説明

少なくとも一種の化粧品または医薬品を含浸したポリアミドのフリー粉末粒子の製造方法と、水以外の少なくとも一種の化粧品または医薬品の含有量が少なくとも25重量%であるポリアミドのフリー粉末粒子

本発明は少なくとも一種の化粧品または医薬品を含浸したポリアミドのフリー粉末粒子の製造方法に関する。本発明はさらに、水以外の化粧品または医薬品の含有量が少なくとも25重量%であるポリアミドのフリー粉末粒子と、この粉末粒子の化粧品、医薬品または香水での使用と、この粒子を含む組成物とに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一種の化粧品または医薬品を含浸したポリアミドベースのフリー粉末(poudre libre)の粒子の製造方法に関するものである。
本発明は特に、水以外の少なくとも一種の化粧品または医薬品の含有量が少なくとも25重量%であるポリアミドベースのフリー粉末の粒子に関するものである。
本発明はさらに、化粧品または医薬品を高含有量で含む上記粉末粒子の化粧品、医薬品または香水での使用と、この粒子を含む化粧、医薬または香水組成物とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
スキンのケア(治療)に適した一種以上の活性成分を有する皮膚治療用の化粧用または皮膚科学用組成物は多数の例が知られており、燐脂質のミクロスフェアまたは脂質小胞(リポソームともよばれる)中またはポリマーのミクロスフェア(微小球)中に封止(カプセル化)したものが例えば特許文献1(欧州特許第0 375 520号公報)に記載されている。
【0003】
このカプセル化法の欠点はミクロスフェアの製造プロセスの制御が難しく、貯蔵中または化粧用配合物中に導入したときに安定性がないことである。ミクロスフェアの製造時に入る活性成分の量は一般にそれを貯蔵する間にミクロスフェア中に残っている量とは異なり(少なく)、皮膚上に放出される量とも異なる(さらに少ない)。
【0004】
特許文献2(欧州特許第1 493 433号公報)には、少なくとも一種の活性化合物を含む多孔質粒子が記載されている。この粒子は少なくとも一種の活性化合物を多孔質粒子中に含浸させて得られる。活性化合物を予め溶剤、例えばアセトン、エタノール、イソプロパノール、ジクロロメタンまたは酢酸エチル中に溶解し、次いで溶剤を蒸発させて乾燥粉末を得る。この溶剤は割合は少なくても、得られた粉末中やこの粉末を加えた最終生成物中に常に存在る。、これらの溶剤は皮膚への望ましくない影響、例えば乾燥、アレルギー、色素沈着等の原因になる。
【0005】
上記特許の出願日よりも先に公知となっている非特許文献1および非特許文献2には、オルガゾル(Orgasol、登録商標)(多孔性ポリアミド12粉末)中に溶剤に溶解させた化粧活性成分を含浸させることが記載されている。溶剤は一般に後で蒸発させる。しかし、この含浸粉末中での化粧品または医薬品の最終含有量は20%を超えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第0 375 520号公報
【特許文献2】欧州特許第1 493 433号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】商用パンフレット「Orgasol(登録商標)超微粉ポリアミド」1991年、2月
【非特許文献2】1993年12月のレビュー「化粧品および洗面道具」、第108巻
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記従来技術の問題がない、皮膚に対して有害な溶剤が存在せず、化粧品または医薬品の化粧特性または医薬特性を損なわずに、できるだけ少ない段階で、化粧品または医薬品を高い充填率で含むフリー粉末粒子の製造方法を提供することにある。
【0009】
本発明の別の目的は、薬剤の量が粒子の貯蔵中でも配合物に導入したときでも安定に維持され、粒子を皮膚への局所塗布した時に皮膚の角質層への薬剤の拡散が改善され(促進されおよび/または持続する)、化粧品または医薬品が高い充填率で充填されたフリー粉末の粒子を提供することにある。
【0010】
「化粧品または医薬品が高い充填率で充填されたフリー粉末の粒子」とは、薬剤の含有量が少なくとも25重量%、好ましくは少なくとも40重量%である平均粒子を意味する。
【0011】
本発明者は、新規な多孔質粒子の含浸方法を用いることによって、化粧品または医薬品が高い充填率で充填されたフリー粉末の粒子を製造できるということを見出した。
【0012】
「多孔質粒子」とは孔(ポア)を有する粒子を意味する。多孔度は比表面積(SSともよばれる)によって定量的に特徴付けられる。本発明の多孔質粒子はBET法によって測定されるSSAが8m2/g以上である。BET(ブルナウアー−エメット−テラー)法は当業者に周知の方法である。この方法は下記文献に記載されており、国際規格ISO 5794/1(添付書類D)に対応する。
【非特許文献3】「米国化学会雑誌」第60巻、309頁、1938年、2月
【0013】
BET法で測定される比表面積は全比表面積すなわち孔によって形成された表面を含む表面積に対応する。
「フリー粉末の粒子」とは、凝集体または塊の形に固まっていない粒子を意味する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の対象は、下記(1)〜(4)の連続した段階を含む、少なくとも一種の化粧品または医薬品を含浸したポリアミドベースのフリー粉末粒子の製造方法にある:
(1)多孔性で且つSSAが8m2/g以上であるフリー粉末の粒子に、化粧品または医薬品を液体状態で撹拌しながら一滴ずつ添加するか、噴霧して添加して、化粧品または医薬品が粉末粒子の少なくとも25重量%を占めるようにし、
(2)粉末粒子が凝集し始める前に添加を止め、
(3)少なくとも5分間撹拌を維持し、
(4)得られた化粧品または医薬品が含浸されたフリー粉末を回収する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】異なる深さ(縦座標)を有する3つのしわ(1、2、3)(横座標)を通る皮膚の断面積を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上記フリー粉末の粒子の平均径は容積で3〜12μm、好ましくは5〜10μmの範囲内であるのが有利である。
本発明の好ましい実施例では、上記のポリアミドベースの粒子は、ポリアミド、コポリアミド、コポリエステルアミドおよびこれらの混合物の中から選択される。
