説明

屈曲された接触部分を有するバッテリーセル

バッテリーセル(1)、特にフラットバッテリーセルであって、少なくとも一つの電気的セルを収容するための少なくとも一つのジャケット(2)と、少なくとも一つのベース部分(4)と、少なくとも一つの接触部分(5)とを有する少なくとも一つの電流導体(3)と、を含むバッテリーセルにおいて、前記接触部分(5)は前記ベース部分(4)に対して屈曲されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーセルに関する。当該バッテリーセルは特に、フラットバッテリーセルとして形成されている。このようなバッテリーセルはジャケットを含んでおり、当該ジャケット内に、少なくとも一つの電気的セルが収容されている。この場合、電気的セルは一次電池セル、すなわち充電できないバッテリーセルであり得るが、二次電池セル、すなわち充電可能なバッテリーセルとしても形成され得る。電流導体は当該電気的セルの電極と、電導的に接合されている。このようなバッテリーセルは特に電気的に駆動される車両において用いられる。
【背景技術】
【0002】
図1および2に基づいて、従来技術を説明する。図1は二つのバッテリーセル1を示しており、当該バッテリーセルはそれぞれ、電流導体3を有しており、当該電流導体はバッテリーセル1の外部に対する接続部を形成している。第二の電流導体は図示されていない。電流導体3はベース部分4を有しており、当該ベース部分はバッテリーセル1のジャケット2から延伸している。電流導体3はさらに接触部分5を有しており、当該接触部分は第二のバッテリーセル1の接触部分5と接触させることができる。二つのバッテリーセル1の接触部分5同士は、溶接トング25を用いて互いに溶接され得る。当該溶接トングの二つのアームが図に示されている。溶接トング25の下方アームは、二つのバッテリーセル1の電流導体3とジャケット2とによって形成されているスリーブ状の空間内に延在している。
【0003】
図2は従来技術のさらなる構成を示している。バッテリーセル1は電流導体3を有しており、当該電流導体は平らに形成されている。互いに隣接するように設けられている二つのバッテリーセル1の接触部分5を電気的に接合するために、二つの接触部分5の間の間隙内に、さらなる電導的な接触要素26が設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、改良されたバッテリーセルを製造することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が解決すべき課題は、バッテリーセル、特に、フラットバッテリーセルであって、少なくとも一つの電気的セルを収容するための少なくとも一つのジャケットと、少なくとも一つのベース部分および少なくとも一つの接触部分を有する、少なくとも一つの電流導体とを含んでおり、当該接触部分が当該ベース部分に対して屈曲されている、バッテリーセルによって解決される。
【0006】
この場合、前記接触部分は好適に、前記電流導体を、外部構成部材、特に接合要素または接合スリーブと電気的に接合するために用いられる。接触部分はまた、隣接するバッテリーセルの接触部分と間接的または直接的に接触させられ得る。それによって、二つのバッテリーセルの間に電気的な接続が得られる。このとき前記電流導体の前記ベース部分は、当該電流導体が前記ジャケットから延伸する領域を成している。ベース部分と接触部分との間を屈曲させることによって、当該接触部分は、接続可能性を向上させるために好適な幾何学的位置に設けられ得る。
【0007】
この場合、前記接触部分は好適に、前記ベース部分に対して屈曲軸を中心として屈曲されており、当該屈曲軸はバッテリーセルのモジュール方向に対して平行に設けられている。角柱型バッテリーセルのモジュール方向はこのとき、当該バッテリーセルの最長の境界縁の向きによって規定され得る。角柱型のセルのモジュール方向はこのとき、側面に対する垂線によっても規定され得る。その場合、基準面として好適に、側面であって、当該側面を介して前記ベース部分が前記ジャケットから延伸する側面が参照される。丸型バッテリーセルにおけるモジュール方向はこのとき、長手軸であって、当該長手軸に接して当該丸型バッテリーセルの円筒形の外面が平行に延在している長手軸によって規定され得る。モジュール方向はこのとき、バッテリーセルの前記ジャケットの平面部分であって、当該平面部分を前記ベース部分が貫通している平面部分を通る垂線によっても規定され得る。
