説明

微細加工用のパルス時間プログラマブル超高速バーストモードレーザ

レーザ処理システムは、選択的に整形されたバースト包絡線を有する超高速レーザパルスのバーストを供給する。バーストパルスレーザは、列中の各パルスが独立して制御された振幅を有するパルスの列を送り出すために高い繰返し率の超高速レーザを含む。群の中の各超高速パルスのそれぞれの振幅は「バースト包絡線」を規定する。バースト包絡線内の各超高速パルスの振幅を独立して制御することに加えて、このシステムは、各超高速パルス間の間隔、及び/又はバースト包絡線の全時間幅の選択的制御を行うこともできる。したがって、このシステムは、特定のレーザ処理用途のためにバースト包絡線の選択的整形を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザ微細加工に関する。特に、本開示は、超高速レーザパルスのバーストを使用するレーザシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体メモリアレイチップの製造が完了した後、チップの露出した表面上の集積回路(IC)パターンはパッシベーション材料の電気絶縁層で密封される。典型的なパッシベーション材料は樹脂又は例えばポリイミドなどの熱可塑性重合体を含む。この最終の「パッシベーション」層の目的は、チップの表面が周囲の湿気と化学的に反応しないようにすること、環境の微粒子から表面を保護すること、及び機械的応力を吸収することである。パッシベーションの後、チップは、メモリセルの精査及び機能試験を可能にする金属相互接続が埋め込まれた電子パッケージに取り付けられる。多くの冗長メモリセルのうちの一つが不良であると決定されると、そのセルをアレイ中の隣接セルに連結する導電性相互接続、すなわち導線、を切り離すことによりそのセルは動作不能にされる。「リンク処理」又は「リンクブローイング」による個々のメモリセルの動作不能化は、目標物に隣接する、それの下の、又はそれの上の材料に損傷を与えることなく、非常に局在化した領域のリンク材料を選択的に除去するようにレーザビームエネルギーを誘導することができるレーザ微細加工装置によって遂行される。指定されたリンクの選択的な処理は、レーザビーム波長、スポットサイズ、パルス繰返し率、パルス波形、又はエネルギー送出に影響を及ぼす他の空間的又は時間的ビームパラメータを変更することによって達成することができる。
【0003】
メモリアレイ又は他のタイプのICチップの導電性リンクの後処理を必要とするレーザ微細加工プロセスは、所望の品質、歩留り、及び信頼性を達成するために速い立ち上がり前縁部(例えば、1〜2ナノ秒の立ち上がり時間)をもつ鋭いパルスを使用する。リンクをきれいに切り離すために、レーザパルスは、上にあるパッシベーション層を貫通した後、金属相互接続を切断する。既存の固体レーザからの典型的なパルスの立ち上がり縁部はパルス幅とともに変化する。5〜20ナノ秒のパルス幅及び傾斜した次第に立ち上がる前縁部を有する従来のガウス形状レーザパルスをリンク処理で使用すると、特に、パッシベーション層の厚さが大きすぎるか又は不均一な場合、パッシベーション層に「オーバークレータ(over crater)」を引き起こす傾向がある。オーバークレータ生成は、ICチップの信頼性を低下させる。
【0004】
上にあるパッシベーション層の破壊挙動は、ユンロン・サン(Yunlong Sun)によって、「Laser processing optimization of semiconductor based devices」(オレゴン大学院大学、1997年)と題する博士論文で十分に分析されている。パッシベーション層の厚さは重要なパラメータであるので、特定のパッシベーション層材料の最適の厚さはサン(Sun)の分析に基づき、シミュレーションにより決定することができる。IC製作中にパッシベーション層のウェハレベルプロセス制御を維持するのは困難であるので、厚さが不適切になり、かつ、クロス-ウェハ(cross-wafer)厚さ均一性又はウェハ間厚さ均一性が不十分となることがある。したがって、後処理に使用されるレーザパルスの特性の最適化は、パッシベーション層の目標通りでない寸法及び変動原因を補償するのに役立つことができる。
【0005】
スマート(Smart)の米国特許第6,281,471号は実質的に矩形形状のレーザパルスのリンク処理への使用を提案している。そのような鋭い縁部のパルスは、主発振器レーザをファイバ増幅器(MOPA)に結合することによって生成することができる。この低パワー主発振器は、速い立ち上がり時間をもつ矩形形状パルスを生成することができるダイオードレーザを使用する。一方、本特許出願の譲受人に譲渡されている特許であるユンロン・サン(Yunlong Sun)等による米国特許第7,348,516号には、垂直な立ち上がり縁部にもかかわらず、実質的に矩形形状のレーザパルスは、リンク処理には最良のレーザパルス波形ではないことが述べられている。代わりに、サン(Sun)等は、一実施形態では、最も効果的にリンクを処理するための速い立ち上がりピーク又は多数のピークと、それに続いて、より低いパワーレベルで比較的平坦なままとなる信号強度の激減と、その後の遮断とをもつ椅子に類似している特別に適合させたレーザパルス波形の使用を説明している。高いピークパワーであるが低い平均パワーをもつそのような適合させたレーザパルスは、いわゆる、電気光学変調(EOM)又は音響光学変調(AOM)のいずれかによって実施することができるパルススライシング技術により首尾よく生成されている。例えば、従来のアクティブQスイッチ固体レーザは高強度で高パルスエネルギーのナノ秒シードパルスを供給し、次に、光ループスライスデバイスが標準レーザパルスを所望の適合されたパルス波形に変換する。
