説明

患者特異的な寛骨臼カップ配置用ガイド

患者の寛骨臼の選択表面と位置が合う少なくとも1つの表面を有する患者特異的テンプレート;ならびに術前に計画された方向、または位置および方向に従って、寛骨臼カップの方向、または位置および方向を提供するガイド部を具備する、寛骨臼カップ置換手術の際に術中使用するための、術前に設計されるガイダンスツールが提供される。ガイダンスツールは、患者の解剖学的構造の選択表面と位置が合う少なくとも1つの係合表面を含みかつガイド部と協動する検証ツールをさらに具備していてもよく、患者の解剖学的構造上に検証ツールを正しく位置決めすることにより、患者の寛骨臼内の患者特異的テンプレートの方向が正しいことが確認される。寛骨臼カップ置換手術の方法、ならびに、術前に計画された寛骨臼カップの方向、または位置および方向を寛骨臼カップ置換手術の際に患者に移すための方法についても、本明細書において説明する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、参照によりその内容が全て本明細書に組み入れられる、2009年11月17日に提出された米国特許仮出願第61/262,073号の提出日の恩典を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、外科手技において球窩関節の補綴カップを配置するための器具および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
股関節置換術または股関節表面再建術の際にカップコンポーネントを正しく配置することは、手術の長期的成功に重要な役割を果たす。カップの位置決めが最適でないと、術後の股関節可動域が制限され、大腿骨コンポーネントの脱臼リスクが大幅に上昇する可能性もある。
【0004】
画像ガイド式および無画像式のさまざまなコンピュータ支援システムが提唱されている。そのようなシステムはすべて、手術室に追跡器具を設置すること、ならびに、寛骨臼および器械にセンサーを取り付けることを基礎としている。さらに、計画されたカップ位置に対する器械の位置を表示するコンピュータシステムが手術室に設置される。
【0005】
そのような従来の手技の際、外科医は、寛骨臼を整えるため、および、カップコンポーネントをその最終位置に嵌入するため、アクセス可能な解剖学的目印とアライメントさせることによって器械の方向を定める。この手技の際に外科医が有する視覚的アクセスは、解剖学的構造の非常に限られた部分だけであり、これは、骨盤の全体的なアライメントを表さない。このことはカップコンポーネントのアライメント不良をもたらしうる。提唱されているコンピュータ支援ソリューションは、術前および術中の骨盤全体の3-D画像モダリティを用いてカップコンポーネントの位置決めを計画することにより、この問題を軽減する。この計画を患者の解剖学的構造に移すため、局所的にアクセス可能な解剖学的構造を用いて、解剖学的構造と計画との位置合わせが行われる。一方で、解剖学的構造と器械との相対的な動きを追跡するため、解剖学的構造および器械にセンサーを侵襲的に固定すること、ならびに、高価な追跡技術を手術室に設置することが必要である。取り付けられたセンサーは、多くの場合、見通し線の問題を生じやすく、このことは手技の複雑性を高める。さらに、位置合わせの手順は時間がかかることが多い。
【発明の概要】
【0006】
寛骨臼内におけるガイドピンの配置をガイドする第一のガイド機構;寛骨臼の外側における1つまたは複数のピンの配置をガイドする、ガイドピンと協動するよう適合した第二のガイド機構;ならびに寛骨臼のリーミングおよび寛骨臼カップ補綴物の配置のうち少なくとも一方をガイドする、寛骨臼の外側における1つまたは複数のピンと協動するよう適合した第三のガイド機構を具備する、寛骨臼カップ置換手術の際に術中使用するための、術前に設計されるガイダンスツールについて、本明細書において説明する。
【0007】
第一のガイド機構は、患者の寛骨臼の選択表面と位置が合う患者特異的テンプレートを含んでいてもよい。第一のガイド機構は、患者の解剖学的構造の選択表面と位置が合う係合表面を有し、かつ患者特異的テンプレートと協動するよう適合した、検証ツールを含んでいてもよい。
【0008】
術前に画定された場所および方向に従って寛骨臼内にガイドピンを配置する段階と;ガイドピンを用いて寛骨臼の外側における1つまたは複数のピンの位置および方向を位置出しする段階と;寛骨臼の外側における1つまたは複数のピンを用いて、寛骨臼のリーミングおよび寛骨臼カップ補綴物の配置のうち少なくとも一方をガイドする段階とを含む、寛骨臼カップの配置のための方法についても、本明細書において説明する。
【0009】
寛骨臼内にガイドピンを配置する段階は、患者の寛骨臼の選択表面と位置が合う患者特異的テンプレートを用いる段階を含んでいてもよい。寛骨臼内にガイドピンを配置する段階は、患者の解剖学的構造の選択表面と位置合わせするための係合表面を有し、かつ患者特異的テンプレートと協動するよう適合した、検証ツールを用いる段階を含んでいてもよい。
【0010】
患者の寛骨臼の選択表面と位置が合う少なくとも1つの表面を有する患者特異的テンプレート;ならびに術前に計画された方向、または位置および方向に従って、寛骨臼カップの方向、または位置および方向を提供するガイド部を具備する、寛骨臼カップ置換手術の際に術中使用するための、術前に設計されるガイダンスツールについても、本明細書において説明する。
【0011】
ガイダンスツールは、患者の解剖学的構造の選択表面と位置が合う少なくとも1つの係合表面を含みかつガイド部と協動する検証ツールをさらに具備していてもよい;患者の解剖学的構造上に検証ツールを正しく位置決めすることにより患者の寛骨臼内における患者特異的テンプレートの方向が正しいことが確認される。
【0012】
ガイダンスツールは、ガイド部と協動するよう適合した外部ピン配置ガイドであって、寛骨臼の外部における1つまたは複数のガイドピンの配置をガイドする外部ピン配置ガイドをさらに具備していてもよい。
【0013】
