説明

強化された酵素適合性を有する有機触媒

本発明は、強化酵素適合性を有する有機触媒からなる洗浄組成物およびそのような洗浄組成物の製造と使用の工程に関連する。触媒は、3、4−ジヒドロイソキノリン双性イオン性スルフェート誘導体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機触媒を含む洗浄組成物並びにこのような洗浄製品を製造および使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酸素漂白剤、例えば、過酸化水素は、典型的には、衣類および種々の表面から染みおよび汚れを除去するのを容易にするために使用される。残念ながら、このような剤はきわめて温度率(temperature rate)依存性が高い。結果として、このような試剤がより低い温度の溶液中で使用される場合、このような溶液の漂白作用は顕著に減少する。
【0003】
前述の性能上の問題を解決するために、この業界では「漂白活性化剤」として知られる部類の材料が開発された。しかし、そのような材料は40℃より低い溶液温度ではその効果が急速に失われることから、3、4−ジヒドロ−2−[2−(スルホオキシ)デシル]イソキノリミウム、分子内塩のような新しい有機触媒が開発された。一般に、そのような現在のアート(art)触媒は水の温度が低い状況では有効であるものの、ある種の酵素を非活性化する。大半のクリーニング洗剤や洗浄組成物には酵素が配合されているので、そのような触媒と共に洗浄製品を配合することには問題が生じる恐れがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それ故に、柔軟性、低水温漂白性能および酵素適合性を兼ね備えた効用を提供できる有機触媒を含む安価な洗浄組成物の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、強化酵素適合性を有する有機触媒を含む洗浄組成物、およびその製造と利用方法に関するおよび。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
定義
本明細書で使用する時、用語「洗浄組成物」は、他に指示がない限り、顆粒または粉末形態の汎用または「重質」洗浄剤、特に洗濯洗剤、液体、ゲルまたはペースト形態の汎用洗浄剤、特にいわゆる重質液体型、液体の高級布地用洗剤、手洗い食器洗浄剤、または軽質食器洗浄剤、特に高起泡型のもの、種々の錠剤、顆粒、液体および家庭および企業での使用のためのリンス補助型を含む機械食器洗浄剤、抗菌ハンドウォッシュ型、洗濯バー、うがい薬、義歯クリーナー、車またはカーペット用シャンプー、浴室クリーナーを含む液体洗浄剤および消毒剤、ヘアシャンプーおよびヘアリンス、シャワージェルおよび泡バスおよび金属クリーナー、並びに、漂白添加物質および「染み用スティック」、または前処理型のような洗浄補助剤を含む。
【0007】
本明細書で使用する「独立して、〜からなる群から選択される」という言い回しは、引用されるマルクーシュ群から選択される部分または要素が同じか、異なるか、または任意の要素の混合物であってもよいことを意味する。
【0008】
本出願の試験方法の項で開示する試験方法を用いて、本出願人らの、発明のパラメータの各値を求めなければならない。
【0009】
特に記載のない限り、構成成分または組成物の濃度は全て、前記構成成分または組成物の活性レベルに関するものであり、市販の供給源類に存在し得る不純物類、例えば残留溶媒類または副生成物類は除外される。
【0010】
百分率および比率はすべて、特に指示がない限り、重量で計算される。百分率および比率はすべて、特に指示がない限り、組成物全体を基準にして計算される。
【0011】
本明細書を通じて与えられるあらゆる最大数の限定は、あらゆるより小さい数値の限定を、あたかもそのようなより小さい数値の限定がここに明確に書かれているかのように含むと理解されるべきである。本明細書全体を通じて記載されるあらゆる最小数値限定は、それよりも大きいあらゆる数値限定を、あたかもこうしたそれよりも大きい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書全体を通じて記載されるあらゆる数値範囲は、こうしたより広い数値範囲内に入る、それよりも狭いあらゆる数値範囲を、あたかもこうしたそれよりも狭い数値範囲が全て本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0012】
引用する全ての文書は、関連部分において本明細書に参考として組み込み、任意の文書の引用は、それが本発明に関して先行技術であるということの承認として解釈すべきではない。
【0013】
有機触媒からなる洗浄組成物
出願人は、本発明の有機触媒のR部分が賢明な選択であることを発見した。理論にとらわれることなく、出願人はこれが、R部分が前述の賢明な選択である結果として、水性環境内での触媒の好ましい分離によるものであると考えている。
【0014】
出願人の発明の一態様において、出願人の洗浄組成物は、酵素適合性の値が7以上、または80に達するか、それ以上である有機触媒からなる。
【0015】
出願人の発明の、一態様において、出願人の洗浄組成物は、以下の配合物1または配合物2またはそれらの混合を有する有機触媒からなる。
【化1】

【化2】

【0016】
ここで、Rは、9から24の炭素を含む分枝状アルキル基または11から24の炭素を含む線状アルキル基で、9から18の炭素を含む分枝状アルキル基または11から18の炭素を含む線状アルキル基は、2−プロピルへプチル、2−ブチルオクチル、2−ペンチルノニル、2−ヘキシルデシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル、イソ−ノニル、イソ−デシル、イソ−トリデシル、およびイソ−ペンタデシルからなる群から選択されるか、または2−ブチルオクチル、2−ペンチルノニル、2−ヘキシルデシル、イソ−トリデシル、イソ−ペンタデシルからなる群から選択される。
【0017】
前述の、洗浄組成物の任意の態様のバランスは、1以上の補助剤で保たれている。
【0018】
適した有機触媒を製造する方法
適した有機触媒は、さまざまな反応容器とバッチ、セミバッチおよび連続プロセスを含む方法を用いて製造されることができる。
【0019】
出願人の、発明一態様において、前述の触媒の製造方法は、3,4−ジヒドロイソキノリン三酸化イオウ錯体をエポキシドと反応させて前記有機触媒を生成する工程を含む。
【0020】