【0008】
接触部分が、ベース部分に対して、バッテリーセルのモジュール方向に延在している屈曲軸を中心として屈曲されていることによって、当該接触部分に接して設けられる接触面は、モジュール方向に対して平行に配向されている。このとき二つの接触部分を接合するために用いられ得る器具は、特にモジュール方向に移動させることによって、当該接触部分に接近させられ得るが、このとき短い経路しか移動してはならない。このとき前記器具を支持する器具アームは、短く形成されていてよい。器具は溶接トングであってよい。器具アームは溶接トングのアームであってよい。
【0009】
上記のような屈曲によって、接触面を支持する接触部分は、隣接するバッテリーセルの方に向いていてよい。当該隣接するバッテリーセルは、バッテリーセルの最大側面に当接している。特に、隣接するバッテリーセル同士の接触部分が対向している場合、当該接触部分を接触させることが容易になるとともに、特に材料と重量を節約する結果につながる。
【0010】
接触部分は好適に、ベース部分に対して略直角に屈曲されている。直角あるいは垂直であるという概念は、基本的に広く解釈すべきであり、特に正確に90°から、15°までの誤差を含んでいる。好適に、隣接して設けられているバッテリーセルの、互いに当接する二つの接触部分の屈曲の値の合計は180°である。これにより、接触部分は互いに平行に配向され得る。
【0011】
電流導体は好適に、少なくとも二つの接触部分を有している。当該接触部分は同一に形成されていてよい。
【0012】
電流導体は好適に、略L字形状を有しており、特に、一つの脚部がベース部分によって形成され、一つの脚部が接触部分によって形成されている。この場合、当該脚部は特に細長く形成されており、好適に互いに垂直に設けられている。当該脚部は、好適に平坦に形成されている。
【0013】
さらなる構成において、前記電流導体はU字形状を有し得る。当該U字形状は好適に、ベース部分と、当該ベース部分の側方にそれぞれ設けられた接触部分とによって形成されている。このとき当該接触部分は好適に、前記ベース部分の互いに向き合う領域に設けられている。二つの接触部分は好適に、それぞれ屈曲軸を介してベース部分に対して屈曲されており、二つの接触部分は好適に互いに平行に設けられている。
【0014】
接触部分は好適に、ベース部分から、バッテリーセルの最大側面に対して垂直に延びる方向に延在している。角柱型バッテリーセルまたは丸型セルにおいて、最大側面とは、量的に最大の表面積を有している側面であってよい。
【0015】
丸型セルにおいて、モジュール方向は、バッテリーセルの好ましくは円筒形の境界面にわたる基礎円に対して垂直であり得る。この場合、モジュール方向は、円筒形の面に対して平行、特に同軸的である。
【0016】
接触部分は好適に、ベース部分に対して平行に設けられている。これは特に、電流導体の特に二つの屈曲軸を中心として複数回の屈曲を行うことによって実現される。当該屈曲軸は、互いに平行に設けられていてよい。当該屈曲軸は、モジュール方向に対して垂直に配向されていてよい。この場合、接触部分は好適に、ベース部分に対して距離を有して設けられている。ベース部分と接触部分との間には、接合ブリッジが設けられ得る。ベース部分と接触部分は、当該接合ブリッジを起点として同一の方向を向いていてよい。接合ブリッジとベース部分の間の屈曲は、接触部分と接合ブリッジの間の屈曲と、同一の方向を中心として行われ得る。電流導体は好適にU字形状を有し得る。当該U字形の外側脚部は、ベース部分と接触部分とによって形成されていてよい。当該U字形の底部は接合ブリッジによって形成されていてよい。当該接合ブリッジは、ベース部分および/または接触部分に対して垂直に設けられ得る。接触部分は好適に、ベース部分が、当該ベース部分に平行に設けられているバッテリーセルの側面に対して有している距離に少なくとも相当する長さの分だけ、少なくともベース部分から離間しており、これによって接触部分は少なくとも、当該接触部分がバッテリーセルの側面と一列に並ぶか、あるいは特に当該側面から突出するようなずれを有して、ベース部分から離間して設けられる。これによって接触部分は、特に同様に形成され、かつ、隣接して設けられているバッテリーセルの接触部分と容易に接触させることができ、そのためにさらなる構成部材、特に隙間を埋める接合要素を必要としない。このようにして全体的に、部材の数および、それとともに重量および取り付けコストを減少させることができる。