【0006】
本特許出願の譲受人に譲渡されている出願であるシャオイエン・ペン(Xiaoyuan Peng)等の米国特許出願第12/057,264号は、例えば、半導体リンク処理用の紫外線(UV)レーザシステムで実施される光ループスライシング方式を教示している。代替として、特別に適合させたレーザパルスは、パワー増幅器として利得ファイバを使用するMOPAによって生成することができる。MOPAを使用するのは、それは指定された一定周波数で安定した信号源を構成するという点で有利である。
【0007】
パスカル・デラドランタイエ(Pascal Deladurantaye)の米国特許出願第2006/0159138号は、二つの変調器が連続波(CW)光ビームを整形して様々な整形パルスを生成する整形パルスレーザを説明している。しかし、CW光ビームからパルスレーザを生成するのはかなり非効率であり、したがって、さらなる増幅を必要とする。そのような低いピークパワー信号は、パルス間不安定性を引き起こす雑音によって影響を受けることがあるので、二つの変調器は、好ましくは、パルス安定性及びエネルギー安定性を維持するように同期され、そのために、さらに複雑さ及びコストが追加される。
【0008】
上述のシステム及び方法は、一般に、ナノ秒範囲のパルス幅をもつレーザパルスを使用する。しかし、ナノ秒範囲のパルス幅をもつ1μm及び1.3μmレーザ波長は欠点を有する。例えば、高い導電性の金属リンクへのそのような赤外線(IR)レーザビームのエネルギー結合効率は比較的低い。さらに、リンクを切り離すためのIRレーザビームの事実上達成可能なスポットサイズは比較的大きく、リンク幅及びリンクピッチの限界寸法を制限する。ユンロン・サン(Yunlong Sun)による「Laser Processing Optimization for Semiconductor Based Devices」(未公開の博士論文、オレゴン科学技術大学院大学、1997年)によって詳細に説明されているように、ナノ秒パルス幅による従来のレーザリンク処理は、リンクの加熱、溶融、及び蒸発、並びに機械的応力増大を生成し、上にあるパッシベーション層を単一レーザパルスで爆発的に切り開くことに依拠することができる。そのような従来のリンク処理レーザパルスは大きい熱影響域(HAZ)を生成し、その熱影響域(HAZ)は、切り離されたリンクを含むデバイスの品質を劣化させることがある。例えば、リンクが比較的厚いか、又はリンク材料が反射しすぎて十分な量のレーザパルスエネルギーを吸収しない場合、リンクを切り離すのにレーザパルス当たりより多くのエネルギーを使用する。レーザパルスエネルギーが増加すると、上にあるパッシベーション層の不規則な又は大きすぎる開口、下にあるパッシベーション層中の亀裂、隣接のリンク構造への損傷、及びシリコン(Si)基板への損傷を含むICチップへの損傷リスクが増加する。しかし、リスクのない範囲内のレーザパルスエネルギーを厚いリンクに使用すると、多くの場合、リンクの切り離しが不完全になる。
【0009】
したがって、超高速レーザ(ピコ秒レーザ又はフェムト秒レーザのいずれか)を使用してICチップのリンクなどの半導体材料を処理する研究が行われている。しかし、単一の超高速パルスの高ピークパワーは下にあるSi基板を容易に損傷することがあり、それは多くの用途では受け入れがたい。超高速レーザによって引き起こされる高ピークパワー基板損傷の問題への一つの解決策は、より小さいピークパワーをもつ超高速パルスのバースト又は列(train)を使用することである。パルスの列は、さらに、より小さい効果的スポットサイズを材料中に生成する効果がある。超高速パルスの列を使用することによる問題は、パルスピッカを使用する多くの市販の超高速レーザはキロヘルツ範囲のパルス繰返し率を有することである。パルスピッカなしでは、モードロックレーザは、一般に数十メガヘルツ範囲である固定繰返し率で作動する。そのような繰返し率は、ステージ移動が一般に約400mm/sであり、その結果、レーザスポットが約500ナノ秒未満で目標のリンクから外れるので、リンクに適用するのが困難なことがある。したがって、パルスの列を適用するために使用されるレーザは、約100MHzから始まるパルス繰返し率を必要とすることがある。
【0010】
ボ・グ(Bo Gu)等の米国特許出願第2007/0199927号では、約10ピコ秒から約1ナノ秒未満の間の範囲のパルス持続時間を有する少なくとも一つのパルスをもつレーザが使用されている。ルメラ・レーザ・ゲーエムベーハー(Lumera Laser GmbH)からのアヒム・ネベル(Achim Nebel)等は、パルスのシーケンス又は群を生成するためにデジタルタイミング制御を使用するパッシブモードロックレーザを実証した。「Generation of Tailored Picosecond-Pulse-Trains for Micro-Machining」、Photonics West 2006、LASE Conference: Commercial and Biomedical Applications of Ultrafast Lasers VI Paper No. 6108〜37を参照されたい。アヒム・ネベル(Achim Nebel)等によって教示されたシステムは、半波のポッケルセルを通る電圧を駆動し、1サイクルに二つのHVパルスを生成する高電圧電気光学(EO)パルスピッカによって生成された「ダブルスイッチ」方式に基づく。パルスの群間の遅延時間は変更可能である。この特徴は、ある一定の柔軟性を材料処理に与える。