説明

局所用外部寄生虫駆除剤組成物

全組成物に基づいて少なくとも60%(w/v)のトリグリセリドを含む、昆虫成長制御剤及び少なくとも1種のC−C12中鎖トリグリセリドを含む局所用外部寄生虫駆除剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昆虫成長制御剤を含む局所適用のための外部寄生虫駆除剤(ectoparasiticide)組成物、及び外部寄生虫の成熟を低下させるか又は抑制するための治療方法におけるその使用に関する。特に、局所用組成物は、ノミ及びダニが寄生する動物におけるノミ及びダニの成熟を低下させるか又は抑制するための治療方法で使用することができる。
【背景技術】
【0002】
メトプレン、ハイドロプレン、キノプレン、フェノキシカルブ、ピリプロキシフェン、シロマジン、ジミリン(dimilin)及びノバルロンのような昆虫成長制御剤(IGR)は、キチン合成を阻害するか又は寄生虫の卵及び幼虫のような未成熟期から成体への発達を抑制する殺虫剤の類である。
【0003】
昆虫成長制御剤で処置することのできる一般的な外部寄生虫駆除剤(ectoparasiticides)には、ノミ及びダニ、例えばノミ目及びネコノミ(Ctencephalides felis)及びイヌノミ(Ctencephalides Canis)、ピュレックス・イリタンスのようなヒトノミ、ケオプスネズミノミのようなネズミノミならびにウシのダニ(例えばオウシマダニ)及びイヌのダニ(クリイロコイタマダニ(Rhipicephali Sanguineus))のようなダニが含まれる。
【0004】
局所用外部寄生虫駆除剤組成物は公知であり、スポットオン製品の形態であり得る。一般に、ほんの数ミリリットルのこのような外部寄生虫駆除剤含有スポットオン製品を動物の背中の局部に投与する。適用後24時間で、その動物の皮膚表面は完全にその外部寄生虫駆除剤(ectoparsiticide)によって保護される。適用されると、殺虫剤は皮膚表面に吸着し、皮膚皮脂で可溶化されて、そこからそれは拡散により表面に沿って広がると考えられる。殺虫剤のリザーバは皮脂腺に形成されると考えられ、それによって長期間にわたる薬物の供給、例えば6〜8週間の保護をもたらす。
【0005】
ダニに効果的であるメトプレンを含有する処方薬の例としては、水性/極性溶媒メトプレン組成物を記載している米国特許第5,194,264号が挙げられる。米国特許第6,492,419号には、沈殿防止剤、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤又はそれらの混合物、及び水性担体を含むビヒクル中に昆虫成長抑制剤(IGR)を含む組成物が開示されている。
【0006】
メトプレンとフィプロニルを組み合わせたスポットオン製品が存在する(Frontline(商標)Plus)。この製品は、特に動物の皮膚表面で、両製品をエタノールならびに、ポビドン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及び安定性のために必要とされ、かつ活性剤(actives)の結晶化(crytalisation)を抑制するための抗酸化剤を含む多数の賦形剤中で可溶化する。
【0007】
公知の製剤は、一般に活性剤(IGR)が処置された動物の皮膚表面で析出することを防ぐ安定した組成物を提供するために、溶媒の混合物及び/あるいは1又はそれ以上の結晶化抑制剤の存在を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,194,264号明細書
【特許文献2】米国特許第6,492,419号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、好ましくはアジュバント及び/又は結晶化抑制剤が溶媒系に存在することを必要とせず、さらに数週間処置したヒト又は動物の表面にわたって有効なレベルの殺虫剤活性をもたらす昆虫成長制御剤(特にメトプレン)を含むヒト又は動物に適用するための安定した局所用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様では、組成物が全組成物に基づいて少なくとも60%(w/v)のトリグリセリドを含む、昆虫成長制御剤及び少なくとも1種のC−C12中鎖トリグリセリドを含む局所用外部寄生虫駆除剤(ectoparasiticide)組成物が提供される。
【0011】
本発明の第2の態様では、治療によるヒト又は動物身体の処置方法で使用するための、本明細書に記載される組成物が提供される。
【0012】