【0017】
接触部分は好適に鋸歯状構造を有し得る。鋸歯状構造はこの場合、特に溶接接合によって作り出される複数の異なる接合点が存在するという有利点を供する。さらに、特にバッテリーセルに作用する引張応力であって、特に接触部分に作用するせん断応力として顕現する引張応力は、少なくとも部分的に垂直抗力成分に分配される。これにより、接触部分の接合の疲労強度が高められる。さらに、当該接触部分の接触面は、鋸歯状構造によって量的に増大する。この意味において、隣接するバッテリーセルを接合するために、拡大された接触面を用いることができる。
【0018】
接触部分は好適に、少なくとも一つの貫通穴を有している。当該貫通穴を介して牽引手段を導入することができ、当該牽引手段はベース部分および/またはバッテリーセルを他の構成部材と締結することを可能にする。ベース部分は好適に、第一の位置確定手段、特に少なくとも一つ、特に二つの位置確定穴を有している。当該位置確定手段は、他の構成部材、特に絶縁要素が、電流導体および/またはバッテリーセルに対して位置を確定され得るために用いられる。当該位置確定手段は、取り付け器具の位置を確定するためにも用いられ得る。
【0019】
ベース部分と接触部分との間に、好適に少なくとも一つのスペーサが設けられている。当該スペーサは所定の距離および/または所定の向き、特にベース部分と接触部分との角の配向を保つために用いられる。
【0020】
この場合スペーサは、ベース部分か、接触部分かのどちらかに個々に作用する力を、それぞれ当該二つの要素のうちの他方に伝達することができる。当該スペーサは、電気的な絶縁を行う材料から製造されていてよい。当該スペーサは、電導性の材料から製造されていてよい。
【0021】
スペーサの幅は好適に、電流導体のつなぎ部分の長さに相当する。この場合、電流導体のつなぎ部分は、ベース部分と接触部分との間の接合ブリッジであってよい。スペーサは、接触部分とベース部分との間に設けられていてよい。
【0022】
本発明が解決すべき課題はまた、上記のバッテリーセルを少なくとも二つ含んでいるバッテリー構造体であって、隣接するバッテリーセル同士の接触部分が互いに電気的に、特に互いに直接的に接合されている、バッテリー構造体によって解決される。
【0023】
隣接するバッテリーセル同士の側面は、互いに直接的に当接し得る。隣接するバッテリーセル同士の側面の間には、熱伝導プレートが設けられていてよい。
【0024】
隣接するバッテリーセル同士の接触部分は好適に、互いに直接的に電気的に接合されており、特に溶接によって、特に超音波溶接によって接合されている。当該超音波溶接は、二つの接触部分を容易かつ確実に接合することを可能にする。
【0025】
隣接するバッテリーセル同士のU字形の電流導体は共同して、閉じた平面、特にリング状の閉じた周面を形成している。この場合特に、バッテリーセルのそれぞれ二つの接触部分は、それぞれ隣接するバッテリーセルの接触部分と、すなわち全体として二つの接触部分と接合されている。閉じた平面によって特に、互いに接合された電流導体の平面慣性モーメントは高くなり、従って当該互いに接合された電流導体は、外部から作用する力に対して高い剛性を有している。
【0026】
好適に、隣接するバッテリーセル同士のベース部分の間、特に電流導体同士のベース部分の間、特に閉じた平面内に、絶縁体が設けられている。当該絶縁体は、隣接して設けられている二つのバッテリーセルのベース部分の間のスペーサとして用いられ得る。その場合、当該スペーサは、電流導体に対して連続的に負荷をかける推力を、当該スペーサが吸収できるように配置され、それによって、バッテリーセルに対する電流導体部分の相対的な位置が保たれている。この点は特に、電流導体が牽引手段によって締結される場合に有利である。電流導体が、バッテリーセルに対する当該電流導体の相対的な位置において固定されていることによって、電流導体における機械的応力、特に、バッテリーセルへの接続部、あるいは、電流導体がバッテリーセルのジャケットから突き出している領域における機械的応力が回避される。絶縁体はまた、隣接するバッテリーセルの電流導体を絶縁するために用いられ得る。これは特に、当該絶縁体が、互いに導電接合されてはならない二つの電流導体の間に設けられている場合に有利である。絶縁体が、互いに電気的に接合可能な二つの電流導体の間に設けられている場合、絶縁体材料も導電性材料から製造されていてよい。この場合、当該絶縁体は特に機械的なスペーサとして用いられ、その際、電気的な絶縁は行わない。
