説明

平板ディスプレイ装置、および平板ディスプレイ装置の製造方法

【課題】平板ディスプレイ装置、および平板ディスプレイ装置の製造方法を提供する。
【解決手段】第1基板と、前記第1基板上に配され、第1電極層、有機発光層、及び第2電極層を備える有機発光素子と、前記第1基板のエッジに配されたシーラントと、前記シーラントを媒介として前記第1基板と合着し、前記第1基板に向かった面に面内スイッチング(IPS)モード電極層が形成された第2基板と、前記IPSモード電極層の前記第1基板に向かう面に形成された第1配向膜と、前記第1基板と第2基板との間に形成された空間に充填された液晶層と、を備える平板ディスプレイ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板ディスプレイ装置、および平板ディスプレイ装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近日、液晶表示装置(Liquid Crystal Display:LCD)または有機発光表示装置(Organic Light Emitting Display:OLED)のような平板ディスプレイ装置が注目されている。
【0003】
OLEDは、アノード電極とカソード電極との間に介在する蛍光性有機化合物を電気的に励起させて発光させる自発光型ディスプレイであって、低い電圧で駆動可能であり、薄型化が可能な長所を有している。また、OLEDは、視野角が広く、応答速度が速いという長所を有している。
【0004】
一方、LCDは、液体の流動性と結晶の光学的性質とを兼ねる液晶に電界を加えて、液晶の光学的異方性を変化させる装置であって、従来の陰極線管(CRT)に比べて、消費電力が低く、軽薄短小化が容易であり、大型化及び高精細化が可能であるという長所を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国特許出願公開第2007−0051500号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、有機発光表示及び液晶表示の二重表示が可能な、新規かつ改良された平板ディスプレイ装置、および平板ディスプレイ装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、第1基板と、前記第1基板上に配され、第1電極層、有機発光層、及び第2電極層を備える有機発光素子と、前記第1基板のエッジに配されたシーラントと、前記シーラントを媒介として前記第1基板と合着し、前記第1基板に向かった面に面内スイッチング(IPS)モード電極層が形成された第2基板と、前記IPSモード電極層の前記第1基板に向かう面に形成された第1配向膜と、前記第1基板と第2基板との間に形成された空間に充填された液晶層と、を備える平板ディスプレイ装置が提供される。
【0008】
また、前記第1電極層及び第2電極層のうち少なくとも一つは、反射電極であり、前記IPSモード電極層は、透明電極であってもよい。
【0009】
また、前記IPSモード電極層に所定電圧が印加されれば、前記液晶層のひずみによって画像が具現されてもよい。
【0010】
また、前記IPSモード電極層は、前記第2基板上に備えられた外部端子に連結されてもよい。
【0011】
また、前記第1電極層及び第2電極層に所定電圧が印加されれば、前記有機発光層の発光によって画像が具現されてもよい。
【0012】
また、前記第1電極層及び第2電極層は、前記第1基板上に備えられた外部端子に連結されてもよい。
【0013】
また、前記第1基板及び有機発光素子の上面に第2配向膜がさらに備えられ、前記第2配向膜は、前記第1配向膜と同一方向に配向されてもよい。
【0014】
また、前記第1及び第2配向膜は、前記第1基板または第2基板に対して45°の傾斜に配向されてもよい。
【0015】
また、前記第1及び第2配向膜は、ポリイミドを含んでもよい。
【0016】
また、前記シーラントは、ガラスフリットを含んでもよい。
【0017】
また、前記第2基板の前記第1基板に向かう面の反対面に線形偏光フィルムがさらに備えてもよい。
【0018】
また、前記第1電極層は反射電極、第2電極層は透明電極、前記IPSモード電極層は透明電極で構成されてもよい。
【0019】
また、前記第2基板と線形偏光フィルムとの間に粘着材がさらに備えられてもよい。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、(a)第1電極層、有機発光層、及び第2電極層を備える第1基板と、IPSモード電極層が形成された第2基板を準備する工程と、(b)前記第1基板及び第2基板のうち一つの一面に第1配向膜を塗布し、前記第1配向膜を配向処理する工程と、(c)前記第1基板と第2基板とが形成する空間部に液晶を充填する工程と、(d)前記第1基板と第2基板とを合着して前記液晶を硬化する工程と、を含む平板ディスプレイ装置の製造方法が提供される。
