説明

微粒子の塗布方法

【課題】電子写真装置の帯電部材として利用し得る導電性ロール表面に均一に無機化合物を塗布し、ロール表面へのトナー及び外添剤の付着を低減し、更に感光体の削れ粉付着による画像不良を防止し、使用期間の初期から最後まで良好に帯電する導電性ロールを得ること。
【解決手段】 導電性ロール表面に無機化合物からなる微粒子を擦りつけるための部材として5μm以下の繊維からなる布を用い、また、微粒子として、レーザー光散乱法測定による平均粒子径が0.01μm以上4.0μm未満である無機化合物を用い、導電性ロール表面に布を押し圧0.02Kg/cm2以上0.2Kg/cm2未満で擦りつけて押し当ることで微粒子の均一塗布を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスカートリッジ及び電子写真装置などに用いる導電性ロールの製造に好適に利用できる微粒子の塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真法としては多数の方法が知られているが、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーで現像を行って可視像とし、必要に応じて紙等の転写材にトナー画像を転写した後、熱・圧力等により紙などの転写材上にトナー画像を定着して複写物を得るものである。また、転写材上に転写されずに感光体上に残ったトナー粒子はクリーニング工程により感光体上より除去される。
【0003】
従来、電子写真の帯電装置としては、コロナ帯電器が使用されてきた。近年、これに代って、接触帯電装置が実用化されてきている。これは、低オゾン、低電力を目的としており、この中でも特に帯電部材として導電ローラーを用いたローラー帯電方式が、帯電の安定性という点から好ましく用いられている。
【0004】
ローラー帯電では、導電性の弾性ローラーを被帯電体に加圧当接させ、これに電圧を印加することによって被帯電体への帯電を行う。
【0005】
具体的には、帯電は、帯電部材から被帯電体への放電によって行われるため、ある閾値電圧以上の電圧を印加することによって帯電が開始される。例を示すと、厚さ25μmの有機感光体(OPC感光体)に対して帯電ローラーを加圧当接させた場合には、約640V以上の電圧を印加すれば感光体の表面電位が上昇し始め、それ以降は印加電圧に対して傾き1で線形に感光体表面電位が増加する。以後、この閾値電圧を帯電開始電圧Vthと定義する。
【0006】
つまり、電子写真に必要とされる感光体表面電位Vdを得るためには帯電ローラーにはVd+Vthという必要とされる以上のDC電圧が必要となる。このようにしてDC電圧のみを接触帯電部材に印加して帯電を行う方法をDC帯電と称する。
【0007】
しかし、DC帯電においては環境変動等によって接触帯電部材の抵抗値が変動するため、また、感光体が削れることによって感光体表層の膜厚が変化するとVthが変動するため、感光体の帯電電位を所望の値に制御することが困難である場合があった。
【0008】
このため、更なる帯電の均一化を図るための方法として、例えば所望のVdに相当するDC電圧に2×Vth以上のピーク間電圧を持つAC成分を重畳した電圧を接触帯電部材に印加するAC帯電方式が用いられる。これは、ACによる電位のならし効果を目的としたものであり、被帯電体の電位はAC電圧のピークの中央であるVdに収束し、環境等の外乱には影響されることはない。近年、像担持体にローラー状の帯電部材を接触させ前記像担持体表面を帯電する接触帯電が広く用いられている。接触帯電部材はその構造が簡単であることやオゾンの発生量が極めて少ない等の利点を有している。
【0009】
上記の接触帯電のための導電性部材としては、導電性芯金の外周に導電性シームレスチューブを被覆して表層を形成した構造が知られている。特許文献1には、導電性の異なる層構成よりなる多層シームレスチューブに鉄芯を挿入した導電性部材及びその製造方法が開示されている。
【0010】
しかし、このような方法によって得られた導電ロールの表層には熱可塑性樹脂が用いられており、この熱可塑性樹脂の架橋密度が低く、表面の硬度が十分でない場合には、使用状態によって、その表面にトナー、外添剤及び感光体の削れ粉が付着し画像不良の原因となることがあった。
【0011】
これを解決する手段として、特許文献2には、表面粗さ(Rz;十点平均粗さ)を下げ、平滑化する手法が提案されている。ここでは、フッ素変性アクリレート系樹脂と、フッ素化オレフィン系樹脂及び/又は非(フッ素変性)アクリレート系樹脂とを少なくとも含む樹脂成分が用いられている。
【0012】
