導電性素子およびその製造方法、配線素子、情報入力装置、表示装置、電子機器、ならびに原盤
【課題】精細かつ高スループットの導電性素子を提供する。
【解決手段】導電性素子は、第1の波面、第2の波面および第3の波面を有する基体と、第1の波面上に設けられた第1の層と、第2の波面上に形成された第2の層とを備える。第1の層は2以上の層が積層された積層構造を有し、第2の層は第1の層の一部の層からなる単層構造または積層構造を有し、第1の層および第2の層は導電パターン部を形成する。第1の波面、第2の波面および第3の波面が0≦(Am1/λm1)<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8(但し、Am1:第1の波面の振動の平均幅、Am2:第2の波面の振動の平均幅、Am3:第3の波面の振動の平均幅、λm1:第1の波面の平均波長、λm2:第2の波面の平均波長、λm3:第3の波面の平均波長)の関係を満たす。
【解決手段】導電性素子は、第1の波面、第2の波面および第3の波面を有する基体と、第1の波面上に設けられた第1の層と、第2の波面上に形成された第2の層とを備える。第1の層は2以上の層が積層された積層構造を有し、第2の層は第1の層の一部の層からなる単層構造または積層構造を有し、第1の層および第2の層は導電パターン部を形成する。第1の波面、第2の波面および第3の波面が0≦(Am1/λm1)<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8(但し、Am1:第1の波面の振動の平均幅、Am2:第2の波面の振動の平均幅、Am3:第3の波面の振動の平均幅、λm1:第1の波面の平均波長、λm2:第2の波面の平均波長、λm3:第3の波面の平均波長)の関係を満たす。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、導電性素子およびその製造方法、配線素子、情報入力装置、表示装置、電子機器、ならびに原盤に関する。詳しくは、基体表面に導電パターン部が形成された導電性素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラスやプラスチックなどからなる絶縁性基材上に所定の回路パターンの導電層を形成する方法としては、フォトリソグラフィーを利用した回路パターン形成方法が広く用いられている。この回路パターンの形成方法では、ステップ&リピート方式、またはそれに近い方式が一般的に用いられている。具体的には、この形成方法では、「金属層コーティング」→「レジスト塗布」→「露光」→「現像」→「除去」→「レジスト剥離」の工程を経て、回路パターンが形成される。このため、フォトリソグラフィーを利用した回路パターンの形成方法は、低スループットとなる。
【0003】
そこで、スループットの向上を実現すべく、スクリーン印刷による回路パターン形成方法が提案されている。このスクリーン印刷による回路パターン形成方法は、絶縁性基材上に金属ペーストなどをマスクを介してスキージで塗布し、その後焼成して所定の回路パターンの導電層を形成する方法である。スクリーン印刷による回路パターン形成方法はスループットに優れるため、種々のデバイスに対する応用が検討されている。例えば特許文献1には、スクリーン印刷を用いてタッチパネルの電極を形成する方法が開示されている。また、特許文献2には、スクリーン印刷を用いて画像表示装置の電極を形成する方法が開示されている。
【0004】
しかしながら、スクリーン印刷はマスクが高価であること、マスクを精度良く位置合わせするのが煩雑であること、マスクの穴が目詰まりし易いことなどの問題がある。このため、スクリーン印刷以外にも、優れたスループットを実現できる回路パターンの形成方法が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−266025号広報
【0006】
【特許文献2】特開2005−149807号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本技術の目的は、優れたスループットを実現できる導電性素子およびその製造方法、配線素子、情報入力装置、表示装置、電子機器、ならびに原盤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、第1の技術は、
第1の波面、第2の波面および第3の波面を有する基体と、
第1の波面上に設けられた第1の層と、
第2の波面上に形成された第2の層と
を備え、
第1の層は、2以上の層が積層された積層構造を有し、
第2の層は、第1の層の一部の層からなる単層構造または積層構造を有し、
第1の層および第2の層は、導電パターン部を形成し、
第1の波面、第2の波面および第3の波面が、以下の関係を満たす導電性素子。
0≦(Am1/λm1)<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8
(但し、Am1:第1の波面の振動の平均幅、Am2:第2の波面の振動の平均幅、Am3:第3の波面の振動の平均幅、λm1:第1の波面の平均波長、λm2:第2の波面の平均波長、λm3:第3の波面の平均波長)
【0009】
第2の技術は、
第1の波面、第2の波面および第3の波面を有する基体表面に対して、2層以上の層を積層して積層膜を形成する工程と、
第1の波面、第2の波面および第3の波面のうち、第3の波面上に形成された積層膜を除去するのに対して、第1の波面上に形成された積層膜を第1の層として残すとともに、第2の波面上に形成された積層膜の一部の層を第2の層として残すことにより、導電パターン部を形成する工程と
を備え、
第1の波面、第2の波面および第3の波面が、以下の関係を満たす導電性素子の製造方法。
0≦(Am1/λm1)<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8
(但し、Am1:第1の波面の振動の平均幅、Am2:第2の波面の振動の平均幅、Am3:第3の波面の振動の平均幅、λm1:第1の波面の平均波長、λm2:第2の波面の平均波長、λm3:第3の波面の平均波長)
【0010】
本技術では、基体の第1の波面、第2の波面および第3の波面に形成した積層膜の状態の違いを利用して、第1の波面、第2の波面および第3の波面のうち、第3の波面上に形成された積層膜を除去するのに対して、第1の波面上に形成された積層膜を第1の層として残すとともに、第2の波面上に形成された積層膜の一部の層を第2の層として残すことにより、導電パターン部を形成することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本技術によれば、精細かつ高スループットの導電性素子を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1Aは、本技術の第1の実施形態に係る導電性素子の一構成例を示す平面図である。図1Bは、図1Aに示したB−B線に沿った断面図である。図1Cは、第1の領域、第2の領域および第3の領域の配置順序の変形例を示す断面図である。
【図2】図2Aは、図1Bに示した第1の領域の一部を拡大して表す断面図である。図2Bは、図1Bに示した第2の領域の一部を拡大して表す断面図である。図2Cは、図1Bに示した第3の領域の一部を拡大して表す断面図である。
【図3】図3Aは、複数の構造体が2次元配列された第2の領域を拡大して表す斜視図である。図3Bは、複数の構造体が2次元配列された第2の領域を拡大して表す平面図である。
【図4】図4Aは、複数の構造体が1次元配列された第2の領域を拡大して表す斜視図である。図4Bは、複数の構造体が1次元配列された第2の領域を拡大して表す平面図である。
【図5】図5Aは、基体を作製するためのロール原盤の一構成例を示す斜視図である。図5Bは、図5Aに示したロール原盤の一部を拡大して表す斜視図である。
【図6】図6Aは、ロール原盤の一部を拡大して表す断面図である。図6Bは、第2の領域の一部を拡大して示す斜視図である。図6Cは、第2の領域の一部を拡大して示す平面図である。
【図7】図7は、ロール原盤露光装置の一構成例を示す概略図である。
【図8】図8A〜図8Cは、本技術の第1の実施形態に係る導電性素子の製造方法の一例を説明するための工程図である。
【図9】図9A〜図9Cは、本技術の第1の実施形態に係る導電性素子の製造方法の一例を説明するための工程図である。
【図10】図10A〜図10Cは、本技術の第1の実施形態に係る導電性素子の製造方法の一例を説明するための工程図である。
【図11】図11Aは、本技術の第2の実施形態に係る導電性素子の一構成例を示す平面図である。図11Bは、図11Aに示したB−B線に沿った断面図である。
【図12】図12Aは、図11Bに示した第1の領域の一部を拡大して表す断面図である。図12Bは、図11Bに示した第2の領域の一部を拡大して表す断面図である。図12Cは、図11Bに示した第3の領域の一部を拡大して表す断面図である。
【図13】図13Aは、基体を作製するためのロール原盤の一部を拡大して表す斜視図である。図13Bは、図13Aに示したロール原盤の一部を拡大して表す断面図である。
【図14】図14Aは、本技術の第3の実施形態に係る導電性素子の一構成例を示す断面図である。図14Bは、本技術の第3の実施形態に係る導電性素子の変形例を示す断面図である。
【図15】図15Aは、本技術の第4の実施形態に係る導電性素子の一構成例を示す平面図である。図15Bは、図15Aに示したB−B線に沿った断面図である。
【図16】図16Aは、図15Bに示した第1の領域の一部を拡大して表す断面図である。図16Bは、図15Bに示した第2の領域の一部を拡大して表す断面図である。図16Cは、図15Bに示した第3の領域の一部を拡大して表す断面図である。
【図17】図17Aは、本技術の第5の実施形態に係る導電性素子の第1の領域の断面図である。図17Bは、本技術の第5の実施形態に係る導電性素子の第2の領域の断面図である。図17Cは、本技術の第5の実施形態に係る導電性素子の第3の領域の断面図である。
【図18】図18Aは、本技術の第6の実施形態に係る液晶表示素子の一構成例を示す斜視図である。図18Bは、第1の導電性素子の表面を拡大して示す斜視図である。
【図19】図19Aは、第1の導電性素子および第2の導電性素子の表面構造の第1の例を示す断面図である。図19Bは、第1の導電性素子および第2の導電性素子の表面構造の第2の例を示す断面図である。
【図20】図20は、本技術の第7の実施形態に係るタッチパネルを備える表示装置の一構成例を示す斜視図である。
【図21】図21Aは、本技術の第7の実施形態に係るタッチパネルの第1の構成例を示す斜視図である。図21Bは、第1の導電性素子の一構成例を示す分解斜視図である。
【図22】図22は、図21Aに示した領域Rを拡大して表す平面図である。
【図23】図23Aは、本技術の第7の実施形態に係るタッチパネルの第2の構成例を示す斜視図である。図23Bは、第1の導電性素子の一構成例を示す分解斜視図である。
【図24】図24Aは、本技術の第8の実施形態に係るICカードの一構成例を示す平面図である。図24Bは、図24Aに示したアンテナコイルが形成された領域を拡大して表す平面図である。図24Cは、図24Aに示した配線が形成された領域を拡大して表す平面図である。
【図25】図25Aは、本技術の第9の実施形態に係る表示装置の構成の一例を示す断面図である。図25Bは、図25Aに示した配線領域を拡大して表す拡大断面図である。図25Cは、図25Aに示した非配線領域を拡大して表す拡大断面図である。
【図26】図26Aは、参考例1に係る透明導電性シートの作製に用いた石英マスタの成形面を示す模式図である。図26Bは、参考例1に係る透明導電性シートの導通/非導通評価ポイントを示す模式図である。
【図27】図27は、除去時間と初期変化率の逆数(仮想厚さ変化)との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本技術の実施形態について図面を参照しながら以下の順序で説明する。
1.第1の実施形態(平面および2種の波面の違いを利用して基体表面に導電パターン部を形成した例)
2.第2の実施形態(3種の波面の違いを利用して基体表面に導電パターン部を形成した例)
3.第3の実施形態(導電パターン部を基体の両面に形成した例)
4.第4の実施形態(構造体を凹状とした例)
5.第5の実施形態(第1の層と第2の層とを他の構成とした例)
6.第6の実施形態(表示装置に対する適用例)
7.第7の実施形態(情報入力装置に対する適用例)
8.第8の実施形態(ICカードに対する適用例)
9.第9の実施形態(表示装置に対する適用例)
【0014】
<1.第1の実施形態>
[導電性素子の構成]
図1Aは、本技術の第1の実施形態に係る導電性素子の一構成例を示す平面図である。図1Bは、図1Aに示したB−B線に沿った断面図である。図2Aは、図1Bに示した第1の領域の一部を拡大して表す断面図である。図2Bは、図1Bに示した第2の領域の一部を拡大して表す断面図である。図2Cは、図1Bに示した第3の領域の一部を拡大して表す断面図である。以下では、導電性素子1の主面の面内で互いに直交する2方向をそれぞれX軸方向、およびY軸方向とし、その主面に垂直な方向をZ軸方向と称する。
【0015】
第1の実施形態に係る導電性素子1は、第1の領域R1、第2の領域R2および第3の領域R3を有する基体2と、第1の領域R1に形成された第1の層41と、第2の領域R2に形成された第2の層42とを備える。第1の層41は、導電パターン部をなすように第1の領域R1に連続的に形成されている。第2の層42は、導電パターン部をなすように第2の領域R2に連続的に形成されている。第1の層41と第2の層42とで別々の導電パターン部を形成してもよく、第1の層41と第2の層42とで1つの導電パターン部を形成してもよい。
【0016】
導電パターン部は、例えば、配線パターン部、電極パターン部などである。第1の層41は、2以上の層が積層された積層構造を有し、少なくとも導電性を有する層を含んでいることが好ましい。第2の層42は、第1の層41の一部の層からなる単層構造または積層構造を有し、少なくとも導電性を有する層を含んでいることが好ましい。ここで、第1の層41の一部の層とは、積層構造を有する第1の層の最上層から1層以上の層を除去した層、または、積層構造を有する第1の層の最上層から1層以上の層を島状などに不連続にし、残りの層を連続的とした層を意味する。
【0017】
この導電性素子1は、例えば、プリント基板、画像表示素子などである。プリント基板としては、例えば、リジッド基板、フレキシブル基板、リジッドフレキシブル基板などが挙げられる。画像表示素子としては、例えば、液晶表示素子、エルクトロルミネッセンス(EL)素子(例えば有機EL素子、無機EL素子)などである。
【0018】
図1Bでは、第1の領域R1、第2の領域R2および第3の領域R3がこの順序で設けられているが、この順序は一例であり、これらの領域の順序は回路や素子の設計などに応じて所望の順序とすることが可能である。例えば、図1Cに示すように、第1の領域R1と第2の領域R2との間に第3の領域R3を設け、第1の層41および第2の層42を別々の導電パターン部として機能させるようにしてもよい。すなわち、第1の領域R1上に形成された第1の層41を第1の導電パターン部として機能させ、第2の領域R2上に形成された第2の層42を第2の導電パターン部として機能させるようにしてもよい。
【0019】
(第1の領域、第2の領域)
第1の領域R1の基体表面には、例えば平面Sp1が形成され、この平面Sp1上には第1の層41が連続的に形成されている。第2の領域R2の基体表面には、例えば波面Sw2が形成され、この波面Sw2上には第2の層42が連続的に形成されている。これに対して、第3の領域R3の基体表面には、例えば波面Sw3が形成され、この波面Sw3上には第1の層41および第2の層42などの層が形成されていない状態となっている。したがって、第3の領域R2は、2つの第1の層41の間、2つの第2の層42の間、または第1の層41と第2の層42との間を絶縁するための絶縁領域として機能する。これに対して、第1の領域R1に連続的に形成された第1の層41は、第1の領域R1の延在方向に向かって導電性を有し、導電パターン部として機能する。また、第2の領域R2に連続的に形成された第2の層42も、第2の領域R2の延在方向に向かって導電性を有し、導電パターン部として機能する。
【0020】
平面Sp1、波面Sw2および波面Sw3が以下の関係を満たすことが好ましい。
(Am1/λm1)=0、0<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8
(但し、Am1:平面Sp1の振動の平均幅、Am2:波面Sw2の振動の平均幅、Am3:波面Sw3の振動の平均幅、λm1:平面Sp1の平均波長、λm2:波面Sw2の平均波長、λm3:波面Sw3の平均波長)
なお、平面Sp1は、振動の平均幅Am1が「0」の波面とみなすことができるため、上述のように平面Sp1の振動の平均幅Am1、平均波長λm1および比率(Am1/λm1)を定義することができる。
比率(Am3/λm3)>1.8であると、波面Sw3を転写する際に剥離不良となり波面Swが破壊される傾向がある。
【0021】
ここで、波面Sw2の平均波長λm2および振動の平均幅Am2は、以下のようにして求めたものである。まず、波面Sw2の振動の幅が最大となる位置を含むようにして導電性素子1の断面を切り出し、その断面を透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)にて撮影する。次に、撮影したTEM写真から、波面Sw2の波長λ2、および振動の幅A2を求める。この測定を導電性素子1から無作為に選び出された10箇所で繰り返し行い、測定値を単純に平均(算術平均)して、波面Sw2の平均波長λm2、および振動の平均幅Am2を求める。次に、これらの平均波長λm2、および振動の平均幅Am2を用いて、波面Sw2の比率(Am2/λm2)を求める。
また、波面Sw3の平均波長λm3、振動の平均幅Am3および比率(Am3/λm3)も、上述の波面Sw2の平均波長λm2、振動の平均幅Am2および比率(Am2/λm2)と同様にして求めたものである。
【0022】
波面Sw2および波面Sw3は、例えば、1次元的または2次元的な波面である。波面Sw2および波面Sw3の両方を1次元的または2次元的な波面とすることも可能であるが、これに限られず、波面Sw2および波面Sw3のうちの一方を1次元的な波面とし、他方を2次元的な波面とするようにしてもよい。
【0023】
波面Sw2および波面Sw3の振動の幅が最大となる位置を含むようにして、波面Sw2および波面Sw3を一方向に向かって切断したときの断面形状は、例えば、三角波形状、正弦波形状、2次曲線もしくは2次曲線の一部を繰り返した波形状、またはこれらに近似する形状などである。2次曲線としては、円、楕円、放物線などが挙げられる。
【0024】
波面Sw2の波長λ2および波面Sw3の波長λ3は、好ましくは100μm以下、より好ましくは100nm以上100μm以下の範囲内である。波長λ2および波長λ3が100nm未満であると、波面Sw2および波面Sw3の作製が困難となる傾向がある。一方、波長λ2および波長λ3が100μmを超えると、インプリントと膜形成の際に段差、カバレッジに問題が発生し不具合が生じる傾向がある。
【0025】
波長λ2および波長λ3は、導電性素子表面における光の反射を低減する観点からすると、反射の低減を目的とする光の波長帯域以下であることが好ましい。反射の低減を目的とする光の波長帯域は、例えば、紫外光の波長帯域、可視光の波長帯域または赤外光の波長帯域である。ここで、紫外光の波長帯域とは10nm以上360nm以下の波長帯域、可視光の波長帯域とは360nm以上830nm以下の波長帯域、赤外光の波長帯域とは830nm以上1mm以下の波長帯域をいう。具体的には、波長λ2および波長λ3は、好ましくは100nm以上350nm以下、より好ましくは100nm以上320nm以下、さらに好ましくは110nm以上280nm以下の範囲内である。波長λ2および波長λ3が100nm未満であると、波面Sw2および波面Sw3の作製が困難となる傾向がある。一方、波長λ2および波長λ3が350nmを超えると、可視光の回折が生じる傾向がある。
【0026】
波面Sw2および波面Sw3を共にナノオーダーまたはミクロンオーダーの波面とすることも可能であるが、これに限られず、波面Sw2および波面Sw3のうちの一方をナノオーダーの波長を有する波面とし、他方をミクロンオーダーの波長を有する波面とするようにしてもよい。
【0027】
第3の領域R3には第1の層41または第2の層42の一部の層(以下第3の層と称する。)が残留層として完全に存在しないことが好ましいが、第3の層が導電パターン部を形成せず、第3の領域R3が絶縁領域として機能する程度であれば残留層として存在していてもよい。
第3の層が残留層として存在する場合には、第1の層41、第2の層42および第3の層が、以下の関係を満たすことが好ましい。
S1>S2>S2
(但し、S1:第1の層の単位面積、S2:第2の層の単位面積、S3:第3の層の単位
面積)
このような関係を満たす場合、具体的には、第1の領域R1には第1の層41が連続的に形成されているとともに、第2の領域R2には第2の層42が連続的に形成されているのに対して、第3の領域R3には第3の層が島状などに不連続に形成されていることが好ましい。
【0028】
また、第3の層が残留層として存在する場合には、第1の層41、第2の層42および第3の層が、以下の関係を満たすことが好ましい。
d1>d2>d3
(但し、d1:第1の層41の平均厚さ、d2:第2の層42の平均厚さ、d3:第3の層の平均厚さ)
このような関係を満たす場合、具体的には、第3の層の平均厚さが、実質的に導電性を示さないほどに、第1の層41および第2の層42の平均厚さよりも薄く、第3の領域R3が絶縁領域として機能することが好ましい。
【0029】
なお、上述したように、第3の層は導電パターン部としては機能しないため、図1B、図1Cおよび図2Cでは、第3の層の図示を省略している。また、図1Aでは、第1の領域R1、第2の領域R2および第3の領域R2が直線状の形状を有している例が示されているが、第1の領域R1、第2の領域R2および第3の領域R2の形状はこれに限定されるものではなく、回路や素子の設計などに応じて所望の形状とすることが可能である。
【0030】
(基体)
基体2は、例えば、透明性または不透明性を有する基体である。基体2の材料としては、例えば、プラスチック材料などの有機材料、ガラスなどの無機材料を用いることができる。
【0031】
ガラスとしては、例えば、ソーダライムガラス、鉛ガラス、硬質ガラス、石英ガラス、液晶化ガラスなど(「化学便覧」基礎編、P.I-537、日本化学会編参照)が用いられる。プラスチック材料としては、透明性、屈折率、および分散などの光学特性、さらには耐衝撃性、耐熱性、および耐久性などの諸特性の観点から、ポリメチルメタアクリレート、メチルメタクリレートと他のアルキル(メタ)アクリレート、スチレンなどといったビニルモノマーとの共重合体などの(メタ)アクリル系樹脂;ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR-39)などのポリカーボネート系樹脂;(臭素化)ビスフェノールA型のジ(メタ)アクリレートの単独重合体ないし共重合体、(臭素化)ビスフェノールAモノ(メタ)アクリレートのウレタン変性モノマーの重合体および共重合体などといった熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂;ポリエステル特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよび不飽和ポリエステル、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、シクロオレフィンポリマー(商品名:アートン、ゼオノア)、シクロオレフィンコポリマーなどが好ましい。また、耐熱性を考慮したアラミド系樹脂の使用も可能である。
【0032】
基体2としてプラスチック材料を用いる場合、プラスチック表面の表面エネルギー、塗布性、すべり性、平面性などをより改善するために、表面処理として下塗り層を設けるようにしてもよい。この下塗り層としては、例えば、オルガノアルコキシメタル化合物、ポリエステル、アクリル変性ポリエステル、ポリウレタンなどが挙げられる。また、下塗り層を設けるのと同様の効果を得るために、基体2の表面に対してコロナ放電、UV照射処理などを行うようにしてもよい。
【0033】
基体2がプラスチックフィルムである場合には、基体2は、例えば、上述の樹脂を伸延、または溶剤に希釈後フィルム状に成膜して乾燥するなどの方法で得ることができる。また、基体2の厚さは、例えば25μm〜500μm程度である。
【0034】
基体2の形状としては、例えば、フィルム状、プレート状、ブロック状を挙げることができるが、特にこれらの形状に限定されるものではない。ここで、フィルム状にはシート状が含まれるものと定義する。
【0035】
(構造体)
波面Sw2は、例えば多数の構造体32が第2の領域R2に配列された凹凸面である。波面Sw3は、例えば多数の構造体33が第3の領域R3に凹凸面である。構造体32および構造体33は、例えば、基体1の表面に対して凸状を有している。構造体32および構造体33は、例えば、基体2と別成形、または基体2と一体成形されている。構造体32および構造体33と基体2とを別成形する場合には、必要に応じて構造体32および構造体33と基体2との間に基底層を備えるようにしてもよい。基底層は、構造体32および構造体33の底面側に構造体32および構造体33と一体成形された層であり、構造体32および構造体33と同様のエネルギー線硬化性樹脂組成物などを硬化してなる。基底層の厚さは、特に限定されるものではなく、必要に応じて適宜選択することができる。
【0036】
構造体32および構造体33のアスペクト比が以下の関係を満たすことが好ましい。
0<(Hm2/Pm2)<(Hm3/Pm3)≦1.8
(但し、Hm2:構造体32の平均高さ、Hm3:構造体33の平均高さ、Pm2:構造体32の平均配置ピッチ、Pm3:構造体33の平均配置ピッチ)
比率(Hm3/Pm3)>1.8であると、構造体33を転写する際に剥離不良となり構造体33が破壊される傾向がある。
【0037】
ここで、構造体32の平均配置ピッチPm2および平均高さHm2は、以下のようにして求めたものである。まず、構造体32の高さが最大となる位置を含むようにして導電性素子1の断面を切り出し、その断面を透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)にて撮影する。次に、撮影したTEM写真から、構造体32の配置ピッチP2、および高さH2を求める。この測定を導電性素子1から無作為に選び出された10箇所で繰り返し行い、測定値を単純に平均(算術平均)して、構造体32の平均配置ピッチPm2および平均高さHm2を求める。次に、これらの平均配置ピッチPm2および平均高さHm2を用いて、構造体32のアスペクト比(Hm2/Pm2)を求める。
また、構造体33の平均配置ピッチPm3、平均高さHm3およびアスペクト比(Hm3/Pm3)も、上述の構造体33の平均配置ピッチPm2、平均高さHm2およびアスペクト比(Hm2/Pm2)と同様にして求めたものである。
【0038】
構造体32および構造体33の配列としては、例えば、1次元配列または2次元配列を用いることができる。構造体32および構造体33を共に1次元配列または2次元配列とすることも可能であるが、これに限定されず、構造体32および構造体33のうちの一方を1次元配列とし、他方を2次元配列とするようにしてもよい。
【0039】
構造体32および構造体33の配列としては、例えば、規則的または不規則的な配列を用いることができ、原盤の作製方法などに応じて上記配列のうちから適切な配列を選択することが好ましい。構造体32および構造体33を共に規則的または不規則的な配列とすることも可能であるが、これに限定されず、構造体32および構造体33のうちの一方を規則的配列とし、他方を不規則的配列とするようにしてもよい。
【0040】
構造体32の配置ピッチP2および構造体33の配置ピッチP3は、好ましくは100μm以下、より好ましくは100nm以上100μm以下の範囲内である。配置ピッチが100nm未満であると、構造体32および構造体33の作製が困難となる傾向がある。配置ピッチP2および配置ピッチP3が100μmを超えると、インプリントと膜形成の際に段差、カバレッジに問題が発生し不具合が生じる傾向がある。
【0041】
配置ピッチP2および配置ピッチP3は、導電性素子表面における光の反射を低減する観点からすると、反射の低減を目的とする光の波長帯域以下であることが好ましい。反射の低減を目的とする光の波長帯域は、例えば、紫外光の波長帯域、可視光の波長帯域または赤外光の波長帯域である。ここで、紫外光の波長帯域とは10nm以上360nm以下の波長帯域、可視光の波長帯域とは360nm以上830nm以下の波長帯域、赤外光の波長帯域とは830nm以上1mm以下の波長帯域をいう。具体的には、配置ピッチP2および配置ピッチP3は、好ましくは100nm以上350nm以下、より好ましくは100nm以上320nm以下、さらに好ましくは110nm以上280nm以下の範囲内である。配置ピッチP2および配置ピッチP3が100nm未満であると、構造体32および構造体33の作製が困難となる傾向がある。一方、配置ピッチP2および配置ピッチP3が350nmを超えると、可視光の回折が生じる傾向がある。
【0042】
構造体32および構造体33を共にナノオーダーまたはミクロンオーダーの配置ピッチで配列することも可能であるが、これに限られず、構造体32および構造体33をのうちの一方をナノオーダーの配置ピッチで配列し、他方をミクロンオーダーの配置ピッチで配列するようにしてもよい。
【0043】
以下に、図3A〜図4Bを参照しながら、複数の構造体32が1次元配列または2次元配列された第2の領域R2について具体的に説明する。なお、複数の構造体33が1次元配列または2次元配列された第3の領域R3は、構造体33のアスペクト比が構造体32のアスペクト比と異なる以外の点では、第2の領域R2と同様であるので、第3の領域R3についての具体的説明は省略する。
【0044】
図3Aは、複数の構造体が2次元配列された第2の領域を拡大して表す斜視図である。図3Bは、複数の構造体が2次元配列された第2の領域を拡大して表す平面図である。複数の構造体32が、例えば、第2の領域R2において複数列のトラックT上に2次元配列されて、2次元的な波面Sw2が形成されている。トラックTの形状としては、直線状、円弧状などを用いることができ、これらの形状のトラックTを蛇行(ウォブル)させるようにしてもよい。複数例のトラックT上に配列された複数の構造体32が、例えば、所定の規則的な配置パターンをなるようにしてもよい。規則的な配置パターンとしては、例えば、四方格子状、六方格子状などの格子状パターンが挙げられ、これらの格子状パターンを歪ませるようにしてもよい。構造体32の高さが基体1の表面において規則的または不規則的に変化するようにしてもよい。また、構造体32をランダムに配列するようにしてもよい。
【0045】
構造体32は、基体2の表面に対して傾斜した斜面を有することが好ましい。このような構造体32の具体的な形状としては、例えば、錐体状、柱状、針状、半球状、半楕円球状、多角形状などが挙げられるが、これらの形状に限定されるものではなく、他の形状を採用するようにしてもよい。錐体状としては、例えば、頂部が尖った錐体形状、頂部が平坦な錐体形状、頂部に凸状または凹状の曲面を有する錐体形状が挙げられるが、これらの形状に限定されるものではない。また、錐体状の錐面を凹状または凸状に湾曲させるようにしてもよい。後述するロール原盤露光装置(図7参照)を用いてロール原盤を作製する場合には、構造体32の形状として、頂部に凸状の曲面を有する楕円錐形状、または頂部が平坦な楕円錐台形状を採用し、それらの底面を形成する楕円形の長軸方向をトラックTの延在方向と一致させることが好ましい。
【0046】
図4Aは、複数の構造体が1次元配列された第1の領域を拡大して表す斜視図である。図4Bは、複数の構造体が1次元配列された第1の領域を拡大して表す平面図である。複数の構造体32が、例えば、第2の領域R2において複数列のトラックT上に、これらのトラックTに沿うようにして1次元配列されて、1次元的な波面Sw2が形成されている。トラックTの形状としては、直線状、円弧状などを用いることができ、これらの形状のトラックを蛇行(ウォブル)させるようにしてもよい。