【0021】
また、前記(a)工程で、前記第1電極層及び第2電極層のうち少なくとも一つは、反射電極として形成し、前記IPSモード電極層は、透明電極として形成してもよい。
【0022】
また、前記(a)工程で、前記第1基板上に前記第1電極層及び第2電極層に連結される外部端子を形成し、前記第2基板上に前記IPSモード電極層に連結される外部端子を形成してもよい。
【0023】
また、前記(b)工程で、前記第1基板及び第2基板のうち前記第1配向膜が塗布されていない基板の一面に第2配向膜をさらに塗布してもよい。
【0024】
また、前記第2配向膜は、前記第1配向膜と同じ方向に配向されてもよい。
【0025】
また、前記第1及び第2配向膜は、前記第1基板または第2基板に対して45°の傾斜に配向処理されてもよい。
【0026】
また、前記第1及び第2配向膜は、ポリイミドであってもよい。
【0027】
また、前記第1及び第2配向膜は、UV光配向法によって配向処理されてもよい。
【0028】
また、前記(d)工程は、UV光で前記液晶を硬化してもよい。
【0029】
また、前記第2基板の前記第1基板に向かう面の反対面に線形偏光フィルムを付着する工程をさらに含んでもよい。
【0030】
また、前記第2基板と前記線形偏光フィルムとの間に粘着材を配置する工程をさらに含んでもよい。
【0031】
また、前記(d)工程で、前記第1基板または第2基板のエッジに形成されたシーラントに、前記第1基板及び第2基板が合着されてもよい。
【発明の効果】
【0032】
以上説明したように、本発明による平板ディスプレイ装置及びその製造方法によれば、液晶表示及び有機発光表示の二重表示が可能である。また、液晶を充填材として使用するため、放熱及び耐衝撃性が向上する。また、1/4波長位相差板の役割を行う液晶を使用し、外光入射側に、従来の円形偏光フィルムの代わりに、線形偏光フィルムのみを付着して使用するため、外光視認性が向上し、装置の厚さを減らせる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態による平板ディスプレイ装置を概略的に示す断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態による平板ディスプレイ装置を概略的に示す断面図である。
【図3A】本発明の他の実施形態による平板ディスプレイ装置の製造方法を概略的に示す断面図である。
【図3B】本発明の他の実施形態による平板ディスプレイ装置の製造方法を概略的に示す断面図である。
【図4A】本発明の他の実施形態による平板ディスプレイ装置の製造方法を概略的に示す断面図である。
【図4B】本発明の他の実施形態による平板ディスプレイ装置の製造方法を概略的に示す断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態による平板ディスプレイ装置の製造方法を概略的に示す断面図である。
【図6】本発明の他の実施形態による平板ディスプレイ装置の製造方法を概略的に示す断面図である。
【図7】本発明の他の実施形態による平板ディスプレイ装置の製造方法を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0035】
図1は、本発明の一実施形態による平板ディスプレイ装置を概略的に示した断面図である。図1に示したように、本発明の一実施形態による平板ディスプレイ装置100は、第1基板110、有機発光素子120、第2基板130、シーラント140、第1配向膜150、第2配向膜160、及び液晶層170を備える。
【0036】
第1基板110は、SiOを主成分とする透明なガラス材の基板が使われうる。しかし、平板ディスプレイ装置が第1基板110の逆方向に画像が具現される前面発光型である場合には、第1基板110を必ずしも透明な材質で形成する必要はない。
【0037】
図1に示されていないが、第1基板110の上面には、第1基板110の平滑性及び不純元素の浸透を遮断するために、SiO及び/またはSiNxを含むバッファ層(図示せず)をさらに形成できる。
【0038】
第1基板110上に有機発光素子120が備えられる。有機発光素子120は、相互対向した第1電極層121と第2電極層123とを備え、この間に介在された有機発光層122を備える。
【0039】
第1電極層121のパターンは、受動駆動型(Passive Matrix:PM)の場合には、互いに所定間隔離れたストライプ状のラインで形成され、能動駆動型(Active Matrix:AM)の場合には、画素に対応する形態に形成されうる。能動駆動型の場合には、第1電極層121の下部の第1基板110に少なくとも一つの薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を備えたTFT層がさらに備えられ、第1電極層121は、このTFT層に電気的に連結される。第1電極層121は、第1基板110上に備えられた外部端子(図示せず)に連結されてアノード電極として作用できる。
