干渉フィルター、光モジュール、および分析装置
【課題】高分解能で、かつ低コストで製造可能な干渉フィルターを提供する。
【解決手段】エタロン5は、表面研磨された第一反射膜形成面513を有する第一基板51と、第一基板51に対向配置され、第一反射膜形成面513に対向する第二反射膜形成面523を有する第二基板52と、第一反射膜形成面513に設けられた第一反射膜56と、第二反射膜形成面523に設けられ、第一反射膜56に対向する第二反射膜57と、第一基板51および第二基板52を接合するプラズマ重合膜53と、を具備した。
【解決手段】エタロン5は、表面研磨された第一反射膜形成面513を有する第一基板51と、第一基板51に対向配置され、第一反射膜形成面513に対向する第二反射膜形成面523を有する第二基板52と、第一反射膜形成面513に設けられた第一反射膜56と、第二反射膜形成面523に設けられ、第一反射膜56に対向する第二反射膜57と、第一基板51および第二基板52を接合するプラズマ重合膜53と、を具備した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
入射光から所定の波長の光を取り出す干渉フィルター、この干渉フィルターを備えた光モジュール、およびこの光モジュールを備えた分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入射光から所定波長の光のみを透過または反射させる干渉フィルターが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の干渉フィルターは、一対の基板のそれぞれ対向する面に、エッチングにより凹陥部を形成し、これらの基板を接着剤により接合している。この干渉フィルターでは、凹陥部の表面が鏡面となり、ファブリーペロー干渉計のミラーを構成している。
また、特許文献1には、エッチングされていない一対のガラス基板を対向させ、スペーサを介して接合する構成も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−281443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のように、基板に、エッチングにより凹陥部を設ける場合、エッチング形成された面が傾斜面となったり、表面に凹凸が生じたりする場合がある。この場合、一対の基板の互いに対向するミラーも傾斜したり、ミラー面に凹凸が生じたりし、干渉フィルターの分解能が低下してしまうという問題がある。
一方、特許文献1には、スペーサを介してエッチングされていない基板同士を対向する構成が開示されているが、このような構成では、スペーサが別途必要となる。また、ミラー間のギャップが異なる複数種類の干渉フィルターを製造するには、複数種類の厚み寸法のスペーサを用意する必要がある。このため、干渉フィルターの製造コストが高くなるという問題がある。これに加え、各スペーサの厚みを精度良く均一に製造しないと、基板同士が平行ではなくなり、上記と同様に、分解能が低下してしまうという問題もある。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みて、高分解能で、かつ低コストで製造可能な干渉フィルター、光モジュール、および分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の干渉フィルターは、一面側に表面研磨された第一研磨平面を有する第一基板と、前記第一基板に対向し、前記第一研磨平面に対向する一面側に表面研磨された第二研磨平面を有する第二基板と、前記第一研磨平面に設けられた第一反射膜と、前記第二研磨平面に設けられ、前記第一反射膜に対向する第二反射膜と、前記第一基板および前記第二基板を接合するとともに、前記第一反射膜および前記第二反射膜の間に反射膜間ギャップを形成する紫外線硬化接合膜と、を具備したことを特徴とする。
【0007】
この発明では、第一基板および第二基板のそれぞれに第一研磨平面および第二研磨平面が設けられて、これらの第一研磨平面および第二研磨平面が対向配置されている。そして、これらの第一研磨平面および第二研磨平面のそれぞれに、第一反射膜および第二反射膜が互いに対向して設けられている。このような、第一研磨平面、第二研磨平面では、エッチング処理により形成される面に比べて、表面に傾斜や凹凸が形成されないため、第一研磨平面や第二研磨平面に設けられる第一反射膜および第二反射膜にも傾斜や凹凸が形成されない。また、紫外線硬化接合膜を用いて第一基板および第二基板を接合する構成では、製造時に、例えば第二基板から第一基板に向かって、または第一基板から第二基板に向かって荷重を印加することで、紫外線硬化接合膜が圧縮されて弾性的に変形する。このため、荷重を制御することで、第一反射膜および第二反射膜の間の反射膜間ギャップの寸法を容易に、所望の値に設定することが可能となり、かつ、荷重を均等に印加することで、これらの第一基板および第二基板を、精度良く平行に維持することができる。そして、第一基板および第二基板が平行に維持された状態で紫外線を照射することで、紫外線硬化接合膜を迅速に硬化させることができる。
以上により、本発明では、第一基板の第一研磨平面および第二基板の第二研磨平面を平行に維持することができ、第一反射膜および第二反射膜も平行にできる。また、第一研磨平面および第二研磨平面に傾斜や凹凸がないため、第一反射膜および第二反射膜も平滑面とすることができる。したがって、第一反射膜および第二反射膜の間の反射膜間ギャップの寸法が、平面位置によって変動することがなく、一様となるので、干渉フィルターにより取り出される光の波長にもばらつきがなく、高分解能を実現できる。
また、紫外線硬化接合膜の接合では、紫外線照射により行われるため、例えば第一および第二反射膜にダメージを与える熱処理などが不要で、反射膜の劣化がなく、高性能な干渉フィルターを製造できる。さらに、スペーサなどの別部材を用いる必要がないため、製造コストをも低減できる。
【0008】
本発明の干渉フィルターでは、前記第一基板は、前記第二基板に対向する面に凹状に形成された電極溝と、この電極溝の溝底面に設けられる第一電極と、を備え、前記第二基板は、前記第一電極に対向する第二電極を備えることが好ましい。
【0009】
この発明では、第一電極および第二電極のそれぞれに電圧を印加することで、静電引力により、第一基板および第二基板のうち少なくともいずれか一方を撓ませて反射膜間ギャップの寸法を調整することができる。したがって、例えば被測定対象光を構成する各波長の光の光量を測定する場合などにおいて、第一電極および第二電極に印加する電圧を順次切り替えることで、容易に、干渉フィルターから取り出す光の波長を切り替えることができる。
【0010】
本発明の干渉フィルターでは、前記第一基板および前記第二基板は、ガラス基板であることが好ましい。
この発明では、第一基板および第二基板がガラス基板であり、鏡面研磨により平滑な平面を容易に得ることができる。また、ガラス基板であれば可視光を良好に透過することができ、可視光内の所望波長の光を、吸収などすることなく良好に取り出すことができる。
【0011】
本発明の光モジュールは、上述のような干渉フィルターと、干渉フィルターにより取り出される光の光量を検出する検出部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
この発明では、上述したように、干渉フィルターは、第一反射膜および第二反射膜を、高精度に平行に維持することができるため、高分解能を実現できる。したがって、このような干渉フィルターを備えた光モジュールでは、高い分解能で取り出された所望の光を検出部で受光させることができ、所望波長の光の光量を正確に検出することができる。また、干渉フィルターを低コストで製造できるため、このような干渉フィルターを備えた光モジュールの製造コストも低コストにできる。
【0013】
本発明の分析装置は、光モジュールと、前記検出部により検出された光の光量に基づいて、光分析処理を実施する処理部と、を備えることを特徴とする。
ここで、分析装置としては、上記のような光モジュールにより検出された光の光量に基づいて、干渉フィルターに入射した光の色度や明るさなどを分析する光測定器、ガスの吸収波長を検出してガスの種類を検査するガス検出装置、受光した光からその波長の光に含まれるデータを取得する光通信装置などを例示することができる。
本発明では、上述したように、光モジュールにより、所望波長の光の正確な光量を検出することができるため、分析装置では、このような正確なデータに基づいて、正確な分析処理を実施できる。また、光モジュールを低コストで製造できるため、このような光モジュールを備えた分析装置においても、製造コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る一実施形態の測色装置の概略構成を示す図である。
【図2】前記実施形態の干渉フィルターであるエタロンの概略構成を示す平面図である。
【図3】前記実施形態のエタロンの断面図である。
【図4】前記実施形態のエタロンの分解斜視図である。
【図5】第一基板の製造工程を示す図である。
【図6】第二基板の製造工程を示す図である。
【図7】第一基板および第二基板を接合する接合工程を示す図である。
【図8】他の実施形態におけるエタロンの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る一実施形態について、図面に基づいて説明する。
〔1.測色装置の全体構成〕
図1は、本発明に係る実施形態の測色装置の概略構成を示す図である。
この測色装置1は、本発明の分析装置であり、図1に示すように、被検査対象Aに光を射出する光源装置2と、本発明の光モジュールである測色センサー3と、測色装置1の全体動作を制御する制御装置4とを備えている。そして、この測色装置1は、光源装置2から射出される光を被検査対象Aにて反射させ、反射された検査対象光を測色センサーにて受光し、測色センサー3から出力される検出信号に基づいて、検査対象光の色度、すなわち被検査対象Aの色を分析して測定する装置である。
【0016】
〔2.光源装置の構成〕
光源装置2は、光源21、複数のレンズ22(図1には1つのみ記載)を備え、被検査対象Aに対して白色光を射出する。また、複数のレンズ22には、コリメーターレンズが含まれており、光源装置2は、光源21から射出された白色光をコリメーターレンズにより平行光とし、図示しない投射レンズから被検査対象Aに向かって射出する。