しかし、パルスのバーストの包絡線は変更することができず、それは様々な微細加工用途でのシステムの使用を制限する。さらに、アヒム・ネベル(Achim Nebel)等によって提供された解決策は大きく、高価である。機械的及び熱的要件は、80MHzモードロックキャビティでは一般に1メートルを超える長いキャビティ長に起因してかなり高度である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施形態では、レーザシステムは、超高速レーザパルスの選択的に整形されたバーストにより、材料を処理するように構成される。このシステムは、選択的に整形されたバーストの包絡線によって規定された三つ以上のレーザパルスからなるバーストを放出するように構成されたバーストパルスレーザを含む。バーストパルスレーザは、バースト包絡線内の三つ以上のレーザパルス間の時間間隔と、バースト包絡線の時間幅とを選択的に調整するようにさらに構成される。このシステムは、さらに、バースト包絡線の所望の形状を得るように三つ以上のレーザパルスからなる群を増幅するように構成された一つ又は複数の増幅器を含む。いくつかの実施形態では、バーストパルスレーザは、レーザパルスの列を放出するように構成されたレーザ源と、レーザパルスの列を受け取る光変調器とを含む。光学変調器は、選択的に整形されたバースト包絡線によって規定された三つ以上のレーザパルスからなるバーストを生成するようにレーザパルスの列を振幅変調するように構成される。
【0012】
別の実施形態における、超高速レーザパルスを選択的に整形したバーストにより材料を処理する方法は、第1の繰返し率でレーザパルスの列を供給するステップと、選択的に整形されたバースト包絡線に基づいてレーザパルスの列を変調するステップと、バースト包絡線内の三つ以上のレーザパルス間の間隔を選択的に調整するステップとを含む。ここでの変調は、バースト包絡線内の三つ以上のレーザパルスを振幅調整することを含む。
【0013】
追加の態様及び利点は、添付図面を参照しながら進める好ましい実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一実施形態による、プログラマブルバーストパルスレーザを有するレーザシステムのブロック図である。
【図2】高速分布帰還ダイオードを含む一実施形態による超高速レーザ源のブロック図である。
【図3】一実施形態による、図1の超高速レーザ源として使用することができる典型的なファイバモードロック主発振器のブロック図である。
【図4】いくつかの実施形態に従って生成することができるバースト包絡線の例を図解で示す図である。
【図5】一実施形態による、整形されたバースト包絡線を生成するためにレーザシステムが使用可能なシードレーザのブロック図である。
【図6】一実施形態による、第1の超高速レーザ源の出力と第2の超高速レーザ源の出力とを選択的に組み合わせるシードレーザを用いるレーザシステムのブロック図である。
【図7】図7A、7B及び7Cは、いくつかの実施形態による、異なる前置増幅器(フェーズ1)及びパワー増幅器(フェーズ2)の構成を実装する各レーザシステムのブロック図である。
【図8】一実施形態による、波長変換用の高調波発生器を含むレーザシステムのブロック図である。
【図9】図9A、9B、9C及び9Dは、いくつかの実施形態による、レーザビームと加工物との相互作用の様々な例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
一実施形態によるレーザ処理システムは、時間プログラマブルバーストモードで超高速レーザパルスを生成する。バーストパルスレーザは、列中の各パルスが独立して制御された振幅を有するパルスの列を送り出すように構成された高い繰返し率の超高速レーザを含む。パルスの群又は「バースト」中の各超高速パルスのそれぞれの振幅は、パルス間の間隔とともに、「バースト包絡線」を規定する。バーストのパルス中の各超高速パルスの振幅を独立して制御することに加えて、このシステムは、各超高速パルス間の間隔、及び/又はバースト包絡線の全時間幅の選択的制御を行うこともできる。したがって、このシステムは、特定のレーザ処理用途のためにバースト包絡線の選択的整形を行う。パルスのグループ内の各超高速パルスはピコ秒範囲内、又はさらにフェムト秒範囲内の時間幅を有することができるので、このレーザシステムは、例えば、効率的で高品質な材料処理で使用することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、以下で詳細に説明するように、レーザシステムは、超高速レーザ源を有するシードレーザと、バースト包絡線を整形するための高速光変調器とを含む。レーザシステムは、そのシステムがレーザパルスの整形されたバーストを加工物表面に当てる前にそれを増幅するための一つ又は複数の増幅段をさらに含む。超高速レーザ源は、半導体レーザ、ファイバレーザ、又は固体レーザを含むことができる。いくつかの実施形態では、超高速レーザ源は直線偏光の狭帯域幅源とすることができる。したがって、このシステムは高調波発生を使用してより短い波長を供給する、及び/又はラマン及び光パラメトリック発生(OPO)を使用してより長い波長を供給することができる。プログラマブル形状は、例えば、パルスピッキング、高速変調、半導体利得スイッチ超高速レーザの場合のシード源電気変調、又は前述のものの組合せを使用することによって得ることができる。前置増幅器は、例えば、フォトニック結晶、大モード面積(LMA)利得ファイバ、又は単一モード利得ファイバを含むことができる。後置増幅器(パワー増幅器)は、例えば、固体利得媒体を含むことができる。以下で説明するように、いくつかの実施形態では、前置増幅器及び後置増幅器は、ファイバ増幅器又は固体増幅器の任意の組合せを含むことができる。本明細書で開示される実施形態は、多くの様々な用途における高品質材料処理のための多目的超高速レーザ源を提供する。
