説明

強誘電体液晶SLMを有する光スイッチ

【課題】クロストークと挿入損失を低減し、偏光無依存の光スイッチを提供する。
【解決手段】光スイッチは、間にある相互接続領域を有する2つの強誘電体液晶空間光変調器を使用する。このスイッチは、光を入力ファイバアレイから第1の空間光変調器に集束させ、並びに、第2の空間光変調器から出力アレイに集束させるためにバルクレンズを使用する。各空間光変調器は、予め計算されたセットから選択されたそれぞれのホログラムを表示し、それによって、入力ファイバアレイから出力アレイへの光の所望のスイッチングを生じさせる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般に、光スイッチングの分野に係り、より詳細には強誘電体液晶空間光変調器(ferroelectric liquid crystal spatial light modulation)を使用して入力素子のアレイと出力素子のアレイとの間の選択接続ができるスイッチングに関するものである。
【0002】
(発明の背景)
光ファイバスイッチング部品の開発は、グローバル情報システムの継続的な発展にとって重要である。光学ビットレートおよび変調フォーマットとは無関係に作動し、N個の光入力をM個の光出力(ここで、NおよびMは一般的であるが、必ずしも同じ数でない)に相互接続することを再構成できる単一段マトリックススイッチ(single-stage matrix switch)は特に望ましい。
【0003】
従来のいくつかのスイッチは、機能サイズ(functional size)において64×64よりも小さく制限されてしまう。他のスイッチは、比較的よくない雑音性能を欠点として持つ。
【0004】
1つの有用な公知の構成は図15に関してここで後述される。静的ホログラム(static hologram)を使用するこのスイッチは、入力信号が特定の出力に「ハードワイヤード(hard wired)」された静的光スイッチをもたらす。光入力のアレイと光出力のアレイとの間の自由空間で光ビームを偏向するための素子として再構成可能ホログラム(reconfigurable holograms)を使用するために図15の装置を適合させることは、空間光変調器上にホログラムパターンを表示することによって再構成スイッチ(reconfigurable switch)をもたらす。
【0005】
しかし、静的光学シャッフル(static optical shuffle)から再構成スイッチへの移行(migration)に関連する幾つかの現実的な設計問題が存在する。
【0006】
良好にアドレス指定できない1つの問題は、クロストークの問題であり、少なくとも部分的に同類である他の問題は挿入損失(insertion losses)の問題である。一方の経路をたどろうとしている光がその代わりに他方の経路をたどる成分を有する場合に、クロストークが生じる。挿入損失の問題は、ホログラム表示装置の不完全性に結び付いており、並びに、精度に問題があることおよび再現性が不十分であることと同様に、製造するのが困難かつ高価であるマイクロレンズの使用に結び付いている。これらの欠陥の両方ともクロストークをもたらす。再構成可能なホログラムスイッチに使用されるホログラムディスプレイ装置は、偏向が必要である場合であるにもかかわらず、直接光のビームが通過することを可能にしてしまう点でとても完全であるとはいえないことが分かった。明らかにその直接成分(ここでは、「ゼロ次」光とも呼ばれる)はクロストークを生じさせる。
【0007】
第3の問題は、光ネットワークを通過、特に光ファイバを通過する光の偏光が例えば時間とともに変動するので、スイッチが偏光に対して影響を受けないことである。強誘電体液晶SLMが偏光に影響を受けない方法で作動するように製造され得ることが確立された。
【0008】
これらの影響はホログラムの選択によって処理できる。しかしながら、ホログラムの製造のための従来の技術状態は必要とされる性能に対して適切ででない。
【0009】
本発明の主要な目的は、少なくとも部分的に従来の技術状態の問題を解決する再構成可能ホログラム装置を使用する光スイッチを提供することにある。
【0010】
(発明の概要)
本発明の第1の態様によれば、入力光ファイバアレイおよび受光器アレイと、入力光ファイバアレイを受光器アレイに接続する光学システムとを含む光スイッチが提供され、この光学システムは、入力光ファイバアレイから光を受光する第1のバルクレンズと、第1の強誘電体液晶空間光変調器と、第2の強誘電体液晶空間光変調器とを備え、各空間光変調器は、それぞれ選択可能なホログラムのセット(a respective selectable set of holograms)を設けるように構成されており、その光学システムは、前記第1および第2の強誘電体液晶空間光変調器間の相互接続領域と、出力光を出力アレイに供給する第2のバルクレンズとをさらに備える。
【0011】
一実施形態では、光スイッチは、前記第1のバルクレンズと第1の空間光変調器との間、および第2の空間光変調器と第2のバルクレンズとの間にそれぞれ配置されている一対のレンズをさらに含んでいる。
【0012】
他の実施形態では、光スイッチは、前記相互接続領域間を規定するために前記空間光変調器間に配置された一対のレンズをさらに含んでいる。
【0013】
第1の種類の実施形態では、前記空間光変調器は透過性である。
【0014】
前記第1の種類の一実施形態では、第1のバルクレンズは、複数の平行光ビームを前記入力光ファイバアレイから供給するように配置され、前記一対のレンズは、第2のレンズおよび第3のレンズを含み、前記第2のレンズは、前記平行光ビームを受光し、かつ対応する複数の相互に平行なビームを供給するためのものであり、前記第3のレンズは、前記相互に平行なビームを受光し、かつ前記ビームを平行にするために配置され、前記第2のバルクレンズは、前記ビームを前記受光器アレイ上に集束するために配置されている第4のレンズである。
【0015】
前記第1の種類の第2の実施形態では、第1のバルクレンズは、複数の平行光ビームを前記入力光ファイバアレイから供給するように配置され、前記一対のレンズは、第2のレンズおよび第4のレンズを含み、前記第2のレンズは、前記平行光ビームを受光し、かつ対応する複数の相互に集束するビームを供給するためのものであり、この光学システムは、負のパワー(power)を有する第3のレンズをさらに備え、前記集束するビームを受光し、かつ相互に発散する出力ビームを供給し、第4のレンズは、前記相互に発散するビームを受光し、かつ前記ビームを平行にするために配置され、前記第2のバルクレンズは、前記ビームを前記受光器アレイ上に集束するために配置されている第5のレンズである。
【0016】
この第2の実施形態は、前述の第1の実施形態と比較して経路長の減少を可能にするという長所を有する。
【0017】
前記第1の種類の第3の実施形態では、この第1のバルクレンズは、複数の平行光ビームを前記入力光ファイバアレイから供給するように配置され、前記一対のレンズは、第2のレンズおよび第4のレンズを含み、前記第2のレンズは、前記平行光ビームを受光し、かつ対応する複数の相互に集束するビームを供給するためのものであり、この光学システムは、正のパワー(power)を有する第3のレンズをさらに備え、1つに結合されたレンズとして、前記集束するビームを受光し、かつ相互に発散する出力ビームを供給し、第4のレンズは、前記相互に発散するビームを受光し、かつ前記ビームを平行にするために配置され、前記第2のバルクレンズは、前記ビームを前記受光器アレイ上に集束するために配置されている第5のレンズである。
【0018】
この第3の実施形態は、前述の第1の実施形態と比較して経路長の減少を可能にする長所を有するが、第2の実施形態よりも減少の度合いが小さい。しかしながら、リレーレンズ(relay lens)の使用は、光収差(optical aberrations)のより容易な制御を可能にできる。
【0019】
有利な変形例では、この光学システムは、光軸を有し、入力および受光器アレイは、相互にシステム光軸の反対側にずれていて、他の部品は軸上に維持されている。
【0020】
この構成によって、ここでゼロ次信号(zero-order signals)と称される偏向されていない信号はクロストークを生じないで通過できる。
【0021】
前述の第2および第3の実施形態の好ましい変形例では、この光学システムは、光軸を有し、入力および受光器アレイ、第1、第2、第4および第5のレンズは、このシステムの光軸上に配置され、第3のレンズはそこから横方向にずれている。
【0022】
これは、偏向されたいない信号がクロストークを生ずることなくまっすぐ通過することを可能にし、光収差性能(optical aberration performance)を比較的改良し得る。
【0023】
第2の種類の実施形態では、空間光変調器は反射性である。
【0024】
第2の種類の第1の実施形態では、この光学システムはジグザグ軸を有し、前記一対のレンズの各々は、前記軸に沿って進行する光が前記レンズの各々を2回通過するように、関連する空間光変調器に対して配置されている。
【0025】
第2の種類の好ましい実施形態では、前記第1および第2のバルクレンズの各々は、光拡大ステージ(an optical magnification stage)を形成するように配置されている他の関連するレンズを有する。
【0026】
第1の変形例では、リレーレンズが相互接続領域に配置されている。
【0027】
第2の変形例では、視野レンズ(a field lens)が相互接続領域に配置されている。
【0028】
クロストークから免れる(immunity)ために、リレーレンズあるいは視野レンズ(field lens)のそれぞれは軸を外れて配置されてもよい。
【0029】
本発明の第1の態様の好ましい実施形態では、前記入力光ファイバアレイおよび前記受光器アレイはそれぞれ入力ポートおよび出力ポートを有し、入力ポートおよび出力ポートの各々は32×32のアレイのポートを含み、かつ前記ポートは、次の表によって規定された正規化座標位置(normalised coordinate locdation)に配置されている。
【0030】
【表2】