【0047】
構造体32は、例えば、一方向に向かって延在された柱状体であり、その断面形状は、例えば三角形状、頂部に曲率Rが付された三角形状、多角形状、半円形状、半楕円形状、放物線状などを挙げることができるが、これらの形状に限定されるものではない。構造体32の具体的形状としては、例えば、レンチキュラー形状、プリズム形状などを挙げることができるが、これらの形状に限定されるものではない。構造体32の高さが、トラック方向に向かって変化するようにしてもよい。また、構造体32が、トラック方向に断続するようにしてもよい。
【0048】
(第1の層、第2の層)
図2Aに示すように、第1の層41は、例えば、第1の領域R1上に形成された導電層4a、導電層4a上に形成された第1の機能層4bと、第1の機能層4b上に形成された第2の機能層4cとを備える。第1の層41を構成する各層の間に、必要に応じて密着層を設けるようにしてもよい。
【0049】
図2Bに示すように、第2の層42は、例えば導電層4aを備える。第2の層42が2層以上の層を有する場合には、第2の層42を構成する各層の間に、必要に応じて密着層を設けるようにしてもよい。
【0050】
第2の層42は、第2の領域R2において波面Sw2による反射防止効果を阻害しないように、波面Sw2の表面形状に倣って形成され、波面Sw2と第2の層42との表面形状がほぼ相似形状であることが好ましい。第2の層42の形成による屈折率プロファイルの変化を抑制し、優れた反射防止特性および/または透過特性を維持できるからである。また、第3の領域R3に第3の層が残留層として存在している場合には、第3の層は、第3の領域R3において波面Sw3による反射防止効果を阻害しないように、波面Sw3の表面形状に倣って形成され、波面Sw3と第3の層との表面形状がほぼ相似形状であることが好ましい。
【0051】
導電層4aとしては、例えば、金属層、透明導電層、金属酸化物層、遷移金属化合物層などを用いることができるが、これらの層に限定されるものではない。第1の機能層4bの材料としては、少なくとも導電層4aおよび第2の機能層4cとは異なる材料が好ましく、除去工程時にて導電層4aおよび第2の機能層4cと溶解レート差が生じる材料がより好ましい。第2の機能層4cの材料としては、少なくとも導電層4aおよび第1の機能層4bとは異なる材料が好ましく、除去工程時にて導電層4aおよび第1の機能層4bと溶解レート差が生じる材料がより好ましい。
【0052】
透明導電層としては、例えば、無機透明導電層を用いることができる。無機透明導電層は、透明酸化物半導体を主成分としていることが好ましい。透明酸化物半導体としては、例えば、SnO2、InO2、ZnOおよびCdOなどの二元化合物、二元化合物の構成元素であるSn、In、ZnおよびCdのうちの少なくとも一つの元素を含む三元化合物、または多元系(複合)酸化物を用いることができる。透明酸化物半導体の具体例としては、例えばインジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、アルミドープ酸化亜鉛(AZO(Al2O3、ZnO))、SZO、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、酸化錫(SnO2)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウム亜鉛(IZO(In2O3、ZnO))などが挙げられる。特に、信頼性の高さ、および抵抗率の低さなどの観点から、インジウム錫酸化物(ITO)が好ましい。無機透明導電層を構成する材料は、導電性の向上の観点からすると、アモルファスと多結晶との混合状態であることが好ましい。金属層の材料としては、例えばAg、Al、Au、Pt、Pd、Ni、Cr、Nb、W、Mo、Ti、Cu、およびNdからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
【0053】
第1の機能層4bは、少なくとも導電層4aとは溶液に対する溶解度が異なっていることが好ましい。第1の機能層4bの材料としては、導電層4aとは異なる材料を用いることが好ましい。具体的には、第1の機能層4bの材料としては、金属を用いることが好ましく、金属としては、例えばAg、Al、Au、Pt、Pd、Ni、Cr、Nb、W、Mo、Ti、Cu、およびNdからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
【0054】
第1の機能層4bの材料としては、例えば、誘電体材料または透明導電材料を用いることができる。具体的には、酸化物、窒化物、硫化物、炭化物、フッ化物、および遷移金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、例えば、酸化物および遷移金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。酸化物としては、例えば、In、Zn、Sn、Al、Si、Ge、Ti、Ga、Ta、Nb、Hf、Zr、Cr、BiおよびMgからなる群から選ばれる1種以上の元素の酸化物が挙げられる。窒化物としては、例えば、In、Sn、Ge、Cr、Si、Al、Nb、Mo、Ti、Nb、Mo、Ti、W、TaおよびZnからなる群から選ばれる1種以上の元素の窒化物が挙げられる。硫化物としては、例えば、Zn硫化物が挙げられる。炭化物としては、例えば、In、Sn、Ge、Cr、Si、Al、Ti、Zr、TaおよびWからなる群より選ばれる1種以上の元素の炭化物が挙げられる。フッ化物としては、例えば、Si、Al、Mg、CaおよびLaからなる群より選ばれる1種以上の元素のフッ化物が挙げられる。遷移金属化合物としては、例えば、Al、AlTi、AlCu、Cu、Ag、AgPdCu、Mo、Sn、Ti、W、Au、Pt、Pd、Ni、NbおよびCrなる群より選ばれる少なくとも1種以上の化合物を用いることができる。上述の材料を2種以上含む混合物としては、例えば、ZnS−SiO2、SiO2−Cr2O3−ZrO2、In2O3−CeO2、In2O3−Ga2O3、Sn2O3−Ta2O5、TiO2−SiO2などが挙げられる。
【0055】
第1の機能層4bは、アモルファスと多結晶との混合状態にある層、および多結晶化状態にある層の少なくとも1種を含んでいることが好ましい。
【0056】
第2の機能層4cは、導電層4aおよび第1の機能層4bを保護するための層である。第2の機能層4cは、少なくとも導電層4aまたは第1の機能層4bとは溶液に対する溶解度が異なっていることが好ましい。第2の機能層4cの材料としては、導電層4aおよび第1の機能層4bとは異なる材料、または第1の機能層4bとは異なる材料を用いることが好ましい。具体的には、第2の機能層4cの材料としては、金属材料を用いることが好ましく、金属材料としては、例えば、Ag、Al、Au、Pt、Pd、Ni、Cr、Nb、W、Mo、Ti、Cu、およびNdからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
【0057】
第2の機能層4cの材料としては、例えば、誘電体材料または透明導電材料を用いることができる。具体的には、酸化物、窒化物、硫化物、炭化物、フッ化物、および遷移金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、例えば、酸化物および遷移金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。酸化物としては、例えば、In、Zn、Sn、Al、Si、Ge、Ti、Ga、Ta、Nb、Hf、Zr、Cr、BiおよびMgからなる群から選ばれる1種以上の元素の酸化物が挙げられる。窒化物としては、例えば、In、Sn、Ge、Cr、Si、Al、Nb、Mo、Ti、Nb、Mo、Ti、W、TaおよびZnからなる群から選ばれる1種以上の元素の窒化物が挙げられる。硫化物としては、例えば、Zn硫化物が挙げられる。炭化物としては、例えば、In、Sn、Ge、Cr、Si、Al、Ti、Zr、TaおよびWからなる群より選ばれる1種以上の元素の炭化物が挙げられる。フッ化物としては、例えば、Si、Al、Mg、CaおよびLaからなる群より選ばれる1種以上の元素のフッ化物が挙げられる。遷移金属化合物としては、例えば、Al、AlTi、AlCu、Cu、Ag、AgPdCu、Mo、Sn、Ti、W、Au、Pt、Pd、Ni、NbおよびCrなる群より選ばれる少なくとも1種以上の化合物を用いることができる。上述の材料を2種以上含む混合物としては、例えば、ZnS−SiO2、SiO2−Cr2O3−ZrO2、In2O3−CeO2、In2O3−Ga2O3、Sn2O3−Ta2O5、TiO2−SiO2などが挙げられる。
【0058】
第2の機能層4cはアモルファスと多結晶との混合状態にある層、および多結晶化状態にある層の少なくとも1種を含んでいることが好ましいがこれらに限定されるものではない。
【0059】
密着層は、各層の間の密着性を向上させるための層である。密着層としては、例えば、 金属層、酸化物層、遷移金属化合物層などを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0060】
第1の領域R1における積層膜4の表面抵抗は、5000Ω/□以下であることが好ましい。5000Ω/□を超えると、抵抗が増大しすぎて電極として使用できなくなる傾向がある。
【0061】
[ロール原盤の構成]
図5Aは、基体を作製するためのロール原盤の一構成例を示す斜視図である。図5Bは、図5Aに示したロール原盤の一部を拡大して表す斜視図である。ロール原盤11は、上述した基体表面に平面Sp1、波面Sw2および波面Sw3を成形するための原盤である。ロール原盤11は、例えば、円柱状または円筒状の形状を有し、その円柱面または円筒面には多数の第1の領域R1、第2の領域R2および第3の領域R3が設定されている。ロール原盤11の材料は、例えばガラスを用いることができるが、この材料に特に限定されるものではない。なお、図5Aおよび図5Bに示した第1の領域R1、第2の領域R2および第3の領域R3の形状および配置順序は一例であって、これに限定されるものではなく、所望とする導電パターン部の形状に応じて適宜選択される。
【0062】
図6Aは、ロール原盤の一部を拡大して表す断面図である。図6Bは、第2の領域の一部を拡大して示す斜視図である。図6Cは、第2の領域の一部を拡大して示す平面図である。なお、第3の領域R3は、第3の領域R3の波面Sw3の比率(Am/λm)(Am:波面の振動の平均幅、λm:波面の平均波長)が第2の領域の波面Sw2に比して大きい以外の点では、第2の領域R2と同様であるので、図示を省略する。
【0063】
ロール原盤11の第1の領域R1、第2の領域R2および第3の領域R3はそれぞれ、基体2の第1の領域R1、第2の領域R2および第3の領域R3に対応している。すなわち、ロール原盤11の第1の領域R1に形成された平面Sp1は、基体2の第1の領域R1に平面Sp1を形成するためのものである。ロール原盤11の第2の領域R2に形成された波面Sw2は、基体2の第2の領域R2に波面Sw2を形成するためのものである。ロール原盤11の第3の領域R3に形成された波面Sw3は、基体2の第3の領域R3に波面Sw3を形成するためのものである。具体的には、ロール原盤11の波面Sw2および波面Sw3はそれぞれ、上述の基体2の表面の波面Sw2およびSw3の凹凸形状を反転した形状を有している。すなわち、ロール原盤11の構造体122および構造体123はそれぞれ、上述の基体2の表面の構造体32および構造体33の凹凸形状を反転した形状を有している。
【0064】
[露光装置の構成]
図7は、ロール原盤露光装置の一構成例を示す概略図である。以下、図7を参照して、ロール原盤露光装置の構成について説明する。なお、このロール原盤露光装置は、例えば、光学ディスク記録装置をベースとして構成することが可能である。
【0065】
レーザー光源21は、記録媒体としてのロール原盤11の表面に着膜されたレジストを露光するための光源であり、例えば波長λ=266nmの記録用のレーザー光14を発振するものである。レーザー光源21から出射されたレーザー光14は、平行ビームのまま直進し、電気光学素子(EOM:Electro Optical Modulator)22へ入射する。電気光学素子22を透過したレーザー光14は、ミラー23で反射され、変調光学系25に導かれる。
【0066】
ミラー23は、偏光ビームスプリッタで構成されており、一方の偏光成分を反射し他方の偏光成分を透過する機能をもつ。ミラー23を透過した偏光成分はフォトダイオード24で受光され、その受光信号に基づいて電気光学素子22を制御してレーザー光14の位相変調を行う。
【0067】
変調光学系25において、レーザー光14は、集光レンズ26により、ガラス(SiO2)などからなる音響光学素子(AOM:Acousto-Optic Modulator)27に集光される。レーザー光14は、音響光学素子27により強度変調され発散した後、レンズ28によって平行ビーム化される。変調光学系25から出射されたレーザー光14は、ミラー31によって反射され、移動光学テーブル32上に水平かつ平行に導かれる。
【0068】
移動光学テーブル32は、ビームエキスパンダ33、および対物レンズ34を備えている。移動光学テーブル32に導かれたレーザー光14は、ビームエキスパンダ33により所望のビーム形状に整形された後、対物レンズ34を介して、ロール原盤11上のレジスト層へ照射される。ロール原盤11は、スピンドルモータ35に接続されたターンテーブル36の上に載置されている。そして、ロール原盤11を回転させるとともに、レーザー光14をロール原盤11の高さ方向に移動させながら、レジスト層へレーザー光14を間欠的に照射することにより、レジスト層の露光工程が行われる。形成された潜像は、円周方向に長軸を有する略楕円形になる。レーザー光14の移動は、移動光学テーブル32の矢印R方向への移動によって行われる。
【0069】
露光装置は、例えば、所定の1次元パターンまたは2次元パターンに対応する潜像をレジスト層に形成するための制御機構37を備えている。制御機構37は、フォマッター29とドライバ30とを備える。フォマッター29は、極性反転部を備え、この極性反転部が、レジスト層に対するレーザー光14の照射タイミングを制御する。ドライバ30は、極性反転部の出力を受けて、音響光学素子27を制御する。
【0070】
このロール原盤露光装置では、2次元パターンが空間的にリンクするように1トラック毎に極性反転フォマッター信号と記録装置の回転コントロラーを同期させ信号を発生し、音響光学素子27により強度変調している。角速度一定(CAV)で適切な回転数と適切な変調周波数と適切な送りピッチでパターニングすることにより、四方格子または六方格子パターンなどの所定の2次元パターンを記録することができる。
【0071】
[導電性素子の製造方法]
以下、図8A〜図10Cを参照しながら、本技術の第1の実施形態に係る導電性素子1の製造方法の一例について説明する。なお、この製造方法において転写工程以降の一部または全部のプロセスは、生産性を考慮して、ロール・ツー・ロールにより行うことが好ましい。
【0072】
(レジスト成膜工程)
まず、図8Aに示すように、円柱状または円筒状のロール原盤11を準備する。このロール原盤11は、例えばガラス原盤である。次に、図8Bに示すように、ロール原盤11の表面にレジスト層13を形成する。レジスト層13の材料としては、例えば有機系レジスト、および無機系レジストのいずれを用いてもよい。有機系レジストとしては、例えばノボラック系レジストや化学増幅型レジストを用いることができる。また、無機系レジストとしては、例えば、1種または2種以上含む金属化合物を用いることができる。
【0073】
(露光工程)
次に、図8Cに示すように、上述したロール原盤露光装置を用いて、ロール原盤11を回転させると共に、レーザー光(露光ビーム)14をレジスト層13に照射する。このとき、レーザー光14をロール原盤11の高さ方向(円柱状または円筒状のロール原盤11の中心軸に平行な方向)に移動させながら、レーザー光14を照射する。この際、第2の領域R2および第3の領域R3には潜像を形成し露光部とするのに対して、第1の領域R1には潜像を形成せず非露光部とする。レーザー光14の軌跡に応じた潜像15は、例えば、可視光の波長以下のピッチで形成される。
【0074】
潜像15は、例えば、ロール原盤表面において複数列のトラックをなすように配置されるとともに、所定の1次元パターンまたは2次元パターンを形成する。潜像15は、例えば、トラックの延在方向に延びる細長い矩形状、またはトラックの延在方向に長軸方向を有する楕円形状などである。
【0075】
(現像工程)
次に、例えば、ロール原盤11を回転させながら、レジスト層13上に現像液を滴下して、図9Aに示すように、レジスト層13を現像処理する。図示するように、レジスト層13をポジ型のレジストにより形成した場合には、レーザー光14で露光した露光部は、非露光部と比較して現像液に対する溶解速度が増すので、潜像(露光部)16に応じたパターンがレジスト層13に形成される。これにより、第2の領域R2および第3の領域R3のレジスト層13には、複数の開口部が形成されるのに対して、第1の領域R1のレジスト層13には、開口部が形成されず、第1の領域R1全体はレジスト層13に覆われた状態が維持される。すなわち、第2の領域R2および第3の領域R3のみに開口パターンを有するマスクがロール原盤表面に形成される。開口パターンとしては、1次元パターンおよび2次元パターンのいずれかを用いてもよく、それらを組合せて用いてもよい。
【0076】
(エッチング工程)
次に、ロール原盤11の上に形成されたレジスト層13のパターン(レジストパターン)をマスクとして、ロール原盤11の表面をロールエッチング処理する。これにより、図9Bに示すように、ロール原盤表面のうち第2の領域R2および第3の領域R3では、開口部を介してエッチングが進行し、凹状の構造体122および構造体123が形成される。これらの構造体122および構造体123は、例えば、トラックの延在方向に延びる柱状形状、またはトラックの延在方向に長軸方向をもつ楕円錐形状または楕円錐台形状などを有する。一方、ロール原盤表面のうち第1の領域R1では、この領域全体がレジスト層13に覆われているため、エッチングは施されず、平面状のロール原盤表面が維持される。エッチング方法としては、例えばドライエッチングを用いることができる。以上により、ロール原盤11が得られる。
【0077】
(転写工程)
次に、例えば、図9Cに示すように、ロール原盤11と転写材料16を塗布したフィルムなどの基体2を密着させ、紫外線などのエネルギー線を照射して転写材料16を硬化させた後、硬化した転写材料16と一体となった基体2を剥離する。これにより、図10Aに示すように、平面Sp1が形成された第1の領域R1と、波面Sw1が形成された第2の領域R2と、波面Sw3が形成された第3の領域R2とを有する基体2が得られる。
【0078】
転写材料16としては、例えば、エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いることができる。エネルギー線硬化性樹脂組成物は、エネルギー線を照射することによって硬化させることができる樹脂組成物である。エネルギー線とは、電子線、紫外線、赤外線、レーザー光線、可視光線、電離放射線(X線、α線、β線、γ線など)、マイクロ波、高周波などのラジカル、カチオン、アニオンなどの重合反応の引き金と成りうるエネルギー線を示す。エネルギー線硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、他の樹脂と混合して用いるようにしてもよく、例えば熱硬化性樹脂などの他の硬化性樹脂と混合して用いてもよい。また、エネルギー線硬化性樹脂組成物は、有機無機ハイブリッド材料であってもよい。また、2種以上のエネルギー線硬化性樹脂組成物を混合して用いるようにしてもよい。エネルギー線硬化性樹脂組成物としては、紫外線により硬化する紫外線硬化樹脂を用いることが好ましい。
【0079】
紫外線硬化材料は、例えば、単官能モノマー、二官能モノマー、多官能モノマーなどからなり、具体的には、以下に示す材料を単独または、複数混合したものである。
単官能モノマーとしては、例えば、カルボン酸類(アクリル酸)、ヒドロキシ類(2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート)、アルキル、脂環類(イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート)、その他機能性モノマー(2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレンクリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、2−(パーフルオロオクチル)エチル アクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−パーフルオロオクチルー2−ヒドロキシプロピル アクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチル アクリレート、2−(パーフルオロー3−メチルブチル)エチル アクリレート)、2,4,6−トリブロモフェノールアクリレート、2,4,6−トリブロモフェノールメタクリレート、2−(2,4,6−トリブロモフェノキシ)エチルアクリレート)、2−エチルヘキシルアクリレートなどを挙げることができる。
【0080】
二官能モノマーとしては、例えば、トリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、トリメチロールプロパン ジアリルエーテル、ウレタンアクリレートなどを挙げることができる。
【0081】
多官能モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタおよびヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートなどを挙げることができる。
【0082】
開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンなどを挙げることができる。
【0083】
フィラーとしては、例えば、無機微粒子および有機微粒子のいずれも用いることができる。無機微粒子としては、例えば、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Al2O3などの金属酸化物微粒子を挙げることができる。
【0084】
機能性添加剤としては、例えば、レベリング剤、表面調整剤、消泡剤などを挙げることができる。基体2の材料としては、例えば、メチルメタクリレート(共)重合体、ポリカーボネート、スチレン(共)重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリウレタン、ガラスなどが挙げられる。
【0085】
基体2の成形方法は特に限定されず、例えば射出成形法、押し出し成形法、キャスト成形法などを用いることができる。必要に応じて、コロナ処理などの表面処理を基体表面に施すようにしてもよい。
【0086】
(積層膜の成膜工程)
次に、図10Bに示すように、基体表面の第1の領域R1、第2の領域R2および第3の領域R3に2層以上の層を積層することにより、積層膜4を形成する。具体的には例えば、基体表面の第1の領域R1、第2の領域R2および第3の領域R3に導電層、第1の機能層および第2の機能層をこの順序で積層することにより、積層膜4を形成する。積層膜4の成膜方法としては、例えば、熱CVD、プラズマCVD、光CVDなどのCVD法(Chemical Vapor Deposition(化学蒸着法):化学反応を利用して気相から薄膜を析出させる技術)のほか、真空蒸着、プラズマ援用蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどのPVD法(Physical Vapor Deposition(物理蒸着法):真空中で物理的に気化させた材料を基板上に凝集させ、薄膜を形成する技術)を用いることができる。また、基体2を加熱しながら、積層膜4を形成するようにしてもよい。
【0087】
(アニール工程)
次に、必要に応じて、積層膜4に対してアニール処理を施す。これにより、積層膜4または積層膜4に含まれる無機透明導電層などの層が、例えばアモルファスと多結晶との混合状態となる。
【0088】
(積層膜の除去工程)
次に、図10Cに示すように、積層膜4が形成された基体表面に対して、エッチング処理を施す。これにより、第3の領域R3では積層膜4が除去されるのに対して、第1の領域R1では積層膜4が第1の層41として残留するとともに、第2の領域R2では積層膜4の一部の層が第2の層42として残留する。具体的には例えば、第3の領域R1では導電層、第1の機能層および第2の機能層が除去されるのに対して、第1の領域R1では導電層、第1の機能層および第2の機能層が第1の層41として残留するとともに、第2の領域R2では導電層が第2の層42として残留する。したがって、第1の領域R1に形成された第1の層41と、第2の領域R2に形成された第2の層42とは導電パターン部として機能するのに対して、第3の領域R3は上記導電パターン部間の絶縁領域として機能する。除去工程としては、ドライエッチングまたはウエットエッチングを用いることができ、両者を組み合わせて用いるようにしてもよい。ドライエッチングとしては、プラズマエッチング、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)を用いることができる。ウエットエッチングのエッチング液としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸および塩化第二鉄のうち1種類以上を用いることができる。また、シュウ酸、リン酸・酢酸・硝酸の混酸、硝酸第二セリウムアンモニウム水溶液をエッチング液として用いるようにしてもよい。
【0089】
ここで、除去とは、(1)第3の領域R3から積層膜4を完全になくすこと、(2)第3の領域R3にて導電性を示さない程度まで積層膜4を不連続な状態(例えば島状の状態)にすること、または(3)第3の領域R3にて導電性を示さない程度の薄さまで積層膜4を薄くすることを意味する。
【0090】
具体的には、平面Sp1、波面Sw2および波面Sw3上に形成された積層膜4の状態等の違いを利用して、波面Sw3上に形成された積層膜4を実質的に除去するのに対して、平面Sp1および波面Sw2上に形成された積層膜4を連続的につながるように残留させることが好ましい。これにより、平面Sp1、波面Sw2および波面Sw3のうち平面Sp1および波面Sw2上に選択的に導電パターン部を形成することができる。
【0091】
また、平面Sp1、波面Sw2および波面Sw31上に形成された積層膜4の状態等の違いを利用して、波面Sw3上に形成された積層膜4を除去して島状などに不連続にするのに対して、平面Sp1および波面Sw2上に形成された積層膜4を連続的につながるように残留させることが好ましい。これにより、平面Sp1、波面Sw2および波面Sw3のうち平面Sp1および波面Sw2上に選択的に導電パターン部を形成することができる。
【0092】
また、平面Sp1、波面Sw2および波面Sw31上に形成された積層膜4の状態等の違いを利用して、波面Sw3上に形成された積層膜4を除去してその厚さを平面Sp1および波面Sw2上に形成された積層膜4の厚さに比して大幅に薄くすることが好ましい。これにより、平面Sp1、波面Sw2および波面Sw3のうち平面Sp1および波面Sw2上に選択的に導電パターン部を形成することができる。
【0093】
(洗浄工程)
次に、必要に応じて、除去処理を施した基体表面を洗浄する。
以上により、目的とする導電性素子1が得られる。
【0094】
第1の実施形態では、平面Sp1、波面Sw2および波面Sw3を有する基体表面に対して、2層以上の層を積層して積層膜4を形成する。そして、平面Sp1、波面Sw2および波面Sw3に形成した積層膜の状態の違いを利用して、平面Sp1、波面Sw2および波面Sw3の波面のうち、波面Sw3上に形成された積層膜4を除去するのに対して、平面Sp1上に形成された積層膜4を第1の層41として残すとともに、波面Sw2上に形成された積層膜4の一部の層を第2の層42として残すことにより、導電パターン部を形成する。したがって、精細かつ高スループットの導電性素子を実現できる。
【0095】
<2.第2の実施形態>
[導電性素子の構成]
図11Aは、本技術の第2の実施形態に係る導電性素子の一構成例を示す平面図である。図11Bは、図11Aに示したB−B線に沿った断面図である。図12Aは、図11Bに示した第1の領域の一部を拡大して表す断面図である。図12Bは、図11Bに示した第2の領域の一部を拡大して表す断面図である。図12Cは、図11Bに示した第3の領域の一部を拡大して表す断面図である。第2の実施形態に係る導電性素子1は、第1の領域に波面Sw1を有する点において、第1の実施形態とは異なっている。
【0096】
(第1の領域)
第1の領域R1の基体表面には波面Sw1が形成され、この波面Sw1上には第1の層41が連続的に形成されている。波面Sw1は、波面Sw2に比して小さい比率(Am/λm)(λm:波面の平均波長、Am:波面の振動の平均幅)を有している点以外は、波面Sw2と同様である。具体的には、波面Sw1、波面Sw2および波面Sw3が以下の関係を満たしていることが好ましい。
0<(Am1/λm1)<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8
(但し、Am1:波面Sw1の振動の平均幅、Am2:波面Sw2の振動の平均幅、Am3:波面Sw3の振動の平均幅、λm1:波面Sw1の平均波長、λm2:波面Sw2の平均波長、λm3:波面Sw3の平均波長)
比率(Am3/λm3)>1.8であると、波面Sw3を転写する際に剥離不良となり波面Swが破壊される傾向がある。
【0097】
ここで、波面Sw1の平均波長λm1、振動の平均幅Am1および比率(Am1/λm1)は、第1の実施形態における波面Sw2およびSw3と同様にして測定したものである。
【0098】
波面Sw1、波面Sw2および波面Sw3の形状、波長および振動の幅はそれぞれ独立に選択することが可能である。具体的には例えば、波面Sw1、波面Sw2および波面Sw3はそれぞれ独立に、1次元的または2次元的な波面とすることが可能である。また、波面Sw1、波面Sw2および波面Sw3の波長および振動の幅はそれぞれ独立に、ナノオーダーまたはミクロンオーダーの波長および振動の幅とすることが可能である。
【0099】
(構造体)
波面Sw1は、例えば多数の構造体31が第1の領域R1に配列された凹凸面である。構造体31は、構造体32に比して小さい比率(Hm/Pm)(λm:構造体の平均配置ピッチ、Am:構造体の平均高さ)を有している点以外は、構造体32と同様である。具体的には、構造体31、構造体32および構造体33が以下の関係を満たしていることが好ましい。
0<(Hm2/Pm2)<(Hm3/Pm3)≦1.8
(但し、Hm1:構造体31の平均高さ、Hm2:構造体32の平均高さ、Hm3:構造体33の平均高さ、Pm1:構造体31の平均配置ピッチ、Pm2:構造体32の平均配置ピッチ、Pm3:構造体33の平均配置ピッチ)
比率(Hm3/Pm3)>1.8であると、構造体33を転写する際に剥離不良となり構造体32が破壊される傾向がある。
【0100】
ここで、構造体31の平均配置ピッチPm1、平均高さHm1および比率(Hm1/Pm1)は、第1の実施形態における構造体32および構造体33と同様にして測定したものである。
【0101】
(第1の層)
第1の層41は、第1の領域R1において構造体31による反射防止効果を阻害しないように、波面Sw1の形状に倣って形成され、波面Sw1と第1の層41の表面形状とがほぼ相似形状であることが好ましい。第1の層41の形成による屈折率プロファイルの変化を抑制し、優れた反射防止特性および/または透過特性を維持できるからである。
【0102】
[ロール原盤の構成]
図13Aは、基体2を作製するためのロール原盤の一部を拡大して表す斜視図である。図13Bは、図13Aに示したロール原盤の一部を拡大して表す断面図である。第2の実施形態に係るロール原盤11は、第1の領域R1に波面Sw1を有する点において、第1の実施形態のものとは異なっている。
【0103】