【0040】
第1電極層121の上部に第2電極層123が配され、第1基板110上に形成された外部端子(図示せず)に連結されてカソード電極として作用できる。第2電極層123は、受動駆動型の場合には、第1電極層121のパターンに直交するストライプ状であり、能動駆動型の場合には、画像が具現されるアクティブ領域全体にわたって形成されうる。もちろん、第1電極層121の極性と第2電極層123の極性とは、相互逆になってもよい。
【0041】
平板ディスプレイ装置100が第1基板110の逆方向に画像が具現される前面発光型の場合、第1電極層121は、反射電極、第2電極層123は、透明電極となりうる。この時、第1電極層121の反射電極は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca及びこれらの化合物で反射膜を形成した後、その上に仕事関数の高いITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ZnO、またはInを形成できる。第2電極層123の透明電極は、仕事関数が小さい金属、すなわち、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca及びこれらの化合物を蒸着した後、その上にITO、IZO、ZnO、またはINのような透明導電物質で補助電極層やバス電極ラインを形成できる。
【0042】
一方、平板ディスプレイ装置100が第1基板110の方向に画像が具現される背面発光型である場合、第1電極層121は、透明電極となり、第2電極層123は、反射電極となりうる。この時、第1電極層121は、仕事関数が高いITO、IZO、ZnO、またはINで形成され、第2電極層123は、仕事関数が小さい金属、すなわち、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Caで形成されうる。
【0043】
一方、平板ディスプレイ装置100が両面発光型の場合、第1電極層121と第2電極層123とを透明電極で形成してもよい。
【0044】
第1電極層121と第2電極層123との間に有機発光層122が介在されている。有機発光層122は、第1電極層121と第2電極層123との電気的駆動によって発光する。有機発光層122として、低分子有機物または高分子有機物を使用してもよい。
【0045】
有機発光層122が低分子有機物で形成される場合、有機発光層122を中心に第1電極層121の方向にホール輸送層(HTL:Hole Transport Layer)及びホール注入層(HIL:Hole Injection Layer)が積層され、第2電極層123の方向に電子輸送層(Electron Transport Layer:ETL)及び電子注入層(Electron Injection Layer:EIL)が積層される。それ以外にも、必要に応じて多様な層が積層されうる。使用可能な有機材料も、銅フタロシアニン(CuPc)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N´−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)をはじめとして、多様に適用可能である。
【0046】
一方、高分子有機物で形成された高分子有機層の場合には、有機発光層122を中心に第1電極層121の方向にHTLのみが備えられうる。前記高分子HILは、ポリエチレンジヒドロキシチオフェン(PEDOT)や、ポリアニリン(PANI)を使用でき、高分子有機発光層122は、PPV(Poly[P−PhenyleneVinylene])、可溶性PPV、シアノPPV、ポリフルオレンを使用できる。
【0047】
したがって、本実施形態の平板ディスプレイ装置100は、外部から電圧が印加されれば、電子と正孔との結合によって有機発光層122が発光して、有機発光表示による画像を具現する。
【0048】
有機発光素子120の上部には、有機発光素子120を外部から封止させる第2基板130が備えられる。平板ディスプレイ装置100が前面発光型の場合、第2基板130は、透明基板で形成される。
【0049】
第2基板130の第1基板110に向かう面には、面内スイッチング(IPS)モードの電極層131が備えられる。IPSモード電極層131は、第2基板130の第1基板110に向かう面にほぼ水平に形成され、後述する液晶層170を水平電界で駆動する方式で、従来の垂直電界モードに比べて、広視野角を具現できる。
【0050】
一方、前記図面には詳細に示されていないが、IPSモード電極層131は、画素電極(図示せず)や共通電極(図示せず)を備えるなど、多様な方式でパターニングされて形成されうる。画素電極(図示せず)と共通電極(図示せず)とが備えられたIPSモード電極層131は、第2基板130上に形成された外部端子(図示せず)に連結されて、アノードまたはカソードとして作用できる。本実施形態で、IPSモード電極層131は、ITO、IZO、ZnO、またはInからなる透明電極で備えられる。