出願人の発明の別の態様において、前述の触媒の製造方法は、3,4−ジヒドロイソキノリンを、三酸化イオウ、三酸化イオウを提供する物質およびこれらの混合物からなる群から選択される物質と反応させて3,4−ジヒドロイソキノリン三酸化イオウ錯体を生成する工程、並びにこのような3,4−ジヒドロイソキノリン三酸化イオウ錯体をエポキシドと反応させて前記有機触媒を生成する工程を含む。
【0021】
出願人の、発明の別の態様において、前述の触媒の製造方法は、3,4−ジヒドロイソキノリンを、エポキシド三酸化イオウ錯体と反応させて前記有機触媒を生成する工程を含む。
【0022】
出願人の、発明の別の態様において、前述の触媒の製造方法は、エポキシドを、三酸化イオウ、三酸化イオウを提供する物質およびこれらの混合物からなる群から選択される物質と反応させてエポキシド三酸化イオウ錯体を生成する工程、並びにこのようなエポキシド三酸化イオウ錯体を3,4−ジヒドロイソキノリンと反応させて前記有機触媒を生成する工程を含む。
【0023】
前述の触媒のオキサジリジニウム環を含有する変形は、前記触媒のイミニウム環を含有する変形を、ペルオキシカルボン酸またはペルオキシ一硫酸のような酸素移動剤と接触させることによって、例えばOxone(登録商標)などを作り出すことができる。このような種は、その場で形成することができ、精製せずに使用することができる。
【0024】
本明細書の教示を処置する当事者は、所望の反応条件および反応物質濃度を容易に決定できるが、出願人の発明の前述した態様に対する一般的な反応パラメーターとしては、約0℃〜約150℃、または約0℃〜約125℃の反応温度、約0.1MPa(0.1atm)〜約10.1MPa(100atmospheres)、約0.03MP(0.3atmospheres)〜約1.01MPa(10atmospheres)または約0.1MPa(1atmospheres)〜約1.01MPa(10atmospheres)の反応圧力;0.1時間〜約96時間、約1時間〜約72時間、または約1時間〜約24時間の反応時間が挙げられる。反応は、不活性雰囲気下ないしは無水条件(例えば、溶媒を使用する時には、無水溶媒の使用)で実行してもよい。
【0025】
出願人の工程を実行する際に用いる材料に、3,4−ジヒドロイソキノリン、エポキシド類およびそれらの混合、三酸化イオウ、三酸化イオウおよびそれらの混合物の源、および溶媒が含まれる。
【0026】
3,4−ジヒドロイソキノリンを用いる時、初期反応混合物は、一般にこのような物質を約0.5重量%〜約70重量%、約5重量%〜約70重量%、または約10重量%〜約50重量%含む。3,4−ジヒドロイソキノリンは、実施例1で示された手順に従って製造できる。
【0027】
エポキシドを用いる時、初期反応混合物は、一般にこのような物質を約0.5重量%〜約70重量%、約5重量%〜約70重量%、または約10重量%〜約50重量%含む。適したエポキシド類は、2−プロピルへプチルグリシジルエーテル、2−ブチルオクチルグリシジルエーテル、2−ペンチルノニルグリシジルエーテル、2−ヘキシルデシルグリシジルエーテル、n−ドデシルグリシジルエーテル、n−テトラデシルグリシジルエーテル、n−ヘキサデシルグリシジルエーテル、n−オクタデシルグリシジルエーテル、イソノニルグリシジルエーテル、イソ−デシルグリシジルエーテル、イソ−トリデシルグリシジルエーテル、およびこれらの混合物などを含むがそれだけに限らない。それらの材料は、反応物質として用いられる前に、所望により、削除される場合もあるグリシジルエーテルのオリゴマー形式を含む場合がある。2−プロピルヘプチルグリシダールエーテルは、本明細書の実施例2に記載されているように調製できる。その他の前述のグリシジルエーテルは、2−プロピルヘプタノールを適当なアルコールで代替することにより、実施例2の一般的手順によって準備することができる。好適なアルコールには、2−プロピルヘプタノール、2−ブチルオクタノール、2−ペンチルノナノール、2−ヘキシルデカノール、n−ドデカノール、n−テトラデカノール、n−ヘキサデカノール、n−オクタデカノール、イソ−ノナノール、イソ−デカノール、イソ−トリデカノールが挙げられる。
【0028】
三酸化イオウ、三酸化イオウの供給源およびこれらの混合物を用いる時、初期の反応混合物は一般に、このような物質を約0.5重量%〜約70重量%、約5重量%〜約70重量%、約10重量%〜約50重量%含む。好適な物質としては、三酸化イオウ、並びに三酸化イオウトリメチルアミン、三酸化イオウジオキサン、三酸化イオウピリジン、三酸化イオウN,N−ジメチルホルムアミド、三酸化イオウスルホラン、三酸化イオウテトラヒドロフラン、三酸化イオウジエチルエーテルおよび三酸化イオウ3,4−ジヒドロイソキノリン、およびこれらの混合物のような三酸化イオウ錯体が挙げられる。
【0029】
いかなる反応混合物も、残部は一般に溶媒である。溶媒を用いる時、初期の反応混合物は一般に、99重量%までの溶媒、約10重量%〜約90重量%の溶媒、または約20重量%〜約80重量%の溶媒を含む。好適な溶媒としては、アセトニトリル、ジオキサン、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、スルホラン、クロロベンゼン、トルエン、1,2ジクロロエタン、塩化メチレン、クロロホルム、ジエチルエーテル、ヘキサン類、ペンタン類、ベンゼン、キシレン類、およびこれらの混合物のような非プロトン性、極性および非極性溶媒が挙げられる。好適な溶媒は、アルドリッチ(Aldrich)(米国ウイスコンシン州(P.O.Box 2060,Milwaukee,WI 53201,USA))より購入することができる。
【0030】
出願人の有機触媒を含む洗浄組成物および洗浄組成物添加物
本発明の洗浄組成物は、例えば、洗濯用途、硬質表面洗浄、自動食器洗浄用途、並びに義歯、歯、毛髪および皮膚のような化粧用途において有利に使用される得る。低温の溶液中での効果の増大と優れた酵素互換性との両方の独自な利点に起因して、本発明の有機触媒は、理想的には、漂白剤含有洗剤または洗濯漂白添加物の使用を介する布地の漂白のような洗濯用途に適している。さらに、本発明の有機触媒は、顆粒および液体組成物の両方において使用してもよい。
【0031】