「ポリアミドベースの粒子」(ポリアミドはホモポリアミドまたはコポリアミドである)はラクタム、アミノ酸および/またはジアミンと二酸の縮合生成物の粒子を意味し、一般にはアミド基で互いに結合した単位で形成される任意のポリマーである。本発明粒子は下記文献に記載のように一つまたは複数のラクタムと一つまたは複数のラクトンとの共重合でも得られるコポリエステルアミドでもよい。
【特許文献3】欧州特許第1 172 396号公報
【0017】
コポリアミドの「モノマー」という用語は「反復単位」を意味する。すなわち、ポリアミドの反復単位の場合、ジアミンと二酸との組み合わせを意味する。これはジアミンと二酸との組み合わせ、すなわち、モノマーに対応するジアミン.二酸組み合せ(等モル量の)と考えることができる。これは二酸またはジアミンは個別には構造単位で単独では重合するのには十分でないということで説明される。本発明の粒子が「コモノマー」とよばれる少なくとも2種のモノマー、すなわち、少なくとも一種のモノマーと少なくとも一種のコモノマー(前者のモノマーとは異なるモノマー)を含む場合は、本発明の粒子はコポリマー、例えばコポリアミド(CoPA)またはコポリエステルアミド(CoPEA)を形成する。
【0018】
ラクタムの例としては主環に3〜12の炭素原子を有する置換されていてもよいラクタムが挙げられる。例としてはβ、β−ジメチルプロピオラクタム、α、α−ジメチルプロピオラクタム、アミロラクタム、カプロラクタム、カプリルラクタム、エナントラクタム、2−ピロリドンおよびラウリルラクタムが挙げられる。
【0019】
二酸(またはジカルボン酸)の例としては4〜18の炭素原子を有する酸が挙げられる。例えばアジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、スベリン酸、イソフタル酸、ブタンジオン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、スルホイソフタル酸のナトリウム塩またはリチウム塩、ダイマー化された脂肪酸(このダイマー化された脂肪酸は二量体を少なくとも98%含み、好ましくは水素化されている)およびドデカンジオン酸HOOC-(CH210(COOH)を挙げることができる。
【0020】
ジアミンの例としては原子数が6〜12の脂肪族ジアミンが挙げられ、アリールジアミンおよび/または飽和環式ジアミンにすることもできる。例としてはヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、テトラメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、1,5−ジアミノヘキサン、2,2,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン、ポリオールジアミン、イソホロンジアミン(IPD)、メチルペンタメチレンジアミン(MPDM)、ビス(アミノシクロヘキシル)メタン(BACM)、ビス(3-メチル-4−アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM)、メタ−キシレンジアミン、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタンおよびトリメチルヘキサメチレンジアミンが挙げられる。
【0021】
アミノ酸の例としては、α、ω−アミノ酸、例えばアミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、11-アミノウンデカン酸、n-ヘプチル-11-アミノウンデカン酸および12-アミノドデカン酸が挙げられる。
ラクトンの例としてはカプロラクトン、バレロラクトンおよびブチロラクトンが挙げられる。
【0022】
本発明で使用するのが好ましい一つまたは複数のモノマーはラクタム、例えばラウリルラクタム、カプロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタムまたはこれらの混合物の中から選択するのが好ましい。ラウリルラクタム単独またはカプロラクタムとの混合物として使用するのが好ましい。本発明のポリアミドベースの粒子は、含浸前のポリアミド12の含有量(モル%)が50〜100%、好ましくは80〜100%である。ポリアミドベースの粉末の上記粒子は少なくとも一部は、有機液体中で溶液状態および/または懸濁状態で無機または有機充填剤のシード(種)によって一種以上のラクタムおよび/または一種以上のラクトンのアニオン重合で得るのが好ましい。特許文献4および特許文献5に記載の方法を参照されたい。
【特許文献4】欧州特許第0 192 515号公報
【特許文献5】フランス国特許第2 910 900号公報
【0023】
本発明の多孔質粒子は球形であるのが有利である。これはオルガゾル(Orgasol、登録商標)の名称で市販の粉末の中から選択するのが好ましい。
本発明の化粧品または医薬品は、人間のケラチン物質、例えば人の皮膚、毛、睫毛または爪または顔の唇の状態を良くする薬剤である。
【0024】
少なくとも一種の化粧品または医薬品は本発明方法での添加実施温度で液体であるのが好ましい。この添加は、化粧品または医薬品が添加時に液体である任意の温度で実施できる。添加温度は化粧品が液体で且つ安定である(添加温度で分解しない)ように、当業者によって慎重に選択される。添加は周囲温度、例えば15〜25℃の範囲内の温度で、この温度で液体且つ安定である化粧品または医薬品を用いて行うのが有利である。特に、化粧品または医薬品は液体状態すなわち純液体または可溶化剤、例えば水、ポリオールまたはグリセリドに溶解または可溶化した固体の形で導入する。本発明方法で化粧品または医薬品の溶解時の含有量はこれらの薬剤にその可溶化剤を足した含有量である。
【0025】
本発明方法で得られた粉末粒子は、化粧品または医薬品に加えて、水、例えば精製水または熱的起源の水を含むことができる。本発明のこの特定の実施例では上記粒子は水を含む。
【0026】
本発明で用いられる上記の少なくとも一種の化粧品または医薬品は、下記の中から選択される:保湿剤(moisturizing agent)、収斂剤、防腐剤、抗炎症薬、抗菌剤、脂肪沈着防止剤、抗脂漏薬、艶消し剤、吸収剤、フケ防止剤、しわ防止剤、酸化防止剤、フリーラジカル防止剤、平滑剤、潤滑剤、軟化剤、着色剤、太陽光線防止剤、抗刺激剤、酒さ防止剤(antirosacea)、治療薬、充血除去剤、再生剤、脱臭剤、芳香剤、制汗剤、脱毛剤、頭髪またはまつげの成長促進剤、脱色剤、塗膜形成剤、接着剤、固着剤、着色剤、真珠光沢剤、セルフ−タンニング剤、色素沈着光力学剤、ビタミン剤およびこれらの混合物。
