説明

微細パターン修正装置および微細パターンの欠陥修正方法

【課題】 微細パターンの欠陥を短時間で修正することができ、装置価格が低く、装置設置面積が小さく、修正の品質が高い微細パターン修正装置を提供する。
【解決手段】 この微細パターン修正装置は、レーザビームを照射して黒欠陥を除去するレーザ装置1、欠陥を観察する観察光学系2、インクを塗布して色抜け欠陥を修正するインク塗布ユニット3、および突起欠陥を研磨して修正するテープ研磨ユニット5を含む修正ヘッド部6と、修正ヘッド部6を位置決めするXYZテーブル7〜9と、被修正ガラス基板10を搭載するガラス定盤11とを備える。したがって、1台の装置で色抜け欠陥、黒欠陥および突起欠陥を修正することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は微細パターン修正装置および微細パターンの欠陥修正方法に関し、特に、基板上に形成された微細パターンの欠陥を修正する微細パターン修正装置および微細パターンの欠陥修正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(LCD)に使用されるカラーフィルタに発生する可能性がある欠陥は、色抜け欠陥、黒欠陥、突起欠陥の3種類に大別できる。色抜け欠陥とは、ある画素に所定の色が付いていない欠陥である。黒欠陥とは、画素に光の透過しない黒い部分ができる欠陥である。黒欠陥の原因としては、ブラックマトリックス材料の画素部分へのはみ出し、ある画素の色が隣の画素にはみ出して色が混ざり合う混色、画素への異物の付着などがある。突起欠陥とは、異物の付着や、インクの気泡などによって突起が生じた欠陥である。
【0003】
色抜け欠陥を修正する装置としては、修正液を針によって塗布するものがある。黒欠陥を修正する装置としては、黒欠陥をレーザでカットすることによって色抜け欠陥に変え、この色抜け欠陥に針によって修正液を塗布するものがある(たとえば特許文献1,2参照)。突起欠陥を修正する装置としては、突起欠陥に研磨テープを押し付けて研磨し、除去するものがある(たとえば特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2001−174625号公報
【特許文献2】特開平9−236933号公報
【特許文献3】特開平8−229797号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来は、欠陥の種類によって異なる装置が必要となるので、たとえば同一の基板に色抜け欠陥と突起欠陥が生じた場合には、装置間の搬送や、装置内での基板位置割出し等のため時間を要する。このため、修正時間の短縮が困難である。
【0005】
また近年、基板が大型になったため欠陥修正装置も大型になり、装置が高額になる。また、装置設置のために必要な床面積が増大し、クリーンルームの建設や維持の費用が高額になる。
【0006】
また、異物の付着による黒欠陥で、異物が大きい場合、黒欠陥を除去して色抜け欠陥に変えるためのレーザビームの照射エネルギーを高める必要がある。このため、黒欠陥周辺の正常部に熱等の影響が出る。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、微細パターンの欠陥を短時間で修正することができ、装置価格が低く、装置設置面積が小さく、修正の品質が高い微細パターン修正装置を提供することである。
【0008】
また、この発明の他の目的は、修正の品質が高い微細パターンの欠陥修正方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る微細パターン修正装置は、基板上に形成された微細パターンの欠陥を修正する微細パターン修正装置であって、修正液を欠陥に塗布する塗布ユニットと、レーザビームを照射して欠陥を除去するレーザ装置と、欠陥を観察する観察光学系と、欠陥を研磨するテープ研磨ユニットとを含む修正ヘッド部、基板を搭載するワークテーブル、および修正ヘッド部とワークテーブルを相対移動させて3次元空間での位置決めを行う位置決め装置を備えたものである。
