説明

工事対象物の表面構築工法と模様付きブロック

【課題】建築構築物の個性・創作物の展示性・創作物の保存性・ブロックの多目的性ないし多用途性・その他を満足させることのできる工事対象物の表面構築工法と、当該工法に用いて好適な模様付きブロックとを提供する。
【解決手段】模様付きブロック11の表面には、工事現場以外の場所で工事参加者が創作模様を施す。その後、模様付きブロック11を仕上げ処理のためのブロック処理場に搬入する。そのブロック処理場において模様付きブロック11の表面を仕上げ処理する。当該仕上げ処理後の模様付きブロック11を工事現場に搬入する。工事現場において、模様付きブロック11のみ、または、模様付きブロック11と他のブロックとを組み合わせてこれを工事対象物表面に配置し、その表面部を構築する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建設その他の分野でブロックを主体にして各種の建築構築物をつくるための技術に関する。本発明はとくに工事対象物の表面部構築用として有用で有益な工法とこれに用いて好適な模様付きブロックに関する。なお「建築構築物」とは建築物と構築物とを含む上位概念の語である。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、建築・土木などの建設分野では表面部分の建築構築材料としてブロックが多用されている。路面舗装工事の一例では、路床の上に路盤・不透水層・砕石層などを順次形成し、その砕石層上に平板ブロックを敷き並べている。公衆便所を建設するときなども、基礎工事を終えた後にブロック積み工事が実施される。その他、レジャーランドやテーマパークなどに記念建造物のようなモニュメントを築造する場合もブロックを用いる例が少なくない。なお「建築構築材料」とは建築用材料と構築用材料とを含む上位概念の語である。
【0003】
このような分野で用いられるブロックについては、コンクリートを主体にしたものが主流である。ブロックについては、また、機能や用途だけでなく、形状面で私的な好みに応じることのできるものが多く取り揃えられている。さらに周辺環境にあわせたり景観の向上をはかったりするため、色調や組み合わせパターンに特徴をもたせたブロックも提供されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−105642号公報
【特許文献2】特開2007−120236号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種のブロックは上述のように種類が多い。これを施主(工事発注者)と施工者(工事請負者)との関係でみるとき、施主は、施工者の提示する多くのブロックのうちから自身の好みにより近いものを選択できるようになるから、ブロックの選択自由度が大きく、その範囲内で工事発注者の好みを満足させることとなる。
【0006】
しかしながらブロックを多種取り揃えるということは、ブロックを製造する場合に多品種少量生産にならざるを得ず、生産性・品質管理・在庫管理などの点で不合理を免れないから、ブロックの多品種化にもおのずと限界が生じる。したがって既成の技術によるときは、施主の要望に十分に応えることができないことがある。満足度が高くないブロックによるときは建築構築物に対する愛着心が減退しかねない。その対策としてオーダメイドでブロックを製作することも考えられるが、この場合は建設コストが大幅にアップする。
【0007】
他方、学童・生徒などと建築構築物との関係について考察するとき、これらには利用関係があるが、学童・生徒などと工事技術との接点が皆目ない。それゆえこの種の工事技術に対する学童・生徒などの関心度が低く、建築構築物に対しても格別の愛着が生じない。かかる事情は老人ホームに在住する高齢者と工事技術との関係についても同様である。
【0008】
本発明は上記のような技術上の課題に鑑み、建築構築物の個性・建築構築物への愛着・学術効果・頭脳鍛錬・創作物の展示性・創作物の保存性・ブロックの多目的性ないし多用途性・工事の安全性・建築構築物の高品質・建築構築物の低コストなどを満足させることのできる工事対象物の表面構築工法を提供しようとするものである。本発明は、さらに、この工事対象物の表面構築工法を実施する上で好適な模様付きブロックを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[01]本発明に係る工事対象物の表面構築工法は、所期の目的を達成するための第一の課題解決手段として下記の技術内容を特徴とするものである。