【0027】
本発明で用いられる化粧品または医薬品は、化粧品および皮膚科学分野で一般に用いられるものである。これらは一般に有機または無機分子をベースにしている。有機分子をベースにした化粧品または医薬品が本発明に特に適している。
【0028】
化粧品または医薬品の例としては、特に下記のものが挙げられる:
(1)保湿剤および栄養剤、例えばアミノ酸(グリシン、アラニン、トレオニン、シトルリン);汗の成分(乳酸、塩化ナトリウム、尿素、セリン)、α−ヒドロキシ酸(AHA);糖(マンノース、フルクトース、ガラクトース、N−アセチルグルコサミン);および、天然油、例えばホホバ油、オリーブ油または大豆油から得られる不鹸化物;または天然または合成セラミド(例えばオレオイルジヒドロスフィンゴシン);
(2)収斂剤、例えばアルミニウム塩、および、毛穴を減らす薬剤、例えば特許文献6に記載のもの。
【特許文献6】国際特許出願第WO 02/32392号公報
【0029】
(3)防腐剤、例えばトリクロロカルバニリド(TCC)、ジクロロフェン、ブロモクロロフェン、トリクロサンまたは精油、例えばタイム、ローズマリー、サボリーまたはオレガノ;
(4)抗炎症薬または抗刺激薬、例えばα−ビサボロール、グリチルリチン酸2カリウム、グリチルリチン酸およびその誘導体、エラグ酸、ウルソル酸、イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、カルプロフェン、ケトプロフェン、ステロイド性抗炎症薬、例えばコルチゾン、プレグネノロンまたはデソニド、およびアルカノールアミンとチロシンとの混合物、例えば特許文献7に記載のものまたはローズマリー抽出物;
【特許文献7】欧州特許出願第1 192 939号公報
【0030】
(5)抗菌剤、静菌剤、殺菌剤、静真菌剤または殺真菌剤;
(6)脂肪沈着防止剤、例えばカフェイン、エスシン、レシチン、ホルスコリン、カルニチン、テトラヒドロキシ−プロピルエチレンジアミンまたはヘノポジキノア種子の天然抽出物;
(7)抗脂漏薬、例えばイミノジベンジルまたはフルオレン誘導体、例えば特許文献8に記載のもの、置換第二アミン誘導体、例えば特許文献9に記載のもの、グルクロン酸およびグルコサミン誘導体およびこれらの塩、例えば特許文献10に記載のもの、またはナイアシンアミドとサリチル酸C11−C30アルケニルエステルまたはアルキル、例えば特許文献11に記載のものとの組合せ;
【特許文献8】米国特許第6 355 687号明細書
【特許文献9】米国特許第6 355 686号明細書
【特許文献10】欧州特許出願第1 219 296号公報
【特許文献11】国際特許出願第WO 02/067889号公報
【0031】
(8)角質溶解薬または落屑促進薬。例えばα−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、α−ケト酸、β−ケト酸、レチノイドおよびこれらのエステル、レチナール、レチノイン酸およびその誘導体、
(9)艶消し剤または吸収剤、例えばクレー、カオリン、抗リパーゼまたは乳酸エチル;
(10)フケ防止剤、例えば亜鉛ピリチオン、
(11)しわ防止剤または平滑剤、例えばタンパク質またはその加水分解物、コラーゲン、エラステイン、植物油、多価不飽和脂肪酸または安定剤、
(12)酸化防止剤、例えばブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、没食子酸オクチル、カロチノイド、例えばβ−カロチン、リコピンまたはカンタキサンチン、ユビキノン、ペンタエリトリチル テトラ(ジブチル−ヒドロキシ−ケイ皮酸)、ビタミンE、トロロクス、ビタミンCおよびその誘導体、
(13)フリーラジカル防止剤、例えばビタミンE、カフェイン、マンニトール、レモンバーム抽出物および所定の酵素、例えばスーパーオキシドジスムターゼ、グルタチオンペルオキシダーゼまたはカタラーゼ;
(14)軟化剤または潤滑剤、例えば珪素;
(15)鉱物、動物(コチニール)、植物(ナフトキノン、アントラキノン)または合成起源の着色剤;
(16)太陽光線防止剤、紫外線Aおよび/または紫外線Bスクリーニング剤、顔料またはナノ顔料;スクリーニング剤としては下記のものが挙げられる:p−アミノ安息香酸およびその誘導体(グリセリル、エチルまたはイソブチルエステル);アントラニル酸塩(例えばo−アミノ安息香酸塩またはそのアルキルエステル);サリチル酸塩(アミル、フェニル、ベンジルまたはジプロピレングリコールエステル);桂皮酸誘導体(アミルまたはベンジルエステル);ジヒドロキシ桂皮酸誘導体(ウンベリフェロン);トリヒドロキシ桂皮酸誘導体(エスクレチン);炭化水素(スチルベン);ジベンザルアセトンまたはベンザルアセトフェノン;クマリン誘導体;ヒドロキシ−またはメトキシ−置換ベンゾフェノン、タンニン酸およびその誘導体;ベンゾフェノンおよび化粧品および/または皮膚科学分野で一般に使用される任意のその他の太陽光線防止スクリーニング剤、例えばベンジリデンカンファー、ベンゼン−1,4−[ジ(3−メチリデン−10−カンファースルホン)]酸または[4−(3−メチリデンカンファー)フェニル]トリメチル−硫酸アンモニウムメチル、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートまたはジベンゾイルメタン、およびこれらの混合物;顔料またはナノ顔料の例としては亜鉛および/または酸化チタン(TiO2、ZnO2);
(17)微小循環に関して活性である酒さ防止剤、血管収縮剤、例えばマンサク、またはスイートクローバーの流体抽出物、サンザシ、ラスカス、硫酸デキストラン、ラタニアまたはトチノキ;
(18)治療薬、例えばスクラルフェートまたはセンテラアジアティカ;
(19)充血除去剤、例えばヤグルマソウ水、アズレンまたはα−ビサボロール;
(20)再生剤、例えばトクサ;
(21)脱臭剤、例えばリシノール酸亜鉛、乳酸または酒石酸誘導体、または防腐剤、例えば上述のもの;
(22)植物または動物の天然起源または合成起源の芳香剤および芳香物質;
(23)制汗剤、例えばアルミニウム塩およびジルコニウム塩、カリウムミョウバン、ブッコの葉の抽出物、アメリカマンサク;
(24)脱毛剤、例えば硫黄含有有機誘導体またはチオグリコールおよびチオ乳酸塩;
