説明

小動物用容器入り洗浄剤

【課題】小動物、特に犬、猫、ウサギ等の体を洗浄する場合にも、片手で簡単に洗浄液を皮膚まで十分に塗布することができ、ペットの皮脂を十分に除去すると共に、ペットの皮膚を健全に保つことのできる小動物用の洗浄剤を提供する。
【解決手段】洗浄液を収容する容器体1と該容器体に冠着するキャップ体2を備え、前記キャップ体には先端に前記洗浄液の吐出口を有する略円錐形状のノズル部3を備え、前記ノズル部の長さが該ノズル部の基部より10mm以上である容器中に、洗浄液を収容した小動物用容器入り洗浄剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小動物、特に犬、猫、ウサギ等の体を洗浄するための小動物用容器入り洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、犬、猫、ウサギ等の小動物がペットとして多く飼われている。これらの小動物は、全身が被毛と呼ばれる毛で覆われ、また、人の頭髪に比して毛の密度が高い。また、ペットの洗浄頻度は月に1〜2回程度と低く皮脂汚れも強い。よって、飼い主がペットの全身の被毛やその内側の皮膚を均一に十分に洗浄するためには困難が伴う。
【0003】
通常ペットをシャンプーする際には、事前に洗面器等に張った水に洗浄液を溶かして希釈し、これをペットの体に掛けるという方法が採られているが、大変手間がかかるものである(非特許文献1)。一方、水に希釈せず原液のまま使用可能な洗浄剤も開示されている(特許文献1)。これらの洗浄剤は、洗浄液を掌に取って被毛に塗布し、掌で延ばしながら使用するものであるため、ペットのシャンプーの際には両手を奪われ、ペットが暴れた場合には制御不能になることが多々見られる。また、このような洗浄剤の洗浄液は、掌に取るのに適度な粘度を有しているため、直接ペットの被毛に付けると局在して延ばし難く、また密毛であるペットの被毛中に浸透し難い等から、泡立ち難い、皮膚の洗浄性が十分でない、洗浄成分が残存する等の問題が生じる場合がある。
【0004】
従来、ヒトの頭皮用の洗浄剤としては、低粘度とした洗浄液を直接塗布するタイプの容器に充填したものが存在する(特許文献2)。また、頭髪をかき分けて直接頭皮に接触させて液を吐出させるタイプのエアゾール用ノズルも存在する(特許文献3)。しかし、いずれもペットの被毛の密度よりも薄いヒトの頭髪用に開発されたものである。すなわち、前者は頭髪に振り掛けて使用するものであり、被毛を有するペットに使用しても洗浄液が皮膚に十分に到達せず、また後者は先端が凹凸のない丸い形状となっているため、やはり被毛を有するペットに使用しても洗浄液を皮膚に直接塗布することは困難である。
【非特許文献1】いぬのきもち(ベネッセコーポレーション)2005年5月号67頁
【特許文献1】特開2001-251985公報
【特許文献2】特開2000-95651号公報
【特許文献3】特開平8-198352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明は、小動物、特に犬、猫、ウサギ等の体を洗浄する場合にも、片手で簡単に洗浄液を皮膚まで十分に塗布することができ、ペットの皮脂を十分に除去すると共に、ペットの皮膚を健全に保つことのできる小動物用の洗浄剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、ペットとしての小動物の被毛の密度の高さに着目し、簡単に被毛をかき分けることができれば、ペットの皮膚を容易に洗浄可能であり、そのためには洗浄剤容器をそのまま利用するのが得策であることを見出した。
すなわち本発明は、洗浄液を収容する容器体と該容器体に冠着するキャップ体を備え、前記キャップ体には先端に前記洗浄液の吐出口を有する略円錐形状のノズル部を備え、前記ノズル部の長さが該ノズル部の基部より10mm以上である容器中に、洗浄液を収容した小動物用容器入り洗浄剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の小動物用容器入り洗浄剤は、容器のノズルでペットの被毛を簡単にかき分けることができ、洗浄液をペットの皮膚に直接塗布することができるため、ペットの皮脂等の汚れを十分に除去し、ペットの皮膚を健全な状態に維持することができる。また、片手で簡単に使用可能であるため、ペットが激しく動いた場合でも押さえながら洗浄することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の小動物用容器入り洗浄剤に使用する洗浄液を収容する容器体は、通常のシャンプー等に使用されているものをそのまま使用することができる。
【0009】
本発明の小動物用容器入り洗浄剤を収容した容器体には、キャップ体を冠着することが必要であり、またキャップ体には先端に洗浄液の吐出口を有する略円錐形状のノズル部を備えることが必要である。ノズル部は、キャップ体の上部に位置し、上記ノズル部の長さはノズル部基部の最大径よりも大とし、ノズル部の基部から先端までの長さは10mm以上であり、更に15mm以上、特に20〜40mmであることが、被毛が長く密度の高いペットに使用した場合でも、吐出口を皮膚に十分に到達させ、洗浄液を皮膚に直接塗布することができる点から好ましい。
【0010】
