説明

導電性継ぎ目カバーテープ

【課題】基本骨格を有するもしくは他の空気注入式の構造の軽航空機の結合用途を目的とするテープを提供する。
【解決手段】少なくとも一つの粘着性組成物を含み、上部表面と底部表面を持つ第1の層と、気体遮断性を有する少なくとも一つの重合体の組成物を含み、上部表面と底部表面を持ち、その底部表面は前記第1の層の上部表面へと対向している第2の層と、一の又は複数の紫外線抵抗性のある重合体の組成物を含み、上部表面と底部表面を持ち、その底部表面は前記第2の層の上部表面へと対向している第3の層を含み、前記第1の層、前記第2の層、前記第3の層のうち少なくとも一つの層は導電性を有し、前記第1の層、前記第2の層、前記第3の層のうち少なくとも一つの層は導電性を有しないことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、基本骨格を有するもしくは他の空気注入式の構造の軽航空機の結合用途を目的とするテープに関する。一実施形態では、本発明は例えば、基本骨格を有するもしくは他の空気注入式の構造の軽航空機の一の又は複数の継ぎ目の隙間やむき出しの端を保護および/又は覆うのに使われ得る導電性継ぎ目カバーテープに関する。他の実施形態では、本発明は一例として高高度での配備用に設計された基本骨格を有するもしくは他の空気注入式の構造の軽航空機の形成に使われる布のパネル又は分割部分の保護膜として例えば局所修理に使われ得る導電性継ぎ目カバーテープに関する。
【背景技術】
【0002】
エアロスタット(aerostat)、小型飛行船(blimp)、気球(balloon)、軟式飛行船(dirigible)又は飛行船(airship)といった軽航空機は、例えば大きなスポーツイベント、催し物、文化的イベントの近くで、もしくは大都市圏で、広告やそのイベントの上空からの取材のために様々な用途に利用される。軽航空機はまた、気象観測および/又は軍事偵察の目的のため高高度での用途でも利用される。そういった場合には、その軽航空機がより高高度で運航できるほど、監視および/又は気象観測において、より広いエリアを見ることができることになる。さらに、高度50000フィート以上を運航できる能力を有する軽航空機は、民間の航空交通にとって危険を引き起こす原因とはならず、それを検知および/又は破壊することは困難であり、広域の監視に使用できるので、戦略的および/又は経済的に利点がある。
【0003】
通常は、高高度用軽航空機は、大幅な温度変動、オゾン分解、紫外線照射、大幅な温度変動による毎日の伸張や収縮に耐えるラミネート(積層)加工された材料で作られている。
【0004】
例えば、米国特許番号6,074,722のCucciasの発明によると、高い強度を持つ、サーモトロピック液晶(融解紡糸)ポリエステルVECTRAN(米国登録商標)、芳香族ポリアラミドKEVLAR(米国登録商標)又はポリエステルDACRON(米国登録商標)繊維の織物糸の層をポリビニルフッ化物繊維TEDLAR(米国登録商標)やMYLAR(米国登録商標)の層に貼り合わせるのに使用されるポリウレタン樹脂(polyurethane resin)の層からなり、紫外線照射による劣化に対し耐性をもつ素材の外層を有する布のラミネート加工が提案されている。
【0005】
米国特許番号6,979,479によると、内部表面である液晶ポリマー繊維糸の層(VECTRAN(米国登録商標))、粘着層、ポリイミド層、外部表面であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)層からなるラミネート加工が提案されている。ポリイミド層はヘリウムや水素を保持するために気体遮断層として働く。ポリフッ化ビニリデン層はオゾンや紫外線照射の防護機能を備える。
【0006】
高高度を運航する軽航空機用の布は、通常、入射する太陽光照射の大半を反射するために、ヘリウムの透過を減らすために、落雷の影響を最小にするために、そして船体表面にわたり静電気を分散させる手段を備えるために、その層の一つとして薄い金属のコーティング層を有する。
【0007】