【0031】
本発明の第2の態様では、入力光ファイバアレイおよび受光器アレイと、入力光ファイバアレイを受光器アレイに接続する光学システムとを含む光スイッチが提供され、この光学システムは、第1のバイナリ再構成可能空間光変調器(binary reconfigurable spatial light modulator)と、第2のバイナリ再構成可能空間光変調器とを備え、各空間光変調器は、各々所望のスイッチング動作のためのそれぞれ選択可能なホログラムのセット(a respective selectable set of holograms)を設けるように構成された第1の強誘電体液晶空間光変調器および第2の強誘電体空間光変調器と、前記第1および第2のバイナリ再構成可能空間光変調器間において、その間に相互接続領域を規定する一対のレンズとを含み、各空間光変調器は、ディスプレイスクリーンと、複数のホログラムデータのセットのためのメモリ回路と、所望のスイッチング機能に従って前記セットのうちの1つを選択する選択回路とを含み、各記憶されたホログラムデータのセットは、
所望のスイッチング機能に従って前記ホログラムの主要な再生座標(replay coordinates)を決定し、
前記座標を用いて、
ベースセルのピクセルのサイズを計算し、
位相量子化手法(a phase quantisation procedure)によってベースセルパターンを評価すること、
並びに、
空間光変調器の全開口が満たされるまで前記ベースセルパターンのデータを複製することとによって計算される。
【0032】
本発明の第3の態様では、入力光ファイバアレイおよび受光器アレイと、入力光ファイバアレイを受光器アレイに接続する光学システムとを含む光スイッチが提供され、この光学システムは、第1の強誘電体液晶空間光変調器および第2の強誘電体空間光変調器であって、各空間光変調器は、各々所望のスイッチング動作のためのそれぞれ選択可能なホログラムのセットを設けるように構成された第1の強誘電体液晶空間光変調器および第2の強誘電体空間光変調器と、前記第1および第2の強誘電体液晶空間光変調器間において、その間に相互接続領域を規定する一対のレンズとを含み、各空間光変調器は、ディスプレイスクリーンと、複数のホログラムデータのセットのためのメモリ回路と、所望のスイッチング機能に従って前記セットのうちの1つを選択する選択回路とを含み、各記憶されたホログラムデータのセットは、
所望のスイッチング機能に従って前記ホログラムの主要な再生座標を決定し、
前記座標を用いて、ベースセルのピクセルのサイズを計算し、位相量子化手法によってベースセルパターンを評価することと、
空間光変調器の全開口が満たされるまで前記ベースセルパターンのデータを複製することとによって計算される。
【0033】
有利なことには、所望のホログラムの主要な再生座標を決定する前記ステップは、所望のホログラムの必要とされる平行近軸ビーム(a collinated paraxial beam)に基づいて正規化角度偏差(normalised angular deviation)を決定し、前記偏差から前記所望のホログラムのための前記主要な再生モード座標(principal replay mode coordinates)を得ることを含む。
【0034】
好ましくは、前記計算するステップは、前記座標を各々分子および分母を備えた有理数に変換することであって、前記有理数は、前記分母がその最低整数値を有するように簡略化され、前記分母は前記ベースセルパターンのためのピクセル数として使用されることを含む。
【0035】
本発明の第4の態様によれば、それぞれの(x、y)平面および所定数の均一に分散された位相レベルを有するピクセル化ホログラム装置(a pixellated hologram device)のための位相専用コンピュータ生成ホログラム(a phase-only computer generated hologram)を製造する方法が提供され、
所望のホログラムの主要な再生座標を決定し、
前記座標を用いて、ベースセルのピクセルのサイズを計算し、位相量子化手法によってベースセルパターンを評価すること、
並びに、
空間光変調器の全開口が満たされるまで、前記ホログラム装置のある平面内に、前記ベースセルを複製することとを含む。
【0036】
有利なことには、所望のホログラムの主要な再生座標を決定する前記ステップは、所望のホログラムの必要とされる平行近軸ビームに基づいて正規化角度偏差を決定し、前記偏差から前記所望のホログラムのためのその主要な再生モード座標を得ることとを含む。
【0037】
好ましくは、前記評価するステップは、前記座標を各々が分子および分母を含む有理数に変換することを含み、ここで、前記有理数は、前記分母がその最低整数値を有するように簡略化され、前記分母は前記ベースセルパターンのためのピクセル数として使用される。
【0038】
有利なことには、この方法は、さらに前記分子および分母を所定の数学的関係によって制限することを含む。
【0039】
便宜的には前記数学的関係は、
【数4】

(ここで、Nx、Nyは前記分子であり、Dx、Dyは前記分母である)によって指定される。
【0040】
好ましくは、前記評価ステップは、
【数5】

(ここで、φは位相スクリーンであり、k=0、1、2...(Dx−1)およびl(エル)=0、1、2...(Dy−1)である)であるように前記有理分数を使用して空間サンプル位相スクリーン(a spatially sampled phase screen)を規定することを含む。
【0041】
好ましくは、前記評価ステップは、さらに
【数6】

