説明

導電材料及びタッチパネル

【課題】光透過性、導電性、可撓性、及びハンドリング性のすべてに優れ、カールバランスが向上した導電材料及びタッチパネルの提供。
【解決手段】基材と、該基材の一の面に下塗り層及び少なくとも導電性繊維を含有する導電層をこの順に有し、前記基材の他の面にハードコート層とを有してなり、前記導電層の平均厚みが0.01μm〜1μmであり、前記下塗り層の平均厚みが0.1μm〜15μmであり、前記ハードコート層の平均厚みが0.5μm〜5μmである導電材料とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電材料及び該導電材料を用いたタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、入力デバイスとして液晶パネルや電子ペーパー等の表示デバイスにタッチパネルが搭載されている。
例えば、一の面にハードコート層と、他の面にITOを有するフィルムは、主に抵抗膜式タッチパネルの用途に用いられている(特許文献1参照)。また、特許文献2には、大気圧プラズマ法により製膜したITO透明導電膜と、基材を挟んだ反対面にハードコート層とを積層した構成が提案されている。しかし、基材としてフィルムを用いる場合には、ITO製膜時の製膜温度を上げられないため、透明導電性が低く、パターニングした後のITO透明導電膜が脆く、ハンドリング性が低いという問題がある。
【0003】
このため、ITO透明導電膜の代わりに、低温製膜でき、透明導電性も良好な銀ナノワイヤーを透明導電材料として使用することが試みられている。例えば特許文献3には、金属ナノワイヤーを含有する導電層と、基材を挟んだ反対面にハードコート層とを有する構成が提案されている。
【0004】
しかしながら、前記特許文献3に記載の透明導電膜でもその特性は未だ不十分であり、光透過性、導電性、可撓性、及びハンドリング性のすべてに優れ、カールバランスが向上した導電材料の提供が望まれているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3688136号公報
【特許文献2】特開2004−13692号公報
【特許文献3】特開2009−70660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、光透過性、導電性、可撓性、及びハンドリング性のすべてに優れ、カールバランスが向上した導電材料及び該導電材料を用いることで部品点数が少なくなり、薄く、軽量なタッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、基材と、該基材の一の面に下塗り層及び少なくとも導電性繊維(金属ナノワイヤー)を含有する導電層をこの順に有し、前記基材の他の面にハードコート層とを有してなり、前記導電層の平均厚みを0.01μm〜1μm、前記下塗り層の平均厚みを0.1μm〜15μm、及び前記ハードコート層の平均厚みを0.5μm〜5μmとすることにより、光透過性、導電性、及びハンドリング性がいずれも良好であり、可撓性及びカールバランスにも優れた導電材料を提供できることを知見した。
【0008】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 基材と、該基材の一の面に下塗り層、及び少なくとも導電性繊維を含有する導電層をこの順に有し、前記基材の他の面にハードコート層とを有してなり、
前記導電層の平均厚みが0.01μm〜1μmであり、
前記下塗り層の平均厚みが0.1μm〜15μmであり、
前記ハードコート層の平均厚みが0.5μm〜5μmであることを特徴とする導電材料である。
<2> 導電層の平均厚みが0.05μm〜0.5μmである前記<1>に記載の導電材料である。
<3> 導電層の平均厚みAと、ハードコート層の平均厚みBとが、次式、〔(A/B)×100〕≦30%を満たす前記<1>から<2>のいずれかに記載の導電材料である。
<4> 下塗り層の平均厚みCと、ハードコート層の平均厚みBとが、次式、60%≦〔(C/B)×100〕を満たす前記<1>から<3>のいずれかに記載の導電材料である。
<5> 次式、60%≦〔(C/B)×100〕≦150%を満たす前記<4>に記載の導電材料である。
<6> 導電層における導電性繊維以外の成分の導電性繊維に対する質量比が0.1〜5である前記<1>から<5>のいずれかに記載の導電材料である。
<7> 導電性繊維が金属ナノワイヤーである前記<1>から<6>のいずれかに記載の導電材料である。
<8> 金属ナノワイヤーが、銀、及び銀と銀以外の金属との合金のいずれかからなる前記<7>に記載の導電材料である。
<9> 金属ナノワイヤーの平均短軸長さが100nm以下であり、平均長軸長さが2μm以上である前記<7>から<8>のいずれかに記載の導電材料である。
<10> 導電層における全可視光透過率が85%以上である前記<1>から<9>のいずれかに記載の導電材料である。
<11> 導電層における表面抵抗が0.1Ω/□〜5,000Ω/□である前記<1>から<10>のいずれかに記載の導電材料である。
<12> 前記<1>から<11>のいずれかに記載の導電材料における導電層に対し、露光し、現像することを特徴とするパターン形成方法である。
<13> 前記<1>から<11>のいずれかに記載の導電材料を用いたことを特徴とするタッチパネルである。
<14> 前記<13>に記載のタッチパネルを有することを特徴とするタッチパネル機能付表示装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、光透過性、導電性、可撓性、及びハンドリング性のすべてに優れ、カールバランスが向上した導電材料及び該導電材料を用いることで部品点数が少なくなり、薄く、軽量なタッチパネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の導電材料の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、タッチパネルの一例を示す概略断面図である。
【図3】図3は、タッチパネルの他の一例を示す概略説明図である。
【図4】図4は、図3に示すタッチパネルにおける導電体の配置例を示す概略平面図である。
【図5】図5は、タッチパネルの更に他の一例を示す概略断面図である。
【図6】図6は、本発明のタッチパネル機能付表示装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(導電材料)
本発明の導電材料は、基材と、該基材の一の面に下塗り層及び導電層をこの順に有し、前記基材の他の面にハードコート層とを有する。本発明の導電材料は、更に、感光層、防汚層、UVカット層、反射防止層等のその他の層を有していてもよい。
【0012】
前記導電材料は、上記構成を備えていればその形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては、膜状、シート状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造、積層構造などが挙げられ、前記大きさとしては、用途等に応じて適宜選択することができる。
前記導電材料は、可撓性を有し、透明であることが好ましく、前記透明には、無色透明のほか、有色透明、半透明、有色半透明などが含まれる。
【0013】
ここで、図1は、本発明の導電材料の一例を示す概略図である。この図1の導電材料5は、基材1と、該基材の一の面に下塗り層2及び導電層3をこの順に有し、前記基材1の他の面にハードコート層4とを有している。なお、図示を省略しているが、前記導電材料における導電層3はパターニングされていることが好ましい。前記パターニングとしては、既存のITO透明導電膜で施されているパターニングなどが挙げられ、長方形状のパターン、ダイヤモンドパターンと呼ばれているものなどが挙げられる。
【0014】
本発明においては、前記導電層の平均厚みは0.01μm〜1μmであり、0.05μm〜0.5μmであることが好ましい。前記平均厚みが、0.01μm未満であると、導電性の面内分布が不均一になることがあり、1μmを超えると、透過率が低くなり、透明性が損なわれることがある。
【0015】
前記下塗り層の平均厚みは、0.1μm〜15μmであり、0.5μm〜5μmであることが好ましい。前記下塗り層の平均厚みが、0.1μm未満であると、カールバランスの効果を発現できないことがあり、15μmを超えると、逆に下塗り層側にカールしてしまうことがある。
【0016】
前記ハードコート層の平均厚みは、0.5μm〜5μmであり、1.0μm〜4.0μmであることが好ましい。前記ハードコート層の平均厚みが、0.5μm未満であると、十分なハードコート性を発現できないことがあり、5μmを超えると、ハードコート層にひび割れが発生することがある。
ここで、前記下塗り層の平均厚み、前記導電層の平均厚み、及び前記ハードコート層の平均厚みは、例えばミクロトーム切削で材料の断面を出した後SEM観察することにより、あるいはエポキシ樹脂で包埋した後ミクロトームで作製した切片をTEM観察することにより測定することができる。これら各層の平均厚みは、10箇所測定の平均値である。
【0017】
前記導電層の平均厚みAと、前記ハードコート層の平均厚みBとが、次式、〔(A/B)×100〕≦30%を満たすことが好ましい。前記〔(A/B)×100〕が、30%を超えると、透明性が損われたり、ハードコート性能を十分に発現できないことがある。
【0018】
前記下塗り層の平均厚みCと、前記ハードコート層の平均厚みBとが、次式、60%≦〔(C/B)×100〕を満たすことが好ましく、次式、60%≦〔(C/B)×100〕≦150%を満たすことがより好ましい。
前記〔(C/B)×100〕が、60%未満であると、導電層面側とハードコート層側のカールバランスが不良となることがある。
【0019】
<基材>
