説明

廃合成高分子化合物の連続式熱分解システム

【課題】廃棄物を高温・低酸素雰囲気で分解する熱分解システムにおいて、稼働率を最大にする。
【解決手段】廃棄物が供給されるホッパー3及び内部を低酸素状態に保持する空気除去装置90を有する廃棄物自動投入装置1と、供給された廃棄物を熱分解させる熱分解室39と、熱分解室39に熱を供給するガス燃焼室37と、熱分解ガスから精製油を生成する精製油生成装置100と、熱分解により生じた残灰を排出させる自動排出装置101とを備える。定量投入検出センサー4によってホッパー3に貯蔵される廃棄物の量を検出し、廃棄物自動投入装置1によって廃棄物を熱分解室39に所定量ずつ続けて投入させる。また、熱分解室39で分解された後、排出される残灰を自動排出装置101によって連続的に排出させる。これにより、システムの稼動率が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃プラスチック類のような可燃性廃棄物を高温及び無酸素又は低酸素(以下、低酸素とする)雰囲気を保持する熱分解室で間接加熱により連続的に熱分解させ、熱分解ガスから蒸留塔で沸点によって重油、軽油などのような精製油を生産し、廃棄物の熱分解熱源として活用し得るようにした廃合成高分子化学物の連続式熱分解システムに関する。
【0002】
さらに詳しくは、高温及び低酸素状態の雰囲気を保持する熱分解室で、廃プラスチック類のような廃合成高分子化合物を連続的に乾燥、溶融及び熱分解させる過程を同時に行い、且つ、熱分解によって生じたガスのうち、非凝縮ガスを熱分解熱源としてリサイクルすることによって、外部より別途の燃料供給を必要としない連続式熱分解システムに関する。
【背景技術】
【0003】
上記熱分解システムにおいて用いられる熱分解の原理は、低酸素雰囲気下で可燃性廃棄物に間接的に熱を加えると、熱分解室には、還元性雰囲気が造成され、且つ、可燃性廃棄物は分解されて、気体、液体に蒸発される。そして、分解されなかったものは、固体(炭化物)として残存する。
【0004】
即ち、廃棄物(廃合成高分子化合物)+熱=気体(非凝縮ガス)+液体(精製油)+固体(炭化物)である。
【0005】
各種工場などから排出される廃プラスチック類のような可燃性廃棄物を熱分解させる熱分解装置は、バッチ処理により一定分量の廃棄物を熱分解室内部に投入させた後、蓋を閉めて外部より高温の熱を加えて、熱分解室を所定温度に加熱することによって、廃棄物を熱分解させ、液体及び固体状態の物質に変換させるといった回分式の方法を採用している。
【0006】
このようなバッチ処理式の熱分解方式は、様々な物質が混合されている廃棄物の熱分解に困難を伴い、システムの稼動率を向上させることができない。特に、廃棄物に異物(硝子、土、非鉄金属類など)が混合された場合、熱伝達が円滑に行われない。それゆえ、熱分解により廃棄物から精製油を生産することに限界があり、利用価値に乏しいといった問題点を抱えている。
【0007】
一方、可燃性廃棄物を熱分解させる熱分解装置の近傍に蒸留塔を別途設け、この蒸留塔において熱分解ガスから沸点によって重油などのような精製油を生産して、熱分解熱源として活用するという技術が開発されている。この場合、熱分解室と廃棄物を移送する移送軸は、熱分解装置の駆動時に、高温の熱(250〜450℃程度)にさらされて、熱膨張する。この熱膨張と収縮の繰り返しによって、熱分解室と蒸留塔とを連結する配管部位が損傷し破損するといった問題点も抱えている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、廃プラスチック類のような廃棄物を高温・低酸素雰囲気の熱分解室で分解する際に、廃棄物を一定量ずつ続けて投入すると共に、熱分解過程を経て残された灰を連続的に排出させることによって、稼働率を最大にすることができる熱分解システムを提供することにある。
【0009】
また、本発明の別の目的は、熱分解ガスから沸点によって精製油を生産する蒸留塔を熱分解ガスの排出口の上方に垂直に設ける際に、熱分解室等の収縮及び熱膨張から連結部位を保護し得るようにした熱分解システムを提供することにある。
【0010】
本発明のさらに別の目的は、廃棄物の熱分解によって生じた熱分解ガスから精製油を生産すると共に、廃棄物を熱分解熱源としてリサイクルできるようにした熱分解システムを提供することにある。
【0011】
本発明のさらに別の目的は、廃棄物の熱分解速度を向上させるようにした熱分解システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、廃棄物が供給されて、一定量ずつ貯蔵されるホッパーと、ホッパーから廃棄物を所定量ずつ自動的に排出させて、廃棄物と共に流入される外気を除去することにより、内部を低酸素状態に保持する空気除去手段を有する廃棄物自動投入装置と、廃棄物自動投入装置から供給される廃棄物を移送、溶融及び気化させるために、2軸以上の移送スクリューが駆動手段により回転可能に設けられ、且つ、高温及び低酸素状態の雰囲気を保持して、廃棄物を間接加熱により連続的に熱分解させる熱分解室と、熱分解室に供給される廃棄物を熱分解の熱源として利用するために、熱分解時に生じる熱分解ガスのうち、非凝縮ガスを燃焼させ、該熱分解室の外側面に所定温度の熱を供給するガス燃焼室と、熱分解室のガス排出口の上部に垂直方向に連結され、且つ、触媒反応塔で触媒反応される熱分解ガスから蒸留塔で沸点によって精製油を生成すると共に、凝縮されなかった残存非凝縮ガスをガス燃焼室に初期燃料として供給する精製油生成手段と、熱分解室で熱分解が行われた後、移送される残灰を連続的に排出させ、残灰の排出時に、外部より流入される外気及び該熱分解室から排出される熱分解ガスを除去することにより、内部を低酸素状態に保持する空気除去手段を有する自動排出装置と、を備えた廃合成高分子化合物の連続式熱分解システムである。