(ここで、ψs(k、l(エル))は、ターゲットホログラム装置のための前記ベースセルパターンの最終サンプル量子化表示であり、
jは、複素演算子(−1)1/2であり、exp(...)は、指数関数演算子であり、int{...}は、独立変数を負の無限大の方へ最も近い整数への引数を概数で表す量子化関数である)
を使用して前記位相スクリーンを均一に分散された前記所定の数の位相レベルに位相量子化することを含む。
【0042】
本発明の実施形態は、2つの位相変調を生じるために平面内のスイッチングを使用する強誘電体液晶(FLC(ferroelectric liquid crystal))空間光変調器(SLM(Spatial Light Modulators))に基づいたスイッチに関するものである。以前に発表された論文(K L Tan、W A Crossland & R J Mears著の「強誘電体液晶に基づいて4つのおよび2つの位相専用ホログラムの効率およびクロストークの比較(A comparison of the efficiency and cross-talk of quad and binary phase only holograms based on ferroelectric liquid crystals)」(ferroelectrics 213、233〜240、(1998))に反して、この種の装置でマルチレベル位相変調を得ることは可能ではないので、挿入損失は完全には最小化することができず、かなりの障害を除いてクロストークも完全には最小化できない。
【0043】
次に、本発明の実施の形態が添付図面に関して記述される。
【0044】
(好ましい実施形態の説明)
様々な図面において、同じ参照番号は同じ部品を示す。
【0045】
図15を参照することによって始めると、光源(101)のアレイおよび光学受光器(107)のアレイは、ホログラフィスイッチ(holographic switch)の入力素子および出力素子として配置されている。多数の用途の場合、この光源および受光器は、劈開されるかあるいは端部研磨されたファイバを含んでもよい。他の用途では、入力は、レーザあるいはLEDのような発光源であってもよく、出力は光検出器であってもよい。各入力(101)は、異なるディジタルあるいはアナログ光信号を、スイッチを介して1つの(あるいは可能性としていくつかの)出力(107)へ送信することができる。したがって、最高N個までの異なる信号が、いかなる瞬間にもスイッチを同時に通過することができる。各入力に与えられた光は、データによって変調された単一波長、異なる波長で作動する多数の異なるデータ源(例えば、波長多重化システム)、あるいは、連続体の波長からなってもよい。このスイッチは図15で断面で示されているが、入力アレイおよび出力アレイ(101、107)は、一般的には2次元アレイであり、ホログラフィスイッチは3次元体(3-dimensional volume)を含んでいてもよい。
【0046】
スイッチングを行うために、入力アレイ(101)は、レンズアレイ(102)の後方に配置されている。入力アレイによって放射される各光信号は、レンズアレイ(102)のレンズのうちの1つによって平行にされる自由空間に入る。次に、各平行ビームはホログラム装置(103)を通過する。ホログラム装置(103)は、この装置に入射するビームの光伝搬方向の特定の偏向を生じるように設計されている位相および/または輝度および/または複屈折のホログラフィパターンを表示する。そのホログラムパターンは、各光ビームが異なる偏向角を受けるように設計されてもよい。装置(103)は、個別のビームをいくつかの異なる角度あるいは回折順序に分割する効果も有し得る。このパワー分割効果を利用するための1つの用途は、入力ポートを2つ以上の出力ポートに経路選択(route)することにある。
【0047】
偏向された光信号は、第2のホログラム装置(105)に達するまで相互接続領域(104)中の自由空間に伝搬する。第2のホログラム装置(105)のホログラムパターンは、第1のホログラム装置(103)に導入された偏向を反転するように設計されているので、発生する信号ビームはシステムの光軸に対して再度平行になる。
【0048】
次に、光信号は、第2のレンズアレイ(106)を通過し、その各レンズがその関連光信号を受光器アレイ(107)の出力ポート内へ集束する。したがって、第1のホログラム装置(103)に表示されたホログラムパターンおよび第2のホログラム装置(105)に表示された関連ホログラムパターンは、受光器アレイ(107)のいずれの出力ファイバが入力アレイ(101)のいずれの入力ファイバからの光データを受信するかを決定する。相互接続領域(104)は、第1および第2のホログラム装置(103、105)に表示される特定のホログラムパターンにより決定されるという仕方で、信号ビームが空間的に再配列することを可能とする。このスイッチは、出力(107)が入力(101)に光信号を送信し戻すことができるように逆にも作動する。
【0049】
図15の固定ホログラム装置を再構成可能な装置と取り換えようとする際には、次のことを含む多数の問題が生じる。
【0050】
1)このようなホログラフィスイッチを実施するために、適切なホログラムパターンのセットが選択されねばならない。このホログラムセットは、任意の入力チャネルを任意の出力チャネルに経路選択することを可能とし、一方で、挿入損失およびクロストークを指定値の範囲内に保持することを可能としなければならない。チャネル間のノイズ分離は使用されているパターンに強く依存するので、このことは簡単な仕事ではない。特に、ホログラムセットは、高次回折が間違ったチャネルの下で始められることを防止するように最適化されねばならない。
【0051】
2)再構成可能ホログラムによって生成され得る最大角度偏向(angular deflection)は、一般的には、固定されたホログラム記録で達成され得る場合よりも小さい。第1および第2のホログラム装置(103、105)の平面間の相互接続領域(104)の長さは、この最大角度偏向によって決定され、したがって、スイッチは、一般的には、光学シャッフルよりも大きい自由空間光路長を必要とする。構成要素許容範囲およびパッケージング設計の制約のために、この光路長を最小にすることは頻繁に非常に望まれることである。
【0052】
3)再構成可能ホログラムの回折効率は、第1および第2のホログラム装置(103、105)をまっすぐ通過する偏向されていない「ゼロ次」信号として表示された、不足量の若干の割合のために、一般的には、100%よりも小さい。スイッチに更なる増加なしに、これらの偏向されない信号は、受光器に望ましくない雑音信号を生じさせる、例えば、入力1からの信号の何分の1は常にホログラム状態とは無関係に常に出力1に達し、入力2からの信号の何分の1は常に出力2に達する等である。これらの信号は、スイッチの適切な機能を損なう。
【0053】
4)N×N個のスイッチ内で使用するための再構成可能ホログラムを構成する便宜的な方法は、シリコン回路の上に液晶材料の層を集積することである。この種のSLMは、一般的には透過性よりもむしろ反射性において作動し、したがって、図15に示されたスイッチレイアウトはもはや適切でない。
【0054】
図2は、透過性空間光変調器と併用するためのN×N個のホログラフィスイッチの基本構成を示している。しかしながら、理解を改善するために、ホログラム装置を全く有していないことを除いて図2と同一である図1の説明が最初に行われる。光源のアレイ(1)は、図示されるように左側に配置され、光受光器のアレイ(9)は、図示されるように右側に配置される。
【0055】
入力アレイ(1)と受光器アレイ(9)との間の光路において、順に、第1のコリメーティングレンズ(2)、第1の集束レンズ(4)、第2のコリメーティングレンズ(6)および第2の集束レンズ(8)が配置されている。これらのレンズの各々は、バルクレンズである。従って、このレンズに付随する精度、再現性およびコストの問題のために、マイクロレンズの使用が避けられる。第1のコリメーティングレンズは、入力アレイ(1)から離隔され、第2の集束レンズは、出力アレイから離隔される。第1のコリメーティングレンズ(2)および第1の集束レンズ(4)は、その間にファンアウト領域(a fan out region)を規定し、第1の集束レンズおよび第2のコリメーティングレンズは、その間に相互接続領域を規定し、第2のコリメーティングレンズおよび第2の集束レンズは、その間にファンイン領域(a fan in region)を規定する。
【0056】
入力(1)に次いで、光信号のアレイは、fの焦点距離を有する第1のコリメーティングレンズ(2)によって平行にされる自由空間に入る。入力アレイ(1)は、信号ビームが異なる角度方向に平行にされるように、代表的には、レンズの主要な表面から距離fでレンズ(2)の後部焦点平面内に配置されている。レンズ(2)に次いで、平行信号は、fの焦点距離を有する第1の集束レンズ(4)の方へ自由空間ファンアウト領域(3)内を伝搬する。領域(3)内を伝搬するこの信号は、平行ビームが第1の集束レンズ(4)に到達する時間によって完全に空間的に分離されるように、レンズ(2)によって角度的に分散される。レンズ(2)に対するレンズ(4)の位置は、ビームが相互接続領域(5)を互いに平行に横切って通るように選択される。代表的には、この条件は、レンズ(4)の主要な表面をレンズ(2)の主要な表面から距離f+fだけ離して位置付けることによって満たされる。次に、集束スポットのアレイは、代表的には、レンズ(4)の前部焦点平面(相互接続領域(5)内のいずれかの位置にある)内に形成される。
【0057】
相互接続領域(5)に次いで、第2のコリメーティングレンズ(6)は、信号を再度平行にし、ファンイン領域(7)内へこれらの信号を供給し、ファンイン領域(7)において、それらの信号は第2の集束レンズ(8)によって適切な出力ファイバ(9)内へ集束される。第2の集束レンズ(8)は、代表的には、第2のコリメーティングレンズ(6)の前から距離f+fの位置に配置され、出力素子(9)は、レンズ(8)の焦点平面にある。実際には、第1および第2のコリメーティングレンズおよび第1および第2の焦点レンズ(2、4、6、8)の各々は、固定色消しレンズ(cemented achromats)、複合レンズシステム、および/またはミラー素子のような光パワーを有する単一バルク素子あるいは等価構成要素からなってもよい。さらに、入力源(1)および出力受光器(9)は、放射および受光のそれぞれにおいて同じ光学開口数を有する(例えば、入出力は単一モードファイバである)場合には、第1のコリメーティングレンズ(2)は第2の集束レンズ(8)と類似し、第1の集束レンズ(4)は第2のコリメーティングレンズ(6)と類似する。この場合、焦点平面は、第1の集束レンズ(4)と第2のコリメーティングレンズ(6)との間のちょうど中間に存在する。
【0058】
ファイバ対ファイバのスイッチングの場合、入出力アレイ(1、9)は、後方反射を減少させるためにある角度で劈開あるいは端部研磨されたファイバを含んでもよいし、反射防止被覆されてもよいし、あるいは光信号を正しい位置および空間に適合させる導波装置から成ってもよい。それに代えて、2次元ファイバアレイを製造するための何らかの構造が使用されてもよい。
【0059】
図2を参照すると、相互接続領域(5)に関して、第1の集束レンズ(4)の外側におよび第2のコリメーティングレンズ(6)の外側にそれぞれ配置された強誘電体液晶(FLC)空間光変調器(SLM)という形態で第1(10)および第2(11)のバイナリホログラム装置を有するスイッチが示されている。それに代え、ホログラム装置は、相互接続領域をその間で規定するために、レンズの内側に配置されてもよいことが当業者によって理解されるであろう。しかしながら、図示されている配置は、ファイバと空間光変調器との間の奇数のバルクレンズ(ここでは1個である)が、波長変動によるオフセット変動(offset variations)を出力で傾斜エラー(tilt error)に変換させる、という点で有利である。当業者に公知であるように、傾斜エラーは、オフセットエラーよりも光ファイバに対して比較的問題とならない。本実施形態で使用されるホログラム装置は、バイナリ光変調器として使用の容易さのために選択された強誘電体液晶空間光変調器である。しかし、他のバイナリ光変調器装置がその代わりに使用されてもよい。空間光変調器は、第1の集束レンズおよび第2のコリメータレンズ(4、6)の最も外側の表面にできるだけ接近して配置されている。
【0060】
空間光変調器(10、11)は、装置に入射するビームの光伝搬方向を偏向させるように設計され、位相および/または輝度および/または複屈折の様々なパターンを表示するように駆動される。いかなる瞬間にも、(11)に表示されるホログラムパターンは、装置(10)に導入される偏向を取り戻す(restore)ように設計されねばならない。したがって、ホログラムによって導入される偏向によって、入力信号は、表示されるホログラムパターンによる方法で、再配列され、出力に経路選択される。ホログラムパターンが変更されるとき、それはそのスイッチの経路選択(routing)である。本発明の本実施形態では、光スイッチングは、レンズアレイ要素に対する必要性なしに達成される。強誘電体液晶SLMを使用することによって、独自の偏光が達成され得る。ここで後述されるように、これは、入来する偏光が必ずしも決定できない場合、重要な機能である。
【0061】
次に、N×N個のスイッチを構成する設計式を、光信号ビームがガウスのTEM00プロファイル(Gaussian TEM00 prodiles)を有する状況に対して検討する。ガウスビーム(Gaussian beam)は、レーザおよび劈開された単一モードファイバ(cleaved single-mode fibres)によって放射された光学プロフファイルに対する有用な近似である。近軸ガウシアン(a paraxial Gaussian)はレンズ間の自由空間において伝搬するとき、その半径方向の寸法は変わるが、そのプロフファイルは次の周知の伝搬規則に従ってガウシアンのままである。
【数7】

ここで、wは、z=0に任意に置かれたガウスの中心部の寸法(the Gaussian waist dimension)(最小ビーム半径)である、
wは、位置z/2における横断ビーム半径(the transverse beam radius)、
z/2は、その中心部からの伝搬距離、
λは、光信号ビームの中心光波長である。
【0062】
図1および図2に関して説明された光スイッチシステムが対称的に設計されて用いられる場合、各信号ビームは、図3に示されるように相互接続領域(5)の中心であってホログラム装置(10、11)間のちょうど中間に、直径2wのガウスの中心部を形成する。ホログラム間の相互接続距離zに関して、平面(10、11)におけるビームは、上記の式1によって与えられる2wのガウス直径を有する。さらに、レンズ(4)とホログラム(10)との間およびレンズ(6)とホログラム(11)との間の距離が無視できる場合、fおよびfは、両方ともz/2に等しいように選択されるべきである。
【0063】
代表的には、平面(10、11)における光信号の間隔間(inter-spacing)△hを相互接続長を短くするためにできるだけ小さくすることが望ましい。しかしながら、隣接信号間のクロストークを減らすためには、この同寸法を増加させることも望ましい。図4は、無収差光学により与えられた任意の2つの隣接する光路間における予想雑音分離(the expected noise isolation)のプロットである。パラメータγは、式2として規定される。
【0064】
γ.≧3のシステム設計限界は、しばしば許容可であり、隣接信号経路間の約39dbの雑音分離あるいはそれよりもよい雑音分離を生じる。式(1)の1回の微分式(the first derivative)をゼロに等しくすることによって見つけられた所与の△hの値に対して、△hの最適(最小)値があることが分かった(式3)。
【数8】

【0065】
さらにホログラム装置がピクセル化される場合、これらの装置によって導入され得る最大有用回折角(a maximum useful angle of diffraction)φがある。式4に示されたこの角度は、スイッチの正確な動作を保持する最小相互接続長zを最終的に決定する。
【数9】

ここで、dはホログラムピクセル化ピッチ(the hologram pixellation pitch)、
Aは使用された全ホログラム開口(the total used hologram aperture)である。
【0066】
代表的な場合において、空間光変調器(10、11)は、回転軸の1つだけまたはその両方に関しての角度回折を導入してもよく、並びに、ホログラムピクセル化ピッチはx軸方向とy軸方向との間で異なっていてもよい。
【0067】
式2から式4は、必要とされる相互接続長対サポートされ得る入力および出力数に関する設計基準をもたらす。規則的な2次元の正方形格子(square-grid)上に配置されたN個の入力およびN個の出力がある場合に関して、近軸解法は式5で示される。
【数10】

【0068】
したがって、1.55μmの中心波長で作動し、かつγ=3である場合の20μmの形状サイズ(feature size)を有するホログラムを使用して構成される32×32個のスイッチは、少なくとも95mmだけ離隔された空間光変調器(10、11)を必要とする。そのとき、スイッチの挿入損失は、導入される波長が設計波長からそれているときに徐々に増加する。
【0069】
式(5)は、ホログラフィ光スイッチのための最小光路長設計である。しかしながら、スイッチのための全設計サイクル(a full design cycle)は、適切なホログラムパターンのセットを決定するための手法も組み入れなければならない。このホログラムセットは、代表的には、使用されるホログラム装置の性能に従って、任意の入力を任意の出力に少なくとも経路選択できなければならないが、スイッチが再構成されるときに、全光路間の雑音分離や挿入損失の変化のような様々なスイッチ性能ターゲットも保持できなければならない。これらの制約の下では、ホログラムセットは、ホログラム装置から利用できる全範囲の偏向角を利用しなくてもよい。さらに、1:1のアスペクト比の正方形状にパックされた(square-packed)格子以外の入力および出力ポートの空間装置は、何らかの用途に対してより良く最適化されてもよい。したがって、最小光路設計を得ることは可能でなくてもよい。これらの実施形態の場合、式5は、式6に変更すべきである。
【数11】