【0027】
バッテリー構造体において、同種の絶縁体は、機械的なスペーサとしても、電気的な絶縁要素としても用いられ得る。これは部材の多様性を減らす結果となる。
【0028】
絶縁体は好適に、第二の貫通穴を有している。当該第二の貫通穴を貫通して、特に、電流導体と絶縁体とを互いに締結できる牽引手段が設けられ得る。絶縁体の第二の貫通穴は、電流導体の第一の貫通穴と同一の直径を有し得る。
【0029】
絶縁体は好適に、第二の位置確定手段、特に少なくとも一つの位置確定突起部、特に二つの位置確定突起部としての第二の位置確定手段を有している。このときバッテリーセルの第一の位置確定手段、特にバッテリーセルの電流導体の第一の位置確定手段は、絶縁体の第二の位置確定手段と係合され得る。特に、一つまたは複数の絶縁体の一つまたは複数の位置確定突起部、特に二つの位置確定突起部は、バッテリーセル、特に電流導体の一つまたは複数の位置確定穴、特に二つの位置確定穴に係合し得る。
【0030】
好適に連結棒が、貫通穴を貫通して設けられている。当該貫通穴は絶縁体および/またはバッテリーセル、特にバッテリーセルの電流導体に設けられ得る。これによって前記の構成部材は互いに締結され得る。
【0031】
本発明が解決すべき課題はまた、上記のバッテリー構造体を製造するための方法であって、以下のステップを含む方法、すなわち、バッテリー平面の側面を、隣接するバッテリーセルの側面に当接させるステップと、バッテリーセルの接触部分を隣接するバッテリーセルの接触部分と接合する、特に材料接続的に接合するステップと、を含む方法によって解決される。当該接触部分の接合は、好適に材料接続的な接合によって、特に溶接によって、特に超音波溶接によって行われる。当該バッテリーセルの側面同士は必ずしも接触する必要はない。当該側面の間には熱伝導プレートが設けられ得る。
【0032】
隣接するバッテリーセルの電流導体同士の間には、好適に、少なくとも一つの絶縁体、特に絶縁小棒体が設けられる。
【0033】
絶縁体とベース部分とは、共通の位置確定軸に沿って位置が確定され得る。このとき当該共通の位置確定軸は、同軸的に設けられるべき貫通穴を介して、ベース部分においても、絶縁体においても規定され得る。位置確定穴を貫通して牽引手段、特に連結棒が設けられ得、当該牽引手段を用いて、絶縁体と電流導体は互いに締結され得る。
【0034】
絶縁体は好適に電流導体に対して位置が確定され、特に電流導体の第一の位置確定手段は、絶縁体の第二の位置確定手段に係合される。このとき好適に絶縁体の位置確定突起部は、電流導体の位置確定穴に挿入され得る。
【0035】
バッテリーセルは好適に牽引手段、特に連結棒を介して互いに締結される。このとき好適に連結棒は、電流導体の第一の貫通穴、特に電流導体のベース部分の貫通穴と、絶縁体の第二の貫通穴とを貫通して設けられ得る。
【0036】
好適に器具構成部材、特に溶接器具の少なくとも一つのアームは、モジュール方向に沿って接触部分に近づけられ得る。
【0037】
本発明を以下の図面に基づいてより詳しく説明する。図面に示すのは以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】従来技術による二つのバッテリーセルの接触をa)側面図b)平面図として示す図である。
【図2】従来技術による二つのバッテリーセルの代替的な接触を側面図として示す図である。
【図3】本発明に係る複数のバッテリーセルを有して成る、本発明に係るバッテリー構造体を斜視的に示す図である。
【図4】本発明に係るバッテリー構造体における、本発明に係る二つの隣接するバッテリーセルを示す図である。
【図5】鋸歯状構造を有する接触部分を示す図である。
【図6】バッテリー構造体の絶縁体を示す図である。
【図7】バッテリーセルのシール領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図3には5個のバッテリーセル1が示されており、当該バッテリーセルは共に、バッテリー構造体27の構成部材となっている。バッテリーセル1はフラットバッテリーセルとして形成されているとともに、複数の側面18を有している。側面18'は全ての側面18のうちで量的に最大の表面積を有する。バッテリーセル1は、当該バッテリーセルの最大側面18'において、互いに当接している。代替的に、側面18'同士の間には、図に示されていない熱伝導プレートが設けられていてよい。バッテリーセル1の全ての側面は、当該バッテリーセル1のジャケット2を形成している。
