説明

微粒子含有組成物の製造方法、表示装置用着色膜形成用インク、表示装置用遮光膜、遮光材料、遮光膜付き基板、カラーフィルタ、液晶表示素子、及び液晶表示装置

【課題】本発明は、薄膜で優れた遮光性能を有する膜形成可能な微粒子含有組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】下記一般式(1)で表される構造を有する高分子化合物を用いて、金属微粒子及び/又は金属化合物微粒子を分散させることを特徴とする微粒子含有組成物の製造方法。


〔式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す。Xは陰イオンを表す。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置、CRT表示装置など表示装置の内部に設けられる遮光用の膜(遮光膜)を作製するのに好適な微粒子含有組成物の製造方法並びに、該微粒子含有組成物を用いた表示装置用着色膜形成用インク、表示装置用遮光膜、遮光材料、遮光膜付き基板、カラーフィルタ、液晶表示素子、及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置用途の遮光膜は、液晶表示装置、プラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置、CRT表示装置などの装置内部に、黒色の縁や画素周囲の格子状、ストライプ状の黒色の縁部(いわゆるブラックマトリックス)、薄膜トランジスター(TFT)遮光のためのドット状、線状の黒色パターンなどとして設けられている。
【0003】
例えばブラックマトリックスは、液晶表示装置等を構成する遮光膜の例であり、液晶表示装置の内部に備えられたカラーフィルタの各着色画素(赤、緑、青)を取り囲むように設けられており、各画素間の光漏れによるコントラストの低下を防止するものである。また、他の例として、TFTを用いたアクティブマトリックス駆動方式の液晶表示素子において、光によるTFTの電流リークに伴なう画質低下を防ぐためにTFT上に設ける遮光膜がある。
これらの遮光膜には一般に、光学濃度2以上の遮光性が要求されており、遮光膜の色調は表示装置の表示品位の点から黒色が好ましい。
【0004】
上記に関連して、金属微粒子の分散物を利用して遮光膜を作製する方法に関する開示がある(例えば、特許文献1参照)。この方法では、金属微粒子の分散には一般に広く知られている分散剤が用いられている。
【0005】
また、ハロゲン化銀粒子の保護コロイドとして、ハロゲン化銀粒子と共にチオエーテル基を有する高分子化合物を用いた例がある(例えば、特許文献2〜4参照)。
【特許文献1】特開2004−334182号公報
【特許文献2】特開平2−166442号公報
【特許文献3】特開平4−151140号公報
【特許文献4】米国特許3615624号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記方法は一般的な分散剤が用いられているため、表示装置用の遮光膜としては、金属微粒子の分散が不十分となり、遮光性能は満足できるものではなかった。また、表示装置用途で遮光膜を作成する場合、製造工程上、高温に曝されること(例えば、現像後のポストベーク)があるが、従来から広く知られた分散剤を用いた金属微粒子の分散系では、高温下で膜の色味が変化しやすく、所期の遮光性能や表示コントラストが得られないとの課題もある。
本発明は、薄膜で優れた遮光性能を有する膜形成可能な微粒子含有組成物の製造方法、表示装置用着色膜形成用インク、表示装置用遮光膜、遮光材料、及び遮光膜付き基板、並びに、高コントラストで鮮やかな画像表示が可能なカラーフィルタ、液晶表示素子、及び液晶表示装置を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記実情に鑑み本発明者らは、鋭意研究を行ったところ、上記課題を解決しうることを見出し本発明を完成した。
即ち、本発明は下記の手段により達成されるものである。
<1> 下記一般式(1)で表される構造を有する高分子化合物を用いて、金属微粒子及び/又は金属化合物微粒子を分散させることを特徴とする微粒子含有組成物の製造方法。
【0008】
【化1】

【0009】
〔式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す。Xは陰イオンを表す。〕
【0010】
<2> 前記高分子化合物が、酸基を更に有する上記<1>に記載の微粒子含有組成物の製造方法。
<3> 前記酸基が、カルボン酸基である上記<2>に記載の微粒子含有組成物の製造方法。
【0011】
<4> 多官能モノマーを更に含有する上記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の微粒子含有組成物の製造方法。
<5> 光重合開始剤を更に含有する上記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の微粒子含有組成物の製造方法。
【0012】
<6> 上記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の微粒子含有組成物の製造方法により作製された微粒子含有組成物を含むことを特徴とする表示装置用着色膜形成用インク。
<7> 仮支持体上に、被転写体への転写が可能であって、請求項1〜5のいずれか1項に記載の微粒子含有組成物の製造方法により製造された微粒子含有組成物を用いて形成された微粒子含有層を有することを特徴とする遮光材料。
【0013】
<8> 上記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の微粒子含有組成物の製造方法により作製された微粒子含有組成物、上記<6>に記載の表示装置用着色膜形成用インク、又は上記<7>に記載の遮光材料を用いてなることを特徴とする表示装置用遮光膜。
<9> 上記<8>に記載の表示装置用遮光膜を有することを特徴とする遮光膜付き基板。
【0014】
<10> 光透過性の基板上に、互いに異なる色相を呈する複数の画素を含む画素群と、前記画素群を構成する各画素を離隔する遮光画像とを有するカラーフィルタにおいて、前記遮光画像が、上記<8>に記載の表示装置用遮光膜であることを特徴とするカラーフィルタ。
<11> 上記<9>に記載の遮光膜付き基板を備えたことを特徴とするカラーフィルタ。
【0015】
<12> 上記<9>に記載の遮光膜付き基板を備えたことを特徴とする液晶表示素子。
<13> 上記<12>に記載の液晶表示素子を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、金属微粒子及び/又は金属化合物微粒子の分散安定性に優れ、薄膜で優れた遮光性能を有する膜形成可能な微粒子含有組成物の製造方法、表示装置用着色膜形成用インク、表示装置用遮光膜、遮光材料、及び遮光膜付き基板、並びに、高コントラストで鮮やかな画像表示が可能なカラーフィルタ、液晶表示素子、及び液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の微粒子含有組成物の製造方法およびその製造方法により得られる微粒子含有組成物について詳細に説明する。更に、該説明を通じて本発明の表示装置用着色膜形成用インク、表示装置用遮光膜、遮光材料、遮光膜付き基板、カラーフィルタ、液晶表示素子、及び液晶表示装置について詳細に説明する。
【0018】
[微粒子含有組成物の製造方法]
本発明の微粒子含有組成物の製造方法は、下記一般式(1)で表される構造を有する高分子化合物(以下、「高分子分散剤」ともいう。)を用いて、金属微粒子及び/又は金属化合物微粒子を分散させる製造方法である。
前記構成とすることにより、前記組成物における金属微粒子及び/又は金属化合物微粒子の分散及びその安定性が良好となり、かつ、製造された微粒子含有組成物を用いて形成された膜は薄くて優れた遮光性能(高い光学濃度)を有することができる。
前記本発明の微粒子含有組成物の製造方法に用いられる構成成分等について説明する。
【0019】
(一般式(1)で表される構造を有する高分子化合物)
【0020】
【化2】

【0021】
式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基を表す。前記アルキル基、アリール基、及びアラルキル基はそれぞれ独立に、官能基で置換されていても良く、また、分岐構造、環状構造を有していても良い。RとRは連結して環構造を有していても良い。
【0022】
〜Rは、それぞれ独立に炭素数1〜18のアルキル基、アリール基若しくはアラルキル基が好ましい。該炭素数が18以内とすると、水、アルコールへの溶解性が低下することなく、十分な性能が得られ易くなる場合がある。該アルキル基、アリール基およびアラルキル基は前述の通り、置換基を有していてもよく、上記置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、エステル基、エーテル基、アミド基等が挙げられる。
【0023】
上記アルキル基の炭素数は好ましくは1〜8であり、1〜6がさらに好ましい。
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、オクタデシル基が挙げられ、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基が好ましい。
【0024】
上記アリール基の炭素数は6〜14がより好ましく、6〜10がさらに好ましい。上記アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基が挙げられ、フェニル基、トリル基が好ましい。
【0025】
上記アラルキル基の炭素数7〜15がより好ましく、7〜11がさらに好ましい。上記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、αまたはβ−スチリル基が挙げられ、ベンジルが好ましい。
【0026】
は陰イオンを表わす。該陰イオンとしては、特に限定はないが、例えば、F、Cl、Br、I、AcO、NO、SO2−、HSO、MeSO、PO3−、HPO2−、HPO、TsO、CHSO、ClO、BF、PF、CHCHCO、Ph−CO、(CO2−、(メタ)アクリレートアニオンが挙げられる。
【0027】
前記一般式(1)で表される構造の例としては、下記が挙げられる。
【0028】
【化3】