ここで、Cは、選択されたホログラムセットの特性を明らかにするスケールパラメータを示している。Cは、代表的には相対的な入力および出力ポートの位置の反復設計によって決定されねばならない。
【0070】
スイッチの各入力ポートは、装置(10)の固有副開口領域(uniquesub-aperture region)を示し、各出力ポートは、光を装置(11)の固有副開口領域から収集する。したがって、各副開口は、正確なスイッチング機能性を得るために最少数のホログラムピクセルを含まなければならない。
【0071】
式(7)は、回折軸当たりの副開口毎に存在しなければならないホログラムピクセルの最少数を示す。
【数12】

【0072】
正方形状にパックされた入力/出力アレイに基づき、並びに、強誘電体液晶空間光変調器(FLC‐SLM)のような2相ホログラム装置を利用した高性能スイッチ設計(雑音分離は約40dB、損失変化は1dB未満))のための既知のデータポイントのサンプルは、下の表1に表されれている。
【表3】

【0073】
再構成可能ホログラムによって生成できる最大角度偏向は、代表的には、固定されたホログラム記録(a fixed hologram recording)によって得ることができる場合よりも小さいので、スイッチは、代表的には、ホログラム装置間に比較的長い自由空間光路長を必要とする。
【0074】
次に図5および図6を参照すると、ホログラム装置(10、11)間の物理距離は、付加的な光学素子をスイッチに導入することによって低下している。これらの2つの実施形態では、相互接続領域(5)の長さ、およびそれによるスイッチの光路長は、第5のレンズをシステムに組み込むことによって低下する。
【0075】
図6を参照すると、負の光学パワー(negative optical power)を有する追加のレンズ素子(12)は、視野レンズ(a field lens)として相互接続領域(5)の中心に配置され、図1から図5の実施形態のレンズ(4、6)は、より短い焦点距離を有するレンズ(13、14)によってそれぞれ置換されてる。これらのレンズの各々は、バルクレンズであり、実際には、式8のような光パワー(optical power)を有する等価複合構成要素または単一バルク素子から成ってもよい。
【数13】

ここで、f13はレンズ(13)の焦点距離であり、
14はレンズ(14)の焦点距離である。
【0076】
視野レンズ(12)の付加は、レンズ(13、14)の比較的短い焦点距離を補う。f13がf14に等しい通常のケースでは、スイッチの動作は、視野レンズの要素が式9を満たす場合に保持される。
【数14】

【0077】
ここで、f12はレンズ(12)の焦点距離であり、fは、交換されたレンズの焦点距離である。
【0078】
図6に示される他の実施形態は、正の光学パワー(positive optical power)を有する他のレンズ素子(15)が単一共役リレーレンズ(a unity-conjugate relay lens)として相互接続領域(5)の中心に置かれ、図1から図5の実施形態のレンズ(4、6)は、比較的短い焦点距離を有するレンズ(16、17)によってそれぞれ置換されている。これらのレンズの各々は、バルクレンズであり、実際には、式10のような光学パワー(optical power)を有する等価複合構成要素または単一バルク素子から成ってもよい。
【数15】

ここで、f15は、リレーレンズ(15)の焦点距離であり、f16は、レンズ(16)の焦点距離であり、かつf17は、レンズ(17)の焦点距離である。
【0079】
図6の実施形態では、出力ポートの空間配列は、もとのスイッチ設計と機能的に同じに維持するために、x軸およびy軸の両方に関して鏡像反転(mirror-reversed)される。リレーレンズ(15)の付加は、(16、17)の焦点距離の減少を補償する。f16がf17に等しい通常のケースでは、スイッチの動作は、リレーレンズ(15)が式11を満たす場合に保持される。
【数16】

【0080】
32×32個のスイッチを例として使用すると、それら3つの実施形態に対するホログラム装置(10、11)間の光路長は次の通りである。
【0081】
図1から図4に関して検討される第1の実施形態については、相互接続領域に対する最小長は95mmであることは既に確立された。
【0082】
図5を参照して検討された第2の実施形態については、f13=f14=18mmである場合に、中央凹面素子(the central concave element)は5.5mmの焦点距離を有し、相互接続長は36mmである。
【0083】
図6を参照して検討された第3の実施形態については、f16=f17=18mmである場合、中央凸面素子(the central convex element)は5.5mmの焦点距離を有し、相互接続長は58mmである。
【0084】
明らかに、第3の実施形態は比較的長いが、第3の実施形態は光学収差の制御が容易であるという長所を有する。
【0085】
再構成ホログラムの回折効率は、代表的には、不完全な光変調のため、および/またはホログラムパターン内の空間無駄スペース(spatial dead-space)のために100%よりも小さい。効率不足の若干の割合は、「ゼロ次」ビームが両方のホログラム装置(10、11)をまっすぐ通るビームである場合には、偏向されない「ゼロ次」ビームとしてしばしば示される。スイッチを更に増加しなければ、これらのゼロ次信号は、出力ポートにおいてクロストークを生成し、それによって、適切なスイッチ機能を損なってしまう。
【0086】
これが1つの問題である場合、本実施形態は、ゼロ次信号がそのシステムの光学開口の外側に無事に通過してくるように改変されてもよい。図7を参照すると、第1のスイッチでは、入出力アレイ(21、29)は、システム光軸(18)の反対側にずらされるが、全ての他の構成要素は軸上に対称に維持されている。したがって、このシステムの光軸(18)は、スイッチの全レンズ素子の中心を通過するが、入力アレイ(21)はこの軸の片側に完全にずらされ、出力アレイ(29)は、完全に反対側にずらされている。さらに、ホログラム装置の同じ最大回折角能力(the same maximum diffraction angle capability)を与えられた入力および出力アレイに対する最適アスペクト比が、この場合、システムの非対称性のために正方形状のアレイよりもむしろ1:2が好ましい、ということは明らかである。このアスペクト比の変化は、代表的には、パラメータC(上記の式6を参照)よりわずかに高い設計値に反映されている。
【0087】
図7のスイッチは、軸を外れた仕方で作動させる必要があるために、性能を制限する光学収差の導入をもたらし得る。
【0088】
機能的に同じではあるが、光学システムが近軸に近い方法(a near-paraxial manner)で作動することができる構造は、図8に示された構造を取り入れている。図8のスイッチでは、入力および出力アレイおよび全レンズ構成要素は、少しだけ横方向にずらされている中央視野レンズ素子またはリレーレンズ素子(a central field or relay lens element)(22)または(25)を除いて軸上に対称に維持されている。
【0089】
図8を参照すると、入力アレイ(1)の平面の光軸上に位置付けられた点(19)が光信号を出す場合、この点は、装置(10)において角度+Aで通り、装置(11)において角度−Aで通る光ビームを偏向させることによって、出力アレイの平面の光軸上に位置付けられた点(20)に相互接続されてもよい。角度Aは、ゼロ次クロストーク問題を避けるためにスイッチ設計者によって決定されるパラメータである。点(19)および(20)は、代表的には、それぞれ入力および出力アレイ領域の幾何学的中心にある。したがって、図8に示されるように、中央レンズ素子の必要とされる横方向のずれαは、次のとおり(式12)である。
【数17】