本発明の第3の態様では、組成物が動物の皮膚に局所適用される、動物の皮膚における幼若外部寄生虫の成熟を低下させるか又は抑制するための処置方法で使用するための、本明細書に記載される組成物が提供される。
【0013】
本発明の第4の態様では、動物の皮膚又は動物の環境における幼若外部寄生虫の成熟を低下させるか又は抑制するための、本明細書に記載される組成物の使用が提供される。
【0014】
本発明の第5の態様では、本明細書に記載される組成物を含有する少なくとも1つの容器、ならびに抗酸化剤及びその他の活性剤(actives)から選択される少なくとも1種のアジュバントを含有する少なくとも1つの容器を同じ包装中に別々に含むキットが提供される。
【0015】
本発明者らは、驚くことに、少なくとも60%(w/v)の前記少なくとも1種の(least one)C−C12中鎖トリグリセリドを含む溶媒を用いることにより、追加のアジュバント又はさらなる結晶化抑制剤を含める必要なく安定した局所用組成物を生成することができることを見出した。結晶化抑制剤を含まない安定した局所用組成物を形成することは、その製品を容易に、迅速に、かつ安価に製造することができ、その上さらに外部寄生虫の減少又は除去のための効率的かつ効果的な局所用組成物を提供することができるので有利である。驚くことに、そのような組成物は、たとえ追加の結晶化抑制剤が存在しなくても、適用後に動物の皮膚で結晶化しないことが見出された。これらの組成物が優れた貯蔵性(strageability)を有することも見出された。さらに、これらの組成物は、適用部位で皮膚刺激を引き起こさないか又は低減させる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書において規定される各々の態様は、それとは反対に明示されている場合を除いて任意のその他の1又は複数の態様と組み合わせてもよい。特に、好ましい又は有利であるとして示される特徴は、任意のその他の1又は複数の好ましい又は有利であるとして示される特徴と組み合わせてもよい。
【0017】
好ましくは、昆虫成長制御剤は、メトプレン、ハイドロプレン、キノプレン、フェノキシカルブ、ピリプロキシフェン、シロマジン、ジミリン(dimilin)、ノバルロン及びそれらの2又はそれ以上の混合物から選択される。最も好ましくは、昆虫成長制御剤はメトプレンである。
【0018】
昆虫成長制御剤は、0.1%〜100%(重量/容積)w/vで存在してもよく、好ましくは、それは1〜40%w/v、より好ましくは5〜20%、最も好ましくは8〜15%w/vで存在し、さらにより好ましくは、それは12%w/vで存在する。
【0019】
本明細書において使用される用語「C−C12中鎖トリグリセリド」には、6〜12個の炭素原子をその鎖中に含む、すべての医薬的又は獣医学的に許容される飽和もしくは不飽和脂肪族トリグリセリドが含まれる。
【0020】
−C12中鎖トリグリセリドは、単一のトリグリセリドであっても、その2又はそれ以上の混合物であってもよい。例は、C、C、C10及び/又はC12鎖トリグリセリドである。適したトリグリセリドは、Neobee油、ココナッツ油及びパーム核油である。
【0021】
好ましくは、中鎖トリグリセリドは綿実油に由来する。
【0022】
好ましくは、本組成物は、少なくとも80%(w/v)、より好ましくは少なくとも90%(w/v)の少なくとも1種の(least one)中鎖トリグリセリドを含む。本組成物は、全組成物に基づいて少なくとも80%(w/v)、より好ましくは少なくとも90%(w/v)の、特定の中鎖トリグリセリド、例えば、C、C、C10又はC12鎖トリグリセリドを含んでもよい。本組成物は、全組成物に基づいて少なくとも80%(w/v)、より好ましくは少なくとも90%(w/v)の少なくとも2種又はそれ以上の中鎖トリグリセリドを含んでもよい。
【0023】
好ましくは、本発明の組成物は、非水性組成物である。好ましくは、本組成物は全組成物に基づいて1%(w/v)未満、より好ましくは0.5%(w/v)未満の水を含む。最も好ましくは、本組成物は水を全く含まない。
【0024】
その他の適した溶媒が局所用組成物中に存在してもよい。適したその他の溶媒としては、限定されるものではないが、アセトン、アセトニトリル、ベンジルアルコール、ブチルジグリコール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、エタノール、イソプロパノール、メタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、モノメチルアセトアミド、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリオキシエチレングリコール、プロピレングリコール、2−ピロリドン、特にN−メチルピロリドン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール、フタル酸ジエチル、及びそれらの2又はそれ以上の混合物が挙げられる。好ましいさらなる溶媒は、エタノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、又はブタノールである。