【0040】
個々のバッテリーセル1は二つの電流導体3を有しており、当該電流導体は、バッテリーセル1のジャケット2から延伸している。電流導体3の領域であって、当該領域において電流導体3がジャケット2から延伸している領域は、電流導体3のベース部分4である。このときベース部分4はジャケットを、当該ジャケットのシール領域において貫通している。その際、ベース部分4とジャケット2との間に形成されている環状空間は、図に示されていないシール手段によって密封されている。
【0041】
バッテリーセル1は複数の境界縁28を有している。このとき最長の境界縁28'は直線的に形成されているとともに、モジュール方向Mを規定する。電流導体3のベース部分4は、当該モジュール方向Mに対して略平行に配向されている。電流導体3はそれぞれが、二つの接触部分5を有しており、当該接触部分は電流導体3のベース部分4に設けられている。接触部分5は、ベース部分4の対向する領域に設けられている。接触部分5はベース部分4に対して直角に、屈曲軸Kを中心として屈曲されており、当該屈曲軸はモジュール方向Mに対して平行に配向されている。このとき接触部分5は、隣接するバッテリーセルの方向に向いており、特に当該隣接するバッテリーセルの接触部分5の方向に向いている。その場合、接触部分5は、最大側面18'に対する垂線Sに平行に配向されている。これによって隣接しながら当接しているバッテリーセル1の接触部分5における接触面は、当該バッテリーセル1が互いに最終的な位置に設けられるとき、互いに直接的に当接される。従って、取り付けられた状態で、隣接するバッテリーセルの接触部分は互いに当接している。接触部分5を接合するためのさらなる接合要素は不可避的に必要ではない。
【0042】
特に図3の部分拡大図から分かる通り、隣接するバッテリーセル1の接触部分5は互いに当接しており、その際、二つの隣接するバッテリーセル1の間の電気的接続を提供している。このとき隣接するバッテリーセル1の、互いに接合されている二つの電流導体3の接触部分5とベース部分4は、円環状の閉じた周面8を形成し、当該周面の内部に絶縁体9が設けられている。絶縁体9は特に、二つのベース部分4の間の推力を吸収することができる。隣接するバッテリーセル1の、互いに接合されていない電流導体3のベース部分4の間にも、絶縁体9が設けられている。当該絶縁体は機械的な力のほか、個々の電流導体の間の電気的な絶縁も形成する。絶縁体9は第二の貫通穴10を有している。取り付けられた状態で、第一の貫通穴6と第二の貫通穴10は、共通の軸上で位置確定が行われ、両方の貫通穴6,10を貫通して連結棒12が設けられている。当該連結棒12は、バッテリーセル1から成る構造体と、絶縁体9とを張力によって締結することができる。電流導体3がバッテリーセル本体に対して機械的な負荷を受けないように、絶縁体9は、推力を受容できる支えを形成している。このとき、絶縁体9はスペーサとして作用する。
【0043】
図4は代替的な実施の形態における、バッテリー構造体のバッテリーセル1を示している。バッテリーセル1はそれぞれ、電流導体3を有しており、当該電流導体はまたベース部分4と、接合ブリッジ17と、接触部分5とを有している。接合ブリッジ17はベース部分4に対して、屈曲軸Kを中心として90°屈曲されている。接触部分5は接合ブリッジ17に対して、屈曲軸K’を中心として屈曲されており、屈曲軸K’は屈曲軸Kに対して平行に設けられている。屈曲軸K,K’はモジュール方向Mに対して垂直に設けられている。この意味で電流導体3は多重屈曲を有している。この場合、接触部分5はベース部分4に対して距離を有して設けられており、ベース部分からの距離Lは、ベース部分から当該ベース部分に対して平行に設けられている側面18'までの距離に相当する距離Lよりも大きい。その場合、接触部分はバッテリーセル1の側面18'を越えて突出し、従って、隣接するバッテリーセル1の接触部分5と直接的に当接することになる。接触部分とベース部分との間にはスペーサ13が設けられており、当該スペーサは推力を吸収できるので、接触部分がベース部分に向かって負荷をかけること、およびその逆のことが回避され得る。ベース部分はこのとき、二つの側からスペーサ13によって囲繞されている。ベース部分4はその場合、平坦に形成されており、バッテリーセル1のジャケットの内部から、平坦にスペーサ13の後方まで突出している。臨界的なシール領域16、すなわち、ベース部分4がジャケット2を貫通する領域における応力は、ベース部分4をスペーサ13の後方まで平坦に形成することによって、回避される。スペーサ13の後方の領域においてはじめて、電流導体の第一の屈曲部が設けられている。ベース部分はこのとき、ジャケット2の外部のモジュール方向に延長部を有しており、当該延長部は少なくとも、対応するスペーサの、モジュール方向における延長部に等しい。このとき接合ブリッジ17は、隣接するバッテリーセル1の接触部分までの距離を埋めている。
