説明

微粒子トラップを有するガソリンエンジン排出ガス処理システム


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、微粒子とともに炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガソリン直噴(GDI)エンジンのガス流を処理するのに用いられる触媒を含む排出ガス処理システムに関する。より詳しくは、本発明は、すすフィルタなどの微粒子トラップ上にコーティングされた3元変換(TWC)触媒または酸化触媒に向けられる。
【背景技術】
【0002】
背景
歴史的に、ガソリンエンジンは、微粒子が形成されないような方法で作動したが、ガソリン直噴(GDI)エンジンは、微粒子の生成をもたらす希薄燃焼状態と層状燃焼を有することができる。直噴エンジンについての微粒子の排出は、来るべきEuro5(2009)と6(2014)の基準を含む規制の対象となる。ガソリンエンジンのための既存の後処理システムは、提案された微粒子状物質基準を達成するためには適切ではない。ディーゼル希薄燃焼エンジンで発生する微粒子と対照的に、ガソリン直噴エンジンで発生する微粒子は、より細かく、より少ない量である傾向がある。これは、ガソリンエンジンと比較してディーゼルエンジンの異なる燃焼条件による。例えば、ガソリンエンジンは、ディーゼルエンジンより高温で動く。また、炭化水素成分は、ディーゼルエンジンと比較してガソリンエンジンの排出ガスにおいて異なる。
【0003】
未燃焼炭化水素、一酸化炭素および窒素酸化物の不純汚染物質に対する排出基準は、相変わらず、より厳しくなっている。そのような基準を満たすために、3元変換(TWC)触媒を含む触媒コンバータは、内燃機関の排気ガスラインに設置される。そのような触媒は、窒素への窒素酸化物の還元と同様に、未燃焼炭化水素と一酸化炭素の排気ガス流において、酸素による酸化を促進する。
【0004】
ディーゼル排気ガスと微粒子の処理に関して、先行技術は、一般に微粒子フィルタの上流で酸化触媒を供給する。酸化触媒と微粒子フィルタ組み合わせの下流での浄化触媒は、特許文献1に提供される。フィルタの下流の適切な浄化触媒は、フロースルー式モノリスなどの基材担体上に配置された別の酸化触媒または3元変換(TWC)触媒を含む。
【0005】
ディーゼルシステムで使われる微粒子フィルタは、例えば、すすの受動的な再生を容易にするすす燃焼触媒でコーティングされてきた。さらに、特許文献2は,窒素酸化物(NO)、微粒子状物質、およびガス状の炭化水素の同時処理のための酸化触媒の下流に、触媒化SCRフィルタを提供する。さらに、特許文献3は、ディーゼルエンジン排気と関連した触媒化フィルタを開示している。しかし、すすフィルタ上の触媒の配置は、ディーゼル排気流の有害な成分のために、効果の段階的な損失につながる。十分な充填量の触媒が、処理目的を達成するために必要であるが、これはシステムで許容され得る背圧を提供する必要性とのバランスを取らなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開番号第2007/0137187号(Kumar)
【特許文献2】米国特許第7,229,597号(Patchett)
【特許文献3】米国特許出願公開番号第2004/0219077(Voss)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
微粒子を放出するガソリン直噴エンジンのための排気処理システムを提供する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
要約
炭化水素、窒素酸化物、および一酸化炭素などのガス排出処理に加えて、微粒子を捕集するために、ガソリン直噴エンジンとともに使用に適した排気システムと構成要素が提供される。低温始動状態中の微粒子の捕集は、興味あることである。
【0009】
複数の態様は、3元変換(TWC)触媒と微粒子トラップを備えた排気処理システムを含む。1つ以上の実施形態では、TWC触媒は、微粒子トラップの上流にある。構成要素は、システムの構成が許容するように個々に収容されるけれども、1つ以上の実施形態では、TWC触媒と微粒子トラップが同じ小型の容器の中に収容される統合システムが提供される。この態様では、微粒子トラップは、コーティングが施されていないか、あるいは再生を容易にするために適切な触媒を提供されることができる。さらなる処理構成要素を、微粒子トラップの下流に加えることができ、1つ以上のNOトラップとそれに続くSCR触媒を含む。
【0010】
他の態様は、微粒子トラップにコーティングされたTWC触媒組成物を含む。そのようなTWC触媒は、フィルタの再生を容易にするためのすす燃焼助剤を含むように構成できる。TWC触媒組成物は、通常、ウォッシュコート中に提供される。積層TWC触媒は、異なる層に対して異なる組成を有することができる。伝統的に、TWC触媒は、最高2.5g/inの充填量と5g/in以上の総充填量を有するウォッシュコート層を含むことができる。微粒子トラップの使用に関して、背圧制約のために、TWC触媒ウォッシュコート層のコーティングは、ずっと低く、例えば、1g/in未満(または更に0.7g/in、0.6g/in、0.5g/in、0.25g/in、もしくは0.1g/in)であることができ、窒素酸化物(NO)を還元するだけでなく、二酸化炭素と炭化水素を酸化するための触媒活性をさらに提供することができた。1つ以上の実施形態において、TWC触媒は、微粒子トラップの入口側面と出口側面の両方でコーティングされる。他の実施形態では、TWC触媒は、微粒子トラップの入口側面のみでコーティングされる。TWCでコーティングされた微粒子トラップは、最初のTWC触媒の下流に位置することができ、そこでは、最初のTWC触媒は、微粒子トラップ上にコーティングされているTWCの機能性のために他の場合に必要とされるよりも少なくてよい。
【0011】
他の態様は、炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物、および微粒子を含む排気システムの処理のためのガソリン直噴エンジンの下流に排出ガス処理システムを含み、該排出ガス処理システムは、触媒化された微粒子トラップを形成するために微粒子トラップ上に担持された酸化触媒または3元変換(TWC)触媒;1つ以上のガスセンサー;および車載診断(OBD)システムを含む。
【0012】
なお更なる態様は、炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物、および微粒子を含むガスを処理する方法を含み、該方法は、ガソリン直噴エンジンの下流に排出ガス処理システムを設置するステップ;3元変換(TWC)触媒と微粒子トラップを排出ガス処理システムに含む触媒化微粒子トラップを提供するステップ;およびエンジンからの排気ガスを触媒化微粒子トラップに接触させるステップ;を含む。方法は、また、低温始動状態の間だけ触媒化微粒子トラップに接触させ、低温始動状態後は、触媒化微粒子トラップを迂回させることを含むこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】詳細な実施形態に従うエンジン排出ガス処理システムを示す略図である;
【図1B】詳細な実施形態に従うエンジン排出ガス処理システムを示す略図である;
【図1C】詳細な実施形態に従うエンジン排出ガス処理システムを示す略図である;
【図2】1実施形態に従う統合エンジン排出ガス処理システムを示す略図である;
【図3】壁面流フィルタ基材の斜視図である;
【図4】壁面流フィルタ基材の断面の切開図である;
【図5】典型的なコーティングされたすすフィルタに対する圧力損失データを示す;
【図6】典型的なコーティングされたすすフィルタに対する圧力損失データを示す;
【図7】典型的なコーティングされたすすフィルタに対する圧力損失データを示す;および
【図8】典型的なコーティングされたすすフィルタに対する圧力損失データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
