説明

少なくとも2個のシランを含有する混合物を用いての金属表面の被覆方法

本発明は、金属性被覆のさらなる被覆のための前処理または金属表面の処理を目的とする、水性組成物を用いて金属表面を被覆するための方法に関し、この場合、この組成物は、必要である場合には有機溶剤ならびに他の成分を含有するものである。方法は、組成物が、水に加えて、a)少なくとも1個の加水分解可能であるかおよび/または少なくとも部分的に加水分解されたフッ素不含のシラン、およびb)少なくとも1個の加水分解可能であるかおよび/または少なくとも部分的に加水分解されたフッ素含有のシランを含むことを特徴とする。シランは組成物中で水溶性であるか、あるいは、特に、金属表面への塗布前の(付加的な)加水分解反応および/または化学反応により水溶性になるものである。さらに本発明は相当する組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1個のフッ素不含シランならびに少なくとも1個のフッ素含有シランおよび場合によっては有機フィルム形成剤および/または他の成分を含有する水性組成物を用いての、金属表面を被覆するための方法に関する。本発明は、さらに本発明による水性組成物ならびに本発明による方法によって被覆された支持体に関する。
【0002】
従来、金属、特に金属ストリップの表面処理またはラッカー塗りの前処理のために、クロム(VI)−化合物と種々の添加剤との使用に基づく方法がおこなわれてきた。しかしながら、このような方法で回避できない毒性および環境的リスク、さらには、クロメート含有方法の使用に関しての当面の法的制限の理由から、長い間に亘ってすべての金属表面分野で代替方法が求められていた。
【0003】
シランに富む腐食保護被覆を製造するための、水性組成物中でのシランの使用は、原則として公知である。これらの被覆は確立されているが、しかしながら主にシランを含有する水性組成物を用いての被覆方法は、その使用が困難な場合がある。これらの塗料は常に最適の性質をもって形成されるわけではない。さらに、金属支持体上の極めて薄く透明なシラン被覆ならびにその中の傷が、裸眼でまたは光学的手段で十分認識されるといった問題が生じうる。形成されたシランに富む被覆の腐食保護性およびフィルム接着性は、常に高いわけではなく、かつ特定の使用のために適した塗布の場合には、十分に高いものではないこともある。
【0004】
シラン含有水性組成物の製造に関して、モノマー、オリゴマーおよびポリマーから成る群から選択される少なくとも1個の成分を任意の量で添加する。このような組成物において、シランの種類および添加量はしばしば重要である。しかしながら一般的には、シランの添加量はかなりわずかである(専ら5質量%まで)ことから、これらは「カップリング剤」として作用するものであって、その際、特に金属支持体と被覆との間および場合によっては顔料と有機塗料成分との間の接着促進作用は有利には生じうるが、しかしながら副次的にしばしばわずかな架橋作用が生じうる。シランを、熱硬化性樹脂系に添加することは有利である。
【0005】
さらに樹脂と鉱酸とを混合した樹脂混合物は公知であり、このような方法においてはさらに酸洗い(Beizangriffes)により、樹脂層との金属表面との直接的な接触の改善を達成する。このような組成物は、処理液(分散液)の支持体への接触中に酸洗いの影響によるコンタミネーションを生じるといった欠点を有する。このコンタミネーションによって、処理液中での金属の堆積を招き、それにより処理液の化学的組成が永続的に変化することで、腐食防止作用は著しく阻害される。これらの金属は、酸洗いによって処理すべき支持体の金属表面から溶出するものである。
【0006】
WO 00/46310では、金属表面を液体組成物で処理するための方法が開示されており、この場合、これらの組成物は、加水分解されたアミノシランおよび加水分解されたシリル多官能性シランを含むが、しかしながらフッ素含有シランを含有するものではない。
【0007】
DE−A1−10149148では、有機性フィルム形成剤、微細な鉱物粒子ならびに滑剤および/または有機性腐食防止剤をベースとする水性塗料組成物が記載されており、この場合、これらの組成物は、クロム化合物不含であるにもかかわらず、腐食防止、接着安定性および成形性について、特にGalvalume(R)−薄鋼板上で著しい結果を達成するものである。しかしながら、約1μmの層厚の有機性フィルムは、溶融亜鉛めっき、電気亜鉛めっきまたはGalfan(R)−被覆された金属ストリップ上ではなおも不十分な腐食防止性を示し、すなわち、金属表面上では腐食から保護することは困難である(この刊行物の組成物、その構成成分ならびに原料の性質および被覆については、本明細書中に参考のためにのみ示す)。
【0008】
ドイツ特許出願10308237(25.02.2003)は、同様の組成および相当する金属表面の被覆方法に関するものであって、本明細書中においては、原料およびその性質、組成物の製造方法ならびにシランの加水分解、組成物、たとえば濃縮物および浴およびその性質、作用、被覆の形成、たとえば乾燥、フィルム形成および硬化、たとえば形成された被覆の組成および性質ならびに変法について、引用している。
【0009】
本発明の課題は、技術水準における欠点を克服し、かつ特に、被覆部品に適した金属表面および金属ストリップを高い塗布速度で被覆するための方法を提供することである。この方法は、本質的にまたは完全にクロム(VI)化合物不含で実施可能であり、かつ工業的規模での使用が容易である。
【0010】
驚くべきことに、かなり少量のフッ素含有シランを水性組成物に添加する場合であっても、比較可能な被覆と比較した場合に、より疎水性でありより耐腐食性の被覆を、フッ素含有シランを添加することなく、それにより本質的に組成物の水溶性またはその安定性を損なうことがなく、製造可能であることが見いだされた。一般的には、疎水性組成物であれば、さらに水溶性の顕著な劣化を招きうることが予測される。
【0011】
本発明の課題は、さらなる被覆前の前処理の目的のためにか、あるいは処理のために、金属表面、特にアルミニウム、鉄、銅、マグネシウム、ニッケル、チタン、錫、亜鉛またはアルミニウム、鉄、銅、マグネシウム、ニッケル、チタン、錫および/または亜鉛含有合金を、場合によってはさらに有機溶剤および他の成分を含有する水性組成物を用いて被覆するための方法によって解決され、その際、組成物は、本質的にかまたは完全にクロム(VI)化合物不含であり、かつ被覆すべき製品は、特に金属ストリップまたはストリップ部分であり、望ましい場合には被覆後に形成されるものであって、この場合、この方法は、
a)少なくとも1個の加水分解可能であるか、および/または、少なくとも部分的に加水分解されたフッ素不含のシラン、および
b)少なくとも1個の加水分解可能であるか、および/または、少なくとも部分的に加水分解されたフッ素含有シラン、を含有し、その際、組成物中のシランは水溶性であるか、あるいは特に、金属表面への適用前に(他の)加水分解反応および/または化学反応により水溶性になるものであり、
その際、清浄化され、酸洗いされ、精製および/または前処理された金属表面は、水性組成物と接触し、かつ金属表面上でフィルムを形成し、その後に乾燥させ、かつ場合によってはさらに硬化させ、
その際、乾燥し、場合によってはさらに硬化されたフィルムは、0.001〜10μmの層厚を示し、この場合、この層厚は、硬化フィルムの特定の層を剥離し計測することによってか、あるいは、被覆のケイ素含量を、たとえば、X線蛍光分析によって測定し、相応して変換することによって測定したものであることを特徴とする。
【0012】
さらに本発明の課題は、請求項26に係る水性組成物によって解決される。
【0013】
従属請求項は本発明による方法をさらに特定するものである。使用については請求項27および28に記載する。
【0014】
シランは、本発明によれば生成物の主要な構成成分として特徴付けられるものであり、かつ、一般的に入手可能である。水性組成物(濃縮物または浴)中に存在するシランは、モノマー、オリゴマー、ポリマー、コポリマーであるか、および/または、加水分解反応、縮合反応および/または他の反応の結果として生じる他の成分との反応生成物である。この場合、反応は、主に溶液中で、乾燥工程中で、かつ場合によっては被覆の硬化中で生じる。これに関して「シラン」の用語は、シラン、シラノール、シロキサン、ポリシロキサンおよび他の反応生成物または誘導体に関して使用するものであって、この場合、これらはしばしば「シラン」混合物である。これに関して生じるしばしば複雑な化学反応、分析および操作を考慮すれば、特定のさらなるシランまたは他の反応生成物を明記することが不可能である。
【0015】
本発明の範囲内におけるシランは水溶性であるとみなされ、すなわち、室温で、シラン含有組成物の水に対する溶解性が、少なくとも0.05g/L、好ましくは少なくとも0.1g/L、さらに好ましくは少なくとも0.2g/Lまたは特に少なくとも0.3g/Lであることを示す。これは、それぞれの場合においてシランの最小溶解度を示すものではなく、むしろこれらの最小値は平均して達成されるものである。
【0016】
好ましくは水性組成物中で、フッ素不含のシランから選択された少なくとも1個のシランを含有することが好ましく、この場合、これらのシランは、それぞれ少なくとも1個のアシルオキシシラン、アルコキシシラン、少なくとも1個のアミノ基を有するシラン、たとえばアミノアルキルシラン、少なくとも1個のコハク酸基および/またはコハク酸無水物基を有するシラン、ビスシリルシラン、少なくとも1個のエポキシ基を有するシラン、たとえばグリシジルオキシシラン、(メト)アクリレートシラン、多(multi)−シリル−シラン、ウレイドシラン、ビニルシランおよび/または少なくとも1個のシラノールおよび/または少なくとも1個のシロキサンまたはポリシロキサンであり、この場合、これらの組成は、前記シランの組成に化学的に相当するものである。これは少なくとも1個のシランおよび/または(それぞれ)少なくとも1個のモノマー、ダイマー、オリゴマーおよび/またはポリマーのシラノールおよび/または(それぞれ)少なくとも1個のモノマー、ダイマー、オリゴマーおよび/またはポリマーのシロキサンを含有し、その際、オリゴマーはさらにトリマーを含むものであってもよい。
【0017】
好ましくは、
グリシジルオキシアルキルトリアルコキシシラン、
メタクリロイルオキシアルキルトリアルコキシシラン、
(トリアルコキシシリル)アルキルスクシノイルシラン、
アミノアルキルアミノアルキルアルキルジアルコキシシラン、
(エポキシシクロアルキル)アルキルトリアルコキシシラン、
ビス−(トリアルコキシシリルアルキル)アミン、
ビス−(トリアルコキシシリル)エタン、
(エポキシアルキル)トリアルコキシシラン、
アミノアルキルトリアルコキシシラン、
ウレイドアルキルトリアルコキシシラン、
N−(トリアルコキシシリルアルキル)アルキレンジアミン、
N−(アミノアルキル)アミノアルキルトリアルコキシシラン、
N−(トリアルコキシシリルアルキル)ジアルキレントリアミン、
ポリ(アミノアルキル)アルキルジアルコキシシラン、
トリス(トリアルコキシシリル)アルキルイソシアヌレート、
ウレイドアルキルトリアルコキシシランおよび
アセトキシシラン
から成る基から選択されたか、あるいは、これをベースとする、少なくとも1個のフッ素不含シランである。
【0018】
特に好ましくは、