なお、本実施形態では、光源装置2を備える測色装置1を例示するが、例えば被検査対象Aが液晶パネルなどの発光部材である場合、光源装置2が設けられない構成としてもよい。
【0017】
〔3.測色センサーの構成〕
測色センサー3は、図1に示すように、本発明の干渉フィルターを構成するエタロン5と、エタロン5を透過する光を受光する検出部31と、エタロン5で透過させる光の波長を可変する電圧制御部6と、を備えている。また、測色センサー3は、エタロン5に対向する位置に、被検査対象Aで反射された反射光(検査対象光)を、内部に導光する図示しない入射光学レンズを備えている。そして、この測色センサー3は、エタロン5により、入射光学レンズから入射した検査対象光のうち、所定波長の光のみを分光し、分光した光を検出部31にて受光する。
検出部31は、複数の光電交換素子により構成されており、受光量に応じた電気信号を生成する。そして、検出部31は、制御装置4に接続されており、生成した電気信号を受光信号として制御装置4に出力する。
【0018】
(3−1.エタロンの構成)
図2は、本発明の干渉フィルターを構成するエタロン5の概略構成を示す平面図であり、図3は、エタロン5の概略構成を示す断面図である。なお、図1では、エタロン5に検査対象光が図中下側から入射しているが、図3では、検査対象光が図中上側から入射するものとする。
エタロン5は、図2に示すように、例えば一辺が10mm程度に形成される平面正方形状の板状の光学部材である。このエタロン5は、図3に示すように、第一基板51、および第二基板52を備えている。これらの2枚の基板51,52は、それぞれ例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラスなどの各種ガラスや、水晶などにより形成されている。これらの中でも、各基板51,52の構成材料としては、例えばナトリウム(Na)やカリウム(K)などのアルカリ金属を含有したガラスが好ましく、このようなガラスにより各基板51,52を形成することで、後述する反射膜56,57や、各電極の密着性や、基板同士の接合強度を向上させることが可能となる。また、ガラスは、可視光の透過特性が良好であるため、本実施形態のように、被検査対象Aの色を測定する場合では、基板51,52での光の吸収を抑えることができ、測色処理に適している。そして、これらの2つの基板51,52は、外周縁に沿って形成される接合面514,524同士がプラズマ重合膜53により接合されることで、一体的に構成されている。
【0019】
また、第一基板51と、第二基板52との間には、本発明の第一反射膜56および第二反射膜57が設けられる。ここで、第一反射膜56は、第一基板51の第二基板52に対向する面に固定され、第二反射膜57は、第二基板52の第一基板51に対向する面に固定されている。また、これらの第一反射膜56および第二反射膜57は、反射膜間ギャップを介して対向配置されている。
さらに、第一基板51と第二基板52との間には、第一反射膜56および第二反射膜57の間の反射膜間ギャップの寸法を調整するための静電アクチュエーター54が設けられている。
なお、本実施形態では、上述したように、平面視正方形状のエタロン5を例示するが、これに限定されるものではなく、例えば、平面視円形状、平面視多角形状に形成されていてもよい。
【0020】
(3−1−1.第一基板の構成)
図4は、エタロン5の第一基板51および第二基板52を分離した分解斜視図である。
第一基板51は、厚みが例えば500μmに形成される略正方形状のガラス基板により形成される。
この第一基板51には、図4に示すように、第二基板52に対向する対向面に、電極溝511、およびこの電極溝511から外周側に向かって延出形成される配線溝512が、エッチングにより形成されている。
具体的には、電極溝511は、エタロン平面視(基板厚み方向から第一基板51を見る平面視)において、平面中心点を中心とするリング形状に形成されている。
また、配線溝512は、図4に示すように、電極溝511の外輪縁511Bから第一基板51の4頂点に向かって延出し、電極溝511と同一深さ寸法に形成されている。
【0021】
電極溝511の内輪縁511Aおよび外輪縁511Bの間の溝底面には、静電アクチュエーター54を構成するリング状の第一電極541が形成されている。また、4つの配線溝512のうち、平面中心点に対して点対称となる一対の配線溝512には、第一電極541に接続される第一電極線541Aが形成されている。これらの第一電極線541Aの先端には、それぞれ第一電極パッド541Bが形成され、これらの第一電極パッド541Bが電圧制御部6に接続されている。
ここで、静電アクチュエーター54を駆動させる際には、電圧制御部6により、一対の第一電極パッド541Bのうちのいずれか一方にのみに電圧が印加される。そして、他方の第一電極パッド541Bは、第一電極541の電荷保持量を検出するための検出端子として用いられる。
なお、本実施形態では、一対の第一電極パッド541Bのうちの一方に電圧を印加する構成を例示するが、一対の第一電極パッド541Bの双方に電圧印加する構成としてもよい。また、4つの配線溝512のうちの1つにのみ、第一電極線541Aおよび第一電極パッド541Bが形成される構成などとしてもよい。
【0022】
そして、第一基板51の表面領域のうち、電極溝511および配線溝512の形成領域以外の基板表面は、鏡面研磨加工により平面に形成されている。これにより、電極溝511の内輪縁511Aの径内側は、鏡面研磨加工された平面となり、第一反射膜形成面513(本発明の第一研磨平面)が形成される。
この第一反射膜形成面513には、例えば直径が約3mmの円形状に形成される第一反射膜56が固定されている。この第一反射膜56は、例えばSiO2、TiO2、Agの各層を順に積層することにより形成される反射膜であり、スパッタリングなどの手法により第一反射膜形成面513に形成される。なお、第一反射膜56を構成する各層の積層順としては、エタロン5により分光する光の波長域や、所望する分解能により適宜設定されるものであり、上記の積層順には限定されない。また、本実施形態では、第一反射膜56として、SiO2、TiO2、Agの各層を適宜組み合わせて積層することで構成される例を示したが、例えばSiO2、TiO2を順に積層した誘電多層膜としてもよく、その他、例えばAgC単層膜などの単層膜を反射膜として形成してもよい。
【0023】
そして、第一基板51の電極溝511の外方には、第一接合面514が形成されている。この第一接合面514には、上述したように、第一基板51および第二基板52を接合する紫外線硬化接合膜としてのプラズマ重合膜53が形成されている。
このプラズマ重合膜53の主原料としては、例えば、ポリオルガノシロキサンが挙げられ、このような主原料により形成されたプラズマ重合膜では、第一基板51および第二基板52の接合時に紫外線照射により迅速に硬化させることが可能となる。なお、本実施形態において、第一基板51および第二基板52を接合する紫外線硬化膜として、プラズマ重合膜を例示したが、例えば、紫外線硬化樹脂の接着層を形成する構成などとしてもよい。
【0024】
さらに、第一基板51は、第二基板52に対向しない下面において、エタロン平面視で第一反射膜56に対応する位置に、図示略の反射防止膜(AR)が形成されている。この反射防止膜は、低屈折率膜および高屈折率膜を交互に積層することで形成され、第一基板51の表面での可視光の反射率を低下させ、透過率を増大させる。
【0025】
(3−1−2.第二基板の構成)
第二基板52は、例えば厚み寸法が200μmに形成されるガラス基板をエッチングにより加工することで形成される。
具体的には、第二基板52には、図2に示すような平面視において、基板中心点を中心とした円形の可動部521と、可動部521と同軸であり可動部521を保持する連結保持部522と、を備えている。この連結保持部522の外周径寸法は、第一基板51の電極溝511の外周径寸法と同一寸法に形成されている。
【0026】
可動部521は、連結保持部522よりも厚み寸法が大きく形成され、例えば、本実施形態では、第二基板52の厚み寸法と同一寸法である200μmに形成されている。
また、可動部521は、第一基板51とは反対側の上面において、図示略の反射防止膜(AR)が形成されている。この反射防止膜は、第一基板51に形成される反射防止膜と同様の構成を有し、低屈折率膜および高屈折率膜を交互に積層することで形成される。
【0027】
連結保持部522は、可動部521の周囲を囲うダイヤフラムであり、例えば厚み寸法が50μmに形成されている。この連結保持部522の第一基板51に対向する面には、第一電極541と、約1μmの電磁ギャップを介して対向する、リング状の第二電極542が形成されている。ここで、この第二電極542および前述した第一電極541により、静電アクチュエーター54が構成される。
また、第二電極542の外周縁の一部からは、一対の第二電極線542Aが外周方向に向かって形成されている。具体的には、図2、図4に示すように、第二電極線542Aは、エタロン平面視において、第一電極線541Aが形成される一方の対角線方向とは異なる、他方の対角線方向に沿って形成されている。したがって、第一基板51および第二基板52を接合した際に、第一電極線541Aおよび第二電極線542Aはエタロン平面視において重ならない。そして、これらの第二電極線542Aは、先端には、それぞれ第二電極パッド542Bが形成され、これらの第二電極パッド542Bが電圧制御部6に接続される。
【0028】
ここで、静電アクチュエーター54を駆動させる際には、第一電極541と同様、電圧制御部6により、一対の第二電極パッド542Bのうちのいずれか一方にのみに電圧が印加される。そして、他方の第二電極パッド542Bは、第二電極542の電荷保持量を検出するための検出端子として用いられる。
【0029】
また、第二基板52の、連結保持部522の形成領域以外の基板表面は鏡面研磨加工により平面に加工されている。したがって、可動部521の第一基板51に対向する面も、鏡面研磨加工された平面となり、第一反射膜形成面513に対向する第二反射膜形成面523(本発明の第二研磨平面)を構成する。
この第二反射膜形成面523には、第一反射膜56と同一構成の第二反射膜57が形成されており、第一反射膜56と反射膜間ギャップを介して平行に保持されている。なお、第二反射膜57の構成は、第一反射膜56と同一であるため、ここでの説明は省略する。
【0030】
(3−2.電圧制御部の構成)
電圧制御部6は、制御装置4からの入力される制御信号に基づいて、静電アクチュエーター54の第一電極541および第二電極542に印加する電圧を制御する。