【0013】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の廃合成高分子化合物の連続式熱分解システムにおいて、自動投入装置及び自動排出装置は、第1シリンダの駆動により、ゲート胴体に形成されている案内溝に沿って摺動され、ホッパーの排出口及び熱分解された残灰の排出口とをそれぞれ開閉させる第1スライドゲートと、第2シリンダの駆動により、ゲート胴体に形成されている案内溝に沿って摺動され、第1スライドゲートとの間に低酸素状態を維持する臨時貯蔵ホッパーを形成する第2スライドゲートと、を有するものである。
【0014】
また、請求項3の発明は、請求項1に記載の廃合成高分子化合物の連続式熱分解システムにおいて、ホッパーは、廃棄物を一定量ずつ貯蔵し得るように、供給された廃棄物を計量する定量投入検出センサーを有し、システムは、該ホッパーに投入する廃棄物を計量するためのロードセル又はフォトセンサーをさらに備えたものである。
【0015】
また、請求項4の発明は、請求項2に記載の廃合成高分子化合物の連続式熱分解システムにおいて、第1スライドゲート及び第2スライドゲートは、案内溝に沿って摺動されるスライダーと、ゲート胴体から延長して形成され、且つ、スライダーが案内溝から離脱する際に、該スライダーを水平方向に摺動可能に支持する延長ガイドと、ゲート内の気密を保持するために、ゲート胴体に形成されている案内溝に沿って摺動されるスライダーの上面を加圧し、該スライダーをゲート胴体に密着させるボール、及び該ボールを弾性支持する弾性部材を含む気密保持手段と、スライダーの底面と、ゲート胴体又は延長ガイドとの接触面に形成されている結合溝に組み込まれ、スライダーの移動時に、ゲート胴体とスライダーとの間に生じる摩擦を防止するガイドと、を有するものである。
【0016】
また、請求項5の発明は、請求項4に記載の廃合成高分子化合物の連続式熱分解システムにおいて、スライダーの移動時に、摩擦による該スライダーの破損を防止し得るように、延長ガイドは、該スライダーより相対的に弱い材料によって形成されているものである。
【0017】
また、請求項6の発明は、請求項4に記載の廃合成高分子化合物の連続式熱分解システムにおいて、第1スライドゲート及び第2スライドゲートの案内溝に連通するように、ゲート胴体に装着され、スライダーの移動時に案内溝から排出された異物を溜めるための異物除去箱を備えたものである。
【0018】
また、請求項7の発明は、請求項1に記載の廃合成高分子化合物の連続式熱分解システムにおいて、熱分解室は、断面が円形であり、且つ、移送スクリューと熱分解室の入口及び出口のケーシングとの隙間を最小化して、熱分解ガスの逆流を遮断するためのガス逆流防止区間と、移送スクリューが駆動された時、廃棄物を移送させるために熱分解室の下部に形成された移送空間と、廃棄物の熱分解時に、蒸発する熱分解ガスを滞留させるように、熱分解室の上部に形成された熱分解ガス滞留空間と、を有するものである。
【0019】
また、請求項8の発明は、請求項1に記載の廃合成高分子化合物の連続式熱分解システムにおいて、熱分解室の断面は、円形、楕円形、長方形、又は流線形に形成されているものである。
【0020】
また、請求項9の発明は、請求項7に記載の廃合成高分子化合物の連続式熱分解システムにおいて、熱分解室の熱分解ガス滞留空間の高さ寸法は、移送スクリューに螺旋状に形成された移送羽根の直径の半分サイズに形成されているものである。
【0021】
また、請求項10の発明は、請求項1に記載の廃合成高分子化合物の連続式熱分解システムにおいて、熱分解室の熱分解ガスの排出口と蒸留塔との連結部位には、熱分解室が繰り返し運転によって長手方向に収縮及び熱膨張されるときに、該連結部位を保護するために伸縮性を有する連結部材が設けられているものである。
【0022】
また、請求項11の発明は、請求項1に記載の廃合成高分子化合物の連続式熱分解システムにおいて、熱分解室の熱分解ガスの排出口は、廃棄物の熱分解熱源の移動通路内部に設けられているものである。
【0023】
また、請求項12の発明は、請求項2に記載の廃合成高分子化合物の連続式熱分解システムにおいて、廃棄物自動投入装置は、臨時貯蔵ホッパーから排出される廃棄物を水平方向に移動させるために、第2スライドゲートの下方に、第3シリンダに駆動されて水平方向に摺動するように設けられた第1プッシャーと、第1プッシャーにより移動された廃棄物を熱分解室の入口に投入させるために、該熱分解室の入口側の垂直上方に、第4シリンダに駆動されて上下方向に摺動するように設けられた第2プッシャーと、を有するものである。
【0024】