【0044】
図5は詳細に示されていない、隣接するバッテリーセル1の電流導体3を示している。本図において接触部分5は、互いに当接されている。当該接触部分5は鋸歯状構造を有している。当該鋸歯状構造によって、二つの接触部分の間の有効接触面は、距離が等しく保たれる場合、増大する。接触部分5を互いに離すように作用する引張力Fは、鋸歯状構造を有する接触面の場合、当該引張力が、接触部分5に対して垂直な垂直抗力成分Fを有するように働く。接触部分が平坦に形成された場合に生じ得る剪断応力は、このように垂直抗力成分に変換される。接触部分の接合はこれによってより堅固になる。
【0045】
図6は、図3に示す構造体から、絶縁体9を詳細に示すものである。絶縁体9は絶縁小棒体として形成されており、六面体形状を有している。第二の貫通穴10が設けられており、当該第二の貫通穴は絶縁体9の境界面に対して垂直に延在している。絶縁体9はさらに、二つの位置確定突起部11を有しており、当該位置確定突起部は第二の貫通穴10の対向する側に設けられている。絶縁体9はまた、二つのさらなる位置確定突起部11を有しており、当該さらなる位置確定突起部は、絶縁体9の図において見えない裏側に設けられている。
【0046】
図7は、図3において用いられるようなバッテリーセルの部分を示している。本図では面積の点で最大の側面18'が認められるとともに、点線で電流導体3が示されている。当該電流導体のベース部分4はバッテリーセル1のジャケットを貫通して延在している。本図において第二の側面は、斜めに設けられた二つの側面18”が共同で形成している。当該側面18”の間には、循環する固定フランジ15が延在しており、当該固定フランジを貫通して、電流導体3のベース部分4の、図に示されている断面領域が延在している。固定フランジ15とベース部分4とによって形成されている環状空間内に、シール手段16が設けられており、当該シール手段は、開口部であって、当該開口部を介してベース部分4がジャケット貫通して延在する開口部を密閉している。図に示す態様において、モジュール方向Mは、上記の可能性に加えて、二つの側面18”であって共同で側面を形成している二つの側面の角二等分線によっても提供される。
【符号の説明】
【0047】
1 バッテリーセル
2 ジャケット
3 電流導体
4 ベース部分
5 接触部分
6 第一の貫通穴
7 位置確定穴
8 リング状の閉じた周面
9 絶縁体
10 第二の貫通穴
11 位置確定突起部
12 連結棒
13 スペーサ
15 固定フランジ
16 シール手段
17 接合ブリッジ
18 側面
25 溶接トング
26 接触要素
27 バッテリー構造体
28 境界縁
K 屈曲軸
M モジュール方向
L 距離
B 幅
S 垂直線
【図1a)】

【図1b)】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーセル(1)、特にフラットバッテリーセルであって、
当該バッテリーセルは、
少なくとも一つの電気的セルを収容するための少なくとも一つのジャケット(2)と、
少なくとも一つのベース部分(4)と少なくとも一つの接触部分(5)とを有する少なくとも一つの電流導体(3)と、
を含み、
前記接触部分(5)は前記ベース部分(4)に対して屈曲されている、バッテリーセル。
【請求項2】
前記接触部分(5)は前記ベース部分(4)に対して、屈曲軸(K)を中心として屈曲されており、当該屈曲軸は前記バッテリーセル(1)のモジュール方向(M)に対して平行に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のバッテリーセル(1)。
【請求項3】
前記接触部分(5)は前記ベース部分(4)に対して、略直角に屈曲されていることを特徴とする請求項1または2に記載のバッテリーセル(1)。
【請求項4】