3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、
3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、
3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、
3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、
3−(トリエトキシシリル)プロピルスクシノイルシラン、
アミノエチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、
アミノエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、
γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、
γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、
ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、
ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、
(3,4−エポキシブチル)トリエトキシシラン、
(3,4−エポキシブチル)トリメトキシシラン、
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
γ−ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、
N−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)エチレンジアミン、
N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、
N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
N−(γ−トリエトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン、
N−(γ−トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン、
N−(γ−トリエトキシシリルプロピル)ジメチレントリアミン、
N−(γ−トリメトキシシリルプロピル)ジメチレントリアミン、
ポリ(アミノアルキル)エチルジアルコキシシラン、
ポリ(アミノアルキル)メチルジアルコキシシラン、
トリス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)イソシアヌレート、
トリス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)イソシアヌレートおよび
ビニルトリアセトキシシラン
から成る群から選択されたか、あるいは、これをベースとする、少なくとも1個のシランである。
【0019】
好ましくは水性組成物中に、フッ素含有シランから選択された少なくとも1個のシランを含有し、この場合、これらは、それぞれ少なくとも1個のアシルオキシシラン、アルコキシシラン、少なくとも1個のアミノ基を有するシラン、たとえばアミノアルキルシラン、少なくとも1個のコハク酸基および/またはコハク酸無水物基を有するシラン、ビス−シリル−シラン、少なくとも1個のエポキシ基を有するシラン、たとえばグリシジルオキシシラン、(メト)アクリレート−シラン、多−シリル−シラン、ウレイドシラン、ビニルシランおよび/または少なくとも1個のシラノールおよび/または少なくとも1個のシロキサンまたはポリシロキサンであり、この場合、これらの組成は化学的に前記シランの組成に相当し、その際、それぞれの場合において、1個または少なくとも1個のフッ素原子を有する少なくとも1個の基を含有するものである。
【0020】
特に水性組成物は、少なくとも1個のフルオロアルコキシアルキルシラン、少なくとも1個のモノ−、ジ−またはトリ−官能性フルオロシラン、少なくとも1個のモノ−、ビス−またはトリス−フルオロシラン、エトキシシランおよび/またはメトキシシランをベースとする少なくとも1個のフルオロシランおよび/または少なくとも1個の官能基、たとえばアミノ基を有する少なくとも1個のフルオロシランを、特に共縮合物の形で、たとえば、フルオロアルキルジアルコキシシラン、フルオロアミノアルキルプロピルトリアルコキシシラン、フルオロメタンスルホネート、フルオロプロピルアルキルジアルコキシシラン、トリフェニルフルオロシラン、トリアルコキシフルオロシラン、トリアルキルフルオロシランおよび/またはトリデカフルオロオクチルアルコキシシランを含有する。
【0021】
特に好ましくは、組成物は、少なくとも2個のアミノ基およびさらには少なくとも1個のエチル基および/または少なくとも1個のメチル基を含有する、少なくとも1個のシランを含有する。
【0022】
すべてのシランa)およびb)の量は、この場合、他の成分と一緒になって形成される反応生成物を含んで、濃縮物中で0.01〜100g/Lまたは浴中で0.002〜12g/Lである。濃縮物の場合には、これらの含量は、好ましくは0.05〜80g/L、さらに好ましくは0.1〜60g/L、特に約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、22.5、25、27.5、30、35、40、45、50または55g/Lである。浴の場合には、これらの含量は、好ましくは0.005〜5g/Lであり、さらに好ましくは0.01〜3g/Lであり、特に好ましくは約0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、2.0、2.25、2.5または2.75g/Lである。濃縮物の希釈率(通常は水を用いておこない、場合により水と少なくとも1個の有機溶剤との混合物の形でおこなう)は、好ましくは1.5〜30、さらに2〜20、特に3〜12倍でおこなってもよい。
【0023】
好ましくは、a)とb)との量比は、それぞれ1:0.01〜1:4、より好ましくは1:0.03〜1:3、さらに好ましくは1:0.05〜1:2.5であり、特にそれぞれ少なくとも1:0.08、1:0.12、1:0.16、1:0.2、1:0.25、1:0.3、1:0.35、1:0.4、1:0.45または1:0.5であるか、あるいは、特にそれぞれ1:2.5まで、1:2.2まで、1:2まで、1:1.8まで、1:1.6まで、1:1.4まで、1:1.2まで、1:1.1まで、1:1まで、1:0.9まで、1:0.8まで、1:0.7または1:0.6までである。しかしながら、これらの最適値は、いずれのシランa)およびb)を使用するか、およびどのようにこれらを加水分解するかによって可変であってもよい。
【0024】
好ましくは、水性組成物は、60質量%を上廻る、好ましくは80質量%を上廻るシランが良好な水溶性を示し、かつこれより製造された濃縮物または浴の形での組成物は、処理時間に亘っての良好な安定性を示すといった基準により選択される。この処理時間は、要求に応じて2時間〜6ヶ月の間で変動してもよい。したがって良好な安定性は、組成物が沈殿を有しないか、生じたとしてもわずかなであって、かつ化学的および/または物理的変化を生じないか、生じたとしてもわずかなであることを意味する。本質的にシランおよび溶剤から成る組成物は、好ましくは透明である。本発明においては、好ましくはシランおよび反応および工程を、このような反応/工程でシランから形成された化合物が、かなり広い範囲で、特に大部分またはほぼ大部分の範囲で、ラダー構造(Leiter-Strukturen)を有するように選択する。
【0025】
特に好ましくは、少なくとも2個の種々のフッ素不含シラン、場合によってはさらに3個または4個の異なるフッ素不含シランを水性組成物に添加する。多くの可能な組み合わせにおいて、特に好ましくは、少なくとも1個の官能性トリアルコキシシランと少なくとも1個のビストリアルコキシシラン、少なくとも1個のアミノシランと少なくとも1個のビス−トリアルコキシシラン、少なくとも1個のビス−トリアルコキシシランと少なくとも1個のビニルシラン、少なくとも1個のビス−トリアルコキシシランと少なくとも1個のウレイドシラン、少なくとも1個のビニルシランと少なくとも1個のビス−トリアルコキシシリルプロピルシラン、少なくとも1個のアミノアルキルシランと少なくともビス−トリアルコキシシリルプロピルシラン、少なくとも1個のビス−トリアルコキシシリルプロピルテトラスルファンと少なくとも1個のビス−トリアルコキシシリルプロピルシラン、シアネート基および/またはエポキシ基を含有する少なくとも1個のフッ素不含シランと、これとは異なるフッ素不含のシラン、場合によっては付加的に少なくとも1個のウレイドシラン、少なくとも1個の多−シリル−シラン、少なくとも1個のビス−トリアルコキシシリルプロピルテトラスルファンおよび/または少なくとも1個の他のトリアルコキシシリルプロピルテトラスルファンおよび/または少なくとも1個の他のトリアルコキシシランとのこれら互いの組合せである。
【0026】
好ましくは、少なくとも2個の異なるフッ素含有シラン、場合によってはさらに3個または4個の異なるフッ素含有シランを、水性組成物に添加することができる。
【0027】
特に好ましくは、それぞれ少なくとも1個のオルガノシラン、1個のオルガノ官能性シランおよび1個のフルオロシラン、特に、それぞれ少なくとも1個のアミノシラン、1個の多−シリル−シランおよび1個のフルオロシランの組合せである。
【0028】
十分に加水分解されていない個々のシランを別個にのみ加水分解し、場合によってはこれらを個々に貯蔵し、その後に組成物に添加することが好ましい。加水分解中にさらに化学反応または縮合反応が生じてもよい。しかしながら、この後であっても加水分解および/または化学反応または縮合反応を、場合によっては貯蔵中におこなうことも可能であるが、しかしながら場合によっては、濃縮物または浴の中の組成物に引き続いて添加する。
【0029】
水性組成物は、本明細書中で溶液としてされているが、厳密な意味の溶液である必要はなく、それというのは、しばしば、これらの溶液が真の溶液であるか否かについては、付加的な分析によってのみ定めることができるためである。特に、水性組成物は、懸濁液および/またはエマルションであってもよく、特に粒子である場合には、特に鉱物粒子を添加する。
【0030】
水性組成物は、溶剤として少なくとも水を含有し、その際、溶剤混合物中の水の量は、濃縮物の場合は50質量%を上廻り、かつ、浴組成物の場合は75質量%を上廻る。溶剤混合物中の水の量は、濃縮物の場合には少なくとも60質量%、より好ましくは少なくとも70質量%、さらに好ましくは少なくとも80質量%、特に好ましくは少なくとも90質量%である。浴組成物の場合の溶剤混合物中の水の量は、好ましくは少なくとも80質量%、より好ましくは少なくとも85質量%、さらに好ましくは少なくとも90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%である。水以外の他の溶剤の含分、特に有機溶剤、たとえばエタノール、メタノール、プロパノールおよび/またはイソプロパノールは、濃縮物または浴に添加してもよいか、および/または濃縮物または浴中で化学反応によって形成されてもよい。しかしながら、環境保護の観点から、有機溶剤の量は可能なかぎり少ないことが好ましい。処理技術の観点からは、しばしば特定の有機溶剤含量または低い有機溶剤含量が好ましいが、しかしながら、化学反応のために、有機溶剤をその後に人為的に除去しない限りは回避できない場合もある。
