説明

微小異物除去用粘着剤

【課題】 適度な粘着性と、優れた剥離性とを兼ね備えたポリウレタン組成物からなる微小異物除去用粘着剤の提供。
【解決手段】 本発明のポリウレタン組成物からなる微小異物除去用粘着剤は、水酸基価が20〜200mgKOH/gであり、平均官能基数が2.5〜4.0であり、EO含量が8〜20%である、ポリエーテルポリオールと、平均官能基数が2.0〜2.5である芳香族ポリイソシアネートとを架橋反応させて得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン組成物からなる微小異物除去用粘着剤に関する。更に詳しくは、例えば、OA機器、半導体ウエハ表面等に付着した微小な異物を除去する際に用いられる粘着剤として好適に使用されるポリウレタン組成物からなる微小異物除去用粘着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、OA機器、半導体ウエハ表面等に付着した微小な異物を除去する方法として、粘着剤を基材上に塗布したものや、支持棒の先端に塗布したもの等を用いて、粘着剤に異物を付着させる方法が提案されている。具体例として、支持棒の先端部に、略球状のウレタン系粘着剤等からなる粘着除去部が形成されたスティック状のものが挙げられる(特許文献1参照)。
【0003】
上記の用途に用いられる粘着剤は、微小な異物を除去し得る適度な粘着性と、異物を除去しようとするOA機器、半導体ウエハ表面等の対象物に糊残りが生じることのない優れた剥離性を同時に発揮することが要求され、このような性質を有するウレタン系粘着剤の開発が進められている。しかしながら、適度な粘着性と、優れた剥離性とを同時に具備するウレタン系接着剤は得られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−166853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、適度な粘着性と、優れた剥離性とを兼ね備えたポリウレタン組成物からなる微小異物除去用粘着剤の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、水酸基価が20〜200mgKOH/gであり、平均官能基数が2.5〜4.0であり、EO含量が8〜20%である、ポリエーテルポリオールと、平均官能基数が2.0〜2.5である芳香族ポリイソシアネートとを架橋反応させて得られるポリウレタン組成物からなる、微小異物除去用粘着剤に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のポリウレタン組成物からなる微小異物除去用粘着剤は、適度な粘着性と優れた剥離性とを同時に具備するものである。従って、本発明のポリウレタン組成物からなる微小異物除去用粘着剤は、特に、OA機器、半導体ウエハ表面等に付着した微小な異物を除去する際に用いられる粘着剤として、好適に使用し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例3で得られたポリウレタン組成物からなる粘着部を、半導体ウエハ表面に軽く押し当ててから剥離するという操作を数回行った場合における、操作前後の半導体ウエハの表面状態を示すマイクロスコープ写真(倍率:150倍)である。
【図2】比較例5で得られたポリウレタン組成物からなる粘着部を、半導体ウエハ表面に軽く押し当ててから剥離するという操作を数回行った場合における、操作前後の半導体ウエハの表面状態を示すマイクロスコープ写真(倍率:150倍)である。
【図3】比較例15で得られたポリウレタン組成物からなる粘着部を、半導体ウエハ表面に軽く押し当ててから剥離するという操作を数回行った場合における、操作前後の半導体ウエハの表面状態を示すマイクロスコープ写真(倍率:150倍)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のポリウレタン組成物は、ポリオール、若しくはポリオールを含むプレミックスと、イソシアネートを反応させることによって得られる。
【0010】
ポリオールとしては、分子中にヒドロキシル基を2個以上有するものであれば特に限定されず、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリル系ポリオール、ヒマシ油系ポリオール、シリコーン系ポリオール、エチレン性不飽和単量体で変性された重合体ポリオール等が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0011】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、多価アルコール、ビスフェノール類、脂肪族アミン、芳香族アミンなどの活性水素化合物にアルキレンオキサイドを開環付加反応させて得られる化合物が挙げられる。
【0012】
ポリエーテルポリオールに用いられる多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロへキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。ビスフェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等が挙げられる。脂肪族アミンとしては、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等が挙げられる。芳香族アミンとしては、例えば、2,4-ジアミノトルエン(TDA)、1,2-フェニレンジアミン、1,3-フェニレンジアミン、1,4-フェニレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、1,2-キシレンジアミン、1,3-キシレンジアミン、1,4-キシレンジアミン、2,4’-ジアミノジフェニルメタン(MDA)、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、ナフチレン-1,5-ジアミン、3, 3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。上記の活性水素化合物は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0013】