さらに、布のパネル又は分割部分(例えば船体の分割部分)が、基本骨格を有するもしくは他の空気注入式の構造の軽航空機の形成のために組み合わされるときに、できるだけ表面が継ぎ目のないようにする努力するとはいえ、布のパネル又は分割部分(例えば船体の分割部分)がバラバラに組み合わされ、構造的継ぎ目用テープを使って端と端を接合することはよくある。
【0008】
構造的継ぎ目用テープは一般に、基本骨格を有するもしくは他の空気注入式の構造の軽航空機の内部表面、又はヘリウムを含む部分に面する表面に貼られる。継ぎ目カバーテープは一般に、基本骨格を有するもしくは他の空気注入式の構造の軽航空機の外部表面に貼られ、一の又は複数の布のパネル又は分割部分(例えば船体の分割部分)の間の隙間および/又は継ぎ目を保護および/又は覆う目的で作られている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、概して、基本骨格を有するもしくは他の空気注入式の構造の軽航空機の結合用途を目的とするテープに関する。一実施形態では、本発明は例えば、基本骨格を有するもしくは他の空気注入式の構造の軽航空機の一の又は複数の継ぎ目の隙間やむき出しの端を保護および/又は覆うのに使われ得る導電性継ぎ目カバーテープに関する。他の実施形態では、本発明は一例として高高度での配備用に設計された基本骨格を有するもしくは他の空気注入式の構造の軽航空機の形成に使われる布のパネル又は分割部分の保護膜として例えば局所修理に使われ得る導電性継ぎ目カバーテープに関する。
【0010】
一実施形態では、本発明に係る導電性継ぎ目カバーテープは、少なくとも一つの導電性の粘着性組成物を含み、上部表面と底部表面を持つ第1の層と、気体遮断性を有する少なくとも一つの重合体の組成物を含み、上部表面と底部表面を持ち、その底部表面は前記第1の層の上部表面へと対向しており、太陽光の照射を非常によく反射するように設計されている第2の層と、一の又は複数の紫外線(UV)抵抗性のある重合体の組成物を含み、上部表面と底部表面を持ち、その底部表面は前記第2の層の上部表面へと対向している第3の層を含む。
【0011】
他の実施形態では、軽航空機の船体の継ぎ目を密閉および/又は強化するための接着テープは、少なくとも一つの導電性の粘着性組成物を含み、上部表面と底部表面を持つ第1の層と、気体遮断性を有する少なくとも一つの重合体の組成物を含み、上部表面と底部表面を持ち、その底部表面は前記第1の層の上部表面へと対向しており、太陽光の照射を非常によく反射するように設計されている第2の層と、一の又は複数の紫外線(UV)抵抗性のある重合体の組成物を含み、上部表面と底部表面を持ち、その底部表面は前記第2の層の上部表面へと対向している第3の層と、一の又は複数の透明な紫外線(UV)抵抗性のある重合体の組成物を含み、上部表面と底部表面を持ち、その底部表面は前記第3の層の上部表面へと対向しており、前記第1の層、前記第2の層そして前記第3の層よりも広がっており、軽航空機を形成する布のパネル又は分割部分の外部表面に対するヒートシール可能な又は熱溶解性である防護被膜層である第4の層を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る軽航空機の透視図である。
【図2】図2Aは本発明の一実施形態に係る継ぎ目カバーテープのラミネート(積層)加工の断面図である。図2Bは本発明の他の実施形態に係る継ぎ目カバーテープのラミネート加工の断面図である。
【図3】布のパネルまたは布部分の内部表面が接着テープで接合され、当該部分が本発明の一実施形態に係る継ぎ目カバーテープのラミネート加工によって密封/保護された軽航空機の継ぎ目の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、概して、基本骨格を有するもしくは他の空気注入式の構造の軽航空機の結合用途を目的とするテープに関する。一実施形態では、本発明は例えば、基本骨格を有するもしくは他の空気注入式の構造の軽航空機の一の又は複数の継ぎ目の隙間やむき出しの端を保護および/又は覆うのに使われ得る導電性継ぎ目カバーテープに関する。他の実施形態では、本発明は一例として高高度での配備用に設計された基本骨格を有するもしくは他の空気注入式の構造の軽航空機の形成に使われる布のパネル又は分割部分の保護膜として例えば局所修理に使われ得る導電性継ぎ目カバーテープに関する。