【0031】
〔4.制御装置の構成〕
制御装置4は、測色装置1の全体動作を制御する。
この制御装置4としては、例えば汎用パーソナルコンピューターや、携帯情報端末、その他、測色専用コンピューターなどを用いることができる。
そして、制御装置4は、図1に示すように、光源制御部41、測色センサー制御部42、および測色処理部43(本発明の処理部)などを備えて構成されている。
【0032】
光源制御部41は、光源装置2に接続されている。そして、光源制御部41は、例えば利用者の設定入力に基づいて、光源装置2に所定の制御信号を出力し、光源装置2から所定の明るさの白色光を射出させる。
【0033】
測色センサー制御部42は、測色センサー3に接続されている。そして、測色センサー制御部42は、例えば利用者の設定入力に基づいて、測色センサー3にて受光させる光の波長を設定し、この波長の光の受光量を検出する旨の制御信号を測色センサー3に出力する。これにより、測色センサー3の電圧制御部6は、制御信号に基づいて、利用者が所望する光の波長のみを透過させるよう、静電アクチュエーター54への印加電圧を設定する。
【0034】
測色処理部43は、測色センサー制御部42を制御して、エタロン5の反射膜間ギャップを変動させて、エタロン5を透過する光の波長を変化させる。また、測色処理部43は、検出部31から入力される受光信号に基づいて、エタロン5を透過した光の光量を取得する。そして、測色処理部43は、上記により得られた各波長の光の受光量に基づいて、被検査対象Aにより反射された光の色度を算出する。
【0035】
〔5.エタロンの製造方法〕
次に、上記エタロン5の製造方法について、図面に基づいて説明する。
【0036】
(5−1.第一基板の製造)
図5は、エタロン5の第一基板51の製造工程を示す図である。
第一基板51を製造するためには、まず、第一基板51の製造素材である母材(ガラス基板)を準備し、厚み寸法が500μmとなるように切削し、平均表面粗さRaが例えば1nm以下となるように、母材の表面を鏡面研磨加工する。これにより、図5(A)に示すように、第一基板51の厚み寸法を均一にでき、基板表面を鏡面状の平滑面にすることができる。これにより、平面状の第一反射膜形成面513が形成される。
【0037】
次に、エッチングにより、図5(B)に示すように、第一基板51の一面側に電極溝511を形成する。具体的には、第一基板51の一面に、フォトリソグラフィ法を用いて、電極溝511を形成するためのレジストパターンを形成し、電極溝511の部分を、ウェットエッチングにより加工する。ウェットエッチングでは、エッチング剤として、BHF(HF:NH4F=1:6)やHF(HF:H2O=1:10)等のフッ素酸水溶液を用いる。この際、第一電極541および第二電極542の電極間ギャップが、予め設定された設計値となるようにエッチング深さを決定して、エッチングを行う。
【0038】
次に、図5(C)に示すように、第一基板51の第一接合面514上に、プラズマ重合膜53を、プラズマCVD法により成膜する。このプラズマ重合膜53の形成では、主材料にポリオルガノシロキサンを用いることが好ましい。ポリオルガノシロキサンは、通常、撥水性を示すが、各種の活性化処理を施すことによって容易に有機基を脱離させることができ、親水性に変化することができる。つまり、ポリオルガノシロキサンは撥水性と親水性との制御を容易に行える材料である。
撥水性を示すポリオルガノシロキサンで構成されたプラズマ重合膜53は、それ同士を接触させても、有機基によって接着が阻害されることになり、極めて接着し難い。一方、親水性を示すポリオルガノシロキサンで構成されたプラズマ重合膜53は、それ同士を接触させると、特に容易に接着することができる。つまり、撥水性と親水性の制御を容易に行えるという利点は、接着性の制御を容易に行えるという利点につながる。
また、プラズマ重合膜53の形成では、反射膜間ギャップの寸法や、電極間ギャップの寸法が設計値となるように成膜する。本実施形態では、硬化後のプラズマ重合膜53の厚み寸法が20μmとなるように、少なくとも20μm以上の厚み寸法で、プラズマ重合膜53を成膜する。
【0039】
この後、図5(D)に示すように、第一反射膜形成面513に、第一反射膜56を形成する。具体的には、第一反射膜56は、リフトオフプロセスにより成膜される。すなわち、フォトリソグラフィ法などにより、第一基板51上の反射膜形成部分以外にレジスト(リフトオフパターン)を成膜する。そして、第一反射膜56を形成する各層(SiO2,TiO2,Ag)を積層して成膜する。この後、リフトオフにより、第一反射膜形成面513以外の反射膜を除去する。
【0040】
次に、図5(E)に示すように、第一電極541(第一電極線541A、および第一電極パッド541Bを含む)を形成する。この第一電極541としては、ITOを用いることができる。第一電極541の成膜では、まず、第一基板51上にITO膜を均一成膜し、フォトリソグラフィ法およびエッチングにより、所望の位置のITOパターンを形成、つまり第一電極541、第一電極線541A,第一電極パッド541Bを形成する。
【0041】
(5−2.第二基板の製造)
次に、第二基板52の製造方法について説明する。
図6は、第二基板の製造工程の概略を示す断面図である。
【0042】
第二基板52の形成では、まず、図6(A)に示すように、第二基板52の形成素材である母材(ガラス基板)を用意し、切削等により、例えば厚み寸法を200μmの均一厚みに形成する。そして、母材の表面を鏡面研磨加工することで、平均表面粗さRaが1nm以下の平滑面にする。
【0043】
この後、図6(B)に示すように、第二基板52の一面側をエッチングすることで、可動部521および連結保持部522を形成する。この際、電極溝511の形成と同様に、第二基板52の一面に、フォトリソグラフィ法を用いて、連結保持部522を形成するためのレジストパターンを形成し、ウェットエッチングにより加工する。ウェットエッチングでは、エッチング剤として、BHF(HF:NH4F=1:6)やHF(HF:H2O=1:10)等のフッ素酸水溶液を用いる。
【0044】
次に、図6(C)に示すように、第二基板52の他面側(第一基板51に対向する面)に、第二反射膜57を形成する。この第二反射膜57は、第一反射膜56と同様に、リフトオフプロセスにより成膜する。すなわち、フォトリソグラフィ法により、第二基板52上に第二反射膜形成部分以外にレジスト(リフトオフパターン)を成膜し、第二反射膜57を形成する各層(SiO2,TiO2,Ag)を積層して成膜する。そして、リフトオフにより、第二反射膜形成面523以外の反射膜を除去して、第二反射膜57を形成する。
【0045】
この後、図6(D)に示すように、第二電極542(第二電極線542A,第二電極パッド542B含む)を形成する。これには、第一電極541の形成と同様に、まず第二基板52の第一基板51に対向する面に、ITO膜を均一に成膜し、フォトリソグラフィ法、およびエッチング処理により、ITOパターンを形成して、第二電極542、第二電極線542A、および第二電極パッド542Bを形成する。
【0046】
(5−3.第一基板および第二基板の接合)
第一基板51および第二基板52の接合では、第一基板51に形成されたプラズマ重合膜53と、第二基板52の第二接合面524とを重ね合わせて接合する接合工程を実施する。
具体的には、まず、プラズマ重合膜53および第二基板52を活性化させる表面活性化工程を実施する。ここで、この活性化とは、プラズマ重合膜53や第二基板52の表面及び内部の分子結合が切断されて終端化されていない結合手が生じた状態や、その切断された結合手にOH基が結合した状態、又は、これらの状態が混在した状態をいう。
この表面活性化工程では、プラズマ重合膜53や第二基板52の表面を効率よく活性化させるためにプラズマを照射する方法が好ましい。この方法では、プラズマ重合膜53や第二基板52の分子構造を必要以上に切断することなく、プラズマ重合膜53の特性の低下を避けることが可能となる。
【0047】
図7は、第一基板および第二基板の接合させる接合工程の一部を示す図である。
プラズマ重合膜53および第二基板52を活性化した後、図7に示すように、プラズマ重合膜53と第二基板52とを接合させる。この時、上面が平滑面となる基台71上に第一基板51を載置して、プラズマ重合膜53の端面に第二基板52の第二接合面524を重ね合わせる。このとき、第二基板52の上面を、押圧部材72で押圧して加圧接合させる。この押圧部材72は、第二基板52の上面に当接する一面が平滑面に形成される。したがって、押圧部材72の平滑面を基台71に対して平行に維持した状態で進退させることで、第二基板52に均等に荷重を与えることが可能となる。また、硬化していないプラズマ重合膜53は弾性を有するため、押圧部材72を進退させることで、プラズマ重合膜53が弾性変形し、反射膜間ギャップおよび電極間ギャップの隙間寸法の調整が容易に実施でき、かつそれぞれ均一寸法となるように調整することができる。
【0048】
また、第一基板51のプラズマ重合膜53と第二基板52との接合部分では、プラズマ重合膜53と第二基板52の表面にそれぞれ存在するOH基同士が隣接することになる。この隣接したOH基同士は、水素結合によって互いに引き合い、OH基同士の間に引力が発生する。また、この水素結合によって互いに引き合うOH基同士は温度条件によって脱水縮合を伴って表面から離脱する。その結果、2つの部材同士の接触境界では、脱離したOH基が結合していた結合手同士が結合する。さらに、プラズマ重合膜53の表面や内部に生じた終端化されていない結合手同士が再結合し、これらの再結合は、互いに重なり合う(絡み合う)ように複雑に生じる。これにより、接合界面にネットワーク状の結合が形成される。以上により、プラズマ重合膜53および第二基板52が直接接合して一体化され、接合される。また、この時、押圧部材72により加圧されることで、接合強度がより大きくなる。
【0049】
そして、第一基板および第二基板の接合では、上記のような加圧状態で、プラズマ重合膜53に紫外線を照射する。ポリオルガノシロキサンは、紫外線硬化特性を示す。したがって、プラズマ重合膜53に紫外線を照射することで、プラズマ重合膜53は、第一基板51および第二基板52を接合した状態で硬化する。また、押圧部材72による加圧状態で、プラズマ重合膜53を紫外線硬化させることで、押圧部材72を外した後も、加圧により設定された反射膜間ギャップや、電極間ギャップのギャップ間寸法が維持される。
以上により、反射膜間ギャップ、および電極間ギャップが所望の設定値に精密に設定されたエタロン5が製造される。
