説明

建物壁部の制振構造

【課題】制震部材の減衰性能を有効に利用可能な建物壁部の制震構造を提供する。
【解決手段】建物壁部が角形鋼管柱1と鋼製梁2とを備えている場合の建物壁部の制震構造であって、角形鋼管柱1を、その管壁平坦面を柱並び方向に対して45°傾斜させて設置し、隣接する角形鋼管柱1と角形鋼管柱1との間に対角線状にブレース3を取り付け、前記ブレース3の中間部に制震部材4を介在させる。角形鋼管柱1が45°傾斜しているので、ブレース3と角形鋼管柱1とを接合するガセットプレート12、13を角形鋼管柱1の角形断面対角線方向の角部に溶接固定できる。ブレース3からの軸方向力は角形鋼管の面内力として伝達されるので、角形鋼管柱が面外変形をしたり、それに伴いガセットプレート溶接接合部が破壊したりする恐れは少ない。制震部材の減衰性能が角形鋼管柱側の剛性の制約で発揮できなくなる恐れは少なく、制震部材の減衰性能を有効に利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地震による振動エネルギーを吸収し減衰させることが可能な建物壁部の制震構造に関する。
【背景技術】
【0002】
地震による振動エネルギーを吸収し減衰させる制震部材を建物に組み込む場合、制震構造のコストの面などから、制震部材の減衰性能(減衰力)を有効に発揮させることが望ましい。壁部の柱と柱の間に対角線状に設けたブレースに制震部材を設ける場合、ブレースと柱との接合部の剛性が低いと、制震部材の減衰性能を有効に発揮できない。
【0003】
ところで、従来、建物の柱として角形鋼管を用いる場合、角形鋼管柱は、一方の管壁平坦面が柱並び方向と平行になる向きに設置している。なお、この場合、他方の管壁平坦面は柱並び方向に対して直角となるが、このような角形鋼管柱の向きを、以下の説明では単に「管壁平坦面が柱並び方向と平行になる向き」と表現する。
建物壁部のブレースに制震部材を組み込んだ場合においても同様であり、例えば、特許文献1の「建物壁部の制震構造」は、制震部材(粘弾性ダンパー20)を矩形枠体17の中央に配置している構造であるが、特許文献1の図1などでブレース15の端部が接合されている柱12は角形鋼管(段落番号[0019]参照)であり、その角形鋼管柱の管壁平坦面は明細書及び図面全体から明らかに柱並び方向と平行である。なお、特許文献1における従来例として示された図16、図17では、角形の柱1Aの管壁平坦面が柱並び方向と平行に図示されている。
また、特許文献2の「軽量鉄骨住宅の制震構造」において、特許文献2の図3などで示される柱材2はC形鋼を幅方向に接合することによって形成されたもの(したがって、角形鋼管と同等)であるが、角形の柱2の管壁平坦面が柱並び方向と平行である(接合された2つのC形鋼の接合線が正面図で表れている故)。
【0004】
図7は、上記のように柱として角形鋼管を用いている建物の壁部に制震部材を組み込んだ従来の制震構造を簡略化して示したもので、31は角形鋼管柱、32はH形鋼による鋼製梁、33はブレース、34はブレース33の中間部に設けられた制震部材、35は土台又は基礎又は階下の梁である。ブレース33は角形鋼管柱31に溶接固定されたガセットプレート36に固定されている。この場合、ガセットプレート36は、図7(ロ)に示すように、角形鋼管柱31の管壁平坦面に垂直に溶接固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−126868
【特許文献2】特開2006−283374
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図7のような制震構造においては、地震などにより建物に水平力が作用した時、ブレース33からの軸方向力によって、図8(イ)、(ロ)、(ハ)に変形状態を破線a、a’で模式的に示すように、角形鋼管柱31の管壁が面外方向に変形する恐れがある。また角形鋼管柱との接合部であるガセットプレート溶接部近傍の角形鋼管柱管壁が早期に破壊してしまう恐れがある。同図でa、a’は角形鋼管柱31の管壁がそれぞれブレース33から圧縮力、引張力を受ける場合の変形状態を示す。