ロール原盤11の波面Sw1は、例えば可視光の波長以下のピッチで凹状の第1の構造体121を配列することにより形成されている。ロール原盤11の波面Sw1は、基体2の波面Sw1の凹凸を反転した形状を有している。
【0104】
[導電性素子の製造方法]
第2の実施形態に係る導電性素子の製造方法は、波面Sw1と、波面Sw2と、波面Sw3との違い(例えば比率(Am/λm)の違い)を利用して、第1の領域R1と第2の領域R2と第3の領域R3とに成膜された積層膜4の除去速度を変化させて、導電パターン部を形成している点において、第1の実施形態とは異なっている。
【0105】
第2の実施形態における積層膜の除去工程では、積層膜4が形成された基体表面に対して除去処理を施すことにより、第3の領域R3では積層膜4が除去されるのに対して、第1の領域R1および第2の領域R2では積層膜4が残留する。これにより、波面Sw1、波面Sw2および波面Sw3のうち、波面Sw1および波面Sw2上に選択的に導電パターン部を形成することができる。
【0106】
具体的には、波面Sw1、波面Sw2および波面Sw3上に形成された積層膜4の状態等の違いを利用して、波面Sw3上に形成された積層膜4を実質的に除去するのに対して、波面Sw1および波面Sw2上に形成された積層膜4を連続的につながるように残留させることが好ましい。これにより、波面Sw1、波面Sw2および波面Sw3のうち波面Sw1および波面Sw2上に選択的に導電パターン部を形成することができる。
【0107】
また、波面Sw1、波面Sw2および波面Sw31上に形成された積層膜4の状態等の違いを利用して、波面Sw3上に形成された積層膜4を除去して島状などに不連続にするのに対して、波面Sw1および波面Sw2上に形成された積層膜4を連続的につながるように残留させることが好ましい。これにより、波面Sw1、波面Sw2および波面Sw3のうち波面Sw1および波面Sw2上に選択的に導電パターン部を形成することができる。
【0108】
また、波面Sw1、波面Sw2および波面Sw31上に形成された積層膜4の状態等の違いを利用して、波面Sw3上に形成された積層膜4を除去してその厚さを波面Sw1および波面Sw2上に形成された積層膜4の厚さに比して大幅に薄くすることが好ましい。これにより、波面Sw1、波面Sw2および波面Sw3のうち波面Sw1および波面Sw2上に選択的に導電パターン部を形成することができる。
【0109】
第2の実施形態では、第1の領域R1、第2の領域R2および第3の領域R3の全ての領域にそれぞれ波面Sw1、波面Sw2およびSw3を形成しているので、導電性素子1の反射防止特性を向上することができる。このような構成とする場合、導電パターン部として機能する第1の層41および第2の層42はそれぞれ、波面Sw1および波面Sw2に倣った形状とすることが好ましい。これにより、反射防止特性および/または透過特性の効果の低下を抑制することができるからである。
【0110】
変調(例えば振幅変調および/または周波数変調)が施された波面Sw1、波面Sw2および波面Sw3を基体表面に形成し、その基体表面上に積層膜4を形成することで、基体表面に形成した波面Sw1、波面Sw2および波面Sw3の変調の違いに応じて、積層膜4の状態を変化させることができる。したがって、基体2の波面Sw1、波面Sw2および波面Sw3の変調の違いに応じて、除去溶液に対する積層膜4の溶解度を変化させることができる。すなわち、基体2の波面Sw1、波面Sw2および波面Sw3の変調の違いを利用して、基体表面に所望の導電パターン部を形成することができる。
【0111】
基体表面の波面Sw1、波面Sw2および波面Sw3をそれぞれ、ナノ構造体31、ナノ構造体32、ナノ構造体33により形成した場合には、視認性および光学特性を向上することもできる。光学特性を劣化させずに所望の電気抵抗を実現することができる。
【0112】
<3.第3の実施形態>
図14Aは、本技術の第3の実施形態に係る導電性素子の一構成例を示す断面図である。第3の実施形態に係る導電性素子1は、基体2の両主面に平面Sp1、波面Sw2および波面Sw3を形成し、基体両面に導電パターン部を形成している点において、第1の実施形態とは異なっている。図14Aでは、基体両主面における平面Sp1、波面Sw2および波面Sw3の位置、面積、形状および配置順序などが同一となっているが、基体両主面における平面Sp1、波面Sw2および波面Sw2の位置、面積、形状および配置順序などはこの例に限られるものではなく、回路や素子の設計などに応じて所望の位置、面積、形状および配置順序などに設定することができる。
【0113】
また、図14Bに示すように、基体2の平面Sp1にスルーホール(貫通孔)を形成し、このスルーホールに導体インクなどの導電材料を埋め込み、基体2の両面に形成された回路などの導電パターン部を電気的に接続するようにしてもよい。スルーホールを形成するのは平面Sp1に限られるものではなく、波面Sw2に設けるようにしてもよい。基体2の両主面に対向して平面Sp1および波面Sw2が設けられている場合には、平面Sp1および波面Sw2をスルーホールにより貫通し、基体2の両面に形成された導電パターン部を電気的に接続するようにしてもよい。
【0114】
第3の実施形態では、基体2の両面に導電パターン部を形成しているので、第1の実施形態よりも多くの回路などを導電性素子1に搭載することが可能となる。
【0115】
<4.第4の実施形態>
図15Aは、本技術の第4の実施形態に係る導電性素子の一構成例を示す平面図である。図15Bは、図15Aに示したB−B線に沿った断面図である。図16Aは、図15Bに示した第1の領域の一部を拡大して表す断面図である。図16Bは、図15Bに示した第2の領域の一部を拡大して表す断面図である。図16Cは、図15Bに示した第3の領域の一部を拡大して表す断面図である。第4の実施形態に係る導電性素子1は、構造体31および構造体32が基体1の表面に対して凸状を有している点において、第1の実施形態のものとは異なっている。また、構造体31および構造体32のうち、一方を凹状のものとし、他方を凸状のものとすることも可能である。第1の領域R1および第2の領域R2に、凹状と凸状の構造体31および構造体32が混在しているようにしてもよい。
この第4の実施形態において、上記以外のことは、第1の実施形態と同様である。
【0116】
この第4の実施形態では、第1の実施形態における凸形状の構造体3の形状を反転して凹形状としているので、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0117】
<5.第5の実施形態>
[導電性素子の構成]
図17Aは、本技術の第5の実施形態に係る導電性素子の第1の領域の断面図である。図17Bは、本技術の第5の実施形態に係る導電性素子の第2の領域の断面図である。図17Cは、本技術の第5の実施形態に係る導電性素子の第3の領域の断面図である。
第5の実施形態に係る導電性素子は、第1の層41および第2の層42が以下の構成を有する点以外では、第1の実施形態のものと同様である。すなわち、第1の層41は、導電層4aと第1の機能層4bとの間に第2の機能層4dとをさらに備えている。第2の層42は、導電層4a上に第2の機能層4dをさらに備えている。
【0118】
第2の機能層4dは、少なくとも導電層4aまたは第1の機能層4bとは溶液に対する溶解度が異なっていることが好ましい。第2の機能層4dの材料としては、導電層4aおよび第1の機能層4bとは異なる材料、または第1の機能層4bとは異なる材料を用いることが好ましい。具体的には、第2の機能層4dの材料としては、金属を用いることが好ましく、金属としては、例えばAg、Al、Au、Pt、Pd、Ni、Cr、Nb、W、Mo、Ti、Cu、およびNdからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
【0119】
第2の機能層4dの材料としては、例えば、誘電体材料または透明導電材料を用いることができる。具体的には、酸化物、窒化物、硫化物、炭化物、フッ化物、および遷移金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、例えば、酸化物および遷移金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。酸化物としては、例えば、In、Zn、Sn、Al、Si、Ge、Ti、Ga、Ta、Nb、Hf、Zr、Cr、BiおよびMgからなる群から選ばれる1種以上の元素の酸化物が挙げられる。窒化物としては、例えば、In、Sn、Ge、Cr、Si、Al、Nb、Mo、Ti、Nb、Mo、Ti、W、TaおよびZnからなる群から選ばれる1種以上の元素の窒化物が挙げられる。硫化物としては、例えば、Zn硫化物が挙げられる。炭化物としては、例えば、In、Sn、Ge、Cr、Si、Al、Ti、Zr、TaおよびWからなる群より選ばれる1種以上の元素の炭化物が挙げられる。フッ化物としては、例えば、Si、Al、Mg、CaおよびLaからなる群より選ばれる1種以上の元素のフッ化物が挙げられる。遷移金属化合物としては、例えばAl、AlTi、AlCu、Cu、Ag、AgPdCu、Mo、Sn、Ti、W、Au、Pt、Pd、Ni、NbおよびCrなる群より選ばれる少なくとも1種以上の化合物を用いることができる。上述の材料を2種以上含む混合物としては、例えば、ZnS−SiO2、SiO2−Cr2O3−ZrO2、In2O3−CeO2、In2O3−Ga2O3、Sn2O3−Ta2O5、TiO2−SiO2などが挙げられる。
【0120】
第2の機能層4dはアモルファスと多結晶との混合状態にある層、および多結晶化状態にある層の少なくとも1種を含んでいることが好ましいがこれらに限定されるものではない。
【0121】
[導電性素子の製造方法]
第5の実施形態に係る導電性素子の製造方法は、積層膜の成膜工程および積層膜の除去工程以外の点においては、第1の実施形態と同様である。したがって、以下では、積層膜の成膜工程および積層膜の除去工程のみを説明する。
【0122】
(積層膜の成膜工程)
基体表面の第1の領域R1、第2の領域R2および第3の領域R3に2層以上の層を積層することにより、積層膜4を形成する。具体的には例えば、基体表面の第1の領域R1、第2の領域R2および第3の領域R3に導電層4a、第2の機能層4d、第1の機能層4bおよび第2の機能層4cをこの順序で積層することにより、積層膜4を形成する。
【0123】
(積層膜の除去工程)
積層膜4が形成された基体表面に対して、除去処理を施す。これにより、第3の領域R3では積層膜4が除去されるのに対して、第1の領域R1では積層膜4が第1の層41として残留するとともに、第2の領域R2では積層膜4の一部の層が第2の層42として残留する。具体的には例えば、第3の領域R1では導電層4a、第2の機能層4d、第1の機能層4bおよび第2の機能層4cが除去されるのに対して、第1の領域R1では導電層4a、第2の機能層4d、第1の機能層4bおよび第2の機能層4cが第1の層41として残留するとともに、第2の領域R2では導電層4aおよび第2の機能層4dが第2の層42として残留する。したがって、第1の領域R1に形成された第1の層41と、第2の領域R2に形成された第2の層42とは導電パターン部として機能するのに対して、第3の領域R3は上記導電パターン部間の絶縁領域として機能する。
【0124】
<6.第6の実施形態>
図18Aは、本技術の第6の実施形態に係る液晶表示素子の一構成例を示す斜視図である。図18Aに示すように、液晶表示素子は、パッシブマトリックス駆動方式(単純マトリックス駆動方式ともいう。)の表示素子であり、所定間隔を離して対向配置された第1の導電性素子101および第2の導電性素子102と、第1の導電性素子101および第2の導電性素子102の間に配置された液晶層(図示省略)とを備える。
【0125】
図18Aに示すように、第1の基体21の両主面のうち、第2の基体22に対向する一主面には、直線状の第2の領域R2および第3の領域R3が交互に繰り返し設定されている。第2の領域R2および第3の領域R3の表面構造は、上述の第1〜第5の実施形態のいずれかの第2の領域R2および第3の領域R3の表面構造と同様である。
【0126】
例えば、図19Aに示すように、第2の領域R2の第1の基体表面には波面Sw2が形成され、この波面Sw2上には第2の層42が連続的に形成されている。これに対して、第3の領域R3の第1の基体表面には波面Sw3が形成され、この波面Sw3上には第1の層41および第2の層42などの層が形成されていない状態となっている。したがって、第1の基体21の両主面のうち、第2の基体22に対向する一主面には、連続的に形成された第2の層42からなる複数の横(X)電極(第1の電極)がストライプ状に形成されている。
【0127】
図18Aに示すように、第2の基体22の両主面のうち、第1の基体21に対向する一主面には、直線状の第2の領域R2および第3の領域R3が交互に繰り返し設定されている。第2の領域R2および第3の領域R3の表面構造は、上述の第1〜第5の実施形態のいずれかの第2の領域R2および第3の領域R3の表面構造と同様である。
【0128】
例えば、図19Aに示すように、第2の領域R2の第2の基体表面には波面Sw2が形成され、この波面Sw2上には第2の層42が連続的に形成されている。これに対して、第3の領域R3の第2の基体表面には波面Sw3が形成され、この波面Sw3上には第1の層41および第2の層42などの層が形成されていない状態となっている。したがって、第2の基体22の両主面のうち、第1の基体21に対向する一主面には、連続的に形成された第2の層42からなる複数の縦(Y)電極(第2の電極)がストライプ状に形成されている。
【0129】
第1の基体21の第2の領域R2と、第2の基体22の第2の領域R2とは、互いに直交する関係にある。すなわち、第1の基体21の第2の層(横電極)42と、第2の基体22の第2の層(縦電極)42とは、互いに直交する関係にある。
【0130】
図18Bは、第1の導電性素子の表面を拡大して示す斜視図である。図18Bに示すように、第1の基体21の第2の領域R2の一端には、第1の領域R1が設定されている。この第1の領域R1は、例えば線状などの細長い形状を有し、その一端が第2の領域R2の一端に結合され、他端は第1の基体21の周縁部に設けられた端子部形成領域などに結合されている。第1の領域R1の両端以外の周縁部分には第3の領域R3が設定されている。第1の領域R1の表面構造は、上述の第1〜第5の実施形態のいずれかの第1の領域R1の表面構造と同様である。
【0131】
例えば、図19Aに示すように、第1の領域R1の第1の基体表面には、例えば平面Sp1が形成され、この平面Sp1上には第1の層41が連続的に形成されている。これに対して、第3の領域R3の第1の基体表面には、例えば波面Sw3が形成され、この波面Sw3上には第1の層41および第2の層42などの層が形成されていない状態となっている。したがって、横電極である第2の層42の一端から配線である第1の層41が引き出され、端子形成領域まで延在されている。この端子形成領域に形成される端子を介して、駆動回路に配線である第1の層41が電気的に接続される。
【0132】
また、図19Bに示すように、第1の領域R1にも波面Sw1を形成し、この波面Sw1上に第1の層41を連続的に形成するようにしてもよい。
【0133】
第2の基体22の第2の領域R2の一端にも、第1の基体21と同様に第1の領域R1が設定され、この第1の領域R1には第1の層41が連続的に形成される。したがって、縦電極である第2の層42の一端から配線である第1の層41が引き出され、端子形成領域まで延在されている。
【0134】
第6の実施形態では、波面の比率(Am/λm)の違いを利用して液晶表示素子の電極や配線などを作製することができる。また、例えば波面の波長を可視光の波長以下とした場合には、液晶表示素子の反射防止特性および/または透過特性を向上することができる。
【0135】
<7.第7の実施形態>
図20は、本技術の第7の実施形態に係るタッチパネルを備える表示装置の一構成例を示す斜視図である。図20に示すように、表示装置112上にタッチパネル(情報入力装置)201が設けられている。表示装置112とタッチパネル111とは、例えば粘着剤を介して貼り合わされている。また、タッチパネル111の表面にフロントパネル(表面部材)113をさらに備えるようにしてもよい。タッチパネル111とフロントパネル113とは、例えば粘着剤により貼り合わされる。
【0136】
表示装置112としては、例えば、液晶ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(Plasma Display Panel:PDP)、エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:EL)ディスプレイ、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(Surface-conduction Electron-emitter Display:SED)などの各種表示装置を用いることができる。タッチパネル111は、例えば、抵抗膜方式または静電容量方式のタッチパネルである。抵抗膜方式のタッチパネルとしては、例えば、マトリックス抵抗膜方式のタッチパネルが挙げられる。静電容量方式のタッチパネルとしては、例えば、Wire Sensor方式またはITO Grid方式の投影型静電容量方式タッチパネルが挙げられる。
【0137】
図21Aは、本技術の第7の実施形態に係るタッチパネルの第1の構成例を示す斜視図である。このタッチパネル111は、マトリックス抵抗膜方式のタッチパネルであり、ドットスペーサ(図示省略)を介して所定間隔を離して対向配置された第1の導電性素子201と第2の導電性素子202とを備える。
【0138】
図21Bは、第1の導電性素子の一構成例を示す分解斜視図である。なお、第2の導電性素子202は第1の導電性素子201とほぼ同様の構成を有するので、分解斜視図の記載を省略する。第1の基体21の両主面のうち、第2の基体22に対向する一主面には、矩形状の第2の領域R2および第3の領域R3が交互に繰り返し設定されている。第2の領域R2および第3の領域R3における第1の基体21の表面構造は、上述の第1〜第5の実施形態のいずれかの第1の領域R1および第2の領域R2の表面構造と同様である。
【0139】
例えば、図19Aに示すように、第2の領域R2の第1の基体表面には波面Sw2が形成され、この波面Sw2上には第2の層42が連続的に形成されている。これに対して、第3の領域R3の第1の基体表面には波面Sw3が形成され、この波面Sw3上には第1の層41および第2の層42などの層が形成されていない状態となっている。したがって、第1の基体21の両主面のうち、第2の基体22に対向する一主面には、連続的に形成された第2の層42からなる複数の横(X)電極(第1の電極)がストライプ状に形成されている。
【0140】
第2の基体22の両主面のうち、第1の基体21に対向する一主面には、矩形状の第1の領域R1および第2の領域R2が交互に繰り返し設定されている。第1の領域R1および第2の領域R2における第2の基体22の表面構造は、上述の第1〜第5の実施形態のいずれかの第1の領域R1および第2の領域R2の表面構造と同様である。
【0141】
例えば、図19Aに示すように、第2の領域R2の第2の基体表面には波面Sw2が形成され、この波面Sw2上には第2の層42が連続的に形成されている。これに対して、第3の領域R3の第2の基体表面には波面Sw3が形成され、この波面Sw3上には第1の層41および第2の層42などの層が形成されていない状態となっている。したがって、第2の基体22の両主面のうち、第1の基体21に対向する一主面には、連続的に形成された第2の層42からなる複数の縦(Y)電極(第2の電極)がストライプ状に形成されている。
【0142】
第1の基体21の第2の領域R2と、第2の基体22の第2の領域R2とは、互いに直交する関係にある。すなわち、第1の基体21の第2の層(横電極)42と、第2の基体22の第2の層(縦電極)42とは、互いに直交する関係にある。
【0143】
図22は、図21Aに示した領域Rを拡大して表す平面図である。第1の基体21の第2の領域R2の一端には、第1の領域R1が設定されている。この第1の領域R1は、例えば線状などの細長い形状を有し、その一端が第2の領域R2の一端に結合され、他端は第1の基体21の周縁部に設けられるFPC(Flexible Printed Circuit)に結合される。第1の領域R1の両端以外の周縁部分には第3の領域R3が設定されている。第1の領域R1の表面構造は、上述の第1〜第5の実施形態のいずれかの第1の領域R1の表面構造と同様である。
【0144】
例えば、図19Aに示すように、第1の領域R1の第1の基体表面には、例えば平面Sp1が形成され、この平面Sp1上には第1の層41が連続的に形成されている。これに対して、第3の領域R3の第1の基体表面には、例えば波面Sw3が形成され、この波面Sw3上には第1の層41および第2の層42などの層が形成されていない状態となっている。したがって、横電極である第2の層42の一端から配線である第1の層41が引き出され、FPCが形成される領域まで延在されている。この領域に形成されるFPCを介して、駆動回路に配線である第1の層41が電気的に接続される。
【0145】
また、図19Bに示すように、第1の領域R1にも波面Sw1を形成し、この波面Sw1上に第1の層41を連続的に形成するようにしてもよい。
【0146】
第2の基体22の第2の領域R2の一端にも、第1の基体21と同様に第1の領域R1が設定され、この第1の領域R1には第1の層41が連続的に形成される。したがって、縦電極である第2の層42の一端から配線である第1の層41が引き出され、FPCが形成される領域まで延在されている。
【0147】
図23Aは、本技術の第7の実施形態に係るタッチパネルの第2の構成例を示す斜視図である。このタッチパネルは、ITO Grid方式の投影型静電容量方式タッチパネルであり、重ね合わされた第1の導電性素子211と第2の導電性素子212とを備える。
【0148】
図23Bは、第1の導電性素子の一構成例を示す分解斜視図である。なお、第2の導電性素子212は第1の導電性素子211とほぼ同様の構成を有するので、分解斜視図の記載を省略する。第1の基体21の両主面のうち、第2の基体22に対向する一主面には、第2の領域R2および第3の領域R3が交互に繰り返し設定され、隣り合う第2の領域R2の間は第3の領域R3により隔てられている。第2の基体22の両主面のうち、第1の基体21に対向する一主面には、第2の領域R3および第3の領域R3が交互に繰り返し設定され、隣り合う第2の領域R2の間は第3の領域R3により隔てられている。第2の領域R2および第3の領域R3における第1の基体21および第2の基体22の表面構造は、上述の第1〜第5の実施形態のいずれかの第2の領域R2および第3の領域R3における表面構造と同様である。
【0149】
第1の基体21の第2の領域R2は、所定形状の単位領域C1をX軸方向に繰り返し連結してなり、第2の領域R2の間に設けられた第3の領域R3は、所定形状の単位領域C2をX軸方向に繰り返し連結してなる。第2の基体21の第2の領域R2は、所定形状の単位領域C1をY軸方向に繰り返し連結してなり、第2の領域R2の間に設けられた第3の領域R3は、所定形状の単位領域C2をY軸方向に繰り返し連結してなる。単位領域C1および単位領域C2の形状としては、例えば菱形形状(ダイヤモンド形状)、三角形状、四角形状などが挙げられるが、これらの形状に限定されるものではない。
【0150】
例えば、図19Aに示すように、第2の領域R2における第1の基体表面または第2の基体表面には波面Sw2が形成され、この波面Sw2上には第2の層42が連続的に形成されている。これに対して、第3の領域R3における第1の基体表面または第2の基体表面には波面Sw3が形成され、この波面Sw3上には第1の層41および第2の層42などの層が形成されていない状態となっている。したがって、第1の基体21の両主面のうち、第2の基体22に対向する一主面には、連続的に形成された第2の層42からなる複数の横(X)電極(第1の電極)が配列されている。また、第2の基体22の両主面のうち、第1の基体21に対向する一主面には、連続的に形成された第2の層42からなる複数の縦(Y)電極(第2の電極)が配列されている。横電極および縦電極は、第2の領域R2と同様の形状を有する。
【0151】
第1の導電性素子211の横電極と第2の導電性素子212の縦電極とは互いに直交する関係にある。第1の導電性素子211と第2の導電性素子212とを重ね合わせた状態において、第1の導電性素子211の第2の領域R2と、第2の導電性素子212の第3の領域R3とが重ね合わされ、第1の導電性素子211の第3の領域R3と、第2の導電性素子212の第2の領域R2とが重ね合わされる。
【0152】
第1の基体21の第2の領域R2の一端には、第1の領域R1が設定されている。この第1の領域R1は、例えば線状などの細長い形状を有し、その一端が第2の領域R2の一端に結合され、他端は第1の基体21の周縁部に設けられるFPC(Flexible Printed Circuit)に結合される。第1の領域R1の両端以外の周縁部分には第3の領域R3が設定されている。第1の領域R1の表面構造は、上述の第1〜第5の実施形態のいずれかの第1の領域R1の表面構造と同様である。
【0153】
例えば、図19Aに示すように、第1の領域R1の第1の基体表面には、例えば平面Sp1が形成され、この平面Sp1上には第1の層42が連続的に形成されている。これに対して、第3の領域R3の第1の基体表面には、例えば波面Sw3が形成され、この波面Sw3上には第1の層41および第2の層42などの層が形成されていない状態となっている。したがって、横電極である第2の層42の一端から配線である第1の層41が引き出され、FPCが形成される領域まで延在されている。この領域に形成されるFPCを介して、駆動回路に配線である第1の層41が電気的に接続される。
【0154】
また、図19Bに示すように、第1の領域R1にも波面Sw1を形成し、この波面Sw1上に第1の層41を連続的に形成するようにしてもよい。
【0155】
第2の基体22の第2の領域R2の一端にも、第1の基体21と同様に第1の領域R1が設定され、この第1の領域R1には第1の層41が連続的に形成される。したがって、縦電極である第2の層42の一端から配線である第1の層41が引き出され、FPCが形成される領域まで延在されている。
【0156】
第7の実施形態では、波面の比率(Am/λm)の違いを利用してタッチパネル111の電極や配線などを作製することができる。また、例えば波面の波長を可視光の波長以下とした場合には、タッチパネル111の反射防止特性および/または透過特性を向上することができる。
【0157】
第7の実施形態に係る情報入力装置では、例えば横電極および縦電極を形成する第2の層42の有無にかかわらず、低反射および高透過率を実現できるため、電極の視認を抑制できる。これに対して、導電層などの層からなる電極を基体表面に形成する従来の情報入力装置(例えば、マトリクス式抵抗膜方式タッチパネルや静電容量式タッチパネルなど)では、導電層などの層と基体とは反射率が異なるため、電極が見えて表示品質が劣化する傾向がある。
【0158】
<8.第8の実施形態>
図24Aは、本技術の第8の実施形態に係るICカードの一構成例を示す平面図である。図24Aに示すように、このICカードは、いわゆる非接触型ICカードであり、基体2と、アンテナコイルを形成する第2の層42と、ICチップ301とを備える。第2の層42からなるアンテナコイルの両端がそれぞれ、第1の層41からなる配線を介してICチップ301に対して接続されている。また、基体2の両面には外装材(図示省略)が設けられている。
【0159】
基体2の形状としては、フィルム状、シート状、基板状を用いることができるが、特にこれらの材料に限定されるものではなく、ICカードに求められる特性に応じて任意に選択し使用することが可能である。基体2の材料としては、耐久性や利便性などの観点から、フレキシブル性を有する樹脂材料を用いることが好ましい。このような樹脂材料としては、例えば、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリイミド(PI)、ポリエステルを用いることができるが、特にこれらの材料に限定されるものではなく、従来公知の樹脂材料からICカードに求められる特性に応じて任意に選択し使用することが可能である。
【0160】
図24Bは、図24Aに示したアンテナコイルが形成された領域を拡大して表す平面図である。基体2の一主面の周縁部には、例えば、第2の領域R2と第3の領域R3とが交互に螺旋状に形成されている。第2の領域R2および第3の領域R3における基体2の表面構造は、上述の第1〜第5の実施形態のいずれかの導電性素子における基体の表面構造と同様である。
【0161】
例えば、図19Aに示すように、第2の領域R2の基体表面には波面Sw2が形成され、この波面Sw2上には第2の層42が連続的に形成されている。これに対して、第3の領域R3の基体表面には波面Sw3が形成され、この波面Sw3上には第1の層41および第2の層42などの層が形成されていない状態となっている。したがって、基体2の一主面の周縁部には、連続的に形成された第2の層42からなるアンテナコイルが第2の領域R2の形状に倣って形成されている。
【0162】
図24Cは、図24Aに示した配線が形成された領域を拡大して表す平面図である。基体2の第2の領域R2の端部には、第1の領域R1が設定されている。この第1の領域R1は、例えば線状などの細長い形状を有し、その一端が第2の領域R2の一端に結合され、他端はICチップ301の端子部形成領域などに結合されている。第1の領域R1の両端以外の周縁部分には第3の領域R3が設定されている。第1の領域R1の表面構造は、上述の第1〜第5の実施形態のいずれかの第1の領域R1の表面構造と同様である。
【0163】
例えば、図19Aに示すように、第1の領域R1の基体表面には、例えば平面Sp1が形成され、この平面Sp1上には第1の層42が連続的に形成されている。これに対して、第3の領域R3の基体表面には、例えば波面Sw3が形成され、この波面Sw3上には第1の層41および第2の層42などの層が形成されていない状態となっている。したがって、アンテナコイルである第2の層42の一端から配線が引き出され、ICチップ301の端子形成領域まで延在されている。この端子形成領域に形成される端子を介して、ICチップ301に配線である第1の層41が電気的に接続される。
【0164】
また、図19Bに示すように、第1の領域R1にも波面Sw1を形成し、この波面Sw1上に第1の層41を連続的に形成するようにしてもよい。
【0165】
外装材は、ICカードの表面および裏面を構成するものであり、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチルテレフタレート)、PEG(ポリエチレングリコール、配向PETなどの高分子材料を主成分とするが、特にこれらの材料に限定されるものではなく、従来公知の樹脂材料からICカードに求められる特性に応じて任意に選択し使用することが可能である。
【0166】
アンテナコイルは、基体2上に複数回巻回されて形成されたループコイル形状の電磁誘導コイルであり、その両端はICチップ301に接続されている。アンテナコイルは、リーダ/ライタから発せられる交流磁界を受信して交流電圧を誘起し、その交流電圧をICチップ301に供給する。
【0167】
ICチップ301は、アンテナコイルから供給される電力により駆動し、ICカード内の各部を制御する。例えば、ICチップ301は、アンテナコイルを介してリーダ/ライタと通信を行う。具体的には、リーダ/ライタとの相互認証やデータのやり取りなどを行う。
【0168】
第8の実施形態では、波面の比率(Am/λm)の違いを利用してICカードのアンテナコイルを作製することができる。したがって、ICカードの生産性を向上することができる。
【0169】
<9.第9の実施形態>