【0031】
水性組成物は、0.2g/L以下、好ましくは0.1g/L、特に好ましくは0.02g/L以下のクロムを含有し、その際、クロム含量は好ましくは、特に添加および/またはクロム含有合金のエッチング操作および/またはクロムめっきに由来する。好ましくはさらに鉄、マンガンおよび亜鉛を全部で0.8g/Lを上廻る量で含有するが、これら以外の重金属については含有しない。
【0032】
本願発明の第1の好ましい実施態様は、水性組成物がシランa)およびb)、水および場合によっては少なくとも1種の有機溶剤、たとえばメタノール、エタノール、イソプロパノールおよび/またはプロパノール、少なくとも1種のアルカリ性試薬、たとえばアンモニア、少なくとも1個の酸性試薬、たとえば酢酸および/または氷酢酸、表面張力を減少させ、かつ金属表面に均一かつ確実な被覆を形成させるための、少なくとも1個の表面活性剤、たとえば少なくとも1個のノニオン、少なくとも1個のアニオン、少なくとも1個のカチオンおよび/または少なくとも1個の両性の表面活性剤、および/または少なくとも1個の添加剤、たとえば少なくとも1個の保存剤および/または少なくとも1個の殺生物剤を含有する。
【0033】
好ましくは、主にシランを含有する水性組成物の浴組成物は、80〜99.9質量%、好ましくは90〜99.8質量%、さらに好ましくは94〜99.7質量%、特に好ましくは96〜99.6質量%、殊に約91、91.5、92、92.5、93、93.5、94、94.5、95、95.5、96、96.5、97、97.5、97.9、98.2、98.5、98.8、99.1または99.4質量%の水の含量を有する。
【0034】
浴中のシランおよび溶剤以外の他の成分の含量は、通常は全部で5g/L、好ましくは3g/L、特に好ましくは1.5g/L以下であるが、しかしながら濃縮物中ではより高い含量であってもよい。
【0035】
第2および第3の好ましい態様は、次の11個の成分から選択された少なくとも1個の成分を、付加的に第1の特に好ましい態様の組成物に添加するものであって、この場合、これら11個の成分は、
c)金属キレート、
d)モノマー、オリゴマー、ポリマーおよび/またはコポリマー、
e)以下の成分の少なくとも1個から選択されたもの、
)平均粒径0.005〜0.3μm(走査型電子顕微鏡で測定された)を有する、粒子の形での少なくとも1個の無機化合物、
)少なくとも1個の滑剤、
)少なくとも1個の有機性腐食抑制剤、
)少なくとも1個のさび止め顔料、
)合成樹脂の中和および/また立体安定化のための少なくとも1個の薬剤、
)少なくとも1個の有機溶剤、
)少なくとも1個のシロキサン、
)少なくとも1個の長鎖アルコール、および
)少なくとも1個の表面活性剤
の群からなる。
【0036】
特に好ましいキレートの量は、それぞれの相当する反応生成物を含んで、浴組成物の固体含量に対して0.01〜15質量%、より好ましくはそれぞれ互いに独立して、0.03〜11質量%、特に好ましくはそれぞれ互いに独立して0.05、0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10または10.5質量%である。
【0037】
好ましくは少なくとも1個のシランは、水と相溶性のものを選択し、すなわち、少なくとも1個のシランおよび/または適切である場合には、その加水分解産物および縮合生成物は、水性組成物の成分と分離することなく混和性であり、かつ少なくとも数週間にわたって維持可能であり、かつ特に凝集性であって、均一であり、かつクレーター不含の、傷のない湿性フィルムおよび乾燥フィルムを形成することが可能である。特に好ましくは、高い腐食防止特性は、特に選択された少なくとも1個のキレートとの組合せで、少なくとも1個のシランを選択することによって可能である。
【0038】
好ましくは、少なくとも1個のキレートは、数日間または数週間にわたって、水性組成物の他の成分の存在下で、水性分散液中での安定な挙動を示し、かつ高い腐食防止特性を有示すものが選択される。さらに少なくとも1個のシランばかりでなく、少なくとも1個のキレートが、接触する金属表面に対して化学的に結合し、適切である場合には同様に引き続いて塗布される被覆材料に対しても化学的に結合しうることは有利である。少なくとも1個の金属キレートは、特に、Al、B、Ca、Fe、Hf、La、Mg、Mn、Si、Ti、Y、Zn、Zrの1個および/またはランタニド、たとえばCeまたはCe−含有ランタニド混合物の少なくとも1個であり、特に好ましくはAl、Hf、Mn、Si、Ti、YおよびZrからなる群から選択される。
【0039】
主にシランおよびキレートを含有する水性組成物の濃縮物ならびにポリマー含有組成物の出発材料としての一部の成分の濃縮物は、好ましくは、20〜95質量%、特に30〜90質量%の水の含量を有する。好ましくは、濃縮物は、シランを、相当する反応生成物を含んで、0.1〜60質量%、好ましくは0.2〜45質量%、より好ましくは0.3〜35質量%、さらに好ましくは0.5〜32質量%、特に約0.8、1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22.5、25、27.5または30質量%含有し、かつ好ましくは少なくとも1個のキレートを、相当する反応生成物を含んで、0.1〜50質量%、好ましくは0.2〜40質量%、より好ましくは0.3〜30質量%、さらに好ましくは0.5〜25質量%、特に約00.75、1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20または22.5質量%含有していてもよい。
【0040】
好ましくは、主にシランおよびキレートを含有する水性組成物の浴組成物は、80〜99.9質量%の水の含量で有し、この場合、さらに少なくとも1個の有機溶剤の画分を含有していてもよい。好ましくは、水および/または少なくとも1個の有機溶剤の量は、好ましくは90〜99.8質量%、より好ましくは94〜99.7質量%、さらに好ましくは96〜99.6質量%、特に約95、95.5、96、96.5、97、97.5、97.9、98.2、98.5、98.8、99.1または99.4質量%である。
【0041】
好ましくは、浴剤組成物は、シランを、他の成分と一緒になって形成される任意の反応生成物を含んで、0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜7質量%、より好ましくは0.1〜5質量%、さらに好ましくは0.2〜4質量%、特に約0.4、0.6、0.8、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6または3.8質量%の範囲で含有し、かつ好ましくは、少なくとも1個のキレートを、形成される反応生成物を含んで、0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜7質量%、さらに好ましくは0.1〜5質量%、特に好ましくは0.2〜4質量%、殊に約0.3、0.4,0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6または3.8質量%の範囲で含有する。
【0042】
好ましくは、シランおよび少なくとも1個のキレートの量は、それぞれ形成される反応生成物、特に、チタン、ハフニウムおよび/またはジルコニウムを含んで、好ましくは少なくとも20質量%、より好ましくは少なくとも30質量%、さらに好ましくは少なくとも40質量%、特に好ましくは少なくとも50質量%、殊にそれぞれ少なくとも60、70、80、90、94、95、96、97、98または99質量%の固体含量である。特に好ましくは、これらの組成物は、本質的に水、それぞれ少なくとも1個のシランおよび/またはこれらの反応生成物、少なくとも1個のキレート、この場合、これらは、相応じて形成される任意の反応生成物を含んで、さらに場合によっては、アルコール、酸、たとえばカルボン酸および脂肪酸、たとえば酢酸および/または鉱酸およびpHを調整する他の物質、たとえばアンモニアならびに添加剤および不純物から成る群から選択される物質の含分から構成される。他の化合物、この場合、これらは、シランおよびキレート以外の添加剤を含んで、通常20質量%までのシランおよびキレートの固体含量、好ましくは15質量%まで、より好ましくは10質量%まで、さらに好ましくは5質量%まで、特に好ましくは1または2質量%までを含有する。
【0043】
少なくとも1個のシランの少なくとも1個のキレートに対する比は、それぞれ相応じて形成される反応生成物を含んで、好ましくは0.8:1〜1.2:1の範囲であってもよいにもかかわらず、驚くべきことに、このような比が特に0.2:1〜0.5:1または2:1〜5:1の範囲であってもよいことが明らかになり、それというのもこれらは、特定の条件下での最適値であるためである。
【0044】
浴組成物のpH値は好ましくは3〜9.5、より好ましくは3.5〜9、さらに好ましくは4〜8.8の範囲であってもよい。pH値を調整するために、特に、弱酸または希釈された強酸または酸混合物を添加することができる。特に、少なくとも1個の酸、たとえばカルボン酸または脂肪酸、たとえば酢酸および/または鉱酸および他のpH値を調整する物質、たとえばアンモニアを使用することが可能である。浴組成物は、化学系がpHの選択を許容し、かつ安定性を維持する場合には、酸の添加によって、それぞれpH値を約3.5単位低く調製することができる。好ましくは、さらに溶剤、たとえばアルコールを、シランの安定化のために添加する。
【0045】
このような浴組成物を用いて形成した被覆は、典型的には0.01〜0.6μm、特に0.015〜0.25μmの範囲の層厚を有する。
【0046】
本発明による組成物は、シランと同時にさらにモノマー、オリゴマー、ポリマーおよび/またはコポリマーを含有してもよい。本明細書中において「コポリマー」の用語は、好ましくはブロックコポリマーおよびグラフトコポリマーを含む。
【0047】
合成樹脂の酸化数は、好ましくは3〜100、さらに好ましくは3〜60または4〜50である。特に、3〜50の酸化数を有するコポリマーを水性組成物に添加する。場合によっては、添加すべき有機フィルム形成剤の成分は、すでに部分的に中和された形である。有機フィルム形成剤は、酸化数3〜80を有する少なくとも1個のコポリマーの画分を、特に添加された合成樹脂の少なくとも50質量%の範囲で含有する。酸化数の高い範囲においては、通常はフィルム形成剤をカチオン、アニオンおよび/または立体的に安定化させることは必要ではない。しかしながら、低い酸化数の場合には、このような安定化はしばしば必要不可欠である。この場合において、すでに(部分)安定化された合成樹脂またはその混合物を使用することは有利である。
【0048】
