説明

小児患者の糖尿病の治療のためのDPP−IVインヒビター

【課題】小児患者の代謝性疾患、特に糖尿病の治療に有効、安全かつ寛容し得る坑糖尿病治療薬を提供する。
【解決手段】本発明は或る種のDPP-4 インヒビターが小児患者で代謝性疾患、特に糖尿病の治療及び/又は予防に特に適しているという知見に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は小児2型糖尿病患者の代謝性疾患、特に糖尿病(特に2型真性糖尿病及びそれに関連する疾患)を治療及び/又は予防するための或る種のDPP-4 インヒビター並びに、坑糖尿病療法におけるこれらのDPP-4 インヒビターの使用に関する。必要により一種以上のその他の活性物質と一緒に本明細書に特定されたDPP-4 インヒビターを含むこれらの治療薬中の使用のための医薬組成物がまた意図されている。
【背景技術】
【0002】
2型真性糖尿病 (T2DM) はインスリン分泌が血漿グルコースレベルを正常な範囲に維持するのに必要とされる要求を満たさない多遺伝子性疾患である。これが慢性高血糖及びその関連微小血管合併症及び大血管合併症又は慢性損傷、例えば、糖尿病性腎症、網膜症もしくは神経障害、又は大血管(例えば、心臓又は脳の血管)合併症をもたらす。血管疾患成分が重大な役割を果たすが、糖尿病関連障害のスペクトルの唯一の因子ではない。高頻度の合併症が余命の重大な減少をもたらす。糖尿病は現在糖尿病誘発合併症のために工業化世界で成人発症の視力の喪失、腎不全、及び切断の最も頻繁な原因であり、心血管疾患リスクの2〜5倍の増大と関連している。
療法(例えば、初回又は第二選択、及び/又は単一もしくは(イニシャル(initial)もしくはアドオン(add-on))組み合わせ療法)に通常使用される経口又は非経口坑糖尿病薬として、メトホルミン、スルホニル尿素、チアゾリジンジオン、グリニド、α-グルコシダーゼインヒビター、GLP-1 又はGLP-1 類似体、及びインスリン又はインスリン類似体、又はこれらの(二重もしくは三重)組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
成人のように、小児及び若者の2型糖尿病はインスリン耐性及び相対的なβ-細胞分泌不全の組み合わせのためであることが明らかである。インスリン耐性及び制限されたβ-細胞貯蔵に多くの遺伝的及び環境のリスク因子があるように思われる:2型糖尿病の家族履歴、民族性、成長ホルモン/IGF分泌力学の思春期の増強、母体の糖尿病への子宮内暴露、低い出産時体重、定住性ライフスタイル及びアンドロジェン過剰と関連する女性のジェンダー。
【0003】
しかしながら、小児及び若者の2型糖尿病の発生に最も重要なリスク因子は肥満であることが明らかであり、幼時肥満の増大する流行はおそらく小児及び若者の2型糖尿病症例の増加の主たる原因である。
幼時の2型糖尿病の発生の別の重要なリスク因子は民族性である。例えば、北アメリカでは、2型糖尿病の症例が主としてアフリカ系米国人、ミキシコ系米国人、生粋の米国人及びアジア系米国人の小児及び若者を含む少数民族で生じる。
明白な糖尿病の発生の前に、小児が経験する前糖尿病(これは上昇した断食グルコース又はグルコーストレランス障害と特定し得る)の期間がある。
小児及び若者の2型糖尿病症例の大半が12-17才の年齢のグループで生じる。10才より若い小児では、2型糖尿病の流行が極めて低い。
小児及び若者の糖尿病の診断は成人について確立されたものと同じ米国人糖尿病協会基準についてなされる。診断は対象が症候があり、≧200 mg/dlの血漿グルコースを有する場合に、又は無症候の小児及び若者をスクリーニングし、>126 mg/dlの断食血漿グルコース、又は経口グルコーストレランス試験中の>200 mg/dl の2時間血漿グルコースを見つけることによりなし得る。
小児2型糖尿病の高いリスクがある集団は過剰体重(例えば、年齢及び性別について> 85%の体格指数、もしくは年齢、性別、及び身長について> 85%の体重、又は身長についての理想の> 120%の体重)のリスクがあり、又は過剰体重 (BMI > 85%) 又は、特に、肥満(軽度、中等度そして、特に、重度の肥満を含む)、及び/又は2型糖尿病の陽性(一級〜二級)家族履歴を有する小児及び若者、及び/又は或る種の人種/民族グループに属するもの、例えば、米国のインディアン/生粋の米国人、黒人のアフリカ人/アフリカ系米国人、ヒスパニック系(例えば、メキシコ系)米国人、アジア人、東アジア人、南アジア人(インド半島)もしくは太平洋の島の住民、及び/又はインスリン耐性又はメタボリック症候群(特に高血圧、黒色表皮腫、脂質異常、多のう胞性卵巣疾患、アンドロジェン過剰及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD) を含む)を有するものを含む。
【0004】
小児2型糖尿病患者の血糖調節の治療目標は2型糖尿病の成人について特定されるとおりであり得る: 1. HbA1c <67% 、かつ2.断食血漿グルコースレベル<126 mg/dl。
薬物療法が小児2型糖尿病患者で必要とされる場合、2型糖尿病の対象で見られる代謝異常を改善するのに利用できる多くの薬剤があるが、小児におけるそれらの使用に関するデータが殆どない。メトホルミンが小児で認可されていた唯一の経口薬剤である。
しかしながら、メトホルミン治療には幾つかの欠点が残存する。例えば、
- メトホルミンを含む現在利用できる通常の坑糖尿病薬は経時の血糖調節の喪失と関連しているかもしれず、
- メトホルミンの薬量は毎日2〜3回であり、これがコンプライアンスの問題をもたらすかもしれず、
- メトホルミン錠剤が大きい寸法であり、これはある種の幼時が飲み込み難いかもしれず、
- メトホルミン療法は胃腸の症候(これは小児では良く寛容されず、コンプライアンスの問題をもたらすかもしれない)の20-30% の罹患率と関連しており、
- メトホルミンによる乳酸アシドーシスのリスクに関する注意が払われる必要があり、
- メトホルミンは腎不全の患者で禁忌され、かつ
- メトホルミン単一療法は全ての小児/若者で血糖目標の達成をもたらさないかもしれない。
【0005】
経口坑高血糖薬に加えて、インスリンがまた血漿グルコースレベルを低下し、HbA1c レベルを正常に戻すのに使用し得る。しかしながら、インスリン使用は過酷であり、送出のその皮下注射可能な経路のために小児集団ではしばしば望ましくない。また、インスリンは高率の低血糖及び体重増大と関連している。
それ故、小児2型糖尿病患者に有効、安全かつ寛容し得る坑糖尿病治療薬を提供するようにとの要望が当業界に存する。
更に、小児2型糖尿病患者に便利である坑糖尿病治療薬を提供するようにとの要望がまた当業界に存する。
更に、小児2型糖尿病患者のために既存の坑糖尿病治療薬の効力、安全性、寛容性及び/又は便宜を改善するようにとの要望が当業界に存する。
真性糖尿病の治療の監視において、HbA1c 値、ヘモグロビンB鎖の非酵素的グリコシル化の産物が、格別重要である。その生成は血糖レベル及び赤血球の寿命に実質的に依存するので、“血糖記憶”の意味のHbA1c が先の4-12週の平均血糖レベルを反映する。HbA1c レベルが長時間にわたって一層徹底的な糖尿病治療 (即ち、サンプル中の全ヘモグロビンの< 6.5 %) により良く調節されていた糖尿病患者は糖尿病性微小血管障害から有意に良好に保護される。糖尿病に利用可能な治療は糖尿病患者に1.0-1.5%のオーダーのそれらのHbA1c レベルの平均の改善を与え得る。HbA1C レベルのこの低下は全ての糖尿病患者でそれらを< 7.0 % 、好ましくは< 6.5 % 、更に好ましくは< 6 % のHbA1cの所望の目標範囲にするのに充分ではない。
血糖調節中に、HbA1c レベルの改善に加えて、2型真性糖尿病患者に推奨されるその他の治療目標は正常又はできるだけ正常付近への断食血漿グルコース(FPG) レベル及び食後の血漿グルコース(PPG) レベルの改善である。食前(断食)血漿グルコースの推奨される所望の目標範囲は70-130 mg/dL (もしくは90-130 mg/dL) 又は<110 mg/dLであり、食後2時間の血漿グルコースのそれは<180 mg/dL 又は<140 mg/dLである。
本発明の意味内の小児糖尿病患者の具体例は
- メトホルミン治療が禁忌される患者、例えば、ラベルによるメトホルミン治療に対する一つ以上の禁忌を有する患者、例えば、
腎臓疾患、腎障害又は腎不全(例えば、地方で認可されたメトホルミンの製品情報により特定されるような)、
脱水、
不安定又は急性の鬱血性心不全、
急性又は慢性代謝性アシドーシス、及び
遺伝性ガラクトースイントレランス
から選ばれた少なくとも一つの禁忌のある患者、並びに
- メトホルミンに起因する一つ以上の寛容できない副作用、特にメトホルミンと関連する胃腸副作用を患う患者、例えば、
吐気、
嘔吐、
下痢、
腸のガス、及び
ひどい腹部の不快
から選ばれた少なくとも一つの胃腸副作用を患っている患者
を含むメトホルミン治療に不適当な患者を表す。
【0006】
本発明の意味内の小児糖尿病患者の更なる具体例は腎臓疾患、腎不全、又は、例えば、上昇した血清クレアチニンレベル(例えば、それらの年齢に正常の上限より上の血清クレアチニンレベル)又は異常なクレアチニンクリアランスにより示唆されるような、腎臓機能の不十分さもしくは障害(軽度、中等度及び重度の腎臓障害を含む)を有する患者を表す。
本発明の意味内の小児糖尿病患者の更なる具体例は腎臓疾患、腎不全、又は、例えば、上昇した血清クレアチニンレベル(例えば、それらの年齢に正常の上限より上の血清クレアチニンレベル、例えば、男性で≧ 130 - 150 μモル/l、又は≧ 1.5 mg/dl (≧ 136 μモル/l) 、また女性で≧ 1.4 mg/dl (≧ 124 μモル/l)) 又は異常なクレアチニンクリアランス (例えば、30-60ml/分以下の糸球体濾過率 (GFR))により示唆されるような、腎臓機能の不十分さもしくは障害(軽度、中等度及び重度の腎臓障害を含む)を有する患者を表す。
この状況において、例えば、小児患者(例えば、<40kg)の軽度の腎臓障害が、例えば、>30ml/分のクレアチニンクリアランスにより示唆されるかもしれず、中等度の腎臓障害が、例えば、10-30ml/分のクレアチニンクリアランスにより示唆されるかもしれず、また重度の腎臓障害が、例えば、10ml/分未満のクレアチニンクリアランスにより示唆されるかもしれない。末期段階の腎臓疾患の患者は透析を必要とする。
本発明の意味内の小児2型糖尿病患者の特別なグループは若者の患者、特に10-17才の年齢グループ(即ち、10才から18才未満までの年齢)を表す。
酵素DPP-4 (ジペプチジルペプチダーゼIV) (またCD26として知られている)はそれらのN末端にプロリン又はアラニン残基を有する幾つかのタンパク質のN末端からのジペプチドの開裂をもたらすことが知られているセリンプロテアーゼである。この性質のために、DPP-4インヒビターはペプチドGLP-1 を含む生理活性ペプチドの血漿レベルに干渉し、真性糖尿病の治療に有望な薬物であると考えられる。
【0007】
例えば、DPP-4インヒビター及びそれらの使用、特に代謝性(糖尿病性)疾患におけるそれらの使用が、WO 2002/068420, WO 2004/018467, WO 2004/018468, WO 2004/018469, WO 2004/041820, WO 2004/046148, WO 2005/051950, WO 2005/082906, WO 2005/063750, WO 2005/085246, WO 2006/027204, WO 2006/029769 もしくはWO2007/014886; 又はWO 2004/050658, WO 2004/111051, WO 2005/058901 もしくはWO 2005/097798; 又はWO 2006/068163, WO 2007/071738 もしくはWO 2008/017670; 又はWO 2007/128721 もしくはWO 2007/128761に開示されている。
更なるDPP-4 インヒビターとして、下記の化合物が挙げられる:
−下記の構造式Aを有するシタグリプチン(MK-0431) は (3R)-3-アミノ-1-[3-(トリフルオロメチル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-5H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7-イル]-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン(また (2R)-4-オキソ-4-[3-(トリフルオロメチル)-5,6-ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7(8H)-イル]-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-2-アミンと称される)である。
【0008】
【化1】