また、ノズル部は基部から先端部にいくに従って外径が細くなる略円錐形状であることが必要である。ノズル部の外径は、基部が8〜15mm、先端が3〜10mm程度であり、基部から先端部までの外形は直線状でも曲線状でも良い。外形が直線状の場合は、その傾きが垂直方向から2〜10°程度傾いていることが被毛が長く密度の高いペットに使用した場合でも、被毛を十分にかき分けることができる点から好ましい。外形が曲線状の場合は、基部に近いほど曲率が高く、先端部に近いほど曲率が低くなる凹状であることが同様の点から好ましい。
【0011】
ノズル部の先端に位置する洗浄液の吐出口は、内径0.5〜2mmであることが好ましく、更に0.7〜1.8mm、特に0.8〜1.5mmであることが、洗浄液の粘度との兼ね合いから、逆さにしてもそのままでは吐出せず、片手で容器体を押すことにより簡単に吐出させることができる点から好ましい。
【0012】
ノズル部の先端は、凸状に曲率を有していることが好ましく、曲率半径が2〜15mm、更に3〜12mm、特に5〜10mmであることが、被毛が長く密度の高いペットに使用した場合でも、被毛をスムーズにかき分けることができる点から好ましい。
【0013】
本発明の小動物用容器入り洗浄剤は、使用しない場合にはノズル部先端の洗浄液の吐出口から洗浄液が吐出しないためのロック機構が備えられていることが好ましい。そのためには、ノズル部の先端に開閉可能な蓋を設けても良いが、耐久性、片手での操作のし易さ等の点から、キャップ体自体を、容器体に冠着した状態でキャップ体の中心軸回りに回転させることによるロック機構とすることが好ましい。ロック及びその解除のために必要な回転の角度は、片手でも使い易い点から1回転(360度)以下であることが好ましく、更に180度以下、特に90度以下であることが好ましい。その他、キャップ体又はノズル部自体を一定方向へ傾ける等の機構としても良い。
【0014】
本発明の小動物用容器入り洗浄剤の容器としては、例えば図1に示すものが挙げられる。図1の容器は基部の径が12mm、ノズルの長さが33mm、先端の径が9mm、吐出口の口径が1.2mmとなっている。容器体の形状はここに挙げた略楕円形状に限るものではなく、円状や矩形のものも挙げられる。容器体の大きさは片手での操作性を考慮すると、形状が円形の場合には直径が、形状が略楕円形状や矩形である場合には短辺が50mm以下であることがより好ましい。
【0015】
本発明の小動物用容器入り洗浄剤を使用する小動物には、家庭でペットとして飼われている犬、猫、ウサギ等の被毛を有する小動物が挙げられる。これらの小動物は、全身が被毛と呼ばれる毛で覆われている。中でもヒトの頭髪とは異なり、一つの毛包から複数の毛が生えている被毛を有する小動物が存在する。当該被毛は、一般にダブルコートと称され、一つの毛孔より主毛(上毛)と呼ばれる一本の太い毛の他に、複数の副毛(下毛)と呼ばれる微細な波状の緬毛が生えている(以下、アンダーコートと称する)。アンダーコートは皮膚近傍で形成されており、断熱効果に優れ、外気温の低下に伴う体温低下を予防する役割を果たし、冬場にはさらに密になる特質を有する。アンダーコートは、一般にペットとして飼われている犬、猫等にも認められ、中でもポメラニアン、シェットランドシープドッグ、アメリカンコッカースパニエル等のある種の犬や、ブリティッシュショートヘア、メインクーン、ノルウェージャンフォレストキャット等のある種の猫では特に顕著である。
【0016】
アンダーコートの存在は、小動物の体温維持のためには有効であるが、こと清潔面や美容面から見るとかなり厄介な存在である。すなわち、アンダーコートを有する小動物の体を洗浄する際に、アンダーコートが皮膚近傍で形成されているため、普通に洗浄剤を塗布したのみでは洗浄剤のなじみが非常に悪い。また、ペットの洗浄頻度は月に1〜2回程度と低く、またこれら小動物は皮脂汚れも強いことから、飼い主がこのようなアンダーコートを有する犬や猫等の全身の被毛やその内側の皮膚を、均一に十分に洗浄するのはかなり困難である。
【0017】
このような場合、本発明の小動物用容器入り洗浄剤を使用することが好ましい。すなわち、小動物の体に本発明の小動物用容器入り洗浄剤の前記ノズルを当てて塗布するのみで、アンダーコート内部にも直接洗浄剤を塗布することができ、アンダーコートと皮膚を十分に洗浄することができる。また、塗布する際に、前記ノズルを被毛の間へ挿入し、洗浄液を小動物の皮膚に直接塗布することにより、特に皮膚も十分に洗浄できることから好ましい。
【0018】
洗浄液は、ノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤(成分(B)とする)のいずれか1種又は2種以上を含有することが、洗浄性の高さ、ペットの皮膚への低刺激性の点から好ましい。
また、洗浄液の液性は、25℃における粘度が40〜300mPa・sであることが好ましく、更に60〜280mPa・s、特に100〜260mPa・sであることが、吐出口の内径との兼ね合いから、逆さにしてもそのままでは吐出せず、片手で容器体を押すことにより簡単に吐出させることができる点から、更に小動物の被毛中への浸透性の点から好ましい。
【0019】
本発明の小動物用容器入り洗浄剤は、洗浄液に角質細胞間に層状構造を形成し、角質細胞の水和や接着に寄与できる天然又は合成の両親媒性物質であるセラミド類(A)を含有することが、洗浄後の皮膚からの水分の蒸散を抑制し、その結果としてペットの皮膚を健全にすることができる点から好ましい。セラミド類とは、セラミド又はセラミド類似物質をいい、次の一般式(1)又は(2)で表される。
【0020】
【化1】