水性組成物は、好ましくは少なくとも1個の合成樹脂、たとえば有機ポリマー、コポリマーおよび/またはこれらの混合物、特にアクリレート、エチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ケイ素ポリエステル、エポキシド、フェノール、スチレン、メラミン−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒドおよび/またはビニルをベースとする合成樹脂を含有する。有機フィルム形成剤は、好ましくは、少なくとも1個のポリマーおよび/または少なくとも1個のコポリマーからなる合成樹脂混合物を含有し、この場合、これらは、それぞれ互いに独立して、アクリレート、エポキシド、エチレン、尿素ホルムアルデヒド、フェノール、ポリエステル、ポリウレタン、スチレン、スチレンブタジエンおよび/またはビニルをベースとする合成樹脂を含有する。さらにフィルム形成剤は、カチオン、アニオンおよび/または立体的に安定化された合成樹脂またはポリマーおよび/またはこれらの分散液であるか、あるいは、溶液の形であってもよい。「アクリレート」の用語は、本明細書中においては、さらにアクリル酸エステル、ポリアクリル酸、メタクリル酸エステルおよびメタクリレートを含む。
【0049】
有機性フィルム形成剤は、好ましくは、
アクリル酸−ポリエステル−ポリウレタン−コポリマー、
アクリル酸−ポリエステル−ポリウレタン−スチレン−コポリマー、
アクリル酸エステル、
場合により遊離酸および/またはアクリルニトリルとのアクリル酸エステル−メタクリル酸エステル、
エチレン−アクリル酸−混合物、
エチレン−アクリル酸−コポリマー、
エチレン−アクリル酸−ポリエステル−コポリマー、
エチレン−アクリル酸−ポリウレタン−コポリマー、
エチレン−アクリル酸−ポリエステル−ポリウレタン−コポリマー、
エチレン−アクリル酸−ポリエステル−ポリウレタン−スチレン−コポリマー、
エチレン−アクリル酸−スチレン−コポリマー、
メラミン−ホルムアルデヒド樹脂との組合せの形で遊離カルボキシ基を有するポリエステル樹脂、
アクリレートおよびスチレンをベースとする合成樹脂混合物および/またはコポリマー、
スチレンブタジエンをベースとする合成樹脂混合物および/またはコポリマー、
アクリレートおよびエポキシドの合成樹脂混合物および/またはコポリマー、
アクリル酸−改質化カルボキシル基含有ポリエステルならびにメラミン−ホルムアルデヒドおよびエチレン−アクリル−コポリマーをベースとするもの、
ポリカーボネート−ポリウレタン、
ポリエステル−ポリウレタン、
スチレン、
スチレン−ビニルアセテート、
ビニルアセテート、
ビニルエステルおよび/または
ビニルエーテル
をベースとする少なくとも1個の成分を含有する。
【0050】
しかしながら、有機性フィルム形成剤は、さらに好ましくは合成樹脂として、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール、ポリビニルピロリドンおよび/またはポリアスパラギン酸をベースとする有機性ポリマー、コポリマーおよび/またはこれらの混合物、特にリン含有ビニル化合物とのコポリマーを含有する。好ましくは水性組成物に、さらに導電性ポリマーを添加する。
【0051】
本発明の第2の好ましい実施態様によれば、成分d)−モノマー/オリゴマー/ポリマー/コポリマーの化合物と、濃縮物および/または浴中のシランとの質量比は、好ましくは0.1:1〜10:1、より好ましくは0.2:1〜5:1、さらに好ましくは0.3:1〜3:1、特に好ましくは2:1または1.5:1までの範囲であってもよい。これらの実施態様の場合には、シランは、カップリング剤として作用のみならず、かつ通常はわずかな範囲でのみかほとんどカップリング剤として作用することはない。
【0052】
本発明の第3の好ましい実施態様によれば、濃縮物および/または浴中の成分d)モノマー/オリゴマー/ポリマー/コポリマーの化合物とシランとの質量比は、好ましくは3:1〜200:1、より好ましくは8:1〜120:1、特に好ましくは12:1〜100:1である。これらの実施態様によれば、シランは多くの場合において、部分的に、主としてまたは完全に「カップリング剤」としてのみ作用する。特に、このような実施態様の場合には、長鎖アルコールe)をフィルム形成助剤として使用することが有利であり、この場合、これらは、フィルム形成の間に、ガラス転移温度Tまたは最小フィルム形成温度MFFTの概算または調整を提供するものである。これによって、有機物質に関して特に均質な構造が形成される被覆が得られることを可能にし、この場合、これらは、被覆の性質に対して有利に作用するものである。
【0053】
本発明の特に好ましい実施態様においては、フィルム形成剤の少なくとも一部分が、本質的に同じか、および/または類似のガラス転移温度Tgを有する、有機性フィルム形成剤の混合物を使用することが可能である。その際、特に好ましくは、有機性フィルム形成剤の少なくとも一部分が、ガラス転移温度Tg10〜76℃、より好ましくは15〜65℃、特に好ましくは20〜60℃の範囲を示す。その後に、有機性フィルム形成剤は、好ましくは、最小フィルム形成温度MFFT−10〜+99℃、より好ましくは0〜90℃、特に好ましくは約5℃〜90℃または約10℃〜90℃の範囲を有する、少なくとも1個のポリマーおよび/または少なくとも1個のコポリマーの少なくとも1個の画分を含有する。これに関して、少なくとも2個の、さもなければさらにすべての有機フィルム形成剤は、最小フィルム形成温度を指定することができるのであれば、前記温度範囲の一つの最小フィルム形成温度を有することが特に好ましい。
【0054】
すべての有機フィルム形成剤が乾燥によりフィルム形成することは特に好ましい。特に好ましくは、水性組成物と合成樹脂とを混合する場合であり、この場合、合成樹脂の少なくとも80質量%、特に少なくとも90質量%は熱可塑性を有するものである。
【0055】
本明細書中において適したフィルム形成助剤の選択は容易ではないが、しばしば、少なくとも2個のフィルム形成助剤からの混合物が要求される。フィルム形成助剤として特に有利であるのは、いわゆる長鎖アルコール、特に4〜20個の炭素原子を有するもの、たとえばブタンジオール、ブチルグリコール、ブチルジグリコール、エチレングリコエーテル、たとえばエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールヘキシルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールヘキシルエーテルまたはポリプロピレングリコールエーテル、たとえば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、トリメチルペンタンジオールジイソブチレート、ポリテトラヒドロフラン、ポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールである。フィルム形成を比較した場合に、熱硬化性有機被覆に関しては、架橋に関して通常少なくとも120℃の温度が要求される。
【0056】
本発明による第4の好ましい実施態様においては、適した方法で疎水性表面を形成し、この場合、これらの表面は、疎水性および/または表面微細構造に基づいて自己浄化性を示すものである。表面微細構造に関しては、有機性および/または無機性粒子の添加によって、有機性粒子の形成によって、適した方法によって、ナノメーターおよびマイクロメーターの範囲の微細構造を得ることが可能である。添加された粒子は、好ましくは、かなり広い範囲で、粗表面および/または複雑な形態を有するか、および/または結合するか、および/または、複雑な形状または粗さを有する凝集物および/または凝塊を、広い範囲で形成する程度に結合する。この方法は、種々の粗さを有する粒子、すなわち、異なる平均粒径および/または異なる粒度分布を有する粒子を添加することによって補われる。このようにして製造された被覆は、好ましくは、微細構造を示す表面を有するものであってもよく、この場合、これらの微細構造は、少なくとも部分的に、適度に微細な微細構造により積層されているものである。これらの被覆は、特に好ましくは第1、第2または第3の実施態様に基づいて構成されてもよい。
【0057】
さらに、他の好ましい実施態様において、e)〜e)から選択された少なくとも1個の成分を含有し、かつ場合によっては、さらにc)またはd)の少なくとも1個の成分を含有し、さらに好ましい場合には、少なくとも1個のモノマー/オリゴマー/ポリマー/コポリマーおよび/またはさらに少なくとも1個の無機化合物を粒子の形で含有する。
【0058】
好ましくは滑剤e)としては、パラフィン、ポリエチレンおよびポリプロピレンの群から選択される少なくとも1個のワックス、特に酸化ワックスを使用し、その際、ワックスを水性組成物中で、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.02〜3.5質量%、特に好ましくは0.05〜2質量%の範囲で含有する。好ましくは、滑剤として使用されるワックスの融点は40〜165℃、さらに好ましくは50〜160℃、特に好ましくは120〜150℃である。付加的に120〜165℃の範囲の融点を有する滑剤を、45〜95℃の範囲の融点または−20〜+60℃の範囲のガラス転移温度を有する滑剤に、特に2〜30質量%、好ましくは5〜20質量%の全固体含量で添加する。この後者の滑剤は、有利には単独で使用することができる。
【0059】
ワックスを、水性分散液であるか、あるいは、カチオンおよび/またはアニオンおよび/または立体的に安定化された分散液の形で使用することは特に有利であり、それというのも、その後に、簡単に水性組成物中で均一に分散された形で維持することができるためである。少なくとも1個の滑剤、この場合、同時に形成剤であってもよいものを、好ましくは水性組成物中で0.1〜25g/L、さらに好ましくは1〜15g/Lの量で含有していてもよい。
【0060】
好ましくは、水性組成物は、少なくとも1個の有機性腐食抑制剤e)を含有し、この場合、これらは、特に1個または複数個のアミン、好ましくは少なくとも1個のアルカノールアミン、好ましくは長鎖のアルカノールアミン、少なくとも1個のTPA−アミン−錯体、たとえば酸アダクト−4−オキソ−4−p−トリル−ブチレート−4−エチルモルホリン、少なくとも1個のアミノカルボキシレート、5−ニトロ−イソフタル酸またはシアン酸の亜鉛塩、少なくとも1個の脂肪酸とのアンモニウム塩ポリマー、少なくとも1個のスルホン酸、たとえばドデシル−ナフタレンスルホン酸の金属塩、少なくとも1個のトルエンプロピオン酸、2−メルカプトベンゾチアゾリル−コハク酸および/または少なくとも1個のこれらのアミノ塩のアミノ錯体および遷移金属錯体、少なくとも1個の導電性ポリマーおよび/または少なくとも1個のチオールをベースとするものであり、その際、水性組成物中の有機性腐食抑制剤の量は、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.02〜3質量%、特に好ましくは0.05〜1.5質量%の範囲であってもよい。
【0061】
少なくとも1個の有機腐食抑制剤は、好ましくは室温ではあまり揮発性ではない。さらに、特に20g/lを上廻る場合であっても水中で容易に溶解するか、および/または、水中で容易に分散可能であることは有利である。特に好ましくは、アルキルアミノエタノール、たとえばジメチルアミノエタノールおよび/またはTPA−アミンに基づく錯体、たとえば4−メチル−γ−オキソ−ベンゼンブタン酸とのN−エチルモルホリン錯体である。これらの腐食抑制剤は、優れた腐食抑制作用を生じさせるか、あるいは腐食抑制作用をより強化するために添加することができる。
【0062】
