説明

廃トナー回収装置及び画像形成装置

【課題】回転部材の無駄な運転期間を縮小して効率的な運転を実現することのできる廃トナー回収容器、及びこのような廃トナー回収容器を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置内に設置され、感光体の表面から除去された廃トナーを回収する廃トナー回収装置40において、廃トナーを収容するトナー回収容器41と、トナー回収容器内41において、廃トナーの落下方向と直交するトナー搬送方向に延在する回転部材43と、トナー回収容器41内に収容された廃トナー量に関する所定の条件を満たした場合に回転部材43の回転駆動を制御する制御部40Aと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃トナー回収装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、帯電させた感光体に、画像データに基づいて光を照射し、感光体にトナーを付着させた後、シート材である用紙に転写、定着させる画像形成装置が普及している。トナーを用いて画像を形成する画像形成装置は、一般に廃トナー回収容器を有しており、画像の転写後に感光体に残留している不要のトナーはクリーニング部で除去され、スクリュー等で廃トナー搬送路を搬送されて廃トナー回収容器に集積されるようになっている。
【0003】
ところで、カラー画像を形成する画像形成装置では、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各画像に対応する複数の感光体を含む画像形成ユニットを備え、これら各色のトナー像を中間転写体に重ね合わせてカラー画像を形成するものがある。
このような各色に対応した複数の感光体を備えた画像形成装置において、各感光体から除去されたトナーを、同じ廃トナー搬送路で集めつつ搬送し、廃トナー回収容器に集積する場合、各感光体から除去された廃トナーは固まりとなる傾向があり、廃トナー回収容器に集積されたとしても、容器内での堆積性が悪く、廃トナー回収容器の容量を有効に利用できなくなるという問題点があった。
そこで、例えば、特許文献1には、廃トナー回収容器の内部にコイル等の回転部材を設置し、この回転部材を回転させることで、廃トナー回収容器内の廃トナーの堆積性を向上させる技術が開示されている。
【特許文献1】特開2007−163764号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術は、回転部材に所定以上のトルクがかかったとき以外は回転部材を常時回転させる構成であったため、廃トナーの山の頂上が回転部材に接触するまでの期間は回転部材の効果はなく、その間の回転部材の回転は無駄な動作であり非効率であるという問題があった。
【0005】
本発明の課題は、回転部材の無駄な運転期間を縮小して効率的な運転を実現することのできる廃トナー回収装置、及びこの廃トナー回収装置を備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、
画像形成装置内に設置され、感光体の表面から除去された廃トナーを回収する廃トナー回収装置において、
廃トナーを収容するトナー回収容器と、
前記トナー回収容器内において、廃トナーの落下方向と直交するトナー搬送方向に延在する回転部材と、
前記トナー回収容器内に収容された廃トナー量に関する所定の条件を満たした場合に、前記回転部材の回転駆動を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の廃トナー回収装置において、
前記トナー回収容器内の廃トナーが所定の高さまで堆積したことを検知するセンサを備え、
前記制御部は、
前記センサによって廃トナーが所定の高さまで堆積したことを検知した場合に、前記回転部材が回転を開始するよう制御することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の廃トナー回収装置において、
前記トナー回収容器内の廃トナーが所定の高さまで堆積した場合、前記所定の高さまで堆積した廃トナーの押圧により押下されるスイッチ部材を備え、
前記制御部は、
前記スイッチ部材が押下されたことによって廃トナーが所定の高さまで堆積したことを検知した場合に、前記回転部材が回転を開始するよう制御することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の廃トナー回収装置において、
前記回転部材の回転トルクを検出するトルク検出部を備え、
前記制御部は、
前記回転部材を所定の時間間隔で間欠に回転させて前記トルク検出部により前記回転部材の回転トルクを検出し、