【0029】
また、前記一般式(1)で表される構造を有する繰り返し単位の例としては、具体的には下記が挙げられる。
【0030】
【化4】

【0031】
【化5】

【0032】
前記高分子分散剤は、前記一般式(1)で表される構造を有する繰り返し単位と、他のビニルモノマーの繰り返し単位を含む共重合体であってもよい。
前記他のビニルモノマーとしては、芳香族ビニル化合物(例、スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、クロロメチルスチレン、及びビニルトルエンなど)、シアン化ビニル(例、(メタ)アクリロニトリル、及びα−クロロアクリロニトリルなど)、カルボン酸ビニルエステル(例、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルなど)、脂肪族共役ジエン(例、1,3‐ブタジエン、及びイソプレンなど)、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、及び2‐エチルヘキシル(メタ)アクリレートなど)、(メタ)アクリル酸アルキルアリールエステル(例、ベンジル(メタ)アクリレートなど)、(メタ)アクリル酸置換アルキルエステル(例、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及びジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなど)、アルキル(メタ)アクリルアミド(例、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、n−ブチル(メタ)アクリルアミド、tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、及びtert−オクチル(メタ)アクリルアミドなど)、置換アルキル(メタ)アクリルアミド(例、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、及びジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなど)、重合性オリゴマー(例、片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートオリゴマー、片末端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマー、及び片末端メタクリロイル化ポリエチレングリコールなど)等が好ましく用いられる。
【0033】
また、前記高分子分散剤は、必要に応じてアルカリ現像適性を付与できる点で、分子中に酸基を有する高分子化合物が好ましい。
前記酸基としては、例えば、カルボン酸、スルホン酸、リン酸、ボロン酸(ホウ酸)、フェノール類、スルホアミドなどの基が好適であり、特にカルボン酸基を少なくとも一つ有する高分子化合物が好ましい。
【0034】
アルカリ現像が必要な場合には、前記高分子分散剤は、酸価が20〜250mgKOH/gであることが好ましく、50〜200mgKOH/gであることがより好ましく、70〜180mgKOH/gであることが最も好ましい。酸価が前記範囲内であると、分散時の分散性及び分散後の分散安定性が良好であり、かつアルカリ現像性も良好であるため好ましい。
本発明における高分子分散剤の好適な例としては、下記が挙げられる。
【0035】
【化6】