(25)頭髪または体毛の成長抑制剤、例えば特許文献12に記載のセリンプロテアーゼ、コーヒー酸、ケルセチン、没食子酸プロピル、ノルジヒドログアイアレチン酸またはNDGA、インドメタシン、塩酸エフロールニチン、特許文献13に記載の植物抽出物、例えばクローブの抽出物、バラのつぼみ、ワレモコウ、ガンビール等、特許文献14に記載の化合物、テトラミソール、オルトバナジウム酸ナトリウム、レバミゾール、クロモグリケイト二ナトリウム、硝酸バナジウムおよび硝酸ガリウム(特許文献15に記載)
【特許文献12】米国特許第6,407,056号明細書
【特許文献13】米国特許第6,171,595号明細書
【特許文献14】米国特許第6,075,052号明細書
【特許文献15】米国特許第6,020,006号明細書
【0032】
および下記の文献に記載の化合物。
【特許文献16】米国特許第4,885,289号明細書
【特許文献17】米国特許第4,720,489号明細書
【特許文献18】米国特許第5,132,293号明細書
【特許文献19】米国特許第5,096,911号明細書
【特許文献20】米国特許第5,095,007号明細書
【特許文献21】米国特許第5,143,925号明細書
【特許文献22】米国特許第5,328,686号明細書
【特許文献23】米国特許第5,440,090号明細書
【特許文献24】米国特許第5,364,885号明細書
【特許文献25】米国特許第5,411,991号明細書
【特許文献26】米国特許第5,648,394号明細書
【特許文献27】米国特許第5,468,476号明細書
【特許文献28】米国特許第5,475,763号明細書
【特許文献29】米国特許第5,455,608号明細書
【特許文献30】米国特許第5,674,477号明細書
【特許文献31】米国特許第5,728,736号明細書
【特許文献32】米国特許第5,652,273号明細書
【特許文献33】国際特許出願第WO 94/27586号公報
【特許文献34】国際特許出願第WO 94/27563号公報
【特許文献35】国際特許出願第WO 98/03149号公報
【0033】
ジュニパー抽出物、例えば特許文献36に記載のものも用いることができる。
【特許文献36】米国特許第6,375,948号明細書
【0034】
(26)フケ防止剤、例えば亜鉛ピリチオン、
(27)頭髪の抜け毛防止剤および頭髪またはまつ毛の成長促進剤、例えばミノキシジル、ビオチン、フィナステライド、2,4−ジアミノピリミジン、N−オキシド、パンテノールおよびその誘導体、T−フラバノンまたはより一般的に、抗−5α−還元酵素1または2型活性を有する任意の植物抽出物;
(28)脱色剤、例えばヒドロキノン、アスコルビン酸およびその誘導体、アスコルビル燐酸マグネシウムまたはコウジ酸;
(29)塗膜形成剤、接着剤または固着剤;
(30)着色剤、無機顔料または合成顔料;
(31)有機または無機の天然起源または合成起源の真珠光沢剤、
(32)セルフ−タンニング剤、例えばジヒドロキシアセトンまたはDHA:
(33)色素沈着光力学剤、例えばチロシン誘導体またはメラニン先駆体、例えばインドール−5,6−キノン;
(34)ビタミン、例えばビタミンA、B、B2、B3、B5、B6またはB8、ビタミンCまたはK、ビタミンFまたはH、ビタミンPP、ビタミンD、D2またはD3およびこれらの誘導体;
(35)およびこれらの混合物。
【0035】
本発明の好ましい実施例では、少なくとも一種の化粧品または医薬品が保湿剤(moisturizing agent)すなわち皮膚軟化剤、保湿剤(humectant)、再脂質化剤およびこれらの混合物の中から選択される。
保湿剤としては下記のものが挙げられる:特に密封性であるが故に人肌、唇、または、表在性腫瘍上で保水する皮膚軟化剤、例えばセラミド、精油;および水を捕捉する湿潤剤(humectant)、例えばポリオール、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール等。少なくとも一種の化粧品または医薬品は、ポリオール、例えばグリセロールまたはプロピレングリコール;グリセリド、例えばトリグリセリド;ヒアルロン酸ナトリウム;乳酸;脂質;セラミド、例えばセラミド−3;およびこれらの混合物の中から選択される。
【0036】
少なくとも一種の化粧品または医薬品は、皮膚化合物、すなわち健康な人の肌に自然に存在する化合物と同じ化学式を有する化合物を含むのが有利である。少なくとも一種の化粧品または医薬品はバイオ発酵で得られるのが有利である。
この製造方法は自然発酵すなわち酵母を発酵させ、この酵母が自然発生的に化粧品または医薬品、例えばヒアルロン酸を生成するバイオ技術プロセスに基づいている。従って、得られた化粧品または医薬品は、溶剤または不純物の残留物を全く含まないので、利用可能な最高の純度を示す。さらに、これらのバイオ技術プロセスによって、化粧品または医薬品の分子量の分布を制御できる。例えば、バイオ技術で得られたヒアルロン酸ナトリウム(分子量が厳密に106ダルトン未満、好ましくは350 000ダルトン未満、より好ましくは250 000ダルトン未満である)を用いると、多孔質粒子中に混和可能なヒアルロン酸ナトリウムの量を増やすことができる。この範囲の制御された分子量によって化粧品、この場合はヒアルロン酸ナトリウムが、角質測定法、わずかな水分損失および皮膚の凝集力の測定値で示されるように、表皮上層により良く浸透できる。特に、水に溶解したこのようなヒアルロン酸ナトリウムを含浸した多孔質粒子を本発明の方法に従って含浸することによって、この多孔質粒子に封止された水を無水配合物、例えば口紅、コンパクトパウダーまたは成形ファンデーションに導入することができる。
【0037】
本発明の別の対象は、上記方法で得られる多孔性で且つSSAが8m2/g以上で且つ少なくとも一種の水以外の化粧品または医薬品の含有量が少なくとも25重量%であるポリアミドベースのフリー粉末の粒子にある。
【0038】
少なくとも一種の化粧品または医薬品は、粉末粒子の少なくとも40重量%であるのが有利である。
【0039】
上記粒子の平均径は容量で3〜12μm、好ましくは5〜10μmの範囲内であるのが好ましい。上記のポリアミドベースの粒子は、ポリアミド、コポリアミド、コポリエステルアミドおよびこれらの混合物の中から選択するのが好ましい。上記のポリアミドベースの粒子は、ポリアミド12の含有量(モル%)が少なくとも50モル%であるのが有利である。本発明の好ましい実施例では、ポリアミドベースの粉末の粒子は少なくとも一部が、有機液体中で溶液状態および/または懸濁状態で、無機または有機充填剤の種付け(シード)により、一種以上のラクタムおよび/または一種以上のラクトンのアニオン重合で得られる。上記粒子は球形であるのがより好ましい。