【0021】
〔式中、R1はヒドロキシ基、オキソ基若しくはアミノ基が置換してもよい炭素数4〜30の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基又は水素原子を示し、Zはメチレン基、メチン基又は酸素原子を示し、破線はZがメチン基である場合の不飽和結合を示し、Y1は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示すか、又は隣接する酸素原子とともにオキソ基を形成し、Y2、Y3及びY4は各々独立して水素原子、ヒドロキシ基又はアセトキシ基を示し(但し、Zがメチン基であるとき、Y2とY3は一方が水素原子で他方は存在せず、−O−Y1がオキソ基であるとき、Y4は存在しない)、R2及びR3は各々独立して水素原子、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し、R4はヒドロキシ基、オキソ基又はアミノ基が置換してもよい、主鎖にエーテル結合、エステル結合又はアミド結合を有していてもよい炭素数5〜60の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基又はアルコキシ基を示し、R5は水素原子を示すか、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有してもよい総炭素数1〜30の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示す(但し、R1が水素原子でZが酸素原子であるとき、R5は総炭素数10〜30の炭化水素基であり、R1が水素原子以外の基であるとき、R5は総炭素数1〜8の炭化水素基である)。〕
【0022】
【化2】

【0023】
〔式中、R6は水酸基及び/又はアルコキシ基が置換していてもよい炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、R7は炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖の二価の炭化水素基を示し、R8は炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖の二価の炭化水素基を示す。〕
【0024】
成分(A)のうち一般式(1)で表されるセラミド類において、一般式(1)中のR1としては、ヒドロキシ基が置換してもよい炭素数7〜22の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基又は水素原子が好ましい。Y1としては、水素原子、グリセリル基が好ましい。Y2、Y3及びY4としては、その0〜1個がヒドロキシ基であり、残余が水素原子であるのが好ましい。R2及びR3としては、一方が水素原子又はヒドロキシメチル基であり、他方が水素原子であるのが好ましい。
【0025】
4としては、ヒドロキシ基又はアミノ基が置換していてもよい炭素数5〜35の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基、又は該炭化水素基のω位に、ヒドロキシ基が置換してもよい炭素数8〜22の直鎖、分岐又は環状の飽和又は不飽和の脂肪酸がエステル結合又はアミド結合したものが好ましい。結合する脂肪酸としては、イソステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸又はリノール酸が好ましい。R5としては、水素原子あるいは、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルコキシ基及びアルコキシ基から選ばれる1〜3個が置換していてもよい総炭素数1〜8の炭化水素基が好ましい。ここで、ヒドロキシアルコキシ基及びアルコキシ基としては炭素数1〜7のものが好ましい。
【0026】
一般式(1)で表されるセラミド類に含まれるものとして、天然又は天然型セラミド、及びその誘導体(以下、「天然型セラミド類」と記載する)、更にセラミド類似物質がある。
【0027】
天然型セラミド類の具体例としては、以下に構造を示すような、スフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン又はスフィンガジエニンがアミド化されたセラミドType1〜7(例えば、J. Lipid Res., 24:759 (1983)の図2、及びJ. Lipid. Res.,35:2069 (1994)の図4記載のブタ及びヒトのセラミド類)が挙げられる。
【0028】
【化3】

【0029】
さらに、これらのN-アルキル体(例えばN-メチル体)も挙げられる。これらは天然物からの抽出物及び合成物のいずれでもよく、市販のものを用いることができる。
【0030】
また、一般式(1)で表されるセラミド類に含まれるセラミド類似物質の好ましい具体例としては、以下のものが挙げられる。
【0031】
【化4】