すなわち第一の課題解決手段は、
工事現場において工事対象物の表面部の構築をするための工法において、
工事対象物表面の少なくとも一部に配置されてその部分に設けられる建築構築材料として表面に模様を有する模様付きブロックを用いること、および、
模様付きブロックが、模様形成面を有する下地材と、下地材の模様形成面上で模様形成のために用いられる模様材と、模様形成後の下地材の模様形成面を仕上げるための仕上材とを有していること、および、
施主が承認した第三者または施主自身を直接工事者以外の工事参加者とした場合、工事参加者による創作模様が表面に施されているという条件を模様付きブロックが満たすものであること、および、
工事現場以外の場所において工事参加者の創作模様が施された後の模様付きブロックを仕上げ処理のためのブロック処理場に搬入し、かつ、そのブロック処理場において模様付きブロックの表面を仕上げ処理するとともに当該仕上げ処理後の模様付きブロックを工事現場に搬入すること、および、
工事現場において、模様付きブロックのみ、または、模様付きブロックと他のブロックとを組み合わせてこれを工事対象物表面に配置してその表面部の構築をすることを特徴とする。
[02]本発明に係る工事対象物の表面構築工法は、所期の目的を達成するための第二の課題解決手段として下記の技術内容を特徴とするものである。
すなわち第二の課題解決手段は、
工事現場において工事対象物の表面部の構築をするための工法において、
工事対象物表面の少なくとも一部に配置されてその部分に設けられる建築構築材料として表面に模様を有する模様付きブロックを用いること、および、
模様付きブロックが、模様形成面を有する下地材と、下地材の模様形成面上で模様形成のために用いられる模様材と、模様形成後の下地材の模様形成面を仕上げるための仕上材とを有していること、および、
施主が承認した第三者および/または施主自身を直接工事者以外の工事参加者とした場合、工事参加者による創作模様が表面に施されているという条件を模様付きブロックが満たすものであること、および、
工事現場以外の場所において工事参加者の創作模様が施された後の模様付きブロックを工事現場に搬入した後、模様付きブロックのみ、または、模様付きブロックと他のブロックとを組み合わせてこれを工事対象物表面に配置してその表面部の構築をすること、および、
工事現場において、工事対象物の表面部にある模様付きブロックの表面を仕上げ処理することを特徴とする。
[03]本発明に係る工事対象物の表面構築工法は、所期の目的を達成するための第三の課題解決手段として下記の技術内容を特徴とするものである。
すなわち第二の課題解決手段は、
上記[01]〜[02]に記載された工事対象物の表面構築工法において
工事対象物の表面部が、水平面・垂直面・傾斜面・屈曲面・凹凸面・球面・円錐面・角錐面・異形面のうちのから選択される一つ以上の面を表面に有するものであることを特徴とする。
[04]本発明に係る模様付きブロックは、所期の目的を達成するための第四の課題解決手段として下記の技術内容を特徴とするものである。
すなわち第四の課題解決手段は、
上記[01]〜[03]のいずれかに記載された工事対象物の表面構築工法に用いられるものであること、および、
模様形成面を有する下地材と、下地材の模様形成面上で模様形成のために用いられる模様材と、模様形成後の下地材の模様形成面を仕上げるための仕上材とを有していること、および、
施主が承認した第三者または施主自身を直接工事者以外の工事参加者とした場合、工事参加者による創作模様が表面に施されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る工事対象物の表面構築工法は下記[11]〜[20]のような効果を有する。
[11]模様付きブロックの表面に模様を施す者は工事参加者であって直接工事者ではない。しかもそのブロック模様は工事参加者による創作模様である。こうしてブロック表面に形成される創作模様は自明のとおり、同じのものを大量につくる量産物でなく、芸術作品と同様の一品製作物である。したがって模様付きブロックは個性豊かなものということができ、これを構成要素にして作製される建築構築物も他に類例をみない個性的なものに仕上がる。
