説明

導電性ローラ、その製造方法、電子写真装置及びプロセスカートリッジ

【課題】 導電性ローラを被帯電体と当接させて使用する場合に、導電性粒子を含有する導電性弾性層の外周に電気特性を制御するための層を設けなくとも、画像不良の発生を低減できる導電性ローラ、これを用いた電子写真装置およびプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】 導電性粒子を含有する導電性ローラにおいて、ローラ中央部の電圧依存性よりもローラ端部の電圧依存性を小さくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真装置内で用いられる現像ローラ、帯電ローラ、転写ローラ等の導電性ローラ、これを用いた電子写真装置及びプロセスカートリッジ、及び導電性ローラの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子写真法としては多数の方法が知られている。
【0003】
一般的な例としては、
感光性(光導電性)物質を利用した被帯電体上に電位を付与し(帯電工程)、
被帯電体上を部分的に露光することで電気的潜像を形成し(露光工程)、
ついで該潜像をトナーで可視像とし(現像工程)、紙等の転写材にトナー画像を転写し(転写工程)、
その後、熱・圧力等により転写材上にトナー画像を定着して(定着工程)
画像を得る方法が挙げられる。
【0004】
また、転写材上に転写されずに被帯電体上に残ったトナー粒子を、種々の手段によって被帯電体上より除去する(クリーニング工程)などの付帯的な工程が追加されることもある。
【0005】
これらの工程のうち帯電工程、現像工程、転写工程に用いられる部材は、弾性層をもつ導電性ローラが一般的に用いられている。ローラ形状にして回転させることで、トナーや外添剤や紙粉などの粉体が局所的に堆積することによる画像不良が起こりにくくなる。また、被帯電体との接触通電部位が移り変わるので、電気抵抗の上昇が抑制されるという効果もある。
【0006】
このような導電性ローラを被帯電体と当接させて使用する場合に、後述する当接跡や、ピンホールリークによる画像不良が起こっていた。
【0007】
まず、当接跡について説明する。導電性ローラを被帯電体と当接させて、長期間使用せずに放置した後に使用する場合に、導電性ローラの当接部が画像上に当接跡として画像不良になっていた。
【0008】
その画像不良の原因は様々に考えられるが、その原因の一つに、導電性弾性層に含まれるの導電剤の分散状態が変化することで当接部の電気抵抗が不可逆的に変化することが挙げられる。当接部の電気抵抗が変化することにより、当接部と非当接部とで、電気抵抗が異なるため、放電量に差が生じて画像の均一性が損なわれる。
【0009】
この対策として特許文献1には、導電性弾性層の外周に半導電性高分子組成物を設けることにより電気抵抗のばらつきを抑え、導電性ローラに均一な導電性を付与することが提案されている。
【0010】
次に、ピンホールリークによる画像不良について説明する。導電性ローラを被帯電体と当接させて使用する場合の画像不良として、被帯電体の欠陥部分に過大な電流が流れること(本発明では、ピンホールリークと呼ぶ)が原因のものがある。
【0011】
以下、ピンホールリークの原因について、詳細に説明する。被帯電体には、通常は画像不良にはならないミリメートル以下の微小な凹み(ピンホール)がある場合がある。この部位に過度の電流が流れると、その電荷が凹みの周囲まで流れ込み、凹みの大きさよりも何倍も大きい数mm単位の画像不良になる。また、ひどい場合には、電荷が被帯電体の軸方向の両端まで流れ込み画像上に横線が入るという不良にもなる。このピンホールリークは、導電性ローラの電気抵抗が低いほど過剰の電流が流れるために発生しやすく、電気抵抗が高い場合には同じ大きさのピンホールがあっても画像不良にならない。
【0012】
このピンホールリークの問題を解決するために、導電性弾性層の表面に導電性弾性層に比べ抵抗の高い樹脂層を保護層として設けることが行われている。この保護層は電気抵抗が高いほうがピンホールリークは起こりにくいが、高すぎると帯電能が低下してしまい、画像濃度ムラが起こる、異常放電に起因するスジが出るなどの画像不良を起こす。そのために保護層の導電性を中抵抗に制御することが行われており、保護層に導電性粒子を添加している。添加した導電性粒子に凝集塊があるとそれが画像不良になるために、均一な分散が得られることが好ましい。
【0013】
このような発明として、特許文献2には、多孔質化したフッ素樹脂を主成分としその多孔質内に導電性粒子を充填させた保護層が提案されている。
【特許文献1】特開平02−199163号公報
【特許文献2】特開2005−266312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1及び2に記載の提案では、導電性弾性層の形成後、外周に半導電性高分子組成物の形成や導電性粒子を添加した保護層の形成等を必要とし、製造工程が複雑であった。
【0015】
そこで本発明の目的は、より簡便な製造工程で、導電性ローラを被帯電体と当接させて使用する場合に発生する画像不良を低減できる導電性ローラ、これを用いた電子写真装置及びプロセスカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、導電性支持体上に、少なくとも導電性粒子を含む導電性弾性層を有する導電性ローラにおいて、
導電性弾性層をローラ軸方向に対して8分割した際(本発明では、導電性弾性層が帯電される領域を8分割するものとする)、
その両端部の電気抵抗の相加平均を端部の電気抵抗Re、その中央部2点の相加平均を中央部の電気抵抗Rcとし、
印加電圧が50V及び500Vのときの該端部の電気抵抗及び該中央部の電気抵抗をRe(50V)、Rc(50V)及びRe(500V)、Rc(500V)とし、
印加電圧が200Vときの軸方向全長の電気抵抗をR(200V)とするとき、
0.1<log[Re(50V)/Re(500V)]/log[Rc(50V)/Rc(500V)]≦0.9かつ
1.0≦log(Re(50V)/Re(500V))≦2.2かつ
1.7≦log(Rc(50V)/Rc(500V))を満たし、
さらに10Ω≦R(200V)≦10Ωを満たす
ことを特徴とする導電性ローラを提供する。
【0017】
また本発明は、上記導電性ローラを用いた電子写真装置及びプロセスカートリッジを提供する。
【0018】
さらに本発明は、上記導電性ローラの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0019】
導電性ローラの両端部の電圧依存性を中央部の電圧依存性よりも小さくすることで、導電性ローラを被帯電体と当接させて使用する場合に画像不良の発生を低減することができる。
【0020】
また、導電性弾性層の外周に電気特性を制御するための層を設けなくても良いため、本発明の導電性ローラは従来技術より簡便な製造工程により、得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0022】
本発明者らは、少なくとも導電性粒子を含む導電性弾性層を有する導電性ローラにおいて、
導電性弾性層の端部の電気抵抗Re、
中央部の電気抵抗Rc、
軸方向全長の電気抵抗R(200V)
を、以下の条件とすることで、当接跡の発生及びピンホールリークによる画像不良を低減できる導電性ローラを提供できるということを見出し、本発明に至った。
【0023】
当接跡の発生を低減する条件は、0.1<log[Re(50V)/Re(500V)]/log[Rc(50V)/Rc(500V)]≦0.9かつ1.0≦log(Re(50V)/Re(500V))≦2.2かつR(200V)≦10Ωである。
【0024】
ピンホールリークによる画像不良を低減する条件は、1.7≦log(Rc(50V)/Rc(500V))かつ10Ω≦R(200V)である。
【0025】
本発明の導電性ローラの構造及び形態を例示すれば、図1に示したように、導電性弾性層12を導電性支持体11の外周に形成し、その最表面に、表面処理13を施した導電性ローラを例示することができる。
【0026】
上記導電性支持体としては、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム及びニッケル等の金属材料の円柱を用いることができる。さらにこれらの金属表面に良導電性を失わない範囲で、防錆性や耐傷性の付与を目的としてメッキ処理を施しても良い。また、良導電性を失わない範囲で、導電性弾性層との接着を目的とした厚さ1μm以上20μm以下の接着剤を塗布しても良い。
【0027】
上記導電性弾性層は、従来から導電性ローラの導電性弾性層として用いられているゴムや熱可塑性エラストマー等で形成することができる。