【0050】
〔6.本実施形態の作用効果〕
上述したように、本実施形態の測色装置1の測色センサー3に設けられたエタロン5では、第一基板51および第二基板52の鏡面研磨加工された母材表面である第一反射膜形成面513および第二反射膜形成面523に、第一反射膜56および第二反射膜57が形成されている。そして、これらの第一基板51および第二基板52は、プラズマ重合膜53により接合され、このプラズマ重合膜53の厚み寸法により、第一反射膜56および第二反射膜57の反射膜間ギャップの寸法が規定されている。
【0051】
このような構成のエタロン5では、第一反射膜56および第二反射膜57が鏡面研磨加工された第一反射膜形成面513および第二反射膜形成面523に形成されているため、凹凸が発生しない。また、プラズマ重合膜53により第一基板51および第二基板52を接合する構成では、接合時の加圧過程で、プラズマ重合膜53を弾性変形させて第一反射膜形成面513と第二反射膜形成面523と容易に平行に調整することができ、反射膜間ギャップの寸法も容易に調整することができる。そして、加圧過程において、紫外線照射を行うことでプラズマ重合膜53が硬化するため、上記のように調整した反射膜間ギャップや、反射膜56,57同士の平行度も、押圧部材72を外した後も維持することができる。
以上により、第一反射膜56および第二反射膜57が平行に維持され、高分解能のエタロン5を提供することができる。
【0052】
また、スペーサなどの別部材を第一基板51および第二基板52の間に設けないため、構造が簡単となり、製造コストも低減させることができる。また、第一基板51および第二基板52の接合時に、第二基板52に加える荷重を調整することで、容易に反射膜間ギャップを調整することもでき、反射膜間ギャップが異なる複数種のエタロン5を製造する場合であっても、製造コストを抑えることができる。
【0053】
さらに、このような高分解能で所望の波長の光を透過させることができるエタロン5を備えた測色センサー3では、検出部31に、測定対象となる所望波長の光がより多く受光され、測定対象外の波長の光の光量が小さくなる。したがって、所望波長の光の光量をより正確に検出することができる。さらには、このような測色センサー3を備えた測色装置1においても、各波長の光に対する光量を正確に検出することができるため、これらの各波長の光の光量に基づいて、正確な分析処理を実施することができ、被検査対象Aのより正確な色度を測定することができる。
【0054】
また、エタロン5を構成する第一基板51および第二基板52は、ガラス基板により形成されている。このようなガラス基板では、鏡面研磨加工により、容易に平滑な平面である第一反射膜形成面513、および第二反射膜形成面523を形成することができ、このような第一反射膜形成面513、および第二反射膜形成面523に第一反射膜56および第二反射膜57を形成することで、反射膜表面に凹凸や傾斜が生じず、高分解能を容易に実現できる。
【0055】
また、第一基板51および第二基板52を接合する紫外線硬化接合膜として、プラズマ重合膜53を用いている。このようなプラズマ重合膜53は、プラズマCVD法により、容易に形成することができ、かつ厚み寸法の制御も容易に実施できる。また、プラズマ重合膜53として、ポリオレガノシロキサンを用いている。ポリオレガノシロキサンは、プラズマの照射により、難接着性の疎水性から容易接着性の親水性に変化させることができ、接着接合の制御を容易にできる。
【0056】
〔他の実施形態〕
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0057】
例えば、第一実施形態において、第一基板51では、エッチングにより電極溝511の形成部のみを形成する例を示したが、これに限らない。例えば、図8に示すような構成としてもよい。すなわち、図8に示すエタロン5では、第一基板51の第二基板52に対向する面のうち、第一反射膜形成面513以外の領域がエッチングされて溝が形成されている。このような構成では、第一接合面514と電極溝511とが同一高さ位置に形成される。この場合、第一接合面514は、エッチングの状態により傾斜したり、表面に凹凸が生じたりする場合がある。しかしながら、上述したように、接合層として、プラズマ重合膜を用い、接合時に第二基板52を第一基板51側に均一荷重で押圧することで、プラズマ重合膜53が弾性変形し、反射膜間ギャップの寸法を所望の寸法値に設定することができるため、エッチングによる傾斜や凹凸による影響がなく、第一基板51および第二基板52を平行にすることができる。また、この状態で紫外線を照射することで、迅速にプラズマ重合膜を硬化させることができる。
【0058】
また、上記実施形態では、静電アクチュエーター54により、反射膜間ギャップを調整可能なエタロン5の構成を例示したが、その他の駆動部材により反射膜間ギャップが調整可能な構成としてもよい。例えば、第二基板52の第一基板51とは反対側に、斥力により第二基板52を押圧する静電アクチュエーターや、圧電部材を設ける構成としてもよい。
さらに、反射膜間ギャップの調整機構を具備しないエタロンであってもよい。この場合、エタロンは、予め設定された反射膜間ギャップの寸法に基づいた所定波長の光のみを透過させることができる。また、このようなエタロンでは、エッチングにより電極溝511や可動部521、連結保持部522を形成する必要がないため、より簡単に製造することができ、製造コストも低減できる。
【0059】
また、上記実施形態では、紫外線硬化接合膜として、プラズマ重合膜を例示したが、プラズマ重合膜としては、ポリオレガノシロキサンに限られず、その他の組成物を主原料としてプラズマ重合膜を用いてもよい。
さらに、プラズマ重合膜に限られず、紫外線硬化樹脂や、紫外線硬化接着剤などを用いてもよい。
【0060】
そして、上記実施形態では、第一基板51の作成時にプラズマ重合膜53を作成した後、第一反射膜56および第一電極541を形成する製造方法を例示したが、例えば、第一基板51に第一反射膜56および第一電極541を作成した後、第二基板52との接合を実施する直前にプラズマ重合膜53を形成してもよい。
【0061】
第一反射膜56および第二反射膜57として、SiO2層、TiO2層、およびAg層の各層を順に積層させる積層膜を例示したが、例えば上述したように、SiO2層およびTiO2層の2層を順に積層した誘電多層膜であってもよく、AgC単層により反射膜が形成される構成であってもよい。また、SiO2層、TiO2層、およびAg層の積層順を適宜変更して所望の反射特性を得る構成などとしてもよい。また、第一反射膜56および第二反射膜57において、SiO2層、TiO2層、およびAg層の積層順を変更したり、互いにに異なる素材により反射膜を形成したりしてもよい。
第一電極541および第二電極542としてITOを例示したが、その他の導電性を有する膜であればいかなる素材により構成されていてもよく、例えば、Ptなどの金属膜により形成される構成としてもよい。
【0062】
そして、上記実施形態では、本発明の光モジュールとして、測色センサー3を例示し、分析装置として、測色センサー3を備えた測色装置1を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、センサー内部にガスを流入させ、入射光のうちガスにて吸収された光を検出するガスセンサーを本発明の光センサーとして用いてもよく、このようなガスセンサーによりセンサー内に流入されたガスを分析、判別するガス検出装置を本発明の光モジュールとしてもよい。
また、各波長の光の強度を経時的に変化させることで、各波長の光でデータを伝送させることも可能であり、この場合、光モジュールに設けられたエタロン5により特定波長の光を分光し、検出器で受光させることで、特定波長の光により伝送されるデータを抽出することができ、このようなデータ抽出用光モジュールを備えた分析装置により、各波長の光のデータを処理することで、光通信を実施することもできる。
【0063】
また、上記実施形態では、可視光域における被検査対象Aの色度を測定するために、可視光域の所望の光を分光させるためのエタロン5を例示したが、これに限定されない。例えば、波長が可視光域よりも大きくなる赤外光域や、波長が可視光域よりも小さくなる紫外光域を対象とすることもできる。紫外光域を対象として光を分光する場合では、上記構成と同様に、第一基板51、第二基板52として、ガラス基板を用いることができ、赤外光域を対象として光を分光する場合では、第一基板51および第二基板52として、ガラス基板の他、表面加工がより容易に実施できるシリコン(Si)などを用いることができる。また、第一反射膜56および第二反射膜57としては、分光により得たい光の波長域に対応した反射特性を有する反射膜を適宜選択すればよく、例えば、紫外光の場合、紫外光域の反射特性が良好であるAlなどを用いてもよい。
【0064】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【符号の説明】
【0065】
1…分析装置である測色装置、3…光モジュールである測色センサー、5…干渉フィルターであるエタロン、31…検出部、43…処理部である測色処理部、51…第一基板、52…第二基板、53…紫外線硬化接合膜であるプラズマ重合膜、56…第一反射膜、57…第二反射膜、511…電極溝、541…第一電極、542…第二電極。
【技術分野】
【0001】
入射光から所定の波長の光を取り出す干渉フィルター、この干渉フィルターを備えた光モジュール、およびこの光モジュールを備えた分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入射光から所定波長の光のみを透過または反射させる干渉フィルターが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の干渉フィルターは、一対の基板のそれぞれ対向する面に、エッチングにより凹陥部を形成し、これらの基板を接着剤により接合している。この干渉フィルターでは、凹陥部の表面が鏡面となり、ファブリーペロー干渉計のミラーを構成している。
また、特許文献1には、エッチングされていない一対のガラス基板を対向させ、スペーサを介して接合する構成も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−281443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のように、基板に、エッチングにより凹陥部を設ける場合、エッチング形成された面が傾斜面となったり、表面に凹凸が生じたりする場合がある。この場合、一対の基板の互いに対向するミラーも傾斜したり、ミラー面に凹凸が生じたりし、干渉フィルターの分解能が低下してしまうという問題がある。