【0009】
一実施態様において、シタグリプチンはそのリン酸二水素塩、即ち、シタグリプチンホスフェートの形態である。更なる実施態様において、シタグリプチンホスフェートは結晶性無水物又は一水和物の形態である。この実施態様のクラスはシタグリプチンホスフェート一水和物を表す。シタグリプチン遊離塩基及びその医薬上許される塩が米国特許第6,699,871号及びWO 03/004498の実施例7に開示されている。結晶性シタグリプチンホスフェート一水和物がWO 2005/003135 及びWO 2007/050485に開示されている。
例えば、この化合物又はその塩を製造し、製剤化し、又は使用する方法についての詳細について、これらの書類がこうして参考にされる。
シタグリプチンの錠剤製剤が商品名Januvia(商標)として市販されている。シタグリプチン/メトホルミン組み合わせの錠剤製剤が商品名Janumet(商標)として市販されている。
−下記の構造式Bを有するビルダグリプチン(LAF-237) は(2S)-{[(3-ヒドロキシアダマンタン-1-イル)アミノ]アセチル}ピロリジン-2-カルボニトリル(また(S)-1-[(3-ヒドロキシ-1-アダマンチル)アミノ]アセチル-2-シアノ-ピロリジンと称される)である。
【0010】
【化2】

【0011】
ビルダグリプチンは米国特許第6,166,063号及びWO 00/34241の実施例1に詳しく開示されている。ビルダグリプチンの特別な塩がWO 2007/019255に開示されている。ビルダグリプチンの結晶形態だけでなく、ビルダグリプチン錠剤製剤がWO 2006/078593に開示されている。ビルダグリプチンはWO 00/34241 又はWO 2005/067976に記載されたように製剤化し得る。改良された放出のビルダグリプチン製剤がWO 2006/135723に記載されている。
例えば、この化合物又はその塩を製造し、製剤化し、又は使用する方法についての詳細について、これらの書類がこうして参考にされる。
ビルダグリプチンの錠剤製剤が商品名Galvus(商標)として市販されている。ビルダグリプチン/メトホルミン組み合わせの錠剤製剤が商品名Eucreas(商標)として市販されている。
−下記の構造式Cを有するサクサグリプチン(BMS-477118) は(1S,3S,5S)-2-{(2S)-2-アミノ-2-(3-ヒドロキシアダマンタン-1-イル)アセチル}-2-アザビシクロ [3.1.0]ヘキサン-3-カルボニトリル(また(S)-3-ヒドロキシアダマンチルグリシン-L-シス-4,5-メタノプロリンニトリルと称される)である。
【0012】
【化3】

【0013】
サクサグリプチンは米国特許第6,395,767号及びWO 01/68603の実施例60に詳しく開示されている。
一実施態様において、サクサグリプチンはWO 2004/052850に開示されたようにそのHCl塩又はそのモノ-安息香酸塩の形態である。更なる実施態様において、サクサグリプチンは遊離塩基の形態である。更に別の実施態様において、サクサグリプチンはWO 2004/052850に開示されたような遊離塩基の一水和物の形態である。サクサグリプチンのHCl塩及び遊離塩基の結晶形態がWO 2008/131149に開示されている。サクサグリプチンの調製方法がまたWO 2005/106011及びWO 2005/115982に開示されている。サクサグリプチンはWO 2005/117841に記載されたように錠剤で製剤化し得る。
例えば、この化合物又はその塩を製造し、製剤化し、又は使用する方法についての詳細について、これらの書類がこうして参考にされる。
−下記の構造式Eを有するアログリプチン(SYR-322) は2-({6-[(3R)-3-アミノピペリジン-1-イル]-3-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル}メチル)ベンゾニトリルである。
【0014】
【化4】

【0015】
アログリプチンはUS 2005/261271、EP 1586571 及びWO 2005/095381に詳しく開示されている。一実施態様において、アログリプチンは夫々WO 2007/035629 に開示されたようにその安息香酸塩、その塩酸塩又はそのトシレート塩の形態である。この実施態様のクラスはアログリプチン安息香酸塩を表す。アログリプチン安息香酸塩の多形がWO 2007/035372に開示されている。アログリプチンの調製方法がWO 2007/112368に、また詳しくはWO 2007/035629に開示されている。アログリプチン (即ち、その安息香酸塩)はWO 2007/033266に記載されたように錠剤に製剤化され、投与し得る。アログリプチンとピオグリタゾン又はメトホルミンの製剤が夫々WO 2008/093882 又はWO 2009/011451に記載されている。
例えば、この化合物又はその塩を製造し、製剤化し、又は使用する方法についての詳細について、これらの書類がこうして参考にされる。
−(2S)-1-{[2-(5-メチル-2-フェニル-オキサゾール-4-イル)-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリルもしくはその医薬上許される塩、好ましくはメシレート、又は(2S)-1-{[1,1,-ジメチル-3-(4-ピリジン-3-イル-イミダゾール-1-イル)-プロピルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリルもしくはその医薬上許される塩。
これらの化合物及びそれらの調製方法がWO 03/037327に開示されている。前者の化合物のメシレート塩だけでなく、その結晶性多形がWO 2006/100181 に開示されている。後者の化合物のフマル酸塩だけでなく、その結晶性多形がWO 2007/071576に開示されている。これらの化合物がWO 2007/017423に記載されたように医薬組成物中に製剤化し得る。
例えば、これらの化合物又はその塩を製造し、製剤化し、又は使用する方法についての詳細について、これらの書類がこうして参考にされる。
−(S)-1-((2S,3S,11bS)-2-アミノ-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド [2,1-a]イソキノリン-3-イル)-4-フルオロメチル-ピロリジン-2-オン又はその医薬上許される塩:
【0016】
【化5】

【0017】
この化合物及びその調製方法がWO 2005/000848に開示されている。この化合物(特にその二塩酸塩)の調製方法がまたWO 2008/031749、WO 2008/031750 及びWO 2008/055814に開示されている。この化合物はWO 2007/017423に記載されたように医薬組成物中に製剤化し得る。
例えば、この化合物又はその塩を製造し、製剤化し、又は使用する方法についての詳細について、これらの書類がこうして参考にされる。
−(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)-((2S,4S)-4-(4-(ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロリジン-2-イル)メタノン (またゴソグリプチンと称される) 又はその医薬上許される塩:
この化合物及びその調製方法がWO 2005/116014 及びUS 7291618に開示されている。
例えば、この化合物又はその塩を製造し、製剤化し、又は使用する方法についての詳細について、これらの書類がこうして参考にされる。
−(1((3S,4S)-4-アミノ-1-(4-(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)ピロリジン-3-イル)-5,5-ジフルオロピペリジン-2-オン又はその医薬上許される塩:
【0018】
【化6】

【0019】
この化合物及びその調製方法がWO 2007/148185 及びUS 20070299076に開示されている。例えば、この化合物又はその塩を製造し、製剤化し、又は使用する方法についての詳細について、これらの書類がこうして参考にされる。
−(2S,4S)-1-{2-[(3S,1R)-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イルメチル)シクロペンチルアミノ]-アセチル}-4-フルオロピロリジン-2-カルボニトリル (またメログリプチンと称される) 又はその医薬上許される塩
【0020】
【化7】

【0021】
この化合物及びその調製方法がWO 2006/040625 及びWO 2008/001195に開示されている。詳しくは、特許請求された塩として、メタンスルホン酸塩及びp-トルエンスルホン酸塩が挙げられる。例えば、この化合物又はその塩を製造し、製剤化し、又は使用する方法についての詳細について、これらの書類がこうして参考にされる。
−(R)-2-[6-(3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イルメチル]-4-フルオロ-ベンゾニトリル又はその医薬上許される塩:
【0022】
【化8】

【0023】
この化合物並びにその調製方法及び使用方法がWO 2005/095381、US 2007060530、WO 2007/033350、WO 2007/035629、WO 2007/074884、WO 2007/112368、WO 2008/033851、WO 2008/114800 及びWO 2008/114807に開示されている。詳しくは、特許請求された塩として、コハク酸塩 (WO 2008/067465)、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、(R)-マンデル酸塩及び塩酸塩が挙げられる。例えば、この化合物又はその塩を製造し、製剤化し、又は使用する方法についての詳細について、これらの書類がこうして参考にされる。
−5-{(S)-2-[2-((S)-2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-プロピル}-5-(1H-テトラゾール-5-イル)-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ [a,d]シクロヘプテン-2,8-ジカルボン酸ビス-ジメチルアミド又はその医薬上許される塩:
【0024】
【化9】