水性組成物は、好ましくは、少なくとも1個のさび止め顔料e)0.1〜80g/Lを含有する。これに関連して、特にアルミニウムシリケート、アルミノシリケート、アルミノ−アルカリ金属シリケートおよびアルカリ土類金属シリケートに基づく種々のシリケートが好ましい。さび止め顔料は、好ましくは、走査型電子顕微鏡で測定された平均粒径を、好ましくは0.01〜0.5μm、特に好ましくは0.02〜0.3μmの直径の範囲で有するものである。さび止め顔料の異なる種類は、原則として公知である。しかしながら、少なくとも1個のこれらの顔料の添加は、基本的には必要ではなく、二者択一的な実施態様において可能である。
【0063】
特に5〜50の範囲の酸化数を有する合成樹脂の酸性基を、中和および/または立体的に安定化させるための薬剤e)は、特に、低揮発性アルカノールアミンおよび水酸化物、たとえば、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム溶液であってもよいが、しかしながら、好ましくは高沸点のアルカノールアミン、アンモニアならびにモルホリンおよびアルカノールアミンをベースとする化合物であってもよい。これらの作用は、約150またはそれ以上の酸化数の場合には、中和された合成樹脂を水と混和性にするか、および/またはさらに水中で溶解性にするものである。
【0064】
本発明による方法の場合には、適切である場合にはさらに少なくとも1個の溶剤e)を添加することができる。有機ポリマーのための有機溶剤として、少なくとも1個の水混和性および/または水溶性アルコール、グリコールエーテルまたはn−メチルピロリドンおよび/または水を使用することができ、その際、溶剤混合物としては、特に、少なくとも1個の長鎖アルコール、たとえばプロピレングリコール、エステルアルコール、グリコールエーテルおよび/またはブタンジオールと、たとえば水との混合物を使用することが可能である。しかしながら、多くの場合において、任意の有機溶剤を使用することなく、水のみを使用することが好ましい。有機溶剤を使用する場合には、その量は好ましくは0.1〜10質量%、特に0.25〜5質量%、さらに好ましくは0.4〜3質量%である。ストリップ製造に関しては、むしろ水のみであって、ほぼ有機溶剤を使用しないか、あるいは、少量のアルコールの添加が可能である以外は有機溶剤を全く使用しないことが好ましい。
【0065】
さらに、少なくとも1個の湿潤剤を添加することは有利であり、これによって、湿性のフィルムを、その平面上および層厚において均一に塗布することを可能にし、さらに凝集的に塗布し、かつ傷のないものとして塗布することができる。原則として、この目的のために多くの湿潤剤が適しており、好ましくはアクリレート、シラン、ポリシロキサン、長鎖アルコールであり、これらは水性組成物の表面張力を低くするものである。特に好ましくは、少なくとも1個のポリシロキサンe)を添加する。
【0066】
少なくとも1個の表面活性剤e)の添加は、本発明による組成物の金属表面上でのぬれを改善し、かつ被覆を特により均一にする点で改善させる。これに関して、顕著な改善は、特に粗表面上で達成することができる。この目的のための安定化は、極めて多くの種類の表面活性剤、特にノニオン、カチオン、両性およびアニオン系の表面活性剤が適している。しばしば0.01〜0.4g/Lの少ない添加量で十分である。
【0067】
さらに本発明による組成物は、後水洗剤(Nachspuelloesung)として、前被覆操作、たとえば化成被覆操作に引き続いて使用することができる。化成被覆としては、たとえば、少なくとも1個の有機酸および/または無機酸をベースとする被覆を塗布することが可能であり、この場合、これらは、場合によってはリン酸化処理に基づく他の添加剤、たとえば鉄、カルシウム、マグネシウム、マンガンおよび/または亜鉛をベースとするもの、錯体フッ素化物含有溶液または分散液をベースとして製造されたもの、リン酸塩をベースとするもの、少なくとも1個もシラン/シロキサンおよび/またはポリシロキサンをベースとするもの、および/または希土類金属化合物をベースとするものを含む。したがって、このような溶剤または後水洗剤は、特にラッカーおよびラッカー様被覆を適用しない、明色の腐食保護に適している。希土類金属化合物、たとえば酸化セリウムをベースとする化成被覆は、特にAl、Mg、Tiおよび/またはZnに富む表面で使用することができる。
【0068】
実施例
本発明による実施例および比較例:
以下の実施例は、本発明をさらに例証するものである。
【0069】
A)相対的に高いシラン含量を有する組成物:
水性濃縮物を製造するために、加水分解されていないシランのための第1表による水性混合物を、この場合、この混合物は氷酢酸およびエタノールを含有するものであって、使用すべきシランが加水分解されていない形である場合には、酸性媒体中で、少なくとも3日間に亘って、室温で、攪拌しながら、少なくとも1個のシランを予め加水分解することによって製造した。その後に場合によっては、すでに予め加水分解されたシランを添加し、系を激しく攪拌し、かつ調製物を場合により室温で貯蔵した。その後に、濃縮物を水で希釈し、好ましい場合には、pH調整剤、たとえばアンモニアおよび/または氷酢酸を添加し、すぐに使用可能なように処理浴を得た。その後に、それぞれの場合において、少なくとも5個の冷間圧延による薄鋼板(CRS)または二重スライドの熱浸漬亜鉛メッキされた薄鋼板と、ローラー塗布により接触させ、かつ相当する処理液を用いて25℃で乾燥させた。このようにして処理された金属シートを90℃ PMTで乾燥させ、その後にその腐食防止性について試験した。濃縮物および処理浴の組成および性質、ならびに被覆の特性については、第1表および第2表に示した。
【0070】
シランAおよびBはフッ素不含であり、シランCはフッ素含有である。シランAはアミノ官能性トリアルコキシシランであり、この場合、これらは組成物に添加する前に、約2時間に亘ってのみ加水分解させた。シランBは、ビス−トリアルコキシシランであり、この場合、これらは加水分解され、かつ組成物に添加する前に約3日間に亘って貯蔵したものである。シランCは水溶性のアミノアルキル官能性フルオロアルキルアルコキシシランであり、この場合、これらは、組成物に、長時間に亘っての加水分解および貯蔵の後にのみ添加したものである。これらの詳細については、市販の生成物中で断然主要な成分であることから明らかである。水性組成物(濃縮物または浴)中に含有されるシランはモノマー、オリゴマー、ポリマー、コポリマーおよび/または加水分解反応、縮合反応および/または他の反応による他の成分との反応生成物である。反応は、主に溶液中で、乾燥の間に、かつ場合により被覆硬化時に生じてもよい。用語「シラン」は、本明細書中においてはシラン、シラノール、シロキサン、ポリシロキサンおよびその反応生成物および誘導体が使用され、この場合、これらはしばしば「シラン」混合物である。濃縮物および浴のすべては変化または沈殿することなく、1週間に亘って安定であることが証明された。エタノールは添加しない。組成物中のエタノール量は、化学反応のみに由来する。
【0071】
ポリマーDは、エトキシレートに基づく、容易にフィルム形成される熱可塑性ポリマーである。ポリマーEは、ポリエチレンコポリマーである。SiO粒子は、約200nmの平均粒径を有する。モノエタノールアミンおよび/またはアンモニアを浴中に添加することで、pHを調製する。さらに本発明による例/比較例である、CE10およびIE11〜IE20の場合には、約0.1g/lのノニオン表面活性剤をそれぞれの場合において添加する。表面活性剤の添加は、清浄化された金属表面のより効果的なぬれを助けるものである。結果として、特にかなり複雑な形状または特に粗い金属表面の場合であっても、より均一なフィルム形成が得られる。これらの組成物を用いて、著しく1μmを下廻る乾燥フィルム厚の被覆を製造する。
【0072】
【表1】

【0073】
【表2】

【0074】
ここで形成されたフィルムは透明、均一かつ凝集性である。CE2を除くすべての場合において、これらは薄鋼板上での着色を示すことはない。金属表面の構造、光沢および色は、被覆の結果としてわずかにのみ変化しうる。かなり少量のフッ素含有シランを含む、2個またはそれ以上のシランの組合せは、フッ素含有シランの添加量がかなり少ない場合であっても、腐食防止性においての著しい改善を示す。プライマーまたはワニスを含む多の被覆を塗布しない場合においても、シラン被覆が塗布される。0〜5の腐食防止値は、5が最も劣悪な値に相当する。フッ素不含シランおよび/またはフッ素含有シランから成る系の選択は重要であり、それというのもこれらの組成物のすべては極めて安定な溶液を提供するためである。
【0075】
この方法で製造された被覆の層厚は、この場合、塗布の種類によりその始点が異なるが、0.02〜0.16μmの範囲、主に0.02〜0.12μmの範囲である。
【0076】
接触角は、二重滅菌水を用いて、1シート当たり5回の測定で、DIGIDROP 接触角測定装置(GBXScientific Instruments)を用いて測定した。接触角が大きくなればなるほど、表面の疎水性が大きくなる。試験CE2の場合には、他の被覆された薄板と比較して、被覆された薄鋼板は金色がかったさび色を示し、この場合、これらは接触角上の悪影響によるものである。付加的に、適用されたシランによってのみではなく、さらに表面処理の作用によって、たとえばpHによって、接触角が定められることが見いだされた。驚くべきことに、これらの試験により、被覆された表面の疎水性、接触角と、被覆系の耐腐食性との間の密接した予期しない相関関係が明らかになった。
【0077】
多くの場合において、被覆表面に一定の疎水基量(接触角から測定可能である)を提供すること、ならびに、被覆の一定の厚さを与えることの双方が、腐食保護バリアを作用させるために有用であることが見いだされた。ここでシランは、金属表面に対しての付着性を改善させるものである。
【0078】
これに関して製造された被覆は、多くの場合において粉体被覆材料または溶剤ベース顔料を有する被覆に適している。水ベース顔料組成物は、これとは対照的に忌避される。
【0079】
B)本質的にシランをベースとした後水洗剤溶液の組成:
水性溶液を、試験系A)の場合のようにして製造したが、その際、組成物を第3表にしたがって選択し、かつアルミニウム合金AA6063をベースとする化成被覆された金属薄板を、室温で1分間に亘って浴溶液中で含浸することによって被覆した。
【0080】
アルミニウム金属AA 6063の薄板は、予めWO−A1−01/71058にしたがって、セリウムに富む希土類金属化合物をベースとする化成被覆により処理した。
【0081】
【表3】

【0082】
後水洗溶液を用いて製造された本発明の被覆の厚さは、0.2〜0.3μmであった。本発明の被覆は、透明かつわずかに玉虫色であった。これらは高い均一性を有し、かつセリウムに富む酸化物をベースとした下塗り化成被覆の耐腐食性を著しく増大させた。本発明による例IE22〜IE24のシートは、本発明による後水洗剤溶液を用いて被覆したものであって、環境的に有害な物質を含有しないながらも、通常の黄色のクロメート被覆に匹敵可能な耐腐食性を有していた。耐腐食性の改善に関する予想は、予想したよりもより包括的に十分なものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属表面のさらなる被覆の前処理の目的のため、あるいは、金属表面の処理のために、本質的または全くクロム(VI)化合物を含有しない、場合により有機溶剤および他の成分を含有してもよい水性組成物を用いて、金属表面を被覆するための方法において、