【0036】
上記高分子分散剤の中でも、ポリマー1〜7、10が好ましく、ポリマー1〜5、10 がより好ましく、ポリマー1〜4が特に好ましい。
【0037】
前記一般式(1)で表される構造を有する繰り返し単位の重合比率は、質量分率で1〜50%が好ましく、3〜40%がより好ましく、5〜30%が特に好ましい。この重合比率が前記範囲内であると、分散時の分散性及び分散後の分散安定性を向上し、並びに色相及び光学濃度を向上するのに効果的である。
【0038】
前記高分子分散剤の分子量としては、重量平均分子量で、2,000〜1,000,000が好ましく、3,000〜200,000がより好ましく、5,000〜100,000が最も好ましい。重量平均分子量が前記範囲内であると、分散性向上に有効で、良好な膜強度が得られると共に、現像性に支障を来すこともない。
【0039】
前記高分子分散剤は、前記一般式(1)で表される構造を有する単量体の単独重合あるいは前記一般式(1)で表される構造を有する単量体と他の共重合可能な単量体との共重合によって得られる。
【0040】
<金属微粒子及び/又は金属化合物微粒子>
(金属微粒子)
本発明における金属微粒子の「金属」とは、「岩波理化学辞典(第5版)」(1998年岩波書店発行)に記載の「金属」(444頁)による。
【0041】
本発明で用いられる金属微粒子としては、特に限定されないが、中でも、例えば、長周期型周期表(IUPAC1991)の第4周期、第5周期、及び第6周期からなる群から選ばれる金属を主成分として含むことが好ましく、また、第2族、第8族、第9族、第10族、第11族、第12族、第13族、及び第14族からなる群から選ばれる金属を主成分として含むことが好ましい。これらの金属のうち、本発明における金属微粒子としては第4周期、第5周期、又は第6周期の金属であって、第2族、第10族、第11族、第12族、又は第14族の金属がさらに好ましい。
【0042】
本発明における金属微粒子の形状は、特に制限無く、アンパン状、ジャガイモ状、棒状(針状、円柱状、直方体等の角柱形、ラグビーボール形等)、平板状(鱗片状、楕円板状、板状)、繊維状、金平糖状、コイル状等であってもよいが、好ましくは、板状粒子、棒状(ロッド)である。
【0043】
前記金属粒子として分散金属粒子の好ましい例は、例えば、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、カルシウム、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、又はこれらの合金、から選ばれる少なくとも一種を挙げることができる。さらに好ましい金属は、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム又はこれらの合金、より好ましい金属は、銅、銀、金、白金、錫又はこれらの合金から選ばれる少なくとも一種である。
その中でも容易に微粒子を得られやすいという点から金、銀、銅、スズが好ましく、とりわけ銀が好ましい。本発明の金属は前記金属の合金であってもよく、好ましい合金としては銀とスズの合金が挙げられる。
【0044】
本発明における金属微粒子の数平均粒径は、膜厚を超えない限り特に制限はないが、該金属微粒子の数平均粒径は、10〜1000nmの範囲が好ましく、10〜500nmの範囲がより好ましく、10〜200nmの範囲が更に好ましい。
数平均粒径が、10nm未満の粒子は、生成が難しく、該数平均粒径の金属微粒子を用いて作製されたカラーフィルターは、その特性上、目視で茶褐色(黒色にはならない)に見える点で、好ましくない場合がある。また、1000nmを超えると粒子を分散した分散物の安定性が低下して、遮光性が悪化する場合がある。
尚、ここで言う「粒径」とは粒子の電子顕微鏡写真画像を同面積の円とした時の直径を言い、また「数平均粒径」とは多数の粒子について上記の粒径を求め、この100個平均値を言う。
粒径分布についても特に制約はない。
【0045】
さらに、本発明で用いる金属微粒子は、均一な組成でも、不均一な組成でもよい。不均一な組成の例としては、表面に内部と異なる組成のコーティング層を設けたものを挙げることができる。
【0046】
(金属化合物微粒子)
本発明で言う「金属化合物」とは、金属と金属以外の元素との化合物である。
該金属は、前記金属微粒子における金属と同義であり、好ましい元素も同様である。
【0047】
前記金属と他の元素の化合物としては金属の酸化物、硫化物、硫酸塩、炭酸塩などがある。このうち硫化物が色調や微粒子形成のしやすさから特に好ましい。これら金属化合物の例としては酸化銅(II)、硫化鉄、硫化銀、硫化銅(II)、チタンブラックなどがあるが、硫化銀は色調、微粒子形成のしやすさや安定性の観点から特に好ましい。
【0048】
さらに、本発明で用いる金属化合物微粒子は、均一な組成でも、不均一な組成でもよい。不均一な組成の例としては、表面に内部と異なる組成のコーティング層を設けたものを挙げることができる。
【0049】
本発明で用いる前記アスペクト比2〜100の金属微粒子及び金属化合物微粒子は、特に制限はなく、気相法、液相法などの公知の方法で作製することができる。金属化合物微粒子の作製方法については、例えば「超微粒子の技術と応用における最新動向II(住ベテクノリサーチ(株)2002年発行)」に記載されている。
金属微粒子は市販のものを用いることができる他、金属イオンの化学的還元法、無電解メッキ法、金属の蒸発法等により調製することが可能である。
特にロッド状の銀微粒子は球形銀微粒子を種粒子としてその後、銀塩をさらに添加し、CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロマイド)等の界面活性剤の存在下でアスコルビン酸など比較的還元力の弱い還元剤を用いることにより銀ロッドやワイヤーが得られることがAdv.Mater.2002,14,80−82に記載されている。また、同様の記載がMater.Chem.Phys.2004,84,197−204、Adv.Funct.Mater.2004,14,183−189になされている。
電気分解を用いた方法として、Mater.Lett.2001,49,91−95やマイクロ波を照射することにより銀ロッドを生成する方法がJ.Mater.Res.2004,19,469−473に記載されている。逆ミセルと超音波の併用した例として、J.Phys.Chem.B,2003,107,3679−3683があげられる。
金に関しても、同様にJ.Phys.Chem.B 1999,103、3073−3077及びLangmuir1999,15,701−709、J.Am.Chem.Soc.2002,124,14316−14317に記載されている。
ロッド状の粒子の形成方法は、界面活性剤の存在下での還元法により作製した。基本的に、界面活性剤の種類や還元剤の種類、添加量調整、PH制御により種々のロッド状粒子が調製できる。より、具体的には、金属との相互作用の少ない界面活性剤をはじめに用い、還元して粒子成長させた段階で、相互作用の大きな界面活性剤を添加しそれ以上の粒子の成長を抑える。基本的に還元剤の種類と時間で形状制御できる。
後述の金属化合物微粒子については、上記で得られたロッド状の粒子を、酸化や硫化することにより調製できる。
【0050】
<複合微粒子>
本発明で言う金属微粒子とは、金属と金属の複合微粒子であってもかまわない。また、金属化合物微粒子とは金属と金属化合物、金属化合物と金属化合物の複合微粒子であってもかまわない。この形状には特に制限はない。例えば、粒子の内部と表面で組成の異なるもの、2種類の粒子が合一したもの等を挙げることができる。また、金属化合物と金属は、それぞれ1種でも2種以上であってもよい。金属化合物と金属との複合微粒子の具体例としては銀と硫化銀の複合微粒子、銀と酸化銅(II)の複合微粒子などがある。
【0051】
<コアシエル>
さらに、本発明における金属粒子(金属微粒子及び金属化合物微粒子を含む)は、コア・シェル型の複合粒子であることもできる。コア・シェル型の複合粒子とは、コア材料の表面をシェル材料でコートしたものである。コア・シェル型の複合粒子を用いるときのシェル材料としては、例えば、Si、Ge、AlSb、InP 、Ga、As、GaP 、ZnS 、ZnSe、ZnTe、CdS 、CdSe、CdTe、PbS 、PbSe、PbTe、Se、Te、CuCl、CuBr、CuI 、TlCl、TlBr、TlI、これらの固溶体又はこれらを90mol%以上含む固溶体から選ばれる少なくとも一種の半導体、もしくは、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、又はこれらの合金、から選ばれる少なくとも一種の金属を挙げることができ、シェル材料として用いることができる。これらの材料は、利用される波長域である300〜800nmにおいて、量子閉じ込め効果により離散化した量子レベル間に共鳴する光吸収ピークを有するという観点から好ましい。
好ましいコア材料としては、銅、銀、金、パラジウム、ニッケル、錫、ビスマス、アンモチン、鉛、又はこれらの合金から選ばれる少なくとも一種を挙げることができる。
前記シェル材料は、反射率を低下させる目的で屈折率の調整剤としても好適に用いられる。
【0052】
また、コアシェル複合粒子のコア材料としては、例えば、銅、銀、金、パラジウム又はこれらの合金、から選ばれる少なくとも一種の金属を用いることができる。
コアシェル構造を有する複合微粒子の作製方法に特に制限はなく、代表的な方法は以下のものが挙げられる。
(1)公知の方法で作製した金属微粒子の表面に、酸化、硫化などにより、金属化合物のシェルを形成する方法であり、例えば、金属微粒子を水などの分散媒に分散させて、硫化ナトリウムや硫化アンモニウムなどの硫化物を添加する方法がある。この方法により粒子の表面が硫化されてコアシェル複合粒子が形成される。
この場合、用いる金属微粒子は、気相法、液相法などの公知の方法で作製することができる。金属微粒子の作製方法については、例えば「超微粒子の技術と応用における最新動向II(住ベテクノリサーチ(株)2002年発行)」に記載されている。
(2)金属微粒子を作製する過程で連続的に表面に金属化合物のシェルを形成する方法であり、例えば、金属塩溶液に還元剤を添加して、金属イオンの一部を還元して金属微粒子を作製し、次いで硫化物を添加して、作製した金属微粒子の周囲に金属硫化物を形成する方法がある。
【0053】
(多官能モノマー)
本発明の微粒子含有組成物の製造方法において、重合後にバインダーとして機能する多官能モノマーを含有することが好ましい。該組成物に該多官能モノマーを含有することにより、該組成物を用いて形成された膜の強度を高めることができる。
該光重合可能な多官能モノマーは熱重合性を有することが好ましく、光重合後更に熱処理を行うことにより硬化を一層進めることができる。
【0054】
上記多官能モノマーとしては、沸点が常圧で100℃以上の化合物を挙げることができる。例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、1,4−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンもしくはグリセリン等の多官能アルコールにエチレンオキシドやプロピレンオキシドを付加反応させた後で(メタ)アクリレート化したもの等の多官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0055】
さらに、特公昭48−41708号、同50−6034号、特開昭51−37193号の各公報に開示されているウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、同52−30490号の各公報に開示されているポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能アクリレートやメタクリレートを挙げることができる。これらの中で、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの多官能アクリルモノマーを用いることが好ましい。上記多官能モノマーは、単独でも2種類以上を混合して用いてもよい。
【0056】
前記組成物中の該多官能モノマーの添加量としては、特に限定されるものではないが、該組成物の全固形分に対する含有量は、5〜50質量%が一般的であり、10〜40質量%が好ましい。上記含有量が上記範囲内にあると光感度や画像の強度も低下せず、感光性遮光層の粘着性が過剰になることもない。
【0057】
前記多官能モノマーは、光や熱を用いて重合できるが、前記組成物中には重合開始剤を添加することが好ましく、中でも光重合開始剤を添加することがより好ましい。
【0058】
(光重合開始剤)
該光重合開始剤としては、特開2004−347831号公報段落番号[0024]に記載のものが挙げられる。
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合開始剤C」も好適なものとして挙げることができる。
これらの光重合開始剤は、単独でも、二種類以上を混合して用いてもよく、特に二種類以上を用いることが好ましい。また、黒色材料用微粒子含有組成物の全固形分に対する光重合開始剤の含有量は、0.5〜20質量%が一般的であり、1〜15質量%が好ましい。
【0059】
露光感度が高く、黄ばみなどの着色が少なく、表示特性の良い例としては、トリハロメチルオキサジアゾール系光重合開始剤と、トリハロメチル−s−トリアジン系光重合開始剤の組み合わせが挙げられ、中でも、2−トリクロロメチル5−(p−スチリルメチル)−1,3,4−オキサジアゾールと、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキンカルボニルメチル)−3−プロモフェニル]−s−トリアジンの組み合わせが最も良い。
これらの光重合開始剤の比率は、前記ジアゾール系/トリアジン系の質量比率で、好ましくは95/5から20/80、より好ましくは90/10から30/70、最も好ましくは80/20から60/40である。
これらの光重合開始剤は、特開平1−152449号公報、特開平1−254918号公報、特開平2−153353号公報に記載されている。
さらに、好適な例としてはベンゾフェノン系も挙げられる。
【0060】
微粒子含有組成物の固形分全体に占める顔料の割合が15から25質量%付近の場合、上記光重合開始剤に、クマリン系化合物を混合することによっても、同様の効果が得られる。クマリン系化合物としては、7−[2−[4−(3−ヒドロキシメチルビペリジノ)−6−ジエチルアミノ]トリアジニルアミノ]−3−フェニルクマリンが最も良い。
これらの光重合開始剤とクマリン系化合物の比率は、光重合開始剤/クマリン系化合物の質量比率で、好ましくは20/80から80/20、より好ましくは30/70から70/30、最も好ましくは40/60から60/40である。
ただし、本発明に使用できる上記光重合開始剤はこれらに限定されるものではなく、公知のものの中から適宜選択することできる。
【0061】
上記光重合開始剤は、前記微粒子含有組成物の全固形分に対して、0.5〜20質量%が一般的であり、1〜15質量%が好ましい。上記含有量が上記範囲内であると、光感度や画像の強度が低下を防止でき、十分に性能を向上させることができる。