【0025】
好ましくは、本発明の組成物は結晶化抑制剤を含まない。それにより組成物をより安価かつ効率的に製造することができ、一方でその組成物がなお効果的であるという利点がある。
【0026】
有利には、本発明の組成物は、全組成物に基づいて25%(w/v)未満の結晶化抑制剤、より好ましくは10%(w/v)未満、より好ましくはさらに1%(w/v)未満の結晶化抑制剤を含む。
【0027】
本明細書において使用される用語「結晶化抑制剤」は、組成物中の昆虫成長制御剤の結晶形成を抑制する薬剤又は物質を意味するために使用され得る。結晶化抑制剤は、好ましくは、10%(w/v)の抑制剤を含む組成物10mlを20℃のスライドガラスに24時間入れる試験に対応する。次に、スライドを裸眼で観察する。許容される抑制剤は、添加することにより結晶をわずかしか又は全くもたらさない、特に10未満の結晶、好ましくは5未満の結晶、より好ましくは0未満の結晶しかもたらさない。本明細書において使用される用語「結晶化抑制剤」には、脂肪酸、又はC−C24脂肪酸を含まない。
【0028】
代替実施形態では、本発明の組成物は少なくとも1種の結晶化抑制剤を含んでもよい。適した結晶化抑制剤は当分野で公知であり、それには、限定されるものではないが、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルとビニルピロリドンの共重合体、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、マンニトール、グリセロール、ソルビトール、ポリオキシエチル化ソルビタンエステル;レシチン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース;アクリル酸誘導体、例えばメタクリル酸エステルなど、アルキル硫酸塩、特にラウリル硫酸ナトリウム及びセチル硫酸ナトリウム;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム;陽イオン性界面活性剤、例えば式NR’R’’R’’’R’’’’Yの水溶性第四級アンモニウム塩(式中、基Rは、炭化水素基であり、場合によりヒドロキシル化された炭化水素基でもよく、Yは強酸のアニオン、例えばハロゲン化物アニオン、硫酸アニオン及びスルホン酸アニオンである);使用することのできる陽イオン性界面活性剤の一つであるセチルトリメチルアンモニウム臭化物、基Rが場合によりヒドロキシル化炭化水素基である式NR’R’’R’’’のアミン塩;使用することのできる陽イオン性界面活性剤の一つであるオクタデシルアミン塩酸塩、非イオン性界面活性剤、例えば場合によりポリオキシエチル化されたソルビタンエステル、特にポリソルベート80、ポリオキシエチル化アルキルエーテル;ステアリン酸ポリエチレングリコール、ヒマシ油のポリオキシエチル化誘導体、ポリグリセロールエステル、ポリオキシエチル化脂肪アルコール、エチレンオキシドと酸化プロピレンの共重合体、両性界面活性剤、例えばラウリル置換ベタイン化合物、あるいは、好ましくはこれらの結晶化抑制剤の少なくとも2種の混合物が挙げられる。好ましくは、結晶化抑制剤は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール及び/又はレシチンである。
【0029】
本組成物は、抗酸化剤及びその他の活性剤から選択される少なくとも1種のアジュバントを含んでもよい。
【0030】
適した抗酸化剤としては、限定されるものではないが、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン、アスコルビン酸、α、βもしくはγトコフェロール、メタ重亜硫酸ナトリウム、没食子酸プロピル、チオ硫酸ナトリウム、及びそれらの2又はそれ以上の混合物が挙げられる。好ましい抗酸化剤は、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)及びブチル化ヒドロキシトルエンである。抗酸化剤の添加は組成物の貯蔵寿命を延長させるのに有利であり得る。
【0031】
