強化繊維基材積層装置及び強化繊維基材積層方法
【課題】簡単な構成で強化繊維基材の積層位置を正確に示すことができ、強化繊維基材を容易に位置決めできる強化繊維基材積層装置及び強化繊維基材積層方法を提供する。
【解決手段】非磁性体からなる成形型2の予め設定された積層端末基準位置L1に埋設された電磁石5に通電して、その磁力により磁性体8を積層端末基準位置L1に保持する。従って、強化繊維基材21の積層位置を正確に示すことができる。そして、その磁性体8を目印として、強化繊維基材21の積層端末22aを積層端末基準位置L1に一致させて強化繊維基材21を成形型2に積層する。従って、強化繊維基材21を容易に位置決めして積層することができる。
【解決手段】非磁性体からなる成形型2の予め設定された積層端末基準位置L1に埋設された電磁石5に通電して、その磁力により磁性体8を積層端末基準位置L1に保持する。従って、強化繊維基材21の積層位置を正確に示すことができる。そして、その磁性体8を目印として、強化繊維基材21の積層端末22aを積層端末基準位置L1に一致させて強化繊維基材21を成形型2に積層する。従って、強化繊維基材21を容易に位置決めして積層することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の強化繊維基材を、上層の強化繊維基材の端末と下層の強化繊維基材の端末とが上下に重ならないように積層する強化繊維基材積層装置及び強化繊維基材積層方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリフォーム型や積層型等の成形型に、織物、編物、多軸シート等の強化繊維基材を複数層に積層して、含浸させたマトリックス樹脂を硬化させることによって繊維強化プラスチック積層構造体を製造することが行われている。
【0003】
繊維強化プラスチック積層構造体は、上層の強化繊維基材の端末と下層の強化繊維基材の端末が上下に重なると、かかる部分の強度が局所的に低下することから、各強化繊維基材が上下に端末が重ならないように積層されて形成される。
【0004】
そして、複数層に積層された強化繊維基材が繊維強化プラスチック積層構造体として所期の強度や形状精度を有するためには、各層の強化繊維基材が予め設定された正確な位置に位置決めされて、予め設定された配向方向で積層されていることが必要とされる。
【0005】
強化繊維基材は非透過性であることから、成形型の成形面に各層の積層位置を表示したとしても、下層の強化繊維基材を積層することによってその表示が隠れてしまい、上層の強化繊維基材を正確な積層位置に積層することができない。
【0006】
そこで、従来から強化繊維基材の積層位置を位置決めする方法が種々提案されている。例えば、特許文献1には、繊維強化プラスチックで内包されるコア材の表面に、凹形状又は凸形状の位置決め手段を設けて、部分補強用繊維層の積層位置を示す技術が示されている。そして、特許文献2には、強化繊維積層体の上に突起物を配置する際の位置決め方法として、配置したい場所に目印としてテープを貼る方法、塗料を塗布する方法、レーザ光を投影する方法が示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2005−125609号公報
【特許文献2】特開2006−233120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に示されるように、凹凸形状によって積層位置を位置決めするものは、位置決め用の凹凸に対応した凹凸が成形後の繊維強化プラスチック積層構造体に形成されてしまい、製品として外観上の見栄えが悪く、また、かかる箇所に応力が集中してクラックが生じ、所期の強度が維持できなくなるおそれがある。
【0009】
また、強化繊維基材は、附形性が良好である反面、形状が崩れやすく、成形型に載せる力の加減によって変形量が異なるという性質を有している。従って、特許文献2に示すように、下層の強化繊維積層体にテープを貼る方法や塗料を塗布する方法では、成形型に載せた場合に形状が崩れて上層の強化繊維基材の積層位置を正確に示すことができない。
【0010】
そして、特許文献2に示すようにレーザ光を用いる方法の場合、構造が複雑で設備の規模も大きくなり、高コストになる。そして、設置場所も限定され、簡単に移動することができず、不便である。
【0011】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構成で強化繊維基材の積層位置を正確に示すことができ、強化繊維基材を容易に位置決めして積層できる強化繊維基材積層装置及び強化繊維基材積層方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する本発明の強化繊維基材積層装置は、複数枚の強化繊維基材が複数層に積層される強化繊維基材積層装置において、非磁性体の成形型と、成形型の予め設定された積層端末基準位置に埋設された電磁石と、電磁石の磁力によって吸着されて積層端末基準位置に保持される磁性体とを有することを特徴としている。
【0013】
本発明によると、成形型の予め設定された積層端末基準位置に埋設された電磁石に通電して、電磁石の磁力により磁性体を吸着して、積層端末基準位置に保持することができる。従って、磁性体を目印として、強化繊維基材を位置決めできる。従って、従来のように積層位置を示す凹凸部を強化繊維基材に設ける必要がなく、本発明の強化繊維基材積層装置のみで強化繊維基材の位置決めが可能になり、製造コストを低減することができる。
【0014】