【0025】
この化合物及びその調製方法がWO 2006/116157 及びUS 2006/270701に開示されている。例えば、この化合物又はその塩を製造し、製剤化し、又は使用する方法についての詳細について、これらの書類がこうして参考にされる。
−3-{(2S,4S)-4-[4-(3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル]ピロリジン-2-イルカルボニル}チアゾリジン (またテネリグリプチンと称される) 又はその医薬上許される塩:
この化合物及びその調製方法がWO 02/14271に開示されている。特別な塩がWO 2006/088129及びWO 2006/118127 に開示されている(とりわけ、塩酸塩、臭化水素酸塩を含む)。この化合物を使用する組み合わせ治療がWO 2006/129785 に記載されている。例えば、この化合物又はその塩を製造し、製剤化し、又は使用する方法についての詳細について、これらの書類がこうして参考にされる。
【0026】
−[(2R)-1-{[(3R)-ピロリジン-3-イルアミノ]アセチル}ピロリジン-2-イル]ボロン酸 (またドゥトグリプチンと称される) 又はその医薬上許される塩:
この化合物及びその調製方法がWO 2005/047297 、WO 2008/109681 及びWO 2009/009751に開示されている。特別な塩がWO 2008/027273に開示されている (クエン酸塩、酒石酸塩を含む)。この化合物の製剤化がWO 2008/144730に記載されている。例えば、この化合物又はその塩を製造し、製剤化し、又は使用する方法についての詳細について、これらの書類がこうして参考にされる。
−(2S,4S)-1-[2-[(4-エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト-1-イル)アミノ]アセチル]-4-フルオロピロリジン-2-カルボニトリル又はその医薬上許される塩:
この化合物及びその調製方法がWO 2005/075421、US 2008/146818 及びWO 2008/114857に開示されている。例えば、この化合物又はその塩を製造し、製剤化し、又は使用する方法についての詳細について、これらの書類がこうして参考にされる。
−2-({6-[(3R)-3-アミノ-3-メチルピペリジン-1-イル]-1,3-ジメチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-5-イル}メチル)-4-フルオロベンゾニトリルもしくはその医薬上許される塩、又は6-[(3R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル]-5-(2-クロロ-5-フルオロ-ベンジル)-1,3-ジメチル-1,5-ジヒドロ-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2,4-ジオンもしくはその医薬上許される塩:
これらの化合物及びそれらの調製方法が夫々WO 2009/084497 及びWO 2006/068163に開示されている。例えば、これらの化合物又はその塩を製造し、製剤化し、又は使用する方法についての詳細について、これらの書類がこうして参考にされる。
疑いを避けるために、先に引用された以上の書類の夫々の開示が参考として本明細書にそのまま特別に含まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明の範囲内で、本明細書に特定されたDPP-4 インヒビターが小児2型糖尿病患者で、代謝性疾患、特に糖尿病(特に2型真性糖尿病及びそれに関連する症状(糖尿病合併症を含む))を治療及び/又は予防(進行を防止もしくは遅延し、又は発症を遅延することを含む)するのにそれらを特に適するようにする、予期しない性質及び有利な性質を有することが今驚くべきことにわかった。
こうして、本発明は特に10才から18才未満までの年齢の、小児患者の代謝性疾患、特に2型真性糖尿病の治療及び/又は予防における使用のための本明細書に特定されたDPP-4 インヒビターを提供する。
更に、本発明は小児2型糖尿病の治療及び/又は予防における使用のための本明細書に特定されたDPP-4 インヒビターを提供する。
更に、本発明は小児患者(例えば、本明細書に記載された小児2型糖尿病の高いリスクのある患者集団を含む)の代謝性疾患、特に2型真性糖尿病の治療及び/又は予防のための医薬組成物の製造のための本明細書に特定されたDPP-4 インヒビターの使用を提供する。
更に、本発明は小児患者の代謝性疾患、特に2型真性糖尿病の治療及び/又は予防における使用のための医薬組成物を提供し、前記医薬組成物は本明細書に特定されたDPP-4 インヒビターそして必要により一種以上の医薬上許される担体及び/又は希釈剤を含む。
更に、本発明は小児患者の代謝性疾患、特に2型真性糖尿病の治療及び/又は予防における使用のためのパーツのキットを含む固定又は非固定組み合わせを提供し、前記組み合わせは本明細書に特定されたDPP-4 インヒビター及び一種以上のその他の活性物質、例えば、本明細書に挙げられたもののいずれか、特にメトホルミンを含む。
更に、本発明は小児患者の代謝性疾患、特に2型真性糖尿病の治療及び/又は予防のための医薬組成物の製造のための、一種以上のその他の活性物質、例えば、本明細書に挙げられたもののいずれか、特にメトホルミンと組み合わせての本明細書に特定されたDPP-4 インヒビターの使用を提供する。
更に、本発明は小児患者の代謝性疾患、特に2型真性糖尿病の治療及び/又は予防における使用のための医薬組成物を提供し、前記医薬組成物は本明細書に特定されたDPP-4 インヒビターそして、必要により、一種以上のその他の活性物質、例えば、本明細書に挙げられたもののいずれか、特にメトホルミンを含む。
更に、本発明は小児患者の代謝性疾患、特に2型真性糖尿病を治療し、かつ/又は予防する方法を提供し、前記方法はそれを要する対象(特にヒト小児患者)に有効量の本明細書に特定されたDPP-4 インヒビターを必要により単独で、又は有効量の一種以上のその他の活性物質、例えば、本明細書に挙げられたもののいずれか、特にメトホルミンと組み合わせて、例えば、別々に、逐次、同時又は日付がずれて投与することを含む。
更に、本発明は本明細書に記載された治療のための、必要により一種以上のその他の活性物質(例えば、本明細書に挙げられたものから選ばれる)と(アドオン(add-on)又はイニシャル(initial)で)組み合わせての本明細書に特定されたDPP-4 インヒビターの使用を提供する。
更に、本発明は本明細書に記載された治療のための、一種以上の通常の薬物(例えば、本明細書に挙げられたものから選ばれる)と組み合わせて(例えば、イニシャル(initial)の組み合わせとして、又はアドオン(add-on)として)の本明細書に特定されたDPP-4 インヒビターの使用を提供する。
更に、本発明は単一療法又は(アドオン(add-on)もしくはイニシャル(initial)の)組み合わせ療法における使用のための本明細書に特定されたDPP-4 インヒビターを提供する。
更に、本発明はメトホルミン(例えば、メトホルミン塩酸塩500mgから2000mgまでの合計の毎日の量、例えば、毎日1回又は2回の500mg、850mg又は1000mg)との(アドオン(add-on)もしくはイニシャル(initial)の)組み合わせ療法における使用のための本明細書に特定されたDPP-4 インヒビターを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
特にことわらない限り、本発明の意味内の組み合わせは固定組み合わせ又は自由な組み合わせを含んでもよい。
更に、本発明の意味内で、本明細書に特定されたDPP-4 インヒビターは、特に小児糖尿病(特に2型糖尿病)患者における下記の方法の一つ以上に有益であり得る。
−代謝障害を予防し、その進行を遅くし、遅延し、又は治療するため、
−血糖調節を改善し、かつ/又は断食血漿グルコース、食後の血漿グルコース及び/又はグリコシル化ヘモグロビンHbA1cの低減のため、
−グルコーストレランス障害、断食血液グルコース障害、インスリン耐性及び/又はメタボリック症候群から2型真性糖尿病への進行を予防し、遅くし、遅延又は反転するため、
−真性糖尿病の合併症からなる群から選ばれた症状又は疾患を予防し、そのリスクを軽減し、その進行を遅くし、遅延し、又は治療するため、
−体重を減少し、もしくは体重の増加を予防し、又は体重の減少を促進するため、
−通常の(経口)坑高血糖薬物と関連する不利な作用のリスクを軽減するため、
−膵臓のベータ細胞の変性を予防もしくは措置し、かつ/又は膵臓のベータ細胞の機能を改善及び/又は回復し、かつ/又は膵臓のインスリン分泌の機能を刺激及び/又は回復するため、かつ/又は
−インスリン感受性を維持及び/又は改善し、かつ/又は高インスリン血症及び/又はインスリン耐性を治療又は予防するため。
【0029】
特に小児患者で本発明の治療を受けやすいこのような代謝性疾患又は障害の例として、1型糖尿病、2型糖尿病、不適なグルコーストレランス、インスリン耐性、高血糖症、高脂血症、高コレステロール血症、異常脂血症、メタボリック症候群、肥満、高血圧、慢性全身性炎症、網膜症、神経障害、腎症、アテローム硬化症、内皮機能不全及び骨多孔症が挙げられるが、これらに限定されない。
更に、本発明は、特に小児糖尿病(特に2型糖尿病)患者(特に10才から18才未満までの年齢)で下記の方法の一つ以上における使用のための、必要により一種以上のその他の活性物質、例えば、本明細書に挙げられたもののいずれかと組み合わせての、本明細書に特定されたDPP-4 インヒビターを提供する。
−代謝障害又は疾患、例えば、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病、損なわれたグルコーストレランス(IGT)、損なわれた断食血液グルコース(IFG)、高血糖症、食後の高血糖症、過剰体重、肥満、異常脂血症、高脂血症、高コレステロール血症、高血圧、アテローム硬化症、内皮機能不全、骨多孔症、慢性全身性炎症、非アルコール性脂肪肝症(NAFLD)、網膜症、神経障害、腎症、多のう胞性卵巣症候群、及び/又はメタボリック症候群を予防し、その進行を遅くし、遅延し、又は治療し、
−血糖調節を改善し、かつ/又は断食血漿グルコース、食後の血漿グルコース及び/又はグリコシル化ヘモグロビンHbA1cの低減のため、
−前糖尿病、損なわれたグルコーストレランス(IGT)、損なわれた断食血液グルコース(IFG)、インスリン耐性及び/又はメタボリック症候群から2型真性糖尿病への進行を予防し、遅延又は反転し、
【0030】
−真性糖尿病の合併症、例えば、微小血管疾患及び大血管疾患、例えば、腎症、微小又は大アルブミン尿症、タンパク質尿症、網膜症、白内障、神経障害、学習又は記憶障害、神経変性疾患又は認知障害、心血管疾患又は脳血管疾患、組織虚血、糖尿病性の足又は潰瘍、アテローム硬化症、高血圧、内皮機能不全、心筋梗塞、急性冠症候群、不安定なアンギーナペクトリス(pectoris)、安定なアンギーナペクトリス、末梢動脈閉塞症、心筋症、心不全、心拍障害、血管再狭窄、及び/又は卒中を予防し、そのリスクを軽減し、その進行を遅くし、遅延し、又は治療し、
−体重及び/又は体脂肪を減少し、もしくは体重及び/又は体脂肪の増加を予防し、又は体重及び/又は体脂肪の減少を促進し、
−膵臓のベータ細胞の変性及び/又は膵臓のベータ細胞の機能の低下を予防、遅延もしくは措置し、かつ/又は膵臓のベータ細胞の機能を改善及び/又は回復し、かつ/又は膵臓のインスリン分泌の機能を刺激及び/又は回復し、もしくは保護し、