前記トルク検出部によって前記回転部材の回転トルク値が設定値以上であることを検出した場合に、前記回転部材が連続に回転を開始するよう制御することを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の廃トナー回収装置において、
前記回転部材は、周面に外側に向かって突出したパドルを備えることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の廃トナー回収装置において、
前記制御部は、
前記トルク検出部によって前記回転部材の回転トルク値が上限設定値以上であることを検出した場合に、前記回転部材が回転を停止するよう制御することを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明にかかる画像形成装置は、
筐体と、
前記筐体内に設置される請求項1〜6のいずれか一項に記載の廃トナー回収装置と、
入力された画像データに基づいて光を照射し、感光体にトナーを付着させた後、用紙に転写、定着させる画像形成部と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、廃トナーを回収する廃トナー回収装置において、トナー回収容器内に収容された廃トナー量に関する所定の条件を満たした場合に回転部材が回転駆動するため、回転部材の無駄な運転期間を縮小して効率的な運転を実現することができる。また、回転部材の無駄な運転期間が縮小されるため、この間の動作音を低減することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、センサによって廃トナーが所定の高さまで堆積したと検知された場合に回転部材が回転を開始するため、回転部材の無駄な運転期間を縮小して効率的な運転を実現することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、スイッチ部材の押下によって廃トナーが所定の高さまで堆積したと検知された場合に回転部材が回転を開始するため、回転部材の無駄な運転期間を縮小して効率的な運転を実現することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、トルク検出部によって回転部材の回転トルク値が設定値以上であると検出された場合に回転部材が連続に回転を開始するため、回転部材の無駄な運転期間を縮小して効率的な運転を実現することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、回転部材は周囲にパドルを備えるため、回転部材が回転する際の抵抗が大きくなり、回転トルク値の検出の確実性を向上させることができる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、トルク検出部によって回転部材の回転トルク値が上限設定値以上であると検出された場合に回転部材の回転が停止するため、駆動系の耐久性を向上させ容器の破損を防止することができる。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、回転部材の無駄な運転期間を縮小して効率的な運転を実現することのできる廃トナー回収装置を備える画像形成装置であるため、トナー回収容器の交換サイクルを長期化でき、トナー回収容器交換にかかる画像形成装置メインテナンスの煩わしさも低減することができる。よって、使い勝手を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、図面上に表示するXYZ軸は共通の軸を示すものである。
【0021】
[第1実施形態]
図1は、第1の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成図である。
同図に示すように、画像形成装置100は、画像形成部GH、画像読取装置YS、定着装置9等で構成される。
【0022】
画像形成部GHは、例えば、タンデム型カラー画像形成部と称せられるもので、複数組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K、中間転写体6、2次転写部7A等で構成される。
画像形成部GHの上部には、自動原稿送り装置501と走査露光装置502からなる画像読取装置YSが設置されている。自動原稿送り装置501の原稿台上に載置された原稿dは搬送部により搬送され、走査露光装置502の光学系により原稿の片面または両面の画像が走査露光され、ラインセンサCCDに読み込まれる。
ラインセンサCCDにより光電変換された画像信号は、画像処理部において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等が行われた後、露光部3Y、3M、3C、3Kに送られる。
【0023】
イエロー(Y)色の画像を形成する画像形成ユニット10Yは、像担持体である感光体ドラム1Yの周囲に帯電部2Y、露光部3Y、現像装置4Y、一次転写部7Y及びクリーニング部8Yを有している。