前記組成物が、水に加えて、
a)少なくとも1個の加水分解可能であるか、および/または少なくとも部分的に加水分解されたフッ素不含のシラン、および
b)少なくとも1個の加水分解可能であるか、および/または少なくとも部分的に加水分解されたフッ素含有シラン
を含有し、
その際、組成物中のシランは水溶性であるか、あるいは特に(他の)加水分解反応および/または化学反応により金属表面への塗布前に水溶性になったものであり、
その際、清浄化され、酸洗いされ、精製および/または前処理された金属表面は、水性組成物と接触し、かつ金属表面上にフィルムを形成し、その後に乾燥させ、かつ場合によってはさらに硬化させるものであり、
その際、乾燥させ、かつ場合によってはさらに硬化されたフィルムは、0.001〜10μmの範囲の層厚を有することを特徴とする、金属表面を被覆するための方法。
【請求項2】
水性組成物中で選択されるフッ素不含のシランが、それぞれ少なくとも1個のアシルオキシシラン、アルコキシシラン、少なくとも1個のアミノ基を有するシラン、たとえば、アミノアルキルシラン、少なくとも1個のコハク酸基および/またはコハク酸無水物基を有するシラン、ビス−シリル−シラン、少なくとも1個のエポキシ基を有するシラン、たとえばグリシジルオキシシラン、(メト)アクリレート−シラン、多−シリル−シラン、ウレイド−シラン、ビニルシランおよび/または少なくとも1個のシラノールおよび/または少なくとも1個のシロキサンまたは前記シランの組成に化学的に相当するシロキサンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1個のフッ素不含のシランが、
グリシジルオキシアルキルトリアルコキシシラン、
メタクリロイルオキシアルキルトリアルコキシシラン、
(トリアルコキシシリル)アルキルスクシノイルシラン、
アミノアルキルアミノアルキルアルキルジアルコキシシラン、
(エポキシシクロアルキル)アルキルトリアルコキシシラン、
ビス−(トリアルコキシシリルアルキル)アミン、
ビス−(トリアルコキシシリル)エタン、
(エポキシアルキル)トリアルコキシシラン、
アミノアルキルトリアルコキシシラン、
ウレイドアルキルトリアルコキシシラン、
N−(トリアルコキシシリルアルキル)アルキレンジアミン、
N−(アミノアルキル)アミノアルキルトリアルコキシシラン、
N−(トリアルコキシシリルアルキル)ジアルキレントリアミン、
ポリ(アミノアルキル)アルキルジアルコキシシラン、
トリス(トリアルコキシシリル)アルキルイソシアヌレート、
ウレイドアルキルトリアルコキシシランおよび
アセトキシシラン
から成る基から選択されたか、あるいは、これをベースとする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1個のシランが、
3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、
3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、
3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、
3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、
3−(トリエトキシシリル)プロピルスクシノイルシラン、
アミノエチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、
アミノエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、
γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、
γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、
ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、
ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、
(3,4−エポキシブチル)トリエトキシシラン、
(3,4−エポキシブチル)トリメトキシシラン、
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
γ−ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、
N−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)エチレンジアミン、
N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、
N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
N−(γ−トリエトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン、
N−(γ−トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン、
N−(γ−トリエトキシシリルプロピル)ジメチレントリアミン、
N−(γ−トリメトキシシリルプロピル)ジメチレントリアミン、
ポリ(アミノアルキル)エチルジアルコキシシラン、
ポリ(アミノアルキル)メチルジアルコキシシラン、
トリス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)イソシアヌレート、
トリス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)イソシアヌレートおよび
ビニルトリアセトキシシラン
から成る群から選択されたか、あるいは、これをベースとする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
水性組成物中で選択されるフッ素含有シランが、それぞれ少なくとも1個のアシルオキシシラン、アルコキシシラン、少なくとも1個のアミノ基を有するシラン、たとえばアミノアルキルシラン、少なくとも1個のコハク酸基および/またはコハク酸無水物基を有するシラン、ビス−シリル−シラン、少なくとも1個のエポキシ基を有するシラン、たとえばグリシジルオキシシラン、(メト)アクリレート−シラン、多−シリル−シラン、ウレイドシラン、ビニルシランおよび/または少なくとも1個のシラノールおよび/または少なくとも1個のシロキサンまたは化学的に前記シランの組成に相当するポリシロキサンかを含み、この場合、これらはそれぞれ、少なくとも1個のフッ素原子を有する少なくとも1個の基を含有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
水性組成物が、少なくとも1個のフルオロアルコキシアルキルシラン、少なくとも1個のモノ−、ジ−またはトリ−官能性フルオロシラン、少なくとも1個のモノ−、ビス−またはトリス−フルオロシラン、エトキシシランおよび/またはメトキシシランに基づく少なくとも1個のフルオロシランおよび/または少なくとも1個の官能基、たとえばアミノ基を有する少なくとも1個のフルオロシラン、特に共縮合物の形で、たとえば、フルオロアルキルジアルコキシシラン、フルオロアミノアルキルプロピルトリアルコキシシラン、フルオロメタンスルホネート、フルオロプロピルアルキルジアルコキシシラン、トリフェニルフルオロシラン、トリアルコキシフルオロシラン、トリアルキルフルオロシランおよび/またはトリデカフルオロオクチルトリアルコキシシランを含有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
シランが、少なくとも2個のアミノ基ならびに少なくとも1個のエチル基および/または少なくとも1個のメチル基を含有する、請求項1、5または6に記載の方法。
【請求項8】
水性組成物がさらに、少なくとも1個の金属キレートおよび/または少なくとも1個のオリゴマー/ポリマー/コポリマー(それぞれc)またはd)に相当する)を含有する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
水性組成物中で、さらに少なくとも1個の成分e)が、
)走査型電子顕微鏡で測定された平均粒径0.005〜0.3μmを有する、粒子の形の少なくとも1個の無機化合物、
)少なくとも1個の滑剤、
)少なくとも1個の有機性腐食抑制剤、
)少なくとも1個のさび止め顔料、
)合成樹脂の中和および/また立体安定化のための少なくとも1個の薬剤、
)少なくとも1個の有機溶剤、
)少なくとも1個のシロキサン、
)少なくとも1個の長鎖アルコール、および
)少なくとも1個の表面活性剤
からなる群から選択される、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
有機性フィルム形成剤が、少なくとも1個のポリマーおよび/または少なくとも1個のコポリマーからなる合成樹脂混合物であり、この場合、これらは、アクリレート、エポキシド、エチレン、尿素−ホルムアルデヒド、フェノール、ポリエステル、ポリウレタン、スチレン、スチレン−ブタジエンおよび/またはビニルをベースとする合成樹脂を含む、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
有機性フィルム形成剤が、さらに合成樹脂として、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール、ポリビニルピロリドンおよび/またはポリアスパラギン酸をベースとする、有機性ポリマー、コポリマーおよび/またはこれらの混合物、特にリン含有ビニル化合物とのコポリマーを含有する、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
合成樹脂の酸性基を、アンモニア、アミン、たとえばモルホリン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミンまたはトリエタノールアミンおよび/またはアルカリ金属化合物、たとえば水酸化ナトリウムを用いて安定化させる、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
水性組成物が、有機性フィルム形成剤0.1〜980g/l、好ましくは2〜600g/lを含有する、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
水性組成物中の少なくとも1個のフッ素不含のシランの量が、これから形成される反応生成物を含んで、好ましくは0.05〜300g/lである、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
水性組成物中の少なくとも1個のフッ素含有シランの量が、これから形成される反応生成物を含んで、好ましくは0.01〜150g/lである、請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1個の金属キレートが、アセチルアセトネート、アセト酢酸エステル、アセトネート、アルキレンジアミン、アミン、ラクテート、カルボン酸、クエン酸塩および/またはグリコールをベースとするキレート錯体から選択され、その際、水性組成物中の少なくとも1個のキレートの量は、場合によりこれから形成される任意の反応生成物を含んで、好ましくは0.1〜80g/lである、請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