ポリエーテルポリオールに用いられるアルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0014】
ポリエステルポリオールとしては、ポリカルボン酸と多価アルコールを縮合反応させて得られる化合物が挙げられる。
【0015】
ポリエステルポリオールに用いられるポリカルボン酸としては、例えば、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、酒石酸、セバシン酸、シュウ酸、フタル酸、テレフタル酸、アゼライン酸、トリメリット酸等が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0016】
ポリエステルポリオールに用いられる多価アルコールとしては、上記で記載したポリエーテルポリオールで用いられる多価アルコールと同様のものを用いることができる。
【0017】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリブタンジオールカーボネート、ポリ-3-メチルペンタンジオールカーボネート、ポリヘキサンジオールカーボネート、ポリノナンジオールカーボネート、ポリブタンジオールヘキサンジオールカーボネート、ポリペンタンジオールヘキサンジオールカーボネート等が挙げられる。
【0018】
ポリラクトンポリオールとしては、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオール、ポリ-3-メチルバレロラクトンジオール等が挙げられる。
【0019】
ポリオレフィンポリオールとしては、ポリブタジエングリコール、ポリイソプレングリコールまたはその水素化物等が挙げられる。
【0020】
なお、シリコーン系ポリオールとは、ポリシロキサン主鎖に水酸基を導入したものである。また、導入した水酸基は、ポリシロキサン主鎖の両末端、または片末端にあればよい。
【0021】
本発明の課題である、適度な粘着性と優れた剥離性とを同時に具備したポリウレタン組成物を得るためには、ポリオールの平均官能基数及び水酸基価と後述するイソシアネートの平均官能基数を調節すればよい。
【0022】
ポリオールの平均官能基数は、架橋密度を高めて硬化性を高める観点、及び優れた剥離性を付与する観点から、2.5〜4.0であり、好ましくは2.5〜3.0である。
【0023】
上記に加え、ポリオールの水酸基価は、得られるポリウレタン組成物に適度な粘着性と優れた剥離性を付与する観点から、20〜200mgKOH/gであり、好ましくは28〜160mgKOH/gである。
【0024】
これらのポリオールの中でも、得られるポリウレタン組成物の耐久性の観点から、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールが好ましく用いられ、さらに、製造時の作業性、経済性の観点から、ポリエーテルポリオールが特に好ましく用いられる。
【0025】
上記プレミックスには、ポリオール以外に消泡剤、触媒、添加剤が必要に応じて適宜含まれていてもよい。
【0026】
消泡剤は、後述するが、得られたウレタン組成物を支持棒の端部に塗布したり、基材上に塗布したりする際に、泡が混入して外観不良となるのを防ぐために、必要に応じて添加する助剤であり、例えば、シリコーン油(ポリジメチルシロキサン)、変性シリコーン油等のシリコーン系消泡剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤;アマイド系消泡剤;シリカシリコーン系消泡剤;金属石鹸系消泡剤;灯油、鉱物油類等が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0027】
消泡剤の配合量は、その種類等によって異なるが、上記ポリオール100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。
【0028】
触媒は、ポリオールとイソシアネートとの反応を効率的に進めて、反応物の硬化を促進するために、必要に応じて用いられるものであり、例えば、スタナスオクトエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫オキサイド、ニッケルアセチルアセトネート、オクチル亜鉛等の有機金属系化合物;トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7、1,5-ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン-5、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノメチルフェノール、1,2-ジメチルイミダゾール等の第三級アミン系化合物;前記第三級アミン系化合物とカルボン酸や炭酸等の酸との塩等が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0029】
触媒の配合量は、その種類によって異なるが、上記ポリオール100重量部に対して、好ましくは0.001〜5重量部、より好ましくは0.01〜1重量部である。
【0030】
添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、着色防止剤、抗菌防かび剤、難燃剤、充填剤、顔料等が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。なお、上記添加剤は本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて添加されるものである。