そのような場合、角形鋼管柱の板厚を厚くして剛性を高くしなければ、制震部材の減衰性能を有効に利用することができない。しかし、制震部材に合わせて角形鋼管柱の剛性を高くすることは不経済である。
そうすると制震部材として、減衰性能の低い制震部材を用いなければならなくなり、所望の性能の制震構造とすることができない。
特許文献1及び特許文献2の制震構造はいずれも、制震部材の減衰性能を有効に利用することを主たる目的としている(特許文献1の段落番号[0005]、特許文献2の[0005]など参照)のであるが、いずれもブレースからの軸方向力によって角形鋼管柱の管壁に面外変形が生じることとなり、その点では不十分であると言える。
【0007】
本発明は上記背景のもとになされたもので、角形鋼管柱側の剛性上の制約を少なくして、制震部材の減衰性能を有効に発揮させることが可能な建物壁部の制震構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する請求項1の発明は、建物壁部が角形鋼管柱と鋼製梁とを備えている場合の建物壁部の制震構造であって、
前記角形鋼管柱を、その管壁平坦面を柱並び方向に対して45°傾斜させて設置するとともに、隣接する角形鋼管柱と角形鋼管柱との間に対角線状にブレースを取り付け、前記ブレースの中間部に制震部材を介在させたことを特徴とする。
【0009】
請求項2は、請求項1の建物壁部の制震構造において、ブレースの制震部材より上側部分の上端部を、一方の角形鋼管柱の上端部のコーナー部に溶接固定したガセットプレートに固定し、制震部材より下側部分の下端部を、他方の角形鋼管柱の下端部のコーナー部に溶接固定したガセットプレートに固定したことを特徴とする。
【0010】
請求項3は、請求項1又は2の建物壁部の制震構造における角形鋼管柱が基礎上に設置されている場合であって、角形鋼管柱の下端面に溶接固定したベースプレートをコンクリート基礎にアンカーボルトにて固定して設置したことを特徴とする。
【0011】
請求項4は、請求項1〜3のいずれか1項の建物壁部の制震構造において、制震部材が、ブレース上側部分に連結された部分とブレース下側部分に連結された部分とを粘弾性体を介在させて結合してなる粘弾性ダンパーであることを特徴とする。
【0012】
請求項5は、請求項1〜4のいずれか1項の建物壁部の制震構造において、ブレースの上側部分及び下側部分がいずれも角形鋼管からなり、それぞれの制震部材側の端部が制震部材にボルト接合され、制震部材側と反対側の端部がそれぞれガセットプレートに溶接固定されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、角形鋼管柱の管壁平坦面が柱並び方向に対して45°傾斜しているので、中間部に制震部材を介在させたブレースを角形鋼管柱と角形鋼管柱との間に対角線状に取り付ける場合、ブレースと角形鋼管柱とを接合する継ぎ手部材(ガセットプレートなど)を角形鋼管柱の角形断面対角線方向の角部に溶接固定することができる。
この場合、ブレースからの軸方向力が角形鋼管柱に伝達される時、前記軸方向力は角形鋼管の面内力として伝達される。図2(イ)に、ブレースからの軸方向力をP、角形鋼管柱に伝達される面内力をP、Pで示す。このため、軸方向力が管壁平坦面に面外方向に作用する従来の応力状態より有利になり、角形鋼管柱の変形や、それに伴う角形鋼管柱の継ぎ手部材溶接接合部が破壊したりする恐れは顕著に少なくなる。
したがって、制震部材の減衰性能が角形鋼管柱側の剛性の制約で発揮できなくなる恐れは少なく、制震部材の減衰性能を有効に利用することができる。また、角形鋼管柱として同一断面のものを用いる場合に、減衰性能の高い制震部材を採用して、制震性能の高い建物とすることができる。
【0014】
請求項3のように角形鋼管柱が基礎上に設置される場合、ブレースに作用する軸方向力は、角形鋼管柱、ベースプレート、アンカーボルトを介して基礎に伝達されるが、角形鋼管柱の管壁平坦面の向きが柱並び方向と45°方向をなすので、四角形のベースプレートを四方のアンカーボルトで基礎に固定する場合、アンカーボルトの位置は角形鋼管柱の管壁平坦面に対向する位置となる。
したがって、アンカーボルトの位置をベースプレートの中心側に接近させることができ、ベースプレートのサイズが小さく済む。
