説明

形状測定装置

【課題】従来の形状測定装置は、被測定物体の幅方向に変位計を複数台設置して凹凸を測定していたので、幅方向の分解能が粗いという問題があった。また、スポット光と光走査装置を用いて、被測定物体の幅方向にこの光スポットを走査し、撮像装置で走査されたスポット光を撮像する方法が提案されていたが、撮像装置の受光信号のレベルが低い、または、測定範囲内の受光レベル差が大きく、安定した測定ができないという問題があった。
【解決手段】被測定物体に垂直でかつ幅方向にスリット状の光を照射するスリット光光源と、スリット光源と反対側に配置される撮像装置と、被測定物体に垂直でかつ搬送方向にスリット状の光を照射するスリット光光源と、スリット光源と反対側に配置される撮像装置と、撮像素子上の結像座標を被測定物体の測定座標に変換する座標変換器と、顕在形状演算器を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、移動する被測定物体(帯状体)上の板幅方向の複数箇所で帯状体の変位を測定することにより、帯状体の形状(凹凸形状)を測定する形状測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、熱間圧延ラインにおいて被圧延体すなわち帯状体の中のび、耳波等の形状不良は顕在化しており、直接帯状体の板幅方向の複数個所で帯状体の変位または傾きを測定することによって、帯状体の顕在化形状を検出できることがよく知られている。そして、顕在形状を検出する方法において、幅方向に分解能が低いという課題があった。
【0003】
例えば、図19及び図20a、図20b、図20cは、従来の形状測定装置の一例(その1)を示す構成図である。図19において、1は被測定物体、20はスポット光光源、3は撮像装置、21は変位演算器、5は表示装置である。図20aは、上記構成図を上方から見た図、図20bは上記構成図を搬送方向の後方の側面方向から見た図、図20cは、上記構成図を搬送方向の側方の側面方向から見た図である。
【0004】
次に動作について説明する。
被測定物体へ照射するスポット光光源20は、被測定物体1すなわち帯状体の上方に位置し、かつ被測定物体1の幅方向に複数台配列され、被測定物体に幅方向にスポット光を照射する。撮像装置3は上記被測定物体に照射された複数台のスポット光を撮像し、撮像装置上に撮像されたスポットの像の位置を出力する。変位演算器21は上記撮像されたスポットの位置から被測定物体の高さ方向の変位を演算する。表示装置5は上記複数台の変位演算器21の出力を幅方向の分布として表示する。(特許文献1参照)
【0005】
次に、他の従来技術について説明する。
【0006】
例えば、図21及び図22a、図22b、図22cは、従来の他の形状測定装置(その2)を示す構成図である。図21において、1は被測定物体、2はスリット光光源、3は撮像装置、5は表示装置である。図22aは、上記構成図を上方から見た図、図22bは、上記構成図を搬送方向の後方側面方向から見た図、図22cは、上記構成図を搬送方向の側方側面方向から見た図である。
【0007】
次に動作について説明する。
スリット光光源2は被測定物体1すなわち帯状体へ、被測定物体上方から幅方向に広がるスリット光を照射する。撮像装置3は上記被測定物体に照射されたスリット光を撮像し、撮像装置上に撮像されたスリット状の像を出力する。表示装置5は上記スリット状の像を表示する。(特許文献2参照)
【0008】
なお、図23a、図23b、図24a、図24b、図24c、図25a、図25b、図25c、図25dは、さらに動作を説明するための図であるが、これらについては後に説明する。
【0009】
次に、更に他の従来技術について説明する。
【0010】
図26及び図27a、図27b、図27cは、従来の更に他の形状測定装置(その3)を示す構成図である。図26において、1は被測定物体、2はスリット光光源、3は撮像装置、5は表示装置である。図27aは、上記構成図を上方から見た図、図27bは、上記構成図を搬送方向の後方側面方向から見た図、図27cは、上記構成図を搬送方向の側方側面方向から見た図である。
【0011】
次に動作について説明する。
1は被測定物体すなわち帯状体、
スリット光光源2は被測定物体1すなわち帯状体へ、被測定物体上方から幅方向に広がるスリット光を照射する。撮像装置3は上記被測定物体に照射されたスリット光を撮像し、撮像装置上に撮像されたスリット状の像を出力する。表示装置5は上記スリット状の像を表示する。
なお、図28a、図28bは、さらに動作を説明するための図であるが、これらについては後に説明する。
【0012】
次に、更に他の従来技術について説明する。
図29は、従来の更に他の形状測定装置(その4)を示す構成図である。図29において、1は被測定物体、23は棒状光源、3は撮像装置、5は表示装置である。
【0013】
次に動作について説明する。
棒状光源23は被測定物体1すなわち帯状体へ照射するもので、被測定物体の表面に照射する。撮像装置3は上記被測定物体1に照射された棒状光源光を撮像し、鏡面状の被測定物体を介して、棒状光源の虚像を撮像装置する。表示装置5は上記棒状光源の虚像を表示する。(特許文献3)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開昭61−178608号公報(第1図)
【特許文献2】特開昭61−254809号公報(第1図)
【特許文献3】特開2002−221410号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
図19及び図20a、図20b、図20cに示す従来の形状測定装置は、以上のように構成されているので、被測定物体上方の幅方向にスポット光光源および撮像装置を複数台設置しなければならず、幅方向の測定分解能が粗いという問題があった。また、分解能を高めるためには、スポット光源および撮像装置をたくさん設置する必要があるため、高価になるとの問題があった。
【0016】
また、図21及び図22a、図22b、図22cに示す従来の他の形状測定装置は、以上のようにスリット光光源の照射方向が、被測定物体の搬送方向の上流側から下流側に向けて照射されているので、搬送方向の測定位置間隔が一定でないという問題があった。
【0017】