−肝臓脂肪症、非アルコール性肝脂肪症(NASH)及び/又は肝線維症を含む非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)を予防し、遅くし、遅延又は治療し(例えば、肝臓脂肪症、(肝臓の)炎症及び/又は肝臓脂肪の異常な蓄積を予防し、その進行を遅くし、遅延し、軽減し、治療し、又は反転する)、
−通常の坑糖尿病単一又は組み合わせ治療に失敗の2型糖尿病を予防し、その進行を遅くし、遅延又は治療し、
−適当な治療効果に必要とされる通常の坑糖尿病薬の用量の減少を得、
−通常の坑糖尿病薬と関連する不利な作用のリスクを軽減し、かつ/又は
−インスリン感受性を維持及び/又は改善し、かつ/又は高インスリン血症及び/又はインスリン耐性を治療又は予防する。
【0031】
一実施態様において、本明細書に記載された治療薬は無経験の患者に使用し得る。別の実施態様において、本明細書に記載された治療薬は治療、例えば、通常の(経口)坑糖尿病薬物療法(例えば、インスリン及び/又は、特に、メトホルミン)を経験した患者に使用し得る。
更なる実施態様において、本明細書に記載された治療薬は関連膵島細胞自己免疫のない、例えば、膵島細胞抗原自己抗体及び/又はグルタミン酸デカルボキシラーゼ自己抗体及び/又はインスリン自己抗体に陰性であり、必要により、C-ペプチドレベルの持続的上昇、例えば、刺激された血清C-ペプチドレベル ≧1.5 ng/ml (追加抗原投与後90分における) のある小児2型糖尿病患者に使用し得る。
更なる実施態様において、本明細書に記載された治療薬は肥満であり、そして、必要により、高い断食C-ペプチド濃度及び/又は残留性インスリン生成を有する小児2型糖尿病患者(特に10才から18才未満までの年齢)に使用し得る。
更なる実施態様において、本明細書に記載された治療薬は肥満ではなく、関連膵島細胞自己免疫のなく、しかも高い断食C-ペプチド濃度及び/又は残留性インスリン生成を有する小児2型糖尿病患者(特に10才から18才未満までの年齢)に使用し得る。
更なる実施態様において、本明細書に記載された治療薬は小児2型糖尿病のリスクのある患者グループ、例えば、肥満及び/又は2型糖尿病の陽性(第一級〜第二級)家族履歴と関連するこれらの小児2型糖尿病患者、及び/又は或る人種/民族のグループに属するもの、例えば、米国のインディアン/きっすいの米国人子孫、黒色のアフリカ人子孫、ヒスパニック系(例えば、メキシコ系)米国人、アジア人、東アジア人、南アジア人(インド半島)又は太平洋の島の住民のこれらのグループ、及び/又はインスリン耐性又はメタボリック症候群(特に高血圧、黒色表皮腫、脂質異常、多のう胞性卵巣疾患、アンドロジェン過剰及び/又はアルコール性脂肪肝疾患 (NAFLD)を有する)を有するこれらのものに使用し得る。
【0032】
本発明の特別な実施態様は2型真性糖尿病を有する小児患者、特に、若者の患者、特に10-17 才の年齢のグループ(又は10才から18才未満の年齢)で血糖調節を改善する際の使用のための本明細書に特定されたDPP-4 インヒビターに関する。
本発明の別の特別な実施態様は特にリスクのある患者グループ、例えば、本明細書に開示されたようなグループの小児2型真性糖尿病の治療における使用のための本明細書に特定されたDPP-4 インヒビターに関する。
本発明の別の特別な実施態様はメトホルミン単独による治療にもかかわらず、例えば、最大の寛容される用量のメトホルミンによる経口治療にもかかわらず不十分な血糖調節 (例えば、HbA1c >7%) の10-17 才の年齢(又は10才から18才未満までの年齢)の小児2型糖尿病患者の血糖調節を改善するための本明細書に特定されたDPP-4 インヒビターに関する。
本発明の別の特別な実施態様は、例えば、食事、運動及び/又はメトホルミン単独による治療にもかかわらず不十分な血糖調節 (例えば、HbA1c >7%) の10-17 才の年齢(又は10才から18才未満までの年齢)の小児2型糖尿病患者の血糖調節を改善するための本明細書に特定されたDPP-4 インヒビターに関するものであり、前記DPP-4 インヒビターはメトホルミンの代替として、又はメトホルミンとのアドオン(add-on)もしくはイニシャル(initial)の組み合わせ治療として、特にメトホルミンとのアドオン(add-on)組み合わせ治療として使用し得る。
本発明の別の特別な実施態様は特に10-17 才の年齢(又は10才から18才未満までの年齢)の肥満の若者の2型糖尿病患者における使用のための本明細書に特定されたDPP-4 インヒビターに関する。
本発明の別の特別な実施態様は小児2型糖尿病の真性糖尿病の合併症のリスクを軽減する際の使用のための本明細書に特定されたDPP-4 インヒビターに関する。
別の特別な実施態様において、本明細書に記載された治療薬は肥満である小児2型糖尿病患者(特に10才から18才未満までの年齢)に使用し得る。
【0033】
本発明のその他の局面は以上及び以下の説明から当業者に明らかになる。
本発明の意味内のDPP-4 インヒビターとして、以上及び以下に挙げられるこれらのDPP-4 インヒビターのいずれか、好ましくは経口活性DPP-4 インヒビターが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の実施態様は小児2型糖尿病患者の代謝性疾患(特に、2型真性糖尿病)の治療及び/又は予防における使用のためのDPP-4 インヒビターに関するものであり、前記患者が更に腎臓疾患、腎不全又は腎臓障害を患っており、特に前記DPP-4 インヒビターが正常な腎臓機能の患者と同じ用量レベルで前記患者に投与されることを特徴とし、こうして、例えば、前記DPP-4 インヒビターが損なわれた腎臓機能のための下方の投薬調節を必要としない。
本発明の別の実施態様は二次経口坑糖尿病薬治療の失敗の小児2型糖尿病患者の代謝性疾患(特に2型真性糖尿病)の治療及び/又は予防における使用のためのDPP-4 インヒビターに関するものであり、前記患者がまたメトホルミン治療に失敗し、もしくは不適当であり、又はメトホルミンに対する非寛容性もしくは禁忌、例えば、先に、もしくは以下に特定された非寛容性もしくは禁忌のいずれかのためにメトホルミン用量減少を必要とする。
例えば、本発明のDPP-4 インヒビター(特に損なわれた腎臓機能の患者に適しているかもしれないもの)はこのようなDPP-4 インヒビターであってもよく、その活性代謝産物が比較的広い(例えば、100倍より大きい)治療ウインドーを有し、かつ/又は、特に、肝臓代謝もしくは胆管排泄により主として排除されることが好ましい。
更に詳しい例において、本発明のDPP-4 インヒビター(特に損なわれた腎臓機能の患者に適しているかもしれないもの)はこのような経口投与されるDPP-4 インヒビターであってもよく、これは比較的広い(例えば、> 100 倍)治療ウインドーを有し、かつ/又は以下の薬物動力学的性質(好ましくは成人及び/又は若者のその治療経口用量レベルにおける)の一つ以上を満足する:
−DPP-4 インヒビターは実質的に、又は主として肝臓により排泄され(例えば、投与された経口用量の> 80 % 又は更には> 90 %)、かつ/又は腎臓排泄が実質的な排除経路に相当せず、又はほんのわずかな排除経路に相当する (例えば、排除後に放射能標識炭素 (14C) 物質経口用量により測定して投与された経口用量の< 10 %、好ましくは< 7 %);
−DPP-4 インヒビターは親薬物として主として変化されないで排泄され(例えば、放射能標識炭素 (14C) 物質の経口投薬後に尿及び糞中の排泄放射能の平均> 70%、もしくは> 80%、又は、好ましくは90%)、かつ/又は代謝により実質的にない程度又はほんのわずかな程度まで排除される (例えば、< 30%、もしくは< 20%、又は、好ましくは10%);
−DPP-4 インヒビターの一種以上の(主)代謝産物が薬理学上不活性である。例えば、主代謝産物が標的酵素DPP-4 に結合せず、必要により、それが親化合物と較べて迅速に排除される (例えば、≦ 20 時間、又は、好ましくは≦ 約16時間、例えば、15.9時間の代謝産物の終末半減期で) 。
【0034】
一実施態様において、3-アミノ-ピペリジン-1-イル置換基を有するDPP-4 インヒビターの血漿中の(主)代謝産物(これは薬理学上不活性であり得る)は3-アミノ-ピペリジン-1-イル部分のアミノ基がヒドロキシル基により置換されて3-ヒドロキシ-ピペリジン-1-イル部分(例えば、3-(S)-ヒドロキシ-ピペリジン-1-イル部分(これはキラル中心の配置の反転により生成される)を生成する、このような誘導体である。
本発明のDPP-4 インヒビターの更なる性質は下記の一つ以上であるかもしれない:定常状態の迅速な到達(例えば、治療経口用量レベルによる治療の2日目〜5日目に定常状態血漿レベル(例えば、定常状態血漿濃度の > 90%) に達する)、殆ど蓄積のないこと(例えば、治療経口用量レベルで平均蓄積比RA,AUC ≦ 1.4 で)、及び/又は好ましくは毎日1回投与される場合に、DPP-4 抑制についての長い持続作用を保存すること(例えば、治療経口用量レベルでほぼ完全な (> 90%) DPP-4 抑制、治療経口薬物用量の毎日1回の摂取後の24時間間隔にわたって> 80% 抑制)、治療用量レベルにおける≧ 80 % (治療の初日で既に) の食後2時間の血液グルコース変動幅の有意な減少、及び投与された用量の1%未満であり、定常状態で3-6% 以上に増大しない、初日に尿中に排泄される未変化の親化合物の累積量。
こうして、例えば、本発明のDPP-4 インヒビターは前記DPP-4 インヒビターが腎臓により実質的な程度に排泄されず、又はほんのわずかな程度(例えば、投与された経口用量の< 10 %、好ましくは< 7 %) に排泄される(例えば、排除後に放射能標識炭素 (14C) 物質経口用量により測定して) ことを特徴とし得る。
更に、本発明のDPP-4 インヒビターは前記DPP-4 インヒビターが実質的に、又は主として肝臓又は糞により排泄される(例えば、排除後に放射能標識炭素 (14C) 物質経口用量により測定して) ことを特徴とし得る。
【0035】
更に、本発明のDPP-4 インヒビターは前記DPP-4 インヒビターが主として親薬物として未変化で排泄され(例えば、放射能標識炭素(14C) 物質の経口投薬後の尿及び糞中に排泄される放射能の平均> 70%、もしくは> 80%、又は、好ましくは90 %)、
前記DPP-4 インヒビターが代謝により実質的な程度に排除されず、又はほんのわずかな程度に排除され、かつ/又は
前記DPP-4 インヒビターの主代謝産物が薬理学上不活性であり、又は比較的広い治療ウインドーを有することを特徴とし得る。
更に、本発明のDPP-4 インヒビターは前記DPP-4 インヒビターが慢性腎不全(例えば、軽度、中等度又は重度の腎臓障害又は末期の腎臓疾患)を有する2型糖尿病患者の糸球体及び/又は管機能を有意に損なわず、かつ/又は
前記DPP-4 インヒビターが腎臓機能障害(例えば、軽度、中等度又は重度の腎臓障害又は末期の腎臓疾患)を有する2型糖尿病患者で用量を調節される必要がないことを特徴とし得る。
更に、本発明のDPP-4 インヒビターは前記DPP-4 インヒビターが患者の>80%でトラフ(最後の投薬の24時間後)にDPP-4 活性の>50%の抑制をもたらすその用量で最小に有効な用量を与え、かつ/又は前記DPP-4 インヒビターが患者の>80%でトラフ(最後の投薬の24時間後)にDPP-4 活性の>80%の抑制をもたらすその用量でその充分な治療用量を与えることを特徴とし得る。
第一の実施態様(実施態様A)において、本発明の状況におけるDPP-4 インヒビターは下記の式のあらゆるDPP-4 インヒビター又はその医薬上許される塩である。
式(I)
【0036】
【化10】