また、本発明は、積層端末基準位置が強化繊維基材の層別に設定され、各層の積層端末基準位置にそれぞれ電磁石が埋設されており、各電磁石への通電を層別に切り換える切換手段を有する構成としてもよい。この構成によれば、切換手段を切り換えて電磁石に選択的に通電することにより、所望の層の積層端末基準位置に磁性体を保持することができる。従って、強化繊維基材の各層における位置決めが可能となる。
【0015】
また、積層端末基準位置は成形型の成形面に線状に延在するように設定され、電磁石は線状に延在する積層端末基準位置に沿って複数個が配置された構成としてもよい。この構成によれば、磁性体を線状に延在する積層端末基準位置に沿うように保持することができる。従って、磁性体によって積層端末基準位置を明確に示すことができ、強化繊維基材の位置決め作業を容易化できる。
【0016】
また、本発明の強化繊維基材積層装置は、複数枚の強化繊維基材が積層される強化繊維基材積層装置において、非磁性体の成形型と、成形型の成形面に複数個が互いに所定間隔をおいて広がるように埋設された電磁石と、複数の電磁石の中から所望の積層端末基準位置に存在する電磁石を選択して通電を行う制御手段と、電磁石の磁力によって吸着されて積層端末基準位置に保持される磁性体とを有することを特徴としている。
【0017】
本発明によれば、成形型の成形面に複数個が互いに所定間隔をおいて広がるように埋設された電磁石の中から所望の積層端末基準位置に存在する電磁石を選択して通電し、電磁石の磁力により磁性体を吸着して、積層端末基準位置に保持することができる。
【0018】
従って、積層端末基準位置を任意に設定することができ、その積層端末基準位置に磁性体を保持することができる。従って、磁性体を目印として、強化繊維基材を積層端末基準位置に位置決めできる。従って、従来のように積層位置を示す凹凸部を強化繊維基材に設ける必要がなく、本発明の強化繊維基材積層装置のみで強化繊維基材の位置決めが可能になり、製造コストを低減することができる。
【0019】
また、磁性体は、金属成分を含む紐状体からなる構成としてもよい。この構成によれば、積層端末基準位置に沿って線状に保持することができ、強化繊維基材の端末位置を積層端末基準位置に一致させる作業を容易にすることができる。
【0020】
また、本発明の強化繊維基材積層方法は、成形型に下層の強化繊維基材を積層する工程と、電磁石に通電して磁性体を吸着させる工程と、磁性体に基づいて上層の強化繊維基材を位置決めして積層する工程とを含むことを特徴としている。
【0021】
この方法によれば、下層の強化繊維基材を積層した後に、電磁石に通電して下層の強化繊維基材に電磁石の磁力を透過させて磁性体を吸着し、積層端末基準位置に保持することができる。従って、上層の強化繊維基材の積層位置を磁性体によって正確に示すことができ、磁性体を目印として、上層の強化繊維基材を積層端末基準位置に位置決めできる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、成形型に埋設された電磁石の磁力によって磁性体を吸着し、予め設定された積層端末基準位置に保持することができる。従って、磁性体を目印として、強化繊維基材を位置決めでき、正確な位置に積層できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。
[第1実施の形態]
図1は、本実施の形態に係わる強化繊維基材積層装置1の構成を概略的に示す図、図2は、図1のI−I線断面図、図3は、強化繊維基材積層装置1の電気回路図である。
【0024】
強化繊維基材積層装置1は、図1に示すように、成形型2を有する。成形型2は、バキュームバック成形に用いられてプリプレグ等の強化繊維基材が複数層に積層されて成形される型であり、樹脂や木製等の非磁性体からなり、3次元の立体形状を有する成形面3を備えている。成形面3は、本実施の形態では、横長の立方体の側面3a及び上面3bを有しており、1層目の強化繊維基材11(図4を参照)の積層端末基準位置を示すけがき線4が表示されている。
【0025】
成形型2には、2層目及び3層目の強化繊維基材21、31の積層端末基準位置L1、L2が成形型2の成形面3に線状に延在するように予め設定されている。積層端末基準位置L1、L2は、強化繊維基材21、31の層別に設定されている。本実施の形態では、積層端末基準位置L1が成形面3の側面3a外周に沿って延在するように設定され、積層端末基準位置L2が成形面3の上面3bを通過して前後に対向する一対の側面3a間に亘って延在するように設定されている。
【0026】
そして、成形型2には、積層端末基準位置L1、L2に沿って複数個が連続して並ぶように電磁石5が埋設されている。電磁石5は、2層目の強化繊維基材21の積層端末22a、23aを積層端末基準位置L1に位置合わせするためのAパターン用のグループGa(図3を参照)と、3層目の強化繊維基材31の積層端末32a、33aを積層端末基準位置L2に位置合わせするためのBパターン用のグループGb(図3を参照)に電気的にグループ分けされている。
【0027】
これら複数の電磁石5は、図3に示すように、同一グループ内で互いに電気的に接続されており、セレクタスイッチ6を間に介して電源7に接続されている。セレクタスイッチ6は、各電磁石5への通電を層別に切り換える切換手段であり、切換操作により、Aパターン用とBパターン用のいずれか一方のグループに選択的に通電させるようになっている。
【0028】
図1で符号8は、位置決め糸(磁性体)であり、磁性体からなる金属成分を含む紐状体からなる。位置決め糸8は、合成繊維に金属繊維を編み込んで形成されており、電磁石5の磁力により吸着されて積層端末基準位置L1又はL2に沿って延在する。
【0029】