【0014】
本発明の明細書において、軽航空機との用語は基本骨格を有するもしくは他の空気注入式の構造の軽航空機の全ての種類を包含する用語として用いられる。
【0015】
本発明の導電性継ぎ目カバーテープは、欠陥、損傷および/又は穴の位置にかかわりなく、そのような欠陥、損傷および/又は導電性コーティング及び/又は布のパネル又は分割部分(例えば船体の分割部分)の光学層の欠陥、損傷および/又は穴を修理および/又は継ぎ当て処理をするのに使われる。
【0016】
ここでは図を、特に図1を参照する。図1は軽航空機10の一例を示す。軽航空機10は軽航空機として示されているが、本発明が、基本骨格を有するもしくは他の空気注入式の構造のいかなる軽航空機、例えばエアロスタット(aerostat)、小型飛行船(blimp)、飛行船(airship)、気球(balloon)や、繋留(けいりゅう)型(tethered)または非繋留型(un-tethered)の物体(object)にも応用可能な柔軟性のあるラミネート(積層)構造に関するものであることが理解されるであろう。そして、前述の通り、軽航空機もしくはLTAとの用語はこれら全てを包含することを意味する。例えば、本発明は、ふつうのヘリウムを使った気球や、気象観測用気球、帆船、パラシュートや、その材料が過酷な屋外環境での使用に耐えるための優れた特性を提供する必要があって、接合される必要がある機材パネルで構成されるようないかなる用途にも使用し得る。
【0017】
本発明の導電性継ぎ目カバーテープは、テープを含む構造を目的とする最終用途が何であっても、不透水性もしくは半透水性の接着性材料/テープが必要な、いかなる用途でも使用され得る。これらのテープ構造は、軽航空機10ができるだけ重いペイロードを搭載して、できるだけ高い高度を運航できるように、最小限の重量であるように設計されている。軽航空機10は、柔軟性のあるラミネート加工された船体の材料、構造的継ぎ目用テープ、継ぎ目カバーテープの組み合わせによって形成されている。船体の材料の分割部分を接合するいくつかの手段は、軽航空機10を形成するのに使われ(例えば縫合、ヒートシール、接着剤での結合など)、そして本発明の継ぎ目カバーテープは、船体12にある継ぎ目の線からの気体漏洩を減少させるのに、および/又は、防ぐのに使われる。どのような場合でも、本発明の継ぎ目カバーテープは一の又は複数の布のパネル又は分割部分(例えば船体の分割部分)の間の一の又は複数の隙間又は継ぎ目を密封、カバー、保護するのに使われる。本発明の継ぎ目カバーテープの構造は、軽航空機10の船体を形成する一の又は複数の布のパネル又は分割部分(例えば船体の分割部分)の性能および/又は外観に適合および/又は反映するように設計されている。さらに、継ぎ目カバーテープの構造はいくつもの好ましい特性を有する。概して、その特性というのは、以下に限られないが、軽量、導電性、大幅な温度変動や毎日の温度変化による伸張や収縮への耐性を含む。高高度用軽航空機が経験する温度や気圧の変動を考慮すると、継ぎ目カバーテープは大気のおよび/又は物理的な条件の大幅な変動にさらされたときに柔軟性のあるものでなければならない。
【0018】
一部の実施形態では、軽航空機が長時間の高高度へ配備されるために、本発明の継ぎ目カバーテープがオゾンや紫外線照射に耐性を有し、必要な気体透過率を有することも好ましい。継ぎ目カバーテープが高高度で使用できる性能を有することもまた好ましい。ここに示した構成によると、軽航空機10は高度約150000フィートまで運航することができると考えられる。
【0019】
図2Aに示すように、本発明のラミネート加工の材料の一実施形態では、概して参照番号20aのように設計された導電性継ぎ目カバーテープである。図2Aに示すように、テープ20aは内部表面22と外部表面24を有する。この実施形態では、テープ20aは、テープ20aが例えば軽航空機の船体の隣接した分割部分/パネル間の隙間を密封、カバーおよび/又は保護することを許容する/可能にする複数層から形成される。一つの例では、テープ20aは軽航空機の船体の隣接したパネルで形成される継ぎ目の線をカバーおよび/又は密封し、それによりいくらかのおよび/又は全ての軽航空機からの気体漏洩を防ぐ遮断物としての役割を果たす。