もしくは式 (II)
【化11】

又は式 (III)
【化12】

或いは式 (IV)
【化13】

【0037】
式中、R1は([1,5]ナフチリジン-2-イル)メチル、(キナゾリン-2-イル)メチル、(キノキサリン-6-イル)メチル、(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル、2-シアノ-ベンジル、(3-シアノ-キノリン-2-イル)メチル、(3-シアノ-ピリジン-2-イル)メチル、(4-メチル-ピリミジン-2-イル)メチル、又は(4,6-ジメチル-ピリミジン-2-イル)メチルを表し、かつR2は3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル、(2-アミノ-2-メチル-プロピル)-メチルアミノ又は(2-(S)-アミノ-プロピル)-メチルアミノを表す。
第二の実施態様(実施態様B)において、本発明の状況におけるDPP-4 インヒビターは
シタグリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチン、アログリプチン、
(2S)-1-{[2-(5-メチル-2-フェニル-オキサゾール-4-イル)-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル、
(2S)-1-{[1,1,-ジメチル-3-(4-ピリジン-3-イル-イミダゾール-1-イル)-プロピルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル、
(S)-1-((2S,3S,11bS)-2-アミノ-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-3-イル)-4-フルオロメチル-ピロリジン-2-オン、
(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)-((2S,4S)-4-(4-(ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロリジン-2-イル)メタノン、
(1((3S,4S)-4-アミノ-1-(4-(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)ピロリジン-3-イル)-5,5-ジフルオロピペリジン-2-オン、
(2S,4S)-1-{2-[(3S,1R)-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イルメチル)シクロペンチルアミノ]-アセチル}-4-フルオロピロリジン-2-カルボニトリル、
(R)-2-[6-(3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イルメチル]-4-フルオロ-ベンゾニトリル、
5-{(S)-2-[2-((S)-2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-プロピル}-5-(1H-テトラゾール-5-イル)-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-2,8-ジカルボン酸ビス-ジメチルアミド、
3-{(2S,4S)-4-[4-(3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル]ピロリジン-2-イルカルボニル}チアゾリジン、
[(2R)-1-{[(3R)-ピロリジン-3-イルアミノ]アセチル}ピロリジン-2-イル]ボロン酸、
(2S,4S)-1-[2-[(4-エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト-1-イル)アミノ]アセチル]-4-フルオロピロリジン-2-カルボニトリル、
2-({6-[(3R)-3-アミノ-3-メチルピペリジン-1-イル]-1,3-ジメチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-5-イル}メチル)-4-フルオロベンゾニトリル、及び
6-[(3R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル]-5-(2-クロロ-5-フルオロ-ベンジル)-1,3-ジメチル-1,5-ジヒドロ-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2,4-ジオン
からなる群から選ばれたDPP-4 インヒビター又はその医薬上許される塩である。
【0038】
第一の実施態様(実施態様A)に関して、好ましいDPP-4 インヒビターは下記の化合物及びそれらの医薬上許される塩のいずれか又は全てである。
・1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン (WO 2004/018468、実施例2(142)と比較のこと):
【化14】

【0039】
・1-[([1,5]ナフチリジン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン (WO 2004/018468、実施例2(252) と比較のこと):
【化15】

【0040】
・1-[(キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン (WO 2004/018468、実施例2(80) と比較のこと):
【化16】

【0041】
・2-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(ブト-2-インイル)-5-(4-メチル-キナゾリン-2-イルメチル)-3,5-ジヒドロ-イミダゾ[4,5-d]ピリダジン-4-オン (WO 2004/050658、実施例136と比較のこと):
【化17】

【0042】
・1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-[(2-アミノ-2-メチル-プロピル)-メチルアミノ]-キサンチン (WO 2006/029769、実施例2(1) と比較のこと):
【化18】

【0043】
・1-[(3-シアノ-キノリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン (WO 2005/085246、実施例1(30) と比較のこと):
【化19】

【0044】
・1-(2-シアノ-ベンジル)-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン (WO 2005/085246、実施例1(39) と比較のこと):
【化20】

【0045】
・1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-[(S)-(2-アミノ-プロピル)-メチルアミノ]-キサンチン (WO 2006/029769、実施例2(4) と比較のこと):
【化21】

【0046】
・1-[(3-シアノ-ピリジン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン (WO 2005/085246、実施例1(52) と比較のこと):
【化22】

【0047】
・1-[(4-メチル-ピリミジン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン (WO 2005/085246、実施例1(81) と比較のこと):
【化23】

【0048】
・1-[(4,6-ジメチル-ピリミジン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン (WO 2005/085246、実施例1(82) と比較のこと):
【化24】

【0049】
・1-[(キノキサリン-6-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン (WO 2005/085246、実施例1(83) と比較のこと):
【化25】