好ましくは、組成物中に抗酸化剤は全組成物に基づいて0.005〜1%(w/v)、より好ましくは0.01〜0.05%(w/v)の濃度で存在する。
【0032】
その他の活性剤は、その他のフェニルピラゾール、スピノサド、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、ステロイド系抗炎症薬、大環状ラクトン、ミルベマイシンオキシム、昆虫成長制御剤、キチン合成阻害剤及びRNA阻害剤の1又はそれ以上から選択されてもよい。
【0033】
適した非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)としては、限定されるものではないが、イブプロフェン、カルプロフェン、メロキシカム及びアセトアミノフェンが挙げられる。
【0034】
適したステロイド系抗炎症薬としては、限定されるものではないが、コデイン、コルチゾン及びヒドロコルチゾンが挙げられる。
【0035】
ミルベマイシンオキシムの例としては、限定されるものではないが、アベルメクチン、イベルメクチン、セラメクチン、モキシデクチン、アバメクチン及びドラメクチンが挙げられる。
【0036】
適した昆虫成長制御剤としては、限定されるものではないが、メトプレン、ピリプロキシフェン、キノプレン及びフェノキシカルブが挙げられる。
【0037】
キチン合成阻害剤の例としては、限定されるものではないが、トリフルムロン、ルフェヌロン、クロロフルアズロン及びフルアズロンが挙げられる。
【0038】
その他の活性剤の適当量は、当該活性剤によって決まる。一般にその他の活性剤は、全組成物に基づいて0.1〜30%(w/v)、好ましくは5〜20%(w/v)の濃度で存在してもよい。
【0039】
その他の活性剤としては、本発明の組成物とともに皮膚に噴霧する、吹きかける、又は塗ることのできる薬剤が挙げられる。これらには、例えば、スプレー缶に必要な従来型の噴射ガス、例えばプロパン、ブタン、ジメチルエーテル、CO、又はハロゲン化低級アルキルガス(例えば、ハロゲン化C−Cアルキル)、及びそれらの2又はそれ以上の混合物が含まれる。
【0040】
本発明の一実施形態では、組成物は、昆虫成長制御剤及び少なくとも1種のC−C12中鎖トリグリセリドを含む溶媒からなる。
【0041】
本発明に従う組成物は、通常、上記定義の構成成分を単に混合することにより調製される。有利には、まず始めに、昆虫成長制御剤を主な溶媒の中に混合し、その他の成分又はアジュバントをその後に添加する。
【0042】
本発明に従う組成物は、一般にペット、特にネコ及びイヌを対象とするものであり、一般に皮膚に付着させることにより適用される(「スポットオン」又は「ポアオン」適用)。これは一般に表面積が10cm未満、一般に5〜10cmの間の領域への限局性の適用である。組成物は、例えば、1、2又はそれ以上の地点に適用されてもよく、その地点は好ましくは動物の両肩の間に限局化される。付着後、組成物は、特に動物の全身にわたって拡散し、その後に乾燥し、結晶化や外見は変化しない(特に白色付着物も埃っぽい外見もない)又は毛の手触りが変化しない。本発明の組成物はスポットオン式製剤であってもスプレー式製剤であってもよい。
【0043】
本発明の組成物は、動物へのスポットオン適用のための濃縮されたエマルジョン、マイクロエマルジョン、懸濁液、又は溶液の形態であってもよい。次に好ましい実施形態では、本組成物は、スプレー、ポアオン型のエマルジョン、マイクロエマルジョン、懸濁液、又は溶液、オイル、クリーム、軟膏、あるいは任意のその他の局所投与用液体製剤の形態であってもよい。
【0044】
本発明に従う組成物は、その有効性、その作用速度ならびに適用及び乾燥させた後の動物の毛の外見が好ましいという理由で特に有利である。
【0045】
本発明の組成物は4週間ごとに、又はさらにより好ましくは小型の動物、例えばネコ及びイヌなどには8又は12週間ごとに投与することがより好ましい。
【0046】
イヌに適用する量は、一般に0.25〜3mlであり、ネコに適用する量は一般に0.25〜1mlである。
【0047】
本発明の組成物は、ヒト、大型及び小型動物、鳥類及び爬虫類への昆虫の外寄生を処置するために用いることができる。好ましくは処置される動物は、ヒト、ウシ、ウマ、鳥又は小型動物である。最も好ましくはそれはネコ又はイヌである。処置される動物が大きいほど、適用するべき組成物の投与量容積は多くなる。本発明の組成物は、イヌ及びネコへの投与に特に適している。
【0048】
本発明の組成物は、動物の体重1kgあたり1〜30mg/kgの昆虫成長制御剤、より好ましくは5〜25mg/kg、より好ましくはさらに10〜20mg/kgの用量を提供するために投与されることが好ましい。