【0032】
成分(A)のセラミド類のうち、一般式(2)で表されるジアミド化合物もセラミド類似物質である。一般式(2)中のR6としては、水酸基及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれる1〜3個が置換していてもよい炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましい。なかでも、無置換の炭素数1〜12のアルキル基、又は水酸基が1〜2個、炭素数1〜6のアルコキシ基が1個、若しくは水酸基と炭素数1〜6のアルコキシ基が1個ずつ置換した、炭素数2〜12のアルキル基がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ドデシル基、2-メチルプロピル基、2-エチルヘキシル基、2-ヒドロキシエチル基、9-ヒドロキシノニル基、2,3-ジヒドロキシプロピル基、2-メトキシエチル基、2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピル基、9-メトキシノニル基等が挙げられ、なかでも2-ヒドロキシエチル基、メチル基、ドデシル基、2-メトキシエチル基が好ましい。
【0033】
一般式(2)において、R7としては、炭素数2〜5の、特に炭素数2〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基が好ましい。具体的には、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、1-メチルエチレン基、2-メチルエチレン基、1-メチルトリメチレン基、2-メチルトリメチレン基、1,1-ジメチルエチレン基、2-エチルトリメチレン基等が挙げられ、なかでもエチレン基及びトリメチレン基が好ましい。
【0034】
一般式(2)において、R8としては、炭素数2〜22の直鎖又は分岐鎖の二価炭化水素基が好ましく、特に炭素数11〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基、及び1〜4個の二重結合を有するアルケニレン基が好ましい。具体的には、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、オクタデカメチレン基、1-メチルエチレン基、2-エチルトリメチレン基、1-メチルヘプタメチレン基、2-メチルヘプタメチレン基、1-ブチルヘキサメチレン基、2-メチル-5-エチルヘプタメチレン基、2,3,6-トリメチルヘプタメチレン基、6-エチルデカメチレン基、7-メチルテトラデカメチレン基、7-エチルヘキサデカメチレン基、7,12-ジメチルオクタデカメチレン基、8,11-ジメチルオクタデカメチレン基、7,10-ジメチル-7-エチルヘキサデカメチレン基、1-オクタデシルエチレン基、エテニレン基、1-オクタデセニルエチレン基、7,11-オクタデカジエニレン基、7-エテニル-9-ヘキサデカメチレン基、7,12-ジメチル-7,11-オクタデカジエニレン基、8,11-ジメチル-7,11-オクタデカジエニレン基等が挙げられる。このうち、7,12-ジメチルオクタデカメチレン基、7,12-ジメチル-7,11-オクタデカジエニレン基、オクタデカメチレン基、ウンデカメチレン基、トリデカメチレン基が特に好ましい。
【0035】
特に好ましいセラミド類(2)は、R6、R7及びR8として、それぞれ上で挙げた好ましい基を組み合わせた化合物であり、その具体例として、以下の化合物が挙げられる。
【0036】
【化5】

【0037】
【化6】

【0038】
一般式(1)又は(2)で表されるセラミド類は、成分(A)として2種以上を併用することもでき、またその含有量は、洗浄液中の0.05〜2重量%であることが好ましく、更に0.1〜1.5重量%であることが、洗浄後の皮膚からの水分蒸散量を抑制する点、及び肌の過度の乾燥を防止する点から好ましい。
【0039】
本発明の小動物用容器入り洗浄剤は、洗浄液にノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤(B)のいずれか1種又は2種以上を含有することが好ましいことは前述の通りであるが、具体的なものとしては次のものを挙げることができる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類;モノカプリル酸グリセリン、モノカプリン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α'-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノイソステアリン酸グリセリン等のグリセリン脂肪酸エステル類;モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類;硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン(以下「POE」という)ソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンテトラオレエート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類;POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類;POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリントリイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類;POEモノオレエート、POEジステアレート、POEジオレエート、ステアリン酸エチレングリコール等のPOE脂肪酸エステル類;POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POE 2-オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル類;POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEジノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類;POE・ポリオキシプロピレン(以下「POP」という)セチルエーテル、POE・POP 2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POP水添ラノリン、POE・POPグリセリンエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類;テトロニック等のテトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類;POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOEヒマシ油あるいは硬化ヒマシ油誘導体;POEソルビットミツロウ等のPOEミツロウ・ラノリン誘導体;ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド;オクチルグルコシド、ドデシルグルコシド、テトラデシルグルコシド、ヘキサデシルグルコシド等のアルキルグルコシド類;POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸等を挙げることができる。これらの非イオン界面活性剤のうち、アルキルグルコシド類が起泡性の点から好ましい。
【0040】
また、成分(B)のうちアニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等の脂肪酸セッケン;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩;POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル塩;ラウロイルサルコシンナトリウム等のN-アシルサルコシン酸塩;N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩;POEオレイルエーテルリン酸ナトリウム、POEステアリルエーテルリン酸等のリン酸エステル塩;ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩;リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等のN-アシルグルタミン酸塩;硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等の高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩;ロート油等の硫酸化油、POEアルキルエーテルカルボン酸、POEアルキルアリルエーテルカルボン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、二級アルコール硫酸エステル塩、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン、カゼインナトリウム等が挙げられる。これらのアニオン界面活性剤のうち、アルキルエーテル硫酸エステル塩、N-アシルグルタミン酸塩が、小動物の皮膚刺激性の低さの面から好ましい。
【0041】
これらノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤は、成分(B)として2種以上を併用することもでき、またその含有量は、洗浄液中の10〜50重量%であることが好ましく、更に15〜40重量%であることが、洗浄性の点、成分(A)を皮膚上に残留させ、皮膚からの水分蒸散量を効果的に抑制する点から好ましい。
【0042】
本発明の小動物用容器入り洗浄剤においては、洗浄液中における成分(A)のセラミド類と成分(B)のノニオン性界面活性剤及び/又はアニオン性界面活性剤との比率は、十分な洗浄性を有し、かつ成分(A)の皮膚への残存量を最適にする点から、(A)/(B)=0.005〜0.1、特に0.006〜0.05の重量比とすることが好ましい。
【0043】
本発明の小動物用容器入り洗浄剤においては、洗浄液に成分(C)として低級アルコール、芳香族アルコール、並びに多価アルコール及びその誘導体から選ばれるアルコール類を含有することが好ましい。
このうち、低級アルコールは、炭素数2〜5の直鎖又は分岐のアルコール、具体的には、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール等が挙げられる。芳香族アルコールとしては、ベンジルアルコール、2-ベンジルオキシエタノール、フェノキシエタノール等が挙げられる。多価アルコール又はその誘導体としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、イソプレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等の2価のアルコール;グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6-ヘキサントリオール等の3価のアルコール;ペンタエリスリトール等の4価アルコール;ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等の多価アルコール重合体;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等のエチレングリコールエーテル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコール重合体アルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル等のプロピレングリコールアルキルエーテル類;ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等のジプロピレングリコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等の2価アルコールエーテルエステル;キシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等のグリセリンモノアルキル(又はアルケニル)エーテル;エチレングリコールジアジペート、エチレングリコールジサクシネート等の2価アルコールジエステル;キシリトール、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等の糖類又は糖アルコール類;グリソリッド、テトラハイドロフルフリルアルコール等が挙げられる。
【0044】
これらアルコール類のうち、低級アルコールとしてはエタノールが、芳香族アルコールとしてはベンジルアルコールが、多価アルコールとしてはグリセリンや1,3-ブチレングリコールが、保存安定性の点から好ましい。
【0045】
これらアルコール類は、2種以上を併用することもでき、またその含有量は、洗浄液中の20〜50重量%であることが好ましく、更に25〜40重量%であることが、洗浄性の点、成分(A)を均一に分散させ、被毛の仕上がり感を向上させる点、及び成分(A)を皮膚上に残留させ、皮膚からの水分蒸散量を効果的に抑制する点から好ましい。
【0046】
本発明の小動物用容器入り洗浄剤においては、洗浄液に成分(D)としてカチオン性重合体及び両性重合体から選ばれる水溶性高分子化合物を含有することが好ましい。
このうち、カチオン性重合体としては、例えばカチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム誘導体、ジアリル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物、ジアリル4級アンモニウム塩重合物、及び4級化ポリビニルピロリドン誘導体、カチオン性シリコーン重合体等が挙げられる。
【0047】
これらのうち、カチオン化セルロース誘導体としては、次の一般式(3)で表されるものが好ましい。
【0048】
【化7】