【0010】
また、この発明に係る微細パターンの欠陥修正方法は、基板上に形成された微細パターンの欠陥を修正する欠陥修正方法であって、欠陥部の盛り上りを研磨テープで研磨して、周辺の正常部とほぼ同じ高さにする研磨工程と、研磨後の欠陥部にレーザビームを照射して欠陥部を除去するレーザカット工程と、欠陥部をレーザビームで除去した位置に修正液を塗布する塗布工程を含むものである。
【0011】
また、この発明の他の微細パターンの欠陥修正方法は、基板上に形成された微細パターンの欠陥を修正する欠陥修正方法であって、パターンが欠落した欠損欠陥部に修正液を塗布する塗布工程と、正常なパターン表面より盛り上がった修正液を研磨テープで除去して正常部とほぼ同じ高さにする研磨工程を含むものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る微細パターン修正装置では、修正液を欠陥に塗布する塗布ユニットと、レーザビームを照射して欠陥を除去するレーザ装置と、欠陥を観察する観察光学系と、欠陥を研磨するテープ研磨ユニットとを含む修正ヘッド部と、基板を搭載するワークテーブルと、修正ヘッド部とワークテーブルを相対移動させて3次元空間での位置決めを行う位置決め装置とが設けられる。したがって、1台の装置で色抜け欠陥、黒欠陥および突起欠陥を修正することができるので、修正時間の短縮化、装置価格の低減化、装置設置面積の縮小化、修正品質の向上を図ることができる。
【0013】
また、この発明に係る微細パターンの欠陥修正方法では、欠陥部の盛り上りを研磨テープで研磨して、周辺の正常部とほぼ同じ高さにし、研磨後の欠陥部にレーザビームを照射して欠陥部を除去し、欠陥部をレーザビームで除去した位置に修正液を塗布する。したがって、大きな異物の付着による黒欠陥を修正する場合でも、レーザビームの照射エネルギーを低く抑えることができるので、欠陥部周辺の正常部に熱等の影響が出ることを防止することができ、修正の品質の向上を図ることができる。
【0014】
また、この発明の他の微細パターンの欠陥修正方法では、パターンが欠落した欠損欠陥部に修正液を塗布し、正常なパターン表面より盛り上がった修正液を研磨テープで除去して正常部とほぼ同じ高さにする。したがって、修正の品質の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、この発明の一実施の形態による微細パターン修正装置の全体構成を示す斜視図である。図1において、この微細パターン修正装置では、レーザ装置1、観察光学系2、インク塗布ユニット3、修正液硬化用光源4およびテープ研磨ユニット5を含む修正ヘッド部6がZ軸テーブル7に固定されていて、Z軸テーブル7はZ軸方向(上下方向)に移動可能に設けられている。Z軸テーブル7はX軸テーブル8上においてX軸方向(横方向)に移動可能に設けられている。X軸テーブル8は、Y軸テーブル9上においてY軸方向(横方向)に移動可能に設けられている。
【0016】
X軸テーブル8の下方には、被修正ガラス基板10を搭載するワークテーブルであるガラス定盤11が設けられている。ガラス定盤11には、被修正ガラス基板10を搬入排出する際にリフトアップするためのリフトアップ機構のリフタピンを通すためのリフタピン孔11aと、被修正ガラス基板10をガラス定盤11の上面に固定するための真空吸着用溝11bとが形成されている。真空吸着用溝11bの数カ所には、真空に引くための真空吸着孔が形成されている。
【0017】
レーザ装置1は、被修正ガラス基板10上のカラーフィルタの黒欠陥や突起欠陥にレーザビームを照射し、その熱エネルギーでインクや異物を昇華または飛散させて除去する。観察光学系2は、欠陥部分を拡大して撮像し、撮像した画像をテレビモニタ(図示せず)に表示する。インク塗布ユニット3は、被修正ガラス基板10上のカラーフィルタの色抜け欠陥にインクを塗布する。修正液硬化用光源4は、塗布したインクに光を照射して硬化させる。テープ研磨ユニット5は、被修正ガラス基板10上のカラーフィルタの黒欠陥や突起欠陥をテープで研磨して除去する。
【0018】