前記基材の形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては、膜状、シート状などが挙げられる。前記構造としては、単層構造、積層構造などが挙げられる。前記大きさとしては、用途等に応じて適宜選択することができる。
【0020】
前記基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、透明ガラス基板、合成樹脂製シート(フィルム)、金属基板、セラミック板、光電変換素子を有する半導体基板などが挙げられる。前記基板には、所望により、シランカップリング剤等の薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着などの前処理を行うことができる。
前記透明ガラス基板としては、例えば、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラスなどが挙げられる。
前記合成樹脂製シートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)シート、ポリカーボネートシート、ポリエーテルスルホンシート、ポリエステルシート、アクリル樹脂シート、塩化ビニル樹脂シート、芳香族ポリアミド樹脂シート、ポリアミドイミドシート、ポリイミドシートなどが挙げられる。
前記金属基板としては、例えば、アルミニウム板、銅板、ニッケル板、ステンレス板などが挙げられる。
【0021】
前記基材の全可視光透過率としては、70%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上が更に好ましい。前記全可視光透過率が、70%未満であると、透過率が低く実用上問題となることがある。
なお、本発明では、基材として本発明の目的を妨げない程度に着色したものを用いることもできる。
【0022】
前記基材の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜500μmが好ましく、3μm〜400μmがより好ましく、5μm〜300μmが更に好ましい。
前記厚みが、1μm未満であると、塗布工程でのハンドリングの困難さに起因して、歩留まりが低下することがあり、500μmを超えると、ポータブルなアプリケーションにおいては厚みや質量が問題となることがある。
【0023】
<下塗り層>
前記下塗り層は、少なくともポリマーを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0024】
−ポリマー−
前記ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばゼラチン、ゼラチン誘導体、ガゼイン、寒天、でんぷん、デキストラン等の天然高分子でもよいし、ポリビニルアルコール、ポリアクリル樹脂、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/ブチルアクリレート/グリシジルアクリレートからなる共重合体等の合成高分子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0025】
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フィラー、界面活性剤、酸化防止剤、硫化防止剤、金属腐食防止剤、粘度調整剤、防腐剤等の各種添加剤などが挙げられる。
【0026】
前記下塗り層は、前記ポリマー、及び必要に応じて前記その他の成分を含有する下塗り層用途布液を基材上に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。
前記塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、などが挙げられる。
【0027】
<ハードコート層>
前記ハードコート層の形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては、膜状、シート状などが挙げられる。前記構造としては、単層構造、積層構造などが挙げられる。前記大きさとしては、用途等に応じて適宜選択することができる。
【0028】
前記ハードコート層は、電離放射線硬化性の多官能化合物、及び粒子を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0029】
−電離放射線硬化性の多官能化合物−
前記電離放射線硬化性の多官能化合物としては、電離放射線硬化性の多官能モノマー又は電離放射線硬化性の多官能オリゴマーなどが挙げられる。
前記電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光重合性官能基、電子線重合性官能基、放射線重合性官能基などが挙げられる。これらの中でも、光重合性官能基が特に好ましい。
前記光重合性官能基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基などが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリロイル基が特に好ましい。
前記電離放射線硬化性の多官能化合物としては、特開2006−30740号公報の段落〔0087〕及び〔0088〕に記載のモノマーを使用することができる。また、特開2006−30740号公報の段落〔0089〕に記載の硬化方法を用いることができる。なお、光重合の場合には、例えば特開2006−30740号公報の段落〔0090〕〜〔0093〕に記載の光重合開始剤を用いることができる。
【0030】
−粒子−
前記粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばシリカ粒子、TiO粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子などが挙げられる。これらの中でも、架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、シリカ粒子が特に好ましい。
前記粒子の平均粒径は1.0μm〜10.0μmが好ましく、1.5μm〜7.0μmがより好ましい。
【0031】
前記ハードコート層には、更に必要に応じて屈折率を制御する目的で、高屈折率モノマー、又は光散乱を生じない大きさの無機微粒子(一次粒子の直径が10nm〜200nm)、或いは両者を加えることができる。前記無機微粒子には、屈折率を制御する効果に加えて、架橋反応による硬化収縮を抑える効果もある。前記無機微粒子としては、例えば特開2006−30740号公報の段落〔0120〕に無機フィラーとして記載されている化合物を用いることができる。
【0032】
前記ハードコート層は、電離放射線硬化性の多官能化合物の架橋反応、又は重合反応により形成することができる。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布液を基材上に塗布し、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は重合反応させることにより形成することができる。
【0033】
<導電層>
前記導電層は、少なくとも導電性繊維を含有し、バインダー、感光性化合物、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0034】
〔導電性繊維〕
前記導電性繊維の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、中実構造及び中空構造のいずれかであることが好ましい。
ここで、中実構造の繊維をワイヤーと呼ぶことがあり、中空構造の繊維をチューブと呼ぶことがある。
平均短軸長さが5nm〜1,000nmであって、平均長軸長さが1μm〜100μmの導電性繊維を「ナノワイヤー」と呼ぶことがある。
また、平均短軸長さが1nm〜1,000nm、平均長軸長さが0.1μm〜1,000μmであって、中空構造を持つ導電性繊維を「ナノチューブ」と呼ぶことがある。
前記導電性繊維の材料としては、導電性を有していれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、金属及びカーボンの少なくともいずれかであることが好ましく、これらの中でも、前記導電性繊維は、金属ナノワイヤー、金属ナノチューブ、及びカーボンナノチューブの少なくともいずれかであることが好ましい。
【0035】
<<金属ナノワイヤー>>
−材料−
前記金属ナノワイヤーの材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、長周期律表(IUPAC1991)の第4周期、第5周期、及び第6周期からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属が好ましく、第2族〜第14族から選ばれる少なくとも1種の金属がより好ましく、第2族、第8族、第9族、第10族、第11族、第12族、第13族、及び第14族から選ばれる少なくとも1種の金属が更に好ましく、主成分として含むことが特に好ましい。
【0036】
−金属−
前記金属としては、例えば、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンテル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、又はこれらの合金などが挙げられる。これらの中でも、導電性に優れる点で、銀、及び銀との合金が好ましい。
前記銀との合金で使用する金属としては、白金、オスミウム、パラジウム、イリジウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0037】
−形状−
前記金属ナノワイヤーの形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円柱状、直方体状、断面が多角形となる柱状など任意の形状をとることができるが、高い透明性が必要とされる用途では、円柱状や断面の多角形の角が丸まっている断面形状であることが好ましい。