【0049】
〔(3)式中、Aはアンヒドログルコース単位の残基を示し、aは50〜20000の整数を示し、各R9は、それぞれ次の一般式(4)で表される置換基を示す。〕
【0050】
【化8】

【0051】
〔(4)式中、R10及びR11は炭素数2又は3のアルキレン基を示し、bは0〜10の整数を示し、cは0〜3の整数を示し、dは0〜10の整数を示し、R12は炭素数1〜3のアルキレン基又はヒドロキシアルキレン基を示し、R13、R14及びR15は同一でも異なってもよく、炭素数20以下のアルキル基、アリール基若しくはアラルキル基を示し、又は式中の窒素原子を含む複素環を形成する。X1-は陰イオン(塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、スルホン酸イオン、メチル硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン等)を示す。〕
【0052】
カチオン化セルロース誘導体のカチオン置換度は、0.01〜1、すなわちアンヒドログルコース単位あたりのcの平均値は、0.01〜1、特に0.02〜0.5であるのが好ましい。また、b+dの合計は平均1〜3である。置換度は、0.01以下では十分でなく、また1を超えてもかまわないが、反応収率の点より1以下が好ましい。R13、R14及びR15は、全てがメチル基、又は2つが炭素数1〜3の短鎖アルキル基であり残り1つが炭素数10〜20の長鎖アルキル基であることが好ましい。カチオン化セルロース誘導体の分子量は、約10万〜800万の間が好ましい。
【0053】
カチオン性澱粉としては次の一般式(5)で表されるものが好ましい。
【0054】
【化9】

【0055】
〔(5)式中、Bは澱粉残基を示し、R16は炭素数1〜5のアルキレン基又はヒドロキシアルキレン基を示し、R17、R18及びR19は同一でも異なってもよく、炭素数10以下のアルキル基、アリール基若しくはアラルキル基を示し、又は式中の窒素原子を含む複素環を形成する。X2-は陰イオン(塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、スルホン酸イオン、メチル硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン等)を示し、eは正の整数を示す。〕
【0056】
カチオン性澱粉は、カチオン置換度が0.01〜1、特に0.02〜0.5、すなわち無水グルコース単位当り0.01〜1、特に0.02〜0.5個のカチオン基が導入されたものが好ましい。置換度は、0.01以下では十分でなく、また1を超えてもかまわないが、反応収率の点より1以下が好ましい。
【0057】
カチオン化グアーガム誘導体としては、次の一般式(6)で表されるものが好ましい。
【0058】
【化10】