炭化水素、窒素酸化物、および一酸化炭素などのガス状の排出ガスを低減することに加えて、微粒子を捕集するためにガソリン直噴(GDI)エンジンとともに使用するのに適した排気システムと構成要素が提供される。GDIエンジンは、化学量論的(λ=1)または希薄燃焼的(λ>1)のいずれかとして提供されることができる。希薄燃焼GDIエンジンについては、NOトラップが使われる。しかし、そのようなシステムでの背圧と容量規制は、さらなる処理構成要素を加える能力を制限することがある。いくつかのGDI排出システムでは、NOトラップとSCR触媒と組み合わせた2つ以上のTWC触媒複合体が、排出基準を達成するのに必要である。そのようなシステムが、排気管に沿って任意のさらなるレンガまたは小さい容器を収容することは挑戦である。しかし、微粒子基準がより厳しくなるにつれて、排気管を過度に混雑させずに微粒子トラッピングの機能性を提供する必要がある。我々は、驚くべきことに、伝統的なフロースルー式モノリス上よりもむしろ壁面流すすフィルタ上に、g/ftベースで、3元変換(TWC)触媒などの触媒のウォッシュコートを配置することにより、匹敵する変換を提供することを知見した。その際に、微粒子のトラッピング容量を、排気管を過度に混雑させずにシステムに追加できる。
【0015】
希薄燃焼ガソリンエンジンへの言及は、殆どの時間、希薄条件の下で、つまり過剰の空気と化学量論的な量よりも少ない燃料で動くようにメーカーによって設計されたそれらのエンジンを意味する。このことは、空燃比が、14.7より大きいことを意味する。このような特徴づけは、リッチ条件または化学量論的条件への時折の逸脱を除外するものではない。
【0016】
フィルタ上のウォッシュコートの存在による背圧増加を減らすために、一般的にウォッシュコートはできるだけ一様にフィルタ壁内に配置される。しかし、GDIガソリンエンジンから発生する微粒子のサイズは、ディーゼルエンジンからのそれらより小さい。それから、GDIガソリンエンジンからの微粒子のいくつかは、フィルタが新しいときに、フィルタ壁を通過することによってフィルタによりトラップされることを回避できた可能性がある。すすの層がフィルタ壁上に形成されるとき、濾過効率は改善される。初期濾過効率の問題に対処するために、触媒作用のウォッシュコートの薄層を、フィルタ壁上(壁内に層を担持させることと対照的に)にコーティングすることができる。この触媒ウォッシュコート層は、多孔性であり、小さい粒子を濾過もしながら、ガスを通過させることができる。この層は、厚さ10〜50ミクロン、具体的には、10〜30ミクロン、より具体的には、5〜10ミクロンとすることができる。
【0017】
触媒化されたすすフィルタは、白金族金属(PGM)分類に区分される。つまり、より多くのPGMは、フィルタの前方のゾーン(上流)で担持することができ、そして、より少ないPGMが、後方のゾーン(下流)で担持することができる。すすフィルタが再生されるとき、フィルタの後方のゾーンは、フィルタの最高温度を経験し、それは触媒の失活をもたらすことがある。より多くのPGMを前方のゾーンに配置することによって、触媒化フィルタの触媒機能は、反復フィルタ再生によって保たれる。そのうえ、通常のエンジン運転の間、最初のゾーンは、後方のゾーンより暖かい。PGM区分は、冷却条件下でのライトオフ活性を増加させる。例えば、フィルタの最初の20〜50%の軸方向距離に約50%以上の総PGM充填量をゾーン区分し、それによって後方50〜80%の軸方向距離に50%以下の総PGM充填量を充填することが望ましい場合がある。
【0018】
1態様は、炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物、および微粒子を含む排気システムの処理のためのガソリン直噴エンジンの下流に排出ガス処理システムを提供し、該排出ガス処理システムは、微粒子トラップからの上流に、またはその上に配置された3元変換(TWC)触媒組成物を含む。TWC触媒は、炭化水素と一酸化炭素の酸化および窒素酸化物の還元を同時に触媒する能力がある。TWC触媒は、背圧を過度に増やすことなく排出ガス処置を提供するのに十分低い充填量で、微粒子トラップの上へコーティングされることができる。低多孔性すすフィルタについては、少量のTWC触媒だけが、適切な背圧を達成するために使うことができる。高貴金属成分を必要とする条件については、支持体構成要素からの十分な表面積が良好な分散のために必要とされ、そして、高多孔性すすフィルタが必要である。
【0019】
1実施形態において、システムは、NOトラップとSCR触媒、または両者を微粒子トラップの下流に更に含む。1実施形態は、NOトラップが微粒子トラップ上にコーティングされ、そして、このNOトラップでコーティングされたフィルタは、TWC触媒の下流に位置することを規定する。別の実施形態は、SCR触媒が微粒子トラップ上にコーティングされ、そして、このSCR触媒でコーティングされたフィルタは、TWC触媒とNOトラップの下流に位置することを規定する。
【0020】
更なる実施形態は、3元触媒組成物がすすフィルタの入口側面からもしくは出口側面から、または入口もしくは出口の両方の側面から担持させてもよい。1つ以上の実施形態では、入口側面または出口側面は、パラジウム、支持体、および酸素吸蔵物質を含むウォッシュコートでコーティングされる。詳細な実施形態は、酸素吸蔵物質が総ウォッシュコートの最大10重量%の量で存在することを規定する。
【0021】
他の実施形態は、入口側面または出口側面が、ロジウム、支持体、および酸素吸蔵物質を含むウォッシュコートでコーティングされることを規定する。詳細な実施形態は、酸素吸蔵物質が総ウォッシュコートの10〜25重量%の量で存在することを規定する。
【0022】
別の態様は、炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物、および微粒子を含む排気システム処理のためのガソリン直噴エンジンの下流に排出ガス処理システムを含み、該排出ガス処理システムは、その上に担持された酸化触媒または3元変換触媒を有する触媒化微粒子トラップ;1つ以上のガスセンサー;および車載診断(OBD)システムを含む。1実施形態では、このシステムは、NOトラップ、SCR触媒、または両方を更に含む。他の実施形態は、NOトラップ、SCR触媒または両方が、触媒化微粒子トラップとハウジング内に一体化される。OBDシステムは、そのような車両でもたらされるガス状の汚染物質または排気ガスが規制基準を超えるときに、車両の運転者に忠告する。OBDシステムは、排気をモニターするために、排気ガス酸素センサー(EGO)または炭化水素センサーなどのガスセンサーまたはその他の同種のものに依存する。米国特許第5,941,918号(Blosser)は、引用により本明細書に取り込まれるが、典型的なOBDシステムを提供する。
【0023】
詳細な実施形態は、微粒子トラップの入口側面または出口側面が、パラジウム、支持体、および酸素吸蔵物質を含むウォッシュコートでコーティングされることを規定する。更に詳細な実施形態は、微粒子トラップの入口側面または出口側面が、ロジウム、支持体、および酸素吸蔵物質を含むウォッシュコートでコーティングされることを規定する。別の詳細な実施形態は、微粒子トラップの入口側面と出口側面の両方が、パラジウム、白金、または両方から選択される貴金属成分;支持体;および酸素吸蔵物質を含むウォッシュコートでコーティングされることを規定する。
【0024】
更なる態様は、炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物、および微粒子を含むガスを処理する方法を提供し、該方法は、ガソリン直噴エンジンの下流に排出ガス処理システムを設置すること;3元変換(TWC)触媒と微粒子トラップを排出ガス処理システムに提供すること;およびエンジンからの排気ガスをTWC触媒と微粒子トラップと接触させること;を含む。1つの実施形態は、該方法が、NOトラップ、SCR触媒、または両方を触媒化微粒子トラップの下流に提供することを更に含むことを規定する。1実施形態において、3元変換(TWC)触媒と微粒子トラップを提供するステップは、触媒化微粒子トラップを形成するために微粒子トラップ上に触媒を担持させることを含む。別の実施形態では、該方法は、微粒子トラップの入口側面または出口側面を、パラジウム、支持体、および酸素吸蔵物質を含むウォッシュコートでコーティングすることを更に含む。別の実施形態は、微粒子トラップの入口側面または出口側面を、ロジウム、支持体、および酸素吸蔵物質を含むウォッシュコートでコーティングすることを提供する。詳細な実施形態では、該方法は、触媒を入口側面と出口側面に合計で2g/in以下の量で担持させることを更に含む。更なる実施形態は、触媒化微粒子トラップの上流で第2の3元変換触媒を提供する。
【0025】
本発明のいくつかの例示的な実施形態を記述する前に、本発明は、以下の記述で述べられる構成またはプロセス工程の詳細に限定されないことを理解すべきである。本発明は、他の実施形態の可能性があり、そして、いろいろな方法で実施または実行され得る。
【0026】