マゼンタ(M)色の画像を形成する画像形成ユニット10Mは、感光体ドラム1Mの周囲に帯電部2M、露光部3M、現像装置4M、一次転写部7M及びクリーニング部8Mを有している。
シアン(C)色の画像を形成する画像形成ユニット10Cは、感光体ドラム1Cの周囲に帯電部2C、露光部3C、現像装置4C、一次転写部7C及びクリーニング部8Cを有している。
黒(K)色の画像を形成する画像形成ユニット10Kは、感光体ドラム1Kの周囲に帯電部2K、露光部3K、現像装置4K、一次転写部7K及びクリーニング部8Kを有している。
帯電部2Yと露光部3Y、帯電部2Mと露光部3M、帯電部2Cと露光部3C、及び帯電部2Kと露光部3Kは、潜像形成部を構成している。
なお、現像装置4Y、4M、4C、4Kは、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び黒(K)の小粒径のトナーとキャリアからなる2成分現像剤が用いられる。
【0024】
画像形成ユニット10Yは、感光体ドラム1Yを帯電部2Yにより帯電させ、露光部3Yにより画像データに基づいて光を照射し、現像装置4Yによりトナーを付着させた後、イエロー(Y)色の画像を中間転写体6に転写する。中間転写体6に転写後の感光体ドラム1Yに残留するトナーは、クリーニング部8Yにより除去される。
画像形成ユニット10M、10C、10Kも、各々同様に、感光体ドラム1M、1C、1Kを、それぞれ帯電部2M、2C、2Kにより帯電させ、露光部3M、3C、3Kにより、それぞれの画像データに基づいて光を照射し、現像装置4M、4C、4Kによりトナーを付着させた後、各色の画像を中間転写体6に1次転写する。
中間転写体6に1次転写後の感光体ドラム1M、1C、1Kに残留するトナーは、それぞれクリーニング部8M、8C、8Kにより除去される。
【0025】
中間転写体6は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持されている。定着装置9は、定着ローラ91及び加圧ローラ92を有し、定着ローラ91と加圧ローラ92との間に形成されたニップ部で用紙P上のトナー像を加熱・加圧して定着する。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kより形成された各色の画像は、回動する中間転写体6上に1次転写部7Y、7M、7C、7Kにより逐次1次転写されて重ね合わされ、カラー画像が形成される。
【0026】
用紙収納部である給紙トレイ21内に収容された用紙Pは、給紙部20の給紙ローラ22により1枚ずつ分離されて給紙され、給紙ローラ23を経て、停止状態にあるレジストローラ24へ給紙される。そこで一旦停止されて、その先端と中間転写体6上のトナー像との位置関係が正確に一致するタイミングで、そのレジストローラ24が回転を開始することにより2次転写部7Aに給紙され、用紙P上にカラー画像が2次転写される。カラー画像が転写された用紙Pは定着装置9において加熱・加圧され、用紙P上のカラー画像が定着される。その後、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
【0027】
一方、2次転写部7Aにより用紙Pにカラー画像を転写した後に用紙Pを曲率分離した中間転写体6は、中間転写体クリーニング部8Aにより残留トナーが除去される。
11Yはイエロー(Y)色のトナーを収容したトナーボトルであり、現像装置4Yにトナーを供給する。11Mはマゼンタ(M)色のトナーを収容したトナーボトルであり、現像装置4Mにトナーを供給する。11Cはシアン(C)色のトナーを収容したトナーボトルであり、現像装置4Cにトナーを供給する。11Yは黒(Bk)色のトナーを収容したトナーボトルであり、現像装置4Kにトナーを供給する。
図示の如く、使用頻度の高い黒(K)色のトナーを収容したトナーボトル11Kは、最も容量が大きいものが使用されている。
【0028】
図2は、第1の実施の形態に係る画像形成装置のクリーニング部と廃トナー回収装置と廃トナー搬送路を示す模式図である。
同図に示すように、各感光体に残留したトナーを除去する各クリーニング部8K、8C、8M、8Yで除去された廃トナーは、略水平方向に形成された廃トナー搬送路31〜34で紙面左方向に搬送される。
廃トナー搬送路31〜34は、筒状のパイプが連なって接続されたものであり、内部には廃トナーを紙面左方向に搬送するための不図示の廃トナー搬送部材が配設され、不図示の駆動部により回転するようになっている。
【0029】
廃トナー搬送路31では黒、廃トナー搬送路32では黒とシアン色、廃トナー搬送路33では黒とシアン色とマゼンタ色、廃トナー搬送路34では黒とシアン色とマゼンタ色とイエロー色の廃トナーが搬送されることになる。