本発明の有機触媒は、洗浄添加剤製品にも用いられてもよい。本発明の有機触媒を包含する洗浄添加剤は、理想的には、追加的な漂白効果が望まれる時に洗浄プロセスに包含するのに好適である。そのような実体には低温溶液の洗浄の応用があるが、それに限らない。添加物製品は、最も単純な形態における出願人の有機触媒であり得る。好ましくは、添加物は、過酸素供給源が使用され、漂白効果が増大することが望まれる洗浄工程に追加するための剤形でパッケージできる。このような単一剤形は、丸薬、錠剤、ジェルキャップまたは予め測定された粉末若しくは液体のような他の単一用量単位を含んでもよい。充填剤または担体物質は、このような組成物の体積を増加させるために包含されてもよい。適した充填剤または担体物質としては、硫酸塩、炭酸塩およびケイ酸塩という様々な塩、並びにタルク、粘土等が挙げられるが、これらに限定されない。液体組成物のための充填剤または担体物質は、水またはポリオールおよびジオールを含めた低分子量の一級および二級アルコールであってもよい。このようなアルコールの例としては、メタノール、エタノール、プロパノールおよびイソプロパノールが挙げられるが、これらに限定されない。該組成物は、このような物質を約5%〜約90%含有してもよい。酸性充填剤は、pHを下げるために使用することができる。あるいは、洗浄添加物は、以下に規定される活性化過酸化物供給源、または以下に完全に規定されるような補助剤成分を含んでもよい。
【0032】
出願人の洗浄組成物および洗浄添加物は、触媒的に有効量の出願人の有機触媒を必要とする。このような触媒の必要濃度は、出願人の有機触媒を1種以上添加することによって達成され得る。実際的な様式で、および限定されない様式で、本発明の組成物および洗浄プロセスは、洗浄溶液中で、少なくとも0.001ppm、約0.001ppm〜約500ppm、約.005ppm〜約150ppm、または約0.05ppm〜約50ppmのオーダーで適用者の有機触媒を提供するように調整することができる。洗浄溶液中でこのような濃度を得るために、本明細書の典型的な組成物は、洗浄組成物の約0.0002重量%〜約5重量%、さらには約0.001重量%〜約1.5重量%の有機触媒を含むことがある。
【0033】
出願人の有機触媒が、顆粒状組成物中で使用される場合、出願人の有機触媒がカプセル化粒子の形態であり、保存中に、顆粒状組成物の湿気および/または他の成分から出願人の有機触媒を保護することが望ましい場合がある。それに加えて、カプセル化はまた、洗浄方法中の出願人の有機触媒の利用可能性を制御する手段であり、出願人の有機触媒の漂白性能を高めることができる。この観点において、出願人の有機触媒は、当該分野で既知の任意のカプセル化材料を用いてカプセル化することができる。
【0034】
カプセル化材料は、典型的には、出願人の有機触媒の少なくとも一部分、好ましくは、すべてをカプセル化する。典型的には、カプセル化材料は水溶性および/または水分散性である。カプセル化材のガラス転移温度(Tg)は0°C以上であってもよい。
【0035】
カプセル化材料は、好ましくは、炭水化物類、天然または合成ゴム、キチンおよびキトサン、セルロースおよびセルロース誘導体、シリケート類、ホスフェート類、ボレート類、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、石蝋並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される。好ましくは、カプセル化材は炭水化物であり、典型的には単糖類、オリゴ糖、多糖類、およびこれらの組み合わせからなる群から選択する。最も好ましくは、カプセル化材はデンプンである。好ましいデンプンは、欧州特許第0 922 499号、米国特許第4、977,252号、米国特許第5,354,559号、米国特許第5,935,826号に記述されている。
【0036】
カプセル化材料は、熱可塑性樹脂、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリルおよびこれらの混合物のような可塑性樹脂から作られる微小球であってよく;使用可能な市販の微小球は、スウェーデンのエクスパンセル・オブ・ストックビクスベルケン(Expancel of Stockviksverken)によって、商品名エクスパンセル(登録商標)で供給されるもの、並びにアメリカ合衆国ペンシルバニア州バレー・フォージ(Valley Forge)のPQ社(PQ Corp)によって、商品名PM6545、PM6550、PM7220、PM7228、エクステンドスフィア(Extendospheres)(登録商標)、ラクシル(Luxsil)(登録商標)、Q−セル(Q-cel)(登録商標)およびスフェリセル(Sphericel)(登録商標)で供給されるものである。
【0037】
ここに挙げた洗浄組成物は、好ましくは、水性洗浄操作の間に、洗浄水は約6.5から約11、またはさらに約7.5から約10.5の間のpHを有するように処方される。液体の食器洗浄製品の処方は、約6.8と約9.0の間のpHを有することができる。洗濯製品は典型的に、約9と約11の間のpHを有する。pHを推奨される使用水準に制御するための技術には、緩衝剤、アルカリ類、酸等の使用が含まれ、当該技術分野においてよく知られている。
【0038】
補助剤物質
本発明の目的には必須でないが、以下に例示される補助剤の非限定的なリストは、当該組成物において使用するのに適しており、例えば、洗浄性能を補助若しくは向上させるために、洗浄されるべき基材の処理のために、または香料、着色剤、染料などを用いる場合のように洗浄組成物の審美性を変化させるために、本発明の特定の実施形態に組み込まれるのが望ましい。このような追加的成分の明確な性質、およびそれを組み込む濃度は、組成物の物理的形態および使用されるべき洗浄作業の性質に依存する。好適な補助剤材料としては、界面活性剤、ビルダー、キレート剤、移染防止剤、分散剤、酵素および酵素安定剤、触媒作用性物質、漂白活性化剤、過酸化水素、過酸化水素供給源、予備形成過酸類、ポリマー分散剤、粘土汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、起泡抑制剤、染料、香料、構造伸縮性付与剤、柔軟仕上げ剤、キャリア、向水性物質、加工助剤、溶媒、および/または顔料が挙げられるが、これらに限定されない。下記の開示に加え、このようなその他の補助剤の適した例および使用濃度は、米国特許第5,576,282号、米国特許第6,306,812B1号および米国特許第6,326,348B1号に見出され、これらを本明細書に参考として組み込んでいる。
【0039】
上述の如く、前記補助成分は、本出願人らの組成物にとって必須ではない。従って、本出願人らの組成物の特定の実施形態は、次の補助剤材料の1以上を含有しない:界面活性剤、ビルダー、キレート剤、移染防止剤、分散剤、酵素、および酵素安定剤、触媒材料、漂白活性化剤、過酸化水素、過酸化水素源、予備形成過酸類、ポリマー分散剤、粘土汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、起泡抑制剤、染料、香料、構造弾性化剤、柔軟仕上げ剤、キャリア、向水性物質、加工助剤、溶媒および/または顔料。しかしながら、1以上の補助剤が存在する場合、当該1以上の補助剤は、以下に詳細に記載されるように存在してもよい。