電流導体(3)は少なくとも二つの接触部分(5)を有していることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のバッテリーセル(1)。
【請求項5】
電流導体(3)は、略L字形状を有しており、特に、一つの脚部が前記ベース部分(4)によって形成され、一つの脚部が前記接触部分(5)によって形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のバッテリーセル(1)。
【請求項6】
前記電流導体(3)は、略U字形状を有しており、当該略U字形状は特に、前記ベース部分(4)と、当該ベース部分の側方にそれぞれ設けられている接触部分(5)とによって形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のバッテリーセル(1)。
【請求項7】
前記接触部分(5)は、前記ベース部分(4)から、前記バッテリーセル(1)の比較的大きな側面(18)に対して垂直に延びる方向に延在していることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のバッテリーセル(1)。
【請求項8】
前記接触部分(5)は、前記ベース部分(4)に対して平行に設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のバッテリーセル(1)。
【請求項9】
前記接触部分(5)と前記ベース部分(4)との間に、接合ブリッジ(17)が設けられていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のバッテリーセル(1)。
【請求項10】
前記接合ブリッジは、前記ベース部分(4)に対して垂直および/あるいは前記接触部分(5)に対して垂直に設けられていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のバッテリーセル(1)。
【請求項11】
前記接触部分(5)は前記ベース部分(4)から、当該ベース部分(4)が、当該ベース部分に平行に設けられている前記バッテリーセルの側面(18)に対して有している距離に、少なくとも相当する長さの分だけ離間していることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のバッテリーセル(1)。
【請求項12】
前記接触部分(5)は鋸歯状構造を有していることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のバッテリーセル(1)。
【請求項13】
前記ベース部分(4)は、少なくとも一つの第一の貫通穴(6)を有していることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載のバッテリーセル(1)。
【請求項14】
前記電流導体(3)、特に前記ベース部分(4)は、第一の位置確定手段、特に少なくとも一つ、特に二つの位置確定穴(7)を有していることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載のバッテリーセル(1)。
【請求項15】
前記電流導体(3)、特に前記ベース部分(4)と前記接触部分(5)との間に、少なくとも一つのスペーサ(13)が設けられていることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載のバッテリーセル(1)。
【請求項16】
前記スペーサ(13)の幅(B)は、前記電流導体(3)のつなぎ部分の長さ(L)に相当することを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載のバッテリーセル(1)。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載のバッテリーセル(1)を少なくとも二つ含んでいるバッテリー構造体であって、
隣接するバッテリーセル(1)同士の接触部分(5)が互いに電気的に、特に互いに直接的に接合されている、バッテリー構造体。
【請求項18】
隣接するバッテリーセル(1)同士の接触部分(5)は、直接的に、互いに電気的に接合されており、特に溶接によって、特に超音波溶接によって接合されていることを特徴とする請求項17のいずれか一項に記載のバッテリー構造体。
【請求項19】