[12]工事参加者については、施主自身および/または施主承認者(施主が承認した者)がこれに該当する。したがって工事参加者は建築構築物と深く関わりがある。かかる工事参加者の意向は模様付きブロックの模様(工事参加者の創作物)を通じて建築構築物に反映される。したがって施主や施主承認者などは建築構築物への愛着が高まる。これは建築構築物を利用した思い出づくりや創作物の伝達継承という点で大いに役立つ。加えて建築構築物を大切にするという配慮についても、他から注意や指導を受けることなく自然醸成されるので、心理面や精神衛生上も好ましい。
[13]施主が学校法人で工事対象物が学校の建物やこれに付帯する道路などの場合は、児童ないし生徒を工事参加者にすることができる。こうした場合の工事参加者(児童・生徒など)は、ブロックの表面に模様を形成するという行為を通じて図工や美術の学習をすることができ、併せて建築や土木などの学習も体験的に行うことができる。もちろんこれは、建築構築物に対する関心や探求心が深まるということでもある。それに表面部の構築に関する工事対象物は新築工事のときだけでなく、補修工事・追加工事・周辺工事・雑工事のような頻度で発生するから、この種の学習機会は少なくない。これらを総合すると、この種の工事に対して接点がほとんどない学童・生徒なども、工事参加者としての体験を通じて当該工事に慣れ親しむことができるのである。ゆえに上述した各種の学術ないし学習について、その効果(成果)を十分に高めることができる。
[14]老人ホームの入居者(高齢者)が工事参加者の場合は、そのホーム関連の新築工事・補修工事・追加工事・周辺工事・雑工事等においてブロックの表面に模様を形成することになる。この場合の高齢者は、模様形成という創作活動を通じて頭脳を鍛錬することができるから、それが痴呆対策になる。地方自治体が施主となって地域住民参加型の建築構築物を築造するときも、工事参加者の一部または全部を高齢者とすることで上記と同様の頭脳鍛錬が行える。したがって工事参加者を設定して実施する工法は頭脳鍛錬の観点からも都合よい。
[15]工事参加者によるブロック表面の模様すなわち創作模様は、工事完了後、露見状態にある建築構築物の表面でいつでも自由にみることができる。したがって工事参加者の創作物には展示性があり、各自それを自由に鑑賞して楽しむことができる。
[16]ブロック表面の形成された模様すなわち工事参加者の創作模様は、仕上げ処理を受けて堅固なものに仕上がっているから工事完了後の長期保存性がある。したがって当該創作模様を長期間にわたって楽しむことができる。
[17]この工法でのブロックは、ブロック本来の目的機能のほか、創作表現手段・工事体験手段・学習手段・頭脳鍛錬手段・住民参加手段など、他の使用目的に応じたり他の機能を発揮したりするものである。したがって当該工法でのブロックは、単一部品でありながら多目的性ないし多用途性を一挙に満足させるものとなる。
[18]工事参加者は、概していえば、工事経験のない素人であることが多い。かかる工事参加者が工事現場に立ち入るということは、作業の妨げになるだけでなく不測の事故までも惹き起こしかねない。これに対し、当該工法での工事参加者は、工事現場以外の場所でブロックに創作模様を施すことになるから、模様創作上の必要性から工事現場に入ることがない。ゆえに工事参加者が工事現場で事故に遭遇することがなく、この者に対する安全性が確保できる。その他については工事に関する一般的な注意力を払うだけで足りる。
[19]工事参加者の創作模様が施された後の模様付きブロックは、ブロック処理場とか工事現場とかで表面を仕上げ処理される。これは仮に工事参加者の熟練不足に起因してブロック表面に不具合が生じたとしても、それが爾後、専門職サイドの仕上げ処理で不具合のないものに仕上げられるということである。したがって模様付きブロックの品質が高位に保持され、ひいては建築構築物の高品質が保持される。
[20]この工法で用いられる模様付きブロックは、その模様部分に注目するとき、量産品でない特別仕様(一品製作物と同等)のものである。とはいえ当該模様は、これを施主自身および/または施主承認者が形成するのであるから、施主サイドの労力以外、格別の費用負担がない。したがって、個性的で愛着心とか満足度の高い建築構築物が低コストで得られるようになる。
【0011】
本発明に係る模様付きブロックは下記[21]〜[22]のような効果を有する。