図2Aの実施形態では、テープ20aは、少なくとも一つの導電性粘着層30と、気体遮断物として機能する少なくとも一つの高反射率の金属コーティングを施されたポリイミド層32と、金属コーティングを損傷から保護しオゾンや紫外線への耐性を有する少なくとも一つのポリフッ化ビニリデン(PVDF)層34を含む。高反射率の金属コーティングにより、ほとんどの入射する太陽光照射を反射して受動的な温度管理を行うことができ、ポリイミド気体遮断層をヘリウムが透過することを減らしたり、オゾンや紫外線によるポリイミドの劣化を防いだりできる。受動的な温度管理のために有益な金属コーティングは、以下に限られるものではないが、アルミニウム、銀、銅、金、白金やこれらの合金又はこれらもしくはこれらの合金をコーティングした粒子を含む。
【0020】
具体的には、導電性粘着層30に関しては、一実施形態にあるようにこの層は一つの又は複数の種類の導電性材料を含み得る。そのような材料は、以下に限られるものではないが、導電性の糸、導電性繊維、導電性の粒子、それらの2つ又はそれ以上の組み合わせを含む。本発明の導電性材料はいずれか一種類の材料に限られないことに言及しておく。適切な導電性材料は、以下に限られるものではないが、金属粉、粒子、線、ウイスカ(shiskers)、導電性のカーボンブラック、カーボンナノチューブ、ナノファイバー、フラーレン(例えばBuckyballs)それらの2つ又はそれ以上の組み合わせを含む。有益な金属は、以下に限られるものではないが、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、白金、金やこれらの合金又はこれらもしくはこれらの合金をコーティングした粒子を含む。
【0021】
他の実施形態では、少なくとも一つのポリフッ化ビニリデン(PVDF)層36が本願発明に係る継ぎ目カバーテープの外部表面に追加されてもよい。このような形態のテープは図2Bに示されている。図2Bに示すように、テープ20bは、少なくとも一つの導電性粘着層30と、気体遮断物として機能する少なくとも一つの高反射率の金属コーティングを施されたポリイミド層32と、金属コーティングを損傷から保護しオゾンや紫外線への耐性を有する少なくとも一つの第1のポリフッ化ビニリデン(PVDF)層34と、軽航空機10の外部表面用の継ぎ目カバーテープ20bをヒートシールする又は熱溶解する手段としての役割を持つ少なくとも一つの第2のポリフッ化ビニリデン(PVDF)層36を含む。
【0022】
それゆえ、テープ20bは軽航空機の船体の隣接したパネルで形成される継ぎ目の線をカバーおよび/又は密封し、それによりいくらかのおよび/又は全ての軽航空機からの気体漏洩を防ぐ遮断物としての役割を果たす。図2Bの実施形態では、少なくとも一つの第2のポリフッ化ビニリデン(PVDF)層36は透明またはほぼ透明である。少なくとも一つのポリフッ化ビニリデン(PVDF)層36がある例では、この追加されたポリフッ化ビニリデン(PVDF)の一つ又は複数の層は、テープ20bが全ての稼働状態において軽航空機10の船体の所定の位置にあることを保証する役割を果たす。
【0023】
この一の又は複数の層36は、テープ20bに更なる幅を与え、テープ20bとテープ20bが貼り付けられる船体の分割部分/パネルとをより密接にふさぐことができるようにする「羽」すなわち側面の拡張部分を有していてもよい。羽38に大きさの限界はない。一実施形態では、船体の隣接した分割部分間の接合および/又は密封をうまく行うために、羽38は、テープ20が接合および/又は密封する船体の分割部分に対して十分な重なり部分を供給するのに必要なだけである。例えば、一実施形態では、本発明に関する導電性継ぎ目カバーテープは約1から4インチであり、約0.25インチの羽38をテープの両端に有する。さらに、層30、32、34および/又は36の厚さは重要ではない。テープ20は軽航空機で使われるため、例えば軽航空機10用のテープ20によって追加される重量が最小となるように、必要最小量の材料がテープ20で使われることが重要となる。例えば、0.3から1.0ミル(1ミルは1000分の1インチ)の高反射率の金属コーティングがされたポリイミド層は0.2から0.6ミルのポリフッ化ビニリデン(PVDF)層に接合され得る。そして、これらの層は1.0から2.0ミルの透明なポリフッ化ビニリデン(PVDF)の外層に接合され得る。内層22は、1.3から4.0ミルの厚さの導電性接着剤のコーティングである。接着剤の電気抵抗は重要ではなく、高高度で運航する軽航空機の表面全体にわたる電荷分布を正規化すなわち同等化することを保証するのに十分な25から5000オームまでの抵抗値を接着剤の幅方向において取り得る。