しかしながら、熱可塑性エラストマーをベースとしたシームレスチューブを作製した場合、特性上軟らかいために、表面粗さ(Rzjis;十点平均粗さ)を下げ、平滑化するだけでは、感光体の削れ粉付着による画像不良の改善をすることが充分とはいえなかった。
【0013】
一方、特許文献3には、ロール表面上へのトナーや外添剤の付着を防ぐ他の手段としてスポンジ、ブラシ又はブレードを、適当な押付け圧で帯電ローラーに圧接してクリーニングを行い、帯電能力を保持する方法が提案されている。
【0014】
しかし、上記のような構成では、ブレードの場合は専用の除去トナーを収容する容器が必要で装置の小型化に制限がかかることがあり、スポンジ、ブラシの場合は、気泡内に閉じこめたトナー量が一定量以上になるとクリーニング能力が低下してしまい、付着防止効果が薄れてしまうという問題があった。
【0015】
そこで、特許文献4には、ローラー表面上に各種無機化合物を塗布し、ローラーの表面性を改善することでトナーや外添剤の付着を低減する方法が提案されている。
【0016】
粉体を部材の表面に付与する方法としては、部材表面に粉体を直接まぶす方法や、粉体をエアーにて部材表面に吹き付ける方法が知られている。また、現像スリーブへの粉体(潤滑剤)の塗布方法としては、特許文献5に、塗布ローラーなどの塗布部材に供給した粉体を被塗布部材に移動させ、更に、かき均し板などの規制手段によって表面上の粉体を均一に規制する粉体塗布方法が開示されている。
【特許文献1】特開1993−96648号公報
【特許文献2】特開2000−137369号公報
【特許文献3】特開平6−149020号公報
【特許文献4】特開2002−31958号公報
【特許文献5】特開2003−57941号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかし、粉体を部材表面に直接まぶす方法や、粉体をエアーにて部材表面に吹き付ける方法を帯電用の導電性ロールへの粉体塗布に利用する場合、塗布によるムラが発生し易く、表面全体にわたるトナーなどの付着を防止する効果が低減してしまう。更に、部材表面に供給した粉体をならして、均一な粉体層を部材表面に形成する方法を導電性ロールへの粉体塗布に利用する場合、粉体のならしに用いる部材の材質や構造によっては、ならし効果が十分ではなく、また、導電性ロールの表面を損傷させる場合がある。
【0018】
従って、本発明の目的は、帯電部材として利用される導電性ロールの表面全体に対してへの粉体(微粒子)塗布を均一に行なうことのできる塗布方法を提供することにある。本発明の更なる目的は、かかる塗布方法を用いて作製された導電性ロールを帯電部材とした電子写真装置用のプロセスカートリッジを提供することにある。本発明の他の目的は、かかる塗布方法を用いて作製された導電性ロールを帯電部材とした電子写真装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明にかかる塗布方法は、芯金と該芯金上に設けられた弾性層とを有する導電性ロールの表面に微粒子を塗布するための塗布方法において、
導電性ロールの表面の少なくとも一部に無機微粒子を供給する工程と、
前記微粒子が供給された導電性ロールの表面に対して繊維からなる拭き取り部材を相対的に摺動させて、該表面に供給された微粒子を該表面に固定する工程と、
を有し、
前記拭き取り部材の有する繊維の径が5μm以下であり、かつ前記微粒子が、レーザー光散乱法測定による平均粒子径が0.01μm以上、4.0μm未満であり、前記拭き取り部材の前記導電性ロールの表面への押し圧が0.02Kg/cm2以上、0.2Kg/cm2未満であることを特徴とする微粒子の塗布方法である。
【0020】
本発明にかかるプロセスカートリッジは、電子写真感光体と、該電子写真感光体に接触配置され、電圧印加により該電子写真感光体を帯電させる帯電部材と、を少なくと一体に支持し、電子写真装置本体へ着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、
前記帯電部材が、上記の塗布方法により微粒子を表面に有する帯電ロールからなる
ことを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0021】
本発明にかかる電子写真装置は、電子写真感光体、該電子写真感光体に接触配置され、電圧印加により該電子写真感光体を帯電させる帯電部材、露光手段、現像手段及び転写手段を有する電子写真装置において、
前記帯電部材が、上記の塗布方法により微粒子を表面に有する帯電ロールからなる