例えば、図23aまたは図23bにおいて、スリット光光源の照射方向2a、2b、2c、2dは、所定距離を搬送された被測定物体1aまたは1bに照射されるスリット光照射位置を示す。図23a及び図23bにおいて、x1、x2、x3、x11、x12、x13は、スリット光照射位置間隔すなわち測定位置間隔を示す。図23aの被測定物体が平坦な形状の帯状体1aにおいて、測定位置間隔 x1、x2、x3は、
x1 = x2 = x3
で測定位置は等間隔である。しかるにスリット光照射位置が等間隔にもかかわらず、図23bの被測定物体が平坦でない形状の帯状体1bにおいて、測定位置間隔 x11、x12、x13は、
x11 ≠ x12 ≠ x13
で測定位置は不等間隔である。
【0018】
また、被測定物体の高さ方向の測定範囲が狭く、被測定物体の幅方向の測定範囲が広い場合において、高さ分解能が粗く、高精度に測定できないという問題があった。
【0019】
例えば、図25aは上記従来技術の、被測定物体の測定範囲と撮像装置の撮像範囲を示す。
例えば、図25bにおいて、被測定物体のP2からP4を幅方向の測定範囲WMRが、
WP2P4 = 1000mm
の場合で、被測定物体のP1からP2高さ方向の測定範囲HMRが、
HP1P2 = 10mm
の場合で、例えば、図25cにおいて、単位撮像素子ΔEの大きさが0.01mm×0.01mmの正方形で、1000個アレイ状に縦横配列している場合で、撮像素子Eが10mm×10mmの場合、
ΔE = 0.01mm
E = 0.01×1000 =10mm
WE2E4 = 10mm
HE1E2 = 0.1mm
となる。
【0020】
図25bの測定範囲□P1P2P4P3は、図25dの撮像素子上の撮像範囲□E1E2E4E3に撮像される。従って、幅方向の測定範囲WP2P4=1000mmは、撮像素子の撮像範囲WE2E4=10mmに撮像され、高さ方向の測定範囲 HP1P2=10mm は、撮像範囲 HE1E2 = 0.1mm に撮像される。従って、幅方向の分解能は、1000分の1(=0.01mm/10mm)であるのに対して、高さ方向の分解能は、10分の1(=0.01mm/0.1mm)となって、高さ方向の分解能が粗いとの問題があった。
【0021】
また、上記被測定物体の高さ方向の測定範囲が狭く、被測定物体の幅方向の測定範囲が広い場合において、不等倍率のレンズを用いて、被測定物体の高さ方向の測定範囲と幅方向の測定範囲を撮像素子上に撮像する場合において、高さ方向と幅方向の倍率を不等倍率にすることも考えられるが、不等倍率のレンズが非常に高価であるという問題があった。
【0022】
また、以上のように構成されているので、撮像装置によって撮像されたスリット光の像の光強度分布(明るさ)のレベル差が大きくなり、安定した測定ができないという問題があった。
例えば、図24bは、スリット光光源2の中心S から、被測定物体上の点Mcへ照射され、被測定物体を反射した光の一部が撮像装置Rへ入光する。照射角度θSと反射角度θRが同じ時、撮像装置3の中心Rへ入光する光量が最大となる。これを正反射と称する。同様にして、スリット光光源2の中心S から、被測定物体上の点M1へ照射され、正反射方向へ反射する方向をR1とする。同様にして、スリット光光源2の中心S から、被測定物体上の点Miへ照射され、正反射方向へ反射する方向をRiとする。
【0023】
被測定物体の幅を1000mm、スリット光光源の設置高さを1000mm、スリット光光源と被測定物体上のスリット光照射位置との搬送方向の距離を1000mm、撮像装置の設置高さを1000mm、撮像装置とスリット光照射位置との搬送方向の距離を1000mmとする。図24aは、上記条件において、正反射角度をゼロとし、正反射に対する角度∠RMiRiに対する、撮像装置Rにおける相対光量を示す。図24cの測定位置の角度∠RMiRiと、図24aの相対受光量から、400倍以上の光量の大きなレベル差があることがわかった。
【0024】
また、以上のように構成されているので、撮像装置によって撮像されたスリット光の像の光強度(明るさ)のレベルが低くなり、安定した測定ができないという問題があった。
【0025】
上記と同様にして、例えば、図28aは、スリット光光源2の中心S から、被測定物体上の点M1へ照射され、正反射方向へ反射する方向をR1とする。同様にして、スリット光光源2の中心S から、被測定物体上の点Miへ照射され、正反射方向へ反射する方向をRiとする。
【0026】
被測定物体の幅を1000mm、スリット光光源の設置高さを1000mm、スリット光光源と被測定物体上のスリット光照射位置との搬送方向の距離を0mm、撮像装置の設置高さを1000mm、撮像装置とスリット光照射位置との搬送方向の距離を1000mmとする。図24aは、上記条件において、正反射角度をゼロし、正反射に対する角度∠RMiRiに対する、撮像装置Rにおける相対受光量を示す。図28bの測定位置の角度∠RMiRiと、図24aの相対受光量から、被測定物体の幅方向の端部の光量は、正反射方向に比べ2000分の1以下の低光量レベルである。
【0027】
図29に示す従来の形状測定装置は、以上のように構成されているので、被測定物体表面が鏡面のような反射率特性を持つ必要があり、被測定物体の表面が錆びていたり、汚れたりしていると撮像装置3で虚像を撮像できないという問題があった。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、安価でかつ幅方向に高い分解能を有することができ、高精度に被測定物体の形状を測定することができる形状測定装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本願発明に係る形状測定装置は、
被測定物体の搬送方向に平行な直線と垂直の第1の平面内に配置され、上記第1の平面内の被測定物体表面の幅方向へスリット状の光を照射するスリット光光源と、
上記第1の平面と垂直な第2の平面であってかつ被測定物体の表面に垂直な第2の平面に対して上記スリット光光源と反対側であって、かつ、上記第1の平面から外れた位置に配置され、上記スリット光光源から上記被測定物体に照射されかつ上記被測定物体から反射される上記被測定物体上のスリット状の光を上記被測定物体の幅方向と高さ方向の所定の測定範囲について撮像する撮像装置と、
この撮像装置に接続されこの撮像装置で得た結像位置座標を上記被測定物体の測定位置座標に変換する座標変換器と、