【0024】
継ぎ目の接合作業の間、この分野においてよく知られた適切な構造的継ぎ目用テープによって2つまたはそれ以上の船体の分割部分又はパネルがその端と端、側面と側面、またはその他の所望の並べ方で接合される。軽航空機の船体の継ぎ目や隙間をカバー、保護および/又は密封するために継ぎ目カバーテープが必要になる場合があり得る。さらに、導電性を有するために継ぎ目カバーテープが必要になる場合があり得る。それゆえ、このような場合にも、導電性継ぎ目カバーテープ20aおよび/又は20bは、軽航空機10の船体12の外側表面に存在し得る、あらゆる継ぎ目および/又は隙間を覆って貼られる。熱および/又は圧力によって、テープ20aおよび/又は20bは、2つまたはそれ以上の隣接する船体の分割部分および/又はパネルで作られる継ぎ目および/又は隙間に接着する。他の実施形態では、テープ20aおよび/又は20bは、2つまたはそれ以上の隣接する船体の分割部分および/又はパネルで作られる継ぎ目および/又は隙間に接着するだけでなく、導電性粘着層30は軽航空機10の船体12の高反射率の金属コーティングを施されたポリイミドの気体遮断層との電気接点となる。接着剤の導電性という性質は、隣接するパネルが粘着性組成物を経由して接続され、導電性を有する連続した径路ができることを意味する。
【0025】
図3に移ると、図3は本発明のテープによって接合および/又は密封された継ぎ目および/又は隙間の一形態50を示している。本発明はちょうど3層構造の船体の分割部分および/又はパネルに限られないが、図3は3層構造を持つ2つの船体の分割部分および/又はパネル52が図示されている。図3の通り、2つのパネル52はそれぞれ、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の外層56、高反射率の金属コーティングを施されたポリイミド層58、そして強化布の内層60を含む。2つのパネル52の間にあるのは隙間54である。図3の実施形態は隙間54が示されているが、そのような隙間がある必要はないことを言及しておく。いくつかの実施形態では、パネル52は、本発明に従って継ぎ目カバーテープ20a又は20bを貼り付けるより前にパネル52により形成される継ぎ目から発生するかもしれない気体漏洩の量を減らすため、隙間54をなくすようにお互いに接触して配置されうる。
【0026】
最初に、前述の通り構造的継ぎ目用テープ62によってパネル52が接合される。そして、図3で示される通り、継ぎ目カバーテープ20aまたは20b(図2Aおよび2B参照)は、テープ20が隙間54を覆って固定されるように機能する少なくとも一つの粘着層30を用いて、隣接するパネル52によって作られる隙間54を覆って配置される。熱および/又は圧力がテープ20に加えられたとき、層30の導電性の粘着性組成物のいくらかはポリフッ化ビニリデン(PVDF)の層56に流れ込み又は浸透し、パネル52の高反射率の金属コーティングを施されたポリイミド層58に至り、その結果パネル52間の電気的接続(図示せず)が形成される。さらに、前記の羽が存在する場合には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)層の羽38は、パネル52の最も上のポリフッ化ビニリデン(PVDF)の層56に溶解接着し、その結果船体の隣接した分割部分および/又はパネル間をより密接に封止する手助けをし、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の層56から接着層30が剥離すなわち層間剥離することを防ぐ。
【0027】