特徴とする電子写真装置である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の塗布方法によれば、ロール表面へのトナー及び外添剤などの付着を低減させ、更に、感光体の削れ粉付着による画像不良を防止し、使用期間の初期から最後まで良好に帯電する導電性ロールを得ることができる。更に、表面に微粒子が塗布されていることで付着防止効果を有する導電性ロールを帯電部材として電子写真装置に組み込むことで、所望とする帯電機能を耐久性良く維持することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の塗布方法においては、導電性ロールの表面の少なくとも一部に付着防止効果を得るための微粒子(粉体)を供給してから、拭き取り部材を導電性ロールの表面に対して摺動させることで微粒子を均一に分布固定させる。
【0024】
この拭き取り部材は、太さが(径)5μmn以下の繊維からなり、拭き取り用としての機械的強度などの所望の物性を満たす布から拭き取り面を形成した各種の構造のものを利用できる。
【0025】
本発明における塗布方法に用いられる導電性ロールの構造は特に制限されることはないが、付着防止効果を有する各種粉体を均一強固に定着させるために、熱可塑性エラストマーを含む弾性体からなるシームレスチューブを有する導電性ロールが好ましい。
【0026】
熱可塑性エラストマーとしては、押出し成形可能なものであればいずれのものでもよく、具体的には、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)及びスチレン−ブタジエン−スチレンの水添加物(SEBS)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリブチレンテレフタレート(PBT)などの飽和ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、ポリウレタン、ポリフェニレンオキサイド、ポリ酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、アクリロニトリル−エチレン/プロピレンゴム−スチレン樹脂(AES)及びアクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン樹脂(AAS)などのスチレン系樹脂及びアクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、などの各樹脂及び共重合体が好ましい。
【0027】
導電性ロール用のシームレスチューブは、例えば、熱可塑性エラストマー、カーボンブラック等導電顔料を必要な添加剤とともに混練、続いてペレット化し、次に得られたペレットを押出し成形機によりシームレスチューブとする方法により得ることができる。そして、成形加工されたシームレスチューブを芯金などの支持部材に被覆し、導電性ロールを得ることができる。
【0028】
微粒子としては、導電性ロール表面に固定されることでトナーなどの付着防止効果が得られ、かつ微粒子の付与によっても導電性ロールの帯電部材としての所望の機能が得られるものであれば良く、各種無機化合物からなる微粒子が利用できる。更に、導電性ロール表面上での均一な薄膜形成が容易である、ハイドロタルサイト、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、窒化ホウ素、窒化ケイ素、ベントナイト、ゼオライト、カーボンなどの層状化合物からなる微粒子がより好ましい。すなわち、本発明においては、乾式で粉体塗膜を形成させるので、層状構造であり、塗布ムラの少ない層状化合物がより好ましいと考えられる。
【0029】
層状化合物とは、二次元的に強く結合した原子が板状の層を作り、この層が積み重なって、結晶になっているものの総称である。
【0030】
塗布粉体の粒径としてはレーザー光散乱法測定による平均粒子径が0.01μm以上4μm未満が良い。粒径が4μmより大きいとローラー表面に定着しにくく付着防止効果は薄れてしまい、画像ムラなどの問題も発生する。また、粒径が0.01μmより小さいと均一に塗布しにくくなり、ローラー面が傷ついてしまう問題も生じる。
【0031】
塗布の方法としては種々選択することができるが、粘着ローラーに粉体を吸着させ、粘着ローラーの微粒子付着面に直接導電性ロールを接触させ、粘着ローラーを回転させ、均一に塗布を行う方法が効果的である。
【0032】