【0028】
ゴムとしては、
ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ポリノルボルネンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム
等を含むゴム組成物が好適に用いられる。
【0029】
熱可塑性エラストマーとしては、その種類としては特に制限はなく、汎用のスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマーなどから選ばれる1種あるいは複数種の熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性エラストマー組成物を好適に用いることができる。
【0030】
本発明を実施するにあたり、当接跡の原因となる当接部の凹みを小さくするため、導電性弾性層の圧縮永久ひずみが小さいことが必要である。熱可塑性エラストマー組成物にくらべ、架橋されたゴム組成物の方が一般的に圧縮永久ひずみが小さい。したがって、熱可塑性エラストマーとしては架橋されたゴム組成物好ましい。
【0031】
本発明に該当する導電性弾性層は、後述の測定方法で10〜10Ωの電気抵抗を有することが必要である。そのような導電性弾性層を形成するために、ゴムや熱可塑性エラストマー等の導電性エラストマーを用いる。導電性エラストマーの導電機構としては、イオン導電機構と電子導電機構の二つに大別される。
【0032】
イオン導電機構の導電性エラストマーは、
エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム
に代表される極性エラストマーとその極性エラストマーの中で電離し、かつそのイオンの移動度が高いイオン導電剤からなるものが一般的である。しかし、イオン導電機構の導電性エラストマーは、電気抵抗の環境依存性が大きく、イオンが移行することによって導電性が発現するという機構上の問題で、当接跡の原因となるブリード・ブルームを起こしやすい。
【0033】
それに対し、電子導電機構による導電性エラストマーは、エラストマー中に導電性粒子として、カーボンブラック、カーボンファイバー、グラファイト、金属微粉末、金属酸化物等を分散し、複合したものが一般的である。電子導電機構の導電性性エラストマーは、イオン導電機構の導電性エラストマーに比べ、電気抵抗の温湿度依存性が小さい、ブリードやブルームが少ない、安価であるなどの長所がある。
【0034】
本発明の導電性ローラは、被帯電体と当接させて、長期間使用せずに放置しても、当接部が画像不良として表れることを低減する必要があるので、ブリードやブルームの少ない電子導電機構の導電性エラストマーが好ましい。
【0035】
さらに、本発明においては、電子導電機構による導電性エラストマーが、分散複合系材料であることを利用して、所望の電気特性を得ている。電子導電性機構による導電性エラストマーは、導電性粒子の充填量だけではなく分散状態によっても大きく物理的性質が変化することが知られている。導電性弾性層中の導電性粒子の分散状態は、加工時に掛かるせん断や加熱などの力学的エネルギーや熱エネルギーによって変化し、このときに電気抵抗が変化していく。この電気抵抗の変化は、次の2つのメカニズムによるものであると解釈される。
【0036】
1つ目は、導電性粒子の凝集(主にアグロメレート)がほぐれていき、そのために導電経路が分断され、電気抵抗が上昇するというメカニズムである。
【0037】
2つ目は熱等を加えると導電性粒子の凝集する反応速度が大きくなり、導電性粒子の凝集が進む。導電性粒子が凝集することで導電経路が形成され、電気抵抗が低下するというメカニズムである。
【0038】
また、導電性粒子を含む導電性エラストマーが押出し機や射出成型機の流路を通った場合には、導電性粒子が偏在する。押出し機や射出成型機などにおいて導電性エラストマーの流路となる管内の流速分布は、管壁近くで最も遅くなる。このときに分子量の小さい材料は管壁に寄っていき、分子量の大きいもの及び導電性粒子などは管壁から遠ざかっていく現象が起こる。そのため、導電性エラストマー中で導電性粒子の濃度分布が生じ、濃い部分では電気抵抗が下がり、薄い部分では電気抵抗が上がる。
【0039】
これらの現象を利用し、導電性ローラの径方向の導電性粒子の濃度分布、及び、軸方向の導電性粒子の分散状態を制御することで、本発明を達成することができる。
【0040】
本発明に用いる導電性粒子としては、
ケッチェンブラックEC、アセチレンブラック等の導電性カーボン;
SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン;
酸化処理を施したカラー(インク)用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイト;
酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、銅、銀等の金属及び金属酸化物
等が挙げられる。
【0041】
これらの導電性粒子の充填量としては、原料ゴム、導電性粒子、及びその他配合剤の種類によって、導電性弾性層が所望の電気抵抗を有するものとなるように、適宜選択することができる。例えば、ポリマー100質量部に対して、0.5質量部以上100質量部以下、好ましくは2質量部以上50質量部以下などとすることができる。
【0042】
これらのゴムの弾性層組成物には、本発明の導電性ローラの低圧縮永久歪み性、低ブリード性、半導電性等の特性を失わない範囲で、ゴムの配合剤として一般的に用いられる、
加工助剤、架橋剤、架橋促進剤、架橋促進助剤、架橋遅延剤、充填剤、分散剤、発泡剤、滑剤、老化防止剤、オゾン劣化防止剤、酸化防止剤、導電剤
等を適宜添加することができる。
【0043】
これらの原料ゴムと配合剤の混練方法としては、バンバリーミキサーやインターミックスや加圧式ニーダーといった密閉型混練機を使用した方法や、オープンロールのような開放型の混練機を使用した方法などを例示することができる。
【0044】
このようにしてできた未加硫ゴム組成物の成形方法としては未加硫ゴム組成物を導電性支持体と一体に押出して弾性層ローラを成形する押出成形が好ましい。
【0045】
ここで、図2は本発明に用いる押出機2の模式図を示す。押出機はクロスヘッド21を備える。クロスヘッドは導電性支持体送りローラ22によって送られた導電性支持体23を押出スクリュー24に垂直な方向から挿入でき、導電性支持体と同時に円筒状の混練物を一体に押出す事ができる。導電性支持体の周囲に円筒状の未加硫ゴム組成物を成形した後に、端部を切断・除去処理25を行い、8.7mmの円筒状の未加硫ゴムローラ26とした。
【0046】
この未加硫ゴムローラの径方向の断面を現した模式図が図3である。このように断面を見ると導電性粒子の存在量は分布を持っており、導電性支持体近傍及び、表面近傍において、導電性粒子の濃度が薄くなっている。これは、押出機内の混練物の流速分布によって起こる現象であると推定される。
【0047】
通常、ある管内を進む流体の流速は、管壁近くでもっとも遅くなる。このときに分子量の小さい材料は管壁に寄って行き、分子量の大きいもの及び導電性粒子は管壁から遠ざかって行く。そのため、導電性粒子の濃度分布が生じる。この濃度分布は、混練物の導電性粒子や粘度特性を変えることで制御することができる。
【0048】
また、この濃度分布は、導電性弾性層の電気抵抗の電圧依存性とも密接に関連している。濃度分布が小さい場合には、導電性粒子間の距離が径方向で均一でありその場合には、電気抵抗の電圧依存性は小さくなる。それに対し、濃度分布が大きい場合には、導電性粒子間の距離が導電性支持体近傍や表面近傍では長くなり、中心部では近くなるので、電気抵抗の電圧依存性が大きくなる。
【0049】
ピンホールリークは、この電気抵抗の電圧依存性が大きいほど起こりにくいことが検討の結果明らかになった。
【0050】
その理由は、電圧依存性が大きい場合には、径方向に導電性粒子の濃度分布が大きくなり、その濃度の薄い部分では体積抵抗が高くなる。そのため保護層を設けたときと同じように被帯電体上のピンホールに過剰の電荷が流れ込むことが抑制されていると推察される。
【0051】
本発明では、導電性ローラの軸方向全長の電気抵抗を10Ω以上、かつ、ローラ中央部の電圧依存性log(Rc(50V)/Rc(500V))を1.7以上、より好ましくは2.2以上と高抵抗化することで、ピンホールリークを低減することができる。
【0052】
なお、ピンホールリーク低減の観点からは、ローラ中央部の電圧依存性は大きい方が好ましいが、帯電能の観点からは、電圧依存性が大きすぎる、即ち表面近傍の電気抵抗が大きすぎると帯電能が低下するため好ましくない。よって、ローラ中央部の電圧依存性は、log(Rc(50V)/Rc(500V))≦5.0であることが好ましく、またlog(Rc(50V)/Rc(500V))≦3.0であることがさらに好ましい。