前記金属ナノワイヤーの断面形状は、基材上に金属ナノワイヤー水分散液を塗布し、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより調べることができる。
【0038】
−平均短軸長さ径及び平均長軸長さ−
前記金属ナノワイヤーの平均短軸長さ(「平均短軸径」、「平均直径」と称することがある)としては、1nm〜50nmが好ましく、10nm〜40nmがより好ましく、15nm〜35nmが更に好ましい。
前記平均短軸長さが、1nm未満であると、耐酸化性が悪化し、耐久性が悪くなることがあり、50nmを超えると、金属ナノワイヤー起因の散乱が生じ、十分な透明性を得ることができないことがある。
前記金属ナノワイヤーの平均短軸長さは、透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、300個の金属ナノワイヤーを観察し、その平均値から金属ナノワイヤーの平均短軸長さを求めた。なお、前記金属ナノワイヤーの短軸が円形でない場合の短軸長さは、最も長いものを短軸長さとした。
【0039】
前記金属ナノワイヤーの平均長軸長さ(「平均長さ」と称することがある)としては、1μm〜40μmであることが好ましく、3μm〜35μmがより好ましく、5μm〜30μmが更に好ましい。
前記平均長軸長さが、1μm未満であると、密なネットワークを形成することが難しく、十分な導電性を得ることができないことがあり、40μmを超えると、金属ナノワイヤーが長すぎて製造時に絡まり、製造過程で凝集物が生じてしまうことがある。
前記金属ナノワイヤーの平均長軸長さは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、300個の金属ナノワイヤーを観察し、その平均値から金属ナノワイヤーの平均長軸長さを求めた。なお、前記金属ナノワイヤーが曲がっている場合、それを弧とする円を考慮し、その半径、及び曲率から算出される値を長軸長さとした。
【0040】
−製造方法−
前記金属ナノワイヤーの製造方法としては、特に制限はなく、いかなる方法で製造してもよいが、以下のようにハロゲン化合物と分散添加剤とを溶解した溶媒中で加熱しながら金属イオンを還元することによって製造することが好ましい。
また、金属ナノワイヤーの製造方法としては、特開2009−215594号公報、特開2009−242880号公報、特開2009−299162号公報、特開2010−84173号公報、特開2010−86714号公報などに記載の方法を用いることができる。
【0041】
前記溶媒としては、親水性溶媒が好ましく、例えば、水、アルコール類、エーテル類、ケトン類などが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコールなどが挙げられる。
前記エーテル類としては、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
前記ケトン類としては、例えば、アセトンなどが挙げられる。
【0042】
前記加熱時の加熱温度としては、250℃以下が好ましく、20℃〜200℃がより好ましく、30℃〜180℃がより好ましく、40℃〜170℃が更に好ましい。
前記加熱温度が、20℃未満であると、前記加熱温度が低くなる程、核形成確率が下がり金属ナノワイヤーが長くなりすぎるので金属ナノワイヤーが絡みやすく、分散安定性が悪くなることがあり、250℃を超えると、金属ナノワイヤーの断面の角が急峻になり、塗布膜評価での透過率が低くなることがある。
必要に応じて、金属ナノワイヤーの形成過程で温度を変更してもよく、途中での温度変更により、金属ナノワイヤーの核形成の制御や再核発生の抑制、選択成長の促進による単分散性向上の効果を向上させることができる。
【0043】
前記加熱の際には、還元剤を添加して行うことが好ましい。
前記還元剤としては、特に制限はなく、通常使用されるものの中から適宜選択することができ、例えば、水素化ホウ素金属塩、水素化アルミニウム塩、アルカノールアミン、脂肪族アミン、ヘテロ環式アミン、芳香族アミン、アラルキルアミン、アルコール、有機酸類、還元糖類、糖アルコール類、亜硫酸ナトリウム、ヒドラジン化合物、デキストリン、ハイドロキノン、ヒドロキシルアミン、エチレングリコール、グルタチオンなどが挙げられる。これらの中でも、還元糖類、その誘導体としての糖アルコール類、エチレングリコールが特に好ましい。
前記水素化ホウ素金属塩としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウムなどが挙げられる。
前記水素化アルミニウム塩としては、例えば、水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムカリウム、水素化アルミニウムセシウム、水素化アルミニウムベリリウム、水素化アルミニウムマグネシウム、水素化アルミニウムカルシウムなどが挙げられる。
前記アルカノールアミンとしては、例えば、ジエチルアミノエタノール、エタノールアミン、プロパノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノプロパノールなどが挙げられる。
前記脂肪族アミンとしては、例えば、プロピルアミン、ブチルアミン、ジプロピレンアミン、エチレンジアミン、トリエチレンペンタミンなどが挙げられる。
前記ヘテロ環式アミンとしては、例えば、ピペリジン、ピロリジン、Nメチルピロリジン、モルホリンなどが挙げられる。
前記芳香族アミンとしては、例えば、アニリン、N−メチルアニリン、トルイジン、アニシジン、フェネチジンなどが挙げられる。
前記アラルキルアミンとしては、例えば、ベンジルアミン、キシレンジアミン、N−メチルベンジルアミンなどが挙げられる。
前記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどが挙げられる。
前記有機酸類としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、アスコルビン酸又はそれらの塩などが挙げられる。
前記還元糖類としては、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、スクロース、マルトース、ラフィノース、スタキオースなどが挙げられる。
前記糖アルコール類としては、例えば、ソルビトールなどが挙げられる。
【0044】
前記還元剤によっては、機能として分散添加剤、溶媒としても働く場合があり、同様に好ましく用いることができる。
【0045】
前記金属ナノワイヤー製造の際には、分散添加剤と、ハロゲン化合物又はハロゲン化金属微粒子とを添加して行うことが好ましい。
前記分散添加剤と、ハロゲン化合物との添加のタイミングとしては、還元剤の添加前でも添加後でもよく、金属イオンあるいはハロゲン化金属微粒子の添加前でも添加後でもよいが、単分散性のよりよい金属ナノワイヤーを得るためには、ハロゲン化合物の添加を2段階以上に分けることが好ましい。
【0046】
前記分散添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノ基含有化合物、チオール基含有化合物、スルフィド基含有化合物、アミノ酸又はその誘導体、ペプチド化合物、多糖類、合成高分子、これらに由来するゲルなどが挙げられる。これらの中でも、ゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアルキレンアミン、ポリアクリル酸の部分アルキルエステル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン共重合体が特に好ましい。
前記分散添加剤として使用可能な構造については、例えば、「顔料の事典」(伊藤征司郎編、株式会社朝倉書院発行、2000年)の記載を参照できる。
また、使用する分散添加剤の種類によって、得られる金属ナノワイヤーの形状を変化させることもできる。
【0047】
前記ハロゲン化合物としては、臭素、塩素、ヨウ素を含有する化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化カリウム等のアルカリハライドや下記の分散添加剤と併用できる化合物が好ましい。
前記ハロゲン化合物によっては、分散添加剤として機能するものがありうるが、同様に好ましく用いることができる。
【0048】
前記ハロゲン化合物の代替としてハロゲン化銀微粒子を使用してもよいし、ハロゲン化合物とハロゲン化銀微粒子を共に使用してもよい。
【0049】
前記分散剤とハロゲン化合物は同一物質で併用してもよい。前記分散剤とハロゲン化合物を併用した化合物としては、例えば、アミノ基と臭化物イオンを含むHTAB(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド)、アミノ基と塩化物イオンを含むHTAC(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムクロライド)、アミノ基と臭化物イオン又は塩化物イオンを含むドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムブロミド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド、ジラウリルジメチルアンモニウムブロミド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジパルミチルアンモニウムブロミド、ジメチルジパルミチルアンモニウムクロリド、などが挙げられる。
【0050】
前記脱塩処理は、金属ナノワイヤーを形成した後、限外ろ過、透析、ゲルろ過、デカンテーション、遠心分離などの手法により行うことができる。
【0051】
<<金属ナノチューブ>>
−材料−