【0059】
〔(6)式中、Dはグアーガム残基を示し、R20は炭素数1〜5のアルキレン基又はヒドロキシアルキレン基を示し、R21、R22及びR23は同一でも異なってもよく、炭素数10以下のアルキル基、アリール基若しくはアラルキル基を示し、又は式中の窒素原子を含む複素環を形成する。X3-は陰イオン(塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、スルホン酸イオン、メチル硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン等)を示し、fは正の整数を示す。〕
【0060】
カチオン化グアーガム誘導体は、カチオン置換度が0.01〜1、特に0.02〜0.05、すなわち0.01〜1個、特に0.02〜0.5個のカチオン基が糖ユニットに導入されたものが好ましい。この型のカチオン性ポリマーは、特公昭58-35640号公報、特公昭60-46158号公報及び特開昭58-53996号公報中に記載されており、例えばセラニーズ−シュタイン・ホール社から商標名ジャガーで市販されている。
【0061】
ジアリル4級アンモニウム塩重合物又はジアリル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物としては、次の一般式(7)又は(8)で表されるものが好ましい。
【0062】
【化11】

【0063】
〔(7)及び(8)式中、R24及びR25は同一でも異なってもよく、水素原子、アルキル基(炭素数1〜18)、アリール基、ヒドロキシアルキル基、アミドアルキル基、シアノアルキル基、アルコキシアルキル基又はカルボアルコキシアルキル基を示し、R26、R27、R28及びR29は同一でも異なってもよく、水素原子、低級アルキル基(炭素数1〜3)又はフェニル基を示し、X4-は陰イオン(塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、スルホン酸イオン、メチル硫酸イオン、硝酸イオン等)を示し、gは1〜50の整数を示し、hは0〜50の整数を示し、iは150〜8000の整数を示す。〕
【0064】
ジアリル4級アンモニウム塩重合物及びジアリル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物の分子量は、約3万〜200万、特に10万〜100万が好ましい。
【0065】
4級化ポリビニルピロリドン誘導体としては、次の一般式(9)で表されるものが好ましい。
【0066】
【化12】

【0067】
〔(9)式中、R30は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、R31、R32及びR33は同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミドアルキル基、シアノアルキル基、アルコキシアルキル基又はカルボアルコキシアルキル基を示し、Yは酸素原子又はイミノ基を示し、X5-は陰イオン(塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、スルホン酸イオン、炭素数1〜4のアルキル硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン等)を示し、lは1〜10の整数を示し、jとkはその和が20〜8000となる整数を示す。〕
【0068】
4級化ポリビニルピロリドン誘導体の分子量は、1万〜200万、特に5万〜150万が好ましい。上記の4級化ポリビニルピロリドン誘導体中に含まれるカチオン性窒素の含有量は、十分な効果及び経済性の点から、ビニル重合体に対して0.004〜0.2重量%、特に0.01〜0.15重量%が好ましい。
【0069】
また、カチオン性シリコーン重合体の代表的なものとしては、次の一般式(10)で表される、平均分子量が約3000〜100000のものが挙げられる。これはアモジメチコーン(Amodimethicone)の名称でCTFA辞典(米国Cosmetic Ingredient Dictionary)第3版中に記載されている。このカチオン性シリコーン重合体は、水性乳濁液として用いられることが好ましい。
【0070】
【化13】

【0071】
〔(10)式中、m及びnは分子量に依存する整数を示す。〕
【0072】
両性重合体は、酸性ビニル単量体と塩基性ビニル単量体とを共重合させることにより、また両性単量体を重合させることにより、あるいは合成又は天然の高分子にその性質に応じて酸性基、塩基性基、酸性基と塩基性基の両者あるいは両性基を導入することにより製造することができる。両性重合体の代表例としては、以下のものが挙げられる。
【0073】
(i)酸性ビニル単量体と塩基性ビニル単量体との共重合物
典型的なものとしては、酸性ビニル単量体又はその塩45〜55モル%及び塩基性ビニル単量体又はその塩55〜45モル%からなる単量体混合物を、公知のラジカル重合開始剤の存在下で、また公知の促進剤の存在下又は不在下、150℃で共重合することにより得られる両性共重合体を挙げることができる。ここにいうモル比はそれぞれのビニル単量体が1分子中に1つの酸性基又は塩基性基を有する場合をいい、1分子中に複数個の酸性基又は塩基性基を有する単量体の場合は、正味の電荷がほぼ0となるよう適宜モル比を調整する。
【0074】
酸性ビニル単量体とは、1分子中に、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基等の酸性基と、重合可能なビニル基とを有する化合物であって、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル安息香酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、3-メタクリルプロパンスルホン酸等の不飽和一塩基酸、及びイタコン酸、マレイン酸、フマール酸等の不飽和二塩基酸、並びにこれらのモノエステル等を挙げることができる。また、それらの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0075】
塩基性ビニル単量体とは、1分子中に、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基等の塩基性基と、重合可能なビニル基とを有する化合物であって、例えば、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、ジメチルアリルアミン、ジアリルメチルアミン等及びその4級化物を挙げることができる。
【0076】
4級化物としては、上記化合物のアミノ基における水素化物、メチル化物、エチル化物等であって、対アニオンが塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、メチル硫酸イオン等である化合物が挙げられる。
【0077】
この重合にあたって、酸性ビニル単量体及び塩基性ビニル単量体以外に、酸性ビニル単量体及び塩基性ビニル単量体と共重合可能な他のビニル単量体を、任意の第3成分として共重合することもできるが、この他のビニル単量体の割合は、全単量体に対し60モル%以下に抑えることが必要である。この他のビニル単量体は、ラジカル重合開始剤により重合可能なモノビニル化合物であって、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル類、スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン化合物、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルエーテル、酢酸ビニル等が挙げられる。
【0078】
(ii)両性単量体の重合物
典型的なものとして、次の一般式(11)で表される両性単量体を、ラジカル重合開始剤の存在下で20〜130℃の温度範囲で重合して得られる両性重合体が挙げられる。
【0079】
【化14】