次に、上記した強化繊維基材積層装置1を用いて強化繊維基材11、21、31を積層する方法について図4から図9を用いて説明する。
【0030】
図4は、1層目の強化繊維基材11を積層する方法を説明する図、図5は、2層目の強化繊維基材21を積層する方法を説明する図、図6は、3層目の強化繊維基材31を積層する方法を説明する図、図7は、図5のII−II線断面図、図8は、図6のIII−III線断面図、図9は、図6のIV−IV線断面図である。
【0031】
強化繊維基材11、21、31には、例えば炭素繊維、ガラス繊維を強化繊維とする、織物、編物、組物、一方向性シート、多軸シートなどが用いられており、バインダ樹脂やステッチ糸等によって一体化されていてもよい。また、予めマトリックス樹脂を含浸させたプリプレグを用いてもよい。
【0032】
まず、最下層となる1層目の強化繊維基材11を積層する。1層目の強化繊維基材11は、図4に示すように、下方が開放された箱体を前後に分割した形状を有する一対の強化繊維基材12、13からなる。ここでは、強化繊維基材11のうち、一方の強化繊維基材12を最初に成形面3に積層し、次いで、他方の強化繊維基材13を、成形面3の露出している残り部分に積層する(図4(a)〜図4(c)を参照)。
【0033】
一方の強化繊維基材12は、その積層端末12aをけがき線4に一致させることによって位置決めされ、他方の強化繊維基材13は、積層端末13aを一方の強化繊維基材12の積層端末12aに一致させることによって位置決めされる。従って、1層目の強化繊維基材11を成形型2に位置決めして積層することができる。
【0034】
次に、2層目の強化繊維基材21を積層する。2層目の強化繊維基材21は、その積層端末22a、23aが1層目の強化繊維基材11の積層端末12a、13aと積層方向に重ならないように、1層目の強化繊維基材11とは異なる形状を有しており、図5に示すように、下方が開放された箱体を上下に分割した形状を有する強化繊維基材22、23からなる。
【0035】
まず、セレクタスイッチ6(図1及び図3を参照)でAパターンを選択して、積層端末基準位置L1に沿って配置された電磁石5に通電し、磁力を発生させる。そして、1層目の強化繊維基材11の上に、位置決め糸8を吸着させる(図5(a)及び図7を参照)。これにより、位置決め糸8を、積層端末基準位置L1に沿って配置することができる(図5(a)を参照)。
【0036】
それから、一方の強化繊維基材22を、位置決め糸8に基づいて1層目の強化繊維基材11の上に積層し、位置決め糸8を取り外した後(図5(b)を参照)、他方の強化繊維23を、下層の強化繊維基材11が露出している残り部分に積層する(図5(c)を参照)。
【0037】
一方の強化繊維基材22は、その積層端末22aを位置決め糸8に一致させることによって積層端末基準位置L1に位置決めされ、他方の強化繊維基材23は、積層端末23aを一方の強化繊維基材22の積層端末22aに一致させることによって積層端末基準位置L1に位置決めされる。従って、2層目の強化繊維基材21を1層目の強化繊維基材11の上に位置決めして積層することができる。
【0038】
次に、3層目の強化繊維基材31を積層する。3層目の強化繊維基材31は、その積層端末32a、33aが1層目及び2層目の強化繊維基材11、21の積層端末12a、13a、22a、23aと積層方向に重ならないように、1層目及び2層目の強化繊維基材11、21とは異なる形状を有しており、図6に示すように、下方が開放された箱体を左右に分割した形状を有する一対の強化繊維基材32、33からなる。
【0039】
まず、セレクタスイッチ6(図1及び図3を参照)をAパターンからBパターンに切り換えて、積層端末基準位置L2に沿って配置された電磁石5に通電し、磁力を発生させる。そして、2層目の強化繊維基材21の上に、位置決め糸8を吸着させる(図6(a)及び図8を参照)。これにより、位置決め糸8を、積層端末基準位置L2に沿って配置することができる(図6(a)を参照)。
【0040】
それから、3層目を形成する一対の強化繊維基材31のうち、一方の強化繊維基材32を位置決め糸8に基づいて積層する(図6(b)を参照)。そして、位置決め糸8を取り外した後、他方の強化繊維機材33を、下層の強化繊維基材21が露出している部分に積層する(図6(c)を参照)。
【0041】
一方の強化繊維基材32は、その積層端末32aを位置決め糸8に一致させることによって積層端末基準位置L2に位置決めされ、他方の強化繊維基材33は、積層端末33aを一方の強化繊維基材32の積層端末32aに一致させることによって積層端末基準位置L2に位置決めされる。従って、3層目の強化繊維基材31を2層目の強化繊維基材21の上に位置決めして積層することができる(図9を参照)。
【0042】
上記した強化繊維基材積層装置1によれば、成形型2の成形面3に1層目の強化繊維基材11を積層した後に、セレクトスイッチ6でAパターンを選択して、成形型2に埋設された電磁石5に通電し、位置決め糸8を吸着させることによって、1層目の強化繊維基材11の上に積層端末基準位置L1を示すことができ、2層目の強化繊維基材21を位置決めして積層することができる。
【0043】
そして、セレクトスイッチ6でBパターンを選択して、成形型2に埋設された電磁石5に通電し、位置決め糸8を保持させることによって、2層目の強化繊維基材21の上に積層端末基準位置L2を示すことができ、3層目の強化繊維基材31を位置決めして積層することができる。
【0044】
従って、従来のように積層位置を示す凹凸部を強化繊維基材11、21、31に設ける必要がなく、強化繊維基材積層装置1のみで2層目及び3層目の強化繊維基材21、31の位置決めが可能になり、製造コストを低減することができる。