【0053】
上記未加硫ゴムローラの加硫方法として、型加硫、加硫缶加硫、連続加硫、遠・近赤外線加硫、誘導加熱加硫等の方法を挙げることができる。
【0054】
また、上記加硫後に所望のローラ形状、ローラ表面粗さにするために、砥石により研削することが好ましい。
【0055】
一般的に、ローラ形状の弾性層を研削する方法は、トラバース方式という研削方法がとられている。この方式は短い砥石をローラに準じて移動させることにより、ローラを研削するものである。それに対して、幅広研削方式という研削方法も存在する。この方式は、文字通り幅の広い砥石、即ち、ローラ長さよりも広いの幅の砥石を用い、それを押し当てることにより、僅かな時間でローラ研削ができるという方式である。作業の効率化等を考慮すると、幅広研削方式がより好ましいといえる。
【0056】
幅広研削方式の円筒研削機である構成を図4(1)もって説明する。主軸台ユニット401はコレットチャック403とコレットチャックを支える主軸受け部402と主軸に動力を伝えるプーリ及びベルト404とプーリを駆動回転させるワーク回転用モータ405によって構成される。芯押台ユニット406は芯押軸センタ408と芯押軸受け部407と芯押台ユニットの前後進をするためのリニアガイドからなる図示されてない芯押台スライド部と芯押台ユニットの前後進の駆動部であるシリンダ409によって構成される。また、研削砥石の回転軸に直交する位置で芯押台スライド部に取り付けられているダイヤモンドドレッサー410から構成されている。
【0057】
スイベルテーブル411は、主軸台を介して主軸台ユニット401、芯押台を介して芯押台ユニット406がそれぞれ取り付けられている。主軸台ユニット401の一部である主軸受け部402は主軸台に取り付けてあり駆動回転が可能な主軸を保持している。また、主軸受け部402と対向配置し芯押台ユニットの一部である芯押軸受け部407は芯押台に取り付けてあり従動回転が可能な図示されてない芯押軸を保持している。さらに芯押軸の中心軸と主軸の中心軸を合致させている。
【0058】
未研削の加硫ゴムローラ412の導電性支持体端部402aはコレットチャック403により保持され、もう一方の導電性支持体端部412bは芯押軸センタ408が加硫ゴムローラ412側に前進することにより圧接保持される。圧接保持された未研削の加硫ゴムローラ412はワーク回転用モータ405が駆動するとプーリ、ベルト404及び主軸受け部402を介して未研削の加硫ゴムローラ412を駆動回転させる構成である。
【0059】
また芯押台ユニット406の芯押軸受け部407にダイヤモンドドレッサー410が研削砥石413の研削面に対向するように取り付けてある。
【0060】
次に加硫ゴムローラ412への研削砥石413の切込み構成を説明すると、受け台414上にリニアガイドを介して砥石台415が主軸の中心線あるいは芯押軸の中心線に対して直交する方向に前後進できるように配置されている。そして砥石台415は図示されてないボールネジで受け台414に連結され、ボールネジと直結の切込み用モータ416からの駆動でB方向に前後進する。さらに受け台414はスラスト移動台417上に固定され、スラスト移動台417は図示されてないベース本体上のリニアガイド418を介して砥石台415の移動方向B対して直交する方向Cに前後進できるように配置されている。そしてスラスト移動台417は図示されてないボールネジを介して直結のスラスト移動用モータ419からの駆動でC方向に前後進する。
【0061】
逆クラウンの形状の研削砥石413は、砥石軸受け部420、ベルト421、プーリを介して砥石用モータ422により駆動回転させることができる。この研削砥石413、砥石軸受け部420、砥石用モータ422は、砥石台415上に取り付けられている。
【0062】
コレットチャック403と芯押軸センタ408により圧接保持された該加硫ゴムローラ412の回転中心に対して、砥石台415の研削砥石413の回転中心を平行に配置してある。この研削砥石413の回転中心と該加硫ゴムローラ412の回転中心が平行に保たれたまま、回転中心対して直交する方向に移動可能な構成である。
【0063】
この構成により該加硫ゴムローラ412への研削砥石413の所望の切込みが設定でき加硫ゴムローラ412の外径形状、表面性を適宜決められる幅広研削方式の円筒研削機として用いることができる。
【0064】
また、回転駆動させた研削砥石413に対し、ダイヤモンドドレッサー410を、研削砥石413の回転軸に対してスラスト方向に平行移動させながら、所望の切込みを与えて研削砥石413の研削表面をドレッシングすることができる。
【0065】
ところで、ローラ形状である導電性ローラは、その両端部の導電性支持体部位を回転可能に支持し、被帯電体と接触させて、被帯電体の回転と従動駆動する方法が一般的になっている。この方法で導電性ローラを駆動する場合には、ローラにギアなどの強制駆動用の部品をつける必要が無いために、安価であるという利点がある。このとき被帯電体との均一密着性を確保するために、導電性弾性層を研削によって中央部を一番太く、両端部にいくほど細くなる形状、いわゆるクラウン形状に形成することが好ましい。
【0066】
軸方向で太さの変わらない円筒形状の場合に、ローラの両端部を支持して円筒状の被帯電体に当接する場合、中央部の押圧力が小さく、両端部ほど大きくなる。そのため、中央部と両端部に対応する画像に濃度ムラがおこる。上記クラウン形状はこれを低減するために形成される。
【0067】
本発明で用いる、幅広研削砥石の形状を図4(2)に示す。もし、この研削砥石の形状がそのまま導電性弾性層に転写されてしまうと、被帯電体と当接したときに、導電性弾性層の両端部の当接圧力が弱くなる、さらには、接触しなくなる場合もある。しかし、本発明では研削砥石の送り速度、つまり、導電性弾性層の研削速度を一定以上速くして、導電性支持体を含む加硫ゴムローラを砥石と逆方向に撓ませながら研削する。その結果、砥石の形状と加硫ゴムローラの撓む形状を合成した形状が導電性弾性層の形状になる。
【0068】
このときに、砥石の中央部にくらべ両端部は曲率が大きく、かつ加硫ゴムローラの中央部が撓むために、導電性弾性層が砥石から受ける力学的エネルギーは両端部ほど大きくなる。このとき、力学的エネルギーを多く受けた両端部は、分散が進み電気抵抗の電圧依存性が中央部にくらべ小さくなる。また研削の際、導電性弾性層の硬度は高いほど導電性支持体を含む加硫ゴムローラが撓みやすいため良い。さらに、硬度が高いと外径差振れ精度の良いローラを得ることができるという効果もある。
【0069】
しかし、あまりにも硬度の大きいローラになると、帯電ローラと感光体とのニップが十分に確保できなくなり、帯電不良を生じる場合がある。硬度及び加硫ゴムローラの撓み易さを表す指標を検討した結果、引張試験(JIS K6251−1993)における破断応力が良い相関を示すことが明らかになった。
【0070】
そのため、導電性弾性層の最適な硬度は、引張試験における破断応力で、8MPa以上24MPa以下が好ましく、12MPa以上18MPa以下がさらに好ましい。
【0071】
研削機について加硫ゴムローラの撓み方に影響を及ぼす因子としては、砥石の外径、砥石に用いている研削剤の大きさや砥石の気泡率、砥石や導電性ローラの回転速度と回転方向、研削機に付いている導電性支持体のチャック部分の剛性とチャック力などがある。
【0072】
加硫ゴムローラの材質として撓み方に影響を及ぼす因子としては、導電性支持体の材質などがある。
【0073】
また、DBP吸油量が大きいカーボンブラックほど、導電性粒子同士のストラクチャーが発達している傾向にあり、同様の研削条件で導電性弾性層を研削しても中央部と端部の電圧依存性の差がつきやすい。つまり、導電性弾性層の研削により、端部の電圧依存性は小さくなりやすい。逆に、電気抵抗の電圧依存性についてはDBP吸油量が大きいカーボンブラックほど大きくなる傾向にある。これはDBP吸油量が大きいほど、押出等の成形により、径方向に濃度分布ができやすいためであると推察される。そのため、DBP吸油量は40ml/100g以上300ml/100g以下の範囲であることが好ましく、80ml/100g以上150ml/100g以下の範囲であることがさらに好ましい。ここで示すDBP吸油量の値は、JIS K6217:1997に則って測定した値である。
【0074】
前述したように、押出し時に導電性弾性層における表面近傍の導電性粒子の濃度が薄くなるようにし、電気抵抗および電気抵抗の電圧依存性の大きい導電性弾性層を成形することで、ピンホールリークの発生を低減することができる。
【0075】