ガイダンスツールは、寛骨臼内に配置された中央ガイドピンと協動するよう適合した外部ピン配置ガイドであって、寛骨臼の外側における1つまたは複数のガイドピンの配置をガイドする外部ピン配置ガイドをさらに具備していてもよい;寛骨臼内の中央ガイドピンの位置および/または方向は、寛骨臼内のガイド部の位置および/または方向によって定められる。
【0014】
ガイダンスツールは、中央ガイドピンと協動するよう適合した外部ピン配置ガイドであって、寛骨臼の外部における1つまたは複数のガイドピンの配置をガイドする外部ピン配置ガイドをさらに具備していてもよい。
【0015】
ガイダンスツールは、寛骨臼の外部における1つまたは複数のガイドピンの方向に従って寛骨臼内の手術用ツールの方向をガイドするよう適合した手段をさらに具備していてもよい。寛骨臼内の手術用ツールの方向をガイドするよう適合した手段は、寛骨臼の外部の1つまたは複数のガイドピンと協動する第一の部分と、手術用ツールと協動する第二の部分とを具備していてもよい;第一および第二の部分の係合表面を合わせることによって手術用ツールの方向がガイドされるように第一の部分および第二の部分の各々は係合表面を含む。
【0016】
ガイダンスツールは、ガイド部および手術用ツールと別々に協動するよう適合した重力感知コンポーネントをさらに具備していてもよい;手術用ツールと協動しているときにガイド部の方向に従って重力感知コンポーネントをキャリブレーションすることによって手術用ツールの方向がガイドされる。
【0017】
ガイダンスツールは、ガイド部、寛骨臼の外部の1つまたは複数のガイドピン、および手術用ツールと別々に協動するよう適合した重力感知コンポーネントをさらに具備していてもよい;手術用ツールと協動しているときにガイド部および/または寛骨臼の外部の1つもしくは複数のガイドピンの方向に従って重力感知コンポーネントをキャリブレーションすることによって手術用ツールの方向がガイドされる。
【0018】
ガイダンスツールは、ガイド部、中央ガイドピン、寛骨臼の外部の1つまたは複数のガイドピン、および手術用ツールと別々に協動するよう適合した重力感知コンポーネントをさらに具備していてもよい;手術用ツールと協動しているときにガイド部、中央ガイドピン、および/または寛骨臼の外部の1つもしくは複数のガイドピンの方向に従って重力感知コンポーネントをキャリブレーションすることによって手術用ツールの方向がガイドされる。
【0019】
重力感知コンポーネントは、電子式重力感知コンポーネントまたはアナログ式重力感知コンポーネントであってもよい。
【0020】
(i)患者の寛骨臼の選択表面と位置が合う少なくとも1つの表面を有する患者特異的テンプレート、ならびに(ii)術前に計画された寛骨臼カップの方向、または位置および方向を提供するガイド部を具備する術前に設計されたガイダンスツールを、寛骨臼内に配置する段階;ならびに、術前に計画された方向、または位置および方向に従って寛骨臼カップを配置するため、ガイド部を用いて手術用ツールの方向を定める段階を含む、術前に計画された寛骨臼カップの方向、または位置および方向を寛骨臼カップ置換手術の際に患者に移すための方法についても、本明細書において説明する。
【0021】
(i)患者の寛骨臼の選択表面と位置が合う少なくとも1つの表面を有する患者特異的テンプレート、ならびに(ii)術前に計画された寛骨臼カップの方向、または位置および方向を提供するガイド部を具備する術前に設計されたガイダンスツールを、寛骨臼内に配置する段階;ならびに、術前に計画された方向、または位置および方向に従って寛骨臼カップを配置するため、ガイド部を用いて手術用ツールの方向を定める段階を含む、寛骨臼カップ置換手術の方法についても、本明細書において説明する。
【0022】
本発明の方法は、ガイド部を用いて手術用ツールの方向を定める段階の前に、患者の寛骨臼上の患者特異的テンプレートの位置決めが正しいことを検証する段階をさらに含んでいてもよい。
【0023】
本発明の方法は、ガイド部を用いて寛骨臼の外部における1つまたは複数のガイドピンの方向を決定する段階をさらに含んでいてもよい。
【0024】
本発明の方法は、ガイド部を用いて寛骨臼内に中央ガイドピンを配置する段階をさらに含んでいてもよい;中央ピンの方向は、ガイド部の方向に対応する。
【0025】
本発明の方法は、中央ガイドピンを用いて寛骨臼の外部における1つまたは複数のガイドピンの方向を決定する段階をさらに含んでいてもよい。
【0026】
本発明の方法は、寛骨臼の外部の1つまたは複数のガイドピンを用いて寛骨臼内の手術用ツールの方向をガイドする段階をさらに含んでいてもよい。
【0027】
本発明の方法は、ガイド部または寛骨臼内の中央ガイドピンの方向に従って重力感知コンポーネントをキャリブレーションする段階;および、キャリブレーションされた重力感知コンポーネントを用いて手術用ツールの方向をガイドする段階をさらに含んでいてもよい。
【0028】
本発明の方法は、ガイド部および/または寛骨臼の外部における1つもしくは複数のガイドピンの方向に従って重力感知コンポーネントをキャリブレーションする段階;および、キャリブレーションされた重力感知コンポーネントを用いて手術用ツールの方向をガイドする段階をさらに含んでいてもよい。
【0029】
本発明の方法は、電子式重力感知コンポーネントまたはアナログ式重力感知コンポーネントを用いる段階を含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明のよりよい理解のため、および、本発明がどのように実施されうるかをより明確に示すため、添付の図面を参照しながら実施例により本発明の態様を説明する。図面は以下のとおりである。
【0031】
【図1a】本明細書において説明する態様に基づく、寛骨臼内に位置決めされた患者特異的手術用ツールの、ガイド部を備えるテンプレート、および検証ツールを示した図である。
【図1b】本明細書において説明する態様に基づく、寛骨臼内に位置決めされた患者特異的手術用ツールの、ガイド部を備えるテンプレート、および検証ツールを示した図である。
【図1c】本発明の態様に基づく、ガイド部を備えるテンプレート、および検証ツールの分解図である。
【図1d】本明細書において説明する別の態様に基づく、寛骨臼内に位置決めされた患者特異的手術用ツールの、ガイド部を備えるテンプレート、および検証ツールを示した図である。