【0062】
前記多官能モノマー及び光重合開始剤を含有して感光性を有する組成物を「感光性を有する微粒子含有組成物」、それ以外を「非感光性の微粒子含有組成物」として以下説明する。
前記微粒子含有組成物は前記遮光膜に含有されるその他の添加物等を含有することができる。また、該組成物には適宜溶媒等が添加される。
【0063】
<非感光性の微粒子含有組成物>
本発明において用いる非感光性の微粒子含有組成物は、金属微粒子及び/又は金属化合物微粒子、及び前記高分子分散剤を含有し、必要に応じ更に溶媒等を含有する。
溶媒としては、公知の有機溶媒を用いることができる。特に好ましい有機溶媒としては、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、MEK、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。また、水も溶媒として好ましい。これらの溶媒は必要に応じて混合して用いてもよい。
【0064】
<感光性を有する微粒子含有組成物>
本発明において用いられる感光性の微粒子含有組成物には、金属微粒子及び/又は金属化合物微粒子、前記高分子分散剤の他、光重合後バインダーを構成する感光性樹脂組成物が含まれることが好ましい。該感光性樹脂組成物は、前記の多官能モノマー、前記光重合開始剤等を含み、更にオリゴマーを含んでも良い。
感光性樹脂組成物としては、前記多官能モノマー及び/又はオリゴマーを含む感光性樹脂組成物の他、特開平10−160926号公報の段落0016ないし段落0022及び0029に記載のものを用いうる。更に他の光重合性のモノマーを併用してもよい。
また、銀コロイドのように金属微粒子を水分散物として用いる場合には、前記感光性樹脂組成物としては水系のものが必要である。このような感光性樹脂組成物としては特開平8−271727号公報の段落0015ないし0023に記載のものの他、市販のものとしては例えば、東洋合成工業(株)製の「SPP−M20」、「SPP−H−13」等が挙げられる。
【0065】
(その他の添加剤)
本発明における遮光膜には、必要に応じて前記金属微粒子及び/又は金属化合物微粒子、前記高分子化合物以外に下記の公知の顔料、界面活性剤、併用できるポリマー、分散剤、分散安定剤、等を使用してもよい。以下、金属微粒子及び/又は金属化合物微粒子を単に微粒子ともいう。
【0066】
(1)顔料
顔料としてはカーボンブラックなどの黒色顔料を用いることができる。顔料の添加量は本発明における微粒子の50質量%以下が好ましく、特に30質量%以下が好ましい。顔料の添加量が50質量%を越えると必要な光学濃度を得るために必要な遮光膜の厚みが増大し、この上に形成する赤、青、緑の画素品位が低下する。
本発明の遮光膜にはさらに色味調整のため、黒色以外に青色その他の顔料を含んでもよい。これらの非黒色顔料の添加量は本発明における微粒子の40質量%以下、好ましくは20質量%以下が好ましい。非黒色顔料の添加量が40質量%を越えると、遮光膜の色味が悪化することがある。
【0067】
(2)界面活性剤
本発明の遮光膜には、塗布性の改良、微粒子の分散安定性改良などの目的で界面活性剤を添加することができる。界面活性剤としては、ノニオン、アニオン、カチオン界面活性剤を特に制限なく、使用できる。この中では液の安定性の観点からアニオン界面活性剤が特に好ましい。またフッ素系界面活性剤は好ましい界面活性剤である。
界面活性剤の好ましい例としてC17SON(C)(CO)14H、C17SOLi、C15COONH、C17SON(C)COPO(OH)、などがある。更にF110、F113、F120、F150、F176PF、F177、F780(いずれも大日本インキ化学工業(株)製、オリゴマータイプフッ素系界面活性剤)、メガファックR30(大日本インキ化学工業(株)製、フッ素系界面活性剤)などを挙げることができる。
【0068】
(3)併用できるポリマー
前記微粒子含有組成物は、アルカリ現像性を有したバインダーとして、或いは前記微粒子の分散安定性を改良するため、前述の高分子分散剤以外のポリマーを併用することができる。
該ポリマーの種類としては特に制限は無く、求められる性質の共重合する成分、酸価、分子量としては、前記高分子化合物の記述と同じである。
(4)分散安定剤
分散安定剤については、例えば「顔料分散技術(技術情報協会(株)1999年発行)」に記載されているものを用いることができる。
【0069】
(微粒子含有組成物の製造方法)
本発明の微粒子含有組成物の製造方法は、前記金属微粒子及び/又は金属化合物微粒子を前記一般式(1)で表される構造を有する高分子化合物(高分子分散剤)を用いて分散させる方法であるが、必要に応じて添加可能な他の成分(好ましくは溶剤を加えて)を用いることができる。
【0070】
調製に用いる溶剤には、特に制限なく使用可能であり、中でも特にSP値が9.0以上のものが好ましい。SP値が9.0以上のものを用いると、分散性が特に良好となり、薄膜でも充分な光学濃度を達成することができる。
【0071】
SP値は、溶解性パラメーターともいわれるもので、凝集エネルギー密度の平方根で表され、本発明においては、「接着ハンドブック」(日本接着学会編、日刊工業新聞社発行、1971年初版発行)の838頁に記載のものを意味する。
【0072】
溶剤のSP値は、例えば、n−ヘキサン/7.3、トルエン/8.9、酢酸エチル/9.1、メチルエチルケトン/9.3、アセトン/10.0、エチルアルコール/12.7、メチルアルコール/14.5、水/23.4、等である。ここで、SP値の単位は「(cal/cm1/2」である。
【0073】
前記微粒子含有組成物は、前記高分子分散剤(及び好ましくは溶剤)と金属微粒子及び/又は金属化合物微粒子を含有する含有液を、超音波分散機、ペイントシェーカー、ボールミル、アイガーミルなどの公知の分散機を用いて分散処理することにより調製することができる。中でも、超音波分散機が好ましい。
超音波分散機としては、ブランソン社製「ソニファー(Sonifier)II型」、「モデル(Model)200bdc−h 40:0.8型」の超音波ホモジナイザー」を用いることができる。
【0074】
本発明の微粒子含有組成物の製造方法についての1実施態様を以下に述べる。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
(1)まず、塩基(例えば、水酸化ナトリウム水溶液)を用いて、pHを調整(好適には12.0)した溶剤に、高分子分散剤(例えば、20%溶液)加え、完全に溶解するまで攪拌する(例えば、温度45℃で30分)。
(2)この溶液を温度制御し(例えば、45℃)、還元剤溶液(例えば、アスコルビン酸水溶液、ハイドロキノン、亜硫酸ナトリウムなどの水溶液)と、金属塩溶液(例えば、硝酸銀水溶液)とを同時に添加して、金属微粒子含有液(例えば、銀ナノ粒子含有液)を調製する。
ここで、金属微粒子の算術平均粒径は、10〜500nmが好ましく、アスペクト比は、1.5〜100が好ましい。
(3)前記金属微粒子含有液に酸(例えば、硝酸)を滴下してpH調整し(例えばpH4.0)、金属微粒子を凝集沈降させる。
(4)上澄みを除去して、溶剤でデカンテーションし(例えば、蒸留水1回、アセトン1回)、続いて遠心分離処理(例えば、12000rpm・30分)を行う。
(5)その後、デカンテーションし、溶剤(例えば、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、シクロヘキサノンなど)を加え、超音波照射(例えば、20kHzで5分間、40kHzで10分間)して超音波分散させて微粒子含有組成物を得る。
【0075】
本発明の微粒子含有組成物の製造方法を用いて得られた微粒子含有組成物は、金属微粒子及び/又は金属化合物微粒子を分散して含む用途に好適であり、(好ましくは黒色の)着色膜形成用インク、遮光膜、カラーフィルタの黒色画像(ブラックマトリクスを含む。)等の用途に好適に用いることができる。
【0076】
<表示装置用着色膜形成用インク>
前記微粒子含有組成物を用いて、表示装置用着色膜形成用インクを調製することができる。前記微粒子含有組成物を用いて構成されるので、インクとしての長期保存時の安定性が高く、色相が良好(特に黒色相が良好)で高い光学濃度を有する。
【0077】
前記表示装置用着色膜形成用インクは、金属微粒子及び/又は金属化合物微粒子、及び前記高分子分散剤を含んでなり、場合により、必要に応じて着色剤(好ましくは顔料)など他の成分を用いて構成され、インクの付与後に加熱又は紫外線などのエネルギー線の付与により硬化させ得るものである。
【0078】
なお、本発明の微粒子含有組成物の製造方法により製造された前記組成物の詳細については、既述の通りであり、前記成分以外に、インクを構成するのに必要な成分を適宜選択して添加することが可能である。
【0079】
前記表示装置用着色膜形成用インクは、液晶表示装置、プラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置、CRT表示装置などの表示装置の用途に好適であり、表示装置内に設けられる黒色の縁や画素周囲の格子状もしくはストライプ状の黒色の縁部(いわゆるブラックマトリックス)、薄膜トランジスター(TFT)遮光のためのドット状もしくは線状の黒色パターンなどの形成に好適である。
【0080】
<表示装置用遮光膜>
前記微粒子含有組成物、あるいは前記表示装置用着色膜形成用インクを用いて、表示装置用遮光膜を形成することができる。この遮光膜は、前記微粒子含有組成物を用いて構成されるので、製造工程上高温に曝されるような場合など、高温環境での樹脂成分、微粒子の変質に伴なう色味変化が少なく、色相が良好(特に黒色相が良好)で高い光学濃度を有する。
【0081】
前記表示装置用遮光膜は、前記微粒子含有組成物又は前記表示装置用インクを所望の基板に塗布し、乾燥させる方法(塗布法)、又は仮支持体上に前記微粒子含有組成物を塗布し、乾燥させて設けられた微粒子含有層(遮光性層)を有する転写材料(遮光材料)を用い、前記遮光性層を所望の基板に転写する方法(転写法)、等を利用して作製することができる。
【0082】
前記表示装置用遮光膜が所望のパターンにパターン化されてなるものである場合、上記の塗布法又は転写法により設けられた微粒子含有層(遮光性層)をパターニングして形成される。
パターニングする方法としては、露光・現像による方法、レーザーの熱により不要部分を除去する方法(アブレーション法)、基板上に設けられた遮光性層の上に感光性レジスト膜を塗布し、これを露光・現像してパターニングした後、感光性レジスト膜を除去する方法などが挙げられる。本発明において、これらの方法のいずれも使用できるが、下記方法(1)〜(3)は工程の簡便さやパターニングの解像度などの点で好ましい。
【0083】
(1)基板上に非感光性の微粒子含有組成物を塗布、乾燥して遮光性層を形成し、この遮光性層上にフォトレジストを塗布し、塗布形成されたフォトレジスト膜を露光現像によりパターニングした後、フォトレジスト膜と共にその下層となる遮光性層を溶解除去する方法;
(2)基板上に感光性の微粒子含有組成物を塗布、乾燥して感光性の遮光性層を形成し、形成された感光性の遮光性層を露光、現像(未硬化部分を除去)してパターニングする方法;
(3)仮支持体の上に感光性の微粒子含有組成物を塗布、乾燥して感光性の遮光性層を予め形成して積層体(感光性転写材料)としておき、この積層体を所望の基板上にラミネートした後に仮支持体を除去して感光性の遮光性層を基板に転写した後、基板上に転写形成された感光性の遮光性層を露光、現像(未硬化部分を除去)してパターニングする方法;
【0084】
上記の方法(1)〜(3)はいずれも、蒸着法やスパッタリング法を用いた従来の方法に比べて簡単な工程で遮光性層を形成することができ、所望のパターンに遮光膜を形成することができる。
【0085】
〜微粒子含有組成物の付与(塗布等)工程〜
微粒子含有組成物を基板又は仮支持体に付与する方法としては、塗布方法が好適であり、該塗布方法としては特に制限はなく、例えば、特開平5−224011号公報に記載のスピンコート法、特開平9−323472号公報に記載のダイコート法などを用いることができる。
【0086】
仮支持体に付与する場合、後述するように、仮支持体と微粒子含有組成物からなる遮光性層と必要に応じて熱可塑性樹脂層及び中間層とで構成された転写材料とすることができる。
【0087】
〜露光・現像工程〜
露光は、公知の光源を用いて所望のパターンにて行なうことができる。光源は、フォトレジスト膜又は感光性の遮光性層の感光性状に応じて選択すればよい。例えば、超高圧水銀灯、キセノン灯、カーボンアーク灯、アルゴンレーザー等の公知の光源を使用することができる。また、特開平6−59119号公報に記載の、400nm以上の波長の光透過率が2%以下である光学フィルター等を併用してもよい。
【0088】
露光は、被露光面の全面を1回の露光により露光する一括露光でもよいし、被露光面を分割して複数回に分けて露光する分割露光としてもよい。さらに、レーザーを用いて被露光面をスキャンしながら行なう露光方法を適用してもよい。
【0089】
露光後の現像は、現像液を用いて行なうことができる。現像液としては、アルカリ性物質の希薄水溶液が好適であり、水と混和性の有機溶剤を少量添加したものを用いることもできる。
【0090】
前記アルカリ性物質としては、アルカリ金属水酸化物類(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、アルカリ金属炭酸塩類(例、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)、アルカリ金属重炭酸塩類(例、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)、アルカリ金属ケイ酸塩類(例、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム)、アルカリ金属メタケイ酸塩類(例、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム)、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、テトラアルキルアンモンニウムヒドロキシド類(例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド)、又は燐酸三ナトリウム等が適当である。アルカリ性物質の濃度は、0.01〜30質量%が好ましく、pHは8〜14が好ましい。感光性の遮光性層の酸化等の性質に応じて例えば、現像液のpH等を変化させて、膜状脱離による現像が行えるように調整することができる。
【0091】
前記水と混和性の有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等が適当である。水と混和性の有機溶剤の濃度は、0.1〜30質量%が一般的である。
【0092】
現像液には、さらに公知の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤を添加する場合の濃度は、0.01〜10質量%が好ましい。
【0093】