【0040】
漂白剤−本発明の洗浄組成物は、1以上の漂白剤を含んでよい。漂白触媒類以外の好適な漂白剤としては、光漂白剤、漂白活性化剤、過酸化水素、過酸化水素供給源、予備形成過酸およびこれらの混合物が挙げられる。一般的に、漂白剤が使用される場合、本発明の組成物は、標記洗浄組成物の約0.1重量%〜約50重量%または更に約0.1重量%〜約25重量%の漂白剤を含んでよい。適した漂白剤の例には次のものが含まれる。
【0041】
(1)例えばスルホン酸化亜鉛フタロシアニン等の光漂白剤類;
(2)予め形成された過酸:適切に形成された、過カルボン酸類と塩類、過炭酸類と塩類、過イミド酸類(perimidic acids)と塩類、パーオキシモノ硫酸と塩類、例えばOxzone(登録商標)、およびこれらの混合物からなる群から選択される化合物類等の過酸、ただしこれらに限らない。式R−(C=O)O−O−M、ただしここでRは、所望により、分岐状のアルキル基、過酸が疎水性の時は、6から14の炭素原子または8から12の炭素原子および、過酸が親水性の時は、6以下の炭素原子またはさらに4以下の炭素原子、およびMは対イオンたとえば、ナトリウム、カリウム、および水素、を有する疎水性および親水性の過酸を含む適切な過カルボン酸類。
(3)アルカリ金属塩類、例えば過ホウ酸塩(通常は、一または四−水和物)、過炭酸塩、過硫酸塩、過リン酸塩、過ケイ酸塩のナトリウム塩類およびこれらの混合物を含む、過酸化水素供給源(例えば、無機過水和物塩類)。発明の1つの態様では、前記無機過水和物塩は、過ホウ酸塩、過炭酸塩のナトリウム塩およびこれらの混合物からなる群から選択される。無機過水和物塩(用いた場合)は、典型的には、全組成物の0.05〜40重量%、または1〜30重量%の量で存在し、典型的には、当該組成物中へ結晶固形物(コーティングされていてもよい)として組み込まれる。好適なコーティングとしては、無機塩(アルカリ金属ケイ酸塩、炭酸塩若しくはホウ酸塩またはこれらの混合物など)、または有機物質(水溶性若しくは分散性ポリマー、ワックス、油または脂肪石鹸など)が挙げられる。および、
(4)R−(C=O)−Lを有する漂白活性化剤類。[式中、Rはアルキル基であり、所望により分岐しており、前記漂白活性化剤が疎水性の場合には、6〜14個の炭素原子、または8〜12個の炭素原子を有し、前記漂白活性化剤が親水性の場合、6個未満の炭素原子、または更に4個未満の炭素原子を有し、Lが、脱離基である。]好適な脱離基の例は、安息香酸およびその誘導体(特に、ベンゼンスルホネート)である。好適な漂白活性化剤類としては、ドデカノイルオキシベンゼンスルホネート、デカノイルオキシベンゼンスルホネート、デカノイルオキシ安息香酸またはその塩類、3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシベンゼンスルホネート、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)およびノナノイルオキシベンゼンスルホネート(NOBS)が挙げられる。適切な漂白活性化剤は、WO 98/17767でも公開されている。適切な漂白活性化剤が用いられている状況で、本件発明の一態様において、洗浄組成物はNOBS、TAED、またはそれらの混合物からなる。
【0042】
過酸および/または漂白活性化剤(存在する場合)は、一般に、組成物を基準にして、約0.1〜約60重量%、約0.5〜約40重量%または更に約0.6〜約10重量%の量で、組成物中に存在する。1以上の疎水性過酸類またはその前駆体は、1以上の親水性過酸またはその前駆体と組み合わせて使用してもよい。
【0043】
過酸化水素供給源および過酸または漂白活性化剤の量は、有効酸素(過酸化物供給源より供給される)対過酸のモル比が、1:1〜35:1、または更に2:1〜10:1となるように選択してよい。
【0044】
界面活性剤−本発明による洗浄組成物は、界面活性剤または界面活性剤系を含んでよく、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双極性界面活性剤、半極性非イオン性界面活性剤およびこれらの混合物から選択されることができる。界面活性剤(存在する場合)は、典型的には、標記組成物の約0.1重量%〜約60重量%、約1重量%〜約50重量%または更に約5重量%〜約40重量%の濃度で存在する。
【0045】
ビルダー類−本発明の洗剤組成物は、1以上の洗剤ビルダーまたはビルダー系を含んでよい。ビルダーを使用する場合、標記組成物は、典型的には、標記組成物の少なくとも約1重量%、約5重量%〜約60重量%、または更に約10重量%〜約40重量%のビルダーを含む。
【0046】
ビルダー類には、ポリホスフェートのアルカリ金属塩、アンモニウム塩およびアルカノールアンモニウム塩、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ土類およびアルカリ金属の炭酸塩、アルミノケイ酸塩ビルダーポリカルボキシレート化合物、エーテルヒドロキシポリカルボキシレート、無水マレイン酸とエチレンまたはビニルメチルエーテルとのコポリマー、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン−2,4,6−トリスルホン酸およびカルボキシメチルオキシコハク酸、エチレンジアミン四酢酸およびニトリロ三酢酸のようなポリ酢酸の様々なアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩、並びに、例えばメリト酸、コハク酸、クエン酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5−トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸などのポリカルボキシレート、並びにこれらの可溶性塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
キレート剤−本明細書の洗浄組成物は、キレート剤を含有してもよい。好適なキレート剤としては、銅、鉄および/またはマンガンキレート剤およびこれらの混合物が挙げられる。キレート剤を使用する場合、標記組成物は、標記組成物の約0.005重量%〜約15重量%、または更に約3.0重量%〜約10重量%のキレート剤を含んでよい。