【0051】
第1基板110または第2基板130のエッジには、シーラント140が形成されている。前記シーラント140によって、第2基板130と第1基板110とが合着されることによって、有機発光素子120を外部の水分や酸素の浸透から保護する。本実施形態のように、第2基板130にガラス材基板を使用する場合、シーラント140にフリットガラスを使用できる。フリットガラスのような密封力に優れたシーラントを使用することによって、密封空間の内部に別途の吸湿剤を備えなくても外部から水分及び酸素の浸透を遮断できる。
【0052】
第2基板130のIPSモード電極層131上には、第1配向膜150が形成される。第1配向膜150は、後述する液晶層170を一定方向に配列するためのものであって、ポリイミドのような高分子膜を塗布して使用する。特に、本実施形態で、第1配向膜150は、第2基板130に対して45°の傾斜に配向される。
【0053】
第1基板110及び有機発光素子120の上面には、第2配向膜160が形成される。第2配向膜160は、第1配向膜150と同じ方向に配向されるので、本実施形態で、第2配向膜160は、第2基板130に対して45°の傾斜に配向される。
【0054】
第1基板110、第2基板130及びシーラント140によって形成された内部空間には、液晶層170が備えられる。本実施形態で、液晶層170は、有機発光素子120から発散される熱を吸収して冷却させ、装置の内部空間を充填させることによって、外部衝撃から平板ディスプレイ装置100の損傷を防止する。
【0055】
また、第1配向膜150と第2配向膜160との間で初期配向が決定された液晶層170は、外部から電圧が印加されれば、第2基板130に形成されたIPSモード電極層131に形成された水平電界によって駆動する。これにより、液晶表示による画像が具現される。一方、本実施形態による液晶表示は、バックライトを別途に必要としない反射型装置で構成できる。
【0056】
したがって、前述した本発明の実施形態による平板ディスプレイ装置は、液晶表示及び有機発光表示の二重表示が可能である。また、液晶を充填材として使用するため、放熱及び耐衝撃性が向上する。
【0057】
以下、図2を参照して、本発明の他の実施形態による平板ディスプレイ装置を説明する。
【0058】
図2は、本発明の一実施形態による平板ディスプレイ装置を概略的に示した断面図である。図2に示したように、本発明の他の実施形態による平板ディスプレイ装置100´は、第1基板110、有機発光素子120、第2基板130、シーラント140、第1及び第2配向膜150,160、液晶充填材170、及び線形偏光フィルム180を備える。以下、前述した実施形態と本実施形態との差異点を中心に説明し、同じ参照符号は、同じ構成を表す。
【0059】
第1基板110上には、第1電極層121、有備発光層122及び第2電極層123を備える有機発光素子120が備えられる。
【0060】
第1電極層121と第2電極層123とのパターンは、能動駆動型パターンまたは受動駆動型パターンで形成され、第1基板110上に備えられた外部端子(図示せず)に連結されてアノードまたはカソードとして作用できる。外部から電圧が印加されれば、電子と正孔との結合によって有機発光層122が発光して、有機発光表示による画像を具現する。
【0061】
本実施形態の有機発光表示による平板ディスプレイ装置100´は、前面発光型であって、第1電極層121は、反射電極、第2電極層121は、透明電極で備えられる。
【0062】
この時、第1電極層121は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca及びこれらの化合物で反射膜を形成した後、その上に仕事関数が高いITO、IZO、ZnO、またはInを形成できる。第2電極層123は、仕事関数が小さい金属、すなわち、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca及びこれらの化合物を蒸着した後、その上にITO、IZO、ZnO、またはInのような透明導電物質で補助電極層やバス電極ラインを形成できる。
【0063】
有機発光素子120の上部には、有機発光素子120を外部から封止させる第2基板130が備えられる。本実施形態で、第2基板130は、透明基板として形成される。
【0064】
第2基板130の第1基板110に向かう面には、面内スイッチング(IPS)モードの電極層131が多様なパターンで備えられる。IPSモード電極層131は、第2基板130上に形成された外部端子(図示せず)に連結されて、アノードまたはカソードとして作用できる。本実施形態で、IPSモード電極層131は、ITO、IZO、ZnO、またはInからなる透明電極で備えられる。