【0031】
上記イソシアネートとしては、末端にイソシアネート基を2つ以上有するものであれば特に限定されず、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、4, 4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2, 2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2, 4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’-ジクロロ-4, 4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート及びその水素添加物;1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;イソシアヌレート結合、カルボジイミド結合、ウレタン結合、尿素結合、ビューレット結合、アロファネート結合等を1種以上有する前記ポリイソシアネート変性物等が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0032】
また、イソシアネートの平均官能基数は、得られるポリウレタン組成物に適度な粘着性を付与する観点から、2〜2.5である。
【0033】
ポリウレタン組成物の製造方法としては、公知の製造方法であれば特に限定されず、例えば、ポリオール、又はポリオールにその他の成分を適宜添加して混合したプレミックスと、イソシアネートとを、20〜50℃程度にて、混合、攪拌を行った後、脱泡処理を行う方法等が挙げられる。
【0034】
ポリオールとイソシアネートとの反応に際しては、架橋密度を高めて反応物の硬化性を高める観点、及び得られるポリウレタン組成物に適度な粘着性と優れた剥離性とを付与する観点から、両者の配合割合は、イソシアネートインデックスが70〜120になるように調製することが好ましく、より好ましくは80〜110である。
【0035】
本発明のポリウレタン組成物は、OA機器、半導体ウエハ、半導体パッケージ、光学部材(レンズ、光ファイバー等)、プリント基板、フィルム、タッチパネル、液晶・PDPパネル、ハードディスク関連(ハードディスク部材等)、通信機器、医療機器等の表面に付着した微小な異物を除去する際に用いられる、異物除去具の粘着部を構成するものとして、好適に使用される。中でも、半導体ウエハ表面に付着した微小な異物を除去する際に用いられる、異物除去具の粘着部を構成するものとして、特に好適に使用される。
【0036】
異物除去具としての具体的な使用態様としては、例えば、支持棒の少なくとも一端に、上記で得られた脱泡処理後のポリウレタン組成物を、略球状等にディップコート法等により塗布して、20〜160℃、1分〜24時間の条件で硬化させることにより粘着部を形成し、スティック状として使用する態様が挙げられる。用いる支持棒の材質としては、紙製、木製、金属製もしくはプラスチック製のものが好適に用いられる。
【0037】
なお、前記支持棒の端部に設けられた粘着部は、塊状にした綿繊維、プラスチックビーズ等からなる芯部をあらかじめ形成してから、この芯部表面に、上記で得られたポリウレタン組成物を塗布することにより構成されてもよい。
【0038】
異物除去具としての他の使用態様として、基材上に、上記で得られたポリウレタン組成物を塗布して、20〜160℃、1分〜24時間の条件で硬化させることにより粘着部を層状に形成し、シート状として使用する態様が挙げられる。また、他方の面が剥離可能とされてロール状とされた基材を用いることで、ロール状として使用する態様等も挙げられる。なお、これらに使用される基材としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、セロハン等のプラスチックフィルムや、紙類等が挙げられる。
【実施例】
【0039】
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0040】
(実施例1〜14及び比較例1〜20)
ポリオール成分として表1に示すポリオール1〜17を用い、イソシアネート成分として表2に示すイソシアネートA,Bを用いた。また、両成分の組合せについては、表3に示すとおりである。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
【表3】

【0044】
表1に示すポリオールに、消泡剤として非イオン界面活性剤〔サンノプコ株式会社製、商品名:SNデフォーマー260〕、触媒として第三級アミン系触媒〔サンアプロ株式会社製、商品名:U−CAT SA1〕及び有機金属系触媒〔東京ファインケミカル株式会社製、商品名:L−101〕を表4に示す配合割合で混合、攪拌を行い、プレミックスを調製した。
【0045】
【表4】

【0046】
次に、得られたプレミックスに、表2に示すイソシアネートをイソシアネートインデックスが105となるように配合し、40℃にて混合、攪拌後、脱泡処理を行い、混合物を得た。ここで、得られた混合物の状態(色、ポリオール成分とイソシアネート成分との相溶性)を評価した。評価基準は以下の通りである。
[相溶性の評価基準]
○:透明、相溶性が良い △:濁色、相溶性が若干悪い ×:一部分離、相溶性が悪い
【0047】
上記で得られた混合物を、長さ5cm、直径2mmのアクリル製の棒の一端に、直径約2.5mmの略球状となるようにディップコート法で塗布した後に、80℃にて1時間放置し、粘着部を形成した。それを25℃で24時間放置して、放置後における混合物の硬化状態の評価を行った。評価基準は以下の通りである。
[硬化性の評価基準]
○:硬化 △:半硬化 ×:未硬化
【0048】
各実施例及び各比較例で得られた混合物の、粘着性及び剥離性の評価を、以下の方法に基づいて行った。
【0049】
A.粘着性