しかし、導電性弾性層の両端部の電圧依存性が大きい(即ち、導電性粒子の分散があまり進んでいない)と、当接跡が発生してしまう。その当接跡の発生を低減する目的で、導電性弾性層を研削することにより、導電性弾性層に含まれる導電性粒子に力学的エネルギーを与えて、ローラ端部の導電性粒子を集中的に分散させる。このようにして、ローラ端部の電圧依存性を小さくすることができる。
【0076】
なお、当接跡の発生する原因としては、導電性ローラからのブリード、当接部のへこみが考えられる。しかし、調査の結果、ブリードはほとんど見られず、当接跡の発生の主な原因ではないことが明らかになった。また、当接跡のへこみの深さも2〜6μmと非常に小さく、へこみの深さと当接跡の発生との相関性は低いことが明らかになった。一方、当接部の電気抵抗が高くなっていることがわかり、この当接部の電気抵抗が高いほど画像不良の程度が悪いことが明らかになった。
【0077】
また、当接跡は画像の主に端部に起こっている。これは端部では当接圧力が強いために電気抵抗の変化が大きいことが原因であると考えられる。よって、クラウン形状の曲率を大きくして端部の当接圧力を弱くすることを試みたが、端部の画像濃度が薄くなり、端部と中央部とで画像濃度の均一性が失われた。したがって、クラウン形状によって当接圧力を弱くすることはできなかった。
【0078】
このローラ端部の当接跡の電気抵抗を測定するために、後に述べる分割抵抗測定におけるローラ軸方向端部の200Vの電気抵抗を測定し、ローラ周方向の電気抵抗波形としてグラフ化した結果が図5である。当接部が高抵抗化していることがわかる。
【0079】
この電気抵抗波形の平均値と最大値の差をピーク高さlog(Re最大値(200V)/Re平均値(200V))とし、後に述べる導電性弾性層の端部の電圧依存性log(Re(50V)/Re(500V))との関係をプロットしたものが図6である。このように端部の電圧依存性とピーク高さが良く相関している。
【0080】
このことから、端部の電圧依存性が大きいほど、研削時の導電性粒子の分散は進んでいないことが、また端部の電圧依存性が小さいほど、導電性粒子の分散は進んでいることが推察される。
【0081】
本発明では、0.1<log[Re(50V)/Re(500V)]/log[Rc(50V)/Rc(500V)]≦0.9、かつ、1.0≦log(Re(50V)/Re(500V))≦2.2の範囲とすることが好ましい。
【0082】
まず、log[Re(50V)/Re(500V)]/log[Rc(50V)/Rc(500V)]≦0.1となる場合が好ましくない理由は、現実的な生産方法でこの状態を得ることが難しいためである。また万が一達成した場合にも、電気抵抗が端部と中央部とで大きく異なるために端部と中央部とで画像濃度のムラが生じ画像品位が損なわれるためである。
【0083】
次に0.9<log[Re(50V)/Re(500V)]/log[Rc(50V)/Rc(500V)]となる場合が好ましくない理由は、端部における導電性粒子の分散が十分に進んでいないため、当接跡が発生しやすいからであると考えられる。
【0084】
さらに、2.2<log(Re(50V)/Re(500V))の場合は、端部の電圧依存性が高すぎる、すなわち、端部の電気抵抗が大き過ぎるため、帯電不足が生じ、当接跡が発生する。
【0085】
このような観点から、0.6<log[Re(50V)/Re(500V)]/log[Rc(50V)/Rc(500V)]≦0.8の範囲とすることがより好ましい。また、1.2≦log(Re(50V)/Re(500V))≦1.8の範囲とすることがさらに好ましい。
【0086】
≪全長と半全長との曲率比の算出法≫
本発明では、曲率という場合にはすべて真円の曲率であり、ある3点を通る真円の半径をrとしたときに、1/rの値を曲率と定義する。
【0087】
砥石研削面の軸方向の両端間の距離が0/4と2/4と4/4の位置である3点の砥石の直径を測定し、その3点を通る真円の曲率をkとし、
砥石研削面の軸方向の両端間の距離が1/4と2/4と3/4の位置である3点の砥石の直径を測定し、その3点を通る真円の曲率をkとするとき、
/kの値を砥石の全長と半全長との曲率比と定義する。
【0088】
砥石の曲率比k/kが1.2未満であると、導電性弾性層の両端部の電圧依存性を小さくする効果が小さいため好ましくない。また、曲率比k/kが70.0より大きくなると、導電性弾性層の両端部の導電性弾性層が薄くなり、芯金と回転ドラム型の電子写感光体との間で放電してしまう可能性があるため好ましくない。
【0089】
このような観点から、砥石の曲率比k/kは、1.2以上70.0以下ならば好ましく、5.0以上20.0以下ならばさらに好ましい。
【0090】
導電性弾性層の軸方向における帯電領域の両端間の距離が0/4と2/4と4/4の位置である3点の導電性弾性層の直径を測定し、その3点を通る真円の曲率をKとし、
導電性弾性層の軸方向の両端間の距離が1/4と2/4と3/4の位置である3点の導電性弾性層の直径を測定し、その3点を通る真円の曲率をKとするとき、
/Kの値を導電性弾性層の全長と半全長との曲率比と定義する。
【0091】
導電性弾性層の曲率比K/Kは、導電性ローラを被帯電体と当接させたときに、導電性弾性層の両端部の当接圧力が強すぎず、弱すぎない範囲が良い。
【0092】
曲率比K/Kを0.8未満とすると当接圧力が弱すぎるため、導電性弾性層の両端部において適切に帯電させにくくなると考えられる。また、曲率比K/Kを1.2より大きくすると当接圧力が強すぎるため、導電性ローラからのブリード、当接部のへこみが発生しやすくなると推察される。これらはいずれも当接跡の原因となる。検討の結果、導電性弾性層の形状は真円の円弧に近いほど良いことが分かった。
【0093】
したがって導電性弾性層の曲率比K/Kは、0.8以上1.2以下とするのが好ましく、0.9以上1.1以下とするのがさらに好ましい。
【0094】
導電性弾性層表面に塗膜を形成する方法としては、ディッピング塗工、スプレー塗工、リング塗工(特開2005−321749号公報に開示されている)、刷毛塗工などの方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。塗布液は、導電性弾性層の軸方向の電圧依存性や電気抵抗に影響を与えないものが好ましい。よって、導電性ローラの塗膜に導電性制御のために一般的に用いられている、カーボンブラック、金属、金属酸化物等の微粒子は添加されていないほうが好ましい。
【0095】
また、塗布液が低粘度であるほど塗膜の膜厚が薄くなり電気特性への寄与が小さくなるため好ましい。そのため、適宜溶媒で希釈して、塗布液を低粘度化することが好ましい。このときに塗布液の粘度は、B型粘度計における測定値で、2.0mPa・s以下であることがさらに好ましい。
【0096】
また、塗布量を調節して、溶媒が揮発した後の膜厚で1.00μm以下0.01μm以上であることが好ましい。
【0097】
塗布液のバインダーの系統としては、シリコーン系、フッ素系、ウレタン系、アクリル系、ウレタン変性アクリル系、シリコーン変性ウレタン系などの塗布液が用いられる。
【0098】
上記のような、塗布液として、エポキシ基とカチオン重合性の触媒を含む有機無機ハイブリッドゾルが好適に用いられる。この塗布液は、紫外線によってカチオン重合性触媒が活性化され、塗膜に含まれるエポキシ基を開環させ、架橋させる。こうしてできた有機無機ハイブリッドゲル膜は、導電性弾性層の変形に追従する柔軟さを有し、非常に薄い膜であっても耐摩耗性が良い。そのため導電性弾性層に1μm以下という薄膜を形成するだけでも、実用上の耐久性を有し、導電性弾性層の電気特性を維持することができる。
【0099】
上記有機無機ハイブリッドゾルは、所謂ゾルゲル法で作製される有機無機ハイブリッド材料のゾル状態であり、少なくともエポキシ基を有する加水分解性シラン化合物を含む加水分解性シラン化合物の混合物を加水分解によって縮合させることで得ることができる。この有機無機ハイブリッドゾルにカチオン重合性の触媒を添加し、該エポキシ基を紫外線の照射によって開裂させることで架橋させることによって有機無機ハイブリッドゲルになる。
【0100】
塗布後の塗膜は、熱や紫外線や電子線などによって架橋されるものが導電性ローラとしての耐摩耗性や汚れの低付着性の観点から好ましい。特に上記の有機無機ハイブリッドゾルを用いる場合には、紫外線を照射することが好ましい。紫外線を照射することによって、導電性弾性層の最表面も同時に改質され低ブリード化や汚れの低付着化が図られる。
【0101】
紫外線の照射には高出力低圧水銀ランプ、無電極低圧水銀ランプ、エキシマランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等が用いられる。
【0102】