【0040】
主としてポリアミド12を含む多孔性粉末を化粧品または医薬品の担体として用いる利点は、皮膚の表面の成分との極めて高い親和性があることである。ポリアミド12の分子鎖の構造は表皮の上側層の主成分であるセラミドのそれといくつかの点で同様である。ポリアミド12の分子鎖は12の炭素原子を含む長い炭化水素セグメント(単位)を含み、皮膚の脂質成分の脂溶性脂肪鎖と同様な脂溶性脂肪鎖を形成する。ポリアミド12の分子鎖は皮膚との高い親和性を有し、柔軟で、刺激がない、優れた持続性を有し、粒径が5〜10μmであることによって角質層への浸透度が促進される。さらに、ポリアミド12の分子鎖のアミド官能基は、皮膚のセラミドのアミド官能基と水素結合を形成する極性官能基であり、本発明粒子と皮膚の表面との間の親和性を強化し、粒子の皮膚表面への接着性を延長する。これによって、化粧品または医薬品を充填した粉末と皮膚の表面との接触を延長でき、これらの薬剤の皮膚の表面での効果を最適化する。
【0041】
特に、主としてポリアミド12(ポリアミド12のモル含有量は50%以上である)を含み、且つ、平均粒径が12μm以下である多孔性粉末は、角質層の上側層との最適な親和性という特性を有する。
【0042】
本発明の粉末粒子は極めて安定な化粧品の支持体を構成する。この支持体は一般に、含浸粉末の全重量に対して50重量%以下の化粧品または医薬品を含むことができる。本発明の粉末粒子は温度に対して極めて安定(融点が130℃以上)であり、この粒子によって90℃を超えるプロセス、例えば成形ファンデーションまたは口紅の中で活性成分が使用可能になる。
【0043】
少なくとも一種の化粧品または医薬品は上述のように、下記の中から選択するのが有利である:保湿剤(moisturizing agent)、収斂剤、防腐剤、抗炎症薬、抗菌剤、脂肪沈着防止剤、抗脂漏薬、艶消し剤、吸収剤、フケ防止剤、しわ防止剤、酸化防止剤、フリーラジカル防止剤、平滑剤、潤滑剤、軟化剤、着色剤、太陽光線防止剤、抗刺激剤、酒さ防止剤、治療薬、充血除去剤、再生剤、脱臭剤、芳香剤、制汗剤、脱毛剤、頭髪またはまつげの成長促進剤、脱色剤、塗膜形成剤、接着剤、固着剤、着色剤、真珠光沢剤、セルフ−タンニング剤、色素沈着光力学剤、ビタミン剤およびこれらの混合物。
【0044】
上記少なくとも一種の化粧品または医薬品は、保湿剤(moisturizing agent)すなわち皮膚軟化剤、湿潤剤(humectant)、再脂質化剤およびこれらの混合物の中から選択するのが好ましい。少なくとも一種の化粧品または医薬品はポリオール、例えばグリセロールまたはプロピレングリコール;グリセリド、例えばトリグリセリド;ヒアルロン酸ナトリウム;乳酸;脂質;セラミド、例えばセラミド−3;およびこれらの混合物の中から選択するのが好ましい。
【0045】
本発明の有利な実施例では、少なくとも一種の化粧品または医薬品は、皮膚の化合物すなわち健康な人の肌に自然に存在する化合物と同じ化学式を有する化合物を含む。例えば、セラミドは生物学的に極めて重要な脂質ファミリである。皮膚の外側層(角質層)は皮膚の一次防護となる。この層は65%のセラミド(脂質)からなる。細胞外セラミドは角質層の凝集および表皮バリアの形成を可能にし、さらに、落屑プロセスに関与する。特に、セラミド−3はセラミドの主な脂質の機能を支持し、皮膚の脱水に対する有効なバリア機能を実行する。しかし、年齢とともに、身体自体のセラミドの産生量は減少し続ける。皮膚は一般にその結合および貯水能力を徐々に失う。肌はこうしてその柔軟性、弾性および弾力性を失う。従って、本発明の特定実施例では、セラミド−3の含有量が高い粉末粒子によって、皮膚のセラミドのこの欠乏を克服することができる。別の実施例では、ヒアルロン酸が皮膚の含水量の調節に大きく関与している。従って、これは若々しい肌を維持するのに必須である。結合組織のこの天然成分は、今日では合成される。従って、これを本発明の粒子に混和して、皮膚上に保湿水性膜を形成できる。さらに別の実施例では、乳酸および乳酸塩は人間の天然成分であり、多機能、すなわち、保湿、湿潤、抗菌、pH調節または美白機能を有する(乳酸の光学活性L+型は特に有効である)。
【0046】
少なくとも一種の化粧品または医薬品はバイオ発酵で得られるのが好ましい。これは例えば乳酸、L(+)−乳酸、ヒアルロン酸またはセラミド−3の場合に当てはまる。これらの生成物はバイオ発酵で合成でき、純度、分子量の制御等の点で全ての上記の利点を有する。
【0047】
本発明のさらに別の対象は、上記の粉末粒子の化粧品、医薬品または香水での使用にある。上記の粉末は特に、皮膚への局所塗布後、角質層により良く拡散する、すなわち促進および/または持続拡散する化粧品または医薬品を含む製品の製造で使用できる。
【0048】
本発明のさらに別の対象は、上記定義の粒子を含む化粧、医薬または香水組成物にある。上記組成物は特に、下記の製品の中から選択される、着色、無色または透明の製品にすることができる:
(1)人の顔および身体のメーキャップ用化粧品、例えばファンデーション、色付きクリーム、ルースまたはコンパクトパウダー、アイシャドー、マスカラ、アイライナーまたは口紅、
(2)人の顔および身体のケア製品、例えばクリーム、乳液、ローション、マスク、洗浄剤、クレンジングおよび/または化粧落とし剤、脱臭剤、制汗剤、ひげそり剤または脱毛剤、
(3)ヘア製品、例えばシャンプー、整髪剤、ヘアスタイル保持剤、フケ防止剤、抜け毛防止剤、髪の乾燥防止剤、ヘアダイまたはブリーチ剤、
(4)香水、例えば香料、乳液、クリーム、または香料入りルースまたはコンパクトパウダー。
【実施例】
【0049】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。実施例では特に説明の無い限り%および部は全て重量で表される。
実施例1(本発明の含浸方法)
装置
撹拌器内壁スクレーパ、分散ランプブレーカー、温度調節系、真空下(真空ポンプ、窒素トラップ)で運転可能なシステムおよび不活性ガス、例えば窒素(化粧品または医薬品に応じて選択)のフラッシング装置を備えた混合反応器を用いる。
【0050】
粉末の調製
(1)粉末を反応器に導入する、
(2)減圧し、粉末を脱気する(水銀柱30mm)、
(3)粉末を撹拌し(60回転/分)、減圧を30分間維持し、
(4)反応器を分離する。
【0051】
活性物質の調製
化粧品または医薬品の種類によっては、可溶化する必要がある。化粧品または医薬品が液体、比較的非粘性で且つ十分に湿潤である場合は、粉末に直接含浸できる。そうでない場合は、固体試薬と同様に、化粧特性を示す可溶化剤(上記)、例えば精製水、熱水、グリセロール、プロピレングリコール、グリセリド、精油等に溶解しなければならない。一般に、可溶化剤の量は化粧品または医薬品の量の2〜3倍に制限するのが好ましい。