【0050】
これらのDPP-4 インヒビターは構造の匹敵するDPP-4 インヒビターとは区別される。何とならば、それらが格別の効力及び有利な薬理学的性質とともに長く持続する作用、受容体選択性並びに有利な副作用プロフィールを併有し、又はその他の医薬活性物質と組み合わされた場合に予期しない治療上の利点もしくは改善をもたらすからである。それらの調製が挙げられた刊行物に開示されている。
本発明の実施態様Aの上記DPP-4 インヒビターの中の更に好ましいDPP-4 インヒビターは1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン、特にその遊離塩基(これはまたBI 1356として知られている)である。
特にことわらない限り、本発明によれば、先に、また以下に挙げられる活性化合物(DPP-4 インヒビターを含む)の定義はそれらの医薬上許される塩だけでなく、これらの水和物、溶媒和物及び多形をまた含むことが理解されるべきである。これらの塩、水和物及び多形に関して、本明細書に言及されているものが特に参考にされる。
実施態様Aに関して、本発明の実施態様AのDPP-4 インヒビターの合成方法が当業者に知られている。有利なことに、本発明の実施態様AのDPP-4 インヒビターは文献に記載された合成方法を使用して調製し得る。こうして、例えば、式 (I)のプリン誘導体が WO 2002/068420、WO 2004/018468、WO 2005/085246、WO 2006/029769 又はWO 2006/048427に記載されたように得られ、これらの開示が本明細書に含まれる。式(II)のプリン誘導体が、例えば、WO 2004/050658 又はWO 2005/110999に記載されたように得られ、これらの開示が本明細書に含まれる。
式(III) 及び(IV)のプリン誘導体が、例えば、WO 2006/068163、WO 2007/071738 又はWO 2008/017670に記載されたように得られ、これらの開示が本明細書に含まれる。先に詳しく挙げられている、これらのDPP-4 インヒビターの調製が、それに関連して挙げられた刊行物に開示されている。特別なDPP-4 インヒビターの多形結晶変化及び製剤が夫々WO 2007/128721 及びWO 2007/128724に開示されており、これらの開示が本明細書にそのまま含まれる。メトホルミン又はその他の組み合わせパートナーとの特別なDPP-4 インヒビターの製剤がWO 2009/121945に記載されており、その開示が本明細書にそのまま含まれる。BI 1356 / メトホルミンの二重固定組み合わせの典型的な用量は2.5/500 mg、2.5/850 mg 及び2.5/1000 mgであり、これらは1日1-3 回、特に1日2回投与されてもよい。
実施態様Bに関して、実施態様BのDPP-4 インヒビターの合成方法が科学文献及び/又は公開された特許書類、特に本明細書に引用されたものに記載されている。
【0051】
温血脊椎動物、特にヒトにおける医薬適用について、本発明の化合物は、夫々の場合に1日1〜4回で、体重1kg当り0.001〜100mg、好ましくは体重1kg当り0.1-15mgの用量で通常使用される。この目的のために、化合物は、必要によりその他の活性物質と合わされて、一種以上の不活性の通常の担体及び/又は希釈剤、例えば、トウモロコシ澱粉、ラクトース、グルコース、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、クエン酸、酒石酸、水、水/エタノール、水/グリセロール、水/ソルビトール、水/ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、セチルステアリルアルコール、カルボキシメチルセルロース又は脂肪物質、例えば、硬質脂肪又はこれらの好適な混合物と一緒に通常のガレン製剤、例えば、単純錠剤又は被覆錠剤、カプセル、粉末、懸濁液又は座薬に混入し得る。
本明細書に特定されたDPP-4 インヒビターを含む本発明の医薬組成物はこうして当業界で記載された医薬上許される製剤化賦形剤を使用して当業者により調製される。このような賦形剤の例として、希釈剤、バインダー、担体、充填剤、滑剤、流動促進剤、結晶化遅延剤、崩壊剤、可溶化剤、着色剤、pH調節剤、表面活性剤及び乳化剤が挙げられるが、これらに限定されない。
実施態様Aの化合物に適した希釈剤の例として、セルロース粉末、リン酸水素カルシウム、エリスリトール、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、マンニトール、前ゼラチン化澱粉又はキシリトールが挙げられる。
実施態様Aの化合物に適した滑剤の例として、タルク、ポリエチレングリコール、ベヘン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、水添ヒマシ油又はステアリン酸マグネシウムが挙げられる。
【0052】
実施態様Aの化合物に適したバインダーの例として、コポビドン(ビニルピロリドンとその他のビニル誘導体の共重合体)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC) 、ポリビニルピロリドン(ポビドン) 、前ゼラチン化澱粉、又は低置換ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC) が挙げられる。
実施態様Aの化合物に適した崩壊剤の例として、トウモロコシ澱粉又はクロスポビドンが挙げられる。
本発明の実施態様AのDPP-4 インヒビターの医薬製剤を調製するのに適した方法は
・好適な錠剤形成賦形剤による粉末混合物中の活性物質の直接錠剤形成;
・好適な賦形剤による造粒及びその後の好適な賦形剤との混合並びにその後の錠剤形成だけでなく、フィルム被覆; 又は
・カプセルへの粉末混合物もしくは顆粒の充填
である。
好適な造粒方法は
・強力ミキサー中の湿式造粒続いて流動床乾燥;
・ワンポット造粒;
・流動床造粒; 又は
・好適な賦形剤を用いる乾式造粒(例えば、ロール圧縮による)及びその後の錠剤形成もしくはカプセルへの充填
である。
【0053】
本発明の実施態様AのDPP-4 インヒビターの例示の組成物は第一の希釈剤マンニトール、付加的なバインダー特性を有する第二の希釈剤としての前ゼラチン化澱粉、バインダーコポビドン、崩壊剤トウモロコシ澱粉、及び滑剤としてのステアリン酸マグネシウムを含み、コポビドン及び/又はトウモロコシ澱粉は任意であってもよい。
本発明のDPP-4 インヒビターの投薬形態、製剤及び投与の詳細について、科学文献及び/又は公開された特許書類、特に本明細書に引用されたものが参考にされる。
医薬組成物(又は製剤)は種々の方法で包装されてもよい。一般に、分配のための物品として、適当な形態の医薬組成物を含む容器が挙げられる。錠剤は典型的には容易な取扱、分配及び貯蔵のため、また貯蔵中の環境との延長された接触で組成物の適切な安定性の保証のための適当な一次パーケージ中で包装される。錠剤のための一次容器はびん又はブリスターパックであってもよい。
【0054】
例えば、本発明の実施態様AのDPP-4 インヒビターを含む医薬組成物又は組み合わせに適したびんは、ガラス又はポリマー(好ましくはポリプロピレン(PP)又は高密度ポリエチレン(HD-PE))からつくられ、ねじキャップでシールされてもよい。ねじキャップは小児による内容物への接近を防止し、又は妨げるための小児耐性安全性クロージャー(例えば、プレス兼捻りクロージャー)を備えていてもよい。必要とされる場合(例えば、高湿の領域中)、乾燥剤(例えば、ベントナイトクレー、モレキュラーシーブ、又は、好ましくは、シリカゲル)の追加の使用により、包装された組成物の貯蔵寿命が延長し得る。
例えば、本発明の実施態様AのDPP-4 インヒビターを含む医薬組成物又は組み合わせに適したブリスターパックは、上部箔(これは錠剤により破られる)及び底部(これは錠剤のためのポケットを含む)を含み、又はこれらから形成される。上部箔はその内側(シーリング側)で熱シーリングポリマー層で被覆されている金属箔、特にアルミニウム又はアルミニウム合金箔(例えば、20μm〜45μm、好ましくは20μm〜25μmの厚さを有する)を含んでもよい。底部はポリ(塩化ビニリデン)(PVDC)で被覆された多層ポリマー箔(例えば、ポリ(塩化ビニル)(PVC))、もしくはポリ(クロロトリフルオロエチレン)(PCTFE)と積層されたPVC箔又は多層ポリマー-金属-ポリマー箔(例えば、低温成形可能な積層PVC/アルミニウム/ポリアミド組成物)を含んでもよい。
その物品は更にラベル又は包装インサート(これは医療製品の商用パッケージに通例含まれる指示に関するものであり、このような医療製品の使用に関する指示、使用、用量、投与、禁忌及び/又は警告についての情報を含んでもよい)を含んでもよい。一実施態様において、ラベル又は包装インサートは組成物が本明細書に記載された目的のいずれかに使用し得ることを示す。
第一の実施態様(実施態様A)に関して、実施態様Aにおける本明細書に挙げられたDPP-4 インヒビターの典型的に必要とされる用量は静脈内投与される場合には0.1 mg 〜10mg、好ましくは0.25mg〜5 mgであり、また経口投与される場合には0.5 mg〜100 mg、好ましくは2.5 mg〜50mg又は0.5 mg〜10mg、更に好ましくは2.5 mg〜10mg 又は1 mg〜5 mgであり、夫々の場合に1日1〜4回投与される。こうして、例えば、1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチンの用量は経口投与される場合には1日当り患者当り0.5 mg〜10mg、好ましくは1日当り患者当り2.5 mg〜10 mg又は1 mg〜5 mgである。
実施態様Aにおける本明細書に挙げられたDPP-4 インヒビターを含む医薬組成物で調製された投薬形態は0.1-100 mg の用量範囲の活性成分を含む。こうして、例えば、1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチンの特別な用量は0.5 mg、1 mg、2.5 mg、5 mg及び10mgである。
【0055】
第二の実施態様(実施態様B)に関して、哺乳類、例えば、約70kgの体重のヒトに投与すべき実施態様Bにおける本明細書に挙げられたDPP-4 インヒビターの用量は一般に1日当りヒト当り活性部分約0.5 mg〜約350 mg、例えば、約10mg〜約250 mg、好ましくは20-200 mg、更に好ましくは20-100 mg、又は好ましくは1〜4回の単一用量(これらは、例えば、同じサイズのものであってもよい)に分けられた、1日当りヒト当り約0.5 mg〜約20 mg、好ましくは2.5-10 mgであってもよい。単一用量は、例えば、DPP-4 インヒビター活性部分10、25、40、50、75、100 、150 及び200 mgを含む。
DPP-4 インヒビターシタグリプチンの用量は通常活性部分25〜200 mgである。シタグリプチンの推奨される用量は毎日1回で活性部分(遊離塩基無水物)について計算して100 mgである。シタグリプチン遊離塩基無水物(活性部分)の単位用量は25、50、75、100 、150 及び200 mgである。シタグリプチンの特別な単位用量(例えば、錠剤当り)は25、50及び100 mgである。シタグリプチン遊離塩基無水物に対するシタグリプチンリン酸塩一水和物の均等量、即ち、夫々32.13 、64.25 、96.38 、128.5 、192.75、及び257 mgが医薬組成物中に使用される。シタグリプチン25及び50mgの調節された用量が腎不全の患者に使用される。シタグリプチン/メトホルミンの二重組み合わせの典型的な用量は50/500mg及び50/1000 mgである。
DPP-4 インヒビタービルダグリプチンの用量範囲は通常毎日10〜150 mg、特に毎日25〜150 mg、25〜100 mgもしくは25〜50mg又は50〜100 mgである。毎日の経口用量の特別な例は25、30、35、45、50、55、60、80、100 又は150 mgである。一層特別な局面において、ビルダグリプチンの毎日の投与は25〜150 mg又は50〜100 mgであってもよい。別の更に特別な局面において、ビルダグリプチンの毎日の投与は50又は100 mgであってもよい。その活性成分の適用は1日3回まで、好ましくは1日1回又は2回起こってもよい。特別な用量はビルダグリプチン50mg又は100 mgである。ビルダグリプチン/メトホルミンの二重組み合わせの典型的な用量は50/850 mg及び50/1000 mgである。
【0056】
アログリプチンはアログリプチン5 mg/日〜250 mg/日、必要により10mg〜200 mg、必要により10mg〜150 mg、また必要により10mg〜100 mgの毎日の用量(夫々の場合にアログリプチンの遊離塩基形態の分子量を基準とする)で患者に投与されてもよい。こうして、使用し得る特別な投薬量として、1日当りアログリプチン10mg、12.5mg、20mg、25mg、50mg、75 mg及び100 mgが挙げられるが、これらに限定されない。アログリプチンはその遊離塩基形態で、又は医薬上許される塩として投与されてもよい。
サクサグリプチンは2.5 mg/日〜100 mg/日、必要により2.5 mg〜50mgの毎日の用量で患者に投与されてもよい。使用し得る特別な投薬量として、1日当りサクサグリプチン2.5 mg、5 mg、10mg、15mg、20mg、30mg、40mg、50mg及び100 mgが挙げられるが、これらに限定されない。サクサグリプチン/メトホルミンの二重組み合わせの典型的な用量は2.5/500 mg 及び2.5/1000mgである。
本発明のDPP-4 インヒビターの特別な実施態様は低用量レベル、例えば、1日当り患者当り用量レベル< 100 mg 又は< 70 mg、好ましくは1日当り患者当り< 50mg、更に好ましくは< 30mg又は< 20mg、更に一層好ましくは1 mgから10mgまで、特に1 mgから5 mgまで (更に特別には5 mg) (必要とされる場合、1〜4回の単一用量、特に1回又は2回の単一用量に分けられ、これらは同じサイズのものであってもよい)で治療上有効であるこれらの経口投与されるDPP-4 インヒビターに関するものであり、好ましくは1日1回又は2回(更に好ましくは1日1回)経口投与され、有利には食物と共に、又は一緒ではなく1日のいずれかの時間に投与される。こうして、例えば、毎日の経口量5 mg のBI 1356 が毎日1回の投薬養生法(即ち、毎日1回5 mg のBI 1356)で、又は毎日2回の投薬養生法(即ち、毎日2回の2.5 mg のBI 1356)で食物と共に、又は一緒ではなく1日のいずれかの時間に投与し得る。
小児用のためのBI 1356 の特別な毎日の経口用量は1mg又は5mgであってもよく、夫々好ましくは毎日1回経口投与される。
【0057】
本発明の意味内で強調すべき特に好ましいDPP-4 インヒビターは1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン (またBI 1356として知られている) である。BI 1356 は高い効力、作用の24時間の期間、及び広い治療ウインドーを示す。12日間にわたって毎日1回1, 2.5, 5 又は10 mg のBI 1356の多くの経口用量を受ける2型糖尿病の成人患者では、BI 1356は有利な薬力学的プロフィール及び薬物動態学的プロフィール(下記の表1を参照のこと)とともに定常状態の迅速な到達(例えば、全ての用量グループで治療の2日目〜5日目に定常状態血漿レベル(13日目の前投薬血漿濃度の> 90%)に達する)、殆ど蓄積のないこと(例えば、1mg より上の用量で平均蓄積比RA,AUC ≦ 1.4 )及びDPP-4 抑制に関する長く持続する作用を保存すること(例えば、5 mg及び10mg用量レベルでほぼ完全な (> 90%) DPP-4 抑制、即ち、定常状態で夫々92.3及び97.3% の抑制、そして薬物摂取後24時間間隔で> 80%抑制)だけでなく、≧ 2.5 mgの用量で≧ 80 % (既に1日目に)の食後2時間の血液グルコース変動幅の有意な減少を示し、1日目に尿中に排泄される未変化の親化合物の累積量が投与された用量の1%未満であり、12日目に3-6%以下に上昇する(腎臓クリアランスCLR,ss が投与された経口用量について約14から約70 mL/分までであり、例えば、5 mgの用量につき、腎臓クリアランスが約70 ml/分である)。2型糖尿病のヒトでは、BI 1356が偽薬のような安全性及び寛容性を示す。約≧ 5 mg の低用量で、BI 1356 は真の毎日1回の経口薬物としてDPP-4 抑制の完全な24時間の期間で作用する。治療経口用量レベルで、BI 1356 は主として肝臓により排泄され、腎臓によりほんのわずかな程度(投与された経口用量の約< 7% )で排泄される。BI 1356は主として胆管により未変化で排泄される。腎臓により排除されるBI 1356 の比率は用量の増加につれてほんの非常にわずかに経時増加し、その結果、おそらく患者の腎臓機能に基づいてBI 1356の用量を変更する必要がないであろう。BI 1356 の非腎臓排除はその低い蓄積潜在性及び広い安全限界と組み合わせて腎不全及び糖尿病性腎症の高い流行を有する患者集団でかなり有益であるかもしれない。
表1: 定常状態(12日目)におけるBI 1356 の薬物動態学的パラメーターの幾何平均 (gMean) 及び幾何変化率 (gCV)
【0058】
【表1】