図1Aに目を向けると、ガス状の汚染物質(例えば、未燃焼炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物)と微粒子状物質を含む排気ガス流は、ガソリンエンジン4からライン6を経て3元変換(TWC)触媒8まで移送される。TWC触媒8では、未燃焼のガス状で不揮発性の炭化水素(すなわち、VOF)と一酸化炭素が、主に燃焼されて二酸化炭素と水を形成する。更に、窒素酸化物は、還元されて窒素と水を形成する。酸化触媒を用いたVOFのかなりの割合の除去は、特に、排出ガス処理システムの下流に位置する微粒子フィルタ(すすフィルタとも称される)12上への微粒子状物質の大き過ぎる堆積(すなわち、詰まること)を防止するのを助ける。排気流は、次にライン10を経て微粒子フィルタ12に移送され、それは排気ガス流内に存在する微粒子状物質および/または触媒毒を捕集する。場合により、微粒子フィルタは、微粒子フィルタ12の再生用のすす燃焼触媒で触媒作用を及ぼすことができる。1実施形態において、微粒子フィルタが他にコーティングされないときは、TWCを微粒子フィルタ上へコーティングできる。
【0027】
微粒子状物質の除去の後、微粒子フィルタ12を経た排気ガス流は、自動車運転システムの必要性に従って、排気ガス流中の任意の残留NO排気汚染物質を吸着するために、ライン14を経て下流のNOトラップ16へと任意に移送される。NOトラップ16からライン18を通って、SCR触媒20は、窒素と水を形成するために窒素酸化物を還元するための選択的接触還元触媒を用いて、NOトラップにより発生する任意のアンモニアの更なる排出ガス処理を提供するためのNOトラップの排出を受け取るように位置することができる。ライン22は、排気管に繋がり、システムの外へ出る。
【0028】
図1Bにおいて、排出ガス処理システム3は、ライン7を通して排気ガスを最初のTWC触媒9に移送するガソリンエンジン5を含み、このTWC触媒9は、いくつかの例では、下流のTWCでコーティングされた微粒子フィルタ13のために他で必要とされるより小さくすることができ、この微粒子フィルタ13はライン11を通して排気流を受け取る。ライン15は、更なる処理構成要素および/または排気管につながることができ、そしてシステムの外に出る。他の例では、TWCでコーティングされた微粒子フィルタ13は、排出ガス規制を満たすために最初のTWC触媒と関連して作動するように設計されているTWC触媒充填量を含む。
【0029】
図1Cにおいて、排出ガス処理システム100は、ライン103を通して排気ガスを移送するガソリンエンジン102を備え、そこでは、第1多岐管104は、低温始動状態の間、排気ガスをTWCでコーティングされた微粒子フィルタ110に誘導する。任意のTWC触媒は、TWCでコーティングされた微粒子フィルタの上流に配置される。一旦、そのような低温始動状態が終わり、実質的に定常状態が始まると、排気ガスは第2多岐管108に送られるのでTWC触媒106が、TWCでコーティングされた微粒子フィルタ110と関連した背圧損失なしで使用することができる。ライン112は、NOトラップやSCR触媒などの更なる処理構成要素に、および/または排気管やシステムの外につながる。
【0030】
図2に目を向けると、統合排出ガス処理システム30は、TWC触媒部32、微粒子フィルタ部34、任意のNOトラップ36およびSCR38から成る。排気ガス放出流の処理の間、排気ガスは、未燃焼炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NO)、および微粒子状物質などの排気ガス排出汚染物質の処理および/または変換のために、エンジンから統合排出ガス処理システム30を通って流れる。排気ガスは、順番に上流のTWC触媒部32、微粒子フィルタ部34、任意のNOトラップ36およびSCR触媒38の中を流れる。この統合システムでは、TWC触媒32は、微粒子フィルタ34上へコーティングすることができ、それによって断片を排除できる。
【0031】
TWC触媒と酸化触媒の形成に関して、良好な活性と長い寿命を示すTWC触媒は、高表面積の耐熱性金属酸化物支持体、例えば、高表面積アルミナコーティングに配置された1つ以上の白金族金属(例えば、白金、パラジウム、ロジウム、レニウムおよびイリジウム)を含む。支持体は、耐熱性セラミックまたは金属ハニカム構造を含むモノリシック担体、または適切な耐熱材料の球体もしくは押出し短片などの耐熱性粒子などの適切な担体または基材に担持される。耐熱性金属酸化物支持体は、ジルコニア、チタニア、アルカリ土類金属酸化物、例えば、バリア、カルシアもしくはストロンチア、または、最も通常は希土類金属酸化物、例えば、セリア、ランタナおよび2つ以上の希土類金属酸化物の混合物などの物質により熱劣化に対して安定化され得る。例えば、米国特許第4,171,288号(Keith)を参照されたい。TWC触媒は、また、酸素吸蔵物質を含むように製剤化もできる。
【0032】
酸化触媒に関して、典型的なウォッシュコートは、耐熱性金属酸化物、例えば、活性アルミナ上に支持される卑金属触媒、白金族金属触媒または両方の組み合わせを含むことが可能である。卑金属触媒は、希土類金属酸化物、特に酸化ランタン、酸化セリウムおよび酸化プラセオジムを含むことが可能である。特定の白金族金属触媒は、白金、パラジウム、ロジウムおよびそれらの組み合わせを含み得る。有用な耐熱性金属酸化物は、シリカ、アルミナ、γ−アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ−アルミナおよびセリア−ジルコニアを含んでもよい。場合により、触媒作用のウォッシュコート組成物も、促進剤や安定化剤などの他の添加物を含んでもよい。ゼオライトなどの分子篩も、酸化触媒に有用であり得る。
【0033】
触媒ウォッシュコート層の「支持体」への言及は、貴金属、安定剤、促進剤、結合剤などを会合、分散、浸漬、または他の適切な方法によって受け入れる材料を指す。支持体の例は、限定されるものではないが、高表面積の耐熱性金属酸化物および酸素吸蔵物質を含む複合体を含む。高表面積の耐熱性金属酸化物支持体は、20Åよりも大きい細孔と広範囲の細孔分布を有する支持体粒子を指す。本明細書で定義されるように、そのような金属酸化物支持体は、分子篩、特にゼオライトを除外する。高表面積の耐熱性金属酸化物支持体、例えば、アルミナ支持体は、また、「γ−アルミナ」または「活性アルミナ」と呼ばれて、一般的に1グラムにつき60平方メートル(「m/g」)を上回るBET表面積、しばしば最高およそ200m/g以上を示す。そのような活性アルミナは、通常アルミナのガンマ相とデルタ相との混合物であるが、イータ、カッパおよびシータアルミナ相の実質的な量を含んでもよい。活性アルミナ以外の耐熱性金属酸化物は、所定の触媒の少なくともいくつかの触媒成分に対する支持体として使うことができる。例えば、バルクセリア、ジルコニア、アルファアルミナおよび他の材料は、そのような使用で知られている。これらの材料の多くが、活性アルミナよりかなり低いBET表面積を有する不利益を被るが、この不利益は得られる触媒のより大きな耐久性で相殺される傾向がある。「BET表面積」は、N吸着で表面積を測定するためのBrunauer、Emmett、Tellerの方法を指す通常の意味を有する。
【0034】
1つ以上の実施形態は、アルミナ、アルミナ−ジルコニア、アルミナ−セリア−ジルコニア、ランタナ−アルミナ、ランタナ−ジルコニア−アルミナ、バリア−アルミナ、バリア ランタナ−アルミナ、バリア ランタナ−ネオジミア アルミナ、およびアルミナ−セリアからなる群から選択される活性化合物を含む高表面積の耐熱性金属酸化物支持体を含む。酸素吸蔵物質を含む複合体の例は、限定されるものではないが、セリア−ジルコニア、セリア−ジルコニア−ランタナを含む。「セリア−ジルコニア複合体」への言及は、どちらの成分の量も指定することなく、セリアとジルコニアを含む複合体を意味する。適切なセリア−ジルコニア複合体は、限定されるものではないが、例えば、セリア含量の5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%またはさらに95%を有する複合体を含む。特定の実施形態は、支持体が100%(すなわち、>99%の純度)の名目セリア含量を有するバルクセリアを含むことを規定する。
【0035】