図25Aは、本技術の第9の実施形態に係る表示装置の構成の一例を示す断面図である。図25Bは、図25Aに示した配線領域を拡大して表す拡大断面図である。図25Cは、図25Aに示した非配線領域を拡大して表す拡大断面図である。第9の実施形態において、第6の実施形態と同一の箇所または対向する箇所には同一の符号を付す。この表示装置400は、いわゆるマイクロカプセル電気泳動方式の電子ペーパーであり、第1の導電性素子401と、第1の導電性素子401と対向配置された第2の導電性素子402と、これらの両素子間に設けられたマイクロカプセル層(媒質層)403とを備える。ここでは、マイクロカプセル電気泳動方式の電子ペーパーに対して本技術を適用した例について説明するが、電子ペーパーはこの例に限定されるものではなく、対向配置された導電性素子間に媒質層が設けられた構成であれば本技術は適用可能である。ここで、媒質には液体および固体以外に、空気などの気体も含まれる。また、媒質には、カプセル、顔料および粒子などの部材が含まれていてもよい。マイクロカプセル電気泳動方式以外に本技術を適用可能な電子ペーパーとしては、例えばツイストボール方式、サーマルリライタブル方式、トナーディスプレイ方式、In−Plane型電気泳動方式、電子粉粒方式の電子パーパーなどが挙げられる。
【0170】
マイクロカプセル層403は、多数のマイクロカプセル431を含んでいる。マイクロカプセル内には、例えば、黒色粒子おび白色粒子が分散された透明な液体(分散媒)が封入されている。
【0171】
第1の導電性素子401は、図25Bおよび図25Cに示すように、第2の導電性素子402と対向する波面Sw2および波面Sw3を有する第1の基体21と、波面Sw2上に形成された第2の層42とを備える。また、必要に応じて、粘着剤などの貼合層411を介して、第1の基体2をガラスなどの支持体412に貼り合わせるようにしてもよい。第2の導電性素子402は、図25Bおよび図25Cに示すように、第1の導電性素子401と対向する波面Sw2および波面Sw3を有する第2の基体22と、波面Sw2上に形成された第2の層42とを備える。
【0172】
第1の基体21および第2の基体22に形成された第2の層42は、表示装置400の駆動方式に応じて所定の電極パターン状に形成されている。駆動方式としては、例えば単純マトリックス駆動方式、アクティブマトリックス駆動方式、セグメント駆動方式などが挙げられる。
この第9の実施形態において、上記以外のことは第6の実施形態と同様である。
【0173】
<本技術の構成>
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)第1の波面、第2の波面および第3の波面を有する基体と、
上記第1の波面上に設けられた第1の層と、
上記第2の波面上に形成された第2の層と
を備え、
上記第1の層は、2以上の層が積層された積層構造を有し、
上記第2の層は、上記第1の層の一部の層からなる単層構造または積層構造を有し、
上記第1の層および上記第2の層は、導電パターン部を形成し、
上記第1の波面、上記第2の波面および上記第3の波面が、以下の関係を満たす導電性素子。
0≦(Am1/λm1)<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8
(但し、Am1:第1の波面の振動の平均幅、Am2:第2の波面の振動の平均幅、Am3:第3の波面の振動の平均幅、λm1:第1の波面の平均波長、λm2:第2の波面の平均波長、λm3:第3の波面の平均波長)
(2)上記第1の波面、上記第2の波面および上記第3の波面が、以下の関係を満たし、
上記第2の波面の波長λ2および上記第3の波面の波長λ3が、可視光の波長以下である(1)記載の導電性素子。
(Am1/λm1)=0、0<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8
(3)上記第1の波面、上記第2の波面および上記第3の波面が、以下の関係を満たし、
上記第1の波面の波長λ1、上記第2の波面の波長λ2および上記第3の波面の波長λ3が、可視光の波長以下である(1)記載の導電性素子。
0<(Am1/λm2)<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8
(4)上記第1の波面、上記第2の波面および上記第3の波面が、以下の関係を満たし、
上記第2の波面の波長λ2および上記第3の波面の波長λ3が、100μm以下である(1)記載の導電性素子。
(Am1/λm1)=0、0<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8
(5)上記第1の波面、上記第2の波面および上記第3の波面が、以下の関係を満たし、
上記第1の波面の波長λ1、上記第2の波面の波長λ2および上記第3の波面の波長λ3が、100μm以下である(1)記載の導電性素子。
0<(Am1/λm2)<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8
(6)上記第3の波面上に形成された第3の層をさらに備え、
上記第3の層は、上記第2の層の一部の層からなり、
上記第1の層、上記第2の層および上記第3の層が、以下の関係を満たす(1)から(5)のいずれか1項に記載の導電性素子。
S1>S2>S3
(但し、S1:第1の層の単位面積、S2:第2の層の単位面積、S3:第3の層の単位面積)
(7)上記第1の層および上記第2の層はそれぞれ、上記第1の波面および上記第2の波面上に連続的に形成されているのに対して、上記第3の層は、上記第3の波面上に不連続的に形成されている(6)記載の導電性素子。
(8)上記第3の波面上に形成された第3の層をさらに備え、
上記第1の層、上記第2の層、および上記第3の層が、以下の関係を満たす(1)から(5)のいずれか1項に記載の導電性素子。
d1>d2>d3
(但し、d1:第1の層の平均厚さ、d2:第2の層の平均厚さ、d3:第3の層の平均厚さ)
(9)上記第1の層は、導電層と、該導電層上に形成された第1の機能層と、該第1の機能層上に形成された第2の機能層とを備え、
上記第2の層は、導電層を備える(1)から(8)のいずれか1項に記載の導電性素子。
(10)上記導電層と上記第1の機能層との間に形成された第2の機能層をさらに備える(9)記載の導電性素子。
(11)上記導電層は、酸化物半導体を含む透明導電層であり、
上記酸化物半導体は、インジウム錫酸化物、または酸化亜鉛を含んでいる(9)または(10)記載の導電性素子。
(12)上記酸化物半導体は、アモルファスと多結晶との混合状態である(11)記載の導電性素子。
(13)上記第1の機能層および上記第2の機能層は異なる材料からなる(9)から(12)のいずれか1項に記載の導電性素子
(14)上記第1の機能層および上記第2の機能層は、金属層であり、
上記金属層は、Ag、Al、Au、Pt、Pd、Ni、Cr、Nb、W、Mo、Ti、Cu、およびNdからなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでいる(9)から(13)のいずれか1項に記載の導電性素子。
(15)上記第1の機能層および第2の機能層は、酸化物および遷移金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでいる(9)から(13)のいずれか1項に記載の導電性素子。
(16)上記第1の機能層および第2の機能層は、アモルファスと多結晶とを混合した膜、または多結晶化した膜を少なくとも1種含んでいる(9)から(15)のいずれか1項に記載の導電性素子。
(17)(1)から(16)のいずれか1項に記載の導電性素子を備える配線素子。
(18)(1)から(16)のいずれか1項に記載の導電性素子を備える情報入力装置。
(19)(1)から(16)のいずれか1項に記載の導電性素子を備える表示装置。
(20)(1)から(16)のいずれか1項に記載の導電性素子を備える電子機器。
(21)(1)から(16)のいずれか1項に記載の導電性素子を作製する原盤。
(22)第1の波面、第2の波面および第3の波面を有する基体表面に対して、2層以上の層を積層して積層膜を形成する工程と、
上記第1の波面、上記第2の波面および上記第3の波面のうち、上記第3の波面上に形成された積層膜を除去するのに対して、上記第1の波面上に形成された積層膜を第1の層として残すとともに、上記第2の波面上に形成された積層膜の一部の層を第2の層として残すことにより、導電パターン部を形成する工程と
を備え、
上記第1の波面、上記第2の波面および上記第3の波面が、以下の関係を満たす導電性素子の製造方法。
0≦(Am1/λm1)<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8
(但し、Am1:第1の波面の振動の平均幅、Am2:第2の波面の振動の平均幅、Am3:第3の波面の振動の平均幅、λm1:第1の波面の平均波長、λm2:第2の波面の平均波長、λm3:第3の波面の平均波長)
【実施例】
【0174】
以下、実施例により本技術を具体的に説明するが、本技術はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0175】
実施例では、導電性シートの表面抵抗は4端子抵抗測定器にて測定した。プローブ先端のプローブ径Rは100μmであり、プローブのピッチは1mmである。
【0176】
(参考例1)
(転写工程)
まず、図26Aに示すように、平面領域(第1の領域)R1とナノ構造体形成領域(第2の領域)R2とが成形面にストライプ状に形成された石英マスタを準備した。次に、この石英マスタの成形面上に紫外線硬化樹脂を塗布し、易接着層付きPETシートを密着させて、紫外線を照射し硬化させながら、PETシートを剥離した。これにより、PETシート表面のうち、ナノ構造体形成領域(第2の領域)R2には凸状のナノ構造体が多数形成されるのに対して、平面領域(第1の領域)R1には平坦面が形成された光学シートが得られた。構造体の配置ピッチは250nm、構造体の高さは200nm、構造体の形状は円錐台、構造体の配列は六方配置であった。
【0177】
(成膜工程)
次に、スパッタリング法により、光学シートの成形面上にITO層を形成した。到達真空度は0.00015Pa、成膜時真空度は0.24Paとし、成膜時にはArガスとO2ガスとを導入し、その混合比率はAr:O2=200:13とした。また、膜厚が平板換算で30nmとなるように成膜条件を調整した。なお、平板換算膜厚は、構造体頂部の膜厚とほぼ等しくなる。
【0178】
(アニール工程)
次に、ITO層を形成した光学シートに対して、150℃、30分間の大気中アニールを施した。これにより、ITO層の多結晶化が促進された。次に、この促進の状態を確認すべく、X線回折(X‐ray diffraction:XRD)でITO層を測定したところ、In2O3のピークが確認された。
【0179】
(除去工程)
次に、アニール処理を施した光学シートを、PH3程度の溶液に20秒間浸漬させた。
【0180】
(洗浄工程)
次に、除去処理を施した光学シートを純水により洗浄した。
以上により、目的とする透明導電性シートが得られた。
【0181】
(導通/非導通評価)
上述のようにして得られた実施例1に係る透明導電性シートの表面について、テスターを用いて導通および非導通を、図26Bに示すポイントで評価した。その評価結果を表1に示す。
【0182】
表1は、参考例1に係る透明導電性シートの評価結果を示す。
【表1】
【0183】
表1から以下のことがわかる。
透明導電性シート表面のうちナノ構造体形成領域(第2の領域)R2は絶縁状態となるのに対して、平面領域(第1の領域)R1は導通状態となる。したがって、インプリント工程、成膜工程および除去工程を順次行うだけで、配線や電極などの所望の導電パターン部を基体表面に形成できる。すなわち、スループットを向上することができる
【0184】
(実施例1)
(転写工程)
まず、平面Sp1を有する第1の領域と、波面Sw2を有する第2の領域と、波面Sw3を有する第3の領域とがストライプ状に順次形成された石英マスタを作製した。
次に、この石英マスタの成形面上に紫外線硬化樹脂を塗布し、易接着層付きPETシートを密着させて、紫外線を照射し硬化させながら、PETシートを剥離した。これにより、第1の領域と第2の領域と第3の領域とが転写された光学シート(ナノインプリントフィルム)が作製された。
【0185】
(形状測定)
次に、作製した光学シートの転写面における波面Sw1および波面Sw2の平均波長λmおよび振動の平均幅Amを測定し、それらの測定値から比率(Am/λm)を求めた。その結果を表2に示す。
【0186】
(成膜工程)
次に、スパッタリング法により、光学シートの成形面上に積層膜を形成した。
以下に、積層膜の構成を示す。
TiOx層(第2の機能層)/ITO層(密着層)/Ag層(第1の機能層)/ITO層(密着層)/TiOx層(第2の機能層)/ITO層(導電層)/光学シート成形面
【0187】
以下に、各層の成膜条件を示す。
【0188】
・TiOx層(第2の機能層)
成膜時真空度:0.28Pa程度
ガス種:ArガスとO2ガスとの混合ガス
平板換算膜厚:10nm
【0189】
・ITO層(密着層)
到達真空度:0.00015Pa
成膜時真空度:0.24Pa
ガス種:ArガスとO2ガスとの混合ガス
混合ガスの混合比率(体積比率):Ar:O2=200:16
平板換算膜厚:20nm
【0190】
・Ag層(第1の機能層)
成膜時真空度:0.11Pa
ガス種:Arガス
ガス流量:100sccm
平板換算膜厚:100nm
【0191】
・ITO層(導電層)
到達真空度:0.00015Pa
成膜時真空度:0.24Pa
ガス種:ArガスとO2ガスとの混合ガス
混合ガスの混合比率(体積比率):Ar:O2=200:16
平板換算膜厚:40nm
【0192】
ここで、平板換算膜厚は、上述の光学シート表面にITO層、TiOx層またはAg層を形成した場合と同様の成膜条件にて、平板上にITO層、TiOx層またはAg層を形成したときの膜厚であり、上述の光学シートの波面頂部の膜厚とほぼ等しくなる。
【0193】
(表面抵抗測定)
次に、上述のようにして作製した導電性シートの表面抵抗を測定した。
【0194】
(除去工程)
次に、導電性シートをPH3程度の溶液に60秒間浸漬させた。
【0195】
(洗浄工程)
次に、純水にて導電性シートを洗浄した。
以上により、目的とする導電性シートが作製された。
【0196】
(表面抵抗測定)
次に、上述のようにして作製した導電性シートの表面抵抗を測定した。
【0197】
(実施例2)
第2の機能層として、TiOx層に代えてZrOx層を用いる以外は実施例1と同様にして導電性シートを作製するとともに、除去工程前後の表面抵抗を測定した。
【0198】
(実施例3)
第2の機能層として、TiOx層に代えてTaOx層を用いる以外は実施例1と同様にして導電性シートを作製するとともに、除去工程前後の表面抵抗を測定した。
【0199】
(実施例4)
第2の機能層として、TiOx層に代えてNbOx層を用いる以外は実施例1と同様にして導電性シートを作製するとともに、除去工程前後の表面抵抗を測定した。
【0200】
(実施例5)
第2の機能層として、TiOx層に代えてSiNx層を用いる以外は実施例1と同様にして導電性シートを作製するとともに、除去工程前後の表面抵抗を測定した。
【0201】
(実施例6)
第2の機能層として、TiOx層に代えてSiOx層を用いる以外は実施例1と同様にして導電性シートを作製するとともに、除去工程前後の表面抵抗を測定した。
【0202】
(実施例7)
密着層として、ITO層に代えてSnO2層を用いる以外は実施例6と同様にして導電性シートを作製するとともに、除去工程前後の表面抵抗を測定した。
【0203】
(実施例8)
密着層として、ITO層に代えてIn2O3層を用いる以外は実施例6と同様にして導電性シートを作製するとともに、除去工程前後の表面抵抗を測定した。
【0204】
表2は、実施例1〜8に係る導電性シートの測定結果を示す。
【表2】
【0205】
上述の評価結果から以下のことがわかった。
導電性シート表面のうち、平面Sp1を有する第1の領域では、全ての層が除去工程後も残っているため低抵抗が保持されていた。
導電性シート表面のうち、波面Sw2を有する第2の領域では、除去工程前は不透明かつ低抵抗であるが、除去工程後は透明かつ高抵抗となった。これは、Ag層以上の層が除去工程により除去され最下層のITO層が残ったためと考えられる。
導電性シート表面のうち、波面Sw3を有する第3の領域では、除去工程前は不透明かつ低抵抗であるが、除去工程後は透明かつ絶縁状態となった。これは、全ての層が除去工程により除去されたためと考えられる。
【0206】
(参考例2−1)
(成膜工程)
まず、平滑な表面を有するPETシートを準備した。次に、スパッタリング法により、PETシート上にITO層を形成した。到達真空度は0.00015Pa、成膜時真空度は0.24Paとし、成膜時にはArガスとO2ガスとを導入し、その混合比率はAr:O2=20:1とした。また、ITO層の膜厚が30nmとなるように成膜条件を調整した。
【0207】
(アニール工程)
次に、ITO層を形成したPETシートに対して、150℃、60分間の大気中アニールを施した。これにより、ITO層の多結晶化が促進された。次に、この促進の状態を確認すべく、X線回折(X‐ray diffraction:XRD)でITO層を測定したところ、In2O3のピークが確認された。
以上により、目的とする光学シートが得られた。
【0208】
(参考例2−2)
(成膜工程、アニール工程)
まず、参考例2−1と同様にして成膜工程およびアニール工程を行い、アニール処理が施されたITO層を有するPETフィルムを作製した。
【0209】
(除去工程)
次に、アニール処理を施したPETフィルムを、PH3程度の溶液に10秒間浸漬させて、ITO層をエッチングした。
【0210】
(洗浄工程)
次に、除去処理を施したPETシートに対して、純水洗浄、IPA(イソプロピルアルコール)洗浄、純粋洗浄を順次行った。
以上により、目的とする光学シートが得られた。
【0211】
(参考例2−3)
浸漬時間を20秒間に変更する以外は参考例2−2と同様にして光学シートを得た。
【0212】
(参考例2−4)
浸漬時間を30秒間に変更する以外は参考例2−2と同様にして光学シートを得た。
【0213】
(参考例2−5)
浸漬時間を40秒間に変更する以外は参考例2−2と同様にして光学シートを得た。
【0214】
(参考例2−6)
浸漬時間を50秒間に変更する以外は参考例2−2と同様にして光学シートを得た。
【0215】
(参考例2−7)
浸漬時間を60秒間に変更する以外は参考例2−2と同様にして光学シートを得た。
【0216】
(参考例3−1)
(転写工程)
まず、凹状のナノ構造体が成形面に形成された石英マスタを準備した。次に、ナノ構造体を形成した石英マスタに紫外線硬化樹脂を塗布し、易接着層付きPETシートを密着させ紫外線を照射し硬化させながら、PETシートを剥離した。これにより、ナノ構造体が多数表面に形成されたPETシートが得られた。
以下に、PETシート表面に形成されたナノ構造体の構成の詳細を示す。
構造体の配列:六方格子配列
構造体の凹凸形状:凸状
構造体の全体形状:円錐台
構造体の配置ピッチ:250nm
構造体の高さ:90nm
構造体のアスペクト比:0.36
【0217】
(成膜工程)
次に、スパッタリング法により、ナノ構造体が形成されたPETシート表面上にITO層を形成した。到達真空度は0.00015Pa、成膜時真空度は0.24Paとし、成膜時にはArガスとO2ガスとを導入し、その混合比率はAr:O2=20:1とした。また、膜厚が平板換算で30nmとなるように成膜条件を調整した。なお、平板換算膜厚は、ナノ構造体が形成されたPETシート表面にITO層を形成した場合と同様の成膜条件にて、平板上にITO層を形成したときの膜厚である。本技術者らの知見によれば、平板換算膜厚は、構造体頂部の膜厚とほぼ等しくなる。
【0218】
(アニール工程)
次に、ITO層を形成したPETシートに対して、150℃、60分間の大気中アニールを施した。これにより、ITO層の多結晶化が促進された。次に、この促進の状態を確認すべく、X線回折(X‐ray diffraction:XRD)でITO層を測定したところ、In2O3のピークが確認された。
以上により、目的とする光学シートが得られた。
【0219】
(参考例3−2)
(成膜工程、アニール工程)
まず、参考例3−1と同様にして成膜工程およびアニール工程を行い、アニール処理が施されたITO層を有するPETフィルムを作製した。
【0220】
(除去工程)
次に、アニール処理を施したPETフィルムを、PH3程度の溶液に10秒間浸漬させて、ITO層を除去した。
【0221】
(洗浄工程)
次に、除去処理を施したPETシートに対して、純水洗浄、IPA洗浄、純粋洗浄を順次行った。
以上により、目的とする光学シートが得られた。
【0222】
(参考例3−3)
浸漬時間を20秒間に変更する以外は参考例3−2と同様にして光学シートを得た。
【0223】
(参考例4−1)
構造体の配置ピッチを250nm、構造体の高さを120nm、アスペクト比を0.48とする以外は参考例3−1と同様にして光学シートを得た。
【0224】
(参考例4−2)
構造体の配置ピッチを250nm、構造体の高さを120nm、アスペクト比を0.48とする以外は参考例3−2と同様にして光学シートを得た。
【0225】
(参考例4−3)
構造体の配置ピッチを250nm、構造体の高さを120nm、アスペクト比を0.48とする以外は参考例3−3と同様にして光学シートを得た。
【0226】
(参考例5−1)
構造体の配置ピッチを250nm、構造体の高さを155nm、アスペクト比を0.62とする以外は参考例3−1と同様にして光学シートを得た。
【0227】
(参考例5−2)
構造体の配置ピッチを250nm、構造体の高さを155nm、アスペクト比を0.62とする以外は参考例3−2と同様にして光学シートを得た。
【0228】
(参考例5−3)
構造体の配置ピッチを250nm、構造体の高さを155nm、アスペクト比を0.62とする以外は参考例3−3と同様にして光学シートを得た。
【0229】
(参考例6−1)
(成膜工程、アニール工程)
以下のプレズムシート(住友スリーエム社製、商品名:T−BEF)を用いる以外は参考例3−1と同様にして成膜工程およびアニール工程を行い、アニール処理が施されたITO層を有するプリズムシートを作製した。
以上により、目的とする光学シートが得られた。
以下に、プレズムシートの構成の詳細を示す。
プリズム(構造体)の配列:1次元配列
プリズムの凹凸形状:凸状
プリズムの形状:断面2等辺三角形状の柱状体
プリズムの配置ピッチ:10μm
プリズムの高さ:5μm
プリズムのアスペクト比:0.50
【0230】
(参考例6−2)
(成膜工程、アニール工程)
まず、参考例6−1と同様にして成膜工程およびアニール工程を行い、アニール処理が施されたITO層を有するプリズムシートを作製した。
【0231】
(エッチング工程)
次に、アニール処理を施したプリズムシートを、PH3程度の溶液に10秒間浸漬させて、ITO層をエッチングした。
【0232】
(洗浄工程)
次に、エッチング処理を施したPETシートに対して、純水洗浄、IPA洗浄、純粋洗浄を順次行った。
以上により、目的とする光学シートが得られた。
【0233】
(参考例6−3)
浸漬時間を20秒間に変更する以外は参考例6−2と同様にして光学シートを得た。
【0234】
(参考例6−4)
浸漬時間を30秒間に変更する以外は参考例6−2と同様にして光学シートを得た。
【0235】
(参考例8−5)
浸漬時間を40秒間に変更する以外は参考例6−2と同様にして光学シートを得た。
【0236】
(表面抵抗)
上述のようにして得られた参考例2−1〜6−5の光学シート表面の表面抵抗値を4端針法にて測定した。その結果を表9に示す。
【0237】
(初期変化率の逆数)
上述のようにようにして得られた参考例2−1〜6−5の光学シート表面の初期変化率の逆数(仮想厚さの変化)を以下の式より求めた。その結果を表3および図27に示す。
(初期変化率の逆数)=(除去前のサンプルの表面抵抗)/(除去後のサンプルの表面抵抗)
【0238】
表3は、参考例2−1〜6−5に係る光学シートの表面抵抗の評価結果を示す。
【表3】
【0239】
表4は、参考例2−1〜6−5に係る光学シートの初期変化率の逆数の評価結果を示す。
【表4】
【0240】
表3、表4および図27から以下のことがわかる。
平坦面上にITO層を形成した参考例2−1〜2−7では、除去によりITO層の膜厚に殆ど変化せず、表面抵抗がほぼ一定となる傾向がある。これに対して、多数の構造体上にITO層を形成した参考例3−1〜3−3、参考例4−1〜4−3、参考例5−1〜5−3では、除去によりITO層の膜厚が急激に減少し、表面抵抗が急激に上昇する傾向がある。
ミクロンオーダーの配置ピッチで多数の構造体を形成した参考例6−1〜6−5でも、
ナノオーダーの配置ピッチで多数の構造体を形成した参考例3−1〜3−3、参考例4−1〜4−3、参考例5−1〜5−3と同様の傾向を示す。
【0241】
以上、本技術の実施形態について具体的に説明したが、本技術は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本技術の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0242】
例えば、上述の実施形態において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値などを用いてもよい。
【0243】
また、上述の実施形態の構成、方法、工程、形状、材料および数値などは、本技術の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【0244】
また、上述の実施形態では、片面または両面に配線が形成された単層の導電性素子に対して本技術を適用した例を説明したが、本技術はこの例に限定されるものではなく、多層の導電性素子に対しても適用可能である。
【0245】
また、上述の実施形態では、平面状の基体表面に配線を形成する場合を例として説明したが、配線を形成する面は平面に限定されるものではなく、曲面状の基体表面に配線を形成するようにしてもよい。
【0246】
また、上述の実施形態では、液晶表示素子に対して本技術を適用した例を説明したが、本技術はこの例に限定されるものではなく、パッシブマトリックス駆動方式の種々の表示素子(例えばEL素子、電子ペーパーなど)に対しても適用可能である。
【0247】
また、上述の実施形態では、2つの基材を重ね合わせる構成を有する投影型静電容量方式タッチパネルに対して本技術を適用した例について説明したが、本技術はこの例に限定されるものではない。例えば、1つの基材の両面に電極を形成した構成を有する投影型静電容量方式タッチパネルに対しても本技術は適用可能である。
【0248】
また、上述の実施形態では、電子機器の一例として表示装置に本技術を適用する例について説明したが、本技術はこの例に限定されるものではなく、表示素子や配線素子(例えばプリント基板)などを備える種々の電子機器に対して適用可能である。
【符号の説明】
【0249】
1 導電性素子
2 基体
31、32、33 構造体
4a 導電層
4b 第1の機能層
4c 第2の機能層
11 ロール原盤
12 構造体
13 レジスト層
Sp1 平面
Sw1、Sw2、Sw3 波面
【技術分野】
【0001】
本技術は、導電性素子およびその製造方法、配線素子、情報入力装置、表示装置、電子機器、ならびに原盤に関する。詳しくは、基体表面に導電パターン部が形成された導電性素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラスやプラスチックなどからなる絶縁性基材上に所定の回路パターンの導電層を形成する方法としては、フォトリソグラフィーを利用した回路パターン形成方法が広く用いられている。この回路パターンの形成方法では、ステップ&リピート方式、またはそれに近い方式が一般的に用いられている。具体的には、この形成方法では、「金属層コーティング」→「レジスト塗布」→「露光」→「現像」→「除去」→「レジスト剥離」の工程を経て、回路パターンが形成される。このため、フォトリソグラフィーを利用した回路パターンの形成方法は、低スループットとなる。
【0003】
そこで、スループットの向上を実現すべく、スクリーン印刷による回路パターン形成方法が提案されている。このスクリーン印刷による回路パターン形成方法は、絶縁性基材上に金属ペーストなどをマスクを介してスキージで塗布し、その後焼成して所定の回路パターンの導電層を形成する方法である。スクリーン印刷による回路パターン形成方法はスループットに優れるため、種々のデバイスに対する応用が検討されている。例えば特許文献1には、スクリーン印刷を用いてタッチパネルの電極を形成する方法が開示されている。また、特許文献2には、スクリーン印刷を用いて画像表示装置の電極を形成する方法が開示されている。
【0004】
しかしながら、スクリーン印刷はマスクが高価であること、マスクを精度良く位置合わせするのが煩雑であること、マスクの穴が目詰まりし易いことなどの問題がある。このため、スクリーン印刷以外にも、優れたスループットを実現できる回路パターンの形成方法が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−266025号広報
【0006】
【特許文献2】特開2005−149807号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本技術の目的は、優れたスループットを実現できる導電性素子およびその製造方法、配線素子、情報入力装置、表示装置、電子機器、ならびに原盤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、第1の技術は、
第1の波面、第2の波面および第3の波面を有する基体と、
第1の波面上に設けられた第1の層と、
第2の波面上に形成された第2の層と
を備え、
第1の層は、2以上の層が積層された積層構造を有し、
第2の層は、第1の層の一部の層からなる単層構造または積層構造を有し、
第1の層および第2の層は、導電パターン部を形成し、
第1の波面、第2の波面および第3の波面が、以下の関係を満たす導電性素子。
0≦(Am1/λm1)<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8
(但し、Am1:第1の波面の振動の平均幅、Am2:第2の波面の振動の平均幅、Am3:第3の波面の振動の平均幅、λm1:第1の波面の平均波長、λm2:第2の波面の平均波長、λm3:第3の波面の平均波長)
【0009】
第2の技術は、
第1の波面、第2の波面および第3の波面を有する基体表面に対して、2層以上の層を積層して積層膜を形成する工程と、
第1の波面、第2の波面および第3の波面のうち、第3の波面上に形成された積層膜を除去するのに対して、第1の波面上に形成された積層膜を第1の層として残すとともに、第2の波面上に形成された積層膜の一部の層を第2の層として残すことにより、導電パターン部を形成する工程と
を備え、
第1の波面、第2の波面および第3の波面が、以下の関係を満たす導電性素子の製造方法。
0≦(Am1/λm1)<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8
(但し、Am1:第1の波面の振動の平均幅、Am2:第2の波面の振動の平均幅、Am3:第3の波面の振動の平均幅、λm1:第1の波面の平均波長、λm2:第2の波面の平均波長、λm3:第3の波面の平均波長)
【0010】
本技術では、基体の第1の波面、第2の波面および第3の波面に形成した積層膜の状態の違いを利用して、第1の波面、第2の波面および第3の波面のうち、第3の波面上に形成された積層膜を除去するのに対して、第1の波面上に形成された積層膜を第1の層として残すとともに、第2の波面上に形成された積層膜の一部の層を第2の層として残すことにより、導電パターン部を形成することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本技術によれば、精細かつ高スループットの導電性素子を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1Aは、本技術の第1の実施形態に係る導電性素子の一構成例を示す平面図である。図1Bは、図1Aに示したB−B線に沿った断面図である。図1Cは、第1の領域、第2の領域および第3の領域の配置順序の変形例を示す断面図である。
【図2】図2Aは、図1Bに示した第1の領域の一部を拡大して表す断面図である。図2Bは、図1Bに示した第2の領域の一部を拡大して表す断面図である。図2Cは、図1Bに示した第3の領域の一部を拡大して表す断面図である。
【図3】図3Aは、複数の構造体が2次元配列された第2の領域を拡大して表す斜視図である。図3Bは、複数の構造体が2次元配列された第2の領域を拡大して表す平面図である。
【図4】図4Aは、複数の構造体が1次元配列された第2の領域を拡大して表す斜視図である。図4Bは、複数の構造体が1次元配列された第2の領域を拡大して表す平面図である。