【0059】
異なる代謝性機能障害がしばしば同時に生じるので、幾つかの異なる活性成分を互いに組み合わせることが実にしばしば指示される。こうして、診断された機能障害に応じて、DPP-4 インヒビターが夫々の障害に通例の活性物質、例えば、その他の坑糖尿病物質、特に血糖レベル又は血液中の脂質レベルを低下し、血液中のHDL レベルを上昇し、血圧を低下し、又はアテローム硬化症もしくは肥満の治療に指示される活性物質の中から選ばれた一種以上の活性物質と組み合わされる場合に改善された治療結果が得られるかもしれない。
上記DPP-4 インヒビターはまた、単一療法におけるそれらの使用の他に、その他の活性物質と連係して使用されてもよく、これらにより改善された治療結果が得られる。このような組み合わされた治療は物質の自由な組み合わせとして、又は固定された組み合わせの形態で、例えば、錠剤もしくはカプセル中で与えられてもよい。これに必要とされる組み合わせパートナーの医薬製剤は医薬組成物として商業上得られてもよく、又は通常の方法を使用して当業者により製剤化されてもよい。医薬組成物として商業上得られてもよい活性物質が多くの場所で従来技術、例えば、年間に現れる薬物のリスト、医薬工業の連邦協会の"Rote Liste (商標)" 、又は"Physicians' Desk Reference"として知られている処方薬物に関する製造業者の情報の年間にアップデートされる編纂物に記載されている。
【0060】
坑糖尿病組み合わせパートナーの例はメトホルミン;スルホニル尿素、例えば、グリベンクラミド、トルブタミド、グリメピリド、グリピジド、グリキドン、グリボルヌリド及びグリクラジド;ナテグリニド;レパグリニド;チアゾリジンジオン、例えば、ロシグリタゾン及びピオグリタゾン; PPARガンマモジュレーター、例えば、メタグリダーゼ; PPAR-ガンマアゴニスト、例えば、GI 262570 ;PPAR-ガンマアンタゴニスト; PPAR-ガンマ/アルファモジュレーター、例えば、テサグリタザール、ムラグリタザール、アレグリタザール、インデグリタザール及びKRP297 ;PPAR-ガンマ/アルファ/デルタモジュレーター; AMPK-アクチベーター、例えば、AICAR ;アセチル-CoA カルボキシラーゼ(ACC1及びACC2)インヒビター;ジアシルグリセロール-アセチルトランスフェラーゼ (DGAT)インヒビター;膵臓ベータ細胞GCRPアゴニスト、例えば、SMT3-受容体-アゴニスト及びGPR119; 11β-HSD-インヒビター;FGF19 アゴニスト又は類似体;アルファ-グルコシダーゼブロッカー、例えば、アカルボース、ボグリボース及びミグリトール;アルファ2-アンタゴニスト;インスリン及びインスリン類似体、例えば、ヒトインスリン、インスリンリスプロ、インスリングルシリン、r-DNA-インスリンアスパルト、NPH インスリン、インスリンデテミル、インスリン亜鉛懸濁液及びインスリングラルギン;胃酸抑制ペプチド (GIP);アミリン及びアミリン類似体(例えば、プラムリンチド又はダバリンチド);GLP-1 及びGLP-1 類似体、例えば、エキセンジン-4、例えば、エキセナチド、エキセナチドLAR 、リラグルチド、タスポグルチド、リキシセナチド(AVE-0010)、LY-2428757(GLP-1のPEG化バージョン)、LY-2189265(IgG4-Fc H鎖に結合されたGLP-1類似体)、セマグルチド又はアルビグルチド;SGLT2-インヒビター、例えば、ダパグリフロジン、セルグリフロジン(KGT-1251)、アチグリフロジン、カナグリフロジン又は(1S)-1,5-アンヒドロ-1-[3-(1-ベンゾチオフェン-2-イルメチル)-4-フルオロフェニル]-D-グルシトール;タンパク質チロシン-ホスファターゼのインヒビター(例えば、トロダスケミン);グルコース-6-ホスファターゼのインヒビター;フラクトース-1,6-ビスホスファターゼモジュレーター;グリコーゲンホスホリラーゼモジュレーター;グルカゴン受容体アンタゴニスト;ホスホエノールピルベートカルボキシナーゼ(PEPCK) インヒビター;ピルベートデヒドロゲナーゼキナーゼ(PDK) インヒビター;チロシン-キナーゼのインヒビター (50mg〜600 mg) 、例えば、PDGF-受容体-キナーゼ (EP-A-564409, WO 98/35958, US 5093330, WO 2004/005281, 及びWO 2006/041976を参照のこと) ;グルコキナーゼ/調節タンパク質モジュレーター(グルコキナーゼアクチベーターを含む);グリコーゲンシンターゼキナーゼインヒビター; SH2-ドメイン含有イノシトール5-ホスファターゼ型 2 (SHIP2) のインヒビター;IKK インヒビター、例えば、高用量サリチレート;JNK1インヒビター;タンパク質キナーゼC-シータインヒビター;ベータ3アゴニスト、例えば、リトベグロン、YM 178、ソラベグロン、タリベグロン、N-5984、GRC-1087、ラファベグロン、FMP825;アルドースレダクターゼインヒビター、例えば、AS 3201 、ゼナレスタット、フィダレスタット、エパルレスタット、ラニレスタット、NZ-314、CP-744809 及びCT-112;SGLT-1又はSGLT-2インヒビター; KV 1.3チャンネルインヒビター;GPR40 モジュレーター;SCD-1 インヒビター; CCR-2 アンタゴニスト;ドーパミン受容体アゴニスト(ブロモクリプチンメシレート [シクロセット]);サーチュイン刺激物質;並びにその他のDPP IVインヒビターである。
【0061】
メトホルミンは約100 mgから500 mgまで、もしくは200 mg〜850 mg (1日1-3 回) 、又は1日1回もしくは2回約300 mg〜1000mg、或いは約100 mg〜1000mgもしくは好ましくは1日1回もしくは2回500 mg〜1000mg又は1日1回約500 mg〜2000mgの用量の遅延放出メトホルミンの種々の投薬養生法を使用して1日当り約500 mgから2000mgまで、2500 mgまで変化する用量で通常与えられる。特別な用量はメトホルミン塩酸塩250 、500 、625 、750 、850 及び1000 mgであってもよい。
10〜16才の年齢の小児について、メトホルミンの推奨される開始用量は毎日1回与えられる500mgである。これが適切な結果を生じることができない場合、用量が毎日2回500mgに増加されてもよい。更なる増加は分けられた容量(例えば、2回又は3回に分けられた用量)で与えられる、週500mgから2000mgの最大の毎日の用量までの増分でなされてもよい。メトホルミンは食物とともに投与されて吐気を減らしてもよい。
ピオグリタゾンの用量は1日1回通常約1-10mg、15mg、30mg、又は45mgである。
ロシグリタゾンは1日1回(又は分けられた2回)4〜8mgの用量で通常与えられる(典型的な用量は2、4及び8mgである)。
グリベンクラミド(グリブリド)は1日1回(又は分けられた2回)2.5-5 mgから20 mgまでの用量で通常与えられ(典型的な用量は1.25、2.5 及び5 mgである)、又は微粉砕グリベンクラミドは1日1回(又は分けられた2回)0.75-3 mgから12mgの用量で与えられる(典型的な用量は1.5 、3、4.5 及び6 mgである)。
【0062】
グリピジドは1日1回2.5 mgから10-20 mgまで (又は分けられた2回で40mgまで)の用量で通常与えられ(典型的な用量は5 mg及び10mgである)、又は延長放出グリベンクラミドは1日1回5 mgから10mgまで (20mgまで) の用量で与えられる(典型的な用量は2.5 、5及び10mgである)。
グリメピリドは1日1回1-2 mgから4 mgまで (8 mgまで) の用量で通常与えられる(典型的な用量は1 、2 及び4 mgである)。
グリベンクラミド/メトホルミンの二重組み合わせは毎日1回1.25/250 mgから毎日2回10/1000 mg までの用量で通常与えられる(典型的な用量は1.25/250、2.5/500 及び5/500 mgである)。
グリピジド/メトホルミンの二重組み合わせは毎日2回2.5/250 mgから10/1000 mg までの用量で通常与えられる(典型的な用量は2.5/250、2.5/500 及び5/500 mgである)。
グリメピリド/メトホルミンの二重組み合わせは毎日2回1/250 mgから4/1000 mg までの用量で通常与えられる。
ロシグリタゾン/グリメピリドの二重組み合わせは毎日1回もしくは2回4/1 mgから毎日2回4/2 mg までの用量で通常与えられる(典型的な用量は4/1、4/2、4/4、8/2及び8/4 mgである)。
ピオグリタゾン/グリメピリドの二重組み合わせは毎日1回30/2 mgから30/4 mg までの用量で通常与えられる(典型的な用量は30/4及び45/4 mgである)。
ロシグリタゾン/メトホルミンの二重組み合わせは毎日2回1/500 mgから4/1000 mg までの用量で通常与えられる(典型的な用量は1/500 、2/500 、4/500 、2/1000及び4/1000 mgである)。
ピオグリタゾン/メトホルミンの二重組み合わせは毎日1回又は2回15/500 mgから毎日3回15/850 mg までの用量で通常与えられる(典型的な用量は15/500 及び15/850 mgである)。
【0063】
非スルホニル尿素インスリン分泌促進物質ナテグリニドは食事とともに60mgから120 mg までの用量で通常与えられ(360 mg/日まで、典型的な用量は60及び120 mgである)、レパグリニドは食事とともに0.5 mgから4 mgまでの用量で通常与えられる(16 mg/日まで、典型的な用量は0.5 、1 及び2 mgである)。レパグリニド/メトホルミンの二重組み合わせは1/500 及び2/850 mgの用量で利用できる。
アカルボースは食事とともに25mgから100 mgまでの用量で通常与えられる。ミグリトールは食事とともに25mgから100 mgまでの用量で通常与えられる。
血液中の脂質レベルを低下する組み合わせパートナーの例はHMG-CoA-レダクターゼインヒビター、例えば、シムバスタチン、アトルバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、プラバスタチン、ピタバスタチン及びロスバスタチン;フィブレート、例えば、ベザフィブレート、フェノフィブレート、クロフィブレート、ゲムフィブロジル、エトフィブレート及びエトフィリンクロフィブレート;ニコチン酸及びその誘導体、例えば、アシピモックス;PPAR-アルファアゴニスト;PPAR-デルタアゴニスト;アシル-コエンザイムAのインヒビター;コレステロールアシルトランスフェラーゼ (ACAT; EC 2.3.1.26) 、例えば、アバシミベ;コレステロール吸収インヒビター、例えば、エゼチミブ;胆汁酸に結合する物質、例えば、コレスチラミン、コレスチポール及びコレセベラム;胆汁酸輸送のインヒビター;HDL 変調活性物質、例えば、D4F 、逆D4F 、LXR 変調活性物質及びFXR 変調活性物質;CETPインヒビター、例えば、トルセトラピブ、JTT-705 (ダルセトラピブ) 又はWO 2007/005572からの化合物12 (アナセトラピブ) ;LDL 受容体モジュレーター;MTPインヒビター(例えば、ロミタピド);及びApoB100 アンチセンスRNA である。
アトルバスタチンの用量は通常1日1回1 mgから40mgまで、又は10mgから80mgまでである。
【0064】
血圧を低下する組み合わせパートナーの例はベータ-ブロッカー、例えば、アテノロール、ビソプロロール、セリプロロール、メトプロロール及びカルベジロール;利尿薬、例えば、ヒドロクロロチアジド、クロルタリドン、キシパミド、フロセミド、ピレタニド、トラセミド、スピロノラクトン、エプレレノン、アミロリド及びトリアムテレン;カルシウムチャンネルブロッカー、例えば、アムロジピン、ニフェジピン、ニトレンジピン、ニソルジピン、ニカルジピン、フェロジピン、ラシジピン、レルカニピジン、マニジピン、イスラジピン、ニルバジピン、ベラパミル、ガロパミル及びジルチアゼム;ACE インヒビター、例えば、ラミプリル、リシノプリル、シラザプリル、キナプリル、カプトプリル、エナラプリル、ベナゼプリル、ペリンドプリル、フォシノプリル及びトランドラプリルだけでなく、アンギオテンシンII受容体ブロッカー (ARB)、例えば、テルミサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、ロサルタン、イルベサルタン、オルメサルタン及びエプロサルタンである。
テルミサルタンの用量は通常1日当り20mgから320 mgまで、又は40mgから160 mgまでである。
【0065】
血液中のHDL レベルを増大する組み合わせパートナーの例はコレステリルエステル移入タンパク質(CETP)インヒビター;内皮リパーゼのインヒビター;ABC1のレギュレーター;LXRアルファアンタゴニスト;LXRベータアゴニスト;PPAR-デルタアゴニスト; LXRアルファ/ベータレギュレーター、及びアポリポタンパク質A-I の発現及び/又は血漿濃度を増大する物質である。
肥満の治療のための組み合わせパートナーの例はシブトラミン;テトラヒドロリプスタチン (オルリスタット) ;アリザイム(セチリスタット);デクスフェンフルラミン;アキソカイン;カンナビノイド受容体1アンタゴニスト、例えば、CB1 アンタゴニストリモノバント;MCH-1 受容体アンタゴニスト;MC4 受容体アゴニスト;NPY5アンタゴニストだけでなくNPY2 アンタゴニスト(例えば、ベルネペリット);ベータ3-AR アゴニスト、例えば、SB-418790 及びAD-9677; 5HT2c 受容体アゴニスト、例えば、APD 356 (ロルカセリン); ミオスタチンインヒビター; Acrp30及びアジポネクチン;ステロイルCoA デサチュラーゼ(SCD1) インヒビター;脂肪酸シンターゼ(FAS) インヒビター;CCK 受容体アゴニスト;グレリン受容体モジュレーター;Pyy 3-36;オレキシン受容体アンタゴニスト;及びテソフェンシンだけでなく、ブプロピオン/ナルトレキソン、ブプロピオン/ゾニサミド、トピラメート/フェンテルミン及びプラムリンチド/メトレレプチンの二重組み合わせである。
アテローム硬化症の治療のための組み合わせパートナーの例はホスホリパーゼA2インヒビター;チロシン-キナーゼのインヒビター (50mg〜600 mg) 、例えば、PDGF-受容体-キナーゼ (EP-A-564409、WO 98/35958、US 5093330、WO 2004/005281、及びWO 2006/041976を参照のこと) ;oxLDL 抗体及びoxLDL ワクチン;apoA-1ミラノ; ASA ;並びにVCAM-1インヒビターである。
本発明は本明細書に記載された特別な実施態様によりその範囲を限定されるべきではない。本明細書に記載されたものに加えて本発明の種々の変更が本開示から当業者に明らかになるかもしれない。このような変更が特許請求の範囲内に入ることが意図されている。
本明細書で引用された全ての特許出願が参考として本明細書にそのまま含まれる。
本発明の更なる実施態様、特徴及び利点が以下の実施例から明らかになるかもしれない。以下の実施例は本発明の原理を例として説明するのに利用できるが、それを限定するものではない。
【実施例】
【0066】
強力かつ選択的DPP-4 インヒビターである、BI 1356 はメトホルミン治療にもかかわらず不十分に調節される2型糖尿病の患者で安全かつ有効である。
強力かつ選択的ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)インヒビターである、BI 1356 (1, 5, 又は10 mg qd) の効力及び安全性を、不適当に調節された、メトホルミン治療 (MET, ≧1 g 毎日) 成人2型糖尿病患者 (T2DM; 基準線におけるHbA1c 7.510.0%) で調べた。効果を12週のランダム化された、二重盲検研究で偽薬(PBO) 又はオープンラベルグリメピリド(GLIM; 1 〜3 mg qd)のアドオン(add-on)と比較した。メトホルミン以外の坑糖尿病薬を6週にわたってウォッシュアウトした (患者の34.7%)。
一次終点は先の坑糖尿病薬について調節された、HbA1c の基準線からの変化であった。333 人の患者(平均基準線HbA1c 8.3%; 断食血漿グルコース [FPG] 185 mg/dL) をBI 1356 、PBO 又はオープンラベルGLIM にランダム化した。12週後、BI 1356 治療はHbA1c の有意な偽薬修正平均減少を生じた(BI 1356 1 mg, n=65, -0.39%; 5 mg, n=66, -0.75%; 10 mg, n=66, -0.73%) 。GLIM を受けている患者は12週でHbA1c のわずかに大きい平均PBO 修正減少を示した (n=64, -0.90%) 。BI 1356 による基準線から12週までのFPG の減少は統計上有意であった (1 mg, -19 mg/dL; 5 mg, -35 mg/dL; 10 mg, -30 mg/dL) 。それ故、用量-応答関係をHbA1c 及びFPG について示し、5 mg のBI 1356 で効果プラトーに達した。この用量について、12週で患者の>80% のトラフで>80% DPP-4 抑制を得た。
合計で106人の患者 (43.1%) が全治療にわたって同様の罹患率で有害事象 (AE) を経験した。最も頻繁に報告されたエピソードは鼻咽頭炎 (7.5%)、下痢 (3.3%)、及び吐気 (3.0%)であった。薬物関連低血糖はGLIMを受けている3人の患者以外はBI 1356 又はPBO で生じなかった。患者 (3.7%)が重大なAEを経験したが、これらの事象のいずれもが薬物関連と考えられなかった。
MET 単独で不適当に調節されたT2DMを有する患者でのMET へのBI 1356 の追加は臨床上妥当かつ統計上有意なHbA1c の減少を達成した。BI 1356 1, 5, 及び10 mg とMET による組み合わせ治療は良く寛容され、低血糖の症例が報告されなかった。AEの罹患率はBI 1356 及びPBO に匹敵した。
【0067】
強力かつ選択的DPP-4 インヒビターである、BI 1356 は治療用量及び20倍の超過治療用量で与えられた場合にQT間隔を延長しない。
強力かつ選択的ジペプチジルペプチダーゼ-4インヒビターである、BI 1356のスルーQT研究を、5 mg (治療用量) 及び100 mgを使用して、成人の健康な女性及び男性の対象で行なった。
その研究はオープンラベルモキシフロキサシン(400mg)を陽性対照として用いるランダム化、単一用量、偽薬対照、二重盲検、4方向クロスオーバー研究であった。10秒の期間の3回反復の12-リード心電図(ECG)を全ての対象につき前投薬及び夫々の治療後の24時間の期間にわたる種々の時点で記録した。一次パラメーターは対象特異性心拍数修正QT間隔(QTcI)であった。
44人の対象に参加させ、そのうちの26人 (59.1%) が男性であった。平均年齢は36.4才(22〜48才の範囲)であった。単一経口投与後の最大gMean 濃度は5 mgのBI 1356 について7.05 nM (28.5% gCV) であり、また100 mgのBI 1356 について267 nM (66.6% gCV)であった。
偽薬と比較されたBI 1356 の基準線(1-4 時間)からの調節された平均QTcI変化の一側95%信頼度間隔の上限は夫々、-1.1 及び-2.5 msの平均推定値で0.5 ms (5 mg) 及び-0.9 ms (100 mg) であった。24時間の観察期間にわたって、偽薬と比較された基準線からの調節されたQTcI変化の一側95%信頼度間隔の最大上限は両方の用量について2.5 msより下であり、こうして10msの非劣等限界より良く下であった。その試験のアッセイ感度は8.1 msの二側90%信頼度間隔の下限で10.5msであるモキシフロキサシンと偽薬の間のQTcI差の最大推定効果サイズにより示された。
心拍数又はその他のECG パラメーターに認められる変化がなく、全体として安全性分析が全ての治療について同様の結果を生じた。
要するに、BI 1356 の治療用量 (5 mg) 及び超過治療用量 (100 mg) の単一用量投与はQT間隔を延長しなかった。超過治療用量は5 mg の治療用量の投与後に得られた血漿濃度より約38倍高い最大血漿濃度をもたらし、DPP-4 インヒビターのクラス内のBI 1356 の特異な安全性プロフィールについての更なる支持を与えた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小児患者の代謝性疾患の治療及び/又は予防のための
式 (I)
【化1】