【0090】
中央素子が図5のように負レンズであるか、あるいは、中央素子が図6のように正レンズである場合には、(式13):
【数18】

である。
両方の場合において、Aは、中央レンズの変位の方向に直交する軸の周りにラジアンで測定される。
【0091】
多重量子ウェル変調器アレイ(multiple-quantum-well modulator arrays)、音響光学(acousto-optic)セルおよび電気光学(electro-optic)セルおよび液晶変調器のような装置は、再構成可能ホログラムをディスプレイするのに全ての可能性として適している装置である。ホログラム装置(10、11)は、実際に単一ホログラムピクセルアレイ、2つの個別のホログラムピクセルアレイ、あるいは複数のピクセルアレイであってもよい。前述されているように、強誘電体(FLC)ピクセルアレイは、偏光に反応しない方法で位相ホログラムとして構成されてもよいので、ホログラフィスイッチに特に良く適している。偏光に反応しないことは、スイッチに入る偏光状態を制御することが比較的困難である場合、ファイバ対ファイバ(fibre-to-fibre)のスイッチにとって特に重要である。FLC材料の薄い層は、空間光変調器(SLM)として半導体装置の上にも便宜的に集積化されることもでききる。この場合、シリコンチップ上の回路は、液晶を変調するアドレス指定可能電極および入射光を反射するミラーの両方の役目を果たす。FLC‐SLM(強誘電体液晶空間光変調器(Ferroelectric Liquid Crystal Spatial Light Modulators))で構成されるホログラフィスイッチは、比較的迅速に再構成され得る。
【0092】
図9を参照すると、反射性ホログラム装置を用いたホログラフィ光スイッチの実施の形態が記載されている。この反射性装置は、例えば、半導体SLM上のFLC(FLC-on-semiconductor SLMs)である。ビームスプリッタは、しばしば反射性SLMのような構成要素を収容できる光学システムにおいて使用されている。しかしながら、このようなビームスプリット構成要素がこれらを通過する光信号の慎重な(careful)偏光制御を有しない場合、これらの構成要素は、通過毎に3dBの光学損失を持ち込んでしまう。このような制約は多数の光学スイッチング用途において許容できるものではない。
【0093】
したがって、図9を参照して検討される実施形態は、ビームスプリットを使用しないシステムを示している。
【0094】
図9では、入力アレイ(1)および出力アレイ(9)は、スイッチ光学装置の端部に配置されている。入力信号ビームは、第1のレンズ(32)によって平行にされ、第2のレンズ(30)によって出力ポート内へフォーカス・バック(focused back)される。2つの反射ホログラム装置(35、38)は、2つのレンズ(34、37)を含む相互接続領域の周りに配置され、付加的なリレーあるいは視野レンズ(36)は必要に応じて加えられる。しかしながら、本実施の形態の場合、ホログラム装置の反射特性のために、光信号ビームは、反対方向にレンズ(34、37)を2回通過しなければならない。これらのレンズの入射側(inward)および出射側(outward)の通過は、ジグザグの経路を与えるように、空間的あるいは角度的に分離もされなければならない。したがって、この光学システムは、押しつぶされたかあるいは直立した「z」のそれぞれの形をとる。さらに、レンズ(33)および(39)が、これらの2重通過を補償するためにスイッチに加えられた。レンズ(32)および(33)の組合せは、レンズ(34)の前の入力アレイの画像を投影する光学拡大ステージ(例えば、対物レンズ)を形成する。次に、レンズ(34)は、ビームを第1のSLM(35)上に平行にし、信号を相互接続領域に供給する。同様に、レンズ(37)は、ビームを第2のSLM(38)上に平行にし、信号をレンズ(39)および(30)の組合せによって形成された縮小ステージに供給する。
【0095】
図10は、図2のスイッチの部分ブロック概略図を示す。図10を参照すると、空間光変調器(11)は、この装置に電力を供給する関連する制御および駆動回路(図示せず)を有するLCDスクリーン領域(211)を有する。メモリ回路(212)は、ホログラムデータを記憶し、選択回路(213)は、制御入力(220)に応答し、スクリーン領域(211)上に表示するためにメモリからホログラムパターンを選択することによって、所望されたとおりのスイッチングを行う。コンピュータ(230)は、ここで後述されるように、メモリ回路に記憶するためのホログラムデータのセットを計算する。そのコンピュータは、一旦ホログラムデータが得られると、使用中のメモリ回路から切断される。
【0096】
通常の使用中、第2のコリメーティングレンズ(6)は、平行かつ液晶スクリーン領域に印加される出力ビーム(206、明瞭にするための1つだけ示されている)を供給する。スクリーン領域上において、ディスプレイは制御入力(220)によって選択されるホログラムパターンに従って供給され、入射ビームは出力アレイ(9、図示せず)のうちの必要とされる出力素子へホログラムによってそらされる。
【0097】
理想的なコンピュータ生成ホログラム(CGM(Computer-Generated Hologram))は、ある固定ディスプレイ装置あるいは再構成可能ディスプレイ装置によって生成される連続位相および/または輝度変調の空間パターンである。実際には、CGHパターンを生成する際の処理制限および再構成可能なCGHパターンを表示する際の装置制限は、実際のCGHが一般的には空間的にサンプル化され(例えば、ピクセル化される)、次に不連続数(a discrete number)の変調レベルに量子化されることを意味している。最も一般的な種類のCGHは、位相専用変調(phase-only modulation)を行い、しばしば2つの位相能力(phase capability)(例えば、0、π)に制限される。位相量子化処理の非線形性のために、特定の再生パターンを生成するのに必要とされる最適CGHパターンの直接の計算は通常不可能であり、したがって、擬似アニーリング(simulated annealing)あるいはエラー拡散(error diffusion)のような発見的な反復技術(heuristic iteration techniques)が、しばしばホログラム設計のために使用された。
【0098】
反復CGH設計手法は、あるターゲット視野(terget field)に対してCGHによって発生された再生視野(replay field)を最適化することの間に良好なバランスを提供する。しかしながら、一般的にこれらのアルゴリズム内にプログラム(programmed)された固有の偶然性(randomness)も、各計算サイクルが固有雑音特性を有するCGHを形成し得ることを意味し、すなわち、ユーザが自分の用途のための最も適切なホログラムを選択するためにあるステージにおいて介在しなければならない。この“試行錯誤(hit and miss)”方式は、再生視野の背景雑音がこのシステム内に形成されるクロストークを防止するために一般的に充分に定量化(quantified)されねばならない場合には、光スイッチのためのCGHの使用には最適でない。次にホログラフィ光スイッチに適しているCGHパターンセットのための設計手法が記載されている。
【0099】
CGHによって形成された回折再生画像を見ることは、コヒーレント光あるいは部分的コヒーレント光でCGH装置を照射することと、次に、あるその後の平面にフラウンホーファー遠視野回折画像(Fraunhofer far-field diffraction image)を形成することとを代表的には含む。図11を参照すると、これを達成するための最も便宜的な配置は、平行にされた垂直光201でCGH200を照射し、次に無限共役比レンズ(an infinaite conjugate-ratio lens)203の焦点平面に再生画像202を形成する。スカラー回折理論(scalar diffraction theory)によれば、再生画像は、スケール化(scaled)された2次元フーリエ変換によってCGH装置の複合光透過率に関連している。CGHがこのシステムから取り除かれた場合、レンズは、再生視野の中心の単一「ゼロ次」スポット内へ光を集束する。CGHが配置されている場合、光は、このスポットの範囲外へ回折され、このゼロ次位置の周りの(x、y)の横平面に配置された輝度および位相の光再生分布になる。いくつかの状況では、再生レンズは存在しなくてもよい。これらの場合、再生画像は、重ね合わされた平面波の角度スペクトルとみなすことができる。
【0100】
ホログラフィ光スイッチでは、CGHパターンに対する代表的な要件は、できるだけ多くの単一出力スポットに集中される光パワーで再生視野を生成することに対するものである。この条件は、スイッチによるルーティング損失を最少にし、通常、必要とされる再生ピーク位置における単一ピークを含むCGH反復手法のためのターゲット視野を規定することによって得られる(式14)。
【数19】

ここで、δは、理想化デルタ関数再生ピークプロファイル(the idealised delta-function reply peak profile)であり、(Xp、Yp)は、ゼロ次位置に対する主再生スポット位置である。
【0101】
さらに、CGH再生視野内の全雑音ピークの位置および輝度も、この雑音(この雑音はスイッチ内のクロストークを生じ得る)がスイッチ出力ポートのいずれかに達しないような仕方でスイッチが設計され得るように、充分に定量化されなければならない。ホログラフィスイッチのためのこの設計問題は、全ての構成でスイッチを作動するのに必要とされる全てのCGHパターンに対する再生視野を調べることによって取り組むことができる。従って、スイッチ入力および出力は、クロストーク問題を避けるために適切な位置に置かれなければならない。しかしながら、必要とされるホログラムのセットは、実際には、まず入力および出力の位置によって決定されるので、このクロストーク最少化問題は必然的に反復処理となる。スイッチ設計手法の複雑さと結びついた従来のCGH設計手法の複雑さは、従来の技術により大きなホログラフィスイッチを設計することが可能でなかったことを意味している。
【0102】
要するに、反復CGH設計アルゴリズムを使用することは、光スイッチングに適用される場合、いくつかの顕著な欠点、すなわち、1)生成される再生視野の雑音分布を制御することは困難である;2)CGH設計アルゴリズムは数値的に計算に集中してしまう;3)式1によって規定されたターゲットとなる出力スポットの位置の分解能は制限されていた;を有する。CGHアルゴリズムのためのターゲット視野は、一般的には、実際のCGHディスプレイ装置と同じ解像度(あるいはその整数分の1)でサンプルされるために、最後に挙げた欠点が生じる。したがって、ホログラムディスプレイがM個のピクセルを含む場合、ターゲット視野は、離散的かつ均一に間隔をあけられたサンプル点数Mの最大値も含む。CGH設計の従来の方法を使用した場合、ターゲットピークは、これらの格子点に位置するだけであってもよい。
【0103】
光スイッチ用途に適している位相専用ホログラムパターンを生成するための非発見的な方法は、数学的位相マスクの生成および量子化に基づいて開発された。この方法は、再生視野においてターゲットスポットの位置決めのためのより良い分解能を可能にし、CGHが迅速に決定されることを可能にし、それによってスイッチ入力および出力ポートの設計および配置に非常に良い反復性をもたらす。さらに、この方法を使用して設計されたCGHパターンによって生成された雑音視野(noise fields)は、雑音強度および位置の観点において正確に定量化され得る。
【0104】
光スイッチに適している位相専用CGHは、ピクセル化ベースセルパターンによって規定される。このベースセル(base-cell)は、所望のホログラムに対する主再生スポットの座標から直接計算され、迅速位相量子化手法を使用して構成される。最終的なCGHを形成するために、装置の全開口が満たされるまで、ホログラムディスプレイ装置の(x、y)平面において傾斜あるいは複製される。したがって、他のCGH設計手法に反して、ホログラムパターンの設計はホログラムディスプレイ装置の解像度に直接関連していない。
【0105】
その代わりに、ベースセルは、通常、xおよびy方向へそれぞれ異なる回数であって、代表的には、非整数回数傾斜される。この手法の結果として、主要CGH再生モード位置は、位置の離散数に制限されることなく、準連続方法(a quasi-continuous manner)でCGH再生平面のアドレス指定可能な領域内のどこにも配置できる。
【0106】
さらに、ベースセルパターンの設計は、CGH再生視野の単一ピークにおけるパワーを最大化するように最適化される(以下、「主要なモード」と呼ぶ)。ゼロ次位置に対するこのピークの正確な位置は、決定論的アルゴリズムに従ってホログラムのベースセル設計を独自に規定するために使用される。さらに、CGHによって生成される再生視野の雑音特性は、一般的には規則的に間隔をあけられたピークの合計に関して分析的に示されている(以下、モード(modes)とよぶ)。ベースセルパターン、主要なモード位置および雑音視野の間の直接の対応関係が与えられれば、ホログラフィスイッチのためのCGHセットを設計するための手法を構成することは比較的簡単な方法となる。CGH生成の速度、および再生視野の予測可能調和構造(the predictable harmonic structure)は、ホログラフィスイッチの設計において有利である。
【0107】
ホログラムベースセルパターンは、CGHがホログラムパターンに入射する光の平行近軸ビームで与えるために必要とされる正規化角度偏差から計算される。したがって、θおよびθが、y軸およびx軸それぞれについてCGHが導入すべきである光回折回転角(optical diffraction angles of rotation)(小さい角度)である場合、所望のホログラムに対する主要な再生モード座標を示す2つの無次元パラメータ(η、ζ)が次のように規定できる。
【数20】