【0065】
第1基板110または第2基板130は、シーラント140で合着される。
【0066】
第2基板130のIPSモード電極層131上には、第1配向膜150が形成され、第1基板110及び有機発光素子120の上面には、第2配向膜160が形成される。第1及び第2配向膜150,160は、液晶層170を一定方向に配列するためのものであって、ポリイミドのような高分子膜を塗布して使用する。特に、本実施形態で、第1配向膜150は、第2基板130に対して45°の傾斜に配向される。
【0067】
第1基板110、第2基板130及びシーラント140によって形成された内部空間には、液晶層170が備えられる。本実施形態で、液晶層170は、有機発光素子120から発散される熱を吸収して冷却させ、装置の内部空間を充填させることによって、外部衝撃からの平板ディスプレイ装置100の損傷を防止する。
【0068】
また、第1配向膜150と第2配向膜160との間で初期配向が決定された液晶層170は、外部から電圧が印加されれば、第2基板130に形成されたIPSモード電極層131に形成された水平電界によって駆動する。これにより、液晶表示による画像が具現される。一方、本実施形態による液晶表示は、バックライトを別途に必要としない反射型装置で構成できる。
【0069】
また、液晶層170は、外部電圧が印加されない時、第2基板130に対して45°の傾斜に配向されることによって、OLEDにおいて、1/4波長位相差板の役割を行う。
第2基板130の第1基板110に向かった面の反対面には、線形偏光フィルム180が備えられる。
【0070】
OLEDは、外光によるコントラスト及び視認性が低下する問題がある。これを解決するために、従来のOLEDは、多層の線形偏光フィルムと位相差フィルムとを接着して製造したフィルムタイプの円形偏光フィルムを付着した。しかし、円形偏光フィルムは、複数層のフィルムを接合して製造するため、製造が複雑であり、コストが高いだけでなく、厚さが厚くて、薄型のディスプレイ装置を具現し難い。
【0071】
本実施形態による平板ディスプレイ装置100´では、前述した液晶層170が1/4波長位相差板の役割を行うため、厚い円形偏光フィルムの代わりに、薄型の線形偏光フィルム180のみが備えられる。したがって、薄型のディスプレイ装置を具現できる。
【0072】
一方、第2基板130と線形偏光フィルム180との間に粘着層(図示せず)がさらに備えられうる。
【0073】
したがって、前述した本発明の実施形態による平板ディスプレイ装置は、液晶表示及び有機発光表示の二重表示が可能である。また、液晶を充填材として使用するため、放熱及び耐衝撃性が向上する。また、1/4波長位相差板の役割を行う液晶を使用し、外光入射側に従来の円形偏光フィルムの代わりに、線形偏光フィルムのみを付着して使用するため、外光視認性が向上し、装置の厚さを減らせる。
【0074】
以下、図3A〜図7を参照して、本発明の実施形態による平板ディスプレイ装置の製造方法を説明する。
【0075】
図3Aを参照すれば、IPSモード電極層131が形成された第2基板130を準備して第2基板130の上面に第1配向膜150を塗布する。一方、図3Bを参照すれば、有機発光素子120が備えられた発光基板としての第1基板110を準備し、その上に第2配向膜160を塗布する。本実施形態で、第1及び第2配向膜150,160にポリイミドのような高分子膜を塗布して使用した。
【0076】
有機発光素子120を構成する第1電極層121と第2電極層123とに連結される外部端子(図示せず)は、第1電極層121と第2電極層123との形成時、第1基板110上に共に形成する。また、IPSモード電極層131に連結される外部端子(図示せず)は、IPSモード電極層131の形成時、第2基板130上に共に形成する。
【0077】
一方、図3Bにおいては、例えば、第2配向膜160を塗布する前に、シーラント140を第1基板110のエッジに先に形成してもよいが、その順序は、変わってもよい。すなわち、第2配向膜160を先に塗布した後、シーラント140を第1基板110のエッジに先に配置することもある。また、図3Bにおいては、シーラント140が第1基板110に形成された後、第2基板130と合着する場合を図示しているが、シーラント140は、第2基板130のエッジに形成された後、第1基板110と合着することもある。
【0078】
図4A及び図4Bを参照すれば、前述した工程で形成された第1及び第2配向膜150,160にUV(UltraViolet)光を照射する。第1及び第2配向膜150,160は、液晶層170を一定方向に配列するためのものであって、多様な方法で配向処理されうる。配向膜の製造方法としては、ポリイミドの表面をナイロンやポリエステルのような繊維で一定方向に擦る接触式ラビング方法と、光配向法、エネルギービーム配向法、蒸気蒸着配向法、リソグラフィ配向法など、多様な非接触式ラビング方法を使用できる。本実施形態では、塗布されたポリイミド薄膜にUV光を照射して配向膜の分子特性を調節する光配向法を使用した。