酸素吸蔵物質(OSC)への言及は、多原子価状態を有し、酸化的条件下で酸素または亜酸化窒素などの酸化剤と活発に反応できるか、または還元的条件下で一酸化炭素(CO)または水素などの還元剤と反応する実体を指す。適切な酸素吸蔵物質の例は、セリアを含む。プラセオジミアは、また、OSCとして含まれることもできる。ウォッシュコート層へのOSCの送達は、例えば、混合酸化物を用いて成し遂げることができる。例えば、セリアは、セリウムとジルコニウムの混合酸化物、および/またはセリウム、ジルコニウム、およびネオジムの混合酸化物により送達できる。例えば、プラセオジミアは、プラセオジミウムとジルコニウムの混合酸化物、および/またはプラセオジミウム、セリウム、ランタン、イットリウム、ジルコニウム、およびネオジムの混合酸化物によって送達できる。
【0036】
本明細書で使用されるように、ゼオライトなどの分子篩は、触媒貴金属を微粒子の形態で支持する材料を指し、該材料は、実質的に一様な細孔分布と20Å以下の平均細孔サイズを有する。触媒ウォッシュコート層での「非ゼオライト支持体」の言及は、分子篩またはゼオライトでなく、貴金属、安定剤、促進剤、結合剤などを会合、分散、含浸、または他の適切な方法によって受け入れる材料を指す。ウォッシュコート層が分子篩またはゼオライトでない実質的材料にゆだねる、そのような支持体の例は、限定されるものではないが、高表面積の耐熱性金属酸化物を含む。
【0037】
「含浸させた」への言及は、貴金属含有溶液が支持体細孔中に入ることを意味する。詳細な実施形態において、貴金属の含浸は、初期湿潤法によって達成され、そこでは希釈された貴金属含有の容量が支持体本体の細孔容積とほとんど等しい。初期湿潤含浸法は、一般に、支持体の細孔系を通して前駆体溶液の実質的に一様な分布に至る。「密接な接触」とは、直接に接して、および/またはOSCがPd成分の前に酸素成分と接触するように本質的に近くで、同じ支持体上のそのような接触(例えば、PdとOSC)での有効量の成分を有することを含む。
微粒子トラップ
【0038】
微粒子トラップへの言及は、直噴ガソリンエンジンでの燃焼反応によって発生する微粒子を捕集するように大きさで分けられて構成されるフィルタを意味する。微粒子の捕集は、例えば、微粒子(またはすす)フィルタの使用によって、微粒子の流れの方向の変化がそれらに排気流から抜け出させるような内部の曲がりくねった経路を有するフロースルー基材の使用によって、波形の金属担体などの金属基材の使用によって、または当業者に公知の他の方法によって起こり得る。排気流の外へ微粒子を取り去ることができる粗面があるパイプなどの他の濾過装置が、適切である場合もある。また、湾曲があるパイプも適切である可能性がある。
【0039】
フィルタに関して、図3は微粒子フィルタに適した例示的な壁流フィルタ基材の斜視図を表す。TWCまたは酸化触媒組成物を支持するために有用な壁流フィルタ基材は、基材の長手軸方向に沿って伸びる複数の細い、実質的に平行なガス流路を有している。一般的に、各流路は、基材本体の一端で閉塞され、反対の端面で閉塞された交互の流路を有する。そのようなモノリシックの担体は、遥かに少なく使用されるかもしれないが、断面1平方インチにつき最高およそ300の流路(または「セル」)を含むことが可能である。例えば、担体は、1平方インチにつき、約7〜300、より通常では約200〜300のセル(「cpsi」)を有してもよい。セルは、長方形、四角、円形、卵形、三角形、六角形であるか、または他の多角形の形状である断面を有することができる。壁流基材は、一般的に0.008〜0.016インチの範囲の壁厚を有する。特定の壁流基材は、0.010〜0.012インチの範囲の壁厚を有する。
【0040】
図3および4は、複数の流路52を有する壁流フィルタ基材50を例示する。流路はフィルタ基材の内壁53により管状に囲まれる。基材は、入口端部54と出口端部56を有する。交互の流路は、入口プラグ58により入口端部で、そして、出口プラグ60により出口端部で閉塞されて入口54と出口56で相対するチェッカー盤パターンを形成する。ガス流62は、未閉塞流路入口64を通って入り、出口プラグ60で止められ、流路壁53(それは多孔性である)を通って出口側面66に拡散する。ガスは、入口プラグ58のため、壁の入口側面に向かって戻ることができない。
【0041】
壁流フィルタ基材は、菫青石、α−アルミナ、炭化ケイ素、チタン酸アルミニウム、窒化ケイ素、ジルコニア、ムライト、リシア輝石、アルミナ−シリカ−マグネシアまたは珪酸ジルコニウムなどのセラミック様材料から、あるいは多孔性で耐熱性金属から成ることができる。壁流基材は、また、セラミック繊維複合材料から形成することも可能である。特定の壁流基材は、菫青石、炭化ケイ素、およびチタン酸アルミニウムから作られる。そのような材料は、排気流処理で遭遇する環境、特に高温に耐えることができる。
【0042】
本発明のシステムに用いられる壁流基材は、薄い多孔質壁に囲まれたハニカム構造(モノリス)を含むことができ、それを通って流体流れが物品を横断する背圧または圧力のあまりに大きな増加を引き起こすことなく通過する。本システムで使われるセラミック壁流基材は、少なくとも5ミクロン(例えば、5〜30ミクロン)の平均細孔サイズを有する少なくとも50%(例えば、50〜75%)の多孔率を有する材料から形成されることができる。特定の実施形態において、基材は少なくとも59%の多孔率を有することができて、10〜20ミクロンの平均細孔サイズを有することができる。これらの多孔率と平均細孔サイズを有する基材が、後述される技術によりコーティングされるとき、適正水準のTWCまたは酸化触媒組成物は、優れた炭化水素、COおよび/またはNO変換効率を達成するために基材上に充填することができる。これらの基材は、触媒充填にもかかわらず、十分な排気流特徴,すなわち、許容できる背圧をなお保持する。米国特許第4,329,162号は、適切な壁流基材の開示に関して、引用により本明細書に取り込まれる。
【0043】
商業的用途での典型的な壁流フィルタは、本発明で使用される壁流フィルタよりも、低い壁の多孔率、例えば、約42%〜50%で形成される。一般に、商用壁流フィルタの細孔サイズ分布は、典型的には非常に広範囲であり、25ミクロン未満の平均細孔サイズを有する。
【0044】
本発明において使われる多孔質壁流フィルタは、1つ以上の触媒材料をその上に有する、あるいはその中に含むという点で触媒作用を及ぼす。触媒材料は、要素壁の入口側面のみに、出口側面のみに、入口と出口の両側面に存在してもよく、あるいは壁自身が、触媒材料の全てまたは一部から成るものであってもよい。本発明は、触媒材料の1つ以上のウォッシュコートと要素の入口壁および/または出口壁の上の触媒材料の1つ以上のウォッシュコートの組み合わせの使用を含む。
【0045】
壁流フィルタをTWCまたは酸化触媒組成物でコーティングするために、基材のトップがスラリー表面よりちょうど上に位置するように、基材は一部の触媒スラリーに垂直に浸漬される。このように、スラリーは、各ハニカム状壁面の入口面に接触するが、各壁の出口面との接触は妨げられる。サンプルは、約30秒間スラリーに放置する。フィルタは、スラリーから除き、そして、過剰のスラリーは、最初に流路から排水させ、次いで圧縮空気(スラリー浸透方向に対して)を吹きつけて、そして、スラリー浸透方向から真空にして壁流フィルタから除去される。この技術を用いて、触媒スラリーは、フィルタの壁に浸透し、それでも、細孔は過度な背圧が完了フィルタ中で増加する程度までは閉塞されない。本明細書で使用されるように、フィルタ上での触媒スラリーの分散を記述するのに用いられるとき、「浸透する」という用語は、触媒組成物がフィルタの壁中至る所に分散されることを意味する。
【0046】
コーティングされたフィルタは、一般的に約100℃で乾燥して、より高温(例えば、300〜450℃で、最高550℃まで)で焼成される。焼成後、触媒充填量は、フィルタのコーティング量、および非コーティング量の計算により決定することができる。当業者にとって明らかであるように、触媒、充填量は、コーティングスラリーの固体含量を変えることによって修正することができる。あるいは、コーティングスラリーでのフィルタの反復浸漬を、実施することができ、そして、続いて、先に述べたように過剰なスラリーを除去することができる。
【0047】
金属基材に関して、有用な基材は、1つ以上の金属または金属合金から構成されてもよい。金属担体は、波形シートまたはモノリシック形態などのいろいろな形状で使用することが可能である。特定の金属支持体は、チタンやステンレス鋼などの耐熱金属および金属合金、同様に鉄が実質的な、または主要な成分である他の合金を含む。そのような合金は、1つ以上のニッケル、クロム、および/またはアルミニウムを含んでもよく、そして、これらの金属の総量は、合金の少なくとも15重量%、例えば、クロムの10〜25重量%、アルミニウムの3〜8重量%、およびニッケルの最大20重量%を有利に含むことが可能である。合金は、また、小量または微量のマンガン、銅、バナジウム、チタンなどの1つ以上の他の金属を含むことも可能である。担体の表面に酸化物層を形成することにより合金の耐腐食性を改善するために、金属担体の表面は、高温で、例えば1000℃以上で酸化される。そのような高温で誘導された酸化は、触媒材料の担体への接着を強化することが可能である。