廃トナー搬送路34は、略垂直方向に形成された廃トナー搬送路35に接続されており、黒と上記3色の廃トナーは、廃トナー搬送路35により、廃トナー回収装置40のトナー回収容器41に集積される。廃トナー搬送路35も、筒状のパイプで形成されており、内部には廃トナーを紙面下方向に搬送するための不図示の廃トナー搬送部材が配設され、不図示の駆動部により回転するようになっている。
【0030】
すなわち、図示の如く、各感光体に配置された各クリーニング部8K、8C、8M、8Yとトナー回収容器41とを繋ぐ廃トナー搬送路のうち、最も容量の大きいトナーボトルのトナーを使用する感光体に配置されたクリーニング部の廃トナー搬送路が最も長くなるよう形成されている。
このように、容量の最も大きなトナーボトルの配置された感光体の廃トナー搬送路を最も長く形成することで、排出量の多い色の廃トナーと、廃トナー搬送部材とが接触する時間を最も長くすることができる。排出量の多い色の廃トナーと廃トナー搬送部材との接触時間を長くすることで、廃トナーの固まりを崩す時間を多く確保でき、廃トナー搬送路の詰まりを解消でき、さらに、廃トナー回収装置の堆積性を向上させることができるようになる。
【0031】
一方、中間転写体クリーニング部8Aで除去された廃トナーは、廃トナー搬送路31〜35とは異なる廃トナー搬送路36により、廃トナー回収装置40のトナー回収容器41に搬送されて、集積される。
【0032】
図3は、廃トナー回収装置の全体構成を示す断面図であり、図4は、廃トナー回収装置の制御構成を示すブロック図である。
図3、4に示すように、廃トナー回収装置40は、トナー回収容器41、回転部材43、駆動部44、第1センサ45、第2センサ46、制御部40A等で構成される。
【0033】
トナー回収容器41は、画像形成装置100内の空きスペースを利用して画像形成装置100に交換可能に装着されるもので、X軸方向に横長に形成されている。本実施の形態において、トナー回収容器41は、図2において手前側から奥側へ長尺となるよう設置されている。
【0034】
トナー回収容器41は、その片側端部の上部に廃トナー回収口42を有している。廃トナー回収口42には、廃トナー搬送路35、36を一つに連結する搬送パルプ37の先端部が挿入されており、搬送路31〜36により搬送された廃トナーは、搬送パルプ37を通ってトナー回収容器41内へ投入され、搬送パルプ37の先端の下部に山状に堆積される。
また、トナー回収容器41は、例えば、無色透明若しくは有色透明な樹脂性ボトルが用いられ、その外壁に不図示の凹部が形成されて、容器の強度を補強するようになっている。
【0035】
トナー回収容器41内には、回転部材43、第1センサ45、第2センサ46が設置されている。
回転部材43は、トナー回収容器41内を横向き、すなわち、廃トナーの落下方向(Y方向)と直交する搬送方向(X方向)に長く延在するように配置されている。回転部材43の一端部43aは、廃トナー回収口42の下方でトナー回収容器41から外側まで回転可能に突出しており、この突出した一端部43aには例えばモータ等の駆動部44が連結されている。駆動部44は、制御部40Aの制御によって、収容された廃トナー量に関する所定の条件を満たした場合に駆動し、該突出した一端部43aを回転駆動することにより回転部材43を回転するようになっている。なお、回転部材43の他端部43bはトナー回収容器41内に設けた軸受けHにて回転可能に支持されている。
搬送パルプ37の先端から下方に落下し山状に堆積された廃トナーは、回転部材43の回転に応じて、その落下位置から遠い容器奥側へ搬送される。
このように回転部材43は、制御部40Aの制御によって廃トナー量に関する所定の条件を満たした場合に回転駆動し、トナー回収容器41内に堆積された廃トナーを攪拌しつつ、廃トナーの落下方向(Y方向)と直交する搬送方向(X方向)に搬送して堆積された廃トナーを平坦化するものである。
また、回転部材43は、廃トナー回収口42の下方の一端部43aよりも、該廃トナー回収口42より遠い方の他端部43bの方がトナー回収容器41内において上部に位置するように配置されている。
これにより、回転部材43は、一端部43aから他端部43bにかけてY軸方向上側に傾斜して設けられ、搬送方向側端部の廃トナーを嵩高くできるため、トナー回収容器41の容積の無駄を少なく有効に利用して廃トナーを効率的に収容することができるようになっている。
【0036】
図5は、回転部材43を示す拡大図である。
同図に示すように、回転部材43は、例えば、軸部431とこの軸部431に周設されるスクリュー部432とを有しており、スクリュー部432と軸部431の間に隙間433が形成されている。スクリュー部432は、その両端で軸部431と一体化されている。これにより、駆動部44により、軸部431を回転させることでスクリュー部432が回転させられ、廃トナーを効率良く搬送できるようになっている。また、スクリュー部432と軸部431の間に隙間433が形成されたものを用いることで、より効率的に廃トナーの固まりを崩すことができるようになる。