被測定物体の幅方向に平行な直線と垂直の第2の平面内に配置され、上記第2の平面内の被測定物体表面の搬送方向へスリット状の光を照射するスリット光光源と、
上記第2の平面と垂直な第1の平面でかつ被測定物体の表面に垂直な第1の平面を介して上記スリット光光源と反対側であって、かつ、上記第2の平面から外れた位置に配置され、上記スリット光光源から上記被測定物体に照射されかつ上記被測定物体から反射される上記被測定物体上のスリット状の光を上記被測定物体の搬送方向と高さ方向の所定の測定範囲について撮像する撮像装置と、
この撮像装置に接続されこの撮像装置で得た結像位置座標を上記被測定物体の測定位置座標に変換する座標変換器と、
前記双方の座標変換器に接続された顕在形状演算器とを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0029】
本願発明に係る形状測定装置は、被測定物体に垂直でかつ幅方向にスリット状の光を照射するスリット光光源と、スリット光源と反対側に配置される撮像装置と、被測定物体に垂直でかつ搬送方向にスリット状の光を照射するスリット光光源と、スリット光源と反対側に配置される撮像装置と、撮像素子上の結像座標を被測定物体の測定座標に変換する座標変換器と、顕在形状演算器を備えたので、被測定物体が搬送中に振動しても、振動に影響されず、かつ安価でかつ幅方向に高分解能な形状測定装置が得られる。
本願発明の他の特徴と効果については以下にさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明の実施の形態1を示す構成図
【図2a】この発明の実施の形態1を示す平面図
【図2b】この発明の実施の形態1を示す側面図
【図2c】この発明の実施の形態1を示す側面図
【図3a】この発明の実施の形態1を示す被測定物体1aの測定位置説明図
【図3b】この発明の実施の形態1を示す被測定物体1bの測定位置説明図
【図4a】この発明の実施の形態1を示す被測定物体反射特性図例
【図4b】この発明の実施の形態1を示す光反射角度説明図
【図4c】この発明の実施の形態1を示す光反射角度説明図
【図4d】この発明の実施の形態1を示す正反射方向説明図
【図5a】この発明の実施の形態1を示す撮像装置測定範囲説明図
【図5b】この発明の実施の形態1を示す撮像装置測定範囲説明図
【図6a】この発明の実施の形態1を示す撮像素子上測定範囲
【図6b】この発明の実施の形態1を示す形状測定装置測定範囲
【図7】この発明の実施の形態2を示す構成図
【図8a】この発明の実施の形態2を示す平面図
【図8b】この発明の実施の形態2を示す側面図
【図8c】この発明の実施の形態2を示す側面図
【図9】この発明の実施の形態3を示す構成図
【図10a】この発明の実施の形態3を示す平面図
【図10b】この発明の実施の形態3を示す側面図
【図10c】この発明の実施の形態3を示す側面図
【図11】この発明の実施の形態4を示す構成図
【図12a】この発明の実施の形態4を示す平面図
【図12b】この発明の実施の形態4を示す側面図
【図12c】この発明の実施の形態4を示す側面図
【図13a】この発明の実施の形態5を示す平面図
【図13b】この発明の実施の形態5を示す側面図
【図13c】この発明の実施の形態5を示す側面図
【図14】この発明の実施の形態6を示す構成図
【図15a】この発明の実施の形態6を示す平面図
【図15b】この発明の実施の形態6を示す側面図
【図15c】この発明の実施の形態6を示す側面図
【図16】この発明の実施の形態6を示す顕在形状演算器の説明図
【図17】この発明の実施の形態7を示す構成図
【図18a】この発明の実施の形態7を示す平面図
【図18b】この発明の実施の形態7を示す側面図
【図18c】この発明の実施の形態7を示す側面図
【図19】従来の形状測定装置(その1)を示す構成図
【図20a】従来の形状測定装置(その1)を示す平面図
【図20b】従来の形状測定装置(その1)を示す側面図
【図20c】従来の形状測定装置(その1)を示す側面図
【図21】従来の形状測定装置(その2)を示す構成図
【図22a】従来の形状測定装置(その2)を示す平面図
【図22b】従来の形状測定装置(その2)を示す側面図
【図22c】従来の形状測定装置(その2)を示す側面図
【図23a】従来の形状測定装置(その2)を示す被測定物体1aの測定範囲説明図
【図23b】従来の形状測定装置(その2)を示す被測定物体1bの測定範囲説明図
【図24a】従来の形状測定装置(その2)を示す被測定物体反射特性図例
【図24b】従来の形状測定装置(その2)を示す光反射角度説明図
【図24c】従来の形状測定装置(その2)を示す光反射角度説明図
【図25a】従来の形状測定装置(その2)を示す撮像装置測定範囲説明図
【図25b】従来の形状測定装置(その2)を示す撮像装置測定範囲説明図
【図25c】従来の形状測定装置(その2)を示す撮像装置測定範囲説明図
【図25d】従来の形状測定装置(その2)を示す撮像装置測定範囲説明図
【図26】従来の形状測定装置(その3)を示す構成図
【図27a】従来の形状測定装置(その3)を示す平面図
【図27b】従来の形状測定装置(その3)を示す側面図
【図27c】従来の形状測定装置(その3)を示す側面図
【図28a】従来の形状測定装置(その3)を示す光反射角度説明図
【図28b】従来の形状測定装置(その3)を示す光反射角度説明図
【図29】従来の形状測定装置(その4)を示す構成図
【発明を実施するための形態】
【0031】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図1、図2a、図2b、図2cに基づいて説明する。図1はこの発明の一実施の形態による形状測定装置を示す構成図であり、図1の形状測定装置において、スリット光光源2は、被測定物体1の表面にスリット状の光(以下スリット光という)を照射し、撮像装置3は、被測定物体1表面に照射されたスリット光を撮像し、座標変換器4は、撮像素子上の座標を被測定物体1の測定範囲の座標に変換し、表示装置5は、座標変換された撮像素子の像を表示する。
【0032】