【0048】
触媒複合体ウォッシュコートの調製
触媒複合体は、単一層または複数層で形成されてもよい。ある場合には、触媒材料の1つのスラリーを調製して、このスラリーを担体上で複数の層を作るために使うことが適切である場合がある。複合体は、先行技術で周知のプロセスで容易に調製することができる。代表的なプロセスが、以下に述べられる。本明細書で使用されるように、「ウォッシュコート」という用語は、処理されるガス流がそこを通過するのを可能とするのに十分に多孔性であるハニカム型担体部材などの基材担体部材に適用された触媒材料または他の材料の薄い粘着性のコーティング分野でその通常の意味を有する。従って、「ウォッシュコート層」は、支持体粒子から成るコーティングとして定義される。「触媒化ウォッシュコート層」は、触媒成分で含浸された支持体粒子から成るコーティングである。
【0049】
触媒複合体は、担体上に層状で容易に調製することができる。特定のウォッシュコートの第1層については、γアルミナなどの高表面積の耐熱性金属酸化物の微粉砕粒子が、適切なビヒクル、例えば、水中でスラリー化される。貴金属(例えば、パラジウム、ロジウム、白金、および/またはその組み合わせ)、安定剤および/または促進剤などの成分を配合するために、そのような成分は、水溶性または水分散性の化合物または複合体の混合物としてスラリー中に配合されてよい。一般的に、パラジウムが所望されるとき、パラジウム成分は、耐熱性金属酸化物支持体、例えば、活性アルミナ上で成分の分散を達成するために、化合物または複合体の形態で使用される。「パラジウム成分」という用語は、その焼成または使用の際に、触媒的に活性な形態、通常は金属または金属酸化物に分解するか、そうでなければそれに変換する任意の化合物、複合体などを意味する。金属成分の水溶性化合物もしくは水分散性化合物または複合体は、耐熱性金属酸化物支持体粒子の上へ金属成分を含浸または担持させるために使用される液体媒体が、触媒組成物中に存在し得る、そして加熱および/または真空の適用の際、揮発または分解によって金属成分から除去されることができる金属もしくはその化合物もしくはその複合体または他の成分と不都合に反応しない限り用いることが可能である。いくつかの場合、液体の除去の終了は、触媒が使用されて、そして運転の間に遭遇する高温にさらされるまで起きない場合がある。通常、経済学の観点と環境面の両方から、貴金属の可溶性化合物または複合体の水溶液が利用される。例えば、適切な化合物は、硝酸パラジウムまたは硝酸ロジウムである。
【0050】
本発明の積層触媒複合体の任意の層を調製する適切な方法は、所望の貴金属化合物(例えば、パラジウム化合物)の溶液と、微粉砕された高表面積の耐熱性金属酸化物支持体、例えば、コートできるスラリーを形成するために後に水と組み合わせて湿潤固体を作るために溶液の実質的に全てを吸収するのに十分に乾燥しているγアルミナなどの少なくとも1つの支持体との混合物を調製することである。1つ以上の実施形態において、スラリーは酸性であり、例えば、約2から約7未満のpHを有する。スラリーのpHは、スラリーに適量の無機酸または有機酸を添加することにより低下させることが可能である。酸と原料の相容性が考慮されるとき、両方の組み合わせを使用することができる。無機酸は、硝酸を含むが、これに限定されるものではない。有機酸は、限定されるものではないが、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタミン酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、酒石酸、クエン酸などを含む。その後、所望により、酸素吸蔵物質の水溶性または水分散性の化合物、例えば、セリウム−ジルコニウム複合体、安定剤、例えば、酢酸バリウム、および促進剤、例えば、硝酸ランタンをスラリーに加えてもよい。
【0051】
1つの実施形態において、スラリーはその後、平均直径で約20ミクロン未満、つまり、約0.1〜15ミクロンの粒径を有する固体の実質的に全てをもたらすために粉砕される。粉砕は、ボールミルまたは他の類似した設備で実行することが可能であり、スラリーの固体含量は、例えば、約20〜60重量%、特に30〜40重量%であってよい。
【0052】
更なる層、すなわち、第2および第3の層を調製して、担体上に第1層を担持させるために上記したと同じ方法で第1層上に担持させてよい。
NOトラップ
【0053】
TWC触媒の存在にもかかわらず、ガソリン直噴エンジンの使用は、NOレベルがガソリンエンジンの従来の化学量論的状態の間よりも高い希薄燃焼状態をもたらす。その結果、TWC触媒は、NO成分の全てを還元するというわけではないかもしれない。NOトラップは、少なくともNO吸収剤とNOを還元するための触媒を含む。通常、NO吸収剤は、希薄運転(酸素リッチ)の間にNOを貯蔵し、そして運転のリッチ期間(比較的燃料リッチ)の間に、貯蔵されたNOを排気する。リッチ運転の間に、NOトラップの触媒成分は、NO(NO吸着剤から放出されたNOを含む)の排気ガス中に存在するHC、COおよび/または水素との反応により、NOの窒素への還元を促進する。NO吸着剤成分は、アルカリ土類金属成分、アルカリ金属成分、および希土類金属成分からなる群から選択されることができる。特定の実施形態においては、NO吸着剤成分は、カルシウム、ストロンチウムとバリウムの酸化物、カリウム、ナトリウム、リチウムとセシウムの酸化物、そして、セリウム、ランタン、プラセオジミウムとネオジムの酸化物からなる群から選択される。Hおよび/または炭化水素との反応によるNOの過剰還元がNOトラップで起こるとき、アンモニアNHが生じる場合があり、そして、それは追加的な処理を必要とする。
SCR触媒
【0054】
NHの処理は、また、選択的接触還元(SCR)を用いて達成することもできる。SCRにおいて、アンモニアまたは尿素系試薬が、卑金属を有する触媒の存在下で使用され、そこでは、アンモニアが反応して窒素酸化物を還元する。アンモニアまたは尿素は、SCR触媒の前の排気ガスシステムに注入することができるか、あるいは貯蔵されたNOの過剰還元によりNOトラップ触媒上で生産することができる。適切なSCR触媒組成物は、例えば、米国特許第4,961,917号(Byrne)および第5,516,497号(Speronello)に記述されており、引用することによりその全体がともに本明細書に取り込まれる。Byrne特許に開示された組成物は、ゼオライト中に存在する鉄と銅の促進剤の1つまたは両方を、促進剤+ゼオライトの総重量の約0.1〜30重量%、好ましくは、約1〜5重量%で含む。NHによるNへのNOの還元を触媒するそれらの能力に加えて、開示された組成物は、特により高い促進剤濃度を有するそれらの組成物のために、Oによる過剰なNHの酸化を促進することもできる。
【0055】
本発明のいくつかの例示的な実施形態を記述する前に、本発明は、以下の記述で説明される構成またはプロセス工程の詳細に限定されないことを理解すべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、いろいろな方法で実施することができる。以下に、単独で、または、無制限の組み合わせでの使用が引用されるそのような組み合わせを含む積層触媒のための好ましい設計が提供され、そのための使用は、本発明の他の態様のシステムと方法を含む。
【0056】
実施形態1では、炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物、および微粒子を含む排気システム処理のためのガソリン直噴エンジンの下流の排出ガス処理システムであって、該排出ガス処理システムは、微粒子トラップ上または微粒子トラップ内にコーティングされた3元変換(TWC)触媒からなる触媒化微粒子トラップを含む;が提供される。
【0057】
実施形態2では、炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物、および微粒子を含む、排気システム処理のためのガソリン直噴エンジンの下流の排出ガス処理システムであって、該排出ガス処理システムは、その上に担持された酸化触媒または3元変換触媒を有する触媒化された微粒子トラップ;1つ以上のガスセンサー、および車載診断(OBD)システムを備えている;が提供される。
【0058】