【0017】
次に、同様の参照番号が同様の要素を指す図面を参照する。明確にするために、参照番号の最初の桁は、対応する要素が最初に使用される図番を示す。以下の説明では、多数の特定の詳細が、本明細書で開示される実施形態の十分な理解のために提供される。しかし、当業者なら、本明細書で説明される実施形態は、特定の詳細の一つ又は複数がなしで、或いは他の方法、構成要素、又は材料で実施することができることを認識されよう。さらに、いくつかの場合には、よく知られている構造、材料、又は動作は、実施形態の態様を不明瞭にしないようにするために詳細には図示又は説明されない。さらに、説明される特徴、構造、又は特性は、一つ又は複数の実施形態において任意の好適な方法で組み合わせることができる。
【0018】
図1は、一実施形態によるレーザシステム100のブロック図である。レーザシステム100は、シードレーザ110、前置増幅器112、及びパワー増幅器114を含む。シードレーザ110は、超高速レーザ源116及び高速光変調器118を含む。超高速レーザ源116は、超高速レーザパルス120の列を高速光変調器118に供給する。一実施形態では、各超高速レーザパルス120の時間パルス幅は約300フェムト秒から約1ナノ秒の間の範囲にある。
【0019】
超高速レーザ源116は高い繰返し率で超高速レーザパルス120を供給する。一実施形態では、超高速レーザ源116は、約1Hzから約100kHzの間の範囲の繰返し率で動作する。他の実施形態では、繰返し率は約100kHzから約80MHzの間の範囲にある。当業者は、本明細書の開示から、非常に高い繰返し率を使用することもできることを認識されよう。例えば、いくつかの実施形態では、500MHz以上もの高い繰返し率を使用することができる。別の実施形態では、繰返し率は約10GHz以上もの高さとすることができる。
【0020】
一実施形態では、超高速レーザ源116は高速の超高速半導体ダイオードを含む。例えば、図2は、高速分布帰還(DFB)ダイオード210を含む一実施形態による超高速レーザ源116のブロック図である。DFBダイオード210は、高速ドライバ214で生成されたシードパルス信号212によって変調されて、高い繰返し率で超高速レーザパルス120の列を供給する。いくつかの実施形態では、レーザ源116は光変調器を含む。例えば、レーザ源116は、50ピコ秒パルス幅を与えることができる20GHz帯域幅変調器を含むことができる。当業者は、本明細書の開示から、光変調器が20GHzを超えて又はそれ未満で動作することができることを認識されよう。例えば、一実施形態では、光変調器は約40GHzまでの帯域幅で動作することができる。
【0021】
レーザ源116としてDFBダイオード210を使用すると、コンパクトで非常に堅牢なセットアップで広い同調性、狭い線幅、及び高い出力パワーが提供される。例えば、DFBダイオード210内の周波数選択要素(図示せず)、例えばブラッグ回折格子などが半導体の活性区間に集積化される。したがって、単一周波数動作及び高いコヒーレンス(例えば、約50mから約200mの間の範囲のコヒーレンス長)がバルク光学系なしで得られ、それにより、DFBダイオード210は厳しい産業環境内での使用又は航空機搭載用途で特に好適となる。
【0022】
図2に示されたDFBダイオード210は、温度(例えば、一般に、約25GHz/Kの同調率で)又は動作電流(例えば、一般に、約1GHz/mAから約2GHz/mAの同調率で)のいずれかを変化させることによるいくつかの実施形態によって同調させることができる。電流同調が急速な変調作業では好都合であるが、熱的同調は、モードホップのない極端に大きい同調範囲(例えば、約1200GHzまで)を提供するという利点を有する。一般に、DFBレーザの波長はレーザ電流又はチップ温度を変化させることによって同調される。電気的変調は、小さい範囲内の速い周波数走査に(例えば、kHzからMHzの範囲の変調周波数で、約0.1nmから約0.2nmの間の範囲の線幅に対して)好適である。約3nmまでの大きい同調範囲が、一般に約40℃の区間にわたってレーザ温度を変化させることによって実現される。
【0023】
例として、DFBダイオード210は、ドイツ、ミュンヘンのトプティカ・フォトニクス・アーゲー(Toptica Photonics, AG)から入手できる、分極保持(PM: Polarization Maintaining)ファイバカプラ(図示せず)を備えたDFBダイオードとすることができる。別の例として、ダイオード210は、ドイツ、ベルリンのピコクワント・ゲーエムベーハー(PicoQuant GmbH)によって実証されたような50ピコ秒パルス幅を供給する直接変調源をもつ超高速利得スイッチダイオードを含むことができる。
【0024】
図1に戻ると、他の実施形態では、超高速レーザ源116は、固体超高速レーザ、パッシブモードロックファイバ主発振器、マルチファイバ主発振器の組合せ、パッシブモードロック半導体レーザ、又は任意の他の高い繰返し率の超高速レーザを含むことができる。例えば、図3は、一実施形態による図1の超高速レーザ源116として使用することができる典型的なファイバモードロック主発振器のブロック図である。図3に示された例では、ファイバモードロック主発振器は、一端では半導体過飽和吸収ミラー(SESAM)312により、他端ではファイバ回折格子314などの波長選択器により終端されたレーザ共振器を形成する単一モード利得ファイバ(SMF)310を含む。利得ファイバ310は、例えばレーザダイオード(図示せず)によってポンピングされ、レーザダイオードの出力は波長分割多重化装置(WDM)316を通して共振器に導入される。動作中、図3に示されたファイバモードロック主発振器は、上述のように、高い繰返し率で超高速レーザパルス120の列を生成する。ファイバモードロック主発振器のパルス繰返し率は共振器の長さによって決定される。