【0052】
活性物質の含浸
(1)活性成分の溶液を反応器に一滴ずつ導入し、粉末を撹拌し続ける、
(2)粉末粒子がフリーなままで、その初期流動性を保持するとき、すなわち、含浸前と同じ粒度分布を保持するときに、最適な含浸度に達する。粉末粒子は凝集し始めてはならない。
(3)不安定で且つ酸化に弱い活性成分の場合は、窒素をフラッシングしながら導入する。
(4)導入が完了したら、粉末を30分間撹拌し続ける。
【0053】
粉末の固化を防止するために、分散機、その他の急速撹拌装置を使用できる。
一種または複数の化粧品または医薬品が高充填されたフリー粉末の粒子が得られる。
【0054】
実施例2(本発明の化粧品または医薬品の含有量が高いフリー粉末の粒子)
【表1】

【0055】
実施例2.1および2.2のフリー粉末の含浸粒子の製造にそれぞれ用いたPA6/12およびPA12粉末粒子は、オルガゾル(Orgasol、登録商標)の球状粒子である。直径(μm)は容積による平均径である。PA6/12の粒子は特許文献37号に記載の方法で得られ、PA12は特許文献38に記載の方法で得られる。
【特許文献37】国際特許第WO 2008/087335号公報
【特許文献38】欧州特許第0 192 515号公報
【0056】
本発明の実施例2.1および2.2のフリー粉末の含浸粒子は、それぞれ化粧品を含浸していないPA6/12およびPA12粉末粒子とそれぞれ同じ粒径および同じ比表面積を有する。
実施例2.1では、セラミド−3用の可溶化剤は、植物油(特にオリーブ油)の脂肪酸のエステル化で得られる、トリグリセリドと、ジグリセリドと、モノグリセリドとの混合物から得られる。この可溶化剤は、皮膚と高い親和性を示し且つ軽くてベタベタしない感触を示す親油性化合物である。この可溶化剤は、その化粧特性に加えて、本発明では、溶解が特に難しい化粧品、例えばセラミド、特にセラミド−3を溶解するのに用いられる。従って、本発明の方法によって、フリー粉末の多孔質粒子にセラミドを導入でき、このセラミドは続いて表皮の上側層に実際に使用可能である。本発明のこれらの粒子の効果はファンデーション組成物配合物(実施例3.1参照)において実証される(実施例4.1の効果のテスト参照)。
【0057】
実施例2.2では、乳酸をバイオ発酵から得る。本発明のフリー粉末のこれらの粒子では、バイオ技術で得られる乳酸と、主としてポリアミド12を含む多孔質粒子とを組み合わせることによって、これらを含む化粧品の効果を高めることができ、これは特に乳酸粒子の含有量を高くする(従来技術の含浸粒子では20%であるのを40%にする)ことによって行う。これらの粒子の効果のテストから、皮膚の表面の皮脂の調節に関して、主としてポリアミド12を含む多孔性粉末と乳酸との間に相乗効果があることがわかる。本発明のこれらの粒子の効果は、化粧落とし用乳液組成物配合物(実施例3.2参照)において実証される(実施例4.2における効果のテスト参照)。
【0058】
さらに、本発明の粒子(実施例2.1および2.2)は皮膚に有害な溶剤の痕跡がない。
本明細書、特に実施例および比較例における粉末の粒度分布は商品名Coulter LS230の粒径測定器を用いて測定する。これによって、粉末の粒度分布を得ることができ、平均径および分布幅または分布の標準偏差を求めることができる。本発明の粉末の粒度分布は、通常の技術に従って、Beckman-Coulter社のCoulter LS230粒径測定器を用いて求める。粒度分布から、対数計算法(ソフトウェアの2.11aバージョン)を用いて容量による平均径を求めることができ、且つ、標準偏差を求めることができ、この標準偏差から平均径前後の分布の狭さまたは分布幅を測定する。
【0059】
実施例3(本発明粒子を含む組成物)
実施例3.1
下記の配合による成形ファンデーションの製造:
【0060】
【表2】

【0061】
相Aの成分を秤量し、るつぼに導入し、110〜115℃で加熱する一方で、一定速度で混合する。相が均一であることを確認した後、85〜90℃に冷却する。次いで、相Bの成分を一つずつ連続混合しながら添加する。混合物が均一であることを確認してから続ける。その間に、相Cの粉末を混合する。次いで、相Cをるつぼに添加する一方で、合わせた混合物が均一になるまで一定速度で混合する。温度を85〜90℃に維持する。D相の成分を一つずつ添加し、合わせた混合物が均一になるまで一定速度で混合する。混合物を85℃に維持しながら、適切な金型内で成形する。冷却後、成形ファンデーションが得られる。
【0062】
実施例3.2
本発明による(D)および本発明によるものではない(D1またはD2)化粧落とし用乳液の組成:
【0063】
【表3】

【0064】
相Aの成分を全て混合する。相Bを撹拌下に添加し、次いで、相CおよびD(またはD1またはD2)を連続して添加する。得られた化粧落とし用乳液のpHを調節する。
【0065】
実施例4(本発明の組成物に対する効果のテスト)
専門家パネラーが実施例3の組成物をテストする。
実施例4.1
本発明による実施例3.1の組成物(成形ファンデーション)を、本発明のフリー粉末の粒子の代わりに同含有量のタルク(3%)を用いたプラセボ組成物(比較例3)と比較する。
これらの2つの組成物の使用後に得られた不感水分損失(経表皮水分損失(TEWL)ともよばれる)を比較する。経表皮水分は皮膚の表面に戻る前に皮膚を通じて拡散する水分である。経表皮水分は皮膚から蒸発し、失われる。角質層の損傷が大きければ大きいほど、不感水分損失も大きくなる。
Tewameter(登録商標)300装置(Courage + Khazaka electronic GmbH)を用いたTewameter(登録商標)の周知な方法を用いる。
【0066】
【表4】

【0067】
実施例3.1の組成物を顔に毎日塗布すると、肌のバリア機能が向上する。これは実施例3.1のファンデーションを60日間毎日使用した後の不感水分損失TEWLが12%減少することで特徴付けられる。本発明の粒子を含まない同じプラセボファンデーション組成物(比較例3)の場合は、TEWLの減少はわずか3%である。
これらの2つの組成物(比較例3および実施例3.1)の使用後に得られた皮脂レベルを商品名Sebumeter(登録商標)815(Courage + Khazaka GmbH)のセブメーターを用いてSebumeter(登録商標)法で比較する。
【0068】
【表5】