レーザ装置1、観察光学系2、インク塗布ユニット3、修正液硬化用光源4およびテープ研磨ユニット5を含む修正ヘッド部6はZ軸テーブル7に取付けられているので、被修正ガラス基板10の上に任意の高さに位置させることができ、かつZ軸テーブル7はX軸テーブル8およびY軸テーブル9上に載置されているため、被修正ガラス基板10に対してX軸方向およびY軸方向に任意の位置に移動できる。その他に、各機構を制御するための制御用コンピュータ(図示せず)と、装置全体を制御するためのホストコンピュータ(図示せず)とが設けられている。
【0019】
次に、この微細パターン修正装置の動作について説明する。欠陥の位置情報(X,Y座標)は、別の検査装置から修正装置の制御部に送られ、制御部はその情報に基づいてテーブル8,9を含む位置決め機構に指令信号を与える。位置決め機構は、指令信号に基づいて、観察光学系2を欠陥の観察が可能な位置に移動する。観察光学系2によって撮像された欠陥部の画像は、操作部に設けた表示画面に表示される。オペレータは、表示された画像によって欠陥の種別を判定し、適切な修正方法を選択して実行する。
【0020】
色抜け欠陥の場合は、インク塗布ユニット3によって欠陥部にインクを塗布し、修正液硬化用光源4の光を照射してインクを硬化させる。黒欠陥の場合は、レーザ装置1から欠陥部にレーザビームを照射し、欠陥部をレーザビームの熱エネルギーで昇華または飛散させ、黒欠陥を色抜け欠陥に変換した後、インク塗布によって修正する。突起欠陥の場合は、テープ研磨ユニット5のテープで突起部を研磨する。
【0021】
なお、位置決め装置は、図1ではXYZテーブル7〜9を示したが、3次元空間内で修正ヘッド部6と被修正ガラス基板10上の欠陥部とを相対的に位置決めできれば、これに限らず、たとえばパラレルリンク機構など、他の形式でもよい。ガラス基板10をX軸およびY軸方向に移動可能に設け、修正ヘッド部6をZ軸方向に移動可能に設けてもよい。ガラス基板10をY軸方向に移動可能に設け、修正ヘッド部6をX軸およびZ軸方向に移動可能に設けてもよい。
【0022】
また、制御部に画像処理装置および各種の修正手順を実行するためのプログラムおよびデータを記録するメモリを備え、欠陥部の画像から画像処理装置によって欠陥の位置、種類を判定し、メモリに記録した修正プログラムの内から適切な修正方法を選定して修正を実行すれば、各種欠陥の修正をオペレータを介することなく自動的に行うことができる。
【0023】
図2は、修正ヘッド部6の構成をより詳細に示す図である。図2において、レーザ装置1から出射されたレーザビームを欠陥部に導くためのレーザ光学系12がZ軸テーブル7の中央部に固定される。観察光学系2とレーザ光学系12は、同軸に設けられ、対物レンズ13などを共用している。観察光学系2は、被修正ガラス基板10上の微細パターンを拡大して撮像するための顕微鏡およびCCDカメラ14を含む。レーザ装置1は、レーザ光学系12の上部に固定されている。レーザ装置1としては、各種レーザを使用し得るが、YAGレーザの第2高調波以下の短波長レーザが望ましい。
【0024】
インク塗布ユニット3はZ軸テーブル7の一方端部に固定され、Z軸テーブル7の他方端部に副Z軸テーブル15がZ軸方向に移動可能に設けられ、テープ研磨ユニット6は副Z軸テーブル15に固定される。修正液硬化用光源4は、観察光学系2とインク塗布ユニット3との間に設けられる。
【0025】
インク塗布ユニット3とテープ研磨ユニット6は、観察光学系2をはさんで両側に配置するのが望ましい。観察光学系2によって撮影した画像を操作部の画像表示装置の画面に表示し、画面上で修正位置を指示して、その位置に指定した修正ユニット(インク塗布ユニット3またはテープ研磨ユニット6)を移動させて修正作業を行うが、このときの移動量が大きいと指定した位置に対する修正ユニット3または6の位置決め誤差が大きくなる。観察光学系2の両側に2つの修正ユニット3,6を配置することによって、観察から修正に移る時の移動量を小さくできるので、高精度な修正が可能になる。
【0026】