【0025】
図1に示されたように、超高速レーザパルス120の列は高速光変調器118に供給され、高速光変調器118は、特定の材料処理用途のために所望のバースト包絡線形状を得るように各パルスの振幅を独立して調整する。高速光変調器118は、包絡線下の超高速パルスの時間間隔、バースト包絡線の時間幅、及び/又はバースト包絡線の振幅及び特定の形状を制御するようにプログラムすることができる。プログラマブルバースト包絡線は、例えば、パルスピッキング(例えば、パルス間の隔たり又はパルス繰返し周波数を制御するようにパルスを選択すること)、高速変調、半導体利得スイッチ超高速レーザの場合のシード源電気変調、又は前述のものの組合せを使用することによって得ることができる。一実施形態では、高速光変調器118は、所望のバースト包絡線を得るために超高速レーザパルスの列のパワーを変調するマッハ-ツェンダ干渉計(図示せず)を含む。
【0026】
一実施形態によるバースト包絡線の時間幅は約10ピコ秒から約1ナノ秒の間の範囲にある。他の実施形態では、バースト包絡線の時間幅は約1ナノ秒から約10ナノ秒の間の範囲にある。他の実施形態では、バースト包絡線の時間幅は約10ナノ秒から約100ナノ秒の間の範囲にある。他の実施形態では、バースト包絡線の時間幅は約100ナノ秒から約1マイクロ秒の間の範囲にある。バースト包絡線は、特定の用途に応じて他の時間幅を有することができる。
【0027】
一実施形態では、バースト包絡線の立ち上がり時間及び/又は立ち下がり時間は1ナノ秒未満である。例えば、立ち上がり時間及び/又は立ち下がり時間は約10ピコ秒から約1ナノ秒の間の範囲とすることができる。より速い又はより遅い立ち上がり時間/立ち下がり時間を異なる用途では使用することもできる。例えば、立ち上がり時間及び/又は立ち下がり時間は約1ナノ秒から約5ナノ秒の間の範囲とすることができる。速い立ち上がり時間及び/又は立ち下がり時間をもつバースト包絡線を供給するレーザシステムの能力は、例えば、上にあるパッシベーション層中にオーバークレータを生成するリスクを減少させるのでリンクを切り離す用途には有用である。
【0028】
前置増幅器112及びパワー増幅器114は、高速光変調器118の出力部に現れる超高速レーザパルスの整形されたバーストに適切な増幅を行う。いくつかの実施形態による前置増幅器112はフォトニック結晶、LMA利得ファイバ、又は単一モード利得ファイバを含むことができる。さらに、又は他の実施形態では、パワー増幅器114は固体利得媒体を含む。以下で説明するように、いくつかの実施形態では、前置増幅器112及びパワー増幅器114はファイバ増幅器又は固体増幅器の任意の組合せを含むことができる。
【0029】
図4は、いくつかの実施形態に従って生成することができる例示のバースト包絡線を図解で示す。図4は10個の異なるバースト包絡線形状(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、及び(j)を示しているが、図示の形状は例としてのみ提供されており、任意の数の異なるバースト包絡線形状が本明細書で開示されるシステム及び方法によって生成され得ることが当業者なら認識されよう。さらに、上述のように、選択された包絡線形状は特定の材料処理用途に基づくことができる。
【0030】
例えば、本特許出願の譲受人に譲渡されている特許であるユンロン・サン(Yunlong Sun)等による米国特許第7,348,516号には、一実施形態では、最も効果的にリンクを処理するための速い立ち上がりピーク又は多数のピークと、それに続いて、より低いパワーレベルで比較的平坦なままとなる信号強度の激減と、その後の遮断とをもつ椅子に類似している特別に適合させたレーザパルス波形の使用が説明されている。そのような椅子形状のパルスは、図4に示されたバースト包絡線形状(h)に対応する。他の材料処理用途では、材料を連続して加熱し、材料の一部を除去して切り溝を生成し、その切り溝を空にするために、例えば、図4のバースト包絡線形状(c)、(d)、及び(e)に示されるような多数のピークを使用することができる。高速光変調器118に組み合わされた超高速レーザ源116は、微細構造をもつ包絡線中に超高速パルスを含む様々なパルス波形を供給することができるので、多くの異なる用途のための多くの他のバースト包絡線形状が、本明細書の実施形態に基づいて当業者には思い浮かぶであろう。
【0031】
図5は、一実施形態による、整形されたバースト包絡線を生成するためにレーザシステム100により使用され得るシードレーザ110のブロック図である。図5に示されたシードレーザ110は、超高速レーザ源116、パルスピッカ510、及びパルス整形器512を含む。この実施形態の超高速レーザ源116は、図3に関連して上述したように、SMF310、SESAM312、ファイバ回折格子314、及びWDM316を含むファイバモードロック主発振器である。
【0032】