【0080】
〔式(11)中、R34、R37及びR38は水素原子又はメチル基を示し、R35及びR36はメチル基又はエチル基を示し、Eは−O−又は−NH−を示し、X6は−CO2、−SO3又は−PHO3を示し、s及びtは1〜3の整数を示す。〕
【0081】
一般式(11)で表される両性単量体は、適当なアクリル酸又はメタクリル酸のアミノアルキルエステル又はアミノアルキルアミドとラクトン、サルトン又は環状ホスファイドとの反応によって合成することができる。
【0082】
これらの化合物としては、例えば、3-ジメチル(メタクロイルオキシエチル)アンモニウム・プロパンスルホネート、3-ジメチル(メタクロイルアミドプロピル)アンモニウム・プロパンスルホネート等を挙げることができる。
【0083】
この重合にあたって、両性単量体以外に、共重合可能な他のビニル単量体を任意成分として共重合することもできるが、この他のビニル単量体の割合は、全単量体に対し60モル%以下に抑える必要がある。この他のビニル単量体は、ラジカル重合開始剤により重合可能なモノビニル化合物であって、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル類、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン化合物、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルエーテル、酢酸ビニル等が挙げられる。
【0084】
上述のカチオン性重合体又は両性重合体は、二種以上を併用することもでき、またその含有量は、洗浄液中の0.05〜5重量%であるが、0.1〜3重量%であることが、成分(A)を均一に皮膚上に残留させ、皮膚からの水分蒸散量を効果的に抑制する点及び肌の過度の乾燥を防止する点から好ましい。
【0085】
本発明の小動物用容器入り洗浄剤においては、洗浄液に成分(E)として水を含有することが好ましく、公知の方法で精製された水を用いることができる。
また、前述の成分(A)〜(E)を全て組み合わせて構成することが、ペットの皮脂等の汚れを十分に除去し、更に洗浄後の皮膚からの水分の蒸散を抑制し、その結果としてペットの皮膚を健全にすることができる点から好ましい。
【0086】
本発明の小動物用容器入り洗浄剤には、洗浄液に更に通常洗浄剤等に用いられる他の成分、例えば、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級アルコール、エステル類、シリコーン類、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、保湿剤、成分(D)以外の水溶性高分子化合物、増粘剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、糖類、アミノ酸類、有機アミン類、合成樹脂エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン類、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料等を、必要に応じて適宜配合することができる。
【0087】
本発明の小動物用容器入り洗浄剤は、洗浄液を小動物の体に直接塗布することにより使用することが好ましい。特に、ポメラニアン、シェットランドシープドッグ、アメリカンコッカースパニエル等のある種の犬や、ブリティッシュショートヘア、メインクーン、ノルウェージャンフォレストキャット等のある種の猫のようなアンダーコートを有する小動物に適用する際には、ノズル部を小動物の被毛の間へ挿入し、容器をスクイーズしながら洗浄したい範囲の小動物の皮膚に洗浄液を直接塗布して使用することが、洗浄液のなじみが良くなる点から、より好ましい。このような使用方法を行うことにより、70%以上の高い洗浄率と、皮膚からの水分蒸散量を7.0g/m2・h以下に抑えることができる。そして本発明の小動物用容器入り洗浄剤を使用し、前記方法にて繰り返し洗浄することにより、ペットの皮膚を健全な状態に保つことができる。
【実施例】
【0088】
実施例1、2及び比較例1、2
表1記載の成分を配合した洗浄剤組成物を調製し、図1の容器に充填したものを実施例1、2とし、次に示す条件にて、下記評価基準にて評価を行った。同時に比較例1、2として市販品A、Bについても評価した。結果を表1に示した。
【0089】
〔実験条件〕
洗浄対象:ポメラニアン
塗布方法:直接犬の体につけていく
洗浄回数:1回
洗浄水の温度:約40℃
【0090】
〔評価基準〕
・被毛へのなじみ
◎:被毛へのなじみがとても良い
○:被毛へのなじみが良い
△:被毛へのなじみはあまり良くない
×:被毛へのなじみがとても悪い
・泡立ち
◎:泡立ちがとても良い
○:泡立ちが良い
△:泡立ちはあまり良くない
×:泡立ちがとても悪い
・すすぎ易さ
◎:とてもすすぎ易い
○:すすぎ易い
△:ややすすぎ難い
×:とてもすすぎ難い
・汚れや皮脂の洗浄性
◎:洗浄性がとても良い
○:洗浄性が良い
△:洗浄性はあまり良くない
×:洗浄性がとても悪い
【0091】
【表1】