【0069】
実施例3.1の組成物を毎日使用すると、皮脂レベルの変化からわかるように、皮膚の皮脂膜が改善し続ける。比較例3では、皮脂レベルは変化していない。
これらの2つの組成物(比較例3および実施例3.1)の使用後に得られたパラメータ「肌の滑らかな外観」の変化を皮膚表面評価法によって比較する。この評価法は皮膚の表面のインビボおよび三次元分析で用いられるVisioscan VC 98装置(Courage + Khazaka electronic GmbH)を用いる。画像分析で測定されたパラメータは平均しわ幅と平均しわ深さとから計算されるSESm(肌の滑らかさ)である。SESmの値が低ければ低いほど、肌の外観は滑らかである。
【0070】
【表6】

【0071】
本発明による実施例3.1のファンデーションを使用すると、60日間毎日使用した後の肌の滑らかな外観は14%改善する。肌の性質によっては、本発明の実施例3.1の組成物を用いた肌の滑らかさの改善率が30%に達することもある。プラセボファンデーション(比較例3)では肌の滑らかな外観はわずか6%しか改善されず、30日後に停滞期に達した。
【0072】
本発明の含浸粒子(実施例2.1)は、皮膚の荒れた外観の減少に関しておよびしわの深さの減少に関して長期有効性を有する。[図1]は異なる深さ(縦座標)を有する3つのしわ(1、2、3)(横座標)を通る皮膚の断面積を示すグラフである。しわのレベル(深さ)を実施例3.1のファンデーションの使用の前(濃い灰色、5)および60日間使用の後(薄い灰色、6)で表す。このグラフから、しわの深さ(6)が、本発明の組成物を60日使用した後に、使用前のしわの深さ(5)と比較して大幅に減少し、皮膚の表面(4)(グラフの上部の水平線で示される)に近付くということに気づく。
【0073】
実施例4.2
本発明による実施例3.2の組成物(化粧落とし用乳液)を、下記の2つの組成物と比較する:
(1)(実施例3.2の)本発明の化粧品(乳酸)を充填したフリー粉末の粒子の代わりに、同等の含有量の乳酸と、乳酸を含浸しない同じ型のポリアミドをベースにしたフリー粉末とを用いた組成物(比較例1)、
(2)化粧品を充填したフリー粉末の粒子を含まない組成物(比較例2)。
【0074】
化粧落とし用乳液を塗布する前、次いで、最初の塗布から2時間後、さらに、一週間毎日塗布した後に皮膚の表面の皮脂の量を測定する。
皮膚の表面の皮脂の量は、セブメーター(使用するセブメータの製品番号は:Sebumeter 815, Courage +Khazaka GmgH)の周知な測定方法に従って測定する。これは皮膚上の皮脂の蓄積を直接測定するものである。
【0075】
【表7】

【0076】
本発明の実施例3.2の化粧落とし用乳液の使用によって、皮膚表面の皮脂は少なくとも30%減少する。比較例1の化粧落とし用乳液の使用では皮脂の減少はわずか20%であり、比較例2ではわずか5%である。
実施例3.2と比較例1の間の化粧落とし用乳液組成物の効果のこの差は、6カ月間貯蔵した後も維持される。これによって、高含有量の本発明の化粧品または医薬品を含むフリー粉末の粒子の、これらを含む配合物中での安定性が確認される。
【0077】
高含有量の本発明の化粧品または医薬品を含むフリー粉末の粒子は粒子中の薬剤の効果を「増大させる(boost)」または高める。さらに、本発明の実施例2.2の粒子を含む配合物で観察される作用には、その後のリバウンド効果がないことに気づく。これは、化粧落とし後に、[表8]に示すように、実施例3.2の化粧落とし用乳液を7日間毎日使用した後も、皮脂のレベルが再び増加せず、逆に、安定性を維持し、普通肌で望ましいレベル(約190μg/cm2)に対応することによる。
【0078】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)〜(4)の連続した段階を含む、少なくとも一種の化粧品または医薬品を含浸したポリアミドベースのフリー粉末粒子の製造方法:
(1)多孔性で且つSSAが8m2/g以上であるフリー粉末の粒子に、化粧品または医薬品を液体状態で撹拌しながら一滴ずつ添加するか、噴霧して添加して、化粧品または医薬品が粉末粒子の少なくとも25重量%を占めるようにし、
(2)粉末粒子が凝集し始める前に添加を止め、
(3)少なくとも5分間撹拌を維持し、
(4)得られた化粧品または医薬品が含浸されたフリー粉末を回収する。
【請求項2】
少なくとも一種の化粧品または医薬品が添加を実施する温度で液体である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも一種の化粧品または医薬品が粉末粒子の少なくとも40重量%である請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
粒子の平均径が容積で3〜12μmの範囲内にある請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ポリアミドベースの粒子をポリアミド、コポリアミド、コポリエステルアミドおよびこれらの混合物の中から選択する請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ポリアミドベースの粒子の含浸前のポリアミド12の含有量(モル%)が50〜100%、好ましくは80〜100%である請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ポリアミドベースの粉末粒子の少なくとも一部を、無機充填剤または有機充填剤を種(シード)として、有機液体中に溶液および/または懸濁状態にした一種以上のラクタムおよび/または一種以上のラクトンのアニオン重合で得る請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
上記粒子が球形である請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
上記粒子が水を含む請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
上記の少なくとも一種の化粧品または医薬品が保湿剤(moisturizing agent)、収斂剤、防腐剤、抗炎症薬、抗菌剤、脂肪沈着防止剤、抗脂漏薬、艶消し剤、吸収剤、フケ防止剤、しわ防止剤、酸化防止剤、フリーラジカル防止剤、平滑剤、潤滑剤、軟化剤、着色剤、太陽光線防止剤、抗刺激剤、酒さ防止剤(antirosacea)、治療薬、充血除去剤、再生剤、脱臭剤、芳香剤、制汗剤、脱毛剤、頭髪またはまつげの成長促進剤、脱色剤、塗膜形成剤、接着剤、固着剤、着色剤、真珠光沢剤、セルフ−タンニング剤、色素沈着光力学剤、ビタミン剤およびこれらの混合物の中から選択される請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法:。