[21]模様付きブロックは下地材・模様材・仕上材などを有するもので、工事参加者による創作模様が表面に施されているものであるから、上記工法に用いて好適なものである。
[22]ブロックの価値を決定づける高価な模様部分が、労力負担のみで足りる工事参加者によって形成されている。したがって個性豊かな模様付きブロックのコストを低く抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る模様付きブロックならびに工事対象物の表面構築工法について、これらの実施形態を添付の図面に基づき説明する。
【0013】
図1〜図2に例示された模様付きブロック11は、下地材(ブロック本体)12と模様材13と仕上材14とを主体にして構成されているものである。模様付きブロック11について、より詳しくいうと、これは下地材12の表面に多数の模様材13が張り付けられて模様が形成されており、各模様材13間に仕上材14が施されてそれぞれの隙間が埋められているものである。
【0014】
下地材12は代表的一例としてコンクリート製(セメント製も含む)である。これ以外の下地材12としては、プラスチック製(合成樹脂製)・金属製・木製・強化ガラス製・セラミック製(陶製)・アスファルト製などの下地材12があり、これら二種以上の材料による複合材製の下地材12もある。下地材12は図示例において四角形で平板状をしているが、これは立方体形状であっても直方体形状であってもよい。そのほか平面からみた形状が四角形以外の多角形とか、円形(楕円形を含む)とか、異形とかをなすものであってもよい。
【0015】
模様材13の表側の面積は、下地材12のそれに比してかなり小さなものである。模様材13の大きさについて、これは下地材12の表面に対して複数個のものが取り付け可能なサイズであれば他に制限がない。望ましくは、小片といえる程度に小さいものが採用されたりする。複数(2以上)ある場合や多数(5以上の複数)ある場合の模様材13について形状をいうと、これらには、互いに同形のもの・相似形をなすもの・互いに異形のものなど各種の実施形態がある。複数(多数)の模様材13について色彩をいうと、これらには、互いに同色のもの・互いに異色のものなど各種の実施形態がある。複数(多数)の模様材13が互いに異色であるというとき、それは二色相違から全色相違の範囲内で選択される。互いに異色である模様材13については、少なくとも表面において色彩相違のみられることが不可欠であり、裏面などは同色でもよい。さらに、それら模様材表面の色彩相違が部分的なものであっても構わない。模様材13も下地材12と同じく、コンクリート製(セメント製も含む)・プラスチック製(合成樹脂製)・金属製・木製・強化ガラス製・セラミック製(陶製)・アスファルト製のいずれかであったり、これら二種以上の材料による複合材製であったりする。そのうちで可能なものについては、色彩を付する場合に塗装手段やメッキ手段が採用されたりする。模様材13の形状(平面からみた形状)についても、多角形・円形(楕円形を含む)・異形などが任意に採用される。模様材13の形状については、また、小さな立方体・小さな直方体・小さな軸形状・ピン形状などが採用されることもある。模様材13の代表的一例は陶製のタイルである。模様材13を下地材12に張り付けるというときは、両者の関係を考慮して適切な接着剤たとえば耐久性や耐候性のある合成樹脂系の接着剤が採用される。形状構造や材料面からみて可能な場合には、止具や金具などを用いて、または、これと接着剤との併用で模様材13が下地材12に取り付けられることもある。
【0016】
仕上材14としては下地材12や模様材13も材質に応じ、公知ないし周知のものが適当に採用される。具体的には白色目地材やカラー目地材として知られているものが用いられる。仕上材14についてさらにいうと、セメント系もの(例:セメントモルタル・白セメントなど)・合成樹脂系もの(例:アクリル樹脂系やエポキシ樹脂系など)・石膏系のもの等がある。隙間を埋めるために線状・片状・粒状などの補助材料が用いられることもある。このような補助材料は合成樹脂製・金属製・木製などであることが多い。ちなみに下地材12がコンクリート製で模様材13が陶製タイルであるとき、仕上材14としてはセメント系のものが用いられる。
【0017】