前記金属ナノチューブの材料としては、特に制限はなく、いかなる金属であってもよく、例えば、前記した金属ナノワイヤーの材料などを使用することができる。
【0052】
−形状−
前記金属ナノチューブの形状としては、単層であってもよく、多層であってもよいが、導電性及び熱伝導性に優れる点で単層が好ましい。
【0053】
−平均短軸長さ、平均長軸長さ、厚み−
前記金属ナノチューブの厚み(外径と内径との差)としては、3nm〜80nmが好ましく、3nm〜30nmがより好ましい。
前記厚みが、3nm未満であると、耐酸化性が悪化し、耐久性が悪くなることがあり、80nmを超えると、金属ナノチューブ起因の散乱が生じることがある。
前記金属ナノチューブの平均長軸長さは、1μm〜40μmが好ましく、3μm〜35μmがより好ましく、5μm〜30μmが更に好ましい。
【0054】
−製造方法−
前記金属ナノチューブの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、米国出願公開2005/0056118号明細書等に記載の方法などを用いることができる。
【0055】
<<カーボンナノチューブ>>
前記カーボンナノチューブ(CNT)は、グラファイト状炭素原子面(グラフェンシート)が、単層あるいは多層の同軸管状になった物質である。前記単層のカーボンナノチューブはシングルウォールナノチューブ(SWNT)、前記多層のカーボンナノチューブはマルチウォールナノチューブ(MWNT)と呼ばれ、特に、2層のカーボンナノチューブはダブルウォールナノチューブ(DWNT)とも呼ばれる。本発明で用いられる導電性繊維において、前記カーボンナノチューブは、単層であってもよく、多層であってもよいが、導電性及び熱伝導性に優れる点で単層が好ましい。
【0056】
−製造方法−
前記カーボンナノチューブの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、二酸化炭素の接触水素還元、アーク放電法、レーザー蒸発法、熱CVD法、プラズマCVD法、気相成長法、一酸化炭素を高温高圧化で鉄触媒と共に反応させて気相で成長させるHiPco法等の公知の手段を用いることができる。
また、これらの方法で得られたカーボンナノチューブは、洗浄、遠心分離、ろ過、酸化、クロマトグラフ等の方法により、副生成物や触媒金属等の残留物を除去することが、高純度化されたカーボンナノチューブを得ることができる点で好ましい。
【0057】
−アスペクト比−
前記導電性繊維のアスペクト比としては、10以上であることが好ましい。前記アスペクト比とは、一般的には繊維状の物質の長辺と短辺との比(平均長軸長さ/平均短軸長さの比)を意味する。
前記アスペクト比の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子顕微鏡等により測定する方法などが挙げられる。
前記導電性繊維のアスペクト比を電子顕微鏡で測定する場合、前記導電性繊維のアスペクト比が10以上であるか否かは、電子顕微鏡の1視野で確認できればよい。また、前記導電性繊維の長軸長さと短軸長さとを各々別に測定することによって、前記導電性繊維全体のアスペクト比を見積もることができる。
なお、前記導電性繊維がチューブ状の場合には、前記アスペクト比を算出するための直径としては、該チューブの外径を用いる。
【0058】
前記導電性繊維のアスペクト比としては、10以上であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50〜1,000,000が好ましく、100〜1,000,000がより好ましい。
前記アスペクト比が、10未満であると、前記導電性繊維によるネットワーク形成がなされず導電性が十分取れないことがあり、1,000,000を超えると、導電性繊維の形成時やその後の取り扱いにおいて、成膜前に導電性繊維が絡まり凝集するため、安定な液が得られないことがある。
【0059】
−アスペクト比が10以上の導電性繊維の比率−
前記アスペクト比が10以上の導電性繊維の比率としては、全導電性組成物中に体積比で、50%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、75%以上が特に好ましい。これらの導電性繊維の割合を、以下、「導電性繊維の比率」と呼ぶことがある。
前記導電性繊維の比率が、50%未満であると、導電性に寄与する導電性物質が減少し導電性が低下してしまうことがあり、同時に密なネットワークを形成できないために電圧集中が生じ、耐久性が低下してしまうことがある。また、導電性繊維以外の形状の粒子は、導電性に大きく寄与しない上に吸収を持つため好ましくない。特に金属の場合で、球形などのプラズモン吸収が強い場合には透明度が悪化してしまうことがある。
【0060】
ここで、前記導電性繊維の比率は、例えば、導電性繊維が銀ナノワイヤーである場合には、銀ナノワイヤー水分散液をろ過して、銀ナノワイヤーと、それ以外の粒子とを分離し、ICP発光分析装置を用いてろ紙に残っている銀の量と、ろ紙を透過した銀の量とを各々測定することで、導電性繊維の比率を求めることができる。ろ紙に残っている導電性繊維をTEMで観察し、300個の導電性繊維の短軸長さを観察し、その分布を調べることにより、短軸長さが200nm以下であり、かつ長軸長さが1μm以上である導電性繊維であることを確認する。なお、ろ紙は、TEM像で短軸長さが200nm以下であり、かつ長軸長さが1μm以上である導電性繊維以外の粒子の最長軸を計測し、その最長軸の2倍以上であり、かつ導電性繊維の長軸の最短長以下の長さのものを用いることが好ましい。
【0061】
ここで、前記導電性繊維の平均短軸長さ及び平均長軸長さは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)や光学顕微鏡を用い、TEM像や光学顕微鏡像を観察することにより求めることができ、本発明においては、導電性繊維の平均短軸長さ及び平均長軸長さは、透過型電子顕微鏡(TEM)により300個の導電性繊維を観察し、その平均値から求めたものである。
【0062】
<<バインダー>>
前記バインダーとしては、有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基(例えばカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基など)を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。
これらの中でも、有機溶剤に可溶で弱アルカリ水溶液により現像可能なものが好ましく、また、酸解離性基を有し、酸の作用により酸解離性基が解離した時にアルカリ可溶となるものが特に好ましい。
ここで、前記酸解離性基とは、酸の存在下で解離することが可能な官能基を表す。
【0063】
前記バインダーの製造には、例えば公知のラジカル重合法による方法を適用することができる。前記ラジカル重合法でアルカリ可溶性樹脂を製造する際の温度、圧力、ラジカル開始剤の種類及びその量、溶媒の種類等々の重合条件は、当業者において容易に設定可能であり、実験的に条件を定めることができる。
【0064】
前記線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマー(酸性基を有する感光性樹脂)が好ましい。
前記側鎖にカルボン酸を有するポリマーとしては、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等、並びに側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等であり、更に側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する高分子重合体も好ましいものとして挙げられる。
【0065】
これらの中でも、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体が特に好ましい。
更に、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する高分子重合体や(メタ)アクリル酸/グリシジル(メタ)アクリレート/他のモノマーからなる多元共重合体も有用なものとして挙げられる。該ポリマーは任意の量で混合して用いることができる。
【0066】
前記以外にも、特開平7−140654号公報に記載の、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクレート/メタクリル酸共重合体、などが挙げられる。
【0067】
前記アルカリ可溶性樹脂における具体的な構成単位としては、(メタ)アクリル酸と、該(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体とが好適である。
【0068】
前記(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体としては、例えばアルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。これらは、アルキル基及びアリール基の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。
前記アルキル(メタ)アクリレート又はアリール(メタ)アクリレートとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0069】
前記ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、CH=CR、CH=C(R)(COOR)〔ただし、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、Rは炭素数6〜10の芳香族炭化水素環を表し、Rは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜12のアラルキル基を表す。〕、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0070】