これにより、ベースプレートの材料費が安く済む。また、コンクリート基礎の幅も狭く済み、基礎の施工コストも安く済む。
なお、通常、柱に溶接固定したベースプレートを4本のアンカーボルトで基礎に固定できるような状況であれば、ベースプレートの面積あるいは基礎の幅が、柱の基礎への固定部の剛性不足となることはない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(イ)は本発明の一実施例の建物壁部の制震構造の正面図、(ロ)は(イ)の模式的に示したA−A断面図である。
【図2】(イ)は図1の拡大したB−B断面図、(ロ)は図1の拡大したC−C断面図である。
【図3】本発明により柱脚部のベースプレート及び柱頭部のトッププレートを小サイズにできることを説明する図であり、(イ)は従来の柱脚部、(ロ)は本発明の柱脚部、(ハ)は従来の柱頭部、(ニ)は本発明の柱頭部を示す。
【図4】(イ)は図1における制震部材の部分の拡大図、(ロ)は(イ)の上部のみの左側面図、(ハ)は(イ)の拡大したD−D切断断面図である。
【図5】(イ)は図1の実施例において間柱を設けた場合の建物壁部の制震構造の正面図、(ロ)は(イ)の模式的に示したE−E断面図である。
【図6】図5の間柱にあけた制震部材貫通用の穴を説明する図であり、間柱の一部を拡大して示した側面図である。
【図7】(イ)は従来の建物壁部の制震構造の模式的に示した正面図、(ロ)は(イ)の模式的に示したF−F断面図である。
【図8】図7に示した従来の制震構造の問題点を説明するもので、(イ)、(ロ)、(ハ)はブレースに溶接固定したガセットプレートと角形鋼管柱との接合部近傍のそれぞれ断面図、正面図、左側面図により、変形状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施した建物壁部の制震構造について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0017】
図1(イ)は本発明の一実施例の建物壁部の制震構造の正面図、(ロ)は(イ)の模式的に示したA−A断面図である。
実施例で対象とする建物は、柱として角形鋼管を用い、梁としてH形鋼を用いた例えば2階建てなどの鉄骨共同住宅であり、建物壁部は、角形鋼管柱1と、H形鋼の上部梁2と、隣接する角形鋼管柱1と角形鋼管柱1との間に対角線状に取り付けたブレースとからなるブレース構面である。建物にある複数のブレース構面の一部(1箇所又は複数箇所)について、図示例のようにブレース3の中間部に制震部材4を設けている。
【0018】
本発明では、角形鋼管柱1を、図1(ロ)に示すように、また、図1(イ)の角形鋼管柱1の途中に断面を示したように、その管壁平坦面を柱並び方向(図1(ロ)で左右方向)に対して45°傾斜させて設置している。実施例では角形鋼管柱1として、□−75×75×4.5mmの角形鋼管を用いている。図示例の柱高さは2632mm、柱間隔910mmである。
この実施例は建物の1階部分であり、角形鋼管柱1が基礎(コンクリート基礎)5上に立てられている。すなわち、図1、図2(ロ)に示す通り、角形鋼管柱1の下端面に溶接固定したベースプレート7をアンカーボルト8(簡略化して示す)で基礎5に固定している。
また、図1、図2(イ)に示す通り、角形鋼管柱1の上端面に溶接固定したトッププレート9をH形鋼(上部梁)2のフランジ部にボルト10で固定している。
なお、実施例では本発明の制震構造を建物の1階部分に適用しているが、2階部分に適用することもできる。その場合、角形鋼管柱の下端部は梁となる。ただし、柱が通し柱であってもよい。
【0019】
実施例ではブレース3として角形鋼管柱1に用いた角形鋼管と同サイズの角形鋼管を用いている。なお、ブレース3の角形鋼管は、図1(イ)のブレース部分に断面図を示した通り、管壁平坦面が柱並び方向と平行である。
中間部に制震部材4を備えているブレース3の上側部分(ブレース上側部分)21は、角形鋼管柱1の上端部に溶接固定したガセットプレート12に溶接固定され、ブレース3の下側部分(ブレース下側部分)22は、角形鋼管柱1の下端部に溶接固定したガセットプレート13に溶接固定されている。ガセットプレート12、13は例えば厚さ12mmである。