【0092】
実施例1、2については、被毛へのなじみがとても良く、それに伴い、泡立ちやすすぎ易さや洗浄性に優れた結果が得られた。一方、比較例1、2においては、直接被毛につけるとつけた部位付近に局在化して伸びず、泡立て等が困難であり、すすぎ性も低下した。また洗浄剤の伸びが悪いことから、洗浄性も十分とは言えなかった。
【0093】
実施例3
下記処方の洗浄剤を調製し、図1の容器に充填したものを実施例3とした。
ビス(メトキシプロピルアミド)オクタン 0.5%
ドデシルグルコシド 20.0%
N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム 2.0%
カチオン化グアーガム 0.2%
ジプロピレングリコール 10.0%
グリセリン 15.0%
香料 0.1%
精製水 残量
合計 100%
*粘度220mPa・s
この小動物用の容器入り洗浄剤をアトピー性皮膚炎に罹患している犬3頭に週2回の頻度で適用したところ1ヶ月経過した時点で痒み、フケ、紅班の改善が認められた。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の小動物用容器入り洗浄剤に用いる容器の概略図の1例を示す。
【符号の説明】
【0095】
1:容器体
2:キャップ体
3:ノズル部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液を収容する容器体と該容器体に冠着するキャップ体を備え、前記キャップ体には先端に前記洗浄液の吐出口を有する略円錐形状のノズル部を備え、前記ノズル部の長さが該ノズル部の基部より10mm以上である容器中に、洗浄液を収容した小動物用容器入り洗浄剤。
【請求項2】
前記小動物が被毛を有する小動物である請求項1記載の小動物用容器入り洗浄剤。
【請求項3】
前記小動物がダブルコートの被毛を有する小動物である請求項1又は2に記載の小動物用容器入り洗浄剤。
【請求項4】
前記洗浄液の前記吐出口が内径0.5〜2mmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の小動物用容器入り洗浄剤。
【請求項5】
前記キャップ体を、前記容器体に冠着した状態で前記キャップ体の中心軸回りに回転させることにより前記洗浄液の吐出口の開閉を行うものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の小動物用容器入り洗浄剤。
【請求項6】
前記洗浄液がノニオン性界面活性剤及び/又はアニオン性界面活性剤を含有するものである請求項1〜5のいずれか1項に記載の小動物用容器入り洗浄剤。
【請求項7】
前記洗浄液が25℃における粘度が40〜300mPa・sである請求項1〜6のいずれか1項に記載の小動物用容器入り洗浄剤。
【請求項8】
前記洗浄液が次の成分(A)〜(E)、
(A) 一般式(1)又は(2)で表されるセラミド類:0.05〜2重量%
【化1】

〔式中、R1はヒドロキシ基、オキソ基若しくはアミノ基が置換してもよい炭素数4〜30の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基又は水素原子を示し、Zはメチレン基、メチン基又は酸素原子を示し、破線はZがメチン基である場合の不飽和結合を示し、Y1は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示すか、又は隣接する酸素原子とともにオキソ基を形成し、Y2、Y3及びY4は各々独立して水素原子、ヒドロキシ基又はアセトキシ基を示し(但し、Zがメチン基であるとき、Y2とY3は一方が水素原子で他方は存在せず、−O−Y1がオキソ基であるとき、Y4は存在しない)、R2及びR3は各々独立して水素原子、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し、R4はヒドロキシ基、オキソ基又はアミノ基が置換してもよい、主鎖にエーテル結合、エステル結合又はアミド結合を有していてもよい炭素数5〜60の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基又はアルコキシ基を示し、R5は水素原子を示すか、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有してもよい総炭素数1〜30の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示す(但し、R1が水素原子でZが酸素原子であるとき、R5は総炭素数10〜30の炭化水素基であり、R1が水素原子以外の基であるとき、R5は総炭素数1〜8の炭化水素基である)。〕
【化2】

〔式中、R6は水酸基及び/又はアルコキシ基が置換していてもよい炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、R7は炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖の二価の炭化水素基を示し、R8は炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖の二価の炭化水素基を示す。〕
(B) ノニオン界面活性剤及び/又はアニオン界面活性剤:10〜50重量%
(C) 低級アルコール、芳香族アルコール、並びに多価アルコール及びその誘導体から選ばれるアルコール類:20〜50重量%
(D) カチオン性重合体及び両性重合体から選ばれる水溶性高分子化合物:0.05〜5重量%
(E) 水
を含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の小動物用容器入り洗浄剤。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の小動物用容器入り洗浄剤を用いて、洗浄液を小動物の体に直接塗布する小動物の体の洗浄方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の小動物用容器入り洗浄剤を用いて、前記ノズル部を小動物の被毛の間へ挿入し、洗浄液を小動物の皮膚に直接塗布する小動物の体の洗浄方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−159453(P2007−159453A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−358462(P2005−358462)
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】