前記バインダーの重量平均分子量は、アルカリ溶解速度、膜物性等の点から、1,000〜500,000が好ましく、3,000〜300,000がより好ましく、5,000〜200,000が更に好ましい。
ここで、前記重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて求めることができる。
【0071】
前記バインダーの含有量は、前記導電層全体に対し25質量%〜80質量%であることが好ましく、30質量%〜75質量%がより好ましく、40質量%〜70質量%が更に好ましい。前記含有量の範囲にあると、現像性と金属ナノワイヤーの導電性の両立が図れる。
【0072】
−感光性化合物−
前記感光性化合物とは、露光により画像を形成する機能を導電層に付与するか、又はそのきっかけを与える化合物を意味する。具体的には、(1)露光による酸を発生する化合物(光酸発生剤)、(2)感光性のキノンジアジド化合物、(3)光ラジカル発生剤等を挙げることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、感度調整のために、増感剤などを併用して用いることもできる。
【0073】
−−(1)光酸発生剤−−
前記(1)光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0074】
前記(1)光酸発生剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートなどが挙げられる。これらの中でも、スルホン酸を発生する化合物であるイミドスルホネート、オキシムスルホネート、o−ニトロベンジルスルホネートが特に好ましい。
【0075】
また、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基、あるいは化合物を樹脂の主鎖又は側鎖に導入した化合物、例えば、米国特許第3,849,137号明細書、独国特許第3914407号明細書、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号の各公報等に記載の化合物を用いることができる。
更に、米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等の各明細書に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
【0076】
−−(2)キノンジアジド化合物−−
前記(2)キノンジアジド化合物としては、例えば、1,2−キノンジアジドスルホニルクロリド類、ヒドロキシ化合物、アミノ化合物などを脱塩酸剤の存在下で縮合反応させることで得られる。
【0077】
前記(1)光酸発生剤、及び前記(2)キノンジアジド化合物の配合量は、露光部と未露光部の溶解速度差と、感度の許容幅の点から、前記バインダーの総量100質量部に対して、1質量部〜100質量部であることが好ましく、3質量部〜80質量部がより好ましい。
なお、前記(1)光酸発生剤と、前記(2)キノンジアジド化合物とを併用してもよい。
【0078】
本発明においては、前記(1)光酸発生剤の中でもスルホン酸を発生する化合物が好ましく、下記のようなオキシムスルホネート化合物が高感度である観点から特に好ましい。
【化1】

【0079】
前記(2)キノンジアジド化合物として、1,2−ナフトキノンジアジド基を有する化合物を用いると高感度で現像性が良好である。
前記(2)キノンジアジド化合物の中で下記の化合物でDが独立して水素原子又は1,2−ナフトキノンジアジド基であるものが高感度である観点から好ましい。
【化2】

【0080】
−−(3)光ラジカル発生剤−−
前記光ラジカル発生剤は、光を直接吸収し、又は光増感されて分解反応若しくは水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する。前記光ラジカル発生剤は波長300nm〜500nmの領域に吸収を有するものであることが好ましい。
【0081】
前記光ラジカル発生剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記光ラジカル発生剤の含有量は、前記導電層用塗布液全固形量に対して、0.1質量%〜50質量%であることが好ましく、0.5質量%〜30質量%がより好ましく、1質量%〜20質量%が更に好ましい。前記数値範囲において、良好な感度とパターン形成性が得られる。
【0082】
前記光ラジカル発生剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば特開2008−268884号公報に記載の化合物群が挙げられる。これらの中でも、トリアジン系化合物、アセトフェノン系化合物、アシルホスフィン(オキシド)系化合物、オキシム系化合物、イミダゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物が露光感度の観点から特に好ましい。
【0083】
前記光ラジカル発生剤としては、露光感度と透明性の観点から、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]が好適である。
【0084】
前記導電層用塗布液は、露光感度向上のために、光ラジカル発生剤と連鎖移動剤を併用してもよい。
前記連鎖移動剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルなどのN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、N−フェニルメルカプトベンゾイミダゾール、1,3,5−トリス(3−メルカブトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンなどの複素環を有するメルカプト化合物、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタンなどの脂肪族多官能メルカプト化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記連鎖移動剤の含有量は、前記導電層用塗布液の全固形分に対し、0.01質量%〜15質量%が好ましく、0.1質量%〜10質量%がより好ましく、0.5質量%〜5質量%が更に好ましい。
【0085】
−その他の成分−
前記その他の成分としては、例えば架橋剤、分散剤、溶媒、界面活性剤、酸化防止剤、硫化防止剤、金属腐食防止剤、粘度調整剤、防腐剤等の各種の添加剤などが挙げられる。
【0086】
−−架橋剤−−
前記架橋剤は、フリーラジカル又は酸及び熱により化学結合を形成し、導電層を硬化させる化合物であり、例えばメチロール基、アルコキシメチル基、アシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの基で置換されたメラミン系化合物、グアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物、ウレア系化合物、フェノール系化合物もしくはフェノールのエーテル化合物、エポキシ系化合物、オキセタン系化合物、チオエポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、又はアジド系化合物;メタクリロイル基又はアクリロイル基などを含むエチレン性不飽和基を有する化合物、などが挙げられる。これらの中でも、膜物性、耐熱性、溶剤耐性の点でエポキシ系化合物、オキセタン系化合物、エチレン性不飽和基を有する化合物が特に好ましい。
また、前記オキセタン樹脂は、1種単独で又はエポキシ樹脂と混合して使用することができる。特にエポキシ樹脂との併用で用いた場合には反応性が高く、膜物性を向上させる観点から好ましい。
【0087】
前記架橋剤の含有量は、前記バインダー総量100質量部に対して、1質量部〜250質量部が好ましく、3質量部〜200質量部がより好ましい。
【0088】
−−分散剤−−
前記分散剤は、前記導電性繊維の凝集を防ぎ、分散させるために用いる。前記分散剤としては、前記導電性繊維を分散させることができれば特に制限はなく、目的に応じて適否選択することができ、例えば、市販の低分子顔料分散剤、高分子顔料分散剤を利用でき、特に高分子分散剤で導電性繊維に吸着する性質を持つものが好ましく用いられ、例えばポリビニルピロリドン、BYKシリーズ(ビックケミー社製)、ソルスパースシリーズ(日本ルーブリゾール社製など)、アジスパーシリーズ(味の素株式会社製)などが挙げられる。
前記分散剤の含有量としては、前記バインダー100質量部に対し、0.1質量部〜50質量部が好ましく、0.5質量部〜40質量部がより好ましく、1質量部〜30質量部が特に好ましい。
前記含有量が、0.1質量部未満であると、分散液中で導電性繊維が凝集してしまうことがあり、50質量部を超えると、塗布工程において安定な液膜が形成できず、塗布ムラが発生することがある。
【0089】
−−溶媒−−
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシブタノール、水、1−メトキシ−2−プロパノール、イソプロピルアセテート、乳酸メチル、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(GBL)、プロピレンカーボネート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0090】
−−金属腐食防止剤−−
前記金属腐食防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばチオール類、アゾール類などが好適である。