図2aは、図1の構成図を、上方から見た状態を示す。図2bは、図1の構成図を、側面方向(搬送方向の後方)から見た状態を示す。図2cは、図1の構成図を、他の側面方向(搬送方向と直角方向)から見た状態を示す。図2aにおいて、センターライン6は被測定物体1の幅方向の中心で搬送方向に仮想した中心線である。図2aにおいて、スリット光光源2と、撮像装置3は、センターライン6を含む被測定物体1に垂直な平面を介して反対側に配置される。
【0033】
スリット光光源2は、被測定物体の搬送方向に平行な直線(例えばセンターライン6)と垂直の平面内に配置され、この平面内でスリット状の光を被測定物体表面の幅方向へ照射する。そして、撮像装置3は、図2a,図2cから分かるように、この平面から外れた位置に配置される。
【0034】
次にこの実施の形態1の動作について、図3a、3bに基づいて説明する。図3aは、被測定物体1aが搬送方向(図示矢印)に一定速度で搬送される場合において、スリット光光源2が被測定物体1aに照射されている位置を一定時間毎に示した、被測定物体1aの測定位置説明図である。図3aにおいて、被測定物体1aは、平坦な帯状体を示し、スリット光源の照射位置2a、2b、2c、2dは、一定時間毎に照射されている位置を示し、x1、x2、x3は、上記スリット光源の照射位置間距離を示す。
【0035】
図3bは、被測定物体1bが搬送方向に一定速度で搬送される場合において、上記図3aと同様にして、スリット光光源2が被測定物体1bに照射されている位置を一定時間毎に示した、被測定物体1bの測定位置説明図である。図3bにおいて、被測定物体1bは、平坦でない波をもった帯状体を示し、スリット光源の照射位置2a、2b、2c、2dは、一定時間毎に照射されている位置を示し、x1、x2、x3は、上記スリット光源の照射位置間距離を示す。
【0036】
次に、撮像装置3の受光量について、図4a、4b、4c、4dに基づいて説明する。図4aは、被測定物体1の相対反射特性の例を示した図である。図中の∠RMiRiは、正反射角度に対する撮像装置3の角度で、相対受光量は正反射方向の撮像装置の受光量を100%としたときの∠RMiRiの相対受光量を示す。
【0037】
図4dは、正反射方向を説明する説明図で、点S、Mi、Rが同一平面状にあり、かつ照射角度ΘSと反射角度ΘRが同じとき、Rの方向が正反射方向を示す。
【0038】
図4bは∠RMiRiについて示す反射角度説明図であり、スリット光光源の照射起点をS、スリット光光源2の起点Sから被測定物体1の幅方向に広がりをもって照射されるとき、被測定物体1の任意の照射位置をMiで示す。
【0039】
図4cは、本発明の実施形態1において、広がりをもつスリット光光源2の起点Sから、被測定物体1の幅方向の位置M1からMiへ照射された正反射方向R1からRiに対する、撮像装置3の位置Rの角度∠RMiRiを示す。
【0040】
次に、被測定物体1上の測定範囲について、図5a、5bに基づいて説明する。図5a、5bは撮像装置3の測定範囲を説明する図である。図5bは、被測定物体1上の本形状測定装置の測定範囲□P1P2P4P3を示し、測定範囲□P1P2P4P3のP1P2及びP3P4は被測定物体1の高さ方向を示す。測定範囲□P1P2P4P3のP1P3及びP2P4は被測定物体1の幅方向を示す。図5aに示すように、被測定物体1の測定範囲□P1P2P4P3は撮像装置3の撮像レンズ3a介して撮像素子3bに撮像される。
【0041】
次に図6a、6bに基づいて、被測定物体1上の測定範囲について説明する。図6aは撮像素子上の測定範囲、図6bは形状測定装置の測定範囲を示す。図6bは、被測定物体1上の本形状測定装置の図5bに示す測定範囲□P1P2P4P3を示しており、図6aは、上記測定範囲□P1P2P4P3が撮像レンズ3aを介して撮像素子3bに撮像される範囲を示す。
【0042】
次にこの実施の形態1の動作について説明する。
まず、図1及び図3a、3bにおいて、撮像装置3が、被測定物体1の表面に照射されたスリット光を撮像する。(被測定物体1の表面に凹凸がなければ直線となり、凹凸があればスリット光はゆがんだ線になる。)スリット光光源は、被測定物体1の搬送方向に平行な直線と垂直の平面内に配置され、上記平面内の被測定物体表面の幅方向へスリット状の光を照射するので、図3a及び図3bにおいて、被測定物体1aの如く平坦な場合であっても、被測定物体1bの如く凹凸波の場合であっても、被測定物体の形状にかかわらず、照射位置間距離x1、x2、x3が一定になることを示す。平坦度を定量的に表す数値は、凹凸波の高さと搬送方向の距離の比で表されるため、照射位置間距離が一定であることは、平坦度を正確に測定できることである。
【0043】
次に、図4a、4b、4cにおいて、撮像装置3は、スリット光が照射する平面と垂直な平面でかつ被測定物体の表面に垂直な平面(例えばセンターライン6を含む、被測定物体1に垂直な面)を介してスリット光光源と反対側に配置されるので、高い受光量が得られかつ撮像範囲内で受光量の差が小さくなり、充分な受光量が得られるため、安定した測定ができる。図4cから、この実施形態1によれば、測定範囲における∠RMiRiが小さくかつ角度差も小さいことがわかる。すなわち、図4aに置き換えれば、受光レベルが高くかつ受光レベル差が小さいため、充分で安定した受光量が得られる。
【0044】
次に、図5a、5bにおいて、撮像装置3は、スリット光が照射する平面と垂直な平面でかつ被測定物体の表面に垂直な平面を介してスリット光光源と反対側に配置されるので、測定範囲□P1P2P4P3において、幅方向範囲に比べ高さ方向範囲が非常に小さい場合であっても(P1P2>>P1P3)、被測定物体1の幅方向と高さ方向の視野角の差が小さくなり、高さ方向に高い分解能が得られる。
【0045】
次に、図6a、6bにおいて、撮像素子3b上の結像位置座標は、図6aで表され、図6aの座標を図6bの被測定物体の測定範囲座標に変換される。
【0046】
なお、上記実施形態の1では、スリット光光源は、被測定物体の搬送方向に平行な直線と垂直の平面内に配置され、上記平面内の被測定物体表面の幅方向へスリット状の光を照射するように配置したが、上記被測定物体の搬送方向に平行な直線と垂直の平面内に配置されなくても、被測定物体の幅方向にスリット状の光を照射すれば良い。すなわち、被測定物体表面の幅方向へスリット状の光を照射するスリット光光源と、被測定物体の搬送方向に平行な直線と垂直の平面に対して垂直な平面であってかつ被測定物体の表面に垂直な平面に対して上記スリット光光源と反対側に配置され、上記被測定物体上のスリット状の光を撮像する撮像装置とを備えた形状測定装置でも良い。また、被測定物体表面の幅方向へスリット状の光を照射するスリット光光源と、上記被測定物体上のスリット状の光を撮像する撮像装置とを備えた形状測定装置でも良い。