上記のような構成要素からなる模様付きブロック11は、さらに、一部または全部の構成要素について構造や材質を適当に選定することにより、透水性・排水性・透気性・通気性などの流体通過性をもたせたり、あるいは、遮水性・不透水性・非通気性などの流体遮断性をもたせたりすることができる。このような流体通過性・流体遮断性などは、模様付きブロック11において部分的であっても全体的であっても構わない。流体通過性のある模様付きブロック11の場合は、下地材12・模様材13・仕上材14のうちの一つ以上を連続気孔構造のようなポーラス構造にするか、または網目構造にするか、あるいは格子構造するか、などによってつくることができる。流体遮断性のある模様付きブロック11の場合は、下地材12・模様材13・仕上材14のうちの一つ以上を通気性や通水性のない材質および/または構造にすることでつくることができる。
【0018】
本発明に係る表面構築工法の代表的一例が図3に示されている。すなわち図3は、路面を工事対象物とし、その路面の表面部に舗装構造物を構築する例を示すものである。この工法を実施するときは図3を参照して以下のようになる。
【0019】
図3において、第1工程では路床21上に路盤22が形成される。一例をあげると、路盤22は、これを地盤改良したり締め固めたりすることによって形成される。第2工程では路盤22上に不透水層23が形成される。この不透水層23は、たとえば路盤22の上にコンクリートを打設かつ硬化させることで形成される。第3工程では不透水層23の上に透水層24が形成される。透水層24を形成するための一例では、砕石などが不透水層23の上に敷き均され、それによって透水層24が形成される。第4工程では透水層24の上に多数のブロックが敷き詰められて工事対象物の表面部が構築される。第4工程でブロックは、模様付きブロック11のみか、または、模様付きブロック11と他のブロックとが組み合わされて用いられる。このいずれの態様においても、当該ブロックは所定の配列状態で設置されて敷き詰められ、それによって工事対象物の表面部が構築されるのである。この場合におけるそれぞれのブロックは、これらが組み合わされて用いられることからインターロッキングブロックということができる。
【0020】
図3のようにして路面の表面部に舗装構造物を構築するときの模様付きブロック11はつぎのようなものである。路面舗装工事については、施主(自然人・法人・国・地方自治体・任意団体などのうちのいずれか、または、このうちの二つ以上の複合体)が工事請負業者に発注する。したがって工事は工事請負業者側で進められる。工事請負業者側には少数(15名以下)から多数(16名以上)の範囲内で複数の直接工事者がいるので、直接工事作業に従事するのはこれら直接工事者である。一方、模様付きブロック11の加工についていうと、これは工事参加者による創作模様がブロック表面に施されるというものである。工事参加者は自然人でありさえすれ誰でもなれるが、施主の承認が必要条件として付帯する。法人など自然人以外の施主の場合は、施主の組織で権限ある者が工事参加者を承認したりする。このような承認も施主承認の範疇に含まれる。工事参加者については、施主自身がなることがあり、また、施主以外のものと施主とが工事参加者になることもある。自然人以外の施主が工事参加者になるというときは、その施主に所属する自然人(施主とみなす)が工事参加者になればよい。施主や工事参加者について数例をあげると、つぎのとおりである。施主が学校法人の場合は児童・生徒・学生などが工事参加者になる。施主が老人ホーム(法人)の場合は入居者(高齢者)が工事参加者になる。施主が地方自治体の場合はその地域住民が工事参加者になる。個人とか私人とかいわれる自然人が施主の場合は、本人や家族その他の関係者が工事参加者になる。
【0021】
模様付きブロック11は既述のとおり、工事参加者がブロック表面に創作模様を施し、それを工事請負業者側で仕上げ処理するというものである。このような作業は工事計画やで工事の進行状況に応じて決定づけられたりするが、工事計画や工事進行を妨げないかぎり自由に実施できる。それはつぎの二つで代表される。一つは、図3で説明した第4工程に至るまでの間に、工事参加者によるブロック表面への模様形成や、工事請負業者側の直接工事者(職人・作業員・機械手段など)によるブロック表面の仕上げ処理を完了させておくということである。この場合の模様形成は工事現場以外の場所で行われる。その場所は工事参加者が誰であるかによって決まることが多い。