前記金属腐食防止剤を含有することで、一段と優れた防錆効果を発揮することができる。前記金属腐食防止剤は導電層用塗布液に溶解した中に、適した溶媒で溶解した状態、又は粉末で添加するか、後述する導電層用塗布液による導電膜を作製後に、これを金属腐食防止剤浴に浸すことで付与することができる。
【0091】
前記導電層における導電性繊維以外の成分の合計含有量A(1種のみの場合は単独の含有量)と、前記導電性繊維の含有量Bとの質量比(A/B)は、0.1〜5であることが好ましく、0.5〜3であることがより好ましい。前記質量比(A/B)が、0.1未満であると、導電性繊維の凝集による導電性や透過率・ヘイズ等の光学特性の劣化、導電層の力学強度や基板との密着性の劣化、特にフォトリソグラフィを用いたパターニングで得られるパターンの品質(露光パターンの忠実再現性)の劣化等の問題を生じたりすることがある。前記質量比(A/B)が、5を超えると、導電性繊維間の接触点数の減少による導電性の低下や、ヘイズ、光透過率などの光学特性の劣化を生じることがある。
【0092】
前記導電層は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、導電層用組成物を下塗り層上に塗布することにより形成することができる。
前記導電層用組成物の塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば塗布法、印刷法、インクジェット法などが挙げられる。
前記塗布法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、などが挙げられる。
前記印刷法としては、例えば凸版(活版)印刷法、孔版(スクリーン)印刷法、平版(オフセット)印刷法、凹版(グラビア)印刷法、などが挙げられる。
【0093】
−その他の層−
本発明においては、前記導電層が感光性材料(バインダー、感光性化合物)を含有しない場合には、前記下塗り層と前記導電層の間、あるいは前記導電層上に感光層を有することが好ましい。
前記感光層は、バインダーを少なくとも含み、感光性化合物、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記バインダー及び感光性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば前記導電層と同様なものを用いることができる。
前記感光層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01μm〜100μmであることが好ましく、0.05μm〜10μmであることがより好ましい。
【0094】
本発明の導電材料における導電層の表面抵抗は、0.1Ω/□〜5,000Ω/□であることが好ましく、0.1Ω/□〜1,000Ω/□であることがより好ましい。前記表面抵抗が低いこと自体に弊害は無いが、0.1Ω/□未満であると、光透過率の高い導電体を得るのが困難になることがあり、5,000Ω/□を超えると、通電時に発生するジュール熱による断線を生じやすくなったり、配線の上流と下流で電圧降下が生じタッチパネルに用いる際の面積が制限されるなどの問題を生じることがある。
ここで、前記表面抵抗は、例えば表面抵抗計(三菱化学株式会社製、Loresta−GP MCP−T600)を用いて、測定することができる。
【0095】
本発明の導電材料における導電層の全可視光透過率は、85%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。前記全可視光透過率が、85%未満であると、タッチパネル等の画像表示媒体に用いる際に導電パターンが目立ってしまい画像の品質を損ねたり、輝度低下を補償するために消費電力を増加させる必要が生じる等の弊害が生じることがある。
ここで、前記全可視透過率は、例えば自記分光光度計(UV2400−PC、島津製作所製)により測定することができる。
【0096】
本発明の導電材料は、高透過性、低抵抗であり、耐久性、及び可撓性が向上し、簡易にパターニングが可能であるので、例えばタッチパネル、ディスプレイ用電極、電磁波シールド、有機ELディスプレイ用電極、無機ELディスプレイ用電極、電子パーパー、フレキシブルディスプレイ用電極、集積型太陽電池、表示素子、その他の各種デバイスなどに幅広く適用される。これらの中でも、タッチパネル、タッチパネル機能付表示装置が特に好ましい。
【0097】
(パターン形成方法)
本発明のパターン形成方法は、本発明の前記導電材料における導電層に対し、露光し、現像するものであり、露光工程と、現像工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
【0098】
−露光工程−
前記露光工程は、本発明の前記導電材料における少なくとも導電層を露光する工程である。
前記露光方法としては、フォトマスクを利用した面露光で行ってもよいし、レーザービームによる走査露光で行ってもよい。この際、レンズを用いた屈折式露光でも反射鏡を用いた反射式露光でもよく、コンタクト露光、プロキシミティー露光、縮小投影露光、反射投影露光などの露光方式を用いることができる。
【0099】
−現像工程−
前記現像工程は、前記少なくとも導電層における露光部及び非露光部のいずれかを、溶媒を付与して現像する工程である。
前記現像工程において、前記基材と導電層の間に、感光層を有する場合には、前記感光層における露光部及び非露光部のいずれかを除去する。
【0100】
前記溶媒としては、アルカリ溶液が好ましい。
前記アルカリ溶液に含まれるアルカリとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
【0101】
前記アルカリ溶液による付与方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば塗布、浸漬、噴霧などが挙げられる。具体的には、アルカリ溶液中に本発明の前記導電層付き偏光板を浸漬する方法、本発明の前記導電層付き偏光板にシャワーやスプレーを用いて有機溶剤をかけ流す方法、本発明の前記導電層付き偏光板にアルカリ溶液を浸したナプキン等で塗りつける方法などが挙げられる。これらの中でも、アルカリ溶液中に本発明の前記導電層付き偏光板を浸漬する方法が特に好ましい。
前記アルカリ溶液の浸漬時間は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10秒間〜5分間であることが好ましい。
【0102】
(タッチパネル)
本発明のタッチパネルは、本発明の前記導電材料(透明導電体)を有する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、表面型静電容量方式タッチパネル、投射型静電容量方式タッチパネル、抵抗膜式タッチパネルなどが挙げられる。なお、タッチパネルとは、いわゆるタッチセンサ及びタッチパッドを含むものとする。
前記タッチパネルにおけるタッチパネルセンサー電極部の層構成が、2枚の透明電極を貼合する貼合方式、1枚の基材の両面に透明電極を具備する方式、片面ジャンパーあるいはスルーホール方式あるいは片面積層方式のいずれかであることが好ましい。
【0103】
ここで、前記表面型静電容量方式タッチパネルの一例について、図2を参照して説明する。この図2において、タッチパネル10は、透明基板11の表面を一様に覆うように透明導電体12を配してなり(本発明の前記導電材料に相当)、透明基板11の端部の透明導電体12上に、図示しない外部検知回路との電気接続のための電極端子18が形成されている。
なお、図2中、13は、シールド電極となる透明導電体を示し、14、17は、保護膜を示し、15は、中間保護膜を示し、16は、グレア防止膜を示す。
透明導電体12上の任意の点を指でタッチ等すると、前記透明導電体12は、タッチされた点で人体を介して接地され、各電極端子18と接地ラインとの間の抵抗値に変化が生じる。この抵抗値の変化を前記外部検知回路によって検知し、タッチした点の座標が特定される。
【0104】
前記表面型静電容量方式タッチパネルの他の一例について図3を用いて説明する。該図3においてタッチパネル20は、透明基板21の表面を覆うように配された透明導電体22(本発明の前記導電材料に相当)と透明導電体23と、該透明導電体22と該透明導電体23とを絶縁する絶縁層24と、指等の接触対象と透明導電体22又は透明導電体23の間に静電容量を生じる絶縁カバー層25からなり、指等の接触対象に対して位置検知する。構成によっては、透明導電体22,23を一体として構成することもでき、また、絶縁層24又は絶縁カバー層25を空気層として構成してもよい。
絶縁カバー層25を指等でタッチすると、指等と透明導電体22又は透明導電体23の間の静電容量の値に変化が生じる。この静電容量値の変化を前記外部検知回路によって検知し、タッチした点の座標が特定される。
また、図4により、投射型静電容量方式タッチパネルとしてのタッチパネル20を透明導電体22と透明導電体23とを平面から視た配置を通じて模式的に説明する。
タッチパネル20は、X軸方向の位置を検出可能とする複数の透明導電体22と、Y軸方向の複数の透明導電体23とが、外部端子に接続可能に配されている。透明導電体22と透明導電体23とは、指先等の接触対象に対し複数接触して、接触情報が多点で入力されることを可能とされる。
このタッチパネル20上の任意の点を指でタッチ等すると、X軸方向及びY軸方向の座標が位置精度よく特定される。
なお、透明基板、保護層等のその他の構成としては、前記表面型静電容量方式タッチパネルの構成を適宜選択して適用することができる。また、タッチパネル20において、複数の透明導電体22と、複数の透明導電体23とによる透明導電体のパターンの例を示したが、その形状、配置等としては、これらに限られない。
【0105】
前記抵抗膜式タッチパネルの一例について、図5を用いて説明する。該図5において、タッチパネル30は、透明導電体32が配された基板31(本発明の前記導電材料に相当)と、該透明導電体32上に複数配されたスペーサ36と、空気層34を介して、透明導電体32と接触可能な透明導電体33と、該透明導電体33上に配される透明フィルム35とが支持されて構成される。