【図5】図5Aは、基体を作製するためのロール原盤の一構成例を示す斜視図である。図5Bは、図5Aに示したロール原盤の一部を拡大して表す斜視図である。
【図6】図6Aは、ロール原盤の一部を拡大して表す断面図である。図6Bは、第2の領域の一部を拡大して示す斜視図である。図6Cは、第2の領域の一部を拡大して示す平面図である。
【図7】図7は、ロール原盤露光装置の一構成例を示す概略図である。
【図8】図8A〜図8Cは、本技術の第1の実施形態に係る導電性素子の製造方法の一例を説明するための工程図である。
【図9】図9A〜図9Cは、本技術の第1の実施形態に係る導電性素子の製造方法の一例を説明するための工程図である。
【図10】図10A〜図10Cは、本技術の第1の実施形態に係る導電性素子の製造方法の一例を説明するための工程図である。
【図11】図11Aは、本技術の第2の実施形態に係る導電性素子の一構成例を示す平面図である。図11Bは、図11Aに示したB−B線に沿った断面図である。
【図12】図12Aは、図11Bに示した第1の領域の一部を拡大して表す断面図である。図12Bは、図11Bに示した第2の領域の一部を拡大して表す断面図である。図12Cは、図11Bに示した第3の領域の一部を拡大して表す断面図である。
【図13】図13Aは、基体を作製するためのロール原盤の一部を拡大して表す斜視図である。図13Bは、図13Aに示したロール原盤の一部を拡大して表す断面図である。
【図14】図14Aは、本技術の第3の実施形態に係る導電性素子の一構成例を示す断面図である。図14Bは、本技術の第3の実施形態に係る導電性素子の変形例を示す断面図である。
【図15】図15Aは、本技術の第4の実施形態に係る導電性素子の一構成例を示す平面図である。図15Bは、図15Aに示したB−B線に沿った断面図である。
【図16】図16Aは、図15Bに示した第1の領域の一部を拡大して表す断面図である。図16Bは、図15Bに示した第2の領域の一部を拡大して表す断面図である。図16Cは、図15Bに示した第3の領域の一部を拡大して表す断面図である。
【図17】図17Aは、本技術の第5の実施形態に係る導電性素子の第1の領域の断面図である。図17Bは、本技術の第5の実施形態に係る導電性素子の第2の領域の断面図である。図17Cは、本技術の第5の実施形態に係る導電性素子の第3の領域の断面図である。
【図18】図18Aは、本技術の第6の実施形態に係る液晶表示素子の一構成例を示す斜視図である。図18Bは、第1の導電性素子の表面を拡大して示す斜視図である。
【図19】図19Aは、第1の導電性素子および第2の導電性素子の表面構造の第1の例を示す断面図である。図19Bは、第1の導電性素子および第2の導電性素子の表面構造の第2の例を示す断面図である。
【図20】図20は、本技術の第7の実施形態に係るタッチパネルを備える表示装置の一構成例を示す斜視図である。
【図21】図21Aは、本技術の第7の実施形態に係るタッチパネルの第1の構成例を示す斜視図である。図21Bは、第1の導電性素子の一構成例を示す分解斜視図である。
【図22】図22は、図21Aに示した領域Rを拡大して表す平面図である。
【図23】図23Aは、本技術の第7の実施形態に係るタッチパネルの第2の構成例を示す斜視図である。図23Bは、第1の導電性素子の一構成例を示す分解斜視図である。
【図24】図24Aは、本技術の第8の実施形態に係るICカードの一構成例を示す平面図である。図24Bは、図24Aに示したアンテナコイルが形成された領域を拡大して表す平面図である。図24Cは、図24Aに示した配線が形成された領域を拡大して表す平面図である。
【図25】図25Aは、本技術の第9の実施形態に係る表示装置の構成の一例を示す断面図である。図25Bは、図25Aに示した配線領域を拡大して表す拡大断面図である。図25Cは、図25Aに示した非配線領域を拡大して表す拡大断面図である。
【図26】図26Aは、参考例1に係る透明導電性シートの作製に用いた石英マスタの成形面を示す模式図である。図26Bは、参考例1に係る透明導電性シートの導通/非導通評価ポイントを示す模式図である。
【図27】図27は、除去時間と初期変化率の逆数(仮想厚さ変化)との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本技術の実施形態について図面を参照しながら以下の順序で説明する。
1.第1の実施形態(平面および2種の波面の違いを利用して基体表面に導電パターン部を形成した例)
2.第2の実施形態(3種の波面の違いを利用して基体表面に導電パターン部を形成した例)
3.第3の実施形態(導電パターン部を基体の両面に形成した例)
4.第4の実施形態(構造体を凹状とした例)
5.第5の実施形態(第1の層と第2の層とを他の構成とした例)
6.第6の実施形態(表示装置に対する適用例)
7.第7の実施形態(情報入力装置に対する適用例)
8.第8の実施形態(ICカードに対する適用例)
9.第9の実施形態(表示装置に対する適用例)
【0014】
<1.第1の実施形態>
[導電性素子の構成]
図1Aは、本技術の第1の実施形態に係る導電性素子の一構成例を示す平面図である。図1Bは、図1Aに示したB−B線に沿った断面図である。図2Aは、図1Bに示した第1の領域の一部を拡大して表す断面図である。図2Bは、図1Bに示した第2の領域の一部を拡大して表す断面図である。図2Cは、図1Bに示した第3の領域の一部を拡大して表す断面図である。以下では、導電性素子1の主面の面内で互いに直交する2方向をそれぞれX軸方向、およびY軸方向とし、その主面に垂直な方向をZ軸方向と称する。
【0015】
第1の実施形態に係る導電性素子1は、第1の領域R1、第2の領域R2および第3の領域R3を有する基体2と、第1の領域R1に形成された第1の層41と、第2の領域R2に形成された第2の層42とを備える。第1の層41は、導電パターン部をなすように第1の領域R1に連続的に形成されている。第2の層42は、導電パターン部をなすように第2の領域R2に連続的に形成されている。第1の層41と第2の層42とで別々の導電パターン部を形成してもよく、第1の層41と第2の層42とで1つの導電パターン部を形成してもよい。
【0016】
導電パターン部は、例えば、配線パターン部、電極パターン部などである。第1の層41は、2以上の層が積層された積層構造を有し、少なくとも導電性を有する層を含んでいることが好ましい。第2の層42は、第1の層41の一部の層からなる単層構造または積層構造を有し、少なくとも導電性を有する層を含んでいることが好ましい。ここで、第1の層41の一部の層とは、積層構造を有する第1の層の最上層から1層以上の層を除去した層、または、積層構造を有する第1の層の最上層から1層以上の層を島状などに不連続にし、残りの層を連続的とした層を意味する。
【0017】
この導電性素子1は、例えば、プリント基板、画像表示素子などである。プリント基板としては、例えば、リジッド基板、フレキシブル基板、リジッドフレキシブル基板などが挙げられる。画像表示素子としては、例えば、液晶表示素子、エルクトロルミネッセンス(EL)素子(例えば有機EL素子、無機EL素子)などである。
【0018】
図1Bでは、第1の領域R1、第2の領域R2および第3の領域R3がこの順序で設けられているが、この順序は一例であり、これらの領域の順序は回路や素子の設計などに応じて所望の順序とすることが可能である。例えば、図1Cに示すように、第1の領域R1と第2の領域R2との間に第3の領域R3を設け、第1の層41および第2の層42を別々の導電パターン部として機能させるようにしてもよい。すなわち、第1の領域R1上に形成された第1の層41を第1の導電パターン部として機能させ、第2の領域R2上に形成された第2の層42を第2の導電パターン部として機能させるようにしてもよい。
【0019】
(第1の領域、第2の領域)
第1の領域R1の基体表面には、例えば平面Sp1が形成され、この平面Sp1上には第1の層41が連続的に形成されている。第2の領域R2の基体表面には、例えば波面Sw2が形成され、この波面Sw2上には第2の層42が連続的に形成されている。これに対して、第3の領域R3の基体表面には、例えば波面Sw3が形成され、この波面Sw3上には第1の層41および第2の層42などの層が形成されていない状態となっている。したがって、第3の領域R2は、2つの第1の層41の間、2つの第2の層42の間、または第1の層41と第2の層42との間を絶縁するための絶縁領域として機能する。これに対して、第1の領域R1に連続的に形成された第1の層41は、第1の領域R1の延在方向に向かって導電性を有し、導電パターン部として機能する。また、第2の領域R2に連続的に形成された第2の層42も、第2の領域R2の延在方向に向かって導電性を有し、導電パターン部として機能する。
【0020】
平面Sp1、波面Sw2および波面Sw3が以下の関係を満たすことが好ましい。
(Am1/λm1)=0、0<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8
(但し、Am1:平面Sp1の振動の平均幅、Am2:波面Sw2の振動の平均幅、Am3:波面Sw3の振動の平均幅、λm1:平面Sp1の平均波長、λm2:波面Sw2の平均波長、λm3:波面Sw3の平均波長)
なお、平面Sp1は、振動の平均幅Am1が「0」の波面とみなすことができるため、上述のように平面Sp1の振動の平均幅Am1、平均波長λm1および比率(Am1/λm1)を定義することができる。
比率(Am3/λm3)>1.8であると、波面Sw3を転写する際に剥離不良となり波面Swが破壊される傾向がある。
【0021】
ここで、波面Sw2の平均波長λm2および振動の平均幅Am2は、以下のようにして求めたものである。まず、波面Sw2の振動の幅が最大となる位置を含むようにして導電性素子1の断面を切り出し、その断面を透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)にて撮影する。次に、撮影したTEM写真から、波面Sw2の波長λ2、および振動の幅A2を求める。この測定を導電性素子1から無作為に選び出された10箇所で繰り返し行い、測定値を単純に平均(算術平均)して、波面Sw2の平均波長λm2、および振動の平均幅Am2を求める。次に、これらの平均波長λm2、および振動の平均幅Am2を用いて、波面Sw2の比率(Am2/λm2)を求める。
また、波面Sw3の平均波長λm3、振動の平均幅Am3および比率(Am3/λm3)も、上述の波面Sw2の平均波長λm2、振動の平均幅Am2および比率(Am2/λm2)と同様にして求めたものである。
【0022】
波面Sw2および波面Sw3は、例えば、1次元的または2次元的な波面である。波面Sw2および波面Sw3の両方を1次元的または2次元的な波面とすることも可能であるが、これに限られず、波面Sw2および波面Sw3のうちの一方を1次元的な波面とし、他方を2次元的な波面とするようにしてもよい。
【0023】
波面Sw2および波面Sw3の振動の幅が最大となる位置を含むようにして、波面Sw2および波面Sw3を一方向に向かって切断したときの断面形状は、例えば、三角波形状、正弦波形状、2次曲線もしくは2次曲線の一部を繰り返した波形状、またはこれらに近似する形状などである。2次曲線としては、円、楕円、放物線などが挙げられる。
【0024】
波面Sw2の波長λ2および波面Sw3の波長λ3は、好ましくは100μm以下、より好ましくは100nm以上100μm以下の範囲内である。波長λ2および波長λ3が100nm未満であると、波面Sw2および波面Sw3の作製が困難となる傾向がある。一方、波長λ2および波長λ3が100μmを超えると、インプリントと膜形成の際に段差、カバレッジに問題が発生し不具合が生じる傾向がある。
【0025】
波長λ2および波長λ3は、導電性素子表面における光の反射を低減する観点からすると、反射の低減を目的とする光の波長帯域以下であることが好ましい。反射の低減を目的とする光の波長帯域は、例えば、紫外光の波長帯域、可視光の波長帯域または赤外光の波長帯域である。ここで、紫外光の波長帯域とは10nm以上360nm以下の波長帯域、可視光の波長帯域とは360nm以上830nm以下の波長帯域、赤外光の波長帯域とは830nm以上1mm以下の波長帯域をいう。具体的には、波長λ2および波長λ3は、好ましくは100nm以上350nm以下、より好ましくは100nm以上320nm以下、さらに好ましくは110nm以上280nm以下の範囲内である。波長λ2および波長λ3が100nm未満であると、波面Sw2および波面Sw3の作製が困難となる傾向がある。一方、波長λ2および波長λ3が350nmを超えると、可視光の回折が生じる傾向がある。
【0026】
波面Sw2および波面Sw3を共にナノオーダーまたはミクロンオーダーの波面とすることも可能であるが、これに限られず、波面Sw2および波面Sw3のうちの一方をナノオーダーの波長を有する波面とし、他方をミクロンオーダーの波長を有する波面とするようにしてもよい。
【0027】
第3の領域R3には第1の層41または第2の層42の一部の層(以下第3の層と称する。)が残留層として完全に存在しないことが好ましいが、第3の層が導電パターン部を形成せず、第3の領域R3が絶縁領域として機能する程度であれば残留層として存在していてもよい。
第3の層が残留層として存在する場合には、第1の層41、第2の層42および第3の層が、以下の関係を満たすことが好ましい。
S1>S2>S2
(但し、S1:第1の層の単位面積、S2:第2の層の単位面積、S3:第3の層の単位
面積)
このような関係を満たす場合、具体的には、第1の領域R1には第1の層41が連続的に形成されているとともに、第2の領域R2には第2の層42が連続的に形成されているのに対して、第3の領域R3には第3の層が島状などに不連続に形成されていることが好ましい。
【0028】
また、第3の層が残留層として存在する場合には、第1の層41、第2の層42および第3の層が、以下の関係を満たすことが好ましい。
d1>d2>d3
(但し、d1:第1の層41の平均厚さ、d2:第2の層42の平均厚さ、d3:第3の層の平均厚さ)
このような関係を満たす場合、具体的には、第3の層の平均厚さが、実質的に導電性を示さないほどに、第1の層41および第2の層42の平均厚さよりも薄く、第3の領域R3が絶縁領域として機能することが好ましい。
【0029】
なお、上述したように、第3の層は導電パターン部としては機能しないため、図1B、図1Cおよび図2Cでは、第3の層の図示を省略している。また、図1Aでは、第1の領域R1、第2の領域R2および第3の領域R2が直線状の形状を有している例が示されているが、第1の領域R1、第2の領域R2および第3の領域R2の形状はこれに限定されるものではなく、回路や素子の設計などに応じて所望の形状とすることが可能である。
【0030】
(基体)
基体2は、例えば、透明性または不透明性を有する基体である。基体2の材料としては、例えば、プラスチック材料などの有機材料、ガラスなどの無機材料を用いることができる。
【0031】
ガラスとしては、例えば、ソーダライムガラス、鉛ガラス、硬質ガラス、石英ガラス、液晶化ガラスなど(「化学便覧」基礎編、P.I-537、日本化学会編参照)が用いられる。プラスチック材料としては、透明性、屈折率、および分散などの光学特性、さらには耐衝撃性、耐熱性、および耐久性などの諸特性の観点から、ポリメチルメタアクリレート、メチルメタクリレートと他のアルキル(メタ)アクリレート、スチレンなどといったビニルモノマーとの共重合体などの(メタ)アクリル系樹脂;ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR-39)などのポリカーボネート系樹脂;(臭素化)ビスフェノールA型のジ(メタ)アクリレートの単独重合体ないし共重合体、(臭素化)ビスフェノールAモノ(メタ)アクリレートのウレタン変性モノマーの重合体および共重合体などといった熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂;ポリエステル特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよび不飽和ポリエステル、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、シクロオレフィンポリマー(商品名:アートン、ゼオノア)、シクロオレフィンコポリマーなどが好ましい。また、耐熱性を考慮したアラミド系樹脂の使用も可能である。
【0032】
基体2としてプラスチック材料を用いる場合、プラスチック表面の表面エネルギー、塗布性、すべり性、平面性などをより改善するために、表面処理として下塗り層を設けるようにしてもよい。この下塗り層としては、例えば、オルガノアルコキシメタル化合物、ポリエステル、アクリル変性ポリエステル、ポリウレタンなどが挙げられる。また、下塗り層を設けるのと同様の効果を得るために、基体2の表面に対してコロナ放電、UV照射処理などを行うようにしてもよい。
【0033】
基体2がプラスチックフィルムである場合には、基体2は、例えば、上述の樹脂を伸延、または溶剤に希釈後フィルム状に成膜して乾燥するなどの方法で得ることができる。また、基体2の厚さは、例えば25μm〜500μm程度である。
【0034】
基体2の形状としては、例えば、フィルム状、プレート状、ブロック状を挙げることができるが、特にこれらの形状に限定されるものではない。ここで、フィルム状にはシート状が含まれるものと定義する。
【0035】
(構造体)
波面Sw2は、例えば多数の構造体32が第2の領域R2に配列された凹凸面である。波面Sw3は、例えば多数の構造体33が第3の領域R3に凹凸面である。構造体32および構造体33は、例えば、基体1の表面に対して凸状を有している。構造体32および構造体33は、例えば、基体2と別成形、または基体2と一体成形されている。構造体32および構造体33と基体2とを別成形する場合には、必要に応じて構造体32および構造体33と基体2との間に基底層を備えるようにしてもよい。基底層は、構造体32および構造体33の底面側に構造体32および構造体33と一体成形された層であり、構造体32および構造体33と同様のエネルギー線硬化性樹脂組成物などを硬化してなる。基底層の厚さは、特に限定されるものではなく、必要に応じて適宜選択することができる。
【0036】
構造体32および構造体33のアスペクト比が以下の関係を満たすことが好ましい。
0<(Hm2/Pm2)<(Hm3/Pm3)≦1.8
(但し、Hm2:構造体32の平均高さ、Hm3:構造体33の平均高さ、Pm2:構造体32の平均配置ピッチ、Pm3:構造体33の平均配置ピッチ)
比率(Hm3/Pm3)>1.8であると、構造体33を転写する際に剥離不良となり構造体33が破壊される傾向がある。
【0037】
ここで、構造体32の平均配置ピッチPm2および平均高さHm2は、以下のようにして求めたものである。まず、構造体32の高さが最大となる位置を含むようにして導電性素子1の断面を切り出し、その断面を透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)にて撮影する。次に、撮影したTEM写真から、構造体32の配置ピッチP2、および高さH2を求める。この測定を導電性素子1から無作為に選び出された10箇所で繰り返し行い、測定値を単純に平均(算術平均)して、構造体32の平均配置ピッチPm2および平均高さHm2を求める。次に、これらの平均配置ピッチPm2および平均高さHm2を用いて、構造体32のアスペクト比(Hm2/Pm2)を求める。
また、構造体33の平均配置ピッチPm3、平均高さHm3およびアスペクト比(Hm3/Pm3)も、上述の構造体33の平均配置ピッチPm2、平均高さHm2およびアスペクト比(Hm2/Pm2)と同様にして求めたものである。
【0038】
構造体32および構造体33の配列としては、例えば、1次元配列または2次元配列を用いることができる。構造体32および構造体33を共に1次元配列または2次元配列とすることも可能であるが、これに限定されず、構造体32および構造体33のうちの一方を1次元配列とし、他方を2次元配列とするようにしてもよい。
【0039】
構造体32および構造体33の配列としては、例えば、規則的または不規則的な配列を用いることができ、原盤の作製方法などに応じて上記配列のうちから適切な配列を選択することが好ましい。構造体32および構造体33を共に規則的または不規則的な配列とすることも可能であるが、これに限定されず、構造体32および構造体33のうちの一方を規則的配列とし、他方を不規則的配列とするようにしてもよい。
【0040】
構造体32の配置ピッチP2および構造体33の配置ピッチP3は、好ましくは100μm以下、より好ましくは100nm以上100μm以下の範囲内である。配置ピッチが100nm未満であると、構造体32および構造体33の作製が困難となる傾向がある。配置ピッチP2および配置ピッチP3が100μmを超えると、インプリントと膜形成の際に段差、カバレッジに問題が発生し不具合が生じる傾向がある。
【0041】
配置ピッチP2および配置ピッチP3は、導電性素子表面における光の反射を低減する観点からすると、反射の低減を目的とする光の波長帯域以下であることが好ましい。反射の低減を目的とする光の波長帯域は、例えば、紫外光の波長帯域、可視光の波長帯域または赤外光の波長帯域である。ここで、紫外光の波長帯域とは10nm以上360nm以下の波長帯域、可視光の波長帯域とは360nm以上830nm以下の波長帯域、赤外光の波長帯域とは830nm以上1mm以下の波長帯域をいう。具体的には、配置ピッチP2および配置ピッチP3は、好ましくは100nm以上350nm以下、より好ましくは100nm以上320nm以下、さらに好ましくは110nm以上280nm以下の範囲内である。配置ピッチP2および配置ピッチP3が100nm未満であると、構造体32および構造体33の作製が困難となる傾向がある。一方、配置ピッチP2および配置ピッチP3が350nmを超えると、可視光の回折が生じる傾向がある。
【0042】
構造体32および構造体33を共にナノオーダーまたはミクロンオーダーの配置ピッチで配列することも可能であるが、これに限られず、構造体32および構造体33をのうちの一方をナノオーダーの配置ピッチで配列し、他方をミクロンオーダーの配置ピッチで配列するようにしてもよい。
【0043】
以下に、図3A〜図4Bを参照しながら、複数の構造体32が1次元配列または2次元配列された第2の領域R2について具体的に説明する。なお、複数の構造体33が1次元配列または2次元配列された第3の領域R3は、構造体33のアスペクト比が構造体32のアスペクト比と異なる以外の点では、第2の領域R2と同様であるので、第3の領域R3についての具体的説明は省略する。
【0044】
図3Aは、複数の構造体が2次元配列された第2の領域を拡大して表す斜視図である。図3Bは、複数の構造体が2次元配列された第2の領域を拡大して表す平面図である。複数の構造体32が、例えば、第2の領域R2において複数列のトラックT上に2次元配列されて、2次元的な波面Sw2が形成されている。トラックTの形状としては、直線状、円弧状などを用いることができ、これらの形状のトラックTを蛇行(ウォブル)させるようにしてもよい。複数例のトラックT上に配列された複数の構造体32が、例えば、所定の規則的な配置パターンをなるようにしてもよい。規則的な配置パターンとしては、例えば、四方格子状、六方格子状などの格子状パターンが挙げられ、これらの格子状パターンを歪ませるようにしてもよい。構造体32の高さが基体1の表面において規則的または不規則的に変化するようにしてもよい。また、構造体32をランダムに配列するようにしてもよい。
【0045】
構造体32は、基体2の表面に対して傾斜した斜面を有することが好ましい。このような構造体32の具体的な形状としては、例えば、錐体状、柱状、針状、半球状、半楕円球状、多角形状などが挙げられるが、これらの形状に限定されるものではなく、他の形状を採用するようにしてもよい。錐体状としては、例えば、頂部が尖った錐体形状、頂部が平坦な錐体形状、頂部に凸状または凹状の曲面を有する錐体形状が挙げられるが、これらの形状に限定されるものではない。また、錐体状の錐面を凹状または凸状に湾曲させるようにしてもよい。後述するロール原盤露光装置(図7参照)を用いてロール原盤を作製する場合には、構造体32の形状として、頂部に凸状の曲面を有する楕円錐形状、または頂部が平坦な楕円錐台形状を採用し、それらの底面を形成する楕円形の長軸方向をトラックTの延在方向と一致させることが好ましい。
【0046】
図4Aは、複数の構造体が1次元配列された第1の領域を拡大して表す斜視図である。図4Bは、複数の構造体が1次元配列された第1の領域を拡大して表す平面図である。複数の構造体32が、例えば、第2の領域R2において複数列のトラックT上に、これらのトラックTに沿うようにして1次元配列されて、1次元的な波面Sw2が形成されている。トラックTの形状としては、直線状、円弧状などを用いることができ、これらの形状のトラックを蛇行(ウォブル)させるようにしてもよい。
【0047】
構造体32は、例えば、一方向に向かって延在された柱状体であり、その断面形状は、例えば三角形状、頂部に曲率Rが付された三角形状、多角形状、半円形状、半楕円形状、放物線状などを挙げることができるが、これらの形状に限定されるものではない。構造体32の具体的形状としては、例えば、レンチキュラー形状、プリズム形状などを挙げることができるが、これらの形状に限定されるものではない。構造体32の高さが、トラック方向に向かって変化するようにしてもよい。また、構造体32が、トラック方向に断続するようにしてもよい。
【0048】
(第1の層、第2の層)
図2Aに示すように、第1の層41は、例えば、第1の領域R1上に形成された導電層4a、導電層4a上に形成された第1の機能層4bと、第1の機能層4b上に形成された第2の機能層4cとを備える。第1の層41を構成する各層の間に、必要に応じて密着層を設けるようにしてもよい。
【0049】
図2Bに示すように、第2の層42は、例えば導電層4aを備える。第2の層42が2層以上の層を有する場合には、第2の層42を構成する各層の間に、必要に応じて密着層を設けるようにしてもよい。
【0050】
第2の層42は、第2の領域R2において波面Sw2による反射防止効果を阻害しないように、波面Sw2の表面形状に倣って形成され、波面Sw2と第2の層42との表面形状がほぼ相似形状であることが好ましい。第2の層42の形成による屈折率プロファイルの変化を抑制し、優れた反射防止特性および/または透過特性を維持できるからである。また、第3の領域R3に第3の層が残留層として存在している場合には、第3の層は、第3の領域R3において波面Sw3による反射防止効果を阻害しないように、波面Sw3の表面形状に倣って形成され、波面Sw3と第3の層との表面形状がほぼ相似形状であることが好ましい。
【0051】
導電層4aとしては、例えば、金属層、透明導電層、金属酸化物層、遷移金属化合物層などを用いることができるが、これらの層に限定されるものではない。第1の機能層4bの材料としては、少なくとも導電層4aおよび第2の機能層4cとは異なる材料が好ましく、除去工程時にて導電層4aおよび第2の機能層4cと溶解レート差が生じる材料がより好ましい。第2の機能層4cの材料としては、少なくとも導電層4aおよび第1の機能層4bとは異なる材料が好ましく、除去工程時にて導電層4aおよび第1の機能層4bと溶解レート差が生じる材料がより好ましい。
【0052】
透明導電層としては、例えば、無機透明導電層を用いることができる。無機透明導電層は、透明酸化物半導体を主成分としていることが好ましい。透明酸化物半導体としては、例えば、SnO2、InO2、ZnOおよびCdOなどの二元化合物、二元化合物の構成元素であるSn、In、ZnおよびCdのうちの少なくとも一つの元素を含む三元化合物、または多元系(複合)酸化物を用いることができる。透明酸化物半導体の具体例としては、例えばインジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、アルミドープ酸化亜鉛(AZO(Al2O3、ZnO))、SZO、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、酸化錫(SnO2)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウム亜鉛(IZO(In2O3、ZnO))などが挙げられる。特に、信頼性の高さ、および抵抗率の低さなどの観点から、インジウム錫酸化物(ITO)が好ましい。無機透明導電層を構成する材料は、導電性の向上の観点からすると、アモルファスと多結晶との混合状態であることが好ましい。金属層の材料としては、例えばAg、Al、Au、Pt、Pd、Ni、Cr、Nb、W、Mo、Ti、Cu、およびNdからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
【0053】
第1の機能層4bは、少なくとも導電層4aとは溶液に対する溶解度が異なっていることが好ましい。第1の機能層4bの材料としては、導電層4aとは異なる材料を用いることが好ましい。具体的には、第1の機能層4bの材料としては、金属を用いることが好ましく、金属としては、例えばAg、Al、Au、Pt、Pd、Ni、Cr、Nb、W、Mo、Ti、Cu、およびNdからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
【0054】
第1の機能層4bの材料としては、例えば、誘電体材料または透明導電材料を用いることができる。具体的には、酸化物、窒化物、硫化物、炭化物、フッ化物、および遷移金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、例えば、酸化物および遷移金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。酸化物としては、例えば、In、Zn、Sn、Al、Si、Ge、Ti、Ga、Ta、Nb、Hf、Zr、Cr、BiおよびMgからなる群から選ばれる1種以上の元素の酸化物が挙げられる。窒化物としては、例えば、In、Sn、Ge、Cr、Si、Al、Nb、Mo、Ti、Nb、Mo、Ti、W、TaおよびZnからなる群から選ばれる1種以上の元素の窒化物が挙げられる。硫化物としては、例えば、Zn硫化物が挙げられる。炭化物としては、例えば、In、Sn、Ge、Cr、Si、Al、Ti、Zr、TaおよびWからなる群より選ばれる1種以上の元素の炭化物が挙げられる。フッ化物としては、例えば、Si、Al、Mg、CaおよびLaからなる群より選ばれる1種以上の元素のフッ化物が挙げられる。遷移金属化合物としては、例えば、Al、AlTi、AlCu、Cu、Ag、AgPdCu、Mo、Sn、Ti、W、Au、Pt、Pd、Ni、NbおよびCrなる群より選ばれる少なくとも1種以上の化合物を用いることができる。上述の材料を2種以上含む混合物としては、例えば、ZnS−SiO2、SiO2−Cr2O3−ZrO2、In2O3−CeO2、In2O3−Ga2O3、Sn2O3−Ta2O5、TiO2−SiO2などが挙げられる。
【0055】
第1の機能層4bは、アモルファスと多結晶との混合状態にある層、および多結晶化状態にある層の少なくとも1種を含んでいることが好ましい。
【0056】
第2の機能層4cは、導電層4aおよび第1の機能層4bを保護するための層である。第2の機能層4cは、少なくとも導電層4aまたは第1の機能層4bとは溶液に対する溶解度が異なっていることが好ましい。第2の機能層4cの材料としては、導電層4aおよび第1の機能層4bとは異なる材料、または第1の機能層4bとは異なる材料を用いることが好ましい。具体的には、第2の機能層4cの材料としては、金属材料を用いることが好ましく、金属材料としては、例えば、Ag、Al、Au、Pt、Pd、Ni、Cr、Nb、W、Mo、Ti、Cu、およびNdからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
【0057】