実施形態3では、炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物、および微粒子を含む排気ガスを処理する方法であって、該方法は、ガソリン直噴エンジンの下流に排出ガス処理システムを設置するステップ;排出ガス処理システムで微粒子トラップ上に担持された3元変換(TWC)触媒を含む触媒化微粒子トラップを提供するステップ;およびエンジンからの排気ガスを触媒化微粒子トラップと接触させるステップを含む;が提供される。
【0059】
実施形態1〜3のいずれかは、以下の任意の設計特徴の1つ以上を有することができる:
【0060】
微粒子トラップは、すすフィルタを含む;
【0061】
NOトラップ、SCR触媒、または両方は、触媒化微粒子トラップの下流に位置する;
【0062】
3元変換触媒組成物は、微粒子トラップの入口側面、出口側面、または両側面でコーティングされている;
【0063】
入口側面または出口側面は、パラジウム、支持体、および酸素吸蔵物質を含むウォッシュコートでコーティングされている;
【0064】
酸素吸蔵物質は、ウォッシュコートの最大10重量%の量で存在する;
【0065】
入口側面または出口側面は、ロジウム、支持体、および酸素吸蔵物質を含むウォッシュコートでコーティングされている;
【0066】
酸素吸蔵物質は、ウォッシュコートの10〜25重量%の量で存在する;
【0067】
微粒子トラップの入口側面は、10〜50ミクロンの範囲の厚みを有する3元変換触媒の層をその上に含む;
【0068】
全白金族金属(PGM)充填量の50%以上は、フィルタの上流の20〜50%軸方向距離に担持され、全PGM充填量の50%未満が、フィルタの後方の50〜80%軸方向距離に担持される;
【0069】
触媒は、入口側面と出口側面で合計2g/in以下の量で存在する;
【0070】
第2の3元変換触媒は、触媒化微粒子トラップの上流に提供される;
【0071】
触媒化微粒子トラップは、低温始動状態の過程で接触され、そして、触媒化微粒子トラップが、低温始動状態の後で迂回される。
【実施例】
【0072】
以下の非限定的な実施例は、本発明のいろいろな実施形態を例示するのに役立つ。各実施例で、担体は菫青石であった。第1コートと第2コートへの言及は、コートの位置または方向に対して制限を与えない。入口コートに関して、これは排気ガスが、出口コートに接触する前に最初に入口コートに接触することを意味する。
【0073】
実施例1
触媒材料を有するすすフィルタは、2つのコート:入口コートと出口コートを使って調製された。3元変換(TWC)触媒複合体は、26g/ftの全貴金属充填量と0/24.5/1.5のPt/Pd/Rh比率でパラジウムとロジウムを含有した。基材は、91.5立法インチ(1.5L)の容量、1平方インチにつき600セルのセル密度、約100μmの壁厚、および50%の多孔率を有した。コートは、以下の通りに調製された:
入口コート
【0074】
入口コートに存在する成分は、触媒の焼成重量に基づき、それぞれ、約29.3%、58.5%、0.5%、および11.7%の濃度での、ランタナ安定化高表面積γアルミナ、重量比で28%のセリアを含むセリア−ジルコニア複合体、ロジウム、および酸化バリウムであった。酸化バリウムは、水酸化物溶液として導入された。コートの全充填量は、0.17g/inであった。コート中のOSC含量は、約16%であった。
【0075】
初期湿潤を達成しながら湿った粉末を形成するために、硝酸ロジウム溶液の形態のロジウムを遊星式攪拌機(P−ミキサー)で安定化アルミナ上に含浸させた。水性スラリーが形成された。バリウム溶液を添加した。成分は、粒径の90%が8〜10ミクロンとなるように粉砕された。セリア−ジルコニア複合体が添加され、成分は粒径の90%が5ミクロン未満に更に粉砕された。スラリーが、当該分野で公知の担持法を使用して、壁流菫青石フィルタの入口側面の上にコーティングされた。コーティングの後で、フィルタと入口コートを乾燥した。
出口コート
【0076】
出口コートに存在する成分は、触媒の焼成重量に基づき、それぞれ、約51.8%、25.9%、9.4%、3.3%、2.4%、2.4%、2.4%および2.4%の濃度での、γアルミナ、ランタナ安定化高表面積γアルミナ、重量比で28%のセリアを含むセリア−ジルコニア複合体、パラジウム、酸化ジルコニウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、および酸化ランタンであった。出口コートの全充填量は、0.42g/inであった。酸化ジルコニウムと酸化ストロンチウムは、酢酸塩溶液として導入された。酸化バリウムと酸化ランタンは、硝酸塩溶液として導入された。コート中の酸素吸蔵物質(OSC)含量は、約3%であった。
【0077】
水性スラリーは、アルミナを化合させることによって形成された。硝酸パラジウム溶液の形態のパラジウムは、初期湿潤を達成しながら、湿った粉末を形成するために、アルミナ上に遊星式攪拌機(P−ミキサー)で含浸させた。ジルコニウムおよびバリウム溶液を加え、pHを3〜3.5の範囲に調整した。成分は、粒径の90%が8〜10ミクロンとなるように粉砕された。セリア−ジルコニア複合体が、ランタンおよびストロンチウム溶液とともに添加され、成分は、粒径の90%が5ミクロン未満となるように更に粉砕された。スラリーは、触媒を菫青石基材の上に担持させるために当該分野で公知の担持法を使用して、壁流菫青石フィルタの出口側面の上にコーティングされた。コーティングの後で、フィルタと入口および出口コートを乾燥し、次いで、550℃の温度で約1時間、焼成した。
【0078】
実施例2
触媒材料を有するすすフィルタは、2つのコート:入口コートと出口コートを使って調製された。3元変換(TWC)触媒複合体は、68g/ftの全貴金属充填量と0/65.5/2.5のPt/Pd/Rh比率でパラジウムとロジウムを含有した。基材は、91.5立法インチ(1.5L)の容量、1平方インチにつき600セルのセル密度、約100μmの壁厚、および50%の多孔率を有した。コートは、以下の通りに調製された:
入口コート
【0079】
入口コートに存在する成分は、触媒の焼成重量に基づき、それぞれ、約29.2%、58.3%、0.8%、および11.7%の濃度での、ランタナ安定化高表面積γアルミナ、重量比で28%のセリアを含むセリア−ジルコニア複合体、ロジウム、および酸化バリウムであった。酸化バリウムは、水酸化物溶液として導入された。コートの全充填量は、0.17g/inであった。コート中のOSC含量は、約16%であった。
【0080】
初期湿潤を達成しながら湿った粉末を形成するために、硝酸ロジウム溶液の形態のロジウムを遊星式攪拌機(P−ミキサー)で安定化アルミナ上に含浸させた。水性スラリーが形成された。バリウム溶液を添加した。成分は、粒径の90%が8〜10ミクロンとなるように粉砕された。セリア−ジルコニア複合体が添加され、成分は粒径の90%が5ミクロン未満となるように更に粉砕された。スラリーが、当該分野で公知の担持法を使用して壁流菫青石フィルタの入口側面の上にコーティングされた。コーティングの後で、フィルタと入口コートを乾燥した。
出口コート
【0081】
出口コートに存在する成分は、触媒の焼成重量に基づき、それぞれ、約49.2%、24.6%、8.9%、8.4%、2.2%、2.2%、2.2%、および2.2%の濃度での、高表面積γアルミナ、ランタナ安定化高表面積γアルミナ、重量比で28%のセリアを含むセリア−ジルコニア複合体、パラジウム、酸化ジルコニウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、および酸化ランタンであった。出口コートの全充填量は、0.45g/inであった。酸化ジルコニウムと酸化ストロンチウムは、酢酸塩溶液として導入された。酸化バリウムと酸化ランタンは、硝酸塩溶液として導入された。コート中のOSC(酸素吸蔵物質)含量は、約3%であった。
【0082】
水性スラリーは、アルミナを化合させることによって形成された。硝酸パラジウム溶液の形態のパラジウムは、初期湿潤を達成しながら、湿った粉末を形成するためにアルミナ上に遊星式攪拌機(P−ミキサー)で含浸させた。ジルコニウムおよびバリウム溶液を加え、pHを3〜3.5の範囲に調整した。成分は、粒径の90%が8〜10ミクロンとなるように粉砕された。セリア−ジルコニア複合体が、ランタンおよびストロンチウム溶液とともに添加され、成分は、粒径の90%が5ミクロン未満となるように更に粉砕された。スラリーは、触媒を菫青石基材の上に担持させるために当該分野で公知の担持法を使用して、壁流菫青石フィルタの出口側面の上にコーティングされた。コーティングの後で、フィルタと入口および出口コートを乾燥し、次いで、550℃の温度で約1時間、焼成した。