また、請求項13の発明は、請求項1に記載の廃合成高分子化合物の連続式熱分解システムにおいて、廃棄物を熱分解させる熱分解熱源の移動通路に、補助バーナーが設けられているものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明の、廃合成高分子化合物の連続式熱分解システムによれば、以下のような効果が期待できる。まず、高温及び低酸素の雰囲気を保持する熱分解室で、廃プラスチック類のような可燃性高分子化合物を間接加熱により熱分解させる際に、廃棄物自動投入装置により廃棄物を一定量ずつ連続的に投入し、熱分解過程を介して残された灰を自動排出装置により連続的に排出させることによって、熱分解システムの稼働率を向上させることができる。
【0026】
また、熱分解ガスから沸点によって精製油を生産する蒸留塔を熱分解ガス排出口の上方に垂直に設けられており、且つ、熱分解ガスの排出口と蒸留塔との間の連結部位に緩衝手段を設けられていることにより、熱分解室等の熱膨張及び収縮から該連結部位を保護することができる。これにより、アフターサービス時における該連結部位のメンテナンスに要する労力、費用を軽減すると共に、システムの耐久性を向上させることができる。
【0027】
また、熱分解ガスから蒸留塔で沸点によって、重油、軽油、揮発油の精製油を生成し、凝縮されなかった残存非凝縮ガスをガス燃焼室に供給するので、廃棄物を熱分解熱源としてもリサイクルすることができる。
【0028】
さらに、熱分解時、廃棄物と間接接触される熱分解熱源の接触面積を最適化することで、廃棄物の熱分解速度を顕著に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための最良の実施形態による廃合成高分子化合物の連続式熱分解システム(以下、熱分解システムとする)について図面を参照して説明する。本形態は、本発明の属する技術分野において通常の技術を有する者が、発明を容易に実施し得る程度に詳細に説明するためのものであって、これにより本発明の技術的な思想及び範囲に限定されることを意味するものではない。
【0030】
図1は、本発明による熱分解システムの構成を示している。熱分解システムは、廃棄物を移送する移送コンベア2と、移送コンベアによって供給された廃棄物を一定量ずつ貯蔵するホッパー3と、ホッパー3から廃棄物を所定量ずつ自動的に排出させる廃棄物自動投入装置1と、廃棄物自動投入装置1から供給される廃棄物を間接加熱により連続的に熱分解させる熱分解室39と、熱分解室39の外側面に所定温度の熱を供給するガス燃焼室37と、熱分解ガスから精製油を生成する精製油生成装置(精製油生成手段)100と、熱分解室39で熱分解が行われた後、移送される残灰を連続的に排出させる自動排出装置101等によって構成されている。
【0031】
廃棄物自動投入装置1は、廃棄物と共に流入される外気を取り除くことで、熱分解室39の内部を低酸素状態に保つための空気除去装置(空気除去手段)90を有している。熱分解室39は、廃棄物自動投入装置1から供給される廃棄物を移送、溶融及び気化させるように、2軸以上の移送スクリュー34が駆動装置(駆動手段)80により回転可能に収容し、且つ、高温(略250〜450℃ほど)及び低酸素状態の雰囲気を維持して、廃棄物を熱分解する。
【0032】
駆動装置80は、駆動モータ62と、駆動モータ62に装着される駆動ギア63と、駆動ギア63にチェーン64を介して連結された被駆動ギア63aと、移送羽根34aが螺旋状に形成された移送スクリュー34と、移送スクリュー34の両端部を支持する軸受と、軸受に装着された密封ユニット68等によって構成される。被駆動ギア63aは、移送スクリュー34の一端に装着され、移送スクリュー34を回転させるための駆動力を伝達する。
【0033】
図2乃至図5は、熱分解室39及びその周辺の構成を示している。熱分解室39は、断面が略円形からなり、熱分解ガスの逆流を遮断するガス逆流防止区間40、41と、移送スクリュー34の駆動に伴って廃棄物を移送し得るように、熱分解室39の下部に形成された移送空間39c(図1参照)と、溶融及び気化される廃棄物の熱分解時に蒸発される熱分解ガスを滞留させるように熱分解室39の上部に形成される熱分解ガス滞留空間39dとを備える。ガス逆流防止区間40、41は、移送スクリュー34と熱分解室39の入口ケーシング39a、出口ケーシング39bとの隙間を最小化することで形成される。
【0034】
また、熱分解室39の横断面は、円形、楕円形、長方形又は流線形からなり、熱分解ガス滞留空間39dの高さ寸法は、移送羽根34aの直径の半分サイズに相当するように形成されている。なお、移送スクリュー34は、図2に示すように2軸スクリューの他、図3に示すように3軸スクリューを使用し得ることはいうまでもない。
【0035】
ガス燃焼室37は、熱分解室39に供給される廃棄物を熱分解の熱源として用いるために、廃棄物の熱分解時に生じる熱分解ガスのうち、非凝縮ガスを主バーナー35によって燃焼させ、熱分解室39の外側面に所定温度の熱を供給する。
【0036】
精製油生成装置100は、熱分解ガス排出口39eの上部に垂直方向に連結され、熱分解室39において分解されたガスを触媒反応を介して改質する触媒反応塔45と、改質された熱分解ガスから、沸点によって精製油を生成する蒸留塔67等によって構成され、精製油を生成する際に生ずる残存非凝縮ガスをガス燃焼室37に初期燃料として供給する。触媒反応塔45は、炭素環鎖を多く含む高分子状態のガスを炭素環鎖の少ない低分子状態のガスに改質させる。