【0045】
なお、上述の第1実施の形態では、位置決め糸8の積層端末基準位置L1、L2がAパターンとBパターンの2パターンの場合を例に説明したが、積層端末基準位置は、1パターン、あるいは3パターン以上であってもよく、強化繊維基材の積層数に応じて増減させることができる。
【0046】
[第2実施の形態]
次に、本発明の第2実施の形態について図10及び図11を用いて説明する。なお、第1実施の形態と同様の構成要素には同一の符号を付することでその詳細な説明を省略する。
【0047】
本実施の形態において特徴的なことは、強化繊維基材積層装置50が、成形型2の成形面3に複数の電磁石5を満遍なく広がるように埋設し、これら複数の電磁石5の中から予め設定された積層端末基準位置に存在する電磁石5を選択して通電を行うことができる構成としたことである。
【0048】
強化繊維基材積層装置50は、図10に示すように、成形型51と制御装置52を備えている。成形型51は、成形面3の側面3a及び上面3bにて、複数の電磁石5が互いに等間隔をおいて平面状に広がるように埋設されている。
【0049】
これら複数の電磁石5は、図11に示すように、制御装置52に電気的に接続されている。制御装置52は、例えばシーケンスプログラムコンピュータ等からなり、所定のプログラムが実行可能な状態でインストールされている。
【0050】
そして、モニター52aの表示に従って入力キー52bを操作することによって、積層端末基準位置を新たに設定し、また、予め設定された複数の積層端末基準位置の中から所定の積層端末基準位置を選択でき、設定又は選択された積層端末基準位置に存在する電磁石5に通電できるようになっている。
【0051】
従って、例えば積層端末基準位置を新たに設定して、かかる積層端末基準位置に沿って成形型51に位置決め糸8を保持させることができ、下層の強化繊維基材の上に積層端末基準位置を示すことができ、上層の強化繊維基材を位置決めして積層することができる。
【0052】
上記構成を有する強化繊維基材積層装置50によれば、積層端末基準位置を自由に設定することができ、装置50に汎用性を持たせることができる。従って、設備費用の高騰を抑制して製造コストを低減することができる。
【0053】
以上、第1及び第2実施の形態を図を用いて詳述してきたが、具体的な構成は各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【0054】
例えば、上述の各実施の形態では、磁性体の例として位置決め糸8の場合を例に説明したが、磁性体は、強化繊維基材を積層する位置を示すことができるものであれば良く、シート状やブロック状のものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本実施の形態に係わる強化繊維基材積層装置の構成を概略的に示す図。
【図2】図1のI−I線断面図。
【図3】強化繊維基材積層装置の電気回路図。
【図4】1層目の強化繊維基材を積層する方法を説明する図。
【図5】2層目の強化繊維基材を積層する方法を説明する図。
【図6】3層目の強化繊維基材を積層する方法を説明する図。
【図7】図5のII−II線断面図。
【図8】図6のIII−III線断面図。
【図9】図6のIV−IV線断面図。
【図10】第2実施の形態に係わる強化繊維基材積層装置の構成を概略的に示す図。
【図11】第2実施の形態に係わる強化繊維基材積層装置の電気回路図。
【符号の説明】
【0056】
1、50 強化繊維基材積層装置
2、51 成形型
3 成形面
4 けがき線
5 電磁石
6 セレクタスイッチ
7 電源
8 位置決め糸(磁性体)
11 1層目の強化繊維基材
21 2層目の強化繊維基材
31 3層目の強化繊維基材
52 制御装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の強化繊維基材を、上層の強化繊維基材の端末と下層の強化繊維基材の端末とが上下に重ならないように積層する強化繊維基材積層装置及び強化繊維基材積層方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリフォーム型や積層型等の成形型に、織物、編物、多軸シート等の強化繊維基材を複数層に積層して、含浸させたマトリックス樹脂を硬化させることによって繊維強化プラスチック積層構造体を製造することが行われている。
【0003】
繊維強化プラスチック積層構造体は、上層の強化繊維基材の端末と下層の強化繊維基材の端末が上下に重なると、かかる部分の強度が局所的に低下することから、各強化繊維基材が上下に端末が重ならないように積層されて形成される。
【0004】
そして、複数層に積層された強化繊維基材が繊維強化プラスチック積層構造体として所期の強度や形状精度を有するためには、各層の強化繊維基材が予め設定された正確な位置に位置決めされて、予め設定された配向方向で積層されていることが必要とされる。
【0005】
強化繊維基材は非透過性であることから、成形型の成形面に各層の積層位置を表示したとしても、下層の強化繊維基材を積層することによってその表示が隠れてしまい、上層の強化繊維基材を正確な積層位置に積層することができない。
【0006】
そこで、従来から強化繊維基材の積層位置を位置決めする方法が種々提案されている。例えば、特許文献1には、繊維強化プラスチックで内包されるコア材の表面に、凹形状又は凸形状の位置決め手段を設けて、部分補強用繊維層の積層位置を示す技術が示されている。そして、特許文献2には、強化繊維積層体の上に突起物を配置する際の位置決め方法として、配置したい場所に目印としてテープを貼る方法、塗料を塗布する方法、レーザ光を投影する方法が示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2005−125609号公報