【図1e】本発明の態様に基づく、ガイド部を備えるテンプレートを示した図である。
【図2】本明細書において説明する態様に基づく、テンプレートおよびガイド部を、ガイド部に挿入された中央ピンとともに示した図である。
【図3】本明細書において説明する態様に基づく、寛骨臼内に配置された中央ピンを、中央ピンに嵌合された平面テンプレートとともに示した図である。
【図4】図4aおよび4bは、本明細書において説明する態様に基づく、寛骨臼内に配置された中央ピンを、中央ピンに嵌合されたピン配置ガイドとともに示した図である。
【図5】本明細書において説明する態様に基づく、寛骨臼内に配置された中央ピンを、寛骨臼の外側に設置されたピン配置ガイドおよびツインガイドピンとともに示した図である。
【図6】本明細書において説明する態様に基づく、寛骨臼の外側に設置されたツインピンに嵌合された器械ガイドプレーンを示した図である。
【図7】図6のアレンジメントを、本明細書において説明する態様に基づく、寛骨臼内に配置されたリーマー、およびリーマーに嵌合され器械ガイドプレーンと協動するアライメントタブとともに示した図である。
【図8】図8aおよび8bは、本明細書において説明する態様に基づく、リーマーに嵌合された2つのアライメントタブを含む、図7のアレンジメントの代替的な構成を示した図である。
【図9】本明細書において説明する態様に基づく、寛骨臼の所定の位置に配置された患者特異的手術用ツールのテンプレートおよびガイド部、ならびに重力感知コンポーネントを示した図である。
【図10】本明細書において説明する態様に基づく、電子式重力感知コンポーネントを示した図である。
【図11】本明細書において説明する態様に基づく、アナログ式重力感知コンポーネントを示した図である。
【図12】本明細書において説明する態様に基づく、遠位ガイドピン、およびそれと併用するための重力感知コンポーネントを示した図である。
【図13】本明細書において説明する態様に基づく、手術用ツールを、それに嵌合された重力感知コンポーネントとともに示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
態様の詳細な説明
1つの局面において、寛骨臼カップ置換手術の際に術中使用するための患者特異的手術用ツール、およびそのための方法が提供される。本発明のツールは、寛骨臼のリーミングおよびカップ補綴物の正しい位置への嵌入をガイドし、かつ、骨盤の全体的なアライメントに基づいたカップ補綴物の正確な位置決めを提供する。さらに、本明細書において説明するツールおよび方法は、手術室内に追加の技術的設備をほとんどまたはまったく必要としない。本発明のツールは、患者特異的なテンプレートのコンポーネントおよび患者特異的な検証用のコンポーネントを含む。患者特異的なテンプレートコンポーネントおよび検証コンポーネントは、患者の解剖学的構造の撮影データに基づいて術前に準備される。テンプレートコンポーネントは、1つまたは複数の解剖学的目印と位置合わせした状態で患者の寛骨臼に嵌合し、かつ、ドリルビットなどのツールをガイドするためおよび/または寛骨臼内に中央ガイドピンを配置するためのガイド部またはガイド機構を含む。検証コンポーネントは、テンプレートコンポーネントおよび術前に画定された1つまたは複数の解剖学的目印と位置が合い、これにより、テンプレートコンポーネントの配置が正確であることを術中に確認する。
【0033】
具体的には、患者特異的テンプレートコンポーネントは、患者の解剖学的構造、すなわち、特徴的な解剖学的目印、骨構造、および/または軟部組織(例えば、腱、靭帯など)の、1つまたは複数の特異的な位置合わせ面を考慮して設計される。わかりやすさのため、解剖学的目印、骨構造、および軟部組織は、本明細書において集合的に「特徴的目印」と呼ぶ。寛骨臼内の1つまたは複数の特徴的目印が術前に選択され、そして、テンプレートが寛骨臼内の特異的な位置/方向に一意に位置合わせされるよう、テンプレートコンポーネントの1つまたは複数のそれぞれの係合表面の設計に用いられる。
【0034】
ガイド部は、テンプレートコンポーネントと一体であってもよく、そして、術前の計画段階で決定されたように、寛骨臼カップの配置の望ましい位置および方向の指示を提供する。例えば、ガイド部は、術前に計画されたカップの方向を寛骨臼に移すため、他のコンポーネントがそれと協動してもよい部材を含んでいてもよい。患者特異的でないそのような他のコンポーネントは、外部ピン配置ガイドおよび/または重力感知コンポーネント(詳しくは後述)を含んでいてもよく、術前の計画段階で決定されたように望ましい方向で寛骨臼内にカップを設置するため外科医がカップ嵌入ツールの方向を調整することを可能にしてもよい。
【0035】
本発明のツールはまた、寛骨臼の外側の骨の場所における1つまたは複数のピン(すなわち、外部ガイドピン)の位置および方向を位置出しするための、中央ガイドピンと協動する外部ピン配置ガイド、ならびに、リーマーまたは寛骨臼カップインパクターなどの器械を寛骨臼内にガイドするための、1つまたは複数の外部ガイドピンと協動するコンポーネントなど、患者特異的でない他のコンポーネントも含んでいてもよい。さらに、本明細書において説明するツールおよび方法は、必要であれば外科医が術中にリーマーおよび/またはインパクターの位置を修正することを可能にする。したがって、本明細書において説明するツールおよび方法は、寛骨臼のリーミングおよび寛骨臼カップの配置のための従来式および半従来式の手法と組合わせてもよい。
【0036】
テンプレートコンポーネントは、術前に取得された患者の骨盤の画像データに基づいて準備されてもよい。画像データは、例えばコンピュータ断層撮影(CT)などを用いて取得されてもよい。他の撮影技術およびそれらの組み合わせも用いられてもよい。アクセス可能な位置合わせ面がデータセット内で同定され、そして、計画されたカップ位置とそのような位置合わせ面との構造的関係が保存される。位置合わせ面は、例えば寛骨臼窩など、1つまたは複数の明確な解剖学的部位に対応していてもよい。患者特異的テンプレートは、保存されたアクセス可能な位置合わせ面から選択されたアクセス可能な位置合わせ面の鏡像から作製される。この鏡像は、外科的介入の際に患者特異的テンプレートを一意に位置決めすることを可能にする。次に、検証ツールを用いて、患者特異的テンプレートの位置決めを検証してもよい。患者特異的テンプレートは、外科用刃物をガイドするためのガイド部を含む。