【0037】
また、回転部材43は、図5に示すスクリュー部432と軸部431の間に隙間433が形成されたものの他にも、図6に示すように、コイル状のスクリュー部434のみで構成されているものであっても良い。
【0038】
トナー回収容器41内の側面には、第1センサ45が設置されている。第1センサ45は、その下端部が、回転部材43の搬送パイプ37先端部下方に位置する部位より下になるように高さ方向の位置決めがなされている。
この第1センサ45は、搬送パルプ37から落下して除々に堆積した廃トナーが所定の高さまで堆積したことを検知するものである。具体的には、廃トナーが除々に堆積して、その頂上部が回転部材43に達した場合、第1センサ45はこれを検知する。すなわち、所定の高さとは、トナー回収容器41に堆積された廃トナーの頂上部が回転部材43に達する高さである。
【0039】
第1センサ45としては、例えば、発光素子と受光素子とを備えた反射型センサを用いることができる。反射型センサは、発光素子が発した光の対象物体からの反射光を受光素子が検知することにより、対象物体の在否を検知するものである。すなわち、廃トナーが所定の高さまで堆積している場合には、発光素子が発した光が廃トナーにより反射されるため受光素子が検知することとなる。
なお、第1センサ45の構成は、上記の反射型センサに限定されるものではなく、例えば、発光素子の対向面に反射板を配置して発光素子が発した光を受光素子により常時検知しておき、廃トナーの堆積により発光素子が発した光が遮られた場合に受光素子の検知が無くなったことによって対象物体の在否を検出することとしても良い。
【0040】
また、トナー回収容器41内において、回転部材43の廃トナー回収口42より遠い方の端部43bの近傍には、トナー回収容器41が満杯になったことを検知するための第2センサ46が設置されている。
第2センサ46は、廃トナーが回転部材43の回転駆動によってその落下位置から搬送方向へ搬送されて除々に堆積された後、搬送方向側端部の上部に達した場合、すなわちトナー回収容器41のトナー満杯状態に近くなった場合にこれを検知する。
また、第2センサ46による検知があった場合には、画像形成装置のディスプレイ(図示省略)等によるトナー回収容器交換予告指示、トナー回収容器交換指示の表示等が行われる。
【0041】
制御部40Aは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えており、回転部材43を駆動する駆動部44、第1センサ45、第2センサ46等と接続されている。
制御部40AのROMには、駆動部44、第1センサ45、第2センサ46等を制御するための制御プログラム及び各種処理プログラムが記憶されており、CPUは、この制御プログラム及び各種処理プログラムとの協働により廃トナー回収装置40の動作を統括的に制御する。
【0042】
例えば、制御部40Aは、第1センサ45によって廃トナーが所定の高さ以上に堆積したことを検知して駆動部44を駆動し、回転部材43が回転駆動を開始するよう制御する。
また、廃トナーの収容量が未だ少量で、回転部材43の回転に伴って廃トナーの山が崩れるためその高さが低くなり第1センサ45によって検知されなくなった場合には、制御部40Aは、回転部材43が回転駆動を停止するよう制御する。
すなわち、制御部40Aは、第1センサ45によって廃トナーが検知される期間を廃トナー量に関する所定の条件を満たしたとし、回転部材43が回転するよう制御する。
このため、制御部40Aは、廃トナーの収容量が増加するのに従って、段階的に回転部材43の稼働率が上昇するように制御することとなり、回転部材43を効率よく運転できるようになっている。
また、制御部40Aは、第2センサ46によってトナー回収容器41が満杯状態に近くなったことを検知した場合、画像形成装置のディスプレイ等によってトナー回収容器交換予告指示、トナー回収容器交換指示の表示を実行する。
なお、制御部40Aは、画像形成装置100本体の制御部内に組み込まれたものであっても良いし、別個に設けたものであっても良い。
【0043】
次に、図7を参照して、上記した構成のトナー回収容器41に廃トナーが回収される様子を時間を追って説明する。
廃トナーが回収され始めると、トナー回収容器41内では、搬送パルプ37開口端下部に回収された廃トナーが堆積され始める。
図7(a)に示すように、廃トナーの堆積が進んで廃トナーの頂上部が回転部材43に達する高さまで達すると、制御部40Aは、回転部材43の回転を開始し、この回転によって廃トナーが搬送方向に搬送され始める。その後、図7(b)に示すように、廃トナーの山が崩れて第1センサ45によって検知されなくなると、制御部40Aは、回転部材43が回転駆動を停止する。そして、再度廃トナーの頂上部が回転部材43に達する高さまで達すると、制御部40Aは、回転部材43の回転を再び開始し、廃トナーは搬送方向に搬送される。これを繰り返すことにより、廃トナーはトナー回収容器41内の搬送方向側端部に堆積され始める。