一方、特許文献1には、スペーサを介してエッチングされていない基板同士を対向する構成が開示されているが、このような構成では、スペーサが別途必要となる。また、ミラー間のギャップが異なる複数種類の干渉フィルターを製造するには、複数種類の厚み寸法のスペーサを用意する必要がある。このため、干渉フィルターの製造コストが高くなるという問題がある。これに加え、各スペーサの厚みを精度良く均一に製造しないと、基板同士が平行ではなくなり、上記と同様に、分解能が低下してしまうという問題もある。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みて、高分解能で、かつ低コストで製造可能な干渉フィルター、光モジュール、および分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の干渉フィルターは、一面側に表面研磨された第一研磨平面を有する第一基板と、前記第一基板に対向し、前記第一研磨平面に対向する一面側に表面研磨された第二研磨平面を有する第二基板と、前記第一研磨平面に設けられた第一反射膜と、前記第二研磨平面に設けられ、前記第一反射膜に対向する第二反射膜と、前記第一基板および前記第二基板を接合するとともに、前記第一反射膜および前記第二反射膜の間に反射膜間ギャップを形成する紫外線硬化接合膜と、を具備したことを特徴とする。
【0007】
この発明では、第一基板および第二基板のそれぞれに第一研磨平面および第二研磨平面が設けられて、これらの第一研磨平面および第二研磨平面が対向配置されている。そして、これらの第一研磨平面および第二研磨平面のそれぞれに、第一反射膜および第二反射膜が互いに対向して設けられている。このような、第一研磨平面、第二研磨平面では、エッチング処理により形成される面に比べて、表面に傾斜や凹凸が形成されないため、第一研磨平面や第二研磨平面に設けられる第一反射膜および第二反射膜にも傾斜や凹凸が形成されない。また、紫外線硬化接合膜を用いて第一基板および第二基板を接合する構成では、製造時に、例えば第二基板から第一基板に向かって、または第一基板から第二基板に向かって荷重を印加することで、紫外線硬化接合膜が圧縮されて弾性的に変形する。このため、荷重を制御することで、第一反射膜および第二反射膜の間の反射膜間ギャップの寸法を容易に、所望の値に設定することが可能となり、かつ、荷重を均等に印加することで、これらの第一基板および第二基板を、精度良く平行に維持することができる。そして、第一基板および第二基板が平行に維持された状態で紫外線を照射することで、紫外線硬化接合膜を迅速に硬化させることができる。
以上により、本発明では、第一基板の第一研磨平面および第二基板の第二研磨平面を平行に維持することができ、第一反射膜および第二反射膜も平行にできる。また、第一研磨平面および第二研磨平面に傾斜や凹凸がないため、第一反射膜および第二反射膜も平滑面とすることができる。したがって、第一反射膜および第二反射膜の間の反射膜間ギャップの寸法が、平面位置によって変動することがなく、一様となるので、干渉フィルターにより取り出される光の波長にもばらつきがなく、高分解能を実現できる。
また、紫外線硬化接合膜の接合では、紫外線照射により行われるため、例えば第一および第二反射膜にダメージを与える熱処理などが不要で、反射膜の劣化がなく、高性能な干渉フィルターを製造できる。さらに、スペーサなどの別部材を用いる必要がないため、製造コストをも低減できる。
【0008】
本発明の干渉フィルターでは、前記第一基板は、前記第二基板に対向する面に凹状に形成された電極溝と、この電極溝の溝底面に設けられる第一電極と、を備え、前記第二基板は、前記第一電極に対向する第二電極を備えることが好ましい。
【0009】
この発明では、第一電極および第二電極のそれぞれに電圧を印加することで、静電引力により、第一基板および第二基板のうち少なくともいずれか一方を撓ませて反射膜間ギャップの寸法を調整することができる。したがって、例えば被測定対象光を構成する各波長の光の光量を測定する場合などにおいて、第一電極および第二電極に印加する電圧を順次切り替えることで、容易に、干渉フィルターから取り出す光の波長を切り替えることができる。
【0010】
本発明の干渉フィルターでは、前記第一基板および前記第二基板は、ガラス基板であることが好ましい。
この発明では、第一基板および第二基板がガラス基板であり、鏡面研磨により平滑な平面を容易に得ることができる。また、ガラス基板であれば可視光を良好に透過することができ、可視光内の所望波長の光を、吸収などすることなく良好に取り出すことができる。
【0011】
本発明の光モジュールは、上述のような干渉フィルターと、干渉フィルターにより取り出される光の光量を検出する検出部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
この発明では、上述したように、干渉フィルターは、第一反射膜および第二反射膜を、高精度に平行に維持することができるため、高分解能を実現できる。したがって、このような干渉フィルターを備えた光モジュールでは、高い分解能で取り出された所望の光を検出部で受光させることができ、所望波長の光の光量を正確に検出することができる。また、干渉フィルターを低コストで製造できるため、このような干渉フィルターを備えた光モジュールの製造コストも低コストにできる。
【0013】
本発明の分析装置は、光モジュールと、前記検出部により検出された光の光量に基づいて、光分析処理を実施する処理部と、を備えることを特徴とする。
ここで、分析装置としては、上記のような光モジュールにより検出された光の光量に基づいて、干渉フィルターに入射した光の色度や明るさなどを分析する光測定器、ガスの吸収波長を検出してガスの種類を検査するガス検出装置、受光した光からその波長の光に含まれるデータを取得する光通信装置などを例示することができる。
本発明では、上述したように、光モジュールにより、所望波長の光の正確な光量を検出することができるため、分析装置では、このような正確なデータに基づいて、正確な分析処理を実施できる。また、光モジュールを低コストで製造できるため、このような光モジュールを備えた分析装置においても、製造コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る一実施形態の測色装置の概略構成を示す図である。
【図2】前記実施形態の干渉フィルターであるエタロンの概略構成を示す平面図である。
【図3】前記実施形態のエタロンの断面図である。
【図4】前記実施形態のエタロンの分解斜視図である。
【図5】第一基板の製造工程を示す図である。
【図6】第二基板の製造工程を示す図である。
【図7】第一基板および第二基板を接合する接合工程を示す図である。
【図8】他の実施形態におけるエタロンの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る一実施形態について、図面に基づいて説明する。
〔1.測色装置の全体構成〕
図1は、本発明に係る実施形態の測色装置の概略構成を示す図である。
この測色装置1は、本発明の分析装置であり、図1に示すように、被検査対象Aに光を射出する光源装置2と、本発明の光モジュールである測色センサー3と、測色装置1の全体動作を制御する制御装置4とを備えている。そして、この測色装置1は、光源装置2から射出される光を被検査対象Aにて反射させ、反射された検査対象光を測色センサーにて受光し、測色センサー3から出力される検出信号に基づいて、検査対象光の色度、すなわち被検査対象Aの色を分析して測定する装置である。
【0016】
〔2.光源装置の構成〕
光源装置2は、光源21、複数のレンズ22(図1には1つのみ記載)を備え、被検査対象Aに対して白色光を射出する。また、複数のレンズ22には、コリメーターレンズが含まれており、光源装置2は、光源21から射出された白色光をコリメーターレンズにより平行光とし、図示しない投射レンズから被検査対象Aに向かって射出する。
なお、本実施形態では、光源装置2を備える測色装置1を例示するが、例えば被検査対象Aが液晶パネルなどの発光部材である場合、光源装置2が設けられない構成としてもよい。
【0017】
〔3.測色センサーの構成〕
測色センサー3は、図1に示すように、本発明の干渉フィルターを構成するエタロン5と、エタロン5を透過する光を受光する検出部31と、エタロン5で透過させる光の波長を可変する電圧制御部6と、を備えている。また、測色センサー3は、エタロン5に対向する位置に、被検査対象Aで反射された反射光(検査対象光)を、内部に導光する図示しない入射光学レンズを備えている。そして、この測色センサー3は、エタロン5により、入射光学レンズから入射した検査対象光のうち、所定波長の光のみを分光し、分光した光を検出部31にて受光する。
検出部31は、複数の光電交換素子により構成されており、受光量に応じた電気信号を生成する。そして、検出部31は、制御装置4に接続されており、生成した電気信号を受光信号として制御装置4に出力する。
【0018】
(3−1.エタロンの構成)
図2は、本発明の干渉フィルターを構成するエタロン5の概略構成を示す平面図であり、図3は、エタロン5の概略構成を示す断面図である。なお、図1では、エタロン5に検査対象光が図中下側から入射しているが、図3では、検査対象光が図中上側から入射するものとする。
エタロン5は、図2に示すように、例えば一辺が10mm程度に形成される平面正方形状の板状の光学部材である。このエタロン5は、図3に示すように、第一基板51、および第二基板52を備えている。これらの2枚の基板51,52は、それぞれ例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラスなどの各種ガラスや、水晶などにより形成されている。これらの中でも、各基板51,52の構成材料としては、例えばナトリウム(Na)やカリウム(K)などのアルカリ金属を含有したガラスが好ましく、このようなガラスにより各基板51,52を形成することで、後述する反射膜56,57や、各電極の密着性や、基板同士の接合強度を向上させることが可能となる。また、ガラスは、可視光の透過特性が良好であるため、本実施形態のように、被検査対象Aの色を測定する場合では、基板51,52での光の吸収を抑えることができ、測色処理に適している。そして、これらの2つの基板51,52は、外周縁に沿って形成される接合面514,524同士がプラズマ重合膜53により接合されることで、一体的に構成されている。