現像液は、浴液として用いてもよいし、あるいは噴射液として用いるようにしてもよい。感光性の遮光性層等の未硬化部分を固形状(好ましくは膜状)で除去することもでき、この場合には、現像液中で回転ブラシで擦るか、湿潤スポンジで擦るなどの方法、あるいは現像液を噴射した際の噴射圧を利用する方法が好ましい。現像液の温度は、通常室温付近から40℃の範囲が好ましい。
また、現像後に水洗工程を設けることも可能である。
【0094】
〜加熱その他工程〜
現像後には、加熱処理を行なうことが好ましい。加熱処理により、露光により硬化した感光性の遮光性層の硬化を促進し、耐溶剤性や耐アルカリ性をより高めることができる。加熱方法は、現像後の基板を電気炉、乾燥器等の中に入れて加熱する方法、赤外線ランプで加熱する方法などを適用できる。
【0095】
前記表示装置用遮光膜は、膜強度を高める観点から、現像後に加熱処理を行なって得られた膜であることが好ましい。加熱処理は、遮光膜の組成、厚みにもよるが、180〜300℃で5〜60分間行なうのが好ましく、200〜270℃で10〜50分間行なうのがより好ましく、200〜250℃で10〜50分間行なうのが特に好ましい。
また、現像後、加熱処理をする前に、硬化促進のために更に露光を行なってもよく、この場合の露光も既述の露光の場合と同様の方法により行なうことができる。
【0096】
上記以外に更に、感光性の遮光性層の形成する場合には、遮光性層の形成後、パターン状に露光する前に遮光性層の上に更に保護層を設ける工程を設けてもよい。
保護層は、パターン露光時に酸素を遮断して感光性の遮光性層の露光感度を高めるための酸素遮断層として機能するものであり、酸素遮断性の樹脂、例えばポリビニルアルコールを主成分に含む層が好ましい。なお、この層は、遮光膜(遮光画像)形成後は不要であるので、現像により除去される。
【0097】
前記表示装置用遮光膜の厚みは、0.05〜2.0μmが好ましく、0.1〜1.5μmがより好ましい。該厚みが前記範囲内であると、必要な光学濃度を確保して表示コントラストが良好であると共に、基板表面の凹凸(遮光膜の設けられた部分と設けられていない部分の格差)が大きくなりすぎて後工程でRGBの画素をこの上に形成する際に不都合を来すこともない。
【0098】
前記表示装置用遮光膜の透過濃度(光学濃度)としては、3.5以上が好ましく、4.0以上がより好ましく、特に好ましくは4.5以上である。光学濃度が前記範囲内であると、コントラストが高く良好な表示品質を確保することができる。
【0099】
−基板−
基板としては、表示装置に一般に用いられるガラス基板が好ましい。
ガラス基板としては、例えば、ソーダガラス、低アルカリガラス、無アルカリガラス等の公知のガラスを用いたガラス基板が好適である。ガラス基板については、例えば、「液晶ディスプレイ工学入門」(鈴木ハナエ著、日刊工業新聞社発行(1998年))に記載がある。その他の基板として、シリコンウエハやポリオレフィン系などの透明プラスチックも用いることができる。さらに、TFT素子が配されたTFT素子基板を用いることもできる。
【0100】
前記基板の厚みとしては、0.5〜3mmの範囲が好ましく、0.6〜2mmの範囲がより好ましい。
【0101】
前記表示装置用遮光膜は、表示画像のコントラスト、視認性の観点から、より黒色であることが好ましい。より黒色であることは、遮光膜の色度をxyz表色系の(x,y)値で表すとき、理想的な黒色の目標色度からの色差として評価することができる。すなわち、色差の値が小さいほど理想的な黒色に近づき、遠いほど黒色から外れることになる。具体的には、理想的な黒色の目標色度(x,y)値を(0.33,0.33)としたときの該目標色度との差を、XY表色系のΔE値で表すことにより評価することができる。
【0102】
<転写材料(遮光材料)>
遮光材料は、表示装置用遮光膜の形成に用いられる遮光材料であり、支持体上に少なくとも一層の微粒子含有層を有してなり、必要に応じて更に、熱可塑性樹脂層、中間層、及び最表層を覆う保護フィルム等を設けて構成することができる。
【0103】
本発明において、微粒子含有層は、金属微粒子及び/又は金属化合物微粒子と、前記高分子分散剤と、を少なくとも含み、さらに、多官能モノマー及び光重合開始剤を用いて光硬化性に構成された層であることが好ましい。また、必要に応じて更に、着色剤(より好ましくは黒色の着色剤)など他の成分を用いて構成することができる。
【0104】
なお、微粒子含有層において、金属微粒子及び/又は金属化合物微粒子、チオエーテル基を有する高分子化合物、及び熱もしくは光で硬化する化合物、並びに着色剤など他の成分の詳細については、既述の本発明の微粒子含有組成物の場合と同様であり、好ましい態様も同様である。
【0105】
本発明の遮光材料は、支持体上に設けられた微粒子含有層が被転写体への転写が可能なように構成された転写材料であることが好ましい。
以下、感光性の遮光性層が設けられた感光性転写材料を例に詳細に説明する。但し、本発明においては、これに限定されるものではない。
【0106】
遮光材料は、既述の表示装置用遮光膜の形成に好適な方法の一つとして挙げた方法(3)に好適な感光性転写材料に構成されるのが好ましい。この感光性転写材料は、仮支持体と、該仮支持体に直接もしくは他の層を介して、前記感光性を持つ微粒子含有組成物を塗布、乾燥させて形成された感光性の遮光性層とで構成することができる。
【0107】
感光性の遮光性層の層厚としては、0.05〜2.0μmが好ましく、0.1〜1.5μmがより好ましい。該厚みが前記範囲内であると、必要な光学濃度を確保して表示コントラストが良好であると共に、基板表面の凹凸(遮光膜の設けられた部分と設けられていない部分の格差)が大きくなりすぎて後工程でRGBの画素をこの上に形成する際に不都合を来すこともない。
【0108】
感光性転写材料には、仮支持体と感光性の遮光性層との間に熱可塑性樹脂層を設けた形態が好ましく、更に熱可塑性樹脂層と感光性の遮光性層との間にアルカリ可溶性の中間層を設けた形態がより好ましい。また、感光性の遮光性層の露出面には保護フィルムを設けてもよい。
【0109】
仮支持体は、化学的及び熱的に安定であって、可撓性の物質で構成されたものが好ましい。具体的には、テフロン(登録商標)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン等の薄いシート又はこれらの積層物が好ましい。また、後述の熱可塑性樹脂層を設ける場合には、該層との剥離性が良好なものが好ましい。 仮支持体の厚さとしては、5〜300μmが適当であり、特に20〜150μmが好ましい。
【0110】
前記遮光材料が、微粒子含有層の転写が可能な転写材料以外の形態で構成される場合は、前記仮支持体を既述の基板に代えて構成することができる。この場合には、基板上に所望のパターンよりなる遮光画像(ブラックマトリクスを含む。)を形成することができ、該遮光画像が形成された基板をそのまま表示装置を構成する基板として用いることができる。
【0111】
−熱可塑性樹脂層−
熱可塑性樹脂層は、熱可塑性を有する樹脂を少なくとも含んでなり、一般には溶剤を用いて調製された熱可塑性樹脂含有の調製液を用いて形成することができる。
【0112】
熱可塑性樹脂層を構成する樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ゴム系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、及びこれらの共重合体等を挙げることができる。熱可塑性樹脂層を構成する樹脂は、アルカリ可溶であることが望ましい。
また、熱可塑性樹脂層を構成する樹脂として、特開2004−317897号公報の段落番号[0046]〜[0048]に記載のものを使用できる。
【0113】
熱可塑性樹脂層の厚みは、3μm以上が好ましい。熱可塑性樹脂の厚みが前記範囲内であると、1μm以上の被転写体(下地)面の凹凸を完全に吸収することが可能である。また、上限については、アルカリ水溶液除去性、製造適性から約100μm以下が好ましく、より好ましくは約50μm以下である。
【0114】
熱可塑性樹脂層を形成するための熱可塑性樹脂含有の調製液は、この層を構成する樹脂を溶解し得るものであれば特に制限はなく、例えば、メチルエチルケトン、n−プロパノール、i−プロパノール等を選択することができる。
【0115】
−中間層−
前記熱可塑性樹脂層を設ける場合、熱可塑性樹脂層と感光性の遮光性層との間には、調製液塗布時の両層の層混合を防止する、あるいは酸素遮断の目的で、さらに中間層を設けることが好ましい。
【0116】
中間層は、少なくとも樹脂を用いて構成でき、一般には熱可塑性樹脂層や感光性の遮光性層の形成に用いる溶剤と相溶性の小さい水系溶媒を用いて調製された樹脂含有の調製液を用いて形成することができる。
【0117】
中間層を構成する樹脂としては、アルカリ可溶のものが好ましく、樹脂の例として、特開2004−317897号公報の段落番号[0050]に記載のものが挙げられる。
【0118】
中間層の厚みは、0.1〜5μmの範囲が好ましく、0.5〜3μmの範囲がより好ましい。中間層の厚みが前記範囲内であると、酸素遮断性に優れると共に、現像時の中間層除去を短時間に行なうことができる。
【0119】
感光性転写材料を構成する微粒子含有層は、アスペクト比が2〜100の金属微粒子及び/又は金属化合物微粒子を、高分子分散剤と共に(好ましくは溶剤を用いて)調製された調製液を例えば塗布等して形成されるので、薄膜でかつ高温環境での樹脂成分、微粒子の変質に伴なう色味変化が少なく、分散時の分散性及び分散後の分散安定性に優れており、色相が良好で高い光学濃度を有する。
【0120】
次に、感光性転写材料を用いて微粒子含有層を基板に転写形成する方法を中心に述べる。転写は、最表層である微粒子含有層の表面と基板表面とを密着させてラミネートし、仮支持体を剥離して転写する方法が好ましい。
前記ラミネートの方法としては、従来公知のラミネーター、真空ラミネーターなどを用いることができる。また、摩擦性を高めるため、オートカットラミネーターを使用することもできる。
【0121】
ラミネートの際の加熱温度は、60〜150℃程度が好ましく、加圧圧力は0.2〜20kg/cm程度が好ましい。本発明では、ラミネートは基板のライン速度が0.05〜10m/分程度である範囲で行なうことが好ましい。
【0122】
感光性転写材料を用いて表示装置用遮光膜を形成する場合、感光性転写材料と基板とのラミネーションの後、仮支持体を剥離し、露光、現像を順次行ない、露光及び現像後にさらに加熱処理を施すことが好ましい。露光と現像、及び加熱処理条件については既述の方法を適用することができる。
【0123】
<遮光膜付き基板>
遮光膜付き基板は、基板上に、既述の微粒子含有組成物、既述の表示装置用着色膜形成用インク、又は既述の遮光材料を用いて遮光膜を形成して構成されたものである。
遮光膜の形成は、既述の表示装置用遮光膜を形成するのに好適な方法(1)〜(3)により行なえ、方法(3)によるのがより好ましい。
【0124】
なお、微粒子含有組成物、表示装置用着色膜形成用インク、及び遮光材料を構成する各成分は、既述の通りであり、好ましい態様も同様である。また、遮光膜の厚み、透過濃度(光学濃度)については、既述の表示装置用遮光膜における場合と同様である。
【0125】
<カラーフィルタ>
カラーフィルタは、光透過性の基板上に、互いに異なる色相を呈する複数の画素を含む画素群と、画素群を構成する各画素を離隔する遮光画像(いわゆるブラックマトリックス)として、既述の表示装置用遮光膜とを設けて構成することができる。
【0126】
光透過性の基板としては、既述した基板、TFT素子等が設けられた駆動基板(TFT素子基板等)などを用いることができる。
【0127】
前記カラーフィルタは、既述の表示装置用遮光膜を設けてなり、該表示装置用遮光膜は既述の微粒子含有組成物、あるいは既述の表示装置用着色膜形成用インクを用いて形成されるので、かかる遮光膜は、製造工程上高温に曝されるような場合など、高温環境での樹脂成分、微粒子の変質に伴なう色味変化が少なく、色相が良好で高い光学濃度を有しており、表示画像のコントラスト及び配線の遮蔽性に優れる。
【0128】
TFT素子基板を用いて構成する場合には、TFT素子基板上に、画素群とこれを構成する各画素を離隔する表示装置用遮光膜とを設けた構成であってもよい。
上記のほか、前記カラーフィルタは、TFT素子基板を用い、TFT素子基板の上に、画素群を設けずに、表示装置用遮光膜(ブラックマトリックス)のみを設けた構成であってもよい。この場合は、このTFT素子基板とは別の光透過性の基板上に画素群を形成し、画素群が形成された基板を前記TFT素子基板に対向配置して用いる。これにより、TFTアレイの開口率が良好となる。
【0129】
画素群は、互いに異なる色相を呈する複数の画素を含んでなり、画素形成用の着色感光性樹脂組成物や感光性転写材料の複数種を用いた常法により形成することができる。画素群を形成した後は、熱処理を行なうことが好ましい。
着色感光性樹脂組成物、感光性転写材料については、例えば、特開2005−3861号公報や、特開2004−361448号公報、特開2004−205731公報を参照できる。
【0130】
<液晶表示素子、液晶表示装置>
液晶表示素子は、既述の遮光膜付き基板を用いて構成することができる。前記遮光膜付き基板、詳細には、既述した微粒子含有組成物、表示装置用着色膜形成用インク、又は遮光材料を用いてなる遮光膜で構成することができ、高温環境に曝されることに伴なう色味変化が少なく、色相が良好で高い光学濃度を有しており、表示画像のコントラストが高く、良好な表示品質の画像表示が可能である。
【0131】
液晶表示素子は、前記遮光膜付き基板を備えた液晶表示素子であれば、特に限定されるものではなく、公知の液晶表示素子の構成要素を更に用いて構成することができる。例えば、カラーフィルタ基板及びこれと対向配置された光透過性の基板と、これら基板間に設けられた液晶層と、液晶層の液晶を駆動する液晶駆動手段(単純マトリックス駆動方式及びアクティブマトリックス駆動方式を含む。)とを備え、カラーフィルタ基板として既述のカラーフィルタを用いた構成とすることができる。
【0132】
液晶表示装置は、前記液晶表示素子を用いて構成することができる。前記液晶表示素子、詳細には、既述した遮光膜付き基板(前記微粒子含有組成物、表示装置用着色膜形成用インク、又は遮光材料)を用いて構成することができるので、高温環境に曝されることに伴なう色味変化が少なく、色相が良好で高い光学濃度を有しており、表示画像のコントラストが高く、良好な表示品質の画像表示が可能である。
【0133】
前記液晶表示装置は、前記液晶表示素子を用いて作製した装置であれは、特に限定されるものではなく、公知の液晶表示装置の構成要素を更に用いて構成することができる。
【実施例】
【0134】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0135】
<高分子化合物の合成>
(ポリマー1の合成)
−モノマー1の合成−
チオ尿素15.2部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.04部をアセトニトリル100部に溶解し、4−(クロロメチル)スチレン30.5部を添加し、50℃で4時間反応した。室温まで放冷した後、ろ過、乾燥することでモノマー1を無色粉末として得た。収量41.1g、収率90%であった。
【0136】
【化7】