ここで、λはCGHに入射する光の波長であり、
pは、(xおよびy軸方向に沿っての)CGHディスプレイ装置のピクセルピッチである。
【0108】
一方、(η、ζ)は、ゼロ次位置に対する主要な再生スポットの物理座標に関して規定されてもよい(式16)。
【数21】

ここで、(X、Y)は、ホログラムに対するターゲットとなる主要なモード位置であり、
fは、遠視野回折画像を形成するために使用されるレンズの焦点距離である。
【0109】
式15および16に従って光を経路選択するベースセルパターンを計算するために、主要なモードの場合の正規化ターゲット座標(η、ζ)は、有理数として記述されるべきである(式17)。
【数22】

ここで、N、N、DおよびDは整数である。
【0110】
しかしながら、通常のCGH回折理論により、ピクセル化ホログラムパターンによって生成され得る最大に用い得る回折角には上限がある。正規化ターゲット座標(η、ζ)に関しては、主要な再生モードは、コーナー(−0.5、−0.5)から(+0.5、+0.5)によって包括的に結合された正方形領域内にのみ位置付けられ得る。ここで、(0、0)はゼロ次位置を示している。したがって、ホログラムベースセルを示す4つの整数は、式18を満たさなければならない。
【数23】

ここで、(R、R)は、ホログラムディスプレイ装置の解像度(ピクセル数)である。
【0111】
主要なモードの正規化ターゲット座標が正確には有理分数として記述できない場合に関しては、座標(η、ζ)は、式17および18を満たすまで、端数を丸められる(rounded)べきである。しかしながら、ここに示された技術がホログラム生成の従来技術の方法に比べて有利であることは直ちに理解できる。例えば、R=R=25ピクセルである場合、擬似アニーリングは、ターゲットとなる主要なモードが位置し得る625個の位置だけしかグリッドを与えない。それに反して、ここに示された技術は、10,000個のターゲットとなる位置を与えることをの潜在的に可能とする。R=R=100であるとき、この長所は、さらにより説得力がある、すなわち10,000個対2,316,484個の位置である。
【0112】
およびDは、ホログラムを決定するのに必要とされるベースセルパターンのサイズ(ピクセル数)を指定する。一般に、DおよびDの値が小さけれ小さいほど、ホログラムは、ホログラム装置内のいかなる画像エラーに対してもより強く、生成される再生視野をより明瞭にする、すなわち、再生において存在する雑音ピークがより少なくなる。式40の有理分数は、その最低分母形式に簡略化されねばならない。そうでなければ、ベースセルパターンを生成する手法は、不正確な結果を生じる。すなわち、Dは、Nの整数の倍数であってはならず、Dは、Nの整数の倍数であってはならない。
【0113】
次に、光を座標(η、ζ)に経路選択するための固有ベースセルパターンは、2つのステップで計算される。最初に、空間にサンプルされた位相スクリーンφが上記の有理分数に関して規定される(式19)。この位相スクリーンは、ベースセルパターンのピクセルに対応する(D×D)のサンプル点を含む。代表的な位相スクリーンは、図12にグラフで示される。
【数24】

ここで、k=0、1、2...(D−1)、およびl(エル)=0、1、2...(D−1)である。
【0114】
第2のステップでは、位相スクリーンは、ホログラムが表示される装置によってサポートされる離散的に均一に分布された同じ数の位相レベルψへ位相量子化される。
【数25】

ここで、ψ(k、l(エル))は、ターゲットホログラム装置のためのベースセルパターンの最終的なサンプル化および量子化された表示であり、
jは、複素数演算子(−1)1/2であり、
exp(...)は、指数演算子であり、
int{...}は、マイナス無限大の方に最も近い整数へその引数(argument)を丸めた量子化関数である。
【0115】
下記の表2は、2相装置のためのベースセルホログラム画像のいくつかの設計例を示す。ここで、ベースセルパターンは、ホログラム表示装置が各ピクセルに与えなければならない相対位相角に関して示されている。これらの位相角は次のように規定される。
【数26】

【表4】

【0116】
表示装置上に最終ホログラム画像を形成するために、ベースセルパターンは、全ての使用可能なホログラム開口を満たすように傾斜されねばならない。この複製は、通常、図13のxおよびy方向に異なる回数であって、代表的には非整数回数だけ生じる。
【0117】
フーリエ理論は、ベースセルの非整数回の複製は一般的には「スペクトル漏れ量(spectral leakage)」として公知の現象を生じ、それによって「ウィンドウイング(windowing)」関数が使用されないかぎり、スペクトル領域(すなわち、再生視野)の歪みを生じる。したがって、生成されるホログラムは、平面波によって照射されず、その代わりにアポダイゼーション(apodisation)を示すビームによって照射される。このアポダイゼーションは、必要とされるウィンドウイング関数を与え、ベースセルの再生および最終のホログラム画像の再生が対応することを確実にする。
【0118】
適当なアポダイゼーション関数の一の実施の形態は、TEM00のガウスモードプロファイル(TEM00 Gaussia mode profile)である。これは、大部分のレーザ、導波管および劈開されたファイバによって放射される基本的な光学プロファイルに対する良好な近似である。円形対称のTEM00のガウス強度プロファイルは、通常、式22におけるようにビーム半径wに関して規定される。
【数27】

【0119】
このガウス視野(Gaussian field)が全光開口Aを有するホログラム装置に入射する場合、ウィンドウイング関数の有用な有効測定値は、パラメータγ(式23)から測定できる。
【数28】

【0120】
経験的には、γの値が約3およびそれ以上の値が適切なガウスアポダイゼーションを与えることが分かった。このガウスアポダイゼーションは、光学的視野の輝度がホログラム装置開口のエッジにおいてゼロの方へ向かわなければないというウィンドウイング関数の要求を満たす。もしこの条件が満たされるとすれば、他の光学プロファイルも採用され得る。
【0121】
もしアポダイゼーション関数が適切であるならば、合成傾斜ホログラムによって生成される主要なモードの位置は、スカラー回折理論の総ての制限を受けてベースセルパターンを設計するために使用された、主要なモードの位置と同じである。ガウスアポダイゼーションの場合、ベースセルパターンのおよそ2つの完全複製は、信頼性のある再生画像を生成するために、最終ホログラム画像内に存在すべきであることが経験的に分かる。しかしながら、もしこの制約が遵守される場合、再生スポットはアポダイゼーション関数によって決定されるプロファイルを有するが、アポダイゼーションされたCGHによって生成されたスポット位置は、ベースセルパターンだけの解析によって予測されるものと同じである。
【0122】
上記に概略されるステップにより設計されたホログラムは、代表的には、その再生画像における雑音ピークの規則的に間隔をあけられたアレイを示す。正規化座標に関して、主要なモードが分数N/Dによって示された位置にある場合、雑音モードも分数n/Dの位置において生じ、ここでnは、n≠Nであるマイナス無限大とプラス無限大との間のいずれかの整数である。しかし、全ての示されている分数位置が実際に雑音を出すとは限らない。ホログラム再生の特定の雑音モードの有無は、ベースセルパターンのためのフーリエ級数を調べることによって予測でき、すなわち、フーリエ級数の特定の調波の有無が、最終ホログラム再生において対応する雑音モードの有無を明らかにする。
【0123】
2相ホログラムは、例えばO’Brien等を参考にした強誘電体液晶空間光変調器のような再構成ホログラムディスプレイ装置上に表示できるので、特に重要である。2相ホログラム再生画像のための基本モード構造は、フーリエ理論を使用してターゲットピーク位置座標(γ、ζ)から解析的に得ることができる。Dが、式17において与えられるD、Dの最小公倍数として計算される場合、再生モードの位置と相対輝度は、式24によって与えられる。
【数29】

【0124】
関数Env(η、ζ)は、単一のCGHピクセル開口の光回折画像として計算される輝度包絡線関数(an intensity envelope function)である。正方形あるいは矩形ピクセルの場合、この関数は式25によって示される。
【数30】