修正ヘッド部6は、Z軸テーブル7によってZ軸方向に一体として位置決めされるが、さらに、テープ研磨ユニット5を独立してZ方向に移動させる副Z軸テーブル15を設けることにより、テープ研磨ユニット5を高速かつ精度良く位置決めすることが可能になる。
【0027】
修正液硬化用光源4の作用する範囲は一般にパターン寸法に比べて大きく、インク塗布ユニット3やテープ研磨ユニット5に比べて位置決め精度に対する要求は厳しくない。したがって、修正液硬化用光源4は、Z軸テーブル7のどの位置に設けても良く、観察光学系2を中央にして両側に配置したインク塗布ユニット3およびテープ研磨ユニット5のさらに外側に配置してもよい。修正液硬化用光源4によって微細パターン修正装置内でインクを硬化させることにより、被修正ガラス基板10を次の工程へ迅速に送ることができる。なお、光源4としては、ハロゲンランプ、レーザ装置、紫外線灯、赤外線灯などが用いられる。また、光源4の代わりに、塗布した修正液を乾燥または硬化させるための熱風発生器のような熱源を設けてもよい。
【0028】
図3は、インク塗布ユニット3の構成を示す斜視図である。図3において、インク塗布ユニット3は、インク塗布用の針21と、針21を垂直方向に駆動させるための位置決め用アクチュエータ22とを備える。針21は、保持部材24を介してアクチュエータ22の駆動軸23の先端部に設けられる。保持部材24には、針21が被修正ガラス基板10の表面に接触したときの衝撃を緩和するためのスプリングが内蔵されている。位置決め用アクチュエータ22は、Z軸テーブル7に固定される。
【0029】
また、インク塗布ユニット3は、水平に設けられた回転テーブル25と、回転テーブル25上に円周方向に順次配置された複数のインクタンク26〜29、洗浄装置30およびエアパージ装置31とを備える。回転テーブル25にはインク塗布時に針21を通過させるための切欠部32が形成され、回転テーブル25の中心部には回転軸33が立設されている。インクタンク26〜29には、それぞれRGBおよび黒のインクが注入されている。洗浄装置30には、針21を洗浄するための洗浄液が貯えられている。エアパージ装置31は、小穴に挿入された針21にエアーを噴射して針21に付着した洗浄液などを吹き飛ばす。
【0030】
さらに、インク塗布ユニット3は、回転テーブル25の回転軸33を回転させるためのインデックス用モータ34と、回転軸33とともに回転するインデックス板35と、インデックス板35を介して回転テーブル25の回転位置を検出するためのインデックス用センサ36と、インデックス板35を介して回転テーブル25の回転位置が原点に復帰したことを検出する原点復帰用センサ37とを備える。モータ34は、センサ36,37の出力に基づいて制御され、回転テーブル25を回転させて切欠部32、インクタンク26〜29、洗浄装置30およびエアパージ装置31のうちのいずれかを針21の下方に位置させる。
【0031】
次に、インク塗布ユニット3の動作について説明する。まず、Z軸テーブル7、X軸テーブル8およびY軸テーブル9を駆動させて針21を被修正ガラス基板10の表面に形成されたカラーフィルタの色抜け欠陥の上方の所定の位置に位置させる。次いで回転テーブル25を回転させて、色抜け欠陥に塗布すべきインクが貯えられたインクタンクを針21の下方に位置させ、アクチュエータ22によって針21を上下させ、針21の先端部にインクを付着させる。
【0032】
次に、回転テーブル25を回転させて切欠部32を針21の下に位置させ、アクチュエータ22によって針21を下降させて針21の先端をカラーフィルタの色抜け部に接触させ、インクを色抜け部に塗布する。
【0033】
インク塗布終了後は、針21の下方に洗浄装置30を位置させ、針21を上下させて針21を洗浄した後、針21の下方にエアパージ装置31を位置させ、針21を上下させて針21に付着した洗浄液を吹き飛ばす。
【0034】
図4は、色抜け欠陥が発生したカラーフィルタ40を示す図である。図4において、カラーフィルタ40は、ガラス基板10の表面に一定周期で形成されたRGBの色付部分41と、色付部分41の隙間に形成されたブラックマトリクス42とを含む。色付部分41あるいはブラックマトリクス42の形成時にガラス基板10の表面に異物が付着していた場合、異物が付着してた部分が色抜け欠陥部43,44となる。