【0037】
図6は、熱分解室39が冷間時における熱分解室39と触媒反応塔45の連結部位を示し、図7は熱膨張時における同部位を示している。熱分解室39の熱分解ガス排出口39eと蒸留塔67(図1参照)との間の連結部位には、連結部材44が設けられている。連結部材44は、熱分解システムの繰り返し稼働により、熱分解室39が長手方向に熱膨張及び収縮される場合においても、熱分解ガス排出口39eに追従して変形し、連結部位を保護し得るように、伸縮性を有する材料によって形成されている。熱分解ガス排出口39eは熱分解熱源の移動通路43の内部に設けられている。また、廃棄物を熱分解させる熱分解熱源の移動通路43には、補助バーナー36が設けられている(図1参照)。
【0038】
図8及び図9は、ホッパー3の周辺の構成と廃棄物自動投入装置1を示している。廃棄物自動投入装置1は、ホッパー3に投入された廃棄物を計量する定量投入検出センサー4と、ホッパー3の排出口を開閉させる第1スライドゲート5と、第1スライドゲート5との間に低酸素状態を保つ臨時貯蔵ホッパー7を形成する第2スライドゲート6と、投入された廃棄物と共に臨時貯蔵ホッパー7に流入された空気を取り除く空気除去装置90と、臨時貯蔵ホッパー7から排出される廃棄物を水平方向に移動させる第1プッシャー9と、第1プッシャー9により移動する廃棄物を熱分解室39の入口に投入させる第2プッシャー10と、投入された廃棄物に混入されている異物を排出するための異物除去箱31等によって構成されている。
【0039】
定量投入検出センサー4は、ホッパー3が廃棄物を一定量ずつ貯蔵し得るように、ホッパー3に投入された廃棄物を計量する。
【0040】
第1スライドゲート5及び第2スライドゲート6には、各ゲートを開閉するためのスライダー23が設けられている。第1スライドゲート5及び第2スライドゲート6のスライダー23は、ゲート胴体21に形成された案内溝22及びゲート胴体21に延長するように形成された延長ガイド21aによって摺動自在に支持されて、第1シリンダ20及び第2シリンダ24によって駆動される。第1シリンダ20及び第2シリンダ24は、油圧又は空気圧により作動し、第1スライドゲート5及び第2スライドゲート6を駆動する。
【0041】
空気除去装置90は、臨時貯蔵ホッパー7に連通され、微埃などのような異物を除去するフィルター11と、フィルター11を収容するケースに連結される真空バルブ12と、真空バルブ12に連結されて一定圧以下の真空状態を保持する真空タンク13と、真空タンク13につながる真空ポンプ14等によって構成されている。真空タンク13は、臨時貯蔵ホッパー7と比較して、少なくとも2倍以上の容量を持つように形成されていることが望ましい。このように設定された真空タンク13を真空バルブ12に連結することにより、真空バルブ12が開放されたとき、瞬時に臨時貯蔵ホッパー7の内部の空気が真空タンク13に吸入される。そして、真空バルブ12は閉じられる。
【0042】
異物除去箱31は、第1スライドゲート5及び第2スライドゲート6の案内溝22に連通するように、ゲート胴体21に装着され、スライダー23の移動時に、案内溝22から排出される異物を集める。異物除去箱31には、システムの運転中にも異物を回収し得るように、開閉可能なドア31aが設けられている。
【0043】
第1プッシャー9は、第2スライドゲート6の下方に、水平方向に摺動自在に設けられ、第3シリンダ25によって駆動される。第2プッシャー10は、熱分解室39の入口側の垂直上方に、上下方向に摺動自在に設けられ、第4シリンダ26によって駆動される。
【0044】
図10及び図11は、第1スライドゲート5及び第2スライドゲート6のゲート胴体21、スライダー23の断面を、図12は、延長ガイド21a、スライダー23の断面をそれぞれ示している。また、図13は、ゲート胴体21、スライダー23の端部断面を拡大して示している。延長ガイド21aは、ゲート胴体21に延長形成され、水平方向に摺動されて案内溝22から離脱されたスライダー23を支持する。第1スライドゲート5及び第2スライドゲート6は、各ゲート内の気密を保持する気密保持装置(気密保持手段)95と、スライダー23の移動時にスライダー23をガイドするガイド30等によって構成されている。
【0045】
気密保持装置95は、スライダー23に当接されるボール27と、ボール27を付勢する弾性部材28と、弾性部材28を固定するためのボルト等によって構成される。ボール27、弾性部材28及びボルトは、ゲート胴体21に形成されている竪穴に装着され、弾性部材28の付勢力によってスライダー23を図中下方に加圧し、スライダー23を案内溝22の側面に密着させて、ゲート内の気密を保持する。
【0046】
ガイド30は、スライダー23とゲート胴体21との接触を回避するために、スライダー23の底面とゲート胴体21又は延長ガイド21aとの間に設けられている。ガイド30によって、スライダー23の移動時にゲート胴体21とスライダー23との間に生ずる摩擦を防止することができる。延長ガイド21a及びガイド30は、スライダー23の移動時に、ガイド30とスライダー23との間に生ずる摩擦によってスライダー23が破損することを防止し得るように、スライダー23より相対的に弱い材料によって形成されている。
【0047】