【0079】
本実施形態で、第1配向膜150は、第2基板130に45°の傾斜角θに配向される。第2配向膜160は、第1配向膜150と同じ方向に配向されるので、本実施形態で、第2配向膜160は、第2基板130に対して45°の傾斜に配向される。
【0080】
図5を参照すれば、第1配向膜150が形成された第2基板130の内部に液晶層170を注入する。
【0081】
図6を参照すれば、液晶層170が注入された第2基板130と第1基板110とをシーラント140で合着し、第1基板110、第2基板130及びシーラント140が形成する内部空間に注入された液晶層180をUV光で硬化させる。これにより、液晶層180は、1/4波長位相差板の役割を行う。また、液晶層170は、有機発光素子120から発散される熱を吸収して冷却させ、装置の内部空間を充填させることによって、外部衝撃からの平板ディスプレイ装置の損傷を防止する。
【0082】
図7を参照すれば、液晶充填材170が充填された平板ディスプレイ装置の第2基板130の上面に線形偏光フィルム180が付着される。一方、前記図面には示されていないが、第2基板130と線形偏光フィルム180との間に粘着層(図示せず)がさらに備えられることもある。1/4波長位相差板の役割を行う液晶充填材170と線形偏光フィルム180とは、円形偏光フィルムとしての機能を行う。
【0083】
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、ディスプレイ関連の技術分野に好適に適用可能である。
【符号の説明】
【0085】
100 平板ディスプレイ装置
110 第1基板
120 有機発光素子
121 第1電極層
122 有機発光層
123 第2電極層
130 第2基板
131 IPSモード電極層
140 シーラント
150 第1配向膜
160 第2配向膜
170 液晶充填材
180 線形偏光フィルム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板上に配され、第1電極層、有機発光層、及び第2電極層を備える有機発光素子と、
前記第1基板のエッジに配されたシーラントと、
前記シーラントを媒介として前記第1基板と合着し、前記第1基板に向かった面に面内スイッチング(IPS)モード電極層が形成された第2基板と、
前記IPSモード電極層の前記第1基板に向かう面に形成された第1配向膜と、
前記第1基板と第2基板との間に形成された空間に充填された液晶層と、
を備える平板ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記第1電極層及び第2電極層のうち少なくとも一つは、反射電極であり、前記IPSモード電極層は、透明電極であることを特徴とする、請求項1に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項3】
前記IPSモード電極層に所定電圧が印加されれば、前記液晶層のひずみによって画像が具現されることを特徴とする、請求項1または2に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項4】
前記IPSモード電極層は、前記第2基板上に備えられた外部端子に連結されたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項5】
前記第1電極層及び第2電極層に所定電圧が印加されれば、前記有機発光層の発光によって画像が具現されることを特徴とする、請求項1に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項6】
前記第1電極層及び第2電極層は、前記第1基板上に備えられた外部端子に連結されたことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項7】
前記第1基板及び有機発光素子の上面に第2配向膜がさらに備えられ、
前記第2配向膜は、前記第1配向膜と同一方向に配向されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項8】
前記第1及び第2配向膜は、前記第1基板または第2基板に対して45°の傾斜に配向されたことを特徴とする、請求項7に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項9】
前記第1及び第2配向膜は、ポリイミドを含むことを特徴とする、請求項7に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項10】
前記シーラントは、ガラスフリットを含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項11】