第2の機能層4cの材料としては、例えば、誘電体材料または透明導電材料を用いることができる。具体的には、酸化物、窒化物、硫化物、炭化物、フッ化物、および遷移金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、例えば、酸化物および遷移金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。酸化物としては、例えば、In、Zn、Sn、Al、Si、Ge、Ti、Ga、Ta、Nb、Hf、Zr、Cr、BiおよびMgからなる群から選ばれる1種以上の元素の酸化物が挙げられる。窒化物としては、例えば、In、Sn、Ge、Cr、Si、Al、Nb、Mo、Ti、Nb、Mo、Ti、W、TaおよびZnからなる群から選ばれる1種以上の元素の窒化物が挙げられる。硫化物としては、例えば、Zn硫化物が挙げられる。炭化物としては、例えば、In、Sn、Ge、Cr、Si、Al、Ti、Zr、TaおよびWからなる群より選ばれる1種以上の元素の炭化物が挙げられる。フッ化物としては、例えば、Si、Al、Mg、CaおよびLaからなる群より選ばれる1種以上の元素のフッ化物が挙げられる。遷移金属化合物としては、例えば、Al、AlTi、AlCu、Cu、Ag、AgPdCu、Mo、Sn、Ti、W、Au、Pt、Pd、Ni、NbおよびCrなる群より選ばれる少なくとも1種以上の化合物を用いることができる。上述の材料を2種以上含む混合物としては、例えば、ZnS−SiO2、SiO2−Cr2O3−ZrO2、In2O3−CeO2、In2O3−Ga2O3、Sn2O3−Ta2O5、TiO2−SiO2などが挙げられる。
【0058】
第2の機能層4cはアモルファスと多結晶との混合状態にある層、および多結晶化状態にある層の少なくとも1種を含んでいることが好ましいがこれらに限定されるものではない。
【0059】
密着層は、各層の間の密着性を向上させるための層である。密着層としては、例えば、 金属層、酸化物層、遷移金属化合物層などを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0060】
第1の領域R1における積層膜4の表面抵抗は、5000Ω/□以下であることが好ましい。5000Ω/□を超えると、抵抗が増大しすぎて電極として使用できなくなる傾向がある。
【0061】
[ロール原盤の構成]
図5Aは、基体を作製するためのロール原盤の一構成例を示す斜視図である。図5Bは、図5Aに示したロール原盤の一部を拡大して表す斜視図である。ロール原盤11は、上述した基体表面に平面Sp1、波面Sw2および波面Sw3を成形するための原盤である。ロール原盤11は、例えば、円柱状または円筒状の形状を有し、その円柱面または円筒面には多数の第1の領域R1、第2の領域R2および第3の領域R3が設定されている。ロール原盤11の材料は、例えばガラスを用いることができるが、この材料に特に限定されるものではない。なお、図5Aおよび図5Bに示した第1の領域R1、第2の領域R2および第3の領域R3の形状および配置順序は一例であって、これに限定されるものではなく、所望とする導電パターン部の形状に応じて適宜選択される。
【0062】
図6Aは、ロール原盤の一部を拡大して表す断面図である。図6Bは、第2の領域の一部を拡大して示す斜視図である。図6Cは、第2の領域の一部を拡大して示す平面図である。なお、第3の領域R3は、第3の領域R3の波面Sw3の比率(Am/λm)(Am:波面の振動の平均幅、λm:波面の平均波長)が第2の領域の波面Sw2に比して大きい以外の点では、第2の領域R2と同様であるので、図示を省略する。
【0063】
ロール原盤11の第1の領域R1、第2の領域R2および第3の領域R3はそれぞれ、基体2の第1の領域R1、第2の領域R2および第3の領域R3に対応している。すなわち、ロール原盤11の第1の領域R1に形成された平面Sp1は、基体2の第1の領域R1に平面Sp1を形成するためのものである。ロール原盤11の第2の領域R2に形成された波面Sw2は、基体2の第2の領域R2に波面Sw2を形成するためのものである。ロール原盤11の第3の領域R3に形成された波面Sw3は、基体2の第3の領域R3に波面Sw3を形成するためのものである。具体的には、ロール原盤11の波面Sw2および波面Sw3はそれぞれ、上述の基体2の表面の波面Sw2およびSw3の凹凸形状を反転した形状を有している。すなわち、ロール原盤11の構造体122および構造体123はそれぞれ、上述の基体2の表面の構造体32および構造体33の凹凸形状を反転した形状を有している。
【0064】
[露光装置の構成]
図7は、ロール原盤露光装置の一構成例を示す概略図である。以下、図7を参照して、ロール原盤露光装置の構成について説明する。なお、このロール原盤露光装置は、例えば、光学ディスク記録装置をベースとして構成することが可能である。
【0065】
レーザー光源21は、記録媒体としてのロール原盤11の表面に着膜されたレジストを露光するための光源であり、例えば波長λ=266nmの記録用のレーザー光14を発振するものである。レーザー光源21から出射されたレーザー光14は、平行ビームのまま直進し、電気光学素子(EOM:Electro Optical Modulator)22へ入射する。電気光学素子22を透過したレーザー光14は、ミラー23で反射され、変調光学系25に導かれる。
【0066】
ミラー23は、偏光ビームスプリッタで構成されており、一方の偏光成分を反射し他方の偏光成分を透過する機能をもつ。ミラー23を透過した偏光成分はフォトダイオード24で受光され、その受光信号に基づいて電気光学素子22を制御してレーザー光14の位相変調を行う。
【0067】
変調光学系25において、レーザー光14は、集光レンズ26により、ガラス(SiO2)などからなる音響光学素子(AOM:Acousto-Optic Modulator)27に集光される。レーザー光14は、音響光学素子27により強度変調され発散した後、レンズ28によって平行ビーム化される。変調光学系25から出射されたレーザー光14は、ミラー31によって反射され、移動光学テーブル32上に水平かつ平行に導かれる。
【0068】
移動光学テーブル32は、ビームエキスパンダ33、および対物レンズ34を備えている。移動光学テーブル32に導かれたレーザー光14は、ビームエキスパンダ33により所望のビーム形状に整形された後、対物レンズ34を介して、ロール原盤11上のレジスト層へ照射される。ロール原盤11は、スピンドルモータ35に接続されたターンテーブル36の上に載置されている。そして、ロール原盤11を回転させるとともに、レーザー光14をロール原盤11の高さ方向に移動させながら、レジスト層へレーザー光14を間欠的に照射することにより、レジスト層の露光工程が行われる。形成された潜像は、円周方向に長軸を有する略楕円形になる。レーザー光14の移動は、移動光学テーブル32の矢印R方向への移動によって行われる。
【0069】
露光装置は、例えば、所定の1次元パターンまたは2次元パターンに対応する潜像をレジスト層に形成するための制御機構37を備えている。制御機構37は、フォマッター29とドライバ30とを備える。フォマッター29は、極性反転部を備え、この極性反転部が、レジスト層に対するレーザー光14の照射タイミングを制御する。ドライバ30は、極性反転部の出力を受けて、音響光学素子27を制御する。
【0070】
このロール原盤露光装置では、2次元パターンが空間的にリンクするように1トラック毎に極性反転フォマッター信号と記録装置の回転コントロラーを同期させ信号を発生し、音響光学素子27により強度変調している。角速度一定(CAV)で適切な回転数と適切な変調周波数と適切な送りピッチでパターニングすることにより、四方格子または六方格子パターンなどの所定の2次元パターンを記録することができる。
【0071】
[導電性素子の製造方法]
以下、図8A〜図10Cを参照しながら、本技術の第1の実施形態に係る導電性素子1の製造方法の一例について説明する。なお、この製造方法において転写工程以降の一部または全部のプロセスは、生産性を考慮して、ロール・ツー・ロールにより行うことが好ましい。
【0072】
(レジスト成膜工程)
まず、図8Aに示すように、円柱状または円筒状のロール原盤11を準備する。このロール原盤11は、例えばガラス原盤である。次に、図8Bに示すように、ロール原盤11の表面にレジスト層13を形成する。レジスト層13の材料としては、例えば有機系レジスト、および無機系レジストのいずれを用いてもよい。有機系レジストとしては、例えばノボラック系レジストや化学増幅型レジストを用いることができる。また、無機系レジストとしては、例えば、1種または2種以上含む金属化合物を用いることができる。
【0073】
(露光工程)
次に、図8Cに示すように、上述したロール原盤露光装置を用いて、ロール原盤11を回転させると共に、レーザー光(露光ビーム)14をレジスト層13に照射する。このとき、レーザー光14をロール原盤11の高さ方向(円柱状または円筒状のロール原盤11の中心軸に平行な方向)に移動させながら、レーザー光14を照射する。この際、第2の領域R2および第3の領域R3には潜像を形成し露光部とするのに対して、第1の領域R1には潜像を形成せず非露光部とする。レーザー光14の軌跡に応じた潜像15は、例えば、可視光の波長以下のピッチで形成される。
【0074】
潜像15は、例えば、ロール原盤表面において複数列のトラックをなすように配置されるとともに、所定の1次元パターンまたは2次元パターンを形成する。潜像15は、例えば、トラックの延在方向に延びる細長い矩形状、またはトラックの延在方向に長軸方向を有する楕円形状などである。
【0075】
(現像工程)
次に、例えば、ロール原盤11を回転させながら、レジスト層13上に現像液を滴下して、図9Aに示すように、レジスト層13を現像処理する。図示するように、レジスト層13をポジ型のレジストにより形成した場合には、レーザー光14で露光した露光部は、非露光部と比較して現像液に対する溶解速度が増すので、潜像(露光部)16に応じたパターンがレジスト層13に形成される。これにより、第2の領域R2および第3の領域R3のレジスト層13には、複数の開口部が形成されるのに対して、第1の領域R1のレジスト層13には、開口部が形成されず、第1の領域R1全体はレジスト層13に覆われた状態が維持される。すなわち、第2の領域R2および第3の領域R3のみに開口パターンを有するマスクがロール原盤表面に形成される。開口パターンとしては、1次元パターンおよび2次元パターンのいずれかを用いてもよく、それらを組合せて用いてもよい。
【0076】
(エッチング工程)
次に、ロール原盤11の上に形成されたレジスト層13のパターン(レジストパターン)をマスクとして、ロール原盤11の表面をロールエッチング処理する。これにより、図9Bに示すように、ロール原盤表面のうち第2の領域R2および第3の領域R3では、開口部を介してエッチングが進行し、凹状の構造体122および構造体123が形成される。これらの構造体122および構造体123は、例えば、トラックの延在方向に延びる柱状形状、またはトラックの延在方向に長軸方向をもつ楕円錐形状または楕円錐台形状などを有する。一方、ロール原盤表面のうち第1の領域R1では、この領域全体がレジスト層13に覆われているため、エッチングは施されず、平面状のロール原盤表面が維持される。エッチング方法としては、例えばドライエッチングを用いることができる。以上により、ロール原盤11が得られる。
【0077】
(転写工程)
次に、例えば、図9Cに示すように、ロール原盤11と転写材料16を塗布したフィルムなどの基体2を密着させ、紫外線などのエネルギー線を照射して転写材料16を硬化させた後、硬化した転写材料16と一体となった基体2を剥離する。これにより、図10Aに示すように、平面Sp1が形成された第1の領域R1と、波面Sw1が形成された第2の領域R2と、波面Sw3が形成された第3の領域R2とを有する基体2が得られる。
【0078】
転写材料16としては、例えば、エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いることができる。エネルギー線硬化性樹脂組成物は、エネルギー線を照射することによって硬化させることができる樹脂組成物である。エネルギー線とは、電子線、紫外線、赤外線、レーザー光線、可視光線、電離放射線(X線、α線、β線、γ線など)、マイクロ波、高周波などのラジカル、カチオン、アニオンなどの重合反応の引き金と成りうるエネルギー線を示す。エネルギー線硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、他の樹脂と混合して用いるようにしてもよく、例えば熱硬化性樹脂などの他の硬化性樹脂と混合して用いてもよい。また、エネルギー線硬化性樹脂組成物は、有機無機ハイブリッド材料であってもよい。また、2種以上のエネルギー線硬化性樹脂組成物を混合して用いるようにしてもよい。エネルギー線硬化性樹脂組成物としては、紫外線により硬化する紫外線硬化樹脂を用いることが好ましい。
【0079】
紫外線硬化材料は、例えば、単官能モノマー、二官能モノマー、多官能モノマーなどからなり、具体的には、以下に示す材料を単独または、複数混合したものである。
単官能モノマーとしては、例えば、カルボン酸類(アクリル酸)、ヒドロキシ類(2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート)、アルキル、脂環類(イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート)、その他機能性モノマー(2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレンクリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、2−(パーフルオロオクチル)エチル アクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−パーフルオロオクチルー2−ヒドロキシプロピル アクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチル アクリレート、2−(パーフルオロー3−メチルブチル)エチル アクリレート)、2,4,6−トリブロモフェノールアクリレート、2,4,6−トリブロモフェノールメタクリレート、2−(2,4,6−トリブロモフェノキシ)エチルアクリレート)、2−エチルヘキシルアクリレートなどを挙げることができる。
【0080】
二官能モノマーとしては、例えば、トリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、トリメチロールプロパン ジアリルエーテル、ウレタンアクリレートなどを挙げることができる。
【0081】
多官能モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタおよびヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートなどを挙げることができる。
【0082】
開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンなどを挙げることができる。
【0083】
フィラーとしては、例えば、無機微粒子および有機微粒子のいずれも用いることができる。無機微粒子としては、例えば、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Al2O3などの金属酸化物微粒子を挙げることができる。
【0084】
機能性添加剤としては、例えば、レベリング剤、表面調整剤、消泡剤などを挙げることができる。基体2の材料としては、例えば、メチルメタクリレート(共)重合体、ポリカーボネート、スチレン(共)重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリウレタン、ガラスなどが挙げられる。
【0085】
基体2の成形方法は特に限定されず、例えば射出成形法、押し出し成形法、キャスト成形法などを用いることができる。必要に応じて、コロナ処理などの表面処理を基体表面に施すようにしてもよい。
【0086】
(積層膜の成膜工程)
次に、図10Bに示すように、基体表面の第1の領域R1、第2の領域R2および第3の領域R3に2層以上の層を積層することにより、積層膜4を形成する。具体的には例えば、基体表面の第1の領域R1、第2の領域R2および第3の領域R3に導電層、第1の機能層および第2の機能層をこの順序で積層することにより、積層膜4を形成する。積層膜4の成膜方法としては、例えば、熱CVD、プラズマCVD、光CVDなどのCVD法(Chemical Vapor Deposition(化学蒸着法):化学反応を利用して気相から薄膜を析出させる技術)のほか、真空蒸着、プラズマ援用蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどのPVD法(Physical Vapor Deposition(物理蒸着法):真空中で物理的に気化させた材料を基板上に凝集させ、薄膜を形成する技術)を用いることができる。また、基体2を加熱しながら、積層膜4を形成するようにしてもよい。
【0087】
(アニール工程)
次に、必要に応じて、積層膜4に対してアニール処理を施す。これにより、積層膜4または積層膜4に含まれる無機透明導電層などの層が、例えばアモルファスと多結晶との混合状態となる。
【0088】
(積層膜の除去工程)
次に、図10Cに示すように、積層膜4が形成された基体表面に対して、エッチング処理を施す。これにより、第3の領域R3では積層膜4が除去されるのに対して、第1の領域R1では積層膜4が第1の層41として残留するとともに、第2の領域R2では積層膜4の一部の層が第2の層42として残留する。具体的には例えば、第3の領域R1では導電層、第1の機能層および第2の機能層が除去されるのに対して、第1の領域R1では導電層、第1の機能層および第2の機能層が第1の層41として残留するとともに、第2の領域R2では導電層が第2の層42として残留する。したがって、第1の領域R1に形成された第1の層41と、第2の領域R2に形成された第2の層42とは導電パターン部として機能するのに対して、第3の領域R3は上記導電パターン部間の絶縁領域として機能する。除去工程としては、ドライエッチングまたはウエットエッチングを用いることができ、両者を組み合わせて用いるようにしてもよい。ドライエッチングとしては、プラズマエッチング、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)を用いることができる。ウエットエッチングのエッチング液としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸および塩化第二鉄のうち1種類以上を用いることができる。また、シュウ酸、リン酸・酢酸・硝酸の混酸、硝酸第二セリウムアンモニウム水溶液をエッチング液として用いるようにしてもよい。
【0089】
ここで、除去とは、(1)第3の領域R3から積層膜4を完全になくすこと、(2)第3の領域R3にて導電性を示さない程度まで積層膜4を不連続な状態(例えば島状の状態)にすること、または(3)第3の領域R3にて導電性を示さない程度の薄さまで積層膜4を薄くすることを意味する。
【0090】
具体的には、平面Sp1、波面Sw2および波面Sw3上に形成された積層膜4の状態等の違いを利用して、波面Sw3上に形成された積層膜4を実質的に除去するのに対して、平面Sp1および波面Sw2上に形成された積層膜4を連続的につながるように残留させることが好ましい。これにより、平面Sp1、波面Sw2および波面Sw3のうち平面Sp1および波面Sw2上に選択的に導電パターン部を形成することができる。
【0091】
また、平面Sp1、波面Sw2および波面Sw31上に形成された積層膜4の状態等の違いを利用して、波面Sw3上に形成された積層膜4を除去して島状などに不連続にするのに対して、平面Sp1および波面Sw2上に形成された積層膜4を連続的につながるように残留させることが好ましい。これにより、平面Sp1、波面Sw2および波面Sw3のうち平面Sp1および波面Sw2上に選択的に導電パターン部を形成することができる。
【0092】
また、平面Sp1、波面Sw2および波面Sw31上に形成された積層膜4の状態等の違いを利用して、波面Sw3上に形成された積層膜4を除去してその厚さを平面Sp1および波面Sw2上に形成された積層膜4の厚さに比して大幅に薄くすることが好ましい。これにより、平面Sp1、波面Sw2および波面Sw3のうち平面Sp1および波面Sw2上に選択的に導電パターン部を形成することができる。
【0093】
(洗浄工程)
次に、必要に応じて、除去処理を施した基体表面を洗浄する。
以上により、目的とする導電性素子1が得られる。
【0094】
第1の実施形態では、平面Sp1、波面Sw2および波面Sw3を有する基体表面に対して、2層以上の層を積層して積層膜4を形成する。そして、平面Sp1、波面Sw2および波面Sw3に形成した積層膜の状態の違いを利用して、平面Sp1、波面Sw2および波面Sw3の波面のうち、波面Sw3上に形成された積層膜4を除去するのに対して、平面Sp1上に形成された積層膜4を第1の層41として残すとともに、波面Sw2上に形成された積層膜4の一部の層を第2の層42として残すことにより、導電パターン部を形成する。したがって、精細かつ高スループットの導電性素子を実現できる。
【0095】
<2.第2の実施形態>
[導電性素子の構成]
図11Aは、本技術の第2の実施形態に係る導電性素子の一構成例を示す平面図である。図11Bは、図11Aに示したB−B線に沿った断面図である。図12Aは、図11Bに示した第1の領域の一部を拡大して表す断面図である。図12Bは、図11Bに示した第2の領域の一部を拡大して表す断面図である。図12Cは、図11Bに示した第3の領域の一部を拡大して表す断面図である。第2の実施形態に係る導電性素子1は、第1の領域に波面Sw1を有する点において、第1の実施形態とは異なっている。
【0096】
(第1の領域)
第1の領域R1の基体表面には波面Sw1が形成され、この波面Sw1上には第1の層41が連続的に形成されている。波面Sw1は、波面Sw2に比して小さい比率(Am/λm)(λm:波面の平均波長、Am:波面の振動の平均幅)を有している点以外は、波面Sw2と同様である。具体的には、波面Sw1、波面Sw2および波面Sw3が以下の関係を満たしていることが好ましい。
0<(Am1/λm1)<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8
(但し、Am1:波面Sw1の振動の平均幅、Am2:波面Sw2の振動の平均幅、Am3:波面Sw3の振動の平均幅、λm1:波面Sw1の平均波長、λm2:波面Sw2の平均波長、λm3:波面Sw3の平均波長)
比率(Am3/λm3)>1.8であると、波面Sw3を転写する際に剥離不良となり波面Swが破壊される傾向がある。
【0097】
ここで、波面Sw1の平均波長λm1、振動の平均幅Am1および比率(Am1/λm1)は、第1の実施形態における波面Sw2およびSw3と同様にして測定したものである。
【0098】
波面Sw1、波面Sw2および波面Sw3の形状、波長および振動の幅はそれぞれ独立に選択することが可能である。具体的には例えば、波面Sw1、波面Sw2および波面Sw3はそれぞれ独立に、1次元的または2次元的な波面とすることが可能である。また、波面Sw1、波面Sw2および波面Sw3の波長および振動の幅はそれぞれ独立に、ナノオーダーまたはミクロンオーダーの波長および振動の幅とすることが可能である。
【0099】
(構造体)
波面Sw1は、例えば多数の構造体31が第1の領域R1に配列された凹凸面である。構造体31は、構造体32に比して小さい比率(Hm/Pm)(λm:構造体の平均配置ピッチ、Am:構造体の平均高さ)を有している点以外は、構造体32と同様である。具体的には、構造体31、構造体32および構造体33が以下の関係を満たしていることが好ましい。
0<(Hm2/Pm2)<(Hm3/Pm3)≦1.8
(但し、Hm1:構造体31の平均高さ、Hm2:構造体32の平均高さ、Hm3:構造体33の平均高さ、Pm1:構造体31の平均配置ピッチ、Pm2:構造体32の平均配置ピッチ、Pm3:構造体33の平均配置ピッチ)
比率(Hm3/Pm3)>1.8であると、構造体33を転写する際に剥離不良となり構造体32が破壊される傾向がある。
【0100】
ここで、構造体31の平均配置ピッチPm1、平均高さHm1および比率(Hm1/Pm1)は、第1の実施形態における構造体32および構造体33と同様にして測定したものである。
【0101】
(第1の層)
第1の層41は、第1の領域R1において構造体31による反射防止効果を阻害しないように、波面Sw1の形状に倣って形成され、波面Sw1と第1の層41の表面形状とがほぼ相似形状であることが好ましい。第1の層41の形成による屈折率プロファイルの変化を抑制し、優れた反射防止特性および/または透過特性を維持できるからである。
【0102】
[ロール原盤の構成]
図13Aは、基体2を作製するためのロール原盤の一部を拡大して表す斜視図である。図13Bは、図13Aに示したロール原盤の一部を拡大して表す断面図である。第2の実施形態に係るロール原盤11は、第1の領域R1に波面Sw1を有する点において、第1の実施形態のものとは異なっている。
【0103】
ロール原盤11の波面Sw1は、例えば可視光の波長以下のピッチで凹状の第1の構造体121を配列することにより形成されている。ロール原盤11の波面Sw1は、基体2の波面Sw1の凹凸を反転した形状を有している。
【0104】
[導電性素子の製造方法]
第2の実施形態に係る導電性素子の製造方法は、波面Sw1と、波面Sw2と、波面Sw3との違い(例えば比率(Am/λm)の違い)を利用して、第1の領域R1と第2の領域R2と第3の領域R3とに成膜された積層膜4の除去速度を変化させて、導電パターン部を形成している点において、第1の実施形態とは異なっている。
【0105】
第2の実施形態における積層膜の除去工程では、積層膜4が形成された基体表面に対して除去処理を施すことにより、第3の領域R3では積層膜4が除去されるのに対して、第1の領域R1および第2の領域R2では積層膜4が残留する。これにより、波面Sw1、波面Sw2および波面Sw3のうち、波面Sw1および波面Sw2上に選択的に導電パターン部を形成することができる。
【0106】
具体的には、波面Sw1、波面Sw2および波面Sw3上に形成された積層膜4の状態等の違いを利用して、波面Sw3上に形成された積層膜4を実質的に除去するのに対して、波面Sw1および波面Sw2上に形成された積層膜4を連続的につながるように残留させることが好ましい。これにより、波面Sw1、波面Sw2および波面Sw3のうち波面Sw1および波面Sw2上に選択的に導電パターン部を形成することができる。
【0107】
また、波面Sw1、波面Sw2および波面Sw31上に形成された積層膜4の状態等の違いを利用して、波面Sw3上に形成された積層膜4を除去して島状などに不連続にするのに対して、波面Sw1および波面Sw2上に形成された積層膜4を連続的につながるように残留させることが好ましい。これにより、波面Sw1、波面Sw2および波面Sw3のうち波面Sw1および波面Sw2上に選択的に導電パターン部を形成することができる。
【0108】
また、波面Sw1、波面Sw2および波面Sw31上に形成された積層膜4の状態等の違いを利用して、波面Sw3上に形成された積層膜4を除去してその厚さを波面Sw1および波面Sw2上に形成された積層膜4の厚さに比して大幅に薄くすることが好ましい。これにより、波面Sw1、波面Sw2および波面Sw3のうち波面Sw1および波面Sw2上に選択的に導電パターン部を形成することができる。
【0109】
第2の実施形態では、第1の領域R1、第2の領域R2および第3の領域R3の全ての領域にそれぞれ波面Sw1、波面Sw2およびSw3を形成しているので、導電性素子1の反射防止特性を向上することができる。このような構成とする場合、導電パターン部として機能する第1の層41および第2の層42はそれぞれ、波面Sw1および波面Sw2に倣った形状とすることが好ましい。これにより、反射防止特性および/または透過特性の効果の低下を抑制することができるからである。
【0110】
変調(例えば振幅変調および/または周波数変調)が施された波面Sw1、波面Sw2および波面Sw3を基体表面に形成し、その基体表面上に積層膜4を形成することで、基体表面に形成した波面Sw1、波面Sw2および波面Sw3の変調の違いに応じて、積層膜4の状態を変化させることができる。したがって、基体2の波面Sw1、波面Sw2および波面Sw3の変調の違いに応じて、除去溶液に対する積層膜4の溶解度を変化させることができる。すなわち、基体2の波面Sw1、波面Sw2および波面Sw3の変調の違いを利用して、基体表面に所望の導電パターン部を形成することができる。
【0111】
基体表面の波面Sw1、波面Sw2および波面Sw3をそれぞれ、ナノ構造体31、ナノ構造体32、ナノ構造体33により形成した場合には、視認性および光学特性を向上することもできる。光学特性を劣化させずに所望の電気抵抗を実現することができる。
【0112】
<3.第3の実施形態>
図14Aは、本技術の第3の実施形態に係る導電性素子の一構成例を示す断面図である。第3の実施形態に係る導電性素子1は、基体2の両主面に平面Sp1、波面Sw2および波面Sw3を形成し、基体両面に導電パターン部を形成している点において、第1の実施形態とは異なっている。図14Aでは、基体両主面における平面Sp1、波面Sw2および波面Sw3の位置、面積、形状および配置順序などが同一となっているが、基体両主面における平面Sp1、波面Sw2および波面Sw2の位置、面積、形状および配置順序などはこの例に限られるものではなく、回路や素子の設計などに応じて所望の位置、面積、形状および配置順序などに設定することができる。
【0113】
また、図14Bに示すように、基体2の平面Sp1にスルーホール(貫通孔)を形成し、このスルーホールに導体インクなどの導電材料を埋め込み、基体2の両面に形成された回路などの導電パターン部を電気的に接続するようにしてもよい。スルーホールを形成するのは平面Sp1に限られるものではなく、波面Sw2に設けるようにしてもよい。基体2の両主面に対向して平面Sp1および波面Sw2が設けられている場合には、平面Sp1および波面Sw2をスルーホールにより貫通し、基体2の両面に形成された導電パターン部を電気的に接続するようにしてもよい。
【0114】
第3の実施形態では、基体2の両面に導電パターン部を形成しているので、第1の実施形態よりも多くの回路などを導電性素子1に搭載することが可能となる。
【0115】
<4.第4の実施形態>
図15Aは、本技術の第4の実施形態に係る導電性素子の一構成例を示す平面図である。図15Bは、図15Aに示したB−B線に沿った断面図である。図16Aは、図15Bに示した第1の領域の一部を拡大して表す断面図である。図16Bは、図15Bに示した第2の領域の一部を拡大して表す断面図である。図16Cは、図15Bに示した第3の領域の一部を拡大して表す断面図である。第4の実施形態に係る導電性素子1は、構造体31および構造体32が基体1の表面に対して凸状を有している点において、第1の実施形態のものとは異なっている。また、構造体31および構造体32のうち、一方を凹状のものとし、他方を凸状のものとすることも可能である。第1の領域R1および第2の領域R2に、凹状と凸状の構造体31および構造体32が混在しているようにしてもよい。
この第4の実施形態において、上記以外のことは、第1の実施形態と同様である。
【0116】
この第4の実施形態では、第1の実施形態における凸形状の構造体3の形状を反転して凹形状としているので、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0117】
<5.第5の実施形態>
[導電性素子の構成]
図17Aは、本技術の第5の実施形態に係る導電性素子の第1の領域の断面図である。図17Bは、本技術の第5の実施形態に係る導電性素子の第2の領域の断面図である。図17Cは、本技術の第5の実施形態に係る導電性素子の第3の領域の断面図である。
第5の実施形態に係る導電性素子は、第1の層41および第2の層42が以下の構成を有する点以外では、第1の実施形態のものと同様である。すなわち、第1の層41は、導電層4aと第1の機能層4bとの間に第2の機能層4dとをさらに備えている。第2の層42は、導電層4a上に第2の機能層4dをさらに備えている。
【0118】
第2の機能層4dは、少なくとも導電層4aまたは第1の機能層4bとは溶液に対する溶解度が異なっていることが好ましい。第2の機能層4dの材料としては、導電層4aおよび第1の機能層4bとは異なる材料、または第1の機能層4bとは異なる材料を用いることが好ましい。具体的には、第2の機能層4dの材料としては、金属を用いることが好ましく、金属としては、例えばAg、Al、Au、Pt、Pd、Ni、Cr、Nb、W、Mo、Ti、Cu、およびNdからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