【0037】
添付の図に示されている1つの態様において、ガイド部は、ドリルビットをガイドするよう適合していてもよい。図1aおよび図1bはそれぞれ、寛骨臼1内に位置決めされた患者特異的テンプレート10を、テンプレートに嵌合された検証ツール20とともに示した、上面図および側面図である。テンプレート10上における検証ツール20の正しいアライメントを確保するため、テンプレート10は、検証ツール20のキー溝と位置が合うよう適合した、(図2に示されているような)キー14を含む。テンプレート10は、寛骨臼内の1つまたは複数の解剖学的目印と一意に位置が合う部分18を含む。テンプレート10はまた、ドリルビットまたはガイドピンのための穴16を備えるガイド部12を含む。検証ツール20は、ガイド部のシャフトを受けかつこれと協動するための開口部または他の好適な手段を有する。検証ツール20は、術前に画定された患者の解剖学的構造上の1つまたは複数の対応する目印と一意に位置が合う、1つまたは複数のアーム22(図1aおよび図1bの態様には3つが示されている)を含む。術前に画定された患者の解剖学的構造上のそれぞれの目印とアーム22とを適切にアライメントさせると、テンプレート10の正しい位置決めが確認される。図1cに、ガイド部12を備えるテンプレート10、および、術前に画定された患者の解剖学的構造上の1つまたは複数の対応する目印と一意に位置が合う4つのアームを持つ検証ツール20の、分解図を示す。図1dに、同じく符番20により参照される、検証ツールの別の態様を示す。この態様も術前に準備され、そして、寛骨臼の選択曲面と一意に位置が合う曲面25を含む。
【0038】
患者特異的テンプレート10は、患者の寛骨臼内の特定の位置に正しく配置されたとき、術前に決定された寛骨臼内の場所において外科医が穴を穿孔するかまたは中央ガイドピンを配置することを可能にする。図2に示されているように、中央ガイドピン30が、テンプレート10のガイド部12の穴16を通って、患者の寛骨臼に穿孔された穴の中に挿入されてもよい。中央ガイドピン30が所定の位置になったら、テンプレートを取り外してもよい。
【0039】
図3において、中央ガイドピン30が、それに嵌合されたオプションの平面テンプレート40とともに示されている。平面テンプレート40は中央ガイドピン30のまわりに嵌合し、そして、配置する前に補綴カップの方向が正しいことを検証するために用いられる。平面テンプレートは、異なるサイズの寛骨臼に対応して異なるサイズで利用可能であってもよく、外科医が補綴カップの最終的な方向を可視化することを可能にする。
【0040】
図4aおよびbに示されているように、平面テンプレート40が取り外された後、外部ピン配置ガイド50が中央ガイドピン30のまわりに嵌合される。あるいは、外部ピン配置ガイド50は、テンプレート10のガイド部12のまわりに嵌合するように作られていてもよく、したがって中央ピン30の配置を備えるかまたは備えずに用いられてもよい。図示されている態様において、外部ピン配置ガイドは、中央ピン30と協動するカラー56、ならびにアーム52およびスライダー54を含む。スライダーは、1つまたは複数の外部ピンの配置をガイドするための1つまたは複数のガイド穴を有する。それぞれ図4bおよびaの矢印で示されているように、外部ピン配置ガイド50は中央ガイドピン30の周囲で回転されてもよく、スライダー54は、ガイドピン30からの距離を変えるためアーム52に沿って動かされてもよい。外科医は、ピン配置ガイドを回転させかつスライダー54をアーム52に沿って滑らせることにより、寛骨臼の外側の骨に1つまたは複数の外部ピンを挿入するための好適な場所を選択してもよい。選択される場所は、アクセスが容易で、多量の軟部組織がなく、かつ良好な骨貯蔵量(bone stock)を有するべきである。図5に示す1つの態様において、外部ピン配置ガイド50のスライダー54は、2つのピン60、62の配置をガイドするための2つの穴を含んでいてもよい。そのような態様は本明細書において「ツインピン配置ガイド」と呼ぶことがあり、2つのピンは「ツインピン」と呼ぶことがある。別の態様において、外部ピン配置ガイド50のカラー56は、ガイド部12のシャフトと協動するよう適合する。この態様において、テンプレートコンポーネント10およびガイド部12が寛骨臼内の所定の位置にある状態で、中央ガイドピンを配置する必要性を伴わずに、外部ピン配置ガイドが用いられてもよい;すなわち、中央ガイドピンの配置は任意である。
【0041】
1つまたは複数の外部ガイドピンが配置される前に補綴カップの最終的な方向を術中に修正することを可能にするような、異なるオフセット角度(例えば、0.5°、1°、2°など)が、外部ピン配置ガイドに提供されていてもよい。オフセットは、中央ガイドピン30を受ける穴において実現されてもよく、または、1つまたは複数の外部ガイドピンを受ける1つまたは複数の穴において実現されてもよい。
【0042】
図6に示されているように、かつ、図5に示されている態様を参照すると、中央ガイドピン30およびツインピン配置ガイド50が取り外された後、器械ガイドプレーン70がツインピン60、62に嵌合される。器械ガイドプレーン70は、滑り嵌めによってツインピン60、62を受けるための実質的に平行な2つの穴を備えるベース部72を有する。器械ガイドプレーン70を正しい位置でロックするため、ねじまたはクランプなどのロック機構がベース部72に提供されていてもよい。器械ガイドプレーン70はまた、図7に示されているように、リーミングツールまたはインパクターなどのツールに嵌合された1つまたは複数の対応するアライメントタブと位置が合うよう適合したアライメント部74も含む。例えば、そのような1つのアライメントタブ82を用いると、外科医が器械ガイドプレーンに対してリーマーまたはインパクターを手動で方向を定めることが可能になる。2つのアライメントタブを用いると、外科医が器械ガイドプレーンに対するインパクターの方向をロックすることが可能になる。