また、上述した第1スライドゲート5、第2スライドゲート6、空気除去装置90及び異物除去箱31は、熱分解により生じた残灰の排出側にも設けられており、これらと、残灰の排出口18及び臨時貯蔵ホッパー19等によって自動排出装置101が構成される(図1参照)。また、自動排出装置101の側においても、臨時貯蔵ホッパー19が第1スライドゲート5と第2スライドゲート6の間に形成される。排出側の空気除去装置90もフィルター11、真空バルブ12、真空タンク13、真空ポンプ14等によって構成され、残灰の排出時に外部から流入される外気及び熱分解室39から排出される熱分解ガスを取り除く。これにより、第1スライドゲート5が開放されたときの熱分解室39の内部を低酸素状態に保持することができる。
【0048】
なお、蒸留塔67の上部には、移送ポンプ51、レベルコントロールバルブ52、重質油貯蔵タンク53、熱交換機54、流量コントロールバルブ55、軽質油貯蔵タンク56、57、温度調節バルブ58、揮発油貯蔵タンク59、油水分離装置61が設けられている。
【0049】
上述のごとく構成された本熱分解システムの動作について、以下に説明する。まず、廃プラスチック類等の廃合成高分子化合物を含む可燃性固相の廃棄物は、破砕及び選別されて、移送コンベア2を介してホッパー3に一定量ずつ供給される。廃棄物をホッパー3に一定量ずつ投入するためには、廃棄物の移送量に応じて移送コンベア2を制御する必要がある。そこで、本熱分解システムは、フォトセンサー(図示せず)によって、廃棄物の体積を計量するか、又はロードセル(図示せず)によって廃棄物の重量を計量するようにしている。
【0050】
ホッパー3に投入された廃棄物は、定量投入検出センサー4によって計量され、廃棄物自動投入装置1により、一定量ずつ熱分解室39へ投入される。即ち、ホッパー3に設けられた定量投入検出センサー4の出力に基づいて、第1スライドゲート5のスライダー23が開放され、ホッパー3内の所定量の廃棄物は第2スライドゲート6上に投入される。その後、所定時間(3秒乃至5秒)の経過後、第1スライドゲート5は閉じられる。
【0051】
この後、第1スライドゲート5と第2スライドゲート6の間の臨時貯蔵ホッパー7の内部は、空気除去装置90の動作によって低酸素状態に変わる。即ち、廃棄物に伴って臨時貯蔵ホッパー7へ流入された外気は、真空状態の真空タンク13に連結されている真空バルブ12の開放により、真空タンク13へ瞬時に吸入される。また、後述する第2スライドゲート6の開放により、熱分解室39の側から臨時貯蔵ホッパー7に流入される熱分解ガスも同様に吸引される。これにより、臨時貯蔵ホッパー7の内部は、真空に近い低酸素状態になる。また、このとき真空タンク13に吸引された外気は、ガス燃焼室37に供給される。
【0052】
そして、第2スライドゲート6のスライダー23が第2シリンダ24の駆動により開放されることによって、臨時貯蔵ホッパー7に堆積されていた廃棄物は、垂直に落下する。この第2スライドゲート6の動作と連動して、第1プッシャー9は、第3シリンダ25の駆動を受け、図9中破線にて示すように、水平方向に摺動する。これに伴い、上記臨時貯蔵ホッパー7から落下した廃棄物は、第2プッシャー10の方向(図9中、右方向)に移動される。
【0053】
その後、第2プッシャー10は、第4シリンダ26の駆動を受け、垂直方向に摺動し、第1プッシャー9によって移動された廃棄物を熱分解室39の入口8に落下させる。この第2プッシャー10の駆動により、廃棄物は、熱分解室39の入口8に強制的に投入される。これにより、粒子の大きい廃棄物が熱分解室39の入口側の側面等に引っ掛かり、移送スクリュー34が空回りする現象(いわゆるスリップ現象)を防止することができる。
【0054】
上記過程を連続的に繰り返して行うことによって、ホッパー3から排出される廃棄物を熱分解室39に一定量ずつ続けて投入することができる。
【0055】
臨時貯蔵ホッパー7から熱分解室39に自動的に投入された廃棄物は、移送スクリュー34の外周縁に形成された移送羽根34aにより、図1中、右方向(矢印方向)に移送される。移送スクリュー34は、駆動ギア63、チェーン64、被駆動ギア63aを介して伝達された駆動モータ62の出力を受け、所定速度で回転し、廃棄物を移送する。その際、熱分解室39では、水分分離、脱水化、脱硫、脱ポリマー、脱カルボキシル基、炭素結合環の破壊(C−C結合環)、チェーン形態の脂肪族形成、芳香族化、C−O結合破棄、C−N結合破壊がなされる。そして、廃棄物は高温及び低酸素状態の雰囲気を保つ熱分解室39の中を移送される際に間接的に加わる熱により連続的に熱分解される。
【0056】
廃棄物に間接的に熱を加えるための熱源は、高温のガス燃焼室37から供給される。即ち、軽油又は精製油等を燃焼させて高温を得るガス燃焼室37によって、熱分解システムの起動初期における熱分解室39の内部空間の温度は、所定温度(250乃至450℃)に上げられる。熱分解室39の内部で熱分解ガスがまだ生成されていない場合、ガス燃焼室37は、ガス燃焼室37の内部温度が所定温度に昇温するまで、初期燃料(軽油など)を使用する。
【0057】