この中で、本発明に最も適している高出力低圧水銀ランプ、無電極低圧水銀ランプの材質は、例えば石英ガラスであり石英ガラスの内外面に酸化チタン膜またはシリカ膜が形成されたもの、酸化チタンまたはシリカが含有されたものがある。この材質では、200nm以下の波長はカットされる。
【0103】
また、これらのランプを用いる事により254nmの波長を代表とする紫外線の強度が全波長強度の60%以上になり好ましい。
【0104】
エキシマランプは172nmの短い波長にピークがあり、その他のピークはほとんど有さない。エキシマランプを用いた場合、172nmの波長の紫外線は酸素を吸収してオゾンを発生させるため、導電性ローラの表面がオゾン処理されて極度に酸化される。その結果、ローラ表面の水に対する接触角が低下しやすいので好ましくない。
【0105】
また、高圧水銀ランプやメタルハライドランプは、365nmの波長を代表とする比較的波長の長い紫外線である。高圧水銀ランプやメタルハライドランプを用いた場合、ローラへの熱の影響が大きくなりゴムが劣化する可能性がある。
【0106】
また、比較的波長の長い紫外線のため紫外線の効率が悪いため、照射時間が長くなり好ましくない。なお、紫外線による表面改質の度合いは積算光量によって調節できる。紫外線の積算光量は、下記で定義される。
紫外線積算光量(mJ/cm)=紫外線強度(mW/cm)×照射時間(sec)
紫外線の積算光量については、表面改質の効果に応じて適宜選択すれば良い。その調節は、照射時間、ランプ出力、ランプとローラとの距離のいずれでも行うことが可能であり、所望の積算光量が得られるように決めればよい。
【0107】
図7に、本発明の導電性ローラを電子写真装置に適用した例を示す。71は像担持体としての回転ドラム型の電子写真感光体(被帯電体)である。この被帯電体71は、図中の矢印が示す時計回りに所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動する。被帯電体71には、例えばロール状の導電性支持体と該支持体上に無機感光材料または有機感光材料を含有する感光層とを少なくとも有する公知の被帯電体等を採用すればよい。
【0108】
72は本発明の導電性ローラを適用した帯電ローラである。帯電装置としては帯電ローラ以外にも公知の手段を利用することができる。帯電ローラ72と帯電ローラ72に帯電バイアスを印加する帯電バイアス印加電源S1とによって帯電手段が構成されている。帯電ローラ72は、被帯電体71に所定の押圧力で接触させてあり、本例では被帯電体71の回転に対して順方向に回転駆動する。この帯電ローラ72に対して帯電バイアス印加電源S1から、所定の直流電圧(本例では−1200Vとする)が印加されることで、被帯電体71の表面が所定の極性電位(本例では暗部電位−600Vとする)に一様に帯電処理される(DC帯電)。このDC帯電のほかにもAC/DC重畳帯電、注入帯電等の公知の帯電法を用いることができる。
【0109】
73は露光手段である。この露光手段73には公知の手段を利用することができ、例えばレーザービームスキャナー等を好適に例示することができる。
【0110】
被帯電体71の帯電処理面に該露光手段73により目的の画像情報に対応した像露光がなされることにより、帯電面の露光明部の電位(本例では明部電位−350Vとする)が選択的に低下(減衰)して被帯電体71に静電潜像が形成される。
【0111】
74は反転現像手段である。現像手段74としては公知の手段を利用することができる。例えば本例における現像手段74は、現像容器の開口部に配設されてトナーを担持搬送するトナー担持体74aと、トナーを撹拌する撹拌部材74bと、トナー担持体74aのトナーの担持量を規制するトナー規制部材74cとを有する構成である。現像手段74は、被帯電体71表面の静電潜像の露光明部に、被帯電体71の帯電極性と同極性に帯電(本例では現像バイアス−350Vとする)しているトナー(ネガトナー)を選択的に付着させて静電潜像をトナー像として可視化する。現像方式としては特に制限はなく、既存の方法すべてを用いることができる。既存の方法としては、例えば、ジャンピング現像方式、接触現像方式及び磁気ブラシ方式等が存在するが、特にカラー画像を出力する画像形成装置には、トナーの飛散性改善等の目的より、接触現像方式の現像ローラが好ましい。この現像ローラに本発明の導電性ローラを好適に用いることができる。
【0112】
75は本発明の導電性ローラを転写手段としての用いた転写ローラである。転写ローラ75は、被帯電体71に所定の押圧力で接触させて転写ニップ部を形成させてあり、被帯電体71の回転と順方向に被帯電体71の回転周速度とほぼ同じ周速度で回転する。また、転写バイアス印加電源S2からトナーの帯電特性とは逆極性の転写電圧が印加される。転写ニップ部に対して不図示の給紙機構部から転写材Pが所定のタイミングで給紙される。その転写材Pの裏面が転写電圧を印加した転写ローラ75により、トナーの帯電極性とは逆極性に帯電される。よって、転写ニップ部において被帯電体71面側のトナー画像が転写材Pの表面側に静電転写される。この転写ローラに本発明の導電性ローラを好適に用いることができる。
【0113】
転写ニップ部でトナー画像の転写を受けた転写材Pは被帯電体面から分離して、不図示のトナー画像定着手段へ導入されて、トナー画像の定着を受けて画像形成物として出力される。両面画像形成モードや多重画像形成モードの場合は、この画像形成物が不図示の再循環搬送機機構に導入されて転写ニップ部へ再導入される。
【0114】
転写残余トナー等の被帯電体71上の残留物は、ブレード型等のクリーニング手段76により、被帯電体上より回収される。
【0115】
また、画像不良などの観点から、必要な場合には77の前露光手段があるとよい。被帯電体71に滞留電荷が残るような場合には、帯電部材72による一次帯電を行う前に、前露光装置77によって被帯電体71の滞留電荷を除去した方が良い。
【0116】
上述の被帯電体、帯電部材、現像部材、クリーニング部材、トナー等やトナー容器、廃トナー容器等のうち複数のものを一体に結合したプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。プロセスカートリッジとすることで、劣化の激しい部材を一括して交換することができる、トナーが飛散することなくトナーの補充と廃トナーの回収をする事ができる等の利点がある。
【0117】
以下、実施例、比較例を示して、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記に限定されるものではない。なお、以下、特に明記しない限り、試薬等で特に指定のないものは、市販の高純度品を用いた。
【0118】
〔導電性弾性層1〕
導電性弾性層の主体となるゴムとしてNBR(商品名「N230SL」:JSR(株)製) 100質量部、
導電性粒子としてカーボンブラック(商品名「トーカブラック#7360SB」:東海カーボン製、DBP吸油量87ml/100g) 52質量部、
ステアリン酸亜鉛 1質量部、
酸化亜鉛 5質量部、
炭酸カルシウム(商品名「ナノックス#30」:丸尾カルシウム(株)製) 20質量部、
液状エポキシ化ポリブタジエン(商品名「アデカザイザーBF−1000」:旭電化工業(株)製) 10質量部
を加圧式ニーダーで15分間混練した。さらに、
ジベンゾチアゾリルジスルフィド(商品名「ノクセラーDM−P」:大内新興化学(株)製) 1質量部、
テトラベンジルチウラムジスルフィド(商品名「ノクセラーTBzTD」:大内新興化学(株)製) 3質量部、
加硫剤として硫黄 0.8質量部
を加えて15分間オープンロールで混練した。
【0119】
次に、直径6mm、長さ256mmの円柱形の導電性支持体(鋼製 表面工業ニッケルメッキ)の円柱面の軸方向中央部231mmに熱硬化性接着剤(商品名「メタロックN−33」:東洋化学(株)製)を塗布した。次に、これを150℃で10分乾燥し、接着剤を半硬化状態にした。
【0120】
この混練物と導電性支持体をクロスヘッドと導電性支持体送り装置を備える押出し機によって、導電性支持体と同時に円筒状の混練物を一体に押出して、未加硫ゴムローラを得た。軸方向中央部232mm部分の導電性弾性層を残し、その両端部を切断・除去し、この未加硫ゴムローラを熱風オーブンに入れ160℃で30分間加熱し、直径8.7mmの円筒状の加硫ゴムローラを得た。
【0121】
この加硫ゴムローラを先に説明した幅広研削機にて、図8(1A)に記載の形状の砥石を用いて以下の研削条件(表1)で中心外形が8.5mmになるまで研削した。使用した幅広研削機は、水口製作所(株)製の商品名「ゴムロール専用CNC研削盤 LEO−600F−F4L−BME」である。また、使用した砥石は、(株)ノリタケカンパニーリミテド製の商品名「研削砥石GC−120−B−VRG−PM」である。