【0035】
図5(a)〜(c)は、色抜け欠陥43をインク塗布ユニット3によって修正する工程を示す図である。まず、図5(a)に示すように、針21の先端部に修正用のインク45を付着させる。次いで、図5(b)に示すように、その針21の先端を色抜け欠陥43に接触させてインク45を色抜け欠陥43に付着させる。次いで、図5(c)に示すように、針21を色抜け欠陥43から離間させ、修正液硬化用光源4によってインク45を硬化させて色抜け欠陥43の修正を終了する。これと同様に、ブラックマトリクスの色抜け欠陥44も修正する。
【0036】
図6は、修正後のカラーフィルタ40を示す図である。色抜け欠陥43,44がその周囲と同じ色のインク45,46で覆われている。修正されたカラーフィルタ40は良品として扱われる。
【0037】
図7(a)(b)は、ガラス基板10の表面に形成されたカラーフィルタの色付部41に発生した黒欠陥48を修正する方法を示す図である。黒欠陥48は、ガラス基板10に付着した異物47がインクに覆われて残存した欠陥である。観察光学系2によって黒欠陥48を観察しながらレーザ装置1およびレーザ光学系12の焦点を黒欠陥48中央に位置させ、図7(a)に示すように、レーザビーム49を黒欠陥48に照射して黒欠陥48を除去する。これにより、図7(b)に示すように、黒欠陥48は色抜け欠陥43に変換される。色抜け欠陥43は、図5(a)〜(c)で示した方法で修正される。
【0038】
次に、突起欠陥の修正方法について説明する。突起欠陥は、図2で示したテープ研磨ユニット5によって修正される。図2を参照して、テープ研磨ユニット5は、突起欠陥を研磨するための研磨テープ50と、研磨テープ50を送るための送り側リール51と、研磨テープ50を突起欠陥に押圧するための研磨ヘッド52と、研磨テープ50を駆動するための駆動機構53と、研磨テープ50を巻き取るための巻き取り側リール54と、突起欠陥の高さを測定するための高さ測定センサ55とを含む。テープ研磨ユニット5は、Z軸テーブル7および副Z軸テーブル5により精度良くZ軸方向に位置決めされる。さらに、研磨ヘッド52のみを独立にZ軸方向に移動させる位置決め機構を設けても良い。
【0039】
図8(a)〜(c)は、ガラス基板10の表面に形成されたカラーフィルタのブラックマトリクス42または色付部41に発生した突起欠陥60を修正する方法を示す図である。まず図8(a)に示すように、高さ測定センサ55によって突起欠陥60の高さh1とその周辺の正常部の高さh2を測定する。次いで、図8(b)に示すように、研磨ヘッド55に含まれる押圧部材56の先端部を突起欠陥60の中央に位置させ、押圧部材56の先端部によって研磨テープ50を突起欠陥60に押圧させながら研磨テープ50を駆動させ、突起欠陥60を削り取る。押圧部材56を押し込む深さは、欠陥の周辺の正常部の高さの測定結果h2に基づいて決定される。これにより、図8(c)に示すように、突起欠陥60が修正される。
【0040】
また、この微細パターン修正装置では、高さ測定センサ55によって測定した欠陥の高さh1と正常部の高さh2との差h1−h2と、観察光学系2によって評価した欠陥の面積とに基づいて、除去すべき欠陥部分の大きさを把握し、レーザビーム49の照射のみで欠陥部を除去するか、研磨テープ50による研磨を併用するかを決定することができる。
【0041】
すなわち、異物等による黒欠陥48が存在する場合において、黒欠陥48のサイズが大きいときは、レーザビーム49の照射のみで除去しようとするとレーザビーム49のパワーをかなり大きくする必要があり、欠陥周辺の正常部に悪影響が出る恐れがある。この場合は、まず図9(a)(b)に示すように、研磨テープ50によって突起部の大部分を除去して欠陥部を正常部とほぼ同じ高さにし、次に図9(b)(c)に示すように、レーザビーム49を照射して黒欠陥48を色抜け欠陥43に変換し、図5(a)〜(c)で示した方法で色抜け欠陥43にインクを塗布して修正する。これによって、弱いレーザパワーで欠陥部を除去することが可能となり、周辺の正常部に対する悪影響を低減して、品質の高い修正を行うことができる。黒欠陥48のサイズが小さく、レーザビーム49のパワーを大きくする必要がなく、欠陥周辺の正常部に影響がない場合は、図7(a)(b)で示したように、レーザビーム49の照射のみで黒欠陥48を色抜け欠陥43に変換する。