粘着層30の粘着性組成物それ自体は導電性でなくてもよい。本実施形態では、粘着層30は上に詳述したように1の又は複数の種類の導電性物質を含むものとする。熱および/又は圧力を加えられ、1の又は複数の種類の導電性物質は、高反射率の金属コーティングを施されたポリイミド層58に至るほどまでに、パネル52のポリフッ化ビニリデン(PVDF)の層56を通って、その層に入り込み、および/又は貫通して、結果として、導電性を有する径路(図示せず)を隙間54を横切って完成させる。
【0028】
実施形態の一つでは、高反射率の金属コーティングを施された導電性ポリイミド層32はKAPTON(米国登録商標)又は真空蒸着したアルミ又は銀のコーティングをもつ同様の材料で構成される。本実施形態では、ポリイミド層32は、軽航空機の船体内にある軽航空機用物質(例えばヘリウムや水素)を封じ込めおよび/又は留めるのに優れた気体遮断性材料である。あいにく、本発明の使用に適しているポリイミド材料は紫外線の存在により簡単に科学変化を起こす傾向がある。
【0029】
ポリイミド層32における金属コーティングは、ポリイミド層を紫外線照射から防御および保護し、ヘリウムの透過を少なくする。ポリフッ化ビニリデン(PVDF)層34は層32の上に接合または積層される。ポリフッ化ビニリデン(PVDF)層34は金属コーティングを損傷から保護し、優れた紫外線やオゾンの防護機能を与える。ポリフッ化ビニリデン(PVDF)層34はまた軽航空機の温度管理もしやすくする。
【0030】
テープ20aおよび/又は20bの層はお互いに直接接着されてもよいし、1の又は複数の粘着層(図示せず)を間に介してお互い接着されてもよい。一の実施例では、テープ20aおよび/又は20bの層を接合および/又は接着するのに、1の又は複数のポリウレタンを主成分とする粘着層が使われる。テープ20aおよび/又は20bの層を接合および/又は接着するのに、1の又は複数のポリウレタンを主成分とする粘着層が使われる例において、本発明はいずれか1のポリウレタンに限定するものではない。むしろ、低温で(例えば摂氏マイナス80度以下の温度で)柔軟性を保ち続け、実施形態のような場合に利用できる限りは、どのポリウレタン組成物が使用されてもよい。さらに、前述の接着性ポリウレタン層を構成するのに使われるポリウレタン素材は疎水性であってもよい。すなわち、ポリウレタン素材は、テープ20aおよび/又は20bの表面層または複数層に浸透するかもしれない水分のテープ20への浸透を不可能にするために水を防ぐように設計される。さらに、日中の運航高度で軽航空機10がさらされる温度に耐えられるように、ポリウレタン接着剤を選んでもよい。その接着剤はテープ20aおよび/又は20bの1の又は複数の層をお互いに接着してもよいし、そのような層にある小さなピン穴や隙間を埋めてもよい。
【0031】
テープ20aおよび/又は20bは、導電性を与える微粒子状物質を含む感圧接着剤でコーティングされていてもよい。一の実施形態では、そのような粘着性物質はシリコーンベースの接着剤である。本発明で使用するのに適した導電性のシリコーンベースの接着剤組成物には、一の実施形態では、少なくとも1の導電性および/又は熱伝導性の充てん剤を含む1の又は複数のシロキサンベースの接着剤(例えばアルケニルシロキサン)、1の又は複数のシリコーンベースの接着剤、又は1の又は複数のアクリル系シリコーン接着剤が含まれる。さらには、本発明で使用するのに適した導電性のシリコーンベースの接着剤組成物には、さらに少なくとも一つの熱伝導性の充てん剤又は物質、少なくとも一つの接着促進剤であってヒドロシリル化触媒を非活性化させないもの、少なくとも一つのヒドロシリル化触媒、および少なくとも一つのヒドロシリル化触媒の抑制剤が、任意で含まれていてもよい。
【0032】
前述の通り、導電性充てん剤または導電性素材は導電性の糸、導電性繊維、導電性の粒子、それらの2つ又はそれ以上の組み合わせであってもよい。そのような材料は、制限はなく、金属粉、粒子、線、ウイスカ(shiskers)、導電性のカーボンブラック、カーボンナノチューブ、ナノファイバー、フラーレン(例えばBuckyballs)それらの2つ又はそれ以上の組み合わせを含む。有益な金属は、以下に限られるものではないが、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、白金、金やこれらの合金又はこれらもしくはこれらの合金をコーティングした粒子を含む。