【0047】
以上説明したように、実施の形態1に係る形状測定装置は、被測定物体に垂直でかつ幅方向にスリット状の光を照射するスリット光光源と、スリット光源と反対側に配置される撮像装置と、撮像素子上の結像座標を被測定物体の測定座標に変換する座標変換器とを備えたので、安価でかつ幅方向に高分解能な形状測定装置が得られる。
【0048】
実施の形態2.
以下、この発明の実施の形態2について図7、図8a、図8b、図8cに基づいて説明する。図7はこの発明の一実施の形態による形状測定装置を示す構成図であり、図7、図8a、図8b、図8cにおいて、図1、図2a、図2b、図2cと同一符号は同一または相当部分を示すので、その説明は省略する。
【0049】
実施の形態2は、スリット光光源2と被測定物体1の間に、光透過率分布フィルタ7が設けられる点で実施の形態1と相違する。
【0050】
図7において、光透過率分布フィルタ7はスリット光光源2と被測定物体1の間に設けられ、スリット光光源2から広がりをもって被測定物体1の幅方向に照射される。光透過率分布フィルタ7は、スリット光の広がり方向に透過率分布を有し、被測定物体1上に照射されたスリット光の広がり方向に光強度分布を有する。被測定物体1を反射した光は、撮像装置3に受光する。
【0051】
次に動作について説明する。
光透過率分布フィルタ7の光透過率分布は、図4c、図4aに示す∠RMiRi及び被測定物体の反射特性に対応して透過率が設けられ、被測定物体の幅方向からのスリット光の反射受光量のレベル差が小さくなり、安定した受光レベルが得られる。言い換えれば、光透過率分布フィルタ7の光透過率分布は、被測定物体の幅方向からのスリット光の反射受光量のレベル差が小さくなるように設定される。
【0052】
以上説明したように、実施の形態2に係る形状測定装置は、被測定物体に照射するスリット光光源と被測定物体との間に、光透過率分布フィルタを備えたので、安価でかつ幅方向に安定した撮像信号が得られ安定した測定ができるとともに、幅方向に高分解能な形状測定装置が得られる。
【0053】
実施の形態3
以下、この発明の実施の形態3について、図9、図10a、図10b、図10cに基づいて説明する。図9はこの発明の一実施例による形状測定装置を示す構成図であり、図9、図10a、図10b、図10cにおいて、図1、図2a,図2b、図2cと同一符号は同一または相当部分を示すので、その説明は省略する。
【0054】
実施の形態1では、スリット光光源2を被測定物体1に照射する場合についての述べたが、実施の形態3は、スポット状の光を照射するスポット光光源20と、上記光スポット光を被測定物体1の幅方向に光走査する光走査装置8を設けた点において、実施の形態1と相違する。なお、実施の形態3における撮像装置3は、光走査装置8によって、被測定物体の幅方向に走査する時間を撮像蓄積時間とし、光走査繰り返し時間を撮像周期としている。
【0055】
次に動作について説明する。
実施の形態1では、スリット光光源2を被測定物体1に照射する場合についての述べたが、実施の形態3は、スポット状の光を照射するスポット光光源20と、上記光スポット光を被測定物体1の幅方向に光走査する光走査装置8を設けたので、スリット状の光が幅方向に光強度レベル差を有するのに対し、スポット光を光走査装置8を用いて光走査することによって、被測定物体上に一定の光強度の光スポットを照射することができる。これにより、被測定物体の幅方向からのスリット光の反射受光量のレベル差がなくなり、安定した受光レベルが得られる。
【0056】
以上説明したように、実施の形態3に係る形状測定装置は、被測定物体に垂直でかつ幅方向に光スポットを光走査する光走査装置と、スポット光光源の光走査装置と反対側に配置される撮像装置と、撮像素子上の結像座標を被測定物体の測定座標に変換する座標変換器とを備えたので、安価でかつ幅方向に高分解能な形状測定装置が得られる。
【0057】
実施の形態4
以下、この発明の実施の形態4について、図11、図12a、図12b、図12cに基づいて説明する。図11はこの発明の一実施の形態による形状測定装置を示す構成図であり、図11、図12a、図12b、図12cにおいて、図9と同一符号は同一または相当部分を示すので、その説明は省略する。
【0058】
実施の形態4は、スポット光光源8の光強度を変調する光強度変調装置9が設けられる点で実施の形態3と相違する。
【0059】
図11において、スポット光光源20の光強度を変調する光強度変調装置9は、被測定物体1の幅方向に照射される光スポットの光強度を変調するもので、被測定物体1を反射した光は、撮像装置3に受光する受光量のレベルは、上記光強度変調と∠RMiRiの反射率によって決まる。
【0060】
次に動作について説明する。
上記光強度変調装置9によって変調される光強度は、図4c、図4aに示す∠RMiRi及び被測定物体の反射特性に対応して光強度レベルが設けられ、被測定物体の幅方向からのスリット光の反射受光量のレベル差が小さくなり、安定した受光レベルが得られる。言い換えれば、光強度変調装置9、被測定物体の幅方向からのスリット光の反射受光量のレベル差が小さくなるように変調される。
【0061】
以上説明したように、実施の形態4に係る形状測定装置は、スポット光源の光強度分布を変調する光変調器を備えたので、安価でかつ幅方向に安定した撮像信号が得られ安定した測定ができるとともに、幅方向に高分解能な形状測定装置が得られる。
【0062】
実施の形態5
以下、この発明の実施の形態5について、図13a、図13b、図13cに基づいて説明する。図13a、図13b、図13cはこの発明の一実施の形態による形状測定装置を示す配置図であり、図13a、図13b、図13cにおいて、図1、図2a、図2b、図2cと同一符号は同一または相当部分を示すので、その説明は省略する。
【0063】
実施の形態5において、撮像装置3は撮像レンズ3a、撮像素子3bを有しており、撮像装置3は、撮像レンズ3aを介して、被測定物体の高さ方向にピントが一致するように配置し、かつ被測定物体の幅方向にピントが一致するように配置される点で実施の形態1と相違する。
【0064】