【0042】
また、インク塗布による修正を行った場合において、インク45が色抜け欠陥43からはみだして大きく盛り上がった場合は、図10(a)(b)に示すように、はみだして盛り上がったインク45を研磨テープ50で研磨し除去することにより、修正部の平坦度を向上させることができる。
【0043】
以上のように、この実施の形態では、LCDカラーフィルタの色抜け欠陥43、黒欠陥48、突起欠陥60を1台の装置で修正することができる。そのため、3種の欠陥が混在する場合でも、基板の装置間搬送や、基板を修正装置に据えつけた後の基板位置割出し動作が不要になり、修正時間の短縮化が可能である。また、複数の装置を用いて修正する場合に比べて、装置の設置面積が減少し、クリーンルームの建設・維持費用を削減することができる。また、修正設備費用を削減できる。
【0044】
また、大きい異物による黒欠陥48を修正する場合に、研磨テープ50による研磨とレーザビーム49の照射とを併用することにより周辺の正常部への熱影響を低減したり、インク塗布した部分の盛上がりをテープ研磨によって除去するなど、機能の組合せにより修正の品質向上が可能である。
【0045】
また、インク塗布ユニット3とテープ研磨ユニット5を、観察光学系2の両側に配置することによって、観察(修正位置指定)から修正に移る時の修正ヘッド部6の移動量が小さくなり、したがって、より高精度に指定した位置を修正できる。
【0046】
また、修正ヘッド部6と基板10をXYZ方向に相対位置決めするXYZ位置決め装置(テーブル7〜9)と独立して、インク塗布ユニット3の塗布針21をZ軸方向に移動させるアクチュエータ22と、テープ研磨ユニット5をZ軸方向に移動させる副Z軸テーブル15とを設けることにより、修正工程でZ軸方向に移動させる質量が小さくなるため、高速または高精度なZ軸方向の位置決めが可能になる。したがって、インク塗布修正の時間短縮や、テープ研磨の高さ制御の高精度化が可能になる。
【0047】
なお、この実施の形態では、LCD用カラーフィルタの欠陥の修正を例として説明したが、その他プラズマ表示装置や有機EL表示装置など、平面基板に微細なパターンを設けた平面表示装置用基板の欠陥の修正に関しても、本発明を有効に適用することができる。
【0048】
また、インク塗布ユニット3は、塗布針21を用いた方式の他、ディスペンサを用いた方式(たとえば特開2001−174625号公報の図13参照)や、インクジェット方式(たとえば特開平7−318724号公報参照)でもよい。
【0049】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】この発明の一実施の形態による微細パターン修正装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示した修正ヘッド部6の構成を示す図である。
【図3】図1に示したインク塗布ユニットの構成を示す斜視図である。
【図4】色抜け欠陥が生じたカラーフィルタを示す図である。
【図5】図4に示したカラーフィルタの色抜け欠陥を修正する方法を説明するための図である。
【図6】修正されたカラーフィルタを示す図である。
【図7】カラーフィルタの黒欠陥を修正する方法を説明するための図である。
【図8】カラーフィルタの突起欠陥を修正する方法を説明するための図である。
【図9】カラーフィルタの黒欠陥を修正する他の方法を説明するための図である。
【図10】カラーフィルタの色抜け欠陥を修正する方法を説明するための他の図である。
【符号の説明】
【0051】