パルスピッカ510は、例えば、超高速パルス120の列の繰返し率を変更するように構成される音響光学(AO)変調器又は電気光学(EO)変調器を含むことができる。上述のように、主モードロック周波数は、所与の発振器用に固定されている共振器の長さによって決定される。例えば、モードロック周波数は約1GHzとすることができ、その周波数はいくつかの材料の処理には理想的でないことがある。したがって、パルスピッカ510は、図5において超高速レーザパルス514の列によって示されるように、繰返し率を低下させるように(例えば、約1GHzから約500MHzまで、又は数ヘルツのように非常に低い率まで繰返し率を変更するように)、ファイバモードロック主発振器によって供給されたパルスを、選択した率で通過させる。別の例として、熱放散を可能にするために、バースト中の二つの超高速レーザパルス間に追加の時間遅延を加えることができる。したがって、パルスピッカ510を使用して、超高速レーザパルス間の間隔を選択的に変更し、材料処理の間の加熱を制御することができる。
【0033】
パルス整形器512は、例えば超高速レーザパルス514の列中の各パルスに振幅変調を選択的に行うように構成されたEO変調器を含むことができる。したがって、パルス整形器512は、図5に示されるように、バースト包絡線516を選択的に整形する。図1に関連して説明したように、次に、レーザパルスの整形されたバーストは、加工物に当てられる前に、前置増幅器112及びパワー増幅器114に供給することができる。
【0034】
二つ以上の超高速レーザ源を選択的に組み合わせることにより、繰返し率を増加させ、さらに制御することができる。例えば、図6は、一実施形態による、第1の超高速レーザ源610の出力と第2の超高速レーザ源612の出力とを選択的に組み合わせるシードレーザ110を用いるレーザシステム100のブロック図である。出力を組み合わせることにより、例えば、高速光変調器118に供給される超高速レーザパルス120の列の総繰返し率を増加させることができる。
【0035】
第1の超高速レーザ源610及び第2の超高速レーザ源612は、本明細書で説明される又はさもなければ当技術分野で知られている例示の超高速レーザ源の実施形態のいずれかをそれぞれ含むことができる。一実施形態では、第1のパルスピッカ614を使用して第1の超高速レーザ源610の繰返し率を選択的に低減することができ、第2のパルスピッカ616を使用して第2の超高速レーザ源612の繰返し率を選択的に低減することができる。シードレーザ110は、それぞれの繰返し率を選択的に制御するために第1のパルスピッカ614及び第2のパルスピッカ616と通信する制御器618を含むこともできる。したがって、制御器618は、超高速レーザパルス120の列の総繰返し率、並びに超高速レーザパルス120の列内の任意の二つのパルス間の時間間隔を制御する。上述のように、次に、超高速レーザパルスの列は、バースト包絡線整形のための高速光変調器118、前置増幅器112、及びパワー増幅器114に供給される。
【0036】
図7A、7B及び7Cは、いくつかの実施形態による、前置増幅器112(フェーズ1)及びパワー増幅器114(フェーズ2)の異なる構成を実装するそれぞれのレーザシステム100のブロック図である。図7A、7B及び7Cに示された例示の実施形態は、各々選択的に整形されたバースト包絡線を与えるために図1に関連して上述したようなシードレーザ110を含む。図7Aでは、前置増幅器112及びパワー増幅器114は、各々一つ又は複数の利得ファイバ増幅器を含む。図7Bでは、前置増幅器112及びパワー増幅器114は、各々一つ又は複数の固体増幅器を含む。図7Cでは、前置増幅器112が一つ又は複数の利得ファイバ増幅器を含み、パワー増幅器114が一つ又は複数の固体増幅器を含むハイブリッド増幅器が使用される。図示されていないが、他の実施形態では、図7Cに示されたハイブリッド増幅器は、前置増幅器112が固体増幅器を含み、パワー増幅器114が利得ファイバ増幅器を含むように反対にすることができる。他の実施形態では、前置増幅器112及び/又はパワー増幅器114は、利得ファイバ増幅器及び固体増幅器の組合せを含むことができる。利得ファイバ増幅器の各々は、例えば、イッテルビウム(Yb)、エルビウム(Er)、又はネオジム(Nd)ガラスを含むことができる。二つの増幅段だけが各実施形態では示されているが、いくつかの実施形態によれば、少なくとも1kWのピークパワー出力を生成するように増幅段を付け加えることができる。ハイブリッド又は「タンデム」構成は、バルク固体増幅器を含んでいるので、1kWを超えるピークパワーレベルでより頑強である。
【0037】
図8は、一実施形態による、波長変換用の高調波発生器810を含むレーザシステム100のブロック図である。レーザシステム100は、図1に関連して上述したような超高速レーザ源116を有するシードレーザ110を含む。超高速レーザ源116は直線偏光の狭帯域幅源とすることができる。例えば、超高速レーザ源116は約1nm未満である帯域幅を有することができ、増幅器112、114は、高調波発生によって短波長に又はラマン若しくはOPOによって長波長に非線形変換するのに好適である偏波を保持するように構成することができる。したがって、高調波発生器810を使用して、緑色、紫外線(UV)、又は遠紫外線(DUV)などの波長範囲を得ることができる。
【0038】
デバイス基板に損傷を引き起こすことなく、これらの層のうちの一つ又は複数を処理することが望まれる場合、本明細書で開示される実施形態は、例えば、多層半導体デバイスの処理を含む材料のレーザ処理にいくつかの特有の利点を提供する。従来のナノ秒レーザパルスは、結果的に生じる熱の影響域が大きく、隣接し且つ下にある構造体を損傷することがあるので層状半導体デバイスのサブミクロンサイズの特徴部(features)を処理するのに適さないことがある。従来のピコ秒レーザは、さらに、所要の大きいピークパワーが、下にある基板をかなり加熱することがあるので、半導体層を処理するのに適さないことがある。したがって、本明細書で開示されるバーストパルスレーザ110は、ナノ秒及びピコ秒パルスタイプの両方の有用な特徴を組み合わせている。