【0119】
第2の機能層4dの材料としては、例えば、誘電体材料または透明導電材料を用いることができる。具体的には、酸化物、窒化物、硫化物、炭化物、フッ化物、および遷移金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、例えば、酸化物および遷移金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。酸化物としては、例えば、In、Zn、Sn、Al、Si、Ge、Ti、Ga、Ta、Nb、Hf、Zr、Cr、BiおよびMgからなる群から選ばれる1種以上の元素の酸化物が挙げられる。窒化物としては、例えば、In、Sn、Ge、Cr、Si、Al、Nb、Mo、Ti、Nb、Mo、Ti、W、TaおよびZnからなる群から選ばれる1種以上の元素の窒化物が挙げられる。硫化物としては、例えば、Zn硫化物が挙げられる。炭化物としては、例えば、In、Sn、Ge、Cr、Si、Al、Ti、Zr、TaおよびWからなる群より選ばれる1種以上の元素の炭化物が挙げられる。フッ化物としては、例えば、Si、Al、Mg、CaおよびLaからなる群より選ばれる1種以上の元素のフッ化物が挙げられる。遷移金属化合物としては、例えばAl、AlTi、AlCu、Cu、Ag、AgPdCu、Mo、Sn、Ti、W、Au、Pt、Pd、Ni、NbおよびCrなる群より選ばれる少なくとも1種以上の化合物を用いることができる。上述の材料を2種以上含む混合物としては、例えば、ZnS−SiO2、SiO2−Cr2O3−ZrO2、In2O3−CeO2、In2O3−Ga2O3、Sn2O3−Ta2O5、TiO2−SiO2などが挙げられる。
【0120】
第2の機能層4dはアモルファスと多結晶との混合状態にある層、および多結晶化状態にある層の少なくとも1種を含んでいることが好ましいがこれらに限定されるものではない。
【0121】
[導電性素子の製造方法]
第5の実施形態に係る導電性素子の製造方法は、積層膜の成膜工程および積層膜の除去工程以外の点においては、第1の実施形態と同様である。したがって、以下では、積層膜の成膜工程および積層膜の除去工程のみを説明する。
【0122】
(積層膜の成膜工程)
基体表面の第1の領域R1、第2の領域R2および第3の領域R3に2層以上の層を積層することにより、積層膜4を形成する。具体的には例えば、基体表面の第1の領域R1、第2の領域R2および第3の領域R3に導電層4a、第2の機能層4d、第1の機能層4bおよび第2の機能層4cをこの順序で積層することにより、積層膜4を形成する。
【0123】
(積層膜の除去工程)
積層膜4が形成された基体表面に対して、除去処理を施す。これにより、第3の領域R3では積層膜4が除去されるのに対して、第1の領域R1では積層膜4が第1の層41として残留するとともに、第2の領域R2では積層膜4の一部の層が第2の層42として残留する。具体的には例えば、第3の領域R1では導電層4a、第2の機能層4d、第1の機能層4bおよび第2の機能層4cが除去されるのに対して、第1の領域R1では導電層4a、第2の機能層4d、第1の機能層4bおよび第2の機能層4cが第1の層41として残留するとともに、第2の領域R2では導電層4aおよび第2の機能層4dが第2の層42として残留する。したがって、第1の領域R1に形成された第1の層41と、第2の領域R2に形成された第2の層42とは導電パターン部として機能するのに対して、第3の領域R3は上記導電パターン部間の絶縁領域として機能する。
【0124】
<6.第6の実施形態>
図18Aは、本技術の第6の実施形態に係る液晶表示素子の一構成例を示す斜視図である。図18Aに示すように、液晶表示素子は、パッシブマトリックス駆動方式(単純マトリックス駆動方式ともいう。)の表示素子であり、所定間隔を離して対向配置された第1の導電性素子101および第2の導電性素子102と、第1の導電性素子101および第2の導電性素子102の間に配置された液晶層(図示省略)とを備える。
【0125】
図18Aに示すように、第1の基体21の両主面のうち、第2の基体22に対向する一主面には、直線状の第2の領域R2および第3の領域R3が交互に繰り返し設定されている。第2の領域R2および第3の領域R3の表面構造は、上述の第1〜第5の実施形態のいずれかの第2の領域R2および第3の領域R3の表面構造と同様である。
【0126】
例えば、図19Aに示すように、第2の領域R2の第1の基体表面には波面Sw2が形成され、この波面Sw2上には第2の層42が連続的に形成されている。これに対して、第3の領域R3の第1の基体表面には波面Sw3が形成され、この波面Sw3上には第1の層41および第2の層42などの層が形成されていない状態となっている。したがって、第1の基体21の両主面のうち、第2の基体22に対向する一主面には、連続的に形成された第2の層42からなる複数の横(X)電極(第1の電極)がストライプ状に形成されている。
【0127】
図18Aに示すように、第2の基体22の両主面のうち、第1の基体21に対向する一主面には、直線状の第2の領域R2および第3の領域R3が交互に繰り返し設定されている。第2の領域R2および第3の領域R3の表面構造は、上述の第1〜第5の実施形態のいずれかの第2の領域R2および第3の領域R3の表面構造と同様である。
【0128】
例えば、図19Aに示すように、第2の領域R2の第2の基体表面には波面Sw2が形成され、この波面Sw2上には第2の層42が連続的に形成されている。これに対して、第3の領域R3の第2の基体表面には波面Sw3が形成され、この波面Sw3上には第1の層41および第2の層42などの層が形成されていない状態となっている。したがって、第2の基体22の両主面のうち、第1の基体21に対向する一主面には、連続的に形成された第2の層42からなる複数の縦(Y)電極(第2の電極)がストライプ状に形成されている。
【0129】
第1の基体21の第2の領域R2と、第2の基体22の第2の領域R2とは、互いに直交する関係にある。すなわち、第1の基体21の第2の層(横電極)42と、第2の基体22の第2の層(縦電極)42とは、互いに直交する関係にある。
【0130】
図18Bは、第1の導電性素子の表面を拡大して示す斜視図である。図18Bに示すように、第1の基体21の第2の領域R2の一端には、第1の領域R1が設定されている。この第1の領域R1は、例えば線状などの細長い形状を有し、その一端が第2の領域R2の一端に結合され、他端は第1の基体21の周縁部に設けられた端子部形成領域などに結合されている。第1の領域R1の両端以外の周縁部分には第3の領域R3が設定されている。第1の領域R1の表面構造は、上述の第1〜第5の実施形態のいずれかの第1の領域R1の表面構造と同様である。
【0131】
例えば、図19Aに示すように、第1の領域R1の第1の基体表面には、例えば平面Sp1が形成され、この平面Sp1上には第1の層41が連続的に形成されている。これに対して、第3の領域R3の第1の基体表面には、例えば波面Sw3が形成され、この波面Sw3上には第1の層41および第2の層42などの層が形成されていない状態となっている。したがって、横電極である第2の層42の一端から配線である第1の層41が引き出され、端子形成領域まで延在されている。この端子形成領域に形成される端子を介して、駆動回路に配線である第1の層41が電気的に接続される。
【0132】
また、図19Bに示すように、第1の領域R1にも波面Sw1を形成し、この波面Sw1上に第1の層41を連続的に形成するようにしてもよい。
【0133】
第2の基体22の第2の領域R2の一端にも、第1の基体21と同様に第1の領域R1が設定され、この第1の領域R1には第1の層41が連続的に形成される。したがって、縦電極である第2の層42の一端から配線である第1の層41が引き出され、端子形成領域まで延在されている。
【0134】
第6の実施形態では、波面の比率(Am/λm)の違いを利用して液晶表示素子の電極や配線などを作製することができる。また、例えば波面の波長を可視光の波長以下とした場合には、液晶表示素子の反射防止特性および/または透過特性を向上することができる。
【0135】
<7.第7の実施形態>
図20は、本技術の第7の実施形態に係るタッチパネルを備える表示装置の一構成例を示す斜視図である。図20に示すように、表示装置112上にタッチパネル(情報入力装置)201が設けられている。表示装置112とタッチパネル111とは、例えば粘着剤を介して貼り合わされている。また、タッチパネル111の表面にフロントパネル(表面部材)113をさらに備えるようにしてもよい。タッチパネル111とフロントパネル113とは、例えば粘着剤により貼り合わされる。
【0136】
表示装置112としては、例えば、液晶ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(Plasma Display Panel:PDP)、エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:EL)ディスプレイ、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(Surface-conduction Electron-emitter Display:SED)などの各種表示装置を用いることができる。タッチパネル111は、例えば、抵抗膜方式または静電容量方式のタッチパネルである。抵抗膜方式のタッチパネルとしては、例えば、マトリックス抵抗膜方式のタッチパネルが挙げられる。静電容量方式のタッチパネルとしては、例えば、Wire Sensor方式またはITO Grid方式の投影型静電容量方式タッチパネルが挙げられる。
【0137】
図21Aは、本技術の第7の実施形態に係るタッチパネルの第1の構成例を示す斜視図である。このタッチパネル111は、マトリックス抵抗膜方式のタッチパネルであり、ドットスペーサ(図示省略)を介して所定間隔を離して対向配置された第1の導電性素子201と第2の導電性素子202とを備える。
【0138】
図21Bは、第1の導電性素子の一構成例を示す分解斜視図である。なお、第2の導電性素子202は第1の導電性素子201とほぼ同様の構成を有するので、分解斜視図の記載を省略する。第1の基体21の両主面のうち、第2の基体22に対向する一主面には、矩形状の第2の領域R2および第3の領域R3が交互に繰り返し設定されている。第2の領域R2および第3の領域R3における第1の基体21の表面構造は、上述の第1〜第5の実施形態のいずれかの第1の領域R1および第2の領域R2の表面構造と同様である。
【0139】
例えば、図19Aに示すように、第2の領域R2の第1の基体表面には波面Sw2が形成され、この波面Sw2上には第2の層42が連続的に形成されている。これに対して、第3の領域R3の第1の基体表面には波面Sw3が形成され、この波面Sw3上には第1の層41および第2の層42などの層が形成されていない状態となっている。したがって、第1の基体21の両主面のうち、第2の基体22に対向する一主面には、連続的に形成された第2の層42からなる複数の横(X)電極(第1の電極)がストライプ状に形成されている。
【0140】
第2の基体22の両主面のうち、第1の基体21に対向する一主面には、矩形状の第1の領域R1および第2の領域R2が交互に繰り返し設定されている。第1の領域R1および第2の領域R2における第2の基体22の表面構造は、上述の第1〜第5の実施形態のいずれかの第1の領域R1および第2の領域R2の表面構造と同様である。
【0141】
例えば、図19Aに示すように、第2の領域R2の第2の基体表面には波面Sw2が形成され、この波面Sw2上には第2の層42が連続的に形成されている。これに対して、第3の領域R3の第2の基体表面には波面Sw3が形成され、この波面Sw3上には第1の層41および第2の層42などの層が形成されていない状態となっている。したがって、第2の基体22の両主面のうち、第1の基体21に対向する一主面には、連続的に形成された第2の層42からなる複数の縦(Y)電極(第2の電極)がストライプ状に形成されている。
【0142】
第1の基体21の第2の領域R2と、第2の基体22の第2の領域R2とは、互いに直交する関係にある。すなわち、第1の基体21の第2の層(横電極)42と、第2の基体22の第2の層(縦電極)42とは、互いに直交する関係にある。
【0143】
図22は、図21Aに示した領域Rを拡大して表す平面図である。第1の基体21の第2の領域R2の一端には、第1の領域R1が設定されている。この第1の領域R1は、例えば線状などの細長い形状を有し、その一端が第2の領域R2の一端に結合され、他端は第1の基体21の周縁部に設けられるFPC(Flexible Printed Circuit)に結合される。第1の領域R1の両端以外の周縁部分には第3の領域R3が設定されている。第1の領域R1の表面構造は、上述の第1〜第5の実施形態のいずれかの第1の領域R1の表面構造と同様である。
【0144】
例えば、図19Aに示すように、第1の領域R1の第1の基体表面には、例えば平面Sp1が形成され、この平面Sp1上には第1の層41が連続的に形成されている。これに対して、第3の領域R3の第1の基体表面には、例えば波面Sw3が形成され、この波面Sw3上には第1の層41および第2の層42などの層が形成されていない状態となっている。したがって、横電極である第2の層42の一端から配線である第1の層41が引き出され、FPCが形成される領域まで延在されている。この領域に形成されるFPCを介して、駆動回路に配線である第1の層41が電気的に接続される。
【0145】
また、図19Bに示すように、第1の領域R1にも波面Sw1を形成し、この波面Sw1上に第1の層41を連続的に形成するようにしてもよい。
【0146】
第2の基体22の第2の領域R2の一端にも、第1の基体21と同様に第1の領域R1が設定され、この第1の領域R1には第1の層41が連続的に形成される。したがって、縦電極である第2の層42の一端から配線である第1の層41が引き出され、FPCが形成される領域まで延在されている。
【0147】
図23Aは、本技術の第7の実施形態に係るタッチパネルの第2の構成例を示す斜視図である。このタッチパネルは、ITO Grid方式の投影型静電容量方式タッチパネルであり、重ね合わされた第1の導電性素子211と第2の導電性素子212とを備える。
【0148】
図23Bは、第1の導電性素子の一構成例を示す分解斜視図である。なお、第2の導電性素子212は第1の導電性素子211とほぼ同様の構成を有するので、分解斜視図の記載を省略する。第1の基体21の両主面のうち、第2の基体22に対向する一主面には、第2の領域R2および第3の領域R3が交互に繰り返し設定され、隣り合う第2の領域R2の間は第3の領域R3により隔てられている。第2の基体22の両主面のうち、第1の基体21に対向する一主面には、第2の領域R3および第3の領域R3が交互に繰り返し設定され、隣り合う第2の領域R2の間は第3の領域R3により隔てられている。第2の領域R2および第3の領域R3における第1の基体21および第2の基体22の表面構造は、上述の第1〜第5の実施形態のいずれかの第2の領域R2および第3の領域R3における表面構造と同様である。
【0149】
第1の基体21の第2の領域R2は、所定形状の単位領域C1をX軸方向に繰り返し連結してなり、第2の領域R2の間に設けられた第3の領域R3は、所定形状の単位領域C2をX軸方向に繰り返し連結してなる。第2の基体21の第2の領域R2は、所定形状の単位領域C1をY軸方向に繰り返し連結してなり、第2の領域R2の間に設けられた第3の領域R3は、所定形状の単位領域C2をY軸方向に繰り返し連結してなる。単位領域C1および単位領域C2の形状としては、例えば菱形形状(ダイヤモンド形状)、三角形状、四角形状などが挙げられるが、これらの形状に限定されるものではない。
【0150】
例えば、図19Aに示すように、第2の領域R2における第1の基体表面または第2の基体表面には波面Sw2が形成され、この波面Sw2上には第2の層42が連続的に形成されている。これに対して、第3の領域R3における第1の基体表面または第2の基体表面には波面Sw3が形成され、この波面Sw3上には第1の層41および第2の層42などの層が形成されていない状態となっている。したがって、第1の基体21の両主面のうち、第2の基体22に対向する一主面には、連続的に形成された第2の層42からなる複数の横(X)電極(第1の電極)が配列されている。また、第2の基体22の両主面のうち、第1の基体21に対向する一主面には、連続的に形成された第2の層42からなる複数の縦(Y)電極(第2の電極)が配列されている。横電極および縦電極は、第2の領域R2と同様の形状を有する。
【0151】
第1の導電性素子211の横電極と第2の導電性素子212の縦電極とは互いに直交する関係にある。第1の導電性素子211と第2の導電性素子212とを重ね合わせた状態において、第1の導電性素子211の第2の領域R2と、第2の導電性素子212の第3の領域R3とが重ね合わされ、第1の導電性素子211の第3の領域R3と、第2の導電性素子212の第2の領域R2とが重ね合わされる。
【0152】
第1の基体21の第2の領域R2の一端には、第1の領域R1が設定されている。この第1の領域R1は、例えば線状などの細長い形状を有し、その一端が第2の領域R2の一端に結合され、他端は第1の基体21の周縁部に設けられるFPC(Flexible Printed Circuit)に結合される。第1の領域R1の両端以外の周縁部分には第3の領域R3が設定されている。第1の領域R1の表面構造は、上述の第1〜第5の実施形態のいずれかの第1の領域R1の表面構造と同様である。
【0153】
例えば、図19Aに示すように、第1の領域R1の第1の基体表面には、例えば平面Sp1が形成され、この平面Sp1上には第1の層42が連続的に形成されている。これに対して、第3の領域R3の第1の基体表面には、例えば波面Sw3が形成され、この波面Sw3上には第1の層41および第2の層42などの層が形成されていない状態となっている。したがって、横電極である第2の層42の一端から配線である第1の層41が引き出され、FPCが形成される領域まで延在されている。この領域に形成されるFPCを介して、駆動回路に配線である第1の層41が電気的に接続される。
【0154】
また、図19Bに示すように、第1の領域R1にも波面Sw1を形成し、この波面Sw1上に第1の層41を連続的に形成するようにしてもよい。
【0155】
第2の基体22の第2の領域R2の一端にも、第1の基体21と同様に第1の領域R1が設定され、この第1の領域R1には第1の層41が連続的に形成される。したがって、縦電極である第2の層42の一端から配線である第1の層41が引き出され、FPCが形成される領域まで延在されている。
【0156】
第7の実施形態では、波面の比率(Am/λm)の違いを利用してタッチパネル111の電極や配線などを作製することができる。また、例えば波面の波長を可視光の波長以下とした場合には、タッチパネル111の反射防止特性および/または透過特性を向上することができる。
【0157】
第7の実施形態に係る情報入力装置では、例えば横電極および縦電極を形成する第2の層42の有無にかかわらず、低反射および高透過率を実現できるため、電極の視認を抑制できる。これに対して、導電層などの層からなる電極を基体表面に形成する従来の情報入力装置(例えば、マトリクス式抵抗膜方式タッチパネルや静電容量式タッチパネルなど)では、導電層などの層と基体とは反射率が異なるため、電極が見えて表示品質が劣化する傾向がある。
【0158】
<8.第8の実施形態>
図24Aは、本技術の第8の実施形態に係るICカードの一構成例を示す平面図である。図24Aに示すように、このICカードは、いわゆる非接触型ICカードであり、基体2と、アンテナコイルを形成する第2の層42と、ICチップ301とを備える。第2の層42からなるアンテナコイルの両端がそれぞれ、第1の層41からなる配線を介してICチップ301に対して接続されている。また、基体2の両面には外装材(図示省略)が設けられている。
【0159】
基体2の形状としては、フィルム状、シート状、基板状を用いることができるが、特にこれらの材料に限定されるものではなく、ICカードに求められる特性に応じて任意に選択し使用することが可能である。基体2の材料としては、耐久性や利便性などの観点から、フレキシブル性を有する樹脂材料を用いることが好ましい。このような樹脂材料としては、例えば、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリイミド(PI)、ポリエステルを用いることができるが、特にこれらの材料に限定されるものではなく、従来公知の樹脂材料からICカードに求められる特性に応じて任意に選択し使用することが可能である。
【0160】
図24Bは、図24Aに示したアンテナコイルが形成された領域を拡大して表す平面図である。基体2の一主面の周縁部には、例えば、第2の領域R2と第3の領域R3とが交互に螺旋状に形成されている。第2の領域R2および第3の領域R3における基体2の表面構造は、上述の第1〜第5の実施形態のいずれかの導電性素子における基体の表面構造と同様である。
【0161】
例えば、図19Aに示すように、第2の領域R2の基体表面には波面Sw2が形成され、この波面Sw2上には第2の層42が連続的に形成されている。これに対して、第3の領域R3の基体表面には波面Sw3が形成され、この波面Sw3上には第1の層41および第2の層42などの層が形成されていない状態となっている。したがって、基体2の一主面の周縁部には、連続的に形成された第2の層42からなるアンテナコイルが第2の領域R2の形状に倣って形成されている。
【0162】
図24Cは、図24Aに示した配線が形成された領域を拡大して表す平面図である。基体2の第2の領域R2の端部には、第1の領域R1が設定されている。この第1の領域R1は、例えば線状などの細長い形状を有し、その一端が第2の領域R2の一端に結合され、他端はICチップ301の端子部形成領域などに結合されている。第1の領域R1の両端以外の周縁部分には第3の領域R3が設定されている。第1の領域R1の表面構造は、上述の第1〜第5の実施形態のいずれかの第1の領域R1の表面構造と同様である。
【0163】
例えば、図19Aに示すように、第1の領域R1の基体表面には、例えば平面Sp1が形成され、この平面Sp1上には第1の層42が連続的に形成されている。これに対して、第3の領域R3の基体表面には、例えば波面Sw3が形成され、この波面Sw3上には第1の層41および第2の層42などの層が形成されていない状態となっている。したがって、アンテナコイルである第2の層42の一端から配線が引き出され、ICチップ301の端子形成領域まで延在されている。この端子形成領域に形成される端子を介して、ICチップ301に配線である第1の層41が電気的に接続される。
【0164】
また、図19Bに示すように、第1の領域R1にも波面Sw1を形成し、この波面Sw1上に第1の層41を連続的に形成するようにしてもよい。
【0165】
外装材は、ICカードの表面および裏面を構成するものであり、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチルテレフタレート)、PEG(ポリエチレングリコール、配向PETなどの高分子材料を主成分とするが、特にこれらの材料に限定されるものではなく、従来公知の樹脂材料からICカードに求められる特性に応じて任意に選択し使用することが可能である。
【0166】
アンテナコイルは、基体2上に複数回巻回されて形成されたループコイル形状の電磁誘導コイルであり、その両端はICチップ301に接続されている。アンテナコイルは、リーダ/ライタから発せられる交流磁界を受信して交流電圧を誘起し、その交流電圧をICチップ301に供給する。
【0167】
ICチップ301は、アンテナコイルから供給される電力により駆動し、ICカード内の各部を制御する。例えば、ICチップ301は、アンテナコイルを介してリーダ/ライタと通信を行う。具体的には、リーダ/ライタとの相互認証やデータのやり取りなどを行う。
【0168】
第8の実施形態では、波面の比率(Am/λm)の違いを利用してICカードのアンテナコイルを作製することができる。したがって、ICカードの生産性を向上することができる。
【0169】
<9.第9の実施形態>
図25Aは、本技術の第9の実施形態に係る表示装置の構成の一例を示す断面図である。図25Bは、図25Aに示した配線領域を拡大して表す拡大断面図である。図25Cは、図25Aに示した非配線領域を拡大して表す拡大断面図である。第9の実施形態において、第6の実施形態と同一の箇所または対向する箇所には同一の符号を付す。この表示装置400は、いわゆるマイクロカプセル電気泳動方式の電子ペーパーであり、第1の導電性素子401と、第1の導電性素子401と対向配置された第2の導電性素子402と、これらの両素子間に設けられたマイクロカプセル層(媒質層)403とを備える。ここでは、マイクロカプセル電気泳動方式の電子ペーパーに対して本技術を適用した例について説明するが、電子ペーパーはこの例に限定されるものではなく、対向配置された導電性素子間に媒質層が設けられた構成であれば本技術は適用可能である。ここで、媒質には液体および固体以外に、空気などの気体も含まれる。また、媒質には、カプセル、顔料および粒子などの部材が含まれていてもよい。マイクロカプセル電気泳動方式以外に本技術を適用可能な電子ペーパーとしては、例えばツイストボール方式、サーマルリライタブル方式、トナーディスプレイ方式、In−Plane型電気泳動方式、電子粉粒方式の電子パーパーなどが挙げられる。
【0170】
マイクロカプセル層403は、多数のマイクロカプセル431を含んでいる。マイクロカプセル内には、例えば、黒色粒子おび白色粒子が分散された透明な液体(分散媒)が封入されている。
【0171】
第1の導電性素子401は、図25Bおよび図25Cに示すように、第2の導電性素子402と対向する波面Sw2および波面Sw3を有する第1の基体21と、波面Sw2上に形成された第2の層42とを備える。また、必要に応じて、粘着剤などの貼合層411を介して、第1の基体2をガラスなどの支持体412に貼り合わせるようにしてもよい。第2の導電性素子402は、図25Bおよび図25Cに示すように、第1の導電性素子401と対向する波面Sw2および波面Sw3を有する第2の基体22と、波面Sw2上に形成された第2の層42とを備える。
【0172】
第1の基体21および第2の基体22に形成された第2の層42は、表示装置400の駆動方式に応じて所定の電極パターン状に形成されている。駆動方式としては、例えば単純マトリックス駆動方式、アクティブマトリックス駆動方式、セグメント駆動方式などが挙げられる。
この第9の実施形態において、上記以外のことは第6の実施形態と同様である。
【0173】
<本技術の構成>
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)第1の波面、第2の波面および第3の波面を有する基体と、
上記第1の波面上に設けられた第1の層と、
上記第2の波面上に形成された第2の層と
を備え、
上記第1の層は、2以上の層が積層された積層構造を有し、
上記第2の層は、上記第1の層の一部の層からなる単層構造または積層構造を有し、
上記第1の層および上記第2の層は、導電パターン部を形成し、
上記第1の波面、上記第2の波面および上記第3の波面が、以下の関係を満たす導電性素子。
0≦(Am1/λm1)<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8
(但し、Am1:第1の波面の振動の平均幅、Am2:第2の波面の振動の平均幅、Am3:第3の波面の振動の平均幅、λm1:第1の波面の平均波長、λm2:第2の波面の平均波長、λm3:第3の波面の平均波長)
(2)上記第1の波面、上記第2の波面および上記第3の波面が、以下の関係を満たし、
上記第2の波面の波長λ2および上記第3の波面の波長λ3が、可視光の波長以下である(1)記載の導電性素子。
(Am1/λm1)=0、0<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8
(3)上記第1の波面、上記第2の波面および上記第3の波面が、以下の関係を満たし、
上記第1の波面の波長λ1、上記第2の波面の波長λ2および上記第3の波面の波長λ3が、可視光の波長以下である(1)記載の導電性素子。
0<(Am1/λm2)<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8
(4)上記第1の波面、上記第2の波面および上記第3の波面が、以下の関係を満たし、
上記第2の波面の波長λ2および上記第3の波面の波長λ3が、100μm以下である(1)記載の導電性素子。
(Am1/λm1)=0、0<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8
(5)上記第1の波面、上記第2の波面および上記第3の波面が、以下の関係を満たし、
上記第1の波面の波長λ1、上記第2の波面の波長λ2および上記第3の波面の波長λ3が、100μm以下である(1)記載の導電性素子。
0<(Am1/λm2)<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8
(6)上記第3の波面上に形成された第3の層をさらに備え、
上記第3の層は、上記第2の層の一部の層からなり、
上記第1の層、上記第2の層および上記第3の層が、以下の関係を満たす(1)から(5)のいずれか1項に記載の導電性素子。
S1>S2>S3
(但し、S1:第1の層の単位面積、S2:第2の層の単位面積、S3:第3の層の単位面積)
(7)上記第1の層および上記第2の層はそれぞれ、上記第1の波面および上記第2の波面上に連続的に形成されているのに対して、上記第3の層は、上記第3の波面上に不連続的に形成されている(6)記載の導電性素子。
(8)上記第3の波面上に形成された第3の層をさらに備え、
上記第1の層、上記第2の層、および上記第3の層が、以下の関係を満たす(1)から(5)のいずれか1項に記載の導電性素子。
d1>d2>d3
(但し、d1:第1の層の平均厚さ、d2:第2の層の平均厚さ、d3:第3の層の平均厚さ)
(9)上記第1の層は、導電層と、該導電層上に形成された第1の機能層と、該第1の機能層上に形成された第2の機能層とを備え、
上記第2の層は、導電層を備える(1)から(8)のいずれか1項に記載の導電性素子。
(10)上記導電層と上記第1の機能層との間に形成された第2の機能層をさらに備える(9)記載の導電性素子。
(11)上記導電層は、酸化物半導体を含む透明導電層であり、
上記酸化物半導体は、インジウム錫酸化物、または酸化亜鉛を含んでいる(9)または(10)記載の導電性素子。
(12)上記酸化物半導体は、アモルファスと多結晶との混合状態である(11)記載の導電性素子。
(13)上記第1の機能層および上記第2の機能層は異なる材料からなる(9)から(12)のいずれか1項に記載の導電性素子
(14)上記第1の機能層および上記第2の機能層は、金属層であり、
上記金属層は、Ag、Al、Au、Pt、Pd、Ni、Cr、Nb、W、Mo、Ti、Cu、およびNdからなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでいる(9)から(13)のいずれか1項に記載の導電性素子。
(15)上記第1の機能層および第2の機能層は、酸化物および遷移金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでいる(9)から(13)のいずれか1項に記載の導電性素子。
(16)上記第1の機能層および第2の機能層は、アモルファスと多結晶とを混合した膜、または多結晶化した膜を少なくとも1種含んでいる(9)から(15)のいずれか1項に記載の導電性素子。
(17)(1)から(16)のいずれか1項に記載の導電性素子を備える配線素子。
(18)(1)から(16)のいずれか1項に記載の導電性素子を備える情報入力装置。
(19)(1)から(16)のいずれか1項に記載の導電性素子を備える表示装置。
(20)(1)から(16)のいずれか1項に記載の導電性素子を備える電子機器。
(21)(1)から(16)のいずれか1項に記載の導電性素子を作製する原盤。
(22)第1の波面、第2の波面および第3の波面を有する基体表面に対して、2層以上の層を積層して積層膜を形成する工程と、