【0048】
染料移行防止剤−本発明の洗浄組成物はまた、1以上の染料移行抑制剤を含んでもよい。好適な高分子染料移行防止剤には、ポリビニルピロリドンポリマー類、ポリアミンN−オキシドポリマー類、N−ビニルピロリドンおよびN−ビニルイミダゾールのコポリマー類、ポリビニルオキサゾリドン類およびポリビニルイミダゾール類、またはこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。標記組成物中に存在する場合、染料移行防止剤は、組成物の約0.0001重量%〜約10重量%、約0.01重量%〜約5重量%、または更に約0.1重量%〜約3重量%の濃度で存在してよい。
【0049】
増白剤−本発明の洗浄組成物は、洗浄される物品に色合いを付けることもできる追加成分(蛍光光沢剤など)を含有することもできる。好適な蛍光増白剤濃度としては、約0.01重量%、約0.05重量%、約0.1重量%、更には約0.2重量%の低い濃度から、0.5重量%または更に0.75重量%の高い濃度までが挙げられる。
【0050】
分散剤−本発明の組成物はまた、分散剤を含むことができる。好適な水溶性有機物質類としては、ホモポリマーまたはコポリマーの酸類またはそれらの塩類が挙げられ、それらのうちのポリカルボン酸は、互いに炭素原子2個を超えない程度に離れている少なくとも2個のカルボキシルラジカルを含む。
【0051】
酵素類−洗浄組成物は、クリーニング性能および/または布地ケア効果を提供する1以上の酵素を含むことができる。好適な酵素の例としては、ヘミセルラーゼ類、ペルオキシダーゼ類、プロテアーゼ類、セルラーゼ類、キシラナーゼ類、リパーゼ類、ホスホリパーゼ類、エステラーゼ類、クチナーゼ類、ペクチナーゼ類、マンナナーゼ類、ペクテートリアーゼ類、ケラチナーゼ類、レダクターゼ類、オキシダーゼ類、フェノールオキシダーゼ類、リポキシゲナーゼ類、リグニナーゼ類、プルラナーゼ類、タンナーゼ類、ペントサナーゼ類、マラナーゼ類、β−グルカナーゼ類、アラビノシダーゼ類、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼおよびアミラーゼ類、またはこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。典型的な組み合わせは、例えば、プロテアーゼおよびリパーゼをアミラーゼとともに含んでよい酵素反応混液である。洗浄組成物中に存在する場合、上述した酵素類は、組成物の約0.00001重量%〜約2重量%、約0.0001重量%〜約1重量%、または更に約0.001重量%〜約0.5重量%の濃度の酵素タンパク質で存在してよい。
【0052】
酵素安定剤−種々の技法によって、洗剤で使用する酵素類を安定化させることができる。本明細書に用いられる酵素類は、カルシウムイオンおよび/またはマグネシウムイオンを酵素に供給する、最終組成物中のカルシウムおよび/またはマグネシウムイオンの水溶性供給源の存在によって安定化させることができる。プロテアーゼを含む水性組成物の場合、更に安定性を改善するために、可逆性蛋白質分解酵素抑制剤(ホウ素化合物など)を添加することができる。
【0053】
触媒金属錯体−本出願人らの洗浄組成物は、触媒金属錯体を含むことができる。金属含有漂白触媒の1つの種類は、銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデン、またはマンガンの陽イオンのような、限定された漂白触媒活性の遷移金属陽イオン、亜鉛またはアルミニウムの陽イオンのような、漂白触媒活性をほとんどまたは全くもたない補助金属陽イオン、並びに触媒金属および補助金属の陽イオンに対して限定された安定度定数を有する金属イオン封鎖剤、特にエチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)およびそれらの水溶性の塩類を含む触媒系である。このような触媒は、米国特許第4,430,243号に開示される。
【0054】
所望する場合、本明細書の組成物はマンガン化合物を用いて触媒作用され得る。このような化合物および使用濃度は当該技術分野で周知であり、例えば、米国特許第5,576,282号に開示されるマンガン系触媒が挙げられる。
【0055】
本明細書で有用なコバルト漂白剤触媒は、米国特許第5,597,936号、米国特許第5,595,967号で知られ、説明されている。そのようなコバルト触媒は、例えば米国特許第5,597,936号および米国特許第5,595,967号などの既知の手順によって容易に準備できる。
【0056】
ここでの組成物は、bispidones(WO 05/042532 A1)および/または「MRLs」などと略されるマクロポリ環状硬質配位子等の配位子の遷移金属錯体を適切に含む場合がある。実際的な事項として、しかも限定のためでなく、ここでの組成物と方法は、水溶性の洗浄媒質内にある少なくともおよそ1憶分の一の活性MRL族を提供するよう、しかも典型的には約0.005ppmから約25ppm、約0.05ppmから約10pm、さらには約0.1ppmから約5ppmのMRLが洗浄溶液中にあるよう調整することができる。
【0057】
本遷移金属漂白触媒における好適な遷移金属としては、例えばマンガン、鉄およびクロムが挙げられる。好適なMRLとしては、5,12−ジエチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンが挙げられる。
【0058】
好適な遷移金属MRLは、既知の手順、例えば、PCT国際公開特許WO00/32601、および米国特許第6,225,464号にて教示される手順によって容易に調製される。
【0059】
溶媒−好適な溶媒としては、水および他の溶媒(例えば、親油性流体)が挙げられる。好適な親油性流体の例としては、シロキサン類、その他のシリコーン類、炭化水素類、グリコールエーテル類、例えばグリセリンエーテル類などのグリセリン誘導体類、ペルフルオロ化アミン類、ペルフルオロ化およびハイドロフルオロエーテル溶媒類、低揮発性の非フッ素化有機溶媒類、ジオール溶媒類、環境に優しいその他の溶媒類、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0060】
洗浄および/または処理用組成物の製造方法