【0122】
研削量は、直径8.7mmの加硫ゴムローラを8.5mmまで研削しているので、0.1mmの厚さになる。この程度の厚さであれば、押出成形により生じた導電性粒子の濃度分布による表面の高抵抗部位を削り取って、低抵抗部位が露出することはないので好ましい。また、研削量が小さいため短時間で研削でき、生産効率も高いので好ましい。
【0123】
【表1】

【0124】
研削後における導電性弾性層1aの軸方向の直径を測定すると図8(1a)のようであった。導電性弾性層は軸方向の長さが232mmであるが、測定は、両端から1mmを除いた230mmで行った。また、真円の円弧の計算値も同時に記載した。導電性弾性層1aの作製に用いた砥石と導電性弾性層1aの全長と半全長の曲率比を後述の方法で算出すると、砥石の曲率比はk/k=5.6で、導電性弾性層1の曲率比はK/K=1.0であった。このように、図8(1A)のような砥石の両端部に行くにつれ曲率が大きくなる砥石で研削しているが、研削後の導電性弾性層は、真円の円弧に近い形状が成形された。
【0125】
また、図8(1A)の形状をした砥石の替わりに砥石の曲率比がk/k=1.2である図8(1B)の形状の砥石を用いた以外は、導電性弾性層1aと同様の方法で作製したものを導電性弾性層1bとした。導電性弾性層の形状は図8(1b)のようになり、曲率比はK/K=0.8であった。
【0126】
〔導電性弾性層2〕
導電性弾性層1を研削した図8(1A)の形状をした砥石の替わりに砥石の曲率比がk/k=1.0である図9(2A)の形状の砥石を用いた。また、ローラの研削速度が20mm/minのところを0.2mm/minとした。それら以外は、導電性弾性層1aと同様の方法で作製したものを導電性弾性層2aとした。導電性弾性層の形状は図9(2a)のようになり、曲率比はK/K=1.1であった。
【0127】
また、図8(1A)の形状をした砥石の替わりに砥石の曲率比がk/k=1.0である図9(2B)形状の砥石を用いた以外は、導電性弾性層1aと同様の方法で作製したものを導電性弾性層2bとした。導電性弾性層の形状は図9(2b)のようになり、曲率比はK/K=0.7であった。
【0128】
〔導電性弾性層3〕
導電性弾性層中の導電性粒子としてカーボンブラック(商品名「トーカブラック#7360SB」:東海カーボン製)52質量部の替わりにカーボンブラック(商品名「#1000B」:三菱化学(株)製、DBP吸油量49ml/100g)45質量部用いた。それ以外は、導電性弾性層1aと同様の方法で作製したものを導電性弾性層3とした。導電性弾性層3の曲率比はK/K=1.1であった。
【0129】
〔導電性弾性層4〕
導電性弾性層中の導電性粒子としてカーボンブラック(商品名「トーカブラック#7360SB」:東海カーボン製)52質量部の替わりにカーボンブラック(商品名「旭#35」:旭カーボン(株)製、DBP吸油量50ml/100g)100質量部用いた。それ以外は、導電性弾性層1aと同様の方法で作製したものを導電性弾性層4とした。導電性弾性層4の曲率比はK/K=0.9であった。
【0130】
〔導電性弾性層5〕
導電性弾性層中の導電性粒子であるカーボンブラック(商品名「トーカブラック#7360SB」:東海カーボン製) 52質量部を49質量部に減らした以外は、導電性弾性層1aと同様の方法で作製したものを導電性弾性層5とした。導電性弾性層5の曲率比はK/K=1.0であった。
【0131】
〔導電性弾性層6〕
導電性弾性層中の導電性粒子であるカーボンブラック(商品名「トーカブラック#7360SB」:東海カーボン製) 52質量部を56質量部に増やした以外は、導電性弾性層1aと同様の方法で作製したものを導電性弾性層6とした。導電性弾性層6の曲率比はK/K=1.0であった。
【0132】
〔塗布液〕
グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(GPTES)27.84g(0.1mol)、
メチルトリエトキシシラン(MTES)17.83g(0.1mol)、
トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン(FTS、パーフルオロアルキル基の炭素数6)7.68g(0.0151mol(加水分解性シラン化合物総量に対して7mol%相当))、
水17.43g及び
エタノール37.88g
を混合した後、室温で攪拌し、次いで24時間加熱還流を行うことによって、有機無機ハイブリッドゾルを得た。
【0133】
この縮合物を2−ブタノール/エタノールの混合溶剤に添加することによって、固形分7質量%の有機無機ハイブリッドゾル含有アルコール溶液を調製した。さらに、この7質量%溶液100gに対して光カチオン重合開始剤として芳香族スルホニウム塩(商品名:アデカオプトマーSP−150、旭電化工業(株)製)0.35gを、有機無機ハイブリッドゾル含有アルコール溶液に添加した。次いで、7質量%溶液に芳香族スルホニウム塩を添加した溶液を、固形分が0.5質量%になるよう2−ブタノール/エタノールの混合溶剤で希釈したものを塗布液とした。塗布液の粘度をB型粘度型で測定したところ、1.5mPa・s以下であった。
【0134】
〔実施例1〕
導電性弾性層1aに塗布液をリング塗工により塗布した。その後、低圧水銀ランプを用いて、254nmのセンサーにおける感度で、紫外線の光量が8000mJ/cmになるよう上記導電性弾性層1aを回転させながら紫外線を均一に照射した導電性ローラを実施例1とした。紫外線の照射には、ハリソン東芝ライティング(株)製の低圧水銀ランプを用いた。
【0135】
〔実施例2〕
実施例1における導電性弾性層1aの替わりに導電性弾性層1bを用いた以外は、実施例1と同様の方法で導電性ローラを作製したものを実施例2とした。
【0136】
〔実施例3〕
実施例1における導電性弾性層1aの替わりに導電性弾性層3を用いた以外は、実施例1と同様の方法で導電性ローラを作製したものを実施例3とした。
【0137】
〔実施例4〕
実施例1における導電性弾性層1aの替わりに導電性弾性層4を用いた以外は、実施例1と同様の方法で導電性ローラを作製したものを実施例4とした。
【0138】
〔実施例5〕
導電性弾性層1aにおける加圧式ニーダーでの混練時間を15分から5分に短縮した以外は、実施例1と同様の方法で導電性ローラを作製したものを実施例5とした。
【0139】
〔実施例6〕
導電性弾性層1aにおける加圧式ニーダーでの混練時間を15分から30分に延長した以外は、実施例1と同様の方法で導電性ローラを作製したものを実施例6とした。
【0140】
〔比較例1〕
実施例1における導電性弾性層1aの替わりに導電性弾性層2aを用いた以外は、実施例1と同様の方法で導電性ローラを作製したものを比較例1とした。
【0141】
〔比較例2〕
実施例1における導電性弾性層1aの替わりに導電性弾性層2bを用いた以外は、実施例1と同様の方法で導電性ローラを作製したものを比較例2とした。
【0142】
〔比較例3〕
実施例1における導電性弾性層1aの替わりに導電性弾性層5を用いた以外は、実施例1と同様の方法で導電性ローラを作製したものを比較例3とした。
【0143】
〔比較例4〕
実施例1における導電性弾性層1aの替わりに導電性弾性層6を用い加圧式ニーダーでの混練時間を15分から30分に延長した以外は、実施例1と同様の方法で導電性ローラを作製したものを比較例4とした。
【0144】
上記の実施例1〜6、比較例1〜4の塗布層の膜厚測定、分割抵抗測定、抵抗測定、砥石と導電性弾性層の全長と半全長との曲率比、当接跡試験、ドラムピンホールリーク試験を行った。以下に、各評価項目の測定条件を記す。
【0145】
≪測定条件≫
<塗布層の膜厚測定>
紫外線照射によって架橋された塗布液の塗膜の膜厚を透過型電子顕微鏡(TEM)にて測定したところ、実施例1〜6、比較例1〜4のすべて0.1μm以下であった。通常、この程度の膜厚であると導電性弾性層の電気特性に大きな変化をもたらすことはなく、ピンホールリークを防止する保護膜としての効果は発揮しない。しかし、本発明の範囲の電気特性を持つ導電性弾性層を用いればピンホールリークの発生を低減することができる。
【0146】
<分割抵抗測定>
上記の実施例1〜6と、比較例1〜4のlog[Re(50V)/Re(500V)]/log[Rc(50V)/Rc(500V)]とlog(Re(50V)/Re(500V))を以下の方法で測定し算出した。図10に帯電領域の導電性弾性層部位をローラ軸方向に対して8分割した導電性ローラと分割抵抗測定器の概略図を示す。8つの独立したφ24のステンレスシリンダ101の上に導電性ローラ102を乗せ、それぞれのシリンダに100gの荷重をかけ当接させて、シリンダの回転速度を30rpmにして、導電性ローラを従動回転させた。103は固定抵抗器(1kΩ)、104はレコーダー、105はバイアス印加電源である。その印可電圧を50Vと500Vにして通電した。試験環境としては、温度23℃湿度50%RHで行った。この状態で200Hzの間隔で電気抵抗をサンプリングし、2秒間の平均値を、ローラ軸方向8箇所の電気抵抗として測定した。