ここで、τは、ピクセル分離によって分割された光を変調するピクセル開口の比として定義されるピクセルの「充填率(fill-factor)」の項である。
【0125】
式24は、モード位置および信号/雑音乗数を含むだけである。この式は、CGH照射のアポダイゼーションによって引き起こされるモード整形あるいはモード拡大効果を含まない。これらの効果の解析は、通常、合成ホログラム画像の全回折計算を必要とする。しかしながら、ベースセルパターンから得られたホログラム再生分布の比較的簡単なモード表示(および2つ以上の位相レベルを可能とするホログラム表示のために得られる等価式)は、通常、CGHの性能を示すのに適切であり、光スイッチのためのホログラムセットを設計するために必要とされる計算時間をかなり減少させる。
【0126】
第1の用途では、上記の手法により設計された再構成可能なCGHパターンは、光ビームあるいは信号を出力ポート、光受光器あるいは検出器へ経路選択するために、適応光素子として使用される。次に、照射されたCGHディスプレイ、フーリエ再生レンズおよびホログラム再生画像の平面内に位置付けられた出力ポートを使用したこのような場合、ホログラムあるいはホログラムのセットは、主要なモード(あるいは他の再生モード)を出力ポート内へ位置付けるために表示される。本技術の実施形態では、主要なモードは、他のホログラム設計技術を使用して得ることができるよりも非常に大きい解像度で出力ポート内に配置できる。この技術を使用して、主要なモードは、代表的にはサブミクロン精度を有する再生画像の(x、y)平面の周りに配置できる。この高解像度は、出力受光器が単一モード光ファイバである場合の用途などにおける位置合わせの厳格なシステムにとって重要である。
【0127】
第2の用途では、光受光器あるいは検出器のアレイは、ホログラムの再生平面に配置され、主要なモード(あるいは他の再生モード)は、アレイ素子の個別位置を特徴付けるために(x、y)の周りに走査される。本実施形態では、単一モードファイバアレイのような装置は、各ファイバ出力の戻り光信号を最大にするためにCGHを変えることによってテストでき、それによってアレイ素子の相対位置を決定する。このように、アレイ素子の位置のいかなる位置付けエラーあるいは欠陥も評価できる。
【0128】
第3の用途では、主要な再生モード(あるいは他の再生モード)は、出力受光器あるいは検出器の開口数、線形開口、あるいは受光モード分布を決定するために(x、y)の周りに走査される。
【0129】
第4の用途では、擬似アニーリングあるいは他のCGH設計手法は、特定の雑音モードを抑制し、あるいは異なる仕方で再生画像内の光パワーの分布を変えるために、(ホログラムそのものに用いるよりもむしろ)ホログラムのベースセルパターン(base-cell patern)に用いられる。
【0130】
第5の用途では、CGH画像のシフトに変化しない特性(shift-invariant nature)は、再生輝度分布を変更させることなくホログラム画像を変更あるいは更新するために利用される。この場合、ベースセルパターンは、使用可能なディスプレイ開口を満たすように傾斜される前にCGH開口内の異なる位置に位置付けられる。このように生成される各CGHは、他のCGHからシフトされ、開口されたバージョンであるが、再生輝度画像は、どのホログラムが表示されても、全ての集約的な目的のためには変わらないままである。さらなるホログラムパターンのセットは、それらが順次表示される場合にホログラム装置の全ピクセルが各ホログラムの位相状態において等しい(あるいは特に指定された)時間量を費やすように、計算されることもできる。次に、このシーケンスは、必要な限りは繰り返され得る。位相変調ピクセルが各ピクセルで正味交流(AC)電圧を保持するために連続して切り換えられなければないが、一定再生画像を保持することが望ましいことである場合に、この用途は、FLC‐SLMのようなCGH装置にとって特に重要である。
【0131】
液晶装置が長い時間所定のバイアス状態のまま維持されているように、液晶装置に一定電位を印加することは、液晶装置にとって望ましいことではないことは当業者に周知である。ホログラムが移動不変(translation-invariant)ということも当業者には周知である。したがって、有利な技術は、ディスプレイ装置を横切って(必要に応じて1次元あるいは2次元のいずれかにおいて)ホログラムパターンを一度にかつ規則的な間隔で1つあるいはそれ以上のピクセルだけスクロールすることである。したがって、この目的のための回路が設けられている。この動作は、視聴者が生じている動きを見る場合、ディスプレイの適用において生じるであろうことに反して、機能性に全然影響を及ぼさない。代表的には、各フレームを生成するために使用されるシフトされたベースセルパターンが第1のフレームを生成するために使用される傾斜バージョンのベースセルと一致する場合に、すなわちホログラムが整数の数のベースセル長だけシフトされる場合に、一連のフレームが繰り返される。図14(a)は、(0.25、0)のホログラムを表示する7つのピクセルを有する2相ホログラム装置のためのフレームシーケンスを示している。この図において、ベースセルパターンは、各フレームと次のフレームとの間の間で1ピクセルだけ右方向へシフトする。この実施の形態におけるシーケンスの各列は、各位相状態において等しい全総時間数を達成することを示す。
【0132】
FLC‐SLMのような装置の場合、一定に近い再生視野を達成しつつも、フレーム変化当たりの位相状態変化を受けなければならないピクセル数を最少にすることも望ましい。これは、このシステムを通過する連続光学データストリームがある場合の用途において特に重要である。これらの用途の場合、次のフレームの全体を瞬時に表示するよりもむしろ、一時にピクセルの中の1つあるいはあるグループを交替させることによって各フレームを次のフレームに「展開させる(evolve)」ことが必要であり得る。図14(b)は、一時に変わるピクセル数を減らすために図14(a)のシーケンス内に挿入できる付加的なフレームの部分シーケンスを示している。本実施の形態では、たった1つのピクセルだけが、図14(a)のフレーム#1をフレーム#2内に展開させるために一時に変わる。図14(b)のシーケンスを使用して、導入されてしまう不完全な中間ホログラムのために再生画像のなんらかの歪みが存在し得る。しかしながら、このような歪みは、フレームシーケンスの慎重な選択によって最小化できる。
【0133】
いくつかのベースセルパターンにとって、ホログラムを単にシフトすることは、全位相状態に等しい持続時間を生成させるのに充分でないこともあり得る。この場合、(2π.u)/Ψ(ここで、uは範囲1...Ψの整数である)の位相オフセットだけ調整されたバージョンのベースセルを導入することが必要となり得る。オフセットは全ピクセルに与えられるので、このオフセットは再生画像を変更しない。しかしながら、このオフセットはベースセルの表示を変更する。図14(c)は、位相オフセット方法をフレームシフトと結合する2相(0.2、0)のホログラムの実施の形態を示している。
【0134】
第6の用途では、このようなホログラムは光スイッチを構成するために使用される。光スイッチは、光ネットワークのための重要な使用可能な技術として出現してきている。光入力のアレイと光出力のアレイとの間の自由空間における光のビームの経路選択をするために再構成可能なCGHを使用するホログラフィ光スイッチは、スケーラビリティおよび高い信号対雑音マージンなどの競合技術に比べていくつかの重要な機能的長所を有する。1×M個のホログラフィスイッチは、S.T.WarrおよびR.J.Mears著の「強誘電体液晶装置の偏光に影響を受けない動作(Polarisation insensitive operation of ferroelectric liquid crystal devices)」(エレクトロニクスレターズ 31:9(1995)P.714〜715)に記載され、M×M個のスイッチも記載されている。
【0135】
現在まで、ホログラム設計アルゴリズムの複雑さ、CGH再生視野に使用可能な制限された「解像度」および再生画像を解析するのに必要とされる全スカラー波回折理論は、多数の入力および出力を有するホログラフィスイッチを設計することを不可能にしていた。しかしながら、ここで示されている技術は、これらの大きなホログラフィスイッチを設計するための非常に良い見通し(prospects)を提供することができる。
【0136】
S.T.WarrおよびR.J.Mears著の「強誘電体液晶装置の偏光に影響を受けない動作」(エレクトロニクスレターズ 31:9(1995)P.714〜715)によれば、1×M個のスイッチは、再構成可能CGHを照射するように平行にされた入力信号と、再生画像を形成するフーリエレンズと、光出力のアレイとを含む。出力のアレイは、ホログラムの再生平面に配置され、様々なCGH画像は、入力信号を1つあるいはそれ以上の出力ポートへ経路選択するために表示される。したがって、1×M個のスイッチは、入力信号が出力ポートの各々に経路選択できるように少なくともM個の異なるホログラム画像のセットを必要とする。このスイッチは、出力がホログラムセットの主要な再生モードの位置と一致するように設計されねばならないように、それだけでなく、このセットのいかなるホログラムによって生成される雑音モードも決して顕著な出力信号を生じないように設計されねばならない。さらに、課題は、クロストークを導入しないでスイッチング機能を提供することに適した「直交(orthogonal)」ホログラムのセットを設計することにある。
【0137】
したがって、1×M個のスイッチを実現するホログラムのセットの設計は、式(16)によって与えられるような出力ポートのための適切な位置と同様に、スイッチを作動させるのに必要とされるCGHパターンの両方を表す式17によって規定されるM個の分数のセットを決定する問題に軽減される。代表的には、選択された分数のセットによって満たされなければならない多数の制約がある。それは次のことを含むがこれに限定されない。
【0138】
・任意の対の出力ポートの間の最小許容物理的距離には、これらのポートの物理的寸法(あるいは他の特性)に関連するなんらかの制限があり得る。
【0139】
・式19による設計手法の間に考察できる分数のセットに存在する制限により、有効なCGHピクセル数が有限になり得る。
【0140】
・スイッチが様々な出力間で構成されるので、スイッチを通る光挿入損失の若干の最大許容変動があり得る。主要な再生モード内へ回折された光パワーは、一般的には、増加された角度偏向で減少するので、この制約によって、その設計において考慮できる最大の分数が決定され得る。
【0141】
・設計を完成させるために割り当てられたある時間制限があり得るので、(多数の雑音モードを示す)大きな分母を有する分数のようなあまり有用でない分数は、設計処理から自動的に除外されてもよい。
【0142】
・分数の最終的な選択に影響を及ぼし得る大きなゼロ次スポットを自動で生成することなどの、CGHディスプレイ装置によって導入される付加的な制約があり得る。
【0143】
・このセットのいずれかのホログラムによって発生されるいかなる雑音モードも出力ポートのうちの1つに関していかに近接して位置され得るかを決定するスイッチの幾つかのクロストーク規格があり得る。
【0144】
この分数セットは、出力ポートの位置およびこれらの出力に関する雑音モードの位置の両方を決定する。したがって、クロストークを最小化するために、設計手法は、反復的でなければならない。よって、上記制約により与えられた1×M個のスイッチのための適切な分数のセットを検索することは、(例えば、帰納的関数およびツリー検索を含む)多数の周知の発見的なアルゴリズムのうちのいずれか1つのような目的検索手法を使用して解決できる。この場合、2相装置のための式24によって与えられたような雑音モードの位置および輝度に関する簡単な解析式は、ホログラムセットを設計するのに必要とされる計算時間を大いに減少させることができる。
【0145】
同様な方法は、M×M個のスイッチを設計するためにも使用できる。M×M個のスイッチは、光入力信号のアレイと、第1のホログラム装置上に表示された再構成可能CGHのアレイと、自由空間相互接続領域と、第2のホログラム装置上に表示された再構成可能CGHのアレイと、光出力のアレイとを含む。入力信号は、CGHのアレイを第1の装置上に照射するために平行にされ、ホログラム画像によってこの装置上に偏向され、次に入力信号が空間的に再配列することを可能にする相互接続領域を横切って伝搬する。次に、CGHの第2のアレイは、この信号を出力ポート内に偏向する。任意の入力を任意の出力へ経路選択するために、光信号は、第1のCGH装置である角度によって偏向され、次に代表的に第2のCGH装置において等しく値かつ反対の角度によって偏向されねばならない。
【0146】
M×M個のスイッチの設計にとって、入力ポート位置は、正規化座標において(η、ξ)によって、出力ポート位置は(η、ξ)によって示され得る。したがって、本発明による入力を出力に経路選択するのに必要とされるホログラムは、第1および第2のホログラム装置上の正確なアレイ位置にそれぞれ表示される(η−η.ξ...−,ξ)および(η‐η.、ξ−、ξ)である。さらに、第1のホログラムは、異なる方向に伝搬し、様々な空間位置において第2の装置に到達する雑音モードのセットを到達する雑音モードのセットを発生する。第2のホログラムも、出力ポートに達する異なる光伝搬方向を可能にする雑音モードのセットを有する。したがって、入力ポートと出力ポートとの間のM個の異なる接続経路の各々に関して、2つのホログラム装置によって発生される雑音モードは、他の出力ポートのいずれかにおいて許容できないクロストーク信号を生じさせないようにチェックされねばならない。
【0147】
したがって、式24のような雑音モードに関する簡略された式を使用してさえ、M×M個のスイッチに関する入力および出力ポートの反復配置は膨大な仕事である。しかしながら、多数の用途では、入力ポートおよび出力ポートが規則正しい格子、例えばη=η=1/13、2/13、3/13等に配置されることが望ましい。不運なことに、規則的な方法で配置されているポートを相互接続するのに必要とされるホログラムによって発生される雑音モードは、雑音を他の出力ポート内へまっすぐ経路選択してしまう傾向がある。それによって、ひどいクロストークの問題を引き起こしてしまう。ここに開示されている解決策は、雑音モード分布がより好ましくなるように、2、3、4等によって分割できる入力ポートおよび出力ポートの分数位置の分母を選択することにある。60(=3×4×5)の分母を使用することによって非常に高い信号対雑音マージンを示す32×32個のスイッチの実施の形態が表3に与えられている。
【0148】
代替的な技術は、ビームステアリングスイッチ(a beam -steering switch)のフーリエ級数の「画像」を使用する。
【0149】
物理学は、原子の結晶格子からのX線回折の2次元バージョンであるので、同じ記号および解析が使用できる。
【0150】
SLMへの入力は、ファイバあるいは入力導波管からの遠視野であり、これをFib(x、y)と呼ぶ。
【0151】
SLMは、SLMの有限範囲を示すトップハット関数(top-hat function)Top(x、y)と乗算される周期Λの無限の周期の位相変調Ph(x、y、Λ)として扱われる。したがって、位相変調直後の電界は、次の式26によって示される。
【数31】