【0039】
本明細書で開示される実施形態の利点のうちのいくつかの実例として、図9A、9B、9C及び9Dは、レーザビーム910と加工物912との相互作用の様々な例を示す。以下で説明するように、図示の例は、バーストパルスによれば、パルスピークパワー、熱影響域、及び隣接し且つ下にある構造体の加熱の制御に対する柔軟性が最大になり得ることを示している。材料中の熱プロファイルは、選択的に整形されたバースト包絡線を使用して、より効果的に制御することができる。
【0040】
図9Aは、レーザビーム910と加工物912との相互作用を概略的に示し、加工物912は、この例では、シリコン(Si)基板918の上に形成された二酸化ケイ素(SiO2)層916内に各々配置された中央の金属線914と二つの外側の金属線915とを含む。この例では、レーザビーム910は約1064nmの波長を有し、金属線914、915は各々約300nm厚であり、線間の隔たり(ピッチ)は約1ミクロンであり、レーザスポットサイズは約2.4ミクロンである(レーザスポットサイズは隣接する線915上にわずかに重なる)。
【0041】
この例では、最初のパルス又はパルスのバーストは、中央の金属線914の一部とともに中央の金属線914の上にあるSiO2材料916を除去するように意図される。この例には示されていないが、後続のパルス又はパルスのバーストは、中央の金属線914の残りの部分を除去することができることが理解できる。これは、好ましくは、外側の金属線915を囲むSiO2材料916、外側の金属線915それ自体、又はSi基板918を損傷することなしに遂行される。
【0042】
図9B、9C及び9Dは、各々線914、915の幅に沿って得られた加工物912の2次元断面として示されたそれぞれのシミュレーション出力を示す。図示のシミュレーション出力は、加工物912内の明るい領域として示される熱影響域を含み、より強い加熱は対応してより明るい色調で示される。図示のシミュレーションは、さらに、中央の金属線914の上の完全に白い領域を出力し、対応する材料がこの場所から除去されたことを示している。
【0043】
図9Bでは、図示のシミュレーション出力は、従来の15ピコ秒のパルス幅を有する単一のレーザパルスを加工物912に与えた結果である。図示のように、15ピコ秒の従来のパルスは、線914、915の近くに比較的小さい熱影響域を生成し、中央の線914の上部部分だけを加熱している。しかし、単一の15ピコ秒パルスでの大きいピークパワーは、熱影響域922で示されるように、下にあるSi基板918にかなりの量の加熱をもたらす。さらに、熱影響域923によって示されるように、レーザビーム910の縁部に曝されることにより、隣接する線915にかなりの加熱が生じる。
【0044】
図9Cでは、図示のシミュレーション出力は、従来の25ナノ秒のパルス幅を有する単一のレーザパルスを加工物912に与えた結果である。図示のように、25ナノ秒のパルスは、非常に大きい熱影響域924(隣接する金属線915に延びる)を生成する。
【0045】
図9Dでは、図示のシミュレーション出力は、本明細書で開示された実施形態に従ってパルスのバーストを加工物に与えた結果である。図示のように、パルスのバーストを与えることにより、最も望ましい結果が得られている。中央の線914は、Si基板918に顕著な加熱なしに小さい熱影響域926で処理される。さらに、レーザビーム910の縁部に曝されることによる隣接する線915への加熱は、図9Bに示された従来の15ピコ秒パルスを使用することに起因する加熱よりもかなり少ない。
【0046】
本発明の根本原理から逸脱することなく、上述の実施形態の詳細に多くの変更を加えることができることが当業者には理解されよう。したがって、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によってのみ決定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超高速レーザパルスの選択的に整形されたバーストで材料を処理するためのレーザシステムであって、
選択的に整形されたバースト包絡線によって規定された三つ以上のレーザパルスからなるバーストを放出するように構成されたバーストパルスレーザであり、前記バースト包絡線内の前記三つ以上のレーザパルス間の時間間隔と、前記バースト包絡線の時間幅とを選択的に調整するようにさらに構成された、バーストパルスレーザと、
前記バースト包絡線の所望の形状を得るように前記三つ以上のレーザパルスからなる群を増幅するように構成された一つ又は複数の増幅器と
を含み、
前記バーストパルスレーザが、
第1の繰返し率でレーザパルスの列を放出するように構成された第1のレーザ源と、
前記レーザパルスの列を受け取る光変調器であり、選択的に整形された前記バースト包絡線によって規定された三つ以上のレーザパルスからなる前記バーストを生成するように前記レーザパルスの列を振幅変調するように構成された、光変調器とを含む、レーザシステム。
【請求項2】
前記第1のレーザ源が超高速レーザ源を含み、前記第1のレーザ源によって放出された前記レーザパルスの列中の各パルスが約300フェムト秒から約1ナノ秒の間の範囲の時間パルス幅を含む、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項3】