【0137】
−ポリマー1の合成−
プロピレングリコールモノエチルエーテル20部に80℃、窒素気流下で、上記で得られたモノマー1 3.6部、メタクリル酸7.2部、スチレン19.2部、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(商品名:V−601、和光純薬工業(株)製)0.30部及びプロピレングリコールモノメチルエーテル25部の混合物を2時間かけて滴下後、1時間80℃で反応させた。2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(商品名:V−601、和光純薬工業(株)製)0.60部とプロピレングリコールモノメチルエーテル10部の混合物を80℃で2時間かけて添加した後、90℃でさらに2時間反応させた。反応終了後、プロピレングリコールモノメチルエーテル65部を添加することでポリマー1の20%溶液を得た。
【0138】
【化8】

【0139】
(ポリマー2の合成)
−モノマー2の合成−
N,N’−ジメチルチオ尿素20.8部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.05部をアセトニトリル200部に溶解し、4−(クロロメチル)スチレン30.5部を添加し、50℃で4時間反応した。室温まで放冷した後、ろ過、乾燥することでモノマー2を無色粉末として得た。収量47.2部、収率92%であった。
【0140】
【化9】

【0141】
−ポリマー2の合成−
プロピレングリコールモノエチルエーテル20部に80℃、窒素気流下で、上記で得られたモノマー2 3.6部、メタクリル酸7.2部、スチレン19.2部、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(商品名:V−601、和光純薬工業(株)製)0.30部及びプロピレングリコールモノメチルエーテル25部の混合物を2時間かけて滴下後、1時間80℃で反応させた。2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(商品名:V−601、和光純薬工業(株)製)0.60部とプロピレングリコールモノメチルエーテル10部の混合物を80℃で2時間かけて添加した後、90℃でさらに2時間反応させた。反応終了後、プロピレングリコールモノメチルエーテル65部を添加することでポリマー2の20%溶液を得た。
【0142】
【化10】