ここで、・は、乗算を示している。
【0152】
スイッチからの出力は、次のように式27によって与えられる位相変調の直後の電界のFT(フーリエ変換)である。
【数32】

ここで、*記号は重畳積分(convolution)を示す。
【0153】
次に、位相変調Ph(x、y、Λ)は、周期的であり、かつ無限範囲のものであるために、FTは、式28によって示された原点に中心がある2π/Λのksinθ空間における分離のデルタ関数の無限セットである。
【数33】

【0154】
ここで、λは光波長であり、θは、x‐z平面で測定されたx軸からのビームステアリング角であり、θは、y‐z平面で測定されたy軸からのビームステアリング角である。その最も一般的な形式では、Λは、ベクトルとして示すことができ、ΛおよびΛは、周期ベクトルΛのx成分およびy成分である。
【表5】


【0155】
位相変調の周期性のために、これらのデルタ関数の各々の振幅pjjを計算するためにフーリエ級数を使用できる。この答えは、フラウンホーファー限界における回折と仮定すると、正確である。大きなビームステアリング角度にとって、フレネル傾角率((1+cosθ)/2)は含むべきであるが、SLMピクセルは、これが関連するほどには充分に小さくない。(ヘルツダイポール(Hertzian dipole)の電磁散乱特性から生じる)この傾角率は、ビーム散乱角とともに減少する最大ビーム散乱効率に対する唯一の基本的理由である。
【0156】
光学システムをビームステアリング角θが横方向位置L tanθに変換されるものとする。sinθ≒tanθと仮定すると、そのとき式29によって示された出力位置(u、v)でのデルタ関数のセットを得ることができる。
【数34】

【0157】
正味の出力は、上記のようにFT(Fib(x、y)・Top(x、y))で重畳積分され(convolved)、これをg(u、v)、すなわち要するに出力「スポット」と呼ぶ。したがって、式30による周期位相変調のフーリエ係数の値に応じて振幅(および位相)によって出力平面の全面で再生されたg(u、v)(出力スポット)が得られる。
【数35】

【0158】
位相変調Ph(x、y、Λ)の横並進(a transverse translation)は、フーリエ係数pijの位相を変えるので、出力スポットの位相を変えるが、この出力スポットの振幅を変えない。デルタ関数の分離が、出力スポットの(横幅における)顕著な範囲よりも大きい限り、各スポットは、別々であるとみなすことができるので、出力ファイバあるいは導波管への結合効率は、位相変調の横並進(a transverse translation)によって影響を及ぼされない。
【0159】
ビームステアリングを使用してスイッチを設計するための一般的な目的は、SLMの各構成にとって、選択された出力ファイバあるいは導波管がg(u、v)(出力スポットの1つ)のこれらの複製の1つを受信するように、出力ファイバあるいは導波管のセットを位置決めすることにあり、g(u、v)の任意の他の(不必要な)複製から任意の他の出力ファイバあるいは導波管へ結合されるパワーを最小に(設定された閾値以下に保持)することにある。
【0160】
1つの方法が過去に提示されている(M J Holmes等の「波長ルートネットワークのための低クロストーク装置(Low crosstalk devices for wavelength routed networks)」(IEE Colloquim、1995年6月8日)ので、不必要な出力スポットは、いかなる他の導波管あるいは出力ファイバへ決して完全に(すなわち完全に位置あわせされて)は結合しない。この論文の方法は、出力ファイバあるいは導波管の非規則的な2-Dアレイへの出力を有する1:N個のビームステアリングスイッチのためのものである。ここで、次のことを検討する。
【0161】
(i)出力ファイバあるいは導波管の規則的な2Dアレイへのビームステアリングを可能にする前述の方法の特別の場合である。それは、クロストーク抑制方法がN:Nスイッチにさらに応用できる出力ファイバ間隔のこの規則性である。
【0162】
(ii)特に位相の周期が偶数のピクセルである場合に、回折順序さえ非常に弱く発生される傾向があることが認識されているという観点において、前述の方法の拡張である。これは許容周期数を増加させる。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】本発明による光スイッチにおいて使用可能な光学システムの概略図を示す。
【図2】図1の構成に基づいた本発明による光スイッチの第1の実施形態の概略図を示す。
【図3】図2の相互接続領域の拡大図を示し、ビームが相互接続領域を横切るときのビームのガウスの中心部(Gaussian waist)を示す。
【図4】無収差光学装置により与えられる任意の2つの隣接する光路間の予想雑音分離のプロットを示す。
【図5】付加的な負のパワーレンズを含む図2のスイッチの第1の変形例を示す。
【図6】付加的な正のパワーレンズを含む図2のスイッチの第2の変形例を示す。
【図7】クロストークを減少させるように変更された光スイッチのレイアウトの概略図を示す。
【図8】クロストークを減少させるための軸を外れた付加レンズを有する光スイッチのより詳細な図を示す。
【図9】反射性ホログラム装置を使用する光スイッチの図を示す。
【図10】ホログラムの生成、記憶および選択のための接続を示す、本発明による光スイッチの実施形態の部分ブロック概略図を示す。
【図11】無限共役比レンズ(an infinite conjugate-ratio lens)の焦点平面に形成される再生画像を有する、平行にされた垂直光を用いてコンピュータ生成ホログラムを見るための装置を示す。
【図12】本発明の方法を使用するホログラムのための位相スクリーンを示す。
【図13】ホログラム装置の開口を横切る複製あるいは傾斜ベースセルパターンを示す。
【図14】ベースセルフレームシーケンスの例を示す。
【図15】本発明を理解する際に有用な従来のスイッチを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピクセル化ホログラム装置を用いて1つ以上の光データストリームの経路選択をする光スイッチを操作する方法であって、
第1のホログラムを第2のホログラムに変更することを備え、
この変更ステップは、前記第1のホログラムを前記第2のホログラムへ展開するようにホログラムのシーケンスを提供することを含む、方法。
【請求項2】
前記シーケンスを形成する中間ホログラムは、再生画像を制御するために選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ピクセル化ホログラム装置は、液晶装置である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記シーケンスのホログラムは、単一ピクセルによって前記シーケンスの先行ホログラムから相違する、請求項1から請求項3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記経路選択は、前記変更ステップによって影響を受けない、請求項1から請求項4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
シリコン回路の上方に液晶材料の集積層およびそれぞれの(x、y)平面を有し、変調レベルの不連続数を支持するピクセル化ホログラム装置のための位相専用コンピュータ生成ホログラムを形成する方法であって、
所望のホログラムの主要な再生座標を決定し、
前記座標を用いて、
ベースセルのピクセルのサイズを計算し、
ホログラムを与えるために位相量子化手法によってベースセルパターンを評価すること、
並びに、
前記ピクセル化ホログラム装置の全開口が満たされるまで前記ピクセル化ホログラム装置の平面内に前記ベースセルホログラムを複製すること、
前記ベースセルの前記ホログラムを新しいホログラムへ変更し、この変更ステップは、前記ホログラムを前記新しいホログラムへ展開するようにホログラムのシーケンスを提供することを含む、方法。
【請求項7】
シリコン回路の上方に液晶材料の集積層を有し、変調レベルの不連続数を支持するピクセル化ホログラム装置によって、光データストリームを伝搬する光ビームの経路選択をする方法であって、
所望のホログラムの主要な再生座標を決定し、
前記座標を用いて、
ベースセルのピクセルのサイズを計算し、
位相量子化手法によってベースセルパターンを評価すること、
並びに、
前記ベースセルを複製し、該複製されたパターンを前記ピクセル化ホログラム装置に適用し、
前記ピクセル化ホログラム装置が長期間所定のバイアス状態にあることを回避するために、実質的に一定の再生視野を達成するパターンのシーケンスを介して、前記ベースセルパターンを新しいベースセルパターンへ変更すること、を含む方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−8587(P2012−8587A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172212(P2011−172212)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【分割の表示】特願2001−528748(P2001−528748)の分割
【原出願日】平成12年10月4日(2000.10.4)
【出願人】(500587676)トーマス・スワン・アンド・カンパニー・リミテツド (1)
【Fターム(参考)】