【0043】
例えば、図8aおよびbに示されているように、上部アライメントタブ84および下部アライメントタブ82が、リーマーまたはインパクターなどのツール90のまわりに嵌合していてもよい。下部アライメントタブ82は図7に示されている。上部および下部アライメントタブの各々は、リーマーまたはインパクターの円柱形のハンドル部のまわりに滑り嵌めされるよう適合したカラーを有していてもよい。あるいは、図8aおよびbに示されているように、上部アライメントタブのカラーが、下部アライメントタブのカラーの上に嵌合するように適合していてもよい。使用時は、図8aおよびbに示されているように、リーマーまたはインパクターの方向をロックするため、下部アライメントタブ82をアライメント部74の下にアライメントさせ、次に上部アライメントタブをアライメント部74および下部アライメントタブ82の上に滑り込ませる。
【0044】
中央ガイドピン30を寛骨臼内に配置することができない一部の患者において、患者特異的テンプレートを寛骨臼内に残し、ツインピン配置ガイド50を用いてツインピンを配置する間、ガイドピンを安定させるために用いてもよい。
【0045】
中央ガイドピン30は股関節の中心(すなわち、寛骨臼の中心)に位置決めされる。リーミングを寛骨臼の中心に進路誘導するため、外部ピン配置ガイド50のアーム52上、および同様に器械ガイドプレーン70上に、スケールが提供されていてもよい。スケールは、1つまたは複数の外部ガイドピンから寛骨臼の中心までの距離を測定するために用いられてもよく、そして、リーミングの際に器械ガイドプレーン上のスケールを用いてこの距離が再構築されてもよい。
【0046】
外科医が寛骨臼カップ挿入の進路誘導に前述の方法を使わずフリーハンドで寛骨臼のリーミングを行うことを決めた場合、患者特異的テンプレートは、2つ、3つ、またはそれ以上のさらなるガイダンス部を含んでいてもよい。このさらなるガイダンス部は、股関節の中心に対するリーマーの深さおよび中心性を外科医がコントロールすることを助け、そしてこれにより、フリーハンドのリーミング過程において最適の結果を得ることを可能にする。例えば、図1eに示されているように、患者特異的テンプレート10は、指定された深さの小径パイロット穴をインタクトな寛骨臼に穿孔するのを進路誘導する、3つまたはそれ以上のガイドチャネル100を含んでいてもよい。各パイロット穴について、穿孔ガイダンスシリンダー102がテンプレートに組み込まれていてもよく、そしてシリンダーの高さは、印のついたドリルビットでキャリブレーションされてもよい。外科医は、ドリルビット上の印がガイダンスシリンダーの上縁と揃うまで穿孔する。別の態様において、ガイドチャネル100それ自体の高さ/深さが、パイロット穴の深さをコントロールするのに用いられてもよい。穿孔されたパイロット穴の深さは、術前に計画されたリーミングの深さに対応し、そして、正しいリーミング量を決定するのに用いられる。
【0047】
あるいは、患者特異的テンプレートは、寛骨臼の外輪に3つまたはそれ以上のピンを配置するのを進路誘導するため、3つまたはそれ以上のガイドチャネルを含んでいてもよい。次に、これらのピンを用いて、寛骨臼の上でリーマー用のガイダンスツールを位置決めしてもよい。ガイダンスツールのこのような態様は、あらかじめ定められた中心の周囲における従来式のリーマーの動きを制限する。さらに、リーミングの深さを進路誘導するため、ガイダンスツール上のスケールを用いてもよい。
【0048】
前述の態様において、リーマーまたはインパクターなどのツールの寛骨臼内における進路誘導および/または方向付けは、遠位ガイドピン、アライメント部74、および、ツールと関連する1つまたは複数のアライメントタブ82、84を用いて行われてもよい。後述の態様では、図9〜図13を参照しながら、リーマーまたはインパクターなどのツールの進路誘導および/または方向付けを検証するための代替的な方法および装置を提供する。
【0049】
図9を参照すると、ガイド部12を備える患者特異的テンプレート10が、寛骨臼内に位置決めされた状態で示されている。前述のように、外科医は、テンプレートの1つまたは複数の鏡像面を、対応する1つまたは複数の寛骨臼表面に合わせることによって、テンプレート10を寛骨臼に位置合わせする。そのような表面は図9には示されていない。
【0050】
図9には、ガイド部12のシャフトを受けるよう適合したカラー202を有する、重力感知コンポーネント200も示されている。図12に示されているような、カラー202とともに用いられるアダプタ204が、前述の態様に関連して説明した中央ガイドピン30または外部ガイドピンなどのガイドピンに重力感知コンポーネントをマウントすることを可能にしてもよい。
【0051】
図10に示す1つの態様において、重力感知コンポーネントは、2方向において重力軸からの偏移を測定できる電子式重力感知コンポーネント210である。例えば、1つの実施形態において、電子式重力感知コンポーネント210は、互いに90度の方向にマウントされた2つの加速度計を含んでいてもよい。他の実施形態は当業者に明らかであろう。電子式重力感知コンポーネントは、押しボタンまたは他の従来の手段により作動されたときに現在の方向を基準方向として保存することにより電子式重力感知コンポーネントをキャリブレーションする「ゼロ合わせ」機能212を有していてもよい。
【0052】
使用時、電子式重力感知コンポーネント210は、寛骨臼内において正しい方向に置かれたガイド部12のシャフト上にマウントされるか、または、好適なアダプタを用いて、正しい方向に置かれたガイドピン(例えば、中央ピンまたは外部ガイドピン)にマウントされる。例えば、そのようなマウントは、電子式重力感知コンポーネント210をガイド部12またはガイドピンに対して直角に配してもよい。まず、前述の検証ツールおよび手技のうち1つまたは複数を用いて、ガイド部12およびガイドピンの正しい方向を決定してもよい。ゼロ合わせ機能を作動させると、ガイド部12またはガイドピンにマウントされた状態の電子式重力感知コンポーネント210の方向が基準方向として記録される。すなわち、このとき電子式重力感知コンポーネントは正しい方向についてキャリブレーションされる。次に、電子式重力感知コンポーネント210をガイド部またはガイドピンから取り外してもよい。