前記バーストパルスレーザが、約1ナノ秒から約1マイクロ秒の間の範囲内で、前記バースト包絡線の前記時間幅を選択的に調整するようにさらに構成される、請求項2に記載のレーザシステム。
【請求項4】
前記選択的に整形されたバースト包絡線が約10ピコ秒から約1ナノ秒の間の範囲の立ち上がり時間を含む、請求項2に記載のレーザシステム。
【請求項5】
前記第1の繰返し率が1Hzから約100kHzの間の範囲にある、請求項2に記載のレーザシステム。
【請求項6】
前記第1の繰返し率が約100kHzから約10GHzの間の範囲にある、請求項2に記載のレーザシステム。
【請求項7】
前記超高速レーザ源が分布帰還ダイオードを含む、請求項2に記載のレーザシステム。
【請求項8】
前記超高速レーザ源が、一端では半導体過飽和吸収ミラー(SESAM)により、他端では波長選択器により終端されたレーザ共振器を形成する単一モードファイバを含むファイバモードロック主発振器を含む、請求項2に記載のレーザシステム。
【請求項9】
前記バーストパルスレーザが、前記バースト包絡線内で前記三つ以上のレーザパルス間に前記選択的に調整可能な時間パルス間隔を与えるように構成されたパルスピッカをさらに含む、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項10】
前記パルスピッカが、音響光学デバイス及び電気光学デバイスを含む群から選択される、請求項9に記載のレーザシステム。
【請求項11】
前記光変調器が電気光学変調器を含む、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項12】
前記光変調器がマッハ-ツェンダ干渉計を含む、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項13】
前記バーストパルスレーザが、前記第1のレーザ源によって放出された前記レーザパルスの列を、前記第1のパルス繰返し率から第2のパルス繰返し率に選択的に変更するように構成された第1のパルスピッカをさらに含む、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項14】
前記バーストパルスレーザが、
第3の繰返し率でレーザパルスの列を放出するように構成された第2のレーザ源と、
前記第2のレーザ源によって放出された前記レーザパルスの列を、前記第3のパルス繰返し率から第4のパルス繰返し率に選択的に変更するように構成された第2のパルスピッカと、
前記第2のパルス繰返し率で前記第1のパルスピッカによって供給された前記レーザパルスの列を、前記第4のパルス繰返し率で前記第2のパルスピッカによって供給された前記レーザパルスの列と結合し、結合された第5のパルス繰返し率の前記結合されたレーザパルスの列を前記光変調器に供給するように構成されたビーム結合器と、
前記第1のパルスピッカ及び前記第2のパルスピッカと通信する制御器であり、前記第1のパルスピッカを前第2のパルスピッカと同期させ、それによって、前記バースト包絡線内で前記三つ以上のレーザパルス間の時間間隔を選択的に調整するように構成され、前記第2のパルス繰返し率及び前記第4のパルス繰返し率を選択する、制御器と
をさらに含む、請求項13に記載のレーザシステム。
【請求項15】
前記一つ又は複数の増幅器が、
利得ファイバ増幅器及び固体増幅器を含む群から選択された一つ又は複数の前置増幅器と、
前記一つ又は複数の前置増幅器の出力をさらに増幅するように構成された一つ又は複数のパワー増幅器であり、利得ファイバ増幅器及び固体増幅器を含む群から選択された、一つ又は複数のパワー増幅器と
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記バースト包絡線内で前記パルスの波長変換を行うために高調波発生器をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
超高速レーザパルスの選択的に整形されたバーストで材料を処理する方法であって、
第1の繰返し率でレーザパルスの列を供給するステップと、
選択的に整形されたバースト包絡線に基づいて前記レーザパルスの列を変調するステップであり、前記変調が、前記バースト包絡線内の三つ以上のレーザパルスを振幅調整することを含む、ステップと、
前記バースト包絡線内で前記三つ以上のレーザパルス間の前記間隔を選択的に調整するステップと
を含む方法。
【請求項18】
変調するステップが、前記バースト包絡線の時間幅を選択的に調整するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記レーザパルスの列を、前記第1の繰返し率から第2の繰返し率に選択的に変更するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記バースト包絡線内の前記パルスの波長を、異なる波長に変換するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−515450(P2012−515450A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546284(P2011−546284)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/020364
【国際公開番号】WO2010/083091
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(593141632)エレクトロ サイエンティフィック インダストリーズ インコーポレーテッド (161)
【Fターム(参考)】