【0019】
また、第一基板51と、第二基板52との間には、本発明の第一反射膜56および第二反射膜57が設けられる。ここで、第一反射膜56は、第一基板51の第二基板52に対向する面に固定され、第二反射膜57は、第二基板52の第一基板51に対向する面に固定されている。また、これらの第一反射膜56および第二反射膜57は、反射膜間ギャップを介して対向配置されている。
さらに、第一基板51と第二基板52との間には、第一反射膜56および第二反射膜57の間の反射膜間ギャップの寸法を調整するための静電アクチュエーター54が設けられている。
なお、本実施形態では、上述したように、平面視正方形状のエタロン5を例示するが、これに限定されるものではなく、例えば、平面視円形状、平面視多角形状に形成されていてもよい。
【0020】
(3−1−1.第一基板の構成)
図4は、エタロン5の第一基板51および第二基板52を分離した分解斜視図である。
第一基板51は、厚みが例えば500μmに形成される略正方形状のガラス基板により形成される。
この第一基板51には、図4に示すように、第二基板52に対向する対向面に、電極溝511、およびこの電極溝511から外周側に向かって延出形成される配線溝512が、エッチングにより形成されている。
具体的には、電極溝511は、エタロン平面視(基板厚み方向から第一基板51を見る平面視)において、平面中心点を中心とするリング形状に形成されている。
また、配線溝512は、図4に示すように、電極溝511の外輪縁511Bから第一基板51の4頂点に向かって延出し、電極溝511と同一深さ寸法に形成されている。
【0021】
電極溝511の内輪縁511Aおよび外輪縁511Bの間の溝底面には、静電アクチュエーター54を構成するリング状の第一電極541が形成されている。また、4つの配線溝512のうち、平面中心点に対して点対称となる一対の配線溝512には、第一電極541に接続される第一電極線541Aが形成されている。これらの第一電極線541Aの先端には、それぞれ第一電極パッド541Bが形成され、これらの第一電極パッド541Bが電圧制御部6に接続されている。
ここで、静電アクチュエーター54を駆動させる際には、電圧制御部6により、一対の第一電極パッド541Bのうちのいずれか一方にのみに電圧が印加される。そして、他方の第一電極パッド541Bは、第一電極541の電荷保持量を検出するための検出端子として用いられる。
なお、本実施形態では、一対の第一電極パッド541Bのうちの一方に電圧を印加する構成を例示するが、一対の第一電極パッド541Bの双方に電圧印加する構成としてもよい。また、4つの配線溝512のうちの1つにのみ、第一電極線541Aおよび第一電極パッド541Bが形成される構成などとしてもよい。
【0022】
そして、第一基板51の表面領域のうち、電極溝511および配線溝512の形成領域以外の基板表面は、鏡面研磨加工により平面に形成されている。これにより、電極溝511の内輪縁511Aの径内側は、鏡面研磨加工された平面となり、第一反射膜形成面513(本発明の第一研磨平面)が形成される。
この第一反射膜形成面513には、例えば直径が約3mmの円形状に形成される第一反射膜56が固定されている。この第一反射膜56は、例えばSiO2、TiO2、Agの各層を順に積層することにより形成される反射膜であり、スパッタリングなどの手法により第一反射膜形成面513に形成される。なお、第一反射膜56を構成する各層の積層順としては、エタロン5により分光する光の波長域や、所望する分解能により適宜設定されるものであり、上記の積層順には限定されない。また、本実施形態では、第一反射膜56として、SiO2、TiO2、Agの各層を適宜組み合わせて積層することで構成される例を示したが、例えばSiO2、TiO2を順に積層した誘電多層膜としてもよく、その他、例えばAgC単層膜などの単層膜を反射膜として形成してもよい。
【0023】
そして、第一基板51の電極溝511の外方には、第一接合面514が形成されている。この第一接合面514には、上述したように、第一基板51および第二基板52を接合する紫外線硬化接合膜としてのプラズマ重合膜53が形成されている。
このプラズマ重合膜53の主原料としては、例えば、ポリオルガノシロキサンが挙げられ、このような主原料により形成されたプラズマ重合膜では、第一基板51および第二基板52の接合時に紫外線照射により迅速に硬化させることが可能となる。なお、本実施形態において、第一基板51および第二基板52を接合する紫外線硬化膜として、プラズマ重合膜を例示したが、例えば、紫外線硬化樹脂の接着層を形成する構成などとしてもよい。
【0024】
さらに、第一基板51は、第二基板52に対向しない下面において、エタロン平面視で第一反射膜56に対応する位置に、図示略の反射防止膜(AR)が形成されている。この反射防止膜は、低屈折率膜および高屈折率膜を交互に積層することで形成され、第一基板51の表面での可視光の反射率を低下させ、透過率を増大させる。
【0025】
(3−1−2.第二基板の構成)
第二基板52は、例えば厚み寸法が200μmに形成されるガラス基板をエッチングにより加工することで形成される。
具体的には、第二基板52には、図2に示すような平面視において、基板中心点を中心とした円形の可動部521と、可動部521と同軸であり可動部521を保持する連結保持部522と、を備えている。この連結保持部522の外周径寸法は、第一基板51の電極溝511の外周径寸法と同一寸法に形成されている。
【0026】
可動部521は、連結保持部522よりも厚み寸法が大きく形成され、例えば、本実施形態では、第二基板52の厚み寸法と同一寸法である200μmに形成されている。
また、可動部521は、第一基板51とは反対側の上面において、図示略の反射防止膜(AR)が形成されている。この反射防止膜は、第一基板51に形成される反射防止膜と同様の構成を有し、低屈折率膜および高屈折率膜を交互に積層することで形成される。
【0027】
連結保持部522は、可動部521の周囲を囲うダイヤフラムであり、例えば厚み寸法が50μmに形成されている。この連結保持部522の第一基板51に対向する面には、第一電極541と、約1μmの電磁ギャップを介して対向する、リング状の第二電極542が形成されている。ここで、この第二電極542および前述した第一電極541により、静電アクチュエーター54が構成される。
また、第二電極542の外周縁の一部からは、一対の第二電極線542Aが外周方向に向かって形成されている。具体的には、図2、図4に示すように、第二電極線542Aは、エタロン平面視において、第一電極線541Aが形成される一方の対角線方向とは異なる、他方の対角線方向に沿って形成されている。したがって、第一基板51および第二基板52を接合した際に、第一電極線541Aおよび第二電極線542Aはエタロン平面視において重ならない。そして、これらの第二電極線542Aは、先端には、それぞれ第二電極パッド542Bが形成され、これらの第二電極パッド542Bが電圧制御部6に接続される。
【0028】
ここで、静電アクチュエーター54を駆動させる際には、第一電極541と同様、電圧制御部6により、一対の第二電極パッド542Bのうちのいずれか一方にのみに電圧が印加される。そして、他方の第二電極パッド542Bは、第二電極542の電荷保持量を検出するための検出端子として用いられる。
【0029】
また、第二基板52の、連結保持部522の形成領域以外の基板表面は鏡面研磨加工により平面に加工されている。したがって、可動部521の第一基板51に対向する面も、鏡面研磨加工された平面となり、第一反射膜形成面513に対向する第二反射膜形成面523(本発明の第二研磨平面)を構成する。
この第二反射膜形成面523には、第一反射膜56と同一構成の第二反射膜57が形成されており、第一反射膜56と反射膜間ギャップを介して平行に保持されている。なお、第二反射膜57の構成は、第一反射膜56と同一であるため、ここでの説明は省略する。
【0030】
(3−2.電圧制御部の構成)
電圧制御部6は、制御装置4からの入力される制御信号に基づいて、静電アクチュエーター54の第一電極541および第二電極542に印加する電圧を制御する。
【0031】
〔4.制御装置の構成〕
制御装置4は、測色装置1の全体動作を制御する。
この制御装置4としては、例えば汎用パーソナルコンピューターや、携帯情報端末、その他、測色専用コンピューターなどを用いることができる。
そして、制御装置4は、図1に示すように、光源制御部41、測色センサー制御部42、および測色処理部43(本発明の処理部)などを備えて構成されている。
【0032】
光源制御部41は、光源装置2に接続されている。そして、光源制御部41は、例えば利用者の設定入力に基づいて、光源装置2に所定の制御信号を出力し、光源装置2から所定の明るさの白色光を射出させる。
【0033】
測色センサー制御部42は、測色センサー3に接続されている。そして、測色センサー制御部42は、例えば利用者の設定入力に基づいて、測色センサー3にて受光させる光の波長を設定し、この波長の光の受光量を検出する旨の制御信号を測色センサー3に出力する。これにより、測色センサー3の電圧制御部6は、制御信号に基づいて、利用者が所望する光の波長のみを透過させるよう、静電アクチュエーター54への印加電圧を設定する。
【0034】
測色処理部43は、測色センサー制御部42を制御して、エタロン5の反射膜間ギャップを変動させて、エタロン5を透過する光の波長を変化させる。また、測色処理部43は、検出部31から入力される受光信号に基づいて、エタロン5を透過した光の光量を取得する。そして、測色処理部43は、上記により得られた各波長の光の受光量に基づいて、被検査対象Aにより反射された光の色度を算出する。
【0035】
〔5.エタロンの製造方法〕
次に、上記エタロン5の製造方法について、図面に基づいて説明する。
【0036】
(5−1.第一基板の製造)
図5は、エタロン5の第一基板51の製造工程を示す図である。
第一基板51を製造するためには、まず、第一基板51の製造素材である母材(ガラス基板)を準備し、厚み寸法が500μmとなるように切削し、平均表面粗さRaが例えば1nm以下となるように、母材の表面を鏡面研磨加工する。これにより、図5(A)に示すように、第一基板51の厚み寸法を均一にでき、基板表面を鏡面状の平滑面にすることができる。これにより、平面状の第一反射膜形成面513が形成される。
【0037】