【0083】
実施例3
触媒材料を有するすすフィルタは、2つのコート:入口コートと出口コートを使って調製された。3元変換(TWC)触媒複合体は、61g/ftの全貴金属充填量と0/58.6/2.4のPt/Pd/Rh比率でパラジウムとロジウムを含有した。基材は、91.5立法インチ(1.5L)の容量、1平方インチにつき600セルのセル密度、約100μmの壁厚、および59%の多孔率を有した。コートは、以下の通りに調製された:
【0084】
入口コート
入口コートに存在する成分は、触媒の焼成重量に基づき、それぞれ、約31.2%、62.2%、0.4%、および6.2%の濃度での、ランタナ安定化高表面積γアルミナ、重量比で28%のセリアを含むセリア−ジルコニア複合体、ロジウム、および酸化バリウムであった。酸化バリウムは、水酸化物溶液として導入された。コートの全充填量は、0.32g/inであった。コート中のOSC含量は、約17%であった。
【0085】
初期湿潤を達成しながら湿った粉末を形成するために、硝酸ロジウム溶液の形態のロジウムを遊星式攪拌機(P−ミキサー)により安定化アルミナ上に含浸させた。水性スラリーが形成された。バリウム溶液を添加した。成分は、粒径の90%が8〜10ミクロンとなるように粉砕された。セリア−ジルコニア複合体が添加され、成分は粒径の90%が5ミクロン未満となるように更に粉砕された。スラリーが、当該分野で公知の担持法を使用して、壁流菫青石フィルタの入口側面の上にコーティングされた。コーティングの後で、フィルタと入口コートを乾燥した。
【0086】
出口コート
出口コートに存在する成分は、触媒の焼成重量に基づき、それぞれ、約50.2%、25.1%、12.1%、5.1%、1.5%、1.5%、1.5%、および3.0%の濃度での、高表面積γアルミナ、ランタナ安定化高表面積γアルミナ、重量比で28%のセリアを含むセリア−ジルコニア複合体、パラジウム、酸化ジルコニウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、および酸化ランタンであった。出口コートの全充填量は、0.66g/inであった。酸化ジルコニウムと酸化ストロンチウムは、酢酸塩溶液として導入された。酸化バリウムと酸化ランタンは、硝酸塩溶液として導入された。コート中のOSC(酸素吸蔵物質)含量は、約3%であった。
【0087】
水性スラリーは、アルミナを化合させることによって形成された。硝酸パラジウム溶液の形態のパラジウムは、初期湿潤を達成しながら湿った粉末を形成するために、アルミナ上に遊星式攪拌機(P−ミキサー)により含浸させた。ジルコニウムおよびバリウム溶液を加え、pHを3〜3.5の範囲に調整した。成分は、粒径の90%が8〜10ミクロンとなるように粉砕された。セリア−ジルコニア複合体が、ランタンおよびストロンチウム溶液とともに添加され、成分は、粒径の90%が5ミクロン未満となるように更に粉砕された。スラリーは、触媒を菫青石基材の上に担持させるために当該分野で公知の担持法を使用して、壁流菫青石フィルタの出口側面の上にコーティングされた。コーティングの後で、フィルタと入口および出口コートを乾燥し、次いで、550℃の温度で約1時間、焼成した。
【0088】
実施例4
触媒材料を有するすすフィルタは、2つのコート:入口コートと出口コートを使って調製された。酸化触媒複合体は、37.5g/ftの全貴金属充填量と25/12.5/0のPt/Pd/Rh比率で白金とパラジウムを含有した。基材は、91.5立法インチ(1.5L)の容量、1平方インチにつき600セルのセル密度、約100μmの壁厚、および50%の多孔率を有した。コートは、以下の通りに調製された:
入口コート
【0089】
入口コートに存在する成分は、触媒の焼成重量に基づき、それぞれ、約55.2%、31.5%、3.6%、1.8%、および7.9%の濃度での、ランタナ安定化高表面積γアルミナ、重量比で28%のセリアを含むセリア−ジルコニア複合体、白金、パラジウム、および酸化ジルコニウムであった。入口コートの全充填量は、0.64g/inであった。酸化ジルコニウムは、酢酸塩溶液として導入された。コート中のOSC(酸素吸蔵物質)含量は、約9%であった。入口コートの金属充填量は、合計約60g/ftであった。
【0090】
硝酸パラジウム溶液の形態のパラジウムとアミン形態の白金を、初期湿潤を達成しながら、湿った粉末を形成するために、水溶液中のアルミナ上に遊星式攪拌機(P−ミキサー)により含浸させた。ジルコニウム溶液を加え、pHを3〜3.5の範囲に調整した。成分は、粒径の90%が8〜10ミクロンとなるように粉砕された。セリア−ジルコニア複合体が添加され、成分は粒径の90%が5ミクロン未満となるように更に粉砕された。スラリーは、触媒を菫青石基材の上に担持させるために当該分野で公知の担持法を使用して、壁流菫青石フィルタの入口側面上、軸長の50%の距離にコーティングされた。コーティングの後で、フィルタと入口コートを乾燥し、次いで、550℃の温度で約1時間、焼成した。
出口コート
【0091】
出口コートに存在する成分は、触媒の焼成重量に基づき、それぞれ、約57.5%、32.8%、1.0%、0.5%、および8.2%の濃度での、ランタナ安定化高表面積γアルミナ、重量比で28%のセリアを含むセリア−ジルコニア複合体、白金、パラジウム、および酸化ジルコニウムであった。入口コートの全充填量は、0.61g/inであった。酸化ジルコニウムは、酢酸塩溶液として導入された。コート中のOSC(酸素吸蔵物質)含量は、約9%であった。出口コートの金属充填量は、合計で約15g/ftであった。
【0092】
初期湿潤を達成しながら湿った粉末を形成するために、硝酸パラジウム溶液の形態のパラジウムとアミン形態の白金を遊星式攪拌機(P−ミキサー)により水溶液中のアルミナ上に含浸させた。ジルコニウム溶液を添加し、pHを3〜3.5の範囲に調整した。成分は、粒径の90%が8〜10ミクロンとなるように粉砕された。セリア−ジルコニア複合体が、添加され、成分は、粒径の90%が5ミクロン未満となるように更に粉砕された。スラリーは、当該分野で公知の担持法を使用して、壁流菫青石フィルタの出口側面上、軸長の50%の距離にコーティングされた。コーティングの後で、フィルタと入口および出口コートを乾燥し、次いで、550℃の温度で約1時間、焼成した。
【0093】
実施例5
試験
実施例1、2、3、および4のすすフィルタは、背圧へのそれらの寄与を決定するために試験された。ブランクフィルタと比較して、コーティングを有するフィルタの圧力損失は、有意に増加しなかった。実施例1、2、3、および4の流れ(cfm)と比較した、水柱インチでの圧力損失の結果を図5、6、7、および8にそれぞれ提供する。
【0094】
実施例6
比較
実施例2の2層触媒材料と関連したアンダーコートを有するフロースルー式モノリスが調製された。フロースルー式モノリスは、91.5立方インチ(1.5L)の容量、1平方インチにつき600セルのセル密度、および約100μmの壁厚を有した。アンダーコートは、活性化されたγアルミナ、ジルコニア、および結合剤を含んでいた。底面と上面のウォッシュコート層は、入口コートと出口コートそれぞれに対して実施例2で記載されたように調製された。
【0095】
実施例7
比較
実施例3の2層触媒材料と関連してアンダーコートを有するフロースルー式モノリスが調製された。フロースルー式モノリスは、91.5立方インチ(1.5L)の容量、1平方インチにつき600セルのセル密度、および約100μmの壁厚を有した。アンダーコートは、活性化されたγアルミナ、ジルコニア、および結合剤を含んでいた。底面と上面のウォッシュコート層は、入口コートと出口コートそれぞれに対して実施例3で記載されたように調製された。
【0096】
実施例8
比較
触媒材料の層と関連したアンダーコートを有するフロースルー式モノリスが調製された。アンダーコートは、活性化γアルミナ、ジルコニア、および結合剤を含有した。触媒材料は、60g/ftの全貴金属充填量と2/1のPt/Pd比率で白金とパラジウムを含んでいた。フロースルー式モノリスは、91.5立方インチ(1.5L)の容量、1平方インチにつき600セルのセル密度、および約100μmの壁厚を有した。触媒材料のウォッシュコート層は、入口コートについて実施例4で記載されたように調製された。
【0097】
実施例9
比較
実施例3の2層触媒材料を有するフロースルー式モノリスが調製された(アンダーコートなし)。フロースルー式モノリスは、91.5立方インチ(1.5L)の容量、1平方インチにつき600セルのセル密度、および約100μmの壁厚を有した。底面と上面のウォッシュコート層は、入口コートと出口コートそれぞれに対して実施例3で記載されたように調製された。