本発明の洗浄組成物は、任意の適切な形態に配合でき、配合者によって選択される任意の方法によって調製され、方法の非限定例は、本出願人らの実施例、並びに米国特許第5,879,584号、米国特許第5,691,297号、米国特許第5,574,005号、米国特許第5,569,645号、米国特許第5,565,422号、米国特許第5,516,448号、米国特許第5,489,392号、および米国特許第5,486,303号(これらすべては本明細書に参考として組み入れる)に記載される。
【0061】
使用方法
本発明は、ある場所(situs)、とりわけ表面または布地を洗浄するための方法を含む。これらの方法は、本出願人の洗浄組成物の実施形態を、希釈していない形態で、または洗浄溶液中で希釈して、表面または布地の少なくとも一部分に接触させ、次いで、所望により、表面または布地をすすぐ工程を含む。表面または布地は前述のすすぐ工程の前に洗浄工程にさらされてもよい。本発明の目的上、洗浄することは、擦ることおよび機械的攪拌を含むが、これらに限定されない。当業者に理解されるように、本発明の洗浄組成物は理想的には洗濯用途に用いるのに適している。それ故に、本発明は布地を洗濯するための方法を含む。この方法は、洗濯されるべき布地を本出願の洗浄組成物の少なくとも1つの実施形態、洗浄添加物、またはこれらの混合物を含む前記洗浄洗濯溶液と接触させる工程を含む。布地は、通常の消費者の使用条件で洗濯され得るほとんどいかなる布地を含んでもよい。この溶液は、好ましくは約8から10.5のpHをもつ。この組成物は、溶液中の濃度が約500ppmから約15,000ppmで用いられる場合がある。水温は、典型的には約5℃〜約90℃の範囲である。水対布地の比率は、典型的には約1:1〜約30:1である。
【0062】
有機触媒/酵素適合性試験
以下に述べている試験では、酵素上の有機触媒の影響を測定するためにαアミラーゼ活性を用いる。
【0063】
装置@ 415nm測定可能なUV/Vis分光分析装置、40℃加熱磁性攪拌器、5mL Luer lock注射器とフィルター(Acrodisc 0.45 μm)、pHメーター、バランス(4箇所分析)。
【0064】
試薬類メルクアミラーゼキット(メルクユーロラボ、Cat.No. 1.19718.0001);トリス塩基(シグマ Cat # T−1503、または同等品);塩化カルシウム二水和物(シグマ Cat # C−5080、または同等品);チオ硫酸ナトリウム五水和物(シグマ Cat # S−6672、または同等品);塩酸(VWR Cat # JT9535−0、または同等品);硬度溶液 (CTCグループ、3.00g/cc、または同等品);過炭酸ナトリウム;過酢酸(アルドリッチ、Cat.# 26933−6、または同等品);ターマミル、ナタラーゼ、デュラミル(ノボザイムズ、デンマーク)のアミラーゼ酵素;酵素を含まない粒状洗剤マトリクス有機触媒または漂白剤。
【0065】
1.)溶液の準備:次の準備を行う
a.)トリスアッセイ緩衝剤0.1Mトリス緩衝剤、0.5%ナトリウムチオ硫酸(W/V)、0.11%塩化カルシウム(W/V)、pH8.3を1リットル用意する。
b.)半加工品の洗剤溶液脱イオン水(W/V)に0.5%酵素および漂白剤の含まれていない粒状の洗剤製品を入れた、250ppmH(0.77g過炭酸塩)および2.65g/L(10gpg)硬度(880UI硬度)を1リットル用意する。
c.)ターマミル、デュラミル、ナタラーゼのストック。1mLのトリス緩衝剤あたり0.1633mgの活性ターマミル、1mLのトリス緩衝剤あたり0.1159mgの活性ナタラーゼ、1mLのトリス緩衝剤あたり0.1596mgの活性デュラミル、各100mL作成する。
d.)有機触媒のストックμmのメタノール溶液500ppmを作成する。
e.)過酢酸ストック脱イオン水中に3955ppmの過酢酸溶液を作る。
f.)アミラーゼ試薬アミラーゼ活性分析において使用される最終試薬を製造するために、フラコン3と、それに続くフラコン類1と2の混合を用いてフラコン類(コンテナ)1と2を準備するためにMerckキットの指示に従う。
【0066】
2.)分析の例
a.)酵素のみをもつサンプルの分析:半加工品の洗剤溶液100mLを150mLのビーカーに入れる。ビーカーを熱した攪拌プレートに置き、攪拌しながら温度を40℃に上げる。YμLの酵素ストックを、デュラミルY=612μL、ターマミル306μL、またはナタラーゼ918μLのはいったビーカーに入れる。興味のある酵素のみを入れる。サンプルを1分間攪拌する。タイマーを開始させる。7分45秒経過後、サンプルをとり、0.45μm注射器フィルター(5mL注射器)を使って濾過する。濾過したサンプル6μLを250μLのアミラーゼ試薬とキュベット内で混合し、このキュベットをUV/VIS分光分析装置内に置いて415ナノメートルでの吸光度の変化を観察する。各酵素の吸光度が1.0になるまでの時間を四捨五入して時間(t)を測る。工程2.)b.)において、以下の2.)c.)の各酵素のtを使用する。
b.)酵素と過酢酸のみを含むサンプルの分析。工程2.)a.)に従う。酵素の追加後を除き、溶液を1分間攪拌して、次に、127μLの過酢酸ストックを入れてからタイマーを開始する。工程2.)a.)と同様に7分45秒でサンプルを引き抜く。サンプルと試薬を混合した後、それぞれの酵素に対しt時点の吸光度を記録する。そのような吸光度Aを指定する。
c.)酵素、過酢酸、有機触媒を含むサンプルの分析。工程2.)a.)に従う。酵素の追加後を除き、溶液を1分間攪拌して、次に、127μLの過酢酸ストックと100μLの有機触媒ストックを入れてからタイマーを開始する工程2.)a.)と同様に7分45秒でサンプルを引き抜く。サンプルと試薬とが混合された後、tでのそれぞれの酵素の吸光度を記録する。そのような吸光度Aを指定する。
【0067】
3.)酵素適合性値(ECV)を計算する。
a.)ターマミル(ECVter)、デュラミル(ECVdur)、ナタラーゼ(ECVnat)、それぞれ個別の酵素に対するECVを計算する。特定の酵素のECVは、その酵素に対し(A/A)×100、ここでAおよびAは工程2.)b.)および2.)c.)でそれぞれ決定される値、である。
b.)与えられた有機触媒に対するECVは、その3種の酵素類に対するECVの平均値である。よって、ECV=(ECVter++ECVdur++ECVnat)/3となる。
【実施例】
【0068】
指示がない限り、材料はアルドリッチ(Aldrich)(米国ウイスコンシン州(P.O. Box 2060, Milwaukee, WI 53201, USA.))から入手可能である。実施例1−12において、溶媒アセトニトリルは、1,2−ジクロロエタンを含むただしそれに限らないその他の溶媒類に交換可能である。
【0069】