前記ガセットプレート12、13は、図2(イ)、(ロ)に示すようにいずれも、角形鋼管柱1に対してその角形断面対角線方向の角部(管壁平坦面でなく角部)に溶接固定されている。なお、ガセットプレート12はトッププレート9にも溶接固定され、ガセットプレート13はベースプレート7にも溶接固定されている。
【0020】
前記制震部材4は、図4(イ)、(ロ)、(ハ)に示すように、内筒部材15と外筒部材16との間に粘弾性体17を介在させた構造の粘弾性ダンパーである。
外筒部材16は、略コ字形の両側に耳部を持つ半筒体16’、16’を向かい合わせ耳部を互いに固定した二つ割り構造であり、粘弾性体17を強固に挟持している。
外筒部材16はその筒状部16aから延出する間隔をあけた2つの板状取付部16bを備え、2つの板状取付部16b間に、ブレース上側部分(角形鋼管)21の下端面に溶接固定した取付端面板21aに溶接固定した継ぎ手板21bを挟み、図4(ロ)のようにボルト25で締め付け固定している。
内筒部材15はそのパイプ部15aに固定されてパイプ部15aから延出する間隔をあけた2つの板状取付部15bを備え、2つの板状取付部15b間に、ブレース下側部分(角形鋼管)22の上端面に溶接固定した取付端面板22aに溶接固定した継ぎ手板22bを挟み、ボルトで締め付け固定している。
【0021】
上記の建物壁部の制震構造において、角形鋼管柱1の管壁平坦面が柱並び方向に対して45°傾斜しているので、中間部に制震部材4を介在させたブレース3を角形鋼管柱1と角形鋼管柱1との間に対角線状に取り付ける場合、ブレース3と角形鋼管柱1とを接合(ブレース上側部分21の上端部と一方の角形鋼管柱1の上端部、又はブレース下側部分22の下端部と他方の角形鋼管柱1の下端部とを接合)するガセットプレート12、13を角形鋼管柱1の角形断面対角線方向の角部に溶接固定することができる。
この場合、ブレース3からの軸方向力が角形鋼管柱1に伝達される時、前記軸方向力は角形鋼管の面内力として伝達される。図2(イ)に、ブレース3からの軸方向力をP、角形鋼管柱1に伝達される面内力をP、Pで示す。このため、軸方向力が管壁平坦面に面外方向に作用する従来の応力状態より有利になり、角形鋼管柱1の変形や、それに伴う角形鋼管柱1のガセットプレート溶接接合部が破壊したりする恐れは顕著に少なくなる。
したがって、制震部材4の減衰性能が角形鋼管柱側の剛性の制約で発揮できなくなる恐れは少なく、制震部材4の減衰性能を有効に利用することができる。
【0022】
また、実施例のように角形鋼管柱1が基礎上に設置される場合、ブレース3に作用する軸方向力は、角形鋼管柱1、ベースプレート7、アンカーボルト8を介して基礎5に伝達されるが、角形鋼管柱1の管壁平坦面の向きが柱並び方向と45°方向をなすので、四角形のベースプレート7を四方のアンカーボルトで基礎に固定する場合、図2(ロ)に示すように、アンカーボルト8の位置は角形鋼管柱1の管壁平坦面に対向する位置となる。
したがって、アンカーボルト8の位置をベースプレート7の中心側に接近させることができ、ベースプレート7のサイズが小さく済む。
これにより、ベースプレート7の材料費が安く済む。また、コンクリート基礎5の幅も狭く済み、基礎の施工コストも安く済む。また、若干であるが、敷地面積を効率よく利用できることになる。なお、通常、柱に溶接固定したベースプレートを4本のアンカーボルトで基礎に固定できるような状況であれば、ベースプレートの面積あるいは基礎の幅が、柱の基礎への固定部の剛性不足となることはない。
トッププレート9についても同様であり、図2(イ)に示すように、上部梁(H形鋼)2に接合する接合ボルト10の位置をトッププレート9の中心側に接近させることができ、トッププレート9のサイズが小さく済む。
上記のようにベースプレート7あるいはトッププレート9のサイズを従来と比べて小サイズにできることは、図3に示す通りである。図3(イ)は従来の柱脚部、(ロ)は本発明の柱脚部、(ハ)は従来の柱頭部、(ニ)は本発明の柱頭部を示す。従来のベースプレートを7’、従来のトッププレートを9’で示す。