次に、エッチングにより、図5(B)に示すように、第一基板51の一面側に電極溝511を形成する。具体的には、第一基板51の一面に、フォトリソグラフィ法を用いて、電極溝511を形成するためのレジストパターンを形成し、電極溝511の部分を、ウェットエッチングにより加工する。ウェットエッチングでは、エッチング剤として、BHF(HF:NH4F=1:6)やHF(HF:H2O=1:10)等のフッ素酸水溶液を用いる。この際、第一電極541および第二電極542の電極間ギャップが、予め設定された設計値となるようにエッチング深さを決定して、エッチングを行う。
【0038】
次に、図5(C)に示すように、第一基板51の第一接合面514上に、プラズマ重合膜53を、プラズマCVD法により成膜する。このプラズマ重合膜53の形成では、主材料にポリオルガノシロキサンを用いることが好ましい。ポリオルガノシロキサンは、通常、撥水性を示すが、各種の活性化処理を施すことによって容易に有機基を脱離させることができ、親水性に変化することができる。つまり、ポリオルガノシロキサンは撥水性と親水性との制御を容易に行える材料である。
撥水性を示すポリオルガノシロキサンで構成されたプラズマ重合膜53は、それ同士を接触させても、有機基によって接着が阻害されることになり、極めて接着し難い。一方、親水性を示すポリオルガノシロキサンで構成されたプラズマ重合膜53は、それ同士を接触させると、特に容易に接着することができる。つまり、撥水性と親水性の制御を容易に行えるという利点は、接着性の制御を容易に行えるという利点につながる。
また、プラズマ重合膜53の形成では、反射膜間ギャップの寸法や、電極間ギャップの寸法が設計値となるように成膜する。本実施形態では、硬化後のプラズマ重合膜53の厚み寸法が20μmとなるように、少なくとも20μm以上の厚み寸法で、プラズマ重合膜53を成膜する。
【0039】
この後、図5(D)に示すように、第一反射膜形成面513に、第一反射膜56を形成する。具体的には、第一反射膜56は、リフトオフプロセスにより成膜される。すなわち、フォトリソグラフィ法などにより、第一基板51上の反射膜形成部分以外にレジスト(リフトオフパターン)を成膜する。そして、第一反射膜56を形成する各層(SiO2,TiO2,Ag)を積層して成膜する。この後、リフトオフにより、第一反射膜形成面513以外の反射膜を除去する。
【0040】
次に、図5(E)に示すように、第一電極541(第一電極線541A、および第一電極パッド541Bを含む)を形成する。この第一電極541としては、ITOを用いることができる。第一電極541の成膜では、まず、第一基板51上にITO膜を均一成膜し、フォトリソグラフィ法およびエッチングにより、所望の位置のITOパターンを形成、つまり第一電極541、第一電極線541A,第一電極パッド541Bを形成する。
【0041】
(5−2.第二基板の製造)
次に、第二基板52の製造方法について説明する。
図6は、第二基板の製造工程の概略を示す断面図である。
【0042】
第二基板52の形成では、まず、図6(A)に示すように、第二基板52の形成素材である母材(ガラス基板)を用意し、切削等により、例えば厚み寸法を200μmの均一厚みに形成する。そして、母材の表面を鏡面研磨加工することで、平均表面粗さRaが1nm以下の平滑面にする。
【0043】
この後、図6(B)に示すように、第二基板52の一面側をエッチングすることで、可動部521および連結保持部522を形成する。この際、電極溝511の形成と同様に、第二基板52の一面に、フォトリソグラフィ法を用いて、連結保持部522を形成するためのレジストパターンを形成し、ウェットエッチングにより加工する。ウェットエッチングでは、エッチング剤として、BHF(HF:NH4F=1:6)やHF(HF:H2O=1:10)等のフッ素酸水溶液を用いる。
【0044】
次に、図6(C)に示すように、第二基板52の他面側(第一基板51に対向する面)に、第二反射膜57を形成する。この第二反射膜57は、第一反射膜56と同様に、リフトオフプロセスにより成膜する。すなわち、フォトリソグラフィ法により、第二基板52上に第二反射膜形成部分以外にレジスト(リフトオフパターン)を成膜し、第二反射膜57を形成する各層(SiO2,TiO2,Ag)を積層して成膜する。そして、リフトオフにより、第二反射膜形成面523以外の反射膜を除去して、第二反射膜57を形成する。
【0045】
この後、図6(D)に示すように、第二電極542(第二電極線542A,第二電極パッド542B含む)を形成する。これには、第一電極541の形成と同様に、まず第二基板52の第一基板51に対向する面に、ITO膜を均一に成膜し、フォトリソグラフィ法、およびエッチング処理により、ITOパターンを形成して、第二電極542、第二電極線542A、および第二電極パッド542Bを形成する。
【0046】
(5−3.第一基板および第二基板の接合)
第一基板51および第二基板52の接合では、第一基板51に形成されたプラズマ重合膜53と、第二基板52の第二接合面524とを重ね合わせて接合する接合工程を実施する。
具体的には、まず、プラズマ重合膜53および第二基板52を活性化させる表面活性化工程を実施する。ここで、この活性化とは、プラズマ重合膜53や第二基板52の表面及び内部の分子結合が切断されて終端化されていない結合手が生じた状態や、その切断された結合手にOH基が結合した状態、又は、これらの状態が混在した状態をいう。
この表面活性化工程では、プラズマ重合膜53や第二基板52の表面を効率よく活性化させるためにプラズマを照射する方法が好ましい。この方法では、プラズマ重合膜53や第二基板52の分子構造を必要以上に切断することなく、プラズマ重合膜53の特性の低下を避けることが可能となる。
【0047】
図7は、第一基板および第二基板の接合させる接合工程の一部を示す図である。
プラズマ重合膜53および第二基板52を活性化した後、図7に示すように、プラズマ重合膜53と第二基板52とを接合させる。この時、上面が平滑面となる基台71上に第一基板51を載置して、プラズマ重合膜53の端面に第二基板52の第二接合面524を重ね合わせる。このとき、第二基板52の上面を、押圧部材72で押圧して加圧接合させる。この押圧部材72は、第二基板52の上面に当接する一面が平滑面に形成される。したがって、押圧部材72の平滑面を基台71に対して平行に維持した状態で進退させることで、第二基板52に均等に荷重を与えることが可能となる。また、硬化していないプラズマ重合膜53は弾性を有するため、押圧部材72を進退させることで、プラズマ重合膜53が弾性変形し、反射膜間ギャップおよび電極間ギャップの隙間寸法の調整が容易に実施でき、かつそれぞれ均一寸法となるように調整することができる。
【0048】
また、第一基板51のプラズマ重合膜53と第二基板52との接合部分では、プラズマ重合膜53と第二基板52の表面にそれぞれ存在するOH基同士が隣接することになる。この隣接したOH基同士は、水素結合によって互いに引き合い、OH基同士の間に引力が発生する。また、この水素結合によって互いに引き合うOH基同士は温度条件によって脱水縮合を伴って表面から離脱する。その結果、2つの部材同士の接触境界では、脱離したOH基が結合していた結合手同士が結合する。さらに、プラズマ重合膜53の表面や内部に生じた終端化されていない結合手同士が再結合し、これらの再結合は、互いに重なり合う(絡み合う)ように複雑に生じる。これにより、接合界面にネットワーク状の結合が形成される。以上により、プラズマ重合膜53および第二基板52が直接接合して一体化され、接合される。また、この時、押圧部材72により加圧されることで、接合強度がより大きくなる。
【0049】
そして、第一基板および第二基板の接合では、上記のような加圧状態で、プラズマ重合膜53に紫外線を照射する。ポリオルガノシロキサンは、紫外線硬化特性を示す。したがって、プラズマ重合膜53に紫外線を照射することで、プラズマ重合膜53は、第一基板51および第二基板52を接合した状態で硬化する。また、押圧部材72による加圧状態で、プラズマ重合膜53を紫外線硬化させることで、押圧部材72を外した後も、加圧により設定された反射膜間ギャップや、電極間ギャップのギャップ間寸法が維持される。
以上により、反射膜間ギャップ、および電極間ギャップが所望の設定値に精密に設定されたエタロン5が製造される。
【0050】
〔6.本実施形態の作用効果〕
上述したように、本実施形態の測色装置1の測色センサー3に設けられたエタロン5では、第一基板51および第二基板52の鏡面研磨加工された母材表面である第一反射膜形成面513および第二反射膜形成面523に、第一反射膜56および第二反射膜57が形成されている。そして、これらの第一基板51および第二基板52は、プラズマ重合膜53により接合され、このプラズマ重合膜53の厚み寸法により、第一反射膜56および第二反射膜57の反射膜間ギャップの寸法が規定されている。
【0051】
このような構成のエタロン5では、第一反射膜56および第二反射膜57が鏡面研磨加工された第一反射膜形成面513および第二反射膜形成面523に形成されているため、凹凸が発生しない。また、プラズマ重合膜53により第一基板51および第二基板52を接合する構成では、接合時の加圧過程で、プラズマ重合膜53を弾性変形させて第一反射膜形成面513と第二反射膜形成面523と容易に平行に調整することができ、反射膜間ギャップの寸法も容易に調整することができる。そして、加圧過程において、紫外線照射を行うことでプラズマ重合膜53が硬化するため、上記のように調整した反射膜間ギャップや、反射膜56,57同士の平行度も、押圧部材72を外した後も維持することができる。
以上により、第一反射膜56および第二反射膜57が平行に維持され、高分解能のエタロン5を提供することができる。
【0052】
また、スペーサなどの別部材を第一基板51および第二基板52の間に設けないため、構造が簡単となり、製造コストも低減させることができる。また、第一基板51および第二基板52の接合時に、第二基板52に加える荷重を調整することで、容易に反射膜間ギャップを調整することもでき、反射膜間ギャップが異なる複数種のエタロン5を製造する場合であっても、製造コストを抑えることができる。
【0053】
さらに、このような高分解能で所望の波長の光を透過させることができるエタロン5を備えた測色センサー3では、検出部31に、測定対象となる所望波長の光がより多く受光され、測定対象外の波長の光の光量が小さくなる。したがって、所望波長の光の光量をより正確に検出することができる。さらには、このような測色センサー3を備えた測色装置1においても、各波長の光に対する光量を正確に検出することができるため、これらの各波長の光の光量に基づいて、正確な分析処理を実施することができ、被検査対象Aのより正確な色度を測定することができる。