【特許文献2】特開2006−233120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に示されるように、凹凸形状によって積層位置を位置決めするものは、位置決め用の凹凸に対応した凹凸が成形後の繊維強化プラスチック積層構造体に形成されてしまい、製品として外観上の見栄えが悪く、また、かかる箇所に応力が集中してクラックが生じ、所期の強度が維持できなくなるおそれがある。
【0009】
また、強化繊維基材は、附形性が良好である反面、形状が崩れやすく、成形型に載せる力の加減によって変形量が異なるという性質を有している。従って、特許文献2に示すように、下層の強化繊維積層体にテープを貼る方法や塗料を塗布する方法では、成形型に載せた場合に形状が崩れて上層の強化繊維基材の積層位置を正確に示すことができない。
【0010】
そして、特許文献2に示すようにレーザ光を用いる方法の場合、構造が複雑で設備の規模も大きくなり、高コストになる。そして、設置場所も限定され、簡単に移動することができず、不便である。
【0011】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構成で強化繊維基材の積層位置を正確に示すことができ、強化繊維基材を容易に位置決めして積層できる強化繊維基材積層装置及び強化繊維基材積層方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する本発明の強化繊維基材積層装置は、複数枚の強化繊維基材が複数層に積層される強化繊維基材積層装置において、非磁性体の成形型と、成形型の予め設定された積層端末基準位置に埋設された電磁石と、電磁石の磁力によって吸着されて積層端末基準位置に保持される磁性体とを有することを特徴としている。
【0013】
本発明によると、成形型の予め設定された積層端末基準位置に埋設された電磁石に通電して、電磁石の磁力により磁性体を吸着して、積層端末基準位置に保持することができる。従って、磁性体を目印として、強化繊維基材を位置決めできる。従って、従来のように積層位置を示す凹凸部を強化繊維基材に設ける必要がなく、本発明の強化繊維基材積層装置のみで強化繊維基材の位置決めが可能になり、製造コストを低減することができる。
【0014】
また、本発明は、積層端末基準位置が強化繊維基材の層別に設定され、各層の積層端末基準位置にそれぞれ電磁石が埋設されており、各電磁石への通電を層別に切り換える切換手段を有する構成としてもよい。この構成によれば、切換手段を切り換えて電磁石に選択的に通電することにより、所望の層の積層端末基準位置に磁性体を保持することができる。従って、強化繊維基材の各層における位置決めが可能となる。
【0015】
また、積層端末基準位置は成形型の成形面に線状に延在するように設定され、電磁石は線状に延在する積層端末基準位置に沿って複数個が配置された構成としてもよい。この構成によれば、磁性体を線状に延在する積層端末基準位置に沿うように保持することができる。従って、磁性体によって積層端末基準位置を明確に示すことができ、強化繊維基材の位置決め作業を容易化できる。
【0016】
また、本発明の強化繊維基材積層装置は、複数枚の強化繊維基材が積層される強化繊維基材積層装置において、非磁性体の成形型と、成形型の成形面に複数個が互いに所定間隔をおいて広がるように埋設された電磁石と、複数の電磁石の中から所望の積層端末基準位置に存在する電磁石を選択して通電を行う制御手段と、電磁石の磁力によって吸着されて積層端末基準位置に保持される磁性体とを有することを特徴としている。
【0017】
本発明によれば、成形型の成形面に複数個が互いに所定間隔をおいて広がるように埋設された電磁石の中から所望の積層端末基準位置に存在する電磁石を選択して通電し、電磁石の磁力により磁性体を吸着して、積層端末基準位置に保持することができる。
【0018】
従って、積層端末基準位置を任意に設定することができ、その積層端末基準位置に磁性体を保持することができる。従って、磁性体を目印として、強化繊維基材を積層端末基準位置に位置決めできる。従って、従来のように積層位置を示す凹凸部を強化繊維基材に設ける必要がなく、本発明の強化繊維基材積層装置のみで強化繊維基材の位置決めが可能になり、製造コストを低減することができる。
【0019】
また、磁性体は、金属成分を含む紐状体からなる構成としてもよい。この構成によれば、積層端末基準位置に沿って線状に保持することができ、強化繊維基材の端末位置を積層端末基準位置に一致させる作業を容易にすることができる。
【0020】
また、本発明の強化繊維基材積層方法は、成形型に下層の強化繊維基材を積層する工程と、電磁石に通電して磁性体を吸着させる工程と、磁性体に基づいて上層の強化繊維基材を位置決めして積層する工程とを含むことを特徴としている。
【0021】
この方法によれば、下層の強化繊維基材を積層した後に、電磁石に通電して下層の強化繊維基材に電磁石の磁力を透過させて磁性体を吸着し、積層端末基準位置に保持することができる。従って、上層の強化繊維基材の積層位置を磁性体によって正確に示すことができ、磁性体を目印として、上層の強化繊維基材を積層端末基準位置に位置決めできる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、成形型に埋設された電磁石の磁力によって磁性体を吸着し、予め設定された積層端末基準位置に保持することができる。従って、磁性体を目印として、強化繊維基材を位置決めでき、正確な位置に積層できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。