【0023】
上述した建物壁部の制振構造の施工の一例について説明すると、例えば、工場において、角形鋼管柱1の柱頭部側にトッププレート9、ガセットプレート12、ブレース上側部分21を一体に溶接固定し、柱脚部側にベースプレート7、ガセットプレート13、ブレース下側部分22を一体に溶接固定し、その状態で建築現場に搬入する。建築現場では、角形鋼管柱1を基礎5上に設置し上部梁2と接合し、次いで、制震部材4の両端をブレース上側部分21又はブレース下側部分22にボルト締め固定すると、上述した建物壁部の制振構造が得られる。
また、工場において、制震部材4をブレース上側部分21とブレース下側部分22との間に取り付け、制震部材4を取り付けたN形の状態で建築現場に搬入することもできる。
【実施例2】
【0024】
図5(イ)は図1の実施例において間柱を設けた場合の建物壁部の制震構造の正面図、(ロ)は(イ)の模式的に示したE−E断面図である。
この実施例では、2本の間柱23を制震部材4を挟んで両側に設置している。
基礎5の上、及び上部梁(H形鋼)2の下面に扁平な角パイプ24を配置し、上下の角パイプ24に固定したL形金物26に間柱23の上下の端部をボルト29で固定している。
間柱23として幅の広いC形鋼を用いており、ブレース3と干渉する部分には図6に示すように、C形鋼のウエブ23aの部分に縦長の穴を23bをあけている。間柱23の壁部厚み方向の外面側に窯業系防火サイディングなどの外壁材27を取り付け、内面側に石膏ボードなどの内壁材28を取り付けている。
間柱23に関連するもの以外は、図1の実施例と同様である。
【符号の説明】
【0025】
1 角形鋼管柱
2 上部鋼製梁(H形鋼)
3 ブレース
4 制震部材
5 基礎
7 ベースプレート
8 アンカーボルト
9 トッププレート
10 接合ボルト
12、13 ガセットプレート
21 ブレースの上側部分
22 ブレースの下側部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物壁部が角形鋼管柱と鋼製梁とを備えている場合の建物壁部の制震構造であって、
前記角形鋼管柱を、その管壁平坦面を柱並び方向に対して45°傾斜させて設置するとともに、隣接する角形鋼管柱と角形鋼管柱との間に対角線状にブレースを取り付け、前記ブレースの中間部に制震部材を介在させたことを特徴とする建物壁部の制震構造。
【請求項2】
前記ブレースの制震部材より上側部分の上端部を、一方の角形鋼管柱の上端部のコーナー部に溶接固定したガセットプレートに固定し、制震部材より下側部分の下端部を、他方の角形鋼管柱の下端部のコーナー部に溶接固定したガセットプレートに固定したことを特徴とする請求項1記載の建物壁部の制震構造。
【請求項3】
前記角形鋼管柱が基礎上に設置されている場合であって、角形鋼管柱の下端面に溶接固定したベースプレートをコンクリート基礎にアンカーボルトにて固定して設置したことを特徴とする請求項1又は2記載の建物壁部の制震構造。
【請求項4】
前記制震部材が、ブレース上側部分に連結された部分とブレース下側部分に連結された部分とを粘弾性体を介在させて結合してなる粘弾性ダンパーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の建物壁部の制震構造。
【請求項5】
前記ブレースの上側部分及び下側部分がいずれも角形鋼管からなり、それぞれの制震部材側の端部が制震部材にボルト接合され、制震部材側と反対側の端部がそれぞれガセットプレートに溶接固定されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の建物壁部の制震構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−140781(P2012−140781A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293336(P2010−293336)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(595106969)大東建託株式会社 (5)
【Fターム(参考)】