このタッチパネル30に対して、透明フィルム35側からタッチすると、透明フィルム35が押圧され、押し込まれた透明導電体32と透明導電体33とが接触し、この位置での電位変化を図示しない外部検知回路で検出することで、タッチした点の座標が特定される。
【0106】
<タッチパネル表示機能付表示装置>
本発明のタッチパネル表示機能付表示装置は、本発明の前記タッチパネルを有する以外は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記表示装置としては、液晶表示装置が好ましい。
【0107】
ここで、図6に示すように、本発明のタッチパネル表示機能付表示装置100は、本発明の前記導電材料5と、対向基板1’とを、位置を合わせて圧着後、熱処理して組み合わせ、液晶を注入し、注入口を封止することによって製作される。このとき、液晶表示装置(カラーフィルタ)6上に形成される導電層3’も、本発明の前記導電材料における導電層3を用いてもよい。
前記液晶表示装置に用いられる液晶、即ち液晶化合物及び液晶組成物については特に制限はなく、いずれの液晶化合物及び液晶組成物をも使用することができる。
【0108】
前記液晶表示装置は、カラーフィルタと、バックライトとを備え、更に必要に応じてその他の部材を備えてなる。
前記液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、株式会社工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、前記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
【実施例】
【0109】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0110】
以下の実施例において、下塗り層の平均厚み、導電層の平均厚み、及びハードコート層の平均厚みは、以下のようにして測定した。
<下塗り層の平均厚み、導電層の平均厚み、及びハードコート層の平均厚みの測定>
ミクロトーム切削で材料の断面を出した後SEM観察することにより、あるいはエポキシ樹脂で包埋した後ミクロトームで作製した切片をTEM観察することにより測定することができる。これら各層の平均厚みは、10箇所測定の平均値である。
【0111】
(合成例1)
<バインダー(A−1)の合成>
共重合体を構成するモノマー成分としてメタクリル酸(MAA)7.79g、ベンジルメタクリレート(BzMA)37.21gを使用し、ラジカル重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.5gを使用し、これらを溶剤プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)55.00g中において重合反応させることにより、下記式で表されるバインダー(A−1)のPGMEA溶液(固形分濃度:45質量%)を得た。なお、重合温度は、温度60℃乃至100℃に調整した。
分子量はゲルパーミエイションクロマトグラフィ法(GPC)を用いて測定した結果、ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)は30,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.21であった。
【化3】

【0112】
(調製例1)
−銀ナノワイヤー水分散液の調製−
予め、下記の添加液A、G、及びHを調製した。
〔添加液A〕
硝酸銀粉末0.51gを純水50mLに溶解した。その後、1Nのアンモニア水を透明になるまで添加した。そして、全量が100mLになるように純水を添加した。
〔添加液G〕
グルコース粉末0.5gを140mLの純水で溶解して、添加液Gを調製した。
〔添加液H〕
HTAB(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド)粉末0.5gを27.5mLの純水で溶解して、添加液Hを調製した。
【0113】
次に、以下のようにして、銀ナノワイヤー水分散液を調製した。
純水410mLを三口フラスコ内に入れ、20℃にて攪拌しながら、添加液H 82.5mL、及び添加液G 206mLをロートにて添加した(一段目)。この液に、添加液A 206mLを流量2.0mL/min、攪拌回転数800rpmで添加した(二段目)。その10分間後、添加液Hを82.5mL添加した(三段目)。その後、3℃/分で内温75℃まで昇温した。その後、攪拌回転数を200rpmに落とし、5時間加熱した。
得られた水分散物を冷却した後、限外濾過モジュールSIP1013(旭化成株式会社製、分画分子量6,000)、マグネットポンプ、及びステンレスカップをシリコーン製チューブで接続し、限外濾過装置とした。
銀ナノワイヤー分散液(水溶液)をステンレスカップに入れ、ポンプを稼動させて限外濾過を行った。モジュールからの濾液が50mLになった時点で、ステンレスカップに950mLの蒸留水を加え、洗浄を行った。前記の洗浄を伝導度が50μS/cm以下になるまで繰り返した後、濃縮を行い、銀ナノワイヤー水分散液を得た。
得られた調製例1の銀ナノワイヤーについて、以下のようにして平均短軸長さ、平均長軸長さ、アスペクト比が10以上の銀ナノワイヤーの比率、及び銀ナノワイヤー短軸長さの変動係数を測定した。結果を表1に示す。
【0114】
<銀ナノワイヤーの平均短軸長さ(平均直径)及び平均長軸長さ>
透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、300個の銀ナノワイヤーを観察し、銀ナノワイヤーの平均短軸長さ及び平均長軸長さを求めた。
【0115】
<銀ナノワイヤーの短軸長さの変動係数>
透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、銀ナノワイヤーの短軸長さを300個観察し、ろ紙を透過した銀の量を各々測定し、短軸長さが50nm以下であり、かつ長軸長さが5μm以上である銀ナノワイヤーをアスペクト比が10以上の銀ナノワイヤーの比率(%)として求めた。
なお、銀ナノワイヤーの比率を求める際の銀ナノワイヤーの分離は、メンブレンフィルター(Millipore社製、FALP 02500、孔径1.0μm)を用いて行った。
【0116】
【表1】

【0117】
(実施例1)
<試料No.101の作製>
<<下塗り層の作製>>
市販の二軸延伸熱固定済の厚み100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)基板に8W/m・分のコロナ放電処理を施し、下記組成の下塗り層用塗布液を塗布し、乾燥させて、平均厚み0.1μmの下塗り層を形成した。
【0118】
−下塗り層用塗布液の組成−
・ブチルアクリレート・・・40質量%
・スチレン・・・20質量%
・グリシジルアクリレート・・・・40質量%
上記組成からなる共重合体ラテックスに、ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア)を0.5質量%含有させて、下塗り層用塗布液を調製した。
【0119】
<<導電層の作製>>
−銀ナノワイヤーのMFG分散液(Ag−1)の調製−
調製例1の銀ナノワイヤーの水分散物へ、ポリビニルピロリドン(K−30、和光純薬工業株式会社製)と1−メトキシ−2−プロパノール(MFG)を添加し、遠心分離の後、デカンテーションにて上澄みの水を除去し、MFGを添加し、再分散を行い、その操作を3回繰り返し、銀ナノワイヤーのMFG分散液(Ag−1)を得た。最後のMFGの添加量は銀の含有量が、銀1質量%となるように調節した。
【0120】
−ネガ型導電層用組成物の調製−
合成例1のバインダー(A−1)0.241質量部、KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製)0.252質量部、IRGACURE379(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)0.0252質量部、架橋剤としてのEHPE−3150(ダイセル化学株式会社製)0.0237質量部、メガファックF781F(DIC株式会社製)0.0003質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)0.9611質量部、及び1−メトキシ−2−プロパノール(MFG)44.3質量部、前記銀ナノワイヤーのMFG分散液(Ag−1)を54.1質量部加え、攪拌し、ネガ型導電層用組成物を調製した。
ここで、導電性繊維以外の成分の合計含有量Aと、導電性繊維の含有量Bとの質量比(A/B)が0.6であった。
【0121】
−導電層の形成−
得られたネガ型導電層用組成物を、塗布銀量が0.05g/mになるように厚み75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布し、乾燥させて、平均厚み0.1μmの導電層を形成した。
【0122】
<<ハードコート層の作製>>
前記ポリエチレンテレフタレート(PET)基板の導電層を有しない側の面に、ハードコート液(TOP、ムロマチテクノス社製)を塗布し、80℃で10分間乾燥させて、平均厚み1μmのハードコート層を形成した。以上により、試料No.101の導電材料を作製した。
【0123】
<試料No.102>
試料No.101において、下塗り層の平均厚みが0.5μmとなるように形成した以外は、試料No.101と同様にして、試料No.102の導電材料を作製した。
【0124】
<試料No.103>
試料No.101において、下塗り層の平均厚みが1μmとなるように形成した以外は、試料No.101と同様にして、試料No.103の導電材料を作製した。
【0125】
<試料No.104>