[第1実施の形態]
図1は、本実施の形態に係わる強化繊維基材積層装置1の構成を概略的に示す図、図2は、図1のI−I線断面図、図3は、強化繊維基材積層装置1の電気回路図である。
【0024】
強化繊維基材積層装置1は、図1に示すように、成形型2を有する。成形型2は、バキュームバック成形に用いられてプリプレグ等の強化繊維基材が複数層に積層されて成形される型であり、樹脂や木製等の非磁性体からなり、3次元の立体形状を有する成形面3を備えている。成形面3は、本実施の形態では、横長の立方体の側面3a及び上面3bを有しており、1層目の強化繊維基材11(図4を参照)の積層端末基準位置を示すけがき線4が表示されている。
【0025】
成形型2には、2層目及び3層目の強化繊維基材21、31の積層端末基準位置L1、L2が成形型2の成形面3に線状に延在するように予め設定されている。積層端末基準位置L1、L2は、強化繊維基材21、31の層別に設定されている。本実施の形態では、積層端末基準位置L1が成形面3の側面3a外周に沿って延在するように設定され、積層端末基準位置L2が成形面3の上面3bを通過して前後に対向する一対の側面3a間に亘って延在するように設定されている。
【0026】
そして、成形型2には、積層端末基準位置L1、L2に沿って複数個が連続して並ぶように電磁石5が埋設されている。電磁石5は、2層目の強化繊維基材21の積層端末22a、23aを積層端末基準位置L1に位置合わせするためのAパターン用のグループGa(図3を参照)と、3層目の強化繊維基材31の積層端末32a、33aを積層端末基準位置L2に位置合わせするためのBパターン用のグループGb(図3を参照)に電気的にグループ分けされている。
【0027】
これら複数の電磁石5は、図3に示すように、同一グループ内で互いに電気的に接続されており、セレクタスイッチ6を間に介して電源7に接続されている。セレクタスイッチ6は、各電磁石5への通電を層別に切り換える切換手段であり、切換操作により、Aパターン用とBパターン用のいずれか一方のグループに選択的に通電させるようになっている。
【0028】
図1で符号8は、位置決め糸(磁性体)であり、磁性体からなる金属成分を含む紐状体からなる。位置決め糸8は、合成繊維に金属繊維を編み込んで形成されており、電磁石5の磁力により吸着されて積層端末基準位置L1又はL2に沿って延在する。
【0029】
次に、上記した強化繊維基材積層装置1を用いて強化繊維基材11、21、31を積層する方法について図4から図9を用いて説明する。
【0030】
図4は、1層目の強化繊維基材11を積層する方法を説明する図、図5は、2層目の強化繊維基材21を積層する方法を説明する図、図6は、3層目の強化繊維基材31を積層する方法を説明する図、図7は、図5のII−II線断面図、図8は、図6のIII−III線断面図、図9は、図6のIV−IV線断面図である。
【0031】
強化繊維基材11、21、31には、例えば炭素繊維、ガラス繊維を強化繊維とする、織物、編物、組物、一方向性シート、多軸シートなどが用いられており、バインダ樹脂やステッチ糸等によって一体化されていてもよい。また、予めマトリックス樹脂を含浸させたプリプレグを用いてもよい。
【0032】
まず、最下層となる1層目の強化繊維基材11を積層する。1層目の強化繊維基材11は、図4に示すように、下方が開放された箱体を前後に分割した形状を有する一対の強化繊維基材12、13からなる。ここでは、強化繊維基材11のうち、一方の強化繊維基材12を最初に成形面3に積層し、次いで、他方の強化繊維基材13を、成形面3の露出している残り部分に積層する(図4(a)〜図4(c)を参照)。
【0033】
一方の強化繊維基材12は、その積層端末12aをけがき線4に一致させることによって位置決めされ、他方の強化繊維基材13は、積層端末13aを一方の強化繊維基材12の積層端末12aに一致させることによって位置決めされる。従って、1層目の強化繊維基材11を成形型2に位置決めして積層することができる。
【0034】
次に、2層目の強化繊維基材21を積層する。2層目の強化繊維基材21は、その積層端末22a、23aが1層目の強化繊維基材11の積層端末12a、13aと積層方向に重ならないように、1層目の強化繊維基材11とは異なる形状を有しており、図5に示すように、下方が開放された箱体を上下に分割した形状を有する強化繊維基材22、23からなる。
【0035】
まず、セレクタスイッチ6(図1及び図3を参照)でAパターンを選択して、積層端末基準位置L1に沿って配置された電磁石5に通電し、磁力を発生させる。そして、1層目の強化繊維基材11の上に、位置決め糸8を吸着させる(図5(a)及び図7を参照)。これにより、位置決め糸8を、積層端末基準位置L1に沿って配置することができる(図5(a)を参照)。
【0036】
それから、一方の強化繊維基材22を、位置決め糸8に基づいて1層目の強化繊維基材11の上に積層し、位置決め糸8を取り外した後(図5(b)を参照)、他方の強化繊維23を、下層の強化繊維基材11が露出している残り部分に積層する(図5(c)を参照)。
【0037】
一方の強化繊維基材22は、その積層端末22aを位置決め糸8に一致させることによって積層端末基準位置L1に位置決めされ、他方の強化繊維基材23は、積層端末23aを一方の強化繊維基材22の積層端末22aに一致させることによって積層端末基準位置L1に位置決めされる。従って、2層目の強化繊維基材21を1層目の強化繊維基材11の上に位置決めして積層することができる。