隣接するバッテリーセル同士のU字形の電流導体は共同して、閉じた平面、特にリング状の閉じた周面(8)を形成していることを特徴とする請求項17又は18に記載のバッテリー構造体。
【請求項20】
隣接するバッテリーセル(1)同士のベース部分(4)の間、特に前記閉じた平面、特に前記リング状の閉じた周面(8)内に、絶縁体(9)が設けられていることを特徴とする請求項17から19のいずれか一項に記載のバッテリー構造体。
【請求項21】
前記絶縁体(9)は、第二の貫通穴(10)を有していることを特徴とする請求項17から20のいずれか一項に記載のバッテリー構造体。
【請求項22】
前記絶縁体(9)は、第二の位置確定手段、特に少なくとも一つの位置確定突起部(11)を有していることを特徴とする請求項17から21のいずれか一項に記載のバッテリー構造体。
【請求項23】
第一の位置確定手段(7)は、第二の位置確定手段(11)と係合しており、特に、前記絶縁体(9)の少なくとも一つの位置確定突起部(11)は、前記電流導体(3)の位置確定穴(7)に係合していることを特徴とする請求項20または請求項21に記載のバッテリー構造体。
【請求項24】
貫通穴を貫通して連結棒(12)が設けられていることを特徴とする請求項17から23のいずれか一項に記載のバッテリー構造体。
【請求項25】
請求項17から24のいずれか一項に記載のバッテリー構造体を製造するための方法であって、
バッテリーセル(1)の側面(18)を、隣接するバッテリーセル(1)の側面(18)に当接させるステップと、
バッテリーセル(1)の接触部分(5)を隣接するバッテリーセル(1)の接触部分(5)と接合する、特に材料接続的に接合するステップと、
を含む方法。
【請求項26】
前記接触部分(5)の前記接合は、材料接続的な接合によって、特に溶接によって、特に超音波溶接によって行われることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
隣接するバッテリーセル(1)同士のベース部分(4)の間に、少なくとも一つの絶縁体、特に絶縁小棒体が設けられることを特徴とする請求項25又は26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
絶縁体(9)とベース部分(4)とは、共通の位置確定軸に沿って位置が確定されることを特徴とする請求項25から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記絶縁体(9)は前記電流導体(3)に対して位置が確定され、特に前記電流導体(3)の第一の位置確定手段(7)は、前記絶縁体(9)の第二の位置確定手段(11)に係合され、特に前記絶縁体(9)の位置確定突起部(11)は、前記電流導体(3)の位置確定穴(7)に挿入されることを特徴とする請求項25から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記バッテリーセル(1)は牽引手段、特に連結棒(12)を介して互いに締結されていることを特徴とする請求項25から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
連結棒(12)は、前記電流導体(3)、特にベース部分(4)の第一の貫通穴(6)と、前記絶縁体(9)の第二の貫通穴(10)とを貫通して設けられることを特徴とする請求項25から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
器具構成部材、特に溶接器具(25)のアームは、モジュール方向(M)に沿って前記接触部分(5)に近づけられることを特徴とする請求項25から31のいずれか一項に記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−520539(P2012−520539A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553356(P2011−553356)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001544
【国際公開番号】WO2010/102821
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(511173550)リ−テック・バッテリー・ゲーエムベーハー (85)
【Fターム(参考)】