ロール面を擦る部材である拭き取り部材の有する繊維の径は5μm以下である。繊維が5μmより大きなものを用いると、その押し圧に関わらず、ロール面に傷がついてしまうため好ましくない。また、ロール面上の無機化合物が均一でないことによる画像不良も発生してしまう。かかる極細繊維からなる布から拭き取り面を構成することで拭き取り部材を形成でき、布の厚さとしては0.2〜5mmが好ましい。なお、拭き取り部材は、必要に応じて適当な基体で支持し、基体表面をこの布で覆うことで拭き取り面を形成した形態で使用してもよい。
【0033】
繊維の種類として具体的には、ビスコース、アセテート、ナイロン、ビニロン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリクラ−ルなどがあげられる。その中でも、耐熱性、対磨耗性が強いポリエステル繊維が好ましいと考えられる。
【0034】
ロール表面への拭き取り部材の押し圧としては0.02Kg/cm2以上0.2Kg/cm2未満が好ましい。押し圧が0.02Kg/cm2未満であると時間をかけても、塗布粉体の塊や層がつぶされず、ローラー表面に均一に無機化合物を擦りつけることは難しくなる。また、0.2Kg/cm2以上であると、ローラー面に強くあたることでの擦りムラができてしまう。
【0035】
拭き取り部材の押し圧の測定方法としては、プシュプルゲージを用い直接部材に押し当て目視により確認を行うことができる。塗布後のロール表面の物性値として対水接触角で65°〜135°が好ましい。疎水性の粉体の場合、135°より大きい場合粉体が完全に定着しておらず、親水性の粉体の場合、65°より小さい場合粉体が完全に定着しておらず、どちらの場合も付着低減効果は薄れてしまう。
【0036】
本発明にかかる塗布方法により表面に微粒子(粉体)が塗布された導電性ロールを帯電部材として組み込むことで帯電性能の耐久性が改善された電子写真装置を組み立てることができる。この電子写真装置としては、電子写真感光体、該電子写真感光体に接触配置され、電圧印加により該電子写真感光体を帯電させる帯電部材、露光手段、現像手段及び転写手段を有する構成することができる。更に、これらの部材は、装置本体に対して交換可能に設けられ、例えば、少なくとも電子写真感光体と帯電部材とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在な構成としてプロセスカートリッジとして、電子写真装置内に組み込む構造としてもよい。このプロセスカートリッジには、更に、現像手段及びクリーニング手段の少なくとも一方を追加してもよい。図2にプロセスカートリッジを組み込んだ場合の電子写真装置の概要を模式的に示した。この例におけるプロセスカートリッジ12は、感光体13の周面に対峙する所定位置に、電源12と接続された帯電ローラー11、画像露光14を行なうための露光手段からの光を取り込む部分、内蔵されたトナーを感光体表面に供給するトナー供給ローラーを有する現像機15、本体側の転写装置16によりトナー像を転写材17に移動させるための部分、クリーニング装置19が配置され、これらが一体に支持されている構造を有する。このプロセスカートリッジの本体装置に対する着脱は、装置本体レール20に対して公知の構造により達成される。トナー像が付与された転写材17は定着ローラー18を経て加熱定着される。
【実施例】
【0037】
以下、実施例などをあげて説明をするが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、微粒子(粉体)の平均粒径は、レーザー光散乱法測定によって求めた。測定装置としてレーザー光散乱粒度分布計(大塚電子製 ELS−800)が用いられた。
【0038】
(参考例1)
(導電性ロール用被覆チューブの形成)
被覆チューブの外部層の材料として、スチレン系の熱可塑性エラストマーSEBC(スチレン含有20重量%)[融点100℃、MFR5.6g/10分(230℃、2.16Kg)]を60重量部、耐衝撃性ポリスチレン 40重量部、酸性カーボンブラック 30重量部、酸化マグネシウム10重量部、ステアリン酸カルシウム1重量部を添加し、加圧式ニーダーを用いて180℃で30分間混練し、冷却後粉砕機で粉砕し、単軸押し出し機でペレット化した。
【0039】
チューブ内部層用として、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)100重量部にカーボンブラック16重量部、導電性酸化チタン20重量部、酸化マグネシウム10重量部、ステアリン酸カルシウム1重量部を添加し、加圧式ニーダーを用いて180℃で15分間混練し、外部層の材料と同様の工程でペレット化した。
【0040】