もしくは式(II)
【化2】

又は式 (III)
【化3】

或いは式(IV)
【化4】

[式中、R1は([1,5]ナフチリジン-2-イル)メチル、(キナゾリン-2-イル)メチル、(キノキサリン-6-イル)メチル、(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル、2-シアノ-ベンジル、(3-シアノ-キノリン-2-イル)メチル、(3-シアノ-ピリジン-2-イル)メチル、(4-メチル-ピリミジン-2-イル)メチル、又は(4,6-ジメチル-ピリミジン-2-イル)メチルを表し、かつR2は3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル、(2-アミノ-2-メチル-プロピル)-メチルアミノ又は(2-(S)-アミノ-プロピル)-メチルアミノを表す]
の化合物であるDPP-4 インヒビター又はその医薬上許される塩。
【請求項2】
小児2型糖尿病の治療及び/又は予防のための請求項1記載のDPP-4 インヒビター。
【請求項3】
2型真性糖尿病の小児患者の血糖調節(例えば、HbA1cレベル及び/又はFPGレベル)を改善するための請求項1又は2記載のDPP-4 インヒビター。
【請求項4】
更にメトホルミン及び/又はインスリンと組み合わせての使用のための請求項1、2又は3記載のDPP-4 インヒビター。
【請求項5】
メトホルミン治療単独にもかかわらず不十分な血糖調節の小児2型糖尿病患者の血糖調節を改善するための請求項1、2、3又は4記載のDPP-4 インヒビター。
【請求項6】
前記DPP-4 インヒビターがメトホルミン(例えば、500mg〜2000mgの毎日の合計量、例えば、毎日1回又は2回500mg、850mg又は1000mgのメトホルミン塩酸塩)と組み合わせて使用される、メトホルミン治療単独にもかかわらず不十分な血糖調節の小児2型糖尿病患者の血糖調節を改善するための請求項1から5のいずれか1項記載のDPP-4 インヒビター。
【請求項7】
前記DPP-4 インヒビターがメトホルミンのアドオン(add-on)として使用される、メトホルミン治療単独にもかかわらず不十分な血糖調節の小児2型糖尿病患者の血糖調節を改善するための請求項1から6のいずれか1項記載のDPP-4 インヒビター。
【請求項8】
前記DPP-4 インヒビターがメトホルミンの置換として使用される、メトホルミン治療単独にもかかわらず不十分な血糖調節の小児2型糖尿病患者の血糖調節を改善するための請求項1から5のいずれか1項記載のDPP-4 インヒビター。
【請求項9】
前記小児患者が、好ましくは10〜17才の年齢又は10才から18才未満までの年齢の、若者の患者である、小児2型糖尿病患者における使用のための請求項1から8のいずれか1項記載のDPP-4 インヒビター。
【請求項10】
前記DPP-4 インヒビターが1日当り1mgの量で前記患者に経口投与される、請求項1から9のいずれか1項記載のDPP-4 インヒビター。
【請求項11】
前記DPP-4 インヒビターが1日当り5mgの量で前記患者に経口投与される、請求項1から9のいずれか1項記載のDPP-4 インヒビター。
【請求項12】
前記DPP-4 インヒビターが前記患者に毎日1回経口投与される、請求項1から11のいずれか1項記載のDPP-4 インヒビター。
【請求項13】
前記患者がメトホルミン治療に不適当であり、又はメトホルミンに対する非寛容性又は禁忌のために減少された用量のメトホルミン治療を必要とし、例えば、腎臓障害の患者である、請求項1から12のいずれか1項記載のDPP-4 インヒビター。
【請求項14】
前記患者が肥満と関連し、かつ/又はインスリン耐性もしくはメタボリック症候群と関連し、必要により高血圧、黒色表皮腫、脂質異常、多のう胞性卵巣疾患、アンドロジェン過剰及び/又は非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)と関連しているこのような小児2型糖尿病患者である、請求項1から13のいずれか1項記載のDPP-4 インヒビター。
【請求項15】
経口投与された用量の<10%、好ましくは≦7%が腎臓により排泄されることを特徴とする糖尿病患者の経口治療使用のためのDPP-4 インヒビター。
【請求項16】
それが主として胆汁により変化されずに排泄されることを特徴とする請求項15記載のDPP-4 インヒビター。
【請求項17】
経口投与された用量の>80%、好ましくは≧90%が親薬物として変化されないで排泄されることを特徴とする請求項15又は16記載のDPP-4 インヒビター。
【請求項18】
その主代謝産物が薬理学上不活性であることを特徴とする請求項15から17のいずれか1項記載のDPP-4 インヒビター。
【請求項19】
前記DPP-4 インヒビターが1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチンである、請求項1から18のいずれか1項記載のDPP-4 インヒビター。

【公表番号】特表2012−516309(P2012−516309A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546859(P2011−546859)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/051093
【国際公開番号】WO2010/086411
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】