【0033】
50から100マイクロメートルほど小さな粒子サイズはよい結果をもたらすが、金属コーティングを施されたポリイミド層58に到達するほどには、パネル52のポリフッ化ビニリデン(PVDF)の層56に十分に浸透しないかもしれない。パネル56間の隙間54である継ぎ目を横切って確実に導電性を持つようにするためには、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の層56の厚さの距離を近づくことができる、より大きな粒子サイズが必要である。不規則形状を含む導電性の糸または金属コーティングされた糸、球および粒子がポリフッ化ビニリデン(PVDF)の層56経由の導電性を最もよくする。このような材料の例として、以下に限られるものではないが、カーボンファイバー、金属コーティングされたカーボンファイバー、グラスファイバー、および金属コーティングされた極小の球や粒子が含まれる。導電性充てん剤の量は、接着剤に関する式として約重量比10から30パーセントで示される。
【0034】
本発明は、1の又は複数の接着促進剤を利用できる。本発明で使用するのに適した接着促進剤には、以下に限られるものではないが、アミノアルキルシラン、メタクリロキシシラン、アクリロキシシラン、イソシアヌレート、アリルイソシアヌレート、フマル酸エステル、コハク酸エステル、マレイン酸エステル、アルコキシシラン、エポキシシラン、アリル型アルコール、金属アルコキシド、メルカプトアルキルシラン、アリルグリシジルエーテル、シリルホスフェート、ビス3-トリメトキシシリルプロピルフマル酸エステル、およびそれらの2つ又はそれ以上の組み合わせを含む。本発明で接着促進剤が使用される例において、ヒドロシリル化触媒を不活性化させないように、そのような接着促進剤は選ばれるべきである。接着促進剤が存在する場合、その量は本発明に関して定式化すると重量比約0.001パーセントから約5パーセントとなる。
【0035】
本発明の粘着性組成物によって、導電性継ぎ目カバーテープによって接合および/又は結合された構成要素間に導電性をもたせる手段が備わる。この接着剤を用いるシステムにとって、室温か室温に近い温度で粘着性をもつ材料、すなわち感圧接着剤や熱したときに接着性が生じる熱可塑性材料、感熱接着剤などが推奨される。熱硬化性の性質を有する材料も同様に本発明で使用しうる。
【0036】
本発明に係る多層のフィルムやテープは、例えば押し出しコーティングや押し出し成形のラミネート加工や他のラミネート加工、双押し出しコーティングや熱による又は接着剤による別々のフィルム階層の接着といったどのような適当な手段によっても成され得る。例えばカレンダー法、押し出し法や一体成型といった様々な手法により準備される単層フィルムが、接着剤や加熱や加圧によるラミネート加工又は多層フィルムへと表面加工され得る。
【0037】
当該発明はここで詳細を述べた一部の実施形態について特に言及して詳細を述べられているが、他の実施形態によっても同様の結果を得ることが可能である。本発明の変形および改良は本発明の属する分野における通常の知識を有する者にとって明らかとなるであろうし、本願発明はそのような変更および均等な内容の全てを添付のクレームにおいて含むものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着テープであって、
少なくとも一つの粘着性組成物を含み、上部表面と底部表面を持つ第1の層と、
気体遮断性を有する少なくとも一つの重合体の組成物を含み、上部表面と底部表面を持ち、その底部表面は前記第1の層の上部表面へと対向している第2の層と、
一の又は複数の紫外線抵抗性のある重合体の組成物を含み、上部表面と底部表面を持ち、その底部表面は前記第2の層の上部表面へと対向している第3の層を含み、
前記第1の層、前記第2の層、前記第3の層のうち少なくとも一つの層は導電性を有し、
前記第1の層、前記第2の層、前記第3の層のうち少なくとも一つの層は導電性を有しないことを特徴とする接着テープ。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の層は、少なくとも一つのシリコーンベースの接着剤を含むことを特徴とするテープ。