【0038】
次に、3層目の強化繊維基材31を積層する。3層目の強化繊維基材31は、その積層端末32a、33aが1層目及び2層目の強化繊維基材11、21の積層端末12a、13a、22a、23aと積層方向に重ならないように、1層目及び2層目の強化繊維基材11、21とは異なる形状を有しており、図6に示すように、下方が開放された箱体を左右に分割した形状を有する一対の強化繊維基材32、33からなる。
【0039】
まず、セレクタスイッチ6(図1及び図3を参照)をAパターンからBパターンに切り換えて、積層端末基準位置L2に沿って配置された電磁石5に通電し、磁力を発生させる。そして、2層目の強化繊維基材21の上に、位置決め糸8を吸着させる(図6(a)及び図8を参照)。これにより、位置決め糸8を、積層端末基準位置L2に沿って配置することができる(図6(a)を参照)。
【0040】
それから、3層目を形成する一対の強化繊維基材31のうち、一方の強化繊維基材32を位置決め糸8に基づいて積層する(図6(b)を参照)。そして、位置決め糸8を取り外した後、他方の強化繊維機材33を、下層の強化繊維基材21が露出している部分に積層する(図6(c)を参照)。
【0041】
一方の強化繊維基材32は、その積層端末32aを位置決め糸8に一致させることによって積層端末基準位置L2に位置決めされ、他方の強化繊維基材33は、積層端末33aを一方の強化繊維基材32の積層端末32aに一致させることによって積層端末基準位置L2に位置決めされる。従って、3層目の強化繊維基材31を2層目の強化繊維基材21の上に位置決めして積層することができる(図9を参照)。
【0042】
上記した強化繊維基材積層装置1によれば、成形型2の成形面3に1層目の強化繊維基材11を積層した後に、セレクトスイッチ6でAパターンを選択して、成形型2に埋設された電磁石5に通電し、位置決め糸8を吸着させることによって、1層目の強化繊維基材11の上に積層端末基準位置L1を示すことができ、2層目の強化繊維基材21を位置決めして積層することができる。
【0043】
そして、セレクトスイッチ6でBパターンを選択して、成形型2に埋設された電磁石5に通電し、位置決め糸8を保持させることによって、2層目の強化繊維基材21の上に積層端末基準位置L2を示すことができ、3層目の強化繊維基材31を位置決めして積層することができる。
【0044】
従って、従来のように積層位置を示す凹凸部を強化繊維基材11、21、31に設ける必要がなく、強化繊維基材積層装置1のみで2層目及び3層目の強化繊維基材21、31の位置決めが可能になり、製造コストを低減することができる。
【0045】
なお、上述の第1実施の形態では、位置決め糸8の積層端末基準位置L1、L2がAパターンとBパターンの2パターンの場合を例に説明したが、積層端末基準位置は、1パターン、あるいは3パターン以上であってもよく、強化繊維基材の積層数に応じて増減させることができる。
【0046】
[第2実施の形態]
次に、本発明の第2実施の形態について図10及び図11を用いて説明する。なお、第1実施の形態と同様の構成要素には同一の符号を付することでその詳細な説明を省略する。
【0047】
本実施の形態において特徴的なことは、強化繊維基材積層装置50が、成形型2の成形面3に複数の電磁石5を満遍なく広がるように埋設し、これら複数の電磁石5の中から予め設定された積層端末基準位置に存在する電磁石5を選択して通電を行うことができる構成としたことである。
【0048】
強化繊維基材積層装置50は、図10に示すように、成形型51と制御装置52を備えている。成形型51は、成形面3の側面3a及び上面3bにて、複数の電磁石5が互いに等間隔をおいて平面状に広がるように埋設されている。
【0049】
これら複数の電磁石5は、図11に示すように、制御装置52に電気的に接続されている。制御装置52は、例えばシーケンスプログラムコンピュータ等からなり、所定のプログラムが実行可能な状態でインストールされている。
【0050】
そして、モニター52aの表示に従って入力キー52bを操作することによって、積層端末基準位置を新たに設定し、また、予め設定された複数の積層端末基準位置の中から所定の積層端末基準位置を選択でき、設定又は選択された積層端末基準位置に存在する電磁石5に通電できるようになっている。
【0051】
従って、例えば積層端末基準位置を新たに設定して、かかる積層端末基準位置に沿って成形型51に位置決め糸8を保持させることができ、下層の強化繊維基材の上に積層端末基準位置を示すことができ、上層の強化繊維基材を位置決めして積層することができる。
【0052】
上記構成を有する強化繊維基材積層装置50によれば、積層端末基準位置を自由に設定することができ、装置50に汎用性を持たせることができる。従って、設備費用の高騰を抑制して製造コストを低減することができる。
【0053】
以上、第1及び第2実施の形態を図を用いて詳述してきたが、具体的な構成は各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【0054】
例えば、上述の各実施の形態では、磁性体の例として位置決め糸8の場合を例に説明したが、磁性体は、強化繊維基材を積層する位置を示すことができるものであれば良く、シート状やブロック状のものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本実施の形態に係わる強化繊維基材積層装置の構成を概略的に示す図。
【図2】図1のI−I線断面図。
【図3】強化繊維基材積層装置の電気回路図。