次に動作について説明する。
図13a及び図13bにおいて、被測定物体1に照射されたスリット光の幅方向の遠領域と近領域とが同時にピントが合うように、撮像素子3bは傾きをもって配置され、かつ図13cにおいて、被測定物体1に照射されたスリット光の高さ方向の遠領域と近領域とが同時にピントが合うように、撮像素子3bは傾きをもって配置される。上記のように撮像装置3の撮像素子3bを配置すると、被測定物体の幅方向の遠近領域、高さ方向の遠近領域の全領域において、ピントが合う鮮明なスリット像が得られる。
【0065】
以上説明したように、実施の形態5に係る形状測定装置は、照射されたスリット光または光走査されたスポット光の被測定物体の幅方向にピントが合うように撮像素子を配置し、照射されたスリット光または光走査されたスポット光の被測定物体の高さ方向にピントが合うように撮像素子を配置したので、安価でかつ幅方向に安定した撮像信号が得られ安定した測定ができるとともに、幅方向に高分解能な形状測定装置が得られる。
【0066】
実施の形態6
以下、この発明の実施の形態6について、図14、図15a、図15b、図15cに基づいて説明する。図14はこの発明の一実施の形態による形状測定装置を示す構成図であり、図14、図15a、図15b、図15cにおいて、図1、図2a,図2b、図2cと同一符号は同一または相当部分を示すので、その説明は省略する。
【0067】
実施の形態6では、実施の形態1と同様に、被測定物体の幅方向にスリット光を照射し、被測定物体の幅方向の凹凸を測定するための、スリット光光源2、撮像装置3、座標変換器4を含む凹凸測定器10を備えるとともに、さらに次のような被測定物体1の搬送方向の凹凸を測定する凹凸測定器10bを備える。
【0068】
すなわち、実施の形態6では、被測定物体1の幅方向に平行な直線と垂直の平面内に配置され、上記平面内の被測定物体表面の搬送方向へスリット状の光を照射するスリット光光源2bと、上記平面と垂直な平面でかつ被測定物体1の表面に垂直な平面を介して上記スリット光光源と反対側に配置され、上記被測定物体上のスリット状の光を撮像する撮像装置3bと、被測定物体1の測定位置座標に変換する座標変換器4と、顕在形状演算器41を設ける点で、実施の形態1と相違する。すなわち、被測定物体の幅方向の凹凸を測定する凹凸測定器10と、被測定物体1の搬送方向の凹凸を測定する凹凸測定器10bと、上記凹凸測定器10,10bから顕在化形状演算器41によって、顕在化形状の演算結果が得られる。
【0069】
次に動作について説明する。
図16は、被測定物体の座標を示す。図16において、被測定物体1の幅方向及び搬送方向をw軸及びl軸として、被測定物体1の凹凸高さを、H(w、l)で表す。次に、一定速度で搬送される被測定物体1の幅方向に照射されるスリット光を、一定周期で撮像するときの高さ測定結果の分布をH(t、w、l)で表す。
【0070】
ここで、
t :時刻
w :幅方向の座標
l :搬送方向の座標(搬送方向と逆方向をプラス方向とする。)
とする。
上記の高さ分布H(t、w、l)は時刻tにおける高さ分布を表し、搬送時の被測定物体1の高さ方向の振動を時刻tの関数として、V(t)で表す。
V(t)で振動しながら、一定速度(v=Δl/Δt)で搬送される被測定物体1を幅方向測定の凹凸測定器10で、測定した結果は以下のように表される。
【0071】
H(0 、 w、0 )= H(w、0 )+V(0) (1a)
H(Δt、 w、Δl )= H(w、Δl )+V(Δt) (1b)
H(Δt・2、w、Δl・2 )= H(w、Δl・2)+V(Δt・2) (1c)


H(Δt・i、w、Δl・i )= H(w、Δl・i)+V(Δt・i) (1i)


H(Δt・j、w、Δl・j )= H(w、Δl・j)+V(Δt・j) (1j)


H(Δt・k、w、Δl・k )= H(w、Δl・k)+V(Δt・k) (1k)
【0072】
一方、V(t)で振動しながら、一定速度(v=Δl/Δt)で搬送される被測定物体1を搬送方向の凹凸測定器10で、測定した結果は以下のように表される。
【0073】
H(0、w1、 l1 )= H(w1、l1 )+V(0) (2a)
H(Δt・i、w1、Δl・i )= H(w1、l2)+V(Δt・i) (2i)
H(Δt・j、w1、Δl・j )= H(w1、l3)+V(Δt・j) (2j)
【0074】
ここで、
0 ≦ l1 ≦ Δl・i
Δl・i ≦ l2 ≦ Δl・j
Δl・j ≦ l3 ≦ Δl・k = L
Δl・k = L
W1は定数で、搬送方向の凹凸測定器の測定位置を表す。
ここで、同時刻tにおける上記式は、凹凸測定器が同時刻に測定していることを表す。
【0075】
次に、V(0)=C (Cは定数)とし、搬送方向の凹凸測定器10で測定された結果と、幅方向の凹凸測定器10で測定した結果から、下記式が得られる。
H(Δt、w1、Δl )− H(0、w1、Δl )= V(Δt)−V(0) (3a)
H(Δt、w、Δl )−{ H(Δt、w1、Δl )− H(0、w1、Δl)}
= H(Δt、w、Δl )−{V(Δt)−V(0)} (3b)
= H(w、Δl )+ V(0) (3c)
= H(w、Δl )+ C (3d)
従って、搬送方向の凹凸測定器10で測定された結果と、幅方向の凹凸測定器10で測定した結果から、振動V(t)を除去し、定数C上の凹凸結果H(w、l )が得られる。
【0076】
上記実施の形態6においては、スリット光光源を用いた一実施の形態の場合について述べたが、実施の形態3または4に示すように、スリット光光源の代わりに、スポット状の光を照射するスポット光源と、被測定物体の搬送方向に平行な直線と垂直の平面内に配置され、上記スポット光源から照射される光線を被測定物体表面の幅方向に走査する光走査装置とを用いても良い。
【0077】
以上説明したように、実施の形態6に係る形状測定装置は、被測定物体に垂直でかつ幅方向にスリット状の光を照射するスリット光光源と、スリット光源と反対側に配置される撮像装置と、被測定物体に垂直でかつ搬送方向にスリット状の光を照射するスリット光光源と、スリット光源と反対側に配置される撮像装置と、撮像素子上の結像座標を被測定物体の測定座標に変換する座標変換器と、顕在形状演算器を備えたので、被測定物体が搬送中に振動しても、振動に影響されず、かつ安価でかつ幅方向に高分解能な形状測定装置が得られる。