【0143】
(ポリマー3の合成)
−モノマー3の合成−
N,N’−エチレンチオ尿素20.4部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.05部をアセトニトリル200部に溶解し、4−(クロロメチル)スチレン30.5部を添加し、50℃で4時間反応した。室温まで放冷した後、ろ過、乾燥することでモノマー3を無色粉末として得た。収量46.5部、収率91%であった。
【0144】
【化11】

【0145】
−ポリマー3の合成−
プロピレングリコールモノエチルエーテル20部に80℃、窒素気流下で、上記で得られたモノマー3 3.6部、メタクリル酸7.2部、スチレン19.2部、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(商品名:V−601、和光純薬工業(株)製)0.30部及びプロピレングリコールモノメチルエーテル25部の混合物を2時間かけて滴下後、1時間80℃で反応させた。2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(商品名:V−601、和光純薬工業(株)製)0.60部とプロピレングリコールモノメチルエーテル10部の混合物を80℃で2時間かけて添加した後、90℃でさらに2時間反応させた。反応終了後、プロピレングリコールモノメチルエーテル65部を添加することでポリマー3の20%溶液を得た。
【0146】
【化12】

【0147】
(ポリマー4の合成)
−モノマー4の合成−
2−ヒドロキシエチルメタクリレート28.6部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部、p−トルエンクロリドスルホニルクロリド38.1部をアセトニトリル200部に溶解した。氷冷下、攪拌しながらピリジン38.0部を1時間かけて加えた後、室温に昇温して更に8時間反応させた。酢酸エチル400部と水200部を添加し、分液ロートを用いて分液を行った。有機相を1規定塩酸で2回、飽和食塩水で2回洗浄し、溶媒を減圧留去することで2−(p−トルエンスルホニルオキシ)エチルメタクリレートの粗成生物60部を黄色液体として得た。
チオ尿素15.2部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部をアセトニトリル200部に溶解し、上記で得られた2−(p−トルエンスルホニルオキシ)エチルメタクリレートの粗成生物60部を添加し、還流下、6時間反応した。室温まで放冷することで沈殿が生成し、ろ過、乾燥することでモノマー4を無色粉末として得た。収量35.3部、二段階収率50%であった。
【0148】
【化13】

【0149】
−ポリマー4の合成−
プロピレングリコールモノエチルエーテル20部に80℃、窒素気流下で、上記で得られたモノマー4 3.6部、メタクリル酸7.2部、スチレン19.2部、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(商品名:V−601、和光純薬工業(株)製)0.30部及びプロピレングリコールモノメチルエーテル25部の混合物を2時間かけて滴下後、1時間80℃で反応させた。2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(商品名:V−601、和光純薬工業(株)製)0.60部とプロピレングリコールモノメチルエーテル10部の混合物を80℃で2時間かけて添加した後、90℃でさらに2時間反応させた。反応終了後、プロピレングリコールモノメチルエーテル65部を添加することでポリマー4の20%溶液を得た。
【0150】
【化14】