【請求項11】
少なくとも一種の化粧品または医薬品が、皮膚軟化剤、湿潤剤(humectant)、再脂質化剤およびこれらの混合物の中から選択される請求項10に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも一種の化粧品または医薬品が、ポリオール、例えばグリセロールまたはプロピレングリコール;グリセリド、例えばトリグリセリド;ヒアルロン酸ナトリウム;乳酸;脂質;セラミド、例えばセラミド−3;およびこれらの混合物の中から選択される請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも一種の化粧品または医薬品が、皮膚の化合物と同じ化学式を有する化合物を含む請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法
【請求項14】
少なくとも一種の化粧品または医薬品がバイオ発酵で得られる請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法で得られる多孔質で、SSAが8m2/g以上で、少なくとも一種の水以外の化粧品または医薬品の含有量が少なくとも25重量%であるポリアミドベースのフリー粉末の粒子子。
【請求項16】
少なくとも一種の化粧品または医薬品が、粉末粒子の少なくとも40重量%である請求項15に記載の粒子。
【請求項17】
上記粒子の平均径が容量で3〜12μmの範囲内にある請求項15または16に記載の粒子。
【請求項18】
上記のポリアミドベースの粒子をポリアミド、コポリアミド、コポリエステルアミドおよびこれらの混合物の中から選択する請求項15〜17のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項19】
上記のポリアミドベースの粒子のポリアミド12の含有量(モル%)が少なくとも50%である請求項15〜18のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項20】
ポリアミドベースの粉末の上記の粒子の少なくとも一部が、無機充填剤または有機充填剤を種(シード)として、有機液体中に溶液および/または懸濁状態にした一種以上のラクタムおよび/または一種以上のラクトンのアニオン重合で得られる請求項15〜18のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項21】
上記粒子が球形である請求項15〜20のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項22】
少なくとも一種の化粧品または医薬品が保湿剤(moisturizing agent)、収斂剤、防腐剤、抗炎症薬、抗菌剤、脂肪沈着防止剤、抗脂漏薬、艶消し剤、吸収剤、フケ防止剤、しわ防止剤、酸化防止剤、フリーラジカル防止剤、平滑剤、潤滑剤、軟化剤、着色剤、太陽光線防止剤、抗刺激剤、酒さ防止剤、治療薬、充血除去剤、再生剤、脱臭剤、芳香剤、制汗剤、脱毛剤、頭髪またはまつげの成長促進剤、脱色剤、塗膜形成剤、接着剤、固着剤、着色剤、真珠光沢剤、セルフ−タンニング剤、色素沈着光力学剤、ビタミン剤およびこれらの混合物の中から選択される請求項15〜21のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項23】
少なくとも一種の化粧品または医薬品が、皮膚軟化剤、湿潤剤(humectant)、再脂質化剤およびこれらの混合物の中から選択される請求項22に記載の粒子。
【請求項24】
少なくとも一種の化粧品または医薬品が、ポリオール、例えばグリセロールまたはプロピレングリコール;グリセリド、例えばトリグリセリド;ヒアルロン酸ナトリウム;乳酸;脂質;セラミド、例えばセラミド−3;およびこれらの混合物の中から選択される請求項22または23に記載の粒子。
【請求項25】
少なくとも一種の化粧品または医薬品が、皮膚の化合物と同じ化学式を有する化合物を含む請求項15〜24のいずれか一項に記載の粒子
【請求項26】
少なくとも一種の化粧品または医薬品がバイオ発酵で得られる請求項15〜25のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項27】
請求項15〜26のいずれか一項に記載の粉末粒子の化粧品、医薬品または香水での使用。
【請求項28】
皮膚への局所塗布後、角質層に促進および/または持続拡散する化粧品または医薬品を含む製品の製造での請求項27に記載の粉末粒子の使用。
【請求項29】
請求項15〜26のいずれか一項に記載の粒子を含む化粧組成物、医薬組成物または香水組成物。
【請求項30】
下記(1)〜(4)の製品の中から選択される、着色、無色または透明な製品である請求項29に記載の組成物:
(1)人の顔および身体のメーキャップ用化粧品、例えばファンデーション、色付きクリーム、ルースまたはコンパクトパウダー、アイシャドー、マスカラ、アイライナーまたは口紅、
(2)人の顔および身体のケア製品、例えばクリーム、乳液、ローション、マスク、洗浄剤、クレンジングおよび/または化粧落とし剤、脱臭剤、制汗剤、ひげそり剤または脱毛剤、
(3)ヘア製品、例えばシャンプー、整髪剤、ヘアスタイル保持剤、フケ防止剤、抜け毛防止剤、髪の乾燥防止剤、ヘアダイまたはブリーチ剤、
(4)香水、例えば香料、乳液、クリーム、または香料入りルースまたはコンパクトパウダー。

【図1】
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【公表番号】特表2012−524765(P2012−524765A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506547(P2012−506547)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【国際出願番号】PCT/FR2010/050740
【国際公開番号】WO2010/122258
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(505005522)アルケマ フランス (335)
【Fターム(参考)】