上記第1の波面、上記第2の波面および上記第3の波面のうち、上記第3の波面上に形成された積層膜を除去するのに対して、上記第1の波面上に形成された積層膜を第1の層として残すとともに、上記第2の波面上に形成された積層膜の一部の層を第2の層として残すことにより、導電パターン部を形成する工程と
を備え、
上記第1の波面、上記第2の波面および上記第3の波面が、以下の関係を満たす導電性素子の製造方法。
0≦(Am1/λm1)<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8
(但し、Am1:第1の波面の振動の平均幅、Am2:第2の波面の振動の平均幅、Am3:第3の波面の振動の平均幅、λm1:第1の波面の平均波長、λm2:第2の波面の平均波長、λm3:第3の波面の平均波長)
【実施例】
【0174】
以下、実施例により本技術を具体的に説明するが、本技術はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0175】
実施例では、導電性シートの表面抵抗は4端子抵抗測定器にて測定した。プローブ先端のプローブ径Rは100μmであり、プローブのピッチは1mmである。
【0176】
(参考例1)
(転写工程)
まず、図26Aに示すように、平面領域(第1の領域)R1とナノ構造体形成領域(第2の領域)R2とが成形面にストライプ状に形成された石英マスタを準備した。次に、この石英マスタの成形面上に紫外線硬化樹脂を塗布し、易接着層付きPETシートを密着させて、紫外線を照射し硬化させながら、PETシートを剥離した。これにより、PETシート表面のうち、ナノ構造体形成領域(第2の領域)R2には凸状のナノ構造体が多数形成されるのに対して、平面領域(第1の領域)R1には平坦面が形成された光学シートが得られた。構造体の配置ピッチは250nm、構造体の高さは200nm、構造体の形状は円錐台、構造体の配列は六方配置であった。
【0177】
(成膜工程)
次に、スパッタリング法により、光学シートの成形面上にITO層を形成した。到達真空度は0.00015Pa、成膜時真空度は0.24Paとし、成膜時にはArガスとO2ガスとを導入し、その混合比率はAr:O2=200:13とした。また、膜厚が平板換算で30nmとなるように成膜条件を調整した。なお、平板換算膜厚は、構造体頂部の膜厚とほぼ等しくなる。
【0178】
(アニール工程)
次に、ITO層を形成した光学シートに対して、150℃、30分間の大気中アニールを施した。これにより、ITO層の多結晶化が促進された。次に、この促進の状態を確認すべく、X線回折(X‐ray diffraction:XRD)でITO層を測定したところ、In2O3のピークが確認された。
【0179】
(除去工程)
次に、アニール処理を施した光学シートを、PH3程度の溶液に20秒間浸漬させた。
【0180】
(洗浄工程)
次に、除去処理を施した光学シートを純水により洗浄した。
以上により、目的とする透明導電性シートが得られた。
【0181】
(導通/非導通評価)
上述のようにして得られた実施例1に係る透明導電性シートの表面について、テスターを用いて導通および非導通を、図26Bに示すポイントで評価した。その評価結果を表1に示す。
【0182】
表1は、参考例1に係る透明導電性シートの評価結果を示す。
【表1】
【0183】
表1から以下のことがわかる。
透明導電性シート表面のうちナノ構造体形成領域(第2の領域)R2は絶縁状態となるのに対して、平面領域(第1の領域)R1は導通状態となる。したがって、インプリント工程、成膜工程および除去工程を順次行うだけで、配線や電極などの所望の導電パターン部を基体表面に形成できる。すなわち、スループットを向上することができる
【0184】
(実施例1)
(転写工程)
まず、平面Sp1を有する第1の領域と、波面Sw2を有する第2の領域と、波面Sw3を有する第3の領域とがストライプ状に順次形成された石英マスタを作製した。
次に、この石英マスタの成形面上に紫外線硬化樹脂を塗布し、易接着層付きPETシートを密着させて、紫外線を照射し硬化させながら、PETシートを剥離した。これにより、第1の領域と第2の領域と第3の領域とが転写された光学シート(ナノインプリントフィルム)が作製された。
【0185】
(形状測定)
次に、作製した光学シートの転写面における波面Sw1および波面Sw2の平均波長λmおよび振動の平均幅Amを測定し、それらの測定値から比率(Am/λm)を求めた。その結果を表2に示す。
【0186】
(成膜工程)
次に、スパッタリング法により、光学シートの成形面上に積層膜を形成した。
以下に、積層膜の構成を示す。
TiOx層(第2の機能層)/ITO層(密着層)/Ag層(第1の機能層)/ITO層(密着層)/TiOx層(第2の機能層)/ITO層(導電層)/光学シート成形面
【0187】
以下に、各層の成膜条件を示す。
【0188】
・TiOx層(第2の機能層)
成膜時真空度:0.28Pa程度
ガス種:ArガスとO2ガスとの混合ガス
平板換算膜厚:10nm
【0189】
・ITO層(密着層)
到達真空度:0.00015Pa
成膜時真空度:0.24Pa
ガス種:ArガスとO2ガスとの混合ガス
混合ガスの混合比率(体積比率):Ar:O2=200:16
平板換算膜厚:20nm
【0190】
・Ag層(第1の機能層)
成膜時真空度:0.11Pa
ガス種:Arガス
ガス流量:100sccm
平板換算膜厚:100nm
【0191】
・ITO層(導電層)
到達真空度:0.00015Pa
成膜時真空度:0.24Pa
ガス種:ArガスとO2ガスとの混合ガス
混合ガスの混合比率(体積比率):Ar:O2=200:16
平板換算膜厚:40nm
【0192】
ここで、平板換算膜厚は、上述の光学シート表面にITO層、TiOx層またはAg層を形成した場合と同様の成膜条件にて、平板上にITO層、TiOx層またはAg層を形成したときの膜厚であり、上述の光学シートの波面頂部の膜厚とほぼ等しくなる。
【0193】
(表面抵抗測定)
次に、上述のようにして作製した導電性シートの表面抵抗を測定した。
【0194】
(除去工程)
次に、導電性シートをPH3程度の溶液に60秒間浸漬させた。
【0195】
(洗浄工程)
次に、純水にて導電性シートを洗浄した。
以上により、目的とする導電性シートが作製された。
【0196】
(表面抵抗測定)
次に、上述のようにして作製した導電性シートの表面抵抗を測定した。
【0197】
(実施例2)
第2の機能層として、TiOx層に代えてZrOx層を用いる以外は実施例1と同様にして導電性シートを作製するとともに、除去工程前後の表面抵抗を測定した。
【0198】
(実施例3)
第2の機能層として、TiOx層に代えてTaOx層を用いる以外は実施例1と同様にして導電性シートを作製するとともに、除去工程前後の表面抵抗を測定した。
【0199】
(実施例4)
第2の機能層として、TiOx層に代えてNbOx層を用いる以外は実施例1と同様にして導電性シートを作製するとともに、除去工程前後の表面抵抗を測定した。
【0200】
(実施例5)
第2の機能層として、TiOx層に代えてSiNx層を用いる以外は実施例1と同様にして導電性シートを作製するとともに、除去工程前後の表面抵抗を測定した。
【0201】
(実施例6)
第2の機能層として、TiOx層に代えてSiOx層を用いる以外は実施例1と同様にして導電性シートを作製するとともに、除去工程前後の表面抵抗を測定した。
【0202】
(実施例7)
密着層として、ITO層に代えてSnO2層を用いる以外は実施例6と同様にして導電性シートを作製するとともに、除去工程前後の表面抵抗を測定した。
【0203】
(実施例8)
密着層として、ITO層に代えてIn2O3層を用いる以外は実施例6と同様にして導電性シートを作製するとともに、除去工程前後の表面抵抗を測定した。
【0204】
表2は、実施例1〜8に係る導電性シートの測定結果を示す。
【表2】
【0205】
上述の評価結果から以下のことがわかった。
導電性シート表面のうち、平面Sp1を有する第1の領域では、全ての層が除去工程後も残っているため低抵抗が保持されていた。
導電性シート表面のうち、波面Sw2を有する第2の領域では、除去工程前は不透明かつ低抵抗であるが、除去工程後は透明かつ高抵抗となった。これは、Ag層以上の層が除去工程により除去され最下層のITO層が残ったためと考えられる。
導電性シート表面のうち、波面Sw3を有する第3の領域では、除去工程前は不透明かつ低抵抗であるが、除去工程後は透明かつ絶縁状態となった。これは、全ての層が除去工程により除去されたためと考えられる。
【0206】
(参考例2−1)
(成膜工程)
まず、平滑な表面を有するPETシートを準備した。次に、スパッタリング法により、PETシート上にITO層を形成した。到達真空度は0.00015Pa、成膜時真空度は0.24Paとし、成膜時にはArガスとO2ガスとを導入し、その混合比率はAr:O2=20:1とした。また、ITO層の膜厚が30nmとなるように成膜条件を調整した。
【0207】
(アニール工程)
次に、ITO層を形成したPETシートに対して、150℃、60分間の大気中アニールを施した。これにより、ITO層の多結晶化が促進された。次に、この促進の状態を確認すべく、X線回折(X‐ray diffraction:XRD)でITO層を測定したところ、In2O3のピークが確認された。
以上により、目的とする光学シートが得られた。
【0208】
(参考例2−2)
(成膜工程、アニール工程)
まず、参考例2−1と同様にして成膜工程およびアニール工程を行い、アニール処理が施されたITO層を有するPETフィルムを作製した。
【0209】
(除去工程)
次に、アニール処理を施したPETフィルムを、PH3程度の溶液に10秒間浸漬させて、ITO層をエッチングした。
【0210】
(洗浄工程)
次に、除去処理を施したPETシートに対して、純水洗浄、IPA(イソプロピルアルコール)洗浄、純粋洗浄を順次行った。
以上により、目的とする光学シートが得られた。
【0211】
(参考例2−3)
浸漬時間を20秒間に変更する以外は参考例2−2と同様にして光学シートを得た。
【0212】
(参考例2−4)
浸漬時間を30秒間に変更する以外は参考例2−2と同様にして光学シートを得た。
【0213】
(参考例2−5)
浸漬時間を40秒間に変更する以外は参考例2−2と同様にして光学シートを得た。
【0214】
(参考例2−6)
浸漬時間を50秒間に変更する以外は参考例2−2と同様にして光学シートを得た。
【0215】
(参考例2−7)
浸漬時間を60秒間に変更する以外は参考例2−2と同様にして光学シートを得た。
【0216】
(参考例3−1)
(転写工程)
まず、凹状のナノ構造体が成形面に形成された石英マスタを準備した。次に、ナノ構造体を形成した石英マスタに紫外線硬化樹脂を塗布し、易接着層付きPETシートを密着させ紫外線を照射し硬化させながら、PETシートを剥離した。これにより、ナノ構造体が多数表面に形成されたPETシートが得られた。
以下に、PETシート表面に形成されたナノ構造体の構成の詳細を示す。
構造体の配列:六方格子配列
構造体の凹凸形状:凸状
構造体の全体形状:円錐台
構造体の配置ピッチ:250nm
構造体の高さ:90nm
構造体のアスペクト比:0.36
【0217】
(成膜工程)
次に、スパッタリング法により、ナノ構造体が形成されたPETシート表面上にITO層を形成した。到達真空度は0.00015Pa、成膜時真空度は0.24Paとし、成膜時にはArガスとO2ガスとを導入し、その混合比率はAr:O2=20:1とした。また、膜厚が平板換算で30nmとなるように成膜条件を調整した。なお、平板換算膜厚は、ナノ構造体が形成されたPETシート表面にITO層を形成した場合と同様の成膜条件にて、平板上にITO層を形成したときの膜厚である。本技術者らの知見によれば、平板換算膜厚は、構造体頂部の膜厚とほぼ等しくなる。
【0218】
(アニール工程)
次に、ITO層を形成したPETシートに対して、150℃、60分間の大気中アニールを施した。これにより、ITO層の多結晶化が促進された。次に、この促進の状態を確認すべく、X線回折(X‐ray diffraction:XRD)でITO層を測定したところ、In2O3のピークが確認された。
以上により、目的とする光学シートが得られた。
【0219】
(参考例3−2)
(成膜工程、アニール工程)
まず、参考例3−1と同様にして成膜工程およびアニール工程を行い、アニール処理が施されたITO層を有するPETフィルムを作製した。
【0220】
(除去工程)
次に、アニール処理を施したPETフィルムを、PH3程度の溶液に10秒間浸漬させて、ITO層を除去した。
【0221】
(洗浄工程)
次に、除去処理を施したPETシートに対して、純水洗浄、IPA洗浄、純粋洗浄を順次行った。
以上により、目的とする光学シートが得られた。
【0222】
(参考例3−3)
浸漬時間を20秒間に変更する以外は参考例3−2と同様にして光学シートを得た。
【0223】
(参考例4−1)
構造体の配置ピッチを250nm、構造体の高さを120nm、アスペクト比を0.48とする以外は参考例3−1と同様にして光学シートを得た。
【0224】
(参考例4−2)
構造体の配置ピッチを250nm、構造体の高さを120nm、アスペクト比を0.48とする以外は参考例3−2と同様にして光学シートを得た。
【0225】
(参考例4−3)
構造体の配置ピッチを250nm、構造体の高さを120nm、アスペクト比を0.48とする以外は参考例3−3と同様にして光学シートを得た。
【0226】
(参考例5−1)
構造体の配置ピッチを250nm、構造体の高さを155nm、アスペクト比を0.62とする以外は参考例3−1と同様にして光学シートを得た。
【0227】
(参考例5−2)
構造体の配置ピッチを250nm、構造体の高さを155nm、アスペクト比を0.62とする以外は参考例3−2と同様にして光学シートを得た。
【0228】
(参考例5−3)
構造体の配置ピッチを250nm、構造体の高さを155nm、アスペクト比を0.62とする以外は参考例3−3と同様にして光学シートを得た。
【0229】
(参考例6−1)
(成膜工程、アニール工程)
以下のプレズムシート(住友スリーエム社製、商品名:T−BEF)を用いる以外は参考例3−1と同様にして成膜工程およびアニール工程を行い、アニール処理が施されたITO層を有するプリズムシートを作製した。
以上により、目的とする光学シートが得られた。
以下に、プレズムシートの構成の詳細を示す。
プリズム(構造体)の配列:1次元配列
プリズムの凹凸形状:凸状
プリズムの形状:断面2等辺三角形状の柱状体
プリズムの配置ピッチ:10μm
プリズムの高さ:5μm
プリズムのアスペクト比:0.50
【0230】
(参考例6−2)
(成膜工程、アニール工程)
まず、参考例6−1と同様にして成膜工程およびアニール工程を行い、アニール処理が施されたITO層を有するプリズムシートを作製した。
【0231】
(エッチング工程)
次に、アニール処理を施したプリズムシートを、PH3程度の溶液に10秒間浸漬させて、ITO層をエッチングした。
【0232】
(洗浄工程)
次に、エッチング処理を施したPETシートに対して、純水洗浄、IPA洗浄、純粋洗浄を順次行った。
以上により、目的とする光学シートが得られた。
【0233】
(参考例6−3)
浸漬時間を20秒間に変更する以外は参考例6−2と同様にして光学シートを得た。
【0234】
(参考例6−4)
浸漬時間を30秒間に変更する以外は参考例6−2と同様にして光学シートを得た。
【0235】
(参考例8−5)
浸漬時間を40秒間に変更する以外は参考例6−2と同様にして光学シートを得た。
【0236】
(表面抵抗)
上述のようにして得られた参考例2−1〜6−5の光学シート表面の表面抵抗値を4端針法にて測定した。その結果を表9に示す。
【0237】
(初期変化率の逆数)
上述のようにようにして得られた参考例2−1〜6−5の光学シート表面の初期変化率の逆数(仮想厚さの変化)を以下の式より求めた。その結果を表3および図27に示す。
(初期変化率の逆数)=(除去前のサンプルの表面抵抗)/(除去後のサンプルの表面抵抗)
【0238】
表3は、参考例2−1〜6−5に係る光学シートの表面抵抗の評価結果を示す。
【表3】
【0239】
表4は、参考例2−1〜6−5に係る光学シートの初期変化率の逆数の評価結果を示す。
【表4】
【0240】
表3、表4および図27から以下のことがわかる。
平坦面上にITO層を形成した参考例2−1〜2−7では、除去によりITO層の膜厚に殆ど変化せず、表面抵抗がほぼ一定となる傾向がある。これに対して、多数の構造体上にITO層を形成した参考例3−1〜3−3、参考例4−1〜4−3、参考例5−1〜5−3では、除去によりITO層の膜厚が急激に減少し、表面抵抗が急激に上昇する傾向がある。
ミクロンオーダーの配置ピッチで多数の構造体を形成した参考例6−1〜6−5でも、
ナノオーダーの配置ピッチで多数の構造体を形成した参考例3−1〜3−3、参考例4−1〜4−3、参考例5−1〜5−3と同様の傾向を示す。
【0241】
以上、本技術の実施形態について具体的に説明したが、本技術は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本技術の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0242】
例えば、上述の実施形態において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値などを用いてもよい。
【0243】
また、上述の実施形態の構成、方法、工程、形状、材料および数値などは、本技術の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【0244】
また、上述の実施形態では、片面または両面に配線が形成された単層の導電性素子に対して本技術を適用した例を説明したが、本技術はこの例に限定されるものではなく、多層の導電性素子に対しても適用可能である。
【0245】
また、上述の実施形態では、平面状の基体表面に配線を形成する場合を例として説明したが、配線を形成する面は平面に限定されるものではなく、曲面状の基体表面に配線を形成するようにしてもよい。
【0246】
また、上述の実施形態では、液晶表示素子に対して本技術を適用した例を説明したが、本技術はこの例に限定されるものではなく、パッシブマトリックス駆動方式の種々の表示素子(例えばEL素子、電子ペーパーなど)に対しても適用可能である。
【0247】
また、上述の実施形態では、2つの基材を重ね合わせる構成を有する投影型静電容量方式タッチパネルに対して本技術を適用した例について説明したが、本技術はこの例に限定されるものではない。例えば、1つの基材の両面に電極を形成した構成を有する投影型静電容量方式タッチパネルに対しても本技術は適用可能である。
【0248】
また、上述の実施形態では、電子機器の一例として表示装置に本技術を適用する例について説明したが、本技術はこの例に限定されるものではなく、表示素子や配線素子(例えばプリント基板)などを備える種々の電子機器に対して適用可能である。
【符号の説明】
【0249】
1 導電性素子
2 基体
31、32、33 構造体
4a 導電層
4b 第1の機能層
4c 第2の機能層
11 ロール原盤
12 構造体
13 レジスト層
Sp1 平面
Sw1、Sw2、Sw3 波面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の波面、第2の波面および第3の波面を有する基体と、
上記第1の波面上に設けられた第1の層と、
上記第2の波面上に形成された第2の層と
を備え、
上記第1の層は、2以上の層が積層された積層構造を有し、
上記第2の層は、上記第1の層の一部の層からなる単層構造または積層構造を有し、
上記第1の層および上記第2の層は、導電パターン部を形成し、
上記第1の波面、上記第2の波面および上記第3の波面が、以下の関係を満たす導電性素子。
0≦(Am1/λm1)<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8
(但し、Am1:第1の波面の振動の平均幅、Am2:第2の波面の振動の平均幅、Am3:第3の波面の振動の平均幅、λm1:第1の波面の平均波長、λm2:第2の波面の平均波長、λm3:第3の波面の平均波長)
【請求項2】
上記第1の波面、上記第2の波面および上記第3の波面が、以下の関係を満たし、
上記第2の波面の波長λ2および上記第3の波面の波長λ3が、可視光の波長以下である請求項1記載の導電性素子。
(Am1/λm1)=0、0<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8
【請求項3】
上記第1の波面、上記第2の波面および上記第3の波面が、以下の関係を満たし、
上記第1の波面の波長λ1、上記第2の波面の波長λ2および上記第3の波面の波長λ3が、可視光の波長以下である請求項1記載の導電性素子。
0<(Am1/λm2)<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8
【請求項4】
上記第1の波面、上記第2の波面および上記第3の波面が、以下の関係を満たし、
上記第2の波面の波長λ2および上記第3の波面の波長λ3が、100μm以下である請求項1記載の導電性素子。
(Am1/λm1)=0、0<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8
【請求項5】
上記第1の波面、上記第2の波面および上記第3の波面が、以下の関係を満たし、
上記第1の波面の波長λ1、上記第2の波面の波長λ2および上記第3の波面の波長λ3が、100μm以下である請求項1記載の導電性素子。
0<(Am1/λm2)<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8
【請求項6】
上記第3の波面上に形成された第3の層をさらに備え、
上記第3の層は、上記第2の層の一部の層からなり、
上記第1の層、上記第2の層および上記第3の層が、以下の関係を満たす請求項1記載の導電性素子。
S1>S2>S3
(但し、S1:第1の層の単位面積、S2:第2の層の単位面積、S3:第3の層の単位面積)
【請求項7】
上記第1の層および上記第2の層はそれぞれ、上記第1の波面および上記第2の波面上に連続的に形成されているのに対して、上記第3の層は、上記第3の波面上に不連続的に形成されている請求項6記載の導電性素子。
【請求項8】
上記第3の波面上に形成された第3の層をさらに備え、
上記第1の層、上記第2の層、および上記第3の層が、以下の関係を満たす請求項1記載の導電性素子。
d1>d2>d3
(但し、d1:第1の層の平均厚さ、d2:第2の層の平均厚さ、d3:第3の層の平均厚さ)
【請求項9】
上記第1の層は、導電層と、該導電層上に形成された第1の機能層と、該第1の機能層上に形成された第2の機能層とを備え、
上記第2の層は、導電層を備える請求項1記載の導電性素子。
【請求項10】
上記導電層と上記第1の機能層との間に形成された第2の機能層をさらに備える請求項9記載の導電性素子。
【請求項11】
上記導電層は、酸化物半導体を含む透明導電層であり、
上記酸化物半導体は、インジウム錫酸化物、または酸化亜鉛を含んでいる請求項9記載の導電性素子。
【請求項12】
上記酸化物半導体は、アモルファスと多結晶との混合状態である請求項11記載の導電性素子。
【請求項13】
上記第1の機能層および上記第2の機能層は異なる材料からなる請求項9記載の導電性素子
【請求項14】
上記第1の機能層および上記第2の機能層は、金属層であり、
上記金属層は、Ag、Al、Au、Pt、Pd、Ni、Cr、Nb、W、Mo、Ti、Cu、およびNdからなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでいる請求項13記載の導電性素子。
【請求項15】
上記第1の機能層および第2の機能層は、酸化物および遷移金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでいる請求項13記載の導電性素子。
【請求項16】
上記第1の機能層および第2の機能層は、アモルファスと多結晶とを混合した膜、または多結晶化した膜を少なくとも1種含んでいる請求項15記載の導電性素子。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項に記載の導電性素子を備える配線素子。
【請求項18】
請求項1から16のいずれか1項に記載の導電性素子を備える情報入力装置。
【請求項19】
請求項1から16のいずれか1項に記載の導電性素子を備える表示装置。
【請求項20】
請求項1から16のいずれか1項に記載の導電性素子を備える電子機器。
【請求項21】
請求項1から16のいずれか1項に記載の導電性素子を作製する原盤。
【請求項22】
第1の波面、第2の波面および第3の波面を有する基体表面に対して、2層以上の層を積層して積層膜を形成する工程と、
上記第1の波面、上記第2の波面および上記第3の波面のうち、上記第3の波面上に形成された積層膜を除去するのに対して、上記第1の波面上に形成された積層膜を第1の層として残すとともに、上記第2の波面上に形成された積層膜の一部の層を第2の層として残すことにより、導電パターン部を形成する工程と
を備え、
上記第1の波面、上記第2の波面および上記第3の波面が、以下の関係を満たす導電性素子の製造方法。
0≦(Am1/λm1)<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8
(但し、Am1:第1の波面の振動の平均幅、Am2:第2の波面の振動の平均幅、Am3:第3の波面の振動の平均幅、λm1:第1の波面の平均波長、λm2:第2の波面の平均波長、λm3:第3の波面の平均波長)
【請求項1】
第1の波面、第2の波面および第3の波面を有する基体と、
上記第1の波面上に設けられた第1の層と、
上記第2の波面上に形成された第2の層と
を備え、
上記第1の層は、2以上の層が積層された積層構造を有し、
上記第2の層は、上記第1の層の一部の層からなる単層構造または積層構造を有し、
上記第1の層および上記第2の層は、導電パターン部を形成し、
上記第1の波面、上記第2の波面および上記第3の波面が、以下の関係を満たす導電性素子。
0≦(Am1/λm1)<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8
(但し、Am1:第1の波面の振動の平均幅、Am2:第2の波面の振動の平均幅、Am3:第3の波面の振動の平均幅、λm1:第1の波面の平均波長、λm2:第2の波面の平均波長、λm3:第3の波面の平均波長)
【請求項2】
上記第1の波面、上記第2の波面および上記第3の波面が、以下の関係を満たし、
上記第2の波面の波長λ2および上記第3の波面の波長λ3が、可視光の波長以下である請求項1記載の導電性素子。
(Am1/λm1)=0、0<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8
【請求項3】
上記第1の波面、上記第2の波面および上記第3の波面が、以下の関係を満たし、
上記第1の波面の波長λ1、上記第2の波面の波長λ2および上記第3の波面の波長λ3が、可視光の波長以下である請求項1記載の導電性素子。
0<(Am1/λm2)<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8
【請求項4】
上記第1の波面、上記第2の波面および上記第3の波面が、以下の関係を満たし、
上記第2の波面の波長λ2および上記第3の波面の波長λ3が、100μm以下である請求項1記載の導電性素子。
(Am1/λm1)=0、0<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8
【請求項5】
上記第1の波面、上記第2の波面および上記第3の波面が、以下の関係を満たし、
上記第1の波面の波長λ1、上記第2の波面の波長λ2および上記第3の波面の波長λ3が、100μm以下である請求項1記載の導電性素子。
0<(Am1/λm2)<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8
【請求項6】
上記第3の波面上に形成された第3の層をさらに備え、
上記第3の層は、上記第2の層の一部の層からなり、
上記第1の層、上記第2の層および上記第3の層が、以下の関係を満たす請求項1記載の導電性素子。
S1>S2>S3
(但し、S1:第1の層の単位面積、S2:第2の層の単位面積、S3:第3の層の単位面積)
【請求項7】
上記第1の層および上記第2の層はそれぞれ、上記第1の波面および上記第2の波面上に連続的に形成されているのに対して、上記第3の層は、上記第3の波面上に不連続的に形成されている請求項6記載の導電性素子。
【請求項8】
上記第3の波面上に形成された第3の層をさらに備え、
上記第1の層、上記第2の層、および上記第3の層が、以下の関係を満たす請求項1記載の導電性素子。
d1>d2>d3
(但し、d1:第1の層の平均厚さ、d2:第2の層の平均厚さ、d3:第3の層の平均厚さ)
【請求項9】
上記第1の層は、導電層と、該導電層上に形成された第1の機能層と、該第1の機能層上に形成された第2の機能層とを備え、
上記第2の層は、導電層を備える請求項1記載の導電性素子。
【請求項10】
上記導電層と上記第1の機能層との間に形成された第2の機能層をさらに備える請求項9記載の導電性素子。
【請求項11】
上記導電層は、酸化物半導体を含む透明導電層であり、
上記酸化物半導体は、インジウム錫酸化物、または酸化亜鉛を含んでいる請求項9記載の導電性素子。
【請求項12】
上記酸化物半導体は、アモルファスと多結晶との混合状態である請求項11記載の導電性素子。
【請求項13】
上記第1の機能層および上記第2の機能層は異なる材料からなる請求項9記載の導電性素子
【請求項14】
上記第1の機能層および上記第2の機能層は、金属層であり、
上記金属層は、Ag、Al、Au、Pt、Pd、Ni、Cr、Nb、W、Mo、Ti、Cu、およびNdからなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでいる請求項13記載の導電性素子。
【請求項15】
上記第1の機能層および第2の機能層は、酸化物および遷移金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでいる請求項13記載の導電性素子。
【請求項16】
上記第1の機能層および第2の機能層は、アモルファスと多結晶とを混合した膜、または多結晶化した膜を少なくとも1種含んでいる請求項15記載の導電性素子。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項に記載の導電性素子を備える配線素子。
【請求項18】
請求項1から16のいずれか1項に記載の導電性素子を備える情報入力装置。
【請求項19】
請求項1から16のいずれか1項に記載の導電性素子を備える表示装置。
【請求項20】
請求項1から16のいずれか1項に記載の導電性素子を備える電子機器。
【請求項21】
請求項1から16のいずれか1項に記載の導電性素子を作製する原盤。
【請求項22】
第1の波面、第2の波面および第3の波面を有する基体表面に対して、2層以上の層を積層して積層膜を形成する工程と、
上記第1の波面、上記第2の波面および上記第3の波面のうち、上記第3の波面上に形成された積層膜を除去するのに対して、上記第1の波面上に形成された積層膜を第1の層として残すとともに、上記第2の波面上に形成された積層膜の一部の層を第2の層として残すことにより、導電パターン部を形成する工程と
を備え、
上記第1の波面、上記第2の波面および上記第3の波面が、以下の関係を満たす導電性素子の製造方法。
0≦(Am1/λm1)<(Am2/λm2)<(Am3/λm3)≦1.8
(但し、Am1:第1の波面の振動の平均幅、Am2:第2の波面の振動の平均幅、Am3:第3の波面の振動の平均幅、λm1:第1の波面の平均波長、λm2:第2の波面の平均波長、λm3:第3の波面の平均波長)
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2012−204170(P2012−204170A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68342(P2011−68342)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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