【0151】
[実施例1]
<微粒子含有組成物(Ag微粒子分散液1)の調製>
1規定(1mol/L)の水酸化ナトリウム水溶液を用い、pHを12.0に調整した水溶液2.5Lに、ポリマー1の20%溶液15.0g加え、完全に溶解するまで45℃で30分攪拌した。
この溶液を45℃に温度制御し、アスコルビン酸8.5gを含む水溶液と、ハイドロキノン5gおよび亜硫酸ナトリウム1.5gを含む水溶液と、硝酸銀30gを含む水溶液とを同時に添加して、黒色の銀ナノ粒子含有液を調製した。
得られた銀微粒子は、算術平均粒径15.5nm、アスペクト比2.1の球状粒子がランダムに連結した連結状粒子であった。調製した銀ナノ粒子含有液に硝酸を滴下してpH4に調整し、銀ナノ粒子を凝集沈降させた。上澄みを除去し、これに蒸留水を加えて静置し、再び上澄みを除去した。さらにアセトンを加え、遠心分離処理(12000rpm・30分)を行った。その後、上澄みを除去して、1−メトキシ−2−プロピルアセテートとシクロヘキサノンとを等重量加え、ブランソン社製「ソニファー(Sonifier)II型」超音波ホモジナイザーを用いて20kHzの超音波を5分間照射した。その後、ブランソン社製「モデル(Model)200bdc−h 40:0.8型超音波ホモジナイザー」で40kHzの超音波を10分間照射した。
これにより得られた銀ナノ粒子分散液は、粒子形成後と同様の形状、色味を有していた。また得られた銀ナノ粒子分散液を原子吸光法によりAg含有量を測定した結果、Ag濃度25.0質量%であった。また、TG−DTA(セイコー(株)製)を用いて、乾燥減量から求められたポリマー1の銀ナノ粒子分散液中の濃度は1.6質量%であった。この銀ナノ粒子分散液を微粒子含有組成物(Ag粒子分散液1)とする。
【0152】
<遮光画像形成用塗布液の調製>
下記組成の各成分を混合し、遮光画像形成用塗布液(黒色材料用の微粒子含有組成物)を調製した。
(黒色材料用の微粒子含有組成物)
・上記のAg粒子分散液1 … 25部
・UV硬化性樹脂C−1 … 2.0部
・ウレタンアクリレートモノマー(U−4HA、新中村化学製)
… 2.2部
・光重合開始剤(商品名「CGI−242」 チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ製) … 0.8部
・パラメトキシフェノール … 0.0002部
・フッ素系界面活性剤(商品名「メガファックR30」 大日本インキ化学工業製) … 0.001部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート … 13.5部
・シクロヘキサノン … 35.6部
【0153】
C−1:商品名サイクロマーP ACA−250 ダイセル化学工業製
〔側鎖に脂環、COOH基、アクリロイル基のあるアクリル系共重合体、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分:50質量%)〕
【0154】
<塗布による遮光画像(BM)の形成>
得られた遮光画像形成用塗布液を、ガラス基板(コーニング社製ミレニアム 0.7mm厚)にスリット間隔100μm、塗布有効幅500mmのスリットヘッドを備えたスリット塗布装置を用いて、スリット塗布適性の評価を行った。ポストベーク後の膜厚が0.8μmとなるようにスリットとガラス基板間の間隔、吐出量を調節して、塗布速度100mm/秒で塗布した。
【0155】
次いで、ホットプレートを用いて、100℃で120秒間加熱(プリベーク処理)を行なった後、HITACHI露光機LE5565(全波長)を用いて、線幅10μmのマスクでプロキシミテイーギャップを300μmとして露光した。
【0156】
その後、水酸化カリウム系現像液CDK−1(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の1.0%現像液(CDK−1を1質量部、純水を99質量部の希釈した液)(25℃)で現像し、純水で洗浄した。
次いで220℃のクリーンオーブンで30分間ポストベーク処理してブラックマトリックスパターンを形成した。。
前記露光は着色画素形成領域の開口が90μm×200μmとなるように、遮光画像の線幅が約13μmの格子状ブラックマトリクス基板となるようにした。
【0157】
<カラーフィルタの作製>
引き続き、遮光画像が形成された無アルカリガラス基板(以下、「カラーフィルタ基板」と称する。)を用い、このカラーフィルタ基板に、特開2004−347831号公報の段落番号[0075]〜[0086]に記載の感光性樹脂組成物を用いて同様にして、所定サイズ、形状よりなる赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の着色パターン(着色画素)を形成し、カラーフィルタを作製した。
【0158】
<液晶表示素子及び液晶表示装置の作製>
上記で得たカラーフィルタを用いて、以下に示すようにして、液晶表示素子を作製すると共に、さらに液晶表示装置を作製した。
まず、得られたカラーフィルタのRGBのパターンに対応させるようにして、別に用意したガラス基板上に、薄膜トランジスタ(TFT)と画素電極とを形成すると共に、配向膜を設けてアクティブマトリックス基板を作製した。次いで、上記で得たカラーフィルタの上に更にITO膜と配向膜とを形成し、対向基板とした。得られたアクティブマトリクス基板と対向電極とを所定の間隔(いわゆるセル厚)が形成されるようにして対向配置し、両基板間にTN液晶を封入してシール剤を介して貼り合わせ、液晶表示素子を得た。そして、得られた液晶表示素子の両基板の表面に偏光板をクロスニコルにて配置し、更にアクティブマトリックス基板側にバックライトを配設して、液晶表示装置とした。
【0159】
[実施例2〜4]
実施例1において、Ag微粒子分散液1の調製におけるポリマー1をポリマー2〜4に変えた以外は、実施例1と同様にして、Ag微粒子分散液を調製し、評価を行うと共に、遮光画像を得た。評価の結果を下記表1に示す。そして得られた遮光画像を用いて、実施例1と同様にして、カラーフィルタ並びに液晶表示素子、液晶表示装置を作製した。
【0160】
[実施例5]
1規定の水酸化ナトリウム水溶液を用い、pHを12.0に調整した水溶液2.5Lに、ポリマー1の20%溶液15.0g加え、完全に溶解するまで45℃で30分攪拌した。
この溶液を45℃に温度制御し、アスコルビン酸8.5gを含む水溶液と、ハイドロキノン5gおよび亜硫酸ナトリウム1.5gを含む水溶液と、硝酸銀30gを含む水溶液とを同時に添加して、黒色の銀ナノ粒子含有液を調製した。
得られた銀ナノ粒子含有液に7.2%の硫化水素ナトリウム水溶液を硫化率100%になるように添加した。
実施例1において、上記のように黒色の銀ナノ粒子含有液を調製した以外は、実施例1と同様して、Ag粒子分散液を調製し、評価を行うと共に、遮光画像を得た。評価の結果を下記表1に示す。そして得られた遮光画像を用いて、実施例1と同様にして、カラーフィルタ並びに液晶表示素子、液晶表示装置を作製した。
【0161】
[比較例1]
実施例1において、高分子化合物としてポリマー1の代わりに、MAA/BzMA共重合体(共重合比(モル比)=28/72、重量平均分子量=30,000)を用いた以外は、実施例1と同様にして、Ag微粒子分散液を調製し、評価を行うと共に、遮光画像を得た。評価の結果を下記表1に示す。そして得られた遮光画像を用いて、実施例1と同様にして、カラーフィルタ並びに液晶表示素子、液晶表示装置を作製した。
【0162】
[比較例2]
実施例1において、高分子化合物としてポリマー1の代わりに、表1に記載のポリマー5を用いた以外は、実施例1と同様にして、Ag微粒子分散液を調製し、評価を行うと共に、遮光画像を得た。評価の結果を下記表1に示す。そして得られた遮光画像を用いて、実施例1と同様にして、カラーフィルタ並びに液晶表示素子、液晶表示装置を作製した。
【0163】
[比較例3]
実施例1において、高分子化合物としてポリマー1の代わりに、MAA/BzMA(共重合比(モル比)=28/72、重量平均分子量=30,000)を用い、また、Ag粒子分散液1を用いる代わりに、下記のカーボンブラック分散液を用いた以外は、実施例1と同様にして、評価を行うと共に、遮光画像を得た。評価の結果を下記表1に示す。そして得られた遮光画像を用いて、実施例1と同様にして、カラーフィルタ並びに液晶表示素子、液晶表示装置を作製した。
【0164】
(カーボンブラック分散液)
カーボンブラック分散液1の組成は、下記であった。
・カーボンブラック(商品名:Nipex35、デグサ ジャパン(株)製) 13.1部
・分散剤1(下記化合物1) 0.65部
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比のランダム共重合物、分子量3.7万) 6.72部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 7953部
【0165】
【化15】

【0166】
日機装社製ナノトラックUPA−EX150を用いて、このカーボンブラック分散液1の粒径を測定したところ、数平均粒径20nmであった。
【0167】
(評価)
−1.銀微粒子分散性の評価−
実施例及び比較例で得られた銀微粒子組成物を25℃にて3日間放置した後、目視により銀微粒子の分散性を下記の評価基準にしたがって評価した。評価結果は下記表1に示す。
〈評価基準〉
A:銀微粒子が沈降することなく均一に分散されていた。
B:銀微粒子が一部沈降していた。
C:銀微粒子が完全に沈降していた。
【0168】
−2.透過濃度の評価−
各実施例及び比較例で得られた遮光画像(膜)の透過濃度(OD)を、マクベス濃度計(TD−904、マクベス社製)を用いて測定した。その際、ガラス基板の光学濃度分は補正した。評価結果は下記表1に示す。
【0169】
【表1】

【0170】
【化16】

【0171】
表1から明らかな通り、本発明における高分子化合物を用いた微粒子含有組成物の微粒子の分散性は優れており、また、該組成物を用いた形成された遮光画像の透過濃度は高く極めて優れていることが判った。
一方、比較の微粒子含有組成物の分散性は比較例3が良好であるが、該組成物を用いて形成された遮光画像の透過濃度は劣っていた。比較例のいずれにおいても、全てを満たすものは無かった。
【0172】
(評価2)
−3.着色画素の評価−
実施例及び比較例で得られた各カラーフィルタについて、着色パターンを顕微鏡観察により評価した。その結果、実施例のカラーフィルタはいずれも、比較例のカラーフィルタに比し、各着色画素に欠陥がなく、パターンは精細に構成されていた。
【0173】
−4.画質の評価−
実施例及び比較例で得られた各液晶表示装置を用いて画像表示し、表示画像の品質を目視により評価した。その結果、実施例の液晶表示装置はいずれも、比較例の液晶表示装置に比し、高コントラストで鮮やかな画像表示が可能であり、良好な表示特性を示すことを確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される構造を有する高分子化合物を用いて、金属微粒子及び/又は金属化合物微粒子を分散させることを特徴とする微粒子含有組成物の製造方法。
【化1】

〔式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す。Xは陰イオンを表す。〕
【請求項2】
前記高分子化合物が、酸基を更に有する請求項1に記載の微粒子含有組成物の製造方法。
【請求項3】
前記酸基が、カルボン酸基である請求項2に記載の微粒子含有組成物の製造方法。
【請求項4】
多官能モノマーを更に含有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の微粒子含有組成物の製造方法。
【請求項5】
光重合開始剤を更に含有する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の微粒子含有組成物の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の微粒子含有組成物の製造方法により作製された微粒子含有組成物を含むことを特徴とする表示装置用着色膜形成用インク。
【請求項7】
仮支持体上に、被転写体への転写が可能であって、請求項1〜5のいずれか1項に記載の微粒子含有組成物の製造方法により製造された微粒子含有組成物を用いて形成された微粒子含有層を有することを特徴とする遮光材料。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の微粒子含有組成物の製造方法により作製された微粒子含有組成物、請求項6に記載の表示装置用着色膜形成用インク、又は請求項7に記載の遮光材料を用いてなることを特徴とする表示装置用遮光膜。
【請求項9】
請求項8に記載の表示装置用遮光膜を有することを特徴とする遮光膜付き基板。
【請求項10】
光透過性の基板上に、互いに異なる色相を呈する複数の画素を含む画素群と、前記画素群を構成する各画素を離隔する遮光画像とを有するカラーフィルタにおいて、前記遮光画像が、請求項8に記載の表示装置用遮光膜であることを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項11】
請求項9に記載の遮光膜付き基板を備えたことを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項12】
請求項9に記載の遮光膜付き基板を備えたことを特徴とする液晶表示素子。
【請求項13】
請求項12に記載の液晶表示素子を備えたことを特徴とする液晶表示装置。

【公開番号】特開2008−248117(P2008−248117A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−92038(P2007−92038)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】