ガス燃焼室37から排出される高温の排気ガスは、ケーシング70の内側面と、それから離隔される熱分解室39の外側面との間の空間、即ち、廃棄物を熱分解させる熱分解熱源の移動通路43に沿って移動する。これにより、熱分解室39内部の廃棄物は、熱分解室39の側面を介して間接的に加熱されて熱分解される。このとき、上述したように、廃棄物は熱分解室39に一定量ずつ投入されるので、熱分解室39の内部の廃棄物の量を略一定値で推移させることができる。これにより、熱分解室39の側面と、廃棄物の接触面積を最適化することができ、廃棄物の熱分解速度を向上させることが可能となる。
【0058】
このとき、熱分解室39のガス逆流防止区間40(入口ケーシング39aと移送羽根34aとの間の隙間)が極めて小さく形成されているので、廃棄物の熱分解時に上記隙間に廃棄物が充填される。これにより、高温の熱分解ガスが熱分解室39の入口8の方に逆流されることが防止される。
【0059】
廃棄物は、移送スクリュー34の駆動時、熱分解室39の下部に円形からなる移送空間39cを移動しながら排出口18の方に送られる。廃棄物の熱分解時、蒸発する熱分解ガスは、熱分解室39の上方に形成される滞留空間39dで滞留しながら、廃棄物に高温の熱を加えて熱分解させた後、熱分解ガス排出口39eを介して触媒反応塔45に排出される。
【0060】
また、熱分解室39の内部で、熱分解ガスの発生及び凝縮過程を経ながら、熱分解ガスを排出させることによって、廃プラスチック類は移送スクリュー34の移送羽根34aと熱分解室39の内部とに潤滑作用を与え、且つ、廃棄物自動投入装置1と自動排出装置101のスライドゲート5、6にも潤滑作用を与える。これにより、当該部分においては、別途の潤滑装置が不要となる。
【0061】
一方、熱分解された後、熱分解ガス排出口39eを介して排出される熱分解ガスは、脱硫、脱窒素、脱塩素除去装置を通過してから、触媒反応塔45を介して、高分子量から低分子量に分割されて蒸留塔67に移送される。次に、蒸留塔67で沸点によって、重油、軽油、揮発油のような精製油が生成され、精製油の一部がガス燃焼室37の主バーナー35に初期燃料として供給される。
【0062】
また、熱分解ガス排出口39eは、熱分解熱源の移動通路43の内部に設けられた熱分解室39の末端上部に形成されている。これにより、精製油生成装置100の運転時に、蒸留塔67蒸留設備の温度と熱分解室39の排出ガス温度とが同等になるため、廃合成高分子化合物からの油化過程が正常的に行われる。
【0063】
一方、熱分解室39から排出される熱分解ガスは、熱分解ガス排出口39eに連結された触媒反応塔(合成ゼオライト触媒塔)45を経由しながら改質されることになる。触媒反応塔45における反応温度は220〜400℃である。この際、熱分解ガスの炭素環鎖が、より小さい炭素環鎖に分解されて、さらに小さい炭化水素系に改質されることになる。これにより、大量の軽質油が生成される。
【0064】
また、触媒反応塔45を経由することにより、炭素環鎖を多く有するワックス及びタールの発生が最小化される。熱分解ガスは、蒸留塔67の下部において温度が360℃以上に制御されて重油が生成され、蒸留塔67の中間層において温度が240〜350℃に制御されて、軽油成分が抽出され、さらに、蒸留塔67の上部において130℃以下に制御されて、揮発油成分が生成されることになる。
【0065】
熱分解過程を経た後、移送羽根34aに沿って自動排出装置101の方向に移動された残灰(炭化物)は、排出口18に移送される。自動排出装置101側の第1シリンダ20の駆動により第1スライドゲート5のスライダー23を開放すると、熱分解された後排出口18に移送された残灰は、臨時貯蔵ホッパー19に投入される。その後、スライダー23は設定時間(3秒乃至5秒)経過後に閉じられる。
【0066】
このとき残灰と共に臨時貯蔵ホッパー19に流入された少量の熱分解ガスは、真空ポンプ14に連結された真空バルブ12の開放によって取り除かれるため、臨時貯蔵ホッパー19の内部は低酸素状態に保たれることになる。
【0067】
第2スライドゲート6の開放により、残灰が外部に安全に排出された後、第2スライドゲート6のスライダー23は閉じられる。この際、外部より臨時貯蔵ホッパー19に流入される外気は、真空バルブ12の開放により真空タンク13へ吸引されるため、臨時貯蔵ホッパー19は、低酸素状態に保たれることになる。
【0068】
このように、熱分解室39で熱分解が行われてから移送される残灰を、自動排出装置101の動作によって連続的に排出させることができる。
【0069】
この自動排出装置101においても、第1スライドゲート5及び第2スライドゲート6の繰返し駆動により、スライダー23の末端と案内溝22との間に堆積された異物により、スライダー23の開閉駆動が妨げられる(第1スライドゲート5及び第2スライドゲート6の動作不良が発生する)場合がある。本実施形態においては、このような場合にあっても、案内溝22の末端部に連通するように異物除去箱31が形成されているので、案内溝22に異物が詰まることを防止できる。この際、異物除去箱31に累積される異物の回収は、装備作動中にもドア31aを開放して行えることはいうまでもない。
【0070】
また、自動排出装置101においても、第1シリンダ20、及び第2シリンダ24の駆動時に、ゲート胴体21と延長ガイド21aに形成された案内溝22に沿って水平移動されるスライダー23の上面を、ボール27によって加圧するによりゲートの気密を保持することから、案内溝22を介してガス又は空気が漏洩されることを防止できる。