1 レーザ装置、2 観察光学系、3 インク塗布ユニット、4 修正液硬化用光源、5 テープ研磨ユニット、6 修正ヘッド部、7 Z軸テーブル、8 X軸テーブル、9 Y軸テーブル、10 被修正ガラス基板、11 ガラス定盤、11a リフタピン孔、11b 真空吸着用溝、12 レーザ光学系、13 対物レンズ、14 CCDカメラ、15 副Z軸テーブル、21 針、22 位置決め用アクチュエータ、23 駆動軸、24 保持部材、25 回転テーブル、26〜29 インクタンク、30 洗浄装置、31 エアパージ装置、32 切欠部、33 回転軸、34 インデックス用モータ、35 インデックス板、36 インデックス用センサ、37 原点復帰用センサ、41 色付部分、42 ブラックマトリクス、43,44 色抜け欠陥、45,46 インク、47 異物、48 黒欠陥、49 レーザビーム、50 研磨テープ、51 送り側リール、52 研磨ヘッド、53 駆動機構、54 巻き取り側リール、55 高さ測定センサ、56 押圧部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された微細パターンの欠陥を修正する微細パターン修正装置であって、
修正液を欠陥に塗布する塗布ユニットと、レーザビームを照射して欠陥を除去するレーザ装置と、欠陥を観察する観察光学系と、欠陥を研磨するテープ研磨ユニットとを含む修正ヘッド部、
前記基板を搭載するワークテーブル、および
前記修正ヘッド部と前記ワークテーブルを相対移動させて3次元空間での位置決めを行う位置決め装置を備えた、微細パターン修正装置。
【請求項2】
前記修正ヘッド部は、さらに、前記微細パターンの欠陥部と正常部の高さを測定する高さ測定センサを含む、請求項1に記載の微細パターン修正装置。
【請求項3】
前記修正ヘッド部は、さらに、前記塗布ユニットによって欠陥に塗布した修正液を硬化させるための光源または熱源を含む、請求項1または請求項2に記載の微細パターン修正装置。
【請求項4】
前記レーザ装置用の光学系と前記観察光学系は同軸に配置され、
前記観察光学系は前記テープ研磨ユニットおよび前記塗布ユニットの間に配置されている、請求項1から請求項3までのいずれかに記載の微細パターン修正装置。
【請求項5】
前記修正ヘッド部は、さらに、前記テープ研磨ユニットまたは前記テープ研磨ユニットに含まれる研磨ヘッド部を前記基板に垂直な方向に移動させる副位置決め装置を含む、請求項1から請求項4までのいずれかに記載の微細パターン修正装置。
【請求項6】
前記塗布ユニットは、
先端に付着させた修正液を欠陥部に転写するための塗布針と、
前記塗布針を前記基板に垂直な方向に移動させるアクチュエータとを含む、請求項1から請求項5までのいずれかに記載の微細パターン修正装置。
【請求項7】
基板上に形成された微細パターンの欠陥を修正する欠陥修正方法であって、
欠陥部の盛り上りを研磨テープで研磨して、周辺の正常部とほぼ同じ高さにする研磨工程と、
研磨後の欠陥部にレーザビームを照射して欠陥部を除去するレーザカット工程と、
前記欠陥部をレーザビームで除去した位置に修正液を塗布する塗布工程を含む、微細パターンの欠陥修正方法。
【請求項8】
さらに、最初に欠陥部の高さを測定し、測定結果に基づいて欠陥部の除去を前記レーザカット工程のみで行うか、前記研磨工程と前記レーザカット工程を併用するかを判定する判定工程を含む、請求項7に記載の微細パターンの欠陥修正方法。
【請求項9】
基板上に形成された微細パターンの欠陥を修正する欠陥修正方法であって、
パターンが欠落した欠損欠陥部に修正液を塗布する塗布工程と、
正常なパターン表面より盛り上がった修正液を研磨テープで除去して正常部とほぼ同じ高さにする研磨工程を含む、微細パターンの欠陥修正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−7295(P2006−7295A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189890(P2004−189890)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【出願人】(501317571)オプトワン株式会社 (12)
【Fターム(参考)】