試料No.101において、下塗り層の平均厚みが5μmとなるように形成した以外は、試料No.101と同様にして、試料No.104の導電材料を作製した。
【0126】
<試料No.105>
試料No.101において、下塗り層の平均厚みが15μmとなるように形成した以外は、試料No.101と同様にして、試料No.105の導電材料を作製した。
【0127】
<試料No.106>
試料No.103において、導電層の平均厚みが0.5μmとなるように形成した以外は、試料No.103と同様にして、試料No.106の導電材料を作製した。
【0128】
<試料No.107>
試料No.103において、導電層の平均厚みが0.05μmとなるように形成した以外は、試料No.103と同様にして、試料No.107の導電材料を作製した。
【0129】
<試料No.108>
試料No.103において、下塗り層の平均厚みが0.8μmとなるように形成した以外は、試料No.103と同様にして、試料No.108の導電材料を作製した。
【0130】
<試料No.109>
試料No.101において、下塗り層を設けなかった以外は、試料No.101と同様にして、試料No.109の導電材料を作製した。
【0131】
<試料No.110>
試料No.101において、導電層の平均厚みを0.2μmとし、下塗り層及びハードコート層を設けなかった以外は、試料No.101と同様にして、試料No.110の導電材料を作製した。
【0132】
<試料No.111>
試料No.101において、下塗り層の平均厚みが20μmとなるように形成した以外は、試料No.101と同様にして、試料No.111の導電材料を作製した。
【0133】
<試料No.112>
試料No.101において、下塗り層の平均厚みが0.05μmとなるように形成した以外は、試料No.101と同様にして、試料No.112の導電材料を作製した。
【0134】
<試料No.113>
試料No.103において、導電層の平均厚みが2μmとなるように形成した以外は、試料No.103と同様にして、試料No.113の導電材料を作製した。
【0135】
<試料No.114>
試料No.103において、ハードコート層の平均厚みが8μmとなるように形成した以外は、試料No.103と同様にして、試料No.114の導電材料を作製した。
【0136】
<試料No.115>
試料No.103において、ハードコート層の平均厚みが0.3μmとなるように形成した以外は、試料No.103と同様にして、試料No.115の導電材料を作製した。
【0137】
<試料No.116>
ITOフィルム(品番639281、Aldrich社製)のITO膜反対面に、試料No.101のハードコート層塗布と同様にして、ハードコート層を形成し、試料No.116の導電材料を作製した。
【0138】
−パターニング処理−
作製した各導電材料の導電層について、以下の方法により、図4に示すようなダイヤモンドパターンのパターニング処理を行った。
〔パターニング条件〕
マスク上から、高圧水銀灯i線(365nm)を100mJ/cm(照度20mW/cm)露光を行った。露光後の基板を、純水5,000gに炭酸水素ナトリウム5gと炭酸ナトリウム2.5gを溶解した現像液でシャワー現像30秒間を行った。シャワー圧は0.04MPa、ストライプパターンが出現するまでの時間は15秒間であった。次に、純水のシャワーでリンスした。
【0139】
次に、得られた各導電材料について、以下のようにして、光透過率、表面抵抗、カール性、及び可撓性を評価した。結果を表2に示す。
【0140】
<光透過率の測定>
得られた各導電材料を、ガードナー社製ヘイズガードプラスを用いて、C光源下のCIE視感度関数yについて、測定角0°で測定した。
【0141】
<表面抵抗の測定>
得られた各導電材料を、表面抵抗計(三菱化学株式会社製、Loresta−GP MCP−T600)を用いて、表面抵抗を測定した。
【0142】
<カール性>
得られた各導電材料を、10cm×30cm大に切り出し、導電層を上側にして水平面に置いた時の水平面からの反り量を定規で測り、評価した。横から見て切り出したフィルムが凹形状になった場合を「+」、凸形状になった場合を「−」とした。
〔評価基準〕
○:反り量 ≦ ±10mm
△:±10mm< 反り量 ≦ ±30mm
×:反り量 > ±30mm
【0143】
<可撓性>
得られた各導電材料の導電層を付与した面を外側にし、直径9mmの金属棒に巻きつけ、15秒間静置させた。巻きつけ前後の各導電材料の導電層の導電性を、表面抵抗計(三菱化学株式会社製、Loresta−GP MCP−T600)を用いて測定し、下記式から抵抗変化率を求め、下記基準で評価した。なお、可撓性は、抵抗変化率の数字が小さいほど優れていることを示す。
抵抗変化率(%)=(巻きつけ後の表面抵抗/巻きつけ前の表面抵抗)×100
〔評価基準〕
「1」:抵抗変化率が300%以上で、実用上問題のあるレベルである
「2」:抵抗変化率が300%未満150%以上で、実用上問題のあるレベルである
「3」:抵抗変化率が150%未満130%以上で、実用上問題ないレベルである
「4」:抵抗変化率が130%未満115%以上で、実用上問題ないレベルである
「5」:抵抗変化率が115%未満で、実用上問題ないレベルである
【0144】
【表2−1】

【表2−2】

【0145】
(実施例2)
−タッチパネルの作製−
試料No.108の導電材料を用いて、『最新タッチパネル技術』(2009年7月6日発行、株式会社テクノタイムズ)、三谷雄二監修、“タッチパネルの技術と開発”、シーエムシー出版(2004年12月発行)、「FPD International 2009 Forum T−11講演テキストブック」、「Cypress Semiconductor Corporation アプリケーションノートAN2292」等に記載の方法により、タッチパネルを作製した。
作製したタッチパネルを使用した場合、光透過率の向上により視認性に優れ、かつ導電性の向上により素手、手袋を嵌めた手、指示具のうち少なくとも一つによる文字等の入力又は画面操作に対し応答性に優れるタッチパネルを製作できることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0146】
本発明の導電材料は、光透過性、導電性、可撓性、及びハンドリング性のすべてに優れ、カールバランスが向上しているので、例えば、タッチパネル、ディスプレイ用帯電防止、電磁波シールド、有機ELディスプレイ用電極、無機ELディスプレイ用電極、電子ペーパー、フレキシブルディスプレイ用電極、フレキシブルディスプレイ用帯電防止膜、太陽電池、その他の各種デバイスなどに幅広く利用可能である。
【符号の説明】
【0147】
1 基材
2 下塗り層
3 導電層
4 ハードコート層
5 導電材料
6 液晶表示装置
10、20、30 タッチパネル
11、21、31 透明基板
12、13、22、23、32、33 透明導電体
24 絶縁層
25 絶縁カバー層
14、17 保護膜
15 中間保護膜
16 グレア防止膜
18 電極端子
33 スペーサ
34 空気層
35 透明フィルム
36 スペーサ
100 タッチパネル機能付表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、該基材の一の面に下塗り層、及び少なくとも導電性繊維を含有する導電層をこの順に有し、前記基材の他の面にハードコート層とを有してなり、
前記導電層の平均厚みが0.01μm〜1μmであり、
前記下塗り層の平均厚みが0.1μm〜15μmであり、
前記ハードコート層の平均厚みが0.5μm〜5μmであることを特徴とする導電材料。
【請求項2】
導電層の平均厚みが0.05μm〜0.5μmである請求項1に記載の導電材料。
【請求項3】
導電層の平均厚みAと、ハードコート層の平均厚みBとが、次式、〔(A/B)×100〕≦30%を満たす請求項1から2のいずれかに記載の導電材料。
【請求項4】
下塗り層の平均厚みCと、ハードコート層の平均厚みBとが、次式、60%≦〔(C/B)×100〕を満たす請求項1から3のいずれかに記載の導電材料。
【請求項5】
次式、60%≦〔(C/B)×100〕≦150%を満たす請求項4に記載の導電材料。
【請求項6】
導電層における導電性繊維以外の成分の導電性繊維に対する質量比が0.1〜5である請求項1から5のいずれかに記載の導電材料。
【請求項7】
導電性繊維が金属ナノワイヤーである請求項1から6のいずれかに記載の導電材料。
【請求項8】
金属ナノワイヤーが、銀、及び銀と銀以外の金属との合金のいずれかからなる請求項7に記載の導電材料。
【請求項9】
金属ナノワイヤーの平均短軸長さが100nm以下であり、平均長軸長さが2μm以上である請求項7から8のいずれかに記載の導電材料。
【請求項10】
導電層における全可視光透過率が85%以上である請求項1から9のいずれかに記載の導電材料。
【請求項11】
導電層における表面抵抗が0.1Ω/□〜5,000Ω/□である請求項1から10のいずれかに記載の導電材料。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の導電材料における導電層に対し、露光し、現像することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項13】
請求項1から11のいずれかに記載の導電材料を用いたことを特徴とするタッチパネル。
【請求項14】
請求項13に記載のタッチパネルを有することを特徴とするタッチパネル機能付表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−9219(P2012−9219A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142815(P2010−142815)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】