【0071】
また、延長ガイド21aとスライダー23との間に形成されている案内溝22にガイド30が装着されているので、スライダー23の移動時に、水平移動及び往復駆動が精度よく成されて、ゲート胴体21とスライダー23との間の摩擦を防止し得るようになる。
【0072】
以上のような過程を繰り返して行うことによって、熱分解室39の内部は、高温、低酸素状態の雰囲気を続けて維持できるようになり、連続的な熱分解作業が可能となる。
【0073】
熱分解室39の入口側に投入される廃棄物の熱分解速度は、廃棄物の組成比、水分量によって定まる。そのため、廃棄物を移送スクリュー34に螺旋状に形成された移送羽根34aに沿って、図1中、右方向(矢印方向)に連続して移動させる際に、駆動モータ62を可変駆動して移送スクリュー34の回転数を調整することによって、廃棄物の熱分解速度を上記廃棄物の組成比等に対応させることができる。これにより、熱分解収率を向上させることができる。
【0074】
また、熱分解室39の内部温度が250乃至450℃に保持される場合にあっては、熱分解室39の胴体及び移送スクリュー34は高温の熱により長手方向に収縮及び膨張を繰り返すことになる。このような熱分解室39が繰返し作動により長手方向に収縮及び熱膨張される(15〜40mmの熱膨張が生じる)場合にあっても、熱分解ガス排出口39eと蒸留塔67との間の連結部位に設けられる伸縮性を有する連結部材44が変形して連結部を保護することができる。
【0075】
熱分解済みの残灰を排出する際、第1スライドゲート5と第2スライドゲート6の間の臨時貯蔵ホッパー19に流入される空気及びガスは、熱分解室39の入口側(廃棄物自動投入装置1)の第1スライドゲート5と第2スライドゲート6と同様に、フィルター11、真空バルブ12、真空タンク13、真空ポンプ14を経由して除去され、且つガス燃焼室37に供給される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明による廃合成高分子化合物の連続式熱分解システムの構成を示す図。
【図2】図1におけるA−A線断面図。
【図3】図1におけるA−A線断面図であって、熱分解室に設けられる移送スクリューの変形例を示した図。
【図4】図1における“B”部分を拡大して示す図。
【図5】図1における“C”部分を拡大して示す図。
【図6】図1における“D”部分を拡大して示す図。
【図7】同システムの運転によって熱分解室等が熱膨張したときの“D”部分を示す図。
【図8】同システムにおいて、廃棄物を連続的に定量ずつ投入するためのスライドゲートの構成を示す図。
【図9】同スライドゲート、及び廃棄物を熱分解室に強制的に投入させるためのプッシャーの構成を示す図。
【図10】図8におけるE−E線断面図。
【図11】図8におけるF−F線断面図。
【図12】図8におけるG−G線断面図。
【図13】同スライドゲートに設けられる気密保持装置の断面図。
【符号の説明】
【0077】
1 廃棄物自動投入装置
3 ホッパー
4 定量投入検出センサー
5 第1スライドゲート
6 第2スライドゲート
7、19 臨時貯蔵ホッパー
9 第1プッシャー
10 第2プッシャー
11 フィルター
13 真空タンク
21 ゲート胴体
23 スライダー
25 第3シリンダ
31 異物除去箱
35 主バーナー
37 ガス燃焼室
39 熱分解室
41 ガス逆流防止区間
43 熱分解熱源の移動通路
45 触媒反応塔
80 駆動装置(駆動手段)
90 空気除去装置(空気除去手段)
95 気密保持装置(気密保持手段)
100 精製油生成装置(精製油生成手段)
101 自動排出装置(自動排出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物が供給されて、一定量ずつ貯蔵されるホッパーと、
前記ホッパーから廃棄物を所定量ずつ自動的に排出させて、廃棄物と共に流入される外気を除去することにより、内部を低酸素状態に保持する空気除去手段を有する廃棄物自動投入装置と、
前記廃棄物自動投入装置から供給される廃棄物を移送、溶融及び気化させるために、2軸以上の移送スクリューが駆動手段により回転可能に設けられ、且つ、高温及び低酸素状態の雰囲気を保持して、廃棄物を間接加熱により連続的に熱分解させる熱分解室と、
前記熱分解室に供給される廃棄物を熱分解の熱源として利用するために、熱分解時に生じる熱分解ガスのうち、非凝縮ガスを燃焼させ、該熱分解室の外側面に所定温度の熱を供給するガス燃焼室と、
前記熱分解室のガス排出口の上部に垂直方向に連結され、且つ、触媒反応塔で触媒反応される熱分解ガスから蒸留塔で沸点によって精製油を生成すると共に、凝縮されなかった残存非凝縮ガスを前記ガス燃焼室に初期燃料として供給する精製油生成手段と、
前記熱分解室で熱分解が行われた後、移送される残灰を連続的に排出させ、残灰の排出時に、外部より流入される外気及び該熱分解室から排出される熱分解ガスを除去することにより、内部を低酸素状態に保持する空気除去手段を有する自動排出装置と、を備えたことを特徴とする廃合成高分子化合物の連続式熱分解システム。
【請求項2】
前記廃棄物自動投入装置及び自動排出装置は、
第1シリンダの駆動により、ゲート胴体に形成されている案内溝に沿って摺動され、前記ホッパーの排出口及び熱分解された残灰の排出口とをそれぞれ開閉させる第1スライドゲートと、