前記第2基板の前記第1基板に向かう面の反対面に線形偏光フィルムがさらに備えられたことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項12】
前記第1電極層は反射電極、第2電極層は透明電極、前記IPSモード電極層は透明電極であることを特徴とする、請求項11に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項13】
前記第2基板と線形偏光フィルムとの間に粘着材がさらに備えられたことを特徴とする、請求項11に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項14】
(a)第1電極層、有機発光層、及び第2電極層を備える第1基板と、IPSモード電極層が形成された第2基板を準備する工程と、
(b)前記第1基板及び第2基板のうち一つの一面に第1配向膜を塗布し、前記第1配向膜を配向処理する工程と、
(c)前記第1基板と第2基板とが形成する空間部に液晶を充填する工程と、
(d)前記第1基板と第2基板とを合着して前記液晶を硬化する工程と、
を含む平板ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項15】
前記(a)工程で、前記第1電極層及び第2電極層のうち少なくとも一つは、反射電極として形成し、前記IPSモード電極層は、透明電極として形成することを特徴とする、請求項14に記載の平板ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項16】
前記(a)工程で、前記第1基板上に前記第1電極層及び第2電極層に連結される外部端子を形成し、前記第2基板上に前記IPSモード電極層に連結される外部端子を形成することを特徴とする、請求項14または15に記載の平板ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項17】
前記(b)工程で、前記第1基板及び第2基板のうち前記第1配向膜が塗布されていない基板の一面に第2配向膜をさらに塗布することを特徴とする、請求項14〜16のいずれか一項に記載の平板ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項18】
前記第2配向膜は、前記第1配向膜と同じ方向に配向されることを特徴とする、請求項17に記載の平板ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項19】
前記第1及び第2配向膜は、前記第1基板または第2基板に対して45°の傾斜に配向処理されることを特徴とする、請求項17または18に記載の平板ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項20】
前記第1及び第2配向膜は、ポリイミドであることを特徴とする、請求項17〜19のいずれか一項に記載の平板ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項21】
前記第1及び第2配向膜は、UV光配向法によって配向処理されることを特徴とする、請求項17〜19のいずれか一項に記載の平板ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項22】
前記(d)工程は、UV光で前記液晶を硬化することを特徴とする、請求項14〜21のいずれか一項に記載の平板ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項23】
前記第2基板の前記第1基板に向かう面の反対面に線形偏光フィルムを付着する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項14〜22のいずれか一項に記載の平板ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項24】
前記第2基板と前記線形偏光フィルムとの間に粘着材を配置する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項23に記載の平板ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項25】
前記(d)工程で、前記第1基板または第2基板のエッジに形成されたシーラントに、前記第1基板及び第2基板が合着されることを特徴とする、請求項14〜24のいずれか一項に記載の平板ディスプレイ装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−175244(P2011−175244A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3187(P2011−3187)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】