無機化合物として、微細な粉体からなる粒子、分散液または懸濁液の形で、たとえば炭酸塩、酸化物、ケイ酸塩または硫酸塩を添加し、特にコロイド状および/または非晶質の粒子である、請求項1から16までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
粒子の形の無機化合物として、アルミニウム、バリウム、セリウム、カルシウム、ランタニウム、ケイ素、チタン、イットリウム、亜鉛および/またはジルコニウムの少なくとも1個の化合物をベースとする粒子を添加する、請求項1から17までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
滑剤として使用される少なくとも1個のワックスが、パラフィン、ポリエチレンおよびポリプロピレン、特に酸化ワックスから成る群から選択され、その際、水性組成物中のワックスの量は、好ましくは0.01〜5質量%である、請求1から18までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
被覆が、乾燥およびフィルム形成によって部分的に製造され、および/または化学線照射、カチオン重合および/または熱架橋によって硬化される、請求項1から19までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
水性組成物が、少なくとも1個の添加剤、特に少なくとも1個の殺生物剤、少なくとも1個の消泡剤および/または少なくとも1個の湿潤剤から選択された少なくとも1個の添加剤を含有する、請求項1から20までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
被覆された金属表面を、20〜400℃の強制空気温度で乾燥させる、請求項1から21までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
水性組成物が、ロール塗布、流し塗、ナイフ塗布、スプレー塗布、噴霧、はけ塗りまたは浸漬によって塗布され、かつ場合によってはその後にローラーを用いて圧搾される、請求項1から22までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
それぞれの場合において、印刷インク、フィルム、顔料、顔料様材料、粉末塗料材料、接着剤および/または接着裏塗りの少なくとも1個の被覆を、乾燥させ、かつ場合により硬化させたフィルムに塗布する、請求項1から23までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
被覆された金属部品、ストリップまたはストリップ部分が形成され、ラッカー塗布され、ポリマー、たとえばPVCで被覆され、印刷され、結合され、熱はんだ付けされ、溶結されるか、および/または、たとえば、クリンチングまたは他の接合技術によって、他の成分または他の要素と一緒に連結される、請求項1から24までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
金属表面のさらなる被覆の前処理の目的のため、あるいは、金属表面を処理するための水性組成物において、この組成物が、水に加えて、
a)少なくとも1個の加水分解可能であるか、および/または少なくとも部分的に加水分解されたフッ素不含のシラン、ならびに
b)少なくとも1個の加水分解可能であるか、および/または少なくとも部分的に加水分解されたフッ素含有シラン、
を含有し、その際、a)とb)との比がそれぞれの場合において、これらから形成される反応生成物を含んで、好ましくは1:0.01〜1:4であり、かつ、
その際、組成物中のシランは水溶性であるか、あるいは、特に(他の)加水分解反応および/または化学反応により水溶性になる、水性組成物。
【請求項27】
ワイヤ、ストリップ、シートまたはワイヤ巻きのための部品、ワイヤメッシュ、スチールストリップ、金属薄板、パネル、シールド、車体または車体の部品、車体の一部、トレーラー、移動住宅、ミサイル、カバー、ケーシング、ランプ、ライト、交通信号灯、家具または家具材料、家庭用設備材料、フレーム、プロフィール、複雑な形状の鋳造物、案内標識灯、ラジエーター要素または塀の材料、バンパー、少なくとも1個の管および/またはプロフィールの部分またはこれを含むもの、窓枠、ドア枠または自転車フレームまたは小さい部品、たとえばボルト、ナット、フランジ、スプリングまたはメガネフレームとしての、請求項1から26までのいずれか1項に記載の方法によって被覆された支持体の使用。
【請求項28】
前被覆、たとえば化成被覆に適用される後水洗剤溶液として、および/または、明色腐食防止剤のための組成物としての、請求項1から26までのいずれか1項に記載の組成物の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属表面のさらなる被覆の前処理の目的のため、あるいは、金属表面の処理のために、本質的または全くクロム(VI)化合物を含有しない、水性の、場合により有機溶剤および他の成分を含有してもよい組成物を用いて、金属表面を被覆するための方法において、
前記組成物が、水に加えて、
a)少なくとも1個の加水分解可能であるか、および/または少なくとも部分的に加水分解されたフッ素不含のシラン、および
b)少なくとも1個の加水分解可能であるか、および/または少なくとも部分的に加水分解されたフッ素含有シラン、ならびに
c)少なくとも1個の金属キレートおよび/または
d)少なくとも1個のオリゴマー/ポリマー/コポリマー
を含有し、
その際、濃縮物中および/または浴中での、成分d)のモノマー/オリゴマー/ポリマー/コポリマーと、シランa)およびb)との比は、0.1:1〜10:1であり、
その際、組成物中のシランは水溶性であるか、あるいは特に(他の)加水分解反応および/または化学反応により金属表面への塗布前に水溶性になったものであり、
その際、清浄化され、酸洗いされ、精製および/または前処理された金属表面は、水性組成物と接触し、かつ金属表面上にフィルムを形成し、その後に乾燥させ、かつ場合によってはさらに硬化させるものであり、
その際、乾燥させ、かつ場合によってはさらに硬化されたフィルムは、0.001〜10μmの範囲の層厚を有することを特徴とする、金属表面を被覆するための方法。
【請求項2】
水性組成物中で選択されるフッ素不含のシランが、それぞれ少なくとも1個のアシルオキシシラン、アルコキシシラン、少なくとも1個のアミノ基を有するシラン、たとえば、アミノアルキルシラン、少なくとも1個のコハク酸基および/またはコハク酸無水物基を有するシラン、ビス−シリル−シラン、少なくとも1個のエポキシ基を有するシラン、たとえばグリシジルオキシシラン、(メト)アクリレート−シラン、多−シリル−シラン、ウレイド−シラン、ビニルシランおよび/または少なくとも1個のシラノールおよび/または少なくとも1個のシロキサンまたは前記シランの組成に化学的に相当するシロキサンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1個のフッ素不含のシランが、
グリシジルオキシアルキルトリアルコキシシラン、
メタクリロイルオキシアルキルトリアルコキシシラン、
(トリアルコキシシリル)アルキルスクシノイルシラン、
アミノアルキルアミノアルキルアルキルジアルコキシシラン、
(エポキシシクロアルキル)アルキルトリアルコキシシラン、
ビス−(トリアルコキシシリルアルキル)アミン、
ビス−(トリアルコキシシリル)エタン、
(エポキシアルキル)トリアルコキシシラン、
アミノアルキルトリアルコキシシラン、
ウレイドアルキルトリアルコキシシラン、
N−(トリアルコキシシリルアルキル)アルキレンジアミン、
N−(アミノアルキル)アミノアルキルトリアルコキシシラン、
N−(トリアルコキシシリルアルキル)ジアルキレントリアミン、
ポリ(アミノアルキル)アルキルジアルコキシシラン、
トリス(トリアルコキシシリル)アルキルイソシアヌレート、
ウレイドアルキルトリアルコキシシランおよび
アセトキシシラン
から成る基から選択されたか、あるいは、これをベースとする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1個のシランが、
3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、
3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、
3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、
3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、
3−(トリエトキシシリル)プロピルスクシノイルシラン、
アミノエチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、
アミノエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、
γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、
γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、
ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、
ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、
(3,4−エポキシブチル)トリエトキシシラン、
(3,4−エポキシブチル)トリメトキシシラン、
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
γ−ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、
N−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)エチレンジアミン、
N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、
N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
N−(γ−トリエトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン、
N−(γ−トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン、
N−(γ−トリエトキシシリルプロピル)ジメチレントリアミン、
N−(γ−トリメトキシシリルプロピル)ジメチレントリアミン、
ポリ(アミノアルキル)エチルジアルコキシシラン、
ポリ(アミノアルキル)メチルジアルコキシシラン、
トリス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)イソシアヌレート、
トリス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)イソシアヌレートおよび
ビニルトリアセトキシシラン