第2シリンダの駆動により、ゲート胴体に形成されている案内溝に沿って摺動され、前記第1スライドゲートとの間に低酸素状態を維持する臨時貯蔵ホッパーを形成する第2スライドゲートと、を有することを特徴とする請求項1に記載の廃合成高分子化合物の連続式熱分解システム。
【請求項3】
前記ホッパーは、廃棄物を一定量ずつ貯蔵し得るように、供給された廃棄物を計量する定量投入検出センサーを有し、
システムは、該ホッパーに投入する廃棄物を計量するためのロードセル又はフォトセンサーをさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の廃合成高分子化合物の連続式熱分解システム。
【請求項4】
前記第1スライドゲート及び第2スライドゲートは、
前記案内溝に沿って摺動されるスライダーと、
前記ゲート胴体から延長して形成され、且つ、前記スライダーが前記案内溝から離脱する際に、該スライダーを水平方向に摺動可能に支持する延長ガイドと、
ゲート内の気密を保持するために、前記ゲート胴体に形成されている案内溝に沿って摺動される前記スライダーの上面を加圧し、該スライダーを前記ゲート胴体に密着させるボール、及び該ボールを弾性支持する弾性部材を含む気密保持手段と、
前記スライダーの底面と、ゲート胴体又は延長ガイドとの接触面に形成されている結合溝に組み込まれ、前記スライダーの移動時に、前記ゲート胴体とスライダーとの間に生じる摩擦を防止するガイドと、を有することを特徴とする請求項2に記載の廃合成高分子化合物の連続式熱分解システム。
【請求項5】
前記スライダーの移動時に、摩擦による該スライダーの破損を防止し得るように、前記延長ガイドは、該スライダーより相対的に弱い材料によって形成されていることを特徴とする請求項4に記載の廃合成高分子化合物の連続式熱分解システム。
【請求項6】
前記第1スライドゲート及び第2スライドゲートの案内溝に連通するように、前記ゲート胴体に装着され、前記スライダーの移動時に前記案内溝から排出された異物を溜めるための異物除去箱を備えたことを特徴とする請求項4に記載の廃合成高分子化合物の連続式熱分解システム。
【請求項7】
前記熱分解室は、
断面が円形であり、且つ、前記移送スクリューと前記熱分解室の入口及び出口のケーシングとの隙間を最小化して、熱分解ガスの逆流を遮断するためのガス逆流防止区間と、
前記移送スクリューが駆動された時、廃棄物を移送させるために熱分解室の下部に形成された移送空間と、
廃棄物の熱分解時に、蒸発する熱分解ガスを滞留させるように、熱分解室の上部に形成された熱分解ガス滞留空間と、を有することを特徴とする請求項1に記載の廃合成高分子化合物の連続式熱分解システム。
【請求項8】
前記熱分解室の断面は、円形、楕円形、長方形、又は流線形に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の廃合成高分子化合物の連続式熱分解システム。
【請求項9】
前記熱分解室の熱分解ガス滞留空間の高さ寸法は、前記移送スクリューに螺旋状に形成された移送羽根の直径の半分サイズに形成されていることを特徴とする請求項7に記載の廃合成高分子化合物の連続式熱分解システム。
【請求項10】
前記熱分解室の熱分解ガスの排出口と蒸留塔との連結部位には、前記熱分解室が繰り返し運転によって長手方向に収縮及び熱膨張されるときに、該連結部位を保護するために伸縮性を有する連結部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の廃合成高分子化合物の連続式熱分解システム。
【請求項11】
前記熱分解室の熱分解ガスの排出口は、廃棄物の熱分解熱源の移動通路内部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の廃合成高分子化合物の連続式熱分解システム。
【請求項12】
前記廃棄物自動投入装置は、
前記臨時貯蔵ホッパーから排出される廃棄物を水平方向に移動させるために、前記第2スライドゲートの下方に、第3シリンダに駆動されて水平方向に摺動するように設けられた第1プッシャーと、
前記第1プッシャーにより移動された廃棄物を前記熱分解室の入口に投入させるために、該熱分解室の入口側の垂直上方に、第4シリンダに駆動されて上下方向に摺動するように設けられた第2プッシャーと、を有することを特徴する請求項2に記載の廃合成高分子化合物の連続式熱分解システム。
【請求項13】
前記廃棄物を熱分解させる熱分解熱源の移動通路に、補助バーナーが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の廃合成高分子化合物の連続式熱分解システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−89742(P2006−89742A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−272502(P2005−272502)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(505354143)アルポ カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】