上記のペレットを用いて、内径φ18.0mmのダイスと外径φ16.5mmのポイントを備えた二色押し出し機で押し出し成形後、サイジング、冷却工程を経て、内径φ11.5mm、表面層の厚さ100μm、内部層の厚さ400μmの二層構造からなるシームレスチューブに成形加工した。
【0041】
(芯金)
芯金は、鉄材を押出し成形により、直径約5mmの棒材に押し出し、長さ242mmに切断後、これに化学メッキを厚さ約3μm施したものを用意した。
【0042】
(芯金外周への発泡弾性体層の形成)
エチレン−プロピレン−ジエン系ゴム(EPDM)に、カーボンブラック、パラフィン系可塑剤、加硫材、発泡剤、を配合し、混合した混合物を押出し成形機により内径4.5mm、外径11.5mmのホース状(内径4.5mm、外径11.5mmのホース状の発泡弾性体層)に発泡成形し、このホース状物の中心孔に芯金を挿入して、その外周に発泡弾性体層を被覆した芯金を得た。
【0043】
更に、先に得られたシームレスチューブを芯金上の発泡弾性体層に更に被覆し、導電性ロールを作製した。
【0044】
(実施例1)
塗布粉体として平均粒径0.4μmのハイドロタルサイトを用い、粘着ローラーにて参考例1で作成した導電性ロールの外周表面に粉体を塗布した。
【0045】
導電性ロールを700rpmで回転させながら拭き取り部材に2μmのポリエステル繊維からなる薄布を巻きつけたスポンジローラーを0.03Kg/cm2の荷重がかかるように押し当て、拭き取り部材をローラー長手方向に600mm/secの速度で12秒間往復移動させることで、図1に示すようなローラー全面にハイドロタルサイトを定着させた導電性ロールを得た。
(実施例2)
実施例1と同様の手順で平均粒径0.4μmのハイドロタルサイトを塗布し、拭取り部材に2μmのポリエステル繊維からなる薄布を用い、導電性ロールを700rpmで回転させながらふき取り部材に0.06Kg/cm2の荷重がかかるように押し当て12秒間往復移動させることでハイドロタルサイトを定着させた導電性ロールを得た。
(実施例3)
実施例1と同様の手順で平均粒径0.4μmのハイドロタルサイトを塗布し、拭取り部材に2μmのポリエステル繊維からなる薄布を用い、導電性ロールを700rpmで回転させながらふき取り部材に0.18Kg/cm2の荷重がかかるように押し当て12秒間往復移動させることでハイドロタルサイトを定着させた導電性ローラーを得た。
(実施例4)
実施例1と同様の手順で平均粒径0.02μmのハイドロタルサイトを塗布し、拭取り部材に4μmのポリエステル繊維からなる薄布を用い、導電性ロールを700rpmで回転させながらふき取り部材に0.06Kg/cm2の荷重がかかるように押し当て12秒間往復移動させることでハイドロタルサイトを定着させた導電性ロールを得た。
(実施例5)
実施例1と同様の手順で平均粒径0.4μmの二硫化モリブデンを塗布し、拭取り部材に4μmのポリエステル繊維からなる薄布を用い、導電性ロールを700rpmで回転させながらふき取り部材に0.06Kg/cm2の荷重がかかるように押し当て12秒間往復移動させることで二硫化モリブデンを定着させた導電性ロールを得た。
(実施例6)
実施例1と同様の手順で平均粒径3.2μmのゼオライトを塗布し、拭取り部材に4μmのポリエステル繊維からなる薄布を用い、導電性ロールを700rpmで回転させながらふき取り部材に0.06Kg/cm2の荷重がかかるように押し当て12秒間往復移動させることでゼオライトを定着させた導電性ロールを得た。
【0046】
(比較例1)
実施例1と同様の手順で平均粒径0.4μmのハイドロタルサイトを塗布し、拭取り部材に2μmのポリエステル繊維からなる薄布を用い、導電性ロールを700rpmで回転させながらふき取り部材に0.01Kg/cm2の荷重がかかるように押し当て12秒間往復移動させることでハイドロタルサイトを定着させた導電性ロールを得た。
(比較例2)
実施例1と同様の手順で平均粒径0.4μmのハイドロタルサイトを塗布し、拭取り部材に2μmのポリエステル繊維からなる薄布を用い、導電性ロールを700rpmで回転させながらふき取り部材に0.25Kg/cm2の荷重がかかるように押し当て12秒間往復移動させることでハイドロタルサイトを定着させた導電性ロールを得た。
(比較例3)
実施例1と同様の手順で平均粒径0.4μmのハイドロタルサイトを塗布し、拭取り部材に8μmのポリエステル繊維からなる薄布を用い、導電性ロールを700rpmで回転させながらふき取り部材に0.06Kg/cm2の荷重がかかるように押し当て12秒間往復移動させることでハイドロタルサイトを定着させた導電性ロールを得た。
(比較例4)
