンディショニングするときにより高速のものとなるだろう。
【0035】
また、ヘッドの下向きの力のコンディショニングも調整されうる。一実施形態において、パッドに対してコンディショニングエレメントに印加される下向きの力は約0.7psiから約2.0psiとの間の範囲、例えば、約1.0psiから約1.7psiの間の固定値である。他の実施形態において、コンディショニングパラメータは上述のように調整され、下向きの力も変えられる。例えば、下向きの力は、コンディショニングヘッドがパッドの処理表面の周辺部分をコンディショニングするときに増加され、中央部分の処理表面をコンディショニングするときに減少される。この実施形態において、周辺は中央部分より、より多くコンディショニングが行われるかもしれない。中央が周辺部分より多くコンディショニングされる必要があるのであれば、下向きの力は、周辺に比べ、中央をコンディショニングするときに、より強いものとなろう。
【0036】
中央部分に比べ、端の所により厚い厚さの導電性材料を有する基板によりテストが行われ、従来のコンディショニング方式を用いると、平均して約1550オングストロームから約1850オングストロームの導電性材料を全体的に除去できた。続いて、同様のプロファイルを有する基板が本明細書に記載されたコンディショニング方式を用いて研磨され、平均で約600オングストローム以上、多く除去ができるという結果を得た。例えば、本明細書に記載された実施形態を用いると、平均の全体的除去率は約2350オングストロームから約2900オングストロームの間の平均除去率であった。
【0037】
導電性パッドをコンディショニングするコンディショニング方法が本明細書において例示的に説明されてきたが、本コンディショニング方法は非導電性のパッドの処理表面に対しても効果を発揮するので、本発明は導電性パッドに限定されるものではない。さらに、本明細書に開示された方法は円形のパッドに関し説明されてきたが、本発明はこの開示に限定されるものではなく、例えばエンドレスベルト、供給ロールから巻取りロールへとプラテン上を進行するよう構成されたパッドを有する装置など線形の研磨システム、或いは、他の研磨パッドを用いて基板を研磨するためのいかなる装置にも用いられうる。本発明の他の及びさらなる実施形態は本発明の基本範囲から逸脱することなくなされ得、その範囲は特許請求の範囲により決定される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明の上記に述べられた構成が詳細に理解されるように、上に短く要約された本発明のより具体的な説明が実施形態を参照してなされ、それらのいくつかは添付図面に示される。しかしながら、添付図面は本発明の典型的な実施形態のみを図説するものであり、従って、その範囲を制限するものと考えられるべきではなく、本発明は他の等しく効果的な実施形態をも含む。
【図1】処理システムの一実施形態を示す図である。
【図2】パッドアセンブリの一実施形態の展開斜視図である。
【図3】ECMPステーションの一実施形態の概略側面図である。
【図4】ECMPステーションの他の実施形態の概略平面図である。
【図5】研磨方法の一実施形態を示す図である。
【0039】
理解を容認するために、可能な限り図において共通する同じ要素を示すために同じ参照番号が用いられる。1つの実施形態において開示された要素は特に引用することなく、他の実施形態において便宜的に用いられると理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
到来する基板の厚さのプロファイルを決定し、
この前記厚さのプロファイルに基づきコンディショニングパラメータを設定し、
前記コンディショニングパラメータに基づき研磨パッドの処理表面に対してコンディショニングを行うことを含む半導体基板を処理するための方法。
【請求項2】
前記決定することは前記基板の表面にわたり導電性材料の厚さのプロファイルを決定することを含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記設定することはコンディショニングヘッドのスウィープ範囲、コンディショニングヘッドのスウィープ周波数、コンディショニングエレメントに与えられる圧力、コンディショニングエレメントの回転速度、及びそれらの組み合わせの内の少なくとも1つを設定することを含む請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記設定することはコンディショニングヘッドのスウィープ範囲を半径全長のスウィープ範囲に設定することを含む請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記設定することはコンディショニングヘッドのスウィープ範囲を半径全長にわたるスウィープ範囲の分数の範囲に設定することを含む請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記設定することは約5スウィープ/分から約20スウィープ/分の間にコンディショニングヘッドのスウィープ周波数を設定することを含む請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記設定することは約0.7psiから約2.0psiの間に前記コンディショニングエレメントに印加される圧力を設定することを含む請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記設定することは約30RPMから約100RPMの間に前記コンディショニングエレメントの回転速度を設定することを請求項1記載の方法。
【請求項9】
コンディショニングの間に前記基板を研磨することを含む請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記処理表面のコンディショニングは研磨プロセスの前に行われる請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記研磨パッドの処理表面は導電性である請求項1記載の方法。
【請求項12】
到来する基板の上の導電性材料の厚さのプロファイルを示す計測値を決定し、
前記計測値に基づいて研磨パッドの導電性の処理表面上の電気特性を変化させることを含む半導体基板を処理する方法。
【請求項13】
前記変化させることは、前記計測値に基づいて1つ以上のコンディショニングパラメータを設定し、
前記研磨パッドの前記処理表面に対して前記基板を処理し、
前記コンディショニングパラメータを用いて前記処理表面に対してコンディショニングを行うことを含む請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記設定することは、コンディショニングヘッドのスウィープ範囲を調整すること、コンディショニングヘッドのスウィープ周波数を調整すること、コンディショニングエレメントに印加される圧力を調整すること、コンディショニングエレメントの回転速度を調整すること、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記コンディショニングヘッドのスウィープ周波数は約5スウィープ/分から約20スウィープ/分の間である請求項14記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−260899(P2007−260899A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−83542(P2007−83542)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】