【0053】
代替的態様において、重力感知コンポーネントはアナログ式重力感知コンポーネント220であってもよい。例えば、図11に示すように、アナログ式重力感知コンポーネント220は気泡水準器222を具備していてもよい。気泡水準器は、例えばボール224およびソケット226の機構などを用いて、カラー202に可動式に取り付けられていてもよい。ボール・ソケット機構は、アナログ式重力感知コンポーネント220がガイド部12のシャフトまたはガイドピンにマウントされたときに、選択された方向において気泡水準器222を「ゼロ合わせ」することを可能にする。ボール・ソケット機構は、ロックされるとボールとソケットとの間の相対運動を妨げることによってアナログ式重力感知コンポーネントをキャリブレーションする、クランプまたは止めねじなどの好適な機械式ロック228を用いて、ゼロ合わせした位置でロックされてもよい。
【0054】
使用時、アナログ式重力感知コンポーネント220は、寛骨臼内において正しい方向に置かれたガイド部12のシャフト上にマウントされるか、または、好適なアダプタを用いて、正しい方向に置かれたガイドピン(例えば、中央ガイドピンまたは外部ガイドピン)にマウントされる。例えば、そのようなマウントは、アナログ式重力感知コンポーネント220をガイド部12またはガイドピンに対して直角に配してもよい。前述の検証ツールおよび手技のうち1つまたは複数を用いて、ガイド部12およびガイドピンの正しい方向を決定してもよい。次に、気泡水準器が、ボールソケット機構を用いてゼロ合わせされ、そしてゼロ合わせされた位置で機械式ロック228を用いてロックされる。こうして、ガイド部12またはガイドピンにマウントされた状態のアナログ式重力感知コンポーネント220の方向が基準方向として保存される。すなわち、このときアナログ式重力感知コンポーネントは正しい方向についてキャリブレーションされる。次に、アナログ式重力感知コンポーネント220をガイド部またはガイドピンから取り外してもよい。
【0055】
留意される点として、電子式重力感知コンポーネント210およびアナログ式重力感知コンポーネント220は、中央ガイドピン30または外部ガイドピンなどのオプションのガイドピンを用いずに、ガイド部12とともに用いてもよい。しかし、中央ガイドピン30が寛骨臼内でテンプレート10の方向を安定させうる限りにおいて、中央ガイドピン30を設置することが望ましい可能性がある。前述のように、平面テンプレート40は外科医が補綴カップの方向を可視化することを可能にするので、平面テンプレート40の使用を可能にする中央ピン30を設置することもまた望ましい可能性がある。外部ガイドピンは、外科医が手術中の任意の時に方向が正しいことを検証することを可能にするので、例えば、手術中に患者の解剖学的構造の起こりうる動きに対して補正を行うなどのため、外部ガイドピンを使用することが望ましい可能性がある。
【0056】
外部ガイドピンを使用すると、重力感知コンポーネントのキャリブレーションの検証を行うことも可能になる。図12に示すように、概して符番200により参照されるアナログ式または電子式の重力感知コンポーネントは、必要に応じてアダプタ204を用い、オプションの止めねじ205によって、外部ガイドピン64の上に配置されていてもよい。寛骨臼は1で示されている。次に、前述のように、重力感知器具のキャリブレーションを検証してもよく、そして必要であればこれを繰り返してもよい。この手順は、例えば、患者の解剖学的構造の起こりうる動きに対して補正を行うなどのため、手術中の任意の時に繰り返してもよい。
【0057】
図13に示すように、概して符番200により参照される、キャリブレーションされたアナログ式または電子式の重力感知コンポーネントは、次に、必要であれば好適なアダプタ206を用い、止めねじ207、208などのオプションの留め具によって、インパクターなどのツールのまわりに配置されてもよい。図13に示す態様は、外科医がツールを把持することを許容しながら、ツールとアライメントした状態で重力感知コンポーネントを保持する。この様式において、重力感知コンポーネントの正しい方向がツールに伝達されうるよう、重力感知コンポーネントの軸がツールの軸とアライメントされていてもよい。外科医は次に、重力感知コンポーネントがツールとのアライメントを示すまでツールの方向を修正してもよく、これによってツールの方向を補正してもよい。
【0058】
本明細書において、主として寛骨臼に関して本発明の態様を説明したが、このような装置および方法は、例えば肩など、他の球窩関節における同様の外科手技にも使用されうることが当業者には明らかであろう。
【実施例】
【0059】
以下の非限定的な実施例によって本発明の態様をさらに説明する。
【0060】
実施例1 第一の態様に基づく寛骨臼カップの配置のための方法
ガイド部12を備える患者特異的テンプレート10が、患者の寛骨臼内において位置決めされ、そして、テンプレートの係合表面18と患者の解剖学的構造上の対応する目印とにより提供される特有の嵌め合いに従って正しい方向に置かれる。ガイド部12と協動する検証ツールを用いて、テンプレート10およびガイド部12の方向が正しいことが検証される。電子式重力感知コンポーネント210またはアナログ式重力感知コンポーネント220(以下、重力感知コンポーネント200として参照される)がガイド部12に嵌合され、そして、ガイド部12の方向に従ってキャリブレーションされる。テンプレート10およびガイド部12が寛骨臼から取り外され、そして、補綴用寛骨臼カップを挿入するための正しいサイズに寛骨臼がリーミングされる。補綴用寛骨臼カップが、重力感知コンポーネント200が嵌合された嵌入ツールに係合され、そして寛骨臼内に配置される。嵌入ツールは、キャリブレーションされた重力感知コンポーネント200から決定された正しい方向に調整され、そして次に、寛骨臼カップを正しい方向で寛骨臼内に打ち込むために用いられる。
【0061】
実施例2 第二の態様に基づく寛骨臼カップの配置のための方法