その後、廃トナーの回収がさらに進むと、図7(c)に示すように、トナー回収容器41内の搬送方向側端部からトナー密度が除々に高くなり、回転部材43近傍までトナーが達すると、第2センサ46によって検知され、画像形成装置のディスプレイ等によってトナーが満杯である旨が表示される。
【0044】
以上のように、本実施の形態における廃トナー回収装置及び廃トナー回収装置を備えた画像形成装置によれば、廃トナーが所定の高さまで堆積した場合に回転部材43が回転を開始するため、回転部材43の無駄な運転期間を最小限に短縮することができ、効率的な運転を実現することができる。
また、回転部材43の無駄な運転期間が最小限に短縮されるため、動作音も最小限に低減させることができる。
また、回転部材43の無駄な運転期間が最小限に短縮されるため、駆動系の耐久性を向上させ容器の破損を防止することができる。
また、トナー回収容器41の交換サイクルが徒に短くなることもなく、画像形成装置100がそれだけ使い易くなり、トナー回収容器41の交換に係る画像形成装置メインテナンスの煩わしさも低減させることができる。
【0045】
なお、本実施の形態においては、第1センサ45を光学センサとして説明したが、光学センサの代わりに、堆積した廃トナーが所定の高さまで堆積した場合、所定の高さまで堆積した廃トナーの押圧により押下されるスイッチ部材を設置することとしても良い。
図8は、スイッチ部材47と回転部材43を示す要部拡大図であり、図3のトナー回収容器41を側方から(図3の右側)から見た図である。
スイッチ部材47は、上記第1センサ45と同一の高さとなる位置に当接面47aを介して設置される。廃トナーは除々に堆積し所定の高さまで達すると当接面47aに押圧を加えるため、当接面47aがスイッチ部材47を押下することとなる。制御部40Aは、スイッチ部材47が押下されたことによって廃トナーの堆積量が所定の高さ以上になったことを検知し、回転部材43の回転を開始する。
【0046】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について第1の実施の形態と異なる点を中心に説明する。なお、同一の構成には第1の実施の形態と同一の符号を付して説明を省略する。
第2の実施の形態にかかる廃トナー回収装置50は、回転部材53の回転トルクの値によって廃トナーの堆積量を検出する構成となっている。
【0047】
図9は、廃トナー回収装置の全体構成を示す断面図であり、図10は、廃トナー回収装置の制御構成を示すブロック図である。
図9、10に示すように、廃トナー回収装置50は、回転部材53、駆動部54、トルク検出部55、計時部56、制御部50A等で構成される。
【0048】
回転部材53は、軸部531と軸部531の周面に外側に向かって突出したパドル532とを有しており、回転部材53が回転する際の回転抵抗を大きくするようになっている。
回転部材53の端部53aには、駆動部54及びトルク検出部55が備えられている。 駆動部54は、制御部50Aの制御によって収容された廃トナー量に応じて駆動し、該突出端部53aを回転駆動することにより回転部材53を回転駆動する。トルク検出部55は、例えばトルクトランスデューサなどが用いられ、回転部材53の回転トルクを電気信号に変換して制御部50Aに出力する。
【0049】
制御部50Aは、回転部材53を駆動する駆動部54、トルク検出部55、計時部56、等と接続されている。
【0050】
制御部50Aは、トルク検出部55により検出した回転部材53の回転トルクの値に基づいて、駆動部54を制御することによって回転部材53を回転駆動する。
例えば、制御部50Aは、回転部材53を所定の時間間隔で間欠に回転させて、この間の回転部材53の回転トルクをトルク検出部55により検出し、検出された回転部材53の回転トルク値が予め設定した設定値(以下、第1設定値という。)以上であることを検出した場合、回転部材53が連続に回転するよう制御する。
また、制御部は、回転部材53が連続に回転している間の回転部材53の回転トルクをトルク検出部55により常時検出しており、回転部材53の回転トルク値が上限設定値(以下、第2設定値という。)以上であることを検出した場合に、回転部材53が回転を停止するよう制御する。
また、制御部50Aは、回転部材53の回転トルク値が第2設定値以上であることを検出した場合、画像形成装置のディスプレイ等によってトナー回収容器交換予告指示、トナー回収容器交換指示の表示を実行する。
【0051】
具体的には、制御部50Aは、計時部56の計時によって所定の時間間隔毎に駆動部54を駆動して回転部材53を回転する。