具体的には工事参加者の社会的属性(身分・立場)に応じ、学校の内部(教室・講堂・運動場)とか、老人ホームの内部とか、地域の集会場とか、個人の建物や敷地内とかが適当に選択されたりする。ブロック表面の仕上げ処理は、工事請負業者が平時使用している作業エリア(工場・工房・作業場など)と、工事現場の一部または工事現場に隣接して設定された現場エリアとのうち、そのいずれか一方または両方で行われる。したがってこのケースでは、模様形成や仕上げ処理を終えた後の模様付きブロック11を用いるということで既述の第4工程が実施される。他の一つは、図3で説明した第4工程に至るまでの間に、工事参加者によるブロック表面への模様形成を完了させておき、それを工事現場に搬入して前記と同じく第4工程で工事対象物の表面部を構築した後、つぎなる第5工程で模様付きブロック11のロック表面を仕上げ処理するものである。この後者の場合のロック表面への模様形成は前者のそれと実質的に同じか前者のそれに準ずるものである。
【0022】
模様付きブロック11について、工事参加者が創作模様をブロック表面に施すというときは、図1〜図2で説明したとおり、下地材12の表面に多数の模様材13が張り付けられる。この際の模様は、テーマが定められていたり、または、テーマがなくて自由であったりする。もちろん当該模様は、「具象に属するもの」や「抽象に属するもの」のいずれであってもよい。模様付きブロック11について、模様形成後の下地材12の模様形成面を仕上げるとき(ブロック表面を仕上げ処理するとき)、これも図1〜図2で説明したとおり、各模様材13間に仕上材14が施されてそれぞれの隙間が埋められる。すなわち、このブロック表面の仕上げ処理によるときは、実用に耐えることのできる表面部の強度や実用上不都合をきたすことのない表面部の機能が付与される。図3のような舗装後の路面には、また、舗装面全体にさらなる表面処理が施されることもある。
【0023】
本発明に係る表面構築工法の実施形態として図3に示されたものは一例にすぎないものである。このほかの実施形態としては図4に略示するものがある。図4で(A)に示すものは、水平面に模様付きブロック11が張り付けられて工事対象物31の表面部が構築される例であり、図4で(B)に示すものは、垂直面に模様付きブロック11が張り付けられて工事対象物31の表面部が構築される例である。図4(A)の水平面は、建築構築物の床面・天井面・屋上面などがこれに該当する。図4(B)の垂直面は、建築構築物の外壁・内壁などにおける内面および/または外面がこれに該当する。これらの実施形態も、既述の実施形態と実質的に同じかそれに準じて実施される。具体的にいうと、公知ないし周知のスタンプコンクリート工法・オーバーレイスタンプ工法・ステンシルコンクリート工法・スタンプウォールカービング工法等において、本発明工法の要部(従来工法にみられない本発明の特徴)を導入することで実施される。
【0024】
本発明に係る表面構築工法は、図5に略示する各種の建築構築物に対しても、これらを工事対象物31として実施できる。図5(A)の工事対象物(建築構築物)31は表面部として傾斜面を有するものである。図5(B)の工事対象物31はその表面部に屈曲面を有するものである。図5(C)の工事対象物31はその表面部に凹凸面を有するものである。図5(D)の工事対象物31はその表面部に球面を有するものである。図5(E)の工事対象物31はその表面部に円錐面を有するものである。図5(F)の工事対象物31はその表面部に角錐面を有するものである。図5(G)の工事対象物31はその表面部に円周面を有するものである。図5(H)の工事対象物31はその表面部に異形面を有するものである。これらの工事対象物31に対して、模様付きブロック11のみ、または、模様付きブロック11と他のブロックとを張り付けて表面部を構築するときも、既述の内容と実質的に同じかそれに準ずるものである。本発明工法は、堀・土手・崖などを工事対象物としてその表面部を構築するときにも適用できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明に係る工事対象物の表面構築工法、ならびに、本発明に係る模様付きブロックによるときは、個性的で有用かつ有益な建築構築物が低コストやその他を満足させながら得られる。したがって産業上の利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る模様付きブロックの一実施形態を略示した斜視図である。