ガイド部12を備える患者特異的テンプレート10が、患者の寛骨臼内に位置決めされ、そして、テンプレートの係合表面18と患者の解剖学的構造上の対応する目印とにより提供される特有の嵌め合いに従って正しい方向に置かれる。ガイド部12と協動する検証ツールを用いて、テンプレート10およびガイド部12の方向が正しいことが検証される。電子式重力感知コンポーネントまたはアナログ式重力感知コンポーネント(以下、重力感知コンポーネント200として参照される)がガイド部12に嵌合され、そして、ガイド部12の方向に従ってキャリブレーションされる。重力センサーが取り外され、そして、外部ピン配置ガイド50がガイド部12に嵌合されて、外部ガイドピンを骨盤の好適な場所に配置するために用いられる。外部ガイドピンに重力感知コンポーネント200を嵌合することによって、外部ガイドピンの方向が正しいことが検証される。この検証において、外部ガイドピンの方向は、テンプレート10およびガイド部12の方向と同じであるときに正しい。テンプレート10およびガイド部12ならびに外部ピン配置ガイド50が寛骨臼から取り外され、そして、補綴用寛骨臼カップを挿入するための正しいサイズに寛骨臼がリーミングされる。補綴用寛骨臼カップが嵌入ツールに係合され、そして補綴用寛骨臼カップが寛骨臼内に配置される。外部ガイドピンの方向をチェックすることにより、患者の解剖学的構造の正しい方向が確認される。外部ガイドピンの方向が正しくなくなっている場合は、患者の体位が移動している。そのような場合は、外部ガイドピンを用いて重力感知コンポーネント200が新たにキャリブレーションされる。キャリブレーションが正しいことが確認および/または確立されたら、重力感知コンポーネント200が嵌入ツールに嵌合される。嵌入ツールは、キャリブレーションされた重力感知コンポーネント200から決定された正しい方向に調整され、そして次に、寛骨臼カップを正しい方向で寛骨臼内に打ち込むために用いられる。
【0062】
実施例3 第三の態様に基づく寛骨臼カップの配置のための方法
ガイド部12を備える患者特異的テンプレート10が、患者の寛骨臼内に位置決めされ、そして、テンプレートの係合表面18と患者の解剖学的構造上の対応する目印とにより提供される特有の嵌め合いに従って正しい方向に置かれる。ガイド部12と協動する検証ツールを用いて、テンプレート10およびガイド部12の方向が正しいことが検証される。外部ピン配置ガイド50がガイド部12に嵌合されて、1対の外部ガイドピン60、62を骨盤の好適な場所に配置するために用いられる。テンプレート10およびガイド部12ならびに外部ピン配置ガイド50が寛骨臼から取り外され、そして、補綴用寛骨臼カップを挿入するための正しいサイズに寛骨臼がリーミングされる。器械ガイドプレーン70がガイドピン60、62に嵌合される。1つまたは複数のアライメントタブが嵌入ツールに嵌合される。補綴用寛骨臼カップが寛骨臼内に配置される。嵌入ツールは補綴用寛骨臼カップと係合し、そして、アライメントタブを器械ガイドプレーンとアライメントさせることによって正しい方向に調整される。嵌入ツールは、次に、寛骨臼カップを正しい方向で寛骨臼内に打ち込むために用いられる。
【0063】
実施例4 第四の態様に基づく寛骨臼カップの配置のための方法
ガイド部12を備える患者特異的テンプレート10が、患者の寛骨臼内に位置決めされ、そして、テンプレートの係合表面18と患者の解剖学的構造上の対応する目印とにより提供される特有の嵌め合いに従って正しい方向に置かれる。ガイド部12と協動する検証ツールを用いて、テンプレート10およびガイド部12の方向が正しいことが検証される。ドリルビットがガイド部12の穴16に挿入され、そして、寛骨臼に穴を穿孔するために用いられる。中央ガイドピン30が、ガイド部12の穴16に、そして寛骨臼に挿入される。ガイド部12を備えるテンプレート10が寛骨臼から取り外される。外部ピン配置ガイド50が中央ガイドピン30に嵌合されて、1対の外部ガイドピン60、62を骨盤の好適な場所に配置するために用いられる。中央ピン30および外部ピン配置ガイド50が寛骨臼から取り外され、そして、補綴用寛骨臼カップを挿入するための正しいサイズに寛骨臼がリーミングされる。器械ガイドプレーン70がガイドピン60、62に嵌合される。1つまたは複数のアライメントタブが嵌入ツールに嵌合される。補綴用寛骨臼カップが寛骨臼内に配置される。嵌入ツールは補綴用寛骨臼カップと係合し、そして、アライメントタブを器械ガイドプレーンとアライメントさせることによって正しい方向に調整される。嵌入ツールは、次に、寛骨臼カップを正しい方向で寛骨臼内に打ち込むために用いられる。
【0064】
同等物
当業者は、本明細書において説明した態様に対する同等物を認識するか、または、慣例的な実験によって確認することができるであろう。そのような同等物は本発明の範囲内であり、添付の特許請求の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の寛骨臼の選択表面と位置が合う少なくとも1つの表面を有する患者特異的テンプレート、ならびに
術前に計画された方向、または位置および方向に従って、寛骨臼カップの方向、または位置および方向を提供するガイド部
を具備する、寛骨臼カップ置換手術の際に術中使用するための、術前に設計されるガイダンスツール。
【請求項2】
患者の解剖学的構造の選択表面と位置が合う少なくとも1つの係合表面を含みかつガイド部と協動する検証ツールをさらに具備し、該患者の解剖学的構造上に該検証ツールを正しく位置決めすることにより該患者の寛骨臼内における該患者特異的テンプレートの方向が正しいことが確認される、請求項1記載のガイダンスツール。
【請求項3】
ガイド部と協動するよう適合した外部ピン配置ガイドをさらに具備し、該外部ピン配置ガイドが、寛骨臼の外部における1つまたは複数のガイドピンの配置をガイドする、請求項1記載のガイダンスツール。
【請求項4】
寛骨臼内に配置された中央ガイドピンと協動するよう適合した外部ピン配置ガイドをさらに具備し、該外部ピン配置ガイドが、寛骨臼の外側における1つまたは複数のガイドピンの配置をガイドし、寛骨臼内の中央ガイドピンの位置および/または方向が、寛骨臼内のガイド部の位置および/または方向によって定められる、請求項1記載のガイダンスツール。