【請求項3】
請求項1において、
前記第2の層は、少なくとも一つのポリイミド組成物を含むことを特徴とするテープ。
【請求項4】
請求項1において、
前記第3の層は、一の又は複数のポリフッ化ビニリデンを含むことを特徴とするテープ。
【請求項5】
請求項2において、
前記第1の層の前記接着剤は、導電性を有することを特徴とするテープ。
【請求項6】
請求項3において、
前記第2の層の前記ポリイミド組成物は、高反射率の金属コーティングを含むことを特徴とするテープ。
【請求項7】
請求項1において、
軽航空機の船体の隣接した分割部分の継ぎ目における隙間を密閉し、保護するための継ぎ目カバーテープとしての使用に適していることを特徴とするテープ。
【請求項8】
請求項1において、
軽航空機の形成に使われる布のパネル又は分割部分の保護膜として局所修理に適していることを特徴とするテープ。
【請求項9】
軽航空機の船体の継ぎ目を密閉および/又は強化するための接着テープであって、
少なくとも一つの粘着性組成物を含み、上部表面と底部表面を持つ第1の層と、
気体遮断性を有する少なくとも一つの重合体の組成物を含み、上部表面と底部表面を持ち、その底部表面は前記第1の層の上部表面へと対向している第2の層と、
一の又は複数の紫外線抵抗性のある重合体の組成物を含み、上部表面と底部表面を持ち、その底部表面は前記第2の層の上部表面へと対向している第3の層と、
一の又は複数の透明な紫外線抵抗性のある重合体の組成物を含み、上部表面と底部表面を持ち、その底部表面は前記第3の層の上部表面へと対向している第4の層と、を含み、
前記第1の層、前記第2の層、前記第3の層のうち少なくとも一つの層は導電性を有し、
前記第1の層、前記第2の層、前記第3の層のうち少なくとも一つの層は導電性を有しないことを特徴とする接着テープ。
【請求項10】
請求項9において、
前記第1の層は、少なくとも一つのシリコーンベースの接着剤を含むことを特徴とするテープ。
【請求項11】
請求項9において、
前記第2の層は、少なくとも一つのポリイミド組成物を含むことを特徴とするテープ。
【請求項12】
請求項9において、
前記第3の層は、一の又は複数のポリフッ化ビニリデンを含むことを特徴とするテープ。
【請求項13】
請求項9において、
前記第4の層は、一の又は複数の透明なポリフッ化ビニリデンを含むことを特徴とするテープ。
【請求項14】
請求項10において、
前記第1の層の前記接着剤は、導電性を有することを特徴とするテープ。
【請求項15】
請求項11において、
前記第2の層の前記ポリイミド組成物は、高反射率の金属コーティングを含むことを特徴とするテープ。
【請求項16】
請求項13において、
前記第4の層は、前記第1の層、前記第2の層そして前記第3の層よりも広がっている部分を有することを特徴とするテープ。
【請求項17】
請求項16において、
前記第4の層は、溶解により軽航空機の形成に使われる布のパネル又は分割部分の最上位層と接着され得ることを特徴とするテープ。
【請求項18】
請求項9において、
軽航空機の船体の隣接した分割部分の継ぎ目における隙間を密閉し、保護するための継ぎ目カバーテープとしての使用に適していることを特徴とするテープ。
【請求項19】
請求項9において、
軽航空機の形成に使われる布のパネル又は分割部分の保護膜として局所修理に適していることを特徴とするテープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−215550(P2009−215550A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−46392(P2009−46392)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(509043098)ロッキード マーティン コーポレイション (6)
【氏名又は名称原語表記】LOCKHEED MARTIN CORPORATION
【住所又は居所原語表記】1210 MASSILLON ROAD,AKRON,OH 44315−0001 U.S.A.
【Fターム(参考)】