【図4】1層目の強化繊維基材を積層する方法を説明する図。
【図5】2層目の強化繊維基材を積層する方法を説明する図。
【図6】3層目の強化繊維基材を積層する方法を説明する図。
【図7】図5のII−II線断面図。
【図8】図6のIII−III線断面図。
【図9】図6のIV−IV線断面図。
【図10】第2実施の形態に係わる強化繊維基材積層装置の構成を概略的に示す図。
【図11】第2実施の形態に係わる強化繊維基材積層装置の電気回路図。
【符号の説明】
【0056】
1、50 強化繊維基材積層装置
2、51 成形型
3 成形面
4 けがき線
5 電磁石
6 セレクタスイッチ
7 電源
8 位置決め糸(磁性体)
11 1層目の強化繊維基材
21 2層目の強化繊維基材
31 3層目の強化繊維基材
52 制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の強化繊維基材が複数層に積層される強化繊維基材積層装置において、
非磁性体の成形型と、
該成形型の予め設定された積層端末基準位置に埋設された電磁石と、
該電磁石の磁力によって吸着されて前記積層端末基準位置に保持される磁性体と、
を有することを特徴とする強化繊維基材積層装置。
【請求項2】
前記積層端末基準位置が前記強化繊維基材の層別に設定され、
各層の積層端末基準位置にそれぞれ前記電磁石が埋設されており、
前記各電磁石への通電を層別に切り換える切換手段を有することを特徴とする請求項1に記載の強化繊維基材積層装置。
【請求項3】
前記積層端末基準位置は、前記成形型の成形面に線状に延在するように設定され、
前記電磁石は、線状に延在する前記積層端末基準位置に沿って複数個が配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の強化繊維基材積層装置。
【請求項4】
複数枚の強化繊維基材が積層される強化繊維基材積層装置において、
非磁性体の成形型と、
該成形型の成形面に複数個が互いに所定間隔をおいて広がるように埋設された電磁石と、
該複数の電磁石の中から所望の積層端末基準位置に存在する電磁石を選択して通電を行う制御手段と、
該電磁石の磁力によって吸着されて前記積層端末基準位置に保持される磁性体と、
を有することを特徴とする強化繊維基材積層装置。
【請求項5】
前記磁性体は、金属成分を含む紐状体からなることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の強化繊維基材積層装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5に記載した強化繊維基材積層装置を用いて前記強化繊維基材を積層する強化繊維基材積層方法であって、
前記成形型に下層の強化繊維基材を積層する工程と、
前記電磁石に通電して前記磁性体を吸着させる工程と、
前記磁性体に基づいて上層の強化繊維基材を位置決めして積層する工程と、を含むことを特徴とする強化繊維基材積層方法。
【請求項1】
複数枚の強化繊維基材が複数層に積層される強化繊維基材積層装置において、
非磁性体の成形型と、
該成形型の予め設定された積層端末基準位置に埋設された電磁石と、
該電磁石の磁力によって吸着されて前記積層端末基準位置に保持される磁性体と、
を有することを特徴とする強化繊維基材積層装置。
【請求項2】
前記積層端末基準位置が前記強化繊維基材の層別に設定され、
各層の積層端末基準位置にそれぞれ前記電磁石が埋設されており、
前記各電磁石への通電を層別に切り換える切換手段を有することを特徴とする請求項1に記載の強化繊維基材積層装置。
【請求項3】
前記積層端末基準位置は、前記成形型の成形面に線状に延在するように設定され、
前記電磁石は、線状に延在する前記積層端末基準位置に沿って複数個が配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の強化繊維基材積層装置。
【請求項4】
複数枚の強化繊維基材が積層される強化繊維基材積層装置において、
非磁性体の成形型と、
該成形型の成形面に複数個が互いに所定間隔をおいて広がるように埋設された電磁石と、
該複数の電磁石の中から所望の積層端末基準位置に存在する電磁石を選択して通電を行う制御手段と、
該電磁石の磁力によって吸着されて前記積層端末基準位置に保持される磁性体と、
を有することを特徴とする強化繊維基材積層装置。
【請求項5】
前記磁性体は、金属成分を含む紐状体からなることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の強化繊維基材積層装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5に記載した強化繊維基材積層装置を用いて前記強化繊維基材を積層する強化繊維基材積層方法であって、
前記成形型に下層の強化繊維基材を積層する工程と、
前記電磁石に通電して前記磁性体を吸着させる工程と、
前記磁性体に基づいて上層の強化繊維基材を位置決めして積層する工程と、を含むことを特徴とする強化繊維基材積層方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−758(P2010−758A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163450(P2008−163450)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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