【0147】
こうして得たローラ軸方向8点の電気抵抗の両端部の電気抵抗の相加平均を端部の電気抵抗Re、中央部2点の相加平均を中央部の電気抵抗Rcとする。また、その印加電圧が50Vと500Vのときの電気抵抗をそれぞれRe(50V)、Re(500V)、Rc(50V)、Rc(500V)とする。その値からlog[Re(50V)/Re(500V)]/log[Rc(50V)/Rc(500V)]及びlog(Re(50V)/Re(500V))を算出した。
【0148】
<抵抗測定>
上記の実施例1〜6と、比較例1〜4の導電性ローラの電気抵抗を以下の方法で測定した。図11に抵抗測定器の概略図を示す。φ24のステンレスシリンダ111の上に導電性ローラ112を乗せ、その両端の導電性支持体上に500gの荷重をかけ当接させて、シリンダの回転速度を30rpmにして、導電性ローラを従動回転させた。113は固定抵抗器(1kΩ)、114はレコーダー、115はバイアス印加電源である。その印可電圧を200Vにして通電した。試験環境としては、温度23℃湿度50%RHで行った。この状態で200Hzの間隔で電気抵抗をサンプリングし、2秒間の平均値を、ローラの軸方向全長の電気抵抗として測定した。
【0149】
≪画像評価≫
<当接跡試験>
上述の実施例1〜6、比較例1〜4で得られた導電性ローラを、カートリッジ(商品名「トナーカートリッジ307」:キヤノン(株)製)に帯電ローラとして組み込み、室温40℃湿度95%の恒温恒湿槽に1ヶ月放置した。その実施例1〜6及び比較例1〜4の組み込まれたカートリッジを、恒温恒湿槽から取り出し、電子写真装置であるLBP5000(キヤノン(株)製)にて、温度23℃、湿度50%RHの環境下においてハーフトーン画像を出力した。
【0150】
そのハーフトーン画像に、導電性ローラの円周の周期、つまり当接部に非当接部と画像の濃度が異なる画像不良が発生するか否かを評価した。当接跡がある場合には×、当接跡が低減されている場合には○、当接跡がほとんど見られない場合には◎という3段階で評価を行った。
【0151】
<ドラムピンホールリーク試験>
カートリッジの被帯電体に直径が0.3mmであり、深さが下引き層の手前までのピンホールを被帯電体表面に対し垂直に空け、上述の実施例1〜6、比較例1〜4で得られた導電性ローラを、帯電ローラとして組み込んだ。そして、電子写真装置にて、温度23℃、湿度50%RHの環境下においてハーフトーン画像を出力した。このときに被帯電体上のピンホールの位置から画像出力方向に対し水平に周囲との画像濃度が著しく異なる場合をピンホールリークという画像不良が起こっていると判断した。ピンホールリークがある場合には×、低減されている場合には○、ほとんど見られない場合には◎、という3段階で評価した。なお、使用したカートリッジは、キヤノン(株)製の商品名「トナーカートリッジ307」である。また、使用した電子写真装置は、キヤノン(株)製の商品名「LBP5000」である。
【0152】
≪評価結果≫
〔実施例1〕
実施例1の導電性ローラにける軸方向の電気抵抗を図12に示す。
【0153】
実施例1におけるlog[Re(50V)/Re(500V)]は1.8、log[Rc(50V)/Rc(500V)]は2.6、log[Re(50V)/Re(500V)]/log[Rc(50V)/Rc(500V)]は0.7であった。また、R(200V)は1×10Ωであった。
実施例1の導電性ローラは、当接跡の発生およびピンホールリークの画像不良はほとんど見られなかった。
【0154】
〔実施例2〕
実施例2におけるlog[Re(50V)/Re(500V)]は2.1、log[Rc(50V)/Rc(500V)]は2.6、log[Re(50V)/Re(500V)]/log[Rc(50V)/Rc(500V)]は0.8であった。また、R(200V)は1×10Ωであった。
実施例2の導電性ローラは、当接跡の発生は低減されていた。また、ピンホールリークの画像不良はほとんど見られなかった。
【0155】
〔実施例3〕
実施例3におけるlog[Re(50V)/Re(500V)]は1.6、log[Rc(50V)/Rc(500V)]は2.0、log[Re(50V)/Re(500V)]/log[Rc(50V)/Rc(500V)]は0.8であった。また、R(200V)は3×10Ωであった。
実施例3の導電性ローラは、当接跡の発生はほとんど見られなかった。またピンホールリークの画像不良は低減されていた。
【0156】
〔実施例4〕
実施例4におけるlog[Re(50V)/Re(500V)]は1.5、log[Rc(50V)/Rc(500V)]は1.7、log[Re(50V)/Re(500V)]/log[Rc(50V)/Rc(500V)]は0.8であった。また、R(200V)は8×10Ωであった。
実施例4の導電性ローラは、当接跡の発生は低減されていた、また、ピンホールリークの画像不良は低減されていた。
【0157】
〔実施例5〕
実施例5におけるlog[Re(50V)/Re(500V)]は2.2、log[Rc(50V)/Rc(500V)]は3.7、log[Re(50V)/Re(500V)]/log[Rc(50V)/Rc(500V)]は0.6であった。また、R(200V)は1×10Ωであった。
実施例5の導電性ローラは、当接跡の発生は低減されていた。また、ピンホールリークの画像不良はほとんど見られなかった。
【0158】
〔実施例6〕
実施例6におけるlog[Re(50V)/Re(500V)]は1.2、log[Rc(50V)/Rc(500V)]は1.7、log[Re(50V)/Re(500V)]/log[Rc(50V)/Rc(500V)]は0.7であった。また、R(200V)は1×10Ωであった。
実施例6の導電性ローラは、当接跡の発生はほとんど見られなかった。また、ピンホールリークの画像不良は低減されていた。
【0159】
〔比較例1〕
比較例1の導電性ローラにおける軸方向の電気抵抗を図13に示す。
【0160】
比較例1におけるlog[Re(50V)/Re(500V)]は2.3、log[Rc(50V)/Rc(500V)]は2.3、log[Re(50V)/Re(500V)]/log[Rc(50V)/Rc(500V)]は1.0であった。また、R(200V)は8×10Ωであった。
比較例1の導電性ローラは、当接跡の発生が見られた。また、ピンホールリークの画像不良はほとんど見られなかった。
【0161】
〔比較例2〕
比較例2の導電性ローラにおける軸方向の電気抵抗を図14に示す。
【0162】
比較例2におけるlog[Re(50V)/Re(500V)]は2.5、log[Rc(50V)/Rc(500V)]は2.3、log[Re(50V)/Re(500V)]/log[Rc(50V)/Rc(500V)]は1.1であった。また、R(200V)は1×10Ωであった。
比較例2の導電性ローラは、当接跡の発生が見られた。また、ピンホールリークの画像不良はほとんど見られなかった。
【0163】
〔比較例3〕
比較例3におけるlog[Re(50V)/Re(500V)]は1.7、log[Rc(50V)/Rc(500V)]は2.4、log[Re(50V)/Re(500V)]/log[Rc(50V)/Rc(500V)]は0.7であった。また、R(200V)は4×10Ωであった。
比較例3の導電性ローラは、当接跡の発生が見られた。また、ピンホールリークの画像不良はほとんど見られなかった。
【0164】
〔比較例4〕
比較例4におけるlog[Re(50V)/Re(500V)]は1.1、log[Rc(50V)/Rc(500V)]は1.5、log[Re(50V)/Re(500V)]/log[Rc(50V)/Rc(500V)]は0.7であった。また、R(200V)は7×10Ωであった。
比較例4の導電性ローラは、当接跡の発生はほとんど見られなかった。また、ピンホールリークの画像不良が見られた。
【0165】
実施例1〜6および比較例1〜4の材料組成をまとめたものを表2に、実施条件をまとめたものを表3に、評価項目をまとめたものを表4に示す。
【0166】
【表2】

【0167】
【表3】

【0168】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0169】
【図1】本発明の導電性ローラの一例を示す概略図である。
【図2】本発明の導電性ローラを製造するための押出し機の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の導電性ローラにおける導電性弾性層の導電性粒子の分布状態を表す模式図である。