実施例1と同様の手順で平均粒径8.9μmのシリカを塗布し、拭取り部材に2μmのポリエステル繊維からなる薄布を用い、導電性ロールを700rpmで回転させながらふき取り部材に0.06Kg/cm2の荷重がかかるように押し当て12秒間往復移動させることでシリカを定着させた導電性ロールを得た。
(比較例5)
実施例1と同様の手順で平均粒径0.005μmのシリカを塗布し、拭取り部材に2μmのポリエステル繊維からなる薄布を用い、導電性ロールを700rpmで回転させながらふき取り部材に0.06Kg/cm2の荷重がかかるように押し当て12秒間往復移動させることでシリカを定着させた導電性ロールを得た。
【0047】
画像の評価は、LBP 本体(HP Laser Jet 1320)を用いて図2に示すプロセスカートリッジ(Q5949X)に得られた導電性ロールを帯電ローラーとして組み込み、間欠3000枚画像出しを行った。付着由来による画像不良の発生有無を確認し、画像不良のないものを○としないものを×とした。また、塗布によるムラ、ローラー面への傷の確認も行い、ムラや傷のないものを○としあるものを×とした。結果を表1に示す。
【0048】
以上により、ロール表面にレーザー光散乱法測定による平均粒子径が0.01μm以上4.0μm未満である無機化合物を塗布し、ロール表面に該無機化合物を擦りつけるための部材が5μm以下の繊維で構成され、かつ層形成時、該部材のロール表面への押し圧が0.02Kg/cm2以上0.2Kg/cm2未満で無機化合物を塗布したことを特徴とする導電性ロールの塗布方法により、トナーおよび外添剤の付着性が低減され、感光体削れ粉付着由来による画像不良が発生しづらくなっていることが検証された。
【0049】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明において塗布した導電性ローラーの構成図である。
【図2】プロセスカートリッジを具備する電子写真装置の構造を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1 導電性基体
2 弾性層
3 導電性被覆層
3(a) 内部層
3(b) 外部層
3(c) 粉体層
11 導電性ロール
12 電源
13 感光体
14 画像露光
15 現像機
16 転写装置
17 転写材
18 定着装置
19 クリーニング装置
20 プロセスカートリッジ装着のための装置本体レール
21 プロセスカートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯金と該芯金上に設けられた弾性層とを有する導電性ロールの表面に微粒子を塗布するための塗布方法において、
導電性ロールの表面の少なくとも一部に無機微粒子を供給する工程と、
前記微粒子が供給された導電性ロールの表面に対して繊維からなる拭き取り部材を相対的に摺動させて、該表面に供給された微粒子を該表面に固定する工程と、
を有し、
前記拭き取り部材の有する繊維の径が5μm以下であり、かつ前記微粒子が、レーザー光散乱法測定による平均粒子径が0.01μm以上、4.0μm未満であり、前記拭き取り部材の前記導電性ロールの表面への押し圧が0.02Kg/cm2以上、0.2Kg/cm2未満であることを特徴とする微粒子の塗布方法。
【請求項2】
電子写真感光体と、該電子写真感光体に接触配置され、電圧印加により該電子写真感光体を帯電させる帯電部材と、を少なくと一体に支持し、電子写真装置本体へ着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、
前記帯電部材が、請求項1に記載された塗布方法により微粒子を表面に有する帯電ロールからなる
ことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項3】
現像手段及びクリーニング手段の少なくとも一方を更に有する請求項3に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
電子写真感光体、該電子写真感光体に接触配置され、電圧印加により該電子写真感光体を帯電させる帯電部材、露光手段、現像手段及び転写手段を有する電子写真装置において、
前記帯電部材が、請求項1に記載された塗布方法により微粒子を表面に有する帯電ロールからなる
特徴とする電子写真装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−215387(P2006−215387A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−29522(P2005−29522)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】