粘着部に、ステンレス製の板状標準おもりを押し当て、5秒以上持ち上げ可能な重量を測定することにより、混合物の粘着性を評価した。ここで、粘着部の標準おもりに対する接触面積は、約0.80mmであり、評価に用いた標準おもりの質量は、0.01g,0.03g,0.05g,0.08g,0.10g,0.30g,0.50g,0.80g及び1.00gである。なお、OA機器、半導体ウエハ表面等に付着した微小な異物の除去を行う場合には、本評価方法において0.01g以上の標準おもりを持上げることができれば充分である。
【0050】
B.剥離性
半導体ウエハ表面に、粘着部を軽く押し当て(粘着部の半導体ウエハ表面に対する接触面積は、0.80mm程度である)、剥離するという操作を数回行い、操作前後における半導体ウエハの表面状態を、デジタルマイクロスコープ〔株式会社キーエンス製、型番:VH6300〕を用い、倍率150倍にて観察した。そして、操作前後における観察写真から、半導体ウエハ表面に存在する異物の数の増減を調べることにより、混合物の剥離性を評価した。すなわち、操作後において、半導体ウエハ表面に存在する異物の数が減少している、もしくは同じ場合は、糊残りが生じず、反応物の剥離性が優れているということができる。
[剥離性の評価基準]
○:異物の数が減少、もしくは同じ、剥離性に優れる
×:糊残りが生じて異物の数が増加、剥離性に劣る
【0051】
実施例1〜6、参考例1〜8及び比較例1〜20で得られた混合物の粘着性及び剥離性についての評価結果を、相溶性及び硬化性の評価結果と共に表5に示す。
【0052】
【表5】

【0053】
表5に示すように、ポリオールとイソシアネートとの相溶性については、比較例11及び比較例19において若干悪かったものの、その他、全てにおいて良好であった。このことから、各実施例及び各比較例全てにおいて、良好な混合状態でポリウレタン組成物が生成したものと考えられる。
【0054】
また、各実施例、比較例1〜4及び比較例9〜15においては、良好な硬化性を示した。一方、比較例5〜6及び比較例16〜18においては、硬化が完全に進まず、比較例7〜8及び比較例19〜20に至っては、硬化が起こらなかった。
【0055】
表5に示す結果から、各実施例で得られたポリウレタン組成物は、OA機器、半導体ウエハ表面等に付着した微小な異物の除去を行う場合等に必要な粘着性と、優れた剥離性とを具備しているのがわかる。なお、実施例1〜6と参考例5〜8を比較した場合、末端官能基の一部が第一級水酸基であるポリオールを用いた実施例1〜6の方が、粘着性がより良好であることがわかる。
【0056】
これに対し、比較例7〜8及び比較例19〜20で得られたポリウレタン組成物は、上述のとおり、硬化が起こらなかったため、粘着性の評価を行うことができなかった。また、優れた剥離性も有していない。
【0057】
比較例3〜4、比較例9〜10及び比較例13〜14で得られたポリウレタン組成物は、粘着性を有しないガラス状となってしまい、粘着性及び剥離性の評価を行うことができなかった。
【0058】
また、比較例1〜2、比較例5〜6、比較例11〜12及び比較例15〜18で得られたポリウレタン組成物は、OA機器、半導体ウエハ表面等に付着した微小な異物の除去を行う場合等に必要な粘着性を有しているものの、優れた剥離性は具備していない。
【0059】
具体的に、実施例3、比較例5及び比較例15で得られたポリウレタン組成物からなる粘着部を、半導体ウエハ表面に軽く押し当ててから剥離するという操作を数回行った場合における、操作前後の半導体ウエハ表面の観察写真を図1〜図3に示す。
【0060】
図1の観察写真から、実施例3では、操作前に比べて操作後は、半導体ウエハ表面の異物の数が減少しており、剥離性に優れているのがわかる。一方、図3の観察写真から、比較例15では、操作前に比べて操作後は、半導体ウエハ表面の異物の数が増加しており、若干の糊残りが生じていることがわかる。また、図2の観察写真から、比較例5では、操作後において、半導体ウエハ表面の異物の数が、著しく増加しており、多数の糊残りが生じているのがわかる。これは、比較例5のポリウレタン組成物は、表5に示すように、硬化性が良好でなかったことから、特に剥離性が劣るものと思われる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基価が20〜200mgKOH/gであり、平均官能基数が2.5〜4.0であり、EO含量が8〜20%である、ポリエーテルポリオールと、平均官能基数が2.0〜2.5である芳香族ポリイソシアネートとを架橋反応させて得られるポリウレタン組成物からなる、微小異物除去用粘着剤。
【請求項2】
支持棒の少なくとも一端に、請求項1に記載の粘着剤からなる粘着部を設けてなることを特徴とする微小異物除去具。
【請求項3】
基材上に、請求項1に記載の粘着剤からなる粘着部を層状に設けてなることを特徴とする微小異物除去具。
【請求項4】
請求項1に記載の粘着剤を備えた微小異物除去具。
【請求項5】
OA機器、半導体ウエハ、半導体パッケージ、光学部材(レンズ、光ファイバー等)、プリント基板、フィルム、タッチパネル、液晶・PDPパネル、ハードディスク関連(ハードディスク部材等)、通信機器、または医療機器の表面に、請求項1に記載の粘着剤を、押し当てて剥離する操作を数回行うことを特徴とする、微小異物の除去方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−132534(P2011−132534A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48921(P2011−48921)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【分割の表示】特願2004−105045(P2004−105045)の分割
【原出願日】平成16年3月31日(2004.3.31)
【出願人】(000222417)トーヨーポリマー株式会社 (9)
【Fターム(参考)】