(実施例1):硫酸モノ−[2−(3、4−ヒドロ−イソキノリン−2−yl)−1−(2−プロピルへプチルオキシメチル)−エチル]エステル、分子内塩の調製
2−プロピルへプチルグリシジルエーテルの準備:火力乾燥するために、500mLの底の丸いフラスコにエピクロロヒドリン(15.62g、0.17モル)を満たした漏斗をつけたものに、2−プロピルヘプタノール(Pfaltz & Bauer(Pfaltz & Bauer, Inc.)米国コネティカット州(172 E. Aurora Street, Waterbury CT, 06708, USA))(20g、0.127モル)および塩化第二スズ(0.20g、0.001モル)を追加。反応をアルゴン大気下に保ち、油浴を使用して90℃に加温する。エピクロロヒドリンを60分かけて攪拌溶液に滴下した後、90℃で18時間攪拌する。反応物を真空蒸留ヘッドに取り付け、1−クロロ−3−(2−プロピル−ヘプチルオキシ)−プロパン−2−オールを90℃〜95℃の温度範囲で26.7Pa(0.2mmHg)、重量=22.1gで蒸留する。1−クロロ−3−(2−プロピル−ヘプチルオキシ)−プロパン−2−オル(5.0g、0.020モル)をテトラヒドロフラン(50mL)に溶解し、アルゴン雰囲気下の室温で攪拌する。前記攪拌中の溶液に、カリウムt−ブトキシド(2.52g、0.022mol)を添加し、当該懸濁液を室温で18時間攪拌する。次に、反応物を蒸発乾固し、残留物をヘキサン類に溶解し、水(100mL)で洗う。ヘキサン類の相を分離し、NaSOで乾燥し、濾過および蒸発乾固し、粗製2−プロピルへプチルグリシダールエーテルを得る、これは真空蒸留によってさらに精製できる。
【0070】
硫酸モノ−[2−(3,4−ジヒドロ−イソキノリン−2−yl)−1−(2−プロピルヘプチルオキシメチル)−エチル]エステル、分子内塩の調製:凝縮器をつけた火力乾燥した250mLの三つ口丸底フラスコに、乾燥アルゴンを入れ、電磁攪拌棒、温度計、加熱浴を追加し、3、4−ジヒドロイソキノリン(0.38mol、米国特許第5,576,282号の実施例1で記述されたように準備)、2−プロピルヘプチルグリシジルエーテル(0.38mol上記と同様に準備)、SO−DMF錯体(0.38mol)、アセトニトリル(500mL)。反応物を80℃まで温め、温度で72時間攪拌する。反応は室温まで冷却され、蒸発で乾燥され、残基はエチルアセテートおよび/またはエタノールから再結晶化され、所望の製品が製造される。
【0071】
(実施例2):硫酸モノ−[2−(3,4−ジヒドロ−イソキノリン−2−イル)−1−(2−ブチル−オクチルオキシメチル)−エチル]エステル、分子内塩の調製
目的とする製品は、実施例1に従い、2−プロピルヘプタノールを2−ブチルオクタノールに代えて調製される。
【0072】
(実施例3):硫酸モノ−[2−(3、4−ジヒドロ−イソキノリン−2−イル)−1−(2−ペンチル−ノニルオキシメチル)−エチル]エステル、分子内塩の調製
目的とする製品は、実施例1に従い、2−プロピルヘプタノールを2−ペンチルノナノル(Pfaltz & Bauer(Pfaltz & Bauer, Inc.)コネティカット州(Wayerbury, CT 06708)から入手可能)に代えて調製される。
【0073】
(実施例4):硫酸モノ−[2−(3、4−ジヒドロ−イソキノリン−2−イル)−1−(2−ヘキシル−デシルオキシメチル)−エチル]エステル、分子内塩の調製
所望の製品は、実施例1に従い、2−プロピルヘプタノールを2−ヘキシデカノールに代えて調製される。
【0074】
(実施例5):硫酸モノ−[2−(3,4−ジヒドロ−イソキノリン−2−イル)−1−(ドデシルオキシメチル)−エチル]エステル、分子内塩の調製
所望の製品は、実施例1に従い、2−プロピルヘプタノールをn−ドデカノールに代えて調製される。
【0075】
(実施例6):硫酸モノ−[2−(3、4−ジヒドロ−イソキノリン−2−イル)−1−(テトラデシルオキシメチル)−エチル]エステル、分子内塩の調製
所望の製品は、実施例1に従い、2−プロピルヘプタノールをn−テトラデカノールに代えて調製される。
【0076】
(実施例7):硫酸モノ−[2−(3、4−ジヒドロ−イソキノリン−2−イル)−1−(ヘキサデシルオキシメチル)−エチル]エステル、分子内塩の調製
所望の製品は、実施例1に従い、2−プロピルヘプタノールをn−ヘキサデカノールに代えて調製される。
【0077】
(実施例8):硫酸モノ−[2−(3、4−ジヒドロ−イソキノリン−2−イル)−1−(オクタデシルオキシメチル)−エチル]エステル、分子内塩の調製
所望の製品は、実施例1に従い、2−プロピルヘプタノールをn−オクタデカノールに代えて調製される。
【0078】
(実施例9):硫酸モノ−[2−(3、4−ジヒドロ−イソキノリン−2−イル)−1−(イソ−ノニルオキシメチル)−エチル]エステル、分子内塩の調製
所望の製品は、実施例1に従い、2−プロピルヘプタノールをイソ−ノナノール(Exxal9はエクソンモービルケミカル社(Exxon Mobile Chemical)米国テキサス州ヒューストン(Houston, Texas USA)から入手した)に代えて調製される。
【0079】
(実施例10):硫酸モノ−[2−(3、4−ジヒドロ−イソキノリン−2−イル)−1−(イソ−デシルオキシメチル)−エチル]エステル、分子内塩の調製
所望の製品は、実施例1に従い、2−プロピルヘプタノールをイソ−デカノール(City Chemicals(City Chemicals LLC)米国コネティカット州(West Haven, Connecticut USA)から入手した)に代えて調製される。
【0080】
(実施例11):硫酸モノ−[2−(3、4−ジヒドロ−イソキノリン−2−イル)−1−(イソ−トリデシルオキシメチル)−エチル]エステル、分子内塩の調製
所望の製品は、実施例1に従い、2−プロピルヘプタノールをイソ−トリデカノール(BASF(BASF Corporatio米国ニュージャージー州(Mount Olive, New Jersey USA)から入手した)に代えて調製される。
【0081】
(実施例12):硫酸モノ−[2−(3、4−ジヒドロ−イソキノリン−2−イル)−1−(イソ−トリデシルオキシメチル)−エチル]エステル、分子内塩と、硫酸モノ−[2−(3、4−ジヒドロ−イソキノリン−2−イル)−1−(イソ−ペンタデシルオキシメチル)−エチル]エステル、分子内塩の同時調製
所望の製品は、実施例1に従い、2−プロピルヘプタノールを異性体トリデカノールとペンタデカノール類の混合物(BASF(BASF Corporatio米国ニュージャージー州(Mount Olive, New Jersey USA)から入手した)に代えて調製される。