【請求項5】
中央ガイドピンと協動するよう適合した外部ピン配置ガイドをさらに具備し、該外部ピン配置ガイドが、寛骨臼の外部における1つまたは複数のガイドピンの配置をガイドする、請求項4記載のガイダンスツール。
【請求項6】
寛骨臼の外部における1つまたは複数のガイドピンの方向に従って寛骨臼内の手術用ツールの方向をガイドするよう適合した手段をさらに具備する、請求項3または5記載のガイダンスツール。
【請求項7】
寛骨臼内の手術用ツールの方向をガイドするよう適合した手段が、
寛骨臼の外部の1つまたは複数のガイドピンと協動する第一の部分、ならびに
該手術用ツールと協動する第二の部分
を具備し、該第一の部分の係合表面および該第二の部分の係合表面を合わせることによって該手術用ツールの方向がガイドされるように該第一の部分および該第二の部分の各々が係合表面を含む、請求項6記載のガイダンスツール。
【請求項8】
ガイド部および手術用ツールと別々に協動するよう適合した重力感知コンポーネントをさらに具備し、
該手術用ツールと協動しているときに該ガイド部の方向に従って該重力感知コンポーネントをキャリブレーションすることによって該手術用ツールの方向がガイドされる、請求項1記載のガイダンスツール。
【請求項9】
ガイド部、寛骨臼の外部の1つまたは複数のガイドピン、および手術用ツールと別々に協動するよう適合した重力感知コンポーネントをさらに具備し、
該手術用ツールと協動しているときに該ガイド部および/または該寛骨臼の外部の1つもしくは複数のガイドピンの方向に従って該重力感知コンポーネントをキャリブレーションすることによって該手術用ツールの方向がガイドされる、請求項3または5記載のガイダンスツール。
【請求項10】
ガイド部、中央ガイドピン、寛骨臼の外部の1つまたは複数のガイドピン、および手術用ツールと別々に協動するよう適合した重力感知コンポーネントをさらに具備し、
該手術用ツールと協動しているときに該ガイド部、該中央ガイドピン、および/または該寛骨臼の外部の1つもしくは複数のガイドピンの方向に従って該重力感知コンポーネントをキャリブレーションすることによって該手術用ツールの方向がガイドされる、請求項4または5記載のガイダンスツール。
【請求項11】
重力感知コンポーネントが電子式重力感知コンポーネントである、請求項8、9、または10記載のガイダンスツール。
【請求項12】
重力感知コンポーネントがアナログ式重力感知コンポーネントである、請求項8、9、または10記載のガイダンスツール。
【請求項13】
術前に計画された寛骨臼カップの方向、または位置および方向を、寛骨臼カップ置換手術の際に患者に移すための方法であって、以下の段階を含む方法:
(i)該患者の寛骨臼の選択表面と位置が合う少なくとも1つの表面を有する患者特異的テンプレートと、
(ii)該術前に計画された寛骨臼カップの方向、または位置および方向を提供するガイド部と
を具備する術前に設計されたガイダンスツールを、該寛骨臼内に配置する段階;ならびに
該術前に計画された方向、または位置および方向に従って該寛骨臼カップを配置するため、該ガイド部を用いて手術用ツールの方向を定める段階。
【請求項14】
ガイド部を用いて手術用ツールの方向を定める段階の前に、患者の寛骨臼上の患者特異的テンプレートの位置決めが正しいことを検証する段階をさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
ガイド部を用いて寛骨臼の外部における1つまたは複数のガイドピンの方向を決定する段階をさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項16】
ガイド部を用いて寛骨臼内に中央ガイドピンを配置する段階をさらに含み、該中央ピンの方向が該ガイド部の方向に対応する、請求項13記載の方法。
【請求項17】
中央ガイドピンを用いて寛骨臼の外部における1つまたは複数のガイドピンの方向を決定する段階をさらに含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
寛骨臼の外部の1つまたは複数のガイドピンを用いて寛骨臼内の手術用ツールの方向をガイドする段階をさらに含む、請求項15または17記載の方法。
【請求項19】
ガイド部または寛骨臼内の中央ガイドピンの方向に従って重力感知コンポーネントをキャリブレーションする段階;および
キャリブレーションされた該重力感知コンポーネントを用いて手術用ツールの方向をガイドする段階
をさらに含む、請求項13または16記載の方法。
【請求項20】
ガイド部および/または寛骨臼の外部における1つもしくは複数のガイドピンの方向に従って重力感知コンポーネントをキャリブレーションする段階;および
キャリブレーションされた該重力感知コンポーネントを用いて手術用ツールの方向をガイドする段階
をさらに含む、請求項15または17記載の方法。
【請求項21】
電子式重力感知コンポーネントを用いる段階を含む、請求項19または20記載の方法。
【請求項22】
アナログ式重力感知コンポーネントを用いる段階を含む、請求項19または20記載の方法。

【図1a】
image rotate

【図1b】
image rotate

【図1c】
image rotate

【図1d】
image rotate

【図1e】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公表番号】特表2013−510692(P2013−510692A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539151(P2012−539151)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【国際出願番号】PCT/CA2010/001828
【国際公開番号】WO2011/060536
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(505458245)クィーンズ ユニバーシティー アット キングストン (11)
【Fターム(参考)】