このときトナー回収容器41内に廃トナーが無く、あっても未だ少量のときは、回転部材53にかかる回転トルクは小さいため、制御部50Aは、回転トルク値が第1設定値に達しないと判断し、回転部材53の回転を停止する。一方、トナー回収容器41内の廃トナー量が増加してくると、回転部材53周囲の廃トナー密度が高くなるので回転部材53にかかる回転トルク値が増加するため、制御部50Aは、ある時点で回転トルク値が第1設定値以上であると判断し、回転部材53に連続回転させることとなる。
また、廃トナーの回収がさらに進むと、トナー回収容器41内の搬送方向側端部から廃トナー密度が除々に高くなって回転部材53周囲の廃トナー密度がより高くなるため、制御部50Aは、ある時点で回転トルク値が第2設定値を越えると判断し、回転部材53の連続回転を停止する。
このように、制御部50Aは、回転トルク値が第1設定値又は第2設定値を越えた場合を廃トナー量に関する所定の条件を満たしたとし、回転部材43が回転又は停止するよう制御する。
【0052】
図11は、回転部材53の動作について示したフローチャートである。
【0053】
まず、ステップS1において、制御部50Aは、それまでの計時をリセットし、計時部56によって新たに計時を開始する。
次いで、ステップS2において、制御部50Aは、計時部56の計時に基づいて、回転部材53の停止時間が所定時間を越えているか否かを判断する。
【0054】
ステップS2において、制御部50Aは、回転部材53の停止時間が所定時間を越えていないと判断した場合(ステップS2;No)、上記ステップS2の判断を繰り返す。
一方、ステップS2において、制御部50Aは、回転部材53の停止時間が所定時間を越えていると判断した場合(ステップS2;Yes)、続くステップS3において、回転部材53の回転を開始する。
【0055】
次いで、ステップS4において、制御部50Aは、トルク検出部55によって回転部材53の回転トルクを検出し、回転トルクの値が第1設定値以上であるか否かを判断する。
ステップS4において、制御部50Aは、回転トルクの値が第1設定値以上でないと判断した場合(ステップS4;No)、続くステップS5において、回転部材53の回転を停止し、上記ステップS1に戻って以降の処理を繰り返す。
一方、ステップS4において、制御部50Aは、回転トルクの値が第1設定値以上であると判断した場合(ステップS4;Yes)、続くステップS6において、回転部材53の回転を継続する。
【0056】
次いで、ステップS7において、制御部50Aは、トルク検出部55によって回転部材53の回転トルクを検出し、回転トルクの値が第2設定値以上であるか否か判断する。
ステップS7において、制御部50Aは、回転トルクの値が第2設定値以上でないと判断した場合(ステップS7;No)、上記ステップS4に戻って、以降の処理を繰り返す。
【0057】
一方、ステップS7において、制御部50Aは、回転トルクの値が第2設定値以上であると判断した場合(ステップS7;Yes)、続くステップS8において、回転部材53の回転を停止し、本処理を終了する。
【0058】
以上のように、本実施の形態における廃トナー回収装置及び廃トナー回収装置を備えた画像形成装置によれば、第1の実施の形態と同様の効果が得られるのは勿論のこと、回転トルク値が第1設定値以上であることを検出した場合に、回転部材53が回転を開始するため、回転部材53の無駄な運転期間を縮小して効率的な運転を実現することができる。
また、回転部材53の回転トルクが第2設定値以上になった場合に、回転部材53の回転が停止するため、駆動系の耐久性を向上させ容器の破損を防止することができる。
【0059】
また、回転部材53は周囲にパドルを備えるため、回転部材53が回転する際の抵抗が大きくなり、回転トルク値の検出の確実性を向上させることができる。
【0060】
なお、回転部材53のパドル532に、図12に示すようにトナー排出穴533を形成することとしても良い。このトナー排出穴533を設けることによって、トナー排出穴533から廃トナーが排出されるため、パドル532の表面に廃トナーが付着しなくなることから、回収部材53の回転トルク値が急激に上がるのを防止することができる。
また、回収部材53のパドル532の配置箇所や個数は本実施の形態に示す構成に限定されるものではなく、他の箇所に配置したり、個数を増減させたりしても構わない。
その他、本発明が上記実施の形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】第1の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成図である。
【図2】第1の実施の形態に係る画像形成装置のクリーニング部と廃トナー回収容器と廃トナー搬送路を示す模式図である。