【0082】
(実施例13)
顆粒洗濯洗剤の形態を有する漂白洗剤組成物は、以下の配合によって例示される。
【表1】

* 実施例1から12に従って調製された有機触媒またはそれらの混合物。
【0083】
上記組成物はいずれも、25℃の水中において濃度3500ppmで、水と布の比が25:1の状態で使用された。典型的なpHは約10であるが、アルキルベンゼンスルホン酸塩の形態のNa−塩と酸の比率を変えることによって調整することができる。
【0084】
(実施例14)
顆粒洗濯洗剤の形態を有する漂白洗剤組成物は、以下の配合によって例示される。
【表2】

* 実施例1から12またはそれらの混合に従って調製された有機触媒
【0085】
上記組成物はいずれも、20−90℃の水に10,000ppmの濃度で、水と布の比率が5:1の状態で布地を洗濯するために使用される。典型的なpHは約10であるが、アルキルベンゼンスルホン酸塩の形態のNa−塩と酸の比率を変えることによって調整することができる。
【0086】
(実施例15)
顆粒洗濯洗剤の形態を有する漂白洗剤組成物は、以下の配合によって例示される。
【表3】

* トルエンスルホン酸ナトリウムなどのその他の向水性物質も使用される場合がある。
** 実施例1から12またはそれらの混合に従って調製された有機触媒。
*** ウルトラマリン青またはアゾ−CM−セルロースなど(メガザイム(Megazyme)アイルランド(Bray, Co. Wicklow, Ireland))
**** W0 00/02991に従って調製された。
【0087】
上記組成物はいずれも、5−25℃の水に500−1500ppmの濃度で、水と布の比率が15:1−25:1の状態で布地を洗濯するために使用される。典型的なpHは約9.5−10であるが、アルキルベンゼンスルホン酸塩の形態のNa−塩と酸の比率を変えることによって調整することができる。
【0088】
(実施例16)
以下に列挙した有機触媒は、[過酢酸]=5.0ppm、[有機触媒]=0.5ppmを用いて出願者の有機触媒/酵素適合性試験に従って試験され、以下のような結果が得られた。
【表4】

【0089】
本発明の特定の実施形態が例示および説明されてきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく他の様々な変更および修正を行えることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更および修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄用組成物であって、
a.)次式を有する有機触媒からなる群から選択される有機触媒:
(i)
【化1】

(ii)
【化2】

(iii)およびこれらの混合物;
ここで、各Rは独立して、9から24の炭素を含む分岐状アルキル基または11から24の炭素を含む線状アルキル基で、好ましくは各Rが独立して、9から18の炭素を含む分岐状アルキル基または11から18の炭素を含む線状アルキル基、さらに好ましくは各Rが独立に、2−プロピルヘプチル、2−ブチルオクチル、2−ペンチルノニル、2−ヘクシルデシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘクサデシル、n−オクタデシル、イソノニル、イソ−デシル、イソ−トリデシル、イソ−ペンタデシルからなる基から選択され、且つ
b.)1以上の補助剤成分、
からなる洗浄用組成物。
【請求項2】
請求項1の洗浄用組成物は、次式を有する有機触媒であり、
【化3】

ここで、各Rは独立して、9から24の炭素を含む分岐状アルキル基または11から24の炭素を含む線状アルキル基で、好ましくは各Rが独立して、9から18の炭素を含む分岐状アルキル基または11から18の炭素を含む線状アルキル基、さらに好ましくは各Rが独立して、2−プロピルヘプチル、2−ブチルオクチル、2−ペンチルノニル、2−ヘクシデシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘクシデシル、n−オクタデシル、イソノニル、イソ−デシル、イソ−トリデシル、イソ−ペンタデシルからなる基から選択される、洗浄用組成物。
【請求項3】
次式を有する有機触媒であって、
【化4】

ここで、各Rは独立して、9から24の炭素を含む分岐状アルキル基または11から24の炭素を含む線状アルキル基で、好ましくは各Rが独立して、9から18の炭素を含む分岐状アルキル基または11から18の炭素を含む線状アルキル基、さらに好ましくは各Rが独立に、2−プロピルヘプチル、2−ブチルオクチル、2−ペンチルノニル、2−ヘクシデシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘクサイソ−デシル、デシル、n−オクタデシル、イソノニル、イソ−トリデシル、イソ−ペンタデシルからなる基から選択される、請求項1に記載の洗浄用組成物。
【請求項4】
70以上の酵素適合性値を有する有機触媒およびひとつ以上の補助剤成分を含む、洗浄用組成物。
【請求項5】
80以上の酵素適合性値を有する有機触媒を含む、請求項4に記載の洗浄用組成物。
【請求項6】
前記1以上の補助剤成分の少なくともひとつが、活性化過酸素源、酵素、界面活性剤、およびこれらの混合物から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の洗浄用組成物。
【請求項7】
前記補助剤成分として、活性化過酸素源、酵素、界面活性剤を含んでなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の洗浄用組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の洗浄組成物に前記の表面または布地を接触させる工程と、次いで、所望により前記表面または布地の洗うおよび/またはすすぐ工程、を含んでなる表面または布地の洗浄方法。

【公表番号】特表2008−546863(P2008−546863A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516806(P2008−516806)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/021429
【国際公開番号】WO2007/001262
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】