【0054】
また、エタロン5を構成する第一基板51および第二基板52は、ガラス基板により形成されている。このようなガラス基板では、鏡面研磨加工により、容易に平滑な平面である第一反射膜形成面513、および第二反射膜形成面523を形成することができ、このような第一反射膜形成面513、および第二反射膜形成面523に第一反射膜56および第二反射膜57を形成することで、反射膜表面に凹凸や傾斜が生じず、高分解能を容易に実現できる。
【0055】
また、第一基板51および第二基板52を接合する紫外線硬化接合膜として、プラズマ重合膜53を用いている。このようなプラズマ重合膜53は、プラズマCVD法により、容易に形成することができ、かつ厚み寸法の制御も容易に実施できる。また、プラズマ重合膜53として、ポリオレガノシロキサンを用いている。ポリオレガノシロキサンは、プラズマの照射により、難接着性の疎水性から容易接着性の親水性に変化させることができ、接着接合の制御を容易にできる。
【0056】
〔他の実施形態〕
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0057】
例えば、第一実施形態において、第一基板51では、エッチングにより電極溝511の形成部のみを形成する例を示したが、これに限らない。例えば、図8に示すような構成としてもよい。すなわち、図8に示すエタロン5では、第一基板51の第二基板52に対向する面のうち、第一反射膜形成面513以外の領域がエッチングされて溝が形成されている。このような構成では、第一接合面514と電極溝511とが同一高さ位置に形成される。この場合、第一接合面514は、エッチングの状態により傾斜したり、表面に凹凸が生じたりする場合がある。しかしながら、上述したように、接合層として、プラズマ重合膜を用い、接合時に第二基板52を第一基板51側に均一荷重で押圧することで、プラズマ重合膜53が弾性変形し、反射膜間ギャップの寸法を所望の寸法値に設定することができるため、エッチングによる傾斜や凹凸による影響がなく、第一基板51および第二基板52を平行にすることができる。また、この状態で紫外線を照射することで、迅速にプラズマ重合膜を硬化させることができる。
【0058】
また、上記実施形態では、静電アクチュエーター54により、反射膜間ギャップを調整可能なエタロン5の構成を例示したが、その他の駆動部材により反射膜間ギャップが調整可能な構成としてもよい。例えば、第二基板52の第一基板51とは反対側に、斥力により第二基板52を押圧する静電アクチュエーターや、圧電部材を設ける構成としてもよい。
さらに、反射膜間ギャップの調整機構を具備しないエタロンであってもよい。この場合、エタロンは、予め設定された反射膜間ギャップの寸法に基づいた所定波長の光のみを透過させることができる。また、このようなエタロンでは、エッチングにより電極溝511や可動部521、連結保持部522を形成する必要がないため、より簡単に製造することができ、製造コストも低減できる。
【0059】
また、上記実施形態では、紫外線硬化接合膜として、プラズマ重合膜を例示したが、プラズマ重合膜としては、ポリオレガノシロキサンに限られず、その他の組成物を主原料としてプラズマ重合膜を用いてもよい。
さらに、プラズマ重合膜に限られず、紫外線硬化樹脂や、紫外線硬化接着剤などを用いてもよい。
【0060】
そして、上記実施形態では、第一基板51の作成時にプラズマ重合膜53を作成した後、第一反射膜56および第一電極541を形成する製造方法を例示したが、例えば、第一基板51に第一反射膜56および第一電極541を作成した後、第二基板52との接合を実施する直前にプラズマ重合膜53を形成してもよい。
【0061】
第一反射膜56および第二反射膜57として、SiO2層、TiO2層、およびAg層の各層を順に積層させる積層膜を例示したが、例えば上述したように、SiO2層およびTiO2層の2層を順に積層した誘電多層膜であってもよく、AgC単層により反射膜が形成される構成であってもよい。また、SiO2層、TiO2層、およびAg層の積層順を適宜変更して所望の反射特性を得る構成などとしてもよい。また、第一反射膜56および第二反射膜57において、SiO2層、TiO2層、およびAg層の積層順を変更したり、互いにに異なる素材により反射膜を形成したりしてもよい。
第一電極541および第二電極542としてITOを例示したが、その他の導電性を有する膜であればいかなる素材により構成されていてもよく、例えば、Ptなどの金属膜により形成される構成としてもよい。
【0062】
そして、上記実施形態では、本発明の光モジュールとして、測色センサー3を例示し、分析装置として、測色センサー3を備えた測色装置1を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、センサー内部にガスを流入させ、入射光のうちガスにて吸収された光を検出するガスセンサーを本発明の光センサーとして用いてもよく、このようなガスセンサーによりセンサー内に流入されたガスを分析、判別するガス検出装置を本発明の光モジュールとしてもよい。
また、各波長の光の強度を経時的に変化させることで、各波長の光でデータを伝送させることも可能であり、この場合、光モジュールに設けられたエタロン5により特定波長の光を分光し、検出器で受光させることで、特定波長の光により伝送されるデータを抽出することができ、このようなデータ抽出用光モジュールを備えた分析装置により、各波長の光のデータを処理することで、光通信を実施することもできる。
【0063】
また、上記実施形態では、可視光域における被検査対象Aの色度を測定するために、可視光域の所望の光を分光させるためのエタロン5を例示したが、これに限定されない。例えば、波長が可視光域よりも大きくなる赤外光域や、波長が可視光域よりも小さくなる紫外光域を対象とすることもできる。紫外光域を対象として光を分光する場合では、上記構成と同様に、第一基板51、第二基板52として、ガラス基板を用いることができ、赤外光域を対象として光を分光する場合では、第一基板51および第二基板52として、ガラス基板の他、表面加工がより容易に実施できるシリコン(Si)などを用いることができる。また、第一反射膜56および第二反射膜57としては、分光により得たい光の波長域に対応した反射特性を有する反射膜を適宜選択すればよく、例えば、紫外光の場合、紫外光域の反射特性が良好であるAlなどを用いてもよい。
【0064】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【符号の説明】
【0065】
1…分析装置である測色装置、3…光モジュールである測色センサー、5…干渉フィルターであるエタロン、31…検出部、43…処理部である測色処理部、51…第一基板、52…第二基板、53…紫外線硬化接合膜であるプラズマ重合膜、56…第一反射膜、57…第二反射膜、511…電極溝、541…第一電極、542…第二電極。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面側に表面研磨された第一研磨平面を有する第一基板と、
前記第一基板に対向し、前記第一研磨平面に対向する一面側に表面研磨された第二研磨平面を有する第二基板と、
前記第一研磨平面に設けられた第一反射膜と、
前記第二研磨平面に設けられ、前記第一反射膜に対向する第二反射膜と、
前記第一基板および前記第二基板を接合するとともに、前記第一反射膜および前記第二反射膜の間に反射膜間ギャップを形成する紫外線硬化接合膜と、
を具備したことを特徴とする干渉フィルター。
【請求項2】
請求項1に記載の干渉フィルターにおいて、
前記第一基板は、前記第二基板に対向する面に凹状に形成された電極溝と、この電極溝の溝底面に設けられる第一電極と、を備え、
前記第二基板は、前記第一電極に対向する第二電極を備える
ことを特徴とする干渉フィルター。
【請求項3】
請求項1または請求項2の干渉フィルターにおいて、
前記第一基板および前記第二基板は、ガラス基板である
ことを特徴とする干渉フィルター。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の干渉フィルターと、
干渉フィルターにより取り出される光の光量を検出する検出部と、
を備えたことを特徴とする光モジュール。
【請求項5】
請求項4の光モジュールと、
前記検出部により検出された光の光量に基づいて、光分析処理を実施する処理部と、
を備えたことを特徴とする分析装置。
【請求項1】
一面側に表面研磨された第一研磨平面を有する第一基板と、
前記第一基板に対向し、前記第一研磨平面に対向する一面側に表面研磨された第二研磨平面を有する第二基板と、
前記第一研磨平面に設けられた第一反射膜と、
前記第二研磨平面に設けられ、前記第一反射膜に対向する第二反射膜と、
前記第一基板および前記第二基板を接合するとともに、前記第一反射膜および前記第二反射膜の間に反射膜間ギャップを形成する紫外線硬化接合膜と、
を具備したことを特徴とする干渉フィルター。
【請求項2】
請求項1に記載の干渉フィルターにおいて、
前記第一基板は、前記第二基板に対向する面に凹状に形成された電極溝と、この電極溝の溝底面に設けられる第一電極と、を備え、
前記第二基板は、前記第一電極に対向する第二電極を備える
ことを特徴とする干渉フィルター。
【請求項3】
請求項1または請求項2の干渉フィルターにおいて、
前記第一基板および前記第二基板は、ガラス基板である
ことを特徴とする干渉フィルター。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の干渉フィルターと、
干渉フィルターにより取り出される光の光量を検出する検出部と、
を備えたことを特徴とする光モジュール。
【請求項5】
請求項4の光モジュールと、
前記検出部により検出された光の光量に基づいて、光分析処理を実施する処理部と、
を備えたことを特徴とする分析装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2012−8173(P2012−8173A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141379(P2010−141379)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]