【図4】(1)は本発明の導電性ローラを製造するための研削機の一例を示す概略図である。(2)は本発明の研磨砥石の形状の一例を示す概略図である。
【図5】本発明における分割抵抗測定器で測定した、端部における電気抵抗のローラ周方向の波形の一例を示すグラフである。
【図6】本発明におけるピーク高さlog(Re最大値(200V)/Re平均値(200V)と電圧依存性log(Re(50V)/Re(500V))をプロットしたグラフである。
【図7】本発明の導電性ローラを用いた電子写真装置の一例を示す概略図である。
【図8】(1A)は本発明における導電性弾性層1a(実施例1)を研削するための砥石の形状を示すグラフである。(1B)は本発明における導電性弾性層1b(実施例2)を研削するための砥石の形状を示すグラフである。(1a)は本発明における導電性弾性層1a(実施例1)の形状の一例を示すグラフである。(1b)は本発明における導電性弾性層1b(実施例2)の形状の一例を示すグラフである。
【図9】(2A)は本発明における導電性弾性層2a(比較例1)を研削するための砥石の形状を示すグラフである。(2B)は本発明における導電性弾性層2b(比較例2)を研削するための砥石の形状を示すグラフである。(2a)は本発明における導電性弾性層2a(比較例1)の形状の一例を示すグラフである。(2b)は本発明における導電性弾性層2b(比較例2)の形状の一例を示すグラフである。
【図10】本発明における分割抵抗測定器の一例を示す概略図である。
【図11】本発明における抵抗測定器の一例を示す概略図である。
【図12】本発明における実施例1の軸方向の電気抵抗の一例を示すグラフである。
【図13】本発明における比較例1の軸方向の電気抵抗の一例を示すグラフである。
【図14】本発明における比較例2の軸方向の電気抵抗の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
【0170】
11 導電性支持体
12 導電性弾性層
13 表面処理
21 押出機のクロスヘッド
22 導電性支持体送りローラ
23 導電性支持体
24 押出スクリュー
25 切断・除去処理
26 未加硫ゴムローラ
401 主軸台ユニット
403 コレットチャック
406 芯押台ユニット
407 芯押軸受け部
408 芯押軸センタ
410 ダイヤモンドドレッサー
412 加硫ゴムローラ
413 研削砥石
415 砥石台
416 切込み用モータ
417 スラスト移動台
419 スラスト移動用モータ
422 砥石用モータ
71 電子写真感光体(被帯電体)
72 帯電部材(帯電ローラ)
73 露光手段
74 現像手段
74a トナー担持体
74b 撹拌部材
74c トナー規制部材
75 転写手段
76 クリーニング手段
77 前露光手段
L レーザー光
S1、S2 バイアス印加電源
P 転写材
101 8つの独立したステンレスシリンダ
102 導電性ローラ
103 固定抵抗器(1kΩ)
104 レコーダー
105 バイアス印加電源
111 ステンレスシリンダ
112 導電性ローラ
113 固定抵抗器(1kΩ)
114 レコーダー
115 バイアス印加電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性支持体上に、少なくとも導電性粒子を含む導電性弾性層を有する導電性ローラにおいて、
導電性弾性層をローラ軸方向に対して8分割した際、
該導電性ローラの両端部の電気抵抗の相加平均を端部の電気抵抗Re、中央部2点の相加平均を中央部の電気抵抗Rcとし、
印加電圧が50V及び500Vのときの該端部の電気抵抗及び該中央部の電気抵抗をRe(50V)、Rc(50V)及びRe(500V)、Rc(500V)とし、
印加電圧が200Vときの軸方向全長の電気抵抗をR(200V)とするとき、
下記(1)式かつ(2)式かつ(3)式を満たし、さらに(4)式を満たすことを特徴とする導電性ローラ。
0.1<log[Re(50V)/Re(500V)]/log[Rc(50V)/Rc(500V)]≦0.9 (1)
1.0≦log(Re(50V)/Re(500V))≦2.2 (2)
1.7≦log(Rc(50V)/Rc(500V)) (3)
10Ω≦R(200V)≦10Ω (4)
【請求項2】
前記端部の電気抵抗Re及び前記中央部の電気抵抗Rcが
0.6≦log[Re(50V)/Re(500V)]/log[Rc(50V)/Rc(500V)]≦0.8
かつ
1.2≦log(Re(50V)/Re(500V))≦1.8
かつ
2.2≦log(Rc(50V)/Rc(500V))
を満たすことを特徴とする請求項1に記載の導電性ローラ。
【請求項3】
前記導電性弾性層が押出成形により形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性ローラ。
【請求項4】
導電性支持体上に、ポリマーの中に導電性粒子を含む導電性弾性層を有する導電性ローラにおいて、
導電性粒子の充填量が、ポリマー100質量部に対して0.5質量部以上100質量部以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の導電性ローラ。
【請求項5】
前記導電性粒子の充填量が、前記ポリマー100質量部に対して2質量部以上50質量部以下であることを特徴とする請求項4に記載の導電性ローラ。
【請求項6】
前記導電性粒子がカーボンブラックであり、該カーボンブラックのDBP吸油量が40ml/100g以上300ml/100g以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の導電性ローラ。
【請求項7】
前記カーボンブラックのDBP吸油量が80ml/100g以上150ml/100g以下であることを特徴とする請求項6に記載の導電性ローラ。
【請求項8】
電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有する電子写真装置において、該帯電手段、該現像手段及び該転写手段の少なくとも1つに、請求項1乃至7のいずれかに記載の導電性ローラを用いたことを特徴とする電子写真装置。
【請求項9】
少なくとも電子写真感光体と、帯電手段と、現像手段とを一体として電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジにおいて、
該帯電手段及び該現像手段のうち少なくとも1つに請求項1乃至8のいずれかに記載の導電性ローラを用いたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項10】
導電性支持体上に、導電性粒子を含む導電性弾性層を有する導電性ローラを、導電性弾性層よりも幅が広い円筒状の砥石で研削して製造する製造方法において、
砥石研削面の軸方向の両端間の距離の0/4と2/4と4/4の位置である3点を通る真円の曲率をkとし、
砥石研削面の軸方向の両端間の距離の1/4と2/4と3/4の位置である3点を通る真円の曲率をkとしたとき、
砥石の曲率比k/kが1.2以上70.0以下の砥石で研削する
ことを特徴とする請求項1乃至9に記載の導電性ローラの製造方法。
【請求項11】
前記砥石の曲率比k/kが5.0以上20.0以下の砥石で研削することを特徴とする請求項10に記載の導電性ローラの製造方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載された導電性ローラの製造方法により製造された導電性ローラであって、
導電性弾性層の軸方向の距離の0/4と2/4と4/4の位置である3点を通る真円の曲率をKとし、
導電性弾性層の軸方向の両端間の距離の1/4と2/4と3/4の位置である3点を通る真円の曲率をKとするとき、
導電性弾性層の曲率比K/Kが0.8以上1.2以下となるように成形された
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の導電性ローラ。
【請求項13】
請求項10又は11に記載された導電性ローラの製造方法により製造された導電性ローラであって、
前記導電性弾性層の曲率比K/Kが0.9以上1.1以下となるように成形された
ことを特徴とする請求項12に記載の導電性ローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−299109(P2008−299109A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−145446(P2007−145446)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】