【0078】
実施の形態7
以下、この発明の実施の形態7について、図17、図18a、図18b、図18cに基づいて説明する。図17はこの発明の一実施の形態による形状測定装置を示す構成図であり、図17、図18a、図18b、図18cにおいて、図1、図2a、図2b、図2cと同一符号は同一または相当部分を示すので、その説明は省略する。
【0079】
実施の形態7は、実施の形態1と同様に、被測定物体1の搬送方向に平行な直線と垂直の平面内に配置され、上記平面内の被測定物体表面の幅方向へスリット状の光を照射するスリット光光源2と、上記平面と垂直な平面でかつ被測定物体1の表面に垂直な平面を介して上記スリット光光源と反対側に配置され、上記被測定物体上のスリット状の光を撮像する撮像装置3と、被測定物体1の測定位置座標に変換する座標変換器4を含む凹凸測定器10を設ける。さらにこれに加えて、被測定物体1の搬送方向に所定距離を置いて、同様な構成の凹凸測定器10cを設ける。そして、二つの座標変換器4と接続する顕在形状演算器41を設ける。
このように、被測定物体の搬送方向に異なる位置を測定する、被測定物体の幅方向の凹凸を測定する複数台の凹凸測定器10,10cを備え、上記複数台の凹凸測定器10,10cから顕在化形状演算器41によって、顕在化形状の演算結果が得られる。
【0080】
次に動作について説明する。
図17において、複数台の凹凸測定器10,10cにおいて、一定周期で撮像するときの高さ測定結果の分布をh(t、w、l)で表す。
ΔH(w、l1)=h(t1、w、l1+Δl)−h(t1、w、l1) (4a)
ΔH(w、l2)=h(t2、w、l2+Δl)−h(t2、w、l2) (4b)
ΔH(w、ln)=h(tn、w、ln+Δl)−h(tn、w、ln) (4c)
として、時刻tに無関係に、被測定物体の幅方向座標wと搬送方向座標lnにおける、被測定物体の傾きΔH(w、ln)が求まる。傾きを搬送方向に積算すると、H(w、ln)が得られ、振動に影響しない顕在形状が得られる。
【0081】
上記実施の形態7において、スリット光光源を用いた一実施の形態の場合について述べたが、実施の形態3または4に示すように、スリット光光源の代わりに、スポット状の光を照射するスポット光源と、被測定物体の搬送方向に平行な直線と垂直の平面内に配置され、上記スポット光源から照射される光線を被測定物体表面の幅方向に走査する光走査装置とを用いても良い。
【0082】
以上のように実施の形態7に係る形状測定装置は、被測定物体に垂直でかつ幅方向にスリット状の光を照射するスリット光光源と、スリット光光源と反対側に配置される撮像装置とを2セット設けたので、被測定物体が搬送中に振動しても、振動に影響されず、かつ安価で、かつ幅方向に高分解能な形状測定装置が得られる。
【符号の説明】
【0083】
1 被測定物体, 1a 被測定物体a, 1b 被測定物体b, 2 スリット光光源, 3 撮像装置, 3a 撮像レンズ, 3b 撮像素子, 4 座標変換器, 5 表示装置, 6 センターライン, 7 光透過率分布フィルタ, 8 光走査装置, 9 光源強度変調装置, 10 凹凸測定器, 20 スポット光光源, 21 変位演算器, 23 棒状光源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物体の搬送方向に平行な直線と垂直の第1の平面内に配置され、上記第1の平面内の被測定物体表面の幅方向へスリット状の光を照射するスリット光光源と、
上記第1の平面と垂直な第2の平面であってかつ被測定物体の表面に垂直な第2の平面に対して上記スリット光光源と反対側であって、かつ、上記第1の平面から外れた位置に配置され、上記スリット光光源から上記被測定物体に照射されかつ上記被測定物体から反射される上記被測定物体上のスリット状の光を上記被測定物体の幅方向と高さ方向の所定の測定範囲について撮像する撮像装置と、
この撮像装置に接続されこの撮像装置で得た結像位置座標を上記被測定物体の測定位置座標に変換する座標変換器と、
被測定物体の幅方向に平行な直線と垂直の第2の平面内に配置され、上記第2の平面内の被測定物体表面の搬送方向へスリット状の光を照射するスリット光光源と、
上記第2の平面と垂直な第1の平面でかつ被測定物体の表面に垂直な第1の平面を介して上記スリット光光源と反対側であって、かつ、上記第2の平面から外れた位置に配置され、上記スリット光光源から上記被測定物体に照射されかつ上記被測定物体から反射される上記被測定物体上のスリット状の光を上記被測定物体の搬送方向と高さ方向の所定の測定範囲について撮像する撮像装置と、
この撮像装置に接続されこの撮像装置で得た結像位置座標を上記被測定物体の測定位置座標に変換する座標変換器と、
前記双方の座標変換器に接続された顕在形状演算器とを備えることを特徴とする形状測定装置。
【請求項2】
被測定物体の搬送方向に平行な直線と垂直の第1の平面内に配置され、上記第1の平面内の被測定物体表面の幅方向へスリット状の光を照射するスリット光光源と、
上記第1の平面と垂直な第2の平面であってかつ被測定物体の表面に垂直な第2の平面に対して上記スリット光光源と反対側であって、かつ、上記第1の平面から外れた位置に配置され、上記スリット光光源から上記被測定物体に照射されかつ上記被測定物体から反射される上記被測定物体上のスリット状の光を上記被測定物体の幅方向と高さ方向の所定の測定範囲について撮像する撮像装置と、
この撮像装置に接続されこの撮像装置で得た結像位置座標を上記被測定物体の測定位置座標に変換する座標変換器と、
被測定物体の搬送方向に隔たった位置で、被測定物体の搬送方向に平行な直線と垂直の第3の平面内に配置され、上記第3の平面内の被測定物体表面の幅方向へスリット状の光を照射するスリット光光源と、
上記第3の平面と垂直な第4の平面であってかつ被測定物体の表面に垂直な第4の平面に対して上記スリット光光源と反対側であって、かつ、上記第3の平面から外れた位置に配置され、上記スリット光光源から上記被測定物体に照射されかつ上記被測定物体から反射される上記被測定物体上のスリット状の光を上記被測定物体の幅方向と高さ方向の所定の測定範囲について撮像する撮像装置と、
この撮像装置に接続されこの撮像装置で得た結像位置座標を上記被測定物体の測定位置座標に変換する座標変換器と、
前記双方の座標変換器に接続された顕在形状演算器とを備えることを特徴とする形状測定装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図9】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【図11】
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【図12a】
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【図12b】
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【図12c】
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【図13a】
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【図13b】
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【図13c】
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【図14】
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【図15a】
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【図15b】
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【図15c】
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【図16】
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【図17】
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【図18a】
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【図18b】
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【図18c】
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【図19】
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【図20a】
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【図20b】
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【図20c】
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【図21】
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【図22a】
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【図22b】
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【図22c】
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【図23a】
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【図23b】
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【図24a】
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【図24b】
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【図24c】
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【図25a】
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【図25b】
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【図25c】
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【図25d】
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【図26】
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【図27a】
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【図27b】
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【図27c】
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【図28a】
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【図28b】
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【図29】
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【公開番号】特開2012−252017(P2012−252017A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−184686(P2012−184686)
【出願日】平成24年8月24日(2012.8.24)
【分割の表示】特願2006−339114(P2006−339114)の分割
【原出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(501137636)東芝三菱電機産業システム株式会社 (904)
【Fターム(参考)】