【0098】
実施例10
試験
実施例2〜4と6〜9の触媒複合体からの1インチ×3インチ(2.5cm×7.6cm)の寸法を有するコア試料を、空気中900℃で5時間、熱時効させた。熱時効後、複合体は、ガソリン車シミュレータを使い、そこでは、供給原料炭化水素(C1)が7.5%のエタン、40%のプロピレン、22.5%のペンタンと30%のベンゼンを含み、OBD遅延時間、モデルラムダトランジェント、および模擬MVEG運転サイクルを含むいろいろな試験実施要項で評価された。
【0099】
HC/CO/NO変換は、温度を急激に500℃まで上げながら測定された。炭化水素、CO、およびNO濃度は、フーリエ変換赤外分析(FTIR)計を用いて測定された。表1は、HC、CO、およびNOの残存率を提供する。
【0100】
【表1】

【0101】
表1に基づいて、実施例2〜4の触媒化すすフィルタは、比較例6〜9のフロースルー式モノリス上の触媒材料に同様の変換を提供すると結論づけられる。このように、実施例2〜4の触媒化すすフィルタは、微粒子の捕集を必要とする排出ガスシステムで、触媒化フロースルー式モノリスの代わりとして使うことができた。すすフィルタとフロースルー式モノリスとの間には、NO性能において統計的に有意差がある限り、希薄GDIシステムで通常見られる下流のNOトラップとSCR触媒が、必要に応じてNO処理を補填するために利用可能であろう。要約すると、所望の貴金属充填量を含むすすフィルタの使用は、微粒子捕集のさらなる利点を有して同様のHC、COおよびNO排気ガス処理をフロースルー式モノリスに提供する。
【0102】
「1つの実施形態」、「ある実施形態」、「1つ以上の実施形態」または「実施形態」への本明細書を通しての言及は、実施形態に関連して記述される特定の特徴、構造、材料、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。このように、本明細書を通していろいろな場所での「1つ以上の実施形態」、「ある実施形態」、「1つの実施形態」または「実施形態」のフレーズの出現は、本発明の同じ実施形態を必ずしも言及しているというわけではない。さらにまた、特定の特徴、構造、材料、または特性は、任意の適切な方法または1つ以上の実施形態において組み合わせることが可能である。
【0103】
本発明は、上述した実施形態およびその修正と具体的に関連して記述されている。更なる修正および変更が、明細書を読み、そして理解した場合に他に対して起こり得る。全てのそのような修正および変更は、本発明の範囲内にある限り含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのイソアルカン混合物と少なくとも1つの効果顔料と、場合により、少なくとも1つの化粧品的に許容され得る助剤とを含む着色化粧品製剤。
【請求項2】
0.1〜99.9重量%の少なくとも1つのイソアルカン混合物と0.1〜90重量%の少なくとも1つの効果顔料を含む請求項1に記載の着色化粧品製剤。
【請求項3】
イソアルカン混合物が、標準的な化粧用皮膚軟化薬に取って代わる請求項1に記載の着色化粧品製剤。
【請求項4】
イソアルカン混合物が、標準的な化粧用皮膚軟化薬に加えて使用される請求項1に記載の着色化粧品製剤。
【請求項5】
着色化粧品が、クリームパウダー、アイシャドウ、口紅、リップグロス、リップバーム、ミネラルパウダー、ムースファンデーション、ボディペイント、ヘアジェル、マスカラ、コレクションクリーム、タンニングクリーム、汎用スティック、ヘアパテ、ヘアカラー、シャンプー、およびファンデーションからなる群から選択される請求項1に記載の着色化粧品製剤。
【請求項6】
クリーム、エマルジョン、泡、ジェル、ローション、ミルク、ムース、軟膏、ペースト、粉末、スプレー、または懸濁液の形態の請求項1に記載の着色化粧品製剤。
【請求項7】
高軟化性、高湿潤性、高流動性、高展延性、高保湿性、高水和性、光輝性、高艶、カシミア感、および鮮やかな色彩の少なくとも1つの特徴を有する請求項1に記載の着色化粧品製剤。
【請求項8】
着色化粧品が、0.1〜20重量%のイソアルカン混合物と0.1〜20重量%の顔料とを含むクリームパウダーである請求項5に記載の着色化粧品製剤。
【請求項9】
着色化粧品が、0.1〜20重量%のイソアルカン混合物と0.1〜90%の顔料とを含むアイシャドウである請求項5に記載の着色化粧品製剤。
【請求項10】
着色化粧品が、0.1〜60重量%のイソアルカン混合物と0.1〜40%の顔料とを含むリップバームである請求項5に記載の着色化粧品製剤。
【請求項11】
着色化粧品が、0.1〜80重量%のイソアルカン混合物と0.1〜20%の顔料とを含むリップグロスである請求項5に記載の着色化粧品製剤。
【請求項12】
着色化粧品が、0.1〜20重量%のイソアルカン混合物と0.1〜90%の顔料とを含むミネラルパウダーである請求項5に記載の着色化粧品製剤。
【請求項13】
着色化粧品が、0.1〜20重量%のイソアルカン混合物と0.1〜40%の顔料とを含むムースファンデーションである請求項5に記載の着色化粧品製剤。
【請求項14】
着色化粧品が、0.1〜20重量%のイソアルカン混合物と0.1〜90%の顔料とを含むボディペイントである請求項5に記載の着色化粧品製剤。
【請求項15】
着色化粧品が、0.1〜20重量%の少なくとも1つのイソアルカン混合物と0.1〜20%の少なくとも1つの顔料とを含むヘアジェルである請求項1に記載の着色化粧品製剤。
【請求項16】
着色化粧品が、0.1〜40重量%の少なくとも1つのイソアルカン混合物と0.1〜40%の少なくとも1つの顔料とを含むマスカラである請求項5に記載の着色化粧品製剤。
【請求項17】
着色化粧品が、0.1〜30重量%のイソアルカン混合物と0.1〜80%の顔料とを含むカラーコレクションクリームである請求項5に記載の着色化粧品製剤。
【請求項18】
着色化粧品が、0.1〜30重量%のイソアルカン混合物と0.1〜20%の顔料とを含むタンニングクリームである請求項5に記載の着色化粧品製剤。
【請求項19】
着色化粧品が、0.1〜20重量%のイソアルカン混合物と0.1〜40%の顔料とを含む汎用スティックである請求項5に記載の着色化粧品製剤。
【請求項20】
着色化粧品が、0.1〜20重量%のイソアルカン混合物と0.1〜20%の顔料とを含むヘアパテである請求項5に記載の着色化粧品製剤。
【請求項21】
着色化粧品が、0.1〜10重量%のイソアルカン混合物と0.1〜10%の顔料とを含むシャンプーである請求項5に記載の着色化粧品製剤。
【請求項22】
化粧品的に許容され得る補助剤が、担体、賦形剤、乳化剤、界面活性剤、防腐剤、芳香剤、香油、増粘剤、ポリマー、ゲル形成剤、染料、吸収顔料、光防護剤、稠度調整剤、抗酸化剤、消泡剤、静電防止剤、樹脂、溶媒、溶解促進剤、中和剤、安定剤、殺菌剤、推進剤、乾燥剤、乳白剤、化粧品的に活性な成分、ヘアポリマー、髪および皮膚用コンディショナー、グラフトポリマー、水溶性または分散性シリコン含有ポリマー、漂白剤、ケア剤、着色剤、彩色剤、なめし剤、湿潤剤、再脂肪化剤、コラーゲン、タンパク質加水分解物、脂質、保湿剤と軟化剤、彩色剤、なめし剤、漂白剤、角質硬化物質、抗微生物活性成分、フォトフィルタ活性成分、防虫活性成分、充血物質、角質溶解性および角質軟化性物質、抗ふけ活性成分、消炎剤、角質化物質、抗酸化剤および/またはフリーラジカル消去剤として作用する活性成分、皮膚保湿または湿潤物質、再脂肪化活性成分、消臭活性成分、皮脂抑制活性成分、植物抽出物、抗紅斑性皮疹または抗アレルギー活性成分、およびそれらの混合物からなる群から選択される請求項1に記載の着色化粧品製剤。
【請求項23】
イソアルカン混合物を化粧品製剤の油相と混合し、効果顔量を適切な油相または水相と混合することを含む着色化粧品製剤の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−525579(P2011−525579A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545960(P2010−545960)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/033017
【国際公開番号】WO2009/100097
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(505470786)ビー・エイ・エス・エフ、コーポレーション (81)
【Fターム(参考)】