【0049】
本発明の組成物は、動物から成熟した外部寄生虫(entoparasites)を除去するか又は減少させることにより、かつ、たとえ僅かであっても外寄生された動物に結果として引き起こされる刺激作用を、除去するか又は低下させることにより、動物の毛の外見及び質感を改良するために使用することができる。本発明の一目的は、動物の毛又は皮膚に存在する成熟寄生虫を減少させるか又は除去することにより動物の毛及び皮膚を清浄する非治療的な方法を提供することである。処置された動物の毛はより一層好ましい外観及び手触りを有する。
【0050】
さらに、本発明の組成物は、ノミまたさらにはダニのような幼若外部寄生虫の成熟を抑制するか又は低下させるために予防的に使用することができる。本組成物を用いて、昆虫(例えばダニ)を例えば寝具、カーペット、床及び壁のような動物環境から根絶又は減少させるために、処置された動物を媒介動物として使用することができる。
【0051】
一実施形態では、本発明は、治療的処置を提供し、組成物は、組成物を動物の皮膚に局所的に適用する、動物の皮膚における幼若外部寄生虫の成熟を抑制するための処置方法において使用することができる。本明細書に記載されるプロセスは、外部寄生虫、特にダニを抑制するために使用することができる。
【0052】
本発明の一態様では、動物の皮膚における幼若外部寄生虫の成熟を抑制するか又は低下させるための薬物の製造における本明細書に記載される組成物の使用が提供される。
【0053】
さらなる実施形態において、本発明は、動物の皮膚における幼若外部寄生虫の成熟を抑制するか又は低下させるための方法を提供し、該方法は、本明細書において規定される局所用組成物を動物の皮膚に適用することを含む。好ましくは、局所用組成物はスポットオン組成物の形態である。好ましくは、組成物は動物の両肩の間に適用される。好ましくは、動物はイヌ又はネコである。好ましくは、組成物はメトプレンを含む。好ましくは、組成物は単位剤形で適用される。
【0054】
本発明の一態様では、本明細書において規定される組成物を含有する少なくとも1つの容器、ならびに抗酸化剤及びその他の活性剤から選択される少なくとも1種のアジュバントを含有する少なくとも1つの容器を同じ包装中に別々に含むキットが提供される。その他の活性剤は、フェニルピラゾール、スピノサド、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、ステロイド系抗炎症薬、大環状ラクトン、ミルベマイシンオキシム、その他の昆虫成長制御剤、キチン合成阻害剤及びRNA阻害剤の1又はそれ以上から選択される。好ましくは、その他の活性剤は昆虫成長制御剤である。
【0055】
場合により、さらなる活性薬剤を、本発明の局所用組成物の適用と同時に、適用前に、又は適用後に動物の皮膚に適用することができる。このさらなる活性薬剤は、本発明の組成物と同じ又は異なる動物部位に適用することができる。好ましくは、このさらなる活性剤は、昆虫成長制御剤である。その他の活性剤は、フェニルピラゾール、スピノサド、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、ステロイド系抗炎症薬、大環状ラクトン、ミルベマイシンオキシム、その他の昆虫成長制御剤、キチン合成阻害剤及びRNA阻害剤の1又はそれ以上から選択されてもよい。このさらなる活性剤は、同時に又は交互に適用されてもよい。例えば、活性剤は、2種の活性剤を含有する組成物を別々に収容するが、活性剤の一方又は両方を同時に又は交互に制御放出することを可能にする二重適用器を用いて適用してもよい。
【0056】
以下の限定されない実施例を参照して本発明をさらに説明する。
【0057】
次の濃度(W/V)を含有する、本発明に従う組成物を製造した:
【実施例1】
【0058】
メトプレン 12%(w/v)
Neobee油 q.s.(十分な量)100%
皮膚耐性試験:
ネコ及びイヌにおいて皮膚耐性試験を実施した。
刺激作用は観察されなかった。
結晶化は観察されなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昆虫成長制御剤及び少なくとも1種のC−C12中鎖トリグリセリドを含む局所用外部寄生虫駆除剤組成物であって、前記組成物が全組成物に基づいて少なくとも60%(w/v)のトリグリセリドを含む、組成物。
【請求項2】
全組成物に基づいて少なくとも80%(w/v)のトリグリセリドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
全組成物に基づいて少なくとも90%(w/v)のトリグリセリドを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