から成る群から選択されたか、あるいは、これをベースとする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
水性組成物中で選択されるフッ素含有シランが、それぞれ少なくとも1個のアシルオキシシラン、アルコキシシラン、少なくとも1個のアミノ基を有するシラン、たとえばアミノアルキルシラン、少なくとも1個のコハク酸基および/またはコハク酸無水物基を有するシラン、ビス−シリル−シラン、少なくとも1個のエポキシ基を有するシラン、たとえばグリシジルオキシシラン、(メト)アクリレート−シラン、多−シリル−シラン、ウレイドシラン、ビニルシランおよび/または少なくとも1個のシラノールおよび/または少なくとも1個のシロキサンまたは化学的に前記シランの組成に相当するポリシロキサンかを含み、この場合、これらはそれぞれ、少なくとも1個のフッ素原子を有する少なくとも1個の基を含有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
水性組成物が、少なくとも1個のフルオロアルコキシアルキルシラン、少なくとも1個のモノ−、ジ−またはトリ−官能性フルオロシラン、少なくとも1個のモノ−、ビス−またはトリス−フルオロシラン、エトキシシランおよび/またはメトキシシランに基づく少なくとも1個のフルオロシランおよび/または少なくとも1個の官能基、たとえばアミノ基を有する少なくとも1個のフルオロシラン、特に共縮合物の形で、たとえば、フルオロアルキルジアルコキシシラン、フルオロアミノアルキルプロピルトリアルコキシシラン、フルオロメタンスルホネート、フルオロプロピルアルキルジアルコキシシラン、トリフェニルフルオロシラン、トリアルコキシフルオロシラン、トリアルキルフルオロシランおよび/またはトリデカフルオロオクチルトリアルコキシシランを含有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
シランが、少なくとも2個のアミノ基ならびに少なくとも1個のエチル基および/または少なくとも1個のメチル基を含有する、請求項1、5または6に記載の方法。
【請求項8】
水性組成物中で、さらに少なくとも1個の成分e)が、
)走査型電子顕微鏡で測定された平均粒径0.005〜0.3μmを有する、粒子の形の少なくとも1個の無機化合物、
)少なくとも1個の滑剤、
)少なくとも1個の有機性腐食抑制剤、
)少なくとも1個のさび止め顔料、
)合成樹脂の中和および/また立体安定化のための少なくとも1個の薬剤、
)少なくとも1個の有機溶剤、
)少なくとも1個のシロキサン、
)少なくとも1個の長鎖アルコール、および
)少なくとも1個の表面活性剤
からなる群から選択される、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
有機性フィルム形成剤が、少なくとも1個のポリマーおよび/または少なくとも1個のコポリマーからなる合成樹脂混合物であり、この場合、これらは、アクリレート、エポキシド、エチレン、尿素−ホルムアルデヒド、フェノール、ポリエステル、ポリウレタン、スチレン、スチレン−ブタジエンおよび/またはビニルをベースとする合成樹脂を含む、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
有機性フィルム形成剤が、さらに合成樹脂として、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール、ポリビニルピロリドンおよび/またはポリアスパラギン酸をベースとする、有機性ポリマー、コポリマーおよび/またはこれらの混合物、特にリン含有ビニル化合物とのコポリマーを含有する、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
合成樹脂の酸性基を、アンモニア、アミン、たとえばモルホリン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミンまたはトリエタノールアミンおよび/またはアルカリ金属化合物、たとえば水酸化ナトリウムを用いて安定化させる、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
水性組成物が、有機性フィルム形成剤0.1〜980g/l、好ましくは2〜600g/lを含有する、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
水性組成物中の少なくとも1個のフッ素不含のシランの量が、これから形成される反応生成物を含んで、好ましくは0.05〜300g/lである、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
水性組成物中の少なくとも1個のフッ素含有シランの量が、これから形成される反応生成物を含んで、好ましくは0.01〜150g/lである、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1個の金属キレートが、アセチルアセトネート、アセト酢酸エステル、アセトネート、アルキレンジアミン、アミン、ラクテート、カルボン酸、クエン酸塩および/またはグリコールをベースとするキレート錯体から選択され、その際、水性組成物中の少なくとも1個のキレートの量は、場合によりこれから形成される任意の反応生成物を含んで、好ましくは0.1〜80g/lである、請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
無機化合物として、微細な粉体からなる粒子、分散液または懸濁液の形で、たとえば炭酸塩、酸化物、ケイ酸塩または硫酸塩を添加し、特にコロイド状および/または非晶質の粒子である、請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
粒子の形の無機化合物として、アルミニウム、バリウム、セリウム、カルシウム、ランタニウム、ケイ素、チタン、イットリウム、亜鉛および/またはジルコニウムの少なくとも1個の化合物をベースとする粒子を添加する、請求項1から16までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
滑剤として使用される少なくとも1個のワックスが、パラフィン、ポリエチレンおよびポリプロピレン、特に酸化ワックスから成る群から選択され、その際、水性組成物中のワックスの量は、好ましくは0.01〜5質量%である、請求1から17までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
被覆が、乾燥およびフィルム形成によって部分的に製造され、および/または化学線照射、カチオン重合および/または熱架橋によって硬化される、請求項1から18までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
水性組成物が、少なくとも1個の添加剤、特に少なくとも1個の殺生物剤、少なくとも1個の消泡剤および/または少なくとも1個の湿潤剤から選択された少なくとも1個の添加剤を含有する、請求項1から19までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
被覆された金属表面を、20〜400℃の強制空気温度で乾燥させる、請求項1から20までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
水性組成物が、ロール塗布、流し塗、ナイフ塗布、スプレー塗布、噴霧、はけ塗りまたは浸漬によって塗布され、かつ場合によってはその後にローラーを用いて圧搾される、請求項1から21までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
それぞれの場合において、印刷インク、フィルム、顔料、顔料様材料、粉末塗料材料、接着剤および/または接着裏塗りの少なくとも1個の被覆を、乾燥させ、かつ場合により硬化させたフィルムに塗布する、請求項1から22までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
被覆された金属部品、ストリップまたはストリップ部分が形成され、ラッカー塗布され、ポリマー、たとえばPVCで被覆され、印刷され、結合され、熱はんだ付けされ、溶結されるか、および/または、たとえば、クリンチングまたは他の接合技術によって、他の成分または他の要素と一緒に連結される、請求項1から23までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
金属表面のさらなる被覆の前処理の目的のため、あるいは、金属表面を処理するための水性組成物において、この組成物が、水に加えて、
a)少なくとも1個の加水分解可能であるか、および/または少なくとも部分的に加水分解されたフッ素不含のシラン、ならびに
b)少なくとも1個の加水分解可能であるか、および/または少なくとも部分的に加水分解されたフッ素含有シラン、
c)少なくとも1個の金属キレートおよび/または
d)少なくとも1個のオリゴマー/ポリマー/コポリマー
を含有し、
その際、濃縮物または浴中での、成分d)のモノマー/オリゴマー/ポリマー/コポリマーと、a)とb)のシランとの比が0.1:1〜10:1の範囲であり、
その際、a)とb)との比が、それぞれの場合において、これらから形成される反応生成物を含んで、好ましくは1:0.01〜1:4であり、かつ、
その際、組成物中のシランは水溶性であるか、あるいは、特に(他の)加水分解反応および/または化学反応により水溶性になる、水性組成物。
【請求項26】
ワイヤ、ストリップ、シートまたはワイヤ巻きのための部品、ワイヤメッシュ、スチールストリップ、金属薄板、パネル、シールド、車体または車体の部品、車体の一部、トレーラー、移動住宅、ミサイル、カバー、ケーシング、ランプ、ライト、交通信号灯、家具または家具材料、家庭用設備材料、フレーム、プロフィール、複雑な形状の鋳造物、案内標識灯、ラジエーター要素または塀の材料、バンパー、少なくとも1個の管および/またはプロフィールの部分またはこれを含むもの、窓枠、ドア枠または自転車フレームまたは小さい部品、たとえばボルト、ナット、フランジ、スプリングまたはメガネフレームとしての、請求項1から25までのいずれか1項に記載の方法によって被覆された支持体の使用。
【請求項27】
前被覆、たとえば化成被覆に適用される後水洗剤溶液として、および/または、明色腐食防止剤のための組成物としての、請求項1から25までのいずれか1項に記載の組成物の使用。

【公表番号】特表2006−519924(P2006−519924A)
【公表日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501944(P2006−501944)
【出願日】平成16年2月25日(2004.2.25)
【国際出願番号】PCT/EP2004/001830
【国際公開番号】WO2004/076718
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(500399116)ヒェメタル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (32)
【氏名又は名称原語表記】Chemetall GmbH
【住所又は居所原語表記】Trakehner Str. 3, D−60487 Frankfurt am Main,Germany
【Fターム(参考)】