【図3】第1の実施の形態に係る廃トナー回収装置の全体構成を示す断面図である。
【図4】第1の実施の形態に係る廃トナー回収装置の制御構成を示すブロック図である。
【図5】トナー回収容器の内部に配設されている回転部材を示す拡大図である。
【図6】トナー回収容器の内部に配設されている回転部材の変形例を示す図である。
【図7】トナー回収容器41に廃トナーが回収される様子を説明するための図である。
【図8】トナー回収容器の内部に配設されているセンサの変形例を示す図である。
【図9】第2の実施の形態に係る廃トナー回収装置の全体構成を示す断面図である。
【図10】第2の実施の形態に係る廃トナー回収装置の制御構成を示すブロック図である。
【図11】第2の実施の形態に係る廃トナー回収装置の回転部材の動作について示したフローチャートである。
【図12】トナー回収容器の内部に配設されている回転部材の変形例を示す拡大図である。
【符号の説明】
【0062】
1C、1K、1M、1Y 感光体ドラム
2C、2K、2M、2Y 帯電部
3C、3K、3M、3Y 露光部
4C、4K、4M、4Y 現像装置
6 中間転写体
7A 2次転写部
7C、7K、7M、7Y 一次転写部
8A 中間転写体クリーニング部
8C、8K、8M、8Y クリーニング部
9 定着装置
10C、10K、10M、10Y 画像形成ユニット
11Y、11M、11C、11K トナーボトル
20 給紙部
21 給紙トレイ
26 排紙トレイ
31〜36 廃トナー搬送路
37 搬送パルプ
40 廃トナー回収装置
40A 制御部
41 トナー回収容器
42 廃トナー回収口
43 回転部材
44 駆動部
45 第1センサ
46 第2センサ
47 スイッチ部材
47a 当接面
50 廃トナー回収装置
50A 制御部
53 回転部材
54 駆動部
55 トルク検出部
56 計時部
100 画像形成装置
531 軸部
532 パドル
533 トナー排出穴
GH 画像形成部
YS 画像読取装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置内に設置され、感光体の表面から除去された廃トナーを回収する廃トナー回収装置において、
廃トナーを収容するトナー回収容器と、
前記トナー回収容器内において、廃トナーの落下方向と直交するトナー搬送方向に延在する回転部材と、
前記トナー回収容器内に収容された廃トナー量に関する所定の条件を満たした場合に前記回転部材の回転駆動を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする廃トナー回収装置。
【請求項2】
前記トナー回収容器内の廃トナーが所定の高さまで堆積したことを検知するセンサを備え、
前記制御部は、
前記センサによって廃トナーが所定の高さまで堆積したことを検知した場合に、前記回転部材が回転を開始するよう制御することを特徴とする請求項1に記載の廃トナー回収装置。
【請求項3】
前記トナー回収容器内の廃トナーが所定の高さまで堆積した場合、前記所定の高さまで堆積した廃トナーの押圧により押下されるスイッチ部材を備え、
前記制御部は、
前記スイッチ部材が押下されたことによって廃トナーが所定の高さまで堆積したことを検知した場合に、前記回転部材が回転を開始するよう制御することを特徴とする請求項1に記載の廃トナー回収装置。
【請求項4】
前記回転部材の回転トルクを検出するトルク検出部を備え、
前記制御部は、
前記回転部材を所定の時間間隔で間欠に回転させて前記トルク検出部により前記回転部材の回転トルクを検出し、
前記トルク検出部によって前記回転部材の回転トルク値が設定値以上であることを検出した場合に、前記回転部材が連続に回転を開始するよう制御することを特徴とする請求項1に記載の廃トナー回収装置。
【請求項5】
前記回転部材は、周面に外側に向かって突出したパドルを備えることを特徴とする請求項4に記載の廃トナー回収装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記トルク検出部によって前記回転部材の回転トルク値が上限設定値以上であることを検出した場合に、前記回転部材が回転を停止するよう制御することを特徴とする請求項4又は5に記載の廃トナー回収装置。
【請求項7】
筐体と、
前記筐体内に設置される請求項1〜6のいずれか一項に記載の廃トナー回収装置と、
入力された画像データに基づいて光を照射し、感光体にトナーを付着させた後、用紙に転写、定着させる画像形成部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−54684(P2010−54684A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218052(P2008−218052)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】