組成物が昆虫成長制御剤及びトリグリセリドからなる、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
トリグリセリドが、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸若しくはラウリン酸トリグリセリド又はそれらの2若しくはそれ以上の混合物を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記昆虫成長制御剤が、メトプレン、ハイドロプレン、キノプレン、フェノキシカルブ、ピリプロキシフェン、シロマジン、ジミリン、ノバルロン及びそれらの2又はそれ以上の混合物から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記昆虫成長制御剤がメトプレンである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
抗酸化剤及びその他の活性剤から選択される少なくとも1種のアジュバントを含む、請求項1から3又は5から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記その他の活性剤が、フェニルピラゾール、スピノサド、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、ステロイド系抗炎症薬、大環状ラクトン、ミルベマイシンオキシム、その他の昆虫成長制御剤、キチン合成阻害剤及びRNA阻害剤の1又はそれ以上から選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記昆虫成長制御剤が、全組成物に基づいて0.1〜40%(w/v)の濃度で存在する、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
動物用のスポットオン又はスプレー式製剤の形態である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
治療によるヒト又は動物身体の処置方法で使用するための、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
動物の皮膚における幼若外部寄生虫の成熟を低下させるか又は抑制するための処置方法で使用するための請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物であって、前記組成物が前記動物の皮膚に局所適用される、組成物。
【請求項14】
動物の皮膚における幼若外部寄生虫の成熟を低下させるか又は抑制するための薬物の製造における、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項15】
動物の皮膚又は動物の環境における幼若外部寄生虫の成熟を低下させるか又は抑制するための、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項16】
請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物を含有する少なくとも1つの容器、ならびに抗酸化剤及びその他の活性剤から選択される少なくとも1種のアジュバントを含有する少なくとも1つの容器を同じ包装中に別々に含むキット。
【請求項17】
前記その他の活性剤が、フェニルピラゾール、スピノサド、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、ステロイド系抗炎症薬、大環状ラクトン、ミルベマイシンオキシム、その他の昆虫成長制御剤、キチン合成阻害剤及びRNA阻害剤の1又はそれ以上から選択される、請求項16に記載のキット。

【公表番号】特表2011−515347(P2011−515347A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−550259(P2010−550259)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【国際出願番号】PCT/GB2009/000669
【国際公開番号】WO2009/112837
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(311002687)ノーアブルック ラボラトリーズ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】