【図2】図1の模様付きブロックの縦断面図である。
【図3】本発明に係る工事対象物の表面構築工法についてその一実施形態を略示した斜視図である。
【図4】本発明に係る工事対象物の表面構築工法について上記以外の各種実施形態を略示した斜視図である。
【図5】本発明に係る工事対象物の表面構築工法を適用することのできる各種建築構築物を略示した斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
11 模様付きブロック
12 下地材(ブロック本体)
13 模様材
14 仕上材
21 路床
22 路盤
23 不透水層
24 透水層
31 工事対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工事現場において工事対象物の表面部の構築をするための工法において、
工事対象物表面の少なくとも一部に配置されてその部分に設けられる建築構築材料として表面に模様を有する模様付きブロックを用いること、および、
模様付きブロックが、模様形成面を有する下地材と、下地材の模様形成面上で模様形成のために用いられる模様材と、模様形成後の下地材の模様形成面を仕上げるための仕上材とを有していること、および、
施主が承認した第三者および/または施主自身を直接工事者以外の工事参加者とした場合、工事参加者による創作模様が表面に施されているという条件を模様付きブロックが満たすものであること、および、
工事現場以外の場所において工事参加者の創作模様が施された後の模様付きブロックを仕上げ処理のためのブロック処理場に搬入し、かつ、そのブロック処理場において模様付きブロックの表面を仕上げ処理するとともに当該仕上げ処理後の模様付きブロックを工事現場に搬入すること、および、
工事現場において、模様付きブロックのみ、または、模様付きブロックと他のブロックとを組み合わせてこれを工事対象物表面に配置してその表面部の構築をすること、
を特徴とする工事対象物の表面構築工法。
【請求項2】
工事現場において工事対象物の表面部の構築をするための工法において、
工事対象物表面の少なくとも一部に配置されてその部分に設けられる建築構築材料として表面に模様を有する模様付きブロックを用いること、および、
模様付きブロックが、模様形成面を有する下地材と、下地材の模様形成面上で模様形成のために用いられる模様材と、模様形成後の下地材の模様形成面を仕上げるための仕上材とを有していること、および、
施主が承認した第三者および/または施主自身を直接工事者以外の工事参加者とした場合、工事参加者による創作模様が表面に施されているという条件を模様付きブロックが満たすものであること、および、
工事現場以外の場所において工事参加者の創作模様が施された後の模様付きブロックを工事現場に搬入した後、模様付きブロックのみ、または、模様付きブロックと他のブロックとを組み合わせてこれを工事対象物表面に配置してその表面部の構築をすること、および、
工事現場において、工事対象物の表面部にある模様付きブロックの表面を仕上げ処理すること、
を特徴とする工事対象物の表面構築工法。
【請求項3】
工事対象物の表面部が、水平面・垂直面・傾斜面・屈曲面・凹凸面・球面・円錐面・角錐面・異形面のうちのから選択される一つ以上の面を表面に有するものである請求項1〜2のいずれかに記載された工事対象物の表面構築工法。
【請求項4】
請求項1〜4のいずれかに記載された工事対象物の表面構築工法に用いられるものであること、および、
模様形成面を有する下地材と、下地材の模様形成面上で模様形成のために用いられる模様材と、模様形成後の下地材の模様形成面を仕上げるための仕上材とを有していること、および、
施主が承認した第三者または施主自身を直接工事者以外の工事参加者とした場合、工事参加者による創作模様が表面に施されていること、
を特徴とする模様付きブロック。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−133169(P2009−133169A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311912(P2007−311912)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(507195564)大榮建材株式会社 (2)
【Fターム(参考)】